JP6469615B2 - 有機半導体膜形成用組成物、有機半導体膜及びその製造方法、並びに有機半導体素子 - Google Patents

有機半導体膜形成用組成物、有機半導体膜及びその製造方法、並びに有機半導体素子 Download PDF

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Description

本発明は、有機半導体膜形成用組成物、有機半導体膜及びその製造方法、並びに有機半導体素子に関する。
軽量化、低コスト化、及び、柔軟化が可能であることから、液晶ディスプレイ及び有機EL(electro luminescence)ディスプレイに用いられるFET(電界効果トランジスタ)、RFID(radio frequency identifier:RFタグ)、及び、メモリなどの論理回路を用いる装置等に、有機半導体膜(有機半導体層)を有する有機薄膜トランジスタ(有機TFT(thin film transistor))が利用されている。
この有機半導体膜を形成するための有機半導体膜形成用組成物として、例えば、特許文献1では、「5000g/mol以下の分子量を有する一以上の有機半導体化合物(OSC)と一以上の有機溶媒を含む組成物であって、上記有機溶媒は、ジメチルアニソールであることを特徴とする、組成物」を開示している。特許文献1では、上記構成成分の他に、ポリマーバインダーを含有させてもよい旨を記載している。
特表2013−516054号公報
ところで、近年、有機薄膜トランジスタの性能向上の観点から、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度のより一層の向上と駆動安定性とが求められている実情がある。
このようななか、本発明者らは、上記特許文献1に開示されるような組成物を用いて形成された有機半導体膜を含む有機薄膜トランジスタについて更に検討を行ったところ、有機半導体化合物の結晶化は確認したものの、成膜の際の溶媒揮発工程において膜自体が不均一に収縮して局所的な膜となることがあり、これに起因してソース電極及びドレイン電極間を膜がつなげなくなる場合、又は、ソース電極及びドレイン電極間のキャリア移動度が、昨今要求されるレベルを満たさない場合があることを知見するに至った。特に、薄膜を形成する場合において、上記の傾向が顕著に見られた。
この膜の収縮を抑制すべく、本発明者らは上記組成物に種々の添加剤を配合して更なる検討を進めたところ、添加剤の種類及び他の成分との組み合わせによっては、有機半導体化合物の結晶成長が乱されてキャリア移動度が低くなる場合、又は、有機半導体素子の長期間駆動後に添加剤が相分離する等の原因により閾値電圧が変化(シフト)する(すなわち駆動安定性に欠ける)場合があることを見出した。
そこで、本発明の目的は、高いキャリア移動度を示し、且つ、駆動安定性に優れる有機半導体素子(特に、有機薄膜トランジスタ)を与える有機半導体膜形成用組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記有機半導体膜形成用組成物を用いて作製される有機半導体膜及びその製造方法、並びに有機半導体素子を提供することである。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、下記特定の成分を含む組成物を用いることで所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 下記式(A−1)で表される有機半導体化合物と、
重量平均分子量50万以上のバインダーポリマーと、
沸点が160℃以上であり、SP値が18以上23以下である溶媒と、
珪素原子及びフッ素原子をいずれも有しないポリ(メタ)アクリレートと、を含有する、有機半導体膜形成用組成物。

式(A−1)中、Tは3環以上7環以下の縮環構造を有する芳香族炭化水素基又は複素芳香族基を表し、La1及びLa2はそれぞれ独立に、単結合、フェニレン基又はチエニレン基を表し、m及びnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を表す。
(2) 上記ポリ(メタ)アクリレートが、下記式(B)で表される繰り返し単位を有する化合物である、(1)に記載の有機半導体膜形成用組成物。

式(B)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは、置換基又は無置換の炭素数3以上のアルキル基を表す。
(3) 上記Rが、置換基又は無置換の炭素数が6以上のアルキル基であり、且つ、上記ポリ(メタ)アクリレートの重量平均分子量が50,000以上である、(2)に記載の有機半導体膜形成用組成物。
(4) 上記ポリ(メタ)アクリレートが、上記有機半導体膜形成用組成物の全質量に対して0.05質量%以上0.3質量%以下で含まれる、(1)〜(3)のいずれかに記載の有機半導体膜形成用組成物。
(5) 上記ポリ(メタ)アクリレートが、上記有機半導体膜形成用組成物中の全固形分量に対して5質量%以上30質量%以下で含まれる、(1)〜(4)のいずれかに記載の有機半導体膜形成用組成物。
(6) 粘度が25℃で10mPa・s以上である、(1)〜(5)のいずれかに記載の有機半導体膜形成用組成物。
(7) 上記溶媒の沸点が200℃以上であり、且つ、SP値が20以上23以下である、(1)〜(6)のいずれかに記載の有機半導体膜形成用組成物。
(8) 上記式(A−1)で表される有機半導体化合物において、m及びnがそれぞれ独立に1〜20の整数を表し、且つ、mとnとが異なる数値である、(1)〜(7)のいずれかに記載の有機半導体膜形成用組成物。
(9) 上記バインダーポリマーの重量平均分子量が100万以上である、(1)〜(8)のいずれかに記載の有機半導体膜形成用組成物。
(10) (1)〜(9)のいずれかに記載の有機半導体膜形成用組成物を基板上に塗布する塗布工程を含む、有機半導体膜の製造方法。
(11) (10)に記載の方法により得られた有機半導体膜。
(12) (11)に記載の有機半導体膜を有する有機半導体素子。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書において、化合物の表示については、その化合物そのものの他、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基及び連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、又は複数の置換基等を同時に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。
また、特に断らない限り、複数の置換基等が近接(特に隣接)するときには、それらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい意味である。
更に、本明細書において置換・無置換を明記していない置換基等については、目的とする効果を損なわない範囲で、その基に更に置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明によれば、高いキャリア移動度を示し、且つ、駆動安定性に優れる有機半導体素子(特に、有機薄膜トランジスタ)を与える有機半導体膜形成用組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、上記有機半導体膜形成用組成物を用いて作製される有機半導体膜及びその製造方法、並びに有機半導体素子を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタの断面模式図である。 本発明の一実施形態に係るトップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの断面模式図である。 実施例で使用したメタルマスクの平面図である。 実施例で作製した、有機TFT(有機薄膜トランジスタ)素子と可変抵抗とを接続したインバータ素子の概略図である。 実施例で作製した、インバータ素子を3段連結したリングオシレーター素子の概略図である。
[有機半導体膜形成用組成物]
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、
後述する式(A−1)で表される有機半導体化合物と、
重量平均分子量50万以上のバインダーポリマーと、
沸点が160℃以上であり、SP値(Solubility Parameter)が18以上23以下である溶媒と、
珪素原子及びフッ素原子をいずれも有しないポリ(メタ)アクリレートと、を含有することを特徴とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記有機半導体膜形成用組成物を用いることで、塗布面に対する濡れ性が改良されて成膜の際の溶媒揮発工程において膜の収縮を抑制できるとともに、有機半導体化合物が良好に結晶化し、キャリア移動度に優れた有機半導体膜を形成できることを見出した。更に、上記有機半導体膜形成用組成物によれば、有機半導体素子の長期間駆動後においても、閾値電圧を安定に維持することができる(すなわち、駆動安定性に優れる)ことを確認している。なお、表面張力調整剤として膜の改質に通常用いられる珪素原子含有物及びフッ素原子含有物は、長期間駆動後において有機半導体化合物と相分離して膜表面に浮き、駆動安定性を悪化させる要因となりやすい。なお、「珪素原子及びフッ素原子をいずれも有さない」とは、これらの原子が実質的に含まれないことを意味し、具体的にはこれらの原子のポリ(メタ)アクリレート中に対する含有量が1質量%未満である。
以下、本発明の有機半導体膜形成用組成物に使用される各成分について、詳述する。
<式(A−1)で表される有機半導体化合物>
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、有機半導体化合物として、下記式(A−1)で表される化合物を含有する。
式(A−1)中、Tは3環以上7環以下の縮環構造を有する芳香族炭化水素基又は複素芳香族基を表し、La1及びLa2はそれぞれ独立に、単結合、フェニレン基又はチエニレン基を表し、m及びnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を表す。
式(A−1)で表される有機半導体化合物は、有機半導体素子、有機半導体膜、及び、有機半導体膜形成用組成物に好適に用いることができる。
式(A−1)で表される有機半導体化合物は、アルキル基(C2m+1及びC2n+1)が、必要に応じて連結基(La1、La2)を介して有機半導体母核(T)と結合している化合物であり、上記連結基は、フェニレン基又はチエニレン基である。溶解性を向上させてキャリア移動度をより高める観点から、有機半導体母核(T)に連結する2つのアルキル基(C2m+1及びC2n+1)は、それぞれ炭素数が異なること(すなわち、m≠n(mとnとが異なる数値である))が好ましい。
式(A−1)中、Tは3環以上7環以下の縮環構造を有する芳香族炭化水素基、又は、複素芳香族基(芳香族ヘテロ環基)を表す。Tは、芳香族環が3環以上7環以下縮合して得られる基であり、芳香族性を示す。上記芳香族環としては、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環)、及び、芳香族複素環(例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、セレノフェン環、イミダゾール環)が例示される。
Tは、3〜7環であり、4〜6環であることが好ましく、5又は6環であることがより好ましい。
また、Tが有する芳香族環の少なくとも1つが、芳香族複素環であることが好ましく、ヘテロ原子として硫黄原子、窒素原子、セレン原子、及び、酸素原子よりなる群から選択された少なくとも1種の原子を含むことがより好ましい。キャリア移動度の観点から、2〜6つの環が上記ヘテロ原子を含むことがより好ましく、2〜4つの環が上記ヘテロ原子を含むことが更に好ましい。
また、キャリア移動度の観点から、上記芳香族複素環は、1個のヘテロ原子を有することが好ましい。
また、Tは、キャリア移動度の観点から、フラン環構造、チオフェン環構造及びセレノフェン環構造よりなる群から選択される構造を少なくとも1つ有することが好ましく、チオフェン環構造及び/又はセレノフェン環構造を少なくとも有することがより好ましく、チオフェン環構造を少なくとも有することが更に好ましく、Tが有する複素環構造が全てチオフェン環構造であることが特に好ましい。
式(A−1)で表される化合物中には、Tで表される基が含まれるが、この基が主成分として含まれることが好ましい。ここで主成分とは、Tで表される基(以後、適宜「縮合多環芳香族基」とも称する)の分子量の含有量が、式(A−1)で表される化合物の全分子量に対して、30%以上であることを意図し、40%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、溶解性の点から、80%以下であることが好ましい。
式(A−1)中、Tは芳香族複素環及び/又はベンゼン環が直線状(一直線状及びジグザグ状を含む)に縮環した構造であることが好ましく、Tは3〜7環の縮環構造を有するアセン、フェナセン、又は、ヘテロアセン構造を含むことがより好ましい。ここで、アセンとは、ベンゼン環が互いのなす角が180°となるように直線状に縮環したものであり、具体的には、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン等が例示される。また、フェナセンとは、ベンゼン環がジグザグ状に縮環したものであり、具体的にはフェナントレン、クリセン、ピセン等が例示される。更に、ヘテロアセンとは、アセン又はフェンのベンゼン環の一部が芳香族ヘテロ環(例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環等)に置換されたものを意味する。フェンとは、ベンゼン環がジグザグ状を含む様式で縮環したものであり、全てがジグザグ状のフェナセンもこの中に含まれる。フェンに含まれ、フェナセンに含まれないものとして具体的には、ベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[c]フェナントレン、ジベンゾ[a、h]アントラセン、ジベンゾ[a、j]アントラセン、ジベンゾ[c、g]フェナントレン、ペンタフェン等が例示される。
式(A−1)で表される有機半導体化合物は、有機半導体母核であるTが、芳香族複素環及び/又はベンゼン環が直線状に縮環した構造である、ヘテロアセン骨格を含むことが好ましく、チオフェン環及び/又はベンゼン環が直線状に縮環した構造である、チエノアセン構造であることがより好ましく、縮環数3〜7環のチエノアセン構造であることが更に好ましい。上記態様であると、より高いキャリア移動度の有機半導体膜が得られる。
また、上記縮合多環芳香族基としては、キャリア移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中のチオフェン環の数は、2〜7つが好ましく、3〜7つがより好ましく、3〜5つが更に好ましい。
また、上記Tが有する縮環構造を有する芳香族炭化水素基又は複素芳香族基は、置換基を有していてもよい。
置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む。)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といってもよい。)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基(トリアルキルシリル基等)、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の置換基が挙げられる。また、置換基が更に置換基により置換されていてもよい。
これらの中でも、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基が好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の置換又は無置換のアルキル基、炭素数1又は2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のメチルチオ基、フェニル基がより好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の置換又は無置換のアルキル基、炭素数1又は2の置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のメチルチオ基が特に好ましい。
式(A−1)中のTで表される有機半導体母核の具体例としては、下記に示す縮合多環芳香族基が好ましく挙げられる。また、これら縮合多環芳香族基は、上記−La1−C2m+1及び−La2−C2n+1以外に上記置換基が結合していてもよい(言い換えると、縮合多環芳香族基の芳香環及び/又は芳香族複素環上に上記置換基が結合していてもよい)。
なお、上記具体例のうち、チオフェン環が縮環した構造、並びに、チオフェン環及びベンゼン環が縮環した構造のものは、チエノアセン構造である。
式(A−1)中、La1及びLa2はそれぞれ独立に、単結合、フェニレン基又はチエニレン基を表す。ここで、チエニレン基とは、チオフェンから2つの水素原子を除いた基である。フェニレン基は、T、及び、アルキレン基とパラ位で結合していることが好ましい。また、チエニレン基は、T、及び、アルキレン基と2位及び5位で結合していることが好ましい。
式(A−1)中、m及びnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を表す。2〜16の整数であることが好ましく、3〜12の整数であることがより好ましい。
式(A−1)中、m≠nである(すなわち、C2m+1と、C2n+1は、炭素数の異なる(鎖長の異なる)アルキル基である)ことが好ましい。式(A−1)においてm≠nとする場合には、mとnとの差の絶対値である、|m−n|は、1以上6以下であることが好ましく、1以上4以下であることがより好ましく、1以上3以下であることが更に好ましく、1又は2であることが特に好ましく、1であることが最も好ましい。|m−n|が上記範囲内であると、キャリア移動度により優れるので好ましい。
式(A−1)で表される有機半導体化合物は、下記式(A−2)で表される化合物であることが好ましい。
式(A−2)中、環A〜環Eはそれぞれ独立に、ベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表し、La1及びLa2はそれぞれ独立に、単結合、フェニレン基又はチエニレン基を表し、xは0〜3の整数を表し、m及びnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を表す。
式(A−2)中、環A〜環Eはそれぞれ独立に、ベンゼン環又はチオフェン環を表す。環A〜環Eのうち、2〜4個がチオフェン環であることが好ましく、4個がチオフェン環であることがより好ましい。
xは0〜3の整数を表す。すなわち、環A〜環Eは、4環の縮環構造〜7環の縮環構造を有する。xは1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。xが上記範囲内であると、よりキャリア移動度に優れる。
式(A−2)において、−La1−C2m+1は、A環〜E環で構成される縮合多環芳香族基の末端のA環に置換している。また、他方の末端に存在するE環に、−La2−C2n+1が置換している。
式(A−2)中、環A〜環Eで構成される縮合多環芳香族基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族ヘテロ環基、又は、フッ素原子が挙げられる。なお、アルキル基を有する場合には、環A及び環E以外に置換している。アルキル基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状であることが好ましく、炭素数1〜20であることが好ましく、炭素数1〜12であることがより好ましく、炭素数1〜8であることが更に好ましい。アルケニル基は、炭素数2〜20であることが好ましく、炭素数2〜12であることがより好ましく、炭素数2〜8であることが更に好ましい。アルキニル基は、炭素数2〜20であることが好ましく、炭素数2〜12であることがより好ましく、炭素数2〜8であることが更に好ましい。アルケニル基及びアルキニル基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状であることが好ましい。芳香族炭化水素基は、炭素数6〜30であることが好ましく、炭素数6〜20であることがより好ましく、炭素数6〜10であることが更に好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、ヘテロ原子として硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及び、セレン原子よりなる群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ有することが好ましく、硫黄原子、窒素原子又は酸素原子よりなる群から選択されたヘテロ原子を有することがより好ましい。ヘテロ環基は、単環又は多環であってもよく、5員環〜30員環であることが好ましく、5員環〜20員環であることがより好ましく、5員環〜10員環であることが更に好ましい。
式(A−2)で表される有機半導体化合物は、環A及び環Eがチオフェン環であるか、及び/又は、La1又はLa2がチエニレン環であることが好ましい。すなわち、アルキル基が、チオフェン環に置換していることが好ましい。
式(A−2)において、環A〜環Eで形成される縮環構造の対称性が、C、C2v、又は、C2hであることが好ましい。対称性がC、C2v、又は、C2hであると、規則正しい結晶構造をとりやすく、高キャリア移動度を発現しやすいためである。
なお、縮環構造の対称性については、『分子の対称と群論』(中崎昌雄著、東京化学同人)の記載が参酌される。
式(A−2)において、m及びnはそれぞれ独立に1〜20の整数を表す。式(A−2)においては、式(A−1)と同様の理由から、m≠nであることが好ましい。
m及びn、並びに、|m−n|の好ましい範囲は、式A−1におけるm及びn、並びに、|m−n|の好ましい範囲と同様である。
以下に、式(A−1)で表される有機半導体化合物を例示するが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。
式(A−1)で表される有機半導体化合物の分子量は、特に制限されないが、分子量が1,500以下であることが好ましく、1,000以下であることがより好ましく、800以下であることが更に好ましい。分子量を上記上限値以下とすることにより、溶媒への溶解性を高めることができる。一方で、薄膜の膜質安定性の観点からは、分子量は400以上であることが好ましく、450以上であることがより好ましく、500以上であることが更に好ましい。
上記有機半導体化合物は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記有機半導体化合物は、上記有機半導体化合物以外の有機半導体化合物と併用してもよい。
式(A−1)で表される有機半導体化合物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を参照して合成できる。具体的には、特開2011−32268号公報、特開2009−54810号公報、特表2011−526588号公報、特開2012−209329号公報、Scientific Report,2014,4,5048.、特表2013−540697号公報、特開2009−218333号公報、米国特許出願公開第2008/0142792号明細書、国際公開第2014/156773号、国際公開第2010/098372号、Adv.Mater.,2014,26,4546.、特開2010−6794号公報に記載の方法が参照される。
本発明の有機半導体膜形成用組成物における、式(A−1)で表される有機半導体化合物の含有量は、固形分総量の5〜98質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、20〜80質量%であることが更に好ましい。また、後述するバインダーポリマーを除く固形分総量に対する式(A−1)で表される有機半導体化合物の含有量は、80〜99質量%であることが好ましく、85〜98質量%であることがより好ましい。
本発明の有機半導体膜形成用組成物における式(A−1)で表される有機半導体化合物の含有量は、有機半導体膜形成用組成物の全質量に対して、0.3質量%以上15質量%未満であることが好ましい。式(A−1)で表される有機半導体化合物の含有量が0.3質量%以上であると、高いキャリア移動度の有機半導体膜及び有機半導体素子が得られる。一方、式(A−1)で表される有機半導体化合物の含有量が15質量%未満であると、有機半導体膜形成用組成物をインクジェット印刷用及び/又はフレキソ印刷用として好適に使用できる。
有機半導体膜形成用組成物における式(A−1)で表される有機半導体化合物の含有量は、0.5〜10質量%であることがより好ましい。
なお、本発明の有機半導体膜形成用組成物は、式(A−1)に該当しない有機半導体化合物を更に含有していてもよいが、有機半導体化合物の総含有量に対して、式(A−1)で表される有機半導体化合物の含有量が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、本発明の有機半導体膜形成用組成物が含有する有機半導体化合物の全量が式(A−1)で表される有機半導体化合物であることが特に好ましい。
<重量平均分子量50万以上のバインダーポリマー>
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、重量平均分子量50万以上のバインダーポリマーを含有する。
本発明の有機半導体膜形成用組成物を用いて成膜された有機半導体膜は、上記有機半導体化合物を含有する層と、バインダーポリマーを含む層とが形成されているものと推測される。
バインダーポリマーの重量平均分子量は50万以上であり、キャリア移動度をより高め、更に駆動安定性をより優れたものとする観点から、100万以上であることが好ましく、100万〜2,000万がより好ましく、100万〜1,000万が更に好ましく、100万〜600万が特に好ましい。
また、上記バインダーポリマーは、後述する有機溶媒への溶解度が、上記有機半導体化合物よりも高いことが好ましい。上記態様であると、得られる有機半導体膜及び有機半導体素子のキャリア移動度及び熱安定性により優れる。
なお、上記重量平均分子量の測定方法は、後述するポリ(メタ)アクリレートの重量平均分子量の測定方法と同じであり、詳細は後述する。
バインダーポリマーの種類は特に制限されず、公知のポリマーを用いることができる。
バインダーポリマーとしては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの絶縁性ポリマー、及びこれらの共重合体、エチレン−プロピレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化されたニトリルゴム、フッ素ゴム、パーフルオロエラストマー、テトラフルオロエチレンプロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、ポリクロロプレン、ポリネオプレン、ブチルゴム、メチル・フェニルシリコーン樹脂、メチル・フェニルビニル・シリコーン樹脂、メチル・ビニル・シリコーン樹脂、フルオロシリコーン樹脂、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、クロロポリエチレン、エピクロロヒドリン共重合体、ポリイソプレン−天然ゴム共重合体、ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、ポリエステルウレタン共重合体、ポリエーテルウレタン共重合体、ポリエーテルエステル熱可塑性エラストマー及びポリブタジエンゴム等のゴム又は熱可塑性エラストマー、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどの光伝導性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレンなどの導電性ポリマー、及び、例えばChemistry of Materials,2014,26,647.等に記載の半導体ポリマーを挙げることができる。
バインダーポリマーは、単独で使用してもよく、又は、複数併用してもよい。
中でも、バインダーポリマーとしては、ベンゼン環を有する高分子化合物(ベンゼン環基を有する単量体単位を有する高分子)が好ましい。ベンゼン環基を有する単量体単位の含有量は特に制限されないが、全単量体単位中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、100モル%が挙げられる。
上記バインダーポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリビニルシンナメート、ポリ(4−ビニルフェニル)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン]、ポリ[2,6−(4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−4Hシクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン)−アルト−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)]などが挙げられ、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)が好ましく、ポリ(α−メチルスチレン)がより好ましい。
本発明の有機半導体膜形成用組成物における上記バインダーポリマーの含有量は、有機半導体化合物の含有量100質量部に対し、1〜10,000質量部であることが好ましく、10〜1,000質量部であることがより好ましく、25〜400質量部であることが更に好ましく、50〜200質量部であることが特に好ましい。上記範囲内であると、得られる有機半導体膜及び有機半導体素子のキャリア移動度及び膜の均一性により優れる。
<沸点が160℃以上であり、SP値が18以上23以下である溶媒>
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、沸点が160℃以上であり、SP値が18以上23以下である溶媒(以下「特定溶媒」と称する)を含有する。
特定溶媒は、沸点が160℃以上である。沸点が160℃以上であると、有機半導体膜形成用組成物の保存安定性に優れ、また、インクジェット印刷用及び/又はフレキソ印刷用として好適に使用できる。
キャリア移動度をより高め、更に駆動安定性をより優れたものとする観点から、特定溶媒の沸点は165℃以上であることが好ましく、175℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましく、220℃以上であることが特に好ましい。また、溶媒を除去する観点から、特定溶媒の沸点は、300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることが更に好ましい。
なお、沸点(℃)は、1気圧下でのものを意図する。
特定溶媒のSP値(MPa1/2)は、18以上23以下である。SP値が上記範囲内であると、有機半導体化合物の溶解性に優れる。
特定溶媒のSP値は、18.5〜22.5であることが好ましく、19〜22であることがより好ましく、20〜22であることが更に好ましい。
本発明において、「SP値」とは、「溶解度パラメータの値」を意味する。本発明でいうSP値とは、ハンセン溶解度パラメータ:A User’s Handbook, Second Edition, C.M.Hansen (2007), Taylor and Francis Group, LLC (HSPiPマニュアル)で解説された式によるハンセン溶解度パラメータであり、「実践ハンセン溶解度パラメーターHSPiP第3版」(ソフトウエアーバージョン4.0.05)を用いて、下記式にてSP値を算出した値を用いている。
(SP値)=(δHd)+(δHp)+(δHh)
Hd :分散寄与
Hp :極性寄与
Hh :水素結合寄与
特定溶媒は、芳香族溶媒であることが好ましい。芳香族溶媒は、芳香族炭化水素溶媒であってもよく、また、複素原子を有する複素芳香族溶媒であってもよい。特定溶媒が芳香族溶媒であると、有機半導体化合物の溶解性に優れるので好ましい。
特定溶媒の好適態様の一つとしては、沸点が200℃以上、かつ、SP値が20以上である溶媒が挙げられる。
本発明において、特定溶媒として用いることができる溶媒を、沸点、SP値と共に以下に示す。
特定溶媒としては、例えば、テトラリン(沸点:208℃、SP値:19.6)、1−メチルナフタレン(沸点:241℃、SP値:20.0)、1,2−ジクロロベンゼン(沸点:181℃、SP値:20.1)、1−フルオロナフタレン(沸点:212℃、SP値:20.3)、2,5−ジクロロチオフェン(沸点:162℃、SP値:20.7)、2,5−ジブロモチオフェン(沸点:211℃、SP値:22.0)、2−メチルベンゾチアゾール(沸点:238℃、SP値:21.1)、1−クロロナフタレン(沸点:259℃、SP値:20.8)等が挙げられる。
これらの中でも、テトラリン、1−メチルナフタレン、2−メチルベンゾチアゾール、1−クロロナフタレンが好ましく、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルベンゾチアゾールがより好ましく、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレンが更に好ましい。
特定溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
特定溶媒は、有機半導体膜形成用組成物における有機半導体化合物の含有量、及び、後述する全固形分量が所望の範囲となるように、適宜添加すればよい。
なお、本発明において、有機半導体膜形成用組成物は、溶媒として特定溶媒以外の溶媒を含有していてもよいが、溶媒の総含有量を100質量部としたとき、特定溶媒の含有量が50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることが更に好ましく、有機半導体膜形成用組成物が含有する溶媒の全てが特定溶媒であることが特に好ましい。
<珪素原子及びフッ素原子をいずれも有しないポリ(メタ)アクリレート>
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、珪素原子及びフッ素原子をいずれも有しないポリ(メタ)アクリレートを含有する。
ここでいうポリ(メタ)アクリレートとは、CH=CHCOO構造又はCH=C(CH)COO構造を有するモノマーの重合体であり、これらの構造を有するモノマーのみを重合させたものと、これらのモノマーと共重合可能なモノマーとを共重合させたものを包含する。これらのモノマーと共重合可能なモノマーとしては、エチレン性二重結合を有する共重合性モノマーを幅広く挙げることができる。
また、上記ポリ(メタ)アクリレートは、キャリア移動度の低下を抑制する観点から、イオン性基を有さないことが好ましい。イオン性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基、又はこれらの塩等である。
上記ポリ(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、特に限定はないが、キャリア移動度をより高め、更に駆動安定性をより優れたものとする観点から、10,000以上が好ましく、50,000以上がより好ましく、100,000以上が更に好ましく、150,000以上が特に好ましい。その上限は、溶解性の観点から、2,000,000以下が好ましく、1,000,000以下がより好ましく、500,000以下が特に好ましい。
ポリ(メタ)アクリレートとしては、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体も好ましく用いることが出来る。
本発明において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC(Gel Permeation Chromatography))法にて測定され、標準ポリスチレンで換算して求められる。具体的には、例えば、GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZ4000
(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を用い、溶離液としてTHF(Tetrahydrofuran)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.02質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR(infrared)検出器を用いて行う。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
上記ポリ(メタ)アクリレートは、下記式(B)で表される繰り返し単位を有する化合物であることが好ましい。
(式(B)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは、置換基又は無置換の炭素数3以上のアルキル基を表す。)
上記式(B)において、Rは水素原子又はメチル基を表す。
で表されるアルキル基は炭素数が3以上であり、塗布面への濡れ性をより高めて膜の収縮を抑制する観点から、炭素数6以上のアルキル基であることが好ましく、炭素数8〜20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数12〜20のアルキル基であることが更に好ましい。
で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、式(A−2)において縮合多環芳香族基が有していてもよいとして挙げた置換基と同様のものが挙げられる。
上記ポリ(メタ)アクリレート中、式(B)で表される繰り返し単位の含有量は、キャリア移動度をより高め、更に駆動安定性をより優れたものとする観点から、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、5〜100モル%が好ましく、10〜100モル%がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
なお、ポリマーには式(B)で表される繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を含んでいてもよく、例えば、アクリルモノマー等のエチレン性二重結合を有する化合物由来の繰り返し単位が挙げられる。
本発明の有機半導体膜形成用組成物における上記ポリ(メタ)アクリレートの含有量は、有機半導体膜形成用組成物の全質量に対して0.01質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、有機半導体膜及び有機半導体素子とした際により良好なキャリア移動度と駆動安定性が得られる。キャリア移動度をより高め、更に駆動安定性をより優れたものとする観点から、有機半導体膜形成用組成物の全質量に対する上記ポリ(メタ)アクリレートの含有量は、0.05質量%以上0.4質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上0.3質量%以下であることが更に好ましい。
また、本発明の有機半導体膜形成用組成物の全固形分量に対して、上記ポリ(メタ)アクリレートの含有量は5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、有機半導体膜及び有機半導体素子とした際により良好なキャリア移動度と駆動安定性が得られる。キャリア移動度をより高め、更に駆動安定性をより優れたものとする観点から、有機半導体膜形成用組成物の全固形分量に対する上記ポリ(メタ)アクリレートの含有量は、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上15質量%以下であることが更に好ましい。
<その他の成分>
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、上述した成分以外に他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、公知の添加剤等を用いることができる。
本発明の有機半導体膜形成用組成物における全固形分濃度は、1質量%以上であることが好ましい。なお、固形分とは、溶媒等の揮発性成分を除いた成分の量である。固形分濃度が1質量%以上であると、各種印刷法での膜形成性に優れるので好ましい。
有機半導体膜形成用組成物における全固形分濃度は、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。また、その上限は限定されないが、有機半導体化合物の溶解性等の観点から、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、保存安定性及び膜形成性に優れ、得られる有機半導体膜及び有機半導体素子のキャリア移動度により優れる。
本発明の有機半導体膜形成用組成物の粘度は、特に制限されないが、各種印刷適性、特に、インクジェット印刷適性及びフレキソ印刷適性がより優れる点で、10mPa・s以上であることが好ましく、10〜100mPa・sがより好ましく、10〜50mPa・sが更に好ましく、10〜40mPa・sが特に好ましい。なお、本発明における粘度は、25℃での粘度である。粘度の測定方法としては、JIS Z8803に準拠した測定方法であることが好ましい。
[有機半導体膜の形成方法]
本発明の有機半導体膜は、上述した本発明の有機半導体膜形成用組成物を用いて製造されたものである。また、本発明の有機半導体素子は、上述した本発明の有機半導体膜形成用組成物を用いて形成された有機半導体膜を有して製造されたものである。
本発明の有機半導体膜形成用組成物を用いて有機半導体膜や有機半導体素子を製造する方法は、特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、組成物を所定の基材上(例えば、ソース電極、ドレイン電極、及び、ゲート絶縁膜上)に付与して、必要に応じて乾燥処理を施して、有機半導体膜を製造する方法が挙げられる。
基材上に組成物を付与する方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法などが挙げられ、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法が好ましい。
なお、フレキソ印刷法としては、フレキソ印刷版として感光性樹脂版を用いる態様が好適に挙げられる。態様によって、組成物を基板上に印刷して、パターンを容易に形成することができる。
中でも、本発明の有機半導体素子の製造方法は、本発明の有機半導体膜形成用組成物を基板上に塗布する塗布工程、を含むことが好ましく、本発明の有機半導体膜形成用組成物を基板上に塗布する塗布工程、及び、塗布された組成物から溶媒を除去する除去工程を含むことがより好ましい。
上記除去工程における乾燥処理は、必要に応じて実施される処理であり、使用される化合物及び溶媒の種類により適宜最適な条件が選択される。中でも、得られる有機半導体膜及び有機半導体素子のキャリア移動度及び駆動安定性により優れ、また、生産性に優れる点で、加熱温度としては30℃〜100℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましく、加熱時間としては10〜300分が好ましく、30〜180分がより好ましい。
形成される有機半導体膜の厚さは、特に制限されないが、得られる有機半導体膜及び有機半導体素子のキャリア移動度及び駆動安定性の観点から、10〜500nmが好ましく、30〜200nmがより好ましい。
[有機半導体素子]
有機半導体素子としては、特に制限はないが、2〜5端子の有機半導体素子であることが好ましく、2又は3端子の有機半導体素子であることがより好ましい。
また、有機半導体素子としては、光電変換素子でないことが好ましい。
更に、本発明の有機半導体素子は、非発光性有機半導体素子であることが好ましい。
2端子素子としては、整流用ダイオード、定電圧ダイオード、PIN(p-intrinsic-n)ダイオード、ショットキーバリアダイオード、サージ保護用ダイオード、ダイアック、バリスタ、トンネルダイオード等が挙げられる。
3端子素子としては、バイポーラトランジスタ、ダーリントントランジスタ、電界効果トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、ユニジャンクショントランジスタ、静電誘導トランジスタ、ゲートターンサイリスタ、トライアック、静電誘導サイリスタ等が挙げられる。
これらの中でも、整流用ダイオード、及び、トランジスタ類が好ましく挙げられ、電界効果トランジスタがより好ましく挙げられる。
本発明の有機半導体素子の一態様である有機薄膜トランジスタ(有機TFT)について図面を参照して説明する。
図1に、有機薄膜トランジスタ(有機TFT)の一態様としてボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタの断面模式図を示す。
図1において、有機薄膜トランジスタ100は、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極20と、ゲート電極20を覆うゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30のゲート電極20側とは反対側の表面に接するソース電極40及びドレイン電極42と、ソース電極40とドレイン電極42との間のゲート絶縁膜30の表面を覆う有機半導体膜50と、各部材を覆う封止層60とを備える。すなわち、有機薄膜トランジスタ100は、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタである。
なお、図1においては、有機半導体膜50が、上述した本発明の有機半導体膜形成用組成物より形成される膜に該当する。
以下、基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体膜及び封止層並びにそれぞれの形成方法について詳述する。
<基板>
基板は、後述するゲート電極、ソース電極、ドレイン電極などを支持する役割を果たす。
基板の種類は特に制限されず、例えば、プラスチック基板、ガラス基板、セラミック基板などが挙げられる。中でも、各デバイスへの適用性及びコストの観点から、ガラス基板又はプラスチック基板であることが好ましい。
<ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極>
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の材料としては、例えば、金(Au)、銀、アルミニウム(Al)、銅、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、白金、タンタル、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属;InO、SnO、酸化インジウムスズ(ITO(Indium Tin Oxide))等の導電性の酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料などが挙げられる。中でも、金属であることが好ましく、銀又はアルミニウムであることがより好ましい。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の厚みは特に制限されないが、20〜200nmであることが好ましい。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を形成する方法は特に制限されないが、例えば、基板上に、電極材料を真空蒸着又はスパッタする方法、電極形成用組成物を塗布又は印刷する方法などが挙げられる。また、電極をパターニングする場合、パターニングする方法としては、例えば、フォトリソグラフィー法;インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法;マスク蒸着法などが挙げられる。
<ゲート絶縁膜>
ゲート絶縁膜の材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリベンゾキサゾール、ポリシルセスキオキサン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のポリマー;二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物;窒化珪素等の窒化物などが挙げられる。これらの材料のうち、有機半導体膜との相性から、ポリマーであることが好ましい。
ゲート絶縁膜の材料としてポリマーを用いる場合、架橋剤(例えば、メラミン)を併用することが好ましい。架橋剤を併用することで、ポリマーが架橋されて、形成されるゲート絶縁膜の耐久性が向上する。
ゲート絶縁膜の膜厚は特に制限されないが、100〜1,000nmであることが好ましい。
ゲート絶縁膜を形成する方法は特に制限されないが、例えば、ゲート電極が形成された基板上に、ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法、ゲート絶縁膜材料を蒸着又はスパッタする方法などが挙げられる。ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法(バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法)を使用することができる。
ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布してゲート絶縁膜を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
<バインダーポリマー層>
本発明の有機半導体素子は、上記有機半導体膜とゲート絶縁膜との間に上述したバインダーポリマーから形成されるバインダーポリマー層を有してもよく、バインダーポリマー層を有する場合、上記有機半導体膜とゲート絶縁膜との間に上記バインダーポリマー層を有することが好ましい。上記バインダーポリマー層の膜厚は特に制限されないが、20〜500nmであることが好ましい。上記バインダーポリマー層は、上記ポリマーを含む層であればよいが、上記バインダーポリマーからなる層であることが好ましい。
バインダーポリマー層を形成する方法は特に制限されないが、公知の方法(バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法、インクジェット法)を使用することができる。
バインダーポリマー層形成用組成物を塗布してバインダーポリマー層を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
<封止層>
本発明の有機半導体素子は、耐久性の観点から、最外層に封止層を備えることが好ましい。封止層には公知の封止剤を用いることができる。
封止層の厚さは特に制限されないが、0.2〜10μmであることが好ましい。
封止層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、ゲート電極とゲート絶縁膜とソース電極とドレイン電極と有機半導体膜とが形成された基板上に、封止層形成用組成物を塗布する方法などが挙げられる。封止層形成用組成物を塗布する方法の具体例は、ゲート絶縁膜形成用組成物を塗布する方法と同じである。封止層形成用組成物を塗布して有機半導体膜を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
また、図2に、有機薄膜トランジスタ(有機TFT)の別の一態様として、トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの断面模式図を示す。
図2において、有機薄膜トランジスタ200は、基板10と、基板10上に配置されたゲート電極20と、ゲート電極20を覆うゲート絶縁膜30と、ゲート絶縁膜30上に配置された有機半導体膜50と、有機半導体膜50上に配置されたソース電極40及びドレイン電極42と、各部材を覆う封止層60を備える。ここで、ソース電極40及びドレイン電極42は、上述した本発明の組成物を用いて形成されたものである。すなわち、有機薄膜トランジスタ200は、ボトムゲート-トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタである。
基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体膜及び封止層については、上述のとおりである。
上記では図1及び図2において、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタ、及び、ボトムゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの態様について詳述したが、本発明の有機半導体素子は、トップゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタ、及び、トップゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタにも好適に使用できる。
上述した有機薄膜トランジスタは、単独でスイッチング素子として用いることができる。また、複数の有機半導体素子をマトリクス上に配列することにより、例えば、電子ペーパー又はディスプレイデバイスの画像を表示する表示部、X線フラットパネルディテクターの画像を受光する受光部などに用いることができる。また、複数の有機半導体素子を組み合わせることにより、インバータ、リングオシレーター及びd-フリップフロップなどの小規模回路、又は、RFID(radio frequency identifier:RFタグ)若しくはメモリなどの論理回路に適用することができる。それぞれのデバイスは、公知の構造を有することができるので、その説明を省略する。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
(有機半導体化合物)
有機半導体膜に用いた実施例化合物1〜7の構造を以下に示す。
実施例化合物1〜7は、いずれも公知の合成法を参考に合成した。具体的には、実施例化合物1及び実施例化合物2は特開2009−54810号公報、特表2011−526588号公報、特開2012−209329号公報、実施例化合物3及び実施例化合物4は米国特許出願公開第2008/0142792号、実施例化合物5及び実施例化合物6は、WO2015147130A、実施例化合物7は特開2011−32268号公報に記載の方法を参考に合成した。
いずれも、高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)、TSKgel ODS−100Z)により純度(254nmの吸収強度面積比)が99.8%以上であることを確認した。また、構造は1H−NMR(プロトン核磁気共鳴)により同定した。また、その他半導体として、F8T2[Poly[(9,9−dioctyl−9H−fluorene−2,7−diyl)−alt−2,2’−bithiophene]−5,5’−diyl)](Aldrich社製、Mn>20000)を使用した。
(ポリ(メタ)アクリレート及び比較例成分)
実施例で使用したポリ(メタ)アクリレートを以下に示す。
珪素原子及びフッ素原子をいずれも有しないポリ(メタ)アクリレート(ポリマーA−1〜A−5)については、下記の合成法によりそれぞれ合成した。
<ポリマーA−1の合成>
100mLの三口フラスコに、アクリル酸ブチル(東亞合成社製)(10.0g)及びトルエン20.0gを入れ、窒素気流下、80℃まで加熱した。得られた反応液に、アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)0.49g及びトルエン1.0g(アゾビスイソブチロニトリル0.49gとトルエン1.0gの溶液)を加え、80℃で16時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、トルエン18.0gで希釈した。反応物をヘキサンで再沈した後、分取クロマトグラフィーで分子量分画分取を行い、ポリマーA−1を9.2g得た。
ポリマーA−1の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法で測定された標準ポリスチレン換算値である。重量平均分子量及び数平均分子量のGPC法による測定は、ポリマーA−1をTHF(Tetrahydrofuran)に溶解させ、高速GPC(HLC−8220GPC、東ソー社製)を用い、カラムとして、TSKgel SuperHZ4000(TOSOH製、4.6mmI.D.×15cm)を用い、溶離液としてTHFを用いて行った。
<ポリマーA−2の合成>
アクリル酸ブチル(東亞合成社製)をメタクリル酸ドデシル(東京化成工業社製)に変更した以外は、上記A−1と同様の方法によりポリマーA−2を合成した。
<ポリマーA−3の合成>
アクリル酸ブチル(東亞合成社製)をメタクリル酸n−オクチル(Polysciences社製)に変更した以外は、上記A−1と同様の方法によりポリマーA−3を合成した。
<ポリマーA−4の合成>
反応時間を65℃に変更した以外は、上記A−1と同様の方法によりポリマーA−4を合成した。
<ポリマーA−5の合成>
反応時間を65℃に変更した以外は、上記A−2と同様の方法によりポリマーA−5を合成した。
また、ポリ(メタ)アクリレートの比較ポリマーとして、BYK−307(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、BYK社製)を用いた。
(溶媒)
実施例及び比較例で使用した溶媒を以下に示す。
・テトラリン(沸点:208℃、SP値:19.6、シグマアルドリッチ社製)
・1−メチルナフタレン(沸点:241℃、SP値:20、シグマアルドリッチ社製)
・1,2−ジクロロベンゼン(沸点:181℃、SP値:20.1、シグマアルドリッチ社製)
・アニソール(沸点:154℃、SP値:19.7、シグマアルドリッチ社製)
・クロロベンゼン(沸点:131℃、SP値:19.4、シグマアルドリッチ社製)
・1,3−ジエチルベンゼン(沸点:181℃、SP値:17.7、シグマアルドリッチ社製)
・1−クロロナフタレン(沸点:259℃、SP値:20.8、東京化成工業社製)
(バインダーポリマー)
実施例及び比較例で使用したバインダーポリマーを以下に示す。
PS(ポリスチレン、重量平均分子量:200万、シグマアルドリッチ社製)
PS(ポリスチレン、重量平均分子量:40万、シグマアルドリッチ社製)
PMS(ポリ(α-メチルスチレン))(重量平均分子量:85万、Polysciences社製)
PMS(ポリ(α-メチルスチレン))(重量平均分子量:43万、シグマアルドリッチ社製)
(実施例1〜22、比較例1〜8:有機半導体膜形成用組成物の調製)
表1及び表2に記載の有機半導体化合物/溶媒/バインダーポリマー/ポリ(メタ)アクリレートについて、有機半導体化合物0.5質量%、バインダーポリマー0.5質量%(比較例3においては、バインダーポリマーを添加せず。)、ポリ(メタ)アクリルレート(比較例1においては代替ポリマーを使用。)を表1及び表2に記載の配合となるように溶媒に溶解させ、更に酸化防止剤としてスミライザーMDP−S(商品名、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、住友化学社製)を0.01質量%、バイアルに秤量し、ミックスローター(アズワン(株)製)で10分間撹拌混合した後、0.5μmメンブレンフィルターでろ過することで、有機半導体膜形成用組成物を得た。得られた有機半導体膜形成用組成物の粘度はいずれも25℃において10mPa・s以上であった。なお、粘度は、JIS Z8803に準拠した測定方法により測定した。
表2において有機半導体化合物の欄が2段になっている項目は複数種併用したことを意味する。
(有機TFT素子作製)
以下の要領で、ボトムゲートボトムコンタクト有機TFT素子を形成した。
<ゲート電極形成>
無アルカリ硝子基板(5cm×5cm)上に、銀ナノインク(H−1、三菱マテリアル社製)をDMP2831(1ピコリットルヘッド)を用いたインクジェット印刷により、幅100μm、膜厚100nmの配線パターンを形成し、その後、200℃90分間、ホットプレート上、大気下で焼成することで、ゲート電極配線を形成した。
<ゲート絶縁膜形成>
ポリビニルフェノール(重量平均分子量:25,000、アルドリッチ社製)5質量部、及び、メラミン5質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート90質量部を撹拌混合し、0.2μmメンブレンフィルターでろ過することで、溶液を作製した。得られた溶液を、上記ゲート電極を作製した硝子基板上に滴下し、スピンコート(1,000rpm、120秒)により、コートし、150℃/30分加熱することで、ゲート絶縁膜を形成した。
<ソース・ドレイン電極形成>
上記絶縁膜コートされた基板中央上に、図3に示すパターンを複数個有するメタルマスクを載せ、UV(紫外線)オゾンを30分間照射することで、マスク開口部を親水処理表面に改質した。銅ナノ粒子を含む組成物を用い、上記改質部分周辺に、DMP2831(1ピコリットルヘッド)を用いたインクジェット印刷により、チャネル長50μm、チャネル幅320μmのソース・ドレイン電極パターンを形成した。得られた基板をN雰囲気下(グローブボックス中、酸素濃度20ppm以下の環境)にて、ホットプレート上200℃で90分焼成することで、膜厚200nmの銅電極を形成した。
作製した有機半導体膜形成用組成物を、上記ソース・ドレイン電極を形成した基板上に、フレキソ印刷法によりコートした。印刷装置として、フレキソ適性試験機F1(アイジーティ・テスティングシステムズ(株)製)を用い、フレキソ樹脂版として、AFP DSH1.70%(旭化成(株)製)/ベタ画像を用いた。版と基板間の圧は、60N、搬送速度0.4m/秒で印刷を行った後、そのまま、60℃下で2時間乾燥することで、有機半導体膜(膜厚:50nm)を作製した。
(特性評価)
(a)移動度
半導体特性評価装置B2900A(アジレントテクノロジー(株)製)を用い、大気下で以下の性能評価を行った。
各有機TFT素子のソース電極−ドレイン電極間に−60Vの電圧を印加し、ゲート電圧を+10V〜−60Vの範囲で変化させ、ドレイン電流Idを表す下記式を用いてキャリア移動度μを算出した。
d=(W/2L)μCi(Vg−Vth2
式中、Lはゲート長、Wはゲート幅、Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧を表す。
キャリア移動度μは高いほど好ましい。キャリア移動度の値に応じて、S〜Dの5段階で評価した。評価基準は以下の通りである。
「S」:0.2cm2/Vs以上
「A」:0.1cm2/Vs以上、0.2cm2/Vs未満
「B」:0.02cm2/Vs以上、0.1cm2/Vs未満
「C」:0.002cm2/Vs以上、0.02cm2/Vs未満
「D」:0.002cm2/Vs未満
(b)駆動安定性
ソース電圧Vs=−20V、ドレイン電圧Vd=0V、ゲート電圧Vg=−20Vの電圧をかけ、その間、10分毎にトランジスタ特性の測定を行い、閾値電圧Vthの初期値に対する変化を12時間測定し、変化の大きさで評価した。
「S」:5V未満のシフトが観測された
「A」:5V以上10V未満のシフトが観測された
「B」:10V以上15V未満のシフトが観測された
「C」:15V以上20V未満のシフトが観測された
「D」:20V以上のシフトが観測された
表1、表2に示すように、本発明の有機半導体膜形成用組成物は、得られる有機半導体膜及び有機半導体素子が高いキャリア移動度を示し、またその駆動安定性にも優れることが確認された。
また、実施例1、3〜5を対比すると、式(A−1)で表される有機半導体化合物において、m及びnがそれぞれ独立に1〜20の整数を表し、且つ、mとnとが異なる数値である、化合物4を使用した場合に、キャリア移動度が優れていることが確認された。
また、実施例1、9〜11を対比すると、有機半導体膜形成用組成物中、珪素原子及びフッ素原子をいずれも有しないポリ(メタ)アクリレートが有機半導体膜形成用組成物の全質量に対して0.05質量%以上0.3質量%以下で含まれる場合に、得られる有機半導体膜及び有機半導体素子がより高いキャリア移動度を示し、またその駆動安定性にもより優れることが確認された。また、有機半導体膜形成用組成物の全固形分量に対して、上記ポリ(メタ)アクリレートの含有量が5質量%以上30質量%以下で含まれる場合に、得られる有機半導体膜及び有機半導体素子がより高いキャリア移動度を示し、またその駆動安定性にもより優れることが確認された。
また、実施例1〜7、15〜17を対比すると、珪素原子及びフッ素原子をいずれも有しないポリ(メタ)アクリレートが、側鎖のアルキル基の炭素数が6以上、且つ、重量平均分子量が50,000以上である場合において、得られる有機半導体膜及び有機半導体素子がより高いキャリア移動度を示し、またその駆動安定性にもより優れることが確認された。
また、実施例1、6、7と実施例12〜14との比較より、溶媒の沸点が200℃以上、かつ、SP値が20以上である場合、より効果が優れることが明らかとなった。
また、実施例1と実施例8との比較より、バインダーポリマーの重量平均分子量が100万以上である場合には駆動安定性により優れることが確認された。
一方、比較例の本発明の有機半導体膜形成用組成物は、有機半導体膜及び有機半導体素子としたときに高いキャリア移動度と優れた駆動安定性とを両立することができなかった。
作製した有機半導体膜形成用組成物を、基板上に、スピンコート法によりコートした以外は表1、表2と同様にして有機半導体膜(膜厚:100nm)を作製したところ、同様の結果を得た。
[実施例23〜44]
<インバータ素子の作製>
図4に示すように、実施例1の有機TFT(有機薄膜トランジスタ)素子と可変抵抗とを接続し、インバータ素子23を作製した。また、実施例1の有機薄膜トランジスタ素子に変えて実施例2〜実施例22の有機薄膜トランジスタ素子を用いて、インバータ素子24〜44を作製した。いずれのインバータ素子もゲイン10以上の良好なインバータ特性を示した。
[実施例45〜66]
<リングオシレーター素子の作製>
図5に示すように、実施例23のインバータ素子を3段連結することによりリングオシレーター素子45を作製した。また、実施例45のインバータ素子に変えて実施例24〜実施例44のインバータ素子を用いて、リングオシレーター素子46〜66を作製した。いずれのリングオシレーター素子も安定して発振した。
以上のように本発明の化合物により各種デバイスの作製が可能なことが示された。
10:基板、20:ゲート電極、30:ゲート絶縁膜、40:ソース電極、42:ドレイン電極、50:有機半導体膜、51:メタルマスク、52:マスク部、53、54:開口部、60:封止層、100、200:有機薄膜トランジスタ

Claims (10)

  1. 下記式(A−1)で表される有機半導体化合物と、
    重量平均分子量50万以上のバインダーポリマーと、
    沸点が160℃以上であり、SP値が18以上23以下である溶媒と、
    珪素原子及びフッ素原子をいずれも有しないポリ(メタ)アクリレートと、を含有する、有機半導体膜形成用組成物。
    式(A−1)中、Tは3環以上7環以下の縮環構造を有する芳香族炭化水素基又は複素芳香族基を表し、La1及びLa2はそれぞれ独立に、単結合、フェニレン基又はチエニレン基を表し、m及びnはそれぞれ独立に、1〜20の整数を表す。
  2. 前記ポリ(メタ)アクリレートが、下記式(B)で表される繰り返し単位を有する化合物である、請求項1に記載の有機半導体膜形成用組成物。
    式(B)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは、置換基又は無置換の炭素数3以上のアルキル基を表す。
  3. 前記Rが、置換基又は無置換の炭素数が6以上のアルキル基であり、且つ、
    前記ポリ(メタ)アクリレートの重量平均分子量が50,000以上である、請求項2に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  4. 前記ポリ(メタ)アクリレートが、前記有機半導体膜形成用組成物の全質量に対して0.05質量%以上0.3質量%以下で含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  5. 前記ポリ(メタ)アクリレートが、前記有機半導体膜形成用組成物中の全固形分量に対して5質量%以上30質量%以下で含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  6. 粘度が25℃で10mPa・s以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  7. 前記溶媒の沸点が200℃以上であり、且つ、SP値が20以上23以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  8. 前記式(A−1)で表される有機半導体化合物において、m及びnがそれぞれ独立に1〜20の整数を表し、且つ、mとnとが異なる数値である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  9. 前記バインダーポリマーの重量平均分子量が100万以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機半導体膜形成用組成物を基板上に塗布する塗布工程を含む、有機半導体膜の製造方法。
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