JP2017063155A - 有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタ用材料、有機薄膜トランジスタ用材料セット、有機薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents
有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタ用材料、有機薄膜トランジスタ用材料セット、有機薄膜トランジスタの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017063155A JP2017063155A JP2015188818A JP2015188818A JP2017063155A JP 2017063155 A JP2017063155 A JP 2017063155A JP 2015188818 A JP2015188818 A JP 2015188818A JP 2015188818 A JP2015188818 A JP 2015188818A JP 2017063155 A JP2017063155 A JP 2017063155A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- formula
- atom
- represented
- film transistor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Formation Of Insulating Films (AREA)
- Thin Film Transistor (AREA)
Abstract
Description
このような有機半導体膜として、例えば、特許文献1には、低分子有機半導体化合物を結晶化させて形成した有機半導体膜が開示されている。
一般的に、有機半導体膜にクラックが生じるとキャリア移動度も低下すると考えられるため、昨今のキャリア移動度の向上要求を鑑みると、このクラック発生を抑制することが望まれる。
また、本発明の他の目的は、有機薄膜トランジスタの形成に用いられ、加熱プロセスにおけるクラック発生が抑制された有機半導体膜を与え得る有機薄膜トランジスタ用材料及び有機薄膜トランジスタ用材料セット、並びにこれらを用いた有機薄膜トランジスタの製造方法を提供することである。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
上記ゲート絶縁層中、及び、上記有機半導体層に隣接して配置された中間層中の少なくともいずれかに負膨張材料を含有する、有機薄膜トランジスタ。
(2) 上記負膨張材料の平均粒径が10〜1000nmである、(1)に記載の有機薄膜トランジスタ。
(3) 上記負膨張材料のアスペクト比が2〜50である、(1)又は(2)に記載の有機薄膜トランジスタ。
(4) 上記負膨張材料がタングステン酸ジルコニウムである、(1)〜(3)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
(5) 上記ゲート絶縁層が有機材料により形成されている、(1)〜(4)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
(6) 上記負膨張材料が上記ゲート絶縁層に含有された、(1)〜(5)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
(7) 上記負膨張材料が上記有機半導体層に隣接して配置された中間層に含有された、(1)〜(6)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
(8) 上記有機半導体層が、ガラス転移温度が50℃以上の界面活性剤を含有する、(1)〜(7)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
(9) 有機半導体化合物、バインダー及び負膨張材料を少なくとも含有する、有機薄膜トランジスタ用材料。
(10) 有機半導体化合物を少なくとも含む組成物と、バインダー及び負膨張材料を少なくとも含む組成物と、を備えた、有機薄膜トランジスタ用材料セット。
(11) ゲート電極と、有機半導体層と、上記ゲート電極及び上記有機半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、上記有機半導体層に接して設けられ、上記有機半導体層を介して連結されたソース電極及びドレイン電極と、を有する有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
(9)に記載の有機薄膜トランジスタ用材料又は(10)に記載の有機薄膜トランジスタ用材料セットを用いて、上記有機半導体層と、上記有機半導体層に隣接して形成され、バインダー及び負膨張材料を含有する中間層と、を形成する、有機薄膜トランジスタの製造方法。
また、特に断らない限り、複数の置換基等が近接(特に隣接)するときには、それらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい意味である。
さらに、本明細書において置換・無置換を明記していない置換基等については、目的とする効果を損なわない範囲で、その基にさらに置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。
また、本発明によれば、有機薄膜トランジスタの形成に用いられ、加熱プロセスにおけるクラック発生が抑制された有機半導体膜を与え得る有機薄膜トランジスタ用材料及び有機薄膜トランジスタ用材料セット、並びにこれらを用いた有機薄膜トランジスタの製造方法を提供することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本発明の有機薄膜トランジスタ(以下、単に「本発明のOTFT」という。)の構造を以下に説明する。
図1(A)〜(B)は、ボトムゲート・ボトムコンタクト構造のOTFTを示している。
図1(A)に示す、OTFTは、基板6上にゲート電極5、ゲート絶縁層2、ソース電極3及びドレイン電極4、中間層7、及び、有機半導体層1がこの順で配置されたものである。後述するように、中間層7には負膨張材料が含有され、有機半導体層1に隣接して配置されている。
また、図1(B)に示す、OTFTは、基板6上にゲート電極5、ゲート絶縁層12、ソース電極3及びドレイン電極4、及び、有機半導体層1がこの順で配置されたものである。後述するように、ゲート絶縁層12には、負膨張材料が含有される。
一般的に物質は加熱すると膨張するが、特に有機高分子等の有機材料の線膨張係数は大きいことが知られており、従って本発明の有機薄膜トランジスタは、ゲート絶縁層2(またはゲート絶縁層12)や基板6が後述するような有機高分子等の有機材料で形成されている場合に最も効果的に有機半導体層1のクラック抑制効果を発揮することになる。
また、図1(A)においては、中間層7はソース電極3及びドレイン電極4の間のゲート絶縁層2上に配置されているが、この態様に限定されず、例えば、ソース電極3、ドレイン電極4、及び、ゲート絶縁層2を覆うように中間層が配置されていてもよい。
例えば、図2(A)〜(C)ではトップゲート構造のOTFTを示し、図2(A)に示すように、有機半導体層1とゲート絶縁層2との間に負膨張材料を含有する中間層7が配置される態様や、図2(B)に示すように、有機半導体層1と基板6との間に負膨張材料を含有する中間層7が配置される態様や、図2(C)に示すように、負膨張材料を含有するゲート絶縁層12を用いる態様であってもよい。
なお、上記トップゲート構造の場合においては、上記構成以外に、中間層7が有機半導体層1の両面に設けられた態様(言い換えると、有機半導体層1の基板6側界面、ゲート絶縁電層2側のいずれにも中間層を設けた態様)であってもよい。
なお、中間層の配置位置としては、有機半導体層とゲート絶縁層との間、または、有機半導体層のゲート絶縁層とは反対側の表面上に配置されることが好ましく、有機半導体層とゲート絶縁層との間に配置されることが好ましい。
まず、第1態様の各構成、及び、その製造方法について詳述する。はじめに、各特徴点である中間層について詳述する。
中間層は、負膨張材料を含有し、有機半導体層に隣接して形成される層である。
負膨張材料は温度上昇に対して収縮する材料であり、0〜200℃の範囲で負の膨張性を有していることが好ましく、例えば、HfW2O8、(ZrO)2P2O3、ZrW2O8、Nb2O5、SiO2(フォージャサイト構造)等の粒子が挙げられる。分散安定性により優れ、適切な熱膨張係数を有し、且つ、塗膜性に優れるとともに適切な表面自由エネルギーの中間層を形成できる(すなわち、隣接して形成される有機半導体層の濡れ性への影響が少なく、これにより優れた移動度が得られる)点で、ZrW2O8(タングステン酸ジルコニウム)が好ましい。
ZrW2O8は、粒子のアスペクト比及び平均粒径の観点から、湿式法で製造されていることが好ましい。
負膨張材料のアスペクト比は、1〜50であることが好ましく、2〜50であることがより好ましい。アスペクト比とは、粒子の長径と短径との比(長径/短径)で表わされ、上記範囲とすることで塗膜表面が滑らかになりクラック防止効果がより良好となる。負膨張材料のアスペクト比は、2〜30であることがより好ましく、5〜15であることが更に好ましい。
また、負膨張材料の平均粒径は、10〜1000nmであることが好ましく、50〜800nmであることがより好ましく、100〜600nmであることが更に好ましい。上記範囲とすることで、塗布性、分散性安定性により優れるとともに、中間層7の厚みを大きくせずに負膨張材料を所定量導入することが可能となる。また、厚みの小さい中間層7とすることができるので、有機半導体層1とゲート電極6やドレイン電極4との接触が阻害されず、キャリア移動度により優れる。
負膨張材料の長径の測定方法としては、TEM(Transmission Electron Microscope)観察またはSEM(Scanning Electron Microscope)観察により、負膨張材料を観察した際に、負膨張材料に外接する平行二平面のうち、平行二平面間距離が最大となるように選ばれる平行二平面の距離を「長径」とする。また、長径を与える平行二平面に直交し且つ負膨張材料に外接する平行二平面のうち、平行二平面間距離が最小となるように選ばれる平行二平面間距離を「短径」とする。
なお、アスペクト比の測定方法としては、少なくとも50個の負膨張材料の長径及び短径を測定して、それぞれのアスペクト比を算出して、それらを算術平均して求める。
上記平均粒径の測定方法としては、少なくとも50個の負膨張材料の長径と短径とを測定し、各負膨張材料の長径と短径との平均値を求め、さらにそれらを算術平均して求める。
使用されるバインダーの種類は特に制限されないが、後述するゲート絶縁層に含まれてもよい有機材料(有機高分子)または無機材料が挙げられる。
なかでも、ベンゼン環を有する高分子化合物(ベンゼン環基を有する繰り返し単位を有する高分子)が好ましい。ベンゼン環基を有する繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、全繰り返し単位中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、100モル%が挙げられる。
上記高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(α‐メチルスチレン)、ポリビニルシンナメート、ポリ(4−ビニルフェニル)またはポリ(4−メチルスチレン)などが挙げられる。
なお、高分子化合物の重量平均分子量は特に制限されないが、1万〜200万が好ましく、2万〜100万がより好ましく、10万〜60万が更に好ましい。
基板は、OTFT及びその上に作製される表示パネル等を支持できるものであればよい。基板は、表面に絶縁性があり、シート状で、表面が平坦であれば特に限定されない。
基板がステンレスシート、アルミ箔、銅箔又はシリコンウェハ等の導電性あるいは半導体性の材料で形成されている場合、通常は、表面に絶縁性の高分子材料あるいは金属酸化物等を塗布又は積層して用いられる。
このような可撓性を有するプラスチック基板等を使用すれば、例えば曲面形状を有するディスプレイ装置や電子機器へのOTFTの組込みあるいは一体化が可能となる。
また、基板を構成する有機材料は、OTFT作製時に用いる溶媒に対する耐性を有する材料が好ましく、また、ゲート絶縁層及び電極との密着性に優れる材料が好ましい。
さらに、ガスバリア性の高い有機ポリマーからなるプラスチック基板を用いることも好ましい。
基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けたり、無機材料を蒸着又は積層したりすることも好ましい。
ゲート電極は、OTFTのゲート電極として用いられている従来公知の電極を用いることができる。ゲート電極を構成する導電性材料(電極材料ともいう)としては、特に限定されない。例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、モリブデン、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、パラジウム、鉄、マンガン等の金属;InO2、SnO2、インジウム・錫酸化物(ITO,tin-doped indium oxide)、フッ素ドープ酸化錫(FTO,F-doped Tin Oxide)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO,Al doped ZnO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO,Ga doped ZnO)等の導電性金属酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等の導電性高分子;塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF6、AsF5、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子等のドーパントを添加した上記導電性高分子、並びに、カーボンブラック、グラファイト粉、金属微粒子等を分散した導電性の複合材料等が挙げられる。これらの材料は、1種のみを用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、ゲート電極は、上記導電性材料からなる1層でもよく、2層以上を積層してもよい。
塗布法では、上記材料の溶液、ペースト又は分散液を調製、塗布し、乾燥、焼成、光硬化又はエージング等により、膜を形成し、又は直接電極を形成できる。
また、インクジェット印刷、スクリーン印刷、(反転)オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、熱転写印刷、マイクロコンタクトプリンティング法等は、所望のパターニングが可能であり、工程の簡素化、コスト低減、高速化の点で好ましい。
スピンコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート法、ディップコート法を採用する場合も、下記フォトリソグラフィー法等と組み合わせてパターニングすることができる。
他のパターニング方法として、上記材料に、レーザーや電子線等のエネルギー線を照射して、研磨し、又は材料の導電性を変化させる方法も挙げられる。
さらに、基板以外の支持体に印刷したゲート電極用組成物を基板等の下地層の上に転写させる方法も挙げられる。
ゲート絶縁層は、ゲート電極と有機半導体層との間に設けられ、絶縁性を有する層であれば特に限定されず、単層であってもよいし、多層であってもよい。
ゲート絶縁層は、絶縁性の材料で形成されるのが好ましく、絶縁性の材料として、例えば、有機高分子などの有機材料、無機酸化物などの無機材料等が好ましく挙げられ、取り扱い性などの点から、有機材料を用いることが好ましい。
有機高分子及び無機酸化物等は、絶縁性を有するものであれば特に限定されず、薄膜、例えば厚み1μm以下の薄膜を形成できるものが好ましい。
有機高分子及び無機酸化物は、ぞれぞれ、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。また、ゲート絶縁層は、それぞれ後述する有機高分子と無機酸化物とを混合させたハイブリッド層としてもよい。
有機高分子は、アルコキシシリル基やビニル基、アクリロイルオキシ基、エポキシ基、メチロール基等の反応性置換基を有する化合物と併用することもできる。
また、特開2013−214649号公報の[0167]〜[0177]に記載の「数平均分子量(Mn)が140〜5,000であり、架橋性官能基を有し、フッ素原子を有さない化合物(G)」を用いるのも好ましく、これらの内容は好ましくは本願明細書に組み込まれる。
熱により酸を発生させる熱酸発生剤(触媒)として、例えば、特開2010−285518号公報の[0035]〜[0038]に記載の熱カチオン重合開始剤、特にオニウム塩等や、特開2005−354012号公報の[0034]〜[0035]に記載の触媒、特にスルホン酸類及びスルホン酸アミン塩等を好ましく使用することができ、好ましくはこれらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、特開2005−354012号公報の[0032]〜[0033]に記載の架橋剤、特に二官能以上のエポキシ化合物、オキセタン化合物、特開2006−303465号公報の[0046]〜[0062]に記載の架橋剤、特に2個以上の架橋基を有し、この架橋基の少なくとも一つがメチロール基もしくはNH基であることを特徴とする化合物、及び、特開2012−163946号公報の[0137]〜[0145]に記載の、ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を分子内に2個以上有する化合物を用いるのも好ましく、これらの内容は好ましくは本願明細書に組み込まれる。
また、それぞれの金属酸化物に対応する前駆体、具体的には塩化物、臭化物等の金属ハロゲン化物や金属アルコキシド、金属水酸化物等を、アルコールや水中で塩酸、硫酸、硝酸等の酸や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基と反応させて加水分解することにより、形成してもよい。このような溶液系のプロセスを用いる場合、上記ウエットコーティング法を用いることができる。
有機半導体層は、有機半導体化合物を含有する層であり、キャリアを蓄積可能な層である。
有機半導体化合物としては、特に限定されず、低分子系有機半導体化合物、高分子系有機半導体化合物のいずれを用いてもよい。本発明のクラック抑制効果がより享受できるという観点からは、基板やゲート絶縁層との熱膨張係数の差異がより大きい低分子系有機半導体化合物を用いることが好ましい。
以下、本発明で用いることができる低分子系有機半導体化合物について説明する。
これらの中でも、作製される有機半導体層のキャリア移動度などの性能がより向上する等の観点から、以下の有機半導体化合物(T)を用いることが好ましい。
本発明において、有機半導体化合物(T)とは、縮合多環芳香族基を有し、上記縮合多環芳香族基中の環数が4つ以上であり、上記縮合多環芳香族基中の少なくとも2つの環が、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択される少なくとも1つの原子を含み、上記縮合多環芳香族基中の部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環、及び、フェナントレン環よりなる群から選択される少なくともいずれか1つの構造を含む有機半導体化合物のことをいう。
ただし、有機半導体化合物(T)における縮合多環芳香族基中の部分構造には、アントラセン環は含まれないことが好ましい。
なお、縮合多環芳香族基とは、芳香族環が複数縮合して得られる基である。
芳香族環としては、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環)及び芳香族複素環(例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、セレノフェン環、イミダゾール環)が挙げられる。
縮合多環芳香族基は、複数の環が縮合して形成される環構造であり、芳香族性を示す。
有機半導体化合物(T)における縮合多環芳香族基中の環数は4以上であり、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、4〜9が好ましく、4〜7がより好ましく、4〜6が更に好ましい。
また、上記縮合多環芳香族基中、少なくとも2つの環が、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択された少なくとも1種の原子を含み、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、2〜6つの環が上記原子を含むことが好ましく、2〜4つの環が上記原子を含むことがより好ましい。
また、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中に少なくとも2つの複素環が含まれ、上記複素環中にそれぞれ1個のヘテロ原子を有することが好ましい。ヘテロ原子の種類は特に制限されず、O原子(酸素原子)、S原子(硫黄原子)、N原子(窒素原子)、Se原子(セレン原子)などが挙げられる。
有機半導体化合物(T)における縮合多環芳香族基中には、部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環及びフェナントレン環よりなる群から選択された少なくともいずれか1つの構造が含まれる。なお、上記部分構造としては、アントラセン環は含まれないことが好ましい。
また、有機半導体化合物(T)は、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、チオフェン環構造及び/又はセレノフェン環構造を少なくとも有することが好ましく、チオフェン環構造を少なくとも有することがより好ましく、有機半導体化合物(T)が有する複素環構造が全てチオフェン環構造であることが更に好ましい。
また、上記縮合多環芳香族基としては、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中のチオフェン環の数は、3つ以上が好ましく、3〜5つがより好ましく、3〜4つが更に好ましく、3つが特に好ましい。
また、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中の環数は、4〜6つが好ましく、5〜6つがより好ましく、5つが更に好ましい。上記縮合多環芳香族基としては、2つのベンゼン環と、3つのチオフェン環とを含み、かつ、環数が5つである縮合多環芳香族基であることが特に好ましい。
有機半導体層中には、1種のみの有機半導体化合物(T)が含まれていても、2種以上の有機半導体化合物(T)が含まれていてもよい。
−LW−RW (W)
式(W)中、LWは下記式(L−1)〜式(L−25)のいずれかで表される二価の連結基又は2以上の下記式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される二価の連結基が結合した二価の連結基を表し、RWはアルキル基、シアノ基、ビニル基、エチニル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、又は、トリアルキルシリル基を表す。
式(2)中、X2a及びX2bはそれぞれ独立に、NR2i、O原子又はS原子を表し、A2aはCR2g又はN原子を表し、A2bはCR2h又はN原子を表し、R2iは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基を表し、R2a〜R2hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R2a〜R2hのうち少なくとも1つが上記式(W)で表される基である。
式(3)中、X3a及びX3bはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はNR3gを表し、A3a及びA3bはそれぞれ独立に、CR3h又はN原子を表す。R3a〜R3hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R3a〜R3hのうち少なくとも1つが上記式(W)で表される基である。
式(4)中、X4a及びX4bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表し、4p及び4qはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表し、R4a〜R4j、R4k及びR4mはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は上記式(W)で表される基を表し、かつ、R4a〜R4j、R4k及びR4mのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基であり、ただし、R4e及びR4fのうち少なくとも一方が上記式(W)で表される基である場合はR4e及びR4fが表す上記式(W)においてLWは上記式(L−2)又は式(L−3)で表される二価の連結基である。
式(6)中、X6a〜X6dはそれぞれ独立に、NR6g、O原子又はS原子を表し、R6gは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R6a〜R6fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R6a〜R6fのうち少なくとも1つが上記式(W)で表される基である。
式(7)中、X7a及びX7cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR7iを表し、X7b及びX7dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R7a〜R7iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R7a〜R7iのうち少なくとも1つが上記式(W)で表される基である。
式(8)中、X8a及びX8cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR8iを表し、X8b及びX8dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R8a〜R8iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R8a〜R8iのうち少なくとも1つが上記式(W)で表される基である。
式(10)中、R10a〜R10hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R10a〜R10hのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される置換基を表し、X10a及びX10bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR10iを表し、R10iはそれぞれ独立に、水素原子又は上記式(W)で表される基を表す。
式(11)中、X11a及びX11bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR11nを表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基である。
式(12)中、X12a及びX12bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR12nを表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基である。
式(14)中、X14a〜X14cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR14iを表し、R14a〜R14iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R14a〜R14iのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基である。
式(15)中、X15a〜X15dはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR15gを表し、R15a〜R15gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R15a〜R15gのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基である。
式(16)中、X16a〜X16dはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR16gを表し、R16a〜R16gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R16a〜R16gのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基である。
式(1)において、R1a〜R1fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。ただし、R1a〜R1fのうち少なくとも1つが後述する式(W)で表される基である。
式(1)のR1a〜R1fが採りうる置換基の種類は特に制限されないが、以下に説明する置換基Xが挙げられる。置換基Xとしては、後述する式(W)で表される基、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む。)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といってもよい。)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の置換基が挙げられる。なお、本明細書の式(1)〜式(16)においては、「置換基」としては、上記置換基Xが好ましく挙げられる。
これらの中でも、後述する式(W)で表される基以外の基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基が好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の置換又は無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換又は無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換又は無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のメチルチオ基、フェニル基がより好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の置換又は無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換又は無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換又は無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のメチルチオ基が特に好ましい。
また、これら置換基は、更に上記置換基Xを有していてもよい。
中でも、R1c〜R1fはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、又は、置換若しくは無置換のメチルチオ基であることが好ましい。
−LW−RW (W)
式(W)中、Lは下記式(L−1)〜式(L−25)のいずれかで表される二価の連結基、又は、二以上の下記式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される二価の連結基が結合した二価の連結基を表す。
なお、LWが式(L−1)〜式(L−25)のいずれかで表される二価の連結基が2つ以上結合した二価の連結基を表す場合、一方の連結基の*が、他方の連結基の波線部分と結合する。
式(L−13)〜式(L−24)におけるR’の結合位置及びRWとの結合位置*は、芳香環又は複素芳香環上の任意の位置をとることができる。
式(L−1)、式(L−2)、式(L−6)及び式(L−13)〜式(L−24)におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。RNは水素原子又は置換基を表す。Rsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
式(L−1)及び式(L−2)中のR’はそれぞれLWに隣接するRWと結合して縮合環を形成してもよい。
本発明では、主鎖が炭素数N個の置換又は無置換のアルキル基が置換基の末端に存在する場合は、置換基の末端から可能な限りの連結基を含めた上で式(W)における−LW−RWと解釈することとし、具体的には「式(W)におけるLWに相当する式(L−1)で表される基1個」と「式(W)におけるRWに相当する主鎖が炭素数N−1個の置換又は無置換のアルキル基」とが結合した置換基として解釈する。例えば、炭素数8のアルキル基であるn−オクチル基が置換基の末端に存在する場合、2個のR’が水素原子である式(L−1)で表される基1個と、炭素数7のn−ヘプチル基とが結合した置換基として解釈する。
一方、本発明では、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、あるいは、置換又は無置換のトリアルキルシリル基が置換基の末端に存在する場合は、置換基の末端から可能な限りの連結基を含めた上で、式(W)におけるRW単独と解釈する。例えば、−(OCH2CH2)−(OCH2CH2)−(OCH2CH2)−OCH3基が置換基の末端に存在する場合、オキシエチレン単位の繰り返し数vが3のオリゴオキシエチレン基単独の置換基として解釈する。
RNは水素原子又は置換基を表し、RNとしては、上記の式(1)のR1a〜R1fが採りうる置換基として例示したものを挙げることができる。その中でも、RNとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。
Rsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、アルキル基であることが好ましい。Rsiがとり得るアルキル基としては、特に制限はないが、Rsiがとり得るアルキル基の好ましい範囲は、Rがトリアルキルシリル基である場合にトリアルキルシリル基がとり得るアルキル基の好ましい範囲と同様である。Rsiがとり得るアルケニル基としては、特に制限はないが、置換又は無置換のアルケニル基が好ましく、分枝アルケニル基であることがより好ましく、アルケニル基の炭素数は2〜3であることが好ましい。Rsiがとり得るアルキニル基としては、特に制限はないが、置換又は無置換のアルキニル基が好ましく、分枝アルキニル基であることがより好ましく、アルキニル基の炭素数は2〜3であることが好ましい。
式(L−3)、式(L−13)又は式(L−18)のいずれか1つで表される二価の連結基と式(L−1)で表される二価の連結基が結合した二価の連結基は、式(L−1)で表される二価の連結基がRW側に結合することが好ましい。
また、LWは、化学的安定性、キャリア輸送性の観点から式(L−1)で表される二価の連結基を含む二価の連結基であることが特に好ましく、式(L−1)で表される二価の連結基であることがより特に好ましく、LWが式(L−1)で表される二価の連結基であり、RWが置換又は無置換のアルキル基であることが最も好ましい。
式(W)において、RWに隣接するLWが式(L−1)で表される二価の連結基である場合は、RWは置換又は無置換のアルキル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数が2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基であることが好ましく、置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
式(W)において、RWに隣接するLWが式(L−2)又は式(L−4)〜式(L−25)のいずれかで表される二価の連結基である場合は、RWは置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
式(W)において、RWに隣接するLWが式(L−3)で表される二価の連結基である場合は、RWは置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のトリアルキルシリル基であることが好ましい。
RWがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
これらの中でも、式(W)におけるRWとLWの組み合わせとしては、式(1)中、LWが式(L−1)で表される二価の連結基であり、かつ、RWが直鎖の炭素数7〜17のアルキル基であるか、あるいは、LWが式(L−3)、式(L−13)又は式(L−18)のいずれか1つで表される二価の連結基と式(L−1)で表される二価の連結基が結合した二価の連結基であり、かつ、RWが直鎖のアルキル基であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。
LWが式(L−1)で表される二価の連結基であり、かつ、RWが直鎖の炭素数7〜17のアルキル基である場合、RWが直鎖の炭素数7〜14のアルキル基であることがキャリア移動度を高める観点からより好ましく、直鎖の炭素数7〜12のアルキル基であることが特に好ましい。
LWが式(L−3)、式(L−13)又は式(L−18)のいずれか1つで表される二価の連結基と式(L−1)で表される二価の連結基が結合した二価の連結基であり、かつ、RWが直鎖のアルキル基である場合、RWが直鎖の炭素数4〜17のアルキル基であることがより好ましく、直鎖の炭素数6〜14のアルキル基であることが化学的安定性、キャリア輸送性の観点からより好ましく、直鎖の炭素数6〜12のアルキル基であることがキャリア移動度を高める観点から特に好ましい。
一方、有機溶媒への溶解度を高める観点からは、RWが分枝アルキル基であることが好ましい。
RWが置換基を有するアルキル基である場合の置換基としては、ハロゲン原子などを挙げることができ、フッ素原子が好ましい。なお、RWがフッ素原子を有するアルキル基である場合はアルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されてパーフルオロアルキル基を形成してもよい。ただし、RWは無置換のアルキル基であることが好ましい。
オリゴオキシエチレン基の末端のヒドロキシ基は封止されていること、すなわちYが置換基を表すことが好ましい。この場合、ヒドロキシ基は、炭素数が1〜3のアルキル基で封止されること、すなわち、Yが炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、Yがメチル基又はエチル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
LW及びRWに含まれる炭素数の合計は、5〜14であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、6〜12であることが更に好ましく、8〜12であることが特に好ましい。
また、式(1)において、R1c〜R1fがそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、又は、置換若しくは無置換のメチルチオ基であることが好ましい。
X2a及びX2bは、同じ連結基であることが好ましい。X2a及びX2bはいずれもS原子であることがより好ましい。
R2iは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基を表し、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜14のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
R2iがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
式(2)において、R2eとR2gとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
式(2)において、R2fとR2hとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
R2a〜R2hがそれぞれ独立に、とりうる置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式(W)で表される置換基の定義は、上述の通りである。
R2a〜R2hがそれぞれ独立に、とりうる置換基として、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、式(W)で表される置換基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数1〜11のアルコキシ基、炭素数5〜12の複素環基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、式(W)で表される基がより好ましく、後述の連結基鎖長が3.7Å以下の基及び式(W)で表される基が特に好ましく、式(W)で表される基がより特に好ましい。
R2a〜R2hのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はないが、R2e又はR2fであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましい。
ここで、連結基鎖長とはC(炭素原子)−R結合におけるC原子から置換基Rの末端までの長さのことを指す。構造最適化計算は、密度汎関数法(Gaussian03(米ガウシアン社)/基底関数:6−31G*、交換相関汎関数:B3LYP/LANL2DZ)を用いて行うことができる。なお、代表的な置換基の分子長としては、プロピル基は4.6Å、ピロール基は4.6Å、プロピニル基は4.5Å、プロペニル基は4.6Å、エトキシ基は4.5Å、メチルチオ基は3.7Å、エテニル基は3.4Å、エチル基は3.5Å、エチニル基は3.6Å、メトキシ基は3.3Å、メチル基は2.1Å、水素原子は1.0Åである。
R2a〜R2hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
R2a〜R2hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
R2a〜R2hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
R2a〜R2hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
R3a〜R3hで表される置換基としては、上記置換基Xが挙げられる。式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
R3a〜R3fがそれぞれ独立にとりうる置換基として、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、又は、式(W)で表される置換基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数1〜11のアルコキシ基、炭素数5〜12の複素環基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、又は、式(W)で表される基がより好ましい。
R3gは、水素原子、アルキル基、又は、アリール基であることが好ましく、炭素数1〜14のアルキル基であることがより好ましく、炭素数4〜12のアルキル基であることが特に好ましい。R3gが上記の範囲の長鎖アルキル基であること、特に長鎖の直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
R3gがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
R3hは連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
R3hは、水素原子、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、水素原子、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
R3hが炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。R3hが表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
R3hが炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。R3hが表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、又は、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
R3hが炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。R3hが表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、又は、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
R3hが炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。R3hが表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、又は、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
X4a及びX4bはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが好ましく、X4a及びX4bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点からより好ましい。X4a及びX4bは、同じ連結基であることが好ましい。X4a及びX4bはいずれもS原子であることが特に好ましい。
R4e及びR4fのうち少なくとも一方が式(W)で表される基である場合、R4e及びR4fが表す式(W)において、LWは上記式(L−3)で表される二価の連結基であることが好ましい。
R4e及びR4fのうち少なくとも一方が式(W)で表される基である場合、R4e及びR4fは、いずれも式(W)で表される基であることが好ましい。
なお、R4e及びR4fがともに水素原子又はハロゲン原子の場合、R4a〜R4d、R4g〜R4k及びR4mはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式(W)で表される基であり、かつ、R4a〜R4d、R4g〜R4k及びR4mのうち少なくとも1つ以上は式(W)で表される基となる。
R4a〜R4k及びR4mのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はない。その中でも、本発明では、式(4)中、R4a、R4d〜R4g、R4j、R4k及びR4mがそれぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子であり、R4b、R4c、R4h及びR4iがそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式(W)で表される基であり、かつ、R4b、R4c、R4h及びR4iのうち少なくとも1つは式(W)で表される基であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましい。
本発明では、R4a、R4c〜R4h及びR4jがそれぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子を表し、R4b及びR4iがそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式(W)で表される基であり、かつ、少なくとも1つは式(W)で表される基であることがより好ましい。
本発明では、R4b及びR4iがともに式(W)で表される基であり、かつR4c及びR4hがともに水素原子又はハロゲン原子であるか、R4c及びR4hがともに式(W)で表される基であり、かつR4b及びR4iがともに水素原子又はハロゲン原子であることが更に好ましい。
本発明では、R4b及びR4iがともに式(W)で表される基であり、かつR4c及びR4hがともに水素原子又はハロゲン原子であるか、R4c及びR4hがともに式(W)で表される基であり、かつR4b及びR4iがともに水素原子又はハロゲン原子であることが特に好ましい。
式(4)において、2以上のR4a〜R4k及びR4mは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
R5iは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜14のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
R5iがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
式(5)において、R5eとR5iとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しないほうが好ましい。
式(5)において、R5fとR5hとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しないほうが好ましい。
式(5)において、R5fとR5iは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しないほうが好ましい。
なお、R5a〜R5hで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
R5a〜R5hのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はないが、R5e又はR5fであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましい。
R5a〜R5hのうち、式(W)で表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
R5a〜R5hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
R5a〜R5hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
R5a〜R5hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される置換基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、又は、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
R5a〜R5hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
R5a〜R5hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、又は、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
X6a〜X6dはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが合成容易性の観点から好ましい。一方、X6a〜X6dのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X6a〜X6dは、同じ連結基であることが好ましい。X6a〜X6dはいずれもS原子であることがより好ましい。
R6gは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜14のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
R6gがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
なお、R6a〜R6fで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
これらの中でも、R6a〜R6fがそれぞれ独立にとりうる置換基として、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルコキシ基、又は、アルキルチオ基、式(W)で表される基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数1〜11のアルコキシ基、炭素数5〜12の複素環基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、又は、式(W)で表される基がより好ましく、後述の連結基鎖長が3.7Å以下の基、又は、式(W)で表される基が更に好ましく、式(W)で表される基が特に好ましい。
R6a〜R6fのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はないが、R6c〜R6fであることが好ましく、R6e又はR6fであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点からより好ましい。
R6a〜R6fが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基は、連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
R6a〜R6fが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に、素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
R6a〜R6fが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
R6a〜R6fが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
R6a〜R6fが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
R6a〜R6fが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
なお、R7a〜R7iで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
なお、R7iは、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、炭素数5〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8〜10のアルキル基であることが特に好ましい。
R7iがアルキル基を表す場合、直鎖のアルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖のアルキル基であることが、HOMO軌道の重なりの観点から好ましい。
R7a〜R7iのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はないが、R7d又はR7hであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、R7d及びR7hがより好ましい。
式(7)のR7a〜R7iのうち、式(W)で表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
R7a〜R7iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基は、連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
R7a〜R7iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
R7a〜R7iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
R7a〜R7iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される置換基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
R7a〜R7iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される置換基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
R7a〜R7iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式(W)で表される置換基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
なお、R8a〜R8iで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
なお、R8iは、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、炭素数5〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8〜10のアルキル基であることが特に好ましい。
R8iがアルキル基を表す場合、直鎖のアルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖のアルキル基であることが、HOMO軌道の重なりの観点から好ましい。
R8a〜R8iのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はないが、R8c又はR8gであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、R8c及びR8gがより好ましい。
また、式(8)のR8a〜R8iのうち、式(W)で表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
R8a〜R8iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
R8a〜R8iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
R8a〜R8iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
R8a〜R8iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
R8a〜R8iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
R9c、R9d及びR9g〜R9jはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式(W)で表される置換基を表す。式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
R9a、R9b、R9e及びR9fは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。なお、R9a、R9b、R9e及びR9fで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。
なお、R9c、R9d及びR9g〜R9jはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式(W)で表される基(ただし、LWは式(L−3)、式(L−5)、式(L−7)〜式(L−9)、式(L−12)〜式(L−24)のいずれかで表される基である。)を表すことが好ましい。中でも、R9c、R9d及びR9g〜R9jは、水素原子がより好ましい。
なお、LWとしては、式(L−3)、式(L−5)、式(L−13)、式(L−17)又は式(L−18)のいずれかで表される基であることが好ましい。
R9a〜R9iのうち少なくとも1つは、式(W)で表される基を表すことが好ましい。
R9a〜R9iのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はないが、R9b又はR9fであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、R9b及びR9fがより好ましい。
また、式(9)のR9a〜R9iのうち、式(W)で表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが特に好ましく、0個であることがより特に好ましい。
中でも、R10a〜R10hはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を表し、R10a〜R10hのうち少なくとも1つは、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基又は置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましい。
式(10)のR10a〜R10hは、R10b及びR10fのうち少なくとも1つが、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基又は置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましく、置換若しくは無置換のアリールチオ基、又は、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基であることがより好ましく、R10b及びR10fのいずれもが、置換若しくは無置換のアリールチオ基、又は、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基であることが更に好ましく、置換若しくは無置換のフェニルチオ基又は下記群Aから選ばれるヘテロアリールチオ基であることが特に好ましく、置換若しくは無置換のフェニルチオ基又は下記式(A−17)、式(A−18)、式(A−20)で表されるヘテロアリールチオ基であることが最も好ましい。
ヘテロアリールチオ基としては、3〜10員環のヘテロアリール基に硫黄原子が連結した基が好ましく、5又は6員環のヘテロアリール基に硫黄原子が連結した基がより好ましく、下記群A(式(A−14)〜式(A−27)のいずれかで表される基)が特に好ましい。
群A中、R’はそれぞれ独立に、水素原子又は式(W)で表される基を表すことが好ましい。
群A中、R”Nは、置換基を表すことが好ましく、アルキル基、アリール基、又は、ヘテロアリール基がより好ましく、アルキル基、アルキル基で置換されたアリール基、又は、アルキル基で置換されたヘテロアリール基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェニル基、又は、炭素数1〜4のアルキル基で置換された5員のヘテロアリール基が特に好ましい。
R10a〜R10hのうち、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基又は置換若しくは無置換のアルキルアミノ基以外の置換基(以下、他の置換基ともいう。)は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
Rxはそれぞれ独立に、水素原子又は式(W)で表される基を表す。式(W)で表される基の定義は上述の通りである。
式(11)のR11a〜R11k及びR11mは、R11c及びR11iのうち少なくとも1つが、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基又は置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましく、置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、R11c及びR11iのいずれもが、置換若しくは無置換のアルキル基であることが更に好ましい。
式(12)のR12a〜R12k及びR12mは、R12c及びR12iのうち少なくとも1つが、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基又は置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましく、置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、R12c及びR12iのいずれもが、置換又は無置換のアルキル基であることが更に好ましい。
式(13)のR13a〜R13k及びR13mは、R13c及びR13iのうち少なくとも1つが、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基又は置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましく、置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、R13c及びR13iのいずれもが、置換若しくは無置換のアルキル基であることが更に好ましい。
なお、R14a〜R14hの少なくとも1つが式(W)で表される基であり、RWがアルキル基である場合には、LWは式(L−2)〜式(L−25)のいずれかで表される基であることが好ましい。
RWがアルキル基である場合のLWとしては、式(L−2)〜式(L−5)、式(L−13)、式(L−17)、又は、式(L−18)のいずれかで表される基が好ましく、式(L−3)、式(L−13)、又は、式(L−18)のいずれかで表される基がより好ましい。
式(14)のR14a〜R14hは、R14b及びR14gのうち少なくとも1つが、式(W)で表される基であることが好ましく、R14b及びR14gのいずれもが、式(W)で表される基であることがより好ましい。
式(15)のR15a〜R15fは、R15b及びR15eのうち少なくとも1つが、式(W)で表される基であることが好ましく、R15b及びR15eのいずれもが、式(W)で表される基であることがより好ましい。
なお、R16c及びR16fは、水素原子、ハロゲン原子又は式(W)で表される基(ただし、LWは、式(L−3)、式(L−5)、式(L−7)〜式(L−9)、式(L−12)〜式(L−24)のいずれかで表される基である。)であることが好ましい。R16a、R16b、R16d、R16e及びR16gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表すことが好ましい。
なお、式(16)において、LWは、式(L−3)、式(L−5)、式(L−7)〜式(L−9)、式(L−12)〜式(L−24)のいずれかで表される基であり、R16c及びR16fが式(W)で表される基の場合、式(L−3)、式(L−5)、式(L−13)、式(L−17)、式(L−18)のいずれかで表される基であることが好ましい。
式(16)のR16a〜R16fは、R16a及びR16dのうち少なくとも1つが、式(W)で表される基であることが好ましく、R16a及びR16dのいずれもが、式(W)で表される基であることがより好ましい。
また、R16c及びR16fは、水素原子であることが好ましい。
また、有機半導体化合物(T)は、上記縮合多環芳香族基における縮合多環芳香環上に、1つ以上のアルキル基を有することが好ましく、2〜4つのアルキル基を有することがより好ましく、2つのアルキル基を有することが更に好ましい。上記態様であると、得られる有機薄膜トランジスタのキャリア移動度及び熱安定性により優れる。
高分子系有機半導体としては、特に限定されないが、高結晶性および高キャリア移動度を与え得る観点から、例えば、ヘテロアレーンポリマー、ドナー・アクセプター(D−A)型ポリマー等が挙げられる。ここで、ヘテロアレーンとは単環式芳香族複素環および縮合芳香族複素環を意味し、ヘテロアレーンポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン(ポリセレノフェン)や、Chem. Rev. 2007, 107, 1296−1323に記載のものが挙げられる。これらの中でも、高移動度の観点から、ドナー・アクセプター(D−A)型ポリマーが好ましい。
以下に、本発明の有機薄膜トランジスタに好適に使用できるドナー・アクセプター(D−A)型ポリマーについて説明する。
ドナー・アクセプター(D−A)型ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、下記式(P1)で表される繰り返し単位を有する分子量2,000以上の化合物(以下、単に「式(P1)で表される有機半導体化合物」と称する。)を用いることが好ましい。
Dは、少なくとも1つのN原子、O原子、S原子、もしくはSe原子を環構造内に有する2価の芳香族複素環基、又は、2環以上の縮環構造からなる2価の芳香族炭化水素基を部分構造として含む電子ドナーユニットを表す。
上記式(P1)中、Aはsp2窒素原子、カルボニル基及びチオカルボニル基のうち少なくとも1つを環構造内に有する部分構造を含む電子アクセプターユニットを表す。
Aは下記式(A−1)〜式(A−12)で表される構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を部分構造として有することが好ましく、Aが下記式(A−1)〜式(A−12)よりなる群から選ばれた少なくとも1つにより表される構造であることがより好ましい。
Yはそれぞれ独立に、O原子又はS原子を表し、O原子が好ましい。
Zaはそれぞれ独立に、CRA2又はN原子を表し、CRA2が好ましい。
Wはそれぞれ独立に、C(RA2)2、NRA1、N原子、CRA2、O原子、S原子、又は、Se原子を表し、C(RA1)2、CRA2、又は、S原子が好ましい。
RA1はそれぞれ独立に、−O−、−S−、及び、−NRA3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基、上記式(1−1)で表される1価の基、又は、他の構造との結合部位を表し、−O−、−S−、及び、−NRA3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基、又は、上記式(1−1)で表される1価の基が好ましい。
RA1が−O−、−S−、及び、−NRA3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基を表す場合、炭素数2〜30のアルキル基が好ましく、炭素数8〜25のアルキル基がより好ましい。また、上記アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
ここで、アルキル基が−O−を含むとは、アルキル基の炭素−炭素結合の途中に−O−が導入されている場合や、アルキル基の一端に−O−が導入されている場合(アルコキシ基)を意味する。アルキル基に−S−や−NRA3−を含む場合も同様の意味である。
なお、RA1における他の構造との結合部位とは、上記式(A−1)〜式(A−12)中の*で表される他の構造との結合部位である。
RA2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−O−、−S−、及び、−NRA3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基、上記式(1−1)で表される1価の基、又は、他の構造との結合部位を表し、水素原子又は他の構造との結合部位が好ましい。
RA2が−O−、−S−、及び、−NRA3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基を表す場合、炭素数2〜30のアルキル基が好ましく、炭素数8〜25のアルキル基がより好ましい。また、上記アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
ここで、アルキル基が−O−を含むとは、アルキル基の炭素−炭素結合の途中に−O−が導入されている場合や、アルキル基の一端に−O−が導入されている場合(アルコキシ基)を意味する。アルキル基に−S−や−NRA3−を含む場合も同様の意味である。
RA2がハロゲン原子を表す場合、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が好ましく、F原子がより好ましい。
なお、RA2における他の構造との結合部位とは、上記式(A−1)〜式(A−12)中の*で表される他の構造との結合部位である。
RA3はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。RA3における置換基は、後述するR1S及びR2Sにおける置換基と同義である。
Arにおける炭素数5〜18の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環基、ビフェニル基、ナフタレン環基、又は、3環が縮合した芳香族炭化水素(例えば、フルオレン環)から2以上の水素原子を取り除いた基が挙げられる。これらの中でも、キャリア移動度がより優れたものになるという観点から、ベンゼン環基、ビフェニル基、又は、ナフタレン環基であることが好ましく、ベンゼン環基であることが好ましい。
Arにおける芳香族複素環基は、単環であっても、2環以上の縮環構造を有していてもよいが、キャリア移動度がより優れたものになるという観点から単環であることが好ましい。Arにおける芳香族複素環基は、5〜7員環であることが好ましい。また、芳香族複素環基に含まれるヘテロ原子としては、N原子、O原子、S原子又はSe原子であることが好ましく、S原子であることがより好ましい。
Laは、−O−、−S−、及び、−NR1S−のうち少なくとも1つを含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表す。ここで、アルキレン基が−O−を含むとは、アルキレン基の炭素−炭素結合の途中に−O−が導入されている場合や、アルキレン基の一端又は両端に−O−が導入されている場合を意味する。アルキレン基に−S−や−NR1S−を含む場合も同様の意味である。
Laを表すアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖、環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
Laを表すアルキレン基の炭素数は、1〜20であるが、キャリア移動度がより優れたものとなるという観点から、1〜15であることが好ましく、1〜10であることがさらに好ましい。
なお、Laを表すアルキレン基が分岐鎖状である場合には、分岐部分の炭素数については、Laを表すアルキレン基の炭素数に含むものとする。ただし、Laが−NR1S−を含み、かつ、このR1Sが炭素原子を含む場合には、R1Sの炭素数は、Laを表すアルキレン基の炭素数に含めないものとする。
Lbは、−O−、−S−、及び、−NR2S−のうち少なくとも1つを含んでいてもよい炭素数1〜100のアルキル基を表す。ここで、アルキル基が−O−を含むとは、アルキル基の炭素−炭素結合の途中に−O−が導入されている場合や、アルキル基の一端(すなわち、上記「Ar」との接続部分)に−O−が導入されている場合を意味する。アルキル基に−S−や−NR2S−を含む場合も同様の意味である。
Lbを表すアルキル基は、直鎖状、分岐鎖、環状のいずれであってもよいが、キャリア移動度及び高温高湿下での経時安定性がより優れたものになるという観点から、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。また、Lbを表すアルキル基は、置換基としてハロゲン原子(好ましくは、F原子、Cl原子、Br原子、I原子、より好ましくは、F原子)を有するハロゲン化アルキル基であってもよい。
Lbを表すアルキル基の炭素数は、1〜100であり、2〜60であることが好ましく、2〜30であることがより好ましく、8〜25であることが更に好ましい。
なお、Lbを表すアルキル基が分岐鎖状である場合には、分岐部分の炭素数については、Lbを表すアルキル基の炭素数に含むものとする。ただし、Lbが−NR2S−を含み、かつ、このR2Sが炭素原子を含む場合には、R2Sの炭素数は、Lbを表すアルキレン基の炭素数に含めないものとする。
R1S及びR2Sはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基としては、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基)、ハロゲン原子(好ましくは、F原子、Cl原子、Br原子、I原子)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20のアリール基)を表す。これらの中でも、R1S及びR2Sはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。
lは、1〜5の整数を表すが、1又は2であることが好ましい。lが2以上のとき、複数のLbは、互いに同一でも異なっていてもよい。
また、lが5未満の整数である場合には、Arは他の置換基を有していてもよい。置換基としては、上記R1S及びR2Sと同様の置換基が挙げられる。
*は、他の構造との結合部位を表す。
また、式(P1)で表される有機半導体化合物は、上記それぞれの態様において、式(P1)中のAが各式により表される構造を部分構造として有する態様よりも、式(P1)中のAが各式により表される構造である態様の方が好ましい。
また、*は他の構造との結合部位を表す。
Dは少なくとも1つのN原子、O原子、S原子、もしくはSe原子を環構造内に有する2価の芳香族複素環基、又は、2環以上の縮環構造からなる2価の芳香族炭化水素基を部分構造として含む電子ドナーユニットである。
また、上記2価の芳香族複素環基は、単環であっても、2環以上の縮環構造を有していてもよく、単環の2価の芳香族複素環基を2以上組み合わせた構造であるか、2以上の単環の2価の芳香族複素環基と、1以上の2環以上の縮環構造を有する2価の芳香族複素環基を組み合わせた構造であることが好ましい。
上記2価の芳香族複素環基は更に置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、−O−、−S−、及び、−NRD3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基(例えば、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜20のアルキル基がより好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜30が好ましい。)、アルキニル基(炭素数2〜30が好ましい。)、芳香族炭化水素基(炭素数6〜30が好ましい。)、芳香族複素環基(5〜7員環が好ましい。ヘテロ原子としては、O原子、N原子、S原子、Se原子が好ましい。)、ハロゲン原子(F原子、Cl原子、Br原子、I原子が好ましく、F原子又はCl原子がより好ましく、F原子が特に好ましい。)、上記式(1−1)で表される1価の基が挙げられる。
RD3は後述する式(D−1)におけるRD3と同義であり、好ましい態様も同様である。
上記芳香族炭化水素基はさらに置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、−O−、−S−、及び、−NRD3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基、ハロゲン原子、上記式(1−1)で表される1価の基が挙げられる。−O−、−S−、及び、−NRD3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基及びハロゲン原子の好ましい例は、上記の2価の芳香族複素環基で説明したものと同様である。RD3は後述する式(D−1)におけるRD3と同義であり、好ましい態様も同様である。
なお、上記式(D−1)において、各繰り返し単位及び上記Mは、結合軸において回転可能に結合している。
すなわち、例えば、式(D−1)(及び後述する式(2)〜式(6)の表記)では、p個連結する5員環の繰り返し単位と、q個連結する5員環の繰り返し単位とが互いに逆方向を向いているが、式(D−1)(及び後述する式(P2)〜式(P6)の表記)は、これらが互いに同じ方向を向く構造体も包含する意味である。
Zdはそれぞれ独立に、N原子又はCRD2を表し、CRD2であることがより好ましい。
RD1はそれぞれ独立に、1価の有機基を表し、−O−、−S−、及び、−NRD3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基(例えば、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、炭素数8〜30のアルキル基がより好ましい。)、アルキニル基(炭素数2〜30が好ましい。)、芳香族炭化水素基(炭素数6〜30が好ましい。)、芳香族複素環基(5〜7員環が好ましい。ヘテロ原子としては、O原子、N原子、S原子、Se原子が好ましい。)、ハロゲン原子(F原子、Cl原子、Br原子、I原子が好ましく、F原子又はCl原子がより好ましく、F原子が特に好ましい。)、又は、上記式(1−1)で表される1価の基であることが好ましく、アルキル基、ハロゲン原子、又は上記式(1−1)で表される1価の基であることがより好ましい。
RD2はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、水素原子、−O−、−S−、及び、−NRD3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基(例えば、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜20のアルキル基がより好ましい。)、アルキニル基(炭素数2〜30が好ましい。)、アルケニル基(炭素数2〜30が好ましい。)、芳香族炭化水素基(炭素数6〜30が好ましい。)、芳香族複素環基(5〜7員環が好ましい。ヘテロ原子としては、O原子、N原子、S原子、Se原子が好ましい。)、ハロゲン原子(F原子、Cl原子、Br原子、I原子が好ましく、F原子又はCl原子がさらに好ましく、F原子が特に好ましい。)、又は、上記式(1−1)で表される1価の基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又は上記式(1−1)で表される1価の基であることがより好ましい。
Mは、単結合、2価の芳香族複素環基、2価の芳香族炭化水素基、アルケニレン基、アルキニレン基、又はこれらを組み合わせてなる2価の基を表す。Mは、−O−、−S−、及び、−NRD3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基、又は、式(1−1)で表される1価の基で置換されていてもよい。
上記Mにおける2価の芳香族複素環基は、単環であっても、2環以上の縮環構造を有していてもよい。本発明に好ましく用いられる2価の芳香族複素環基の例は、上述した2環以上の縮環構造を有する2価の芳香族複素環基の例と同様である。
Mにおける2価の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、フルオレン基、ナフチレン基、又は、3環若しくは4環が縮合した芳香族炭化水素から水素原子を2つ除いた基がより好ましく、フルオレン基、ナフチレン基、アントラセン環、フェナントレン環、クリセン環、若しくはピレン環から水素原子を2つ除いた基が更に好ましい。
Mにおける2価の芳香族複素環基、又は、2価の芳香族炭化水素基、は、さらに置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、−O−、−S−、及び、−NRD3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基(例えば、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜20のアルキル基がより好ましい。)、ハロゲン原子(F原子、Cl原子、Br原子、I原子が好ましく、F原子又はCl原子がさらに好ましく、F原子が特に好ましい。)、上記式(1−1)で表される1価の基が挙げられる。
Mにおけるアルケニレン基としては、炭素数2〜10のアルケニレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルケニレン基がより好ましく、エテニレン基がさらに好ましい。
Mにおけるアルキニレン基としては、炭素数2〜10のアルキニレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルキニレン基がより好ましく、エチニレン基がさらに好ましい。
RD3はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。RD3における置換基は、上記R1S及びR2Sにおける置換基と同義である。
p及びqはそれぞれ独立に、0〜4の整数であり、1〜3の整数であることが好ましく、1〜2の整数であることがより好ましい。pとqは同じ値であることが好ましい。また、p+qが2〜4であることが好ましい。
ただし、p+qが0の場合には、Mは、少なくとも1つのN原子、O原子、S原子、もしくはSe原子を環構造内に有する2価の芳香族複素環基、または、2環以上の縮環構造からなる2価の芳香族炭化水素基を部分構造として含むことが好ましい。
上記式(P1)で表される繰り返し単位が、下記式(P2)〜(P6)のいずれかで表される繰り返し単位であることが好ましく、下記式(P2)又は下記式(P3)のいずれかで表される繰り返し単位であることがさらに好ましく、下記式(P3)で表される繰り返し単位であることが特に好ましい。
RA1はそれぞれ独立に、−O−、−S−、及び、−NRA3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基、上記式(1−1)で表される1価の基、又は、他の構造との結合部位を表す。
Yはそれぞれ独立に、O原子又はS原子を表す。
Zaはそれぞれ独立に、CRA2又はN原子を表す。
RA2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−O−、−S−、及び、−NRA3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基、又は、他の構造との結合部位を表す。
RA3はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
X’はそれぞれ独立に、O原子、S原子、Se原子、又は、NRD1を表す。
RD1はそれぞれ独立に、上記式(1−1)で表される1価の基であってもよい1価の有機基を表す。
Zdはそれぞれ独立に、N原子又はCRD2を表す。RD2はそれぞれ独立に、水素原子又は上記式(1−1)で表される1価の基であってもよい1価の有機基を表す。
Mは、単結合、2価の芳香族複素環基、2価の芳香族炭化水素基、アルケニレン基、アルキニレン基、又は、これらを組み合わせてなる2価の基を表す。Mは、−O−、−S−、及び、−NRD3−のうち少なくとも1つを含んでいてもよいアルキル基、又は、上記式(1−1)で表される1価の基で置換されていてもよい。
RD3はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
p及びqはそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
また、式(P2)〜式(P6)中、X’、Zd、RD1、RD2、RD3、M、p、及び、qは上記式(D−1)におけるX’、Zd、RD1、RD2、RD3、M、p、及び、qとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
有機半導体化合物中、式(P1)で表される繰り返し単位の含有量は、有機半導体化合物の全質量に対し、60〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましく、実質的に式(P1)で表される繰り返し単位のみから形成されていることが特に好ましい。なお、実質的に式(P1)で表される繰り返し単位のみから形成されているとは、式(P1)で表される繰り返し単位の含有量が95質量%以上であることを意味し、97質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましい。
式(P1)で表される繰り返し単位の含有量が上記範囲内であると、キャリア移動度により優れる有機半導体層が得られる。
また、有機半導体化合物は、式(P1)で表される繰り返し単位を1種単独で含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本発明において、式(P1)で表される繰り返し単位を有する化合物の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ法(GPC(Gel Permeation Chromatography))法にて測定され、標準ポリスチレンで換算して求められる。具体的には、例えば、GPCは、HLC−8121GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel GMHHR−H(20) HT(東ソー(株)製、7.8mmID×30cm)を2本用い、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いる。また、条件としては、試料濃度を0.02質量%、流速を1.0ml/min、サンプル注入量を300μl、測定温度を160℃とし、IR(infrared)検出器を用いて行う。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−128」、「F−80」、「F−40」、「F−20」、「F−10」、「F−4」、「F−2」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「A−500」の12サンプルから作製する。
また、式(P1)で表される繰り返し単位を有する化合物の末端の構造は、特に制限はなく、他の構成単位の有無や、合成時に使用した基質の種類、合成時のクエンチ剤(反応停止剤)の種類にもよるが、例えば、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、エチレン性不飽和基、アルキル基等、芳香族複素環基(チオフェン環が好ましい。)、芳香族炭化水素基(ベンゼン環が好ましい。)が挙げられる。
有機半導体層には、塗膜の膜厚均一性のより一層の向上のため、界面活性剤を添加することができる。
有機薄膜トランジスタに加熱プロセスを施す際、界面活性剤が流動して偏在することで、有機半導体層にひずみが生じ、クラックが発生する場合がある。このため、ガラス転移温度が50℃以上の界面活性剤を用いることが好ましい。
ガラス転移温度が50℃以上の界面活性剤は、有機半導体層に導入しても、負膨張材料と共に中間層に導入してもよい。上記界面活性剤を使用することで、クラックを発生させず、またキャリア移動度及びその高温高湿条件下での維持率を低下させることなく、膜厚均一性をより向上させることができる。
DSC測定は、加熱(1回目)→冷却(1回目)→加熱(2回目)のサイクルで行い、1回目の冷却時と2回目の加熱時にそれぞれDSC曲線を取得した。2回目の加熱時に取得したDSC曲線から求めたTgを採用した。なお、DSC曲線からTgを求める際には、DSC曲線の変曲点からTgを読み取った。
測定条件 測定範囲 : −30℃〜230℃
加熱・冷却速度: 10℃/min
なかでも、ガラス転移温度が80℃以上の界面活性剤(好ましくは、Tgが80℃以上のポリマー鎖を含むブロック共重合体)であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、120℃以下の場合が多い。
なお、ガラス転移温度が50℃以上の界面活性剤としてポリマー鎖を含むブロック共重合体を用いる場合、その重量平均分子量は特に制限されないが、1万〜20万が好ましく、1万〜9.5万がより好ましい。
有機半導体層が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、全固形分量に対して0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
また、界面活性剤は中間層に含有させてもよい。中間層が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、全固形分量に対して0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
また、界面活性剤を中間層及び有機半導体層のいずれにも含有させる場合には、界面活性剤の含有量は、中間層及び有機半導体層の全固形分量に対して、上記範囲とすればよい。
本発明のOTFTにおいて、ソース電極は、配線を通じて外部から電流が流入する電極である。また、ドレイン電極は、配線を通じて外部に電流を送り出す電極であり、通常、上記有機半導体層に接して設けられる。
ソース電極及びドレイン電極の材料としては、従来の有機薄膜トランジスタに用いられている導電性材料を用いることができ、例えば、上記ゲート電極で説明した導電性材料等が挙げられる。
特に、ゲート絶縁層がエッチング液や剥離液に対する耐性に優れていることから、ソース電極及びドレイン電極はエッチング法でも好適に形成することができる。エッチング法は、導電性材料を成膜した後に不要部分をエッチングにより除去する方法である。エッチング法によりパターニングすると、レジスト除去時に下地に残った導電性材料の剥がれ、レジスト残渣や除去された導電性材料の下地への再付着を防止でき、電極エッジ部の形状に優れる。この点で、リフトオフ法よりも好ましい。
ソース電極とドレイン電極との間の間隔(チャネル長)は、任意であるが、100μm以下が好ましく、50μm以下が特に好ましい。また、チャネル幅は、5000μm以下が好ましく、1000μm以下が特に好ましい。
本発明のOTFTは、オーバーコート層を有していてもよい。オーバーコート層は、通常、OTFTの表面に保護層として形成される層である。単層構造でも多層構造でもよい。
オーバーコート層は、有機系のオーバーコート層でも無機系のオーバーコート層でもよい。
有機系のオーバーコート層を形成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアセナチレン、エポキシ樹脂等の有機ポリマー、及び、これらの有機ポリマーに架橋性基や撥水基等を導入した誘導体等が挙げられる。これらの有機ポリマーやその誘導体は、架橋成分、フッ素化合物、シリコン化合物等と併用することもできる。
無機系のオーバーコート層を形成する材料としては、特に限定されないが、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の金属酸化物、窒化ケイ素等の金属窒化物等が挙げられる。
これらの材料は、1種を用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
例えば、有機系のオーバーコート層は、例えば、その下地となる層に、オーバーコート層となる材料を含む溶液を塗布後に乾燥させる、オーバーコート層となる材料を含む溶液を塗布、乾燥後に露光、現像してパターニングする等の方法により形成することができる。なお、オーバーコート層のパターニングは、印刷法やインクジェット法等により直接形成することもできる。また、オーバーコート層のパターニング後に、露光や加熱することにより、オーバーコート層を架橋させてもよい。
一方、無機系のオーバーコート層は、スパッタリング法、蒸着法等の乾式法やゾルゲル法のような湿式法により形成することができる。
本発明のOTFTは、上記以外の層や部材を設けてもよい。
その他の層又は部材としては、例えば、バンク等が挙げられる。バンクは、インクジェット法等により半導体層やオーバーコート層等を形成するときに、吐出液を所定の位置に塞き止める目的等で用いられる。このため、バンクには、通常、撥液性がある。バンクの形成方法としては、フォトリソグラフィー法等によりパターニングした後にフッ素プラズマ法等の撥液処理を施す方法、フッ素化合物等の撥液成分を含む感光性組成物等を硬化させる方法等が挙げられる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいてゲート絶縁層が有機材料により形成されている場合には、後者の撥液成分を含む感光性組成物を硬化させる方法が、ゲート絶縁層が撥液処理の影響を受ける可能性が少ないので好ましい。なお、バンクを用いずに下地に撥液性のコントラストを持たせてバンクと同じ役割を持たせる技術を用いてもよい。
(有機薄膜トランジスタ用材料又は有機薄膜トランジスタ用材料セットによる有機半導体層/中間層の製造方法)
上述した有機薄膜トランジスタの製造方法(以下、本発明の方法ということがある)は、特に限定されず、各部材(ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極)は上述した方法にて製造可能である。
なお、有機薄膜トランジスタにおいて有機半導体層及び中間層を形成する方法としては、例えば、有機半導体化合物、負膨張材料及びバインダーを含む組成物である有機薄膜トランジスタ用材料によって塗膜を形成した後、相分離現象を利用して、有機半導体化合物と負膨張材料を膜厚方向にそれぞれ相分離させて有機半導体層と中間層とを同時に形成してもよいし、または、有機半導体層を形成する前又は形成した後に、負膨張材料と負膨張材料を担持するバインダーとを含む層を別途積層形成してもよい。
以下、上記2つの方法に関して詳述する。
通常、有機半導体化合物と負膨張材料とはその構造の違いから混じり合わないため、両者を混合すると、有機半導体化合物の相と、負膨張材料の相とに分離する。そこで、有機半導体化合物、負膨張材料及びバインダーを含む組成物である有機薄膜トランジスタ用材料を用いて塗膜を作製すると、塗膜の下側に比重により沈降した負膨張材料の高濃度領域が形成され、一方、塗膜の上側には有機半導体化合物の結晶層が形成され、結果として中間層と有機半導体層とを形成することができる。
特に、有機薄膜トランジスタ用材料にバインダーが含まれることにより、上記相分離がより進行しやすくなる。なお、負膨張材料は、通常、バインダーと共に塗膜の下側に高濃度で偏在化する。
溶媒としては、下記のものが挙げられる。
溶媒としては、例えば、有機溶媒、水及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、テトラリン、デカリン、1−メチルナフタレン等の炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル溶媒、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール溶媒、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−イミダゾリジノン等のアミド・イミド溶媒、ジメチルスルフォキシド等のスルホキシド溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒等が挙げられる。
また、有機薄膜トランジスタ用材料中において、有機半導体化合物の含有量は、有機薄膜トランジスタ用材料の全固形分に対して10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることが好ましい。
また、有機薄膜トランジスタ用材料中において、バインダーの含有量は、有機薄膜トランジスタ用材料の全固形分に対して10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることが好ましい。
また、有機薄膜トランジスタ用材料中に上述したガラス転移温度が50℃以上の界面活性剤を含有させてもよく、この場合には、上記界面活性剤の含有量は、有機薄膜トランジスタ用材料の全固形分に対して0.01〜30質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがより好ましい。
塗布条件は、特に限定されない。室温(25℃)付近で塗布してもよいし、有機半導体化合物の塗布溶媒への溶解性を増すために加熱状態で塗布してもよい。塗布温度は、好ましくは15〜150℃であり、より好ましくは15〜100℃であり、さらに好ましくは15〜50℃であり、特に好ましくは室温付近(20〜30℃)である。
スピンコート法では、回転数を100〜3000rpmにするのが好ましい。
中間層を形成するバインダーとして、上述したバインダーポリマーの他、エチレンプロピレンゴム、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、シリコーンゴム等も使用することができる。
これらの組成物を塗布する方法は上述の通りであり、各組成物の塗布後、必要に応じて、乾燥処理を実施してもよい。
なお、有機半導体層と中間層とを別途形成する場合、あるいは、後述する第2態様であるゲート絶縁層に負膨張材料を含有させ、中間層を形成しない場合において、有機半導体層を形成する際は、塗膜性等の観点から、有機半導体化合物とともにバインダーを配合することが好ましい。バインダーとしては、有機薄膜トランジスタ用材料に用いられる上述のバインダーを使用することができる。
また、本明細書において、有機半導体層と中間層とを別途形成する場合であって、有機半導体層形成にバインダーを用い、このバインダーが相分離現象により有機半導体層から独立して層を成して中間層に連続して(隣接して)形成される場合には、このバインダーは中間層のバインダーとしてみなす。
以下に、上述した図1(B)に示す第2態様の各構成、及び、その製造方法について詳述する。
第2態様のOTFTは、基板6上にゲート電極5、ゲート絶縁層12、ソース電極3及びドレイン電極4、及び、有機半導体層1がこの順で配置されたものである。第2態様は、第1態様と比較して、ゲート絶縁層中の負膨張材料が含有されている点以外は、同一の構成を有するため、以下では説明を省略し、主に、ゲート絶縁層12について詳述する。
負膨張材料の定義は、上述の通りである。
ゲート絶縁層には、上述したように、絶縁性の材料(例えば、有機高分子などの有機材料、無機酸化物などの無機材料)が含まれている。
なお、ゲート絶縁層形成用組成物には、上述した溶媒が含まれていてもよい。
本発明のOTFTは好ましくは表示パネルに搭載して使用される。表示パネルとしては、例えば、液晶パネル、有機ELパネル、電子ペーパーパネル等が挙げられる。
<有機半導体層形成用組成物の調製>
有機半導体化合物(OSC-1)と、バインダー(Mw=50万のポリスチレン)とを固形分質量比が1:1となるように混合、攪拌して、実施例1の有機半導体層形成用組成物を調製した。有機半導体層形成用組成物は、トルエンを溶剤とする固形分濃度0.5質量%溶液として調製した。
バインダーとしてポリイミド溶液(7%溶液、日産化学社製サンエバーSE−130B)を30質量%と、負膨張材料としてタングステン酸ジルコニウム(下記合成品; 平均粒径 200nm、アスペクト比 10、シランカップリング表面処理)を0.24質量%とを、溶媒であるアニソールに溶解させることでゲート絶縁層形成用組成物(負膨張材料含有)を調製し、実施例1のゲート絶縁層形成用組成物とした。
なお、タングステン酸ジルコニウムは文献(ACS Appl. Mater. Interfaces, 2013, 5 (19), pp 9478-9487)を参考にして、下記手順によって合成したものを用いた。
0.08M ZrO(ClO4)2・xH2Oと、0.10M Na2WO4・2H2Oを7M HCl中、160°Cにて12時間反応した。反応後、白色沈殿を取り出し、イオン交換水にて洗浄、遠心分離機にて沈殿を6回繰り返した。75℃にて24時間乾燥した後、乳鉢にてすりつぶした。最後に白色粉末を600度にて30分焼結することでタングステン酸ジルコニウムのナノ粒子を得た。
さらにナノ粒子5gを50mlの無水エタノールに加え攪拌した後、10分超音波を照射した。pHを4に調整したヘキシルトリメトキシシラン(シランカップリング剤、信越シリコーン社製)10%エタノール溶液10gを加え60℃で2時間反応した。遠心分離により沈殿と無水エタノール洗浄を3回繰り返した後、減圧オーブンにて60℃で24時間乾燥し、表面処理されたタングステン酸ジルコニウムナノ粒子を得た。
上記のようにして得られた有機半導体層形成用組成物及びゲート絶縁層形成用組成物を用いて、図1(B)に示すボトムゲート・ボトムコンタクト構造の有機薄膜トランジスタ(実施例1)を以下の手順で作製した。
ゲート絶縁層12は、上記ゲート絶縁層形成用組成物(負膨張材料含有)を基板6上に塗布し、これを乾燥させることで厚さ0.7μmの膜として形成した。
こうして、厚さ300nmの有機半導体層1を成膜し、実施例1の有機薄膜トランジスタ(ボトムゲート・ボトムコンタクト型)を得た。
ゲート絶縁層形成用組成物に含まれる負膨張材料の配合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法により、実施例2、3の有機薄膜トランジスタを作製した。
ゲート絶縁層形成用組成物に含まれる負膨張材料をタングステン酸ジルコニウムからリン酸ジルコニウム(ZrO)2P2O7(平均粒径80nm、アスペクト比3.8、東亞合成社製)に変更した以外は実施例1、2、3と同様の方法により、それぞれ実施例4、5、6の有機薄膜トランジスタを作製した。
ゲート絶縁層形成用組成物に含まれる負膨張材料をタングステン酸ジルコニウムからシリカ(平均粒径60nm、アスペクト比1.0、昭和電工社製)に変更した以外は実施例1、2、3と同様の方法により、それぞれ実施例7、8、9の有機薄膜トランジスタを作製した。
上記有機半導体層形成用組成物に含まれる有機半導体化合物をOSC−1から下記構造のOSC−2に変更した以外は実施例1、2、3と同様の方法により、それぞれ実施例10、11、12の有機薄膜トランジスタを作製した。
<有機薄膜トランジスタ用材料1の調製>
有機半導体化合物(下記に示すOSC−3)を0.5質量%と、バインダーとしてポリスチレン(Mw=50万)を0.5質量%と、負膨張材料としてタングステン酸ジルコニウム(合成品;(上述したもの) 平均粒径:200nm、アスペクト比:10、シランカップリング表面処理)を0.056質量%とを、溶媒であるアニソールに溶解させることで有機薄膜トランジスタ用材料1を作製し、実施例13の有機半導体層(有機半導体膜)及び有機半導体層に隣接し、負膨張材料を含む中間層の形成に用いた。
有機薄膜トランジスタ用材料1は、所定の基材上に成膜されると成分が相分離し、有機半導体化合物の結晶層である有機半導体層と、その下層に負膨張材料を含むポリスチレン層(中間層)とを形成する。
下記組成で、ゲート絶縁層形成用組成物(負膨張材料なし)を調製し、実施例13の有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層2の形成に用いた。
ポリ(4−ビニルフェノール)(日本曹達社製、商品名:VP−8000、Mn11000、分散度1.1)を6.3gと、架橋剤として2,2−ビス(3,5−ジヒドロキシメチル−4−ヒドロキシ)プロパン2.7gとを、91gの1−ブタノール/エタノール=1/1の混合溶媒に室温で溶解した。この溶解液をφ0.2μmのPTFE製メンブランフィルタでろ過した。得られたろ液に酸触媒としてジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート塩0.18gを加え、これをゲート絶縁層形成用組成物(負膨張材料なし)とした。
上記のようにして得られた有機薄膜トランジスタ用材料1及びゲート絶縁層形成用組成物を用いて、図1(A)に示すボトムゲート・ボトムコンタクト構造の有機薄膜トランジスタ(実施例13)を以下の手順で作製した。
ゲート絶縁層2は、まず、ゲート絶縁層形成用組成物を基板6上に塗布し、これを乾燥して成膜した後、100℃に加熱して架橋構造を形成させることで厚さ0.7μmの膜とした。
こうして、厚さ300nmの有機半導体層1と、厚さ120nmの中間層7を成膜し、実施例13の有機薄膜トランジスタ(ボトムゲート・ボトムコンタクト型)を得た。
有機薄膜トランジスタ用材料1に含まれる負膨張材料の配合量を表1に示すように変更した以外は実施例13と同様の方法により、それぞれ実施例14、15の有機薄膜トランジスタを作製した。
有機半導体層形成用組成物を下記の組成に変更した以外は、実施例1、2、3と同様の方法により、それぞれ実施例16、17、18の有機薄膜トランジスタを作製した。
有機半導体化合物(OSC−1)0.5質量%と、バインダー(Mw=50万のポリスチレン)0.5質量%と、界面活性剤(PMMA-b-PDMS:ポリメチルメタクリレートとポリジメチルシロキサンの共重合体(Polymer soruce社製、重量平均分子量6万 ガラス転移温度100℃))0.025質量%とを、溶媒であるアニソールに溶解させることで、有機半導体層形成用組成物を調製した。
実施例16、17、18の有機半導体層形成用組成物に含まれる界面活性剤を、PMMA-b-PDMSからBYK−323(シリコン系表面調整剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、ガラス転移温度20℃以下(常温常圧下で液体))に変更し、TFT構成をボトムゲート・ボトムコンタクト構造からトップゲート・トップコンタクト構造にし、それぞれ実施例19、20、21の有機薄膜トランジスタを作製した。
以下、トップゲート・トップコンタクト構造の有機薄膜トランジスタの作製手順について詳述する。
次いで、図2(C)に示すようにソース電極3及びドレイン電極4として、くし型に配置された銀からなる電極(厚み150nm、ゲート幅W=100μm、ゲート長L=100μm)を、マスクを用いて真空蒸着により形成した。
次いで、有機半導体層1、ソース電極3及びドレイン電極4を覆うように、上記で得られたゲート絶縁膜組成物(負膨張材料含有)を、25℃でスピンコート(回転数800rpm)により塗布し、塗膜を成膜した。さらにゲート電極として金からなる電極(厚み50nm、100μm)を、マスクを用いて真空蒸着により形成した。こうして、実施例19〜21の有機薄膜トランジスタ(ボトムゲート・ボトムコンタクト型)を得た。
有機半導体層形成用組成物を下記の組成及び成膜方法に変更し、ゲート絶縁層形成用組成物を実施例13で使用したもの(負膨張材料非含有)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例22〜24の有機薄膜トランジスタを作製した。
有機半導体化合物(OSC−1)を0.5質量%と、バインダーとしてポリスチレン(Mw=50万)を0.5質量%と、負膨張材料としてタングステン酸ジルコニウム(合成品(上述したもの);平均粒径:200nm、アスペクト比:10、シランカップリング表面処理)を0.056質量%と、界面活性剤(PMMA-b-PDMS:ポリメチルメタクリレートとポリジメチルシロキサンの共重合体(Polymer soruce社製、重量平均分子量6万 ガラス転移温度100℃)を0.025質量%とを、溶媒であるアニソールに溶解させることで有機薄膜トランジスタ用材料2を作製し、実施例22の有機半導体層(有機半導体膜)及び有機半導体層に隣接し、負膨張材料を含む中間層の形成に用いた。
ゲート絶縁層2、ソース電極3及びドレイン電極4を覆うように、上記有機薄膜トランジスタ用材料を25℃でスピンコート(回転数800rpm)により塗布し、塗膜を成膜した。塗膜は成膜後に成分が相分離し、有機半導体化合物の結晶層である有機半導体層1と、その隣接する下層(すなわち、ゲート絶縁層2と有機半導体層1との界面領域)に負膨張材料を含むポリスチレン層(中間層)7が形成された。
こうして、厚さ300nmの有機半導体層1と、厚さ120nmの中間層7を成膜した。
有機半導体層形成用組成物を実施例22と同様の有機薄膜トランジスタ用材料2及びその成膜方法に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例25の有機薄膜トランジスタを作製した。
<有機薄膜トランジスタ(ボトムゲート・ボトムコンタクト構造)の製造>
実施例1と同様の有機半導体層形成用組成物及び実施例13と同様のゲート絶縁層形成用組成物を用いて、図1(A)に示すボトムゲート・ボトムコンタクト構造の有機薄膜トランジスタ(比較例1)を以下の手順で作製した。
比較例1の有機薄膜トランジスタは、負膨張材料がいずれの層にも含有されない構成である。
ゲート絶縁層2は、まず、ゲート絶縁層形成用組成物を基板6上に塗布し、これを乾燥して成膜した後、100℃に加熱して架橋構造を形成させることで厚さ0.7μmの膜とした。
こうして、厚さ300nmの有機半導体層1を成膜し、比較例1の有機薄膜トランジスタ(ボトムゲート・ボトムコンタクト型)を得た。
ゲート絶縁層形成用組成物を実施例13で使用したもの(負膨張材料非含有)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例2の有機薄膜トランジスタを作製した。
得られた各有機薄膜トランジスタについて、クラック発生の有無、キャリア移動度、高温高湿条件下での経時安定性、膜厚均一性を下記方法により評価することでその性能を調べた。
作製した有機薄膜トランジスタに150℃、1時間の条件で熱を与えた後、目視により有機半導体層のクラックの発生を評価した。クラックが発生した場合は「NG」、クラックが発生しなかった場合には「OK」とした。
得られた結果を下記表に示す。
作製した各有機薄膜トランジスタのソース電極3−ドレイン電極4間に−40Vの電圧を印加し、ゲート電圧を+10V〜−60Vの範囲で変化させ、ドレイン電流Idを表わす下記式を用いてキャリア移動度μを算出した。
Id=(w/2L)μCi(Vg−Vth)2
式中、Lはゲート長、wはゲート幅、Ciはゲート絶縁層2の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧を表す。
キャリア移動度μは高いほど好ましく、実用上は0.5以上であることが好ましい。
得られた結果を下記表に示す。
各作製した各有機薄膜トランジスタを70℃、湿度80%下で24時間保管した後、上記「キャリア移動度評価」と同様の方法によりキャリア移動度を測定した。測定結果から、キャリア移動度維持率(下記式)を以下の5段階で評価し、高温高湿下での経時安定性の指標とした。この値が大きいほど高温高湿下での経時安定性が高く、実用上は「B」以上であることが必要であり、「A」以上であることがより好ましい。
高温高湿下保管後のキャリア移動度維持率(%)={キャリア移動度(高温高湿下保管後)/キャリア移動度(高温高湿下保管前)}×100
「A」:90%以上
「B」:75%以上90%未満
「C」:50%以上75%未満
「D」:25%以上50%未満
「E」:25%未満
得られた結果を下記表に示す。
塗布後の素子をFIB(Focused Ion Beam System(Gaイオンビーム))により断面を切り出し、SEM観察を行う事で膜の厚さ方向の均一性評価を行った。測定結果から、膜厚均一性評価を以下の3段階で評価し、その指標とした。
「A」:各層の膜厚が平均膜厚に対して±50%以内で製膜できている
「B」:層間混合なく製膜できている
「C」:層間の混合が発生している
また、有機半導体層/中間層欄における「界面活性剤の添加量(質量%)」は、有機半導体組成物全量に対する界面活性剤の含有量を表す。
また、有機半導体層/中間層欄における「有機半導体化合物/バインダー(固形分濃度比)」とは、有機半導体層形成用組成物中に含まれる有機半導体化合物とバインダーの固形分濃度比を表す。
また、有機半導体層/中間層欄における「負膨張材料の添加量(質量%)」は、中間層全固形分に対する負膨張材料の含有量を表す。
更に、実施例16〜18からも明らかなように、ゲート絶縁層中に負膨張材料を添加した場合においても、有機半導体層中にガラス転移温度が50℃以上の界面活性剤(好ましくは、ガラス転移温度が50℃以上のポリマー鎖を含むブロック共重合体)を添加することで、上述の効果が得られることが確認された。
一方、実施例1〜3、実施例19〜21の対比から明らかなように、ガラス転移温度が50℃未満の界面活性剤を用いた場合には、膜厚均一性はより向上したものの、高温高湿条件下での維持率が低下した。
なお、比較例2が示すように、負膨張材料を用いずに、ガラス転移温度が50℃以上の界面活性剤(好ましくは、ガラス転移温度が50℃以上のポリマー鎖を含むブロック共重合体)のみを単独で有機半導体層に導入した場合には、負膨張材料及び界面活性剤をいずれも使用しない比較例1と比べて、より多くのクラックが発生し、またキャリア移動度(加熱前)も低くなる。つまり、上述するガラス転移温度が50℃以上の界面活性剤は、負膨張材料と用いられることで、初めて、クラックを生じさせず、また、キャリア移動度及びその高温高湿条件下での維持率を低下させずに、膜厚均一性をより向上させることができる。
有機薄膜トランジスタ材料を用いて有機半導体層と中間層を作製した実施例13、14、15において、有機薄膜トランジスタ材料に代えて、中間層形成用組成物を用いてゲート絶縁層上に負膨張材料を含む中間層を形成し、その上層に有機半導体層形成用組成物を用いて別途有機半導体層を設けた以外は同様の方法により、それぞれ実施例26、27、28の有機薄膜トランジスタを作製した。
具体的には、タングステン酸ジルコニウム(平均粒径200nm、アスペクト比10)1質量%と、バインダーとしてエチレンプロピレンゴム(JSR社製、EP22)0.5質量%をアニソールに溶解させることで中間層形成用組成物を作製し、これをゲート絶縁層2上へスピンコートにより塗布し、厚さ100nmの層を形成した。その上に上記実施例1と同様の有機半導体層形成用組成物を用いて有機半導体層(厚さ300nm)を形成した。
得られた有機薄膜トランジスタの各種性能(クラック発生の有無、キャリア移動度(加熱前)、高温高湿下での維持率、膜厚均一性)を評価したところ、実施例13、14,15と同等の性能が得られることが確認された。
Claims (11)
- ゲート電極と、有機半導体層と、前記ゲート電極及び前記有機半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、前記有機半導体層に接して設けられ、前記有機半導体層を介して連結されたソース電極及びドレイン電極と、を有する有機薄膜トランジスタであって、
前記ゲート絶縁層中、及び、前記有機半導体層に隣接して配置された中間層中の少なくともいずれかに負膨張材料を含有する、有機薄膜トランジスタ。 - 前記負膨張材料の平均粒径が10〜1000nmである、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記負膨張材料のアスペクト比が2〜50である、請求項1又は2に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記負膨張材料がタングステン酸ジルコニウムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記ゲート絶縁層が有機材料により形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記負膨張材料が前記ゲート絶縁層に含有された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記負膨張材料が前記有機半導体層に隣接して配置された中間層に含有された、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記有機半導体層が、ガラス転移温度が50℃以上の界面活性剤を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 有機半導体化合物、バインダー及び負膨張材料を少なくとも含有する、有機薄膜トランジスタ用材料。
- 有機半導体化合物を少なくとも含む組成物と、バインダー及び負膨張材料を少なくとも含む組成物と、を備えた、有機薄膜トランジスタ用材料セット。
- ゲート電極と、有機半導体層と、前記ゲート電極及び前記有機半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、前記有機半導体層に接して設けられ、前記有機半導体層を介して連結されたソース電極及びドレイン電極と、を有する有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
請求項9に記載の有機薄膜トランジスタ用材料又は請求項10に記載の有機薄膜トランジスタ用材料セットを用いて、前記有機半導体層と、前記有機半導体層に隣接して形成され、バインダー及び負膨張材料を含有する中間層と、を形成する、有機薄膜トランジスタの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015188818A JP6399989B2 (ja) | 2015-09-25 | 2015-09-25 | 有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタ用材料、有機薄膜トランジスタ用材料セット、有機薄膜トランジスタの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015188818A JP6399989B2 (ja) | 2015-09-25 | 2015-09-25 | 有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタ用材料、有機薄膜トランジスタ用材料セット、有機薄膜トランジスタの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017063155A true JP2017063155A (ja) | 2017-03-30 |
JP6399989B2 JP6399989B2 (ja) | 2018-10-03 |
Family
ID=58429131
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015188818A Active JP6399989B2 (ja) | 2015-09-25 | 2015-09-25 | 有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタ用材料、有機薄膜トランジスタ用材料セット、有機薄膜トランジスタの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6399989B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018180195A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2018-10-04 | 株式会社ダイセル | 膜状成形体の製造方法 |
WO2018180194A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2018-10-04 | 株式会社ダイセル | 有機半導体及びその製造方法 |
WO2019087722A1 (ja) * | 2017-10-31 | 2019-05-09 | 日本化学工業株式会社 | 改質リン酸タングステン酸ジルコニウム、負熱膨張フィラー及び高分子組成物 |
JP2020201383A (ja) * | 2019-06-10 | 2020-12-17 | コニカミノルタ株式会社 | 電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置 |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01202866A (ja) * | 1988-02-09 | 1989-08-15 | Seiko Epson Corp | 分子素子 |
JP2003277064A (ja) * | 2002-03-26 | 2003-10-02 | Asahi Kasei Corp | タングステン酸ジルコニウム等の粉体及び複合材料 |
JP2004327857A (ja) * | 2003-04-25 | 2004-11-18 | Pioneer Electronic Corp | 有機トランジスタの製造方法および有機トランジスタ |
JP2007046045A (ja) * | 2005-07-13 | 2007-02-22 | Teijin Ltd | ポリイミドフィルム基材 |
JP2007091577A (ja) * | 2005-09-05 | 2007-04-12 | Ohara Inc | 無機物粉末およびそれを用いた複合体 |
US20070135550A1 (en) * | 2005-12-14 | 2007-06-14 | Nirupama Chakrapani | Negative thermal expansion material filler for low CTE composites |
JP2009081265A (ja) * | 2007-09-26 | 2009-04-16 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 有機薄膜トランジスタ |
-
2015
- 2015-09-25 JP JP2015188818A patent/JP6399989B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01202866A (ja) * | 1988-02-09 | 1989-08-15 | Seiko Epson Corp | 分子素子 |
JP2003277064A (ja) * | 2002-03-26 | 2003-10-02 | Asahi Kasei Corp | タングステン酸ジルコニウム等の粉体及び複合材料 |
JP2004327857A (ja) * | 2003-04-25 | 2004-11-18 | Pioneer Electronic Corp | 有機トランジスタの製造方法および有機トランジスタ |
JP2007046045A (ja) * | 2005-07-13 | 2007-02-22 | Teijin Ltd | ポリイミドフィルム基材 |
JP2007091577A (ja) * | 2005-09-05 | 2007-04-12 | Ohara Inc | 無機物粉末およびそれを用いた複合体 |
US20070135550A1 (en) * | 2005-12-14 | 2007-06-14 | Nirupama Chakrapani | Negative thermal expansion material filler for low CTE composites |
JP2009081265A (ja) * | 2007-09-26 | 2009-04-16 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 有機薄膜トランジスタ |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018180195A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2018-10-04 | 株式会社ダイセル | 膜状成形体の製造方法 |
WO2018180194A1 (ja) * | 2017-03-31 | 2018-10-04 | 株式会社ダイセル | 有機半導体及びその製造方法 |
JP2018172575A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | 株式会社ダイセル | 有機半導体及びその製造方法 |
JP2018174265A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | 株式会社ダイセル | 膜状成形体の製造方法 |
WO2019087722A1 (ja) * | 2017-10-31 | 2019-05-09 | 日本化学工業株式会社 | 改質リン酸タングステン酸ジルコニウム、負熱膨張フィラー及び高分子組成物 |
JP6553831B1 (ja) * | 2017-10-31 | 2019-07-31 | 日本化学工業株式会社 | 改質リン酸タングステン酸ジルコニウム、負熱膨張フィラー及び高分子組成物 |
JP2020201383A (ja) * | 2019-06-10 | 2020-12-17 | コニカミノルタ株式会社 | 電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6399989B2 (ja) | 2018-10-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6285075B2 (ja) | 有機半導体素子及びその製造方法、化合物、有機半導体組成物、並びに、有機半導体膜及びその製造方法 | |
KR101926949B1 (ko) | 유기 박막 트랜지스터 및 그 제조 방법 | |
WO2015133375A1 (ja) | 有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 | |
JP6399989B2 (ja) | 有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタ用材料、有機薄膜トランジスタ用材料セット、有機薄膜トランジスタの製造方法 | |
JP6706316B2 (ja) | 有機半導体素子、重合体、有機半導体組成物及び有機半導体膜 | |
JP6629866B2 (ja) | 有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタの製造方法、有機半導体組成物、有機半導体膜および有機半導体膜の製造方法 | |
WO2018061821A1 (ja) | 有機半導体膜形成用組成物、有機半導体膜及びその製造方法、並びに、有機半導体素子 | |
WO2017175665A1 (ja) | 有機薄膜トランジスタ素子、有機半導体膜形成用組成物、有機半導体膜の製造方法及び有機半導体膜 | |
JP6318452B2 (ja) | 有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 | |
JP6754126B2 (ja) | 有機半導体素子、有機半導体組成物、有機半導体膜の製造方法、有機半導体膜、並びに、これらに用いる化合物及びポリマー | |
JP6751364B2 (ja) | 有機半導体素子、有機半導体組成物、有機半導体膜の製造方法、有機半導体膜、及びこれらに用いるポリマー | |
JP6434459B2 (ja) | 有機半導体膜形成用組成物、有機半導体膜、有機薄膜トランジスタ | |
TWI752207B (zh) | 有機半導體元件、有機半導體組成物、有機半導體膜的製造方法、有機半導體膜、以及用於這些的化合物及聚合物 | |
JP6442049B2 (ja) | 有機薄膜トランジスタ、有機半導体層形成用組成物 | |
TWI761480B (zh) | 有機半導體元件、有機半導體組成物、有機半導體膜的製造方法、有機半導體膜、以及用於其的化合物及聚合物 | |
KR20160134818A (ko) | 반도체 소자 및 절연층 형성용 조성물 | |
JP6574052B2 (ja) | 有機半導体素子、重合体、有機半導体組成物及び有機半導体膜 | |
WO2017038948A1 (ja) | 有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタの製造方法、有機半導体組成物、有機半導体膜および有機半導体膜の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170801 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180425 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180508 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180704 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180807 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180904 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6399989 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |