JP2020129536A - 二次電池用電解液および二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電解質溶媒が本来有する凝固点が降下されている二次電池用電解液と、この二次電池用電解液を含む二次電池、および、その周辺物品を提供する。【解決手段】本発明により提供される二次電池用電解液10は、電解質と、電解質溶媒14と、平均細孔径が3nm以上100nm以下の細孔を有する多孔質体12と、を含む。多孔質体12は、電解質溶媒14の100質量部に対して、0.5質量部以上50質量部以下の割合で含まれるとよい。二次電池1は、この二次電池用電解液10と電極体20とを電池ケース30に収容している。【選択図】図1

Description

本発明は、二次電池用電解液および二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池等に代表される二次電池は、車両搭載用電源、あるいは、パソコンおよび携帯端末の電源等として重要性が高まっている。特に、リチウムイオン二次電池は、軽量で高エネルギー密度が得られるため、車両搭載用の高出力電源として好ましく用いられている。この二次電池は、典型的には、正極と負極とをセパレータ26を介して備える電極体と、電解液と、を電池ケースに収容することで構築されている。そして電気化学反応に際し、正負極間で電荷担体であるイオンが電解液中を伝導することで、充放電が実現されている。
特開2018−116929号公報
ところで、電解液には、水に電解質を溶かした水系電解液と、非水溶媒に電解質を溶かした非水系電解液とが使用されている。これらの電解液は、いずれも環境温度が低温となるほど粘度が増し、電池抵抗が増大するという課題がある。また、電解液の凝固点以下の環境では、電解液は凍結してしまい、二次電池は機能し得ないという問題がある。そのため、例えば特許文献1には、極低温においても、電池性能を良好に発揮させ得る組成の電解液が提案されている。しかしながら、このような電解液は、低融点溶媒を多く含むため、電池抵抗が悪化する虞があった。
本発明は、上記の従来の課題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、電解液組成に大きく左右されることなく、低温でも凍結が抑制されている二次電池用電解液を提供することである。また他の目的として、この電解液を備える二次電池や、電解液などの各種の液体の凍結を抑制する凝固点降下剤を提供することである。
ここに開示される技術は、二次電池用電解液を提供する。この電解液は、電解質と、電解質溶媒と、平均細孔径が3nm以上100nm以下の細孔を有する多孔質体と、を含む。詳細は明らかではないが、このような構成によると、多孔質体が備える特定の大きさの細孔に電解液(電解質、電解質溶媒であり得る。)が含浸し、含浸した電解液分子と壁面とが相互作用すると考えられる。このことにより、溶媒分子の規則配列が撹乱されて、低温環境における溶媒分子の結晶化が抑制される。その結果、電解質溶媒の凝固点(融点)が低下し、とりわけ低温における電解質溶媒の粘度上昇が緩和され得る。このような電解液は、二次電池に採用すると、電池の低温抵抗を低減する効果を発現するために好ましい。
また、このような多孔質体は、低温において細孔内部で電解液の高粘度化を抑制し得る。その結果、二次電池に採用すると、低温においても、多孔質体の細孔が微細なイオン拡散経路として機能し、例えば負極表面においては局所的な電流集中を好適に緩和する。その結果、負極表面における金属リチウムの析出を好適に抑制することができる。
ここに開示される二次電池用電解液の好適な一態様において、上記多孔質体は、上記電解質溶媒100質量部に対して、0.2質量部以上75質量部以下の割合で含まれる。このような構成によると、この電解液を二次電池に用いた場合に、電池の低温抵抗を効果的に低減し得るために好ましい。
ここに開示される二次電池用電解液の好適な一態様において、上記多孔質体は、平均粒子径が10nm以上1μm以下の粉末である。これにより、多孔質体は電解質溶媒中に好適に分散し、電解液の全体について凝固点を低下させる作用を発揮し得る。また、多孔質体が微細であることで、二次電池に採用されたときに、電極体内部に好適に侵入し電池抵抗をより効果的に低減したり、負極表面における金属リチウムの析出を好適に抑制し得る点において好ましい。
ここに開示される二次電池用電解液の好適な一態様において、上記多孔質体は、少なくとも一つの寸法が100μm以上のバルク体である。これにより、多孔質体は必要に応じて電解液から分離、回収することが容易となり、取り扱い性が向上される。また、多孔質体はその自重により電解液中で沈殿するなどして、例えば底部からの電解液の凍結を好適に抑制し得る点において好ましい。
ここに開示される二次電池用電解液の好適な一態様において、上記多孔質体は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、イットリア、ムライト、リチウムコバルタイト、および炭素質材料からなる群から選択される少なくとも1種である。上記多孔質体は、上記に規定される平均細孔径の細孔を備えている限り、その組成は特に限定されない。そのため、多孔質体を例えば上記の材料によって構成することで、コスト面や機能面等において、当該材料に由来する付加的な効果を得ることができるために好ましい。
ここに開示される二次電池用電解液の好適な一態様において、上記電解質溶媒は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、および水からなる群から選択される少なくとも1種を含む。詳細は明らかではないが、本発明者らの検討によると、ここに開示される多孔質体は、組成に大きく依存することなく電解液(電解質溶媒であり得る)の凝固点を低下し得る。そのため、多様な組成によって電解質溶媒を構成することができて好ましい。
また他の側面において、ここに開示する技術が提供する二次電池は、電解質と、電解質溶媒と、平均細孔径が3nm以上100nm以下の細孔を有する多孔質体と、電極体と、上記電解質、上記電解質溶媒、上記多孔質体および上記電極体を収容した電池ケースと、を備える。これにより、上記二次電池用電解液の利点を備えた二次電池が提供される。この二次電池は、例えば、低温抵抗が低減されるとともに、低温において大電流で充放電を行なったときの金属リチウムの析出が抑制されている。換言すれば、低温環境におけるリチウム析出を誘起する限界電流値が高められている。これにより、リチウムの析出耐性に優れた二次電池が提供される。
ここに開示する二次電池の好適な一態様において、上記電極体は、正極活物質粒子を含む正極と、負極活物質粒子を含む負極と、を備えている。そして上記正極活物質粒子および上記負極活物質粒子の少なくとも一方は、外殻部と、上記外殻部の内部に存在する空隙と、上記外殻部に備えられ、上記空隙と外部とを連通する貫通孔と、を備えている。そして上記多孔質体の少なくとも一部は、上記外殻部の内部の上記空隙に存在する。これにより、多孔質体による上記効果を、より一層明瞭に発揮し得る点において好ましい。
さらに他の側面において、ここに開示する技術は、平均細孔径が3nm以上100nm以下の細孔を有する多孔質体を含む、凝固点降下剤を提供する。この凝固点降下剤は、平均細孔径が特定の範囲となる細孔を有している。その結果、低温環境において、この細孔内に含浸する多様な液媒体の凝固を、効果的に抑制する。例えば、凝固点を20℃以上低下させることができる。その結果、二次電池の電解液に限定されることなく、多様な液媒体の凍結等を抑制することができる。この凝固点降下剤は、例えば、液媒体に分散された状態で提供されてもよい。
一実施形態に係る二次電池の構成を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係る電解液の構成を説明する模式図である。 一実施形態に係る捲回電極体の構成を説明する部分展開図である。 一実施形態に係る正極活物質粒子の構成を説明する断面概略図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明に係る非水電解液二次電池について、好適な実施形態に基づき説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない電池構造等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、下記に示す図面における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。なお、本発明の非水電解液二次電池を、以下の実施形態に限定することを意図したものではない。
本明細書において「二次電池」とは、電解質として電解液を用いた繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいう。典型的には、電解質イオン(電荷担体)としてリチウム(Li)イオンを利用し、正負極間においてこのリチウムイオンの移動に伴い充放電が実現される二次電池が包含される。一般にリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、リチウムイオンキャパシタ等と称される二次電池は、本明細書における二次電池に包含される典型例である。そこで、ここに開示される二次電池がリチウムイオン電池である場合を例に、ここに開示される技術について以下に詳細に説明する。
[リチウムイオン電池]
図1は、好適な一実施形態としてのリチウムイオン電池1の構成を示す断面模式図である。このリチウムイオン電池1は、電解液10と、電極体20と、これら電解液10と電極体20を収容した電池ケース30とを備えている。図2に示すように、電解液10は、図示しない電解質と、電解質溶媒14とを含む。電解液10において、電解質は電解質溶媒14に溶解されている。そしてここに開示される電解液10は、電解質と電解質溶媒14とに加え、多孔質体12を含んでいる。
多孔質体12は、その構造に沢山の細孔を備えている。多孔質体12は、平均細孔径が3nm以上100nm以下の細孔を有している。詳細は明らかではないものの、発明者らの詳細な検討によると、多孔質体12においては、細孔内に含浸された物質と細孔の壁面とが相互作用し、細孔内に含浸された物質の結晶構造を乱し得る。その結果、この電解液10を使用した二次電池1においては、低温環境において電解液10の凝固や増粘が抑制されて、電池抵抗の低減や金属リチウムの析出耐性の向上等といった効果が得られることが確認されている。電解液10の凝固点降下度は、例えば20K以上にも達し得る。かかる点において、この多孔質体12は、ここに開示される技術における凝固点降下剤の一例である。
ここで、多孔質体12の平均細孔径が3nmよりも小さいと、電解質溶媒14や電解質イオンの細孔内部への染込みが好適に生じず、上記の電解質溶媒14の増粘や凝固の抑制作用が効果的に発現されないために好ましくない。平均細孔径は3nm以上であるとよく、4nm以上であってよく、例えば5nm以上であってもよい。また、平均細孔径は、100nmを超過すると細孔内部において細孔壁に対する細孔容積の割合が著しく増大し、細孔壁の作用が及ばない領域が拡大するために好ましくない。したがって、平均細孔径は、90nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましく、例えば70nm以下がより好ましい。また、平均細孔径は、50nm以下であってよく、例えば20nm以下であってよい。
なお、本明細書における「平均細孔径」は、多孔質体について得られた細孔分布におけるメディアン径(中心径)を意味する。ここで細孔分布は、log微分細孔容積分布である。細孔分布に複数のピークが見られる場合、粒子間隙ではなく、細孔に由来するピークのうち、ピークトップが最も高い最頻ピークについてのメディアン径を採用してもよい。なお、細孔分布は、細孔径が50nm以下のメソ孔領域では、吸着ガスとして窒素ガスやクリプトン等を使用したガス吸着法により測定される細孔分布を採用する。また、細孔径が50nm以上のマクロポア領域では、水銀圧入法により測定される細孔分布を採用する。なお、細孔径が50nm以上のマクロポア領域では、電子顕微鏡観察による観察像に基づく画像解析法によって、10点以上の細孔径を測定したときの算術平均を平均細孔径としてもよい。
ここで、多孔質体12の平均細孔径が3nmよりも小さいと、電解質溶媒14や電解質イオンの細孔内部への染込みが好適に生じず、上記の電解質溶媒14の増粘や凝固の抑制作用が効果的に発現されないために好ましくない。平均細孔径は3nm以上であるとよく、4nm以上であってよく、例えば5nm以上であってもよい。また、平均細孔径は、100nmを超過すると細孔内部において細孔壁に対する細孔容積の割合が著しく増大し、細孔壁の作用が及ばない領域が拡大するために好ましくない。したがって、平均細孔径は、90nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましく、例えば70nm以下がより好ましい。また、平均細孔径は、50nm以下であってよく、例えば20nm以下であってよい。
なお、上記のとおり、多孔質体12の作用は、細孔内の空間における細孔壁の寄与に依るところが大きいといえる。かかる観点から、これに限定されるものではないが、多孔質体12は、細孔径が上記範囲でおおよそ一定の細孔を備えるものであるとよい。換言すると、多孔質体12は、規則的なチャネル(管状細孔)を備えるものであるとよい。このような多孔質体の製造方法は特に制限されず、ビルドアップ法やトップダウン法のいずれの手法で製造してもよい。生産性の観点からは、多孔質体12は、一例として、界面活性剤ミセルやブロックコポリマーを鋳型としたゾルゲル法等によって、細孔径を上記範囲に制御しながら作製するとよい(例えば、特表2003−531083号公報、特開2009-107898号公報、特開2014−015382号公報等参照)。また、他の一例では、陽極酸化法を利用して細孔径を上記範囲に制御しながら製造するとよい(例えば、特開平02−254192号公報、特開2002−285382号公報、特開2005−272885号公報等参照)。
なお、上記のとおり、ここに開示される技術の効果は、多孔質体12における細孔形状によって発現されるため、多孔質体12を構成する材料については特に制限されない。多孔質体12は、例えば、各種の金属材料や無機材料により構成されていてもよい。電解液に添加されるとの観点から、好適な一態様では、多孔質体12は、無機材料により構成されているとよい。無機材料は、主成分(最大成分)が無機非金属物質から構成される固体の総称である。無機材料は、酸素イオン伝導性やリチウムイオン伝導性等のイオン伝導性、電子伝導性、超伝導性、絶縁性、誘電性、圧電性、磁性などの性質を備えていてもよい。例えば、多孔質体12が、リチウムイオン伝導性や、リチウム吸蔵放出特性を備える材料により構成されていると、後述するリチウムイオン二次電池の活物質内に充填された場合に、活物質の機能を高める効果が得られるために好ましい。
具体的な一例として、多孔質体12は、例えば、コバルト酸リチウム(例えば、LiCoO)、マンガン酸リチウム(例えば、LiMnO2)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(例えば、LiNixCoyMn1−x−yO2、0≦x,y≦1)、ニッケルコバルトアルミン酸リチウム(例えば、LiNixCoyAl1−x−yO2、0≦x,y≦1)、チタン酸リチウム(例えば、Li4Ti512)、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン等のリチウム吸蔵特性を備える材料により構成されていてもよい。また、多孔質体12は、チタン酸バリウム(例えば、BaTiO3)、ジルコン酸鉛(例えば、PbZrO3)、アルミナ(例えば、Al23)、ジルコニア(例えば、ZrO2)、イットリア(例えば、Y23)、マグネシア(例えば、MgO)、チタニア(例えば、TiO2)、酸化スズ(例えば、SnO2)、セリア(例えば、CeO2)、酸化ニッケル(例えば、NiO)、酸化亜鉛(例えば、ZnO)、炭化ケイ素(例えば、SiC)、酸化タングステン(例えば、WO3)、シリコン(例えば、SiO2)、ムライト(Al613Si2)、アルミノケイ酸塩等の誘電性または絶縁性等を備える酸化物であってよい。多孔質体12は、その他、ベーマイト(例えば、AlOOH)、水酸化アルミニウム(例えば、Al(OH)3)等の水酸化物や、硫化亜鉛(例えば、ZnS)等の硫化物であってよい。なお、多孔質体12は、これらの化合物の元素欠損体、これらの化合物の一部の元素が他の元素に置換された置換体等の類縁体等を含み得る。なお、上記の多孔質体12の構成材料の例示において、化合物名の後に示された化学式は、代表組成を例示したものであり、当該化合物の組成はこの代表組成に限定されない。
また、多孔質体12の形状も特に制限されない。多孔質体12に占める上記の細孔の寄与を高めるとの観点からは、多孔質体12は、例えば粉末であってよい。多孔質体12、例えば、平均粒子径が10μm以下の複数の粒子からなる粉末であり得る。多孔質体12の平均粒子径は、5μm以下であってよく、1μm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。例えば多孔質体12が平均粒子径が100nm以下のナノ粒子であることで、多孔質体12は電解質溶媒14中に分散しやすく、沈殿、凝集などが起こり難いために好ましい。多孔質体12の平均粒子径の下限は特に制限されず、例えば、10nm以上、20nm以上、50nm以上等であってよい。
なお、本明細書における「平均粒子径」は、おおよそ1μm以上の範囲の粉末については、レーザー回折・光散乱法で測定される体積基準の粒度分布における、累積50%に相当する粒子径(D50粒子径)を意味する。
また、平均粒子径が凡そ1μm以下の範囲の粉末については、動的光散乱(Dynamic light scattering:DLS)法に基づく平均粒子径を採用することができる。DLS法に基づく平均粒子径は、JIS Z 8828:2013に準じて測定することができる。
一方で、多孔質体12は、粉末ではなくバルク体であってもよい。バルク体の定義は厳密には制限されないものの、例えば、少なくとも1次元、2次元、または3次元の寸法が100μm以上の固体であるとよい。多孔質体12は、好ましくは、1次元、2次元、または3次元の寸法が1mm以上の固体であるとよく、例えば、少なくとも1つ、2つまたは3つの寸法が1cm以上の固体であるとよい。これにより、例えば多孔質体12による作用を発現させたまま、多孔質体12の数を減らしたり、多孔質体12によって電池要素等を構成することができるために好ましい。
電解質は、電荷担体としての機能を有する限り特に制限されない。電解質としては、例えば、一般的なリチウムイオン電池に用いられる各種の支持塩を適宜選択して採用することができる。一例として、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等のリチウム塩を用いることが例示される。このような支持塩は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。かかる支持塩は、電解液における濃度が凡そ0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製するとよい。
電解質溶媒14は、上記電解質を溶解し得るものであれば、水系および非水系のいずれの溶媒であってもよい。水系溶媒としては、水、または水で希釈できる低級アルコール(炭素数が1〜4のアルコール)などが例示される。非水系溶媒(非水溶媒)としては、一般的なリチウムイオン電池において電解液として用いられるカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の各種の有機溶媒を特に制限なく用いることができる。例えば、具体的には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が挙げられる。あるいは、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F−DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)等のようなフッ素化カーボネート等のフッ素系溶媒を好ましく用いることができる。このような電解質溶媒14は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。好適な一例として、電解質溶媒14は、ECとEMCとDMCとを、体積基準で順に、を25〜45:25〜45:25〜45の割合で混合した混合溶媒であるとよい。
多孔質体12は、電解質溶媒14に少しでも添加されることで、電解質溶媒14の凝固点を降下させる効果を発現する。したがって、電解液10における多孔質体12の割合は特に制限されない。多孔質体12は、例えば、電解質溶媒14を100質量部としたとき、0.1質量部以上の割合で含まれることが好ましい。多孔質体12の形態にもよるものの、多孔質体12が0.1質量部以上であることで、電解質溶媒14の凝固点を降下させたり、粘度上昇を抑制したりする効果が明瞭に発揮されるために好ましい。多孔質体12は、例えば、0.2質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上が特に好ましく、例えば、3質量部以上であってよい。多孔質体12は、電解液10の機能が損なわれない範囲において、電解質溶媒14に対して任意の添加量で添加してもよい。多孔質体12は、たとえば、電解質溶媒14を100質量部としたとき、75質量部以下であってよく、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、例えば25質量部以下であってよい。
なお、電解液10は、二次電池の特性を損なわない限り、各種の添加剤等を含んでいてもよい。このような添加剤としては、ガス発生剤、被膜形成剤、分散剤、増粘剤等の各種の化合物であり得る。一例として、例えば、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等の被膜形成剤;ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等の芳香族化合物に代表されるガス発生剤などが挙げられる。これらの添加剤の濃度は、添加剤の種類によって異なり得るが、被膜形成剤で通常0.1mol/L程度以下(典型的には0.005mol/L〜0.05mol/L)、過充電添加剤で通常6質量%程度以下(典型的には0.5質量%〜4質量%)とすることが例示される。
次いで、電極体20について説明する。本実施形態における電極体20は、図2に示すように、帯状の正極22と帯状の負極24とが、2枚のセパレータ26によって絶縁された状態で積層され、捲回されることで構成されている。
[正極]
帯状の正極22は、典型的には、帯状の正極集電体22aと、この正極集電体22a上に保持された正極活物質層22bとを備えている。正極集電体22aには、典型的には、長手方向に沿う一方の端部に沿って帯状に集電体露出部22cが設けられており、この集電体露出部22c以外の部分に正極活物質層22bが備えられている。正極活物質層22bは、正極集電体22aの両面に設けられてもよいし、いずれか一方の面にのみ設けられてもよい。正極集電体22aとしては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル等)からなる導電性部材が好適である。この正極活物質層22bは、少なくとも正極活物質を含み、非水電解液の含浸が可能なように多孔質構造を有している。
なおここで、上記正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料であって、例えば、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素を含むリチウム含有化合物(例えばリチウム遷移金属複合酸化物)を好適に用いることができる。かかるリチウム遷移金属酸化物は、例えば、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn)、或いは、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3)のような三元系リチウム含有複合酸化物であり得る。
正極活物質層22bは、典型的には粉末状の正極活物質粒子23が後述するバインダによって結着されることで構成されている。ここに開示される技術において、正極活物質粒子23は、中実の粒子であってもよいが、例えば、中空粒子であってもよい。中空の正極活物質粒子23は、図4に示すように、典型的には、殻部23aと、当該殻部23aの内部に形成された中空部23bと、当該殻部23aを貫通する貫通孔hとを有している。殻部23aは、一次粒子が集合することで構成されている。正極活物質粒子23が中空粒子であることで、上記の多孔質体12をこの中空部23bに充填することができる。これにより、多孔質体12による抵抗低減効果が向上されるために好ましい。なお、多孔質体12を中空部23bに充填する方法は、後述の実施例にて説明する。
なお、正極活物質層22bには、上記正極活物質に加えて、一般的なリチウムイオン電池において正極活物質層の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の例として、導電材やバインダが挙げられる。導電材としては、例えば、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラックやケッチェンブラック)、活性炭、黒鉛、炭素繊維等の炭素材料を好適に用いることができる。また、バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂、ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイドを好適に用いることができる。
正極活物質層22b全体に占める正極活物質の割合は、高エネルギー密度を実現する観点から、およそ60質量%以上(典型的には60質量%〜95質量%)とすることが適当であり、通常はおよそ70質量%〜95質量%であることが好ましい。また、バインダを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダの割合は、機械的強度(形状保持性)を好適に確保する観点から、例えばおよそ0.5質量%〜10質量%とすることができ、通常はおよそ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。導電材を使用する場合、出力特性とエネルギー密度とを高いレベルで両立する観点から、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えばおよそ1質量%〜20質量%とすることができ、通常はおよそ2質量%〜10質量%とすることが好ましい。
また、正極活物質層22bの厚みは特に限定されないが、例えば20μm以上、典型的には50μm以上であって、200μm以下、典型的には100μm以下とすることができる。正極集電体22aの単位面積当たりに設けられる正極活物質層22bの質量(目付量)は、高エネルギー密度を実現する観点から、正極集電体22aの片面当たり3mg/cm以上(例えば5mg/cm以上、典型的には7mg/cm以上)とするとよい。優れた出力特性を実現する観点からは、正極集電体22aの片面当たり100mg/cm以下(例えば70mg/cm以下、典型的には50mg/cm以下)とするとよい。また、正極活物質層22bの片面当たりの平均厚みは、例えば20μm以上(典型的には40μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とするとよい。また、正極活物質層22bの密度は、例えば1.0g/cm以上(典型的には2.0g/cm以上)であって、4.5g/cm以下(例えば4.0g/cm以下)とするとよい。
[負極]
帯状の負極24は、典型的には、帯状の負極集電体24aの長手方向に沿う一方の端部に集電体露出部24cが設けられ、この集電体露出部24c以外の部分に活物質層24bが備えられている。この負極集電体露出部24cは、典型的には、負極集電体24aの幅方向の一方の端部に沿って帯状に設けられる。負極活物質層24bは、負極集電体24aの両面に設けられてもよいし、いずれか一方の面にのみ設けられてもよい。負極集電体24aとしては、導電性の良好な金属(例えば銅、ニッケル等)からなる導電性部材が好適である。この負極活物質層24bは、少なくとも負極活物質を備えており、非水電解液の含浸が可能なように多孔質構造を有している。
なおここで、負極活物質としては、リチウムイオン電池の負極活物質として使用し得ることが知られている各種の材料を1種または2種以上を採用することができる。好適例として、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ等の炭素材料、或いは、これらを組み合わせた材料が挙げられる。なかでも、エネルギー密度の観点から、天然黒鉛(石墨)や人造黒鉛等の黒鉛系材料を好ましく用いることができる。かかる黒鉛系材料は、少なくとも一部の表面に非晶質炭素が配置されているものを好ましく用いることができる。より好ましくは、粒状炭素の表面のほぼ全てを非晶質炭素の膜で被覆された形態である。
負極活物質層24bは、典型的には粉末状の負極活物質粒子が後述するバインダによって結着されることで構成されている。ここに開示される技術において、負極活物質粒子は、中実の粒子であってもよいが、例えば、中空粒子であることが好ましい。中空の負極活物質粒子は、例えば図4に示した正極活物質粒子のように、殻部23aと、当該殻部23aの内部に形成された中空部23bと、当該殻部23aを貫通する貫通孔hとを有することができる。負極活物質粒子が中空粒子であることで、上記の多孔質体12をこの中空部23bに充填することができる。これにより、多孔質体12によって負極活物質層24bの表面に金属リチウムが請求都することを好適に抑制することができる。これにより、低温環境においてハイレートで充放電を行なった場合であっても、リチウムの析出を好適に抑制できるために好ましい。
なお、負極活物質層24bには、上記負極活物質に加えて、一般的なリチウムイオン電池において負極活物質層24bの構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の例として、バインダや各種添加剤が挙げられる。バインダとしては、一般的なリチウムイオン電池の負極に使用されるバインダと同様のものを適宜採用することができる。例えば、正極22におけるのと同様のバインダを用いることができる。そして好ましい形態として、負極活物質層24bを形成するために上記の水性溶媒を用いる場合には、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類、ポリエチレンオキサイド(PEO)、酢酸ビニル共重合体等の水溶性のポリマー材料または水分散性のポリマー材料を好ましく採用し得る。その他、増粘剤、分散剤、導電材等の各種添加剤を適宜使用することもできる。例えば、増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)等のセルロース系ポリマーが挙げられる。
負極活物質層24b全体に占める負極活物質の割合は、およそ50質量%以上とすることが適当であり、通常は90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)とすることが好ましい。これにより、高エネルギー密度を実現することができる。バインダを使用する場合、負極活物質層24b全体に占めるバインダの割合は、例えばおよそ1質量%〜10質量%とすることができ、通常はおよそ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。これにより、負極活物質層24bの機械的強度(形状保持性)を好適に確保することができ、良好な耐久性を実現することができる。増粘剤を使用する場合、負極活物質層24b全体に占める増粘剤の割合は、例えばおよそ1質量%〜10質量%とすることができ、通常はおよそ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
負極集電体24aの単位面積当たりに設けられる負極活物質層24bの質量(目付量)は、高エネルギー密度と出力密度とを実現する観点から、負極集電体24aの片面当たり5mg/cm以上(典型的には7mg/cm以上)であって、20mg/cm以下(典型的には15mg/cm以下)程度とするとよい。また、負極活物質層24bの片面当たりの厚みは、例えば40μm以上(典型的には50μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とするとよい。また、負極活物質層24bの密度は、例えば0.5g/cm以上(典型的には1.0g/cm以上)であって、2.0g/cm以下(典型的には1.5g/cm以下)とするとよい。
[セパレータ]
セパレータ26は、正極22と負極24とを絶縁するとともに、電荷担体を保持し、この電荷担体の通過を可能とする構成部材である。このようなセパレータ26は、各種の材料からなる微多孔質樹脂シートにより好適に構成することができる。特に限定されるものではないが、上述の多孔質体12との関係から、このセパレータ26の細孔は、ナノ粒子状の多孔質体12よりも大きいことが好ましい。セパレータ26は、捲回電極体20が所定の温度となったときに軟化溶融し、電荷担体の通過を遮断すするシャットダウン機能を備えるように構成してもよい。例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)に代表されるポリオレフィン樹脂からなる微多孔質シートは、シャットダウン温度を80℃〜140℃(典型的には110℃〜140℃、例えば120℃〜135℃)の範囲で好適に設定できるためにセパレータ26として好ましい。
セパレータ26の全体の平均厚みは特に限定されないが、通常、10μm以上、典型的には15μm以上、例えば17μm以上とすることができる。また、上限については、40μm以下、典型的には30μm以下、例えば25μm以下とすることができる。平均厚みが上記範囲内にあることで、電荷担体の透過性を良好に保つことができ、かつ、微小な短絡(漏れ電流)がより生じ難くなる。このため、入出力密度と安全性とを高いレベルで両立することができる。
[捲回電極体]
捲回電極体20を構成するにあたり、帯状の正極22と帯状の負極24とを二枚の帯状のセパレータ26を介在させて積層し、長手方向に捲回する。換言すると、長手方向に直交する幅方向を捲回軸Wとして捲回する。このとき、捲回軸Wに直交する断面の形状が長円形となるようにする。このような断面が長円形の扁平型捲回電極体20は、円筒状に捲回した捲回電極体を捲回軸に直交する一の方向で押しつぶして拉げさせることによって形成してもよい。これにより、扁平型捲回電極体20を得ることができる。なお、このような扁平型捲回電極体20の詳細な形状は、使用する電池ケース30の形状に合わせて適切に整形することもできる。
ここで、正極22、負極24およびセパレータ26の積層の際には、正極22の正極集電体露出部22cと、負極24の負極集電体露出部24cとが、セパレータ26の幅方向の両側からそれぞれ互いに異なる側にはみ出すように、正極22と負極24とを幅方向でややずらして重ね合わせるとよい。また、負極活物質層24bは、幅方向で正極活物質層22bを覆うとよい。また、セパレータ26は、幅方向で正極活物質層22bおよび負極活物質層24bを覆うとよい。その結果、扁平型捲回電極体20の捲回軸W方向では、正極集電体露出部22cと負極集電体露出部24cとが、それぞれ捲回コア部分(すなわち正負の活物質層22b,24bが対向した部分)から外方にはみ出すこととなる。この正極集電体露出部22cと負極集電体露出部24cとを、上記長円形の短径方向で寄せ集めて集電部を形成することで、高効率な集電を行うことができる。なお、電極体20の構成はこれに限定されない。例えば、電極体20は、板状の複数の正極22と負極24とがセパレータ26を介して積層された積層型の電極体20であってもよい。
電池ケース30は、扁平型捲回電極体20を挿入するための開口を備える角型のケース本体32と、ケース本体32の開口を封止している封口体34と、を含んでいる。これらは、例えば、アルミニウムおよびその合金、鉄およびその合金などからなる金属製、ポリアミド等の樹脂製、ラミネートフィルム製等の各種のものを好適に用いることができる。図1の例で、ケース本体(外装ケース)32は、アルミニウム合金製の薄い角型であって、上面が開放された有底の扁平な箱型形状(典型的には直方体形状)である。封口体34には、上記捲回電極体20の正極22と電気的に接続する正極端子42と、捲回電極体20の負極24と電気的に接続する負極端子44とが設けられている。捲回電極体20は、この封口体34に固定した状態でケース本体32内に収容すると、収容位置が安定すると共に、破損等の虞が低減されて好ましい。
封口体34への捲回電極体20の固定に際しては、具体的には、正極集電体露出部22cと正極端子42(例えばアルミニウム製)とを、正極集電部材42aを介して接合するとよい。これにより、扁平型捲回電極体20の正極22と正極端子42とを電気的に接続することができる。同様に、負極集電体露出部24cと負極端子44(例えばニッケル製)とを、負極集電部材44aを介して接合するとよい。これにより、負極24と負極端子44とを電気的に接続することができる。このような集電構造によると、捲回電極体20は、封口体34が上方となるように電池ケース30を水平面に置いたとき、長円形の長径が垂直方向となるように電池ケース30内に収容される。換言すると、捲回軸Wが水平方向となるよう前記電池ケース内に収容される。この状態で電解液10を電池ケース30内に注入すると、電解液10の含浸方向である捲回軸W方向が水平となり、非水電解液の含浸がスムーズに進行する。これにより、非水電解液の含浸に要する時間が短縮され得るために好ましい。なお、非水電解液は、電荷担体が正極活物質層22b、負極活物質層24b、セパレータ26に染み渡るように、その量が設計されている。正負の集電部材42a,44aと、正負極端子42,44および正負極集電体22a,24aとは、例えば、超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。また、ケース本体32の開口部と封口体34との封止は、レーザ溶接等により好適に実現することができる。
なお、電池ケース30の内部には、電池ケース30内の圧力が所定の圧力にまで上昇した際に作動する図示しない電流遮断機構(CID)が設けられていてもよい。また、封口体34には、典型的には、捲回電極体20が収容されたケース本体32内に非水電解液を注入するための注液口38bと注液栓38aとが形成されていてもよい。さらに、封口体34には、従来のリチウムイオン電池のケースと同様に、電池異常の際に電池ケース30内部で発生したガスを電池ケース30の外部に排出するための安全弁36が設けられていてもよい。
ここに開示されるリチウムイオン電池1は各種用途に利用可能であるが、従来品と比較して、例えば、極低温での電解液10の凝固と高粘度化とが抑制されている。したがって、例えば、冬季などに0℃以下、例えば−30℃以下、さらには−50℃以下となり得る地域での屋外での使用に特に好ましく用いることができる。ここに開示される技術は、とりわけ、大出力用途の大型のリチウムイオン電池に特に好適に適用できる。したがって、このような特徴を活かして、高エネルギー密度特性,高入出力密度特性等が要求される用途ならびに高い信頼性を要求される用途で、特に好ましく用いることができる。かかる用途としては、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。
上記二次電池1において、ここに開示される電解液10は、一部が上記中空形状の活物質の内部に含まれていてもよい。具体的には、電解液10に含まれる多孔質体12は、一部または全部が、中空形状の活物質の内部空隙に充填されていてもよい。好適な一例では電解液10に含まれる多孔質体12は、典型的には50質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、例えば90質量%以上が、活物質の内部空隙に充填されているとよい。これにより、多孔質体12の作用効果がより一層顕著に発現され得るために好ましい。
なお、ここに開示される凝固点降下剤において、多孔質体12を構成する材料は、細孔によって液媒体に対する凝固点降下作用が認められる限り、特に制限されない。例えば、多孔質体12は、有機材料、金属材料、無機材料およびこれらの組合せによって構成されていてもよい。多孔質体12は、単独で凝固点降下剤として提供されてもよいし、任意の液媒体中に添加されて凝固点降下剤として提供されてもよい。このとき、多孔質体12は、粉体であってもよいし、バルク体であってもよい。凝固点降下剤が液媒体を備える場合、多孔質体12は、液媒体中に分散されていてもよいし、液媒体中で凝集または沈殿していてもよい。
以下、具体的な実施例として、ここに開示される二次電池を作製し、その性状について評価した。なお、本実施例は、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
(試験例1)
[多孔質体の調製]
厚さ200μmのアルミニウム箔に対し、シュウ酸浴を用いた陽極酸化処理を施すことで、多孔質なアルマイト構造を備えるアルミナ(アルマイト、Al)を作製した。陽極酸化の条件は、電解浴温度を17℃、化成電圧を10〜60V、処理時間を約10〜300分間の間で適宜変化させた。これにより、多孔質アルミナに形成される細孔の平均細孔径を、10〜120nmの範囲で変化させた。次いで、得られた多孔質アルミナをボールミルにて粉砕することで、微粉末状の多孔質アルミナを得た。なお、ボールミルによる粉砕は、直径1mmのジルコニアメディアを用い、500rpmで3時間、2000rpmで5時間実施するものとした。
また、界面活性剤ミセルを超分子鋳型とするメソポーラスシリカの合成法により、平均細孔径が1〜120nmのメソポーラスシリカを合成した。鋳型としては、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、トリブロックコポリマー(P123)、ポリエチレングリコールモノセチルエーテル(Brij−58)、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(F127)を、単独で、あるいは混合して用いた。このメソポーラスシリカを、上記ボールミルにて微粒子状となるように粉砕することで、微粉末状の多孔質シリカを得た。
なお、比較のために、平均細孔径が約0.1nmのゼオライトと、アルマイト処理等を施していないアルミナ粉砕粉(細孔なし)とを用意した。このゼオライトは、ミクロ細孔を備えており、モレキュラーシーブとして作用するものである。
[添加材入り非水電解液の用意]
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=1:1:1の体積比で混合して混合溶媒を用意し、ここに支持塩としてのLiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させることで、非水電解液を用意した。この非水電解液を、比較例1の非水電解液とした。そして、この非水電解液に、上記で用意した微粉末状の多孔質アルミナ、多孔質シリカ、ゼオライト、および、アルミナ粉砕粉を、添加材として表1に示す配合でそれぞれ添加し、撹拌混合することで、非水電解液中に分散させた。なお、このとき、非水電解液を入れた容器に添加材を添加したのち、容器内を脱気することで、非水電解液を添加材の細孔内に浸透させるようにした。これにより、実施例1〜19、比較例2〜7の、添加材を分散させた非水電解液を用意した。
[評価用リチウムイオン電池の構築]
[正極]
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(NCM、平均粒子径6μm)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これら材料の質量比がNCM:AB:PVdF=90:8:2となるよう秤量し、固形分濃度(NV)がおよそ60質量%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)を加えて混練することで、正極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、ダイコーターを用いて正極集電体としての帯状のアルミニウム箔の両面に、長手方向の一方の端部を非塗工部として残し、その他の領域に所定の目付量で塗布し、乾燥(乾燥温度80℃、5分間)、プレスすることで、正極活物質層を備える正極シートを作製した。
[負極]
負極活物質としての黒鉛(C、平均粒径25μm)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの質量比がC:SBR:CMC=98:1:1となるように秤量し、イオン交換水を加えて混練することで、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、負極集電体としての帯状の銅箔の両面に、長手方向の一方の端部を非塗工部として残し、その他の領域に所定の目付量で塗布し、乾燥(乾燥温度100℃、5分間)、プレスすることで、負極活物質層を備える負極シートを作製した。
上記で用意した正極と負極とを2枚のセパレータ26を介して絶縁状態で重ね合わせ、断面楕円形状に捲回した。セパレータ26としては、ポリエチレン(PE)シートの両面をポリプロピレン(PP)シートで挟んだ3層構造(PP/PE/PP)の微多孔質シートを用いた。このとき、負極活物質層が幅方向で正極活物質層を覆うとともに、正極集電体と負極集電体の非塗工部が幅方向で異なる側に突出するように、正極と負極とを配置した。これにより、捲回電極体を用意した。
次いで、電池ケースに上記扁平型捲回電極体を収容した。電池ケースとしては、アルミニウム製で上方に開口を有する薄い角型の電池ケース本体と、この電池ケース本体の開口を封する封口体とからなる角型電池ケースを用意した。そして、封口体に正極外部端子および負極外部端子を取り付け、これらの外部端子を、集電端子を介して、捲回電極体から突出している正極集電体と負極集電体との非塗工部にそれぞれ溶接した。そして、封口体と連結された捲回電極体を、電池ケース本体の開口部からその内部に収容し、開口部と封口体とを溶接(密閉)した。これにより、扁平型捲回電極体を、捲回軸Wが封口体の面内方向(すなわち、水平)となる配置で電池ケース内に収容した。そして、上記電池ケースの封口体に設けられた注液口から、各例の非水電解液をそれぞれ注液し、各例のリチウムイオン電池を構築した。
[活性化処理]
用意した各例のリチウムイオンニ次電池に対して、25℃の環境下で、電圧が4.2Vとなるまで1/3Cのレートで定電流(CC)充電した後、電流値が1/50Cとなるまで定電圧(CV)充電を行うことで、満充電状態(State of Charge:SOC=100%)とした。これにより、二次電池の活性化処理を実施した。なお、ここで1Cとは、活物質の理論容量から予測される電池容量(Ah)を1時間で充電できる電流値を意味する。
[低温ハイレート抵抗測定]
次いで、各例のリチウムイオン電池を、25℃で、解放電圧が3.70Vとなるように調整した。次いで、このリチウムイオン電池を−10℃の環境に静置したのち、10Cの放電レートで、電圧が3.00VとなるまでCC放電を行なった。そして、このときの放電開始から5秒目の端子間電圧値と、放電電流値とから、抵抗値(5秒値)を算出した。この抵抗値を、比較例1についての値を「100」として規格化し、その結果(相対抵抗値)を表1の「低温抵抗」の欄に示した。
[低温リチウム析出耐性]
また、各例のリチウムイオン電池を複数個ずつ用意し、−10℃の環境に静置した。そして、1Cの充電レートで電圧が4.2VとなるまでCC充電を行ない、次いで、1Cの放電レートで電圧が3.0VとなるまでCC放電する充放電操作を1サイクルとし、これを50サイクル実施した。このサイクル充放電後の電池を解体し、負極活物質層の表面に金属リチウムが析出しているかどうかを確認した。次いで、他の各例の電池に対して、充放電レートを0.2Cずつ増大して上記と同様のサイクル充放電を実施し、50サイクル後に負極活物質層の表面に金属リチウムが析出しているかどうかを確認した。これを、各例の電池に対し、最初に負極活物質層の表面に金属リチウムの析出が確認されるまで実施した。そして、負極活物質層の表面に最初に金属リチウムの析出が確認されたときの充放電レートを、比較例1についての値を「100」として規格化し、その結果(相対充放電レート)をリチウム析出の「限界電流値」として、表1の当該欄に示した。なお、限界電流値は、二次電池がリチウムを析出させることなく充放電することができる最大の電流値の目安であり、値が大きいほどハイレート充放電に適しているといえる。
Figure 2020129536
(評価)
比較例1は、非水電解液に添加材を添加していない一般的なリチウムイオン二次電池である。比較例2は、電解液100質量部に、添加材として、細孔が形成されていないアルミナ粉砕粉を0.2質量部の割合で添加したリチウムイオン二次電池である。比較例3は、非水電解液に、添加材として、ゼオライトを0.2質量部の割合で添加したリチウムイオン二次電池である。表1に示されるように、比較例1〜3の二次電池の間では、低温抵抗および限界電流値について、いずれも有意な差が見られないことがわかった。すなわち、比較例2,3では、非水電解液に添加材を添加しても、この添加材は低温抵抗および限界電流値について何ら有利な効果を奏さないことが確認された。
実施例1〜3および比較例Aは、非水電解液に、添加材として平均細孔径が20nm〜120nmの多孔質アルミナを0.2質量部の割合で添加したリチウムイオン二次電池である。表1に示すように、多孔質アルミナの平均細孔径が20nmから120nm程度へと大きくなるにつれて、低温抵抗は増加する傾向にあることがわかった。但し、多孔質アルミナの平均細孔径が120nm(比較例A)の場合は、低温抵抗が低下する効果は極わずかである。特に限定するものではないが、これら実施例と比較例の結果からは、多孔質アルミナの平均細孔径は、20nm以上100nm以下程度であることが、低温抵抗の低減や限界電流値の増大等の効果が明瞭に現れるために好ましいといえる。多孔質アルミナの平均細孔径が120nmまで大きくなると、メソ細孔〜マクロ細孔における細孔内壁面の作用が現れ難くなり、上記作用効果が得られ難くなることが予測される。また、特に限定するものではないが、これら実施例から明らかなように、多孔質アルミナの平均細孔径が20nm(実施例1)〜100nm(実施例3)の場合は、低温抵抗は86%以下にまで低減され、且つ、限界電流値については、比較例と比較して約10%以上増大されて、多孔質アルミナによる作用効果を明瞭を確認することができる。多孔質アルミナの平均細孔径は、おおよそ20nm以上であると特に限界電流値が著しく向上されるために好ましいといえる。また、多孔質アルミナの平均細孔径は、およそ100nm以下程度であると、低温抵抗を大幅に低減できるために好ましいといえる。特に、多孔質アルミナの平均細孔径は、20〜50nmに範囲であると、低温抵抗の低減効果と限界電流値の増大効果とをバランスよく発揮できるために好ましいことがわかった。
比較例B〜Cならびに実施例10〜16は、非水電解液に、添加材としての平均細孔径が1〜120nmのメソポーラスシリカを0.2質量部の割合で添加した例である。比較例B、Cに示すように、メソポーラスシリカの平均細孔径が1nmと小さすぎたり、平均細孔径が120nmと大きすぎたりする場合は、この添加材による二次電池の低温抵抗の低減効果と限界電流値の向上効果がほぼ見られず、メソポーラスシリカの平均細孔径が3〜100nmの範囲において二次電池の低温抵抗の低減と限界電流値の向上とが両立されることがわかった。また、実施例10〜12に示すように、メソポーラスシリカの添加量は0.2質量部と少量であっても低温抵抗が約15%低減され、限界電流値は11%増大され、顕著な効果が発揮されていることが確認できた。そして、メソポーラスシリカの添加量は0.2質量部からおおよそ5質量部へと添加量が増えるにつれて、低温抵抗が約40%も低減され、限界電流値は約70%も増大され、顕著な特性改善効果が発揮されていることが確認できた。ただし、この効果は、メソポーラスシリカの添加量が5質量部を超えて75質量部に向かうにつれて低減されることがわかった。換言すると、添加剤としてメソポーラスシリカを用いた場合であっても、上記の多孔質アルミナを用いた場合と同様の効果が得られることがわかった。以上のことから、非水電解液に添加する添加材は、平均細孔径が例えば1nmを超えて120nm未満、より好適には3〜100nmであれば、その組成に制限されることなく、上記効果を発現し得ることがわかった。
(試験例2)
試験例2では、添加材入り非水電解液の構成を変化させ、その他の条件は試験例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。そして各例のリチウムイオン二次電池について、試験例1と同様に低温抵抗と限界電流値とを測定し、その結果を、試験例1の比較例1に基づき企画化した値として下記の表2に示した。
なお、試験例2の実施例20〜25では、添加材として平均細孔径が10nmの多孔質アルミナを用いた。添加材の添加量は0.2質量部で一定とした。
そして電解質溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、および、ジエチルカーボネート(DEC)を、表2に示す組合せで混合して用いた。なお、複数の溶媒を用いる場合、各溶媒は等量ずつ混合した。また、電解質としては、LiPFを1mol/Lの濃度で、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、LiN(SO2F)2)を1mol/Lの濃度で、および、LiTFS(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、LiCF3SO3)を20mol/Lの濃度でそれぞれ電解質溶媒に溶解して用いた。
また、比較例D〜F、実施例26〜28では、試験例1と同じ非水電解液を用い、添加材として、平均細孔径が1nmおよび10nmの2通りのメソポーラスチタニア、コバルト酸リチウムおよび天然黒鉛を用いた。メソポーラスチタニアは、メソポーラスシリカと同様に、界面活性剤ミセルを超分子鋳型とするメソポーラスチタニアの合成法にしたがい作製した。コバルト酸リチウムおよび天然黒鉛は、同様に超分子鋳型を利用する手法で平均細孔径を調整したものを用いた。
Figure 2020129536
(評価)
実施例20〜25に示されるように、電解質および電解液の種類が変化しても、添加材として、平均細孔径が10nmの多孔質アルミナを用いた場合は、低温抵抗の低減効果や限界電流値の増大効果が認められる。同様に、比較例D〜F、実施例26〜28に示されるように、多孔質添加材の組成がチタニア、リチウム酸コバルト、および天然黒鉛と変化された場合も、平均細孔径が10nmの場合は低温抵抗の低減効果や限界電流値の増大効果が認められる。他方、平均細孔径が1nmの場合は、これらの効果は見られないことがわかった。
以上のことから、添加材を加えることによる低温抵抗の低減や限界電流値の増大の効果は、添加材の多孔質な形態によって実現されるものであるといえる。また、このような効果は、添加材の組成や、電解質および電解質溶媒の組成によって発現されるものではないといえる。
(試験例3)
陽極酸化処理の条件を調整することで、平均細孔径を10〜40nmの範囲で様々に変化させた多孔質アルミナを用意した。また、液媒体として、以下の6通りの液体を用意した。そして、多孔質体としての多孔質アルミナを、用意した6通りの液媒体のそれぞれに、液媒体100質量部に対して10質量部の割合で添加し、十分に撹拌することで、液媒体中に多孔質アルミナを分散させた。
1MのLiPFを溶解させたEC
1MのLiPFを溶解させたEC/DMC混合溶液
1MのLiPFを溶解させたEC/DMC/EMC

EC
アセトニトリル
そして液媒体の単体と、多孔質アルミナを分散させた各種の液媒体とについて、JIS K0065:1992に準じ、自動凝固点測定試験器を用いて、凝固点を測定した。その結果、多孔質アルミナを添加した液媒体の凝固点は、何も添加していない液媒体単体の凝固点と比べて、凝固点が降下していることがわかった。そこで、液媒体に添加した多孔質アルミナの平均細孔径dと、当該多孔質アルミナを含む液媒体の凝固点降下度(K)との関係を確認した。
その結果、多孔質体の平均細孔径dと、当該多孔質体を分散させた液媒体の凝固点降下度との間には相関が見られ、多孔質体の平均細孔径dが小さくなるほど、指数関数的に凝固点降下度が高まることがわかった。このことは、液媒体の種類に依らないことも確認できた。多孔質材料の平均細孔径dは、20nm以下であると凝固点降下を促進し得ることがわかった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。本出願の請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 電池
30 電池ケース
32 ケース本体
34 封口体
10 電解液
12 多孔質体
14 電解質溶媒
20 電極体
22 正極
24 負極

Claims (10)

  1. 電解質と、電解質溶媒と、平均細孔径が3nm以上100nm以下の細孔を有する多孔質体と、を含む、
    、二次電池用電解液。
  2. 前記多孔質体は、前記電解質溶媒100質量部に対して、0.2質量部以上75質量部以下の割合で含まれる、請求項1に記載の二次電池用電解液。
  3. 前記多孔質体は、平均粒子径が10nm以上1μm以下の粉末である、請求項1または2に記載の二次電池用電解液。
  4. 前記多孔質体は、少なくとも一つの寸法が100μm以上のバルク体である、請求項1または2に記載の二次電池用電解液。
  5. 前記多孔質体は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、イットリア、ムライト、リチウムコバルタイト、および炭素質材料からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池用電解液。
  6. 前記電解質溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、アセトニトリル、および水からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池用電解液。
  7. 電解質と、電解質溶媒と、平均細孔径が3nm以上100nm以下の細孔を有する多孔質体と、電極体と、前記電解質、前記電解質溶媒、前記多孔質体および前記電極体を収容した電池ケースと、を備える、二次電池。
  8. 前記電極体は、正極活物質粒子を含む正極と、負極活物質粒子を含む負極と、を備え、
    前記正極活物質粒子および前記負極活物質粒子の少なくとも一方は、
    外殻部と、
    前記外殻部の内部に存在する空隙と、
    前記外殻部に備えられ、前記空隙と外部とを連通する貫通孔と、
    を備え、
    前記多孔質体の少なくとも一部は、前記外殻部の内部の前記空隙に存在する、請求項7に記載の二次電池。
  9. 平均細孔径が3nm以上100nm以下の細孔を有する多孔質体を含む、凝固点降下剤。
  10. さらに、液媒体を含む、請求項9に記載の凝固点降下剤。
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