JP2017068978A - 非水電解液および非水二次電池 - Google Patents

非水電解液および非水二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】初期抵抗が低く、初期容量の低下や抵抗上昇が抑制され、保存性に優れる非水二次電池およびそれに用いる非水電解液を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表される金属化合物と、Li/Li基準で1.0V以上の電位で還元され負極表面に絶縁膜を形成する化合物5質量%以下とを含有する非水電解液、およびこれを用いた非水二次電池。
Figure 2017068978

式(I)において、Rは1価の有機基を表し、Mは遷移金属元素を表す。nはMの価数を表し、pは1以上の整数、qは0または1以上の整数を表し、p+2q=nである。Rが複数存在する場合、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R同士はそれぞれ結合していてもよく、結合により環を形成していてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は非水電解液およびこれを用いた非水二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池をはじめとするリチウム二次電池は、鉛電池やニッケルカドミウム電池と比較して、充放電において、大きなエネルギー密度を実現することができる。この特性を利用して、携帯電話、ノートパソコンなどのポータブル電子機器への適用が広く普及している。これまでに、特に軽量で高エネルギー密度が得られるリチウム二次電池の開発が進められている。さらに、近年のHEV(Hybrid Electric Vehicle、ハイブリッド車)等の発展に伴い、非水二次電池には大容量化が求められ、充放電電位が増大する方向、すなわち、より高電位で非水二次電池を駆動できる技術の開発が求められている。
リチウムイオン非水二次電池の駆動時、電極と電解液の界面では、酸化還元反応により、電極にSEI(Solid Electrolyte Interphase)とよばれる皮膜が形成されることが知られている。SEIは、低い電子伝導性と適度なリチウムイオン伝導性とを備えている。これまでに、このSEI皮膜により電解液の劣化を抑制する技術が開発されてきている。この技術では、負極上での電解液成分の還元分解、正極上での電解液成分の酸化分解を抑制するため、電解液にSEI皮膜を形成するための化合物(以下、SEI剤と称す。)を添加する。
正極にSEIを形成するための電解液として、金属化合物を含有する電解液が開発されている。例えば、特許文献1には、微量のシクロペンタジエニル錯体を含有する非水二次電池用電解液が記載されている。また、特許文献2には、中心金属に結合する酸素原子と、中心金属に結合する窒素または硫黄原子とを含む多座配位子を有する金属錯体を含有する非水二次電池用電解液が記載されている。
また、特許文献3には、メタロセンを含有する電解液が記載されている。
特開2014−029827公報 特開2014−146481公報 特開平1−206571公報
しかしながら、上述の高電位駆動を目指した技術に対して、さらに電池性能を向上することへの要求が高まっている。このような要求水準の高まりに照らすと、上記特許文献1〜3に記載の電解液を含有する非水二次電池などについても、初期抵抗の上昇、初期容量の低下および駆動中の抵抗上昇をそれぞれ抑制し、保存性(容量維持特性)を向上させる等の電池性能の改善が切望されている。
そこで、本発明は、上記の要求を考慮し、初期抵抗が低く、初期容量の低下や抵抗上昇が抑制され、保存性に優れる非水二次電池およびそれに用いる非水電解液を提供することを課題とする。
上記の正極にSEIを形成するための金属化合物は負極において還元分解されやすく、非水二次電池の初期容量の低下の一因となっていると考えられる。本発明者らは鋭意検討した結果、特定の金属化合物と、特定量の特定の電位以上で還元される化合物とを非水電解液に含有させて非水二次電池に用いることにより、電池を駆動する際の金属化合物の還元分解を低減でき、電池特性を向上できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきなされたものである。
すなわち、上記の課題は以下の手段により解決された。
(1)下記式(I)で表される金属化合物と、Li/Li基準で1.0V以上の電位で還元され負極表面に絶縁膜を形成する化合物とを含有し、負極表面に絶縁膜を形成する化合物の含有量が非水電解液全質量中に5質量%以下である非水電解液。
Figure 2017068978
式(I)において、Rは1価の有機基を表し、Mは遷移金属元素を表す。
nはMの価数を表し、pは1以上の整数、qは0または1以上の整数を表し、p+2q=nである。
が複数存在する場合、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R同士はそれぞれ結合していてもよく、結合により環を形成していてもよい。
(2)式(I)における少なくとも1つのRが、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、スルホン酸基、カルボニル基含有基および下記式(CP)で表わされる基からなる群から選択される1種である(1)に記載の非水電解液。
Figure 2017068978
式(CP)において、Rはアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルスルファニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィニル基またはハロゲノ基を表す。aは0〜5の整数を表す。*はMとの連結部位を表す。
aが2以上の整数の場合、複数のRが結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
(3)式(I)におけるMが、Zr、TiおよびFeからなる群から選択される1種である(1)または(2)に記載の非水電解液。
(4)式(I)で表される金属化合物の含有量が、0.1mol/L以上である(1)〜(3)のいずれか1つに記載の非水電解液。
(5)Li/Li基準で1.0V以上の電位で還元され負極表面に絶縁膜を形成する化合物が、オキサラトホウ酸塩またはアクリロイル基含有化合物である(1)〜(4)のいずれか1つに記載の非水電解液。
(6)(1)〜(5)のいずれか1つに記載の非水電解液を含有し、正極および負極を有する非水二次電池。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、同一の符号で表す置換基や置換基数は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
本発明の非水電解液を含有する非水二次電池は、初期抵抗が低く、初期容量の低下や抵抗上昇が抑制され、優れた保存性を有する。
本発明の好ましい実施形態に係るリチウム非水二次電池の一例の機構を模式化して示す縦断面図である。 本発明の好ましい実施形態に係るリチウム非水二次電池の一例の具体的な構成を示す縦断面図である。 2032型コイン電池の構造の一例を模式的に示す縦断面図である。 ラミネート型電池の構造の一例を模式的に示す縦断面図である。 Li/Li基準で1.0V以上の電位で還元され負極表面に絶縁膜を形成する化合物を含まない非水電解液(a)およびこの化合物を含む非水電解液(b)での、1サイクル目のサイクリックボルタモグラムの一例である。 (a)〜(c)は、実施例における不可逆容量の評価における3サイクル目と20サイクル目の電気容量の変化の例を示す説明図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。
なお、以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされる。ただし、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
[非水電解液]
本発明の非水電解液は、式(I)で表される金属化合物と、Li/Li基準で1.0V以上の電位で還元され負極表面に絶縁膜を形成する化合物とを含有し、負極表面に絶縁膜を形成する化合物の含有量は非水電解液全質量中に5質量%以下である。
<式(I)で表される金属化合物>
式(I)で表される金属化合物は、正極にSEIを形成する正極SEI剤として作用する。
本発明の非水電解液に含有される式(I)で表される金属化合物について説明する。
Figure 2017068978
式(I)において、Rは1価の有機基を表し、Mは遷移金属元素を表す。
nはMの価数を表し、pは1以上の整数、qは0または1以上の整数を表し、p+2q=nである。
が複数存在する場合、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R同士はそれぞれ結合していてもよく、結合により環を形成していてもよい。
また、Rは配位子として、Mに配位結合していてもよい。
における1価の有機基はさらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては後述の置換基Tが挙げられる。
における1価の有機基は、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルアミノ基、シリルアミノ基、スルホン酸基、イソシアネート基(NCO)、イソチオシアネート基(NCS)、スルファニル基、ホスフィニル基、カルボニル基含有基、アリール基、ヘテロアリール基および下記式(CP)で表される基のいずれかが好ましい。
Figure 2017068978
式(CP)において、Rはアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルスルファニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィニル基またはハロゲノ基を表す。aが2以上の整数の場合、複数のRが結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。aは0〜5の整数を表す。*はMとの連結部位を表す。
式(I)において、Rの少なくとも1つが、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、スルホン酸基、カルボニル基含有基および式(CP)で表される基からなる群から選択される1種であることが、皮膜を正極活物質上に形成する観点からは、より好ましい。
として採りうるアルキル基は、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6がさらに好ましい。Rのアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびt−ブチルが挙げられる。ハロゲノ基等の置換基を有していてもよい。
として採りうるアルケニル基は、炭素数2〜20が好ましく、例えば、エテニル基、プロペニル基が挙げられる。
として採りうるアルキルアミノ基は、炭素数1〜8が好ましく、例えば、N,N−ジメチルアミノおよびN,N−ジエチルアミノが挙げられる。
として採りうるシリルアミノ基は、アミノ基の水素原子の1個又は2個が置換シリル基で置換された基であって、炭素数3〜20が好ましい。置換シリル基としては、アルキル基、アリール基、およびアリールアルキル基からなる群から選択される1〜3個の基で置換されたシリル基が挙げられる。シリルアミノ基としては、例えば、トリメチルシリルアミノ、トリエチルシリルアミノ、tert−ブチルジメチルシリルアミノ、トリフェニルシリルアミノ、ジフェニルメチルシリルアミノ、およびビス(トリメチルシリル)アミノが挙げられる。
として採りうるアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、アルキル基などの置換基を有していてもよい。具体的にはフェニル、トリルおよびナフチル等が挙げられ、フェニルまたはナフチルが好ましい。
として採りうるヘテロアリール基は、好ましくは炭素数2〜20のヘテロアリール基であり、環内に有するヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が好ましい。具体的なヘテロアリール環としては、インドール、カルバゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、チオフェンおよびピリジンなどが挙げられる。
としてのアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基は、下記式(II)−1〜(II)−3のいずれかで表されることがより好ましい。
Figure 2017068978
式(II)−1〜(II)−3において、Rはアルキル基を表し、Arはアリール基またはヘテロアリール基を表し、Rは水素原子または1価の有機基を表す。
*はMとの連結部位を表す。
式(I)で表される金属化合物中にR、R、Arが複数有る場合、複数のR、R、Arはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R、R、R、Arはそれぞれ結合して環を形成していてもよい。
として採りうるアルキル基、Arとして採りうるアリール基、ヘテロアリール基はそれぞれいずれもRとして採りうるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基と同義である。Rにおける1価の有機基は、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であることが好ましく、Rとして採りうるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基はRとして採りうるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基と同義である。
中でも、RまたはRにおけるアルキル基は、炭素数1〜6がより好ましく、フッ素原子で置換されていてもよい。具体的には、イソプロピル、トリフルオロメチルなどが挙げられる。
Arはアリール基であることがより好ましく、フェニル基が好ましい。アリール基にさらに置換基が置換していてもよく、置換基が遷移金属Mに配位していてもよい。置換基としては、後述の置換基Tが挙げられ、ピリジニル、ベンゾオキサゾリルなどがより好ましい。2つの式(II)−2がArが有する置換基で結合して形成される配位子としては、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジリデン)−1,2−フェニレンジアミン骨格を有し、2つのヒドロキシ基から水素原子を除いた配位子が挙げられる。
としてのカルボニル基含有基は、下記式(III)−1〜(III)−6のいずれかで表されることがより好ましい。
Figure 2017068978
式(III)−1〜(III)−4において、Rは水素原子、1価の有機基またはハロゲノ基を表し、Rは1価の有機基を表す。式(III)−6において、Arはヘテロアリール基を表す。式(III)−1〜(III)−6において、*はMとの連結部位を表す。
およびRにおける1価の有機基は、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基が好ましく、RおよびRとして採りうるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基はRとして採りうるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基と同義である。
中でも、Rの一価の有機基は、アルキル基であることがより好ましい。Rとしてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えば、メチルである。
におけるハロゲノ基は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが挙げられ、フルオロであることが好ましい。
は、アルキル基であることがより好ましい。中でも、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチルであることが好ましい。
Arにおけるヘテロアリール基は、Rにおけるヘテロアリール基と同義である。中でも、Arのヘテロアリール基が有するヘテロアリール環としては、ピリジンが好ましい。
式(I)で表される金属化合物中にRおよびRが複数有る場合、複数のR、Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R、R、Rはそれぞれ結合して環を形成していてもよい。
式(III−5)は2つのRが結合した基を示している。
におけるアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基およびカルボニル基含有基はRにおけるものと同義である。
におけるアルキルシリル基は、炭素数は1〜10が好ましく、例えば、トリメチルシリルが挙げられる。
におけるアルキニル基は、炭素数は2〜10が好ましく、例えば、エチニルが挙げられる。
におけるアルキルスルファニル基は、炭素数は1〜8が好ましく、例えば、メタンスルファニルが挙げられる。
におけるアミノ基は、炭素数は0〜10が好ましく、例えば、ジメチルアミノが挙げられる。
におけるスルホニル基含有基は、炭素数は1〜10が好ましく、例えば、メタンスルホニルが挙げられる。
におけるハロゲノ基は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが挙げられる。
複数のRが形成してもよい脂肪族性または芳香族性の環としては、インデニル基が挙げられる。
aは、0〜5の整数であり、0〜2であることが好ましい。
Mとしての遷移金属元素は、Fe、Ru、Mo、Zr、Ti、HfおよびZnが好ましく、形成した皮膜が酸化抑止能を持つため、Zr、TiおよびFeがさらに好ましい。
pは2〜4が好ましく、qは0または1が好ましく、nは2〜4が好ましい。
以下に、式(I)で表される金属化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
下記において、Tfはトリフルオロメチルを、TMSはトリメチルシリルを表す。
Figure 2017068978
Figure 2017068978
式(I)で表される金属化合物は、金属ハロゲン化物との配位子交換等により常法により合成することができる。また、市販品を使用することができる。
式(I)で表される金属化合物の添加量は、非水電解液に対して0.01mol/L以上が好ましく、0.05mol/L以上がより好ましく、0.1mol/L以上が特に好ましい。複数の式(I)で表される金属化合物を併用してもよく、式(I)を満たす金属化合物が合計して1mol/L以上含有されていることが好ましい。上限は特に限定されないが、5mol/L以下であることが好ましい。
式(I)で表される金属化合物の添加量が上記範囲内にあることにより、充分な量のSEIが形成され、抵抗上昇を抑えることができる。
<負極表面に絶縁膜を形成する化合物>
本発明の非水電解液は、Li/Li基準で1.0V以上の電位で還元され負極表面に絶縁膜を形成する化合物(以下、「負極表面に絶縁膜を形成する化合物」ともいう)を含有する。
ここで、「Li/Li基準で1.0V以上の電位で還元され負極表面に絶縁膜を形成する」ことは、実施例に記載の条件でサイクリックボルタンメトリー測定を行った場合に、図5(b)のように1サイクル目の還元電位のピークトップが1.0V以上にあり、0Vでの還元電流が無添加(図5(a)の非水電解液)の場合に比べて1/10以下であることにより確認できる。
さらに、上記「絶縁膜」はいわゆる負極SEIのことである。
式(I)で表される金属化合物と負極表面に絶縁膜を形成する化合物とを含有する非水電解液を使用することにより、非水二次電池の初期容量の低下及び抵抗上昇を抑制し、また非水二次電池の保存性を向上させることができる。その理由は明らかではないが、下記のように考えられる。
本発明に用いられる負極表面に絶縁膜を形成する化合物は、上記式(I)で表される金属化合物の還元分解を抑制することができる。特に、本発明に用いられる負極表面に絶縁膜を形成する化合物は、1.0Vより低い電位に還元開始電位を有する化合物の還元抑制に対して効果的である。これにより、抵抗上昇率の抑制や保存性(容量維持特性)の向上を達成しつつ、不可逆容量を低減することで初期容量の低下を抑制することができる。
これらの効果を得る観点から、負極表面に絶縁膜を形成する化合物は、式(I)で表される金属化合物の還元開始電位よりも高い電位で負極において還元分解されることが好ましい。式(I)で表される金属化合物の一般的な還元開始電位は1V未満である。
負極表面に絶縁膜を形成する化合物は、上記条件を満たせば特に限定はされないが、オキサラトホウ酸塩またはアクリロイル基含有化合物であることが好ましい。特に、アクリロイル基含有化合物は、還元電位の観点から、アクリロイル部位が電子求引性基で置換されていることが好ましい。
オキサラトホウ酸塩またはアクリロイル基含有化合物は、下記式(C−1)〜(C−4)のいずれかで表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2017068978
上記式中、RC1およびRC2はアルキル基またはハロゲノ基を表し、RC3は水素原子またはアルキル基を表し、RC4はシアノ基または少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、RC5はn価の有機基を表す。nは1〜6の整数を表す。
C1およびRC2としてのアルキル基はRとしてのアルキル基と同義である。
C1およびRC2としてのハロゲノ基はRとしてのハロゲノ基と同義である。
C3としてのアルキル基は炭素数1〜4が好ましく、炭素数1がより好ましい。ハロゲノ基などの置換基を有していてもよい。ハロゲノ基はRとしてのハロゲノ基と同義である。
C4としての少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基は、炭素数1〜4が好ましく、炭素数1がより好ましい。具体的にはトリフルオロメチル基や、ジフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。
C5としてのn価の有機基は鎖状、分岐状、環状の炭化水素基が好ましく、炭化水素基の一部が酸素原子やケトン基で置き換わっていてもよい。より好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基である。
は1〜3の整数であることが好ましい。
以下に、式(C−1)〜(C−4)のいずれかで表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
Figure 2017068978
式(C−1)又は(C−2)で表される化合物は市販されており、例えばキシダ化学社より入手することができる。
式(C−3)で表される化合物は、対応するアクリレート同士の縮合反応により、式(C−4)で表される化合物は、対応するアクリレートとアルコールとの縮合反応により合成することができる。
また、負極表面に絶縁膜を形成する化合物として、上記式(C−1)〜(C−4)のいずれかで表される化合物と酸無水物やイソシアネート基含有化合物とを併用してもよい。例えば以下のような化合物が挙げられる。
Figure 2017068978
負極表面に絶縁膜を形成する化合物の添加量は、電池抵抗を上げ過ぎないために、非水電解液全質量中に5質量%以下であり、2質量%以下であることが好ましい。下限は特に限定されないが、充分な絶縁性を有する絶縁膜を形成するために、0.1質量%以上であることが好ましい。
<電解質>
本発明の非水電解液に用いる電解質は周期表第1族または第2族に属する金属イオンの塩が好ましい。使用する金属イオンの塩は非水電解液の使用目的により適宜選択される。例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、非水二次電池などに使用される場合には、出力の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の非水電解液をリチウムイオン二次電池用非水電解液として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択すればよい。リチウム塩としては、リチウムイオン二次電池用非水電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩が好ましく、例えば、以下に述べるものが好ましい。
(L−1)無機リチウム塩:LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機フッ化物塩;LiClO、LiBrO、LiIO等の過ハロゲン酸塩;LiAlCl等の無機塩化物塩等
(L−2)含フッ素有機リチウム塩:LiCFSO等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CFSO等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF(CFCFCF)]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF)]、Li[PF(CFCFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF]等のパーフルオロアルキルフッ化リン酸塩等
これらのなかで、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiClO、Li(RfSO)、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSO)が好ましく、LiPF、LiBF、LiN(RfSO、LiN(FSOおよびLiN(RfSO)(RfSO)などのリチウムイミド塩がさらに好ましい。ここで、Rf、Rfはそれぞれパーフルオロアルキル基を示す。
なお、非水電解液に用いる電解質は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
非水電解液における電解質(好ましくは周期表第1族または第2族に属する金属のイオンもしくはその金属塩)の塩濃度は非水電解液の使用目的により適宜選択されるが、一般的には非水電解液全質量中10質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは15質量%〜30質量%である。モル濃度としては0.5M〜1.5Mが好ましい。なお、イオンの濃度として評価するときには、その好適に適用される金属との塩換算で算定すればよい。
<非水溶媒>
本発明の非水電解液は、非水溶媒を含有することが好ましい。
本発明に用いられる非水溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましく、なかでも炭素数2〜10の非プロトン性有機溶媒が好ましい。
このような非水溶媒としては、鎖状もしくは環状のカーボネート化合物、ラクトン化合物、鎖状もしくは環状のエーテル化合物、エステル化合物、ニトリル化合物、アミド化合物、オキサゾリジノン化合物、ニトロ化合物、鎖状または環状のスルホンもしくはスルホキシド化合物、リン酸エステルが挙げられる。
なお、好ましい結合で示せば、エーテル結合、カルボニル結合、エステル結合またはカーボネート結合を有する化合物が好ましい。これらの化合物は置換基を有していてもよく、例えば後述の置換基Tが挙げられる。
非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、リン酸トリメチル、ジメチルスルホキシドあるいはジメチルスルホキシドリン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。なかでも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、フルオロエチレンカーボネートおよびエチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンからなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、特に、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)とジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなどの低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。このような組み合わせの混合溶媒とすることで、電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上する。
なお、本発明に用いられる非水溶媒は、これらに限定されるものではない。
<含フッ素化合物>
本発明に用いられる非水電解液は、含フッ素化合物を含有することが好ましい。
含フッ素化合物は、フッ素原子を含んでいる融点40度以下の化合物であれば特に限定されないが、フッ素原子を含有するカーボネート、エーテルまたはエステル化合物が好ましく、フッ素原子を含有するカーボネートまたはエーテル化合物がより好ましい。本明細書においてフッ素原子を含有するカーボネート化合物とは、フッ素原子を含有しカーボネート結合を有する化合物を意味し、フッ素原子を含有するエーテルおよびエステル化合物についても同様の意味で使用する。
溶媒の酸化防止の観点から、鎖状カーボネート化合物の一部ないしは全部が含フッ素化合物に置き換わっていることが好ましく、溶液粘度の観点からフッ素原子を含有する鎖状カーボネート化合物もしくはエーテル化合物が用いられることが好ましい。含フッ素化合物の好ましい具体例を以下に示す。
Figure 2017068978
含フッ素化合物の非水電解液に対する含有量は、10質量%を超える量であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。
含フッ素化合物を含有する非水溶媒は、含フッ素化合物が電子求引性のフッ素原子を有するため耐酸化性に優れており、高電位駆動の電池に対応可能な非水電解液に好ましく使用することができる。
さらに、本発明に用いられる負極表面に絶縁膜を形成する化合物を使用することで、含フッ素化合物の還元を抑制することができる。これにより、高電位駆動の電池においても、初期抵抗を低減し、初期容量の低下や抵抗上昇を抑制し、かつ保存性を向上することができると考えられる。
<機能性添加剤>
本発明の非水電解液には、難燃性の向上、サイクル特性の良化、容量特性の改善などのため、各種の機能性添加剤を含有させることが好ましい。
以下に、本発明の非水電解液に適用することが好ましい機能性添加剤の例を示す。
(硫黄原子を有する化合物)
硫黄原子を有する化合物は、−SO−、−SO−、−OS(=O)O−結合を有する化合物が好ましく、プロパンサルトン、プロペンサルトン、エチレンサルファイトなどの環状含硫黄化合物、スルホン酸エステル類が好ましい。
環状含硫黄化合物としては、下記Eex1〜Eex12等が例示できる。
Figure 2017068978
その他の機能性添加剤としては、例えば、特開2015−046389号公報に記載の芳香族性化合物、ハロゲン含有化合物、重合性化合物、ケイ素含有化合物、ニトリル化合物、金属錯体化合物およびイミド化合物、ならびにホウ素含有化合物が挙げられる。
本発明の非水電解液には、上記のものを始め、難燃剤、過充電防止剤等から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。非水電解液中におけるこれら機能性添加剤の含有割合は特に限定はなく、非水電解液全体(電解質を含む)に対し、それぞれ、0.001質量%〜10質量%が好ましい。これらの化合物を添加することにより、過充電による異常時に電池の破裂を抑制したり、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させたりすることができる。
本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。また、特段に事情がない限り、単に置換基と称した場合も置換基Tが参照され、アルキル基などの各基も置換基Tの対応する基が参照される。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブチンジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。
また、各基は、上記の置換基Tでさらに置換されていてもよい。例えば、アルキル基にアリール基が置換されたアラルキル基などである。
<非水電解液の調製方法等>
本発明の非水電解液は、金属イオンの塩としてリチウム塩を用いた例を含め、上記各成分を上記非水溶媒に溶解して、常法により調製される。
本発明において、「非水」とは水を実質的に含まないことをいい、発明の効果を妨げない範囲であれば微量の水を含んでいてもよい。ここで、実質的に含まないとは、水の濃度が200ppm(質量基準)以下であり、100ppm以下が好ましく20ppm以下がより好ましい。
なお、現実的には、完全に無水とすることは困難であり、1ppm以上は含まれる。
<非水電解液の粘度>
本発明の非水電解液の粘度は特に限定されない。なお、25℃において、10〜0.1mPa・sが好ましく、5〜0.5mPa・sがより好ましい。
非水電解液の粘度は、サンプル1mLをレオメーター(例えば、TA Instruments社製の商品名「CLS 500」)に入れ、直径4cm/2°のSteel Cone(例えば、TA Instruments社製)を用いて測定する。サンプルは予め測定開始温度にて温度が一定となるまで保温しておき、測定はその後に開始する。なお、測定温度は25℃である。
<非水電解液の用途>
本発明の非水電解液は、例えば、電解コンデンサー、電気化学キャパシタ(電気二重層キャパシタ)、イオンの電荷移動により充電/放電される電池、エレクトロルミネッセンスなどの固体表示素子、電流センサーやガスセンサーなどのセンサーなどに好ましく使用することができる。
これらの中でも、非水二次電池用として用いることが好ましい。
[非水二次電池]
本発明の非水二次電池は、上記本発明の非水電解液と、正極および負極とを有する。
以下、非水二次電池を、代表的なリチウムイオン非水二次電池を例にとって本発明を説明するが、本発明はリチウムイオン非水二次電池に限定されるものではない。
非水二次電池の好ましい実施形態として、リチウムイオン非水二次電池についてその機構を模式化して示した図1を参照して説明する。
本実施形態のリチウムイオン非水二次電池10は、上記本発明の非水電解液5と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極C(正極集電体1、正極活物質層2)と、リチウムイオンの挿入放出または溶解析出が可能な負極A(負極集電体3,負極活物質層4)とを備える。これら部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ9、集電端子(図示せず)、及び外装ケース等(図示せず)を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、非水電解液5内でリチウムイオンの授受a、bが生じ、充電α、放電βを行うことができ、回路配線7を介して動作機構6を運転あるいは蓄電することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態であるリチウムイオン非水二次電池の構成について、さらに詳細に説明する。
<電池形状>
本実施形態のリチウムイオン非水二次電池が適用される電池形状には、特に制限はなく、例えば、有底筒型形状、有底角型形状、薄型形状、コイン形状、ラミネート形状、シート形状およびペーパー形状などが挙げられ、これらのいずれであってもよい。また、組み込まれるシステムや機器の形を考慮した馬蹄形や櫛型形状等の異型のものであってもよい。なかでも、電池内部の熱を効率よく外部に放出する観点から、比較的平らで大面積の面を少なくとも一つを有する有底角型形状や薄型形状などの角型形状が好ましい。
有底筒型形状の電池では、充填される発電素子に対する外表面積が小さくなるので、充電や放電時に内部抵抗により発生するジュール発熱を効率よく外部に逃がす設計にすることが好ましい。また、熱伝導性の高い物質の充填比率を高め、内部での温度分布が小さくなるように設計することが好ましい。図2は、有底筒型形状リチウムイオン非水二次電池100の一例である。この電池は、セパレータ12を介して重ね合わせた正極シート14、負極シート16を巻回して外装缶18内に収納した有底筒型リチウムイオン非水二次電池100となっている。
有底角型形状では、一番大きい面の面積S(端子部を除く外形寸法の幅と高さとの積、単位cm)の2倍と電池外形の厚さT(単位cm)との比率2S/Tの値が100以上であることが好ましく、200以上であることが更に好適である。最大面を大きくすることにより高出力かつ大容量の電池であってもサイクル性や高温保存等の特性を向上させるとともに、発熱時の放熱効率を上げることができ、いわゆる「弁作動」という状態になることを抑制することができる。
ラミネート形状の電池の一例を図4に示す。図4に示されるラミネート型リチウムイオン非水二次電池200は、正極集電体71aと正極合剤層71bからなる正極71と、負極合剤層72bと負極集電体72aからなる負極72と、これらの2つの電極により合剤層側を内側にして挟まれたセパレータ73と、それらを収容する電池外装70とを備える。正極および負極はそれぞれタブリード(図中では省略)を備える。正極合剤層71bとセパレータ73と負極合剤層72bには、本実施形態の非水電解液76が含浸されている。図4では、電池外装70と正極71、負極72およびセパレータからなる積層体との間に非水電解液76を示しているが、電池外装70と上記積層体とが接していてもよい。
ラミネート形状の電池は、上記正極および負極の間にセパレータを設置して、何層にも重ねた構成としてもよい(例えば、正極/セパレータ/負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極)。この場合、合剤層は集電体の片面に形成してもよく、両面に形成してもよい。
<電池を構成する部材>
本実施形態のリチウムイオン非水二次電池は、図1に基づいて述べると、非水電解液5、正極C及び負極A、セパレータ9の基本部材を具備して構成される。以下、これらの各部材について説明する。
(正極および負極)
正極および負極は、集電体(電極基材)上に活物質、導電助剤、結着剤、フィラーなどの混合物(電極合剤)を塗布したものであることが好ましい。リチウムイオン非水二次電池においては、活物質が正極活物質である正極合剤と活物質が負極活物質である負極合剤とを使用することが好ましい。
次に、電極合剤を構成する各成分等について説明する。
・正極活物質
正極活物質には遷移金属酸化物を用いることが好ましく、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物であることが好ましい。中でも、遷移元素M(Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Vから選択される1種以上の元素)を有することが好ましい。また、混合元素M(リチウム以外の周期表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなど)を混合してもよい。
遷移金属酸化物の具体例としては、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物、(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物、(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化物等が挙げられる。
(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi(ニッケル酸リチウム)、LiNi0.85Co0.10Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi0.33Co0.33Mn0.33(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[LNMC])、LiNi0.5Mn0.5(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiCoMnO、LiFeMn、LiCuMn、LiCrMn、LiNiMn、LiMn(マンガン酸リチウム[LMO])、LiNi0.5Mn1.5(ニッケルマンガン酸リチウム[LNMO])が挙げられる。
(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、LiFePO、LiFe(PO等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP等のピロリン酸鉄類、LiCoPO(リン酸コバルトリチウム[LCP])等のリン酸コバルト類、Li(PO(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、LiFePOF等のフッ化リン酸鉄塩、LiMnPOF等のフッ化リン酸マンガン塩、LiCoPOF等のフッ化リン酸コバルト類が挙げられる。
(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化物としては、例えば、LiFeSiO、LiMnSiO、LiCoSiO等が挙げられる。
本発明において正極活物質には、式(I)で表される金属化合物を酸化可能な充電領域を有するものを用いることが好ましい。具体的には、3.5V以上の正極電位(Li/Li基準)で通常使用を維持できる材料を用いることが好ましい。この正極電位は、3.8V以上がより好ましく、3.9V以上がさらに好ましく、4V以上が特に好ましい。この正極電位は、なかでも4.1V以上が好ましく、4.2V以上が最も好ましい。上限は特に制限されるものではない。ただし、5.2V以下が実際的である。このような範囲とすることで、サイクル特性および高レート放電特性を向上することができる。
ここで、通常使用を維持できるとは、その電圧で充電を行った際でも電極材料が劣化して使用不能になることがないことを意味し、この電位を通常使用可能電位ともいう。
充放電時の正極電位(Li/Li基準)は、下記式で表される。
(正極電位)=(負極電位)+(電池電圧)
負極としてチタン酸リチウムを用いた場合、負極電位は1.55Vとする。負極として黒鉛を用いた場合は負極電位は0.1Vとする。充電時に電池電圧を観測し、正極電位を算出する。
本発明の非水電解液は、高電位の正極と組み合わせて用いることが特に好ましい。高電位の正極を用いると、通常、非水二次電池における抵抗値等の電気的性質が大きく低下しがちであるが、本発明の好ましい実施形態によれば非水電解液は、この低下を抑えた良好な性能を維持することができる。
そのため、本発明の非水二次電池は高電位駆動での使用に好ましく用いることができ、例えば、駆動電位が4.6V以上の非水二次電池を好ましく挙げることができる。上限は特に制限されるものではないが、実際的な駆動電位の上限は、5.2V以下である。
ここで、駆動電位とは、充電時の設定電位の上限を意味する。
正極活物質は、粒子状にして用いてもよい。
本発明の非水二次電池、好ましくはリチウムイオン非水二次電池において、用いられる正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1μm〜50μmが好ましい。比表面積としては特に限定されないが、BET法で0.01m/g〜50m/gであるのが好ましい。また、正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては、7以上12以下が好ましい。
正極活物質を所定の粒子サイズにするには、通常の粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、振動ミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤で洗浄した後に使用してもよい。
正極活物質の配合量は特に限定されないが、活物質層を構成するための混合物(電極合剤)中、固形成分100質量%において、60〜98質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。
・負極活物質
負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。このような条件を満たすものであれば、特に制限はない。
例えば、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、カルコゲナイド、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金およびSnもしくはSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせで用いてもよく、この場合の比率はどのような比率でも構わない。なかでも炭素質材料またはリチウム複合酸化物は、信頼性の点から好ましい。
また、金属複合酸化物としては、リチウムの吸蔵、放出が可能であるものが好ましく、構成成分としてチタンおよび/またはリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛およびPAN系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62−22066号公報、特開平2−6856号公報、同3−45473号公報に記載されているような面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5−90844号公報に記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−4516号公報に記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
負極活物質としての金属酸化物および金属複合酸化物は、非晶質酸化物が好ましい。さらに、負極活物質としては、金属元素と周期表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイドも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°〜40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線のうち最も強い強度は、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以下が好ましく、5倍以下がより好ましく、結晶性の回折線を有さないことが特に好ましい。
上記非晶質酸化物およびカルコゲナイドからなる化合物群のなかでも、半金属元素の非晶質酸化物およびカルコゲナイドがより好ましく、周期表第13(IIIB)族〜15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、Biの1種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、およびカルコゲナイドが特に好ましい。好ましい非晶質酸化物およびカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga、SiO、GeO、SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、Bi、Bi、SnSiO、GeS、SnS、SnS、PbS、PbS、Sb、Sb、SnSiSなどが好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、LiSnOであってもよい。
上記負極活物質の平均粒子サイズは、0.1μm〜60μmが好ましい。所定の粒子サイズにするには、通常の粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
上記焼成法により得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の質量差から算出できる。
Sn、Si、Geを中心とする非晶質酸化物負極活物質に併せて用いることができる負極活物質は、リチウムイオンまたはリチウム金属を吸蔵・放出できる炭素材料や、リチウム、リチウム合金、リチウムと合金可能な金属が好適に挙げられる。
・導電助剤
導電助剤は、構成された非水二次電池、好ましくはリチウムイオン非水二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料が好ましく、公知の導電助剤を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−10148,554号公報に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号公報に記載)などの導電性材料を1種またはこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用が特に好ましい。上記導電助剤の添加量は、混合物(電極合剤)中、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
・結着剤
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂およびゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。
結着剤は、1種単独または2種以上を混合して用いることができる。結着剤の添加量が少ないと、電極合剤の保持力・凝集力が弱くなる。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位質量当たりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
・フィラー
電極合剤は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の非水二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料が好ましい。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、混合物(電極合剤)中、0〜30質量%が好ましい。
・集電体
正極および負極の集電体としては、化学変化を起こさない電子伝導体が用いられることが好ましい。
正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
負極の集電体としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金がより好ましい。
集電体の形状としては、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット状のもの、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。集電体の厚みは、特に限定されない。なお、1μm〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材により非水二次電池(好ましくはリチウムイオン非水二次電池)の電極が形成される。
(セパレータ)
本発明の非水二次電池(好ましくはリチウムイオン非水二次電池)に用いられるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、および正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料で構成されていることが好ましい。このような材料として、多孔質の、ポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料またはガラス繊維などが用いられる。
セパレータは信頼性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間(孔)を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下が好ましい。
セパレータの孔の形状は、通常は円形や楕円形で、大きさは0.05μm〜30μmが好ましく、0.1μm〜20μmがより好ましい。さらに延伸法、相分離法で作った場合のように、棒状や不定形の孔であってもよい。これらの隙間の占める比率すなわち気孔率は、20%〜90%が好ましく、35%〜80%がより好ましい。
上記ポリマー材料としては、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの単一の材料を用いても、2種以上の成分からなる複合化材料を用いたものであってもよい。孔径、気孔率や孔の閉塞温度などを変えた2種以上の微多孔フィルムを積層したものが、好ましい。
上記無機材料としては、アルミナや二酸化珪素等の酸化物類、窒化アルミや窒化珪素等の窒化物類、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩類が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01μm〜1μm、厚さが5μm〜50μmのものが好適に用いられる。
このような独立した薄膜形状以外に、上記無機材料の粒子を含有する複合多孔層を樹脂製の結着剤を用いて、正極および/または負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子をフッ素樹脂の結着剤を用いて多孔層として形成させることが挙げられる。
<非水二次電池の作製>
本発明の非水二次電池(好ましくはリチウムイオン非水二次電池)の形状としては、既述のように、シート状、角型、シリンダー状などいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。
以下、図2により、有底筒型形状リチウムイオン非水二次電池100を例に挙げて、その構成及び作製方法について説明する。
有底筒型形状の電池では、充填される発電素子に対する外表面積が小さくなるので、充電や放電時に内部抵抗により発生するジュール発熱を効率よく外部に逃がす設計にすることが好ましい。また、熱伝導性の高い物質の充填比率を高め、内部での温度分布が小さくなるように設計することが好ましい。この電池は、セパレータ12を介して重ね合わせた正極シート14、負極シート16を巻回して外装缶18内に収納した有底筒型リチウムイオン非水二次電池100となっている。その他、図中の20が絶縁板、22が封口板、24が正極集電体、26がガスケット、28が圧力感応弁体、30が電流遮断素子である。なお、拡大した円内の図示は視認性を考慮しハッチングを変えているが、各部材は符号により全体図と対応している。
まず、負極活物質と、所望により用いられる結着剤やフィラーなどを有機溶剤中で混合して、スラリー状あるいはペースト状の負極合剤を調製する。得られた負極合剤を集電体の両面の全面にわたって均一に塗布し、その後、有機溶剤を除去して負極合剤層を形成する。さらに、集電体と負極合材層との積層体をロールプレス機等により圧延して、所定の厚みに調製して負極シート(電極シート)を得る。このとき、各剤の塗布方法や塗布物の乾燥、正・負極の電極の形成方法は定法によればよい。
本実施形態では、円筒形の電池を例に挙げたが、本発明はこれに制限されない。例えば、上記方法で作製された正・負の電極シートを、セパレータを介して重ね合わせた後、そのままシート状電池に加工するか、あるいは、折り曲げた後、角形缶に挿入して、缶とシートを電気的に接続した後、電解質を注入し、封口板を用いて開口部を封止して角形電池を作製してもよい。
いずれの実施形態においても、安全弁を開口部を封止するための封口板として用いることができる。また、封口部材には、安全弁の他、従来知られている種々の安全素子を備えつけてもよい。例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタル、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子などが好適に用いられる。
また、上記安全弁のほかに電池缶の内圧上昇の対策として、電池缶に切込を入れる方法、ガスケット亀裂方法あるいは封口板亀裂方法あるいはリード板との切断方法を利用することができる。また、充電器に過充電や過放電対策を組み込んだ保護回路を具備させるか、あるいは独立に接続させてもよい。
缶やリード板は、電気伝導性をもつ金属や合金を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムなどの金属あるいはそれらの合金が好適に用いられる。
キャップ、缶、シート、リード板の溶接法は、通常の方法(例えば、直流または交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることができる。封口用シール剤は、アスファルトなどの従来知られている化合物や混合物を用いることができる。
<非水二次電池の用途>
リチウム電池と呼ばれる非水二次電池は、充放電反応にリチウムイオンの吸蔵および放出を利用する非水二次電池(リチウムイオン非水二次電池)と、リチウムの析出および溶解を利用する非水二次電池(リチウム金属非水二次電池)とに大別される。本発明においてはリチウムイオン非水二次電池としての適用が好ましい。
本発明の非水二次電池は、充放電による抵抗上昇の抑制および、保存性に優れるため、種々の用途に適用することができる。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。さらに、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。なお、特に断らない限り、部および%は質量基準である。
実施例1
以下のようにして、非水電解液(以下、単に電解液とも称す。)を調製した。
(1)リチウム塩を溶解させた非水溶液の調製
下記に示す体積比により各溶媒を混合し、下記のリチウム塩が下記の濃度となるように溶解して、非水溶液1〜4を調製した。
・非水溶液1
1M LiPFのエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(体積比1対2)溶液
・非水溶液2
1M LiPFのエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/エチルメチルカーボネート(体積比1対1対1)溶液
・非水溶液3
1M LiBFのエチレンカーボネート/プロピレンカーボネート/γ−ブチロラクトン(体積比25対5対70)溶液
・非水溶液4
1M LiPFのエチレンカーボネート/フルオロエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(体積比20対10対70)溶液
上記電解質や非水溶媒はいずれもキシダ化学社製である。
(2)電解液の調製
上記で調製した各非水溶液に対し、本発明に用いられる、式(I)で表される金属化合物(表中では「添加剤I」と表示する)および/または負極表面に絶縁膜を形成する化合物(表中では「添加剤C」と表示する)を下記表1に示す添加量でそれぞれ添加し、試験No.1〜8の電解液(本発明)およびNo.c1〜c4の電解液(比較例)を調製した。
(3)添加剤Cの還元電位の測定
測定は以下のように行った。
上記非水溶液1に添加剤Cを1質量%溶解させた溶液を用意し、下記条件でサイクリックボルタンメトリー測定を行った。また、上記非水溶液1(添加剤C無添加)についても、同様に下記条件でサイクリックボルタンメトリー測定を行った。
・作用極:グラッシーカーボン(GC)
・対極:白金黒電極(PtB)
・走査電位:3.0V〜0V
・走査速度:5mV/s
表1に記載の添加剤C(VC:ビニレンカーボネートを除く)はいずれも、上記条件でのサイクリックボルタンメトリー測定において、1.3V(Li/Li基準)以上に還元電位のピークトップを有し、絶縁膜を形成した。0Vでの還元電流は、添加剤Cを無添加の場合と比較して、1/10以下であった。
試験No.c3においては、下記の化合物VC(ビニレンカーボネート)を添加剤Cとして使用した。この化合物VCは、上記サイクリックボルタンメトリー測定において、1.0V(Li/Li基準)未満に還元電位のピークトップを有した。0Vでの還元電流は、添加剤Cを無添加の場合と比較して、1.6倍であった。これは0V付近で溶媒と共に絶縁膜を形成するためと推測している。
Figure 2017068978
(4)リチウムイオン非水二次電池の作製
上記で調製した各電解液を使用して、リチウムイオン非水二次電池(ラミネート型電池)を作製した。
<正極>
・LNMC
活物質:ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(LiNi0.33Co0.33Mn0.33) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、結着剤:PVDF(ポリフッ化ビニリデン) 8質量%の正極合剤ペーストを調製した。
・LMO
活物質:マンガン酸リチウム(LiMn) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、結着剤:PVDF(ポリフッ化ビニリデン) 8質量%の正極合剤ペーストを調製した。
・LCO
活物質:コバルト酸リチウム(LiCoO) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、結着剤:PVDF(ポリフッ化ビニリデン) 8質量%の正極合剤ペースト調製した。
・LNMO
活物質:ニッケルマンガン酸リチウム(LiNi0.5Mn1.5) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、結着剤:PVDF(ポリフッ化ビニリデン) 8質量%の正極合剤ペーストを調製した。
・LCP
活物質:リン酸コバルトリチウム(LiCoPO) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、結着剤:PVDF(ポリフッ化ビニリデン) 8質量%の正極合剤ペーストを調製した。
<負極>
・黒鉛
活物質:Gr(天然黒鉛) 92質量%、結着剤:PVDF(ポリフッ化ビニリデン) 8質量%の負極合剤ペーストを調製した。
<セパレータ>
厚みが25μmのポリプロピレン製のセパレータを用意した。
〔リチウムイオン非水二次電池の作製〕
上記で調製した合剤ペーストを使用して、ラミネート型電池を作製した。このラミネート型電池は、図4の構成を有し、正極集電体71a(アルミニウム箔)/正極合剤層71b/セパレータ73/負極合剤層72b/負極集電体72a(銅箔)の積層構造を有する。以下詳述する。
上記で調製したLNMCの正極合剤ペーストを、アルミニウム箔集電体の片面に塗布し、乾燥した。その後、加圧処理し、裁断して帯状の正極シートを作製した。また、負極合剤ペーストを、銅箔集電体の片面に塗布し、乾燥した。その後、加圧処理し、裁断して負極シートを作製した。上記正極シート及び負極シートにタブリードを接着したのち、上記正極シート、ポリプロピレン製セパレータ、上記負極シートの順に、各合剤層がセパレータに接するように積層して、積層体を得た。得られた積層体に、上記試験No.1の電解液を積層体に含浸させて、試験No.1のラミネート型電池を作製した。
上記作製方法において、電解液および正極合剤ペーストを表1に記載のものに変更した以外は上記と同様にして、試験No.2〜8および試験No.c1〜c4のラミネート型電池を作製した。
上述のようにして得られた各電解液および各電池について、以下の評価を行った。
<初期抵抗、抵抗上昇率>
上記の方法で作製したラミネート型電池を用いて、30℃の恒温槽中、12.0mAで電池電圧が4.3Vになるまで1C定電流充電を行った。その後、4.3V定電圧での充電を電流値が0.36mAになるまで継続した。ただし、充電時間の上限を2時間とした。次に12.0mAで電池電圧が3Vになるまで1C定電流放電を行った。上記の定電流充電→定電圧充電→定電流放電の充放電を1サイクルとした。10サイクルまで充放電を繰り返した後の抵抗値(以下、「R10」と記す。表1においては「初期抵抗」)、およびその後300サイクルまで充放電を繰り返した後の抵抗値(以下、「R300」と記す。)を、以下に示す方法で測定した。
(抵抗値の測定方法)
上記ラミネート型電池を用いて1.2mAおよび3.0mAで放電を行い、10秒後〜20秒後までの電圧変化量をそれぞれ算出した(ΔV1.2およびΔV3.0)。この電圧変化量の差を放電時の電流差で割った値を抵抗値R[Ω]とした。
抵抗値R[Ω]=(ΔV3.0−ΔV1.2)[mV]/(3.0−1.2)[mA]
上記式により得られたR10およびR300を基に、下記式に基づいて、抵抗上昇率[%]を算出した。
抵抗上昇率[%]=(R300/R10)×100
<保存性(容量維持特性)>
上記の方法で作製したラミネート型電池を用いて、30℃の恒温槽中、2.4mAで電池電圧が4.3Vになるまで0.2C定電流充電を行った。その後、4.3V定電圧での充電を電流値が0.09mAになるまで継続した(ただし、充電時間の上限を14時間とした)。次に12.0mAで電池電圧が3Vになるまで1C定電流放電を行った。上記の定電流充電→定電圧充電→定電流放電の充放電を1サイクルとした。そして、このサイクルを3回繰り返した。このときの3回目の電気容量をQとする。
次に、再度30℃の恒温槽中、2.4mAで電池電圧が4.5Vになるまで0.2C定電流充電を行った。その後、4.5V定電圧での充電を電流値が0.09mAになるまで継続し、充電処理を完了させた(充電時間の上限を14時間とした)。
充電処理が完了したラミネート型電池を60℃の恒温槽中1週間保管した後、30℃の恒温槽中、2.4mAで電池電圧が4.3Vになるまで0.2C定電流充電を行った。その後、4.3V定電圧での充電を電流値が0.09mAになるまで継続した(ただし、充電時間の上限を14時間とした)。次に12.0mAで電池電圧が3Vになるまで1C定電流放電を行った。上記の定電流充電→定電圧充電→定電流放電の充放電を1サイクルとした。そして、このサイクルを2回繰り返した。このときの2回目の電気容量をQとする。
上記で得られた電気容量QおよびQをもとに、下記式に基づき、保存性[%]を評価した。
保存性[%]=Q/Q×100
<不可逆容量>
図6を参照しながら説明する。
上記の方法で作製したラミネート型電池を用いて、30℃の恒温槽中、2.4mAで電池電圧が4.3Vになるまで0.2C定電流充電を行った。その後、4.3V定電圧での充電を電流値が0.09mAになるまで継続した(ただし、充電時間の上限を14時間とした)。次に12.0mAで電池電圧が3Vになるまで1C定電流放電を行った。上記の定電流充電→定電圧充電→定電流放電の充放電を1サイクルとした。そして、このサイクルを20回繰り返した。このときの3回目の電気容量をQとし、20回目の電気容量をQとする。
上記で得られた電気容量QおよびQをもとに、下記式に基づき、不可逆容量[%]を評価した。
不可逆容量[%]=(Q−Q)/Q×100
電池の初期化に必要な時間を減らせるため、不可逆容量は小さい値であるほうが好適である。
図6(a)に添加剤IおよびCをいずれも無添加の場合、図6(b)に添加剤Iのみ添加した場合、図6(c)に添加剤IおよびCを添加した場合の電気容量の変化のグラフの例を示す。図6(b)において不可逆容量を図示しているが、これは図6(a)および(c)においても同様である。
添加剤IおよびCを無添加の場合、電気容量の最大値に少ないサイクル数で達する(図6(a))。添加剤Iのみ添加した場合には、電気容量の最大値に達するまでに20回程度のサイクル数が必要となる(図6(b))。これは添加剤Iの還元分解に電荷が消費されているためと考えられ、不可逆容量増大の原因となる。これに対し、添加剤IおよびCを添加した場合には、少ないサイクル数で電気容量の最大値に達しており、負極での添加剤Iの還元分解が添加剤Cにより抑制されていると考えられる(図6(c))。
得られた結果を下記表1にまとめた。
Figure 2017068978
本発明の非水電解液を使用した非水二次電池No.1〜8は、初期抵抗および抵抗上昇率が低く、保存性に優れ、不可逆容量が小さく、初期容量の低下抑制に優れていた。
これに対して、添加剤Iおよび添加剤Cを含まない非水電解液を使用した非水二次電池No.c1は、抵抗上昇率の抑制が十分でなかった。また、添加剤Cを含まない非水電解液No.c2を使用した非水二次電池は、不可逆容量が大きく、初期容量が低下していた。VCを含む非水電解液を使用した非水二次電池No.c3は、不可逆容量が大きく、初期容量が低下していた。添加剤Cを5質量%を超えて含む非水電解液を使用した非水二次電池No.c4は、初期抵抗が高かった。
実施例2
実施例1において、正極、非水溶液、添加剤Iおよび添加剤Cをそれぞれ表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、試験No.11〜24およびNo.c11〜c14のラミネート型電池を作製した。
得られたラミネート型電池について、初期抵抗、抵抗上昇率、保存性、および不可逆容量を実施例1と同様にして評価した。ただし、各評価において、定電流充電時の到達電圧および定電圧充電時の充電電圧をいずれも4.3Vから4.8Vへ変更した。また、保存性の評価において、保管前の定電流充電時の到達電圧および定電圧充電時の充電電圧をいずれも4.5Vから5.0Vに変更した。
得られた結果を表2に示す。
Figure 2017068978
表2から明らかなように、本発明の非水電解液を使用した非水二次電池No.11〜24は、初期抵抗および抵抗上昇率が低く、保存性に優れ、不可逆容量が小さく、初期容量の低下抑制に優れていた。本発明の非水電解液は高電位の正極と組み合わせても使用することができることが分かる。
これに対して、添加剤Iおよび添加剤Cを含まない非水電解液を使用した非水二次電池No.c11は、抵抗上昇率の抑制が十分でなかった。また、添加剤Cを含まない非水電解液No.c12を使用した非水二次電池は、不可逆容量が大きく、初期容量が低下していた。VCを含む非水電解液を使用した非水二次電池No.c13は、不可逆容量が大きく、初期容量が低下していた。添加剤Cが5質量%を超えて含有された非水電解液を使用した非水二次電池No.c14は、初期抵抗が高かった、。
C 正極
1 正極導電材(集電体)
2 正極合剤層(正極活物質層)
A 負極
3 負極導電材(集電体)
4 負極合剤層(負極活物質層)
5 非水電解液
6 動作機構
7 回路配線
9 セパレータ
10 リチウムイオン非水二次電池
12 セパレータ
14 正極シート
16 負極シート
18 負極を兼ねる外装缶
20 絶縁板
22 封口板
24 正極集電体
26 ガスケット
28 圧力感応弁体
30 電流遮断素子
100 有底筒型形状リチウムイオン非水二次電池
61 負極端子(上蓋)
62 負極
63 セパレータ(電解液を含む)
64 ガスケット(シール材)
65 正極
66 正極管(底蓋)
200 ラミネート型リチウムイオン非水二次電池
70 電池外装
71 正極
71a 正極集電体
71b 正極合剤層
73 セパレータ
72 負極
72b 負極合剤層
72a 負極集電体
76 非水電解液

Claims (6)

  1. 下記式(I)で表される金属化合物と、Li/Li基準で1.0V以上の電位で還元され負極表面に絶縁膜を形成する化合物とを含有し、前記負極表面に絶縁膜を形成する化合物の含有量が非水電解液全質量中に5質量%以下である非水電解液。
    Figure 2017068978
    式(I)において、Rは1価の有機基を表し、Mは遷移金属元素を表す。
    nはMの価数を表し、pは1以上の整数、qは0または1以上の整数を表し、p+2q=nである。
    が複数存在する場合、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R同士はそれぞれ結合していてもよく、結合により環を形成していてもよい。
  2. 前記式(I)における少なくとも1つのRが、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、スルホン酸基、カルボニル基含有基および下記式(CP)で表わされる基からなる群から選択される1種である請求項1に記載の非水電解液。
    Figure 2017068978
    式(CP)において、Rはアルキル基、アルキルシリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルスルファニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、カルボキシル基、カルボニル基含有基、スルホニル基含有基、ホスフィニル基またはハロゲノ基を表す。aは0〜5の整数を表す。*はMとの連結部位を表す。
    aが2以上の整数の場合、複数のRが結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。
  3. 前記式(I)におけるMが、Zr、TiおよびFeからなる群から選択される1種である請求項1または2に記載の非水電解液。
  4. 前記式(I)で表される金属化合物の含有量が、0.1mol/L以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解液。
  5. 前記Li/Li基準で1.0V以上の電位で還元され負極表面に絶縁膜を形成する化合物が、オキサラトホウ酸塩またはアクリロイル基含有化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解液。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解液を含有し、正極および負極を有する非水二次電池。
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