JP2017067286A - 密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転軸に装着するトーショナルダンパ等の回転体とこの回転体に併設するエンジンケース等の非回転の静止体との間をシールする密封装置であって、回転軸の回転を計測する磁気エンコーダを備える密封装置において、その製造を容易化することができる密封装置を提供する。【解決手段】磁気エンコーダを架橋接着するとともに回転体に取り付けられる金属環を備え、この金属環によるシール構造を備える。シール構造は、非接触式のラビリンスシールとされる。金属環は、回転体に取り付けられる取付用筒部と、シール構造を形成するシール形成部とを一体に備え、取付用筒部の外周面に磁気エンコーダが架橋接着されている。【選択図】図1

Description

本発明は、シール技術に係る密封装置に関する。本発明の密封装置は例えば、自動車関連の分野で用いられる。
従来から、自動車エンジンのクランクシャフトの回転数や回転角度をセンシングする技術として、そのコンパクト化やセンシング精度向上を目的に、図7に示すように、トーショナルダンパ51のハブ52に磁気エンコーダ61を架橋接着したものが開発されている(特許文献1参照)。
トーショナルダンパ51は、クランクシャフト(図示せず)に固定されるハブ52にゴム状弾性体(ダンパバネ)53を介して慣性質量体(ダンパマス)54を連結したものであって、その共振作動によって、クランクシャフトに発生する捩れ振動を吸収し減衰させる。
磁気エンコーダ61は、磁性粉を混入した所定のゴム状弾性材によって環状に成形され、その円周方向着磁パターンとしてN極およびS極を円周上交互に所定ピッチで多数磁極化したものであって、磁気センサ71(図8)と組み合わされて、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングする。
上記図7の技術では、センシング機能を発揮する磁気エンコーダ61が併せて、シール機能を発揮するように構成されている。すなわち図8に示すように、磁気エンコーダ61がエンジンケース81に対し近接配置されてエンジンケース81との間に微小間隙cを形成することにより、ここに非接触式のラビリンスシール91が形成され、これによりダストや泥水等の外部異物がエンジン内部へ侵入しないようにシールするシール構造が設定されている。
また、近年、トーショナルダンパ51の軽量化のため、図9に示すように、ハブ52に窓部55を設けることが行なわれている(特許文献2参照)。
特開2011−241907号公報 特開2014−206247号公報
しかしながら上記図7および図8に示すトーショナルダンパ51のハブ52に、上記図9に示す窓部55を設けた場合、窓部55からダストや泥水等の外部異物が侵入しやすくなることが懸念される。したがってこれに対応すべく、シール性の更なる向上が求められる。
また上記図7および図8に示す技術では、ハブ52に直接、磁気エンコーダ61を架橋接着しているため、その製造に際して、ハブ52の大きさに見合った大型の架橋用金型を用意しなければならないなど、製造に手間がかかる。したがって、製造しやすい構造が求められる。
本発明は以上の点に鑑みて、回転軸に装着するトーショナルダンパ等の回転体とこの回転体に併設するエンジンケース等の非回転の静止体との間をシールする密封装置であって、回転軸の回転を計測する磁気エンコーダを備える密封装置において、その製造を容易化することができる密封装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、以下の手段を採用した。
本発明の密封装置は、回転軸に装着する回転体と前記回転体に併設する非回転の静止体との間をシールする密封装置であって、前記回転軸の回転を計測する磁気エンコーダを架橋接着するとともに前記回転体に取り付けられる金属環によるシール構造を備え、前記シール構造は、非接触式のラビリンスシールであることを特徴とする(請求項1)。
上記構成を備える本発明の密封装置は、回転体に取り付けられる金属環を備え、この金属環に磁気エンコーダを架橋接着するとともにこの金属環によりシール構造として、非接触式のラビリンスシールを設定する。したがって磁気エンコーダを架橋接着する相手方の部品がトーショナルダンパのハブなどの大型の部品ではなく、ハブに取り付けられる比較的小型の金属環とされるため、大型の架橋用金型を用意する必要がないなど、製造を容易化することが可能とされる。金属環の形状としては例えば、回転体に取り付けられる取付用筒部と、シール構造を形成するシール形成部とを一体に備え、取付用筒部の外周面に磁気エンコーダを架橋接着する。
シール構造としては、以下の態様とするのが好適である。
(1)金属環のシール形成部を静止体に近接配置することによりラビリンスシールとする。
(2)金属環のシール形成部を、静止体に設けた環状凹部に非接触で挿入することによりラビリンスシールとする。
(3)金属環のシール形成部の根元部に凹部形状を形成し、この凹部形状によるシール対象貯留部を設ける。
(4)金属環のシール形成部とシール形成部に嵌合した第2金属環との間に空間部を形成し、この空間部によるシール対象貯留部を設ける。
(5)金属環のシール形成部に嵌合した第2金属環を静止体または静止体に嵌合した嵌合部品に近接配置することによりラビリンスシールとする。
(6)上記(1)〜(5)を適宜組み合わせる。例えば上記(2)と(4)を組み合わせることにより、金属環のシール形成部を、静止体に設けた環状凹部に非接触で挿入することによりラビリンスシールとするとともに、金属環のシール形成部とシール形成部に嵌合した第2金属環との間に空間部を形成し、この空間部によるシール対象貯留部を設ける。
また、本発明の密封装置は上記したように例えば、自動車関連の分野で用いられ、この場合、回転軸は、エンジンの回転軸とされ、回転体は、回転軸に装着されるトーショナルダンパのハブとされ、静止体は、エンジンケースとされる。したがってこのような周辺環境下の用途に用いられる密封装置の製造を容易化することが可能とされる。
本発明によれば、回転軸の回転を計測する磁気エンコーダを架橋接着するとともに回転体に取り付けられる金属環によるシール構造を備えるため、密封装置の製造を容易化することができる。また、金属環によるシール構造として非接触式のラビリンスシールを設定するため、外部異物などのシール対象に対して十分なシール効果を発揮することができる。
本発明の第1実施例に係る密封装置の要部断面図 本発明の第2実施例に係る密封装置の要部断面図 本発明の第3実施例に係る密封装置の要部断面図 本発明の第4実施例に係る密封装置の要部断面図 本発明の第5実施例に係る密封装置の要部断面図 本発明の第6実施例に係る密封装置の要部断面図 従来例に係る密封装置の要部断面図 同密封装置の装着状態を示す要部断面図 他の従来例に係る密封装置の要部断面図
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
第1実施例・・・・
図1に示すように、当該実施例に係る密封装置1は、車両用エンジンのクランクシャフト(回転軸、図示せず)に装着するトーショナルダンパのハブ(回転体)52とこのハブ52に対し並んで配置するエンジンケース(非回転の静止体)81との間で、ダストや泥水等の外部異物がエンジン内部Iへ侵入しないように外部異物をシールするものであって、ハブ52に取り付けられる金属環11を備え、この金属環11に磁気エンコーダ21が架橋接着されるとともに、この金属環11によるシール構造31が設定されている。
ハブ52は、ボス部52aおよびフランジ部52bを一体に備え、フランジ部52bの軸方向一方(ケース81側)の面に、金属環11を取り付け可能な段差状の取付部52cが設けられている。エンジンケース81の内周面には、エンジン内部Iのオイルが外部へ漏洩しないようにオイルシール82が取り付けられており、そのシールリップ82aがボス部52aの外周面に摺動可能に接触している。
金属環11は、ハブ52の取付部52cの外周面に嵌着される取付用筒部11aを備え、この取付用筒部11aの軸方向一方の端部から径方向内方へ向けて端面部11bが一体成形され、端面部11bの内周端部から軸方向一方へ向けて、シール構造31を形成するためのシール形成部11cが一体成形されている。
磁気エンコーダ21は、環状に成形され、金属環11の取付用筒部11aの外周面に架橋接着されている。磁気エンコーダ21は、磁性粉を混入した所定のゴム状弾性材によって環状に成形され、その円周方向着磁パターンとしてN極およびS極を円周上交互に所定ピッチで多数磁極化したものであって、磁気センサ(図示せず)と組み合わされて、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングする。
金属環11におけるシール形成部11cは、筒状に形成されている。この筒状に形成されたシール形成部11cはケース81へ向けて延び、ケース81に対し近接配置され、ケース81との間に微小間隙cを形成し、これにより金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32を形成している。
また、当該実施例では特に、ケース81に環状凹部83が設けられ、この環状凹部83にシール形成部11cの先端部が非接触で挿入され、シール形成部11cの先端部と環状凹部83の内面との間に微小間隙cが形成され、これにより金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32が形成されている。
上記構成を備える密封装置1においては、磁気エンコーダ21を架橋接着するとともにハブ52に取り付けられる金属環11によるシール構造31が設けられ、具体的には、金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32が設けられているため、ダストや泥水等の外部異物がエンジン内部Iへ侵入しないようにこれをシールすることができる。また、磁気エンコーダ21を備えているため、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングすることができる。
また、ハブ52に取り付けられる金属環11に磁気エンコーダ21が架橋接着されているため、ハブ52に直接、磁気エンコーダ21を架橋接着する場合と比較して、大型の架橋用金型を用意する必要がないなど、製造を容易化することができる。
第2実施例・・・・
図2に示すように、密封装置1は、車両用エンジンのクランクシャフト(回転軸、図示せず)に装着するトーショナルダンパのハブ(回転体)52とこのハブ52に対し並んで配置するエンジンケース(非回転の静止体)81との間で、ダストや泥水等の外部異物がエンジン内部Iへ侵入しないように外部異物をシールするものであって、ハブ52に取り付けられる金属環11を備え、この金属環11に磁気エンコーダ21が架橋接着されるとともに、この金属環11によるシール構造31が設定されている。
ハブ52は、ボス部52aおよびフランジ部52bを一体に備え、フランジ部52bの軸方向一方(ケース81側)の面に、金属環11を取り付け可能な段差状の取付部52cが設けられている。エンジンケース81の内周面には、エンジン内部Iのオイルが外部へ漏洩しないようにオイルシール82が取り付けられ、そのシールリップ82aがボス部52aの外周面に摺動可能に接触している。
金属環11は、ハブ52の取付部52cの外周面に嵌着される取付用筒部11aを備え、この取付用筒部11aの軸方向一方の端部から径方向内方へ向けて端面部11bが一体成形され、端面部11bの内周端部から軸方向一方へ向けて、シール構造31を形成するためのシール形成部11cが一体成形されている。
磁気エンコーダ21は、環状に成形され、金属環11の取付用筒部11aの外周面に架橋接着されている。磁気エンコーダ21は、磁性粉を混入した所定のゴム状弾性材によって環状に成形され、その円周方向着磁パターンとしてN極およびS極を円周上交互に所定ピッチで多数磁極化したものであって、磁気センサ(図示せず)と組み合わされて、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングする。
金属環11におけるシール形成部11cは、筒状に形成されている。この筒状に形成されたシール形成部11cはケース81へ向けて延び、ケース81に対し近接配置され、ケース81との間に微小間隙cを形成し、これにより金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32を形成している。
また、当該実施例では特に、ケース81に環状凹部83が設けられ、この環状凹部83にシール形成部11cの先端部が非接触で挿入され、シール形成部11cの先端部と環状凹部83の内面との間に微小間隙cが形成され、これにより金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32が形成されている。
更にまた、筒状のシール形成部11cの根元部に、径方向内方へ向けて凹設された環状の凹部形状11dが形成され、この凹部形状11dによって、シール対象であるダストや泥水等の外部異物を貯留可能な環状を呈するポケット状のシール対象貯留部(ポケット部)11eが設けられている。
上記構成を備える密封装置1においては、磁気エンコーダ21を架橋接着するとともにハブ52に取り付けられる金属環11によるシール構造31が設けられ、具体的には、金属環11およびエンジンケース81間に非接触式のラビリンスシール32が設けられているため、ダストや泥水等の外部異物がエンジン内部Iへ侵入しないようにこれをシールすることができる。また、磁気エンコーダ21を備えているため、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングすることができる。
また、ハブ52に取り付けられる金属環11に磁気エンコーダ21が架橋接着されているため、ハブ52に直接、磁気エンコーダ21を架橋接着する場合と比較して、大型の架橋用金型を用意する必要がないなど、製造を容易化することができる。
また、シール形成部11cに凹部形状11dが形成され、この凹部形状11dによってポケット状のシール対象貯留部11eが設けられているため、シール対象であるダストや泥水等の外部異物はシール形成部11cに近付くとシール対象貯留部11eに入りやすく、シール対象貯留部11eに入った外部異物はラビリンスシール32のほうへ流れにくい。したがって、このようなシール対象貯留部11eが設けられない場合と比較して、外部異物に対するシール性を向上させることができる。
第3実施例・・・・
図3に示すように、密封装置1は、車両用エンジンのクランクシャフト(回転軸、図示せず)に装着するトーショナルダンパのハブ(回転体)52とこのハブ52に対し並んで配置するエンジンケース(非回転の静止体)81との間で、ダストや泥水等の外部異物がエンジン内部Iへ侵入しないように外部異物をシールするものであって、ハブ52に取り付けられる金属環11を備え、この金属環11に磁気エンコーダ21が架橋接着されるとともに、この金属環11によるシール構造31が設定されている。
ハブ52は、ボス部52aおよびフランジ部52bを一体に備え、フランジ部52bの軸方向一方(ケース81側)の面に、金属環11を取り付け可能な段差状の取付部52cが設けられている。エンジンケース81の内周面には、エンジン内部Iのオイルが外部へ漏洩しないようにオイルシール82が取り付けられ、そのシールリップ82aがボス部52aの外周面に摺動可能に接触している。
金属環11は、ハブ52の取付部52cの外周面に嵌着される取付用筒部11aを備え、この取付用筒部11aの軸方向一方の端部から径方向内方へ向けて端面部11bが一体成形され、端面部11bの内周端部から軸方向一方であってかつ径方向外方へ向けて斜めに、シール構造31を形成するためのシール形成部11cが一体成形されている。シール形成部11cは、その根元部から先端部へかけて径寸法を徐々に拡大する円錐面状に形成されている。
磁気エンコーダ21は、環状に成形され、金属環11の取付用筒部11aの外周面に架橋接着されている。磁気エンコーダ21は、磁性粉を混入した所定のゴム状弾性材によって環状に成形され、その円周方向着磁パターンとしてN極およびS極を円周上交互に所定ピッチで多数磁極化したものであって、磁気センサ(図示せず)と組み合わされて、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングする。
金属環11におけるシール形成部11cは、上記したようにその根元部から先端部へかけて径寸法を徐々に拡大する円錐面状に形成されている。この円錐面状に形成されたシール形成部11cはケース81へ向けて延び、ケース81に対し近接配置され、ケース81との間に微小間隙cを形成し、これにより金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32を形成している。
また、当該実施例では特に、ケース81に環状凹部83が設けられ、この環状凹部83にシール形成部11cの先端部が非接触で挿入され、シール形成部11cの先端部と環状凹部83の内面との間に微小間隙cが形成され、これにより金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32が形成されている。
更にまた、シール形成部11cは上記したようにその根元部から先端部へかけて径寸法が徐々に拡大する円錐面状に形成されているので、その根元部に、径寸法の小さな環状の凹部形状11dが形成されることになり、この凹部形状11dによって、シール対象であるダストや泥水等の外部異物を貯留可能な環状を呈するポケット状のシール対象貯留部(ポケット部)11eが設けられている。
また、上記したようにシール形成部11cが円錐面状に形成されるのに伴って、このシール形成部11cの先端部内周面と径方向に対向する環状凹部83の内周側の内面も円錐面状に形成されている。したがって、シール形成部11cの先端部内周面およびこれに対向する環状凹部83の内周側内面間に形成される微小間隙cも円錐面状とされて、円錐面状間隙部cとされている。
上記構成を備える密封装置1においては、磁気エンコーダ21を架橋接着するとともにハブ52に取り付けられる金属環11によるシール構造31が設けられ、具体的には、金属環11およびエンジンケース81間に非接触式のラビリンスシール32が設けられているため、ダストや泥水等の外部異物がエンジン内部Iへ侵入しないようにこれをシールすることができる。また、磁気エンコーダ21を備えているため、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングすることができる。
また、ハブ52に取り付けられる金属環11に磁気エンコーダ21が架橋接着されているため、ハブ52に直接、磁気エンコーダ21を架橋接着する場合と比較して、大型の架橋用金型を用意する必要がないなど、製造を容易化することができる。
また、シール形成部11cに凹部形状11dが形成され、この凹部形状11dによってポケット状のシール対象貯留部11eが設けられているため、シール対象であるダストや泥水等の外部異物はシール形成部11cに近付くとシール対象貯留部11eに入りやすく、シール対象貯留部11eに入った外部異物はラビリンスシール32のほうへ流れにくい。したがって、このようなシール対象貯留部11eが設けられない場合と比較して、外部異物に対するシール性を向上させることができる。
また、微小間隙cの一部として円錐面状間隙部cが形成され、この円錐面状間隙部cはその傾斜の向きが、回転時、遠心力が作用したときにポンピング作用を発揮して、侵入してきた外部異物を押し戻す向きとされている。したがってこの円錐面状間隙部cが発揮するポンピング作用によって、外部異物に対するシール性を一層向上させることができる。
第4実施例・・・・
図4に示すように、密封装置1は、車両用エンジンのクランクシャフト(回転軸、図示せず)に装着するトーショナルダンパのハブ(回転体)52とこのハブ52に対し並んで配置するエンジンケース(非回転の静止体)81との間で、ダストや泥水等の外部異物がエンジン内部Iへ侵入しないように外部異物をシールするものであって、ハブ52に取り付けられる金属環11を備え、この金属環11に磁気エンコーダ21が架橋接着されるとともに、この金属環11によるシール構造31が設定されている。
ハブ52は、ボス部52aおよびフランジ部52bを一体に備え、フランジ部52bの軸方向一方(ケース81側)の面に、金属環11を取り付け可能な段差状の取付部52cが設けられている。エンジンケース81の内周面には、エンジン内部Iのオイルが外部へ漏洩しないようにオイルシール82が取り付けられ、そのシールリップ82aがボス部52aの外周面に摺動可能に接触している。
金属環11は、ハブ52の取付部52cの外周面に嵌着される取付用筒部11aを備え、この取付用筒部11aの軸方向一方の端部から径方向内方へ向けて端面部11bが一体成形され、端面部11bの内周端部から軸方向一方へ向けて、シール構造31を形成するためのシール形成部11cが一体成形されている。
磁気エンコーダ21は、環状に成形され、金属環11の取付用筒部11aの外周面に架橋接着されている。磁気エンコーダ21は、磁性粉を混入した所定のゴム状弾性材によって環状に成形され、その円周方向着磁パターンとしてN極およびS極を円周上交互に所定ピッチで多数磁極化したものであって、磁気センサ(図示せず)と組み合わされて、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングする。
金属環11におけるシール形成部11cは、端面部11bの内周端部から連続する筒状部11fと、この筒状部11fの軸方向一方の端部から径方向内方へ向けて一体成形されたフランジ部11gとの組み合わせよりなり、これらの筒状部11fおよびフランジ部11gがケース81に対し近接配置され、ケース81との間に微小間隙cを形成し、これにより金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32を形成している。
また、当該実施例では特に、金属環11におけるシール形成部11cの内周側であって筒状部11fの内周側に第2金属環12が嵌合され、これにより金属環11と第2金属環12の間に、シール対象であるダストや泥水等の外部異物を漏洩させずに貯留し滞留させる環状を呈するポケット状のシール対象貯留部(ポケット部)13が設けられている。
第2金属環12は、金属環11の内周側に嵌合された外周筒部12aを備え、この外周筒部12aの軸方向他方(ハブ52側)の端部から径方向内方へ向けて端面部12bが一体成形されるとともに端面部12bの内周端部から軸方向一方へ向けて内周筒部12cが一体成形されており、この内周筒部12cと金属環11のフランジ部11gの間に、微小間隙cからシール対象貯留部13へ通じる開口部13aが設けられている。
上記構成を備える密封装置1においては、磁気エンコーダ21を架橋接着するとともにハブ52に取り付けられる金属環11によるシール構造31が設けられ、具体的には、金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32が設けられているため、ダストや泥水等の外部異物がエンジン内部Iへ侵入しないようにこれをシールすることができる。また、磁気エンコーダ21を備えているため、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングすることができる。
また、ハブ52に取り付けられる金属環11に磁気エンコーダ21が架橋接着されているため、ハブ52に直接、磁気エンコーダ21を架橋接着する場合と比較して、大型の架橋用金型を用意する必要がないなど、製造を容易化することができる。
また、金属環11の内周側に第2金属環12が取り付けられて、金属環11と第2金属環12の間にシール対象貯留部13が設けられているため、微小間隙cを通過する外部異物があったときに、この外部異物をシール対象貯留部13へ滞留させることができる。したがって、このようなシール対象貯留部13が設けられない場合と比較して、外部異物に対するシール性を向上させることができる。
第5実施例・・・・
図5に示すように、密封装置1は、車両用エンジンのクランクシャフト(回転軸、図示せず)に装着するトーショナルダンパのハブ(回転体)52とこのハブ52に対し並んで配置するエンジンケース(非回転の静止体)81との間で、ダストや泥水等の外部異物がエンジン内部Iへ侵入しないように外部異物をシールするものであって、ハブ52に取り付けられる金属環11を備え、この金属環11に磁気エンコーダ21が架橋接着されるとともに、この金属環11によるシール構造31が設定されている。
ハブ52は、ボス部52aおよびフランジ部52bを一体に備え、フランジ部52bの軸方向一方(ケース81側)の面に、金属環11を取り付け可能な段差状の取付部52cが設けられている。エンジンケース81の内周面には、エンジン内部Iのオイルが外部へ漏洩しないようにオイルシール82が取り付けられており、そのシールリップ82aがボス部52aの外周面に摺動可能に接触している。
金属環11は、ハブ52の取付部52cの外周面に嵌着される取付用筒部11aを備え、この取付用筒部11aの軸方向一方の端部から径方向内方へ向けて端面部11bが一体成形され、端面部11bの内周端部から軸方向一方へ向けて、シール構造31を形成するためのシール形成部11cが一体成形されている。
磁気エンコーダ21は、環状に成形され、金属環11の取付用筒部11aの外周面に架橋接着されている。磁気エンコーダ21は、磁性粉を混入した所定のゴム状弾性材によって環状に成形され、その円周方向着磁パターンとしてN極およびS極を円周上交互に所定ピッチで多数磁極化したものであって、磁気センサ(図示せず)と組み合わされて、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングする。
金属環11におけるシール形成部11cは、筒状に形成されている。この筒状に形成されたシール形成部11cはケース81へ向けて延び、ケース81に対し近接配置され、ケース81との間に微小間隙cを形成し、これにより金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32を形成している。
また、当該実施例では特に、ケース81に環状凹部83が設けられ、この環状凹部83にシール形成部11cの先端部が非接触で挿入され、シール形成部11cの先端部と環状凹部83の内面との間に微小間隙cが形成され、これにより金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32が形成されている。
また、当該実施例では併せて、金属環11におけるシール形成部11cの内周側に第2金属環12が嵌合され、これにより金属環11と第2金属環12の間に、シール対象であるダストや泥水等の外部異物を漏洩させずに貯留し滞留させる環状を呈するポケット状のシール対象貯留部(ポケット部)13が設けられている。
第2金属環12は、金属環11の内周側に嵌合された外周筒部12aを備え、この外周筒部12aの軸方向他方(ハブ52側)の端部から径方向内方へ向けて端面部12bが一体成形されるとともに端面部12bの内周端部から軸方向一方へ向けて内周筒部12cが一体成形されており、この内周筒部12cと金属環11のシール形成部11cの間に、微小間隙cからシール対象貯留部13へ通じる開口部13aが設けられている。
上記構成を備える密封装置1においては、磁気エンコーダ21を架橋接着するとともにハブ52に取り付けられる金属環11によるシール構造31が設けられ、具体的には、金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32が設けられているため、ダストや泥水等の外部異物がエンジン内部Iへ侵入しないようにこれをシールすることができる。また、磁気エンコーダ21を備えているため、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングすることができる。
また、ハブ52に取り付けられる金属環11に磁気エンコーダ21が架橋接着されているため、ハブ52に直接、磁気エンコーダ21を架橋接着する場合と比較して、大型の架橋用金型を用意する必要がないなど、製造を容易化することができる。
また、金属環11の内周側に第2金属環12が取り付けられて、金属環11と第2金属環12の間にシール対象貯留部13が設けられているため、微小間隙cを通過する外部異物があったときに、この外部異物をシール対象貯留部13へ滞留させることができる。したがって、このようなシール対象貯留部13が設けられない場合と比較して、外部異物に対するシール性を向上させることができる。
第6実施例・・・・
図6に示すように、当該実施例に係る密封装置1は、車両用エンジンのクランクシャフト(回転軸、図示せず)に装着するトーショナルダンパのハブ(回転体)52とこのハブ52に対し並んで配置するエンジンケース(非回転の静止体)81との間で、ダストや泥水等の外部異物がエンジン内部Iへ侵入しないように外部異物をシールするものであって、ハブ52に取り付けられる金属環11を備え、この金属環11に磁気エンコーダ21が架橋接着されるとともに、この金属環11によるシール構造31が設定されている。
ハブ52は、ボス部52aおよびフランジ部52bを一体に備え、フランジ部52bの軸方向一方(ケース81側)の面に、金属環11を取り付け可能な段差状の取付部52cが設けられている。エンジンケース81の内周面には、エンジン内部Iのオイルが外部へ漏洩しないようにオイルシール82が取り付けられており、そのシールリップ82aがボス部52aの外周面に摺動可能に接触している。
金属環11は、ハブ52の取付部52cの外周面に嵌着される取付用筒部11aを備え、この取付用筒部11aの軸方向一方の端部から径方向内方へ向けて端面部11bが一体成形され、端面部11bの内周端部から軸方向一方へ向けて、シール構造31を形成するためのシール形成部11cが一体成形されている。
磁気エンコーダ21は、環状に成形され、金属環11の取付用筒部11aの外周面に架橋接着されている。磁気エンコーダ21は、磁性粉を混入した所定のゴム状弾性材によって環状に成形され、その円周方向着磁パターンとしてN極およびS極を円周上交互に所定ピッチで多数磁極化したものであって、磁気センサ(図示せず)と組み合わされて、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングする。
金属環11におけるシール形成部11cは、筒状に形成されている。この筒状に形成されたシール形成部11cはケース81へ向けて延び、ケース81に対し近接配置され、ケース81との間に微小間隙cを形成し、これにより金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32を形成している。
また、当該実施例では特に、金属環11におけるシール形成部11cの内周側に第2金属環12が嵌合され、この第2金属環12が、上記ケース81に嵌合した嵌合部品としてのオイルシール82に対し近接配置され、オイルシール82との間に微小間隙cを形成し、これにより第2金属環12およびオイルシール82間に非接触式のラビリンスシール33を形成している。
第2金属環12は、金属環11の内周側に嵌合された外周筒部12aを備え、この外周筒部12aの軸方向他方(ハブ52側)の端部から径方向内方へ向けて端面部12bが一体成形されるとともに端面部12bの内周端部から軸方向一方へ向けて内周筒部12cが一体成形され、内周筒部12cはその根元部から先端部へかけて径寸法を徐々に縮小する円錐面状に形成されている。一方、オイルシール82には、軸方向他方(ハブ52側)へ向けてサイドリップ82bが設けられ、サイドリップ82bはその根元部から先端部へかけて径寸法を徐々に拡大する円錐面状に形成されている。第2金属環12の内周筒部12cはサイドリップ82bの外周側に非接触で近接配置されている。したがって内周筒部12cの内周面およびサイドリップ82bの外周面間に微小間隙cが形成され、これにより非接触式のラビリンスシール33が形成されている。
上記構成を備える密封装置1においては、磁気エンコーダ21を架橋接着するとともにハブ52に取り付けられる金属環11によるシール構造31が設けられ、具体的には、金属環11およびケース81間に非接触式のラビリンスシール32が設けられるとともに第2金属環12およびオイルシール82間にも非接触式のラビリンスシール33が設けられているため、ダストや泥水等の外部異物がエンジン内部Iへ侵入しないようにこれをシールすることができる。また、磁気エンコーダ21を備えているため、クランクシャフトの回転数や回転角度などをセンシングすることができる。
また、ハブ52に取り付けられる金属環11に磁気エンコーダ21が架橋接着されているため、ハブ52に直接、磁気エンコーダ21を架橋接着する場合と比較して、大型の架橋用金型を用意する必要がないなど、製造を容易化することができる。
1 密封装置
11 金属環
11a 取付用筒部
11b,12b 端面部
11c シール形成部
11d 凹部形状
11e,13 シール対象貯留部(ポケット部)
11f 筒状部
11g,52b フランジ部
12 第2金属環
12a 外周筒部
12c 内周筒部
13a 開口部
31 シール構造
32,33 ラビリンスシール
52 ハブ(回転体)
52a ボス部
52c 取付部
81 エンジンケース(非回転の静止体)
82 オイルシール(嵌合部品)
82a シールリップ
82b サイドリップ
83 環状凹部
c,c 微小間隙
円錐面状間隙部

Claims (8)

  1. 回転軸に装着する回転体と前記回転体に併設する非回転の静止体との間をシールする密封装置であって、
    前記回転軸の回転を計測する磁気エンコーダを架橋接着するとともに前記回転体に取り付けられる金属環によるシール構造を備え、
    前記シール構造は、非接触式のラビリンスシールであることを特徴とする密封装置。
  2. 請求項1記載の密封装置において、
    前記金属環は、前記回転体に取り付けられる取付用筒部と、前記シール構造を形成するシール形成部とを一体に備え、
    前記取付用筒部の外周面に前記磁気エンコーダが架橋接着されていることを特徴とする密封装置。
  3. 請求項2記載の密封装置において、
    前記金属環は、前記シール形成部を前記静止体に近接配置することにより前記ラビリンスシールとすることを特徴とする密封装置。
  4. 請求項2記載の密封装置において、
    前記金属環は、前記シール形成部を、前記静止体に設けた環状凹部に非接触で挿入することにより前記ラビリンスシールとすることを特徴とする密封装置。
  5. 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の密封装置において、
    前記金属環は、前記シール形成部の根元部に形成した凹部形状によるシール対象貯留部を有することを特徴とする密封装置。
  6. 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の密封装置において、
    前記金属環は、前記シール形成部と前記シール形成部に嵌合した第2金属環との間に形成した空間部によるシール対象貯留部を有することを特徴とする密封装置。
  7. 請求項2記載の密封装置において、
    前記金属環は、前記シール形成部に嵌合した第2金属環を前記静止体または前記静止体に嵌合した嵌合部品に近接配置することにより前記ラビリンスシールとすることを特徴とする密封装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の密封装置において、
    前記回転軸は、車両用エンジンの回転軸であり、前記回転体は、前記車両用エンジンの回転軸に装着されるトーショナルダンパのハブであり、前記静止体は、エンジンケースであることを特徴とする密封装置。
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