JP2017063836A - 便座及び便蓋の開閉装置 - Google Patents

便座及び便蓋の開閉装置 Download PDF

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Abstract

【課題】1台のモータにより便座及び便蓋をそれぞれ適宜時機に開閉できるようにし、コストの低廉化及び小型化を図り得る便座及び便蓋の開閉装置を提供する。
【解決手段】開閉装置は、便座の支軸に連結される便座出力歯車21と、便蓋の支軸に連結される便蓋出力歯車22と、便座出力歯車21及び便蓋出力歯車22とそれぞれ噛み合い可能な位置に配置され、モータの動力が入力される伝達歯車24とを備える。伝達歯車24に、円周の所定の中心角の範囲内のみに歯24cを有する有歯部24dと、前記範囲外に歯のない欠歯部24eとを形成する。また、伝達歯車24は、便座出力歯車21及び便蓋出力歯車22に対し、そのいずれか一方と有歯部24dで噛み合っているときには欠歯部24eが他方と向き合って噛み合わないように設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、便器本体に取り付けられる便座及び便蓋の開閉装置に関する。
従来、この種の便座及び便蓋の開閉装置として、例えば特許文献1に記載されているように、便座の支軸及び便蓋の支軸にそれぞれ別々のモータを継手具によって直接連結し、また対応する支軸とモータとの間にそれぞれ減速機を介在したものは知られている。
このような開閉装置は、便器の前に使用者が立つとセンサにより人体を検知して便蓋のみを開ける。この状態で使用者がリモコンスイッチなどを操作すると便座が開くようになる。さらに、使用者が便器の前から離れると便座及び便蓋が順次又は同時に閉じるようになる。
特開平9−19387号公報
ところが、前記従来の開閉装置では、2台ずつのモータ及び減速機を必要とするため、部品点数の増加によりコストが高くつくとともに、大型化するという問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その課題は、1台のモータにより便座及び便蓋をそれぞれ適宜時機に開閉できるようにし、もってコストの低廉化及び小型化を図り得る便座及び便蓋の開閉装置を提供することにある。
前記の課題を解決するため、本発明は、便器本体にそれぞれ別々の支軸を介して開閉可能に支持された便座及び便蓋を1台のモータにより開閉する便座及び便蓋の開閉装置として、前記便座の支軸に連結される便座出力歯車と、前記便蓋の支軸に連結される便蓋出力歯車と、前記便座出力歯車及び前記便蓋出力歯車とそれぞれ噛み合い可能な位置に配置され、前記モータの動力が入力される伝達歯車とを備える。前記伝達歯車に、円周の所定の中心角の範囲内のみに歯を有する有歯部と、前記範囲外に歯のない欠歯部とを形成する。また、前記伝達歯車は、前記便座出力歯車及び前記便蓋出力歯車に対し、そのいずれか一方と前記有歯部で噛み合っているときには前記欠歯部が他方と向き合って噛み合わないように設ける構成にする。
本発明における便座及び便蓋の開閉装置によれば、1台のモータにより便座及び便蓋をそれぞれ適宜時機に開閉することができ、コストの低廉化及び装置の小型化を図ることができる。
図1は本発明の第1の実施形態に係る便座及び便蓋の開閉装置を装備する水洗便器の全体構成を示す概略構成図である。 図2は前記開閉装置の動力伝達部の構成図である。 図3Aは前記動力伝達部の伝達歯車の斜視図、図3Bは同じく伝達歯車の側面図、図3Cは図3Aの場合と別の方向から見た伝達歯車の斜視図である。 図4Aは前記動力伝達部の便座出力歯車の斜視図、図4Bは同じく便座出力歯車の側面図である。 図5Aは便座及び便蓋が共に閉状態のときを示す模式図、図5Bは便座及び便蓋が共に閉状態のときに要求される動作を示す図、図5Cは便座及び便蓋が共に閉状態のときの前記動力伝達部の状態を示す構成図である。 図6Aは便座が閉状態で便蓋が開状態のときを示す模式図、図6Bは便座が閉状態で便蓋が開状態のときに要求される動作を示す図、図6Cは便座が閉状態で便蓋が開状態のときの前記動力伝達部の状態を示す構成図である。 図7Aは便座及び便蓋が共に開状態のときを示す模式図、図7Bは便座及び便蓋が共に開状態のときに要求される動作を示す図、図7Cは便座及び便蓋が共に開状態のときの前記動力伝達部の状態を示す構成図である。 図8は本発明の第2の実施形態に係る便座及び便蓋の開閉装置の動力伝達部の構成図である。 図9は前記動力伝達部の伝達歯車の側面図である。 図10は前記動力伝達部の便蓋出力歯車と上部ケースとの間に配置されるバネの配置状態を示す斜視図である。 図11は図10のX方向から見た矢視図である。 図12は前記バネの代わりに装備される弾性体の配置状態を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態である実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る便座及び便蓋の開閉装置を装備する水洗便器1の全体構成を示す。なお、水洗便器1の前後方向は、水洗便器1に着座した使用者から見た方向を基準にして説明する。すなわち、図1中、D1方向を前方、D2方向を後方として説明する。
水洗便器1は、トイレの床面上に設置される便器本体2と、便器本体2に支軸3回りに開閉可能に支持された便座4と、便座4を覆うように便器本体2に支軸3とは別の支軸5回りに開閉可能に支持された便蓋6とを備えている。
便器本体2は、陶器又は金属などで構成され、あるいは金属製の骨組みにより支持された合成樹脂で構成される。便器本体2の前部には、排便用開口部及びリム部(共に図示せず)が形成されている一方、便器本体2の後部側には、便器本体2の便座4及び便蓋6の支持部を構成する上部ケース7が取り付けられている。上部ケース7内には、本発明の第1の実施形態に係る便座4及び便蓋6の開閉装置10の主要部が人体局部洗浄装置(図示せず)などと共に収納されている。
便座4の支軸3側の端部には、上部ケース7を左右方向に挟むように後方に延びる左右一対の延出部4a(図では一方のみ示す)が形成され、各延出部4aの先端側から支軸3が上部ケース7の側壁部を貫通した状態で設けられている。よって、便座4は、支軸3を介して上部ケース7に回転可能に支持されている。また、便蓋6の支軸5側の端部にも、上部ケース7を左右方向に挟むように後方に延びる左右一対の延出部6a(図では一方のみ示す)が形成され、各延出部6aの先端側から支軸5が上部ケース7の側壁部を貫通した状態で設けられている。よって、便蓋6は、支軸5を介して上部ケース7に回転可能に支持されている。
ここで、便蓋6の支軸5は、便座4の支軸3よりも後方でかつ上方に位置している。また、上部ケース7には、便蓋6が開状態になったときに便蓋6と接触して支えるストッパー部8が形成されている。
開閉装置10は、動力源としてのモータ11と、モータ11の動力を増大するための減速機12と、減速機12で増大した動力を伝達軸13から便座4の支軸3及び便蓋6の支軸5のいずれか一方に伝達する動力伝達部14(図2参照)とを備えている。モータ11は、正逆回転可能な電動モータであればいずれの形式のものでもよい。減速機12は、例えば遊星歯車機構を用いて構成される。
開閉装置10は、モータ11の制御系として、モータ駆動回路15、制御回路16、人体検知センサ17及びリモコンスイッチ18を備えている。人体検知センサ17は、水洗便器1の前に使用者が立ったことを検知するセンサである。リモコンスイッチ18は、トイレの壁面などに取り付けられる。制御回路16は、人体検知センサ17及びリモコンスイッチ18からの入力信号に基づいて、モータ駆動回路15を介してモータ11の動作を制御するようになっている。
動力伝達部14は、図2に示すように、便座出力歯車21と、便蓋出力歯車22と、便座出力歯車21及び便蓋出力歯車22とそれぞれ噛み合い可能な位置に配置された伝達歯車24とを備えている。
便座出力歯車21は、便座出力軸25と一体成形され、あるいは便座出力軸25と別体でありかつ便座出力軸25に固定されている。便座出力軸25は、便座4の支軸3に継手具(図示せず)を介して連結されている。よって、便座出力歯車21は、便座出力軸25及び継手具を介して便座4の支軸3に回転一体に連結されている。また、便座出力歯車21は、便座出力軸25及びベアリング(図示せず)などを介して上部ケース7に回転自在に支持されている。
便蓋出力歯車22は、便蓋出力軸26と一体成形され、あるいは便蓋出力軸26と別体でありかつ便蓋出力軸26に固定されている。便蓋出力軸26は、便蓋6の支軸5に継手具(図示せず)を介して連結されている。よって、便蓋出力歯車22は、便蓋出力軸26及び継手具を介して便蓋6の支軸5に回転一体に連結されている。また、便蓋出力歯車22は、便蓋出力軸26及びベアリング(図示せず)などを介して上部ケース7に回転自在に支持されている。
伝達歯車24は、伝達軸13に回転一体に連結されていて、モータ11の動力が減速機12及び伝達軸13を介して入力されるようになっている。伝達歯車24は、伝達軸13及びベアリング(図示せず)などを介して上部ケース7に回転自在に支持されている。
また、伝達歯車24は、図3A、3B、3Cに詳示するように、歯車部24aと第1のロック部24bとを軸方向に並べた状態で一体成形してなる。歯車部24aには、円周の所定の中心角θ1の範囲内のみに歯24cを有する有歯部24dと、前記範囲外に歯24cのない欠歯部24eとが形成されている。有歯部24dの中心角θ1は、図1に示すように便座4を閉じ、便蓋6を開いたときの便座4と便蓋6の相対角度θ2と同一(θ1=θ2)に設定されている。
第1のロック部24bは、その軸方向に見た形状が有歯部24dの中心角θ1と同じ角度の中心角で円から扇形を取り除いて残る側の扇形に形成されている。第1のロック部24bの直径は、歯車部24aの歯先円の直径よりも大きく設定されている。第1のロック部24bは、扇形の円弧側にその形状に沿った凸曲面24fを有している。
便座出力歯車21及び便蓋出力歯車22は、便座出力歯車21の場合図4A、4Bにも示すように、それぞれ歯車部21a,22aと第2のロック部21b,22bとを軸方向に並べた状態で一体成形してなる。歯車部21a,22aは、それぞれ円周の全部に亘って歯を有する通常の歯車を構成している。
ここで、便座出力歯車21の歯車部21aと便蓋出力歯車22の歯車部22aと伝達歯車24の歯車部24aの有歯部24dとは、ピッチ円の直径及びピッチが同一に設定されている。よって、伝達歯車24の歯車部24a(詳しくはその有歯部24d)と便座出力歯車21の歯車部21a又は便蓋出力歯車22の歯車部22aとの間では、伝達比=1でもって動力伝達が行われる。また、伝達歯車24の歯車部24aは、便座出力歯車21の歯車部21a及び便蓋出力歯車22の歯車部22aに対し、そのいずれか一方と有歯部24dで噛み合っているときには欠歯部24eが他方と向き合って噛み合わないように設けられている。
各第2のロック部21b,22bは、歯車部21a,22aの中心側から歯車部21a,22aの半径方向外側にまで突出する六面体状のものであり、その6面のうちの1面に、第1のロック部24bの凸曲面24fに対応した凹曲面21c,22cを有している。詳しくは、便座出力歯車21の第2のロック部21bの場合、第2のロック部21bの図2で時計回り方向前側の1面全部が凹曲面21cを構成している。また、便蓋出力歯車22の第2のロック部22bの場合、第2のロック部22bの図2で反時計回り方向前側の1面全部が凹曲面22cを構成している。なお、本実施形態の場合、便座出力歯車21と便蓋出力歯車22の共通化を図るために、各第2のロック部21b,22bの6面のうち、凹曲面21c,22cと対向する面21d,22dは、凹曲面21c,22cと対称な凹曲面を構成している。
次に、便座4及び便蓋6の開閉装置10の動作、特に、動力伝達部14の動作について、図5ないし図7を参照しながら説明する。
先ず、図5Aに示すように、便座4及び便蓋6が共に閉じた状態について説明する。この状態のとき、図5Bに示すように、開閉装置10の動作としては、便蓋6の開動作が要求される。また、動力伝達部14では、図5Cに示すように、伝達歯車24の歯車部24aと便蓋出力歯車22の歯車部22aとは噛み合い、伝達歯車24の歯車部24aと便座出力歯車21の歯車部21aとは噛み合っていない。
このような状態からモータ11が開方向(正回転方向)に回転し、伝達歯車24が図5Cで反時計回りに回転すると、便蓋出力歯車22が時計回りに回転し、便蓋6が開動作をする。一方、伝達歯車24の歯車部24aと便座出力歯車21の歯車部21aとは噛み合っていないため、便座4が動作をすることはない。
次に、図6Aに示すように、便座4が閉じ、便蓋6が開いた状態について説明する。この状態のとき、図6Bに示すように、開閉装置10の動作としては、便座4の開動作と便蓋6の閉動作とが要求される。また、動力伝達部14では、図6Cに示すように、伝達歯車24の歯車部24aは、便座出力歯車21の歯車部21a及び便蓋出力歯車22の歯車部22aに対し、回転方向に応じて一方と噛み合い、他方と噛み合わない位置関係にある。
このような状態からモータ11が開方向に回転し、伝達歯車24が図6Cで反時計回りに回転すると、伝達歯車24の歯車部24aが便座出力歯車21の歯車部21aと噛み合い、便座出力歯車21が時計回りに回転し、便座4が開動作をする。一方、伝達歯車24の歯車部24aは便蓋出力歯車22の歯車部22aに噛み合わなくなるため、便蓋6は動作をすることなく開いた状態を維持する。
また、モータ11が閉方向(逆回転方向)に回転し、伝達歯車24が図6Cで時計回りに回転すると、伝達歯車24の歯車部24aが便蓋出力歯車22の歯車部22aと噛み合い、便蓋出力歯車22が反時計回りに回転し、便蓋6が閉動作をする。一方、伝達歯車24の歯車部24aは便座出力歯車21の歯車部21aに噛み合わなくなるため、便座4は動作をすることなく閉じた状態を維持する。
さらに、図7Aに示すように、便座4及び便蓋6が共に開いた状態について説明する。この状態のとき、図7Bに示すように、開閉装置10の動作としては、便座4の閉動作が要求される。また、動力伝達部14では、図7Cに示すように、伝達歯車24の歯車部24aと便座出力歯車21の歯車部21aとは噛み合い、伝達歯車24の歯車部24aと便蓋出力歯車22の歯車部22aとは噛み合っていない。
このような状態からモータ11が閉方向に回転し、伝達歯車24が図7Cで時計回りに回転すると、便座出力歯車21が反時計回りに回転し、便座4が閉動作をする。一方、伝達歯車24の歯車部24aと便蓋出力歯車22の歯車部22aとは噛み合っていないため、便蓋6が動作をすることはない。
以上の動作説明から分かるように、便座4及び便蓋6が開閉いずれの状態のときでも必要とされる便座4及び便蓋6の開閉動作を1台のモータ11の回転制御によって実現することができる。このため、従来の如くモータ及び減速機を2台ずつ必要とする場合に比べて開閉装置10の部品点数を少なくすることができ、コストの低廉化及び装置の小型化を図ることができる。
次に、伝達歯車24の第1のロック部24b、便座出力歯車21の第2のロック部21b及び便蓋出力歯車22の第2のロック部22bの動作について説明する。
便座4及び便蓋6が共に閉じた状態のときには、図5Cに示すように、便座出力歯車21の第2のロック部21bの凹曲面21cは、伝達歯車24の第1のロック部24bの凸曲面24fに対し、若干の隙間を有した状態で近接している。
このような状態で使用者が便座4及び便蓋6を同時に開くように外力をかけると、便座出力歯車21の第2のロック部21bの凹曲面21cが伝達歯車24の第1のロック部24bの凸曲面24fに面接触して干渉する。このため、便座4及び便蓋6が同時に開動作をすることはない。一方、モータ11からの動力により伝達歯車24が回転するときには、伝達歯車24の凸曲面24fが便座出力歯車21の凹曲面21cに沿った状態のまま回転するため、伝達歯車24の回転がロックされることはない。
また、便座4及び便蓋6が共に開いた状態のときには、図7Cに示すように、便蓋出力歯車22の第2のロック部22bの凹曲面22cは、伝達歯車24の第1のロック部24bの凸曲面24fに対し、若干の隙間を有した状態で近接している。
このような状態で使用者が便座4及び便蓋6を同時に閉じるように外力をかけると、便蓋出力歯車22の第2のロック部22bの凹曲面22cが伝達歯車24の第1のロック部24bの凸曲面24fに面接触して干渉する。このため、便座4及び便蓋6が同時に開動作をすることはない。一方、モータ11からの動力により伝達歯車24が回転するときには、伝達歯車24の凸曲面24fが便蓋出力歯車22の凹曲面22cに沿った状態のまま回転するため、伝達歯車24の回転がロックされることはない。
このように、使用者が便座4及び便蓋6を同時に開閉するように外力をかけたときでも、便座4及び便蓋6が同時に開閉動作をすることはない。このため、伝達歯車24の歯車部24aと便座出力歯車21の歯車部21a又は便蓋出力歯車22の歯車部22aとの噛み合い方が変わるのを防止でき、開閉装置10の作動を良好に維持することができる。
図8は本発明の第2の実施形態に係る便座及び便蓋の開閉装置の動力伝達部31の構成を示す。動力伝達部31の基本的構成は、第1の実施形態の場合のそれと同じであり、同一の部材及び部位には同一符号を付してその説明は省略する。なお、図8に示す動力伝達部31の状態は、図6Cに示す場合と同じく、便座4が閉じ、便蓋6が開いた状態である。
以下、動力伝達部31の異なる点などについて説明する。
すなわち、動力伝達部31の伝達歯車32は、図9にも示すように、第1の実施形態の場合のそれと同じく、歯車部32aと第1のロック部32bとを軸方向に並べた状態で一体成形してなる。また、歯車部32aには、円周の所定の中心角θ3の範囲内のみに歯32cを有する有歯部32dと、前記範囲外に歯32cのない欠歯部32eとが形成されている。
しかし、有歯部32dの中心角θ3は、図1に示すように便座4を閉じ、便蓋6を開いたときの便座4と便蓋6の相対角度θ2よりも所定角度小さく(θ3<θ2)設定されている。ただし、有歯部32dの中心角θ3は、90度以上、つまり便座4又は便蓋6を開いたとき便座4又は便蓋6が鉛直状態よりも後方に傾斜するように設定する必要がある。
また、第1のロック部32bは、その軸方向に見た形状が便座4を閉じ、便蓋6を開いたときの便座4と便蓋6の相対角度θ2と同じ角度の中心角で円から扇形を取り除いて残る側の扇形に形成されている。第1のロック部32bの直径は、歯車部32aの歯先円の直径よりも大きく設定されている。第1のロック部32bは、扇形の円弧側にその形状に沿った凸曲面32fを有している。
そして、図8から分かるように、便座4が閉じ、便蓋6が開いた状態のときには、伝達歯車32の歯車部32aと便座出力歯車21の歯車部21aとは噛み合っているが、伝達歯車32の歯車部32aと便蓋出力歯車22の歯車部22aとは完全に噛み合っていない。このため、伝達歯車32の歯車部32aが便座出力歯車21の歯車部21a及び便蓋出力歯車22の歯車部22aに同時に噛み合うことはなく、その分作動の信頼性を高めることができる。
この場合、便蓋6の開動作中に便蓋6が完全に開く前に伝達歯車32の歯車部32aと便蓋出力歯車22の歯車部22aとの噛み合い状態が終わることになる。このため、便蓋6の開動作に制動が効かず、便蓋6が上部ケース7のストッパー部8に対し比較的強く接触して停止することになり、いわば低品位の開き方になる。
第2の実施形態においては、このことに対応するために、バネを用いる方式と、弾性体を用いる方式のいずれか一方が採用される。
バネを用いる方式とは、図10及び図11に示すように、便蓋出力歯車22と上部ケース7との間にねじりコイルバネなどのバネ33を配置する方式である。バネ33の一端部は、便蓋出力歯車22の歯車部22aに設けた差込穴(図示せず)に差し込まれている一方、バネ33の他端部は、上部ケース7に貫通して設けたパイプ34内に差し込まれている。そして、バネ33は、便蓋6の開動作完了時(便蓋6がストッパー部8に接触して停止する時)に反発力を発生するようになっており、このバネ33が便蓋6の開動作完了時に発生する反発力は、便蓋6の開動作完了時における当該便蓋6の自重による開方向トルクよりも小さく設定されている。
また、弾性体を用いる方式とは、図12に示すように、便蓋6、及び便蓋6が開状態のときに当該便蓋6を支える上部ケース7のストッパー部8の少なくとも一方にゴムなどの弾性体35を設ける方式である。
前述したバネを用いる方式、及び弾性体を用いる方式のいずれを採用した場合でも、便蓋6の開動作時の噛み合いが終わった後はバネ33の反発力又は弾性体35の弾性力によって制動し、高品位な開き方を実現することができる。
なお、本発明は前記第1及び第2の実施形態に限定されるものではなく、その他種々の形態を包含するものである。例えば前記第1の実施形態では、便座4の支軸3に、便座出力軸25及び継手具を介して便座出力歯車21を回転一体に連結し、便蓋6の支軸5に、便蓋出力軸26及び継手具を介して便蓋出力歯車22を回転一体に連結する構成にした。しかし、本発明の実施形態としては、これに限らず、便座4の支軸3に便座出力歯車21を、便蓋6の支軸5に便蓋出力歯車22をそれぞれ直接連結する構成にしてもよい。
また、前記第1の実施形態では、便座4の支軸3側の端部及び便蓋6の支軸5側の端部が、便器本体2の後部に取り付けた上部ケース7に、それぞれ開閉可能に支持された場合について説明した。しかし、本発明の実施形態としては、便座4の支軸3側の端部及び便蓋6の支軸5側の端部が、上部ケース7以外のケース、例えば人体局部洗浄装置のケースに、それぞれ開閉自在に支持された場合にも同様に適用することができる。この場合、上部ケース7以外のケースも、上部ケース7と同じく便器本体2の便座4及び便蓋6の支持部を構成するものである。また、便座4の支軸3側の端部及び便蓋6の支軸5側の端部は、ケースを左右方向に挟むような位置関係にあることに限らず、ケースの内側に挟まれる位置関係にあってもよい。
以上説明したように、本発明の第1の形態は、便器本体2にそれぞれ別々の支軸3,4を介して開閉可能に支持された便座4及び便蓋6を1台のモータ11により開閉する便座4及び便蓋6の開閉装置10として、下記のような構成とする。
すなわち、開閉装置10は、便座4の支軸3に連結される便座出力歯車21と、便蓋6の支軸5に連結される便蓋出力歯車22と、便座出力歯車21及び便蓋出力歯車22とそれぞれ噛み合い可能な位置に配置された伝達歯車24,32とを備える。伝達歯車24,32は、モータ11の動力が入力される。伝達歯車24,32には、円周の所定の中心角θ1,θ3の範囲内のみに歯24c,32cを有する有歯部24d,32dと、前記範囲外に歯24c,32cのない欠歯部24e,32eとが形成されている。また、伝達歯車23,32は、便座出力歯車21及び便蓋出力歯車22に対し、そのいずれか一方と有歯部24d,32dで噛み合っているときには欠歯部24e,32eが他方と向き合って噛み合わないように設けられている。
この構成では、便座4及び便蓋6が共に閉じた状態でモータ11の動力により伝達歯車24,32が開方向に回転すると、便蓋出力歯車22のみが伝達歯車24,32と噛み合って開方向に回転し、便蓋6が開動作をする。一方、便座出力歯車21と伝達歯車24,32は噛み合わないため、便座4は動かない。同様に、便座4が閉じ、便蓋6が開いた状態、あるいは便座4及び便蓋6が共に開いた状態でも必要とされる側の便座出力歯車21又は便蓋出力歯車22のみが伝達歯車24,32と噛み合い、便座4又は便蓋6が開閉動作をする。したがって、便座4及び便蓋6が開閉いずれの状態のときでも必要とされる便座4及び便蓋6の開閉動作を1台のモータ11の回転制御によって実現することができる。このため、従来の如くモータ及び減速機を2台ずつ必要とする場合に比べて開閉装置10の部品点数を少なくすることができ、コストの低廉化及び装置の小型化を図ることができる。
本発明の第2の形態は、前述した第1の形態の構成に加えて、下記のような構成とする。すなわち、伝達歯車24は、歯車部24aと第1のロック部24bとを軸方向に並べてなり、便座出力歯車21及び便蓋出力歯車22は、それぞれ歯車部21a,22aと第2のロック部21b,22bとを軸方向に並べてなる。有歯部24d及び欠歯部24eは、伝達歯車24の歯車部24aに形成されている。第1のロック部24bは、その軸方向に見た形状が有歯部24dの中心角θ1と同じ角度の中心角で円から扇形を取り除いて残る側の扇形に形成されており、第1のロック部24bは、扇形の円弧側にその形状に沿った凸曲面24fを有している。各第2のロック部21b,22bは、第1のロック部24bの凸曲面24fに対応した凹曲面21c,22cを有している。
この構成では、便座4及び便蓋6を同時に開閉するように外力がかかると、便座出力歯車21の第2のロック部21bの凹曲面21c又は便蓋出力歯車22の第2のロック部22bの凹曲面22cが伝達歯車24の第1のロック部24bの凸曲面24fに干渉する。このため、便座4及び便蓋6が同時に開閉動作をすることはない。この結果、伝達歯車24の歯車部24aと便座出力歯車21の歯車部21a又は便蓋出力歯車22の歯車部22aとの噛み合い方が変わるのを防止でき、開閉装置10の作動を良好に維持することができる。
その上、モータ11からの動力により伝達歯車24が回転するときには、伝達歯車24の凸曲面24fが便座出力歯車21の凹曲面21c又は便蓋出力歯車22の凹曲面22cに沿った状態のままで回転するため、伝達歯車24の回転がロックされることはない。
本発明の第3の形態は、前述した第1の形態の構成に加えて、下記のような構成とする。すなわち、有歯部32dの中心角θ3は、便座4を閉じ、便蓋6を開いたときの便座4と便蓋6の相対角度θ2よりも所定角度小さくする。
この構成では、伝達歯車32が便座出力歯車21及び便蓋出力歯車22に同時に噛み合うことはないので、その分作動の信頼性を高めることができる。
本発明の第4の形態は、前述した第3の形態の構成に加えて、以下のような構成とする。すなわち、便蓋出力歯車22には便蓋6の開動作完了時に反発力を発生するバネ33が設けられており、バネ33が便蓋6の開動作完了時に発生する反発力は、便蓋6の開動作完了時における当該便蓋6の自重による開方向トルクよりも小さくする。
この構成では、便蓋6の開動作時の噛み合いが終わった後はバネ33の反発力によって制動するため、高品位な開き方を実現することができる。
本発明の第5の形態は、前述した第3の形態の構成に加えて、以下のような構成とする。すなわち、便蓋6、及びこの便蓋6が開状態になったときに当該便蓋6を支えるストッパー部8の少なくとも一方に弾性体が設けられている。
この構成では,便蓋6の開動作時の噛み合いが終わった後は弾性体35の弾性力によって制動するため、高品位な開き方を実現することができる。
2 便器本体
3 便座の支軸
4 便座
5 便蓋の支軸
6 便蓋
7 上部ケース
8 ストッパー部
10 開閉装置
11 モータ(動力源)
21 便座出力歯車
21a 歯車部
21b 第2のロック部
21c 凹曲面
22 便蓋出力歯車
22a 歯車部
22b 第2のロック部
22c 凹曲面
24,32 伝達歯車
24a,32a 歯車部
24b,32b 第1のロック部
24c,32c 歯
24d,32d 有歯部
24e,32e 欠歯部
24f,32f 凸曲面
33 バネ
35 弾性体
θ1,θ3 有歯部の中心角
θ2 便座と便蓋の相対角度

Claims (5)

  1. 便器本体にそれぞれ別々の支軸を介して開閉可能に支持された便座及び便蓋を1台のモータにより開閉する便座及び便蓋の開閉装置であって、
    前記便座の支軸に連結される便座出力歯車と、
    前記便蓋の支軸に連結される便蓋出力歯車と、
    前記便座出力歯車及び前記便蓋出力歯車とそれぞれ噛み合い可能な位置に配置され、前記モータの動力が入力される伝達歯車とを備え、
    前記伝達歯車には、円周の所定の中心角の範囲内のみに歯を有する有歯部と、前記範囲外に歯のない欠歯部とが形成されており、
    また、前記伝達歯車は、前記便座出力歯車及び前記便蓋出力歯車に対し、そのいずれか一方と前記有歯部で噛み合っているときには前記欠歯部が他方と向き合って噛み合わないように設けられていることを特徴とする便座及び便蓋の開閉装置。
  2. 前記伝達歯車は、歯車部と第1のロック部とを軸方向に並べてなり、前記便座出力歯車及び前記便蓋出力歯車は、それぞれ歯車部と第2のロック部とを軸方向に並べてなり、
    前記有歯部及び前記欠歯部は、前記伝達歯車の前記歯車部に形成されており、
    前記第1のロック部は、その軸方向に見た形状が前記有歯部の中心角と同じ角度の中心角で円から扇形を取り除いて残る側の扇形に形成されており、前記第1のロック部は、扇形の円弧側にその形状に沿った凸曲面を有しており、
    前記各第2のロック部は、前記第1のロック部の前記凸曲面に対応した凹曲面を有していることを特徴とする請求項1記載の便座及び便蓋の開閉装置。
  3. 前記有歯部の中心角は、前記便座を閉じ、前記便蓋を開いたときの便座と便蓋の相対角度よりも所定角度小さいことを特徴とする請求項1記載の便座及び便蓋の開閉装置。
  4. 前記便蓋出力歯車には前記便蓋の開動作完了時に反発力を発生するバネが設けられており、このバネが前記便蓋の開動作完了時に発生する反発力は、前記便蓋の開動作完了時における当該便蓋の自重による開方向トルクよりも小さいことを特徴とする請求項3記載の便座及び便蓋の開閉装置。
  5. 前記便蓋、及びこの便蓋が開状態になったときに当該便蓋を支えるストッパー部の少なくとも一方に弾性体が設けられていることを特徴とする請求項3記載の便座及び便蓋の開閉装置。
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