JP2017064596A - 遠心分離機のチューブラック - Google Patents
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Abstract
【解決手段】試料用のチューブを収容する複数のチューブ穴12がチューブ挿入側となる一端部と他端側の底部とに開口するホルダ14を備える。チューブ穴12に嵌合する複数の底ゴム個体25と接続片24とを有する底ゴム15を備える。ホルダ14および底ゴム15を収容して着脱可能に保持し、遠心分離機のバケットに挿入される有底筒状のベース13とを備えている。
【選択図】 図6
Description
従来のチューブラックには、チューブを保持するための独立したチューブ穴が1つまたは複数設けられている。試料を入れたチューブは、チューブ穴に挿入され、保持される。
チューブを独立したチューブ穴に挿入する理由は、主に二つある。第1の理由は、遠心処理中に1つのチューブが破損した場合に、隣り合う他のチューブに影響が及ぶことを防ぐためである。
チューブラックのチューブ穴は、チューブの外形、底形状に合わせた非貫通穴、すなわち止り穴形状に形成されていることが多い。この理由は、チューブが遠心力によって変形、破損することを防止するためである。
一般的に、チューブラックは、プラスチック製であり、機械加工により削り出されたものと、樹脂成形により成形されたものとがある。樹脂成形により成形されたチューブラックには、チューブ穴が上段、中段、底面などに分割されたものや、中段部がなく、上段と底面のみでチューブを保持するものもある。
チューブラックにおけるチューブと接するチューブ穴の底面形状と、チューブの底面形状とが大きく異なると、チューブ底面の一部に過大な力が加えられ、チューブ底面部が変形したり、破損してしまう。チューブ穴の底面に底ゴムが挿入されたチューブラックにおいては、この底ゴムがチューブ底面の形状に倣って変形するために、チューブ底面の一部に過大な力が加えられることを防ぐことができる。
第1の問題点は、チューブラックの組立作業が煩雑になることである。従来のチューブラックは、独立したチューブ穴の開口部に底ゴムが個別に挿入されるものである。このため、チューブ穴に底ゴムを挿入する作業をチューブ穴の数に相当する回数だけ実施しなければならないから、挿入作業に手間がかかる。特に、特許文献1に示すように、底ゴムに膜状突起やヒレ状突起が設けられていると、チューブ穴の穴壁面との接触による摩擦力が発生するため、底ゴムをチューブ穴に挿入するにあたって工具が必要になる。
劣化した底ゴム個体を交換する作業は、ホルダをベースから取外すことによって底ゴム本体が露出するから、簡単に行うことができる。
したがって、本発明によれば、底ゴムを簡単に装着でき、しかも、底ゴムが外れ難いにもかかわらず底ゴムの交換が容易な遠心分離機のチューブラックを提供することができる。
図1に示すチューブラック1は、遠心分離機用のスイングロータ2に装着されている。スイングロータ2は、ロータヨーク3と複数のバケット4とによって構成されている。ロータヨーク3は、図示していないモータによって駆動され、図1において一点鎖線Cで示す軸線を中心として回転する。ロータヨーク3は、図2に示すように、複数のアーム5を有している。これらのアーム5の先端部には、それぞれトラニオンピン6が設けられている。
このスイングロータ2は、遠心分離機(図示せず)のモータシャフトに装着され、モータシャフトと一体に回転する。スイングロータ2が回転すると、バケット4がトラニオンピン6を揺動中心として、バケット底面が回転中心とは反対側に移動する方向に振り上がる。
チューブ11は、チューブラック1のチューブ穴12に上方から挿入されてチューブラック1に保持される。複数のチューブ11を保持したチューブラック1は、バケット4の開口部4a内に上方から挿入され、バケット4に保持される。
取手部16は、ベース13の互いに対向する二つの側壁13b,13cから上方に向けて突出している。この取手部16には、後述するホルダ14の引掛部17と係合する穴18が形成されている。この穴18は、ベース開口部13dと略同じ高さとなる位置に形成されている。
ホルダ本体22は、図10および図11に示すように、ベース13の中に嵌合する形状に形成されている。このホルダ本体22は、ベース13の中に着脱可能に挿入される。
底ゴム個体25は、ホルダ14のチューブ穴12に嵌合する円柱状に形成されている。詳述すると、底ゴム個体25は、チューブ穴12におけるチューブ挿入側の開口を指向する上面25a(先端面)が軸線方向の一端に位置する円柱状に形成されている。
底ゴム個体25の上面25aの中央部は、図10および図11に示すように、凹曲面となる形状に形成されている。この凹曲面は、図13に示すように、チューブ11の底部11aの外面に倣う形状に形成されている。
このように組立てられたチューブラック1は、図12および図13に示すようにチューブ穴12にチューブ11が挿入された状態で、バケット4に挿入される。チューブ11は、底部11aが底ゴム個体25の上面25aに接触するとともに、チューブ穴12の穴壁12aによって水平方向へ移動が規制された状態で、底ゴム個体25に支承される。
スイングロータ2が高速で回転している状態において、底ゴム個体25は、遠心力が加えられたチューブ11によって上述した鉛直方向に押される。この場合、例えば図14〜図16に示すように、底ゴム個体25を囲む壁の有無に応じて底ゴム15の変形状態が変わる。図14は、チューブラック1の溝23のない部分の断面を示し、図15は、チューブラック1の溝23がある部分の断面を示す。図16は、チューブ穴12に挿入されることがない底ゴム31を使用する場合の断面を示す。
この実施の形態においては、底ゴム個体25がホルダ底面14b側からチューブ穴12に挿入されているから、接続片24がチューブ穴12の穴壁12aに当たることによって、底ゴム個体25がチューブ穴12から抜け出ることを規制することができる。この外れ防止を図る構造は、従来のように底ゴムとチューブ穴の穴壁との摩擦に依存する構造ではないため、底ゴム個体25が経年劣化したとしても外れることはない。このため、底ゴム個体25が紛失されてスイングロータ2の回転がアンバランスになることを防止できる。この結果、スイングロータ2を駆動するモータの寿命低下を抑止することができる。
この実施の形態においては、複数の底ゴム個体25が接続片24によって互いに接続されて一つの底ゴム15が構成されているから、底ゴム個体25をホルダ14に組み込むにあたって底ゴム個体25を一つずつチューブ穴12に挿入する必要がない。このため、複数の底ゴム個体25を備えているにもかかわらず、組立性が高い遠心分離機のチューブラックを提供することができる。
したがって、この実施の形態によれば、底ゴム15を簡単に装着でき、しかも、底ゴム15が外れ難いにもかかわらず底ゴム15の交換が容易な遠心分離機のチューブラックを提供することができる。
この実施の形態による底ゴム個体25は、チューブ穴12におけるチューブ挿入側の開口を指向する上面25aが軸線方向の一端に位置する円柱状に形成されている。底ゴム15の接続片24は、底ゴム個体25の外周面の一部であって、底ゴム個体25の軸線方向において上面25aとは反対側の底面25bに近接する部分から径方向の外側に向けて突出している。ホルダ14の底部であってチューブ穴12の穴壁12aとなる部分には、接続片24を収容する溝23が形成されている。
チューブ穴12に挿入された底ゴム個体25は、チューブ穴12の穴壁12aおよびベース底面板13aとにより保持されるため、底ゴム15がずれることを防ぐことができる。
この実施の形態においては、接続片24の全体がホルダ14の溝23に収容されるために、ホルダ14の底部(ホルダ底面14b)における溝23を除く他の部位がベース13に接触し易くなる。このことは、ホルダ14とベース13との接触部分の面積が増大し、スイングロータ2の回転時にホルダ14に作用する遠心力をベース13の広い範囲で受けることができることを意味する。このため、ホルダ14の強度低下が抑えられ、ホルダ14が遠心力で破損されることを確実に防ぐことが可能になる。
ホルダ14は、独立したチューブ穴12を複数有している。このため、チューブ11がたとえ破損されたとしても、隣り合うチューブ11に影響を及ぼすことはない。また、ホルダ14と底ゴム15とをベース13によって下方と側方とから覆っているから、チューブ11が破損した場合に試料がベース13内に留まり、バケット4等に接触することを防ぐことができる。この結果、有害物質や細菌などの拡散を防止することができる。
Claims (2)
- 試料用のチューブを収容する複数のチューブ穴がチューブ挿入側となる一端部と他端側の底部とに開口するホルダと、
前記チューブ穴における前記底部の開口部分に嵌合する複数の底ゴム個体を有するとともに、互いに隣り合う前記底ゴム個体どうしを接続する接続部を有する底ゴム本体と、
前記ホルダおよび底ゴム本体を収容して着脱可能に保持し、遠心分離機のバケットに挿入される有底筒状のベースとを備えていることを特徴とする遠心分離機のチューブラック。 - 請求項1記載の遠心分離機のチューブラックにおいて、
前記底ゴム個体は、前記チューブ穴における前記チューブ挿入側の開口を指向する先端面が軸線方向の一端に位置する円柱状に形成され、
前記接続部は、前記底ゴム個体の外周面の一部であって、底ゴム個体の軸線方向において前記先端面とは反対側の底面に近接する部分から径方向の外側に向けて突出し、
前記ホルダの前記底部であって前記チューブ穴の穴壁となる部分に、前記接続部を収容する切欠きが形成されていることを特徴とする遠心分離機のチューブラック。
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