JP6434459B2 - 有機半導体膜形成用組成物、有機半導体膜、有機薄膜トランジスタ - Google Patents

有機半導体膜形成用組成物、有機半導体膜、有機薄膜トランジスタ Download PDF

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Description

本発明は、有機半導体膜形成用組成物、有機半導体膜、および、有機薄膜トランジスタに関する。
軽量化、低コスト化、柔軟化が可能であることから、液晶ディスプレイや有機EL(electro luminescence)ディスプレイに用いられるFET(電界効果トランジスタ)、RFID(radio frequency identifier:RFタグ)やメモリなどの論理回路を用いる装置等に、有機半導体膜(有機半導体層)を有する有機薄膜トランジスタ(有機TFT(thin film transistor))が利用されている。
上記有機半導体膜の作製には、有機半導体化合物および各種添加剤を有機溶媒に溶解させた有機半導体膜形成用組成物が用いられている。このような有機半導体膜形成用組成物に使用される添加剤として、例えば特許文献1には、有機シロキサン含有化合物が開示されている。なお、有機シロキサン含有化合物としては、ポリジメチルシロキサンなどのいわゆるD単位からなるポリシロキサンが例示されている。
特表2005−514726号公報
近年、有機薄膜トランジスタの性能向上の観点から、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度および連続駆動安定性のより一層の向上が求められている。ここで、連続駆動安定性とは、有機薄膜トランジスタを連続して使用する場合に、閾値電圧のばらつきが少ないことをいう。
このようななか、本発明者らが、特許文献1に記載の有機シロキサン含有化合物を添加剤として含有する有機半導体膜形成用組成物を用いて有機半導体膜を形成し、この有機半導体膜を有する有機薄膜トランジスタを作製したところ、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度に優れているものの、有機薄膜トランジスタの連続駆動安定性が不十分であることを知見するに至った。
そこで、本発明は、キャリア移動度および連続駆動安定性に優れた有機薄膜トランジスタを作製できる有機半導体膜形成用組成物、並びに、これを用いて形成される有機半導体膜および有機薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、シルセスキオキサン構造を含む化合物を含有する有機半導体膜形成用組成物を用いることで、所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]
シルセスキオキサン構造を含む化合物と、
有機半導体化合物と、
を含有する、有機半導体膜形成用組成物。
[2]
上記シルセスキオキサン構造が、かご型シルセスキオキサン構造である、上記[1]に記載の有機半導体膜形成用組成物。
[3]
上記シルセスキオキサン構造は、一般式(S)で表される構造であり、
上記一般式(S)において、Rがアルキル基またはアリール基である、上記[1]または[2]に記載の有機半導体膜形成用組成物。
[R−Si−O3/2 ・・・(S)
一般式(S)中、nは繰り返し単位数を表す。
[4]
上記シルセスキオキサン構造を含む化合物が、上記シルセスキオキサン構造を備えた基を有する重合体である、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の有機半導体膜形成用組成物。
[5]
上記重合体の重量平均分子量が、1万以上である、上記[4]に記載の有機半導体膜形成用組成物。
[6]
上記重合体が、上記シルセスキオキサン構造を備えた基を、側鎖に備えた繰り返し単位Xを有する、上記[4]または[5]に記載の有機半導体膜形成用組成物。
[7]
上記繰り返し単位Xの含有量が、上記重合体を構成する全繰り返し単位100モル%に対して、40モル%以上である、上記[6]に記載の有機半導体膜形成用組成物。
[8]
上記重合体が主鎖構造として、アクリレート繰り返し単位、メタクリレート繰り返し単位、および、ウレタン繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有する、上記[4]〜[7]のいずれか1つに記載の有機半導体膜形成用組成物。[9]
上記シルセスキオキサン構造を含む化合物の含有量が、上記有機半導体膜形成用組成物の全質量100質量%に対して、0.01〜1質量%である、上記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の有機半導体膜形成用組成物。
[10]
上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載の有機半導体膜形成用組成物を用いて得られる、有機半導体膜。
[11]
上記[10]に記載の有機半導体膜を備える、有機薄膜トランジスタ。
以下に示すように、本発明によれば、キャリア移動度および連続駆動安定性に優れた有機薄膜トランジスタを作製できる有機半導体膜形成用組成物、並びに、これを用いて形成される有機半導体膜および有機薄膜トランジスタを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタの断面模式図である。 本発明の一実施形態に係るトップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの断面模式図である。 実施例で使用したメタルマスクの平面図である。 実施例で作製した、有機TFT(有機薄膜トランジスタ)素子と可変抵抗とを接続したインバータ素子の概略図である。 実施例で作製した、インバータ素子を3段連結したリングオシレーター素子の概略図である。
以下、本発明の有機半導体膜形成用組成物について説明する。
なお、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書の基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書において好ましい態様同士の組み合わせは、より好ましい態様である。
[有機半導体膜形成用組成物]
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、後述するシルセスキオキサン構造を含む化合物と、有機半導体化合物と、を含有する。
本発明者らが鋭意検討したところ、後述するシルセスキオキサン構造を含む化合物(以下、単に「特定シルセスキオキサン化合物」ともいう。)を含有する有機半導体膜形成用組成物を用いることで、キャリア移動度および連続駆動安定性に優れた有機薄膜トランジスタを作製することができることを見出した。
具体的には、有機半導体膜形成用組成物を塗布した際に、塗布された有機半導体膜形成用組成物(塗膜)の濡れ性が不十分であると、塗膜が収縮するなどして、塗布面に対する塗膜の濡れ拡がり性が低下してしまう。その結果、塗膜により形成された有機半導体膜が、ソース電極およびドレイン電極をうまくつなげなくなり、この有機半導体膜を含む有機薄膜トランジスタのキャリア移動度が不十分になる場合がある。
このような観点から、発明者らが、有機半導体膜形成用組成物の塗膜の濡れ拡がり性を向上させるべく、有機半導体膜形成用組成物に加える添加剤を検討したところ、その添加剤の種類によっては、塗膜の濡れ拡がり性は向上できるものの、その添加剤に由来する成分が塗膜(有機半導体膜)の表面にブリードしてしまうことがある。このように添加剤に由来する成分が塗膜の表面にブリードすると、有機薄膜トランジスタの閾値電圧のばらつきが発生する原因になり、有機薄膜トランジスタの連続駆動安定性が低下してしまうことが判明した。このことは、後述する実施例欄においても示されており、添加剤として特許文献1に記載の有機シロキサン化合物としてBYK−323(商品名、BYK社製)を用いると、有機薄膜トランジスタの連続駆動安定性が不十分となる(比較例2)。
このような問題に対して、発明者らは、特定シルセスキオキサン化合物を含有する本発明の有機半導体膜形成用組成物を用いることで、塗膜の濡れ拡がり性が向上することを見出した。これにより、このような塗膜により形成された有機半導体膜を含む有機薄膜トランジスタのキャリア移動度が優れたものになったと推測される。
さらには、特定シルセスキオキサン化合物を含有する有機半導体膜形成用組成物を用いることで、有機半導体膜の表面へのブリードを抑制できることを見出した。これにより、このような塗膜により形成された有機半導体膜を含む有機薄膜トランジスタの連続駆動安定性が優れたものになったと推測される。
<有機半導体化合物>
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、有機半導体化合物を含有する。
有機半導体化合物としては、例えば、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(TIPSペンタセン)、テトラメチルペンタセン、パーフルオロペンタセン等のペンタセン類、5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン(TES−ADT)、2,8−ジフルオロ−5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン(diF−TES−ADT)等のアントラジチオフェン類、ジフェニルベンゾチエノベンゾチオフェン(DPh−BTBT)、アルキルベンゾチエノベンゾチオフェン(Cn−BTBT)等のベンゾチエノベンゾチオフェン類、アルキルジナフトチエノチオフェン(Cn−DNTT)等のジナフトチエノチオフェン類、ペリキサンテノキサンテン等のジオキサアンタントレン類、ルブレン類、C60、フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)等のフラーレン類、銅フタロシアニン、フッ素化銅フタロシアニン等のフタロシアニン類、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3RT)、ポリクアテルチオフェン(PQT)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)等のポリチオフェン類、ポリ[2,5−ビス(3−ドデシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン](PBTTT)等のポリチエノチオフェン類、後述する下記一般式(A−1)で表される化合物などが挙げられる。
これらの中でも、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度などの性能がより向上する等の観点から、下記一般式(A−1)で表される化合物を用いることが好ましい。
一般式(A−1)中、Tは3環以上7環以下の縮環構造を有する芳香族炭化水素基または複素芳香族基を表し、La1およびLa2はそれぞれ独立に、単結合、フェニレン基またはチエニレン基を表し、mおよびnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を表す。
一般式(A−1)で表される有機半導体化合物は、有機半導体素子、有機半導体膜、および、有機半導体膜形成用組成物に好適に用いることができる。
一般式(A−1)で表される有機半導体化合物は、アルキル基(C2m+1およびC2n+1)が、必要に応じて連結基(La1、La2)を介して有機半導体母核(T)と結合している化合物であり、上記連結基は、フェニレン基またはチエニレン基である。溶解性を向上させてキャリア移動度をより高める観点から、有機半導体母核(T)に連結する2つのアルキル基(C2m+1およびC2n+1)は、それぞれ炭素数が異なること(すなわち、m≠n(mとnとが異なる数値である))が好ましい。
一般式(A−1)中、Tは3環以上7環以下の縮環構造を有する芳香族炭化水素基、または、複素芳香族基(芳香族ヘテロ環基)を表す。Tは、芳香族環が3環以上7環以下縮合して得られる基であり、芳香族性を示す。上記芳香族環としては、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環)、および、芳香族複素環(例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、セレノフェン環、イミダゾール環)が例示される。
Tは、3〜7環であり、4〜6環であることが好ましく、5または6環であることがより好ましい。
また、Tが有する芳香族環の少なくとも1つが、芳香族複素環であることが好ましく、ヘテロ原子として硫黄原子、窒素原子、セレン原子、および、酸素原子よりなる群から選択された少なくとも1種の原子を含むことがより好ましい。キャリア移動度の観点から、2〜6つの環が上記ヘテロ原子を含むことがより好ましく、2〜4つの環が上記ヘテロ原子を含むことがさらに好ましい。
また、キャリア移動度の観点から、上記芳香族複素環は、1個のヘテロ原子を有することが好ましい。
また、Tは、キャリア移動度の観点から、フラン環構造、チオフェン環構造およびセレノフェン環構造よりなる群から選択される構造を少なくとも1つ有することが好ましく、チオフェン環構造および/またはセレノフェン環構造を少なくとも有することがより好ましく、チオフェン環構造を少なくとも有することがさらに好ましく、Tが有する複素環構造が全てチオフェン環構造であることが特に好ましい。
一般式(A−1)で表される化合物中には、Tで表される基が含まれるが、この基が主成分として含まれることが好ましい。ここで主成分とは、Tで表される基(以後、適宜「縮合多環芳香族基」とも称する)の分子量の含有量が、一般式(A−1)で表される化合物の全分子量に対して、30%以上であることを意図し、40%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、溶解性の点から、80%以下であることが好ましい。
一般式(A−1)中、Tは芳香族複素環および/またはベンゼン環が直線状(一直線状およびジグザグ状を含む)に縮環した構造であることが好ましく、Tは3〜7環の縮環構造を有するアセン、フェナセン、または、ヘテロアセン構造を含むことがより好ましい。ここで、アセンとは、ベンゼン環が互いのなす角が180°となるように直線状に縮環したものであり、具体的には、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン等が例示される。また、フェナセンとは、ベンゼン環がジグザグ状に縮環したものであり、具体的にはフェナントレン、クリセン、ピセン等が例示される。さらに、ヘテロアセンとは、アセンまたはフェンのベンゼン環の一部が芳香族ヘテロ環(例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環等)に置換されたものを意味する。フェンとは、ベンゼン環がジグザグ状を含む様式で縮環したものであり、全てがジグザグ状のフェナセンもこの中に含まれる。フェンに含まれ、フェナセンに含まれないものとして具体的には、ベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[c]フェナントレン、ジベンゾ[a、h]アントラセン、ジベンゾ[a、j]アントラセン、ジベンゾ[c、g]フェナントレン、ペンタフェン等が例示される。
一般式(A−1)で表される有機半導体化合物は、有機半導体母核であるTが、芳香族複素環および/またはベンゼン環が直線状に縮環した構造である、ヘテロアセン骨格を含むことが好ましく、チオフェン環および/またはベンゼン環が直線状に縮環した構造である、チエノアセン構造であることがより好ましく、縮環数3〜7環のチエノアセン構造であることがさらに好ましい。上記態様であると、より高いキャリア移動度の有機半導体膜が得られる。
また、上記縮合多環芳香族基としては、キャリア移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中のチオフェン環の数は、2〜7つが好ましく、3〜7つがより好ましく、3〜5つがさらに好ましい。
また、上記Tが有する縮環構造を有する芳香族炭化水素基または複素芳香族基は、置換基を有していてもよい。
置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む。)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といってもよい。)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基(トリアルキルシリル基等)、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の置換基が挙げられる。また、置換基がさらに置換基により置換されていてもよい。
これらの中でも、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基が好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の置換または無置換のアルキル基、炭素数1または2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換または無置換のメチルチオ基、フェニル基がより好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の置換または無置換のアルキル基、炭素数1または2の置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換のメチルチオ基が特に好ましい。
一般式(A−1)中のTで表される有機半導体母核の具体例としては、下記に示す縮合多環芳香族基が好ましく挙げられる。また、これら縮合多環芳香族基は、上記−La1−C2m+1およびLa2−C2n+1以外に上記置換基が結合していてもよい(言い換えると、縮合多環芳香族基の芳香環および/または芳香族複素環上に上記置換基が結合していてもよい)。
なお、上記具体例のうち、チオフェン環が縮環した構造、並びに、チオフェン環およびベンゼン環が縮環した構造のものは、チエノアセン構造である。
一般式(A−1)中、La1およびLa2はそれぞれ独立に、単結合、フェニレン基またはチエニレン基を表す。ここで、チエニレン基とは、チオフェンから2つの水素原子を除いた基である。フェニレン基は、T、および、アルキレン基とパラ位で結合していることが好ましい。また、チエニレン基は、T、および、アルキレン基と2位および5位で結合していることが好ましい。
一般式(A−1)中、mおよびnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を表す。2〜16の整数であることが好ましく、3〜12の整数であることがより好ましい。
一般式(A−1)中、m≠nである(すなわち、C2m+1と、C2n+1は、炭素数の異なる(鎖長の異なる)アルキル基である)ことが好ましい。一般式(A−1)においてm≠nとする場合には、mとnとの差の絶対値である、|m−n|は、1以上6以下であることが好ましく、1以上4以下であることがより好ましく、1以上3以下であることがさらに好ましく、1または2であることが特に好ましく、1であることが最も好ましい。|m−n|が上記範囲内であると、キャリア移動度により優れるので好ましい。
一般式(A−1)で表される有機半導体化合物は、下記式(A−2)で表される化合物であることが好ましい。
式(A−2)中、環A〜環Eはそれぞれ独立に、ベンゼン環または芳香族ヘテロ環を表し、La1およびLa2はそれぞれ独立に、単結合、フェニレン基またはチエニレン基を表し、xは0〜3の整数を表し、mおよびnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を表す。
式(A−2)中、環A〜環Eはそれぞれ独立に、ベンゼン環またはチオフェン環を表す。環A〜環Eのうち、2〜4個がチオフェン環であることが好ましい。
xは0〜3の整数を表す。すなわち、環A〜環Eは、4環の縮環構造〜7環の縮環構造を有する。xは1〜3であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。xが上記範囲内であると、よりキャリア移動度に優れる。
式(A−2)において、La1−C2m+1は、A環〜E環で構成される縮合多環芳香族基の末端のA環に置換している。また、他方の末端に存在するE環に、−La2−C2n+1が置換している。
式(A−2)中、環A〜環Eで構成される縮合多環芳香族基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基、または、フッ素原子が挙げられる。なお、アルキル基を有する場合には、環Aおよび環E以外に置換している。アルキル基は、直鎖状、分岐状、または、環状のいずれでもよく、直鎖状であることが好ましく、炭素数1〜20であることが好ましく、炭素数1〜12であることがより好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましい。アルケニル基は、炭素数2〜20であることが好ましく、炭素数2〜12であることがより好ましく、炭素数2〜8であることがさらに好ましい。アルキニル基は、炭素数2〜20であることが好ましく、炭素数2〜12であることがより好ましく、炭素数2〜8であることがさらに好ましい。アルケニル基およびアルキニル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、直鎖状であることが好ましい。芳香族炭化水素基は、炭素数6〜30であることが好ましく、炭素数6〜20であることがより好ましく、炭素数6〜10であることがさらに好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、ヘテロ原子として硫黄原子、酸素原子、窒素原子、および、セレン原子よりなる群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ有することが好ましく、硫黄原子、窒素原子または酸素原子よりなる群から選択されたヘテロ原子を有することがより好ましい。ヘテロ環基は、単環または多環であってもよく、5員環〜30員環であることが好ましく、5員環〜20員環であることがより好ましく、5員環〜10員環であることがさらに好ましい。
式(A−2)で表される有機半導体化合物は、環Aおよび環Eがチオフェン環であるか、および/または、La1またはLa2がチエニレン環であることが好ましい。すなわち、アルキル基が、チオフェン環に置換していることが好ましい。
式(A−2)において、環A〜環Eで形成される縮環構造の対称性が、C、C2v、または、C2hであることが好ましい。対称性がC、C2v、または、C2hであると、規則正しい結晶構造をとりやすく、高キャリア移動度を発現しやすいためである。
なお、縮環構造の対称性については、『分子の対称と群論』(中崎昌雄著、東京化学同人)の記載が参酌される。
式(A−2)において、mおよびnはそれぞれ独立に1〜20の整数を表す。式(A−2)においては、一般式(A−1)と同様の理由から、m≠nであることが好ましい。
mおよびn、並びに、|m−n|の好ましい範囲は、一般式(A−1)におけるmおよびn、並びに、|m−n|の好ましい範囲と同様である。
以下に、一般式(A−1)で表される有機半導体化合物を例示するが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。
一般式(A−1)で表される有機半導体化合物の分子量は、特に制限されないが、分子量が1,500以下であることが好ましく、1,000以下であることがより好ましく、800以下であることがさらに好ましい。分子量を上記上限値以下とすることにより、溶媒への溶解性を高めることができる。一方で、薄膜の膜質安定性の観点からは、分子量は400以上であることが好ましく、450以上であることがより好ましく、500以上であることがさらに好ましい。
上記有機半導体化合物は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記有機半導体化合物以外の有機半導体化合物と併用してもよい。
一般式(A−1)で表される有機半導体化合物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を参照して合成できる。具体的には、特開2011−32268号公報、特開2009−54810号公報、特表2011−526588号公報、特開2012−209329号公報、ScientificReport,2014,4,5048.、特表201
3−540697号公報、特開2009−218333号公報、米国特許出願公開第2008/0142792号明細書、国際公開第2014/156773号、国際公開第2010/098372号、Adv.Mater.,2014,26,4546.、特開2010−6794号公報に記載の方法が参照される。
本発明の有機半導体膜形成用組成物における、一般式(A−1)で表される有機半導体化合物の含有量は、固形分総量の5〜98質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、20〜80質量%であることがさらに好ましい。また、後述するバインダーポリマーを除く固形分総量に対する一般式(A−1)で表される有機半導体化合物の含有量は、80〜99質量%であることが好ましく、85〜98質量%であることがより好ましい。
本発明の有機半導体膜形成用組成物における有機半導体化合物(好ましくは、一般式(A−1)で表される有機半導体化合物)の含有量は、有機半導体膜形成用組成物全質量に対して、0.3質量%以上15質量%未満であることが好ましい。有機半導体化合物(好ましくは、一般式(A−1)で表される有機半導体化合物)の含有量が0.3質量%以上であると、高いキャリア移動度の有機半導体膜および有機半導体素子が得られる。一方、有機半導体化合物(好ましくは、一般式(A−1)で表される有機半導体化合物)の含有量が15質量%未満であると、有機半導体膜形成用組成物をインクジェット印刷用および/またはフレキソ印刷用として好適に使用できる。
有機半導体膜形成用組成物における有機半導体化合物(好ましくは、一般式(A−1)で表される有機半導体化合物)の含有量は、有機半導体膜形成用組成物全質量に対して、0.5〜10質量%であることがより好ましい。
なお、本発明の有機半導体膜形成用組成物は、一般式(A−1)に該当しない有機半導体化合物を含有する場合には、有機半導体化合物の総含有量に対して、一般式(A−1)で表される有機半導体化合物の含有量が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
また、本発明の有機半導体膜形成用組成物が含有する有機半導体化合物の全量が一般式(A−1)で表される有機半導体化合物であることが特に好ましい。
<特定シルセスキオキサン化合物>
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、特定シルセスキオキサン化合物を含有する。特定シルセスキオキサン化合物とは、上述した通り、シルセスキオキサン構造を含む化合物のことをいう。
シルセスキオキサン構造としては、かご型、はしご型など、いずれの構造であってもよいが、連続駆動安定性がより向上するという観点から、かご型であることが好ましい。ここで「かご型シルセスキオキサン」とは、シリカの立方体構造を中心として、各頂点に有機官能基を持つ化合物を指す。
特定シルセスキオキサン化合物の含有量は、有機半導体膜形成用組成物の全質量100質量%に対して、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01質量%超0.3質量%未満であることがより好ましい。特定シルセスキオキサン化合物の含有量が0.01質量%以上であることで、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度がより優れたものとなる。特定シルセスキオキサン化合物の含有量が1質量%以下であることで、有機薄膜トランジスタの連続駆動安定性がより優れたものとなる。
なお、シルセスキオキサン構造とは、各ケイ素原子が3個の酸素原子と結合し、各酸素原子が2個のケイ素原子と結合している構造(珪素原子数に対する酸素原子数が1.5)であり、より具体的には、一般式(S)で表される構造である。
[R−Si−O3/2 ・・・(S)
一般式(S)中、Rは、置換基を表す。複数のRは、同一でも異なっていてもよい。
Rを表す置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロアリール基を含む。)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、
ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の置換基が挙げられる。また、置換基がさらに置換基により置換されていてもよい。
ここで、本明細書における「アルキル基」には、特に断りの無い限り、直鎖、分岐および環状のいずれも含むものとする。なお、環状のアルキル基としては、例えば、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基などが挙げられる。
一般式(S)中のRは、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度をより向上できるという観点から、下記一般式(S−1)で表される基であることが好ましい。
−R−* ・・・(S−1)
一般式(S−1)において、Rは、ハロゲン原子、シアノ基、メルカプト基、PR 基、アミノ基、−SiR 、アリール基、または、アルキル基を表す。Rは、アリール基を表す。Rは、アルキル基またはハロゲン原子を表す。複数のR、複数のR、および、複数のRはそれぞれ、互いに同一でも異なっていてもよい。
は、単結合、−COO−、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−SO−、−O−、−SiR −もしくは−NH−、または、これらを組み合わせた基を表す。Rは、アルキル基またはハロゲン原子を表す。複数のR、および、複数のRはそれぞれ、互いに同一でも異なっていてもよい。
*は、一般式(S)におけるSi原子との結合位置を示す。
一般式(S−1)中のRがハロゲン原子であるとき、このハロゲン原子としては、F、Cl、Br、I等が挙げられる。なお、Rがハロゲン原子となるときは、Rは単結合、−COO−、−SO−または−NH−との組み合わせとなることはない。
一般式(S−1)中のRが−PR (Rはアリール基)であるときのRとしては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜16のアリール基がより好ましく、炭素数6〜10のアリール基が特に好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。なお、Rが−PR (Rはアリール基)であるとき、Rは単結合、−COO−、−SO−またはNH−との組み合わせとなることはない。
一般式(S−1)中のRが−SiR (Rがアルキル基である場合)であるときのRとしては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基が特に好ましい。上記アルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。上記アルキル基の具体例としては、メチル基等が挙げられる。複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(S−1)中のRがアミノ基であるとき、このアミノ基としては、1級アミノ基、2級アミノ基または3級アミノ基のいずれでもよく、例えば、−NH、−NHRまたはNR(Rは置換基)等で表される。アミノ基のRで表される置換基はそれぞれ異なっていてもよく、例えば炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)、炭素数6〜20のアリール基(好ましくはフェニル基)等が挙げられる。アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。なお、Rがアミノ基であるとき、Rは単結合、−COO−、−SO−または−NH−との組み合わせとなることはない。
一般式(S−1)中のRがアリール基であるとき、このアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜16のアリール基がより好ましく、炭素数6〜10のアリール基が特に好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が特に好ましい。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
一般式(S−1)中のRがアルキル基であるとき、このアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数3〜8のアルキル基が特に好ましい。アルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよいが、鎖状(直鎖構造および分岐構造)であることが好ましく、特に鎖状の炭素数3〜8のアルキル基が好ましい。鎖状または環状のアルキル基中に、エポキシ基を含んでいてもよい。なお、エポキシ基を含む場合にエポキシ基を構成する2つの炭素は、前述の炭素数の数に含めるものとする。アルキル基の具体例としては、3,4−エポキシ−シクロへキシル基、グリシジル基、メチル基、エチル基、イソブチル基、イソオクチル基、t−ブチル基等が挙げられ、イソブチル基、イソオクチル基が特に好ましい。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
一般式(S−1)中のRとしては、アリール基、アルキル基、チオール基、アミノ基が好ましく、アルキル基またはアリール基がより好ましく、炭素数6〜10のアリール基または炭素数3〜8の鎖状アルキル基が特に好ましい。
一般式(S−1)中のRがアルキレン基であるとき、このアルキレン基としては炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。アルキレン基の具体例としては、メチレン基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
一般式(S−1)中のRがアリーレン基であるとき、このアリーレン基としては、炭素数6〜18であることが好ましく、炭素数6〜14であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが特に好ましい。アリーレン基の具体例としては、フェニレン基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
一般式(S−1)中のRがアルキレンオキシ基(−R−O−、Rはアルキレン基)であるとき、このアルキレンオキシ基は、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がさらに好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。上記アルキレンオキシ基の具体例としては、
エトキシ基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよい。上記アルキレンオキシ基は、**−R−O−および**−O−R−(**は結合位置を表す。)のいずれの方向で、一般式(S−1)中のSiと結合していてもよい。
一般式(S−1)中のRが−SiR −(Rはアルキル基)であるときのRとしては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がさらに好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基等が挙げられる。これらの基は置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
一般式(S−1)中のRとしては、単結合、アルキレン基、アリーレン基が好ましく、単結合がさらに好ましい。
一般式(S−1)において、Rがチオール基、−PR 基、−SiR 基、アルキル基はたまアリール基であり、Rがアルキレン基、アルキレンオキシ基、−O−、または単結合である組み合わせが好ましく、Rが−SiR 基、アルキル基またはアリール基であり、Rが単結合または−O−である組み合わせがより好ましく、Rがアルキル基またはアリール基であり、Rが単結合である組み合わせが特に好ましい。すなわち、上記一般式(S)のRが、アルキル基またはアリール基であることが特に好ましい。
一般式(S)中のnは、繰り返し単位数を表す。繰り返し単位数は特に制限されないが、6〜12の整数が好ましく、8、10または12であることがより好ましく、8であることがさらに好ましい。
一般式(S)中のnが8である場合において、一般式(S)で表されるシルセスキオキサン構造としては、下記式(S−2)で表される構造であることが好ましい。
上記一般式(S−2)中、RおよびRはそれぞれ、一般式(S−1)のRおよびRの定義と同じであり、好ましい態様も同じである。
なお、上記式(S−2)で表される構造が官能基として含まれる場合、式(S−2)で表される構造中のいずれか一つの水素原子を除いた基(残基)が化合物に含まれていてもよい。
上記一般式(S)で表されるシルセスキオキサン構造の具体例を以下に示す。
本発明の特定シルセスキオキサン化合物は、重合体であってもよいし、非重合体であってもよい。
非重合体である特定シルセスキオキサン化合物は、重合体である特定シルセスキオキサン化合物(後述)以外の化合物のことをいい、好ましくはその分子量が3000未満である。
非重合体である特定シルセスキオキサン化合物の分子量は、3000未満であることが好ましいが、300以上3000未満であることがより好ましく、300〜2500であることがさらに好ましく、600〜2000であることが特に好ましく、800〜1400であることが最も好ましい。
非重合体である特定シルセスキオキサン化合物としては、上述した一般式(S)で表されるシルセスキオキサン構造からなる化合物、すなわち、上述した一般式(S)で表されるシルセスキオキサン構造そのものを用いることができる。
重合体である特定シルセスキオキサン化合物は、上記シルセスキオキサン構造を備えた基を有する重合体(ポリマー)である。
ここで、重合体(ポリマー)とは、所定の繰り返し単位を有する高分子化合物のことをいい、好ましくはその重量平均分子量が3000以上である。
なお、上記シルセスキオキサン構造を備えた基には、上述した一般式(S)で表されるシルセスキオキサン構造に含まれる原子(例えば、水素原子)の一部を除いた残基(例えば、一般式(S)のR基を1つ除いくことにより構成される1価の基や、R基を構成する原子の少なくとも1つを除くことにより構成される1価の基)も含まれる。
重合体である特定シルセスキオキサン化合物の重量平均分子量(Mw)は、3000以上であることが好ましく、1万以上であることがより好ましく、4万以上であることが特に好ましい。特に、重量平均分子量が1万以上であると、有機半導体膜の表面において重合体である特定シルセスキオキサン化合物のブリードがより抑制され、有機薄膜トランジスタの連続駆動安定性がより優れたものとなる。
また、重合体である特定シルセスキオキサン化合物の重量平均分子量の上限値は、これに限定されるものではないが、100万以下であることが好ましく、50万以下であることがより好ましい。100万以下であることで、重合体である特定シルセスキオキサン化合物の有機半導体膜形成用組成物中での溶解性が向上して、有機半導体膜形成用組成物の取り扱い性が優れたものとなる。
本発明における各成分の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法で測定された標準ポリスチレン換算値により求められる。具体的には、重量平均分子量および数平均分子量のGPC法による測定は、各成分をTHF(Tetrahydrofuran)に溶解させ、高速GPC(HLC−8220GPC、東ソー社製)を用い、カラムとして、TSKgel SuperHZ4000(TOSOH製、4.6mmI.D.×15cm)を用い、溶離液としてTHFを用いて行うことができる。
重合体である特定シルセスキオキサン化合物を構成し得る繰り返し単位、すなわち主鎖構造としては、例えば、スチレン、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、エステル、ウレタンおよびウレア構造を有する繰り返し単位を用いることができる。これらの中でも、アクリレート繰り返し単位、メタクリレート繰り返し単位、および、ウレタン繰り返し単位(−NHCOO−)からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を含む概念であり、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミドおよびメタクリルアミドの両方を含む概念である。
スチレン繰り返し単位を形成することができる単量体としては、例えば、スチレン、p−メトキシスチレン等が挙げられる。
(メタ)アクリレート繰り返し単位を形成することができる単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド繰り返し単位を形成することができる単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、p−スルファモイルフェニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
エステル繰り返し単位を形成することができる多価カルボン酸単量体としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
ウレタン繰り返し単位を形成することができるジオール単量体としては、例えば、アルキレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ダイセル化学社製のプラクセルシリーズ(プラクセル205U)等のポリカプロラクトンジオール、宇部興産社製のETERNACOLLシリーズ(UH,UMシリーズ)等のポリカーボネートジオール、和光純薬社製のPPGシリーズ(PPG300、PPG700、PPG1000)等のポリプロピレンジオール等が挙げられる。
ウレタン繰り返し単位を形成することができるジイソシアナート単量体としては、例えば下記構造の単量体が挙げられる。
重合体である特定シルセスキオキサン化合物としては、所定の繰り返し単位(主鎖)の側鎖として上記シルセスキオキサン構造を備えた基を有する態様(以下、「態様(i)」ともいう。)、所定の繰り返し単位(主鎖)の末端に上記シルセスキオキサン構造を備えた基を有する態様(以下、「態様(ii)」ともいう。)、所定の繰り返し単位(主鎖)の側鎖として上記シルセスキオキサン構造を備えた基を有し、かつ、所定の繰り返し単位(主鎖)の末端に上記シルセスキオキサン構造を備えた基を有する態様(以下、「態様(iii)」ともいう。)が挙げられる。
重合体である特定シルセスキオキサン化合物は、連続駆動安定性がより向上するという観点から、上記シルセスキオキサン構造を備えた基を側鎖に備えた繰り返し単位Xを有することが好ましい(例えば、上記態様(i)および(iii))。
上記繰り返し単位Xの含有量は特に制限されないが、重合体である特定シルセスキオキサン化合物を構成する全繰り返し単位100モル%に対して、10モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、40〜90モル%であることがさらに好ましく、40〜80モル%であることが特に好ましい。特に、繰り返し単位Xの含有量が40モル%以上であることで、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度がより優れたものになる。また、繰り返し単位Xの含有量が90モル%以下であることで、重合体である特定シルセスキオキサン化合物の有機半導体膜形成用組成物中での溶解性が向上し、有機半導体膜形成用組成物の取り扱い性が優れたものとなる。
以下、上記態様(i)〜(iii)毎に好ましい構造について詳細に説明する。
(態様(i))
態様(i)は、所定の繰り返し単位(主鎖)の側鎖として上記シルセスキオキサン構造を備えた基を有する態様である。
態様(i)における所定の繰り返し単位、すなわち主鎖構造としては、アクリレート繰り返し単位、メタクリレート繰り返し単位、および、ウレタン繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
ウレタン繰り返し単位は、下記式(s−1)で表される構造(ジオール単量体に由来する構造)と、下記式(s−2)で表される構造(ジイソシアナート単量体に由来する構造)と、が交互に結合した構造を有することが好ましい。
上記一般式(s−1)中、Xは、炭素数1〜10の炭化水素から水素原子を4つ除いた残基である。
は、水素原子またはアルキル基を表す。
は、−O−、−SiRe 2−(Reはアルキル基)およびアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基、または、単結合を表す。
T’は、上記一般式(S)で表される構造を含む1価の基を表す。
上記一般式(s−1)中、Xは、炭素数1〜10の炭化水素から水素原子を4つ除いた残基を表す。炭素数1〜10の炭化水素は、直鎖構造であっても、分岐構造であっても、環状構造であってもよい。炭素数1〜10の炭化水素は、−O−結合を含んでいてもよい。炭化水素は、炭素数2〜6が好ましく、3〜9が特に好ましい。具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロヘキサン等のアルカンから水素原子を2個除いた残基が挙げられる。
上記一般式(s−1)中のRは、水素原子またはアルキル基を表し、水素原子が好ましい。
上記一般式(s−1)中のRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。アルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよいが、直鎖構造または環状構造が好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
上記一般式(s−1)中のWは、−O−、−SiRe 2−(Reはアルキル基)およびアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基、または、単結合を表し、−SiRe 2−と−O−とが組み合わされた基、アルキレン基と−O−とが組み合わされた基、または、単結合が好ましい。
上記一般式(s−1)中のWにおける−SiRe 2−(Reはアルキル基)中のRe 2としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。アルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
上記一般式(s−1)中のWにおけるアルキレン基としては、炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜16であり、特に好ましくは炭素数1〜12である。アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。
上記一般式(s−1)中、T’は、上記一般式(S)で表される構造を含む1価の基を表すが、下記一般式(T)で表される基であることが好ましい。
上記一般式(T)中、RおよびRはそれぞれ、一般式(S−1)のRおよびRの定義と同じであり、好ましい態様も同じである。*は、一般式(s−1)のWとの結合位置を示す。
上記一般式(s−1)の具体例を以下に示す。
次に、下記一般式(s−2)で表される構造(ジイソシアナート単量体に由来する構造)について説明する。
上記一般式(s−2)中、RX’は、アルキレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表す。
上記一般式(s−2)中、RX’として表されるアルキレン基としては、炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜16であり、特に好ましくは炭素数1〜12である。アルキレン基は、直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよいが、シクロアルキレン基が好ましい。具体的には、メチレン基、シクロプロピレン基、シクロへキシレン基等を表し、シクロへキシレン基であることが特に好ましい。
上記一般式(s−2)中、RX’として表されるアリーレン基としては、炭素数6〜15のアリーレン基であることが好ましく、具体的にはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などが挙げられる。
上記一般式(s−2)中、RX’としては、アルキレン基またはアリーレン基が組み合わされていてもよい。好ましい基の組み合わせとしては、炭素数1〜12のアルキレン基と炭素数6〜15のアリーレン基の組み合わせが好ましい。具体的には、例えば、下記の基(*は結合位置を表す。)が挙げられる。
式(s−2)中のRX’は、置換基を有していても置換基を有していなくてもよい。
上記一般式(s−2)の具体例を以下に示す。
態様(i)において、重合体である特定シルセスキオキサン化合物がウレタン繰り返し単位を含む場合、上記式(s−1)で表される構造(繰り返し単位)の含有量は、重合体である特定シルセスキオキサン化合物を構成する全繰り返し単位100モル%に対して、10モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、40〜90モル%であることがさらに好ましく、40〜80モル%以上であることが特に好ましい。
重合体である特定シルセスキオキサン化合物がウレタン繰り返し単位を含む場合、上記式(s−2)で表される構造(繰り返し単位)の含有量は、重合体である特定シルセスキオキサン化合物を構成する全繰り返し単位100モル%に対して、10モル%以上であることが好ましく、10〜60モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることが特に好ましい。
次に、アクリレート繰り返し単位およびメタクリレート繰り返し単位について説明する。
アクリレート繰り返し単位およびメタクリレート繰り返し単位は、下記式(s−3)で表される構造を含んでいることが好ましい。
上記一般式(s−3)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
は、2価の連結基(好ましくは、−SiRe 2−(Reはアルキル基)およびアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基)、または、単結合を表す。
T’は、上記一般式(S)で表される構造を含む1価の基を表す。
上記一般式(s−3)中のWは、2価の連結基(好ましくは、−SiRe 2−(Reはアルキル基)およびアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基)、または、単結合を表し、アルキレン基が好ましい。
上記一般式(s−3)中のWにおける−SiRe 2−(Reはアルキル基)中のRe 2としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。アルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
上記一般式(s−3)中のWにおけるアルキレン基としては、炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜16であり、特に好ましくは炭素数1〜12である。アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。
上記一般式(s−3)中のT’は、上記一般式(s−1)におけるT’の定義と同一であり、好ましい態様も同じである。
上記一般式(s−3)の具体例を以下に示す。
態様(i)において、重合体である特定シルセスキオキサン化合物が(メタ)アクリレート繰り返し単位を含む場合、上記式(s−3)で表される構造(繰り返し単位)の含有量は、重合体である特定シルセスキオキサン化合物を構成する全繰り返し単位100モル%に対して、40モル%以上であることが好ましく、40〜90モル%であることがより好ましく、40〜80モル%以上であることが特に好ましい。
態様(i)における重合体である特定シルセスキオキサン化合物は、例えば、上述の各単量体を連鎖重合反応または重縮合反応等の公知の重縮合反応を行うことにより合成することができる。
例えば、(メタ)アクリレート繰り返し単位を有し、かつ、シルセスキオキサン構造を備えた基を側鎖に有する重合体の合成方法としては、シルセスキオキサン構造を含み、かつラジカル重合性基を有する単量体と、上述の(メタ)アクリレート繰り返し単位を与える単量体とを共重合することにより合成することができる。
(態様(ii))
態様(ii)は、所定の繰り返し単位(主鎖)の末端に上記シルセスキオキサン構造を備えた基を有する態様である。
態様(ii)における所定の繰り返し単位、すなわち主鎖構造としては、アクリレート繰り返し単位、メタクリレート繰り返し単位、および、ウレタン繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
態様(ii)においては、上記シルセスキオキサン構造を備えた基が、主鎖構造の末端のうち、少なくとも一端に含まれていればよいが、両末端に含まれていることが好ましい。また、主鎖構造の末端が分岐している場合には、末端の分岐部分のそれぞれにシルセスキオキサン構造を備えた基が導入されていてもよい。
末端に含まれる上記シルセスキオキサン構造を備えた基の定義や好ましい態様については、上記一般式(s−1)におけるT’と同様である。
態様(ii)においては、さらに上述した一般式(s−2)で表される構造を含んでいてもよい。この場合には、一般式(s−2)で表される構造(繰り返し単位)の含有量は、重合体である特定シルセスキオキサン化合物を構成する全繰り返し単位100モル%に対して、10〜90モル%であることが好ましく、15〜90モル%であることがより好ましい。
態様(ii)における重合体である特定シルセスキオキサン化合物は、例えば、ウレタン、(メタ)アクリレート、エステル等の公知の重縮合、または重付加反応により合成される重合体を、活性水素基を有するビニルエーテル化合物等で停止反応を行うことにより前駆体を合成し、さらに前駆体にチオール基、アミノ基などを有するシルセスキオキサン化合物を付加反応させることで合成することができる。
(態様(iii))
態様(iii)は、所定の繰り返し単位(主鎖)の側鎖として上記シルセスキオキサン構造を備えた基を有し、かつ、所定の繰り返し単位(主鎖)の末端に上記シルセスキオキサン構造を備えた基を有する態様である。
態様(iii)における所定の繰り返し単位、すなわち主鎖構造としては、アクリレート繰り返し単位、メタクリレート繰り返し単位、および、ウレタン繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
態様(iii)においては、上記態様(i)に加えて、アセタール結合を主鎖末端に有する基の末端部に上記シルセスキオキサン構造を備えた基を有することが好ましい。
より具体的には、主鎖構造として一般式(s−1)または一般式(s−3)の構造を有し、かつ、主鎖末端構造として上記一般式(T)で表される基を有することが好ましい。
態様(iii)において、重合体である特定シルセスキオキサン化合物がウレタン繰り返し単位を含む場合、上記式(s−1)で表される構造(繰り返し単位)の含有量の好ましい値(モル%)については、上記態様(i)と同様である。
態様(iii)において、重合体である特定シルセスキオキサン化合物が(メタ)アクリレート繰り返し単位を含む場合、上記式(s−3)で表される構造(繰り返し単位)の含有量の好ましい値(モル%)については、上記態様(i)と同様である。
態様(iii)における重合体である特定シルセスキオキサン化合物は、例えば、上記態様(i)における合成方法と、上記態様(ii)における合成方法と、を組み合わせて合成できる。
<溶媒>
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、溶媒を含有することが好ましい。溶媒としては、沸点が150℃以上であり、SP(Solubility Parameter)値が17以上23以下である溶媒(以下「特定溶媒」と称する)を使用することが好ましい。
特定溶媒は、沸点が150℃以上である。沸点が150℃以上であると、有機半導体膜形成用組成物の保存安定性に優れ、また、インクジェット印刷用および/またはフレキソ印刷用として好適に使用できる。
キャリア移動度をより高め、さらに連続駆動安定性をより優れたものとする観点から、特定溶媒の沸点は160℃以上であることが好ましく、165℃以上であることがより好ましく、175℃以上であることがより一層好ましく、200℃以上であることがさらに好ましく、220℃以上であることが特に好ましく、230℃以上であることが最も好ましい。また、溶媒を除去する観点から、特定溶媒の沸点は、300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることが特に好ましい。
なお、沸点(℃)は、1気圧下でのものを意図する。
特定溶媒のSP値(MPa1/2)は、17以上23以下である。SP値が上記範囲内であると、有機半導体化合物の溶解性に優れる。
特定溶媒のSP値は、18.5〜22.5であることが好ましく、19〜22であることがより好ましく、20〜22であることがさらに好ましい。
本発明において、「SP値」とは、「溶解度パラメータの値」を意味する。本発明でいうSP値とは、ハンセン溶解度パラメータ:A User’s Handbook, Second Edition, C.M.Hansen (2007), Taylor and Francis Group, LLC (HSPiPマニュアル)で解説された式によるハンセン溶解度パラメータであり、「実践ハンセン溶解度パラメーターHSPiP第3版」(ソフトウエアーバージョン4.0.05)を用いて、下記式にてSP値を算出した値を用いている。
(SP値)=(δHd)+(δHp)+(δHh)
Hd :分散寄与
Hp :極性寄与
Hh :水素結合寄与
特定溶媒は、芳香族溶媒であることが好ましい。芳香族溶媒は、芳香族炭化水素溶媒であってもよく、また、複素原子を有する複素芳香族溶媒であってもよい。特定溶媒が芳香族溶媒であると、有機半導体化合物の溶解性に優れるので好ましい。
特定溶媒の好適態様の一つとしては、沸点が200℃以上、かつ、SP値が20以上である溶媒が挙げられる。
本発明において、特定溶媒として用いることができる溶媒を、沸点、SP値と共に以下に示す。
特定溶媒としては、例えば、テトラリン(沸点:208℃、SP値:19.6)、1−メチルナフタレン(沸点:241℃、SP値:20.0)、1,2−ジクロロベンゼン(沸点:181℃、SP値:20.1)、1−フルオロナフタレン(沸点:212℃、SP値:20.3)、2,5−ジクロロチオフェン(沸点:162℃、SP値:20.7)、2,5−ジブロモチオフェン(沸点:211℃、SP値:22.0)、アミルベンゼン((沸点:205℃、SP値:17.5)、2−メチルベンゾチアゾール(沸点:238℃、SP値:21.1)、1−クロロナフタレン(沸点:259℃、SP値:20.8)等が挙げられる。
これらの中でも、テトラリン、アミルベンゼン、1−メチルナフタレン、2−メチルベンゾチアゾール、1−クロロナフタレンが好ましく、1−メチルナフタレン、2−メチルベンゾチアゾールがより好ましく、1−メチルナフタレンが特に好ましい。
特定溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
特定溶媒は、有機半導体膜形成用組成物における有機半導体化合物の含有量、および、後述する全固形分量が所望の範囲となるように、適宜添加すればよい。
なお、本発明において、有機半導体膜形成用組成物は、溶媒として特定溶媒以外の溶媒を含有する場合には、溶媒の総含有量を100質量部としたとき、特定溶媒の含有量が50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることがさらに好ましく、有機半導体膜形成用組成物が含有する溶媒の全てが特定溶媒であることが特に好ましい。
<バインダーポリマー>
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、バインダーポリマーを含有することが好ましい。本発明の有機半導体膜形成用組成物がバインダーポリマーを含有する場合には、本発明の有機半導体膜形成用組成物を用いて成膜された有機半導体膜は、上記有機半導体化合物を含有する層と、バインダーポリマーを含む層とが形成されているものと推測される。
バインダーポリマーの重量平均分子量は、キャリア移動度をより高め、さらに連続駆動安定性をより優れたものとする観点から、50万以上であることが好ましく、100万以上であることがより好ましく、100万〜2000万がさらに好ましく、100万〜1000万が特に好ましく、100万〜600万が最も好ましい。
また、上記バインダーポリマーは、後述する有機溶媒への溶解度が、上記有機半導体化合物よりも高いことが好ましい。上記態様であると、得られる有機半導体膜および有機半導体素子のキャリア移動度および熱安定性により優れる。
なお、上記重量平均分子量の測定方法は、上述した重合体である特定シルセスキオキサン化合物の重量平均分子量の測定方法と同じである。
バインダーポリマーの種類は特に制限されず、公知のポリマーを用いることができる。
バインダーポリマーとしては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどの絶縁性ポリマー、およびこれらの共重合体、エチレン−プロピレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化されたニトリルゴム、フッ素ゴム、パーフルオロエラストマー、テトラフルオロエチレンプロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、ポリクロロプレン、ポリネオプレン、ブチルゴム、メチル−フェニルシリコーン樹脂、メチル−フェニルビニル−シリコーン樹脂、メチル−ビニル−シリコーン樹脂、フルオロシリコーン樹脂、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、クロロポリエチレン、エピクロロヒドリン共重合体、ポリイソプレン−天然ゴム共重合体、ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、ポリエステルウレタン共重合体、ポリエーテルウレタン共重合体、ポリエーテルエステル熱可塑性エラストマーおよびポリブタジエンゴム等のゴムまたは熱可塑性エラストマー、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどの光伝導性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンおよびポリパラフェニレンビニレンなどの導電性ポリマー、ならびに、例えばChemistry of Materials,2014,26,647.等に記載の半導体ポリマーを挙げることができる。
バインダーポリマーは、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
中でも、バインダーポリマーとしては、ベンゼン環を有する高分子化合物(ベンゼン環基を有する単量体単位を有する高分子)が好ましい。ベンゼン環基を有する単量体単位の含有量は特に制限されないが、全単量体単位中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、100モル%が挙げられる。
上記バインダーポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリビニルシンナメート、ポリ(4−ビニルフェニル)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン]、ポリ[2,6−(4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−4Hシクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン)−アルト−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)]などが挙げられ、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)が特に好ましく、ポリ(α−メチルスチレン)が最も好ましい。
本発明の有機半導体膜形成用組成物における上記バインダーポリマーの含有量は、有機半導体化合物の含有量100質量部に対し、1〜10000質量部であることが好ましく、10〜1000質量部であることがより好ましく、25〜400質量部であることがさらに好ましく、50〜200質量部であることが最も好ましい。上記範囲内であると、得られる有機半導体膜および有機半導体素子のキャリア移動度および膜の均一性により優れる。
<その他の成分>
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、上述した成分以外に他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、公知の添加剤等を用いることができる。
本発明の有機半導体膜形成用組成物における全固形分濃度は、0.5質量%以上であることが好ましい。なお、固形分とは、溶媒等の揮発性成分を除いた成分の量である。固形分濃度が0.5質量%以上であると、各種印刷法での膜形成性に優れるので好ましい。
有機半導体膜形成用組成物における全固形分濃度は、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましく、3質量%以上であることが特に好ましい。また、その上限は限定されないが、有機半導体化合物の溶解性等の観点から、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると、保存安定性および膜形成性に優れ、得られる有機半導体膜および有機半導体素子のキャリア移動度により優れる。
本発明の有機半導体膜形成用組成物の粘度は、特に制限されないが、各種印刷適性、特に、インクジェット印刷適性およびフレキソ印刷適性がより優れる点で、10mPa・s以上であることが好ましく、10〜100mPa・sが好ましく、10〜50mPa・sがより好ましく、10〜40mPa・sがさらに好ましい。なお、本発明における粘度は、25℃での粘度である。粘度の測定方法としては、JISZ8803に準拠した測定方法であることが好ましい。
[有機半導体膜]
本発明の有機半導体膜(有機半導体層)は、上述した本発明の有機半導体膜形成用組成物を用いて製造(作製)されたものである。また、本発明の有機半導体素子は、この有機半導体膜を用いて製造されたものである。
本発明の有機半導体膜形成用組成物を用いて有機半導体膜や有機半導体素子を製造する方法は、特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、組成物を所定の基材上(例えば、ソース電極、ドレイン電極、および、ゲート絶縁膜上)に付与して、必要に応じて乾燥処理を施して、有機半導体膜を製造する方法が挙げられる。
基材上に組成物を付与する方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法などが挙げられ、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法が好ましい。
なお、フレキソ印刷法としては、フレキソ印刷版として感光性樹脂版を用いる態様が好適に挙げられる。態様によって、組成物を基板上に印刷して、パターンを容易に形成することができる。
中でも、本発明の有機半導体素子の製造方法は、本発明の有機半導体膜形成用組成物を基板上に塗布する塗布工程、を含むことが好ましく、本発明の有機半導体膜形成用組成物を基板上に塗布する塗布工程、および、塗布された組成物から溶媒を除去する除去工程を含むことがより好ましい。
上記除去工程における乾燥処理は、必要に応じて実施される処理であり、使用される化合物および溶媒の種類により適宜最適な条件が選択される。中でも、得られる有機半導体膜および有機半導体素子のキャリア移動度および連続駆動安定性により優れ、また、生産性に優れる点で、加熱温度としては30〜100℃が好ましく、40〜80℃がより好ましく、加熱時間としては10〜300分が好ましく、30〜180分がより好ましい。
形成される有機半導体膜の厚さは、特に制限されないが、得られる有機半導体膜および有機半導体素子のキャリア移動度および連続駆動安定性の観点から、10〜500nmが好ましく、30〜200nmがより好ましい。
[有機半導体素子]
有機半導体素子としては、特に制限はないが、2〜5端子の有機半導体素子であることが好ましく、2または3端子の有機半導体素子であることがより好ましい。
また、有機半導体素子としては、光電変換素子でないことが好ましい。
さらに、本発明の有機半導体素子は、非発光性有機半導体素子であることが好ましい。
2端子素子としては、整流用ダイオード、定電圧ダイオード、PIN(p-intrinsic-n)ダイオード、ショットキーバリアダイオード、サージ保護用ダイオード、ダイアック、バリスタ、トンネルダイオード等が挙げられる。
3端子素子としては、バイポーラトランジスタ、ダーリントントランジスタ、電界効果トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、ユニジャンクショントランジスタ、静電誘導トランジスタ、ゲートターンサイリスタ、トライアック、静電誘導サイリスタ等が挙げられる。
これらの中でも、整流用ダイオード、および、トランジスタ類が好ましく挙げられ、電界効果トランジスタがより好ましく挙げられる。
本発明の有機半導体素子の一態様である有機薄膜トランジスタ(有機TFT)について図面を参照して説明する。
図1に、有機薄膜トランジスタ(有機TFT)の一態様としてボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタの断面模式図を示す。
図1において、有機薄膜トランジスタ100は、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極20と、ゲート電極20を覆うゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30のゲート電極20側とは反対側の表面に接するソース電極40およびドレイン電極42と、ソース電極40とドレイン電極42との間のゲート絶縁膜30の表面を覆う有機半導体膜50と、各部材を覆う封止層60とを備える。すなわち、有機薄膜トランジスタ100は、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタである。
なお、図1においては、有機半導体膜50が、上述した本発明の有機半導体膜形成用組成物より形成される膜に該当する。
以下、基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体膜および封止層並びにそれぞれの形成方法について詳述する。
<基板>
基板は、後述するゲート電極、ソース電極、ドレイン電極などを支持する役割を果たす。
基板の種類は特に制限されず、例えば、プラスチック基板、ガラス基板、セラミック基板などが挙げられる。中でも、各デバイスへの適用性およびコストの観点から、ガラス基板またはプラスチック基板であることが好ましい。
<ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極>
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の材料としては、例えば、金(Au)、銀、アルミニウム(Al)、銅、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、白金、タンタル、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属;InO2、SnO2、酸化インジウムスズ(ITO(Indium Tin Oxide))等の導電性の酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料などが挙げられる。中でも、金属であることが好ましく、銀またはアルミニウムであることがより好ましい。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の厚みは特に制限されないが、20〜200nmであることが好ましい。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を形成する方法は特に制限されないが、例えば、基板上に、電極材料を真空蒸着またはスパッタする方法、電極形成用組成物を塗布または印刷する方法などが挙げられる。また、電極をパターニングする場合、パターニングする方法としては、例えば、フォトリソグラフィー法;インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法;マスク蒸着法などが挙げられる。
<ゲート絶縁膜>
ゲート絶縁膜の材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリベンゾキサゾール、ポリシルセスキオキサン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のポリマー;二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物;窒化珪素等の窒化物などが挙げられる。これらの材料のうち、有機半導体膜との相性から、ポリマーであることが好ましい。
ゲート絶縁膜の材料としてポリマーを用いる場合、架橋剤(例えば、メラミン)を併用することが好ましい。架橋剤を併用することで、ポリマーが架橋されて、形成されるゲート絶縁膜の耐久性が向上する。
ゲート絶縁膜の膜厚は特に制限されないが、100〜1,000nmであることが好ましい。
ゲート絶縁膜を形成する方法は特に制限されないが、例えば、ゲート電極が形成された基板上に、ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法、ゲート絶縁膜材料を蒸着またはスパッタする方法などが挙げられる。ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法(バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法)を使用することができる。
ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布してゲート絶縁膜を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
<バインダーポリマー層>
本発明の有機半導体素子は、上記有機半導体膜とゲート絶縁膜との間に上述したバインダーポリマーから形成されるバインダーポリマー層を有してもよく、バインダーポリマー層を有する場合、上記有機半導体膜とゲート絶縁膜との間に上記バインダーポリマー層を有することが好ましい。上記バインダーポリマー層の膜厚は特に制限されないが、20〜500nmであることが好ましい。上記バインダーポリマー層は、上記ポリマーを含む層であればよいが、上記バインダーポリマーからなる層であることが好ましい。
バインダーポリマー層を形成する方法は特に制限されないが、公知の方法(バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法、インクジェット法)を使用することができる。
バインダーポリマー層形成用組成物を塗布してバインダーポリマー層を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
<封止層>
本発明の有機半導体素子は、耐久性の観点から、最外層に封止層を備えることが好ましい。封止層には公知の封止剤を用いることができる。
封止層の厚さは特に制限されないが、0.2〜10μmであることが好ましい。
封止層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、ゲート電極とゲート絶縁膜とソース電極とドレイン電極と有機半導体膜とが形成された基板上に、封止層形成用組成物を塗布する方法などが挙げられる。封止層形成用組成物を塗布する方法の具体例は、ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法と同じである。封止層形成用組成物を塗布して有機半導体膜を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
また、図2に、有機薄膜トランジスタ(有機TFT)の別の一態様として、トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの断面模式図を示す。
図2において、有機薄膜トランジスタ200は、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極20と、ゲート電極20を覆うゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30上に配置された有機半導体膜50と、有機半導体膜50上に配置されたソース電極40およびドレイン電極42と、各部材を覆う封止層60を備える。ここで、ソース電極40およびドレイン電極42は、上述した本発明の組成物を用いて形成されたものである。すなわち、有機薄膜トランジスタ200は、ボトムゲート-トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタである。
基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体膜および封止層については、上述のとおりである。
上記では図1および図2において、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタ、および、ボトムゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの態様について詳述したが、本発明の有機半導体素子は、トップゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタ、および、トップゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタにも好適に使用できる。
上述した有機薄膜トランジスタは単独でスイッチング素子として用いることができる。また、複数の素子をマトリクス上に配列することにより、例えば、電子ペーパーやディスプレイデバイスの画像を表示する表示部、X線フラットパネルディテクターの画像を受光する受光部などに用いることができる。また、複数の素子を組み合わせることにより、インバータ、リングオシレーター、d−フリップフロップなどの小規模回路や、RFID(radio frequency identifier:RFタグ)やメモリなどの論理回路に適用することができる。それぞれのデバイスは、公知の構造を有することができるので、その説明を省略する。
以下、実施例を用いて、本発明の有機半導体膜形成用組成物について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
[有機半導体膜形成用組成物の調製]
有機半導体膜形成用組成物の調製にあたって、まず、これに含まれる各成分を準備した。
<有機半導体化合物>
有機半導体膜に用いた実施例化合物1〜7の構造を以下に示す。
実施例化合物1〜7は、いずれも公知の合成法を参考に合成した。具体的には、実施例化合物1及び実施例化合物2は特開2009−54810号公報、特表2011−526588号公報、特開2012−209329号公報、実施例化合物3及び実施例化合物4は米国特許出願公開第2008/0142792号、実施例化合物5及び実施例化合物6は、国際公開第2015/147130号、実施例化合物7は、特開2011−32268号公報に記載の方法を参考に合成した。
いずれも、高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)、TSKgelODS−10
0Z)により純度(254nmの吸収強度面積比)が99.8%以上であることを確認した。また、構造は1H−NMR(プロトン核磁気共鳴)により同定した。
また、その他の有機半導体化合物としてP3HT[ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)](Aldrich社製、数平均分子量(Mn):15000−45000)を使用した。
<特定シルセスキオキサン実施例化合物>
実施例の有機半導体膜形成用組成物に含まれる各特定シルセスキオキサン実施例化合物は、以下の表に示す通りである。なお、(S−3−1)〜(S−3−5)については、後述する方法にしたがって合成した。
下記表中、重合体である各特定シルセスキオキサン実施例化合物を示す式において、括弧に付した数値は、各繰り返し単位の割合(モル%)を表す。また、下記表中「PSS」とは、重合体である特定シルセスキオキサン実施例化合物を構成する全繰り返し単位100モル%に対する、シルセスキオキサン構造を備えた基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量(モル%)を示す。
重合体である各特定シルセスキオキサン実施例化合物の重量平均分子量は、各重合体をTHF(Tetrahydrofuran)に溶解させ、高速GPC(HLC−8220GPC、東ソー社製)を用い、カラムとして、TSKgel SuperHZ4000(4.6mmI.D.×15cm、東ソー社製)を用い、溶離液としてTHFを用いて測定した。
((S−3−1)の合成)
200ml三つ口フラスコに、ジメチルアセトアミド134.3g、IPDI(イソホロンジイソシアネート)10.38g(1.1当量/OH基)、ポリカーボネートジオール(商品名「ETERNACOLL UM−90(3/1)」、1,6−ヘキサンジオールベース(3:1)、宇部興産社製)18.87g、商品名PSS−(2,3−Propanediol)propoxy−Heptaisobutyl substituted(シグマアルドリッチジャパン社製)28.49gを80℃、20時間反応し末端イソシアナート基を有するウレタンプレポリマーを得た。その後、メタノール4gを添加し、さらに10時間反応した。大量のメタノールに反応生成物を注ぎ再沈精製を行い、減圧乾燥し56gの上記表に記載の構造の(S−3−1)を得た。
((S−3−2)の合成)
上記(S−3−1)で使用したポリカーボネートジオール(商品名「ETERNACOLL UM−90(3/1)」に代えて、PPG1000(商品名、ポリプロピレングリコールジオール、数平均分子量1000、和光純薬社製)を用い、各成分の添加量を適宜調整した以外は、上記(S−3−1)と同様にして、上記表に記載の構造の(S−3−2)を得た。
((S−3−3)の合成)
200ml三つ口フラスコに、N−メチルピロリドン134.3g、N−ビニルピロリドン(東亞合成社製)2.2g、商品名PSS−(1−プロピルメタクリラート)−ヘプタイソブチル置換体(シグマアルドリッチ社製)12.6g、重合開始剤V−601(和光純薬社製)0.6gを80℃、20時間反応した。大量のメタノールに反応生成物を注ぎ再沈精製を行い、減圧乾燥し上記表に記載の構造の(S−3−3)を得た。
((S−3−4)の合成)
重合開始剤V-601(和光純薬社製)の量を2.4gに変えた以外は、(S−3−3)と同様にして、記表に記載の構造の(S−3−4)を得た。
((S−3−5)の合成)
重合開始剤V-601(和光純薬社製)の量を0.15gに変えた以外は、(S−3−
3)と同様にして、記表に記載の構造の(S−3−5)を得た。
<溶媒>
実施例および比較例の有機半導体膜形成用組成物に含まれる溶媒は、以下の通りである。
・テトラリン(沸点:208℃、SP値:19.6、シグマアルドリッチ社製)
・1−メチルナフタレン(沸点:241℃、SP値:20、東京化成工業社製)
・アミルベンゼン(沸点:205℃、SP値:17.5、東京化成工業社製)
・2−メチルベンゾチアゾール(沸点:238℃、SP値:21.1、東京化成工業社製)
・1−クロロナフタレン(沸点:259℃、SP値:20.8、東京化成工業社製)
<バインダーポリマー>
実施例および比較例の有機半導体膜形成用組成物に含まれるバインダーポリマーは、以下の通りである。
・ポリスチレン1(重量平均分子量:211万、東ソー社製)
・ポリスチレン2(重量平均分子量:548万、東ソー社製)
<他の成分>
上記以外の成分として、比較例2の有機半導体膜形成用組成物には、以下の成分を用いた。
・BYK323(商品名、BYK社製、アリールアルキル−変性ポリメチルアルキルシロキサン)
<有機半導体膜形成用組成物の調製>
第1表に記載の各成分が第1表に記載の配合となるように溶媒に溶解させて、ミックスローター(アズワン(株)製)で10分間撹拌混合した後、0.5μmメンブレンフィルターでろ過することで、実施例および比較例の各有機半導体膜形成用組成物を得た。第1表中の各成分の含有量(質量%)は、有機半導体膜形成用組成物全質量に対する、各成分の含有量(質量%)を意図する。
得られた各有機半導体膜形成用組成物の粘度について、粘度計(粘度計 RE85L、東機産業社製)を用いて、JIS Z8803に準拠した測定方法で測定したところ、いずれも25℃において10mPa・s以上であった。
[TFT素子作製]
以下のようにして、ボトムゲートボトムコンタクトTFT素子を形成した。
<ゲート電極配線の形成>
無アルカリ硝子基板(5cm×5cm)上に、銀ナノインク(H−1、三菱マテリアル社製)をDMP2831(1ピコリットルヘッド、富士フイルム社製)を用いたインクジェット印刷により、幅100μm、膜厚100nmの配線パターンを形成し、その後、200℃90分間、ホットプレート上、大気下で焼成することで、ゲート電極配線を形成した。
<ゲート絶縁膜の形成>
ポリビニルフェノール(重量平均分子量:25,000、アルドリッチ社製)5質量部、および、メラミン5質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート90質量部を撹拌混合し、0.2μmメンブレンフィルターでろ過することで、溶液を作製した。得られた溶液を、上記ゲート電極配線を作製した硝子基板上に滴下し、スピンコート(1,000rpm、120秒)により、コートし、150℃/30分加熱することで、ゲート絶縁膜を形成した。
<ソース・ドレイン電極形成>
上記絶縁膜コートされた基板中央上に、図3に示すパターンを複数個有するメタルマスクを載せ、UV(紫外線)オゾンを30分間照射することで、マスク開口部を親水処理表面に改質した。銅ナノ粒子を含む組成物を用い、上記改質部分周辺に、DMP2831(1ピコリットルヘッド)を用いたインクジェット印刷により、チャネル長50μm、チャネル幅320μmのソース・ドレイン電極パターンを形成した。得られた基板をN雰囲気下(グローブボックス中、酸素濃度20ppm以下の環境)にて、ホットプレート上200℃で90分焼成することで、膜厚200nmの銅電極を形成した。
作製した有機半導体膜形成用組成物を、上記ソース・ドレイン電極を形成した基板上に、フレキソ印刷法によりコートした。印刷装置として、フレキソ適性試験機F1(アイジーティ・テスティングシステムズ(株)製)を用い、フレキソ樹脂版として、AFP DSH1.70%(旭化成(株)製)/ベタ画像を用いた。版と基板間の圧は、60N、搬送速度0.4m/秒で印刷を行った後、そのまま、60℃下で2時間乾燥することで、有機半導体膜(膜厚:100nm)を作製した。
[評価試験]
<キャリア移動度>
半導体特性評価装置B2900A(アジレントテクノロジー(株)製)を用い、大気下で以下の性能評価を行った。
各有機TFT素子のソース電極−ドレイン電極間に−60Vの電圧を印加し、ゲート電圧を+10V〜−60Vの範囲で変化させ、ドレイン電流Iを表す下記式を用いてキャリア移動度μを算出した。
=(W/2L)μC(V−Vth
式中、Lはゲート長、Wはゲート幅、Cは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vはゲート電圧、Vthは閾値電圧を表す。
キャリア移動度μは高いほど好ましい。キャリア移動度の値に応じて、S〜Dの5段階で評価した。評価基準は以下の通りである。
「S」:0.2cm/Vs以上
「A」:0.1cm/Vs以上、0.2cm/Vs未満
「B」:0.02cm/Vs以上、0.1cm/Vs未満
「C」:0.002cm/Vs以上、0.02cm/Vs未満
「D」:0.002cm/Vs未満
<連続駆動安定性>
ソース電圧Vs=−20V、ドレイン電圧Vd=0V、ゲート電圧Vg=−20Vの電圧をかけ、その間、10分毎にトランジスタ特性の測定を行い、閾値電圧Vthの初期値に対する変化を12時間測定し、変化の大きさで評価した。
「S」:5V未満のシフトが観測された
「A」:5V以上10V未満のシフトが観測された
「B」:10V以上15V未満のシフトが観測された
「C」:15V以上20V未満のシフトが観測された
「D」:20V以上のシフトが観測された
<評価結果>
以上の評価試験の結果を第1表に示す。なお、第1表において「PSS」とは、上述した通り、重合体であるシルセスキオキサン化合物を構成する全繰り返し単位100モル%に対する、シルセスキオキサン構造を備えた基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量(モル%)を示す。
第1表に示すように、特定シルセスキオキサン化合物を有機半導体化合物と併用した有機半導体膜形成用組成物を用いて有機半導体膜を成膜すると、これを含む有機薄膜トランジスタのキャリア移動度および連続駆動安定性が優れたものになることが示された(実施例)。
実施例1〜3の対比によれば、シルセスキオキサン構造を表す上記一般式(S)において、「R」がアルキル基またはアリール基であるものを用いると(実施例1および実施例2)、キャリア移動度がより優れた有機薄膜トランジスタが得られることが示された。
また、実施例5〜7の対比によれば、重合体である特定シルセスキオキサン化合物を用いた場合、シルセスキオキサン構造を備えた基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量(モル%)(第1表のPSS)が40モル%以上であることで(実施例5)、キャリア移動度がより優れた有機薄膜トランジスタが得られることが示された。このことは、実施例9〜11の対比からも示された(実施例9)。
実施例19〜21の評価結果より、特定シルセスキオキサン化合物の含有量が0.01質量%超0.3質量%未満の範囲にあることで(実施例20)、作製される有機薄膜トランジスタのキャリア移動度および連続駆動安定性の両性能をより高いレベルで両立できることが示された。
実施例16〜18の評価結果より、重合体である特定シルセスキオキサン化合物を用いた場合、重合体である特定シルセスキオキサン化合物の重量平均分子量が1万以上であることで(実施例16、実施例18)、作製される有機薄膜トランジスタの連続駆動安定性がより向上することが示された。特に、重量平均分子量が4万以上であることで(実施例18)、作製される有機薄膜トランジスタの連続駆動安定性がより一層向上することが示された。
実施例18、29〜31の評価結果より、SP値が20以上の溶媒を用いることにより(実施例29〜31)、作製される有機薄膜トランジスタのキャリア移動度がより向上することが示された。
比較例1の有機半導体膜形成用組成物には、特定シルセスキオキサン化合物が含まれていないため、これを用いて作製された有機薄膜トランジスタは、キャリア移動度が不十分であった。
比較例2の有機半導体膜形成用組成物には、有機シロキサン化合物(BYK323)を含有するものの、特定シルセスキオキサン化合物が含まれていないため、これを用いて作製された有機薄膜トランジスタは、連続駆動安定性が不十分であった。
さらに、第2表に示す様に作製した有機半導体膜形成用組成物を、スピンコート法によりコートした以外は、第1表に記載の各実施例および比較例と同様にして有機半導体膜(膜厚:100nm)を作製し、同様の評価を行った。第2表において有機半導体化合物の欄が2段になっている項目は複数種併用したことを意味する。
また、第2表に示す溶媒には、トルエン(沸点:111℃、SP値:18.4、東京化成工業社製)を用いた。
第2表に示すように、スピンコートで作製した膜においても特定シルセスキオキサン化合物と有機半導体化合物とを併用すると、これを含む有機薄膜トランジスタのキャリア移動度および連続駆動安定性が優れたものになることが示された。
[実施例45〜79]
<インバータ素子の作製>
図4に示すように、実施例1の有機TFT(有機薄膜トランジスタ)素子と可変抵抗とを接続し、実施例45のインバータ素子を作製した。また、実施例1の有機薄膜トランジスタ素子に変えて実施例2〜実施例35の有機薄膜トランジスタ素子を用いて、実施例46〜79のインバータ素子を作製した。いずれのインバータ素子もゲイン10以上の良好なインバータ特性を示した。
[実施例80〜114]
<リングオシレーター素子の作製>
図5に示すように、実施例45のインバータ素子を3段連結することにより実施例80のリングオシレーター素子を作製した。また、実施例45のインバータ素子に変えて実施例46〜79のインバータ素子を用いて、実施例81〜114のリングオシレーター素子を作製した。いずれのリングオシレーター素子も安定して発振した。
以上のように本発明の化合物により各種デバイスの作製が可能なことが示された。
10:基板、20:ゲート電極、30:ゲート絶縁膜、40:ソース電極、42:ドレイン電極、50:有機半導体膜、51:メタルマスク、52:マスク部、53、54:開口部、60:封止層、100、200:有機薄膜トランジスタ

Claims (11)

  1. シルセスキオキサン構造を含む化合物と、
    有機半導体化合物と、
    を含有する、有機半導体膜形成用組成物。
  2. 前記シルセスキオキサン構造が、かご型シルセスキオキサン構造である、請求項1に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  3. 前記シルセスキオキサン構造は、一般式(S)で表される構造であり、
    前記一般式(S)において、Rがアルキル基またはアリール基である、請求項1または2に記載の有機半導体膜形成用組成物。
    [R−Si−O3/2 ・・・(S)
    一般式(S)中、nは繰り返し単位数を表す。
  4. 前記シルセスキオキサン構造を含む化合物が、前記シルセスキオキサン構造を備えた基を有する重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  5. 前記重合体の重量平均分子量が、1万以上である、請求項4に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  6. 前記重合体が、前記シルセスキオキサン構造を備えた基を、側鎖に備えた繰り返し単位Xを有する、請求項4または5に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  7. 前記繰り返し単位Xの含有量が、前記重合体を構成する全繰り返し単位100モル%に対して、40モル%以上である、請求項6に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  8. 前記重合体が主鎖構造として、アクリレート繰り返し単位、メタクリレート繰り返し単位、および、ウレタン繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有する、請求項4〜7のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  9. 前記シルセスキオキサン構造を含む化合物の含有量が、前記有機半導体膜形成用組成物の全質量100質量%に対して、0.01〜1質量%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物を用いて得られる、有機半導体膜。
  11. 請求項10に記載の有機半導体膜を備える、有機薄膜トランジスタ。
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