JP2017079640A - 組換え微生物及びその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現されるように遺伝子構築された微生物に、目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子が発現可能に強化又は導入された組換え微生物。
【選択図】なし
Description
しかしながら、AbrBを恒常的に発現させた組換え微生物については全く報告されていない。
1)枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現するように遺伝子構築された微生物に、目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子が発現可能に強化又は導入された組換え微生物。
2)1)に記載の組換え微生物を培養し、培養物又は菌体から目的タンパク質又はポリペプチドを回収する工程を含む、目的タンパク質又はポリペプチドの製造方法。
3)枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現するように遺伝子構築する工程、及び目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を発現可能に強化又は導入する工程を含む組換え微生物の製造方法。
4)枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現するように遺伝子構築され、且つ目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子が発現可能に強化又は導入された組換え微生物を用いて該タンパク質又はポリペプチドを製造する、目的タンパク質又はポリペプチドの生産性向上方法。
また、本明細書において、「遷移期」とは細菌の増殖において、対数増殖期又は指数増殖期から定常期又は静止期へと移行する間を意味する。
すなわち、親微生物に、枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現するような遺伝子改変が成された改変微生物に、目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子が発現可能に強化又は導入されたものである。この組換え微生物は、abrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現され、目的タンパク質又はポリペプチドを導入した親微生物と比較して、当該タンパク質又はポリペプチドの生産性が向上しているという特徴を有する。
枯草菌abrB遺伝子は、遺伝子番号:BG10204として特定され、配列番号1に示すヌクレオチド配列からなり、かつ配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質AbrBをコードする。
(a)配列番号1に示すヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(b)配列番号1に示すヌクレオチド配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつAbrBと同様に遷移期および定常期に誘導される遺伝子の転写因子としての活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号1に示すヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつAbrBと同様に遷移期および定常期に誘導される遺伝子の転写因子としての活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなりかつAbrBと同様に遷移期および定常期に誘導される遺伝子の転写因子としての活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(f)配列番号2に示すアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつAbrBと同様に遷移期および定常期に誘導される遺伝子の転写因子としての活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
ここで、配列番号9に示される塩基配列において20〜49番目の塩基からなる領域又は73〜89番目の塩基からなる領域に相当する領域としては、上述した配列番号9に示される塩基配列からなるDNAと相同な塩基配列からなり転写開始制御領域又は転写開始制御領域及びリボソーム結合部位、或いは転写開始制御領域から翻訳開始制御領域に至るまでの領域としての機能を有するDNAにおいて、配列番号9に示される塩基配列と比較した場合に当該領域に相当する領域であって、抑制性制御因子の結合部位として機能するものが挙げられる。
目的タンパク質又は目的ポリペプチドをコードする遺伝子を発現可能なように強化又は導入する手段としては、例えば、親株のゲノム上で、野生型に比較し発現を強化できる制御領域(強制御領域)と目的の遺伝子とを作動可能に連結して配置すること;及び、制御領域、好ましくは強制御領域と作動可能に連結された目的の遺伝子を、親株細胞のゲノム中若しくはプラスミド中に導入すること、などが挙げられる。例えば、親株のゲノム上の目的の遺伝子の制御領域配列を強制御領域に置換すること、あるいは、適切な位置に目的の遺伝子が組み込まれた発現ベクターや、強制御領域と作動可能に連結された目的の遺伝子を含むベクターを、一般的な形質転換法を用いて親株に取り込ませることが挙げられる。
また、制御領域には、発現させる遺伝子産物に応じて、転写及び翻訳に関わる制御領域の他、分泌に関わる制御領域(例えば、分泌シグナルペプチド領域)を包含させることができる。
なお、上記に例示したような、細胞へ遺伝子を発現可能に導入するための種々の手法は、当業者に周知である。すなわち、ベクターによって導入する場合、その上流に「当該遺伝子の転写、翻訳、分泌に関わる制御領域、即ち、プロモーター及び転写開始点を含む転写開始制御領域、リボソーム結合部位及び開始コドンを含む翻訳開始制御領域及び分泌シグナルペプチド領域から選ばれる1以上の領域」が適正な形で結合されている目的タンパク質又は目的ポリペプチドをコードする遺伝子を含むベクターを、コンピテントセル形質転換方法、プロトプラスト形質転換法、或いはエレクトロポレーション法等の適当な形質転換法により導入すればよい。ここで、ベクターとしては、目的とする遺伝子を宿主に導入し、増殖、発現させるための適当な運搬体核酸分子であれば特に限定されず、プラスミドのみならず、例えば、YAC,BACなどの人工染色体、トランスポゾンを用いたベクター、コスミドが挙げられ、プラスミドとしては例えば、pUB110、pHY300PLKが挙げられる。
目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子としては、例えば、洗剤、食品、繊維、飼料、化学品、医療、診断、研究などの各種分野において有用なあらゆるタンパク質又はポリペプチド、例えば、酵素、生理活性ペプチド、マーカー、シグナル伝達物質、構造タンパク質、各種調節因子などをコードする遺伝子が挙げられる。また、上記酵素としては、機能別に列挙すると、酸化還元酵素(Oxidoreductase)、転移酵素(Transferase)、加水分解酵素(Hydrolase)、脱離酵素(Lyase)、異性化酵素(Isomerase)、合成酵素(Ligase/Synthetase)等が挙げられるが、好適にはセルラーゼ、α−アミラーゼ、プロテアーゼ等の加水分解酵素が挙げられる。
本発明の微生物を用いて目的タンパク質又はポリペプチドの製造を行うことで、目的タンパク質又はポリペプチドを高い生産性で効率よく製造することができ、当該物質の生産に必要な時間やコストを低減化することができる。
培地の成分・組成などは特に限定されないが、好ましくは、炭素源としてマルトースもしくは、可溶性澱粉やグルコースを含む培地を用いれば、より好ましい。
タンパク質、ポリペプチドの回収・精製は、例えば、遠心分離又はろ過による組換え微生物の分離、上清又はろ液中のタンパク質やポリペプチドの硫酸アンモニウム等の塩を加えることによる沈殿、エタノール等の有機溶媒を加えることによる沈殿、限外ろ過膜等を用いた濃縮や脱塩、イオン交換又はゲルろ過等の各種クロマトグラフィーを用いた精製等の方法を用いて行うことができる。
<1>枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現するように遺伝子構築された微生物に、目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子が発現可能に強化又は導入された組換え微生物。
<2>枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子を恒常的に発現するような遺伝子構築が、abrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子の転写開始制御領域、又は転写開始制御領域及びリボソーム結合部位、或いは転写開始制御領域から翻訳開始制御領域に至るまでの領域における抑制性制御因子の結合部位を不活性化することである、<1>の組換え微生物。
<3>abrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子の転写開始制御領域、又は転写開始制御領域及びリボソーム結合部位、或いは転写開始制御領域から翻訳開始制御領域に至るまでの領域における抑制性制御因子の結合部位が、配列番号9に示される塩基配列において20〜49番目の塩基からなる領域又はこれに相当する領域、又は73〜89番目の塩基からなる領域又はこれに相当する領域である<2>の組換え微生物。
<4>枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子を恒常的に発現させる遺伝子構築が、配列番号9に示される塩基配列において73〜89番目の塩基からなる領域又はこれに相当する領域を削除するものである、<3>の組換え微生物。
<5>枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が、下記の(a)〜(f)からなる群より選択される、<1>〜<4>のいずれかの組換え微生物。
(a)配列番号1に示すヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(b)配列番号1に示すヌクレオチド配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつAbrBと同様の遷移期および定常期に誘導される遺伝子の転写因子としての活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号1に示すヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつAbrBと同様の遷移期および定常期に誘導される遺伝子の転写因子としての活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなりかつAbrBと同様の遷移期および定常期に誘導される遺伝子の転写因子としての活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(f)配列番号2に示すアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつAbrBと同様の遷移期および定常期に誘導される遺伝子の転写因子としての活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
<6>微生物がバチルス(Bacillus)属に属する細菌である<1>〜<5>のいずれかの組換え微生物。
<7>微生物が枯草菌(Bacillus subtilis)である<1>〜<5>のいずれかの組換え微生物。
<8>目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の上流に、転写開始制御領域、翻訳開始制御領域又は分泌用シグナル領域のいずれか1以上の領域を結合した<1>〜<7>のいずれかの組換え微生物。
<9>転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域を、目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の上流に結合した<8>の組換え微生物。
<10>分泌シグナル領域が、バチルス(Bacillus)属に属する細菌のセルラーゼ遺伝子由来のものであり、転写開始制御領域及び翻訳開始制御領域が当該セルラーゼ遺伝子の上流0.6〜1kb領域由来のものである<8>又は<9>の組換え微生物。
<11>転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が、配列番号6で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜659の塩基配列、配列番号8で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜696の塩基配列又は当該塩基配列のいずれかと80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片、又は当該塩基配列の一部が欠失した塩基配列からなるDNA断片である<9>及び<10>の組換え微生物。
<12><1>〜<11>のいずれかの組換え微生物を培養し、培養物又は菌体から目的タンパク質又はポリペプチドを回収する工程を含む、目的タンパク質又はポリペプチドの製造方法。
<13>枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現するように遺伝子構築する工程、及び目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を発現可能に強化又は導入する工程を含む組換え微生物の製造方法。
<14>枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現するように遺伝子構築され、且つ目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子が発現可能に強化又は導入された組換え微生物を用いて該タンパク質又はポリペプチドを製造する、目的タンパク質又はポリペプチドの生産性向上方法。
(1−1)トリプトファン要求性解除枯草菌変異株168T株の作製
枯草菌野生株168株におけるトリプトファン要求性を解除した。枯草菌168株は、遺伝子型としてtrpC2を所持している。つまり168株はトリプトファン合成に関与するインドール−3−グリセロールリン酸シンターゼをコードするtrpC遺伝子変異のためトリプトファン合成要求性である。また、枯草菌ATCC6051T株はトリプトファン非要求性であることが知られている(Albertini,A.M.&Galizzi,A.Microbiology,1999,145(Pt12):3319−3320)。枯草菌168株とATCC6051T株のtrpC遺伝子を比較したところ、328番目から330番目のヌクレオチドATTが枯草菌168株では存在しないことがわかった。そこで、ATCC6051T株ゲノムを鋳型とし、表1に記載のtrpC_F1及びtrpC_R1のプライマーを用いてPCRを行い、PCR産物を構築した。このPCR産物を用いて枯草菌野生株168株をコンピテント法(J.Bacteriol.,1960,81:741−746)で形質転換し、トリプトファン非添加のSMA寒天培地(0.2%硫酸アンモニウム、1.4%リン酸水素2カリウム、0.6%リン酸2水素カリウム、0.1%クエン酸3ナトリウム-2水和物、0.5%グルコース、0.035%硫酸マグネシウム7水和物、1.5%寒天)に生育したコロニーを形質転換体として分離した。こうしてトリプトファン非要求性168T株を得た。
abrB遺伝子恒常発現変異の導入を行った。枯草菌野生株168株のゲノムDNAを鋳型とし、表2記載のプライマーDspo0Abox−FF及びDspo0Abox−FRを用いて、abrB遺伝子上流領域断片(A)をPCRにより増幅した。また、表2記載のプライマーDspo0Abox−PF及びDspo0Abox−PRを用いて、abrB遺伝子上流領域断片(B)をPCRにより増幅した。また、表2記載のプライマーDspo0Abox−BF及びDspo0Abox−BRを用いて、abrB遺伝子上流域・中流領域断片(C)をPCRにより増幅した。次いで、クロラムフェニコール耐性遺伝子保有のプラスミドpDLT3(Morimoto T.et al.,Microbiology,2002,148:3539−3552)を鋳型とし、表2記載のプライマーrPCR−CmF2及びrPCR−CmR2を用いて、PCR増幅を行い、クロラムフェニコール耐性遺伝子の断片(D)をPCR増幅した。
バチルス属細菌 KSM−S237株(FERM BP−7875)由来のS237セルラーゼ遺伝子(特開2000−210081号公報参照)(配列番号10)をコードするDNA断片(3.1kb;配列番号10の塩基番号13〜3124)を鋳型として、表3に示されるプライマーEgl−S237.F及びプライマーEgl−S237.Rのプライマーセットを用いてPCRを行い、シャトルベクターpHY300PLKのBamHI制限酵素切断点に挿入された組換えプラスミドpHY−S237を構築した。
上記(1−1)及び(1−2)で作製した枯草菌変異株168T株及び枯草菌変異株168T_abrB*株を宿主とした。
上記(1−3)で作製したアルカリセルラーゼ生産用ベクター(pHY−S237)を用いて、プロトプラスト形質転換法(Mol.Gen.Genet.,1979,168:111−115)により各宿主を形質転換した。テトラサイクリン−塩酸塩50ppmを添加したDM3プロトプラスト再生培地(0.5Mコハク酸ナトリウム(pH7.3)、0.5%カザミノ酸(ディフコ社製)、0.5%酵母エキス(ディフコ社製)、0.35% K2HPO4、0.15% KH2PO4、0.5%グルコース、20mM MgCl2、0.01%牛血清アルブミン(シグマ社製)、1%バクト寒天(ディフコ社製))上に生育したコロニーを目的とする枯草菌形質転換体として選抜した。
実施例1にて得られた形質転換体を、15ppmのテトラサイクリンを含む5mLのLB培地(1.0%トリプトン(ディフコ社製)、0.5%酵母エキス(ディフコ社製)、1.0%NaCl)で、30℃で15時間振盪培養し、更にこの培養液0.6mLを15ppmのテトラサイクリンを含む30mLの2×L−マルトース培地(2% トリプトン、1% 酵母エキス、1%塩化ナトリウム、7.5%マルトース、7.5ppm硫酸マンガン4−5水和物)に接種し、30℃で3日間振盪培養した。培養後、遠心分離によって菌体を除いた培養上清のアルカリセルラーゼ活性を測定し、菌体外に分泌生産されたアルカリセルラーゼの量を算出した。
生産性の比較は、親株の生産性を100%とする相対値により行った。その結果、親株として168T株を用いた場合と比較し、abrBを恒常的に発現させた168T_abrB*株では、高いアルカリセルラーゼの分泌生産量が確認された。
セルラーゼ活性測定は、1/7.5M リン酸緩衝液(pH7.4 和光純薬工業社製)で適宜希釈したサンプル溶液50μLに0.4mM p−ニトロフェニル−β−D−セロトリオシド(生化学工業社製)を50μL添加して混合し、30℃にて反応させた際に遊離するp−ニトロフェノールの量を、420nmにおける吸光度(OD420nm)変化により定量することにより行った。セルラーゼ活性は、1分間に1μmolのp−ニトロフェノールを遊離させる酵素量を1Uとして定義した。
Claims (14)
- 枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現するように遺伝子構築された微生物に、目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子が発現可能に強化又は導入された組換え微生物。
- 枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現するような遺伝子構築が、abrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子の転写開始制御領域、又は転写開始制御領域及びリボソーム結合部位、或いは転写開始制御領域から翻訳開始制御領域に至るまでの領域における抑制性制御因子の結合部位を不活性化することである、請求項1項記載の組換え微生物。
- abrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子の転写開始制御領域、又は転写開始制御領域及びリボソーム結合部位、或いは転写開始制御領域から翻訳開始制御領域に至るまでの領域における抑制性制御因子の結合部位が、配列番号9に示される塩基配列において20〜49番目の塩基からなる領域又はこれに相当する領域、又は/及び73〜89番目の塩基からなる領域又はこれに相当する領域である請求項2項記載の組換え微生物。
- 枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現するような遺伝子構築が、配列番号9に示される塩基配列において73〜89番目の塩基からなる領域又はこれに相当する領域を削除するものである、請求項3項記載の組換え微生物。
- 枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が、下記の(a)〜(f)からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項記載の組換え微生物。
(a)配列番号1に示すヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(b)配列番号1に示すヌクレオチド配列と90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列からなり、かつAbrBと同様の遷移期および定常期に誘導される遺伝子の転写因子としての活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号1に示すヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの相補鎖に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつAbrBと同様の遷移期および定常期に誘導される遺伝子の転写因子としての活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号2に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなりかつAbrBと同様の遷移期および定常期に誘導される遺伝子の転写因子としての活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(f)配列番号2に示すアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつAbrBと同様の遷移期および定常期に誘導される遺伝子の転写因子としての活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - 微生物がバチルス(Bacillus)属に属する細菌である請求項1〜5のいずれか1項記載の組換え微生物。
- 微生物が枯草菌(Bacillus subtilis)である請求項1〜5のいずれか1項記載の組換え微生物。
- 目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の上流に、転写開始制御領域、翻訳開始制御領域又は分泌用シグナル領域のいずれか1以上の領域を結合した請求項1〜7のいずれか1項記載の組換え微生物。
- 転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域を、目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の上流に結合した請求項8に記載の組換え微生物。
- 分泌シグナル領域が、バチルス(Bacillus)属に属する細菌のセルラーゼ遺伝子由来のものであり、転写開始制御領域及び翻訳開始制御領域が当該セルラーゼ遺伝子の上流0.6〜1kb領域由来のものである請求項8又は9記載の組換え微生物。
- 転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が、配列番号10で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜659の塩基配列、配列番号12で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜696の塩基配列又は当該塩基配列のいずれかと90%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片、又は当該塩基配列の一部が欠失した塩基配列からなるDNA断片である請求項9及び10記載の組換え微生物。
- 請求項1〜11のいずれか1項記載の組換え微生物を培養し、培養物又は菌体から目的タンパク質又はポリペプチドを回収する工程を含む、目的タンパク質又はポリペプチドの製造方法。
- 枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現するように遺伝子構築する工程、及び目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を発現可能に強化又は導入する工程を含む組換え微生物の製造方法。
- 枯草菌のabrB遺伝子又はそれに相当する遺伝子が恒常的に発現するように遺伝子構築され、且つ目的タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子が発現可能に強化又は導入された組換え微生物を用いて該タンパク質又はポリペプチドを製造する、目的タンパク質又はポリペプチドの生産性向上方法。
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WO2019139108A1 (ja) | 2018-01-12 | 2019-07-18 | 花王株式会社 | タンパク質の製造方法 |
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