JP2018172575A - 有機半導体及びその製造方法 - Google Patents

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大次 池田
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Junichi Takeya
純一 竹谷
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Abstract

【課題】高い移動度(又はキャリア移動度)を有する有機半導体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の有機半導体は、下記式(A)で表される化合物を含む。
Figure 2018172575

(式中、環A及びAは同一又は異なって少なくとも1つの炭素−炭素不飽和結合を有する環;R1a及びR1bは同一又は異なって水素原子又は置換基;R及びRは同一又は異なって水素原子、置換基、又は周期表第16族元素から選択される原子;p1及びp2は同一又は異なって0以上の整数を示し、
Figure 2018172575

で表される結合は単結合又は二重結合を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、屈曲型骨格(例えば、ベンゾジチオフェン環などの骨格)を有する縮合多環式化合物を含む有機半導体及びその製造方法、並びに前記有機半導体を含む電子デバイス(例えば、有機薄膜トランジスタなど)に関する。
縮合多環式化合物は、互いに隣接する2以上の環において、2以上の原子が共有された構造を有する多環式化合物であり、複数の5又は6員環(例えば、ベンゼン環、チオフェン環など)が縮合した縮合多環式芳香族化合物(例えば、ペンタセンなどのアセン系化合物など)などが知られている。このような化合物のうち、縮合多環式芳香族化合物(特に、ペンタセンなどのアセン系化合物など)は、環上に広がる共役系によりπ電子が非局在化されるとともに、分子構造の高い平面性のため、分子間における電子伝導性を向上し易いこととも相まって、良好な電気的特性(半導体特性)を示すことから、真空蒸着法などにより薄膜を形成することで有機半導体材料(例えば、有機薄膜トランジスタ用材料など)として利用されている。
一方、塗布法又は印刷法(例えば、スピンコートなど)などのウェットプロセスにより有機半導体層を形成するプリンテッドエレクトロニクスが近年注目されている。プリンテッドエレクトロニクスでは、高温プロセスを必要とすることなく、有機半導体層を容易に又は効率よく形成できるため、製造コストを有効に低減できる。また、プラスチック基板などの耐熱性が低い材料も利用可能になるため、軽量性や柔軟性(又は可撓性)などの特徴を活かした種々の用途への展開も期待されている。
しかしながら、ペンタセンなどのアセン系化合物は、分子構造の平面性が高いだけでなく、π−π相互作用などの影響により分子同士が凝集し易いため、有機溶媒に対する溶解性が極端に低い。そのため、ウェットプロセスにより有機半導体層を形成するプリンテッドエレクトロニクスへの適用は困難である。
このような縮合多環式化合物の溶解性を改善するため、置換基として長鎖アルキル基などを導入して溶解度を向上させる措置がとられている。しかし、絶縁性の高い長鎖アルキル基の導入は、移動度(電気移動度)低下の原因となるため、縮合多環式化合物の溶解性と移動度とはトレードオフの関係にあり、これらの特性を両立するのは極めて困難である。
そして、前記長鎖アルキル基を有する化合物を用いて有機トランジスタなどの素子を形成すると、素子の動作電圧が高くなる傾向にある。すなわち、前記長鎖アルキル基は、デバイス界面(電極/有機半導体界面など)でキャリアをトラップして接触抵抗を増大させるためか、特に駆動初期(電流の立ち上がり)における移動度が小さくなり、素子の電流注入抵抗が数十〜数千kΩ・cm程度に増加する。そのため、素子の動作電圧は数十〜100V程度と高く、実用上の動作電圧を低減できない。
また、前記長鎖アルキル基を有する化合物を用いて形成した素子では、移動度もバラつき易い傾向にある。詳しくは、アルキル基を有する縮合多環式化合物を用いて有機半導体層を塗布成形する場合、柔軟なアルキル基が凝集したアルキル部と、剛直な縮合環骨格がスタッキングした縮合環骨格部とが相分離して有機半導体層内に形成される。前記アルキル部及び縮合環骨格部は、通常、交互に積層された形態で形成されており、縮合環骨格がスタッキングする方向(πスタック方向又は結晶成長方向)では導電性(又は移動度)が優れているものの、前記πスタック方向に垂直なラメラ方向(アルキル部と縮合環部とが交互に配列する(積み重なる)方向、又は縮合環骨格の面方向)ではアルキル部の影響により移動度が極端に低下することが知られている。この移動度の異方性のため、三次元的に移動度を均一化するのは困難であり、素子によってバラつきが大きくなる。
そのため、長鎖アルキル基の導入以外の方法で溶解性を向上する方法も検討されている。例えば、特開2015−195361号公報(特許文献1)には、下記式で表されるチエノビスベンゾチオフェン(TBBT)骨格を有する化合物と、沸点100℃以上の溶媒を含む非発光性有機半導体デバイス用塗布液が開示されている。
Figure 2018172575
(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアルコキシ基を表し、置換基を有していてもよく、芳香族部分にハロゲン原子が置換していてもよい)。
上記式で表される化合物では、中央のチオフェン環により、縮合環骨格が屈曲して化合物の双極子モーメントが大きくなるためか、溶解性が向上する傾向にある。しかし、溶解性が十分ではないためか、この文献の実施例では、基R11及びR12にアルキル基などを導入した化合物を用いている。
また、特許文献1では、チオフェン環骨格により縮合環骨格を屈曲させているが、前記チオフェン環の硫黄原子(−S−)に代えて、ビニレン基(−CH=CH−)を導入して縮合環骨格をより屈曲させた化合物(屈曲型化合物)については、合成が困難なためか検討されていない。なお、このような屈曲型化合物について、特開2013−177399号公報(特許文献2)には、ベンゾジチオフェン骨格を有する化合物(例えば、化合物71など)が例示されているものの、実施例では具体的に合成されていないのみならず、溶解性や半導体特性(電気的特性)についても何ら記載されていない。
特開2015−195361号公報(請求項1、実施例) 特開2013−177399号公報(段落[0043]、実施例)
従って、本発明の目的は、高い移動度(又はキャリア移動度)を有する有機半導体及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、アルキル基を含んでいなくても、高い溶解性と高い移動度とを両立可能な有機半導体及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ベンゼン環の1,2−位及び3,4−位のそれぞれに縮合環を形成した屈曲型骨格を有する縮合多環式化合物を容易に又は効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の屈曲型骨格を有する縮合多環式化合物を含む有機半導体は、高い移動度を有すること、さらには、溶媒に対する溶解性に優れることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の有機半導体は、下記式(A)で表される化合物を含む。
Figure 2018172575
(式中、環A及びAは同一又は異なって少なくとも1つの炭素−炭素不飽和結合を有する環;R1a及びR1bは同一又は異なって水素原子又は置換基;R及びRは同一又は異なって水素原子、置換基、又は周期表第16族元素から選択される原子;p1及びp2は同一又は異なって0以上の整数を示し、
Figure 2018172575
で表される結合は単結合又は二重結合を示す)。
前記式(A)において、環A及びAはヘテロ原子を有していてもよい芳香族環であってもよい。
前記式(A)で表される化合物は、下記式(A-1)及び下記式(A-2)で表される化合物から選択される少なくとも1種であってもよい。
Figure 2018172575
(式中、環Ar及びArが同一又は異なってアレーン環;R及びRは同一又は異なって置換基;q1及びq2は同一又は異なって0以上の整数を示し;R1a及びR1bは前記式(A)に同じ)。
Figure 2018172575
(式中、Z及びZは同一又は異なって周期表第13族〜16族元素から選択される原子;R2a、R2b、R4a、R4b、R5a及びR5bは同一又は異なって水素原子又は置換基;R3a及びR3bは同一又は異なって周期表第16族元素から選択される原子;m1及びm2は同一又は異なって0〜4の整数;n1及びn2は同一又は異なって0〜2の整数を示し;R1a及びR1bは前記式(A)に同じ)。
前記式(A-1)において、環Ar及びArはC6−18アレーン環(例えば、C6−14アレーン環、好ましくはC6−10アレーン環など);R1a及びR1bは水素原子又は炭化水素基(例えば、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基、好ましくは水素原子又はC1−30アルキル基など);R及びRは炭化水素基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基など);q1及びq2は0〜8程度の整数(例えば、0〜4程度の整数、好ましくは0など)であってもよい。
式(A-2)において、Z及びZは周期表第14〜16族元素から選択される原子(例えば、Z及びZが炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、硫黄、セレン及びテルルから選択される原子、好ましくは酸素、硫黄及びセレンから選択される原子など);R1a、R1b、R2a、R2b、R5a及びR5bは水素原子又は炭化水素基[例えば、R1a、R1b、R2a、R2b、R5a及びR5bは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基、好ましくはR1a及びR1bは水素原子又はC1−30アルキル基、R5a及びR5bは水素原子など];R3a及びR3bは酸素原子又は硫黄原子(例えば、酸素原子など);R4a、R4bは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素基を有していてもよいヘテロアリール基、リチウム原子、基−B(OH)、基−ZnX(式中、Xはハロゲン原子を示す。)、基−MgX(式中、Xはハロゲン原子を示す。)、基−SnR (式中、Rはアルキル基を示す。)又は基−SiR (式中、Rはフッ素、塩素又はアルキル基を示す。)[例えば、水素原子、ハロゲン原子、アリール基、アルキルアリール基、ヘテロアリール基又はアルキルヘテロアリール基、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、C6−14アリール基、C1−20アルキルC6−14アリール基、C4−13ヘテロアリール基又はC1−20アルキルC4−13ヘテロアリール基など];m1及びm2は0〜3程度の整数(例えば、0〜2程度の整数、好ましくは0)程度であってもよい。
本発明は、下記式(1)で表される化合物を加熱する加熱工程を含む前記有機半導体の製造方法も包含する。
Figure 2018172575
(式中、Zは周期表第13〜16族元素から選択される原子;Rは同一又は異なって水素原子又は置換基;Rは同一又は異なって周期表第16族元素から選択される原子;mは0〜4の整数;nは0〜2の整数を示し、A、A、R1a、R1b、R、R、p1、p2及び
Figure 2018172575
は前記式(A)に同じ)。
前記加熱工程における加熱温度は、例えば、100〜400℃(例えば、200〜300℃)程度であってもよい。
また、本発明は、前記有機半導体を含む電子デバイスも包含する。
本発明の有機半導体は、高い移動度(又はキャリア移動度)を有するのみならず、アルキル基を含まなくても高い溶解性を示すため、溶解性と移動度とを両立できる。また、本発明の方法では、ベンゼン環の1,2−位及び3,4−位のそれぞれに縮合環を形成した屈曲型骨格を有する縮合多環式化合物を容易に又は効率よく製造できる。
本発明の有機半導体は、下記式(A)で表される化合物を含む。
Figure 2018172575
(式中、環A及びAは同一又は異なって少なくとも1つの炭素−炭素不飽和結合を有する環;R1a及びR1bは同一又は異なって水素原子又は置換基;R及びRは同一又は異なって水素原子、置換基、又は周期表第16族元素から選択される原子;p1及びp2は同一又は異なって0以上の整数を示し、
Figure 2018172575
で表される結合は単結合又は二重結合を示す)。
前記式(A)において、A及びAで表される環は、基R1a及びR1bが置換するベンゼン環と、それぞれ2つの炭素原子(前記ベンゼン環における1,2−位及び3,4−位の炭素原子)を共有して縮合環を形成する。そのため、環A及びAは、少なくとも1つの炭素−炭素不飽和結合(C=C結合)を有する限り特に制限されず、ヘテロ原子(例えば、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)など)を有する複素環(ヘテロ環)であってもよく、ヘテロ原子を有していない炭化水素環であってもよい。このような環としては、例えば、脂肪族環{例えば、脂肪族炭化水素環[例えば、シクロアルケン環(シクロペンテン環、シクロヘキセン環など)などの単環式脂肪族環;橋架け環(ボルネン(ボルニレン)環、ノルボルネン環、ジシクロペンタジエン環など)などの多環式脂肪族環など];脂肪族複素環[例えば、3−ピロリン、ジヒドロピランなどのヘテロ原子(窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)など)を有する脂肪族環など]など};芳香族環などが挙げられる。これらの環A及びAのうち、電気的特性(半導体特性)に優れる点から、通常、ヘテロ原子を有していてもよい芳香族環[例えば、芳香族炭化水素環(アレーン環)、芳香族複素環(ヘテロアレーン環)など]である場合が多い。
芳香族炭化水素環(アレーン環)としては、例えば、ベンゼン環などの単環式アレーン環;縮合多環式アレーン環[例えば、インデン環、インダン環、ナフタレン環、テトラリン環、アズレン環、インダセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フェナレン環、フルオランテン環、アセアントリレン環、アセフェナントリレン環、ナフタセン環、クリセン環、ピレン環、トリフェニレン環、ペンタセン環、ペンタフェン環、ピセン環、ペリレン環などのC9−30縮合多環式アレーン環、好ましくは縮合多環式C9−26アレーン環など]などが挙げられる。好ましい芳香族炭化水素環としては、C6−22アレーン環(例えば、C6−18アレーン環)、さらに好ましくはC6−14アレーン環(例えば、C6−10アレーン環)、特にベンゼン環又はナフタレン環(特にナフタレン環)であってもよい。
芳香族複素環(ヘテロアレーン環)としては、例えば、単環式ヘテロアレーン環[例えば、窒素(N)含有単環式ヘテロアレーン環(例えば、ピロール環、イミダゾ−ル環、ピラゾ−ル環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環など);酸素(O)含有単環式ヘテロアレーン環(例えば、フラン環、ピラン環など);硫黄(S)含有単環式ヘテロアレーン環(例えば、チオフェン環など);2種以上のヘテロ原子を含有する単環式ヘテロアレーン環(例えば、オキサゾ−ル環、イソオキサゾ−ル環、チアゾ−ル環、イソチアゾ−ル環、チアジン環、フラザン環、チアジアジン環など)などのC2−5ヘテロアレーン環、好ましくはC3−5ヘテロアレーン環など];多環式ヘテロレーン環[例えば、窒素(N)含有多環式ヘテロアレーン環(例えば、インドリジン環、インドール環、3H−インドール環、イソインドール環、1H−インダゾール環、プリン環、キノリン環、イソキノリン環、4H−キノリジン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、カルバゾール環、4aH−カルバゾール環、β−カルボリン環、アクリジン環、フェナントリジン環、フェナジン環、フェナントロリン環、ペリミジン環など);酸素(O)含有多環式ヘテロアレーン環(例えば、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、クロメン環、クロマン環、イソクロマン環、キサンテン環など);硫黄(S)含有多環式ヘテロアレーン環(例えば、ベンゾチオフェン環、チエノチオフェン環、チアントレン環など);2種以上のヘテロ原子を含有する多環式ヘテロアレーン環(例えば、チエノフラン環、イミダゾチアゾール環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェナルサジン環など)などのC6−20ヘテロアレーン環(好ましくはC6−16ヘテロアレーン環)など]などが挙げられる。好ましいヘテロアレーン環としては、C2−13ヘテロアレーン環(例えば、窒素(N)含有単環式又は多環式C2−13ヘテロアレーン環、硫黄(S)含有単環式又は多環式C2−13ヘテロアレーン環など)、さらに好ましくはC3−9ヘテロアレーン環(特にチオフェン環、ベンゾチオフェン環などの硫黄(S)含有単環式又は多環式C3−9ヘテロアレーン環など)であってもよい。
これらの環A及びAのうち、C6−30アレーン環又はC2−20ヘテロアレーン環が好ましく、なかでも、C6−14アレーン環又はC2−13ヘテロアレーン環、特にC6−10アレーン環又はC4−8ヘテロアレーン環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、特に、ナフタレン環又はチオフェン環)が好ましい。また、環A及びAの種類は、異なっていてもよいが、通常、同一であることが多い。なお、環A及びAにおいて、縮合位置(環A及びAと縮合するベンゼン環における1,2−位及び3,4−位の炭素原子(又はC=C結合)を共有する位置)は、特に制限されない。
1a及びR1bで表される置換基としては、例えば、炭化水素基{例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i-ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基(ラウリル基)などの直鎖状又は分岐鎖状C1−30アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−20アルキル基など);シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基など);アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基などのC6−12アリール基など);これらの基を2つ以上組み合わせた基[例えば、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6−12アリール−C1−10アルキル基など);アルキルアリール基(例えば、トリル基(メチルフェニル基)、キシリル基(ジメチルフェニル基)などのモノ乃至ペンタ(C1−20アルキル)C6−12アリール基など)など]など};基−OR(式中、Rは上記例示の炭化水素基を示す。)[例えば、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ドデシルオキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−20アルコキシ基など);シクロアルキルオキシ基(例えば、シクロヘキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など);アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基などのC6−12アリールオキシ基など);アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−12アリール−C1−10アルキルオキシ基など);アルキルアリールオキシ基(例えば、トリルオキシ基、キシリルオキシ基などのモノ乃至ペンタ(C1−20アルキル)C6−12アリールオキシ基など)など];基−SR(式中、Rは上記例示の炭化水素基を示す。)[例えば、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ドデシルチオ基などのC1−20アルキルチオ基など);シクロアルキルチオ基(例えば、シクロヘキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など);アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基などのC6−12アリールチオ基など);アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−12アリール−C1−10アルキルチオ基など);アルキルアリールチオ基(例えば、トリルチオ基、キシリルチオ基などのモノ乃至ペンタ(C1−20アルキル)C6−12アリールチオ基など)など];ヒドロキシル基;ホルミル基;アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基などのC1−10アシル基など);アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのC1−12アルコキシカルボニル基など);カルボキシル基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基;置換アミノ基[例えば、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC1−6アルキルアミノ基など);ジアシルアミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基などのジC1−10アシルアミノ基など)など];チオール基;スルホン酸基(スルホ基);ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)など]などが挙げられる。
基R1a及びR1bの種類は、互いに異なっていてもよいが、通常、同一である場合が多い。好ましい基R1a及びR1bとしては、水素原子又は炭化水素基(例えば、アルキル基(例えば、C1−30アルキル基など)、シクロアルキル基、アリール基など)であり、さらに好ましくは水素原子、C1−25アルキル基、C5−10シクロアルキル基又はC6−12アリール基(例えば、水素原子、C1−20アルキル基、C5−8シクロアルキル基又はC6−10アリール基など)、特に水素原子、C4−18アルキル基又はC6−10アリール基(例えば、水素原子、C6−16アルキル基、特に水素原子)であってもよい。
及びRで表される置換基としては、前記基R1a及びR1bと同様の置換基、金属(又は半金属)含有基などが挙げられる。金属(又は半金属)含有基としては、金属原子又は半金属原子(例えば、ケイ素、ホウ素など)を含む限り特に制限されず、代表的には、例えば、リチウム原子(リチオ基)、基−B(OH)、基−ZnX(式中、Xはハロゲン原子を示す。)、基−MgX(式中、Xはハロゲン原子を示す。)、基−SnR (式中、Rはアルキル基を示す。)、基−SiR (式中、Rはフッ素、塩素又はアルキル基を示す。)などが挙げられる。
及びXで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。R及びRで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、n−ブチル基などのC1−6アルキル基(好ましくはメチル基などのC1−4アルキル基など)などが挙げられる。3つの基Rは互いに同一又は異なっていてもよく、3つの基Rも互いに同一又は異なっていてもよい。
及びRで表される周期表第16族元素から選択される原子としては、例えば、酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、ポロニウム(Po)などが挙げられる。これらの周期表第16元素から選択される原子のうち、好ましくは酸素、硫黄、セレン及びテルルから選択される原子であり、さらに好ましくは酸素、硫黄及びセレンから選択される原子(例えば、酸素原子[又はオキソ基(=O)]又は硫黄原子[又はチオキソ基(=S)])、特に酸素原子であってもよい。
基R及びRの置換数p1及びp2は、環A及びAの種類に応じて選択でき、例えば、0〜12(例えば、0〜8)程度の整数、好ましくは0〜6(例えば、0〜4)程度の整数、さらに好ましくは0〜3(例えば、0〜2)程度の整数、特に0又は1であってもよい。置換数p1及びp2が2以上である場合、2以上のR及びRの種類は、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく、通常、同一である。なお、実施例及び破線で表される結合は、R及びRが水素原子又は置換基(例えば、炭化水素基など)である場合は単結合であり、R及びRが第16族元素から選択される原子(例えば、酸素原子)である場合は二重結合を示す場合が多い。
なお、前記式(A)で表される化合物(後述する式(A-1)及び式(A-2)で表される化合物も含む)において、A及びA、R1a及びR1b、R及びR並びにp1及びp2が、それぞれ互いに同一である化合物、すなわち、紙面上においてA及びAと縮合するベンゼン環の中心を通る縦線を軸とした線対称な構造を有する化合物であると、分子同士が並び易い(又はスタッキングし易い)ためか、電気的特性(移動度など)が向上できるため好ましい。
前記式(A)で表される化合物として、代表的には、式(A-1)及び式(A-2)で表される化合物などが挙げられる。
(式(A-1)で表される化合物)
Figure 2018172575
(式中、環Ar及びArが同一又は異なってアレーン環;R及びRは同一又は異なって置換基;q1及びq2は同一又は異なって0以上の整数を示し;R1a及びR1bは好ましい態様も含めて前記式(A)に同じ)。
前記式(A-1)において、Ar及びArで表されるアレーン環としては、前記式(A)の環A及びAの項で例示した芳香族炭化水素環などが挙げられる。好ましいアレーン環としては、C6−22アレーン環(例えば、C6−18アレーン環)、さらに好ましくはC6−14アレーン環(例えば、ベンゼン環又はナフタレン環などのC6−10アレーン環)、特にナフタレン環であってもよい。また、環Ar及びArの種類は、互いに同一又は異なっていてもよく、通常、同一であることが多い。なお、環Ar及びArにおいて、縮合位置(環Ar及びArと縮合するベンゼン環における1,2−位及び3,4−位の炭素原子(又はC=C結合)を共有する位置)は、特に制限されない。
及びRで表される置換基としては、前記式(A)のR及びRの項で例示した置換基(基R1a及びR1bと同様の置換基、金属(又は半金属)含有基)などが挙げられる。基R及びRの種類は、互いに異なっていてもよいが、通常、同一である場合が多い。好ましい基R及びRとしては、炭化水素基(例えば、アルキル基(例えば、C1−30アルキル基、好ましくはC1−20アルキル基など)、シクロアルキル基、アリール基など)、金属(又は半金属)含有基であり、さらに好ましくはC1−16アルキル基、C5−10シクロアルキル基又はC6−12アリール基(例えば、C1−12アルキル基、C5−8シクロアルキル基又はC6−10アリール基など)、金属(又は半金属)含有基[例えば、リチウム原子(リチオ基)、基−B(OH)、ハロジンシオ基(ブロモジンシオ基など)、ハロマグネシオ基(ブロモマグネシオ基など)、トリアルキルスタンニル基(トリメチルスタンニル基などのトリC1−6アルキルスタンニル基など)、トリハロシリル基(トリフルオロシリル基、トリクロロシリル基など)、トリアルキルシリル基(トリメチルシリル基などのトリC1−6アルキルシリル基など)など]、特にC4−10アルキル基又はC6−10アリール基であってもよい。
基R及びRの置換数q1及びq2は0以上の整数を示し、環Ar及びArの種類に応じて、例えば、0〜14程度の範囲から選択してもよく、例えば、0〜12(例えば、0〜8)程度の整数、好ましくは0〜6(例えば、0〜4)程度の整数、さらに好ましくは0〜3(例えば、0〜2)程度の整数、特に0又は1(特に0)であってもよい。置換数q1及びq2が2以上である場合、2以上のR及びRの種類は、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよく、通常、同一である。
前記式(A-1)で表される化合物として、代表的には、後述する式(1A)で表される化合物の項に例示する化合物に対応した化合物、例えば、環Ar及びArがC6−14アレーン環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環など)、基R1a及びR1bが水素原子又はC1−30アルキル基、q1及びq2が0である化合物[例えば、フェナントレンなどのC14−22アレーン;前記C14−22アレーンに対応して、式(A-1)における基R1a及びR1bがアルキル基(例えば、C1−25アルキル基、好ましくはC1−20アルキル基など)である化合物(例えば、9,10−ジヘキサデシルフェナントレンなど)など]などが挙げられる。
(式(A-2)で表される化合物)
Figure 2018172575
(式中、Z及びZは同一又は異なって周期表第13族〜16族元素から選択される原子;R2a、R2b、R4a、R4b、R5a及びR5bは同一又は異なって水素原子又は置換基;R3a及びR3bは同一又は異なって周期表第16族元素から選択される原子;m1及びm2は同一又は異なって0〜4の整数;n1及びn2は同一又は異なって0〜2の整数を示し;R1a及びR1bは好ましい態様も含めて前記式(A)に同じ)。
前記式(A-2)において、Z及びZで表される原子としては、周期表第13族(3B族)元素、第14族(4B族)元素、第15族(5B族)元素及び第16族(6B族)元素から選択される原子であり、周期表第13族(3B族)元素としては、例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)[好ましくはホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、さらに好ましくはホウ素、アルミニウム、ガリウムなど]などが挙げられる。
周期表第14族(4B族)元素としては、例えば、炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)[好ましくは炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、さらに好ましくは炭素、ケイ素、ゲルマニウムなど]などが挙げられる。
周期表第15族(5B族)元素としては、例えば、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)[好ましくは窒素、リン、ヒ素、アンチモン、さらに好ましくは窒素、リン、ヒ素など]などが挙げられる。
周期表第16族(6B族)元素としては、例えば、酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、ポロニウム(Po)[好ましくは酸素、硫黄、セレン、テルル、さらに好ましくは酸素、硫黄、セレン、特に硫黄、セレン(特に硫黄)など]などが挙げられる。
これらのZ及びZで表される原子の種類は、互いに異なっていてもよいが、通常、Z及びZが同一である場合が多い。好ましいZ及びZで表される原子としては、周期表第14族元素、第15族元素、第16族元素からなる群より選択される原子(例えば、炭素、窒素、リン、酸素、硫黄、セレン及びテルルから選択される原子など)であり、さらに好ましくは周期表第16族元素(例えば、酸素、硫黄及びセレンから選択される原子、特に硫黄など)などであってもよい。
及びZで表される原子の各原子価(価数)v1及びv2は互いに同一又は異なって2〜6価であり、それぞれ、v1=m1+2×n1+2及びv2=m2+2×n2+2を満たしている。また、各原子価v1及びv2は、それぞれ対応する原子の種類に応じて選択でき、例えば、周期表第13族元素(例えば、ホウ素)では3価である場合が多く、周期表第14族元素(例えば、炭素、ケイ素など)では2価又は4価(特に4価)である場合が多く、周期表第15族元素(例えば、窒素、リンなど)では3〜5価である場合が多く、周期表第16族元素(例えば、酸素、硫黄、セレンなど)では2〜6価である場合が多い。
2a及びR2bで表される置換基としては、例えば、前記式(A)の基R1a及びR1bの項に例示した置換基と同様の置換基などが挙げられる。基R2a及びR2bの種類は、互いに異なっていてもよいが、通常、基R2a及びR2bが同一である場合が多い。好ましい基R2a及びR2bとしては、水素原子又は炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−30アルキル基、好ましくはC1−20アルキル基など)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基など]であり、さらに好ましくは水素原子、C1−16アルキル基、C5−10シクロアルキル基又はC6−12アリール基(例えば、水素原子、C1−10アルキル基、C5−8シクロアルキル基又はC6−10アリール基など)、特に水素原子、C1−6アルキル基又はC6−10アリール基[特に水素原子、C1−4アルキル基(メチル基など)又はC6−8アリール基(フェニル基など)]であってもよい。なお、置換数m1及びm2が2以上である場合、2以上の基R2a及びR2bの種類は、互いに同一又は異なっていてもよい。
基R2a及びR2bの各置換数m1及びm2は、互いに同一又は異なって、例えば、0〜3の整数、好ましくは0〜2の整数(例えば、0又は1、特に0)であってもよい。また、置換数m1及びm2は、対応する基R2a及びR2bが結合するZ及びZの各原子価v1及びv2に応じて選択してもよく、例えば、原子価が2価の場合、置換数m1及びm2は0であり、原子価が3価の場合、置換数m1及びm2は1であり、原子価が4価の場合、置換数m1及びm2は0又は2であり、原子価が5価の場合、置換数m1及びm2は1又は3であり、原子価が6価の場合、置換数m1及びm2は0、2又は4(例えば、0又は2、特に0)であることが多い。なお、置換数m1及びm2は互いに異なっていてもよいが、通常、m1及びm2が同一である場合が多く、例えば、m1及びm2が0であってもよい。
3a及びR3bで表される周期表第16族(6B族)元素としては、例えば、前記式Z及びZの項に例示した周期表第16族(6B族)元素などが挙げられる。好ましいR3a及びR3bとしては、酸素、硫黄、セレン及びテルルから選択される原子であり、さらに好ましくは酸素、硫黄及びセレンから選択される原子(例えば、酸素原子[又はオキソ基(=O)]又は硫黄原子[又はチオキソ基(=S)])、特に酸素原子であってもよい。R3a及びR3bの種類は互いに異なっていてもよいが、通常、R3a及びR3bが同一である場合が多い。置換数n1及びn2が2である場合、2つの基R3a及びR3bの種類は、互いに同一又は異なっていてもよい。
基R3a及びR3bの各置換数n1及びn2は、対応するR3a及びR3bが結合するZ及びZの各原子価v1及びv2に応じて選択してもよく、例えば、原子価が2価又は3価の場合、置換数n1及びn2は0であり、原子価が4価又は5価の場合、置換数n1及びn2は0又は1であり、原子価が6価の場合、置換数n1及びn2は0〜2の整数(例えば、1又は2、特に2)であることが多い。なお、置換数n1及びn2は互いに異なっていてもよいが、通常、n1及びn2が同一である場合が多く、例えば、n1及びn2が0であってもよい。
4a及びR4bで表される置換基としては、例えば、前記式(A)の基R及びRの項に例示の置換基(前記基R1a及びR1bと同様の置換基、金属(又は半金属)含有基)、炭化水素基を有していてもよいヘテロアリール基などが挙げられる。これらの置換基のうち、通常、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素基を有していてもよいヘテロアリール基、金属(又は半金属)含有基などである場合が多い。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素(好ましくは塩素、臭素、ヨウ素、さらに好ましくは臭素)が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基(ラウリル基)などの直鎖状又は分岐鎖状C1−20アルキル基など);シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基など);アリール基;これらの基を2つ以上組み合わせた基[例えば、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6−12アリール−C1−10アルキル基など);アルキルアリール基など]などが挙げられる。これらの炭化水素基のうち、アリール基、アルキルアリール基が好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、ビナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのC6−20アリール基、好ましくはC6−14アリール基、さらに好ましくはC6−10アリール基などが挙げられる。
アルキルアリール基としては、例えば、トリル基(メチルフェニル基)、キシリル基(ジメチルフェニル基)、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、2−エチルヘキシル−フェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基などのモノ乃至ペンタ(C1−20アルキル)C6−20アリール基、好ましくはモノ乃至トリ(C1−16アルキル)C6−14アリール基(例えば、モノ又はジ(C4−12アルキル)C6−12アリール基など)、さらに好ましくはC6−10アルキルC6−10アリール基などが挙げられる。
ヘテロアリール基としては、例えば、単環式ヘテロアリール基と多環式ヘテロアリール基とに大別でき、単環式ヘテロアリール基としては、例えば、窒素(N)含有単環式ヘテロアリール基(例えば、ピロリル基、2H−ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基など);酸素(O)含有単環式ヘテロアリール基(例えば、フリル基、ピラニル基など);硫黄(S)含有単環式ヘテロアリール基(例えば、チエニル基(2−チエニル基、3−チエニル基)など);2種以上のヘテロ原子を含有する単環式ヘテロアリール基(例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジニル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、チアジアジニル基、チアトリアゾリル基など)などのC1−5ヘテロアリール基(好ましくはC3−5ヘテロアリール基)などが挙げられる。
多環式ヘテロアリール基としては、例えば、窒素(N)含有多環式ヘテロアリール基(例えば、インドリジニル基、インドリル基、3H−インドリル基、イソインドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、キノリル基、イソキノリル基、4H−キノリジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、カルバゾリル基、4aH−カルバゾリル基、β−カルボリニル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、フェナジニル基、フェナントロリニル基、ペリミジニル基など);酸素(O)含有多環式ヘテロアリール基(例えば、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基など);硫黄(S)含有多環式ヘテロアリール基(例えば、チエノチエニル基、チアントレニル基など);2種以上のヘテロ原子を含有する多環式ヘテロアリール基(例えば、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサチイニル基、フェナルサジニル基など)などのC6−13ヘテロアリール基(好ましくはC6−9ヘテロアリール基)などが挙げられる。
これらのヘテロアリール基のうち、溶解性と電気的特性とを高いレベルで両立できる点から、単環式ヘテロアリール基が好ましく、なかでも、窒素(N)含有単環式ヘテロアリール基、硫黄(S)含有単環式ヘテロアリール基が好ましく、特にチエニル基などの硫黄(S)含有単環式ヘテロアリール基が好ましい。
前記ヘテロアリール基に置換する炭化水素基としては、例えば、上記例示の炭化水素基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基など)などが挙げられる。また、置換数は特に制限されず、ヘテロアリール基に応じて選択でき、例えば、0〜5程度の整数、好ましくは0〜3(例えば、0〜2)程度の整数、さらに好ましくは0又は1程度であってもよい。そのため、炭化水素基に置換されたヘテロアリール基としては、例えば、アルキル−ヘテロアリール基、シクロアルキル−ヘテロアリール基、アリール−ヘテロアリール基などが挙げられ、通常、C1−20アルキル−C1−13ヘテロアリール基、C6−12アリール−C1−13ヘテロアリール基(例えば、C1−16アルキル−C3−9ヘテロアリール基、特にC1−12アルキル−C3−5ヘテロアリール基)である場合が多い。
金属(又は半金属)含有基としては、例えば、前記基R及びRの項に例示の基と同様の基などが挙げられる。金属(又は半金属)含有基としては、例えば、リチウム原子(リチオ基)、基−B(OH)、ハロジンシオ基(ブロモジンシオ基など)、ハロマグネシオ基(ブロモマグネシオ基など)、トリアルキルスタンニル基(トリメチルスタンニル基などのトリC1−6アルキルスタンニル基など)、トリハロシリル基(トリフルオロシリル基、トリクロロシリル基など)、トリアルキルシリル基(トリメチルシリル基などのトリC1−6アルキルシリル基など)などである場合が多い。
これらの基R4a及びR4bのうち、水素原子、ハロゲン原子、アリール基(例えば、C6−14アリール基など)、アルキルアリール基(例えば、C1−20アルキルC6−14アリール基など)、ヘテロアリール基(例えば、C4−13ヘテロアリール基など)、アルキルヘテロアリール基(例えば、C1−20アルキルC4−13ヘテロアリール基など)が好ましく、なかでも、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素、特に臭素)、C6−12アリール基(特にC6−10アリール基)、C1−16アルキルC6−12アリール基(例えば、C1−12アルキルC6−10アリール基)、C4−9ヘテロアリール基(例えば、C4−5ヘテロアリール基)、C1−16アルキルC4−9ヘテロアリール基(例えば、C1−12アルキルC4−5ヘテロアリール基)が特に好ましい。なお、基R4a及びR4bの種類は、互いに異なっていてもよいが、通常、同一である場合が多い。
5a及びR5bで表される置換基としては、例えば、前記式(A)の基R1a及びR1bの項に例示した置換基と同様の置換基などが挙げられる。基R5a及びR5bの種類は、互いに異なっていてもよいが、通常、基R5a及びR5bが同一である場合が多い。好ましい基R5a及びR5bとしては、水素原子又は炭化水素基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基など)であり、さらに好ましくは水素原子、C1−16アルキル基、C5−10シクロアルキル基又はC6−12アリール基(例えば、水素原子、C1−10アルキル基、C5−8シクロアルキル基又はC6−10アリール基など)、特に水素原子、C1−6アルキル基又はC6−10アリール基(特に水素原子)であってもよい。
前記式(A-2)で表される化合物として代表的には、後述する式(1B)で表される化合物の項に例示する化合物に対応した化合物、例えば、Z及びZが硫黄原子、m1及びm2並びにn1及びn2が0、基R1a及びR1bが水素原子又はアルキル基(例えば、C1−30アルキル基など)、基R5a及びR5bが水素原子、基R4a及びR4bが水素原子、ハロゲン原子、C6−14アリール基、C1−20アルキルC6−14アリール基、C4−13ヘテロアリール基、C1−20アルキルC4−13ヘテロアリール基、リチウム原子、基−B(OH)、ハロジンシオ基(ブロモジンシオ基など)、ハロマグネシオ基(ブロモマグネシオ基など)、トリアルキルスタンニル基(トリメチルスタンニル基などのトリC1−4アルキルスタンニル基など)、トリハロシリル基(トリフルオロシリル基、トリクロロシリル基など)又はトリアルキルシリル基(トリメチルシリル基などのトリC1−4アルキルシリル基など)である化合物などが挙げられる。
より具体的な化合物としては、例えば、(A-2a)ベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン;(A-2b)2,7−ジフェニル−ベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェンなどの2,7−ジC6−10アリール−ベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン;(A-2c)2,7−ビス(4−ヘキシルフェニル)−ベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン、2,7−ビス(4−デシルフェニル)−ベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン、2,7−ビス(3−デシルフェニル)−ベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェンなどの2,7−ビス(C1−12アルキルC6−10アリール)−ベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェンなどが挙げられる。
なお、前記(A-2a)〜(A-2c)には、基R1a及びR1bが水素原子である化合物について例示しているが、前記例示化合物に対応して、基R1a及びR1bがアルキル基(例えば、C1−25アルキル基、好ましくはC1−20アルキル基など)である化合物も含まれる。
本発明の有機半導体は、前記式(A)で表される化合物を少なくとも含んでいればよく、単独で又は2種以上組み合わせて用いることもできる。前記式(A)で表される化合物のうち、前記式(A-1)及び式(A-2)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むのが好ましく、なかでも、溶解性の観点から式(A-2)で表される化合物を少なくとも含むのが好ましい。
本発明の有機半導体において、前記式(A)で表される化合物は、長鎖アルキル基などの置換基を有していなくても、屈曲型骨格のためか高い溶解性を示し、溶解性と移動度とを両立できる。そのため、前記式(A)で表される化合物のトルエンに対する溶解度は、例えば、0.01重量%以上(例えば、0.05〜30重量%程度)、好ましくは0.1重量%以上(例えば、0.5〜10重量%程度)、さらに好ましくは1重量%以上(例えば、1.5〜5重量%程度)であってもよい。なお、溶解度は、後述する実施例に記載の方法により測定してもよい。
また、本発明の有機半導体において、前記式(A)で表される化合物(屈曲型化合物)は、高い溶解性を有するにも拘らず、高い移動度(電気移動度又はキャリア移動度)を有している。そのため、前記式(A)で表される化合物を用いて作製した電界効果型トランジスタの移動度は、例えば、0.001〜0.5cm/Vs、好ましくは0.01〜0.3cm/Vs、さらに好ましくは0.02〜0.2cm/Vs(例えば、0.05〜0.15cm/Vs)程度であってもよい。なお、移動度は、後述する実施例に記載の方法により測定してもよい。
本発明の有機半導体でデバイス素子(例えば、有機薄膜トランジスタなど)を形成すると、動作電圧が低減できる。例えば、前記式(A)で表される化合物で形成したデバイス素子において、閾値電圧の絶対値は、例えば、100V以下(例えば、0.1〜80V程度)であってもよく、好ましくは70V以下(例えば、1〜60V程度)、さらに好ましくは50V以下(例えば、10〜50V程度)であってもよい。
[前記式(A)で表される化合物の製造方法]
本発明の有機半導体(前記式(A)で表される化合物)の製造方法は特に制限されず、慣用の方法(例えば、光環化反応を利用する方法など)により調製してもよいが、容易に又は効率よく(又は高い純度で)製造できる点から、前記式(A)で表される化合物に対応する下記式(1)で表される化合物を加熱する加熱工程を含む方法であるのが好ましい。
Figure 2018172575
(式中、Zは周期表第13〜16族元素から選択される原子;Rは同一又は異なって水素原子又は置換基;Rは同一又は異なって周期表第16族元素から選択される原子;mは0〜4の整数;nは0〜2の整数を示し、A、A、R1a、R1b、R、R、p1、p2及び
Figure 2018172575
は好ましい態様を含めて前記式(A)に同じ)。
前記式(1)において、Zで表される原子としては、前記式(A-2)におけるZ及びZで表される原子と同様のものが例示できる。周期表第13族(3B族)元素のうち、好ましくはホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、さらに好ましくはホウ素、アルミニウム、ガリウム、特にホウ素などが挙げられる。周期表第14族(4B族)元素のうち、好ましくは炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、さらに好ましくは炭素、ケイ素、ゲルマニウム、特にケイ素などが挙げられる。周期表第15族(5B族)元素のうち、好ましくは窒素、リン、ヒ素、アンチモン、さらに好ましくは窒素、リン、ヒ素、特にリンなどが挙げられる。周期表第16族(6B族)元素のうち、好ましくは酸素、硫黄、セレン、テルル、さらに好ましくは酸素、硫黄、セレン、特に硫黄、セレン(特に硫黄)などが挙げられる。
好ましいZで表される原子としては、周期表第14族元素、第15族元素、第16族元素からなる群より選択される原子(例えば、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、硫黄、セレン及びテルルから選択される原子など)であり、さらに好ましくはケイ素、ゲルマニウム、窒素、リン、ヒ素、酸素、硫黄及びセレンから選択される原子(例えば、ケイ素、ゲルマニウム、リン、ヒ素、硫黄及びセレンから選択される原子など)などであってもよく、前記式(A)で表される化合物を効率よく製造し易い点から、周期表第15〜16族元素から選択される原子、例えば、硫黄、セレン及びリンから選択される原子(特に硫黄)であってもよい。
Zで表される原子の原子価(価数)vは2〜6価であり、v=m+2×n+2を満たしている。また、原子価vは、対応するZの種類に応じて選択でき、例えば、周期表第13族元素(例えば、ホウ素)では3価である場合が多く、周期表第14族元素(例えば、炭素、ケイ素など)では2価又は4価(特に4価)である場合が多く、周期表第15族元素(例えば、窒素、リンなど)では3〜5価である場合が多く、周期表第16族元素(例えば、酸素、硫黄、セレンなど)では2〜6価である場合が多い。
で表される置換基としては、例えば、前記式(A-2)の基R2a及びR2bと好ましい態様を含めて同様であってもよい。なお、置換数mが2以上である場合、2以上の基Rの種類は、互いに同一又は異なっていてもよい。
基Rの置換数mは、例えば、0〜3の整数、好ましくは0〜2の整数であってもよい。また、置換数mは、対応する基Rが結合する原子Zの原子価vに応じて選択してもよく、例えば、原子価が2価の場合、置換数mは0であり、原子価が3価の場合、置換数mは1であり、原子価が4価の場合、置換数mは0又は2であり、原子価が5価の場合、置換数mは1又は3であり、原子価が6価の場合、置換数mは0、2又は4(例えば、0又は2、特に0)であることが多い。
で表される周期表第16族(6B族)元素としては、前記式(A-2)の基R3a及びR3bと好ましい態様を含めて同様であってもよい。置換数nが2である場合、2つの原子Rの種類は、互いに同一又は異なっていてもよい。
原子Rの置換数nは、対応する原子Rが結合する原子Zの原子価vに応じて選択してもよく、例えば、原子価が2価又は3価の場合、置換数nは0であり、原子価が4価又は5価の場合、置換数nは0又は1であり、原子価が6価の場合、置換数nは0〜2の整数(例えば、1又は2、特に2)であることが多い。
前記式(1)で表される化合物として、代表的には、前記式(A-1)及び式(A-2)にそれぞれ対応する式(1A)及び式(1B)で表される化合物などが挙げられる。
(式(1A)で表される化合物)
Figure 2018172575
(式中、Ar、Ar、R1a、R1b、R、R、q1及びq2は好ましい態様も含めて前記式(A-1)に同じであり;Z、R、R、m、nは好ましい態様も含めて前記式(1)に同じ)。
前記式(1A)で表される化合物として、具体的には、例えば、環Ar及びArがC6−14アレーン環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環など)、基R1a及びR1bが水素原子又はアルキル基(例えば、C1−30アルキル基など)、q1及びq2が0である化合物(例えば、下記表1に記載の化合物など)が挙げられる。
Figure 2018172575
前記式(1A)において、環Ar及びArがC6−14アレーン環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環など)、基R1a及びR1bが水素原子又はC1−25アルキル基、q1及びq2が0である化合物として、より具体的には、例えば、(1A-a)Zが硫黄原子である化合物、(1A-b)Zがセレン原子である化合物、(1A-c)Zがリン原子である化合物、(1A-d)Zがケイ素原子である化合物、(1A-e)Zが酸素原子である化合物、(1A-f)Zが炭素原子である化合物などが挙げられる。
(1A-a)Zが硫黄原子である化合物としては、例えば、(1A-a1)ジアレノチエピン類[例えば、ジベンゾ[b,f]チエピン、ジナフトチエピン(例えば、ジナフト[2,3−b:2,3−f]チエピン、ジナフト[2,1−b:2,3−f]チエピン、ジナフト[1,2−b:2,3−f]チエピン、ジナフト[1,2−b:1,2−f]チエピン、ジナフト[1,2−b:2,1−f]チエピン、ジナフト[2,1−b:1,2−f]チエピンなど)、フェナントロナフトチエピン(例えば、フェナントロ[2,1−b]ナフト[1,2−f]チエピンなど)、ジフェナントロチエピン(例えば、ジフェナントロ[2,1−b:1,2−f]チエピンなど)などのジC6−14アレノチエピン、好ましくはジC6−10アレノチエピンなど];(1A-a2)前記(1A-a1)に例示の化合物に対応するS−オキシド体(スルフィニル体)又はS,S−ジオキシド体(スルホニル体)(例えば、5,5−ジオキソ−ジベンゾ[b,f]チエピン、6,6−ジオキソ−ジナフト[2,3−b:2,3−f]チエピンなど)などが挙げられる。
(1A-b)Zがセレン原子である化合物としては、例えば、前記(1A-a)Zが硫黄原子である化合物に対応して、Zの硫黄原子をセレン原子に置き換えた化合物(1A-b1)[例えば、ジナフト[2,1−b:1,2−f]セレネピンなど]〜(1A-b2)[例えば、Se,Se−ジオキソ−ジナフト[2,1−b:1,2−f]セレネピンなど]などが挙げられる。
(1A-c)Zがリン原子である化合物としては、(1A-c1)ジアレノホスフェピン類[例えば、ジベンゾホスフェピン類(例えば、ジベンゾ[b,f]ホスフェピン;P−メチル−ジベンゾ[b,f]ホスフェピンなどのP−C1−4アルキル−ジベンゾ[b,f]ホスフェピン;P−フェニル−ジベンゾ[b,f]ホスフェピンなどのP−C6−10アリ−ル−ジベンゾ[b,f]ホスフェピンなど);ジナフトホスフェピン類(例えば、ジナフト[2,1−b:1,2−f]ホスフェピン、ジナフト[2,3−b:2,3−f]ホスフェピンなどのジナフトホスフェピン;P−メチル−ジナフト[2,1−b:1,2−f]ホスフェピン、P−メチル−ジナフト[2,3−b:2,3−f]ホスフェピンなどのP−C1−4アルキル−ジナフトホスフェピン;P−フェニル−ジナフト[2,1−b:1,2−f]ホスフェピン、P−フェニル−ジナフト[2,3−b:2,3−f]ホスフェピンなどのP−C6−10アリ−ル−ジナフトホスフェピンなど);フェナントロナフトホスフェピン類(例えば、フェナントロ[2,1−b]ナフト[1,2−f]ホスフェピンなどのフェナントロナフトホスフェピン;P−メチル−フェナントロ[2,1−b]ナフト[1,2−f]ホスフェピンなどのP−C1−4アルキル−フェナントロナフトホスフェピン;P−フェニル−フェナントロ[2,1−b]ナフト[1,2−f]ホスフェピンなどのP−C6−10アリ−ル−フェナントロナフトホスフェピンなど);ジフェナントロホスフェピン類(例えば、ジフェナントロ[2,1−b:1,2−f]ホスフェピンなどのジフェナントロホスフェピン;P−メチル−ジフェナントロ[2,1−b:1,2−f]ホスフェピンなどのP−C1−4アルキル−ジフェナントロホスフェピン;P−フェニル−ジフェナントロ[2,1−b:1,2−f]ホスフェピンなどのP−C6−10アリ−ル−ジフェナントロホスフェピンなどのジC6−14アレノホスフェピン類、好ましくはジC6−10アレノホスフェピン類など);(1A-c2)前記(1A-c1)に例示の化合物に対応するP−オキシド体(例えば、P−オキソ−P−フェニル−ジベンゾ[b,f]ホスフェピンなど)などが挙げられる。
(1A-d)Zがケイ素原子である化合物としては、例えば、(1A-d1)ジアレノシレピン類[例えば、ジベンゾシレピン類(例えば、ジベンゾ[b,f]シレピン;Si−メチル−ジベンゾ[b,f]シレピンなどのSi−C1−4アルキル−ジベンゾ[b,f]シレピン;Si−フェニル−ジベンゾ[b,f]シレピンなどのSi−C6−10アリ−ル−ジベンゾ[b,f]シレピン;Si,Si−ジメチル−ジベンゾ[b,f]シレピンなどのSi,Si−ジC1−4アルキル−ジベンゾ[b,f]シレピン;Si−メチル−Si−フェニル−ジベンゾ[b,f]シレピンなどのSi−C1−4アルキル−Si−C6−10アリール−ジベンゾ[b,f]シレピン;Si,Si−ジフェニル−ジベンゾ[b,f]シレピンなどのSi,Si−ジC6−10アリ−ル−ジベンゾ[b,f]シレピンなど);ジナフトシレピン類(例えば、ジナフト[2,1−b:1,2−f]シレピン、ジナフト[2,3−b:2,3−f]シレピンなどのジナフトシレピン;Si−メチル−ジナフト[2,1−b:1,2−f]シレピン、Si−メチル−ジナフト[2,3−b:2,3−f]シレピンなどのSi−C1−4アルキル−ジナフトシレピン;Si−フェニル−ジナフト[2,1−b:1,2−f]シレピン、Si−フェニル−ジナフト[2,3−b:2,3−f]シレピンなどのSi−C6−10アリ−ル−ジナフトシレピン;Si,Si−ジメチル−ジナフト[2,1−b:1,2−f]シレピン、Si,Si−ジメチル−ジナフト[2,3−b:2,3−f]シレピンなどのSi,Si−ジC1−4アルキル−ジナフトシレピン;Si−メチル−Si−フェニル−ジナフト[2,1−b:1,2−f]シレピン、Si−メチル−Si−フェニル−ジナフト[2,3−b:2,3−f]シレピンなどのSi−C1−4アルキル−Si−C6−10アリール−ジナフトシレピン;Si,Si−ジフェニル−ジナフト[2,1−b:1,2−f]シレピン、Si,Si−ジフェニル−ジナフト[2,3−b:2,3−f]シレピンなどのSi,Si−ジC6−10アリール−ジナフトシレピンなど);フェナントロナフトシレピン類(例えば、フェナントロ[2,1−b]ナフト[1,2−f]シレピンなどのフェナントロナフトシレピン;Si−メチル−フェナントロ[2,1−b]ナフト[1,2−f]シレピンなどのSi−C1−4アルキル−フェナントロナフトシレピン;Si−フェニル−フェナントロ[2,1−b]ナフト[1,2−f]シレピンなどのSi−C6−10アリ−ル−フェナントロナフトシレピン;Si,Si−ジメチル−フェナントロ[2,1−b]ナフト[1,2−f]シレピンなどのSi,Si−ジC1−4アルキル−フェナントロナフトシレピン;Si−メチル−Si−フェニル−フェナントロ[2,1−b]ナフト[1,2−f]シレピンなどのSi−C1−4アルキル−Si−C6−10アリール−フェナントロナフトシレピン;Si,Si−ジフェニル−フェナントロ[2,1−b]ナフト[1,2−f]シレピンなどのSi,Si−ジC6−10アリ−ル−フェナントロナフトシレピンなど);ジフェナントロシレピン類(例えば、ジフェナントロ[2,1−b:1,2−f]シレピンなどのジフェナントロシレピン;Si−メチル−ジフェナントロ[2,1−b:1,2−f]シレピンなどのSi−C1−4アルキル−ジフェナントロシレピン;Si−フェニル−ジフェナントロ[2,1−b:1,2−f]シレピンなどのSi−C6−10アリ−ル−ジフェナントロシレピン;Si,Si−ジメチル−ジフェナントロ[2,1−b:1,2−f]シレピンなどのSi,Si−ジC1−4アルキル−ジフェナントロシレピン;Si−メチル−Si−フェニル−ジフェナントロ[2,1−b:1,2−f]シレピンなどのSi−C1−4アルキル−Si−C6−10アリール−ジフェナントロシレピン;Si,Si−ジフェニル−ジフェナントロ[2,1−b:1,2−f]シレピンなどのSi,Si−ジC6−10アリ−ル−ジフェナントロシレピンなど)などのジC6−14アレノシレピン類、好ましくはジC6−10アレノシレピン類などが挙げられる。
(1A-e)Zが酸素原子である化合物としては、例えば、前記(1A-a1)ジアレノチエピン類に例示した化合物に対応して、Zの硫黄原子を酸素原子に置き換えた化合物(1A-e1)[例えば、ジナフト[2,1−b:1,2−f]オキセピンなど]などが挙げられる。
(1A-f)Zが炭素原子である化合物としては、例えば、前記(1A-d)Zがケイ素原子である化合物に例示した化合物に対応して、Zのケイ素原子を炭素原子に置き換えた化合物(1A-f1)[例えば、7,7−ジメチル−ジナフト[1,2−a:2,1−d]シクロヘプテンなど]などが挙げられる。
なお、前記(1A-a)〜(1A-f)には、基R1a及びR1bが水素原子である化合物について例示しているが、前記例示化合物に対応して、基R1a及びR1bがアルキル基(例えば、C1−25アルキル基、好ましくはC1−20アルキル基など)である化合物も含まれる。
これらの化合物(1A-a)〜(1A-f)うち、化合物(1A-a)、(1A-b)、(1A-c)、(1A-d)[例えば、化合物(1A-a)、(1A-b)、(1A-c)]が好ましく、化合物(1A-a)が特に好ましい。
(式(1B)で表される化合物)
Figure 2018172575
(式中、Z、Z、R1a、R1b、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、m1、m2、n1及びn2は好ましい態様も含めて前記式(A-2)に同じであり;Z、R、R、m、nは好ましい態様も含めて前記式(1)に同じ。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、式(1B)の縮合環における位置番号を右側の式に示す)。
前記式(1B)で表される化合物として代表的には、例えば、前記表1に記載のZ、R、m、R及びnの組み合わせに対応して、Z及びZが硫黄原子、m1及びm2並びにn1及びn2が0、基R1a及びR1bが水素原子又はアルキル基(例えば、C1−30アルキル基など)、基R5a及びR5bが水素原子、基R4a及びR4bが水素原子、ハロゲン原子、C6−14アリール基、C1−20アルキルC6−14アリール基、C4−13ヘテロアリール基、C1−20アルキルC4−13ヘテロアリール基、リチウム原子、基−B(OH)、ハロジンシオ基(ブロモジンシオ基など)、ハロマグネシオ基(ブロモマグネシオ基など)、トリアルキルスタンニル基(トリメチルスタンニル基などのトリC1−4アルキルスタンニル基など)、トリハロシリル基(トリフルオロシリル基、トリクロロシリル基など)又はトリアルキルシリル基(トリメチルシリル基などのトリC1−4アルキルシリル基など)である化合物などが挙げられる。
前記式(1B)において、Z及びZが硫黄原子、m1及びm2並びにn1及びn2が0、基R1a及びR1bが水素原子又はC1−25アルキル基、基R5a及びR5bが水素原子であるひずみ型化合物として、より具体的には、例えば、(1B-a)Zが硫黄原子である化合物、(1B-b)Zがセレン原子である化合物、(1B-c)Zがリン原子である化合物、(1B-d)Zがケイ素原子である化合物、(1B-e)Zが酸素原子である化合物、(1B-f)Zが炭素原子である化合物などが挙げられる。
(1B-a)Zが硫黄原子である化合物としては、例えば、(1B-a1)ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a2)2,6−ジクロロ−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン、2,6−ジブロモ−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン、2,6−ジヨード−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピンなどの2,6−ジハロ−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a3)2,6−ジフェニル−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピンなどの2,6−ジC6−10アリール−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a4)2,6−ビス(4−ヘキシルフェニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン、2,6−ビス(4−デシルフェニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン、2,6−ビス(3−デシルフェニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピンなどの2,6−ビス(C1−12アルキルC6−10アリール)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a5)2,6−ジ(2−チエニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピンなどの2,6−ジC4−9ヘテロアリール−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a6)2,6−ビス(5−ヘキシル−2−チエニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピンなどの2,6−ビス(C1−12アルキルC4−9ヘテロアリール)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a7)2,6−ジリチオ−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a8)2,6−ビス(ジヒドロキシボリル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a9)2,6−ビス(クロロジンシオ)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン、2,6−ビス(ブロモジンシオ)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン、2,6−ビス(ヨードジンシオ)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピンなどの2,6−ビス(ハロジンシオ)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a10)2,6−ビス(クロロマグネシオ)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン、2,6−ビス(ブロモマグネシオ)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン、2,6−ビス(ヨードマグネシオ)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピンなどの2,6−ビス(ハロマグネシオ)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a11)2,6−ビス(トリメチルスタンニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン、2,6−ビス(トリn−ブチルスタンニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピンなどの2,6−ビス(トリC1−4アルキルスタンニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a12)2,6−ビス(トリフルオロシリル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン、2,6−ビス(トリクロロシリル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピンなどの2,6−ビス(トリハロシリル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a13)2,6−ビス(トリメチルシリル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン、2,6−ビス(トリn−ブチルシリル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピンなどの2,6−ビス(トリC1−4アルキルシリル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン;(1B-a14)これらの(1B-a1)〜(1B-a13)に例示の化合物に対応するS−オキシド体(スルフィニル体)又はS,S(又は4,4)−ジオキシド体(スルホニル体)(例えば、4,4−ジオキソ−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピンなど)など]などが挙げられる。
(1B-b)Zがセレン原子である化合物としては、例えば、前記(1B-a)Zが硫黄原子である化合物において例示した化合物(1B-a1)〜(1B-a14)に対応して、Zを硫黄原子からセレン原子に置き換えた化合物(1B-b1)〜(1B-b14)(例えば、(1B-b1)セレネピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなど)などが挙げられる。
(1B-c)Zがリン原子である化合物としては、例えば、(1B-c1)ホスフェピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン類(例えば、ホスフェピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン;4−メチル−ホスフェピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなどの4−C1−4アルキル−ホスフェピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン;4−フェニル−ホスフェピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなどの4−C6−10アリール−ホスフェピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなど);前記(1B-a)Zが硫黄原子である化合物の項で例示した化合物(1B-a2)〜(1B-a13)に対応して、ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン環を前記(1B-c1)ホスフェピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン類に置き換えた化合物(1B-c2)〜(1B-c13)[例えば、(1B-c2)2,6−ジハロ−ホスフェピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン類(例えば、2,6−ジブロモ−4−フェニル−ホスフェピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなどの2,6−ジハロ−4−C6−10アリール−ホスフェピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなど);(1B-c14)これらの(1B-c1)〜(1B-c13)に例示の化合物に対応するP−オキシド体(例えば、4−オキソ−ホスフェピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなど)などが挙げられる。
(1B-d)Zがケイ素原子である化合物としては、例えば、(1B-d1)シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン類(例えば、シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン;4−メチル−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなどの4−C1−4アルキル−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン;4−フェニル−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなどの4−C6−10アリール−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン;4,4−ジメチル−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなどの4,4−ジC1−4アルキル−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン;4−メチル−4−フェニル−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなどの4−C1−4アルキル−4−C6−10アリール−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン;4,4−ジフェニル−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなどの4,4−ジC6−10アリール−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなど);前記(1B-a)Zが硫黄原子である化合物の項で例示した化合物(1B-a2)〜(1B-a13)に対応して、ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン環を前記(1B-d1)シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン類に置き換えた化合物(1B-d2)〜(1B-d13)[例えば、(1B-d2)2,6−ジハロ−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェン類(例えば、2,6−ジブロモ−4,4−ジメチル−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなどの2,6−ジハロ−4,4−ジC1−4アルキル−シレピノ[3,2−b:6,7−b’]ジチオフェンなど)などが挙げられる。
(1B-e)Zが酸素原子である化合物としては、例えば、前記(1B-a)Zが硫黄原子である化合物において例示した化合物(1B-a1)〜(1B-a13)に対応して、Zを硫黄原子から酸素原子に置き換えた化合物(1B-e1)〜(1B-e13)(例えば、(1B-e1)ジチエノ[3,2−b:2,3−f]オキセピンなど)などが挙げられる。
(1B-f)Zが炭素原子である化合物としては、例えば、前記(1B-d)Zがケイ素原子である化合物に例示した化合物(1B-d1)〜(1B-d13)に対応して、Zのケイ素原子を炭素原子に置き換えた化合物(1B-f1)〜(1B-f13)[例えば、4,4−ジメチル−シクロヘプタ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェンなど]などが挙げられる。
なお、前記(1B-a)〜(1B-f)には、基R1a及びR1bが水素原子である化合物について例示しているが、前記例示化合物に対応して、基R1a及びR1bがアルキル基(例えば、C1−25アルキル基、好ましくはC1−20アルキル基など)である化合物も含まれる。
これらの化合物(1B-a)〜(1B-f)うち、化合物(1B-a)、(1B-b)、(1B-c)、(1B-d)[例えば、化合物(1B-a)、(1B-b)、(1B-c)]が好ましく、化合物(1B-a)が特に好ましい。
前記式(1)で表される化合物は、前記式(1A)及び式(1B)で表される化合物以外の化合物(例えば、チエピノ[3,2−e:6,7−e’]ジ[1]ベンゾチオフェン、チエピノ[3,2−e:6,7−e’]ジ[1]ベンゾフラン、チエピノ[3,2−e:6,7−e’]ジインドールなどのチエピノジベンゾヘテロアレーンなど)を含んでいてもよい。
これらの前記式(1)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることもできる。前記式(1)で表される化合物のうち、前記式(1A)及び式(1B)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むのが好ましく、なかでも、式(1B)で表される化合物を少なくとも含むのが好ましい。
これらの前記式(1)で表される化合物を加熱工程(又は焼成工程)に供することにより、前記式(1)における原子Z(及び基R及び原子R)が脱離するため、前記式(A)で表される化合物を含む有機半導体を形成できる。前記加熱工程における加熱温度は、原子Zなどの種類に応じて選択してもよく、例えば、100〜400℃程度の範囲から選択でき、例えば、150〜400℃(例えば、180〜350℃)、好ましくは200〜300℃(例えば、210〜250℃)程度であってもよい。また、加熱時間は、例えば、10秒〜1時間(例えば、1〜40分)、好ましくは3〜30分程度であってもよい。
加熱工程は、空気中で行ってもよいが、通常、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの希ガス;窒素ガスなど)雰囲気下で行う場合が多い。また、加熱工程は、常圧下、減圧下又は加圧下で行ってもよい。
(式(1)で表される化合物の製造方法)
なお、式(1)で表される化合物の製造方法は、特に制限されないが、例えば、下記反応式(方法A)に従って調製できる。
Figure 2018172575
(式中、X1a、X1b及びXはハロゲン原子、Phはフェニル基、Lはハロゲン原子又は基−SO(Rは炭化水素基又はフッ化炭化水素基を示す)を示し、Z、A、A、R1a、R1b、R、R、R、R、m、n、p1及びp2は、それぞれ好ましい態様も含めて前記式(1)の記載に同じ)。
(方法A)
式(3)で表される化合物の合成(還元反応)
前記式(3)で表されるヒドロキシ化合物は、式(2a)で表されるカルボニル化合物を還元剤により還元することにより調製できる。
前記式(2a)において、X1aで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられ、臭素であるのが好ましい。式(2a)で表されるカルボニル化合物としては、前記式(1)で表される化合物に対応するカルボニル化合物であればよく、通常、R1aが水素原子である場合が多い。式(2a)で表されるカルボニル化合物として代表的には、例えば、アルデヒド類[例えば、o−ブロモ−ベンズアルデヒド、2−ブロモ−1−ナフトアルデヒド、3−ブロモ−2−ナフトアルデヒドなどのハロ−ホルミルアレーン;3−ブロモピロール−2−カルボキシアルデヒド、3−ブロモフラン−2−カルボキシアルデヒド、3−ブロモチオフェン−2−カルボキシアルデヒド、3−ブロモセレノフェン−2−カルボキシアルデヒドなどの3−ハロ−ヘテロアレーン−2−カルボキシアルデヒドなど];ケトン類[例えば、o−ブロモ−ヘプタノイル−ベンゼン、2−ブロモ−1−ウンデカノイル−ナフタレン、3−ブロモ−2−ヘプタデカノイルナフタレンなどのハロ−C2−31アルカノイル−アレーン;3−ブロモ−2−ヘプタノイル−ピロール、3−ブロモ−2−ウンデカノイル−フラン、3−ブロモ−2−ヘプタデカノイル−チオフェン、3−ブロモ−2−ヘプタノイル−セレノフェンなどの3−ハロ−2−C2−31アルカノイル−ヘテロアレーンなど]などであってもよい。これらの式(2a)で表されるカルボニル化合物のうち、ハロ−ホルミルアレーン、3−ハロ−ヘテロアレーン−2−カルボキシアルデヒドなどのアルデヒド類が好ましい。式(2a)で表されるカルボニル化合物は市場から調達してもよく、慣用の方法(例えば、ジハロ−アレーンなどをホルミル化する方法など)により調製してもよい。
還元剤としては、特に制限されず、慣用の還元剤、例えば、水素化ホウ素リチウム(LiBH)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)などが挙げられる。還元剤の使用割合は、式(2a)で表されるカルボニル化合物1モルに対して、例えば、0.1〜5モル、好ましくは1〜3モル、さらに好ましくは1.5〜2モル程度であってもよい。還元剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に制限されず、慣用の有機溶媒、例えば、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど)、アルコール類(メタノール、エタノールなど)、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルなど)などであってもよい。これらの溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。通常、エタノールなどのアルコール類が使用される場合が多い。
反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。反応温度は、例えば、−20〜40℃、好ましくは−10〜30℃(通常、0℃〜室温)程度であってもよい。反応時間は、例えば、1〜48時間、好ましくは12〜36時間程度であってもよい。反応終了後、必要に応じて、洗浄、抽出、乾燥、ろ過、濃縮、再結晶、カラム精製などの慣用の分離精製手段により精製してもよい。
式(5)で表される化合物の合成(ホスホニウム塩の合成)
前記式(5)で表されるホスホニウム塩は、前記式(3)で表されるヒドロキシ化合物と、前記式(4)で表されるトリフェニルホスフィンハロゲン化水素塩とを反応させることにより調製できる。
前記式(4)において、Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられ、臭素であるのが好ましい。前記式(4)で表されるトリフェニルホスフィンハロゲン化水素塩としては、例えば、トリフェニルホスフィン塩化水素塩、トリフェニルホスフィン臭化水素塩、トリフェニルホスフィンヨウ化水素塩などが挙げられる。前記式(4)で表されるトリフェニルホスフィンハロゲン化水素塩は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。前記式(4)で表されるトリフェニルホスフィンハロゲン化水素塩は、市販品を使用してもよい。式(4)で表されるトリフェニルホスフィンハロゲン化水素塩の使用割合は、前記式(3)で表されるヒドロキシ化合物1モルに対して、例えば、1〜3モル、好ましくは1〜2モル程度であってもよく、通常、1モル程度であってもよい。
反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど)、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルなど)であってもよい。溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。通常、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類が使用される場合が多い。
反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。反応温度は、例えば、40〜100℃、好ましくは50〜70℃程度であってもよく、反応は、還流条件下で行ってもよい。反応時間は、例えば、1〜40時間、好ましくは10〜30時間程度であってもよい。反応終了後、必要に応じて、洗浄、抽出、乾燥、ろ過、濃縮、再結晶、カラム精製などの慣用の分離精製手段により精製してもよい。
式(6)で表される化合物の合成(Wittig反応)
前記式(6)で表されるジハロ化合物は、前記式(5)で表されるホスホニウム塩と、前記式(2b)で表されるカルボニル化合物とを、塩基の存在下で反応させることにより調製できる。
前記式(2a)において、X1bで表されるハロゲン原子としては、前記X1aと好ましい態様も含めて同様の原子が例示できる。また、式(2b)で表される化合物としては、前記式(1)で表される化合物に対応するカルボニル化合物であればよく、通常、R1bが水素原子である化合物がよく用いられる。式(2b)で表される化合物としては、前記式(2a)で例示の化合物と同様のものが例示できる。また、前記式(2a)及び(2b)で表される化合物は同一の化合物であることが多い。
式(5)で表されるホスホニウム塩の使用割合は、式(2b)で表されるカルボニル化合物1モルに対して、例えば、1〜1.5モル、好ましくは1.05〜1.2モル程度であってもよい。
塩基としては、例えば、金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物など)、金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩など)、金属アルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどのアルカリ金属C1−6アルコキシドなど)などの無機塩基;アミン類(トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの芳香族第3級アミン、ピリジンなどの複素環式第3級アミンなど)などの有機塩基などが挙げられる。塩基は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。通常、カリウムt−ブトキシドなどの金属アルコキシドが使用される場合が多い。塩基の使用割合は、前記式(5)で表されるホスホニウム塩1当量に対して、例えば、1〜5当量、好ましくは2〜4当量程度であってもよい。
反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど)、アルコール類(メタノール、エタノールなど)、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルなど)であってもよく、通常、テトラヒドロフランなどのエーテル類が使用される場合が多い。
反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。反応温度は、例えば、−20〜50℃、好ましくは−10〜30℃(通常、0℃〜室温)程度であってもよい。反応時間は、例えば、1〜100時間、好ましくは24〜72時間程度であってもよい。反応終了後、必要に応じて、洗浄、抽出、乾燥、ろ過、濃縮、再結晶、カラム精製などの慣用の分離精製手段により精製してもよい。
式(1)で表される化合物の合成(リチオ化反応、及び環化又は閉環反応)
前記式(1)で表される化合物は、前記式(6)で表されるジハロ化合物及びリチオ化剤を反応(リチオ化反応)させて生成したリチオ化物と、前記式(7)で表される化合物(閉環剤)とを反応(環化反応)させることにより調製できる。
(リチオ化反応)
リチオ化剤としては、特に制限されず、慣用のリチオ化剤、例えば、アルキルリチウム(例えば、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのC1−4アルキルリチウムなど)、アリールリチウム(フェニルリチウムなど)、リチウムアミド類(リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウム−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(LiTMP)、リチウム−ビス(トリメチルシリル)アミド(LHMDS)など)などが挙げられる。これらのリチオ化剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのリチオ化剤のうち、通常、n−ブチルリチウムなどのアルキルリチウムが用いられる。リチオ化剤の使用割合は、前記式(6)で表されるジハロ化合物1モルに対して、例えば、2〜5モル、好ましくは2〜3モル程度であってもよく、通常、2モル程度であってもよい。
反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルなど)などであってもよく、通常、ジエチルエーテルなどが使用される場合が多い。
反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。反応温度は、例えば、−100〜−50℃、好ましくは−80〜−70℃程度であってもよい。反応時間は、例えば、1〜120分、好ましくは30〜90分程度であってもよい。反応終了後、慣用の分離精製手段により精製することなく、必要に応じて、前記リチオ化物を含む反応液を次の環化反応に供してもよい。
(環化反応)
前記式(7)において、Lで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素など(特に塩素)が挙げられる。
で表される基−SOにおいて、Rで表される炭化水素基としては、例えば、前記基R1a及びR1bの項に例示の炭化水素基などが挙げられる。Rで表されるフッ化炭化水素基としては、前記炭化水素基における水素原子の一部又は全部をフッ素化した基、例えば、トリフルオロメチル基などのフッ化アルキル基、ペンタフルオロフェニル基などのフッ化アリール基などが挙げられる。
で表される基−SOとして代表的には、例えば、アルキルスルホニル基(メチルスルホニル基(メシル基)などのC1−6アルキルスルホニル基など);アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基などのC6−10アリールスルホニル基など);アルキルアリールスルホニル基(p−トルエンスルホニル基(トシル基)などのC1−6アルキルC6−10アリールスルホニル基など);ニトロアリールスルホニル基(o−ニトロベンゼンスルホニル基などのニトロC6−10アリールスルホニル基など);フッ化アルキルスルホニル基(トリフルオロメタンスルホニル基などのフッ化C1−6アルキルスルホニル基など)などが挙げられる。
2つの基Lは互いに異なっていてもよいが、通常、同一であってもよい。これらの基Lのうち、ハロゲン原子(例えば、塩素など)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基など)などが利用される場合が多い。
前記式(7)で表される化合物(閉環剤)は、式(1)で表される化合物に対応して選択でき、代表的には、例えば、ベンゼンチオスルホン酸無水物((PhSOS)などのスルホン酸無水物;二塩化セレン(SeCl)、ジメチルジクロロシラン、フェニルジクロロホスフィンなどのジハロゲン化物などが挙げられる。これらの式(7)で表される化合物は、市販品を使用してもよい。
前記式(7)で表される化合物(閉環剤)の使用割合は、前記リチオ化反応に供した式(6)で表されるジハロ化合物1モルに対して、例えば、1〜1.5モル、好ましくは1.05〜1.2モル程度であってもよい。
反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよく、前記リチオ化反応の反応液に対して、さらに溶媒を添加してもよい。溶媒としては、例えば、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルなど)などであってもよく、通常、テトラヒドロフランなどが使用される場合が多い。
反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。反応温度は、例えば、−100〜50℃、好ましくは−90〜30℃(通常、−78℃〜室温)程度であってもよい。反応時間は、例えば、1〜12時間、好ましくは6〜10時間程度であってもよい。反応終了後、必要に応じて、洗浄、抽出、乾燥、ろ過、濃縮、再結晶、カラム精製などの慣用の分離精製手段により精製してもよい。
(方法B)
前記式(1)で表される化合物は、下記反応式(方法B)に従って調製することもできる。方法Bでは、前記方法Aよりも反応工程数が少ない点で有利である。また、基R1a及びR1bに炭化水素基(例えば、アルキル基など)を導入する場合に有用である。
Figure 2018172575
(式中、Z、A、A、R1a、R1b、R、R、R、R、m、n、p1、p2及び
Figure 2018172575
で表される結合は、それぞれ好ましい態様も含めて前記式(1)の記載に同じであり;X1a及びX1bは、それぞれ好ましい態様も含めて前記式(2a)の記載に同じであり;基−SnR は、好ましい態様も含めて前記金属(又は半金属)含有基の項の記載に同じ)。
式(10)で表される化合物の合成(スティレカップリング)
式(2a)及び式(2b)において、A及びA、R1a及びR1b、R及びR、X1a及びX1b、並びにp1及びp2は、それぞれ、同一又は異なっていてもよいが、通常、同一である場合が多い。
式(2a)及び式(2b)で表される化合物としては、例えば、前記式(2a)で表される化合物と同様の化合物が挙げられる。これらの式(2a)及び式(2b)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできるが、通常、単独で用いる場合が多い。また、方法Bでは、基R1a及びR1bに炭化水素基(例えば、アルキル基など)を容易に又は効率よく導入できる点から、これらの式(2a)及び式(2b)で表される化合物のうち、ハロ−C2−31アルカノイル−アレーン(例えば、2−ブロモ−1−ヘプタデカノイル−ナフタレンなど);3−ハロ−2−アルカノイル−ヘテロアレーン(例えば、3−ブロモ−2−ヘプタノイル−チオフェンなど)などのケトン類が好ましい。
式(2a)及び式(2b)で表される化合物は市場から調達してもよく、慣用の方法、例えば、3−ハロ−ヘテロアレーンと、アルカン酸塩化物又はアルカン酸無水物とを、塩化アルミニウムなどのルイス酸触媒の存在下で反応(フリーデルクラフツ アシル化反応)させる方法などにより調製してもよい。なお、前記方法により調製する場合、式(2a)及び式(2b)で表される化合物は、副生成物(例えば、X1a及びX1bに隣接する置換位置以外の位置にアルカノイル基が置換した化合物など)を完全に除去することなく式(9)で表される化合物との反応に供して、前記反応終了後に精製してもよい。
式(9)において、6つの基Rの種類は、互いに異なっていてもよいが、通常、同一である場合が多い。式(9)で表される化合物として代表的には、例えば、ビス(トリアルキルスズ)スルフィド(又はビス(トリアルキルスタンニル)スルフィド)[例えば、ビス(トリメチルスズ)スルフィド、ビス(トリブチルスズ)スルフィドなどのビス(トリC1−4アルキルスズ)スルフィドなど];(又はビス(トリアルキルスズ)オキシド(又はビス(トリアルキルスズ)エーテル)[例えば、ビス(トリブチルスズ)オキシドなどのビス(トリC1−4アルキルスズ)オキシドなど];ビス(トリアルキルスズ)セレニド[例えば、ビス(トリブチルスズ)セレニドなどのビス(トリC1−4アルキルスズ)セレニドなどが挙げられ、ビス(トリブチルスズ)スルフィドなどのビス(トリアルキルスズ)スルフィドが好ましい。これらの式(9)で表される化合物は、市場から調達してもよい。
式(2a)及び式(2b)で表される化合物の総量の割合は、式(9)で表される化合物1モルに対して、例えば、2〜3モル、好ましくは2.05〜2.5モル(通常、2.1〜2.2モル)程度であってもよい。
反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、例えば、パラジウム触媒[パラジウム(0)触媒(例えば、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)など)などのパラジウム錯体]などが挙げられる。
触媒の使用割合は、式(9)で表される化合物1モルに対して、例えば、0.01〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.15モル(通常、0.1〜0.12モル)程度であってもよい。
反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)などであってもよい。これらの溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの溶媒のうち、通常、トルエンなどが使用される場合が多い。
反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下(又は気流下)で行ってもよい。反応温度は、例えば、80〜200℃、好ましくは100〜150℃(通常、110〜130℃)程度であってもよい。反応時間は、例えば、1〜48時間、好ましくは12〜24時間程度であってもよい。反応終了後、必要に応じて、洗浄、抽出、乾燥、ろ過、濃縮、再結晶、カラム精製などの慣用の分離精製手段により精製してもよい。
式(1)で表される化合物の合成(マクマリーカップリング)
低原子価チタン(例えば、Ti(I)、Ti(0)など)の還元作用を利用して、式(10)で表される化合物を分子内カップリング(又は環化反応)することにより、式(1)で表される化合物が調製できる。
低原子価チタンは、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、チタン化合物を還元剤で還元することにより生成され、通常、式(10)で表される化合物を含む反応系内において生成される場合が多い。前記チタン化合物としては、例えば、塩化チタン(III)(TiCl)、塩化チタン(IV)(TiCl)などのハロゲン化チタンなどが挙げられる。前記チタン化合物は、配位子(ジメトキシエタンなど)とともに錯体を形成していてもよい。
前記還元剤としては、リチウム(Li)、カリウム(K)などのアルカリ金属;水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)などの水素化アルミニウム化合物;亜鉛(Zn)又は亜鉛含有化合物(又は合金)[例えば、亜鉛(Zn)−銅(Cu)カップルなど]などが挙げられ、通常、亜鉛(Zn)又は亜鉛含有化合物(例えば、亜鉛(Zn))が利用されることが多い。
チタン化合物の割合は、式(10)で表される化合物1モルに対して、例えば、1〜20モル(例えば、5〜10モル)、好ましくは7〜9モル(通常、7.5〜8.5モル)程度であってもよい。還元剤の割合は、チタン化合物1モルに対して、例えば、1〜5モル(例えば、1.8〜3モル)、好ましくは1.5〜2.5モル(通常、1.8〜2.2モル)程度であってもよい。
反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に制限されず、慣用の有機溶媒、例えば、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルなど)などであってもよい。これらの溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。通常、トルエンなどの芳香族炭化水素類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、これらの混合溶媒などが使用される場合が多い。
反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。反応温度は、例えば、30〜100℃、好ましくは40〜80℃(通常、50〜70℃)程度であってもよい。なお、式(1)で表される化合物、チタン化合物及び還元剤の混合(又は反応初期)は、低温環境下で行ってもよく、例えば、−30〜10℃、好ましくは−20〜0℃(通常、−15〜−5℃)程度であってもよい。反応時間は、例えば、1〜30時間、好ましくは12〜18時間程度であってもよい。反応終了後、必要に応じて、洗浄、抽出、乾燥、ろ過、濃縮、再結晶、カラム精製などの慣用の分離精製手段により精製してもよい。
なお、このようにして得られる式(1)[式(1A)及び式(1B)を含む]で表される化合物において、R1a、R1b、R、R、R及びR(R、R、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4b、R5a及びR5bを含む)で表される置換基及び原子は、環化反応により得られた化合物を慣用の化学反応(修飾反応)に供することにより導入してもよい。このような修飾反応としては、特に制限されないが、代表的には、例えば、ハロゲン化反応、クロスカップリング反応、酸化反応、金属(又は半金属)含有基の導入反応などが挙げられる。
ハロゲン化反応
ハロゲン化反応では、例えば、式(1B)におけるR4a及びR4bがハロゲン原子である化合物(下記式(1b)で表される化合物)を調製してもよい。このような反応としては、例えば、前記環化反応により調製したR4a及びR4bが水素原子である化合物(下記式(1a)で表される化合物)をリチオ化剤と反応させて生成するリチオ化物と、ハロゲン化剤とを反応させて調製できる。
Figure 2018172575
(式中、X3a及びX3bはハロゲン原子を示し、Z、Z、Z、R1a、R1b、R、R2a、R2b、R、R3a、R3b、R5a、R5b、m、m1、m2、n、n1及びn2は、それぞれ好ましい態様も含めて前記式(1B)の記載に同じ)。
リチオ化剤としては、前記リチオ化反応に記載の慣用のリチオ化剤を利用でき、通常、リチウム−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(LiTMP)などのリチウムアミド類が用いられることが多い。リチオ化剤の使用割合は、前記式(1a)で表される化合物1モルに対して、例えば、2〜5モル、好ましくは2〜3モル程度であってもよい。
リチオ化剤との反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルなど)などであってもよく、通常、テトラヒドロフランなどが使用される場合が多い。
リチオ化剤との反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。反応温度は、例えば、−100〜−50℃、好ましくは−80〜−70℃程度であってもよい。反応時間は、例えば、1〜300分、好ましくは60〜180分程度であってもよい。反応終了後、慣用の分離精製手段により精製することなく、必要に応じて、反応液をハロゲン化剤との反応に供してもよい。
前記式(1b)において、X3a及びX3bで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素など(特に臭素)が挙げられる。なお、X3a及びX3bで表されるハロゲン原子は、互いに異なっていてもよいが、通常、同一である。
ハロゲン化剤としては、特に制限されず、慣用のハロゲン化剤、例えば、ハロゲン単体(塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)など)、ハロゲン化炭化水素(例えば、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタンなどのハロゲン化C2−6アルカンなど)などであってもよい。ハロゲン化剤の使用割合は、前記リチオ化剤との反応に供した式(1a)で表される化合物1モルに対して、例えば、2〜5モル、好ましくは2〜3モル程度であってもよい。
反応は、反応に不活性な溶媒の存在下で行ってもよく、前記リチオ化反応の反応液に対して、さらに溶媒を添加してもよい。溶媒としては、例えば、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルなど)などであってもよく、通常、テトラヒドロフランなどが使用される場合が多い。
反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。反応温度は、例えば、−100〜50℃、好ましくは−90〜30℃(通常、−78℃〜室温)程度であってもよい。反応時間は、例えば、1〜48時間、好ましくは12〜24時間程度であってもよい。反応終了後、必要に応じて、洗浄、抽出、乾燥、ろ過、濃縮、再結晶、カラム精製などの慣用の分離精製手段により精製してもよい。
クロスカップリング反応
クロスカップリング反応では、例えば、式(1B)におけるR4a及びR4bが、炭化水素基、又は炭化水素基を有していてもよいヘテロアリール基である化合物(下記式(1c)で表される化合物)を調製してもよい。このような反応としては、特に制限されないが、代表的には、例えば、鈴木−宮浦カップリング、根岸カップリング、檜山カップリング、熊田−玉尾カップリング、小杉−右田−スティルカップリングなどが挙げられる。より具体的には、式(1c)で表される化合物は、例えば、前記ハロゲン化反応により調製したR4a及びR4bがハロゲン原子である化合物(下記式(1b)で表される化合物)と、下記式(8)で表される化合物とを反応させることにより調製できる。
Figure 2018172575
(式中、Rは炭化水素基、又は炭化水素基を有していてもよいヘテロアリール基、Lは基−B(OH)、基−ZnX(式中、Xはハロゲン原子を示す)、基−MgX(式中、Xはハロゲン原子を示す)、基−SnR (式中、Rはアルキル基を示す)、基−SiR (式中、Rはフッ素、塩素又はアルキル基を示す)を示し、Z、Z、Z、R1a、R1b、R、R2a、R2b、R、R3a、R3b、R5a、R5b、m、m1、m2、n、n1及びn2は、それぞれ好ましい態様も含めて前記式(1B)の記載に同じであり、X3a及びX3bは好ましい態様も含めて前記式(1b)の記載に同じ)。
前記式(8)において、Rで表される炭化水素基及び炭化水素基を有していてもよいヘテロアリール基としては、前記R4a及びR4bの項に例示の炭化水素基及び炭化水素基を有していてもよいヘテロアリール基と好ましい態様も含めて同様である。
及びXで表されるハロゲン原子、並びにR及びRで表されるアルキル基としては、前記基R及びRの項に例示した金属(又は半金属)含有基における記載と好ましい態様を含めて同様であってもよい。
前記式(8)で表される化合物は特に制限されず、例えば、式(1c)で表される化合物に導入する基Rに対応するボロン酸化合物、ジンクハライド化合物(ジンククロリドなど)、グリニャール試薬、トリアルキルスタンニル化合物、トリアルキルシリル化合物などが挙げられる。これらのうち、通常、ボロン酸化合物、ジンクハライド化合物などが利用される。
前記式(8)で表される化合物としてより具体的には、アリールボロン酸(例えば、フェニルボロン酸などのC6−14アリールボロン酸、4−ヘキシルフェニルボロン酸などのC1−20アルキルC6−14アリールボロン酸など)、ヘテロアリールボロン酸(例えば、2−チエニルボロン酸などのC4−13ヘテロアリールボロン酸など)などのボロン酸化合物;アリールジンクハライド(例えば、フェニルジンククロリドなどのC6−14アリールジンクハライド、4−デシルフェニルジンククロリドなどのC1−20アルキルC6−14アリールジンクハライドなど)、ヘテロアリールジンクハライド(例えば、2−チエニルジンククロリドなどのC4−13ヘテロアリールジンクハライドなど)などのジンクハライド化合物などが挙げられる。
前記式(8)で表される化合物の使用割合は、前記式(1b)で表されるハロゲン化物1モルに対して、例えば、2〜5モル、好ましくは2.5〜3.5モル程度であってもよい。
反応は、通常、触媒の存在下で行ってもよい。触媒の種類は、基Lに応じて選択でき、例えば、パラジウム触媒[パラジウム(0)触媒(例えば、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体)などのパラジウム錯体]、ニッケル触媒(ニッケル(0)触媒などのニッケル錯体)、鉄触媒(鉄(III)触媒などの鉄錯体)などの遷移金属錯体などが挙げられる。これらの触媒のうち、パラジウム触媒、ニッケル触媒(特にパラジウム触媒)である場合が多い。触媒の使用量は、前記式(1b)で表されるハロゲン化物1モルに対して、例えば、0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モル(通常、0.02〜0.2モル)程度であってもよい。
反応では、触媒に配位して錯体を形成可能な配位子を添加してもよい。配位子としては、例えば、トリ(t−ブチル)ホスフィン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンなどのホスフィン系配位子などが挙げられる。これらの配位子は、塩(例えば、テトラフルオロボラートなどのアニオンとのホスホニウム塩など)として添加してもよい。配位子の使用量は、触媒の種類に応じて選択でき、触媒1モルに対して、例えば、1〜10モル、好ましくは1.1〜5モル程度であってもよい。
反応は、基Lに応じて、塩基の存在下又は不在下で行ってもよい。塩基としては、例えば、前記Wittig反応の項に例示した塩基などが挙げられる。塩基は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。通常、水酸化ナトリウムなどの金属水酸化物が使用される場合が多い。塩基の使用割合は、前記式(1b)で表されるハロゲン化物1モルに対して、例えば、1〜10モル、好ましくは3〜5モル程度であってもよい。
反応は溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルなど)、水などであってもよく、通常、テトラヒドロフラン、水などが使用される場合が多い。
反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。反応温度は基Lに応じて選択でき、例えば、10〜100℃、好ましくは20〜70℃(通常、室温〜50℃)程度であってもよい。反応時間は、例えば、1〜24時間、好ましくは3〜20時間程度であってもよい。反応終了後、必要に応じて、洗浄、抽出、乾燥、ろ過、濃縮、再結晶、カラム精製などの慣用の分離精製手段により精製してもよい。
酸化反応
酸化反応では、例えば、式(1B)におけるR、R3a及びR3bが酸素原子である化合物(下記式(1e)で表される化合物)を調製してもよい。式(1e)で表される化合物は、例えば、前記環化反応により調製したn、n1及びn2が0である化合物(下記式(1d)で表される化合物)を酸素化剤と反応させることにより調製できる。
Figure 2018172575
(式中、rは1又は2、r1及びr2は0〜2の整数を示し、Z、Z、Z、R1a、R1b、R、R2a、R2b、R4a、R4b、R5a、R5b、m、m1及びm2は、それぞれ好ましい態様も含めて前記式(1B)の記載に同じ)。
前記式(1e)において、r、r1及びr2は、v=m+2×r+2、v1=m1+2×r1+2及びv2=m2+2×r2+2(式中、v、v1、v2、m、m1及びm2は前記に同じ。)を満たしている。そのため、r、r1及びr2は、各原子価v、v1及びv2に応じて選択でき、原子価が4価又は5価の場合はr、r1及びr2は1であり、原子価が6価の場合は1又は2(特に2)である。また、r、r1及びr2は、Z、Z及びZの種類や酸素化剤の種類に応じて選択でき、それぞれ同一又は異なっていてもよい。Z及びZが硫黄原子である場合、7員環上のZの方が電子密度が高く酸化され易いためか、r1及びr2は0である場合が多い。
酸素化剤(又は酸化剤)としては、例えば、有機過酸化物[例えば、ヒドロペルオキシド類(例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパルオキシドなどのアルキルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのアラルキルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドなどのアリールヒドロキシペルオキシドなど);ジアルキルペルオキシド類(例えば、ジt−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシドなど);ペルオキシカルボン酸類(例えば、過ギ酸、過酢酸、過プロピオン酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、トリフルオロ過酢酸など);ペルオキシエステル類(例えば、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシアセテートなど);ジアシルペルオキシド類(例えば、ベンゾイルペルオキシド(BPO)、ラウロイルペルオキシドなど);ペルオキシカーボネート類(例えば、O,O−t−ブチル−O−イソプロピルペルオキシカーボネートなどのペルオキシモノカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネートなどのペルオキシジカーボネートなど);ケトンペルオキシド類(例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシドなど);ペルオキシケタール類(例えば、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなど)など];無機過酸化物(例えば、過酸化水素、過酸化ナトリウムなど)などが挙げられる。
これらの酸素化剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの酸素化剤のうち、m−クロロ過安息香酸などのペルオキシカルボン酸類が用いられることが多い。酸素化剤の使用割合は、前記式(1d)で表される化合物1モルに対して、例えば、1〜5モル、好ましくは1.3〜3モル程度であってもよい。
反応は溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど)などであってもよく、通常、塩化メチレンなどが使用される場合が多い。
反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。反応温度は、例えば、−50〜50℃、好ましくは−30〜30℃(通常、−20℃〜室温)程度であってもよい。反応時間は、例えば、30〜300分、好ましくは120〜180分程度であってもよい。反応終了後、必要に応じて、洗浄、抽出、乾燥、ろ過、濃縮、再結晶、カラム精製などの慣用の分離精製手段により精製してもよい。
金属(又は半金属)含有基の導入反応
金属(又は半金属)含有基は、慣用の方法により導入でき、例えば、前記式(1a)で表される化合物(又は前記式(1a)で表される化合物を化学修飾した化合物)と、前記基の種類に応じた金属(又は半金属)含有試薬とを反応する方法などにより導入してもよい。
代表的には、例えば、金属含有基がリチウム原子である場合、前記ハロゲン化反応の項に記載の式(1a)で表される化合物と金属含有試薬としてのリチオ化剤との反応により調製できる。
また、金属含有基がトリアルキルスタンニル基である場合、前記ハロゲン化反応の項に記載の前記式(1a)で表される化合物のリチオ化物と、金属含有試薬としてのトリアルキルスズハライドとの反応により調製できる。なお、前記リチオ化物は、リチオ化反応後の反応液を分離精製することなく、トリアルキルスズハライドとの反応に供してもよい。
トリアルキルスズハライドとしては、例えば、トリメチルスズクロリド、トリメチルスズブロミド、n−ブチルスズクロリドなどのトリC1−6アルキルスズハライド、好ましくはトリC1−4アルキルスズハライドなどが挙げられる。これらのトリアルキルスズハライドは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのトリアルキルスズハライドのうち、トリメチルスズクロリドなどのトリC1−4アルキルスズクロリドが用いられることが多い。トリアルキルスズハライドの使用割合は、リチオ化前の前記式(1a)で表される化合物1モルに対して、例えば、1〜5モル、好ましくは2〜3モル程度であってもよい。
反応は溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテルなど)などであってもよく、通常、テトラヒドロフランなどが使用される場合が多い。溶媒の量は、特に制限されず、例えば、反応系を均一化できる程度であってもよい。
反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。反応温度は、例えば、反応温度は、例えば、−100〜−50℃、好ましくは−80〜−70℃程度であってもよい。反応時間は、例えば、1〜300分、好ましくは60〜180分程度であってもよい。反応終了後、必要に応じて、洗浄、抽出、乾燥、ろ過、濃縮、再結晶、カラム精製などの慣用の分離精製手段により精製してもよい。
[有機半導体を含む電子デバイス]
本発明の有機半導体は、前記式(A)で表される化合物を少なくとも含んでいればよく、必要に応じて、慣用の半導体材料を含んでいてもよい。このような半導体材料としては、例えば、アセン類(例えば、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセンなど);フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、ナフタロシアニン、サブフタロシアニンなど);カルバゾール類[例えば、1,3,5−トリス[2,7−(N,N−(p−メトキシフェニル)アミノ)−9H−カルバゾール−9−イル]ベンゼン(SGT405)など];チオフェン類[例えば、2,5−ビス[4−(N,N−ビス(p−メトキシフェニル)アミノ)フェニル]−3,4−エチレンジオキシチオフェン(H101)、2,3,4,5−テトラキス[4−(N,N−ビス(p−メトキシフェニル)アミノ)フェニル]チオフェン(H111)など];テトラカルボン酸ジイミド類[例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸ジイミドなど];トリプチセン類[例えば、2,6,14−トリス[5’−(4−(N,N−ビス(p−メトキシフェニル)アミノ)フェニル)−チオフェン−2’−イル]トリプチセン(T103)など]などの有機低分子半導体材料;ポリアセチレン類(trans−ポリアセチレンなど);ポリパラフェニレン類(ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレンなど);ポリピロール類(ポリ(ピロール−2,5−ジイル)など);ポリチオフェン類[例えば、ポリ(3−メチルチオフェン−2,5−ジイル)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)(P3HT)、ポリ[N−9’−ヘプタデカニル−2,7−カルバゾール−alt−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、ポリ[N−9’−ヘプタデカニル−2,7−カルバゾール−alt−3,6−ビス(チオフェン−5−イル)−2,5−ジオクチル−2,5−ジヒドロピロロ[3,4]ピロール−1,4−ジオン](PCBTDPP)、ポリ[2,6−(4,4−ビス−(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン)−alt−4,7−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)など];ポリトリアリールアミン類[例えば、ポリ[ビス(フェニル−4−イル)−(2,4,6−トリメチルフェニル)−アミン](PTAA)、ポリ[ビス(フェニル−4−イル)−(4−ブチルフェニル)−アミン](PolyTPD)など];ポリフルオレン類[例えば、ポリ[9,9−ジオクチルフルオレン−co−ビス−N,N’−(4−ブチルフェニル)−ビス−N,N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン](PFB)など]などの有機高分子半導体材料;炭素材[例えば、フラーレン類(例えば、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C84フラーレンなど)、グラフェン類(グラフェン、酸化グラフェンなど)、カーボンナノチューブ類(単層カーボンナノチューブ(SWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)など)など]などの無機半導体材料などが挙げられる。
これらの慣用の半導体材料は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。本発明の有機半導体において、前記式(A)で表される化合物の割合は、半導体材料全体に対して、例えば、10重量%以上(例えば、30〜100重量%)、好ましくは50重量%以上(例えば、70〜99.9重量%)、さらに好ましくは80重量%以上(例えば、90〜99重量%)程度であってもよく、実質的に100重量%(前記式(A)で表される化合物のみ)であってもよい。
本発明の有機半導体(有機半導体薄膜又は有機半導体層)は、真空蒸着法、スパッタリング法、PVT(physical vapor transport)法(物理気相輸送法)などのドライプロセスにより形成してもよく、ウェットプロセス(コーティングなど)により形成してもよい。前記ウェットプロセスは、基材(又は基板)の少なくとも一方の面に対して、前記有機半導体と溶媒とを含む組成物(又は溶液)を塗布し、溶媒を除去する製膜工程を含んでいる。
前記基材(又は基板)としては特に制限されず、例えば、ガラス板、シリコンウエハー、プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの透明樹脂フィルムなど)などであってもよい。これらの基材は、必要に応じて、表面に1又は複数の機能層(例えば、ITOなどの導電層、SiOなどの絶縁層、β−フェネチルトリメトキシシラン(β−PTS)などの自己組織化単分子膜(SAM)など)が形成されていてもよい。
溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、クロロベンゼンなど);ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロC1−6アルカン);アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのC1−6アルカンモノオール;エチレングリコールなどのC2−4アルカンジオールなど);エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類など);グリコールエーテル類[例えば、セロソルブ類(メチルセロソルブなど)、カルビトール類(メチルカルビトールなど)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールモノC1−4アルキルエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールジC1−4アルキルエーテルなど];グリコールエーテルアセテート類[例えば、セロソルブアセテート類(例えば、メチルセロソルブアセテートなどのC1−4アルキルセロソルブアセテートなど)、カルビトールアセテート類(例えば、メチルカルビトールアセテートなどのC1−4アルキルカルビトールアセテートなど)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールモノC1−4アルキルエーテルアセテートなど];ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなどの鎖状ケトン、シクロヘキサノンなどの環状ケトンなど);エステル類(酢酸エチルなどの酢酸エステル、乳酸メチルなどの乳酸エステルなど);カーボネート類(ジメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネートなど);ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど);アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなど);スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど);及びこれらの混合溶媒などが挙げられる。通常、トルエン、アニソールなどの芳香族炭化水素類である場合が多い。
組成物(又は溶液)の濃度(固形分濃度)は、塗布方法などに応じて選択してもよく、例えば、0.001〜10重量%(例えば、0.005〜5重量%程度)、好ましくは0.01〜1重量%(例えば、0.02〜0.5重量%)、さらに好ましくは0.03〜0.1重量%程度であってもよい。
塗布方法は特に制限されず、慣用の塗布方法、例えば、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ブレードコート法、バーコート法、ダイコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、キャスト法、エッジキャスト法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などが採用できる。通常、スピンコート法、エッジキャスト法、インクジェット印刷法などを利用する場合が多い。
塗膜を自然乾燥、加熱処理による乾燥などの慣用の方法で溶媒を除去することにより有機半導体(層)を形成できる。前記加熱処理における温度は、例えば、30〜100℃、好ましくは40〜80℃程度であってもよい。また、必要に応じて、減圧下で乾燥してもよい。
このようにして得られる有機半導体(層)の厚みは、用途に応じて、例えば、1〜5000nm、好ましくは30〜1000nm、さらに好ましくは50〜500nm程度であってもよい。
本発明の有機半導体は、n型半導体、p型半導体であってもよく、真性半導体であってもよい。本発明の有機半導体は、電子及び/又はホール(正孔)の移動度(キャリア移動度又は電気移動度)が高いため、電子デバイス、例えば、スイッチング素子、整流素子、トランジスタなどの半導体素子の材料として適している。このような有機薄膜トランジスタは、ゲート電極層と、ゲート絶縁層と、ソース/ドレイン電極層と、有機半導体層とで構成されている。これらの層の積層構造によって、有機薄膜トランジスタは、トップゲート型、ボトムゲート型(トップコンタクト型、ボトムコンタクト型)に分類できる。例えば、ゲート電極(酸化膜が形成されたp型シリコンウエハーなど)に有機半導体膜を形成して、この有機半導体膜上にソース/ドレイン電極(金電極)を形成することにより、トップコンタクト型電界効果トランジスタを製造できる。また、前記ソース/ドレイン電極層と、前記有機半導体層との間に、キャリア注入層(ドーパント層)を形成してもよい。このようなキャリア注入層は、例えば、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)、2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノキノンジメタン(F4TCNQ)などのTCNQ類、塩化鉄(III)などの金属ハロゲン化物、フラーレン類などで形成されていてもよい。
また、本発明の有機半導体は、光吸収によるキャリア移動度(光電変換率)が高く、光電変換能を有している。そのため、本発明の有機半導体は、光電変換デバイス又は光電変換素子(太陽電池素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子など)、整流素子(ダイオード)の材料としても適している。代表的な光電変換デバイスとしての太陽電池は、pn接合型半導体に表面電極が積層された構造、例えば、p型シリコン半導体に有機半導体層を積層し、この有機半導体層に透明電極(ITO電極など)を積層した構造を有していてもよい。また、有機EL素子は、透明電極(ITO電極など)に、有機半導体を含む発光層を形成し、この発光層に電極(金属電極など)を積層した構造であってもよく、発光層には、必要に応じて、電子輸送剤、ホール輸送剤を分散させてもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
(1)3−ブロモチオフェン−2−カルボキシアルデヒドの還元
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、3−ブロモチオフェン−2−カルボキシアルデヒド(化合物(2-1)、10g、52.3mmol)/エタノール(EtOH、200mL)溶液を0℃で攪拌させながら、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH、3.4g、90.1mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮することで得られた油状固体に塩化アンモニウム水溶液を加え、有機層を酢酸エチルで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、濾液を減圧下で濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン(体積比)=2/8)で精製することにより、目的化合物である3−ブロモチオフェン−2−メタノール(化合物(3-1)、収量9.3g、収率92%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)7.27(d、1H、J=5.2Hz)、6.96(d、1H、J=5.2Hz),4.80(d、2H、J=6.0Hz)、1.94(s、br、1H)。
(2)ホスホニウム塩の合成
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、3−ブロモチオフェン−2−メタノール(化合物(3-1)、300mg、1.6mmol)/クロロホルム(CHCl、2mL)溶液を室温で攪拌させながら、トリフェニルホスフィン臭化水素酸塩(化合物(4-1)、533mg、1.6mmol)を加え、還流条件下20時間攪拌後、室温に戻し、減圧下で濃縮し粗生成物を得た。この粗生成物を再結晶(クロロホルム/ジエチルエーテル)で精製することにより、目的化合物トリフェニル−(3−ブロモ−2−チエニル)メチルホスホニウムブロミド(化合物(5-1)、収量9.3g、収率99%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)7.76−7.88(m、9H)、7.63−7.73(m、6H)、7.24(td、1H、J=2.8、5.2Hz)、6.82(d、1H、J=5.2Hz)、5.87(d、2H、J=13.2Hz)。
(3)Wittig反応
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、トリフェニル−(3−ブロモ−2−チエニル)メチルホスホニウムブロミド(化合物(5-1)、64.0g、123.5mmol)/テトラヒドロフラン(THF、1L)溶液を0℃で攪拌させながら、カリウムt−ブトキシド(tBuOK、45.7g、407.6mmol)を加えて、0℃で1時間攪拌した。さらに、3−ブロモチオフェン−2−カルボキシアルデヒド(化合物(2-1)、21.2g、111.1mmol)を加えた。この黒色反応溶液を自然に室温まで上昇させながら、46時間攪拌した。反応溶液に水を加え、減圧下で濃縮して得られた懸濁液をクロロホルムで希釈し、ろ過した。ろ液の有機層をクロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮することで得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、目的化合物の黄色固体1,2−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)エチレン(化合物(6-1)、収量17.6g、収率45%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)7.27(d、2H、J=5.2Hz)、6.99(d、2H、J=5.2Hz)、6.71(s、2H)。
(4)環化反応によるチエピン環の形成
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、1,2−ビス(3−ブロモ−2−チエニル)エチレン(化合物(6-1)、5.7g、16.3mmol)/ジエチルエーテル(EtO、230mL)溶液を−78℃で攪拌させながら、n−ブチルリチウム(n−BuLi)/ヘキサン溶液(1.63M、20mL、32.6mmol)を滴下し、−78℃で1時間攪拌した。この緑色懸濁液に、ベンゼンチオスルホン酸無水物(化合物(7-1)、5.6g、17.9mmol)/THF(190mL)溶液を−78℃で加え、自然に室温まで上昇させながら、7.5時間攪拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで希釈した後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮することで得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、目的化合物の黄色固体ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-1)、収量1.3g、収率35%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)7.27(d、2H、J=5.2Hz)、6.99(d、2H、J=5.2Hz)、6.71(s、2H)。
(5)臭素化物の合成
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-1)、200mg、0.9mmol)/THF(30mL)溶液を−78℃で攪拌させながら、リチウムテトラメチルピペリジン(LiTMP)/THF溶液(0.71M、3.1mL、2.2mmol)を滴下し、−78℃で2時間攪拌した。この黄色懸濁液に、1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタン(703mg、2.2mmol)を−78℃で加え、自然に室温まで上昇させながら、17時間攪拌した。反応溶液に水を加え、クロロホルムで希釈した後、有機層をクロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮することで得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、目的化合物の黄色固体2,6−ジブロモ−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-2)、収量323mg、収率94%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)6.71(s、2H)、6.67(s、2H)。
(6)カップリング反応
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、2,6−ジブロモ−[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-2)、30mg、0.08mmol)/フェニルボロン酸(化合物(8-1)、29mg、0.24mmol)/酢酸パラジウム(Pd(OAc)、1.8mg、0.008mmol)/トリt−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(P(tBu)HBF、2.6mg、0.009mmol)/THF(2mL)溶液を室温で20分間攪拌した。この茶色溶液に水酸化ナトリウム(NaOH、13mg、0.32mmol)/水(HO、0.5mL)溶液を加え、さらに室温で1.5時間攪拌した。このオレンジ色懸濁液をクロロホルムで希釈した後、有機層をクロロホルムで抽出し、減圧下で濃縮することで得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/へキサン(体積比)=30/70)で精製することで目的化合物のオレンジ色固体2,6−ジフェニル−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-3)、収量25mg、収率85%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)7.51(d、4H、J=7.6Hz)、7.37(t、4H、J=7.6Hz)、7.30(d、2H、J=7.6Hz)、6.97(s、2H)、6.76(s、2H)。
(7)加熱工程
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、2,6−ジフェニル−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-3)、49mg、0.13mmol)を230℃で10分間加熱した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム(体積比)=9/1)で精製し、うす黄色固体の目的化合物2,7−ジフェニル−ベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン(化合物(A-2-1)、収量43mg、収率96%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)7.95(s、2H)、7.79(d、4H、J=7.6Hz)、7.75(s、2H)、7.46(t、4H、J=7.6Hz)、7.37(t、2H、J=7.6Hz)。
[実施例2]
(1)カップリング反応
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、2,6−ジブロモ−[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-2)、100mg、0.263mmol)/4−ヘキシルフェニルボロン酸(化合物(8-2)、163mg、0.789mmol)/酢酸パラジウム(Pd(OAc)、5.9mg、0.0263mmol)/トリt−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(P(tBu)HBF、8.4mg、0.0289mmol)/THF(8mL)溶液を室温で15分間攪拌した。この黒色溶液に水酸化ナトリウム(NaOH、42mg、1.05mmol)/水(HO、2mL)溶液を加え、さらに室温で4時間攪拌した。このオレンジ色懸濁液に水を加え、クロロホルムで希釈した後、有機層をクロロホルムで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、減圧下で濃縮することで得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/へキサン(体積比)=15/85)で精製することで目的化合物のオレンジ色固体2,6−ビス(4−ヘキシルフェニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-4)、収量110mg、収率77%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)7.41(d、4H、J=8.4Hz)、7.17(d、4H、J=8.4Hz)、6.92(s、2H)、6.73(s、2H)、2.60(t、4H、J=7.6Hz)、1.57−1.65(m、4H)、1.26−1.37(m、12H)、0.88(t、6H、J=7.2Hz)。
(2)加熱工程
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、2,6−ビス(4−ヘキシルフェニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-4)、40mg、0.074mmol)を230℃で20分間加熱した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム(体積比)=95/5)で精製し、白色固体の目的化合物2,7−ビス(4−ヘキシルフェニル)−ベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン(化合物(A-2-2)、収量18mg、収率48%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)7.89(s、2H)、7.71(s、2H)、7.69(d、4H、J=8.4Hz)、7.26(d、4H、J=8.4Hz)、2.66(t、4H、J=8Hz)、1.66(m、4H)、1.31−1.64(m、12H)、0.90(t、6H、J=7.6Hz)。
[実施例3]
(1)カップリング反応
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、4−デシルフェニルジンククロリド(化合物(8-3))/THF(8.6mL、1.58mmol)溶液を0℃で攪拌させながら、2,6−ジブロモ−[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-2)、200mg、0.526mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(Pd(dba)CHCl、13.6mg、0.0132mmol)、トリt−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(P(tBu)HBF、15.3mg、0.0526mmol)を順次加えた。反応溶液を50℃で15時間攪拌させた。反応溶液に水を加え、クロロホルムで希釈した後、有機層をクロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、減圧下で濃縮することで得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/へキサン(体積比)=5/95)で精製し、目的化合物の茶色固体2,6−ビス(4−デシルフェニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-5)、収量77mg、収率22%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)7.41(d、4H、J=7.6Hz)、7.17(d、4H、J=7.6Hz)、6.92(s、2H)、6.73(s、2H)、2.56(t、4H、J=7.6Hz)、1.56−1.75(m、4H)、1.20−1.38(m、28H)、0.88(t、6H、J=6.8Hz)。
(2)加熱工程
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、2,6−ビス(4−デシルフェニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-5)、40mg、0.061mmol)を230℃で5分間加熱した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム(体積比)=9/1)で精製し、黄色固体の目的化合物2,7−ビス(4−デシルフェニル)−ベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン(化合物(A-2-3)、収量19mg、収率50%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)7.89(s、2H)、7.72(s、2H)、7.69(d、4H、J=7.6Hz)、7.27(d、4H、J=7.6Hz)、2.66(t、4H、J=7.6Hz)、1.66(quint、4H、J=7.6Hz)、1.20−1.44(m、28H)、0.88(t、6H、J=6.8Hz)。
[実施例4]
(1)カップリング反応
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、3−デシルフェニルジンククロリド(化合物(8-4))/THF(8.6mL、1.58mmol)溶液を室温で攪拌させながら、2,6−ジブロモ−[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-2)、200mg、0.526mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(Pd(dba)CHCl、13.6mg、0.0132mmol)、トリt−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(P(tBu)HBF、15.3mg、0.0526mmol)を順次加えた。反応溶液を50℃で15時間攪拌させた。反応溶液に水を加え、クロロホルムで希釈した後、有機層をクロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、減圧下で濃縮することで得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/へキサン(体積比)=5/95)で精製し、目的化合物の茶色固体2,6−ビス(3−デシルフェニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-6)、収量92mg、収率27%)を得た。
H−NMR(400MHz、TCE−d):δ(ppm)7.24−7.29(m、2H)、7.26(s、2H)、7.23(t、2H、J=7.6Hz)、7.08(d、2H、J=7.6Hz)、6.92(s、2H)、6.69(s、2H)、2.55(t、4H、J=7.6Hz)、1.5−1.62(m、4H)、1.12−1.33、(m、28H)、0.82(t、6H、J=7.6Hz)。
(2)加熱工程
Figure 2018172575
アルゴン雰囲気下、2,6−ビス(3−デシルフェニル)−ジチエノ[3,2−b:2,3−f]チエピン(化合物(1-6)、40mg、0.061mmol)を230℃で5分間加熱した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム(体積比)=9/1)で精製し、うす黄色固体の目的化合物2,7−ビス(3−デシルフェニル)−ベンゾ[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン(化合物(A-2-4)、収量36mg、収率95%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ(ppm)7.94(s、2H)、7.74(s、2H)、7.57−7.63(m、4H)、7.36(t、2H、J=7.6Hz)、7.18(d、2H、J=7.6Hz)、2.69(t、4H、J=7.6Hz)、1.70(quint、4H、J=7.6Hz)、1.20−1.44(m、28H)、0.88(t、6H、J=7.2Hz)。
[溶解度の評価]
実施例で得られた各化合物を数mg計量し、溶解するまで、室温で微量ずつトルエンを加えた。溶解した濃度(重量%)をn=5で測定し、その平均値で評価した。結果を表2に示す。
Figure 2018172575
表2から明らかなように、実施例で得られた化合物の溶解性は高かった。
[デバイスの特性評価]
(移動度及び閾値電圧)
電界効果型トランジスタを作製して移動度を評価した。詳しくは、二酸化ケイ素(SiO)絶縁膜(膜厚500nm)付シリコン(Si)基板を、アセトン及び2−プロパノールで各3分間超音波洗浄を行い、120℃、30分間乾燥させた。続いて、UVオゾン処理を30分間行った。洗浄処理した基板表面に、パーフルオロデシルトリクロロシラン(F−DTS)の自己組織化単分子膜(SAM)を気相法で製膜した。この基板表面に、実施例1で得られた化合物を用いて、PVT(physical vapor transport)法[PVT条件:高温部200℃、低温部なし、アルゴンフロー量40ccm、時間22h]により単結晶膜を形成した。この単結晶膜の表面に金属マスクを置き、キャリア注入層として、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)(膜厚約2nm)、ソース電極及びドレイン電極として、金(膜厚70nm)を真空蒸着させ、デバイス素子(トップコンタクト−ボトムゲート型、チャネル長100μm、チャネル幅2mm)を作製した。このデバイス素子について、半導体パラメータアナライザー(型番「keithley 4200」、ケースレーインスツルメンツ(株)製)を用いて、移動度及び閾値電圧Vth(ドレイン電圧Vd=−10V、−100V、−150V)を評価したところ、移動度は0.08cm/Vsであり、閾値電圧Vthは−47Vであった。
本発明の有機半導体は、様々な電子デバイス、例えば、整流素子(ダイオード)、スイッチング素子又はトランジスタ(有機薄膜トランジスタ)[例えば、接合型トランジスタ(バイポーラトランジスタ)、電界効果型トランジスタ(ユニポーラトランジスタ)など]、光電変換素子(太陽電池素子、有機EL素子など)などの有機半導体デバイスとして有効に利用できる。

Claims (9)

  1. 下記式(A)
    Figure 2018172575
    (式中、環A及びAは同一又は異なって少なくとも1つの炭素−炭素不飽和結合を有する環;R1a及びR1bは同一又は異なって水素原子又は置換基;R及びRは同一又は異なって水素原子、置換基、又は周期表第16族元素から選択される原子;p1及びp2は同一又は異なって0以上の整数を示し、
    Figure 2018172575
    で表される結合は単結合又は二重結合を示す。)
    で表される化合物を含む有機半導体。
  2. 前記式(A)において、環A及びAがヘテロ原子を有していてもよい芳香族環である請求項1記載の有機半導体。
  3. 式(A)で表される化合物が、下記式(A-1)及び下記式(A-2)
    Figure 2018172575
    (式中、環Ar及びArが同一又は異なってアレーン環;R及びRは同一又は異なって置換基;q1及びq2は同一又は異なって0以上の整数を示し;R1a及びR1bは請求項1記載の式(A)に同じ。)
    Figure 2018172575
    (式中、Z及びZは同一又は異なって周期表第13族〜16族元素から選択される原子;R2a、R2b、R4a、R4b、R5a及びR5bは同一又は異なって水素原子又は置換基;R3a及びR3bは同一又は異なって周期表第16族元素から選択される原子;m1及びm2は同一又は異なって0〜4の整数;n1及びn2は同一又は異なって0〜2の整数を示し;R1a及びR1bは請求項1記載の式(A)に同じ。)
    で表される化合物から選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の有機半導体。
  4. 式(A-1)において、環Ar及びArがC6−18アレーン環;R1a及びR1bが水素原子又は炭化水素基;R及びRが炭化水素基;q1及びq2が0〜8の整数であり、
    式(A-2)において、Z及びZが周期表第14〜16族元素から選択される原子;R1a、R1b、R2a、R2b、R5a及びR5bが水素原子又は炭化水素基;R3a及びR3bが酸素原子又は硫黄原子;R4a、R4bが水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素基を有していてもよいヘテロアリール基、リチウム原子、基−B(OH)、基−ZnX(式中、Xはハロゲン原子を示す。)、基−MgX(式中、Xはハロゲン原子を示す。)、基−SnR (式中、Rはアルキル基を示す。)又は基−SiR (式中、Rはフッ素、塩素又はアルキル基を示す。);m1及びm2が0〜3の整数である請求項3記載の有機半導体。
  5. 式(A-1)において、環Ar及びArがC6−14アレーン環;R1a及びR1bが水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基;R及びRがアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基;q1及びq2が0〜4の整数であり、
    式(A-2)において、Z及びZが炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、硫黄、セレン及びテルルから選択される原子;R1a、R1b、R2a、R2b、R5a及びR5bが水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基;R3a及びR3bが酸素原子;R4a、R4bが水素原子、ハロゲン原子、アリール基、アルキルアリール基、ヘテロアリール基又はアルキルヘテロアリール基;m1及びm2が0〜2の整数である請求項3又は4記載の有機半導体。
  6. 式(A-1)において、環Ar及びArがC6−10アレーン環;R1a及びR1bが水素原子又はC1−30アルキル基;q1及びq2が0であり、
    式(A-2)において、Z及びZが酸素、硫黄及びセレンから選択される原子;R1a及びR1bが水素原子又はC1−30アルキル基;R5a及びR5bが水素原子;R4a、R4bが水素原子、ハロゲン原子、C6−14アリール基、C1−20アルキルC6−14アリール基、C4−13ヘテロアリール基又はC1−20アルキルC4−13ヘテロアリール基;m1及びm2が0;n1及びn2が0である請求項3〜5のいずれかに記載の有機半導体。
  7. 下記式(1)
    Figure 2018172575
    (式中、Zは周期表第13〜16族元素から選択される原子;Rは同一又は異なって水素原子又は置換基;Rは同一又は異なって周期表第16族元素から選択される原子;mは0〜4の整数;nは0〜2の整数を示し、A、A、R1a、R1b、R、R、p1、p2及び
    Figure 2018172575
    は請求項1記載の式(A)に同じ。)
    で表される化合物を加熱する加熱工程を含む請求項1〜6のいずれかに記載の有機半導体の製造方法。
  8. 加熱温度が100〜400℃である請求項7記載の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の有機半導体を含む電子デバイス。
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