JP5828634B2 - 組換え微生物を用いたタンパク質の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、組換え微生物を用いた有用なタンパク質の製造方法、及び当該方法に用いる組換え微生物に関する。
微生物による有用物質の工業的生産は、アルコール飲料や味噌、醤油等の食品類をはじめとし、アミノ酸、有機酸、核酸関連物質、抗生物質、糖質、脂質、タンパク質等、その種類は多岐に渡っており、またその用途についても食品、医薬や、洗剤、化粧品等の日用品、あるいは各種化成品原料に至るまで幅広い分野に広がっている。
こうした微生物による有用物質の工業生産においては、その生産性の向上が重要な課題の一つであり、その手法として、突然変異等の遺伝学的手法による生産菌の育種が行われてきた。特に最近では、微生物遺伝学、バイオテクノロジーの発展により、遺伝子組換え技術等を用いたより効率的な生産菌の育種が行われるようになっている。更に、近年のゲノム解析技術の急速な発展を受けて、対象とする微生物のゲノム情報を解読し、これらを積極的に産業に応用しようとする試みもなされている。ゲノム情報の公開されている産業的に有用な宿主微生物としては、枯草菌Bacillus subtilis Marburg No.168(非特許文献1)、大腸菌Escherichia coli K−12 MG1655(非特許文献2)、コリネバクテリウムCorynebacterium glutamicum ATCC132032などが挙げられ、これらのゲノム情報を利用し、改良を加えた菌株が開発されている。
細菌の細胞膜の主要な脂質は、脂肪酸がエステル結合でグリセロール−3−リン酸に結合したグリセロリン脂質である。対数増殖時における枯草菌のリン脂質は、その大部分がフォスファチジルグリセロール(PG)及びフォスファチジルエタノールアミン(PE)であり、それぞれ全脂質の39.2%、24.4%を形成している(非特許文献3)。残りのリン脂質は主にPGのエステル化されていないヒドロキシル化末端がリジンのカルボキシル基とエステル結合したリジルフォスファチジルグリセロール(LPG)として存在し(15.6%)、わずか1.4%だけカルジオリピン(CL)が存在する。また、グリセロリン脂質以外の脂質ではモノ−、ジ−、トリ−グリコシルジアシルグリセロールを含むグリコリピド(GL)が約10.6%存在する。これらの脂質は全てsn−グリセロール−3−リン酸(G3P)からフォスファチジル酸(PA)を形成することで、リン脂質の生合成を開始する(図1)。
枯草菌においては、ゲノムシークエンスから得られた推定配列を利用して脂質生合成に関わる遺伝子が同定され、生合成段階の大半が明らかにされている。以下にPS(ホスファチジルセリン)、PE、PG、CL、LPG、GLの合成に関与する遺伝子に関して記載する。
PSはpssA 遺伝子によりコードされるPSシンターゼによりCDP−ジアシルグリセロールとセリンが縮合することで合成される(非特許文献4)(図1)。PSは、psd遺伝子によりコードされるPSデカルボキシラーゼによってPEにすぐさま変換されるため、枯草菌においてマイナー成分である。枯草菌ではpssAやpsdの欠失株は生育に全く影響がなく、PS及びPEの生理的役割に関する報告は存在しない。一方、大腸菌ではPEの欠失は膜タンパク質であるラクトース透過酵素LacYが高次構造を形成できないことから、一部の膜タンパク質の正常な形成に必要であると考えられている(非特許文献5)。
PGはpgsA遺伝子によりコードされるフォスファチジルグリセロールリン酸合成酵素により、酸性リン脂質であるPGを合成する(図1)。更に、枯草菌は大腸菌CL合成酵素のホモログとしてywjE遺伝子及びywnE遺伝子を有しており(非特許文献6)、PG2分子の縮合によりCLを合成する。枯草菌におけるCL欠失株、CL及びPG二重変異株では高浸透圧条件下で細胞の生育が阻害されることから、酸性リン脂質は浸透圧耐性に関与すると考えられている(非特許文献7)。この現象は大腸菌のCL欠失株でも観察されており、また浸透圧関連のトランスポーターProPの局在にCLが関わると報告されている(非特許文献8)。また、大腸菌において酸性リン脂質(PG及びCL)が一部の膜タンパク質を膜に取り込むことで活性化することが知られており、細胞質にあるSecAやFtsYを負電荷により膜に引き寄せ、膜表在タンパク質とすることで活性化を促進することが知られている(非特許文献9;非特許文献10)。
枯草菌のugtP遺伝子は1,2−ジアシルグリセロールにグルコース残基を付加するUDP−グリコシルトランスフェラーゼをコードしている(図1)。In vitroの実験から、本酵素は1,2−ジアシルグリセロールにグルコースを4個まで連続して付加することが可能であることがわかっているが、生体内ではジグリコシルアシルグリセロールが主要な糖脂質である(非特許文献11)。ugtP欠失株は生育可能であり、野生株と同等の生育速度を示すが、膜脂質の脂肪酸組成が大きく変化することが報告されている(非特許文献6)。
LPGはmprF遺伝子によりコードされる酵素によりlysyl−tRNAlysからリジンをPGに転移させることで合成される。LPGはリジンにより正電荷を帯びていることから、カチオン性抗菌ペプチドに対する耐性を細胞に付与していると考えられている(非特許文献12)。
以上のように膜脂質の各成分について一部その機能が解明され、膜脂質は膜形成や外界に対するバリア機能等に関与する重要な成分であると推察される。しかしながら、枯草菌の膜脂質改変によるタンパク質分泌生産性向上に関する報告は、これまでなされていない。
Nature,390(6657),249−256,1997 Science,277(5331),1453−1462,1997 J.Bacteriol.,2004,186,1475−1483 Biochim.Biophys.Acta,1997,1348,214−227 EMBO J.,2002,21(9),2107−2116 J.Bacteriol.,2008,190,7797−7807 Microbiology,2006,152,605−616 Mol.Microbiol.,2007,64,1455−1465 Proc Natl Acad Sci USA,2010,107(22),10044−10049 EMBO J.,2000,19(4),531−541 Mol.Microbiol.,1998,29(2),p.419−430 J.Bacteriol.,2009,191,1311−1319
本発明は、細胞膜リン脂質を改変した微生物を用いた目的のタンパク質又はポリペプチドの製造方法を提供することに関する。
本発明者らは、上記課題に鑑み検討した結果、特定の膜脂質の生合成に係る遺伝子を欠失又は不活性化することにより、目的のタンパク質又はポリペプチドの製造効率が向上することを見出した。
すなわち本発明は、以下の提供に関するものである。
(1) mprF、ugtP、ywnE及びywjE遺伝子、及びそれらの遺伝子に相当する遺伝子から選ばれる1以上の遺伝子が欠失又は不活性化された宿主微生物に、目的タンパク質の遺伝子を導入した組換え微生物を用いることを特徴とする、目的タンパク質の製造方法。
(2) 前記宿主微生物がグラム陽性細菌である、前記(1)記載の製造方法。
(3) 前記宿主微生物がバチルス属細菌である、前記(2)記載の製造方法。
(4) 前記宿主微生物が枯草菌である、前記(3)記載の製造方法。
(5) 前記目的タンパク質が、前記宿主微生物から分泌される、前記(1)から(4)のいずれか1つに記載の製造方法。
(6) 前記目的タンパク質が、セルラーゼ又はアミラーゼである、前記(1)から(5)のいずれか1つに記載の製造方法。
(7) mprF、ugtP、ywnE及びywjE遺伝子、及びそれらの遺伝子に相当する遺伝子から選ばれる1以上の遺伝子が欠失又は不活性化された宿主微生物に、目的タンパク質の遺伝子を導入した組換え微生物であって、目的のタンパク質をコードする遺伝子の上流に転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌用シグナル領域結合されており、当該転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3 領域が、配列番号1で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜659 の塩基配列、配列番号3で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜696 の塩基配列又は当該塩基配列のいずれかと80%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片、又は当該塩基配列の一部が欠失、置換、若しくは付加した塩基配列からなるDNA断片である組換え微生物。
本発明の組換え微生物及びそれを用いたタンパク質の製造方法により、目的タンパク質又はポリペプチドの生産性向上を図ることができる。特に本発明の組換え微生物は、目的タンパク質等の細胞外への分泌能力に優れているため、培養上清からの目的タンパク質等の精製を効率的に行うことが可能となる。
枯草菌における詳細なリン脂質生合成経路を示したものである。 SOE−PCRによる遺伝子欠失用DNA断片の調製、及び当該DNA断片を用いて標的遺伝子を欠失する(薬剤耐性遺伝子と置換)方法を模式的に示したものである。 遺伝子欠失用プラスミドを用いて標的遺伝子を欠失する(薬剤耐性遺伝子と置換)方法を模式的に示したものである。 リン脂質改変株における、酵素の生産性評価(培養開始後3日目における、セルラーゼS237の生産性)を示したものである。 リン脂質改変株における、酵素の生産性評価(培養開始後3日目における、アミラーゼK38の生産性)を示したものである。
本発明の目的タンパク質又はポリペプチドの製造に用いられる組換え微生物は、リシルホスファチジルグリセロール、グリコリピド及びカルジオリピンの遺伝子であるmprF、ugtP、ywnE及びywjE遺伝子から選ばれる1以上の遺伝子を欠失又は不活性化してなるものである。例として、以下に、枯草菌のmprF、ugtP、ywnE及びywjE遺伝子の遺伝子番号を示す。これらは、Genbank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/)や、JAFAN:Japan Functional Analysis Network for Bacillus subtilis(BSORF DB)において公開されている(http://bacillus.genome.ad.jp/、2006年1月18日更新)。
上述した各遺伝子と塩基配列において70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、更により好ましくは98%以上の同一性を有し、好ましくは上述した各遺伝子と同様の、脂質の生合成機能を有する遺伝子は、当該遺伝子に相当する遺伝子と考えられ、本発明において欠失又は不活性化される遺伝子に含まれる。
アミノ酸配列及び塩基配列の同一性はLipman−Pearson法 (Science,227,1435,(1985))によって計算することができる。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx−Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
本発明で使用される組換え微生物を構築するための親微生物としては、バチルス(Bacillus)属細菌や、クロストリジウム(Clostridium)属細菌等のグラム陽性細菌が挙げられ、中でもバチルス属細菌が好ましい。更に、全ゲノム情報が明らかにされ、遺伝子工学、ゲノム工学技術が確立されている点、またタンパク質を菌体外に分泌生産させる能力を有する点から、枯草菌(Bacillus subtilis)がより好ましい。なお、これらの親微生物は、野生型でも変異を施したものでもよい。
本発明の製造方法に用いる組換え微生物を作製するために、上記親微生物において、mprF、ugtP、ywnE及びywjE遺伝子、及びそれらの遺伝子に相当する遺伝子から選ばれる遺伝子が欠失又は不活性化される。具体的には、mprF遺伝子若しくはそれに相当する遺伝子、ugtP遺伝子若しくはそれに相当する遺伝子、ywnE遺伝子若しくはそれに相当する遺伝子、及びywjE遺伝子若しくはそれに相当する遺伝子のいずれか1つ若しくは2つ以上が欠失又は不活性化される。
更に、上記遺伝子群の欠失又は不活性化に加えて、目的タンパク質又はポリペプチドの生産性の向上に寄与し得る他の遺伝子群(例えば、prsA遺伝子等)の発現強化及び機能強化のための改変を組み合わせてもよい。
人為的な遺伝子の欠失又は不活性化は、標的遺伝子の一部若しくは全部をゲノム中から除去するか又は他の遺伝子と置き換える、当該遺伝子中に他のDNA断片を挿入する、あるいは当該遺伝子の転写・翻訳開始領域に変異を与える等の方法によって行うことができる。好適には、当該遺伝子を物理的に欠失させる。より具体的には、mprF、ugtP、ywnE又はywjE遺伝子、又はそれらの遺伝子に相当する遺伝子(以下、標的遺伝子)を計画的に欠失又は不活性化する方法、及びランダムな遺伝子の欠失又は不活性化変異を与えた後、適当な方法によりタンパク質生産性の評価及び遺伝子解析を行って所望の変異を選択する方法が挙げられる。
標的遺伝子を欠失又は不活性化するには、例えば相同組換えによる方法を用いればよい。すなわち、標的遺伝子の一部を含むDNA断片を適当なプラスミドベクターにクローニングして得られる環状の組換えプラスミドを親微生物細胞内に取り込ませ、標的遺伝子の一部領域に於ける相同組換えによって親微生物ゲノム上の標的遺伝子を分断して不活性化することが可能である。あるいは、塩基置換や塩基挿入等の変異によって不活性化した標的遺伝子、又は図1のように標的遺伝子の上流、下流領域を含むが標的遺伝子を含まない直鎖状のDNA断片等をPCR等の方法によって構築し、これを親微生物細胞内に取り込ませて親微生物ゲノムの標的遺伝子内の変異箇所の外側の2ヶ所、又は標的遺伝子上流側、下流側で2回交差の相同組換えを起こさせることにより、ゲノム上の標的遺伝子を欠失あるいは他の遺伝子断片と置換させることによって不活性化させることが可能である。
例えば、本発明方法に使用する微生物を構築するための親微生物として枯草菌を用いる場合、相同組換えにより標的遺伝子を欠失又は不活性化する方法については、既にいくつかの報告例があり(Mol.Gen.Genet.,223,268,1990等)、こうした方法を繰り返すことによって、本発明のための微生物を得ることができる。
また、ランダムな遺伝子の欠失又は不活性化についても、ランダムにクローニングしたDNA断片を用いて上述の方法と同様な相同組換えを起こさせる方法や、親微生物にγ線等を照射すること等によって実施可能である。
以下に、具体例として、SOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene,77,61,1989)によって調製される欠失用DNA断片を用いた二重交差法による欠失方法について説明するが、本発明における遺伝子欠失又は不活性化方法は下記に限定されるものではない。
欠失用DNA断片は、例えば、欠失対象遺伝子の上流に隣接する約1.0kb断片と、同じく下流に隣接する約1.0kb断片の間に、薬剤耐性マーカー遺伝子断片を挿入した断片である。まず、1回目のPCRによって、欠失対象遺伝子の上流断片及び下流断片、並びに薬剤耐性マーカー遺伝子断片の3断片を調製するが、この際、例えば、上流断片の下流末端に薬剤耐性マーカー遺伝子の上流側10〜30塩基対配列、逆に下流断片の上流末端には薬剤耐性マーカー遺伝子の下流側10〜30塩基対配列が付加される様にデザインしたプライマーを用いる(図2)。
次いで、1回目に調製した3種類のPCR断片を鋳型とし、上流断片の上流側プライマーと下流断片の下流側プライマーを用いて2回目のPCRを行うことによって、上流断片の下流末端及び下流断片の上流末端に付加した薬剤耐性マーカー遺伝子配列において、薬剤耐性マーカー遺伝子断片とのアニールが生じ、PCR増幅の結果、上流側断片と下流側断片の間に、薬剤耐性マーカー遺伝子を挿入したDNA断片を得ることができる(図2)。以上のPCRは、市販のPCR用酵素キット等を用いて、成書(PCR Protocols.Current Methods and Applications,Edited by B.A.White,Humana Press pp251,1993、Gene,77,61,1989)等に示される通常の条件により行うことができる。
かくして得られた遺伝子欠失用DNA断片を、コンピテント法等の定法によって微生物細胞内に導入すると、対応する欠失対象遺伝子の上流及び下流の相同領域において、細胞内での遺伝子組換えが生じ、標的遺伝子が薬剤耐性遺伝子と置換された細胞、あるいは標的遺伝子内に薬剤耐性遺伝子が挿入された細胞が生じ得る(図3)。これを薬剤耐性マーカーによる選択によって分離する。即ち、遺伝子導入した微生物を、上記薬剤を含む寒天培地上で培養し、生育するコロニーを分離した後、ゲノムを鋳型としたPCR法などによってゲノム上の標的遺伝子が薬剤耐性遺伝子と置換されていることを確認すれば良い。
斯くして得られた標的遺伝子が欠失又は不活性化された微生物に、目的のタンパク質又はポリペプチド遺伝子を含むDNA断片を導入して、本発明の組換え微生物を作製する。DNA断片の導入は、適当なプラスミドベクターを結合させた組換えプラスミドを、一般的な形質転換法を用いて上記微生物に取り込ませることによって行う。また、当該DNA断片に上記微生物のゲノムとの適当な相同領域を結合したDNA断片を用い、当該微生物ゲノムに直接組み込むことによっても本発明の組換え微生物を得ることができる。
本発明の組換え微生物に導入される目的タンパク質又は目的ポリペプチドは、特に限定されず、例えば洗剤、食品、繊維、飼料、化学品、医療、診断など各種産業用酵素や、生理活性ペプチドなどが挙げられる。産業用酵素が好ましい。また、産業用酵素としては、機能別に、酸化還元酵素(オキシドレダクターゼ)、転移酵素(トランスフェラーゼ)、加水分解酵素(ヒドロラーゼ)、脱離酵素(リアーゼ)、異性化酵素(イソメラーゼ)、合成酵素(リガーゼ/シンセターゼ)等が含まれる。好適には、セルラーゼ、α−アミラーゼ、プロテアーゼ等の加水分解酵素やクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)等の転移酵素が挙げられ、より好適には、セルラーゼが挙げられる。
セルラーゼとしては、例えば、多糖加水分解酵素の分類(Biochem.J.,280,309,1991)中でファミリー5に属するセルラーゼが挙げられ、中でも微生物由来、特にBacillus属細菌由来のセルラーゼが挙げられる。より具体的な例として、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるBacillus属細菌KSM−S237株(FERM BP−7875)由来のアルカリセルラーゼ、又は、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるBacillus属細菌KSM−64株(FERM BP−2886)由来のアルカリセルラーゼ、あるいは、当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるセルラーゼ、又は配列番号2又は配列番号4で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加されたアミノ酸配列からなるアルカリセルラーゼが挙げられる。
α−アミラーゼの具体例としては、微生物由来のα−アミラーゼが挙げられ、特にBacillus属細菌由来の液化型アミラーゼが好ましい。より具体的な例として、配列番号5で示されるアミノ酸配列からなるBacillus属細菌KSM−K38株(FERM BP−6946)由来のアルカリアミラーゼ、あるいは当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるアミラーゼ、又は配列番号5で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加されたアミノ酸配列からなるアルカリアミラーゼが挙げられる。
プロテアーゼの具体例としては、微生物由来、特にBacillus属細菌由来のセリンプロテアーゼや金属プロテアーゼ等が挙げられる。より具体的な例として、配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるバチルス クラウジ(Bacillus clausii)KSM−K16株(FERM BP−3376)由来のアルカリプロテアーゼ、あるいは当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるプロテアーゼ、又は配列番号6で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加されたアミノ酸配列からなるアルカリプロテアーゼが挙げられる。
宿主枯草菌に導入される上記異種タンパク質又はポリペプチドの遺伝子は、その上流に当該遺伝子の転写、翻訳、分泌に関わる制御領域、即ち、プロモーター及び転写開始点を含む転写開始制御領域、リボソーム結合部位及び開始コドンを含む翻訳開始領域並びに分泌シグナルペプチド領域から選ばれる1以上の領域が適正な形で結合されていることが望ましい。特に、転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が結合されていることが好ましく、更に分泌シグナルペプチド領域がバチルス(Bacillus)属細菌のセルラーゼ遺伝子由来のものであり、転写開始制御領域及び翻訳開始制御領域が当該セルラーゼ遺伝子の開始コドンから始まる長さ0.6〜1kbの上流領域であるものが、目的のタンパク質又はポリペプチド遺伝子と適正な形で結合されていることが望ましい。例えば、特開2000−210081号公報や特開平4−190793号公報等に記載されているバチルス(Bacillus)属細菌、すなわちKSM−S237株(FERM BP−7875)、KSM−64株(FERM BP−2886)由来のセルラーゼ遺伝子の転写開始制御領域、翻訳開始領域及び分泌シグナルペプチド領域が目的のタンパク質又はポリペプチドの構造遺伝子と適正に結合されていることが望ましい。より具体的には配列番号1で示される塩基配列の塩基番号1〜659の塩基配列、配列番号3で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜696の塩基配列、また当該塩基配列に対して80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片、又は上記いずれかの塩基配列からなるDNAとストリンジェントの条件でハイブリダイズし且つ遺伝子の転写、翻訳、分泌に関わる機能を有するDNA、或いは上記いずれかの塩基配列の一部が欠失した塩基配列からなるDNA断片が、目的のタンパク質又はポリペプチドの構造遺伝子と適正に結合されていることが望ましい。尚、ここで、上記塩基配列の一部が欠失した塩基配列からなるDNA断片とは、上記塩基配列の一部を欠失しているが、遺伝子の転写、翻訳、分泌に関わる機能を保持しているDNA断片を意味する。またここで言うストリンジェントな条件とは、例えば[Molecular cloning−a Laboratory manual 2nd edition(Sambrookら、1989)]に記載の条件等が挙げられる。例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%SDS、5×デンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
本発明の方法による目的のタンパク質又はポリペプチドの生産は、上記組換え微生物を同化性の炭素源、窒素源、その他の必須成分を含む培地に接種し、通常の微生物培養法にて培養し、培養終了後、当該目的のタンパク質又はポリペプチドを精製することにより行えばよい。培養に使用される培地の組成及び培養条件については、使用する微生物の種類や目的タンパク質又はポリペプチドの種類等にしたがって、当業者が適宜選択することができる。目的タンパク質又はポリペプチドの精製は、培養終了後の菌体を材料として行っても良いが、本発明の組換え微生物は多量の目的タンパク質又はポリペプチドを細胞外に分泌する能力を有するため、培養終了後に遠心分離又は膜分離等により培養上清を回収し、さらに硫安沈殿、溶媒沈殿、膜濃縮、透析又は各種クロマトグラフィー等の通常の方法によりタンパク質又はポリペプチドを培養上清より採取・精製を行えばよい。
実施例に示すように、mprF、ugtP、ywnE及びywjE遺伝子、及びそれらの遺伝子に相当する遺伝子のいずれかを欠失している組換え微生物を用いた本発明の方法における目的のタンパク質又はポリペプチドの生産性は、当該遺伝子を欠失又は不活性化していない微生物を用いた場合と比較して向上した。以下の実施例において、本発明をより詳細に説明する。
以下に、本発明の組換え微生物の構築方法及び当該組換え微生物を用いたタンパク質の製造方法について具体的に説明する。
以下の実施例におけるDNA断片増幅のためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)には、GeneAmp PCR System(アプライドバイオシステムズ)を使用し、Pyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ)と付属の試薬類を用いてDNA増幅を行った。PCRの反応液組成は、適宜希釈した鋳型DNAを1μl、センスプライマー及びアンチセンスプライマーを各々20pmol、及びPyrobest DNA Polymeraseを2.5U添加して、反応液総量を50μlとした。PCRの反応条件は、98℃で10秒間、55℃で30秒間及び72℃で1〜5分間(目的増幅産物に応じて調整。目安は1kbあたり1分間)の3段階の温度変化を30回繰り返した後、72℃で5分間反応させることにより行った。
また、以下の実施例において、遺伝子の上流・下流とは、複製開始点からの位置ではなく、上流とは各操作・工程において対象として捉えている遺伝子の開始コドンの5’側に続く領域を示し、一方、下流とは各操作・工程において対象として捉えている遺伝子の終始コドンの3’側に続く領域を示す。
更に、以下の実施例における各遺伝子及び遺伝子領域の名称は、Nature,390,249−256,(1997)で報告され、JAFAN:Japan Functional Analysis Network for Bacillus subtilis(BSORF DB)でインターネット公開(http://bacillus.genome.ad.jp/、2004年3月10日更新)された枯草菌ゲノムデータに基づいて記載している。
枯草菌の形質転換はコンピテントセル法(J.Bacteriol.,93,1925(1967))にて行った。すなわち、枯草菌をSPI培地(0.20%硫酸アンモニウム、1.40%リン酸水素二カリウム、0.60%リン酸二水素カリウム、0.10%クエン酸三ナトリウム二水和物、0.50%グルコース、0.02%カザミノ酸(Difco)、5mM硫酸マグネシウム、0.25μM塩化マンガン、50μg/mlトリプトファン)において37℃で、生育度(OD600)の値が1程度になるまで振とう培養した。振とう培養後、培養液の一部を9倍量のSPII培地(0.20%硫酸アンモニウム、1.40%リン酸水素二カリウム、0.60%リン酸二水素カリウム、0.10%クエン酸三ナトリウム二水和物、0.50%グルコース、0.01%カザミノ酸(Difco)、5mM硫酸マグネシウム、0.40μM塩化マンガン、5μg/mlトリプトファン)に接種し、更に生育度(OD600)の値が0.4程度になるまで振とう培養することで、枯草菌のコンピテントセルを調製した。
次いで調製したコンピテントセル懸濁液(SPII培地における培養液)100μlに各種DNA断片を含む溶液(SOE−PCRの反応液等)5μlを添加し、37℃で1時間振とう培養後、適切な薬剤を含むLB寒天培地(1% トリプトン、0.5% 酵母エキス、1% NaCl、1.5% 寒天)に全量を塗沫した。37℃における静置培養の後、生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体のゲノムを抽出し、これを鋳型とするPCRによって目的とするゲノム構造の改変が為されたことを確認した。
目的のタンパク質を発現するプラスミドの宿主微生物への導入は、プロトプラスト形質転換法(Mol.Gen.Genet.,168,111(1979))により行った。組換え微生物によるタンパク質生産の際の培養には、LB培地(1% トリプトン、0.5% 酵母エキス、1% NaCl)、2×L−マルトース培地(2% トリプトン、1% 酵母エキス、1% NaCl、7.5% マルトース、7.5ppm硫酸マンガン4−5水和物)を用いた。
実施例1(脂質改変株の構築)
mprF欠失株の構築:
SOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene,77,61,(1989))によって調製したDNA断片を用いた二重交差法によりmprF欠失株の構築を行なった。枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型とし、表2に示したmprF+1F−PtuaとmprF+521R−Cm及びmprF+1221F−CmとmprF+1787Rの各プライマーセットを用いて、配列番号7に示すmprF遺伝子の5’末端側の521bp断片(A)、及び3’末端側の567bp断片(B)をそれぞれ調製した。一方、プラスミドpC194(J.Bacteriol.150(2),815(1982))のDNAを鋳型とし、CmFW、CmRV(表2)のプライマーセットを用いてクロラムフェニコール耐性遺伝子領域を増幅した(C)。得られた(A)、(B)及び(C)のDNA断片を混合して鋳型とし、mprF+1F−PtuaとmprF+1787Rプライマーを用いてSOE−PCR法により、(A)−(C)−(B)の順になる様に結合させ、遺伝子欠失用のDNA断片を得た(図1参照)。調製したDNA断片を用い、コンピテントセル形質転換法による枯草菌168株の形質転換を行い、クロラムフェニコール(5μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体のゲノムを抽出し、PCRによってmprFが欠失してクロラムフェニコール耐性遺伝子に置換していることを確認した。以上の様にして、枯草菌のmprFが欠失した菌株を構築し、ΔmprF株と命名した。
ugtP欠失株の構築:
表2に示したypfP−337FとypfP+201R及びypfP+827FとypfP+529Rの各プライマーセットを用いて、配列番号9に示すugtP遺伝子の上流を含む5’末端側の504bp断片(A)、及びugtP遺伝子の下流を含む3’末端側の823bp断片(B)をそれぞれ調製した。得られた断片(A)はSphI及びSalI、(B)はBamHI及びScaI処理した。一方、プラスミドpDG780(Gene,167,335,(1995))のSalI及びSmaI制限酵素切断点よりカナマイシン耐性遺伝子領域を切り出した(C)。次に、3断片を(A)(C)(B)の順になる様に、pUC119(TAKARA)に(A)はSphI及びSalI、(C)はSalI及びBamHI、(B)はBamHI及びSmaI制限酵素切断点にそれぞれ挿入した。この結果得られた組換えプラスミドDNAを制限酵素ScaIで処理して直鎖状DNAにし、形質転換用の供与体DNAとした(図2参照)。このDNA断片を用いてコンピテント法による枯草菌168株の形質転換を行い、カナマイシン(10μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体のゲノムを抽出し、PCRによってugtP遺伝子が欠失してカナマイシン耐性遺伝子に置換していることを確認した。また相同組換えに利用した領域の(A)及び(B)のDNA配列についてシーケンスを行った。(A)領域でugtP遺伝子上流−9bpのTがCに置換されていたが、ugtP遺伝子の上流metA遺伝子及び下流cspD遺伝子の発現に影響を及ぼさないことを確認した。以上の様にして、枯草菌のugtP遺伝子が欠失した菌株を構築し、ΔugtP株と命名した。
pssA欠失株の構築:
SOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene,77,61,(1989))によって調製したDNA断片を用いた二重交差法によりpssA欠失株の構築を行なった。配列番号11に示すpssA遺伝子はpssA−ybfM−psdの順でオペロン構造をとっており、またYbfMのスタートコドンはPssAのC末端とオーバーラップしている。下流遺伝子のybfM遺伝子及びpsd遺伝子の転写にできるだけ影響を及ぼさないようにpssA欠失株を構築した。すなわち、pssA遺伝子の+1から+501bp(ybfM遺伝子のSD配列上流まで)をエリスロマイシン耐性遺伝子に置き換え、またエリスロマイシン耐性遺伝子はターミーネーターを含まず、遺伝子配列はpssA遺伝子と同方向になるようにした。以下に具体的な構築方法を記載した。枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型とし、表2に示したpssA−545FとPssA−1Rem及びYbfM−23FemとYbfM+457Rの各プライマーセットを用いて、pssA遺伝子の上流の545bp断片(A)、及び3’末端側の497bp断片(B)をそれぞれ調製した。一方、プラスミドpMUTIN4(Microbiology 144:3097−3104(1998))のDNAを鋳型とし、Em−F5とEm−R6(表2)のプライマーセットを用いてエリスロマイシン耐性遺伝子領域を増幅した(C)。得られた(A)、(B)及び(C)のDNA断片を混合して鋳型とし、pssA−545FとYbfM+457Rプライマーを用いてSOE−PCR法により、(A)−(C)−(B)の順になる様に結合させ、遺伝子欠失用のDNA断片を得た(図1参照)。調製したDNA断片を用い、コンピテントセル形質転換法による枯草菌168株の形質転換を行い、エリスロマイシン(0.3μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体のゲノムを抽出し、PCRによってpssA遺伝子が欠失してエリスロマイシン耐性遺伝子に置換していることを確認した。また相同組換えに利用した領域(A)及び(B)のDNA配列に変異がないことをシーケンスにて確認した。以上の様にして、枯草菌のpssA遺伝子が欠失した菌株を構築し、ΔpssA株と命名した。
psd欠失株の構築:
SOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene,77,61,(1989))によって調製したDNA断片を用いた二重交差法によりpsd欠失株の構築を行なった。枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型とし、表2に示したpssA+518FとPsd+63Rem及びPsd+640FemとPsd+1144Rの各プライマーセットを用いて、配列番号13に示すpsd遺伝子の上流ybfM遺伝子を含む5’末端側の567bp断片(A)、及び下流ybfN遺伝子を含む3’末端側の505bp断片(B)をそれぞれ調製した。一方、プラスミドpMUTIN4(Microbiology 144:3097−3104(1998))のDNAを鋳型とし、Em−F5とEm−R5(表2)のプライマーセットを用いてエリスロマイシン耐性遺伝子領域を増幅した(C)。得られた(A)、(B)及び(C)のDNA断片を混合して鋳型とし、pssA+518FとPsd+1144Rプライマーを用いてSOE−PCR法により、(A)−(C)−(B)の順になる様に結合させ、遺伝子欠失用のDNA断片を得た(図1参照)。調製したDNA断片を用い、コンピテントセル形質転換法による枯草菌168株の形質転換を行い、エリスロマイシン(0.3μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体のゲノムを抽出し、PCRによってpsd遺伝子が欠失してエリスロマイシン耐性遺伝子に置換していることを確認した。また相同組換えに利用した領域(A)及び(B)のDNA配列に変異がないことをシーケンスにて確認した。以上の様にして、枯草菌のpsd遺伝子が欠失した菌株を構築し、Δpsd株と命名した。
ywnE欠失株の構築
SOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene,77,61,(1989))によって調製したDNA断片を用いた二重交差法によりywnE欠失株の構築を行なった。枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型とし、表2に示したywnE+1F−PtuaとywnE+522RSp及びywnE+889FSpとywnE+1455Rの各プライマーセットを用いて、配列番号15に示すywnE遺伝子の5’末端側の522bp断片(A)、及び3’末端側の567bp断片(B)をそれぞれ調製した。一方、プラスミドpDG1727(Gene,167,335,(1995))のEcoRI制限酵素切断点よりスペクチノマイシン耐性遺伝子領域を切り出し、pUC119(TAKARA)にEcoRI制限酵素切断点に挿入し、pUCSpを構築した。pUCSpのDNAを鋳型とし、PB−M13−20、PB−M13Rev(表2)のプライマーセットを用いてスペクチノマイシン耐性遺伝子領域を増幅した(C)。得られた(A)、(B)及び(C)のDNA断片を混合して鋳型とし、ywnE+1F−PtuaとywnE+1455Rプライマーを用いてSOE−PCR法により、(A)−(C)−(B)の順になる様に結合させ、遺伝子欠失用のDNA断片を得た(図1参照)。調製したDNA断片を用い、コンピテントセル形質転換法による枯草菌168株の形質転換を行い、スペクチノマイシン(100μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体のゲノムを抽出し、PCRによってywnEが欠失してスペクチノマイシン耐性遺伝子に置換していることを確認した。以上の様にして、枯草菌のywnEが欠失した菌株を構築し、ΔywnE株と命名した。
ywjE欠失株の構築:
SOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene,77,61,(1989))によって調製したDNA断片を用いた二重交差法によりywjE欠失株の構築を行なった。枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型とし、表2に示したywjE−9FとywjE+499Rkm及びywjE+686FkmとywjE+1188Rの各プライマーセットを用いて、配列番号17に示すywjE遺伝子の5’末端側の508bp断片(A)、及び3’末端側の503bp断片(B)をそれぞれ調製した。一方、プラスミドpDG873(Gene,167,335,(1995))のEcoRI制限酵素切断点よりカナマイシン耐性遺伝子領域を切り出し、pUC119(TAKARA)にEcoRI制限酵素切断点に挿入し、pUCKmを構築した。pUCKmのDNAを鋳型とし、PB−M13−20、PB−M13Rev(表2)のプライマーセットを用いてカナマイシン耐性遺伝子領域を増幅した(C)。得られた(A)、(B)及び(C)のDNA断片を混合して鋳型とし、ywjE−9FとywjE+1188Rプライマーを用いてSOE−PCR法により、(A)−(C)−(B)の順になる様に結合させ、遺伝子欠失用のDNA断片を得た(図1参照)。調製したDNA断片を用い、コンピテントセル形質転換法による枯草菌168株の形質転換を行い、カナマイシン(10μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体のゲノムを抽出し、PCRによってywjEが欠失してカナマイシン耐性遺伝子に置換していることを確認した。以上の様にして、枯草菌のywjEが欠失した菌株を構築し、ΔywjE株と命名した。
ywnE及びywjE2重欠失株の構築:
既に構築したΔywnE株を親株として、ywjE欠失株構築の際に作製した遺伝子欠失用DNA断片を用いて、コンピテントセル形質転換法による形質転換を行った。カナマイシン(10μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離し、PCRによってywjEが欠失してカナマイシン耐性遺伝子に置換していることを確認した。以上の様にして、枯草菌のywnE及びywjEが欠失した菌株を構築し、ΔywnEΔywjE株と命名した。
実施例2(セルラーゼ生産量評価)
実施例1にて構築したΔmprF株、ΔugtP株、ΔpssA株、Δpsd株、ΔywnE株、ΔywjE株、ΔywnEΔywjE株及び親株である168株にアルカリセルラーゼ遺伝子を導入した。具体的には、バチルス属細菌 KSM−S237株(FERM BP−7875)由来のS237セルラーゼ(特開2000−210081号公報参照)(配列番号2)をコードするDNA断片(3.1kb;配列番号1の塩基番号13〜3124)を鋳型として、表3に示されるプライマーEgl−S237.F及びプライマーEgl−S237.Rのプライマーセットを用いてPCRを行い、シャトルベクターpHY300PLKのBamHI制限酵素切断点に挿入された組換えプラスミドpHY−S237を構築し、プロトプラスト形質転換法によって各菌株に導入した。
これによって得られた菌株を5mLのLB培地で30℃において15時間振とう培養を行い、更にこの培養液0.6mLを30mLの2xL−マルトース培地(2%トリプトン、1%酵母エキス、1%塩化ナトリウム、7.5%マルトース、7.5ppm硫酸マンガン4−5水和物、15ppmテトラサイクリン、任意の濃度のキシロースを添加)に接種し、30℃で3日間、振とう培養を行った(この際、測定誤差を算出する目的で培養を3回行っている)。サンプリングは3日目に行い、培養液濁度(OD600)を測定した。また、遠心分離によって菌体を除いた培養液上清のアルカリセルラーゼ活性を測定した。セルラーゼ活性測定については、1/7.5M リン酸緩衝液(pH7.4 和光純薬)で適宜希釈したサンプル溶液50μLに0.4mM p−nitrophenyl−β−D−cellotrioside(生化学工業)を50μL加えて混和し、30℃にて反応を行った際に遊離するp−ニトロフェノール量を420nmにおける吸光度(OD420)変化により定量した。アルカリセルラーゼの活性値は1分間に1μmolのp−ニトロフェノールを遊離させる酵素量を1Uと定義した。結果を表4に示す。表4のセルラーゼ生産量は各株のセルラーゼ生産量を比較対象株である168株の生産量に対する相対値で表記した(表4;表の値は平均値±標準偏差(N=3)を示す)。
結果として、ΔmprF株、ΔugtP株、ΔywnE株、ΔywjE株、ΔywnEΔywjE株株を用いた場合、比較対象である168株よりも有意に高いアルカリセルラーゼ生産量を発揮することが明らかとなった(表4)。
実施例3(アミラーゼ生産量評価)
実施例1にて構築したΔmprF株及び親株である168株にアルカリアミラーゼ遺伝子を導入した。
まず、発現用DNAの構築に際して、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM−K38株(FERM BP−6946)より抽出したゲノムDNAを鋳型として、表5に示されるK38matu−F2(ALAA)とSP64K38−R(XbaI)のプライマーセットを用いてPCRを行い、アルカリアミラーゼAmyK38(特開2000−184882号公報、Eur.J.Biochem.,268,2974,2001)をコードする領域を含む1.5kbのDNA断片を増幅した。増幅したDNA断片のうち、AmyK38の成熟配列をコードする領域及びその下流を配列番号5に示す。またバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM−S237株(FERM BP−7875)より抽出したゲノムDNAを鋳型として、表5に示されるS237ppp−F2(BamHI)とS237ppp−R2(ALAA)のプライマーセットを用いてPCRを行い、配列番号1で示されるアルカリセルラーゼ遺伝子(特開2000−210081号公報)の転写開始制御領域、翻訳開始制御プロモーター領域及び分泌シグナル配列をコードする領域を含む0.6kbのDNA断片を増幅した。次いで、得られた2断片を混合して鋳型とし、表5に示されるS237ppp−F2(BamHI)とSP64K38−R(XbaI)のプライマーセットを用いたSOE−PCRを行うことによって、アルカリセルラーゼ遺伝子の転写開始制御領域、翻訳開始制御プロモーター領域及び分泌シグナル配列をコードする領域の下流に成熟型のアルカリアミラーゼをコードする遺伝子が連結した2.1kbのDNA断片を得た。得られた2.2kbのDNA断片をシャトルベクターpHY300PLK(ヤクルト)のBamHI−XbaI制限酵素切断点に挿入し、アルカリアミラーゼ生産性評価用プラスミドpHYK38(S237ps)を構築した。
更に、構築したプラスミドpHYK38(S237ps)をプロトプラスト形質転換法によって各菌株に導入した。これによって得られた組換え菌株を5mLのLB培地で一夜37℃において振とう培養を行い、更にこの培養液0.05mLを30mLの2×L−マルトース培地に接種し、30℃にて3日間振とう培養を行った。培養後、遠心分離によって菌体を除いた培養液上清のアミラーゼ活性を測定し、培養によって菌体外に分泌生産されたアミラーゼの量を求めた。
培養上清中のアミラーゼの活性測定にはリキテックAmy EPS(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を使用した。すなわち1% NaCl−1/7.5M リン酸緩衝液 (pH7.4 和光純薬工業)で適宜希釈したサンプル溶液50μLに、100μLのR1・R2混合液(R1(カップリング酵素):R2(アミラーゼ基質)=5:1(Vol.))を加えて混和し、30℃にて反応を行った際に遊離するp−ニトロフェノール量を405nmにおける吸光度(OD405nm)変化により定量した。吸光度変化の直線領域の傾き(mOD405nm/min)に係数2.9265を乗じて得られる値をU/Lとし、アミラーゼ生産性は比活性(4221U/mg)(Appl.Environ.Microbiol.67,1744−1750,2001)より算出した。1Unitは可溶性デンプンを基質とした場合に1分間で1μMのグルコースを遊離する酵素量である。結果を表6に示す。表6のアミラーゼ生産量はΔmprF株のアミラーゼ生産量を比較対象株である168株の生産量に対する相対値で表記した(表6;表の値は平均値±標準偏差(N=3)を示す)。
結果として、ΔmprF株を用いた場合、比較対象である168株よりも有意に高いアルカリアミラーゼ生産量を発揮することが明らかとなった(表6)。

Claims (5)

  1. mprF、ugtP、ywnE及びywjE遺伝子、及びそれらの遺伝子と塩基配列において90%以上の同一性を有し、且つ各遺伝子と同様の機能を有する遺伝子から選ばれる1以上の遺伝子が欠失又は不活性化されたバチルス属細菌(yfiB−yfiX領域を欠失したゲノム構造を有するバチルス属細菌を除く)に、目的タンパク質の遺伝子を導入した組換え微生物であって、目的タンパク質をコードする遺伝子の上流に転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌用シグナル領域が結合されており、当該転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が、配列番号1で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜659の塩基配列、配列番号3で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜696の塩基配列又は当該塩基配列のいずれかと90%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片である組換え微生物を用いることを特徴とする、目的タンパク質の製造方法。
  2. 前記バチルス属細菌が枯草菌である、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記目的タンパク質が、前記バチルス属細菌から分泌される、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記目的タンパク質が、セルラーゼ又はアミラーゼである、請求項1から3のいずれか1項記載の製造方法。
  5. mprF、ugtP、ywnE及びywjE遺伝子、及びそれらの遺伝子と塩基配列において90%以上の同一性を有し、且つ各遺伝子と同様の機能を有する遺伝子から選ばれる1以上の遺伝子が欠失又は不活性化されたバチルス属細菌(yfiB−yfiX領域を欠失したゲノム構造を有するバチルス属細菌を除く)に、目的タンパク質の遺伝子を導入した組換え微生物であって、目的タンパク質をコードする遺伝子の上流に転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌用シグナル領域が結合されており、当該転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が、配列番号1で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜659の塩基配列、配列番号3で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜696の塩基配列又は当該塩基配列のいずれかと90%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片である組換え微生物。
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