JP5796951B2 - タンパク質又はポリペプチドの製造方法 - Google Patents

タンパク質又はポリペプチドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有用なタンパク質又はポリペプチドを効率的に製造する枯草菌及び当該枯草菌を用いた有用なタンパク質又はポリペプチドの製造方法に関する。
微生物による有用物質の工業的生産は、アルコール飲料や味噌、醤油等の食品の醸造をはじめとして、アミノ酸、有機酸、核酸関連物質、抗生物質、糖質、脂質、タンパク質等の工業的生産など、多岐に渡って実施されている。またその用途も、食品をはじめとして、医薬、洗剤、化粧品等の日用品、あるいは各種化成品原料に至るまで、幅広い分野に広がっている。
微生物を用いた有用物質の工業的生産における一つの重要課題として、当該有用物質の生産性向上が挙げられる。従来、当該課題を解決するため、突然変異等の遺伝学的手法による高生産菌の育種が行われてきた。特に最近では、微生物遺伝学、バイオテクノロジーの発展により、遺伝子組換え技術等を用いた、より効率的な高生産菌の育種が行われている。更に、近年のゲノム解析技術の急速な発展を受け、対象とする微生物のゲノム情報を解読し、これらを積極的に産業に応用する試みもなされている。例えば、枯草菌(Bacillus subtilis)Marburg No.168系統株など、宿主微生物として安全かつ優良と認められた微生物菌株に更に改良を加えた菌株が開発されている。
枯草菌(Bacillus subtilis)において、マルトースは、フォスフォエノールピルビン酸依存性の糖トランスポーター(PTS:Phosphoenolpyruvate−dependent phosphotransferase system)の一つであるMalPにより細胞内に取り込まれる(非特許文献1)。マルトースはトランスポーターMalPにより取り込まれる際にリン酸化され、マルトース6リン酸に変換される。更に、マルトース6リン酸は、6−ホスホ−α−グルコシダーゼ活性を有するMalAによりグルコース及びグルコース6リン酸へと分解され、解糖系で代謝される。MalP及びMalAをコードする遺伝子malP及びmalAは同一オペロン上に存在し、malA−glvR−malPオペロンを構成する。malA−glvR−malPオペロンは、マルトース6リン酸存在下において、glvRによりコードされる転写因子GlvRにより活性化されることが知られている(非特許文献2)。
本出願人は、過去の特許出願(特許文献1)において、枯草菌168株(野生株)を親株としてmalP(当時の名称はglvC)及びglvRをそれぞれ欠失させた株で酵素セルラーゼ及びα−アミラーゼの生産量が向上することを報告している。
特開2005−151983号公報 特開2007−130013号公報
J.bacteriol,188,11,p.3911−3922,2006 J.bacteriol,183,17,p.5110−5121,2001
本発明は、異種タンパク質又はポリペプチドの遺伝子を導入して作製した組換え枯草菌を用いた、より効率的なタンパク質又はポリペプチドの製造方法の提供に関する。
本発明者らは、鋭意研究の結果、異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子を導入してなる組換え枯草菌において、当該枯草菌のmalP遺伝子の発現量を適切に調節することにより、当該異種タンパク質又はポリペプチドの生産量が顕著に向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の(1)から(24)に係るものである。
(1) 異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子を導入した枯草菌を用いた、異種タンパク質又は異種ポリペプチドの製造方法であって、当該枯草菌のmalP遺伝子の発現量を、23SrRNAに対して0.4×10-5〜2.5×10-5のレベルに調節することを特徴とする、前記異種タンパク質又は異種ポリペプチドの製造方法。
(2) 前記調節が、枯草菌のmalP遺伝子の発現量を、親株におけるmalP遺伝子の発現量に対して5〜29%のレベルに調節することによりなされる、上記(1)記載の製造方法。
(3) malP遺伝子へ異種プロモーターを作動可能に連結することにより、malP遺伝子の発現量を調節する、上記(1)又は(2)記載の製造方法。
(4) malP遺伝子へ異種プロモーターを作動可能に連結し、更に前記異種プロモーターの活性を制御することにより、malP遺伝子の発現量を調節する、上記(1)又は(2)記載の製造方法。
(5) 前記異種プロモーターが、発現誘導物質の添加によりその活性が制御される発現誘導型プロモーターである、上記(3)又は(4)記載の製造方法。
(6) 前記発現誘導型プロモーターが、五炭糖若しくは六炭糖又はそれらの誘導体の添加によりその活性が制御されるプロモーターである、上記(5)記載の製造方法。
(7) 前記発現誘導型プロモーターが、キシロース誘導性プロモーター、Pspacプロモーター又はアラビノース誘導性プロモーターである、上記(6)記載の製造方法。
(8) 前記発現誘導型プロモーターが、キシロース誘導性プロモーターである、上記(6)記載の製造方法。
(9) キシロースを最終濃度0〜0.008%(w/v)で添加する、上記(8)記載の製造方法。
(10) 前記枯草菌が、prophage6領域、prophage1領域、prophage4領域、PBSX領域、prophage5領域、prophage3領域、spb領域、pks領域、skin領域、pps領域、prophage2領域、ydcL−ydeK−ydhU領域、yisB−yitD領域、yunA−yurT領域、cgeE−ypmQ領域、yeeK−yesX領域、pdp−rocR領域、ycxB−sipU領域、SKIN−Pro7領域、sbo−ywhH領域、yybP−yyaJ領域及びyncM−fosB領域が欠失したゲノム構造を有する、上記(1)から(9)のいずれか1項記載の製造方法。
(11) 更に、ybbU−ybfI領域、ydjM−cotA領域、yefA−yesX領域、yfiB−yfiX領域、yhcE−yhcU領域、yhaU−yhaL領域、yjbX−yjlB領域、xkdA−ykcC領域、bpr−ylmA領域、flgB−cheD領域、ynfF−ppsA領域、yoxC−yobO領域、spoVAF−spoIIAA領域、spoIIIAH−yqhV領域、ytvB−ytqB領域、yteA−ytaB領域、yuaJ−yugO領域、yusJ−mrgA領域、gerAA−yvrI領域、yvaM−yvbK領域、araE−yveK領域、yvdE−yvcP領域、gerBA−ywsC領域、ywrK−ywqM領域、spoIIID−ywoB領域、slp−ylaF領域、licH−sigY領域、yqeF−yrhK領域、yuzE−yukJ領域及びyncM−yndN領域のうちの1つ又は2つ以上が欠失したゲノム構造を有する、上記(10)記載の製造方法。
(12) 異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子の上流に、転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域から選ばれる1以上の領域が作動可能に連結されている、上記(1)から(11)のいずれか1項記載の製造方法。
(13) 異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子の上流に、転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が作動可能に連結されている、上記(12)記載の製造方法。
(14) 前記分泌シグナル領域が、バチルス属細菌のセルラーゼ遺伝子由来のものであり、前記転写開始制御領域及び前記翻訳開始制御領域が、当該セルラーゼ遺伝子の上流0.6〜1kb領域由来のものである、上記(12)又は(13)記載の製造方法。
(15) 前記転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が、配列番号4で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜659の塩基配列、又は当該塩基配列のいずれかと70%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片、又は当該塩基配列の一部が欠失した塩基配列からなるDNA断片である、上記(13)記載の製造方法。
(16) 前記異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子が、バチルス属細菌のアルカリセルラーゼ遺伝子である、上記(1)から(15)のいずれか1項記載の製造方法。
(17) 前記アルカリセルラーゼ遺伝子が、配列番号4で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子、又は当該塩基配列と70%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片、又は当該塩基配列の一部が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなるDNA断片である、上記(16)記載の製造方法。
(18) 異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子を導入した枯草菌であって、当該枯草菌のmalP遺伝子の上流に異種プロモーターが作動可能に連結されており、それにより当該malP遺伝子の発現量が、23SrRNAに対して0.4×10-5〜2.5×10-5のレベルに調節される、前記枯草菌。
(19) 異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子を導入した枯草菌であって、当該枯草菌のmalP遺伝子の上流に異種プロモーターが作動可能に連結されており、更に当該異種プロモーターの活性を制御することにより、当該malP遺伝子の発現量が、23SrRNAに対して0.4×10-5〜2.5×10-5のレベルに調節される、前記枯草菌。
(20) 前記調節が、malP遺伝子の発現量を、親株におけるmalP遺伝子の発現量に対して5〜29%のレベルに調節することによりなされる、前記枯草菌。
(21) 前記異種プロモーターが、発現誘導物質の添加によりその活性が制御される発現誘導型プロモーターである、上記(18)から(20)のいずれか1項記載の枯草菌。
(22) 前記発現誘導型プロモーターが、五炭糖若しくは六炭糖又はそれらの誘導体の添加によりその活性が制御されるプロモーターである、上記(21)記載の枯草菌。
(23) 前記発現誘導型プロモーターが、キシロース誘導性プロモーター、Pspacプロモーター又はアラビノース誘導性プロモーターである、上記(22)記載の枯草菌。
(24) 前記発現誘導型プロモーターが、キシロース誘導性プロモーターである、上記(22)記載の枯草菌。
本願発明の製造方法によれば、目的の異種タンパク質又はポリペプチドを効率よく大量生産することが可能となる。
SOE−PCRによる遺伝子欠失用DNA断片の調製、及び当該DNA断片を用いて標的遺伝子を欠失させる(薬剤耐性遺伝子と置換する)方法を模式的に示した図。 キシロースによる発現制御領域及びmalP遺伝子を枯草菌ゲノム上のamyE部位に挿入するDNA断片の調製方法を模式的に示した図。 枯草菌MGB874株及びその変異株の細胞増殖、培養上清の糖濃度、セルラーゼ生産量を示すグラフ。左から使用した菌株、キシロース添加量(終濃度)、細胞増殖、培養上清中の糖濃度、セルラーゼ生産量を示す図。数値はそれぞれ培養を3回行い得られた値の平均値を示し、エラーバーは標準偏差を示す(N=3)。 培養1日目におけるmalP発現量を示す図。左から使用した菌株、キシロース添加量(終濃度)、malP発現量(棒グラフ)を示す。malP発現量は、細胞内で非常に安定に発現する23SrRNAに対する相対値を用いて測定した。数値はそれぞれ培養を3回行い得られた値の平均値を示し、エラーバーは標準偏差を示す(N=3)。
本発明の第一の態様は、異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子を導入した枯草菌を用いた、異種タンパク質又は異種ポリペプチドの製造方法であって、宿主となる枯草菌のmalP遺伝子の発現量を0.4×10-5〜2.5×10-5の範囲に調節することを特徴とする製造方法である。また本発明の第二の態様は、異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子を導入した枯草菌であって、当該枯草菌のmalP遺伝子の上流に異種プロモーターが作動可能に連結されており、それにより当該malP遺伝子の発現量が、23SrRNAに対して0.4×10-5〜2.5×10-5のレベルに調節される枯草菌である。以下これらについて説明する。
前記malP遺伝子の発現量は、通常23SrRNAのコピー数(又はモル数)に対して0.4×10-5〜2.5×10-5、好ましくは0.7×10-5〜1.6×10-5のレベルに調節すればよく、当該調節は具体的には、親株におけるmalP遺伝子の発現量(コピー数又はモル数)に対して5〜29%、好ましくは8〜19%のレベルに調節することにより実施できる。また、目的とする異種タンパク質又はポリペプチドの種類や希望する生産量に応じて、それらの範囲内で適宜malP遺伝子の発現量を調節しうる。ここで、親株とは、本願発明に係る異種タンパク質又は異種ポリペプチドの製造方法の宿主として用いられる枯草菌株であって、malP遺伝子の発現調節及び/又はmalP遺伝子の発現調節を行うための遺伝子操作がなされていない枯草菌株のことであり、例えば、後述する枯草菌168株や枯草菌MGB874株等が挙げられる。
枯草菌は、グルコース、スクロースあるいはマルトースなどの糖を消費することにより、生育に必要な、細胞内の各種反応を行うためのエネルギーを得る。ゆえに糖の消費に関与するmalP遺伝子の発現量は、枯草菌の細胞増殖や細胞内の各種代謝活性に影響を与える主な要因であり、組換えタンパク質をコードする遺伝子を導入した組換え枯草菌を用いて当該組換えタンパク質を生産する場合においてもその生産性に影響を及ぼすと考えられる。しかしながら、malP遺伝子の発現量を、上記のような低いレベルとなるよう調節した場合に、組換えタンパク質の生産性が向上したのは、全く予想外のことであった。
本発明において発現量を調節するmalP遺伝子(BSORF Gene Entry No.:BG11848、EC2.7.1.69)とは、マルトースの枯草菌体内への選択的な膜透過を媒介するMalPタンパク質をコードする遺伝子である。
前記malP遺伝子の発現量を上記のレベルに調節するための手段としては、malP遺伝子へ異種プロモーターを作動可能に連結する手段や、malP遺伝子へ異種プロモーターを作動可能に連結した上で前記異種プロモーターの活性を調節する手段が挙げられる。
ここで、異種プロモーターとは、malP遺伝子の固有のプロモーターとは異なる他のプロモーターのことを指す。また、作動可能に連結される(operably linked)とは、制御配列(プロモーターなど)と当該コード配列とが適切な位置関係で配置された結果、当該制御配列の機能により当該コード配列でコードされたタンパク質の発現が制御される状態のことを指す。
前記異種プロモーターは、malP遺伝子の固有のプロモーターと比較し活性の低い公知のプロモーターから適宜選択して用いてもよい。malP遺伝子の発現量は、遺伝子からのmRNAへの転写量や、mRNAから翻訳されたタンパク質又はポリペプチドの生産量を測定することで把握できる。mRNAの転写量の測定方法としては、ノーザンブロット法、リボヌクレアーゼ活性保護法又は定量的RT−PCR法等が挙げられる。あるいは、タイリングアレイ法(Affimetrix社)を用いてもよい。タイリングアレイ法とは、解読済みのゲノムデータから等間隔に抜き出した塩基配列を検出用プローブとしてタイル状に並べたDNAチップ(タイリングアレイ)を用いた遺伝子発現解析方法のことを指し、これに、in vivoで転写されたRNAを鋳型として作った標識cDNAをハイブリダイズさせると、RNAに相補的なプローブからシグナルを検出できるため、未知遺伝子の塩基配列の解析・存在の推定、既知遺伝子との比較、各種遺伝子発現量の検出・比較、遺伝的多型の検出などに使用できる。また、タンパク質又はポリペプチドの生産量の測定方法としては、分光光度計を用いた光学的方法、酵素活性を指標にした生化学的方法、ELISAやウェスタンブロッティングなどの免疫学的方法などが挙げられる。
例えば、上記のような活性の低いプロモーターの選抜は、Morimotoらの論文(DNA Res15:73−81(2008)のSupplementary Dataに列挙されている全ての遺伝子から、タイリングアレイにより、malP遺伝子の発現量に対して所定の範囲の低い発現量(5〜29%、好ましくは8〜19%のレベル)を示すプロモーターを抽出することにより実施できる。なお、かかる選抜基準は、枯草菌に求められる性能や使用目的等に応じて適宜調整してもよい。
これらの遺伝子又はこれらの遺伝子を含むオペロンのプロモーター領域の推定は、枯草菌の転写制御因子に関するデーターベースDBTBS(Nucleic Acids Res.2008,36(Database issue):D93−D96)にその塩基配列が記載されており、それらを固有のプロモーターとして利用できる。
あるいは、上記異種プロモーターとして、人為的な操作により活性を低いレベルに調節できる公知のプロモーターを用いてもよく、より好ましくは、発現誘導物質の添加によりプロモーター活性が制御されるプロモーター、すなわち発現誘導型プロモーターを用いる。
malP遺伝子に作動可能に連結された上記発現誘導型プロモーターの活性を調節する手段としては特に限定されないが、枯草菌の増殖に対する影響や資化性、枯草菌に対する毒性、あるいは操作の簡便性等の観点から、糖を発現誘導物質として添加することにより調節するのが好ましい。かかる糖としては、例えばリボース、リキソース、キシロース、アラビノース、アピオース、リブロース及びキシルロースなどの五炭糖、アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトースなどの六炭糖、並びにそれらの誘導体(イソプロピル−β−チオガラクトシド(IPTG)等)などが挙げられ、また、上記の異種プロモーターも、これらの五炭糖若しくは六炭糖又はそれらの誘導体の添加によりその活性が制御されるプロモーターであるのが好ましい。
前記五炭糖若しくは六炭糖又はそれらの誘導体の添加によりその活性が制御されるプロモーターの例としては、ラクトース誘導性プロモーター(lacプロモーター、lacUV5プロモーター、tacプロモーター、trcプロモーター、Pspacプロモーター等)、ガラクトース誘導性プロモーター(gal1プロモーター、gal4プロモーター、gal10プロモーター、mel1プロモーター等)、キシロース誘導性プロモーター(xylAプロモーター、xylBプロモーター等)、アラビノース誘導性プロモーター(araBプロモーター等)、ラムノース誘導性プロモーター(rhaBADプロモーター等)等が挙げられるが、適度なレベルでの発現誘導とする観点から、キシロース誘導性プロモーター、Pspacプロモーター又はアラビノース誘導性プロモーターが好ましく、中でもキシロースの資化に関連する遺伝子であるxylA遺伝子(BSORF Gene Entry:BG10806、EC5.3.1.5)のプロモーター、すなわちキシロース誘導性プロモーター(xylAプロモーター)がより好ましい。
あるいは、枯草菌の増殖に対する影響や資化性等に悪影響を及ぼさない限り、ECFシグマ因子特異的プロモーター(J.Helmann and C.Moran Jr.,“Bacillus subtilis and its closest relatives.”ASM Press,2002,pp289−312)、Mg及びCuの2成分によって誘導されるプロモーター等の、五炭糖若しくは六炭糖又はそれらの誘導体の添加によりその活性が制御されるプロモーター以外のプロモーターを用いることも可能である。
発現誘導型プロモーターを用いる場合には、発現誘導物質を、前記malP遺伝子の発現量が上記のレベルとなる濃度で枯草菌に対して添加すればよく、例えば発現誘導型プロモーターとして五炭糖若しくは六炭糖又はそれらの誘導体の添加によりその活性が制御されるプロモーターを用いる場合には、前記malP遺伝子の発現量が上記のレベルとなる濃度で、枯草菌に対して五炭糖若しくは六炭糖又はそれらの誘導体を添加すればよい。より具体的な例として、xylAプロモーターを用いてmalP遺伝子の発現量を調節する場合、キシロースを最終濃度0〜0.008%(w/v)で添加すればよく、異種タンパク質又はポリペプチドの生産性をより高めるためには、キシロースを最終濃度0.0003〜0.008%(w/v)となるよう添加するのが好ましい。
あるいは、前記malP遺伝子の発現量を減少させるための他の手段として、例えばRNA干渉によるmRNAレベルの抑制、コドン使用頻度の改変による翻訳効率の低減、malPの発現を制御する転写因子(GlvR及びCcpA)の変異、紫外線、エチルメチルスルホン(EMS)及びエチジウムブロマイド(EtBr)からなる群から選択される1つ以上の変異原による枯草菌の処理などが挙げられる。
枯草菌(Bacillus subtilis)とは、好気性のグラム陽性桿菌で、芽胞を形成する真正細菌の一種である。枯草菌は、全ゲノム情報が明らかにされ、遺伝子工学、ゲノム工学技術が確立されており、またタンパク質を菌体外に分泌生産させる能力を有するため、本願発明における宿主として有用な微生物といえる。
本願発明において用いる枯草菌の親株は特に限定されないが、例えば枯草菌Bacillus subtilis Marburg No.168(枯草菌168株)、及び枯草菌168株から、そのゲノムの大領域を欠失させて構築した枯草菌MGB874株が挙げられる(特許文献2)。大領域とはすなわち、prophage6(yoaV−yobO)領域、prophage1(ybbU−ybdE)領域、prophage4(yjcM−yjdJ)領域、PBSX(ykdA−xlyA)領域、prophage5(ynxB−dut)領域、prophage3(ydiM−ydjC)領域、spb(yodU−ypqP)領域、pks(pksA−ymaC)領域、skin(spoIVCB−spoIIIC)領域、pps(ppsE−ppsA)領域、prophage2(ydcL−ydeJ)領域、ydcL−ydeK−ydhU領域、yisB−yitD領域、yunA−yurT領域、cgeE−ypmQ領域、yeeK−yesX領域、pdp−rocR領域、ycxB−sipU領域、SKIN−Pro7(spoIVCB−yraK)領域、sbo−ywhH領域、yybP−yyaJ領域及びyncM−fosB領域のことであり、これらの欠失領域はまた、以下の表1に示す一対のオリゴヌクレオチドセットにより挟み込まれる領域として表すことができる。
枯草菌168株の全塩基配列及び遺伝子は既に報告されており、またインターネット公開されている(Nature,390,249−256,1997及びBSORF Bacillus subtilis Genome Database[http://bacillus.genome.jp/];GenBank:AL009126.2[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/38680335])。当業者は、これらの情報源から得た枯草菌168株のゲノム情報、例えばGenBank:AL009126.2[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/38680335]に基づいて、MGB874株のゲノムから欠失させるべき上記表2に示した遺伝子領域を見出すことができる。ここで、欠失させるべき遺伝子領域は、公開されている枯草菌168株の遺伝子の塩基配列に対して1又は複数個の塩基における天然又は人工的に引き起こされた欠失、置換、挿入、付加等の変異を含み得る塩基配列を有し得る。変異し得る塩基の個数の範囲は、枯草菌168株のゲノムとの対応関係が認識できる限り特に限定されないが、例えば、枯草菌168株のゲノム領域の塩基配列に対して50%以上の同一性、好ましくは60%以上の同一性、より好ましくは70%以上の同一性、更に好ましくは80%以上の同一性、更により好ましくは90%以上の同一性、なお好ましくは95%以上の同一性を有する範囲が挙げられる。上記「付加」には、塩基配列の一末端及び両末端への塩基の付加が含まれる。
本願発明において用いる枯草菌の親株は、上記枯草菌変異株MGB874株のゲノム領域から、更にゲノム領域を欠失させたゲノム構造を有してもよい。具体的には、当該親株は、枯草菌168株のゲノム上における表2に示す遺伝子領域のうちの少なくとも1つを、枯草菌変異株MGB874株のゲノム領域から更に欠失させたゲノム構造を有してもよい。当該欠失領域としては、表2に示される遺伝子領域及び当該領域に相当する領域が挙げられる。
malP遺伝子に異種プロモーターを作動可能に連結する手段としては、特に限定されないが、かかる組換え枯草菌を作製する際の操作の簡便性の観点から、既に報告された方法(Mol.Gen.Genet.,223,268(1990)等)に基づく相同組換えを繰り返すことにより、ゲノム中のmalP遺伝子を含む固有の領域を削除し、更に、異種プロモーターに作動可能に連結されたmalP遺伝子を含む別のDNA断片をゲノム中の当該領域に挿入するのが好ましい。
かかる削除方法の具体例として、SOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene,77,61,(1989))によって調製される削除用DNA断片を用いた二重交差法による削除方法について説明するが、本発明における遺伝子削除方法はこの方法に限定されるものではない。
本方法で用いる削除用DNA断片は、削除対象遺伝子の上流に隣接する約0.2〜3kb断片と、同じく下流に隣接する約0.2〜3kb断片の間に、薬剤耐性マーカー遺伝子断片を挿入して構築した断片である。まず、1回目のPCRによって、削除対象遺伝子の上流断片及び下流断片、並びに薬剤耐性マーカー遺伝子断片の3断片を調製するが、この際、例えば、上流断片の下流末端に薬剤耐性マーカー遺伝子の上流側10〜30塩基対配列、逆に下流断片の上流末端には薬剤耐性マーカー遺伝子の下流側10〜30塩基対配列が付加されるようにデザインされたプライマーを用いる(図1)。
次いで、1回目に調製した3種類のPCR断片を鋳型とし、上流断片の上流側プライマーと下流断片の下流側プライマーを用いて2回目のPCRを行うことによって、上流断片の下流末端及び下流断片の上流末端に付加した薬剤耐性マーカー遺伝子配列において、薬剤耐性マーカー遺伝子断片とのアニーリングが生じ、PCR増幅の結果、上流側断片と下流側断片の間に、薬剤耐性マーカー遺伝子が挿入されたDNA断片が得られる(図1)。
表3に示すプライマーセットと適当な鋳型DNAを用い、Pyrobest DNAポリメーラーゼ(宝酒造)などの一般のPCR用酵素キット等を用いて、“PCR Protocols.Current Methods and Applications”,Edited by B.A.White,Humana Press,pp251(1993)、Gene,77,61,(1989)等に示される通常の条件によりSOE−PCRを行うことによって、各遺伝子の削除用DNA断片が得られる。
かくして得られた削除用DNA断片を、コンピテント法等によって細胞内に導入すると、削除対象遺伝子の上流及び下流の、上記削除用DNA断片との相同領域おいて、細胞内での遺伝子組換えが生じ、削除対象遺伝子が薬剤耐性遺伝子で置換された細胞を、薬剤耐性マーカーによる選抜により単離できる(図1)。即ち、表3に示すプライマーセットを用いて調製した削除用DNA断片を導入した場合、薬剤を含む寒天培地上に生育するコロニーを単離し、目的の遺伝子が削除されて薬剤耐性遺伝子と置換していることを、ゲノムを鋳型としたPCR法などによって確認すればよい。
上記の組換え枯草菌を用いて異種タンパク質又はポリペプチドを製造する場合、上記の異種タンパク質又はポリペプチドの遺伝子の上流に、当該遺伝子の転写、翻訳、分泌を制御する制御領域を、適切な形で結合させるのが望ましい。かかる制御領域としては、プロモーター及び転写開始点を含む転写開始制御領域、リボソーム結合部位及び開始コドンを含む翻訳開始領域並びに分泌シグナルペプチド領域から選ばれる1以上の領域などが挙げられる。特に転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が結合されていることが好ましく、更に分泌シグナルペプチド領域がバチルス(Bacillus)属細菌のセルラーゼ遺伝子由来のものであり、転写開始制御領域及び翻訳開始制御領域が当該セルラーゼ遺伝子の開始コドンから始まる長さ0.6〜1kbの上流領域であるものが、異種タンパク質又はポリペプチド遺伝子と作動可能に連結されていることが望ましい。例えば、特開2000−210081号公報や特開平4−190793号公報等に記載されているバチルス(Bacillus)属細菌、すなわちKSM−S237株(FERM BP−7875)、KSM−64株(FERM BP−2886)由来のセルラーゼ遺伝子の転写開始制御領域、翻訳開始領域及び分泌シグナルペプチド領域が目的のタンパク質又はポリペプチドの構造遺伝子と作動可能に連結されていることが望ましい。より具体的には、前記転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が、配列番号4で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜659の塩基配列、又は当該塩基配列のいずれかと70%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片、又は当該塩基配列の一部が欠失した塩基配列からなるDNA断片が、上記の異種タンパク質又はポリペプチド遺伝子と作動可能に連結していることが望ましい。ここで、上記塩基配列の一部が欠失した塩基配列からなるDNA断片とは、上記塩基配列の一部を欠失しているが、遺伝子の転写、翻訳、分泌に関わる機能を保持しているDNA断片を意味する。また、ここで、作動可能に連結されている(operably linked)とは、上記の制御配列が機能してコード配列によりコードされた目的タンパク質の発現が制御されうる位置関係で、当該制御配列と当該コード配列とが配置していることを指す。具体例としては、プロモーターとそれに隣接する目的遺伝子とが、当該プロモーターの方向に沿って、当該遺伝子が発現しうる状態で配置していることを指す。また、ここで、ストリンジェントな条件とは、例えば[Molecular cloning−a Laboratory manual 2nd edition(Sambrookら、1989)]に記載の条件等が挙げられる。例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M 塩化ナトリウム、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5% SDS、5×デンハート液及び100mg/mL ニシン精子DNAを含む溶液中で、プローブと共に65℃で8〜16時間インキュベートし、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
異種タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を細胞内で発現させるためには、当該遺伝子を含むDNA断片を、適切なベクターに挿入した発現プラスミドを構築し、当該発現プラスミドを宿主に導入して形質転換する必要がある。当該発現ベクターとしては、枯草菌体内で自立複製可能なベクターが好適であり、例えばシャトルベクターpHY300PLK等が挙げられるが、特に限定されない。
ポリペプチドとは一般に、直鎖状に連結したアミノ酸のポリマーを指し、タンパク質とは一般に、50以上のアミノ酸からなる1つ以上のポリペプチド鎖のことを指すが、本願においてはこれらの用語は交換可能に用いられるものとする。
本発明の組換え枯草菌を用いて生産する異種タンパク質又はポリペプチドとしては、例えば食品用、医薬用、化粧用、洗浄用、繊維処理用、検査用に用いられる各種産業用酵素や、生理活性ペプチドなどが挙げられる。また、産業用酵素の機能別には、酸化還元酵素(オキシドレダクターゼ)、転移酵素(トランスフェラーゼ)、加水分解酵素(ヒドロラーゼ)、脱離酵素(リアーゼ)、異性化酵素(イソメラーゼ)、合成酵素(リガーゼ/シンセターゼ)等が含まれるが、好適にはセルラーゼ、α−アミラーゼ、プロテアーゼ等の加水分解酵素が挙げられ、より好ましくはセルラーゼが挙げられる。
セルラーゼとしては、例えば、多糖加水分解酵素の分類(Biochem.J.,280,309,1991)中でファミリー5に属するセルラーゼが挙げられ、中でも微生物由来、好ましくはバチルス属細菌由来のセルラーゼが好適に挙げられる。より具体的な例として、配列番号5で示されるアミノ酸配列からなるバチルス属細菌KSM−S237株(FERM BP−7875)由来のアルカリセルラーゼ、又は配列番号7で示されるアミノ酸配列からなるバチルス属細菌KSM−64株(FERM BP−2886)由来のアルカリセルラーゼ、あるいは当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、セルラーゼ活性を有するタンパク質、又は配列番号5又は配列番号7で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、セルラーゼ活性を有するタンパク質が挙げられる。
α−アミラーゼの具体例としては、微生物由来のα−アミラーゼが挙げられ、好ましくはバチルス属細菌由来の液化型アミラーゼが好適に挙げられる。より具体的な例として、配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるバチルス属細菌KSM−K38株(FERM BP−6946)由来のアルカリアミラーゼ、あるいは当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、アミラーゼ活性を有するタンパク質、又は配列番号8で示されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、アミラーゼ活性を有するタンパク質が挙げられる。
プロテアーゼの具体例としては、微生物由来、好ましくはバチルス属細菌由来のセリンプロテアーゼや金属プロテアーゼ等が好適に挙げられる。より具体的な例として、配列番号9で示されるアミノ酸配列からなるバチルス属細菌KSM−KP43株(FERM BP−6532)由来のアルカリプロテアーゼ、あるいは当該アミノ酸配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなりプロテアーゼ活性を有するタンパク質、又は配列番号9で示されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加されたアミノ酸配列からなりプロテアーゼ活性を有するタンパク質が挙げられる。
本発明において、アミノ酸配列及び塩基配列の同一性は、Lipman−Pearson法(Science,227,1435,(1985))によって計算される。より具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx−Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
本発明の枯草菌は、上記の異種タンパク質又はポリペプチド遺伝子を含むDNA断片と適当なプラスミドベクターを結合させた組換えプラスミドを、一般的な形質転換法によって宿主となる枯草菌変異株に取り込ませることによって得られる。また、当該DNA断片に宿主ゲノムとの適当な相同領域を結合したDNA断片を用い、宿主ゲノムに直接組み込むことによって本発明の組換え枯草菌を得てもよい。
上記の組換え枯草菌を用いた異種タンパク質又はポリペプチドの製造は、上記異種タンパク質又はポリペプチドの遺伝子を上記のとおり宿主となる枯草菌変異株に導入して得られる菌株を、例えば同化性の炭素源、窒素源、その他の必須成分を含む培地に接種して培養して行うことができる。培養方法は、原則的には一般的な微生物の培養方法であってもよく、通常、液体培養による振盪培養、通気撹拌培養等の好気的条件下で実施するのが好ましい。培養終了後、培養液を遠心分離し、得られる上清又は菌体から、目的の異種タンパク質又はポリペプチドを、硫安沈殿やクロマトグラフィなどを適宜組み合わせ、常法に従い抽出・精製することにより得ることができる。
以下の実施例において、本発明の組換え枯草菌の構築方法及び当該組換え枯草菌を用いたタンパク質の製造方法について説明するが、本願発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下に、本発明の組換え微生物の構築方法及び当該組換え微生物を用いたタンパク質の製造方法について具体的に説明する。
以下の実施例におけるDNA断片増幅のためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、Pyrobest DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)と付属の試薬類を用いた、GeneAmp PCR System(アプライドバイオシステムズ社製)によるDNA増幅により行った。PCR反応液は、適宜希釈した鋳型DNAを1μL、センス及びアンチセンスプライマーを各々20pmol、及びPyrobest DNAポリメラーゼを2.5U添加し、更に総反応液量を50μLとすることにより調製した。PCR反応条件は、98℃で10秒間、55℃で30秒間及び72℃で1〜5分間(目的増幅産物に応じて調整。目安は1kbあたり1分間)の3段階の温度変化を30サイクル繰り返した後、72℃で5分間反応、とした。
また、以下の実施例において、遺伝子の上流及び下流とは、複製開始点からの位置を指すのではなく、上流とは各操作・工程において対象となる遺伝子の開始コドンの5’側に続く領域を指し、一方下流とは各操作・工程において対象となる遺伝子の終止コドンの3’側に続く領域を指すものとする。
更に、以下の実施例における各遺伝子及び遺伝子領域の名称は、Nature,390,249−256,(1997)で報告され、JAFAN:Japan Functional Analysis Network for Bacillus subtilis(BSORF DB)としてインターネットで公開された枯草菌ゲノムデータ(http://bacillus.genome.ad.jp/2004年3月10日更新)に基づき記載する。
枯草菌の形質転換は、コンピテントセル法(J.Bacteriol.93,1925(1967))により行った。すなわち、枯草菌株をSPI培地(0.20% 硫酸アンモニウム、1.40% リン酸水素二カリウム、0.60% リン酸二水素カリウム、0.10% クエン酸三ナトリウム二水和物、0.50% グルコース、0.02% カザミノ酸(Difco社製)、5mM 硫酸マグネシウム、0.25μM 塩化マンガン、50μg/mL トリプトファン)中で、37℃で、生育度(OD600)の値が約1となるまで振盪培養し、振盪培養後、培養液の一部を9倍量のSPII培地(0.20% 硫酸アンモニウム、1.40% リン酸水素二カリウム、0.60% リン酸二水素カリウム、0.10% クエン酸三ナトリウム二水和物、0.50% グルコース、0.01% カザミノ酸(Difco社製)、5mM 硫酸マグネシウム、0.40μM 塩化マンガン、5μg/mL トリプトファン)に接種し、更に生育度(OD600)の値が約0.4となるまで振盪培養することにより、枯草菌株のコンピテントセルを調製した。
次いで調製したコンピテントセル懸濁液(SPII培地における培養液)100μLに、各種DNA断片を含む溶液(SOE−PCRの反応液等)を5μL添加し、37℃で1時間振盪培養後、適切な薬剤を含むLB寒天培地(1% トリプトン、0.5% 酵母エキス、1% NaCl、1.5% 寒天)に全量を塗沫した。37℃での静置培養の後、生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体のゲノムを抽出し、これを鋳型とするPCRを行い、目的とするゲノム構造の改変がなされたことを確認した。
目的のタンパク質を発現するプラスミドの宿主微生物への導入は、プロトプラスト形質転換法(Mol.Gen.Genet.168,111(1979))により行った。組換え枯草菌によるタンパク質生産用の培養として、LB培地(1% トリプトン、0.5% 酵母エキス、1% NaCl)、及び2×L−マルトース培地(2% トリプトン、1% 酵母エキス、1% NaCl、7.5% マルトース、7.5ppm 硫酸マンガン4〜5水和物)を用いた。
実施例1 (malP欠失株の構築)
マルトース特異的透過酵素MalPをコードする遺伝子malPの欠失株は以下の方法により構築した。枯草菌MGB874株(Biotech.Appl.Biochem.46:169−178,2007)(DNA research 15,73−81 2008)から抽出したゲノムDNAを鋳型として表3に示すプライマーmalP.FWとmalP/Nm.R、及びmalP/Nm.FとmalP.RVの各プライマーセットを用いて、ゲノム上のmalP遺伝子領域(配列番号1の塩基番号64から1244)の上流に隣接する1.0kbp断片(A)、及び下流に隣接する1.4kbp断片(B)をそれぞれ調製した。また、ネオマイシン耐性遺伝子を有するプラスミドpUB110(Plasmid 15:93−103.(1986))を鋳型として、表3に示すneof及びneorのプライマーセットを用いて、ネオマイシン耐性遺伝子(C)を調製した。次に、得られた(A)(B)(C)3断片を混合して鋳型とし、malP.FW2とmalP.RV2のプライマーを用いてSOE(splicing by overlap extension)−PCR法(Gene,77,61,1989)を行ない、3断片が(A)−(C)−(B)の順となるよう結合させ、遺伝子欠失用のDNA断片を得た(図1参照)。このDNA断片を用いて、コンピテントセル法により枯草菌MGB874株の形質転換を行い、ネオマイシン(10mg/L)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として単離した。得られた形質転換体からゲノムDNAを抽出し、これを鋳型とするPCRによって、malP遺伝子がネオマイシン耐性遺伝子と置換されていることを確認した。以上のようにして得られた変異株を874ΔmalP株とした。
実施例2(malP発現制御株の構築)
malPの発現制御可能な株の構築は、図2を参考として以下の方法により行った。図2は、キシロースによる発現制御領域及びmalP遺伝子を枯草菌ゲノム上のamyE部位に挿入するDNA断片の調製方法を模式的に示したものである(図中のamyEはα−アミラーゼ、xylA’はキシロースイソメラーゼの一部、xylRはxylA転写抑制因子、catはクロラムフェニルコールアセチルトランスフェラーゼ、malAは6‐ホスホ‐α‐グルコシダーゼ、glvRはmalA転写抑制因子、malPはマルトース特異的透過酵素をそれぞれコードする遺伝子である。また、PxylAはxylAプロモーター領域、TmalPはmalPターミネーター領域を示す。)。
まず、キシロース誘導性の染色体挿入型プラスミドpXを鋳型として、表4に示すプライマーpx.up−Fとpx−malP.up−R、及びpx−malP.down−Fとpx.down−Rの各プライマーセットを用いてDNA断片(フラグメント1及びフラグメント2)をPCRにより調製した。プラスミドpXは、Bayreuth大学のWolfgang Schumann博士により開発されたキシロース発現誘導用プラスミドである(Gene 181:71−76.(1996))。プラスミドpXは枯草菌のα―アミラーゼ遺伝子(amyE)の5’−断片と3’−断片の間にはBacillus megaterium由来のキシロース資化オペロン(転写抑制因子XylRをコードする遺伝子、XylRにより抑制されるプロモーターPxylA及びキシロースイソメラーゼxylAをコードする遺伝子の一部)が挿入されている。XylRはキシロース存在下で不活性化することが知られており、PxylAの下流に目的遺伝子を挿入することで、目的遺伝子の発現をキシロース添加により制御することが可能である。α―アミラーゼ遺伝子(amyE)の5’−断片と3’−断片の間にはマーカー遺伝子であるcat(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)が挿入されており、キシロース誘導領域は形質転換により染色体上のamyE領域に挿入される。
なお、本発明にて使用するMGB874株は、キシロース資化経路を担うキシロースイソメラーゼ及びキシルロースキナーゼをコードする遺伝子が欠失しており、キシロースを資化できない。したがって、キシロースの添加は生育等には影響を与えず、目的の遺伝子の誘導にのみ寄与すると考えられる。
次に、枯草菌MGB874株のゲノムDNAを鋳型として、表4に示したmalP.f及びmalP.rのプライマーセットを用いて、malP遺伝子及びmalPターミネーター領域を含むDNA断片(フラグメント3;配列番号3)を調製した。次に、得られた3断片(フラグメント1)(フラグメント2)(フラグメント3)を混合して鋳型とし、px.up−F及びpx.down−Rを用いてSOE−PCRを行ない、3断片が(フラグメント1)−(フラグメント3)−(フラグメント2)の順となるよう結合させ、遺伝子欠失用のDNA断片を得た(図2参照)。このDNA断片を用いて、コンピテント法により実施例1にて構築した枯草菌874ΔmalP株の形質転換を行い、クロラムフェニコール(10μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として単離した。得られた形質転換体からゲノムDNAを抽出し、これを鋳型とするPCRによって目的の形質転換体が得られたことを確認した。以上のようにして得られたmalP発現制御株を874Pxyl−malP株とした。
実施例3 (malP及びamyE 2重欠失株の構築)
実施例2にて構築したmalP制御株(874Pxyl−malP株)は、枯草菌ゲノム上のamyE遺伝子の内部にキシロースによる発現制御領域等が挿入されており、amyE遺伝子自体の機能は失われている。そこで、874Pxyl−malP株の比較対照株として874ΔmalP株のamyE遺伝子を欠失させた株(874ΔmalPΔamyE株)を構築した。まず、枯草菌874ΔmalP株から抽出したゲノムDNAを鋳型とし、表5に示すamyE.FWとamyE/CmFW.R、及びamyE/CmRV.FとamyE.RVの各プライマーセットを用いて、ゲノム上のamyE遺伝子の上流に隣接する1.0kbp断片(A)、及び下流に隣接する1.3kbp断片(B)をそれぞれ調製した。更に、表5に示すCmFW及びCmRVのプライマーセットを用いて、プラスミドpC194(J.Bacteriol.150(2),815(1982))のクロラムフェニコール耐性遺伝子(C)を増幅した。次に、得られた(A)(B)(C)の3断片を混合して鋳型とし、amyE.FW2とamyE.RV2のプライマーを用いてPCRを行ない、3断片を(A)−(C)−(B)の順となるよう連結させ、遺伝子欠失用のDNA断片を得た(図1参照)。このDNA断片を用いて、コンピテントセル法により実施例1にて作製した874ΔmalP株の形質転換を行い、クロラムフェニコール(10μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。更に得られた形質転換体からゲノムDNAを抽出し、これを鋳型とするPCRによってamyE遺伝子がクロラムフェニコール耐性遺伝子と置換されていることを確認した。以上のようにして874ΔmalPΔamyE株を構築した。
実施例4 (セルラーゼ生産量評価)
実施例1から実施例3にて構築した874ΔmalP株、874Pxyl−malP株、874ΔmalPΔamyE株及び枯草菌MGB874株に、アルカリセルラーゼ遺伝子を導入した。具体的には、バチルス属細菌 KSM−S237株(FERM BP−7875)由来のS237セルラーゼ(特開2000−210081号公報参照)(配列番号6)をコードするDNA断片(3.1kb;配列番号5の塩基番号13〜3124)を鋳型として、表6に示されるプライマーEgl−S237.F及びプライマーEgl−S237.Rのプライマーセットを用いてPCRを行い、シャトルベクターpHY300PLKのBamHI制限酵素切断点に挿入された組換えプラスミドpHY−S237を構築し、プロトプラスト形質転換法によって各菌株に導入した。
得られた菌株を5mLのLB培地で30℃において15時間振盪培養し、更にこの培養液0.6mLを30mLの2×L−マルトース培地(2% トリプトン、1% 酵母エキス、1% 塩化ナトリウム、7.5% マルトース、7.5ppm 硫酸マンガン4−5水和物、15ppm テトラサイクリン、任意の濃度のキシロースを添加)に接種し、30℃で4日間振盪培養した(この際、測定誤差を算出する目的で培養を3回行った)。874Pxyl−malP株を培養する際には、malPの発現を誘導するためキシロースを終濃度0.0003%(w/v)、0.0016%(w/v)、0.008%(w/v)、0.04%(w/v)、0.2%(w/v)及び1.0%(w/v)となるよう添加した。サンプリングは1日ごとに行い、培養液濁度(OD600)を測定した。また、遠心分離によって菌体を除いた培養液上清の糖濃度及びアルカリセルラーゼ活性を測定した。糖濃度は、F−キット D−グルコース/ショ糖/麦芽糖(株式会社ジェイ・ケイ・インターナショナル製)を用いて測定した。セルラーゼ活性は、1/7.5M リン酸緩衝液(pH7.4 和光純薬社製)で適宜希釈したサンプル溶液50μLに0.4mM p−ニトロフェニル−β−D−セロトリオシド(生化学工業社製)を50μL添加して混合し、30℃で反応させた際に遊離するp−ニトロフェノール量を420nmにおける吸光度(OD420)変化を解析することにより測定した。アルカリセルラーゼの活性値は、1分間に1μmolのp−ニトロフェノールを遊離させる酵素量を1Uと定義した。培養の結果を図3に示す。また、表7に、培養4日目の各株のセルラーゼ生産量を、比較対照株である874ΔmalPΔamyE株の生産量に対する相対値として示す(表7;表の値は平均値±標準偏差(N=3)を示す)。
以上の結果、874Pxyl−malP株を用いた場合、キシロースを最終濃度0〜0.008%で添加した場合、比較対照である874ΔmalPΔamyE株より10%以上高いアルカリセルラーゼ生産性を示すことが明らかとなった(表7)。一方、MGB874株の場合、並びにキシロースの添加が最終濃度0.2%以上の場合では、糖の消費速度が高く、アルカリセルラーゼの生産性が低いことが明らかとなった(表7、図3)。
実施例5 (リアルタイムPCRによるmalP転写量の測定)
リアルタイムPCRを行い、MGB874株及び874Pxyl−malP株のmalP発現量を測定した。まず、実施例4に示す方法でMGB874株及び874Pxyl−malP株にアルカリセルラーゼ遺伝子を導入した後、実施例4と同様の方法にて培養を行い、培養1日目の菌体を遠心集菌により分離・回収した。R.Losickらの論文(J.Mol.Biol.191:615−624,1986)に記載された方法と同様の手法にて菌体よりRNAを抽出後、cDNAへの逆転写反応を行った。The AffinityScript QPCR cDNA Synthesis kit(Stratagene社製)を用い、抽出したRNA 5μgを含む50μLの反応溶液(1×first strand master mix,15ng/μL random primers及び2.5μL AffinityScript RT/RNase Block enzyme mixture)を、25℃で5分間、42℃で45分間、95℃で5分間反応させ、逆転写反応を行った。DNAの混入を測定する目的で、全てのRNAサンプルでは逆転写酵素であるAffinityScript RT/RNase Block enzyme mixtureを含まない状態で同様の反応を行った。反応後の溶液を必要に応じて希釈し、定量解析に用いた。
Mx3000Pシステム(Stratagene)を使用し、Brilliant II Fast SYBR Green QPCR Master Mix(Stratagene社製)を用いてリアルタイムPCR解析を行った。malPの転写量測定には表8に示すプライマーmalPtFW及びmalPtRVを使用し、発現量のノーマライゼーションに使用する23SrRNAの転写量測定には表8に示すプライマーB.sub−23S.F及びB.sub−23S.Rを使用した。25μLの反応溶液(1×SYBR Green master mix、各0.4μM、forwardプライマー及びreverseプライマー、3.2μM reference dye、10μL sample solution)を用い、95℃で2分間反応した後、95℃で5秒間、60℃で20秒間のサイクルを40回繰り返してPCR反応を行った。反応終了後のサンプルを95℃で1分間、55℃で30秒間反応させた後、0.2℃/秒で95℃まで温度を上昇させ、連続的に蛍光強度を測定することで解離曲線を作成し、単一のピークであることを確認した。Threshold cycle(Ct値)はMx3000Pのソフトウェア内のAmplification−based thresholdで設定した。測定する遺伝子に対応するプライマーを用いて、枯草菌ゲノムを鋳型とし、PCRにより増幅したDNA断片を、pUC118のHincII部位に挿入してスタンダードサンプルを作製し、段階的に希釈したスタンダードサンプル中に含まれるコピー数と対応するCt値から得られた検量線をもとに、各サンプル中に含まれる対象遺伝子のコピー数を算出した。cDNAサンプル中のコピー数から逆転写を行わなかったサンプルのコピー数を引いた値を各遺伝子の発現量とし、サンプル間のノーマライゼーションには23SrRNAの発現量を用いた。各発現量の測定は、全ての条件において、培養の時点から、独立して3回(N=3)行った。
定量解析の結果を表9及び図4に示す(表9の平均及び標準偏差は、3回の実験による平均及び標準偏差を示す。図4は、左から、使用した菌株、キシロース添加量、malP発現量を示し、malP発現量は23SrRNAの転写量に対する相対値を示す)。表9及び図4から、malPはキシロース非添加時にもわずかに発現しており(親株であるMGB874株のmalP遺伝子の発現量に対する相対発現量:5%、23SrRNAに対する相対発現量:0.4×10-5)、キシロースの添加により段階的に発現量が増加することが確認された。実施例4の表7及び実施例6の図4より、malPの23SrRNAに対する相対発現量が0.4×10-5〜1.6×10-5に相当するとき、malP欠失株(874ΔmalPΔamyE株)と比較して、セルラーゼ生産量が10%以上向上することが明らかとなった。また、対応する表9より、MGB874株のmalP遺伝子の発現量(100%)に対する相対発現量が5〜19%であるとき、セルラーゼ生産量が10%以上向上することが明らかとなった。

Claims (15)

  1. 異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子を導入した枯草菌を用いた、異種タンパク質又は異種ポリペプチドの製造方法であって、当該枯草菌のmalP遺伝子の発現量を、23SrRNAに対して0.4×10-5〜2.5×10-5のレベルに調節することを特徴と
    前記malP遺伝子が、五炭糖若しくは六炭糖又はそれらの誘導体の添加によりその活性が制御される異種プロモーターに作動可能に連結され、
    前記異種プロモーターが、ラクトース誘導性プロモーター、ガラクトース誘導性プロモーター、キシロース誘導性プロモーター、アラビノース誘導性プロモーター又はラムノース誘導性プロモーターであり、
    前記調節が、前記五炭糖若しくは六炭糖又はそれらの誘導体を適宜添加して、枯草菌のmalP遺伝子の発現量を、親株におけるmalP遺伝子の発現量に対して5〜29%のレベルに調節することによりなされる、
    前記異種タンパク質又は異種ポリペプチドの製造方法。
  2. 前記異種プロモーターが、キシロース誘導性プロモーター、Pspacプロモーター又はアラビノース誘導性プロモーターである、請求項記載の製造方法。
  3. 前記異種プロモーターが、キシロース誘導性プロモーターである、請求項記載の製造方法。
  4. キシロースを最終濃度0〜0.008%(w/v)で添加する、請求項記載の製造方法。
  5. 前記枯草菌が、prophage6領域、prophage1領域、prophage4領域、PBSX領域、prophage5領域、prophage3領域、spb領域、pks領域、skin領域、pps領域、prophage2領域、ydcL−ydeK−ydhU領域、yisB−yitD領域、yunA−yurT領域、cgeE−ypmQ領域、yeeK−yesX領域、pdp−rocR領域、ycxB−sipU領域、SKIN−Pro7領域、sbo−ywhH領域、yybP−yyaJ領域及びyncM−fosB領域が欠失したゲノム構造を有する、請求項1からのいずれか1項記載の製造方法。
  6. 更に、ybbU−ybfI領域、ydjM−cotA領域、yefA−yesX領域、yfiB−yfiX領域、yhcE−yhcU領域、yhaU−yhaL領域、yjbX−yjlB領域、xkdA−ykcC領域、bpr−ylmA領域、flgB−cheD領域、ynfF−ppsA領域、yoxC−yobO領域、spoVAF−spoIIAA領域、spoIIIAH−yqhV領域、ytvB−ytqB領域、yteA−ytaB領域、yuaJ−yugO領域、yusJ−mrgA領域、gerAA−yvrI領域、yvaM−yvbK領域、araE−yveK領域、yvdE−yvcP領域、gerBA−ywsC領域、ywrK−ywqM領域、spoIIID−ywoB領域、slp−ylaF領域、licH−sigY領域、yqeF−yrhK領域、yuzE−yukJ領域及びyncM−yndN領域のうちの1つ又は2つ以上が欠失したゲノム構造を有する、請求項記載の製造方法。
  7. 異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子の上流に、転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域から選ばれる1以上の領域が作動可能に連結されている、請求項1からのいずれか1項記載の製造方法。
  8. 異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子の上流に、転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が作動可能に連結されている、請求項記載の製造方法。
  9. 前記分泌シグナル領域が、バチルス属細菌のセルラーゼ遺伝子由来のものであり、前記転写開始制御領域及び前記翻訳開始制御領域が、当該セルラーゼ遺伝子の上流0.6〜1kb領域由来のものである、請求項7又は8記載の製造方法。
  10. 前記転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が、配列番号4で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜659の塩基配列からなるDNA断片である、請求項記載の製造方法。
  11. 前記異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子が、バチルス属細菌のアルカリセルラーゼ遺伝子である、請求項1から10のいずれか1項記載の製造方法。
  12. 前記アルカリセルラーゼ遺伝子が、配列番号4で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子、又は当該塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片である、請求項11記載の製造方法。
  13. 異種タンパク質又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子を導入した枯草菌であって、当該枯草菌のmalP遺伝子の上流に五炭糖若しくは六炭糖又はそれらの誘導体の添加によりその活性が制御される異種プロモーターが作動可能に連結されており、前記異種プロモーターが、ラクトース誘導性プロモーター、ガラクトース誘導性プロモーター、キシロース誘導性プロモーター、アラビノース誘導性プロモーター又はラムノース誘導性プロモーターである、前記枯草菌。
  14. 前記異種プロモーターが、キシロース誘導性プロモーター、Pspacプロモーター又はアラビノース誘導性プロモーターである、請求項13記載の枯草菌。
  15. 前記異種プロモーターが、キシロース誘導性プロモーターである、請求項13記載の枯草菌。
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