JP2017066570A - フローテーション用脱墨剤、及び再生パルプの製造方法 - Google Patents

フローテーション用脱墨剤、及び再生パルプの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インキ除去性及びきょう雑異物除去性に優れるフローテーション用脱墨剤、及び再生パルプの製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式(a1)で表される脂肪酸又はその塩(A1)と、下記一般式(a2)で表される脂肪酸又はその塩(A2)とを含む、炭素数8〜24の脂肪酸(A)を含有し、前記(A1)成分/(A2)成分で表される質量比は3/97〜90/10であるフローテーション用脱墨剤を用い、フローテーション法で原料古紙からインキを除去して再生パルプを得る。
−COOH ・・・(a1)
[式(a1)中、Rは炭素数7〜23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基である。但し、Rが直鎖の炭化水素基の場合、−COOHに結合する炭素原子は2級炭素である。]
−COOH ・・・(a2)
[式(a2)中、Rは炭素数7〜23の直鎖の炭化水素基であり、−COOHに結合する炭素原子は1級炭素である。]
【選択図】なし

Description

本発明は、フローテーション用脱墨剤、及び再生パルプの製造方法に関する。
新聞用紙、情報用紙、複写OA用紙等の印刷古紙から再生パルプを製造し、再び製紙原料にすることは古くから行われている。特に、近年、資源の有効利用や環境保護の立場から、印刷古紙の再生が重要性を増し、再生パルプの用途も拡大している。
再生パルプの製造方法(印刷古紙の脱墨方法)は、一般に、印刷古紙(原料古紙)にアルカリ剤、界面活性剤などを添加してインキを剥離させる離解工程と、剥離したインキをパルプスラリーから除去するインキ除去工程とを含む。インキ除去工程は、洗浄法とフローテーション法とに大別される。
洗浄法は、パルプスラリーの希釈、脱水を繰り返したり、スクリーンや遠心クリーナーなどの洗浄装置を用いて、剥離されたインキをパルプスラリーから分離したりする方法である。洗浄法は水を大量に必要とするため、省資源や省エネルギーの面では不利である。
一方、フローテーション法は、パルプスラリーにフローテーターを用いて空気を吹き込み、発生させた気泡に剥離したインキを吸着して浮上させ、気泡が集まってできる泡沫(フロス)を系外に排出除去することにより、パルプとインキとを分離する方法である。フローテーション法は、使用する水の量が少なくてもすむため、省資源や省エネルギーの面で有利である。
離解工程にて原料古紙から剥離したインキをフローテーション法により除去する脱墨方法では、脱墨剤が用いられる。脱墨剤は、少なくともフローテーション工程が行われるタイミングで用いられるが、離解工程の時点から原料古紙に添加しておいてもよい。
脱墨剤には、フローテーション工程での適度な発泡性と高いインキ捕集性(インキの気泡への吸着性)が求められる。また、上述したように、脱墨剤は離解工程の時点から原料古紙に添加されて用いられることもあるので、脱墨剤には、離解工程での優れたインキ剥離性も求められる。
脱墨剤としては、高級アルコールにアルキレンオキシドを付加したノニオン性界面活性剤や高級脂肪酸が広く使用されている。
高級脂肪酸は、オレイン酸あるいはステアリン酸等の高級脂肪酸を単独で使用するか、椰子脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸等の天然物由来の混合脂肪酸をそのまま使用するのが一般的である。
例えば特許文献1には、特定の構造を有するリン化合物と、イソステアリン酸等の脂肪酸と、ノニオン性界面活性剤とを含有する脱墨剤が開示されている。
また、特許文献2には、特定の構造を有するアミン化合物のアルキレンオキサイド付加化合物と、高級アルコールや脂肪酸のアルキレンオキサイド付加化合物又は脂肪酸とを含有する脱墨剤が開示されている。
特開2001−355189号公報 特開2002−327385号公報
古紙の再生プロセスにおいては、剥離した遊離インキをフローテーション工程にて充分に除去すること(インキ除去性)が重要である。
また、原料古紙の多様化により、パルプ中の疎水性有機樹脂類、無機顔料塗工層中のバインダー等の粘着物(スティキーとも呼ばれる)等の様々なきょう雑異物(ダート)量が増大している。そのため、これらきょう雑異物が目視で識別される黒点汚れとして再生パルプ中に残存して問題となることもある。よって、脱墨剤には、きょう雑異物を除去すること(きょう雑異物除去性)も求められる。
しかしながら、特許文献1、2に記載の脱墨剤は、インキ除去性及びきょう雑異物除去性の両方を必ずしも満足するものではなかった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、インキ除去性及びきょう雑異物除去性に優れるフローテーション用脱墨剤、及び再生パルプの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] 下記一般式(a1)で表される脂肪酸又はその塩(A1)と、下記一般式(a2)で表される脂肪酸又はその塩(A2)とを含む、炭素数8〜24の脂肪酸(A)を含有し、前記(A1)成分/(A2)成分で表される質量比は3/97〜90/10である、フローテーション用脱墨剤。
−COOH ・・・(a1)
[式(a1)中、Rは炭素数7〜23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基である。但し、Rが直鎖の炭化水素基の場合、−COOHに結合する炭素原子は2級炭素である。]
−COOH ・・・(a2)
[式(a2)中、Rは炭素数7〜23の直鎖の炭化水素基であり、−COOHに結合する炭素原子は1級炭素である。]
[2] 前記(A)成分における平均炭素数は14〜21である、[1]に記載のフローテーション用脱墨剤。
[3] 前記(A)成分のヨウ素価は50〜150である、[1]又は[2]に記載のフローテーション用脱墨剤。
[4] 界面活性剤(B)(但し、前記(A)成分を除く。)をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のフローテーション用脱墨剤。
[5] (A)成分/(B)成分で表される質量比は1/99〜97/3である、[4]に記載のフローテーション用脱墨剤。
[6] 前記(B)成分が、下記一般式(b1)で表されるノニオン性界面活性剤である、[4]又は[5]に記載のフローテーション用脱墨剤。
−O−[(EO)・(PO)]−H ・・・(b1)
[式(b1)中、Rは炭素数6〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、mはEOの平均付加モル数を表し、1〜60の数であり、nはPOの平均付加モル数を表し、0〜50の数である。[(EO)・(PO)]はランダムでもよいし、ブロックでもよい。]
[7] 原料古紙からインキを剥離し、剥離したインキをフローテーション法で除去して再生パルプを得る再生パルプの製造方法であって、[1]〜[6]のいずれか1つに記載のフローテーション用脱墨剤を用いてインキを除去する、再生パルプの製造方法。
本発明によれば、インキ除去性及びきょう雑異物除去性に優れるフローテーション用脱墨剤、及び再生パルプの製造方法を提供できる。
「フローテーション用脱墨剤」
本発明のフローテーション用脱墨剤(以下、単に「脱墨剤」という。)は、以下に示す(A)成分を含有する。また、脱墨剤は以下に示す(B)成分をさらに含有することが好ましい。
なお、脱墨剤が(A)成分及び(B)成分を含有する場合、脱墨剤は(A)成分と(B)成分とが混合された混合物の状態でもよいし、(A)成分と(B)成分とが各々別個に用意されたものでもよい。
<(A)成分>
(A)成分は、以下に示す(A1)成分と、以下に示す(A2)成分とを含む、炭素数8〜24の脂肪酸である。脱墨剤が(A)成分を含有することで、インキ除去性及びきょう雑異物除去性に優れる。
(A)成分としては、(A1)成分と(A2)成分とを混合したものをそのまま用いてもよいし、(A1)成分と(A2)成分との混合物(混合脂肪酸)を中和したもの(混合脂肪酸の中和物)を用いてもよい。混合脂肪酸の中和には、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの中和剤を用いればよい。
(A)成分における炭素数が、8以上であればインキ除去性が向上し、24以下であればきょう雑異物除去性が向上する。
また、(A)成分の炭素数の平均値(平均炭素数)は14〜21が好ましく、15〜21がより好ましく、15〜20がさらに好ましく、17〜20が特に好ましい。(A)成分における平均炭素数が、14以上であればインキ除去性がより向上し、21以下であればきょう雑異物除去性がより向上する。なお、ここでいう「(A)成分の炭素数」には、−COOHの炭素も含まれる。
(A)成分のヨウ素価は50〜150が好ましく、60〜140より好ましく、60〜120がさらに好ましい。(A)成分のヨウ素価、50以上であればきょう雑異物除去性がより向上し、150以下であればインキ除去性やきょう雑異物除去性がより向上する。
(A)成分のヨウ素価は、(A)成分中の不飽和脂肪酸の含有量が多くなるほど大きくなる傾向にある。そのため、ヨウ素価が上記範囲内となるように後述の不飽和脂肪酸の量を調整することが好ましい。
本発明において(A)成分のヨウ素価は、ウィイス−シクロヘキサン法(基準油脂分析試験法の2.3.4.1−1996)に準拠し、測定した値を示す。なお、(A)成分として混合脂肪酸の中和物を用いる場合、(A)成分のヨウ素価とは中和前の混合脂肪酸のヨウ素価のことである。
((A1)成分)
(A1)成分は、下記一般式(a1)で表される脂肪酸又はその塩である。
−COOH ・・・(a1)
式(a1)中、Rは炭素数7〜23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基である。但し、Rが直鎖の炭化水素基の場合、−COOHに結合する炭素原子は2級炭素である。Rにおける炭素数が、7以上であればインキ除去性が向上し、23以下であればきょう雑異物除去性が向上する。
(A1)成分としては、例えば、2−ヘキシルデカン酸[汎用名:イソパルミチン酸]、2−(4,4−ジメチル−2−ペンチル)−5,7,7−トリメチル−n−オクタン酸[汎用名:イソステアリン酸]、2−ヘプチルウンデカン酸[汎用名:イソステアリン酸]、2−(4メチル−1−ヘキシル)−8−メチル−n−デカン酸[汎用名:イソステアリン酸]、2−オクチルデカン酸[汎用名:イソステアリン酸]、2−(i−オクチル)−i−ドデカン酸[汎用名:イソエイコサン酸]等の脂肪酸、又はこれら脂肪酸の塩などが挙げられる。
前記脂肪酸の塩としては特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。具体的には、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;メチルアミン、エチルアミン、ジエタノールアミン等の有機アミンと、前記脂肪酸との塩などが挙げられる。これらの中でも、コストと臭気の観点からナトリウム塩が好ましい。
(A1)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
((A2)成分)
(A2)成分は、下記一般式(a2)で表される脂肪酸又はその塩である。
−COOH ・・・(a2)
式(a2)中、Rは炭素数7〜23の直鎖の炭化水素基であり、−COOHに結合する炭素原子は1級炭素である。Rにおける炭素数が、7以上であればインキ除去性が向上し、23以下であればきょう雑異物除去性が向上する。
(A2)成分としては、例えば、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸等の飽和脂肪酸、又はこれら飽和脂肪酸の塩;cis−9−オクタデセン酸、cis−9,cis−12−オクタデカジエン酸、9,12,15−オクタデカントリエン酸、cis−13−ドコセン酸等の不飽和脂肪酸、又はこれら不飽和脂肪酸の塩などが挙げられる。
前記飽和又は不飽和脂肪酸の塩としては特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。具体的には、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;メチルアミン、エチルアミン、ジエタノールアミン等の有機アミンと、前記飽和又は不飽和脂肪酸との塩などが挙げられる。これらの中でも、コストと臭気の観点からナトリウム塩が好ましい。
(A2)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(質量比)
(A1)成分/(A2)成分で表される質量比は3/97〜90/10であり、5/95〜80/20が好ましく、5/95〜60/40がより好ましい。(A1)成分と(A2)成分との質量比が上記範囲内であれば、インキ除去性及びきょう雑異物除去性が向上する。
なお、(A)成分として、(A1)成分のみを用いた場合や、(A2)成分のみを用いた場合は、充分なインキ除去性及びきょう雑異物除去性の効果は得られない。
(A1)成分及び(A2)成分は、これらの質量比が上記範囲内となるように、それぞれを単独で用いてもよいし、(A1)成分として1種又は2種以上を用い、(A2)成分として1種又は1種以上を用いてもよい。
<(B)成分>
(B)成分は、界面活性剤(但し、前記(A)成分を除く。)である。
脱墨剤が(A)成分に加えて(B)成分を含有することにより、インキ除去性がより向上すると共に、相乗的にきょう雑異物除去性も向上する。加えて、発泡性の制御も可能となる。
(B)成分としては、(A)成分以外の界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましく、きょう雑異物除去性が特に向上する観点から、下記一般式(b1)で表されるノニオン性界面活性剤がより好ましい。
−O−[(EO)・(PO)]−H ・・・(b1)
式(b1)中、Rは炭素数6〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、mはEOの平均付加モル数を表し、1〜60の数であり、nはPOの平均付加モル数を表し、0〜50の数である。[(EO)・(PO)]はランダムでもよいし、ブロックでもよい。
インキ除去性は主に式(b1)中のR、及びEO、POに影響し、きょう雑異物除去性及び泡性能は主に式(b1)中のEO、POに寄与する。
における炭素数は、6〜24であり、8〜24が好ましく、12〜24がより好ましい。Rにおける炭素数が上記範囲内であれば、インキ除去性がより向上する。
mはEOの平均付加モル数(平均繰返し数)を表し、1〜60の数であり、3〜50がより好ましい。
nはPOの平均付加モル数(平均繰返し数)を表し、0〜50の数であり、3〜50が好ましく、3〜45がより好ましい。
m及びnがそれぞれ上記範囲内であれば、きょう雑異物除去性がより向上すると共に、優れた泡切れ性も得られやすくなる。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
脱墨剤が(B)成分を含有する場合、(A)成分/(B)成分で表される質量比は1/99〜97/3が好ましく、1/99〜50/50がより好ましく、2/98〜40/60がさらに好ましく、3/97〜40/60が特に好ましく、5/95〜30/70が最も好ましい。(A)成分と(B)成分との質量比が上記範囲内であれば、インキ除去性及びきょう雑異物除去性がより向上する。
<作用効果>
以上説明した本発明の脱墨剤は、上述した(A)成分を含有するので、インキ除去性及びきょう雑異物除去性に優れる。特に(A)成分と(B)成分とを併用すれば、きょう雑異物除去性がより向上する。
よって、本発明の脱墨剤を印刷古紙の再生に用いれば、きょう雑異物が充分に除去された高品質の再生パルプが得られる。
「再生パルプの製造方法」
本発明の再生パルプの製造方法は、原料古紙からインキを剥離し、剥離したインキをフローテーション法で除去して再生パルプを得る方法であり、上述した本発明の脱墨剤を用いてインキを除去する。
前記再生パルプの製造方法は、具体的には、離解工程と、フローテーション工程とをこの順で含むことが好ましく、必要に応じてその他の工程をさらに含む。
本発明の脱墨剤は、少なくともフローテーション工程が行われるタイミングで用いられればよい。系中への脱墨剤の添加のタイミングとしては、離解工程の時点から添加されてもよく、フローテーション工程の時点から添加されてもよく、離解工程及びフローテーション工程の両方で添加されてもよい。本発明の脱墨剤はインキ除去性及びきょう雑異物除去性に優れるので、離解工程の時点から本発明の脱墨剤を添加しておくことが好ましい。
脱墨剤が(A)成分に加えて(B)成分を含有する場合、予め各成分を混合した状態で後述のパルプスラリーに添加してもよいし、各成分をそれぞれ別々にパルプスラリーに添加してもよい。
<離解工程>
離解工程は、原料古紙を繊維状のパルプに離解するとともに、そのパルプからインキを剥離する工程である。
原料古紙からインキを剥離する方法としては特に制限されないが、例えば、原料古紙に、本発明の脱墨剤以外の薬剤(以下、「他の薬剤」ともいう。)を添加し、さらに所望の固形分濃度になるように水を添加し、攪拌する方法などが挙げられる。本発明の脱墨剤を離解工程の時点から添加する場合は、他の薬剤の添加の前もしくは後に、又は他の薬剤と同時に、脱墨剤を原料古紙に添加する。
以下、少なくとも原料古紙と他の薬剤と水とを含む懸濁液を「パルプスラリー」と称する。
原料古紙としては、インキで印刷された紙であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、塗工紙であってもよく、非塗工紙であってもよい。
原料古紙の具体例としては、新聞用紙(中性新聞紙、酸性新聞紙等)、雑誌用紙、情報用紙、チラシ用紙、模造用紙、複写OA古紙(コピー、コンピューターアウトプット等)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
原料古紙は、そのまま使用してもよく、裁断、破砕、粉砕等を適宜組み合わせた前処理が行われたものを使用してもよい。
離解工程におけるパルプスラリーの固形分濃度(パルプ固形分濃度)としては特に制限はなく、目的及び使用する離解装置に応じて適宜選択することができるが、通常はパルプスラリー全体の質量に対して2〜35質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。パルプスラリーの固形分濃度が、2質量%以上であれば経済的に有利であり、35質量%以下であれば離解が充分に行われる。
パルプスラリーの固形分濃度は、他の薬剤を添加した後に水を添加することで調整できる。なお、本発明の脱墨剤を離解工程の時点から添加する場合は、他の薬剤及び脱墨剤を添加した後に水を添加することでパルプスラリーの固形分濃度を調整すればよい。
ここで、本発明において、原料古紙の固形分、及びパルプスラリーのパルプ固形分とは、これらの原料古紙、あるいはパルプスラリーを80〜90℃で18時間乾燥後の質量のことである。
他の薬剤としては、印刷古紙の再生に用いられる薬剤であれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム等のアルカリ剤;過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム等の漂白剤;EDTA、DTPA等のキレート剤などが挙げられる。中でも、水酸化ナトリウム、珪酸ナトリウムが好ましい。
他の薬剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
離解工程における他の薬剤の添加量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常は原料古紙の固形分(パルプ固形分)100質量部に対して3質量部以下となる量が好ましく、2質量部以下となる量がより好ましい。他の薬剤の添加量が3質量部以下であれば、強度の高い再生パルプが得られやすくなる。
本発明の脱墨剤を離解工程の時点から添加する場合、脱墨剤の添加量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常は原料古紙の固形分(パルプ固形度)100質量部に対して、0.03〜0.5質量部となる量が好ましく、0.1〜0.3質量部となる量がより好ましい。脱墨剤の添加量が0.03質量部以上であれば脱墨剤の効果が充分に得られ、0.5質量部以下であれば発泡量が多くなりすぎるのを抑制できる。
脱墨剤は、取り扱いやすくするために、水で希釈した状態で使用してもよい。水で希釈する場合、脱墨剤100質量部に対して水を5質量部以上添加することが好ましい。
また、予め脱墨剤と他の薬剤とを混合しておき、混合物の状態で原料古紙に添加してもよい。
本発明においては、脱墨剤又は水で希釈した脱墨剤と、他の薬剤との混合物を「脱墨剤組成物」と称する。
離解工程におけるパルプスラリーのpHは特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常は7〜13が好ましく、8〜12.5がより好ましい。パルプスラリーのpHが7以上であれば原料古紙を繊維状のパルプに離解しやすくなり、13以下であれば強度の高い再生パルプが得られやすくなる。
離解工程の温度(離解温度)は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常は10℃〜100℃が好ましく、20℃〜80℃がより好ましい。離解温度が10℃以上であれば原料古紙を繊維状のパルプに離解しやすくなり、100℃以下であれば強度の高い再生パルプが得られやすくなる。
離解工程を行う時間(離解時間)は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常は5〜60分間が好ましく、8〜50分間がより好ましい。離解時間が5分間以上であれば原料古紙を繊維状のパルプに離解しやすくなり、60分間以下であれば強度の高い再生パルプが得られやすくなる。
離解工程では、各種装置を用いることが可能である。離解工程に用いる装置としては、例えば低濃度パルパー、高濃度パルパー、ホットディスパーザー、ニーダー、マイカ、ファイバーフローなどが挙げられる。
<フローテーション工程>
フローテーション工程は、脱墨剤の存在下、前記離解工程で得られたパルプスラリーをフローテーション処理し、パルプとインキとに分離する工程である。このとき、パルプスラリー中のインキは、泡沫(フロス)と共に捕集されるため、インキを剥離された再生パルプが得られる。
フローテーション工程は、空気を吹き込みながら行われることが好ましい。
フローテーション工程で処理されるパルプスラリーの固形分濃度(パルプ固形分濃度)は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常は0.5〜3質量%が好ましく、0.7〜2.5質量%がより好ましい。パルプ固形分濃度が0.5質量%以上であれば発泡量が多くなりすぎず、3質量%以下であれば発泡量が不足しにくい。
パルプ固形分濃度は、パルプスラリーに水を添加することで調整できる。
また、フローテーション工程で処理されるパルプスラリー中の脱墨剤の濃度は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常はパルプスラリーの固形分(パルプ固形分)100質量部に対して、0.03〜0.5質量部となる量が好ましく、0.1〜0.3質量部となる量がより好ましい。脱墨剤の濃度が0.03質量部以上であれば脱墨剤の効果が充分に得られ、0.5質量部以下であれば発泡量が多くなりすぎるのを抑制できる。
なお、脱墨剤をフローテーション工程の時点から添加する場合、又は離解工程で添加し、さらにフローテーション工程でも添加する場合は、フローテーション工程で処理されるパルプスラリー中の脱墨剤の濃度が上記範囲内となるように、脱墨剤の添加量を調節することが好ましい。
フローテーション工程におけるパルプスラリーのpHは特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常は7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。パルプスラリーのpHが7以上であれば発泡量が不足するのを抑制でき、13以下であれば発泡量が多くなりすぎるのを抑制できる。
フローテーション工程の温度(フローテーション温度)は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常は20℃〜60℃が好ましく、30℃〜50℃がより好ましい。フローテーション温度が20℃以上であれば発泡量が不足するのを抑制でき、60℃以下であればインキ捕集性を良好に維持できる。
フローテーション工程を行う時間(フローテーション時間)は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
フローテーション工程では、各種装置を用いることが可能である。フローテーション工程に用いる装置としては、例えばBOX型フローテーター、エコセルタイプ、MTフローテーター、OKフローテーター等の各種フローテーターなどが挙げられる。
<その他の工程>
その他の工程としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除塵工程、洗浄工程、脱水工程、乾燥工程などが挙げられる。
(除塵工程)
除塵工程は、離解工程で得られたパルプスラリーから塵等の異物を除去する工程であり、フローテーション工程の前に行われることが好ましい。
パルプスラリーから異物を除去する方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、篩を用いる方法などが挙げられる。篩の目開きとしては、異物を通過させず、かつ、パルプスラリーを通過させることができる目開きであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(洗浄工程)
洗浄工程は、フローテーション工程で得られた再生パルプを洗浄する工程である。
再生パルプを洗浄する方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、濾布等で濾過し、濾布上に残留した再生パルプに水を添加してさらに濾過する方法などが挙げられる。
洗浄工程は、複数回行ってもよい。
(脱水工程)
脱水工程は、フローテーション工程で得られた再生パルプを含むスラリーから水分を除去する工程である。
再生パルプを含むスラリーから水分を除去する方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、濾過する方法;公知の加圧脱水機(例えばスクリュープレス等)を用いる方法などが挙げられる。
(乾燥工程)
乾燥工程は、フローテーション工程で得られた再生パルプを乾燥させる工程である。
再生パルプを乾燥させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、自然乾燥させる方法;公知の乾燥機で乾燥させる方法などが挙げられる。
<作用効果>
以上説明した本発明の再生パルプの製造方法は、本発明の脱墨剤を用いて原料古紙から剥離したインキを除去するので、フローテーション工程において良質で適度な量のフロスにより効率よくインキが捕集され、しかもきょう雑異物も除去される。よって、本発明の再生パルプの製造方法によれば、高品質な再生パルプを製造できる。特に、離解工程の時点から本発明の脱墨剤を用いれば、高いインキ剥離性により原料古紙からインキを効率よく剥離できると共に、きょう雑異物も低減できる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。なお、各例で用いた成分の配合量は、特に断りのない限り純分換算値である。
「使用原料」
<(A)成分及びその比較品((A’)成分)>
(A)成分及び(A’)成分として、表1に示す種類の各原料脂肪酸((A1)成分、(A2)成分及び(A1)成分の比較品)を、表2、表3に示す配合組成(質量%)にて混合して用いた。
なお、表2中の(A)成分及び表3中の(A’)成分のうち、(A1)〜(A11)、(A14)、(A15)、(A’1)〜(A’8)は、表2、表3に示す配合組成の各原料脂肪酸を85℃に加温し、その状態で1時間攪拌混合して得られた混合脂肪酸を用いた。
(A12)は、(A1)等と同様にして各原料脂肪酸を混合して混合脂肪酸を調製した後、以下のようにして中和した中和物を用いた。すなわち、得られた混合脂肪酸を脂肪酸の1.02倍モル等量の水酸化ナトリウムを含む水溶液(脂肪酸に対し20倍量(質量))に加えて分散、中和させ、85℃下で1時間攪拌混合して、脂肪酸のナトリウム塩水溶液を得た。
(A13)は、中和剤として水酸化カリウムを用いた以外は(A12)と同様にして混合脂肪酸を中和し、得られた脂肪酸のカリウム塩水溶液を用いた。
各(A)成分及び(A’)成分における(A1)成分/(A2)成分で表される質量比、平均炭素数、ヨウ素価を表2、表3に示す。
なお、(A)成分及び(A’)成分のヨウ素価は、ウィイス−シクロヘキサン法(基準油脂分析試験法の2.3.4.1−1996)に準拠し、測定した。(A12)及び(A13)については、中和前の混合脂肪酸のヨウ素価を測定した。
Figure 2017066570
Figure 2017066570
Figure 2017066570
<(B)成分>
(B)成分として、上記一般式(b1)で表されるノニオン性界面活性剤(B1)〜(B5)を用いた。(B1)〜(B5)における一般式(b1)中のRの由来となるアルコールと、−[(EO)・(PO)]−Hを表4に示す。
(B1)〜(B5)は、以下のようにして合成した。
Figure 2017066570
(B1)の合成方法:
ステアリルアルコール(1モル)と触媒量の水酸化カリウムとをオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、減圧下で脱水を行った。
ついで、オートクレーブ内の温度を125℃、圧力を0.294MPa以下に維持しつつ、プロピレンオキシド(5モル)を導入し、攪拌しながら反応させ、PO付加体を得た(一段階目)。
引き続き、オートクレーブ内の温度を160℃、圧力を0.294MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド(20モル)を導入し、攪拌しながら反応させ、PO−EO付加体を得た(二段階目)。
引き続き、オートクレーブ内の温度を125℃、圧力を0.294MPa以下に維持しつつ、プロピレンオキシド(15モル)を導入し、攪拌しながら反応させた後(三段階目)、冷却し、酢酸にてpH=6〜8に調整し、ノニオン性界面活性剤(B1)を得た。
(B2)の合成方法:
ステアリルアルコール(0.5モル)及びパルミチルアルコール(0.5モル)と触媒量の水酸化カリウムとをオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、減圧下で脱水を行った。
ついで、オートクレーブ内の温度を125℃、圧力を0.294MPa以下に維持しつつ、プロピレンオキシド(2モル)を導入し、攪拌しながら反応させ、PO付加体を得た(一段階目)。
引き続き、オートクレーブ内の温度を160℃、圧力を0.294MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド(30モル)及びプロピレンオキシド(20モル)を導入し、攪拌しながら反応させた後(二段階目)、冷却し、酢酸にてpH=6〜8に調整し、ノニオン性界面活性剤(B2)を得た。
(B3)の合成方法:
ステアリルアルコール(1モル)と触媒量の水酸化カリウムとをオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、減圧下で脱水を行った。
ついで、オートクレーブ内の温度を125℃、圧力を0.294MPa以下に維持しつつ、プロピレンオキシド(5モル)を導入し、攪拌しながら反応させ、PO付加体を得た(一段階目)。
引き続き、オートクレーブ内の温度を160℃、圧力を0.294MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド(40モル)及びプロピレンオキシド(5モル)を導入し、攪拌しながら反応させ、PO−EO/PO付加体を得た(二段階目)。
引き続き、オートクレーブ内の温度を125℃、圧力を0.294MPa以下に維持しつつ、プロピレンオキシド(17モル)を導入し、攪拌しながら反応させた後(三段階目)、冷却し、酢酸にてpH=6〜8に調整し、ノニオン性界面活性剤(B3)を得た。
(B4)の合成方法:
イソトリデカノール(1モル)と触媒量の水酸化カリウムとをオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、減圧下で脱水を行った。
ついで、オートクレーブ内の温度を160℃、圧力を0.294MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド(3モル)及びプロピレンオキシド(3モル)を導入し、攪拌しながら反応させた後、冷却し、酢酸にてpH=6〜8に調整し、ノニオン性界面活性剤(B4)を得た。
(B5)の合成方法:
2−プロピルヘプタノール(1モル)と触媒量の水酸化カリウムとをオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、減圧下で脱水を行った。
ついで、オートクレーブ内の温度を160℃、圧力を0.294MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド(10モル)を導入し、攪拌しながら反応させた後、冷却し、酢酸にてpH=6〜8に調整し、ノニオン性界面活性剤(B5)を得た。
<(原料古紙>
原料古紙として、以下に示すものを用いた。
・原料古紙(I):塗工紙系雑誌
・原料古紙(II):塗工紙系雑誌と新聞用紙とチラシ用紙(質量比:塗工紙系雑誌/新聞用紙/チラシ用紙=5/3/2)
「実施例1〜15、比較例1〜5、10〜12」
<再生パルプの製造>
(離解工程)
原料古紙として、原料古紙(I)を用いた。脱墨剤として、表5、表7に示す種類の(A)成分又は(A’)成分を用いた。
原料古紙(I)を縦3cm×横5cmに裁断した後、低濃度パルパー(熊谷理機工業株式会社製、「低濃度パルパーラボ機」)に適量(パルプ固形分として60g)を投入した。さらに、パルプ固形分に対して、0.5質量%の水酸化ナトリウムと、0.15質量%(純分量)の脱墨剤を添加した。
ついで、パルプ固形分濃度が5質量%となるように温水を加えて総量1200gのパルプスラリーとし、40℃で10分間、パルパー処理(原料古紙の解砕)した。
(フローテーション工程)
離解工程によって得られたパルパー処理後のパルプスラリーを800g(パルプ固形分として40g)採取し、パルプ固形分濃度が1質量%になるように温水でさらに希釈した(総量4000g)。希釈後のパルプスラリーの全量をフローテーター(熊谷理機工業株式会社製、「BOX型」)に投入し、40℃で5分間、フローテーション処理し、フローテーターの上部から、インキを含んだ泡沫(フロス)をパルプスラリーから除去した(1分に1回、合計5回)。なお空気吹き込み量は、G/L(Gas/Liquid)比が6になるように設定した。
(試験紙の作製)
フローテーション処理後のパルプスラリーを500g採取し、水で1000gに希釈し、TAPPIシートマシンを用いて抄紙し、濾紙上のパルプシートを、SUS板(熊谷理機工業株式会社製)と該濾紙とで挟み、5分間プレス処理した後、室温下で乾燥して試験紙(再生パルプ)を作製した。
得られた試験紙を用い、以下に示す方法によりインキ除去性及びきょう雑異物除去性を評価した。結果を表5、表7に示す。
<評価>
(インキ除去性の評価)
試験片をJIS P 8254:2013に準拠し、有効残留インキ濃度(ERIC値:Effective Residual Ink Concentration)をColor Touch2(Technidyne社製)にて測定し、以下の評価基準にて評価した。
◎:ERIC値が400以下である。(◎は優れた品質である。)
○:ERIC値が400超425以下である。(○は使用可能なレベルである。)
△:ERIC値が425超450以下である。(△は目標品質に到達していない。)
×:ERIC値が450超である。(×は全く使用に適さないレベルである。)
(きょう雑異物(ダード)除去性の評価)
試験片をきょう雑異物測定器(野村商事株式会社製、「Spec Scan2000/2001」)を用いて、0.01mm以上のきょう雑異物(ダート)の面積率(ppm)を測定し、以下の評価基準にて評価した。
◎:面積率が300以下である。(◎は優れた品質である。)
○:面積率が300超350以下である。(○は使用可能なレベルである。)
△:面積率が350超400以下である。(△は目標品質に到達していない。)
×:面積率が400超である。(×は全く使用に適さないレベルである。)
「実施例16〜28、比較例6〜9」
原料古紙として原料古紙(II)を用い、脱墨剤として表6、表7に示す種類の(A)成分又は(A’)成分と(B)成分とを、表6、表7に示す質量比にて混合した混合物を用いた以外は、実施例1等と同様にして解離工程及びフローテーション工程を行い、試験紙を作製した。
得られた試験紙を用い、以下に示す方法によりインキ除去性及びきょう雑異物除去性を評価した。結果を表6、表7に示す。
<評価>
(インキ除去性の評価)
試験片をJIS P 8254:2013に準拠し、有効残留インキ濃度(ERIC値)をColor Touch2(Technidyne社製)にて測定し、以下の評価基準にて評価した。
◎:ERIC値が450以下である。(◎は優れた品質である。)
○:ERIC値が450超475以下である。(○は使用可能なレベルである。)
△:ERIC値が475超500以下である。(△は目標品質に到達していない。)
×:ERIC値が500超である。(×は全く使用に適さないレベルである。)
(きょう雑異物(ダード)除去性の評価)
試験片をきょう雑異物測定器(野村商事株式会社製、「Spec Scan2000/2001」)を用いて、0.01mm以上のきょう雑異物(ダート)の面積率(ppm)を測定し、以下の評価基準にて評価した。
◎:面積率が450以下である。(◎は優れた品質である。)
○:面積率が450超500以下である。(○は使用可能なレベルである。)
△:面積率が500超550以下である。(△は目標品質に到達していない。)
×:面積率が550超である。(×は全く使用に適さないレベルである。)
Figure 2017066570
Figure 2017066570
Figure 2017066570
表5〜表7の結果から明らかなように、各実施例で用いた脱墨剤は、各比較例で用いた脱墨剤に比べて、インキ除去性及びきょう雑異物除去性に優れていた。

Claims (6)

  1. 下記一般式(a1)で表される脂肪酸又はその塩(A1)と、下記一般式(a2)で表される脂肪酸又はその塩(A2)とを含む、炭素数8〜24の脂肪酸(A)を含有し、
    前記(A1)成分/(A2)成分で表される質量比は3/97〜90/10である、フローテーション用脱墨剤。
    −COOH ・・・(a1)
    [式(a1)中、Rは炭素数7〜23の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基である。但し、Rが直鎖の炭化水素基の場合、−COOHに結合する炭素原子は2級炭素である。]
    −COOH ・・・(a2)
    [式(a2)中、Rは炭素数7〜23の直鎖の炭化水素基であり、−COOHに結合する炭素原子は1級炭素である。]
  2. 前記(A)成分における平均炭素数は14〜21である、請求項1に記載のフローテーション用脱墨剤。
  3. 前記(A)成分のヨウ素価は50〜150である、請求項1又は2に記載のフローテーション用脱墨剤。
  4. 界面活性剤(B)(但し、前記(A)成分を除く。)をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフローテーション用脱墨剤。
  5. (A)成分/(B)成分で表される質量比は1/99〜97/3である、請求項4に記載のフローテーション用脱墨剤。
  6. 原料古紙からインキを剥離し、剥離したインキをフローテーション法で除去して再生パルプを得る再生パルプの製造方法であって、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のフローテーション用脱墨剤を用いてインキを除去する、再生パルプの製造方法。
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