JP2022046160A - リチウムイオン二次電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極の表面における電子伝導性のバラツキが抑制され、高い放電容量が得られるリチウムイオン二次電池、および、その製造方法を提供する。【解決手段】リチウムイオン二次電池1000は、正極100と、負極200と、電解質層300と、負極200と電解質層300との間に形成された電子伝導層350とを備え、電解質層350は、電解質塩と電解質塩を溶解した非水溶媒を含む非水電解液と、非水電解液を保持する保液粒子とを含み、電子伝導層350は、電子伝導性を有する導電剤で形成されている。リチウムイオン二次電池の製造方法は、負極を作製する工程と、非水電解液を保持するための保液粒子とバインダを混合して電解質合剤を調製し、電解質合剤を成形して電解質シートを作製する工程と、導電剤を負極の表面または電解質シートの表面に塗布する工程と、負極と電解質シートとを導電剤を挟むように積層し、電解質シートの導電剤と反対側に正極を配置してセルを組み立てる工程とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池およびその製造方法に関する。
近年、産業分野や民生分野において、地球温暖化の防止のために、二酸化炭素排出量の削減が進められている。代表的な技術としては、電気自動車に代表される原動機の電動化があり、関連した技術開発が盛んに行われている。多くの車両、船舶等に使用されているエンジンを電動機に替えた場合、二酸化炭素排出量の大幅な削減が可能であるため、駆動電源の開発が進められている。
現在、主な駆動電源としては、エネルギ密度が高いことで知られるリチウムイオン二次電池が用いられている。リチウムイオン二次電池は、3V以上の高電圧で動作可能であり、キャリアとして働くリチウムが軽元素であるため、鉛蓄電池、ニッケル・水素電池等と比較して、2倍以上のエネルギ密度が得られる。その一方で、電解液を用いるため、電解液の揮発や発火の防止が課題となっている。
従来、このような課題を解決するために、不揮発性を付与・向上させた電解質の利用が検討されている。代表的な技術としては、酸化物系、硫化物系等の無機固体電解質や、高分子ゲルを用いたポリマ電解質等がある。しかし、固体状ないし結晶質の電解質は、電解質同士の界面や電極との界面で、接合性の低下や抵抗の増大等の問題を生じることが懸念されている。
また、リチウムイオン二次電池に関しては、充放電サイクルに伴う放電容量の低下を如何に防ぐかが、大きな課題となっている。放電容量の低下は、活物質が充放電に伴って体積変化を起こし、活物質粒子が電気的に孤立することを一因として起こる。このような課題に関連して、活物質粒子の電気的な孤立を抑制するための技術が検討ないし使用されている。
特許文献1、2には、酸化物粒子に非水電解液を担持させた電解質を備える二次電池において、活物質と共に導電材を用いることが記載されている。特許文献3には、導電性多孔質層を挟んだ積層構造の電極が記載されている。導電性多孔質層は、高多孔性マット、スクリーン/グリッド、不織布、発泡体等の形態とされており、炭素、黒鉛、金属、金属コーティングファイバ、導電性ポリマ等の導電性材料で形成されている。
特開2017-059432号公報 特開2020-053171号公報 特表2019-506707号公報
リチウムイオン二次電池に関して、充放電サイクルに伴う放電容量の低下を防ぐには、活物質粒子の電気的な孤立を抑制し、電気化学反応を均一に起こさせることが重要と考えられる。一部の活物質に電気的な負荷が集中し、その活物質のみが充放電すると、局所的な劣化が進行して一部の活物質粒子が機能しなくなるため、全体としての劣化が急速に進む。そのため、充放電サイクルに伴う放電容量の低下を防ぐ対策として、電極中における電気化学反応の位置的なバラツキを低減することが望まれる。
しかし、特許文献1、2のように、活物質に導電材料を混合するだけであると、充放電を繰り返したとき、依然として活物質粒子が電気的に孤立し易いため、対策として不十分である。また、特許文献3のように、導電性多孔質層を挟んだ積層構造の電極を形成すると、電極の単位体積当たりの放電容量が低くなるため、最適な対策であるとはいえない。
従来の電極では、活物質で構成される電極合剤層の内部で、活物質に対する充放電の負荷が相対的に小さく、電極合剤層の対極に近い側の表面で、充放電の負荷が最も大きくなる。電極合剤層の厚さ方向にリチウムイオンの濃度分布が形成されるためである。対極側の表面で充放電の負荷が大きくなると、表面に平行な面内においても、負荷がバラツキ易くなる。
電極合剤層中において、活物質が電気化学反応の位置的なバラツキを生じると、高負荷の活物質から劣化が進行し、周囲の活物質粒子が電気的に孤立し易くなるため、電池容量が全体として低下してしまう。電極合剤層の内部における負荷の均一性は、表面側のリチウムイオンの濃度分布や電子伝導性に左右されるため、電極中における電気化学反応の位置的なバラツキを低減するためには、特に、対極に近い側の電極の表面の電子伝導性の均一性が重要といえる。
そこで、本発明は、電極の表面における電子伝導性のバラツキが抑制され、高い放電容量が得られるリチウムイオン二次電池、および、その製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極と、前記正極と前記負極との間に介在する電解質層と、前記負極と前記電解質層との間に形成された電子伝導層と、を備え、前記電解質層は、電解質塩と前記電解質塩を溶解した非水溶媒を含む非水電解液と、前記非水電解液を保持する保液粒子と、を含み、前記電子伝導層は、電子伝導性を有する導電剤で形成されている。
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池の製造方法は、負極活物質とバインダを溶媒中で混合して負極合剤を調製し、前記負極合剤を負極集電体に塗布し、前記負極合剤を乾燥させて負極を作製する工程と、非水電解液を保持するための保液粒子とバインダを混合して電解質合剤を調製し、前記電解質合剤を成形して電解質シートを作製する工程と、導電性を有する導電剤を前記負極の表面または前記電解質シートの表面に塗布する工程と、前記負極と前記電解質シートとを前記導電剤を挟むように積層し、前記電解質シートの前記導電剤と反対側に前記正極を配置してセルを組み立てる工程と、を含む。
本発明によれば、電極の表面における電子伝導性のバラツキが抑制され、高い放電容量が得られるリチウムイオン二次電池、および、その製造方法を提供することができる。前記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の要部の構造を模式的に示す断面図である。 一般的なリチウムイオン二次電池の放電曲線を示す図である。 一般的なリチウムイオン二次電池の放電曲線と本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の放電曲線を比較して示す図である。
以下、図面等を用いて、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池、および、リチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。
以下の説明は、本発明の内容の具体例を示すものである。本発明は、以下の説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。本発明には、実施形態とは異なる様々な変形例が含まれる。実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
本明細書に記載される「~」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値とする意味で使用する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値や下限値は、段階的に記載されている他の上限値や他の下限値に置き換えてもよい。本明細書に記載される数値範囲の上限値や下限値は、実施例中に示されている数値に置き換えてもよい。
<リチウムイオン二次電池>
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を模式的に示す断面図である。
図1には、リチウムイオン二次電池の一例として、積層型の電池構造を模式的に示している。図1に示すように、リチウムイオン二次電池1000は、正極100と、負極200と、電解質層300と、電子伝導層350と、電極群400と、外装体500と、を備えている。
図2は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の要部の構造を模式的に示す断面図である。
図2には、リチウムイオン二次電池1000に備えられる電極群400の単位構造を、説明上、模式的に示している。図2に示すように、電極群400は、正極100、負極200、電解質層300および電子伝導層350によって構成される。図2における空隙は、作製の単位を示すものであり、実際の構造を示すものではない。
リチウムイオン二次電池1000は、リチウムイオンの電極への吸蔵と放出によって、電気エネルギを貯蔵または利用可能とする電気化学デバイスである。一般に、リチウムイオン二次電池は、リチウムイオン電池、非水電解質二次電池、非水電解液二次電池等の別の名称でも呼ばれているが、主要な構成が共通する限り、いずれの名称の電池であっても本発明の対象である。
図1および図2に示すように、リチウムイオン二次電池1000において、正極100と負極200は、電解質層300と電子伝導層350を挟んで配置される。電解質層300は、正極100と負極200との間に介在している。図1および図2において、電子伝導層350は、負極200と電解質層300との間に形成されている。
リチウムイオン二次電池1000は、電極と電解質層300との間に、電子伝導層350を備えることを特徴の一つとしている。電子伝導層350を備えることにより、電極の対極に近い側の表面における電子伝導性のバラツキが低減される。その結果、電極の対極に近い側の表面における充放電の負荷のバラツキが低減するだけでなく、電極の内部における充放電の負荷のバラツキも低減し、充放電によって活物質粒子が電気的に孤立し難くなる。そのため、実効容量やサイクル特性が向上して、充放電を繰り返しても高い放電容量が得られる。
なお。図1および図2において、電子伝導層350は、負極200と電解質層300との間に形成されているが、電子伝導層350は、正極100と電解質層300との間や、これらの両方に形成することもできる。但し、電子伝導層350による効果の有効性の観点からは、少なくとも負極200側に形成することが好ましく、イオン伝導やエネルギ密度の観点等からは、負極200と電解質層300との間のみに形成することが好ましい。
図1において、正極100、負極200、電解質層300および電子伝導層350は、積層型の電極群400を構成している。電極群400は、外装体500に密閉的に収容されている。図1において、電極群400の積層数は2個とされているが、電極群400の数は、二次電池の用途等に応じて、1以上の適宜の数とすることができる。
複数の電極群400同士は、絶縁性のセパレータを挟んで積層されて、電極同士が電気的に接続される。正極100や負極200と、外装体500との間は、絶縁シート等で電気的に絶縁することができる。外装体500は、円筒形状、偏平長円形状、矩形状等の適宜の形状に設けることができる。外装体500には、外部端子、ガスを排出するベント弁等を設けることができる。
なお、図1において、正極100、負極200、電解質層300および電子伝導層350は、短冊状の電極を積層させた積層型の電極群400を構成しているが、帯状の電極を捲回した捲回型の電極群を構成するように設けることもできる。リチウムイオン二次電池1000は、円筒形、角形、ボタン形、ラミネート形等のいずれの形状とすることもできる。単電池同士は、直列接続してもよいし、並列接続してもよい。
外装体500の材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等を用いることができる。また、ラミネート形の場合、金属製の外装体500に代えて、ラミネート容器を用いることができる。ラミネート容器は、多層フィルムをヒートシール、接着剤等で貼合して形成することができる。多層フィルムは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、アルミニウム箔等の各種のフィルムを積層して形成することができる。
<正極>
正極100は、正極合剤層110と、正極集電体120と、正極タブ130と、を有している。図1において、正極合剤層110は、正極集電体120の両面に形成されている。正極集電体120の端部には、電流を取り出すための正極タブ130が設けられている。正極タブ130は、不図示のリード、外部端子等と電気的に接続することができる。
正極合剤層110は、負極活物質よりも高電位でリチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極活物質と、正極合剤層110の電子伝導性を向上させるための導電剤と、正極活物質等を結着させるためのバインダと、を含有する。正極合剤層110は、正極活物質等を溶媒に分散させた正極合剤を用いて、正極集電体120の表面に粒子同士の結着体として形成することができる。
正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMnO、LiMn、LiMnO、LiMn12、LiFeO、Fe(SO、Fe(MoO、FeF、LiFePO、LiMnPO等を用いることができる。正極活物質としては、これらの遷移金属を異種元素で置換した酸化物や、化学両論比とは異なる酸化物を用いることもできる。
正極活物質の具体例としては、LiMn2-x(但し、Mは、Co、Ni、Fe、Cr、Zn、Taから選択される一種以上の元素であり、0.01≦x≦0.2)、LiMnMO(但し、Mは、Fe、Co、Ni、Cu、Znから選択される一種以上の元素)、Li1-xMn(但し、Aは、Mg、B、Al、Fe、Co、Ni、Cr、Zn、Caから選択される一種以上の元素であり、0.01≦x≦0.1)等が挙げられる。
また、正極活物質の具体例としては、LiNi1-x(但し、Mは、Mn、Fe、Co、Al、Ga、Ca、Mgから選択される一種以上の元素であり、0.01≦x≦0.2)、LiCo1-x(但し、Mは、Ni、Fe、Mnから選択される一種以上の元素であり、0.01≦x≦0.2)等が挙げられる。
また、正極活物質の具体例としては、LiNi1/3Mn1/3Co1/3に代表されるLiNiMnCo(但し、Mは、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Cu、Zn、Al、Ga、Ge、Sn、Bi、Mg、Ca、Ba、Sc、Yから選択される一種以上の元素であり、0<a≦0.6、0<b≦0.4、0<c≦0.4、0≦d≦0.1、a+b+c+d=1)で表される三元系正極活物質や、LiMnOとLiMnOからなる固溶体正極活物質が挙げられる。
正極活物質として、三元系正極活物質を用いると、3.7V前後の電極電位が得られる。また、LiNi0.51.5等を用いると、5V前後の高電位が得られる。また、固溶体正極活物質を用いると、三元系正極活物質よりも高容量が得られる場合がある。このような高容量や高電位の正極活物質を用いると、正極合剤層を薄く設けることができるため、正極の積層数を増加させて、電池当たりの電極面積を大きくすることができる。よって、内部抵抗を低減して高出力化を図り、高容量な二次電池を得ることができる。
正極活物質は、一次粒子同士が凝集した二次粒子に造粒されてもよいし、造粒されなくてもよい。正極活物質の造粒は、転動型造粒装置、噴霧乾燥機等の流動層型造粒装置、ヘンシェルミキサ等の攪拌型造粒装置等の各種の造粒装置で行うことができる。正極活物質の粒子を造粒すると、正極活物質の粒子間の電子伝導性、正極活物質の粉末の取り扱い性、正極合剤層の充填性等が向上する場合がある。
正極の作製に用いる正極活物質の粒子径は、正極合剤層の設計厚さ以下に制限することが好ましい。正極の作製に用いる正極活物質の粉末が粗粒を含む場合は、ふるい分級、風流分級等によって粗粒を除去し、正極合剤層の設計厚さ以下の粒子を用いることが好ましい。このような正極活物質を用いると、正極合剤層の厚さ方向における粒子数が多くなるため、正極活物質の粒子間の電子伝導性が良好になる。
正極活物質の平均粒子径は、好ましくは2~20μm、より好ましくは2~8μmである。平均粒子径が2μm以上であると、正極活物質の合成や粉体としての取り扱いが容易である。また、20μm以下で小さいほど、正極合剤層中の正極活物質の充填密度を高くすることができる。このような範囲であれば、正極合剤層中の平均細孔径が0.1~5μmとなり、粒子間に十分量の非水電解液や半固体電解質が保持されるため、充填密度と電解質の保持能力とのバランスが良好になる。
なお、正極活物質の平均粒子径は、体積基準の累積粒子径分布の50%粒子径(メジアン径:D50)として定義される。正極活物質の粒子径は、正極活物質の粉末を水に懸濁して測定試料とし、レーザ回折・散乱型粒子径分布測定装置を用いて測定することができる。測定装置としては、マイクロトラック等を用いることができる。
正極合剤層の厚さは、好ましくは20~80μmである。正極合剤層の厚さが20μm以上であると、厚さ方向における粒子数を多くすることができるため、充放電反応の位置的なバラツキを低減することができる。また、正極合剤層の厚さが80μm以下であると、厚さが均一になり易く、充放電時の厚さ変化や充放電反応の均一性も高くなる。導電剤を多量に配合すると、正極合剤層が嵩高くなり、エネルギ密度が低下する傾向がある。しかし、正極合剤層の厚さが80μm以下であると、導電剤を多量に配合しなくとも、正極活物質の接触状態や反応状態がバラツキ難くなり、正極合剤層の厚さ方向で充放電反応の偏りが低減するため、高い実効容量やエネルギ密度を得ることができる。
正極合剤層の平均細孔径は、好ましくは0.1nm~10μm、より好ましくは0.1~5μm、更に好ましくは0.5~5μmである。平均細孔径が0.1nm以上で大きいほど、リチウムイオンの拡散断面積が確保されるため、内部抵抗を抑制して効率的に充放電を行うことができる。また、平均細孔径が10μm以下で小さいほど、正極活物質の充填密度が高くなるため、高エネルギ密度が得られる。平均細孔径が0.1~5μmであると、電解質の保持能力が適切に得られるため、高充填密度の正極合剤層の下で効率的な充放電が可能になる。
なお、正極合剤層の平均細孔径は、正極活物質、導電剤およびバインダが存在しない正極合剤層中の空間を円柱状の細孔と見做したときの細孔の平均直径として定義される。正極合剤層の平均細孔径は、水銀圧入法による細孔分布・細孔容積と比表面積の測定に基づいて、メジアン径(D50)として求めることができる。
具体的には、正極合剤層中の非水電解液を、低粘度の有機溶媒や水で溶出させて測定することができる。正極合剤層を、メタノールやエタノール等のアルコール、ジメチルエーテル、アセトン、ジメトキシエーテル等の有機溶媒や、水に浸漬させると、非水電解液を溶出させることができる。溶出を数回繰り返した後、真空乾燥等で乾燥させると、粒子間に非水電解液や半固体電解質を含まない正極合剤層が得られる。この正極合剤層について、水銀ポロシメータで細孔分布・細孔容積や比表面積を測定すると、平均細孔径を計算することができる。
正極合剤層の充填密度は、好ましくは2.0~3.5g/cmである。このような範囲であると、正極活物質同士や、正極活物質と導電剤とを密着させて、正極合剤層内の電子伝導抵抗を低減し、良好なレート特性や高容量を得ることができる。なお、正極合剤層の充填密度は、正極合剤層の見かけ単位体積当たりの正極活物質、導電剤およびバインダの合計重量として定義される。
正極集電体としては、二次電池の使用中に溶解、酸化等の変化を生じない限り、適宜の材質、形状、製造方法による材料を用いることができる。正極集電体の形態としては、例えば、金属箔、穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等を用いることができる。正極集電体の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金等や、正極の反応電位等に応じて、ステンレス鋼、チタン等を用いることができる。正極集電体の厚さは、機械的強度とエネルギ密度とを両立する観点等からは、10~100μmが好ましい。穿孔箔の孔径は、0.1~10mmが好ましい。
<負極>
負極200は、負極合剤層210と、負極集電体220と、負極タブ230と、を有している。図1において、負極合剤層210は、負極集電体220の両面に形成されている。負極集電体220の端部には、電流を取り出すための負極タブ230が設けられている。負極タブ230は、不図示のリード、外部端子等と電気的に接続することができる。
負極合剤層210は、正極活物質よりも低電位でリチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極活物質を含有する。負極合剤層210は、負極合剤層210の電子伝導性を向上させるための導電剤や、負極活物質等を結着させるためのバインダを含有してもよい。負極合剤層210は、負極活物質等を溶媒に分散させた負極合剤を用いて、負極集電体220の表面に粒子同士の結着体として形成することができる。
負極活物質としては、例えば、炭素系材料、酸化物系材料、金属系材料等を用いることができる。炭素系材料の具体例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、非晶質系炭素、有機結晶系炭素等が挙げられる。酸化物系材料の具体例としては、LiTi12等のチタン酸リチウムや、リチウムとスズ、ケイ素、鉄、ゲルマニウム等とを含む酸化物等が挙げられる。金属系材料の具体例としては、金属リチウムや、リチウムとスズ、ケイ素、アルミニウム等との合金等が挙げられる。
負極活物質としては、シリコンと、非晶質炭素で表面を被覆した天然黒鉛との混合物を用いることが好ましい。シリコンは、黒鉛よりも理論容量が高いが、充放電時の体積変化が大きい特徴がある。黒鉛の理論容量は、372Ah/kgであるのに対し、シリコンによると、500~1500Ah/kgの容量を得ることができる。また、非晶質炭素は、黒鉛よりも理論容量が高く、比表面積が小さいために電解液の分解が抑制される。
そのため、このような混合物を負極活物質として用いると、理論容量が高いシリコンと、電解液の還元分解を抑制する非晶質炭素とによって、高容量でサイクル特性が良好な負極活物質を得ることができる。このような高容量の負極活物質を用いると、負極合剤層を薄く設けることができるため、負極の積層数を増加させて、電池当たりの電極面積を大きくすることができる。よって、内部抵抗を低減して高出力化を図り、黒鉛負極を用いた場合等と比較して、高容量な二次電池を得ることができる。また、このような混合物の負極活物質は、粒子同士が結着して形成されるため、電子伝導層350を設けることによる効果が大きくなる。
シリコンは、負極活物質の混合物当たり、10~70質量%であることが好ましい。シリコンが10質量%以上であると、理論容量が高いシリコンの割合が大きいため、一般的な黒鉛負極と比較して、高い充放電容量が得られる。また、シリコンが70質量%以下であると、電気抵抗が高いシリコンの割合が小さいため、負極の抵抗が抑制される。
天然黒鉛を被覆する非晶質炭素は、炭素材料の全体当たり、1~30質量%であることが好ましい。非晶質炭素が1質量%以上であると、負極活物質の理論容量が高くなるため、1サイクル目の初期放電容量等を向上させることができる。また、天然黒鉛の比表面積が小さくなり、電解液の分解や、これに伴う表面の高抵抗化が抑制されるため、サイクル特性やレート特性を向上させることができる。また、非晶質炭素が30質量%以下であると、天然黒鉛の割合が大きいため、負極活物質の充填密度や接合性が良好になる。
天然黒鉛を非晶質炭素で被覆する方法としては、例えば、天然黒鉛の表面に熱分解炭素を析出させる方法を用いることができる。エタン、プロパン、ブタン等の低分子の炭化水素を、アルゴンガス等の不活性ガスで希釈し、天然黒鉛の存在下、800~1200℃で熱処理すると、天然黒鉛の表面で炭化水素から水素が脱離して炭素が析出するため、非晶質炭素の被覆が得られる。或いは、ポリビニルアルコール、ショ糖等の有機物を天然黒鉛に添加し、不活性ガス雰囲気下、300~1000℃で熱処理すると、有機物中の水素や酸素が酸化・脱離して炭素が析出するため、非晶質炭素の被覆が得られる。
負極の作製に用いる負極活物質の粒子径は、負極合剤層の設計厚さ以下に制限することが好ましい。負極の作製に用いる負極活物質の粉末が粗粒を含む場合は、ふるい分級、風流分級等によって粗粒を除去し、負極合剤層の設計厚さ以下の粒子を用いることが好ましい。このような負極活物質を用いると、負極合剤層の厚さ方向における粒子数が多くなるため、負極活物質の粒子間の電子伝導性が良好になる。
負極活物質の平均粒子径は、好ましくは2~20μm、より好ましくは5~20μmである。負極活物質の平均粒子径が2μm以上であると、負極活物質の合成や粉体としての取り扱いが容易である。また、20μm以下で小さいほど、負極合剤層中の負極活物質の充填密度を高くすることができる。このような範囲であれば、負極合剤層中の平均細孔径が0.1~5μmとなり、粒子間に十分量の非水電解液や半固体電解質が保持されるため、充填密度と電解質の保持能力とのバランスが良好になる。
なお、負極活物質の平均粒子径は、体積基準の累積粒子径分布の50%粒子径(メジアン径:D50)として定義される。負極活物質の粒子径は、負極活物質の粉末を水に懸濁して測定試料とし、レーザ回折・散乱型粒子径分布測定装置を用いて測定することができる。測定装置としては、マイクロトラック等を用いることができる。
負極合剤層の厚さは、好ましくは10~50μm、より好ましくは15~50μmである。負極合剤層の厚さが10μm以上であると、厚さ方向における粒子数を多くすることができるため、充放電反応の位置的なバラツキを低減することができる。また、負極合剤層の厚さが50μm以下であると、厚さが均一になり易く、充放電時の厚さ変化や充放電反応の均一性も高くなる。導電剤を多量に配合すると、負極合剤層が嵩高くなり、体積エネルギ密度が低下する傾向がある。しかし、負極合剤層の厚さが50μm以下であると、導電剤を多量に配合しなくとも、負極活物質の接触状態や反応状態がバラツキ難くなり、負極合剤層の厚さ方向で充放電反応の偏りが低減するため、高い実効容量やエネルギ密度を得ることができる。
負極合剤層の平均細孔径は、好ましくは0.1nm~19μm、より好ましくは0.1~10μm、更に好ましくは0.5~5μmである。平均細孔径が0.1nm以上で大きいほど、リチウムイオンの拡散断面積が確保されるため、内部抵抗を抑制して効率的に充放電を行うことができる。また、平均細孔径が10μm以下で小さいほど、負極活物質の充填密度が高くなるため、高エネルギ密度が得られる。平均細孔径が0.5~5μmであると、電解質の保持能力が適切に得られるため、高充填密度の負極合剤層の下で効率的な充放電が可能になる。
なお、負極合剤層の平均細孔径は、負極活物質、導電剤およびバインダが存在しない負極合剤層中の空間を円柱状の細孔と見做したときの細孔の平均直径として定義される。負極合剤層の平均細孔径は、水銀圧入法による細孔分布・細孔容積と比表面積の測定に基づいて、メジアン径(D50)として求めることができる。負極合剤層の平均細孔径は、正極合剤層の平均細孔径と同様に、負極合剤層中の非水電解液や半固体電解質を、低粘度の有機溶媒や水で溶出させて求めることができる。
負極集電体としては、二次電池の使用中に溶解等の変化を生じない限り、適宜の材質、形状、製造方法による材料を用いることができる。負極集電体の形態としては、例えば、金属箔、穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等を用いることができる。負極集電体の材料としては、銅、銅合金等や、負極の反応電位等に応じて、ステンレス鋼、チタン、ニッケル等を用いることができる。負極集電体の厚さは、機械的強度とエネルギ密度とを両立する観点等からは、10~100μmが好ましい。穿孔箔の孔径は、0.1~10mmが好ましい。
<電極合剤層形成法>
正極合剤層や負極合剤層は、活物質と導電剤やバインダを溶媒中で混合して電極合剤を調製し、調製した電極合剤を集電体に塗布し、集電体に塗布した電極合剤を乾燥させることによって形成することができる。集電体上に形成した電極合剤層は、活物質が所定の密度となるように、ロールプレス等で加圧する。電極合剤層は、塗布から乾燥までの工程を繰り返して、集電体上に積層することもできる。電極合剤層を形成した電極には、打ち抜き加工、切断加工等を施すことができる。
電極合剤層の導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックや、黒鉛や、炭素繊維等を用いることができる。導電剤の量は、電極合剤の重量当たり、好ましくは10質量%以下である。
電極合剤層のバインダとしては、電極上で酸化還元分解せず、電解液に溶解しない限り、各種のバインダを用いることができる。バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリアクリル酸、ポリイミド、ポリアミド等を用いることができる。負極合剤層のバインダとしては、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース等の水系バインダを用いることもできる。
活物質等を分散させる溶媒としては、バインダを溶解する限り、各種の溶媒を用いることができる。溶媒としては、例えば、有機系バインダに対して、1-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の有機溶媒、水系バインダに対して、水等を用いることができる。電極合剤の混練は、プラネタリーミキサ、ディスパーミキサ、バタフライミキサ、二軸混練機、ボールミル、ビーズミル等の各種の混錬機・分散機で行うことができる。電極合剤を塗布する方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等の各種の方法を用いることができる。
<電解質層>
電解質層300は、正極100と負極200との間を電気的に絶縁すると共に、リチウムイオンを電極間で移動させるイオン伝導の媒体として機能する。電解質層300は、後記するとおり、固体粒子と非水電解液との組み合わせで構成される半固体電解質によって形成される。
電解質層300は、電極と一体的に設けることもできるし、電極から独立した別体として設けることもできる。但し、電子伝導層350を電解質層300と一体的に設ける観点からは、電極から独立した別体として設けることが好ましい。電解質層300を電極と一体的に設け、且つ、負極200側のみに電子伝導層350を設ける場合には、電解質層300を正極100の表面に設けることが好ましい。一方、電解質層300を電極と一体的に設け、正極100側のみに電子伝導層350を設ける場合には、電解質層300を負極200の表面に設けることが好ましい。
<半固体電解質>
半固体電解質は、非水電解液と、非水電解液を保持する保液粒子とを、高体積率を占める主成分として含む。半固体電解質で形成される電解質層300では、保液粒子の粒子間の細孔中に保持される非水電解液がイオン伝導を媒介する。保液粒子に保持される非水電解液は、揮発や流動が抑制されるため、電解液の液漏れや組成変化を生じ難く揮発温度が高い不揮発性の電解質が得られる。
保液粒子としては、電子伝導性が低く、非水電解液に不溶である限り、無機酸化物、無機固体電解質等の各種の粒子を用いることができる。無機酸化物としては、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ベーマイト(AlOOH)、セリア(CeO)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)等が挙げられる。無機固体電解質としては、LiLaZr12等が挙げられる。保液粒子としては、十分な絶縁性が確保される点、電気化学的安定性が高い点等から、シリカ、アルミナ、セリアおよびジルコニアのうちの一種以上を用いることが好ましい。
半固体電解質は、保液粒子同士を結着させてシート化することにより、電解質シートとして電解質層300の作製に用いることができる。電解質シートは、非水電解液と、保液粒子に加え、保液粒子同士を結着させるバインダを含むことができる。電解質シートは、電子伝導層350、または、電子伝導層350の前駆体と予め一体化させておいて、電解質層300と電子伝導層350の作製に用いることができる。
電解質シートは、保液粒子とバインダで形成してもよいし、保液粒子と、バインダと、絶縁性のセパレータとを組み合わせて形成してもよい。但し、半固体電解質や電極群400は機械的に脆弱であるため、機械的強度を確保する観点からは、樹脂等で形成された絶縁性のセパレータを用いることが好ましい。セパレータとしては、微多孔膜、多孔質シート、不織布等を用いることができる。
電解質層300の厚さは、好ましくは1~100μm、より好ましくは5~25μmである。厚さが1μm以上であると、保液粒子で形成される半固体電解質の層を貫通するピンホールが生じ難くなるため、電極間の短絡を防止することができる。また、厚さが100μm以下であると、電極間の距離が短くなるため、低抵抗な二次電池を得ることができる。
電解質層300の平均細孔径は、好ましくは0.01~0.5μmである。平均細孔径が0.01μm以上であると、細孔中のリチウムイオンが拡散移動し易くなり、保液粒子で形成される半固体電解質の層が低抵抗になる。また、平均細孔径が0.5μm以下で小さいほど、保液粒子の充填密度が高くなるため、非水電解液を安定に保持して、半固体電解質の不揮発性を向上させることができる。電解質層300の平均細孔径は、保液粒子の粒子径や使用量によって調整することができる。
なお、電解質層300の平均細孔径は、保液粒子およびバインダが存在しない電解質層中の空間を円柱状の細孔と見做したときの細孔の平均直径として定義される。電解質層300の平均細孔径は、水銀圧入法による細孔分布・細孔容積と比表面積の測定に基づいて、メジアン径(D50)として求めることができる。電解質層300の平均細孔径は、正極合剤層の平均細孔径と同様に、電解質層中の非水電解液を、低粘度の有機溶媒や水で溶出させて求めることができる。
半固体電解質は、正極合剤層や負極合剤層の細孔に充填することもできる。半固体電解質は、正極合剤層や負極合剤層の表面に半固体電解質を塗布する方法、正極合剤層や負極合剤層に半固体電解質を含浸させる方法等によって、毛細管現象で細孔内に吸収させることができる。或いは、活物質、導電剤、バインダ等を混合した電極合剤に、半固体電解質を加え、電極合剤を集電体上に塗布して、半固体電解質が充填された電極合剤層を形成することもできる。
<電解質層形成法>
電解質層300は、保液粒子とバインダで形成する場合、保液粒子とバインダを混合して電解質合剤を調製し、調製した電解質合剤を柔軟性の高いシート状等に成形する方法や、保液粒子とバインダを溶媒中で混合してスラリー状の電解質合剤を調製し、調製した電解質合剤をシート状等に成形し、成形物を乾燥させて溶媒を除去する方法等で形成することができる。或いは、保液粒子とバインダを溶媒中で混合してスラリー状の電解質合剤を調製し、調製した電解質合剤を電極合剤層の表面に塗布し、乾燥させて溶媒を除去して層を成形する方法で電極と一体的に形成することもできる。
また、電解質層300は、保液粒子と、バインダと、セパレータとを組み合わせて形成する場合、保液粒子とバインダとを溶媒中で混合してスラリー状の電解質合剤を調製し、調製した電解質合剤を絶縁性のセパレータの表面に塗布し、乾燥させて溶媒を除去して層を成形する方法で形成することができる。或いは、電極と一体的に形成した電解質シートに絶縁性のセパレータを積層することもできる。電解質層300の形成に用いる電解質シートは、保液粒子が所定の密度となるように、ロールプレス等で加圧することができる。
セパレータは、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系樹脂や、ポリプロピレン、ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂や、アラミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ガラス等を用いて形成することができる。
電解質層300のバインダとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VdF-HFP))、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリアルギン酸、ポリアクリル酸等を用いることができる。バインダを溶解する溶媒としては、1-メチル-2-ピロリドン(NMP)、低級アルコール等の有機溶媒、水等を用いることができる。
非水電解液は、保液粒子で形成される半固体電解質の層の形成後に保液粒子の粒子間に充填してもよいし、半固体電解質の層の形成前に保液粒子と混合しておいてもよい。例えば、保液粒子と非水電解液とを、メタノール等の有機溶媒を添加して混合し、得られたスラリーをシャーレ等に広げて有機溶媒を留去すると、非水電解液が混合された粉末状の半固体電解質が得られるため、電解質層300の形成に用いることができる。
<電子伝導層>
電子伝導層350は、電極と電解質層300との間に介在し、電極合剤層の対極に近い側の表面の電子伝導性を向上させる。電子伝導層350は、電子伝導性を有する導電剤で形成される。電子伝導層350は、導電剤に加え、導電剤を結着させるためのバインダや、半固体電解質を含有してもよいし、バインダや半固体電解質を含有しなくてもよい。
電極合剤層と電解質層300との間に電子伝導層350を形成すると、電極の表面における電子伝導性の位置的なバラツキを低減することができる。電極合剤層の対極側の表面において、表面に平行な面内の電子伝導性が良好になると、電極合剤層の表面に平行な方向にリチウムイオンの濃度分布が形成され難くなるため、面内の電位分布が解消される。
その結果、電極の対極に近い側の表面における充放電の負荷のバラツキが低減する。また、電極の対極に近い側の表面だけでなく、表面と導通した電極の内部における充放電の負荷のバラツキも低減する。そのため、活物質の局所的な劣化が進まず、充放電によって活物質粒子が電気的に孤立し難くなる。全体としての劣化が抑制されるため、実効容量やサイクル特性が向上して、充放電を繰り返しても高い放電容量が得られる。
電子伝導層350の導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックや、黒鉛や、黒鉛と非晶質炭素との複合材料や、カーボンナノチューブ等の炭素繊維等を用いることができる。カーボンナノチューブの直径は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.4~50nmである。カーボンナノチューブの長さは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1~10μmである。
導電剤としては、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブが好ましく、カーボンナノチューブが特に好ましい。カーボンブラックやカーボンナノチューブによると、高い導電率が得られる。また、カーボンナノチューブによると、電子伝導層350や電子伝導層350の前駆体を形成するときに、高い付着力が得られるため、粒子が脱落し難くなる。そのため、バインダの使用を省略することも可能になる。また、二次電池の組み立て後に、対極側に浸出し難いため、短絡を防止することができる。
電子伝導層350のバインダとしては、例えば、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース等の水系バインダや、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリアクリル酸、ポリイミド、ポリアミド等を用いることができる。バインダを用いると、電子伝導層350や電子伝導層350の前駆体を形成するときに、付着力が高くなるため、粒子同士や塗布面から脱落し難くすることができる。バインダの量は、導電剤とバインダの合計100質量%に対して、10質量%以下とすることが好ましい。
電子伝導層350の厚さは、好ましくは1~5μmである。厚さが1μm以上であると、電極合剤層の対極側の表面において、表面に平行な面内の電子伝導性を適切に向上させることができる。また、厚さが5μm以下であると、二次電池中における活物質の割合が相対的に大きくなるため、高エネルギ密度を得ることができる。なお、厚さが5μmを超えても、電極合剤層の表面の電子伝導性を向上させる効果は頭打ちになると考えられる。
<電子伝導層形成法>
電子伝導層350は、電子伝導性を有する導電剤を、電極の表面、または、電解質層300の表面、例えば、電解質層300の作製に用いる電解質シートの表面に塗布することによって形成することができる。導電剤の付着力が高い場合は、導電剤の粉末をバインダを用いることなく塗布する方法を用いることができる。導電剤の付着力が低い場合は、導電剤とバインダを溶媒中で混練してスラリー状の混合物を調製し、調製したスラリー状の混合物を電極の表面や電解質シートの表面に塗布し、塗布したスラリー状の混合物を乾燥させて溶媒を除去する方法を用いることができる。
電子伝導層350を負極200と電解質層300との間に形成する場合には、導電剤に対して、リチウムと脱離成分からなるリチウム化合物を混合することが好ましい。リチウム化合物と導電剤との混合物を、電極の表面や電解質シートの表面に塗布すると、電子伝導層350の前駆体を形成することができる。電子伝導層350の前駆体は、リチウム化合物を含有するが、セルを組み立ててリチウム化合物を電気化学反応させると電子伝導層350となる。
リチウム化合物としては、水素化リチウム、窒化リチウム、金属リチウムを安定化させた複合化合物等を用いることができる。複合化合物としては、金属リチウムで形成されたコア部と、水素化リチウム、窒化リチウム、炭酸リチウム等の安定化合物で形成されたシェル部と、を有するコアシェル構造の安定化リチウムが挙げられる。このような複合化合物は、金属リチウムにガスを接触・反応させて得ることができる。リチウム化合物としては、一種を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
このようなリチウム化合物を用いると、セルを組み立てて、電子伝導層350の前駆体に電圧を印加したとき、リチウム化合物を電気化学反応させることができる。リチウム化合物を電気化学反応させると、未充電の負極にリチウムを注入すると共に、脱離成分をガス化させて除去することができる。脱離成分をガス化させると、リチウム化合物が存在していた領域が空乏になるため、電子伝導層350中に不純物が混入するのを避けることができるし、非水電解液や半固体電解質が浸透可能な空隙を増加させることができる。複合化合物であれば、金属リチウムと大気中の酸素や水分との反応を抑制することができる。
電子伝導層350の前駆体の厚さは、好ましくは5~20μmである。電子伝導層350の厚さは、好ましくは1~5μmであるところ、リチウム化合物が電気化学反応すると、電子伝導層350の前駆体が体積収縮を起こして薄くなるためである。電子伝導層350の前駆体の厚さが5~20μmであると、電子伝導層350の厚さが1~5μmとなり、電極合剤層の対極側の表面の面内の電子伝導性を向上させる効果が適切に得られる。
リチウム化合物の添加量は、導電剤とリチウム化合物の合計100質量%に対して、好ましくは50~95質量%、より好ましくは60~95質量%、更に好ましくは70~95質量%、更に好ましくは80~95質量%である。このような添加量であると、リチウム化合物の電気化学反応によって、電子伝導層350の前駆体が大きな体積収縮を起こすため、空隙を持つ薄い電子伝導層350を形成することができる。薄い電子伝導層350を形成すると、高いエネルギ密度の二次電池が得られる。
<非水電解液>
非水電解液は、電解質塩と、電解質塩を溶解した非水溶媒とを、高体積率を占める主成分として含む。非水電解液は、電解質塩および非水溶媒に加え、二次電池のレート特性、サイクル特性、電池寿命等を向上させる添加剤を含有してもよい。
非水溶媒としては、例えば、エーテル類や、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネートや、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネートや、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート等の鎖状カルボン酸エステルや、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル等を用いることができる。
非水溶媒は、高体積率を占める主溶媒として、グライムを含有することが好ましい。グライムは、複数のエーテル結合を有するグリコールエーテル系の有機溶媒である。グライムは、次の一般式(1)で表される。
CHO-(CHCHO)-CH ・・・(1)
[但し、式(1)中、nは、1以上の整数である。]
一般式(1)において、nが1の化合物は、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル:G1)、nが2の化合物は、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル:G2)、nが3の化合物は、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル:G3)、nが4の化合物は、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル:G4)、nが5の化合物は、ペンタグライム(ペンタエチレングリコールジメチルエーテル:G5)、nが6の化合物は、ヘキサグライム(ヘキサエチレングリコールジメチルエーテル:G6)である。
非水溶媒としては、トリグライム(G3)およびテトラグライム(G4)のうちの一種以上を用いることが好ましい。このようなグライムを用いると、グライムがリチウムイオンに等モル比で溶媒和するため、不揮発性やイオン解離度が高く、イオン伝導性が良好な非水電解液が得られる。
グライムのモル数と電解質塩のモル数との比は、好ましくは0.9~1.1、より好ましくは0.95~1.05である。このようなモル比であると、リチウムイオンに対して等モル比に近いグライムが溶媒和するため、イオン解離度が高く、イオン伝導性が良好な非水電解液が得られる。
非水電解液は、主溶媒に加え、炭酸エステル等の他の溶媒を含有してもよい。炭酸エステルとしては、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルメチル(EMC)等が挙げられる。炭酸エステルとしては、一種を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。炭酸エステルをグライム等の主溶媒に添加すると、非水電解液の粘度を下げることができるため、高いイオン伝導率を得ることができる。
炭酸エステルのモル数と電解質塩のモル数またはグライムのモル数との比は、好ましくは0.5~5である。例えば、グライムと電解質塩の等モル溶液に対して、0.5~5倍量の炭酸プロピレン等を混合することができる。また、電解質塩を炭酸エステルに溶解させた0.5~2モル濃度の溶液を、グライムと電解質塩の等モル溶液に対して、0.5~2倍量となるように混合することができる。このようなモル比であると、イオン伝導性を高くしつつ、非水電解液の粘度を下げることができる。
<電解質塩>
電解質塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、リチウムトリフラート等や、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SOCF:LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(FSO:LiFSI)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiN(SOCFCF:LiBETI)等のイミド系リチウム塩等を用いることができる。電解質塩としては、一種を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
電解質塩としては、LiPF、または、イミド系リチウム塩を用いることが特に好ましい。LiPFを用いると、リチウムイオンの解離度が高いため、リチウムイオンの高い導電率が得られる。また、イミド系リチウム塩を用いると、化学的安定性や熱的安定性が高いイミドによって優れた難燃性が得られる。
添加剤としては、炭酸ビニレン(VC)、炭酸フルオロエチレン(FEC)、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOB)等の被膜形成剤を用いることができる。被膜形成剤を用いると、二次電池の充電によって、負極の表面に低抵抗な被膜(Solid Electrolyte Interphase:SEI膜)を形成することができる。被膜によって非水溶媒の還元分解が抑制されるため、二次電池の高抵抗化や不可逆容量の増大を抑制することができる。
特に、黒鉛負極を用いる場合、黒鉛の層間にリチウムイオンが挿入したときに、非水溶媒が負極上で還元分解され易くなることが知られている。非水溶媒が還元分解すると、負極上に高抵抗な被膜が形成されるため、充放電が阻害されることになり、高抵抗化や不可逆容量の増大が進む。そのため、黒鉛負極を用いる場合、このような添加剤を用いることが特に好ましい。
また、非水溶媒として炭酸プロピレンを用いる場合、リチウムイオンに溶媒和した炭酸プロピレンが黒鉛の層間に共挿入し、還元分解されて黒鉛層を剥離させることが知られている。負極内の黒鉛層が剥離すると、充放電自体が不能になる。そのため、非水溶媒として多量の炭酸プロピレンを用いる場合、VCではなくLiBOB等を添加することがより好ましい。
非水電解液に添加する被膜形成剤の量は、非水電解液の全体の重量に対して、1~10質量%であることが好ましい。このような範囲であると、必要最小限の薄い被膜を負極の表面に形成することができる。そのため、負極の表面の高抵抗化を避けつつ、非水溶媒の還元分解を抑制して、二次電池の高抵抗化やサイクル特性の悪化を防止することができる。
また、添加剤としては、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩や、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート等のイミダゾリウム塩等の腐食防止剤を用いることができる。腐食防止剤を用いると、集電体等を不動態化させて金属の溶出を防ぎ、二次電池の劣化を抑制することができる。
非水電解液に添加する腐食防止剤の量は、非水電解液の全体の重量に対して、1~5質量%であることが好ましい。このような範囲であると、イオン伝導性を大きく損なうことなく、集電体等の腐食を防止する十分な効果を得ることができる。
<二次電池製造方法>
リチウムイオン二次電池は、図1および図2に示すように、電極群400を構成する正極100、負極200等のセル要素を作製し、セル要素を組み立てて電極群400を形成し、電極群400を外装体500に収容して、回路形成、封止、絶縁材や保護装置の介装等を行うことによって製造することができる。外装体500の封止は、例えば、溶接、かしめ、接着等によって容器の開口に蓋を接合することによって行うことができる。電極群400に十分な非水電解液が保持されていない場合には、外装体500の内部に注液口等から非水電解液を注入し、注液栓で閉塞させる。
電極群400を構成するセル要素は、負極活物質とバインダを溶媒中で混合して負極合剤を調製し、負極合剤を負極集電体に塗布し、負極合剤を乾燥させて負極を作製する工程と、保液粒子とバインダを混合して電解質合剤を調製し、電解質合剤を成形して電解質シートを作製する工程と、導電剤を電極の表面または電解質シートの表面に塗布する工程と、によって用意することができる。これらの工程の先後は、特に制限されるものではない。
電子伝導層350を負極200と電解質層300との間に形成する場合、電極群400は、作製した負極と、電解質シートとを、電子伝導層350またはその前駆体を構成する導電剤を挟むように積層し、電解質シートの導電剤が付着している面と反対側に、作製した正極を配置して、セルを組み立てる工程によって作製することができる。なお、電子伝導層350を正極100と電解質層300との間に形成する場合や、電子伝導層350を電極側と一体的に用意した場合には、この限りではない。これらの場合、層間の密着性を確保しつつ、各セル要素を適宜積層して、電極群400を形成することができる。
次に、電子伝導層350を負極200と電解質層300との間に形成することによる、二次電池上の具体的な効果について説明する。負極側に電子伝導層350を形成する場合、リチウムと脱離成分からなるリチウム化合物と導電剤との混合物が特に有効となる。
図3は、一般的なリチウムイオン二次電池の放電曲線を示す図である。
図3において、横軸は、放電容量、縦軸は、電極間の電池電圧を示す。図3に示すように、一般的なリチウムイオン二次電池の電池電圧は、放電が進むに連れて充電電圧Vから次第に低下し、放電終始電圧Vに達する。放電の末期には、電池電圧の低下が大きくなり、利用可能な電力が小さくなる。
電池電圧は、正極電位と負極電位との差に基づくところ、二次電池の構成等によっては、放電の末期において、負極電位の上昇が正極電位の降下を上回る場合がある。負極電位の上昇が正極電位の降下を上回ると、電池電圧は、主として負極電位によって左右されるようになる。一般に、放電終始電圧Vを低く設定すると、高い放電容量が得られるが、負極電位の上昇が優勢な場合、負極電位の増大による負極の劣化が問題となる。
負極電位の上昇が優勢な場合には、負極の劣化を防止するために、適切な放電終始電圧Vの設定が必要とされる。負極の劣化としては、負極電位の増大に起因する負極集電体の溶出、電解液成分の還元分解等があり得る。負極電位の上昇が優勢な場合、負極が要因で放電終始電圧Vを低く設定できないため、リチウムイオン二次電池の高容量化が妨げられている。
負極の表面では、非水電解液やリチウムイオンの存在下、電解液の成分が分解されて、SEI膜が形成されることが知られている。一般的なリチウムイオン二次電池において、系内へのリチウムイオンの供給は、リチウム遷移金属複合酸化物等の正極活物質が担っている。SEI膜を形成する反応が起こると、リチウムイオンが不可逆反応によって消費されるため、正極活物質から系内に供給されたリチウムイオンの一部が充放電反応に寄与しなくなることが知られている。
従来の一般的なリチウムイオン二次電池の場合、このような不可逆反応でリチウムイオンが消費されるため、正極活物質から系内に供給されるリチウムイオンの利用率が低くなっている。リチウムイオンの利用率が低い状態では、理論容量に近い高容量を得ることが困難である。放電の末期に負極電位の上昇が優勢な場合には、このような負極上の反応が電池電圧を大きく左右することになるため、放電終始電圧Vを低く設定して高い放電容量を得ることが難しい現状がある。
これに対し、リチウム化合物と導電剤との混合物を用いて、負極側に電子伝導層350の前駆体を形成すると、セルを組み立てて、リチウム化合物を電気化学反応させることによって、リチウムを負極に注入することができる。リチウム化合物は、電極間に電子伝導層350の前駆体が挟まれると、電位差によって電気化学反応を起こし、リチウムイオンと脱離成分とに分解される。
リチウム化合物が生じたリチウムイオンは、充電反応と同様に負極に注入されるため、初期充電時に正極活物質から供給されるリチウムイオンの代わりに、SEI膜を形成する反応に利用することができる。正極活物質から系内に供給されるリチウムイオンは、SEI膜を形成する反応によって消費されなく難くなるため、正極活物質から系内に供給されるリチウムイオンの利用率を改善することができる。
図4は、一般的なリチウムイオン二次電池の放電曲線と本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の放電曲線を比較して示す図である。
図4において、横軸は、放電容量、縦軸は、電極間の電池電圧を示す。符号110は、一般的なリチウムイオン二次電池の放電曲線(図3参照)である。符号120は、リチウム化合物と導電剤との混合物を用いて、電子伝導層350を負極200と電解質層300との間に形成したリチウムイオン二次電池の放電曲線である。
図4に示すように、リチウム化合物と導電剤との混合物を用いて、電子伝導層350を負極200と電解質層300との間に形成すると、正極活物質から系内に供給されるリチウムイオンの利用率が高くなり、リチウムイオンの多くが充放電反応に寄与するようになるため、放電曲線を高容量側にシフトさせることができる。負極電位の上昇が抑制されるため、負極の作動電位の範囲を低電位側に低くすることができる。
具体的には、従来のリチウムイオン二次電池の炭素電極は、1.2V(vs.Li/Li)程度の高電位まで上昇するのに対し、リチウム化合物と導電剤との混合物を用いて、電子伝導層350を負極200と電解質層300との間に形成すると、負極がより低電位の電位の範囲で動作するリチウムイオン二次電池を得ることができる。
そのため、放電終始電圧Vをより低く設定することが可能になり、高い放電容量を得ることができる。また、負極が1.2V(vs.Li/Li)未満の低電位の範囲で動作するため、負極を保護するSEI膜が酸化分解するのを防ぐことができる。よって、充放電を繰り返しても、適切なSEI膜を維持して、電解液の成分の還元分解を抑制し、良好なサイクル特性を得ることができる。また、負極を高電位まで放電させないことにより、負極活物質の体積変化を抑制して、負極活物質同士の接触を保つことができるため、活物質粒子の電気的な孤立による容量の低下を防ぐことができる。
負極の作動電位の範囲は、リチウム化合物の添加比等に応じて、少なくとも1.2V(vs.Li/Li)未満、例えば、1.1V以下、1.0V以下、0.9V以下、0.8V以下、0.7V以下、0.6V以下等に下げることができる。負極の作動電位の範囲は、SEI膜の破壊を避ける観点からは、0.8V(vs.Li/Li)以下であることが好ましい。
また、電子伝導層350を負極200と電解質層300との間に形成すると、次のような効果が得られる。
電子伝導層350は、負極合剤層の正極側の表面の面内の電子伝導性を向上させるため、負極合剤層の表面の面内の電位分布を解消し、負極200の過電圧を均一にする作用を示す。負極合剤層の表面の面内の電位分布が解消されると、電子伝導層350の前駆体から負極200に対してリチウムイオンが均一に供給されるため、均一性高いSEI膜を形成することができる。
このとき、電子伝導層350の前駆体は、リチウム化合物の分解によって薄膜化していくが、電子伝導層350の前駆体の内部のリチウムイオンは、電子伝導性の向上により、位置的にバラツキ少なく均一に減少するため、電子伝導層350の厚さの位置的なバラツキも少なくなる。そのため、負極200と電子伝導層350との密着性を適切に確保することができる。
また、電子伝導層350は、負極合剤層の正極側の表面の面内の電子伝導性を向上させるため、負極活物質に対する充放電の負荷の位置的なバラツキが低減する。負極活物質が充放電反応の位置的なバラツキを生じ難くなると、負極活物質の局所的な劣化が進行し難くなるため、周囲の活物質粒子が電気的に孤立し難くなる。よって、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させて、充放電の繰り返しに伴う劣化を抑制しつつ、高い放電容量を得ることができる。
一般には、負極にリチウムイオンを注入する場合、リチウム化合物を負極合剤層自体に混合する方法が考えられる。しかし、このような方法を用いると、リチウム化合物が分解した後に、負極合剤層中に空隙が残るため、負極合剤層の強度が低くなる。空隙の壁面に位置する負極活物質は、隣接する粒子が少ないため、結着しているバインダの量も少なくなる。そのため、空隙の壁面に位置する負極活物質は、脱落して電気的に孤立し易くなる。これに対し、リチウム化合物と導電剤との混合物を用いて、負極側に電子伝導層350の前駆体を形成すると、リチウム化合物を負極合剤層自体に混合する方法と比較して、高い放電容量を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、本発明は、必ずしも前記の実施形態が備える全ての構成を備えるものに限定されない。或る実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えたり、或る実施形態の構成の一部を他の形態に追加したり、或る実施形態の構成の一部を省略したりすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<電解質シートの作製>
表1に示すように、電子伝導層を半固体電解質と一体化させた電解質シート、または、リチウム化合物を添加した電子伝導層の前駆体を半固体電解質と一体化させた電解質シートを作製した。電解質塩としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を用いた。非水溶媒としては、トリグライム(G3)またはテトラグライム(G4)を用いた。
非水電解液には、電解質塩のモル数に対して4倍量の炭酸プロピレン(PC)と、3質量%の炭酸ビニレンと、2.5質量%のテトラブチルアンモニウムリン酸塩(NBuPF)を添加した。テトラブチルアンモニウムリン酸塩は、正極集電体の腐食を防止するための添加剤である。
はじめに、電解質塩と、非水溶媒とを、モル比で1:1となるように混合し、各添加剤を加えて非水電解液を調製した。そして、得られた非水電解液と、保液粒子とを混合して、半固体電解質であるスラリー状の電解質合剤を調製した。保液粒子としては、シリカ粒子を用いた。溶媒としては、1-メチル-2-ピロリドンを用いた。
また、導電剤と、電子伝導層用のバインダと、リチウム化合物とを、表1に示す組成となるように秤量し、溶媒中で混合して、電子伝導層の形成に用いるスラリー状の混合物を調製した。導電剤としては、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を表1に示す添加量で用いた。リチウム化合物としては、窒化リチウム(LiN)、または、コアシェル構造の安定化リチウムを用いた。溶媒としては、1-メチル-2-ピロリドンを用いた。
続いて、スラリー状の電解質合剤を、セパレータの表面に塗布し、乾燥炉に入れて塗布用の溶媒を乾燥させて、電解質層の形成に用いる固体電解質シートを得た。そして、電子伝導層の形成に用いるスラリー状の混合物を、固体電解質シートの表面に塗布し、乾燥炉に入れて塗布用の溶媒を乾燥させて、電子伝導層または電子伝導層の前駆体が予め一体化した固体電解質シートを得た。
<正極の作製>
正極活物質と、導電剤と、バインダとを、重量比が88:5:7となるように秤量し、正極活物質と、導電剤と、バインダを溶解させた溶媒とを混合して、スラリー状の正極合剤を調製した。正極活物質としては、LiNi1/3Mn1/3Co1/3を用いた。導電剤としては、カーボンブラックを用いた。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデンを用いた。溶媒としては、1-メチル-2-ピロリドンを用いた。
続いて、スラリー状の正極合剤を正極集電体の表面に塗布した。正極集電体としては、アルミニウム箔を用いた。正極合剤を塗布した正極集電体を、乾燥炉に入れて溶媒を乾燥させた後に、所定径に打ち抜き、加圧成形して正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質と、バインダとを、重量比が96:4となるように秤量し、負極活物質と、バインダを溶解させた溶媒とを混錬機で混合して、スラリー状の負極合剤を調製した。負極活物質としては、シリコンと、非晶質炭素で表面を被覆した天然黒鉛との混合物を用いた。シリコンとしては、平均粒子径が10nmであるシリコンナノパウダ(シグマアルドリッチ社製)を用いた。天然黒鉛の表面には、プロパンとアルゴンを体積比が1:99となるように混合した混合ガスを1000℃で接触させて、2質量%の非晶質炭素を析出させた。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデンを用いた。溶媒としては、1-メチル-2-ピロリドンを用いた。
続いて、スラリー状の負極合剤を負極集電体の表面に塗布した。負極集電体としては、厚さ10μmの圧延銅箔を用いた。負極合剤を塗布した負極集電体を、乾燥炉に入れて溶媒を乾燥させた後に、所定径に打ち抜き、加圧成形して負極を得た。
<二次電池の作製>
作製した正極と、電子伝導層または電子伝導層の前駆体が予め一体化した電解質シートと、負極とを、この順に積層して電極群を形成し、電極群を外装体に収容した。正極同士および負極同士をタブで溶接して外部に引き出し、外装体の内部に不揮発性電解質を注入した後に、外装体を封止して、リチウムイオン二次電池を得た。
<放電容量の測定>
作製した二次電池を、25℃において、0.3mAで4.2Vまで充電した後、4.2Vで5時間にわたり定電圧充電した。その後、0.3mAで放電させて、2.0Vに達したとき、放電を終了させた。この充放電を電池の初期化プロセスとし、この間の放電容量を0.2C放電容量とした。二次電池の設計容量は、1mAhである。初期化プロセスの後、同じ条件で100サイクルの充放電を繰り返し、100サイクル後の放電容量を求めた。初期化プロセスで測定された初期容量に対する、100サイクル後の放電容量の百分率を、100サイクル目の放電容量の容量維持率[%]として求めた。
<負極電位の測定>
放電容量の測定とは別に、同様の二次電池を作製して、初期化プロセスに供した。その後、放電状態になっている二次電池を解体し、負極を取り出した。そして、取り出した負極を作用極、リチウム金属を対極且つ参照極として、電解質シートを絶縁分離膜とする半電池を組み立てた。この半電池に、電池容量に相当する電気量を流して負極を充電状態とした後、同じ電気量を流して負極を放電状態として、負極の作動電位の範囲を測定した。
表1に、作製した二次電池の構成(電子伝導層の導電剤の種類、組み立て後の電子伝導層の厚さ、電子伝導層のバインダの種類、電子伝導層のバインダの添加量、リチウム化合物の種類、リチウム化合物の添加先の場所、リチウム化合物の添加比(導電剤とリチウム化合物の合計に対する質量割合)、電解質シートの材料)と、二次電池の初期放電容量、100サイクル後の容量維持率の結果を示す。
Figure 2022046160000002
実施例1~11は、電子伝導層にリチウム化合物を添加していない場合(実施例1、6)を含め、電子伝導層の厚さが、面内のバラツキを含めて、1~5μmであった。また、初期容量は、1.0mAhであり、負極の作動電位の範囲は、0~1.2Vであった。実施例1~10については、100サイクル後の容量維持率として、80%以上が得られた。
特に、実施例2~5、7~10は、電子伝導層を形成する導電剤にリチウム化合物を添加しているため、負極の作動電位の範囲が、0.8V以下に低くなった。また、実施例2~5、7~10は、100サイクル後の容量維持率が向上し、85%以上から90%以上の結果が得られた。実施例5は、電子伝導層の形成にバインダを用いていないが、100サイクル後の容量維持率が向上していた。この結果から、カーボンナノチューブを用いた場合、バインダの省略が可能であることが分かる。
その一方で、実施例11は、電子伝導層のバインダの添加量が20質量%と多いため、100サイクル後の容量維持率が、71%と低くなった。電子伝導層の形成に多量のバインダを用いると、電子伝導層が高抵抗化すると考えられる。導電剤としてカーボンナノチューブを用いる場合、バインダを省略するか、または、添加量を10質量%以下とすることが好ましいといえる。
比較例1は、電子伝導層を備えず、リチウム化合物を用いていないため、初期放電容量が、0.7と低くなり、100サイクル後の容量維持率が、78%と低くなった。比較例1と実施例1を比較すると、電子伝導層がサイクル特性等の向上に機能していることが分かる。
比較例2は、電子伝導層を備えず、導電剤を用いることなく、バインダとリチウム化合物のみを用いているため、初期放電容量が、0.6と低くなり、100サイクル後の容量維持率が、77%と低くなった。二次電池を解体したところ、リチウム化合物は、セパレータであるセルロース繊維に残存しており、電気化学反応で分解されていないことが確認された。比較例2と実施例3を比較すると、電子伝導層を備えない場合、負極の作動電位の範囲が高くなると共に、100サイクル後の容量維持率が低くなり、リチウム化合物の添加による効果が得られないことが分かる。
1000 リチウムイオン二次電池
100 正極
110 正極合剤層
120 正極集電体
130 正極タブ
200 負極
210 負極合剤層
220 負極集電体
230 負極タブ
300 電解質層
350 電子伝導層
400 電極群
500 外装体

Claims (11)

  1. リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極と、
    リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在する電解質層と、
    前記負極と前記電解質層との間に形成された電子伝導層と、を備え、
    前記電解質層は、電解質塩と前記電解質塩を溶解した非水溶媒を含む非水電解液と、前記非水電解液を保持する保液粒子と、を含み、
    前記電子伝導層は、電子伝導性を有する導電剤で形成されたリチウムイオン二次電池。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池であって、
    前記導電剤が、カーボンナノチューブまたはカーボンブラックであるリチウムイオン二次電池。
  3. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池であって、
    前記電子伝導層の厚さが、1μm以上5μm以下であるリチウムイオン二次電池。
  4. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池であって、
    前記負極が、0.8V(vs.Li/Li)以下の電位の範囲で動作するリチウムイオン二次電池。
  5. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池であって、
    前記電解質塩が、イミド系リチウム塩であるリチウムイオン二次電池。
  6. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池であって、
    前記非水溶媒が、グライムを含むリチウムイオン二次電池。
  7. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池であって、
    前記保液粒子が、無機酸化物または無機固体電解質であるリチウムイオン二次電池。
  8. 負極活物質とバインダを溶媒中で混合して負極合剤を調製し、前記負極合剤を負極集電体に塗布し、前記負極合剤を乾燥させて負極を作製する工程と、
    非水電解液を保持するための保液粒子とバインダを混合して電解質合剤を調製し、前記電解質合剤を成形して電解質シートを作製する工程と、
    導電性を有する導電剤を前記負極の表面または前記電解質シートの表面に塗布する工程と、
    前記負極と前記電解質シートとを前記導電剤を挟むように積層し、前記電解質シートの前記導電剤と反対側に前記正極を配置してセルを組み立てる工程と、を含むリチウムイオン二次電池の製造方法。
  9. 請求項8に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    リチウムと脱離成分からなるリチウム化合物と前記導電剤との混合物を、前記負極の表面または前記電解質シートの表面に塗布するリチウムイオン二次電池の製造方法。
  10. 請求項9に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記セルを組み立てて前記リチウム化合物を電気化学反応させて、前記リチウムを前記負極に注入すると共に、前記脱離成分をガス化させて除去するリチウムイオン二次電池の製造方法。
  11. 請求項9に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記リチウム化合物が、水素化リチウム、窒化リチウム、または、金属リチウムを安定化させた複合化合物であるリチウムイオン二次電池の製造方法。
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