JP2013131374A - 複合素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力の高さを維持しながら、安定して充放電を行うことができる複合素子および複合素子用非水電解質を提供する。
【解決手段】複合素子は、第1電気化学素子を構成する第1極板群と、第1電気化学素子よりも出力が高い第2電気化学素子を構成する第2極板群と、これらの極板群の両方と接触する非水電解質と、これらを収容するケースとを含む。非水電解質は、溶質とともに、リチウムに対して0.8V以上の電位で還元され得る添加剤と、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、低粘度溶媒とを、特定の含有量(質量%)で含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、複合素子に関し、特に、複合素子に使用される非水電解質の改良に関する。
携帯機器の高性能化、電気自動車やハイブリッド自動車の開発に伴い、これらの機器に装備される電源装置の高性能化が強く要求されている。これらの機器では、高性能化に伴って、負荷変動が大きくなるので、電源装置には高出力特性が求められる。また、長時間の使用を可能にするためには、電源装置の容量を高める必要がある。
高容量と高出力とは、一般に、相反する性質であるため、単一の電池などの電源装置でこれらの性質を両立させることは困難である。そこで、種類の異なる電気化学素子、例えば、種類の異なる電池や電池とコンデンサとの組み合わせなどの、複合素子が着目されている。しかし、複数の電気化学素子を単に組み合わせて用いるだけでは、サイズが大きくなるため、機器への装備に支障を来す場合がある。また、一般に、電源装置の高出力化では、機器の動作に必要とされる最大電流を想定して電源装置の設計を行うため、電源装置を小型化することが難しくなる。
そこで、複合素子を小型化する技術が検討されている。例えば、特許文献1は、コンデンサ一体型電池を開示している。このコンデンサ一体型電池では、単一素子内に、コンデンサと電池とを、電槽の少なくとも一部を共有した状態で一体化することにより、小型化している。特許文献2は、同一種の正極活物質を用いた大容量二次電池と高出力二次電池とを備えた複合電池を開示している。
また、特許文献3は、単位容量当たりの極板面積が互いに異なる、高容量型正極部と高出力型正極部とを備える非水電解質二次電池を開示している。
特開平4−233170号公報 特開2005−293977号公報 特開2007−188816号公報
特許文献1または2では、コンデンサや電池などの電気化学素子間で、非水電解質を共通して使用している。特許文献3でも、特性の異なる正極部に対して、1つの非水電解質を用いている。このように、非水電解質を共通して使用できれば、複合素子の小型化の点で有利である。
非水電解質は、通常、非水溶媒およびこれに溶解した溶質を含む。汎用される非水電解質では、非水溶媒として、極性は低いが低粘度である鎖状カーボネートと、極性は高いが比較的高粘度の環状カーボネートとを組み合わせて用いる。具体的に、電池では、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを組み合わせたEC/EMC混合溶媒が汎用され、コンデンサでは、プロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)とを組み合わせたPC/DMC混合溶媒が汎用されている。
しかし、複合素子では、各電気化学素子の性能が異なるため、従来の非水電解質を用いると、不具合が生じる。例えば、特許文献1のように、電池とコンデンサとを含む複合素子では、非水溶媒として、電池に汎用されるEC/EMC混合溶媒を用いると、ECの耐電圧が低いため、コンデンサの耐電圧が低下して高出力が得られない場合がある。また、リチウムイオン二次電池とコンデンサとを含む複合素子では、コンデンサに汎用されるPC/DMC混合溶媒を用いると、リチウムイオン二次電池の負極でPCの還元分解が起こり、充放電ができなくなる場合がある。
特許文献2のように、大容量電池と高出力電池とを含む複合素子に、電池に汎用されるEC/EMC混合溶媒を用いると、高出力電池において、特に高温環境下においてガス発生が多くなり、未反応部分が生じてリチウムが負極に析出し易くなる。リチウムが析出すると、充放電サイクルで容量維持率が低下し易い。また、大容量電池でも、高出力電池と同様の問題があるが、活物質の量が多いため、高温下でのガスの発生が顕著になり易い。ガスが発生すると、角型電池や、ラミネートシートで発電要素を包んだだけのパウチ型電池では、電池の膨れが大きくなる。特に、Niを含むリチウム含有複合酸化物を正極活物質として用いる場合には、ガスの発生量が多くなる傾向にある。
特許文献3では、EC:EMCの体積比が1:3であるEC/EMC系混合溶媒が使用されている。しかし、特許文献3の電池は、高容量型正極部と高出力型正極部とを備えるため、上記特許文献2の場合と同様の問題が生じる。
本発明の目的は、特定の組成を有する非水電解質を用いることにより、出力特性の異なる電気化学素子に共通して使用しても、出力特性の相違に基づく不具合を改善でき、出力の高さを維持しながら、安定して充放電を行うことができる複合素子を提供することである。
本発明の一局面は、第1電気化学素子を構成する第1極板群と、第1電気化学素子よりも出力が高い第2電気化学素子を構成する第2極板群と、第1極板群および第2極板群の両方と接触する非水電解質と、第1極板群、第2極板群および非水電解質を収容するケースとを含む複合素子に関する。複合素子において、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質と、リチウムに対して0.8V以上の電位で還元され得る添加剤とを含み、非水溶媒が、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、低粘度溶媒とを含み、低粘度溶媒が、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートよりも低粘度であり、非水電解質全体に占める、エチレンカーボネートの含有量MECが5〜30質量%であり、プロピレンカーボネートの含有量MPCが15〜60質量%であり、低粘度溶媒の含有量MLVが10〜55質量%であり、添加剤の含有量MADDが1〜10質量%である。
本発明によれば、高い出力を維持しながらも、安定して充放電を行うことができる複合素子を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る複合素子の一部を切欠した斜視図である。 図1の複合素子のケース付近の第1極板群および第2極板群の配置を示す要部縦断面図である。
本発明の複合素子は、第1電気化学素子を構成する第1極板群と、第2電気化学素子を構成する第2極板群と、非水電解質と、これらを収容するケースを含む。複合素子において、第2電気化学素子は、第1電気化学素子よりも出力が高い。非水電解質は、特定の組成を有しており、第1極板群および第2極板群の両方と接触している。第1電気化学素子は、上記非水電解質と第1極板群とを含んでおり、第2電気化学素子は、上記非水電解質と第2極板群とを含んでいる。すなわち、第1電気化学素子と第2電気化学素子とは、非水電解質およびケースを共有している。
「出力が高い」とは、電極の単位面積当たりの電流値が大きい、または電極の単位容量当たりの電極面積が大きいことを意味する。つまり、第2電気化学素子は、第1電気化学素子に比べて、短時間でより大きな電気を供給することができる点で優れている。そのため、「出力が高い」とは、より高い電流値において放電が可能であるとも言える。
第1電気化学素子および第2電気化学素子としては、充放電可能な電気化学素子が使用できる。具体的には、二次電池、コンデンサなどが例示できる。本発明では、第1極板群および第2極板群の両方と接触する非水電解質を用いる必要があるため、各電気化学素子としては、通常、リチウムイオン二次電池またはリチウムイオンコンデンサが使用できる。
なお、リチウムイオンコンデンサとは、活性炭などの電気二重層キャパシタ用の正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な炭素材料などのリチウムイオン二次電池の負極とを組み合わせたコンデンサである。リチウムイオンコンデンサでは、予め、負極にリチウムイオンをドープすることにより、負極電位が低くなっており、使用電圧を高くすることができる。
コンデンサは、二次電池よりも出力が高いため、第2電気化学素子に使用するのに適している。また、リチウムイオン二次電池は、電極の単位面積当たりの電流値を大きくしたり、または電極の単位容量当たりの電極面積を大きくしたりすることにより、出力を高めることができる。そのため、このようなリチウムイオン二次電池を、第2電気化学素子として使用することもできる。
しかし、第2電気化学素子として使用されるリチウムイオンコンデンサやリチウムイオン二次電池は、出力が高い反面、長時間の連続放電には適さない。複合素子の長時間の連続放電を可能にするためには、第1電気化学素子として、第2電気化学素子に比べて容量の大きなものを用いることが好ましい。そのため、第1電気化学素子としては、リチウムイオン二次電池を用いることが好ましい。
第1および第2電気化学素子としてのリチウムイオン二次電池の出力は、例えば、正極の単位容量当たりの電極面積で表わすことができる。第1電気化学素子としてのリチウムイオン二次電池において、正極の単位容量当たりの電極面積S1は、例えば、50〜180cm2/Ah、好ましくは70〜150cm2/Ah、さらに好ましくは80〜120cm2/Ahである。
第2電気化学素子としてのリチウムイオン二次電池において、正極の単位容量当たりの電極面積S2は、第1電気化学素子の電極面積S1よりも大きく、その比S2/S1は、例えば、1.2以上、好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.7以上である。また、比S2/S1は、例えば、5以下、好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。これらの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。S2/S1が、このような範囲では、大電流放電を効率よく行うことができるとともに、大電流放電後も安定した放電が可能である。
第2電気化学素子は、高出力である。電極面積S2は、例えば、150cm2/Ah以上、好ましくは170cm2/Ah以上、さらに好ましくは180cm2/Ah以上である。また、電極面積S2は、例えば、280cm2/Ah以下、好ましくは250cm2/Ah以下、さらに好ましくは220cm2/Ah以下である。これらの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
なお、電極面積S1およびS2は、それぞれ、負極と対向する正極の極板面積である。
相対的に出力の低い第1電気化学素子だけを用いる場合、ある程度の大きさの電流は確保できるものの、放電レートが想定以上に高くなると、電圧が急に下がるため、放電できなくなる。そこで、本発明では、第1電気化学素子と高出力の第2電気化学素子とを組み合わせて、複合素子とする。このような複合素子では、放電レートが高くなっても、電圧の急激な低下を抑制することができるので、充放電を安定に行うことができる。
第1電気化学素子としては、第2電気化学素子よりも容量の大きいものを用いるのが好ましい。この場合、第2電気化学素子の出力の高さに起因して連続放電性が低下するのを、より有効に抑制することができる。
第1電気化学素子としてのリチウムイオン二次電池の容量Cv1は、例えば、100〜3,500mAh、好ましくは500〜3,000mAh、さらに好ましくは1,000〜2,500mAhである。Cv1と第2電気化学素子としてのリチウムイオン二次電池の容量Cv2と比Cv1/Cv2は、例えば、1.2〜5、好ましくは1.5〜4、さらに好ましくは1.7〜3である。比Cv1/Cv2が、このような範囲では、大電流放電が行われた後も、電圧の急激な低下を防止することができるため、長時間安定して放電を行うことができる。
第2電気化学素子としてのリチウムイオンコンデンサの静電容量Cc2は、例えば、 0.1〜20F、好ましくは0.5〜10F、さらに好ましくは1〜5Fである。
第1電気化学素子として容量の大きなものを用いると、通常、出力特性は低下しがちである。しかし、本発明では、第2電気化学素子の出力が高いため、出力特性の低下を補うことができる。
具体的に説明すると、大電流放電時には、より高出力の第2電気化学素子が、放電の大部分を担い、大電流放電後には、主に第1電気化学素子から放電が行われる。また、複合素子において、第1電気化学素子と第2電気化学素子とは、第1極板群と第2極板群とが、通常、集電板などを介して並列に接続することにより、並列に電気的に接続されている。そのため、大電流放電後には、第1電気化学素子と第2電気化学素子とが電位的に平衡となるように、第1電気化学素子から、第2電気化学素子への充電が行われる。これにより、パルス放電などの大電流放電時の電圧低下を抑制することができる。なお、大電流放電時とは、第1電気化学素子による放電では不足するような大きな電流が放電される場合をいう。
本発明の複合素子では、特定の組成を有する非水電解質を、第1および第2極板群の両方と接触した状態で使用する。つまり、非水電解質は、第1電気化学素子および第2電気化学素子の両方に出入り可能であり、第1電気化学素子と第2電気化学素子とで、共通する1つの非水電解質を使用する。
従来は、出力特性の異なる電気化学素子に共通する非水電解質を用いると、一方の電気化学素子には適していても、他方の電気化学素子では不具合が生じて、出力の高さが損なわれたり、充放電を安定して行うことができなかったりする問題があった。しかし、本発明では、非水電解質の組成を工夫することにより、出力特性の異なる電気化学素子に共通して用いても、従来の問題を解決できることが明らかとなった。そのため、本発明では、相対的に出力の高い第2電気化学素子の出力の高さを維持しながらも、長時間の放電を可能とし、安定して充放電を行うことができる。また、共通の非水電解質を使用するため、複数の電気化学素子を用いながらも、複合素子の小型化が容易である。
このような非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質と、リチウムに対して0.8V以上の電位で還元され得る添加剤とを含む。非水溶媒は、ECと、PCと、低粘度溶媒とを含有する。低粘度溶媒は、液体状態で、ECおよびPCよりも低粘度である。
そして、非水電解質全体に占める、ECの含有量MECを5〜30質量%に、PCの含有量MPCを15〜60質量%に、低粘度溶媒の含有量MLVを10〜55質量%に、添加剤の含有量MADDを1〜10質量%に、それぞれ調整する。
ECは、イオン伝導性が高いものの、正極での酸化分解によりガスが顕著に発生したり、特に、高出力の第2電気化学素子では、高温環境下におけるガス発生が多くなったりする場合がある。この場合、充放電に関与できない未反応部分が生じてリチウムが負極に析出し易くなるため、電池容量が劣化し易くなり、これにより、充放電サイクルで容量維持率が低下したりする場合がある。そのため、本発明では、PCの含有量が相対的に多い。PCの含有量が多いと、PCが負極で還元分解されて被膜を形成することにより、充放電特性を損なう場合がある。そのため、本発明では、リチウムに対して0.8V以上の電位で還元され得る添加剤を使用する。PCの還元電位は、リチウムに対して約0.9Vであるため、上記のような添加剤を用いることにより、PCの還元電位付近で、添加剤に由来する被膜が負極表面に形成される。これにより、負極表面でPCが還元分解されるのを有効に抑制できる。
一方、ECやPCは粘度が高いため、これらの含有量が多いと、非水電解質の粘度が大きくなる。高い粘度は、特に、高出力の第2電気化学素子に不利である。そのため、低粘度溶媒を用いることにより、非水電解質の粘度を調整する。これにより、リチウムイオンが拡散し易くなるため、第2電気化学素子に有利になる。そのため、大電流放電時の電圧低下を抑制することができる。
このように、EC、PC、低粘度溶媒および添加剤は、相互に作用し合うことにより、非水電解質の効果を発揮する。このような効果を有効に得るために、本発明では、非水電解質全体に占める各成分の含有量を上記の範囲に調整している。
複合素子の各構成要素について、以下に詳細に説明する。
(電気化学素子)
第1および第2電気化学素子に使用される二次電池およびコンデンサとしては、それぞれ、リチウムイオン二次電池およびリチウムイオンコンデンサが好ましい。いずれの場合も、第1および第2電気化学素子は、それぞれ、上記非水電解質とともに、極板群を含む。そして、極板群は、正極、負極、正極と負極との間に介在するセパレータを含む。
電気化学素子の各構成要素について、以下に詳細に説明する。
(1)極板群
(a)正極
リチウムイオン二次電池およびリチウムイオンコンデンサにおいて、正極は、通常、正極集電体と、正極集電体の表面に付着した正極合剤層とを含む。
正極集電体としては、慣用の無孔または多孔性の導電性基板が使用できる。正極集電体に使用される金属材料としては、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、アルミニウム合金などが例示できる。
正極合剤層は、正極集電体の片面または両面に形成できる。正極合剤層は、正極活物質と、結着剤とを含有する。正極合剤層は、必要に応じて、さらに増粘剤、導電材などを含有してもよい。
(a-1)正極活物質
(a-1-1)リチウムイオン二次電池における正極活物質
正極活物質としては、リチウムイオン二次電池の分野で常用される遷移金属酸化物、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物などが例示できる。
遷移金属元素としては、Co、Ni、Mnなどが挙げられる。遷移金属は、一部が異種元素で置換されていてもよい。異種元素としては、Na、Mg、Sc、Y、Cu、Fe、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bなどから選択された少なくとも一種が挙げられる。正極活物質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的な正極活物質としては、例えば、LixNiyzMe1-(y+z)2+d、LixyMe1-y2+d、LixMn24などが挙げられる。
Mは、CoおよびMnからなる群より選択された少なくとも一種の元素である。Meは、上記異種元素であり、好ましくは、Al、Cr、Fe、MgおよびZnからなる群より選択された少なくとも一種の金属元素である。
上記式において、xは、0.98≦x≦1.2、yは、0.3≦y≦1、zは、0≦z≦0.7である。ただし、y+xは、0.9≦(y+z)≦1、好ましくは0.93≦(y+z)≦0.99である。dは、−0.01≦d≦0.01である。
上記式において、xは、好ましくは0.99≦x≦1.1である。
yは、好ましくは、0.7≦y≦0.9、さらに好ましくは0.75≦y≦0.85である。
zは、好ましくは0.05≦z≦0.4、さらに好ましくは0.1≦z≦0.25である。
また、yが、0.25≦y≦0.5(特に、0.3≦y≦0.4)である場合も好ましい。zが、0.5≦z≦0.75(特に、0.6≦z≦0.7)である場合も好ましい。この場合、元素Mは、CoおよびMnの組み合わせであってもよく、CoとMnとのモル比Co/Mnは、0.2≦Co/Mn≦4、好ましくは0.5≦Co/Mn≦2、さらに好ましくは0.8≦Co/Mn≦1.2であってもよい。
本発明では、ECの含有量を比較的少なくできるため、ECを分解させやすいNiを含むリチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として用いる場合であっても、ガス発生を大きく抑制できる。このようなリチウム含有遷移金属酸化物は、上記正極活物質のうち、LixNiyzMe1-(y+z)2+dに相当する。Niを含むリチウム含有遷移金属酸化物は、高容量である点で、第1電気化学素子に適している。
(a-1-2)リチウムイオンコンデンサにおける正極活物質
正極活物質としては、リチウムイオンコンデンサの分野で常用される材料、例えば、活性炭、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレンなどの炭素材料、ポリアセン系半導体(PAS)などが使用できる。これらは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。これらの正極活物質のうち、活性炭が好ましい。
(a-2)その他の成分
リチウムイオン二次電池およびリチウムイオンコンデンサの正極には、必要に応じて、慣用の結着剤、導電剤、増粘剤が使用できる。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂;ポリアクリル酸メチル、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのアクリル樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴムまたはこれらの変性体などのゴム状材料が例示できる。
導電材としては、カーボンブラック;炭素繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン;天然または人造黒鉛などが挙げられる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリエチレングリコールなどのポリC2-4アルキレングリコールなどが挙げられる。
(a-3)正極の作製
リチウムイオン二次電池およびリチウムイオンコンデンサの正極は、それぞれ、慣用の方法で作製できる。
例えば、正極は、正極活物質および結着剤を含む正極スラリーを調製し、正極集電体の表面に塗布することにより形成できる。
正極スラリーには、通常、分散媒が含まれ、必要により導電材、さらには増粘剤を添加してもよい。分散媒としては、例えば、水、エタノールなどのアルコール、テトラヒドロフランなどのエーテル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、またはこれらの混合溶媒などが例示できる。
正極スラリーは、慣用の塗布方法により正極集電体表面に塗布できる。正極スラリーの塗膜は、通常、乾燥され、圧延に供される。
(a-4)その他
リチウムイオン二次電池およびリチウムイオンコンデンサにおいて、正極合剤層の厚みは、例えば、30〜150μmの範囲から選択できる。また、正極合剤層における、単位面積当たりの活物質量は、片面あたり、例えば、10〜50mg/cm2の範囲から選択できる。
正極合剤層の厚みを小さくしたり、活物質量や空隙率を大きくしたり、活物質や正極合剤層の表面積を大きくしたりすることなどにより、出力を高めることができる。
第2電気化学素子として、リチウムイオン二次電池を用いる場合、正極合剤層の厚みは、好ましくは30〜70μm、さらに好ましくは35〜60μmである。正極合剤層における、単位面積当たりの活物質量は、片面あたり、好ましくは10〜30mg/cm2、さらに好ましくは13〜20mg/cm2である。
第2電気化学素子として、リチウムイオンコンデンサを用いる場合、正極合剤層の厚みは、好ましくは100〜300μm、さらに好ましくは150〜200μmである。正極合剤層における、単位面積当たりの活物質量は、片面あたり、好ましくは10〜50mg/cm2、さらに好ましくは20〜40mg/cm2である。
また、第1電気化学素子として使用されるリチウムイオン二次電池では、電池容量を高めるのが有利である。この場合、正極合剤層の厚みは、好ましくは75〜150μm、さらに好ましくは80〜120μmである。正極合剤層における、単位面積当たりの活物質量は、好ましくは25〜50mg/cm2、さらに好ましくは30〜45mg/cm2である。
(b)負極
リチウムイオン二次電池およびリチウムイオンコンデンサにおいて、負極は、負極集電体と、負極集電体に付着した負極合剤層を含む。
負極集電体としては、各分野で使用される慣用の集電体、例えば、無孔または多孔性の導電性基板が使用できる。負極集電体を形成する金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、銅合金などが例示できる。
負極合剤層は、負極活物質と、結着剤とを含む。負極合剤層は、任意成分として、導電材および/または増粘剤を含んでいてもよい。
負極合剤層は、各分野において慣用の方法、例えば、正極合剤層と同様の方法で形成できる。具体的には、負極合剤層は、負極活物質および結着剤、必要により導電材および/または増粘剤を含む負極スラリーを調製し、負極集電体の表面に塗布することにより形成できる。負極スラリーには、通常、分散媒が含まれる。
(b-1)負極活物質
(b-1-1)リチウムイオン二次電池における負極活物質
リチウム二次電池において、負極活物質としては、黒鉛粒子を使用することが好ましい。黒鉛粒子とは、黒鉛構造を有する領域を含む粒子の総称である。よって、黒鉛粒子には、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン粒子などが含まれる。これらの黒鉛粒子は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。黒鉛粒子を、水溶性高分子で被覆することにより、負極における非水溶媒の還元分解をより効果的に抑制することができる。
黒鉛粒子の黒鉛化度は、0.65〜0.85であることが好ましく、0.70〜0.80であることがさらに好ましい。
ここで、黒鉛化度の値(G)は、黒鉛粒子のXRD解析により求められる002面の面間隔d002の値(a3)を求め、これを下記式に代入して求める。
G=(a3−3.44)/(−0.086)
上記G値は、黒鉛化度を示す指標であり、完全結晶のd002の値(a3=3.354)にどれだけ近いかを示している(KIM KINOSHITA, CARBON, A Wiley-Interscience Publication, pp.60-61(1988)参照)。
負極活物質の粒子の表面は、水溶性高分子で被覆されていてもよい。被覆は、慣用の方法により行うことができる。
水溶性高分子としては、セルロース誘導体;ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはこれらの誘導体などが例示できる。これらのうちでも特に、セルロース誘導体、ポリアクリル酸が好ましい。セルロース誘導体としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのNa塩などが好ましい。
(b-1-2)リチウムイオンコンデンサにおける負極活物質
リチウムイオンコンデンサにおいて、負極活物質としては、リチウムイオン二次電池の負極活物質として例示したものと同様のものが使用できる他、熱分解炭素、コークス類なども使用できる。また、負極活物質としては、リチウムイオンコンデンサの正極活物質として例示した炭素材料も使用できる。これらの負極活物質は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。リチウムイオンコンデンサにおいて、正極活物質と負極活物質とは異なるものであってもよく、同じであってもよい。
リチウムイオンコンデンサにおいても、リチウムイオン二次電池の場合と同様、黒鉛粒子などの負極活物質粒子の表面を、水溶性高分子で被覆したものを負極活物質として用いてもよい。
リチウムイオンコンデンサでは、負極合剤層に、リチウムをドープさせてもよい。
(b-2)その他の成分
リチウムイオン二次電池およびリチウムイオンコンデンサの負極およびその作製には、必要に応じて、慣用の結着剤、分散媒、導電材および増粘剤が使用できる。これらの成分としては、正極について例示したものと同様のものが使用できる。なお、負極スラリーに導電剤を用いる場合、例示の導電剤のうち、負極活物質と異なるものを用いる場合が多い。
(b-3)その他
リチウムイオン二次電池およびリチウムイオンコンデンサにおいて、負極合剤層の厚みは、正極合剤層と同様の範囲から選択できる。
負極活物質が黒鉛粒子であるリチウムイオン二次電池では、負極合剤層における、単位面積当たりの活物質量は、片面あたり、例えば、3〜20mg/cm2の範囲から選択できる。
電気化学素子の出力は、負極合剤層の厚みを小さくしたり、活物質量や空隙率を大きくしたり、活物質や負極合剤層の表面積を大きくしたりすることなどにより高めることができる。
第2電気化学素子として、負極活物質が黒鉛粒子であるリチウムイオン二次電池を用いる場合、負極合剤層における、単位面積当たりの活物質量は、片面あたり、好ましくは5〜17mg/cm2、さらに好ましくは10〜16mg/cm2である。負極合剤層の厚みは、第2電気化学素子としてリチウムイオン二次電池を用いる場合の正極合剤層の厚みと同様の範囲から選択できる。
第2電気化学素子として、負極活物質が活性炭であるリチウムイオンコンデンサを用いる場合、負極合剤層における、単位面積当たりの活物質量は、片面あたり、好ましくは10〜50mg/cm2、さらに好ましくは20〜40mg/cm2である。負極合剤層の厚みは、好ましくは100〜300μm、さらに好ましくは150〜200μmである。
第1電気化学素子として利用されるリチウムイオン二次電池では、負極合剤層の厚みは、正極合剤層の厚みと同様の範囲から選択できる。負極合剤層における、単位面積当たりの活物質量は、負極活物質として黒鉛粒子を用いる場合、片面あたり、好ましくは10〜20mg/cm2、さらに好ましくは13〜18mg/cm2である。
(c)セパレータ
セパレータとしては、リチウムイオン二次電池およびリチウムイオンコンデンサにおいて慣用のもの、例えば、多孔性フィルムまたは不織布などが例示できる。セパレータを形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂、セルロースが例示できる。セパレータの厚みは、例えば、5〜100μmである。
(d)その他
リチウムイオン二次電池およびリチウムイオンコンデンサでは、正極と、負極と、これらを隔離するセパレータとを捲回して極板群を形成してもよい。極板群は、捲回したものに限らず、積層したもの、またはつづら折りにしたものであってもよい。
極板群の形状は、組み合わせる電気化学素子同士の形状およびケースの形状などに応じて、それぞれ、例えば、円筒型、扁平形状であってもよい。
複合素子において、第1電気化学素子および第2電気化学素子は、それぞれ、単一の電気化学素子であってもよいが、共通する非水電解質を使用する限り、複数の電気化学素子で形成してもよい。つまり、各電気化学素子を、複数の極板群を接続することにより形成してもよい。第1または第2電気化学素子を、それぞれ、複数の電気化学素子で形成する場合、各極板群間の接続形態も特に制限されず、直列であっても、並列であってもよい。
以下に、図面を参照して、複合素子の構造、具体的には、第1および第2極板群の配置を説明する。
図1は、円筒型複合素子の一部を切欠した斜視図である。図2は、図1の複合素子のケース付近の第1極板群および第2極板群の配置を示す要部縦断面図である。
図1の複合素子では、第1および第2電気化学素子のそれぞれの極板群を含み、渦捲状に捲回された複合極板群13が、第1および第2電気化学素子の非水電解質(図示せず)とともに円筒型ケース7に収容されている。ケース7の開口部は、正極端子10とゴム製の安全弁8とを有する封口板12で封口されている。複合極板群13の捲回軸の中心には、芯棒9が配置されている。図1では、正極リードは省略されている。
図2に示すように、複合極板群13の内周側には、第1電気化学素子の第1極板群1が配置され、第1極板群1を中心にして、その外側に、第2電気化学素子の第2極板群2が巻き付けられている。非水電解質は、ケース7内に満たされており、第1極板群および第2極板群の両方と接触している。つまり、共通する非水電解質に、第1電気化学素子の第1極板群1および第2電気化学素子の第2極板群2の両方が接触することにより、第1電気化学素子および第2電気化学素子がそれぞれ形成されている。
第1電気化学素子の第1極板群1は、正極3と、負極4と、これらを隔離するセパレータ14とを備えている。正極3は、正極集電体3aと、この表面に形成された正極合剤層3bとを有する。負極4は、負極集電体4aと、この表面に形成された負極合剤層4bとを有する。
同様に、第2電気化学素子の第2極板群2は、正極5と、負極6と、これらを隔離するセパレータ14とを有している。正極5は、正極集電体5aと、この表面に形成された正極合剤層5bとを有する。負極6は、負極集電体6aとこの表面に形成された負極合剤層6bとを有する。
正極3と、負極4と、これらを隔離するセパレータ14とを捲回することにより、第1極板群1を形成し、この周囲に、正極5と、負極6と、これらを隔離するセパレータ14とを巻き付けて第2極板群2を形成することにより、複合極板群13が形成される。複合極板群13では、正極3と正極5とが接続され、負極4と負極6とが接続されることにより、第1極板群と第2極板群とが並列に接続されている。これにより、第1電気化学素子および第2電気化学素子が並列に接続されている。
また、上記の例に限らず、1つの帯状の正極集電体の内周側の表面に、第1電気化学素子の正極合剤層3bを形成し、外周側の表面に第2電気化学素子の正極合剤層5bを形成することにより、正極を作製してもよい。そして、この正極と、類似の方法により得られた負極とを、これらの間にセパレータ14を介在させて捲回することにより、複合極板群13を形成することもできる。この場合、正極合剤層3bと負極合剤層4bとを対向させ、正極合剤層5bと負極合剤層6bとを対向させる。
図2の例に限らず、第1極板群を外周側、第2極板群を内周側に配置してもよい。ただし、高出力の第2電気化学素子は発熱する場合があるため、図2のように第2極板群を外周側に配置するのが有利である。
また、図2の例に限らず、積層状態や捲回状態の第1極板群および第2極板群を別々に作製し、両者を並列に接続して、非水電解質とともにケース内に収容してもよい。
(2)非水電解質
(a)EC
非水電解質全体に占める、ECの含有量MECは、5〜30質量%であり、好ましくは5〜10質量%、さらに好ましくは5〜8質量%である。MECが5質量%未満では、負極に被膜(SEI:solid electrolyte interface)が十分に形成されず、充放電を阻害する場合がある。MECが30質量%を超えると、非水電解質の粘度が高くなり易いため、リチウムイオンが拡散しにくくなり、充電受入性が低下し易くなる。そのため、特に、高出力である第2電気化学素子に不利になるので、大電流放電時の電圧低下を有効に抑制できなくなる場合がある。また、正極でECの酸化分解が顕著になることにより、ガス発生量が多くなる。特に、Niを含む正極活物質を用いた場合には、ガス発生量が多くなりやすい。また、負極に過剰な被膜が形成されて充電受入性が低下することにより、Liが析出しやすくなる場合がある。
(b)PC
非水電解質全体に占める、PCの含有量MPCは、15〜60質量%であり、好ましくは30〜60質量%、さらに好ましくは40〜60質量%である。MPCが15質量%未満では、正極でECの酸化分解に由来するガス発生量が多くなる場合がある。MPCが60質量%を超えると、特に第1電気化学素子側の負極でPCの還元分解に由来するガス発生量が多くなる場合がある。
ECおよびPCの粘度は、それぞれ、1.9mPa・s(40℃)および2.5mPa・s(25℃)である。
(c)低粘度溶媒
低粘度溶媒の25℃における粘度は、例えば、1.0mPa・s以下、好ましくは0.3〜1.0mPa・sである。このような範囲の粘度特性を有する低粘度溶媒は、非水電解質の粘度調整が容易であり、化学的安定性も高い。
低粘度溶媒の具体例としては、鎖状カーボネート、カルボン酸エステルおよびフッ素化芳香族化合物などが挙げられる。これらは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
鎖状カーボネートとしては、DMC、EMC、ジエチルカーボネート(DEC)などのジアルキルカーボネートが例示できる。鎖状カーボネートのうち、DECなどのジC1-2アルキル−カーボネートが好ましい。
カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ピバリン酸メチル、酪酸メチル、酪酸エチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチルなどの鎖状カルボン酸エステル;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状カルボン酸エステルなどが例示できる。これらのうち、非水電解質の低粘度化とガス発生抑制の両立の観点からは、C2-6脂肪酸のC1-5アルキルエステルなどの鎖状カルボン酸エステルが好ましく、特に、C3-5脂肪酸のC1-3アルキルエステルが好ましい。
フッ素化芳香族化合物としては、メチル基などのアルキル基を置換基として有していてもよいフルオロベンゼンが例示できる。具体例としては、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼンなどの1〜6個のフッ素原子を有するフルオロベンゼン;フルオロトルエン、トリフルオロトルエン、フルオロキシレンなどの1〜5個のフッ素原子と置換基としてのC1-2アルキル基を有するフルオロベンゼンが挙げられる。フッ素原子と置換基としてのアルキル基とを有するフルオロベンゼンでは、フッ素原子とアルキル基の個数の合計が6となる。非水電解質の低粘度化の観点から、フッ素原子の個数が1〜3個のフルオロベンゼン、特に、モノフルオロベンゼンが好ましい。
これらの低粘度溶媒のうち、鎖状カーボネートおよび/またはフッ素化芳香族化合物が好ましい。また、リチウムイオン二次電池では、カルボン酸エステルやフッ素化芳香族化合物は、Liと安定な化合物を形成すると考えられる。よって、低温環境下での過充電などによって、負極表面にLiが析出した場合でも、高温環境下における電池の異常な発熱が抑制される。そのため、これらの低粘度溶媒を用いると、Liが析出した場合でも、電池の異常な発熱が起こり難くなるので、電池の安全性が向上する。
非水電解質全体に占める、低粘度溶媒の含有量MLVは、10〜55質量%であり、好ましくは20〜45質量%、さらに好ましくは30〜40質量%である。MLVが10質量%未満では、非水電解質の粘度が高くなることにより、リチウムイオンの拡散性が低下するため、特に第2電気化学素子において不利になる。その結果、第2電気化学素子において、大電流放電時の電圧低下を十分に抑制できなくなる。MLVが50質量%を超えると、相対的にECおよびPCの含有量が少なくなるため、伝導性が低下し、出力特性を損なう場合がある。また、ガスの発生量が大きくなる場合がある。
(d)リチウムに対する還元電位が0.8V以上の添加剤
添加剤のリチウムに対する還元電位は、0.8V以上、好ましくは0.95V以上、さらに好ましくは1V以上、特に1.05V以上である。還元電位は、例えば、1.4V以下、好ましくは1.3V以下である。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。上記還元電位が、0.8V未満では、負極表面でのPCの還元分解を十分に抑制することができなくなる。
このような添加剤としては、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素原子を有する環状カーボネート、サルトン化合物、スルホネート化合物、スルホニルイミド化合物、脂肪族ジカルボン酸無水物が例示できる。これらの添加剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
重合性炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートの重合性炭素−炭素不飽和結合としては、ビニル、アリルなどのアルケニル基、エチニル、1−プロピニル、1−メチル−2−プロピニルなどのアルキニル基などの一価基;ビニレン、ビニリデンなどのアルケニレン基、エチニレンなどのアルキニレン基などの二価基が例示できる。これらの基は、分岐鎖状または直鎖状であってもよい。
重合性炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートの具体例としては、ビニレンカーボネート(VC)、1,2−ジエチルビニレンカーボネートなどの上記二価基を環状骨格内に有する環状カーボネート;ビニルエチレンカーボネート(VEC)などの上記一価基を置換基として有する環状カーボネートが挙げられる。これらのうち、特に、VECが好ましい。なお、リチウムに対して、VECの還元電位は、1.1Vである。
フッ素原子を有する環状カーボネートとしては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、フルオロプロピレンカーボネートなどのフルオロC2-4アルキレン−カーボネートが例示できる。フッ素原子を有する環状カーボネートにおいて、フッ素原子の個数は、カーボネートの構成炭素原子数に応じて、例えば、1〜4個、好ましくは1〜3個である。これらのうち、FECなどのモノフルオロC2-3アルキレン−カーボネートが好ましい。リチウムに対するFECの還元電位は、1.1Vである。
サルトン化合物としては、1,3−プロパンサルトン(PS)、1,4−ブタンサルトンなどのC2-5アルカンサルトン;1,3−プロペンサルトン(PRS)などのC3-6アルケンサルトンが例示できる。これらのうち、PSなどのC3-4アルカンサルトン、PRSなどのC3-4アルケンサルトンが好ましい。リチウムに対して、PSの還元電位は、1Vであり、PRSの還元電位は、1.2Vである。
スルホネート化合物としては、メチルベンゼンスルホネート(MBS)、エチルベンゼンスルホネート、メチルトルエンスルホネートなどのC1-4アルキルC6-10アレーンスルホネートが例示できる。C1-4アルキルC6-10アレーンスルホネートにおいて、アレーン環は、1〜3個のメチル基などのC1-4アルキル基を有していてもよい。これらのうち、MBSなどのC1-2アルキルベンゼンスルホネートが好ましい。リチウムに対するMBSの還元電位は、1.25Vである。
スルホニルイミド化合物としては、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiBETI)などのビス(フルオロC1-4アルキルスルホニル)イミドのリチウム塩が例示できる。これらのうち、LiBETIが好ましい。リチウムに対するLiBETIの還元電位は、1.25Vである。
脂肪族ジカルボン酸無水物としては、無水コハク酸(SUC)、無水グルタル酸などの脂肪族C4-6ジカルボン酸無水物が例示できる。これらのうち、SUCが好ましい。リチウムに対するSUCの還元電位は、1.25Vである。
これらの添加剤のうち、被膜形成性や、被膜抵抗が小さく、リチウムイオンの移動を阻害しにくい点から、特に、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートおよび/またはサルトン化合物が好ましい。重合性炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートは、負極に被膜を効果的に形成できる。また、サルトン化合物は、正極および負極の双方に被膜を形成可能である。添加剤に由来する被膜が負極に形成されると、PCの還元分解を有効に抑制できる。また、負極の被膜抵抗が低い場合には、充電受入性を向上することができる。添加剤に由来する被膜が正極に形成されると、ECの酸化分解を有効に抑制する上で有利である。
そのため、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートとサルトン化合物とを組み合わせて用いるのが好ましい。この場合、非水電解質全体に占める、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートの含有量MUCとサルトン化合物の含有量MSLとの比:MUC/MSLは、例えば、0.75≦MUC/MSL≦3、好ましくは0.75≦MUC/MSL≦2、さらに好ましくは1≦MUC/MSL≦1.5である。このような範囲では、両者の組み合わせによる効果をより効果的に発揮させることができる。
非水電解質全体に占める、添加剤の含有量MADDは、1〜10質量%であり、好ましくは、2〜7質量%、さらに好ましくは3〜5質量%である。MADDが1質量%未満では、負極におけるPCの還元分解を十分に抑制できなくなる場合がある。MADDが10質量%を超えると、被膜が過剰に形成されるため、充放電特性が低下したり、充電受入性が低下したりする場合がある。
(e)他の添加剤
非水電解質は、他の添加剤を含有してもよい。他の添加剤としては、スルホランなどの環状スルホン、フッ素化エーテル、シクロヘキシルベンゼン、ジフェニルエーテルなどが例示できる。これらは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。非水電解質全体に占める他の添加剤の含有量は、例えば、10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
(f)溶質
溶質としては、第1電気化学素子および第2電気化学素子の種類に応じて、慣用の溶質が使用できる。リチウムイオン二次電池やリチウムイオンコンデンサでは、リチウム塩、例えば、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3などのフッ素含有酸のリチウム塩などが使用できる。
非水電解質中の溶質の濃度は、例えば、0.8〜3.0モル/Lの範囲から選択でき、好ましくは1〜2モル/L、さらに好ましくは1.2〜1.5モル/Lである。第1電気化学素子および第2電気化学素子がいずれもリチウムイオン二次電池である場合には、溶質の濃度は、0.8〜1.5モル/Lであってもよい。
(g)その他
25℃における非水電解質の粘度は、例えば、3〜9mPa・sである。このような範囲では、リチウムの拡散性を有効に維持でき、第2電気化学素子における大電流放電時の電圧低下を抑制する上で有利である。
非水電解質および各溶媒の粘度は、例えば、回転型粘度計と、コーンプレートタイプのスピンドルとを用いて測定することができる。
本発明では、このような非水電解質を用いることにより、種類の異なる第1および第2電気化学素子を組み合わせても、双方の電気化学素子の特性を十分に発揮させることができる。そのため、本発明は、上記複合素子に使用される上記非水電解質も包含する。
(その他)
本発明では、上記の非水電解質を用いるため、複合素子の充放電を少なくとも1回行うと、少なくとも第1電気化学素子の負極合剤層の表面には、添加剤に由来する低抵抗性の被膜が形成される。充放電は、負極の電位がリチウム基準で0.05〜1.5Vとなる範囲で行うことが好ましい。この被膜の形成により、非水溶媒に由来する高抵抗性の被膜の形成が抑制されるとともに、非水溶媒の分解に伴うガスの発生も抑制できる。そのため、本発明には、電池の充放電を少なくとも1回行うことにより得られる複合素子も含まれる。
なお、非水電解質全体に占める、上記添加剤の含有量MADDが1〜10質量%の非水電解質を用いて、上記の充放電を1回行った後の充放電後の複合素子に含まれる上記添加剤の含有量MADDは、例えば0.05〜9質量%となる。
複合素子は、電気的に接続した第1極板群および第2極板群を、非水電解質とともに、ケースに収容することにより製造できる。なお、第1極板群と第2極板群との電気的な接続は、ケースへの収容後に行ってもよい。複合素子の製造には、リチウムイオン二次電池やリチウムイオンコンデンサの製造について知られている慣用の方法が採用できる。
ケースの材質は、特に制限されず、アルミニウム、アルミニウム合金(マンガン、銅等などの金属を微量含有する合金など)、鋼鈑などの金属製の他、アルミニウム層などの金属層を樹脂フィルムで挟んだラミネートフィルムなどであってもよい。
複合素子の形状は、慣用のリチウムイオン二次電池の形状と同じであってもよい。複合素子の形状としては、特に制限されず、円筒型、角型、コイン型、パウチ型などであってもよい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(比較例1)
第1電気化学素子としてのリチウムイオン二次電池を単独で用いた。リチウムイオン二次電池は、下記のようにして作製した。
(1)正極の作製
正極活物質であるLiNi0.80Co0.15Al0.052100質量部に対し、結着剤であるPVDFを4質量部と、導電剤であるアセチレンブラック3質量部とを添加し、適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とともに双腕式練合機にて撹拌し、正極スラリーを調製した。
得られた正極スラリーを、正極集電体である厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、塗膜を乾燥させ、圧延して、正極合剤層を形成した。幅56mm、長さ411mmの寸法に裁断し、正極を作製した。正極合剤層の活物質量は、片面あたり、35.3mg/cm2であり、正極の総厚みは215μmであった。なお、正極表面の一部には正極合剤層を形成せず、正極集電体が露出した、集電板取付部を形成した。
(2)負極の作製
負極活物質である人造黒鉛粒子(平均粒径20μm)100質量部と、結着剤であるスチレンブタジエンゴムのアクリル酸変性体(日本ゼオン(株)製、BM−400B(商品名)、固形分40質量%)3.75質量部と、増粘剤であるCMC1.5質量部および適量の水を、双腕式練合機にて撹拌し、負極スラリーを調製した。
得られた負極スラリーを、負極集電体である厚さ10μmの銅箔の両面に塗布し、正極の場合と同様にして、負極を形成した。裁断後の負極の寸法は、幅56mm、長さ411mmであった。負極合剤層の活物質量は、片面あたり、16.0mg/cm2であり、負極の総厚みは215μmであった。なお、負極表面の一部には負極合剤層を形成せず、負極集電体が露出した、集電板取付部を形成した。
(3)非水電解質の調製
ECと、PCと、低粘度溶媒としてのDECと、添加剤としてのVCおよびPSとを混合し、混合物に、溶質としてのLiPF6を溶解させることにより、非水電解質を調製した。非水電解質中のLiPF6の濃度を1.2モル/リットルとした。
非水電解質全体に占める各溶媒の含有量は、それぞれ、MECが10質量%、MPCが50質量%、MLVが40質量%、MADDが3.0質量%(VC:2.0質量%、PS:1.0質量%)とした。
得られた非水電解質の粘度は、7.2mPa・sであった。なお、粘度は、温度25℃で、回転粘度計(コーンプレート型、コーンプレートの半径:24mm)を用いて測定した。
(4)リチウムイオン二次電池の組み立て
上記(1)および(2)で得られた正極および負極を、これらの間にポリエチレン製微多孔質セパレータ(旭化成社製9420G)を介して捲回し、円筒形の極板群を作製した。正極の集電板取付部には、アルミニウム製の集電板(厚み0.3mm)を、負極の集電板取付部には鉄製の集電板(厚み0.3mm)をそれぞれ溶接した。
得られた極板群を、直径18mm、高さ68mmの円筒型ケースに挿入した。次いで、上記(3)で得られた非水電解質を5g注入し、封口加工を施して、ケース内径に対する極板群直径が95%、理論容量2300mAh、正極の単位容量当たりの面積が100cm2/Ahの円筒型リチウムイオン二次電池A1を作製した。
(比較例2)
第2電気化学素子としてのリチウムイオン二次電池を単独で用いた。リチウムイオン二次電池は、下記のようにして作製した。
比較例1のリチウムイオン二次電池の作製において、正極を、片面あたりの活物質量が17.7mg/cm2、圧延後の総厚みが115μm、長さが643mmとなるように作製するとともに、負極を、片面あたりの活物質量が15.0mg/cm2、総厚みが111μm、長さが703mmとなるようにした以外は、比較例1と同様にして理論容量1800mAh、正極の単位容量当たりの面積が200cm2/Ahの円筒型リチウムイオン二次電池A2を作製した。
(比較例3)
第2電気化学素子としてのリチウムイオンコンデンサを単独で用いた。リチウムイオンコンデンサは、下記のようにして作製した。
LiNi0.80Co0.15Al0.052に代えて活性炭を正極活物質として用い、片面あたりの活物質量が30mg/cm2、圧延後の総厚みが150μm、長さが520mmとなるように作製した以外は、比較例1の(1)と同様にして正極を作製した。得られた正極を用いる以外は、比較例1のリチウムイオン二次電池の作製方法と同様にして、リチウムイオンコンデンサA3を作製した。
(実施例1)
第1電気化学素子および第2電気化学素子としてリチウムイオン二次電池を用い、図1および図2の複合素子を作製した。具体的には、下記のようにして複合素子を作製した。
正極および負極の長さを半分にする以外は、比較例1と同様にして、正極3および負極4を作製した。また、正極および負極の長さを半分にする以外は、比較例2と同様にして、正極5および負極6を作製した。
次に、正極3および負極4を、ポリエチレン製微多孔質セパレータ(旭化成社製9420G)を介して捲回し、この捲き終わり部分から、正極5および負極6を上記と同じセパレータを介して捲回して複合極板群13を作製した。正極3と正極5とを電気的に接続し、負極4と負極6とを電気的に接続した。得られた複合極板群13を用いる以外は、比較例1と同様にして理論容量2050mAhの円筒型複合素子B1を作製した。
(実施例2)
第1電気化学素子としてリチウムイオン二次電池を用い、第2電気化学素子としてリチウムイオンコンデンサを用いて、図1および図2の複合素子を作製した。
正極と負極との長さ比を正極/負極=9/10にする以外は、比較例1と同様にして、正極a1および負極b1を作製した。また、正極と負極との長さ比を正極/負極=1/10にする以外は、比較例2と同様にして、正極a2および負極b2を作製した。
次に、正極a1および負極b1を、ポリエチレン製微多孔質セパレータ(旭化成社製9420G)を介して捲回し、この捲き終わり部分から、正極a2および負極b2を上記と同じセパレータを介して捲回して複合極板群13を作製した。正極a1と正極a2とを電気的に接続し、負極b1と負極b2とを電気的に接続した。得られた複合極板群13を用いる以外は、比較例1と同様にして理論容量2073mAhの円筒型複合素子B1を作製した。
[評価]
実施例および比較例で作製したリチウムイオン電池、コンデンサおよび複合素子などの素子A1〜A3、B1およびB2について、下記の評価を行った。この結果を表1に示す。なお、(1)〜(5)においては25℃、(6)においては45℃にて評価を行った。
(1)0.2C容量
A1〜A3、B1およびB2の各素子を、電流1Aで、4.2Vに達するまで充電した後、設計理論容量に対して0.2Cのレートで放電し、素子の電圧が2.5Vに達するまでの容量を測定した。
(2)最大パルス放電電流および放電電圧
A1〜A3、B1およびB2の各素子を、電流1Aで、4.2Vに達するまで充電した後、放電0.5秒と放電停止10秒とを繰り返す連続パルス放電を行った。この際、パルス電流値を増加させ、放電開始時に3.0V以上の電圧を維持可能な最大パルス放電電流を測定した。
また、各素子について、最大パルス放電電流での連続パルス放電中の平均放電電圧を測定した。
(3)パルス放電容量
A1〜A3、B1およびB2の各素子を、電流1Aで、4.2Vに達するまで充電した。次いで、放電0.5秒と放電停止10秒とを繰り返す連続パルス放電を行い、電圧が2.5Vに達するまでの容量を測定した。
(4)パルス放電効率
各素子について、0.2C容量に対するパルス放電容量の百分率を、パルス放電効率として算出した。
(5)Cレート
各素子について、0.2C容量に対する最大パルス放電電流の値を、Cレートとして算出した。
(6)サイクル容量維持率
A1〜A3、B1およびB2の各素子を、電流1Aで、4.2Vに達するまで充電した。次いで、最大パルス電流で、電圧が2.5Vに達するまで、放電0.5秒と放電停止10秒とを繰り返す連続パルス放電を行った。そして、初期のパルス放電容量に対する、連続パルス放電を500回繰り返した際のパルス放電容量の比率を、サイクル容量維持率として百分率で算出した。
Figure 2013131374
表1に示すように、実施例の複合素子B1およびB2は、単一の電気化学素子A1を用いた比較例1の平均よりも高いパルス放電容量が得られており、高負荷の特性が改善されていることが分かる。実施例の複合素子では、パルス放電開始時により高出力の第2電気化学素子が大電流放電し、パルス放電停止時には容量がより大きい第1電気化学素子から第2電気化学素子に充電が行われる。これにより、大電流でのパルス放電が繰り返し行なわれても、複合素子内のリチウムイオンの分布が均一化されると考えられる。その結果、電圧降下が抑制されるため、高出力特性が損なわれにくいと考えられる。
一方、比較例1では、単一の電気化学素子しか用いていないため、パルス放電停止時に、実施例のような充電が行われない。そのため、これらの比較例では、高出力特性を維持できないと考えられる。
比較例2および3では、高出力特性はある程度得られるものの、低負荷および高負荷のいずれの場合にも、十分な容量が得られない。
実施例3〜12および比較例4〜7
非水溶媒の組み合わせおよび含有量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、複合素子B3〜B12およびC1〜C4を作製した。なお、複合素子C1〜C4は比較例4〜7である。
得られた複合素子を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2013131374
Figure 2013131374
表2および表3から明らかなように、低粘度溶媒として、EMC、DMC、EPまたはFBを用いた電池B3〜B6でも、DECを用いた電池B1およびB2と同様に、高いパルス放電容量、パルス放電効率が得られ、パルス放電を繰り返した後のサイクル容量維持率も高かった。また、MECが5〜30質量%、MPCが15〜60質量%およびMLVが10〜55質量%である電池B7〜B12でも、同様に高い効果が得られた。
これに対し、ECの含有量が少ない電池C1および低粘度溶媒の含有量が多い電池C4では、パルス放電を繰り返した後のサイクル容量維持率が顕著に低下した。また、PCの含有量が少なく、ECの含有量が相対的に多い電池C2およびPCの含有量が少なく、低粘度溶媒の含有量が相対的に少ない電池C3でも、パルス放電を繰り返した後のサイクル容量維持率が顕著に低下した。
実施例13〜28および比較例8〜10
添加剤の種類および含有量MADDを表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、複合素子B13〜B28およびC5〜C7を作製した。なお、複合素子C5〜C7は比較例8〜10である。
得られた複合素子を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2013131374
Figure 2013131374
表4および表5から明らかなように、添加剤の含有量が1〜10質量%の電池B13〜B15でも、電池B1およびB2と同様に、高いパルス放電容量、パルス放電効率が得られ、パルス放電を繰り返した後のサイクル容量維持率も高かった。また、添加剤として、FEC、PRS、MBS、LiBTIまたはSUCを使用した電池B19〜B24でも、VCおよびPSを用いた電池B1およびB2と同様に、高い効果が得られた。VCとPSとの比率をさせても、電池B1およびB2と同様に高い効果が得られた(電池B25〜B28)。
それに対し、添加剤を用いない電池C5では、充放電ができず、添加剤の含有量が少ない電池C6および含有量が多い電池C7では、いずれも、パルス放電容量およびパルス放電効率が顕著に低下し、パルス放電を繰り返した後のサイクル容量維持率も、電池B1およびB2に比べて、著しく低下した。
本発明の複合素子は、出力の高さを維持しながら、長時間の放電が可能であり、安定して充放電を行うことができる。そのため、複合素子は、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコン、携帯オーディオ機器、携帯ゲーム機器などのモバイル分野;電動工具、掃除機などのパワーツール分野;電動自動車、電動バイクなどの動力分野;ロードレベリング、バックアップ電源などのシステム電源分野などで使用する電源装置として有用である。
1 第1電気化学素子を構成する第1極板群
2 第2電気化学素子を構成する第2極板群
3、5 正極
4、6 負極
3a、5a 正極集電体
3b、5b 正極合剤層
4a、6a 負極集電体
4b、6b 負極合剤層
7 ケース
13 複合極板群
14 セパレータ

Claims (11)

  1. 第1電気化学素子を構成する第1極板群と、
    前記第1電気化学素子よりも出力が高い第2電気化学素子を構成する第2極板群と、
    前記第1極板群および前記第2極板群の両方と接触する非水電解質と、
    前記第1極板群、前記第2極板群および前記非水電解質を収容するケースと、を含む複合素子であって、
    前記非水電解質が、非水溶媒と、前記非水溶媒に溶解した溶質と、リチウムに対して0.8V以上の電位で還元され得る添加剤とを含み、
    前記非水溶媒が、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、低粘度溶媒とを含み、
    前記低粘度溶媒が、前記エチレンカーボネートおよび前記プロピレンカーボネートよりも低粘度であり、
    前記非水電解質全体に占める、前記エチレンカーボネートの含有量MECが5〜30質量%であり、前記プロピレンカーボネートの含有量MPCが15〜60質量%であり、前記低粘度溶媒の含有量MLVが10〜55質量%であり、前記添加剤の含有量MADDが1〜10質量%である、複合素子。
  2. 前記第1電気化学素子が、リチウムイオン二次電池であり、前記第2電気化学素子が、コンデンサである、請求項1に記載の複合素子。
  3. 前記第1電気化学素子の容量が、前記第2電気化学素子の容量よりも大きい、請求項1に記載の複合素子。
  4. 前記第1極板群と前記第2極板群とが並列に接続されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合素子。
  5. 前記低粘度溶媒が、鎖状カーボネート、カルボン酸エステルおよびフッ素化芳香族化合物からなる群より選択された少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合素子。
  6. 前記鎖状カーボネートが、ジC1-2アルキル−カーボネートであり、
    前記カルボン酸エステルが、C2-6脂肪酸のC1-5アルキルエステルであり、
    前記フッ素化芳香族化合物が、メチル基を置換基として有していてもよいフルオロベンゼンである、請求項5に記載の複合素子。
  7. 前記添加剤が、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートおよびサルトン化合物から選択された少なくとも一種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合素子。
  8. 前記添加剤が、前記重合性炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートおよび前記サルトン化合物の双方を含み、
    前記非水電解質全体に占める、前記重合性炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートの含有量MUCと前記サルトン化合物の含有量MSLとの比:MUC/MSLが、0.75≦MUC/MSL≦3を満たす、請求項7に記載の複合素子。
  9. 前記重合性炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートが、ビニレンカーボネート化合物およびビニルエチレンカーボネート化合物から選択された少なくとも一種である、請求項7または8に記載の複合素子。
  10. 前記添加剤が、リチウムに対して0.95V以上の電位で還元され得る、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合素子。
  11. 前記非水電解質全体に占める、前記エチレンカーボネートの含有量MECが5〜10質量%であり、前記プロピレンカーボネートの含有量MPCが40〜60質量%であり、前記低粘度溶媒の含有量MLVが30〜40質量%であり、前記添加剤の含有量MADDが3〜5質量%である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合素子。
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