JP6442049B2 - 有機薄膜トランジスタ、有機半導体層形成用組成物 - Google Patents

有機薄膜トランジスタ、有機半導体層形成用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、有機薄膜トランジスタ及び有機半導体層形成用組成物に関する。
軽量化、低コスト化及び柔軟化が可能であることから、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイに用いられるFET(電界効果トランジスタ)、RFID(Radio Frequency Identifier、RFタグ)又はメモリなどの論理回路を用いる装置等に、有機半導体層(有機半導体膜)を有する有機薄膜トランジスタ(有機TFT(thin film transistor))が利用されている。
昨今、有機薄膜トランジスタへの期待が高まるなか、有機薄膜トランジスタには、移動度(特にキャリア移動度)の向上及び安定性(絶縁信頼性の向上)などが求められている。
このようななか、特許文献1には、「トランジスタにおいて、半導体層、上記半導体層の上又は内に配置されたチャネル、上記半導体層の上又は内に配置されたソース、上記半導体層の上又は内に配置されたドレイン、上記半導体層と電気的に結合されたゲート、及び光活性材料であって、(a)上記半導体層に隣接し、上記半導体層と接触して、(b)上記半導体層内に、又は(c)上記ソース、上記ドレイン及び上記ゲートの1つないしさらに多くの内に、配された光活性材料、を有し、分子、陽子及び/又はイオンが上記光活性材料から上記半導体材料内に拡散する、ことを特徴とするトランジスタ。」が開示されている。
特開2013−531884号公報
本発明者は、特許文献1に記載の方法を参照して、有機薄膜トランジスタの製造を行ったところ、製造された有機薄膜トランジスタは、有機半導体層を構成する有機半導体材料が結晶化された後に、有機半導体層中あるいはその近傍に配された光酸発生剤を光照射によって分解し、分解フラグメントを有機半導体層へ拡散させる構成をとるため、比較的結晶性を乱さずにドーピングすることが可能であることが確認された。
しかしながら、引用文献1に記載された光酸発生剤はいずれも低分子型光酸発生剤であるため、拡散性には優れるものの、場合によっては、拡散によって有機薄膜トランジスタの絶縁性能が低下し、すなわち、ON/OFF比が低下する傾向があることを知見した。
また、昨今の有機薄膜トランジスタに対する移動度(特にキャリア移動度)向上の要求を鑑みると、さらに高いキャリア移動度を有する有機薄膜トランジスタが望まれるところである。
本発明は、上記実情に鑑みて、キャリア移動度及び絶縁信頼性に優れた有機薄膜トランジスタ、並びにそれを作製することができる有機半導体層形成用組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、有機薄膜トランジスタにおいて、まず、有機半導体材料と、活性光線又は放射線の照射により酸アニオンを生じる構造部位を側鎖に含む繰り返し単位を有する樹脂と、を含む有機半導体層前駆体層を構成し、この有機半導体層前駆体層に対して活性光線又は放射線を照射し、上記樹脂を分解してドーパント(好ましくは、酸アニオンポリマー)を系内に形成することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) ゲート電極と、有機半導体層と、上記ゲート電極及び上記有機半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、上記有機半導体層に接して設けられ、上記有機半導体層を介して連結されたソース電極及びドレイン電極と、を有する有機薄膜トランジスタであって、
上記有機半導体層が、有機半導体材料と、活性光線又は放射線の照射により酸アニオンを生じる構造部位を側鎖に含む繰り返し単位を有する樹脂と、を含む有機半導体層前駆体層に対して活性光線又は放射線を照射することにより得られる層である、有機薄膜トランジスタ。
(2) 上記繰り返し単位が、後述する式(III)〜(V)から選択される少なくとも1種類である、(1)に記載の有機薄膜トランジスタ。
(3) 上記繰り返し単位中の酸アニオンを生じる構造部位が、スルホニウム塩構造又はヨードニウム塩構造を有する、(1)又は(2)に記載の有機薄膜トランジスタ。
(4) 上記有機半導体材料が、縮合多環芳香族基を有し、上記縮合多環芳香族基中の環数が4つ以上であり、上記縮合多環芳香族基中の少なくとも2つの環が、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択される少なくとも1つの原子を含み、上記縮合多環芳香族基中の部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環、及び、フェナントレン環よりなる群から選択される少なくともいずれか1つの構造を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
(5) 上記有機半導体材料における上記縮合多環芳香族基中の環数が、4〜6である、(4)に記載の有機薄膜トランジスタ。
(6) 上記有機半導体材料の上記縮合多環芳香族基中に少なくとも2つの複素環が含まれ、上記複素環がそれぞれ、ヘテロ原子を1つのみ有する複素環である、(4)又は(5)に記載の有機薄膜トランジスタ。
(7) 上記有機半導体層において、上記樹脂の含有量が、有機半導体材料100質量部に対して0.001〜30質量部である、(1)〜(6)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
(8) 上記ゲート絶縁層が有機高分子を少なくとも含む、(1)〜(7)のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
(9) 有機半導体材料と、活性光線又は放射線の照射により酸アニオンを生じる構造を側鎖に含む繰り返し単位を有する樹脂と、を含む、有機半導体層形成用組成物。
本明細書において、化合物の表示については、その化合物そのものの他、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基若しくは連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、又は複数の置換基等を同時に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。
また、特に断らない限り、複数の置換基等が近接(特に隣接)するときには、それらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい意味である。
さらに、本明細書において置換・無置換を明記していない置換基等については、目的とする効果を損なわない範囲で、その基にさらに置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明によれば、キャリア移動度及び絶縁信頼性に優れた有機薄膜トランジスタ、及びそれを作製することができる有機半導体層形成用組成物を提供することができる。
本発明の有機薄膜トランジスタの好ましい構造の一例を模式的に示す図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの好ましい構造の他の一例を模式的に示す図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの好ましい構造の他の一例を模式的に示す図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの好ましい構造の他の一例を模式的に示す図である。
〔有機薄膜トランジスタ〕
本発明の有機薄膜トランジスタ(以下、単に「本発明のOTFT」という。)の構造を以下に説明する。
本発明のOTFTは、基板上に、ゲート電極と、有機半導体層と、ゲート電極と有機半導体層との間に設けられたゲート絶縁層と、有機半導体層に接して設けられ、有機半導体を介して連結されたソース電極及びドレイン電極とを有する。ゲート電極に電圧が印加されると、ソース電極−ドレイン電極間の有機半導体層とこれに隣接する層との界面に電流の流路(チャネル)が形成される。すなわち、ゲート電極に印加される入力電圧に応じて、ソース電極とドレイン電極との間を流れる電流が制御される。
本発明のOTFTの好ましい構造を図面に基づいて説明する。各図面に示されるOTFTは、本発明の理解を容易にするための模式図であり、各部材のサイズないし相対的な大小関係等は説明の便宜上大小を変えている場合があり、実際の関係をそのまま示すものではない。また、本発明で規定する事項以外はこれらの図面に示された外形又は形状に限定されるものでもない。例えば、図1A及び図1Bにおいて、ゲート電極5は必ずしも基板6のすべてを覆っている必要はなく、基板6の中央部分に設けられた形態も、本発明のOTFTの形態として好ましい。
図1A〜図1Dは、各々、本発明のOTFTの代表的な好ましい構造を模式的に表す縦断面図である。図1A〜図1Dはいずれも、有機半導体層1と、ゲート絶縁層2と、ソース電極3と、ドレイン電極4と、ゲート電極5と、基板6とを備えて構成される。
また、図1Aは、ボトムゲート・ボトムコンタクト構造、図1Bは、ボトムゲート・トップコンタクト構造、図1Cはトップゲート・ボトムコンタクト構造、図1Dはトップゲート・トップコンタクト構造のOTFTを示している。
本発明のOTFTには上記4つの形態のすべてが包含される。図示を省略するが、各OTFTの図面最上部(基板6に対して反対側)には、オーバーコート層が形成されている場合もある。
本発明のOTFTの特徴は、有機半導体層1が、有機半導体材料と、活性光線又は放射線の照射により酸アニオンを生じる構造部位を側鎖に含む繰り返し単位を有する樹脂(以下、単に「光酸発生樹脂」とも称する。)と、を含む有機半導体層前駆体層に対し、活性光線又は放射線を照射することにより形成される点にある。
この有機半導体層1の具体的な形成方法としては、有機半導体材料と、光酸発生樹脂とを含む有機半導体層形成組成物により形成する方法が一例として挙げられる。この形成方法を用いて、例えば、図1Aに示すボトムゲート・ボトムコンタクト構造のOTFTを作製する場合には、まず上記の有機半導体層形成組成物を調製し、これを下層となるゲート絶縁層2、ソース電極3及びドレイン電極4上に塗設して有機半導体層前駆体層を形成する。その後、上記有機半導体層前駆体層に対して活性光線又は放射線を照射することにより、所定の有機半導体層を形成することができる。
有機半導体層前駆体層において、結晶性の高い有機半導体材料と、光酸発生樹脂とは、互いに相分離して存在しているものと推測される。この有機半導体層前駆体層に対し活性光線又は放射線を照射すると、光酸発生樹脂がエネルギーを吸収して開裂し、主に、側鎖に酸アニオンを有する主鎖部分と、カチオン部分とに分解する。このとき、ドーパントである側鎖に酸アニオンを有する主鎖部分は、特許文献1に挙げるような低分子型光酸発生剤により形成される低分子型の酸アニオンと比較して分子量が大きく拡散性に乏しいため、有機半導体層内に有機半導体材料と相分離した状態で留まるものと考えられる。
この構成により、本発明の有機薄膜トランジスタは、ドーパントのゲート絶縁層への拡散によって生じる絶縁性能の低下が抑制されているため、ON/OFF比に優れたものとなる。また、ドーパントである側鎖に酸アニオンを有する主鎖部分と有機半導体材料の結晶とが相分離して存在するため、拡散性に富む低分子型光酸発生剤を用いた場合と比較して有機半導体材料の結晶性を損傷することが少なく、キャリア移動度にも優れたものとなる。
一方、本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、有機半導体層1は、上述のような有機半導体材料と光酸発生樹脂とを含む有機半導体層形成用組成物を用いる方法の他に、有機半導体材料を含む有機半導体材料層と光酸発生樹脂を含む光酸発生樹脂層との少なくとも2層構成として有機半導体層前駆体層を形成し、この有機半導体層前駆体層に対し活性光線又は放射線を照射することにより形成されてもよい。なお、2層構成にする場合、有機半導体材料層と光酸発生樹脂層との積層順は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、有機半導体材料層がゲート絶縁層側に配置され、光発生樹脂層がゲート絶縁層から離れた位置にあることが好ましい。
具体的には、図1Aに示すボトムゲート・ボトムコンタクト構造を参照して説明すると、下層となるゲート絶縁層2、ソース電極3及びドレイン電極4上に、有機半導体材料層を形成した後、有機半導体材料層の表面の全部又はその一部に光酸発生樹脂層を積層して有機半導体層前駆体層を形成し、この有機半導体層前駆体層に対して活性光線又は放射線を照射する。
上述したいずれの態様においても、光(活性光線又は放射線)照射後の有機半導体層中では、有機半導体材料と、光酸発生樹脂が開裂することで発生したドーパントとが相分離して存在し、これにより有機薄膜トランジスタは、キャリア移動度及び絶縁信頼性に優れたものとなる。
以下、本発明のOTFT及びこれに用いられる各種材料について、詳細に説明する。
[有機半導体層]
有機半導体層は、半導体性を示し、キャリアを蓄積可能な層である。
上述した通り、本発明における有機半導体層は、有機半導体材料と、光酸発生樹脂とを含む有機半導体層前駆体層に対し、活性光線又は放射線を照射することにより形成される。
有機半導体層の膜厚(全体)は、特に限定されないが、1nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。また、10μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、500nm以下が特に好ましい。
有機半導体材料と光酸発生樹脂とをそれぞれ別層として有機半導体層前駆体層を形成する場合には、形成される有機半導体層における有機半導体材料層の膜厚又は光酸発生樹脂層の膜厚は、有機半導体層全体の膜厚が上記範囲内であれば、それぞれ特に限定されない。
有機半導体層において、光酸発生樹脂の含有量は、有機半導体材料100質量部に対して、0.001〜30質量部であるのが好ましく、0.01〜20質量部であるのがより好ましく、0.1〜5質量部であるのがさらに好ましい。上記の範囲とすることで、よりキャリア移動度及び絶縁信頼性に優れた有機薄膜トランジスタとすることができる。
また、有機半導体層において、光酸発生樹脂の含有量は、有機半導体層の全固形分に対して、有機半導体層の全固形分:光酸発生樹脂の質量比で100000:1〜10:1であることが好ましく、10000:1〜100:5であることがより好ましく、1000:1〜100:1であることが特に好ましい。
≪有機半導体層の形成方法≫
<第1の実施態様>
以下、まず、第1の実施態様として、有機半導体材料と光酸発生樹脂とを含む有機半導体層形成組成物を用いて有機半導体層を形成する方法について詳細に説明する。
有機半導体層形成用組成物は、有機半導体材料及び光酸発生樹脂を含むが、その他に溶媒、界面活性剤又はバインダー樹脂等の他の添加剤等を含んでもよい。
(光酸発生樹脂)
光酸発生樹脂は、活性光線又は放射線の照射により酸アニオンを生じる構造部位を側鎖に含む繰り返し単位を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、単独、もしくは2種以上を併用してもよい。
本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、又は、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
活性光線又は放射線の照射により酸アニオンを生じる構造部位を側鎖に含む繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(III)〜(V)のいずれかで表される繰り返し単位が好ましい。
一般式(III)〜(V)中、
Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸アニオンを生じる構造部位を表す。
04、R05及びR07〜R09は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
06は、シアノ基、カルボキシル基、−CO−OR25又は−CO−N(R26)(R27)を表す。R26とR27が結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。
1〜X3は、各々独立に、単結合、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−O−、−SO2−、−CO−、−N(R33)−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を表す。
25は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
26、R27及びR33は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
上記R04〜R05、R07〜R09、R25〜R27及びR33において、アルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、好ましくは置換基を有していてもよいメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
また、シクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよく、更に置換基を有していてもよい。好ましくはシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
また、上記R04、R05及びR07〜R09において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
また、上記R04、R05及びR07〜R099において、アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R04〜R05、R07〜R09におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
また、上記R25〜R27及びR33において、アルケニル基としては、好ましくは置換基を有していてもよいビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基の様な炭素数2〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、置換基を有していてもよい炭素数6〜14個の単環、多環の芳香族基が好ましく、具体的にはフェニル基、トリル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。またアリール基同士が結合して、複環を形成していてもよい。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等の置換基を有していてもよい炭素数7〜15個のものが挙げられる。
26とR27が結合して窒素原子とともに形成しうる環としては、5〜8員環を形成するものが好ましいが、具体的にはピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
また、上記X1〜X3のアリーレン基は、置換基を有していてもよい炭素数6〜14個のものが好ましく、具体的にはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
アルキレン基としては、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。
シクロアルキレン基としては、好ましくは置換基を有していてもよいシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数5〜8個のものが挙げられる。
なお、後述するように、各基は置換基を有していてもよく、例えば、本発明の効果がより優れる点で、アルキレン基にはハロゲン原子が置換していることが好ましい。なかでも、アルキレン基の水素原子が全てハロゲン原子で置換されていることが好ましく、水素原子の全てがフッ素原子で置換されたアルキレン基(パーフルオロアルキレン基)が好ましい。
これら各基が更に有していてもよい置換基の好ましい例としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、R04〜R05、R07〜R09、R25〜R27及びR33で挙げたアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基若しくはブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基若しくはエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基若しくはベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基若しくはブチリルオキシ基等のアシロキシ基、又は、カルボキシ基が挙げられ、更に有していてもよい置換基の炭素数は8以下が好ましい。
Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸アニオンを生じる構造部位を表し、具体的には光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、又は、マイクロレジスト等に使用されている公知の光により酸アニオンを発生する化合物が有する構造部位が挙げられる。
活性光線又は放射線の照射により酸アニオンを発生する構造部位の一例として、例えば、ジアゾニウム塩構造、アンモニウム塩構造、ホスホニウム塩構造、ヨードニウム塩構造、スルホニウム塩構造、セレノニウム塩構造、又は、アルソニウム塩構造等のオニウム塩構造部位を挙げることができる。
Aとしては、分解性及び保存安定性の観点から、スルホニウム塩構造又はヨードニウム塩構造を含むイオン性構造部位がより好ましい。より具体的には、Aとして、下記一般式(ZI)又は(ZII)で表される基が好ましい。
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する環構造としては、例えば、シクロブタン、又は、シクロペンタン等のシクロアルカンを挙げることができる。
は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する酸アニオンを示し、非求核性アニオンが好ましい。非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、又は、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これにより樹脂の経時安定性が向上する。
201、R202及びR203で表される有機基としては、アリール基、アルキル基、又は、シクロアルキル基などが挙げられる。
201、R202及びR203で表されるアリール基、アルキル基、又は、シクロアルキル基は、上述したR04〜R05、R07〜R09、R25〜R27及びR33で表されるアリール基、アルキル基、又は、シクロアルキル基と同様のものが挙げられる。
なかでも、R201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、三つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの他に、インドール残基又はピロール残基などのヘテロアリール基も可能である。これらアリール基は更に置換基を有していてもよい。その置換基としては、ニトロ基若しくはフッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、又は、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基でない場合の好ましい構造としては、特開2004−233661号公報の段落0047〜0048、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046、米国特許出願公開第2003/0224288号明細書に式(I−1)〜(I−70)として例示されている化合物、又は、米国特許出願公開第2003/0077540号明細書に式(IA−1)〜(IA−54)、式(IB−1)〜(IB−24)として例示されている化合物等のカチオン構造を挙げることができる。
上記一般式(ZII)中、R204〜R205は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。これらアリール基、アルキル基、シクロアルキル基としては、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基と同様である。
また、R204〜R205のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基又はシクロアルキル基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する酸アニオンを示し、非求核性アニオンが好ましく、一般式(ZI)に於けるZと同様のものを挙げることができる。
また、活性光線又は放射線の照射により酸アニオンを発生する構造部位としては、例えば、下記光酸発生剤が有しているスルホン酸前駆体となる構造部位も挙げることができる。
M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、H.Adachietal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特願平3−140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン化合物、V.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad etal,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、又は、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物。
Aで表される部分構造の好ましい具体例を以下に挙げるが、特にこれらに限定されない。
上記一般式(III)〜(V)のいずれかで表される繰り返し単位としては、より好ましくは、各々下記一般式(III−1)〜(III−6)、一般式(IV−1)〜(IV−4)、又は、一般式(V−1)〜(V−2)のいずれかで表されるものを挙げることができる。
上記一般式中、Ar1aは、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。置換基を有していてもよいアリーレン基としては、上記のX1〜X3で示したアリーレン基及び上記アリーレン基に置換していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
Ar2a〜Ar4aは、置換基を有していてもよいアリール基を表す。置換基を有していてもよいアリール基としては、上記の一般式(ZI)及び(ZII)におけるR201〜R203、R204〜R205で示したアリール基及び上記アリール基に置換していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
01は、水素原子、メチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、又はシアノ基を表す。
02及びR021は、単結合、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−O−、−SO2−、CO−、−N(R33)−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を表す。これらは、X1〜X3で示したものと同様のものが挙げられる。
03及びR019は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。アルキル基及びシクロアルキル基としては、それぞれ上記したR04で示したアルキル基及びシクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。アリール基としては、例えば炭素数6〜15個のアリール基であって、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基又はアントリル基等を好ましく挙げることができる。アラルキル基としては、例えば、炭素数6〜20であって、ベンジル基又はフェネチル基などが挙げられる。
上記一般式(III−1)〜(III−6)、一般式(IV−1)〜(IV−4)、又は、一般式(V−1)〜(V−2)では、酸アニオンを生じる構造部位がスルホニウム塩構造又はヨードニウム塩構造を含むイオン性構造部位である例を説明したが、酸アニオンを生じる構造部位は塩構造を含まない非イオン性構造部位であってもよい。
酸アニオンを生じる構造部位が塩構造ではない場合、一般式(III)〜一般式(V)のいずれかで表される繰り返し単位としては、好ましくは下記一般式で表されるものを挙げることができる。
上記一般式中、Ar1は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。置換基を有していてもよいアリーレン基としては、上記のX1〜X3で示したアリーレン基及び上記アリーレン基に置換していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
Ar6及びAr7は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。置換基を有していてもよいアリール基としては、上記のR25〜R27で示したアリール基及び上記アリール基に置換していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
01は、水素原子、メチル基、クロロメチル基又はシアノ基を表す。
02及びR021は、アリーレン基、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。アリーレン基、アルキレン基又はシクロアルキレン基としては、X1〜X3で示したものと同様のものが挙げられる。
03、R05〜R010、R013、R015及びR022は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表し、これらは上記R25〜R27で示したものと同義である(ハロアルキル基については、ハロアルキル基中のアルキル基がR25〜R27で示したアルキル基と同義である)。
04は、アリーレン基、アルキレン基、又は、置換基を有していてもよい炭素数2〜6個のアルケニレン基を表す。アリーレン基又はアルキレン基としては、X1〜X3で示したものと同様のものが挙げられる。また、上記アルケニレン基としては、置換基を有していてもよい、エチニレン基、プロペニレン基、又は、ブテニレン基等の炭素数2〜6個のアルケニレン基が好ましい。置換基としては、上記の更に有していてもよい置換基が挙げられる。
011及びR014は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、又は、上記で好ましい更なる置換基として示したアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基若しくはアシロキシ基を表す。
012はニトロ基、シアノ基、又はトリフルオロメチル基、又は、ペンタフルオロエチル基等の過フルオロアルキル基を表す。
本発明において、光酸発生樹脂は酸解離指数pKaが低いことが好ましく、光酸発生樹脂の酸アニオンを生じる構造部位を有するユニット(一般式(III)〜(V)で表される繰り返し単位の単量体)のpKaが6以下であることが好ましく、−4以下であることがより好ましく、−10以下であることが最も好ましい。
尚、pKa値は、弱電解質の水溶液中での解離定数Kaの常用対数に負号を付けたもの、即ち、pKa=−log10Kaと定義され、例えば、エタノール/水(7/3)中、HCl及びNaOH標準液による滴定により算出されるが、本発明におけるpKa値は、市販ソフトウェアであるACD/ChemSketch(ACD/Labs 8.00 Release Product Version:8.08)で計算した値を表す。
以下に一般式(III)〜一般式(V)のいずれかで表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。
また、一般式(III)〜一般式(V)のいずれかで表される繰り返し単位の具体例として、特開平10−221852号公報中の例示(a1)〜(a196)のうち、樹脂側鎖に酸アニオンを発生する構造のものも挙げられる。
光酸発生樹脂中における繰り返し単位(III)〜(V)の含有量は、全繰り返し単位に対して、10〜100モル%の範囲で含有することが好ましく、30〜100モル%の範囲で含有することがより好ましく、40〜100モル%の範囲で含有することが特に好ましい。溶解性、塗布性、ガラス転移温度又は分子量制御などを目的として、共重合成分として公知の重合性モノマーを共重合することもできる。共重合されるモノマーはラジカル重合性化合物であることが好ましく、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体、酢酸ビニル、クロトン酸又は無水マレイン酸などが挙げられる。
繰り返し単位(III)〜(V)に相当するモノマーの合成方法としては、特に限定されないが、例えば、上記繰り返し単位に対応する重合性不飽和結合を有する酸アニオンと既知のオニウム塩のハライドを交換して合成する方法が挙げられる。
より具体的には、上記繰り返し単位に対応する重合性不飽和結合を有する酸の金属イオン塩(例えば、ナトリウムイオン又はカリウムイオン等)あるいはアンモニウム塩(アンモニウム又はトリエチルアンモニウム塩等)と、ハロゲンイオン(塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオン等)を有するオニウム塩を、水又はメタノールの存在下で攪拌してアニオン交換反応を行い、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン又はテトラヒドロキシフラン等の有機溶媒と水で分液・洗浄操作をすることにより、目的とする繰り返し単位に相当するモノマーを合成することができる。
また、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン又はテトラヒドロキシフラン等の水との分離が可能な有機溶媒と水との存在下で攪拌してアニオン交換反応を行った後に、水で分液・洗浄操作をすることにより合成することもできる。
光酸発生樹脂の分子量は、特に制限されないが、重量平均分子量が1000〜100000の範囲であることが好ましく、1500〜70000の範囲であることがより好ましく、3000〜50000の範囲であることが特に好ましい。ここで、光酸発生樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC/キャリア:テトラヒドロフラン(THF)あるいはN−メチル−2−ピロリドン(NMP))によって測定したポリスチレン換算分子量を示す。
また分散度(Mw/Mn)は、好ましくは1.00〜5.00、より好ましくは1.03〜3.50であり、更に好ましくは、1.05〜2.50である。
有機半導体層形成用組成物中の光酸発生樹脂の濃度は、特に限定されないが、有機半導体層形成用組成物全質量に対して、0.0001〜5質量%が好ましく、0.001〜3質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が特に好ましい。
(有機半導体材料)
本発明の有機半導体層は、有機半導体材料を含有する。有機半導体材料は、半導体としての性質を示す材料である。本発明において、有機半導体材料はP型であることが好ましい。
有機半導体材料としては、例えば、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(TIPSペンタセン)、テトラメチルペンタセン、若しくは、パーフルオロペンタセン等のペンタセン類、5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン(TES−ADT)、若しくは、2,8−ジフルオロ−5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン(diF−TES−ADT)等のアントラジチオフェン類、ジフェニルベンゾチエノベンゾチオフェン(DPh−BTBT)、若しくは、アルキルベンゾチエノベンゾチオフェン(Cn−BTBT)等のベンゾチエノベンゾチオフェン類、アルキルジナフトチエノチオフェン(Cn−DNTT)等のジナフトチエノチオフェン類、ペリキサンテノキサンテン等のジオキサアンタントレン類、ルブレン類、C60、若しくは、フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)等のフラーレン類、銅フタロシアニン、若しくは、フッ素化銅フタロシアニン等のフタロシアニン類、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3RT)、ポリクアテルチオフェン(PQT)、若しくは、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)等のポリチオフェン類、ポリ[2,5−ビス(3−ドデシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン](PBTTT)等のポリチエノチオフェン類、又は、後述する特定有機半導体材料などが挙げられる。
これらの中でも、作製される有機半導体層のキャリア移動度などの性能がより向上する等の観点から、以下の特定有機半導体材料(以下、「成分A」ともいう。)を用いることが好ましい。
本発明において、特定有機半導体材料(成分A)とは、縮合多環芳香族基を有し、上記縮合多環芳香族基中の環数が4つ以上であり、上記縮合多環芳香族基中の少なくとも2つの環が、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択される少なくとも1つの原子を含み、上記縮合多環芳香族基中の部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環、及び、フェナントレン環よりなる群から選択される少なくともいずれか1つの構造を含む有機半導体材料のことをいう。
ただし、特定有機半導体材料における縮合多環芳香族基中の部分構造には、アントラセン環は含まれないことが好ましい。
なお、縮合多環芳香族基とは、芳香族環が複数縮合して得られる基である。
芳香族環としては、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環)及び芳香族複素環(例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、セレノフェン環、又は、イミダゾール環)が挙げられる。
成分A中には、縮合多環芳香族基(縮合多環芳香族構造)が含まれるが、この基が主成分として含まれることが好ましい。ここで主成分とは、縮合多環芳香族基の分子量の含有量が、成分Aの全分子量に対して、30%以上であることを意図し、40%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、溶解性の点から、80%以下であることが好ましい。
縮合多環芳香族基は、複数の環が縮合して形成される環構造であり、芳香族性を示す。
成分Aにおける縮合多環芳香族基中の環数は4以上であり、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、4〜9が好ましく、4〜7がより好ましく、4〜6が更に好ましい。
また、上記縮合多環芳香族基中、少なくとも2つの環が、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択された少なくとも1種の原子を含み、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、2〜6つの環が上記原子を含むことが好ましく、2〜4つの環が上記原子を含むことがより好ましい。
また、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中に少なくとも2つの複素環が含まれ、上記複素環中にそれぞれ1個のヘテロ原子を有することが好ましい。ヘテロ原子の種類は特に制限されず、O原子(酸素原子)、S原子(硫黄原子)、N原子(窒素原子)、又は、Se原子(セレン原子)などが挙げられる。
成分Aにおける縮合多環芳香族基中には、部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環及びフェナントレン環よりなる群から選択された少なくともいずれか1つの構造が含まれる。なお、上記部分構造としては、アントラセン環は含まれないことが好ましい。
また、成分Aは、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、チオフェン環構造及び/又はセレノフェン環構造を少なくとも有することが好ましく、チオフェン環構造を少なくとも有することがより好ましく、成分Aが有する複素環構造が全てチオフェン環構造であることが更に好ましい。
上記縮合多環芳香族基としては、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環及びフェナントレン環よりなる群から選択されたいずれか少なくとも1つの構造を含み、2つ以上のチオフェン環を含み、環数が4つ以上の縮合多環芳香族基が好ましい。中でも、部分構造として、ベンゼン環を含み、2つ以上のチオフェン環とを含み、環数が4つ以上の縮合多環芳香族基がより好ましい。
また、上記縮合多環芳香族基としては、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中のチオフェン環の数は、3つ以上が好ましく、3〜5つがより好ましく、3〜4つが更に好ましく、3つが特に好ましい。
また、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、上記縮合多環芳香族基中の環数は、4〜6つが好ましく、5〜6つがより好ましく、5つが更に好ましい。上記縮合多環芳香族基としては、2つのベンゼン環と、3つのチオフェン環とを含み、かつ、環数が5つである縮合多環芳香族基であることが特に好ましい。
更に、縮合多環芳香族基としては、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択された少なくとも1種の原子を含む環(複素環。好ましくは、チオフェン環)と、ベンゼン環とが交互に縮合(縮環)した基(縮合してなる基)が好ましく挙げられる。
成分Aとしては、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、式(1)〜式(16)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含むことが好ましく、式(1)〜式(16)のいずれかで表される1種以上の化合物であることがより好ましい。
有機半導体層中には、1種のみの成分Aが含まれていても、2種以上の成分Aが含まれていてもよい。
式(1)中、A1a及びA1bはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R1a〜R1fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R1a〜R1fのうち少なくとも1つが下記式(W)で表される基である。
−L−R (W)
式(W)中、Lは下記式(L−1)〜式(L−25)のいずれかで表される二価の連結基又は2以上の下記式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される二価の連結基が結合した二価の連結基を表し、Rはアルキル基、シアノ基、ビニル基、エチニル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、又は、トリアルキルシリル基を表す。
式(L−1)〜式(L−25)中、*はRとの結合位置を表し、波線部分はもう一方の結合位置を表し、式(L−1)、式(L−2)、式(L−6)及び式(L−13)〜式(L−24)におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、Rsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
式(2)中、X2a及びX2bはそれぞれ独立に、NR2i、O原子又はS原子を表し、A2aはCR2g又はN原子を表し、A2bはCR2h又はN原子を表し、R2iは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基を表し、R2a〜R2hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R2a〜R2hのうち少なくとも1つが上記式(W)で表される基である。
式(3)中、X3a及びX3bはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はNR3gを表し、A3a及びA3bはそれぞれ独立に、CR3h又はN原子を表す。R3a〜R3hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R3a〜R3hのうち少なくとも1つが上記式(W)で表される基である。
式(4)中、X4a及びX4bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表し、4p及び4qはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表し、R4a〜R4j、R4k及びR4mはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は上記式(W)で表される基を表し、かつ、R4a〜R4j、R4k及びR4mのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基であり、ただし、R4e及びR4fのうち少なくとも一方が上記式(W)で表される基である場合はR4e及びR4fが表す上記式(W)においてLは上記式(L−2)又は式(L−3)で表される二価の連結基である。
式(5)中、X5a及びX5bはそれぞれ独立に、NR5i、O原子又はS原子を表し、A5aはCR5g又はN原子を表し、A5bはCR5h又はN原子を表し、R5iは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R5a〜R5hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R5a〜R5hのうち少なくとも1つが上記式(W)で表される基である。
式(6)中、X6a〜X6dはそれぞれ独立に、NR6g、O原子又はS原子を表し、R6gは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R6a〜R6fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R6a〜R6fのうち少なくとも1つが上記式(W)で表される基である。
式(7)中、X7a及びX7cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR7iを表し、X7b及びX7dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R7a〜R7iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R7a〜R7iのうち少なくとも1つが上記式(W)で表される基である。
式(8)中、X8a及びX8cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR8iを表し、X8b及びX8dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表し、R8a〜R8iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R8a〜R8iのうち少なくとも1つが上記式(W)で表される基である。
式(9)中、X9a及びX9bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表し、R9c、R9d及びR9g〜R9jはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は上記式(W)で表される基を表し、R9a、R9b、R9e及びR9fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
式(10)中、R10a〜R10hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R10a〜R10hのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される置換基を表し、X10a及びX10bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR10iを表し、R10iはそれぞれ独立に、水素原子又は上記式(W)で表される基を表す。
式(11)中、X11a及びX11bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR11nを表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基である。
式(12)中、X12a及びX12bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR12nを表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基である。
式(13)中、X13a及びX13bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR13nを表し、R13a〜R13k、R13m及びR13nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R13a〜R13k、R13m及びR13nのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基である。
式(14)中、X14a〜X14cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR14iを表し、R14a〜R14iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R14a〜R14iのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基である。
式(15)中、X15a〜X15dはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR15gを表し、R15a〜R15gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R15a〜R15gのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基である。
式(16)中、X16a〜X16dはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR16gを表し、R16a〜R16gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R16a〜R16gのうち少なくとも1つは上記式(W)で表される基である。
−式(1)で表される化合物−
式(1)において、A1a及びA1bはそれぞれ独立に、S原子(硫黄原子)、O原子(酸素原子)又はSe原子(セレン原子)を表す。A1a及びA1bはS原子又はO原子が好ましい。また、A1a及びA1bは互いに同一であっても異なっていてもよいが、互いに同一であることが好ましい。
式(1)において、R1a〜R1fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。ただし、R1a〜R1fのうち少なくとも1つが後述する式(W)で表される基である。
式(1)で表される化合物は、後述する式(W)で表される基以外のその他の置換基を有していてもよい。
式(1)のR1a〜R1fが採りうる置換基の種類は特に制限されないが、以下に説明する置換基Xが挙げられる。置換基Xとしては、後述する式(W)で表される基、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、又は、トリシクロアルキル基を含む。)、アルケニル基(シクロアルケニル基、又は、ビシクロアルケニル基を含む。)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といってもよい。)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む。)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH))、ホスファト基(−OPO(OH))、スルファト基(−OSOH)、又は、その他の公知の置換基が挙げられる。なお、本明細書の式(1)〜式(16)においては、「置換基」としては、上記置換基Xが好ましく挙げられる。
これらの中でも、後述する式(W)で表される基以外の基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、又は、アリール基が好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のメチルチオ基、又は、フェニル基がより好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、又は、置換若しくは無置換のメチルチオ基が特に好ましい。
式(1)で表される化合物中において、R1a〜R1fのうち、式(W)で表される基以外のその他の置換基の個数は0〜4であることが好ましく、0〜2であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
また、これら置換基は、更に上記置換基Xを有していてもよい。
中でも、R1c〜R1fはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、又は、置換若しくは無置換のメチルチオ基であることが好ましい。
次に、式(W)で表される基について説明する。
−L−R (W)
式(W)中、Lは下記式(L−1)〜式(L−25)のいずれかで表される二価の連結基、又は、二以上の下記式(L−1)〜(L−25)のいずれかで表される二価の連結基が結合した二価の連結基を表す。
式(L−1)〜式(L−25)中、*はRとの結合位置を表し、波線部分はもう一方の結合位置を表す。より具体的には、例えば、式(1)で表される化合物においては、波線部分は式(1)で表される骨格を形成する環と結合する。なお、後述するように、式(W)が他の化合物に含まれる場合、波線部分は各化合物の骨格を形成する環と結合する。
なお、Lが式(L−1)〜式(L−25)のいずれかで表される二価の連結基が2つ以上結合した二価の連結基を表す場合、一方の連結基の*が、他方の連結基の波線部分と結合する。
式(L−13)〜式(L−24)におけるR’の結合位置及びRとの結合位置*は、芳香環又は複素芳香環上の任意の位置をとることができる。
式(L−1)、式(L−2)、式(L−6)及び式(L−13)〜式(L−24)におけるR’はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rsiはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
式(L−1)及び式(L−2)中のR’はそれぞれLに隣接するRと結合して縮合環を形成してもよい。
これらの中でも、式(L−17)〜式(L−21)、式(L−23)及び式(L−24)のいずれかで表される二価の連結基は、下記式(L−17A)〜式(L−21A)、式(L−23A)及び式(L−24A)で表される二価の連結基であることがより好ましい。
ここで、置換又は無置換のアルキル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、あるいは、置換又は無置換のトリアルキルシリル基が置換基の末端に存在する場合は、式(W)における−R単独と解釈することもでき、式(W)における−L−Rと解釈することもできる。
本発明では、主鎖が炭素数N個の置換又は無置換のアルキル基が置換基の末端に存在する場合は、置換基の末端から可能な限りの連結基を含めた上で式(W)における−L−Rと解釈することとし、具体的には「式(W)におけるLに相当する式(L−1)で表される基1個」と「式(W)におけるRに相当する主鎖が炭素数N−1個の置換又は無置換のアルキル基」とが結合した置換基として解釈する。例えば、炭素数8のアルキル基であるn−オクチル基が置換基の末端に存在する場合、2個のR’が水素原子である式(L−1)で表される基1個と、炭素数7のn−ヘプチル基とが結合した置換基として解釈する。
一方、本発明では、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、あるいは、置換又は無置換のトリアルキルシリル基が置換基の末端に存在する場合は、置換基の末端から可能な限りの連結基を含めた上で、式(W)におけるR単独と解釈する。例えば、−(OCHCH)−(OCHCH)−(OCHCH)−OCH基が置換基の末端に存在する場合、オキシエチレン単位の繰り返し数vが3のオリゴオキシエチレン基単独の置換基として解釈する。
が式(L−1)〜式(L−25)のいずれかで表される二価の連結基が結合した連結基を形成する場合、式(L−1)〜式(L−25)のいずれかで表される2価の連結基の結合数は、2〜4であることが好ましく、2又は3であることがより好ましい。
式(L−1)、式(L−2)、式(L−6)及び式(L−13)〜式(L−24)中の置換基R’としては、上記の式(1)のR1a〜R1fが採りうる置換基として例示したものを挙げることができる。その中でも、式(L−6)中の置換基R’はアルキル基であることが好ましく、式(L−6)中のR’がアルキル基である場合は、アルキル基の炭素数は1〜9であることが好ましく、4〜9であることが化学的安定性、キャリア輸送性の観点からより好ましく、5〜9であることがさらに好ましい。式(L−6)中のR’がアルキル基である場合は、アルキル基は直鎖アルキル基であることが、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
は水素原子又は置換基を表し、Rとしては、上記の式(1)のR1a〜R1fが採りうる置換基として例示したものを挙げることができる。その中でも、Rとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。
siはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、アルキル基であることが好ましい。Rsiがとり得るアルキル基としては、特に制限はないが、Rsiがとり得るアルキル基の好ましい範囲は、Rがトリアルキルシリル基である場合にトリアルキルシリル基がとり得るアルキル基の好ましい範囲と同様である。Rsiがとり得るアルケニル基としては、特に制限はないが、置換又は無置換のアルケニル基が好ましく、分枝アルケニル基であることがより好ましく、アルケニル基の炭素数は2〜3であることが好ましい。Rsiがとり得るアルキニル基としては、特に制限はないが、置換又は無置換のアルキニル基が好ましく、分枝アルキニル基であることがより好ましく、アルキニル基の炭素数は2〜3であることが好ましい。
は、式(L−1)〜式(L−5)、式(L−13)、式(L−17)若しくは式(L−18)のいずれかで表される二価の連結基、又は、式(L−1)〜式(L−5)、式(L−13)、式(L−17)若しくは式(L−18)のいずれかで表される二価の連結基が2以上結合した二価の連結基であることが好ましく、式(L−1)、式(L−3)、式(L−13)若しくは式(L−18)のいずれかで表される二価の連結基、又は、式(L−1)、式(L−3)、式(L−13)若しくは式(L−18)のいずれかで表される二価の連結基が2以上結合した二価の連結基であることがより好ましく、式(L−1)、式(L−3)、式(L−13)若しくは式(L−18)のいずれかで表される二価の連結基、又は、式(L−3)、式(L−13)若しくは式(L−18)のいずれか1つで表される二価の連結基と式(L−1)で表される二価の連結基とを結合した二価の連結基であることが特に好ましい。
式(L−3)、式(L−13)又は式(L−18)のいずれか1つで表される二価の連結基と式(L−1)で表される二価の連結基が結合した二価の連結基は、式(L−1)で表される二価の連結基がR側に結合することが好ましい。
また、Lは、化学的安定性、キャリア輸送性の観点から式(L−1)で表される二価の連結基を含む二価の連結基であることが特に好ましく、式(L−1)で表される二価の連結基であることがより特に好ましく、Lが式(L−1)で表される二価の連結基であり、Rが置換又は無置換のアルキル基であることが最も好ましい。
式(W)において、Rは、置換若しくは無置換のアルキル基、シアノ基、ビニル基、エチニル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数vが2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基、又は、置換若しくは無置換のトリアルキルシリル基を表す。
式(W)において、Rに隣接するLが式(L−1)で表される二価の連結基である場合は、Rは、置換若しくは無置換のアルキル基、オキシエチレン基、オキシエチレン単位の繰り返し数が2以上のオリゴオキシエチレン基、シロキサン基、又は、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基であることが好ましく、置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
式(W)において、Rに隣接するLが式(L−2)又は式(L−4)〜式(L−25)のいずれかで表される二価の連結基である場合は、Rは置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
式(W)において、Rに隣接するLが式(L−3)で表される二価の連結基である場合は、Rは置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のトリアルキルシリル基であることが好ましい。
が置換又は無置換のアルキル基の場合、炭素数は4〜17であることが好ましく、6〜14であることが化学的安定性、キャリア輸送性の観点からより好ましく、6〜12であることが更に好ましい。Rが上記の範囲の長鎖アルキル基であること、特に長鎖の直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
がアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
これらの中でも、式(W)におけるRとLの組み合わせとしては、式(1)中、Lが式(L−1)で表される二価の連結基であり、かつ、Rが直鎖の炭素数7〜17のアルキル基であるか、あるいは、Lが式(L−3)、式(L−13)又は式(L−18)のいずれか1つで表される二価の連結基と式(L−1)で表される二価の連結基が結合した二価の連結基であり、かつ、Rが直鎖のアルキル基であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。
が式(L−1)で表される二価の連結基であり、かつ、Rが直鎖の炭素数7〜17のアルキル基である場合、Rが直鎖の炭素数7〜14のアルキル基であることがキャリア移動度を高める観点からより好ましく、直鎖の炭素数7〜12のアルキル基であることが特に好ましい。
が式(L−3)、式(L−13)又は式(L−18)のいずれか1つで表される二価の連結基と式(L−1)で表される二価の連結基が結合した二価の連結基であり、かつ、Rが直鎖のアルキル基である場合、Rが直鎖の炭素数4〜17のアルキル基であることがより好ましく、直鎖の炭素数6〜14のアルキル基であることが化学的安定性、キャリア輸送性の観点からより好ましく、直鎖の炭素数6〜12のアルキル基であることがキャリア移動度を高める観点から特に好ましい。
一方、有機溶媒への溶解度を高める観点からは、Rが分枝アルキル基であることが好ましい。
が置換基を有するアルキル基である場合の置換基としては、ハロゲン原子などを挙げることができ、フッ素原子が好ましい。なお、Rがフッ素原子を有するアルキル基である場合はアルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されてパーフルオロアルキル基を形成してもよい。ただし、Rは無置換のアルキル基であることが好ましい。
がオキシエチレン基の繰り返し数が2以上のオリゴオキシエチレン基の場合、Rが表す「オリゴオキシエチレン基」とは本明細書中、−(OCHCH−OYで表される基のことを言う(オキシエチレン単位の繰り返し数vは2以上の整数を表し、末端のYは、水素原子又は置換基を表す。)。なお、オリゴオキシエチレン基の末端のYが水素原子である場合はヒドロキシ基となる。オキシエチレン単位の繰り返し数vは、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがより好ましい。
オリゴオキシエチレン基の末端のヒドロキシ基は封止されていること、すなわちYが置換基を表すことが好ましい。この場合、ヒドロキシ基は、炭素数が1〜3のアルキル基で封止されること、すなわち、Yが炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、Yがメチル基又はエチル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
が、シロキサン基、又は、ケイ素原子数が2以上のオリゴシロキサン基の場合、シロキサン単位の繰り返し数は2〜4であることが好ましく、2〜3であることがさらに好ましい。また、ケイ素原子(Si原子)には、水素原子又はアルキル基が結合することが好ましい。ケイ素原子にアルキル基が結合する場合、アルキル基の炭素数は1〜3であることが好ましく、例えば、メチル基又はエチル基が結合することが好ましい。ケイ素原子には、同一のアルキル基が結合してもよく、異なるアルキル基又は水素原子が結合してもよい。また、オリゴシロキサン基を構成するシロキサン単位はすべて同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一であることが好ましい。
に隣接するLが式(L−3)で表される二価の連結基である場合、Rが置換又は無置換のトリアルキルシリル基であることも好ましい。Rが置換又は無置換のトリアルキルシリル基である場合はその中でも、シリル基の置換基としては、置換又は無置換のアルキル基であれば特に制限はないが、分枝アルキル基であることがより好ましい。ケイ素原子に結合するアルキル基の炭素数は1〜3であることが好ましく、例えば、メチル基又はエチル基又はイソプロピル基が結合することが好ましい。ケイ素原子には、同一のアルキル基が結合してもよく、異なるアルキル基が結合してもよい。Rがアルキル基上に更に置換基を有するトリアルキルシリル基である場合の置換基としては、特に制限はない。
式(W)において、L及びRに含まれる炭素数の合計は5〜18であることが好ましい。L及びRに含まれる炭素数の合計が上記範囲の下限値以上であると、キャリア移動度が高くなり、駆動電圧が低くなる。L及びRに含まれる炭素数の合計が上記範囲の上限値以下であると、有機溶媒に対する溶解性が高くなる。
及びRに含まれる炭素数の合計は、5〜14であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、6〜12であることが更に好ましく、8〜12であることが特に好ましい。
式(1)で表される化合物中において、R1a〜R1fのうち、式(W)で表される基の個数は1〜4個であることが好ましく、1〜2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
本発明では、式(1)において、R1a及びR1bのうち少なくとも1つが式(W)で表される基であることが好ましい。式(1)における置換位置として、これらの位置が好ましいのは、化合物の化学的安定性に優れ、最高被占軌道(HOMO)準位、分子の膜中でのパッキングの観点からも好適であるためであると考えられる。特に、式(1)において、R1a及びR1bの2箇所を置換基とすることにより、高いキャリア濃度を得ることができる。
また、式(1)において、R1c〜R1fがそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2〜3の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素数1〜2の置換若しくは無置換のアルコキシ基、又は、置換若しくは無置換のメチルチオ基であることが好ましい。
−式(2)で表される化合物−
式(2)中、X2a及びX2bはそれぞれ独立に、NR2i(>N−R2i)、O原子又はS原子を表す。X2a及びX2bはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが合成容易性の観点から好ましい。一方、X2a及びX2bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。
2a及びX2bは、同じ連結基であることが好ましい。X2a及びX2bはいずれもS原子であることがより好ましい。
2iは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基を表し、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜14のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
2iがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
式(2)中、A2aは、CR2g又はN原子を表し、A2bは、CR2h又はN原子を表し、R2g及びR2hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。A2aがCR2gであるか、A2bがCR2hであることが好ましく、A2aがCR2gであり、かつA2bがCR2hであることがより好ましい。A2a及びA2bは、同じであっても互いに異なっていてもよいが、同じあることが好ましい。
式(2)において、R2eとR2gとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
式(2)において、R2fとR2hとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
式(2)中、R2a〜R2hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、少なくとも1つは式(W)で表される置換基を表す。
2a〜R2hがそれぞれ独立に、とりうる置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式(W)で表される置換基の定義は、上述の通りである。
2a〜R2hがそれぞれ独立に、とりうる置換基として、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、又は、式(W)で表される置換基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数1〜11のアルコキシ基、炭素数5〜12の複素環基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、又は、式(W)で表される基がより好ましく、後述の連結基鎖長が3.7Å以下の基、又は、式(W)で表される基が特に好ましく、式(W)で表される基がより特に好ましい。
式(2)で表される化合物中、R2a〜R2hのうち、式(W)で表される基は1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
2a〜R2hのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はないが、R2e又はR2fであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましい。
2a〜R2hのうち、式(W)で表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
2a〜R2hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基は、連結基鎖長が3.7Å(=0.37nm)以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。
ここで、連結基鎖長とはC(炭素原子)−R結合におけるC原子から置換基Rの末端までの長さのことを指す。構造最適化計算は、密度汎関数法(Gaussian03(米ガウシアン社)/基底関数:6−31G、交換相関汎関数:B3LYP/LANL2DZ)を用いて行うことができる。なお、代表的な置換基の分子長としては、プロピル基は4.6Å、ピロール基は4.6Å、プロピニル基は4.5Å、プロペニル基は4.6Å、エトキシ基は4.5Å、メチルチオ基は3.7Å、エテニル基は3.4Å、エチル基は3.5Å、エチニル基は3.6Å、メトキシ基は3.3Å、メチル基は2.1Å、水素原子は1.0Åである。
2a〜R2hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましい。
2a〜R2hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、又は、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
2a〜R2hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、又は、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
2a〜R2hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、又は、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
2a〜R2hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、又は、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
−式(3)で表される化合物−
式(3)において、R3a〜R3f並びに後述するR3g及びR3hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。ただし、R3a〜R3hのうち少なくとも1つは、式(W)で表される基を表す。
3a〜R3hで表される置換基としては、上記置換基Xが挙げられる。式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
3a〜R3fがそれぞれ独立にとりうる置換基として、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、又は、式(W)で表される置換基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数1〜11のアルコキシ基、炭素数5〜12の複素環基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、又は、式(W)で表される基がより好ましい。
式(3)において、X3a及びX3bはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はNR3g(>N−R3g)を表し、R3gは水素原子又は置換基を表す。Xは、S原子又はO原子が好ましい。式(3)において、X3a及びX3bは、同じであることが好ましい。
3gは、水素原子、アルキル基、又は、アリール基であることが好ましく、炭素数1〜14のアルキル基であることがより好ましく、炭素数4〜12のアルキル基であることが特に好ましい。R3gが上記の範囲の長鎖アルキル基であること、特に長鎖の直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
3gがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
式(3)において、A3a及びA3bはそれぞれ独立に、CR3h又はN原子を表し、CR3hを表すことが好ましい。式(3)において、A3a及びA3bは、同じであっても互いに異なっていてもよいが、同じあることが好ましい。
3hは連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
3hは、水素原子、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、水素原子、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
3hが炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、又は、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。R3hが表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
3hが炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。R3hが表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、又は、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
3hが炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。R3hが表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、又は、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
3hが炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。R3hが表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、又は、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
−式(4)で表される化合物−
式(4)中、X4a及びX4bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表す。
4a及びX4bはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが好ましく、X4a及びX4bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点からより好ましい。X4a及びX4bは、同じ連結基であることが好ましい。X4a及びX4bはいずれもS原子であることが特に好ましい。
式(4)中、4p及び4qはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表す。4p及び4qがそれぞれ独立に、0又は1であることがキャリア移動度と溶解性を両立する観点から好ましく、4p=4q=0又は4p=4q=1であることがより好ましい。
式(4)中、R4a〜R4k及びR4mはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、式(W)で表される基を表し、かつ、R4a〜R4k及びR4mのうち少なくとも一つは式(W)で表される基であり、ただし、R4e及びR4fのうち少なくとも一方が式(W)で表される基である場合は、R4eとR4fとが表す式(W)において、Lは上記式(L−2)又は式(L−3)で表される二価の連結基である。なお、式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
4e及びR4fのうち少なくとも一方が式(W)で表される基である場合は、すなわちR4e及びR4fのうちいずれか一方でも水素原子でもなくハロゲン原子でもない場合に相当する。
4e及びR4fのうち少なくとも一方が式(W)で表される基である場合、R4e及びR4fが表す式(W)において、Lは上記式(L−3)で表される二価の連結基であることが好ましい。
4e及びR4fのうち少なくとも一方が式(W)で表される基である場合、R4e及びR4fは、いずれも式(W)で表される基であることが好ましい。
なお、R4e及びR4fがともに水素原子又はハロゲン原子の場合、R4a〜R4d、R4g〜R4k及びR4mはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式(W)で表される基であり、かつ、R4a〜R4d、R4g〜R4k及びR4mのうち少なくとも1つ以上は式(W)で表される基となる。
式(4)中、R4a〜R4k及びR4mが表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を挙げることができ、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子であることが好ましく、フッ素原子又は塩素原子であることがより好ましく、フッ素原子であることが特に好ましい。
式(4)で表される化合物中、R4a〜R4k及びR4mのうち、ハロゲン原子は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
式(4)で表される化合物中、R4a〜R4k及びR4mのうち、式(W)で表される基は、1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
4a〜R4k及びR4mのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はない。その中でも、本発明では、式(4)中、R4a、R4d〜R4g、R4j、R4k及びR4mがそれぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子であり、R4b、R4c、R4h及びR4iがそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式(W)で表される基であり、かつ、R4b、R4c、R4h及びR4iのうち少なくとも1つは式(W)で表される基であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましい。
本発明では、R4a、R4c〜R4h及びR4jがそれぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子を表し、R4b及びR4iがそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式(W)で表される基であり、かつ、少なくとも1つは式(W)で表される基であることがより好ましい。
本発明では、R4b及びR4iがともに式(W)で表される基であり、かつR4c及びR4hがともに水素原子又はハロゲン原子であるか、R4c及びR4hがともに式(W)で表される基であり、かつR4b及びR4iがともに水素原子又はハロゲン原子であることが更に好ましい。
本発明では、R4b及びR4iがともに式(W)で表される基であり、かつR4c及びR4hがともに水素原子又はハロゲン原子であるか、R4c及びR4hがともに式(W)で表される基であり、かつR4b及びR4iがともに水素原子又はハロゲン原子であることが特に好ましい。
式(4)において、2以上のR4a〜R4k及びR4mは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しない方が好ましい。
−式(5)で表される化合物−
式(5)中、X5a及びX5bはそれぞれ独立に、NR5i、O原子又はS原子を表す。X5a及びX5bはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが合成容易性の観点から好ましい。一方、X5a及びX5bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X5a及びX5bは、同じ連結基であることが好ましい。X5a及びX5bはいずれもS原子であることがより好ましい。
5iは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜14のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
5iがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
式(5)中、A5aはCR5g又はN原子を表し、A5bはCR5h又はN原子を表し、R5g及びR5hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。A5aがCR5gであるか、A5bがCR5hであることが好ましく、A5aがCR5gかつA5bがCR5hであることがより好ましい。A5a及びA5bは、同じであっても互いに異なっていてもよいが、同じあることが好ましい。
式(5)において、R5eとR5gとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しないほうが好ましい。
式(5)において、R5eとR5iとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しないほうが好ましい。
式(5)において、R5fとR5hとは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しないほうが好ましい。
式(5)において、R5fとR5iは互いに結合して環を形成してもよく、互いに結合して環を形成しなくてもよいが、互いに結合して環を形成しないほうが好ましい。
式(5)中、R5a〜R5hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R5a〜R5hのうち少なくとも1つが式(W)で表される基である。
なお、R5a〜R5hで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
式(5)で表される化合物中、R5a〜R5hのうち、式(W)で表される基は、1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
5a〜R5hのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はないが、R5e又はR5fであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましい。
5a〜R5hのうち、式(W)で表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
5a〜R5hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基は、連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることがさらに好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
5a〜R5hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
5a〜R5hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、又は、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
5a〜R5hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される置換基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、又は、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
5a〜R5hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、又は、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
5a〜R5hが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、又は、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
−式(6)で表される化合物−
式(6)中、X6a〜X6dはそれぞれ独立に、NR6g、O原子又はS原子を表し、R6gは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
6a〜X6dはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが合成容易性の観点から好ましい。一方、X6a〜X6dのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X6a〜X6dは、同じ連結基であることが好ましい。X6a〜X6dはいずれもS原子であることがより好ましい。
6gは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアシル基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜14のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。
6gがアルキル基を表す場合、直鎖アルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖アルキル基であることが、分子の直線性が高まり、キャリア移動度を高めることができる観点から好ましい。
式(6)中、R6a〜R6fはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、少なくとも1つは式(W)で表される基を表す。
なお、R6a〜R6fで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
これらの中でも、R6a〜R6fがそれぞれ独立にとりうる置換基として、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルコキシ基、又は、アルキルチオ基、式(W)で表される基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数1〜11のアルコキシ基、炭素数5〜12の複素環基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、又は、式(W)で表される基がより好ましく、後述の連結基鎖長が3.7Å以下の基、又は、式(W)で表される基が更に好ましく、式(W)で表される基が特に好ましい。
式(6)で表される化合物中、R6a〜R6fのうち、式(W)で表される基は、1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
6a〜R6fのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はないが、R6c〜R6fであることが好ましく、R6e又はR6fであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点からより好ましい。
6a〜R6fのうち、式(W)で表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
6a〜R6fが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基は、連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
6a〜R6fが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に、素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
6a〜R6fが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、又は、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
6a〜R6fが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、又は、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
6a〜R6fが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、又は、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
6a〜R6fが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、又は、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
−式(7)で表される化合物−
式(7)中、X7a及びX7cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR7i(>N−R7i)を表し、X7b及びX7dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表す。X7a〜X7dはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが合成容易性の観点から好ましい。一方、X7a〜X7dのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X7a〜X7dは、同じ連結基であることが好ましい。X7a〜X7dはいずれもS原子であることがより好ましい。
式(7)中、R7a〜R7iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R7a〜R7iのうち少なくとも1つが式(W)で表される基である。
なお、R7a〜R7iで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
なお、R7iは、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、炭素数5〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8〜10のアルキル基であることが特に好ましい。
7iがアルキル基を表す場合、直鎖のアルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖のアルキル基であることが、HOMO軌道の重なりの観点から好ましい。
式(7)で表される化合物中、R7a〜R7iのうち、式(W)で表される置換基は、1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
7a〜R7iのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はないが、R7d又はR7hであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、R7d及びR7hがより好ましい。
式(7)のR7a〜R7iのうち、式(W)で表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
7a〜R7iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基は、連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
7a〜R7iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
7a〜R7iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、又は、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
7a〜R7iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される置換基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、又は、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
7a〜R7iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される置換基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、又は、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
7a〜R7iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式(W)で表される置換基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、又は、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
−式(8)で表される化合物−
式(8)中、X8a及びX8cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR8iを表し、X8b及びX8dはそれぞれ独立に、S原子、O原子又はSe原子を表す。X8a〜X8dはそれぞれ独立に、O原子又はS原子であることが合成容易性の観点から好ましい。一方、X8a〜X8dのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X8a〜X8dは、同じ連結基であることが好ましい。X8a〜X8dはいずれもS原子であることがより好ましい。
式(8)中、R8a〜R8iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R8a〜R8iのうち少なくとも1つが式(W)で表される基である。
なお、R8a〜R8iで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
なお、R8iは、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、炭素数5〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8〜10のアルキル基であることが特に好ましい。
8iがアルキル基を表す場合、直鎖のアルキル基でも、分枝アルキル基でも、環状アルキル基でもよいが、直鎖のアルキル基であることが、HOMO軌道の重なりの観点から好ましい。
式(8)で表される化合物中、R8a〜R8iのうち、式(W)で表される置換基は、1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
8a〜R8iのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はないが、R8c又はR8gであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、R8c及びR8gがより好ましい。
また、式(8)のR8a〜R8iのうち、式(W)で表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
8a〜R8iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基は、連結基鎖長が3.7Å以下の基であることが好ましく、連結基鎖長が1.0〜3.7Åの基であることがより好ましく、連結基鎖長が1.0〜2.1Åの基であることが更に好ましい。連結基鎖長の定義は、上述の通りである。
8a〜R8iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基はそれぞれ独立に、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルキニル基、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアルケニル基、又は、炭素数2以下の置換若しくは無置換のアシル基であることが好ましく、炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基であることがより好ましい。
8a〜R8iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキル基を表す場合、アルキル基がとり得る置換基としては、シアノ基、フッ素原子、又は、重水素原子などを挙げることができ、シアノ基が好ましい。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又は、シアノ基置換のメチル基が好ましく、メチル基又はシアノ基置換のメチル基がより好ましく、シアノ基置換のメチル基が特に好ましい。
8a〜R8iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルキニル基を表す場合、アルキニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルキニル基としては、エチニル基、又は、重水素原子置換のアセチレン基を挙げることができ、エチニル基が好ましい。
8a〜R8iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アルケニル基を表す場合、アルケニル基がとり得る置換基としては、重水素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアルケニル基としては、エテニル基、又は、重水素原子置換のエテニル基を挙げることができ、エテニル基が好ましい。
8a〜R8iが式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基がそれぞれ独立に炭素数2以下の置換アシル基を表す場合、アシル基がとり得る置換基としては、フッ素原子などを挙げることができる。式(W)で表される基以外の置換基である場合の置換基が表す炭素数2以下の置換又は無置換のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、又は、フッ素置換のアセチル基を挙げることができ、ホルミル基が好ましい。
−式(9)で表される化合物−
式(9)中、X9a及びX9bはそれぞれ独立に、O原子、S原子又はSe原子を表す。中でも、S原子が好ましい。
9c、R9d及びR9g〜R9jはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式(W)で表される置換基を表す。式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
9a、R9b、R9e及びR9fは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。なお、R9a、R9b、R9e及びR9fで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。
なお、R9c、R9d及びR9g〜R9jはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は式(W)で表される基(ただし、Lは式(L−3)、式(L−5)、式(L−7)〜式(L−9)、式(L−12)〜式(L−24)のいずれかで表される基である。)を表すことが好ましい。中でも、R9c、R9d及びR9g〜R9jは、水素原子がより好ましい。
なお、Lとしては、式(L−3)、式(L−5)、式(L−13)、式(L−17)又は式(L−18)のいずれかで表される基であることが好ましい。
9a〜R9iのうち少なくとも1つは、式(W)で表される基を表すことが好ましい。
式(9)で表される化合物中、R9a〜R9iのうち、式(W)で表される置換基は、1〜4個であることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、1又は2個であることがより好ましく、2個であることが特に好ましい。
9a〜R9iのうち、式(W)で表される基の位置に特に制限はないが、R9b又はR9fであることが、キャリア移動度を高め、有機溶媒への溶解性を高める観点から好ましく、R9b及びR9fがより好ましい。
また、式(9)のR9a〜R9iのうち、式(W)で表される基以外の置換基は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが特に好ましく、0個であることがより特に好ましい。
−式(10)で表される化合物−
式(10)中、R10a〜R10hはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R10a〜R10hのうち少なくとも1つは式(W)で表される基を表す。なお、R10a〜R10hで表される置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。また、式(W)で表される置換基の定義は、上述の通りである。
中でも、R10a〜R10hはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を表し、R10a〜R10hのうち少なくとも1つは、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましい。
式(10)のR10a〜R10hは、R10b及びR10fのうち少なくとも1つが、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましく、置換若しくは無置換のアリールチオ基、又は、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基であることがより好ましく、R10b及びR10fのいずれもが、置換若しくは無置換のアリールチオ基、又は、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基であることが更に好ましく、置換若しくは無置換のフェニルチオ基又は下記群Aから選ばれるヘテロアリールチオ基であることが特に好ましく、置換若しくは無置換のフェニルチオ基又は下記式(A−17)、式(A−18)、式(A−20)で表されるヘテロアリールチオ基であることが最も好ましい。
アリールチオ基としては、炭素数6〜20のアリール基に硫黄原子が連結した基が好ましく、ナフチルチオ基又はフェニルチオ基がより好ましく、フェニルチオ基が特に好ましい。
ヘテロアリールチオ基としては、3〜10員環のヘテロアリール基に硫黄原子が連結した基が好ましく、5又は6員環のヘテロアリール基に硫黄原子が連結した基がより好ましく、下記群A(式(A−14)〜式(A−27)のいずれかで表される基)が特に好ましい。
群A中、R”及びR”はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
群A中、R’はそれぞれ独立に、水素原子又は式(W)で表される基を表すことが好ましい。
群A中、R”は、置換基を表すことが好ましく、アルキル基、アリール基、又は、ヘテロアリール基がより好ましく、アルキル基、アルキル基で置換されたアリール基、又は、アルキル基で置換されたヘテロアリール基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェニル基、又は、炭素数1〜4のアルキル基で置換された5員のヘテロアリール基が特に好ましい。
アルキルオキシカルボニル基としては、炭素数1〜20のアルキル基にカルボニル基が連結した基が好ましい。アルキル基の炭素数は、2〜15がより好ましく、5〜10が特に好ましい。
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数6〜20のアリール基にカルボニル基が連結した基が好ましい。アリール基の炭素数は、6〜15がより好ましく、8〜12が特に好ましい。
アルキルアミノ基としては、炭素数1〜20のアルキル基にアミノ基が連結した基が好ましい。アルキル基の炭素数は、2〜15がより好ましく、5〜10が特に好ましい。
10a〜R10hのうち、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基以外の置換基(以下、他の置換基ともいう。)は、0〜4個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることが更に好ましく、0個であることが特に好ましい。
10a及びX10bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR(>N−R)を表す。X10a及びX10bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X10a及びX10bは、同じ連結基であることが好ましい。X10a及びX10bは、いずれもS原子であることがより好ましい。
はそれぞれ独立に、水素原子又は式(W)で表される基を表す。式(W)で表される基の定義は上述の通りである。
−式(11)で表される化合物−
式(11)中、X11a及びX11bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR11nを表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11a〜R11k、R11m及びR11nのうち少なくとも1つは、式(W)で表される基を表す。置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式(W)で表される置換基の定義は、上述の通りである。
式(11)中、X11a及びX11bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X11a及びX11bは、同じ連結基であることが好ましい。X11a及びX11bはいずれもS原子であることがより好ましい。
式(11)のR11a〜R11k及びR11mは、R11c及びR11iのうち少なくとも1つが、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましく、置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、R11c及びR11iのいずれもが、置換若しくは無置換のアルキル基であることが更に好ましい。
−式(12)で表される化合物−
式(12)中、X12a及びX12bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR12nを表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R12a〜R12k、R12m及びR12nのうち少なくとも1つは式(W)で表される基を表す。置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式(W)で表される置換基の定義は、上述の通りである。
式(12)中、X12a及びX12bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X12a及びX12bは、同じ連結基であることが好ましい。X12a及びX12bはいずれもS原子であることがより好ましい。
式(12)のR12a〜R12k及びR12mは、R12c及びR12iのうち少なくとも1つが、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましく、置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、R12c及びR12iのいずれもが、置換又は無置換のアルキル基であることが更に好ましい。
−式(13)で表される化合物−
式(13)中、X13a及びX13bはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR13nを表し、R13a〜R13k、R13m及びR13nはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R13a〜R13k、R13m及びR13nのうち少なくとも1つは、式(W)で表される基を表す。置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
式(13)中、X13a及びX13bのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X13a及びX13bは、同じ連結基であることが好ましい。X13a及びX13bはいずれもS原子であることがより好ましい。
式(13)のR13a〜R13k及びR13mは、R13c及びR13iのうち少なくとも1つが、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロアリールチオ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基であることが好ましく、置換若しくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、R13c及びR13iのいずれもが、置換若しくは無置換のアルキル基であることが更に好ましい。
−式(14)で表される化合物−
式(14)中、X14a〜X14cはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR14iを表し、R14a〜R14iはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R14a〜R14iのうち少なくとも1つは、式(W)で表される基を表す。置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
なお、R14a〜R14hの少なくとも1つが式(W)で表される基であり、Rがアルキル基である場合には、Lは式(L−2)〜式(L−25)のいずれかで表される基であることが好ましい。
式(14)中、X14a〜X14cのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X14a〜X14cは、同じ連結基であることが好ましい。X14a〜X14cはいずれもS原子であることがより好ましい。
がアルキル基である場合のLとしては、式(L−2)〜式(L−5)、式(L−13)、式(L−17)、又は、式(L−18)のいずれかで表される基が好ましく、式(L−3)、式(L−13)、又は、式(L−18)のいずれかで表される基がより好ましい。
式(14)のR14a〜R14hは、R14b及びR14gのうち少なくとも1つが、式(W)で表される基であることが好ましく、R14b及びR14gのいずれもが、式(W)で表される基であることがより好ましい。
−式(15)で表される化合物−
式(15)中、X15a〜X15dはそれぞれ独立にS原子、O原子、Se原子又はNR15gを表し、R15a〜R15gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R15a〜R15gのうち少なくとも1つは、式(W)で表される基を表す。置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
式(15)中、X15a〜X15dのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X15a〜X15dは、同じ連結基であることが好ましい。X15a〜X15dはいずれもS原子であることがより好ましい。
式(15)のR15a〜R15fは、R15b及びR15eのうち少なくとも1つが、式(W)で表される基であることが好ましく、R15b及びR15eのいずれもが、式(W)で表される基であることがより好ましい。
−式(16)で表される化合物−
式(16)中、X16a〜X16dはそれぞれ独立に、S原子、O原子、Se原子又はNR16gを表す。R16a〜R16gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R16a〜R16gのうち少なくとも1つは、式(W)で表される基を表す。置換基としては、上述した置換基Xが挙げられる。式(W)で表される基の定義は、上述の通りである。
なお、R16c及びR16fは、水素原子、ハロゲン原子又は式(W)で表される基(ただし、Lは、式(L−3)、式(L−5)、式(L−7)〜式(L−9)、式(L−12)〜式(L−24)のいずれかで表される基である。)であることが好ましい。R16a、R16b、R16d、R16e及びR16gはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表すことが好ましい。
なお、式(16)において、Lは、式(L−3)、式(L−5)、式(L−7)〜式(L−9)、式(L−12)〜式(L−24)のいずれかで表される基であり、R16c及びR16fが式(W)で表される基の場合、式(L−3)、式(L−5)、式(L−13)、式(L−17)、式(L−18)のいずれかで表される基であることが好ましい。
式(16)中、X16a〜X16dのうち少なくとも1つがS原子であることが、キャリア移動度を高める観点から好ましい。X16a〜X16dは、同じ連結基であることが好ましい。X16a〜X16dはいずれもS原子であることがより好ましい。
式(16)のR16a〜R16fは、R16a及びR16dのうち少なくとも1つが、式(W)で表される基であることが好ましく、R16a及びR16dのいずれもが、式(W)で表される基であることがより好ましい。
また、R16c及びR16fは、水素原子であることが好ましい。
成分Aは、上記縮合多環芳香族基における縮合多環芳香環上に、アルキル基を有することが好ましく、炭素数6〜20のアルキル基を有することがより好ましく、炭素数7〜14のアルキル基を有することが更に好ましい。上記態様であると、得られる有機薄膜トランジスタのキャリア移動度及び熱安定性により優れる。
また、成分Aは、上記縮合多環芳香族基における縮合多環芳香環上に、1つ以上のアルキル基を有することが好ましく、2〜4つのアルキル基を有することがより好ましく、2つのアルキル基を有することが更に好ましい。上記態様であると、得られる有機薄膜トランジスタのキャリア移動度及び熱安定性により優れる。
成分Aの分子量は、特に制限されないが、分子量が3,000以下であることが好ましく、2,000以下であることがより好ましく、1,000以下であることが更に好ましく、850以下であることが特に好ましい。分子量を上記上限値以下とすることにより、溶媒への溶解性を高めることができる。一方で、薄膜の膜質安定性の観点からは、分子量は300以上であることが好ましく、350以上であることがより好ましく、400以上であることが更に好ましい。
成分Aの合成方法は、特に制限されず、公知の方法を参照して合成できる。上記式(1)〜式(16)で表される化合物の合成方法としては、例えば、Journal of American Chemical Society,116, 925(1994)、Journal of Chemical Society, 221(1951)、Org.Lett.,2001,3,3471、Macromolecules,2010,43,6264、Tetrahedron,2002,58,10197、特表2012−513459号公報、特開2011−46687号公報、Journal of Chemical Research.miniprint,3,601−635(1991)、Bull.Chem.Soc.Japan,64,3682−3686(1991)、Tetrahedron Letters,45,2801−2803(2004)、欧州特許公開第2251342号明細書、欧州特許公開第2301926号明細書、欧州特許公開第2301921号明細書、韓国特許公開第10−2012−0120886号公報、J.Org.Chem.,2011,696、Org.Lett.,2001,3,3471、Macromolecules,2010,43,6264、J.Org.Chem.,2013,78,7741、Chem.Eur.J.,2013,19,3721、Bull.Chem.Soc.Jpn.,1987,60,4187、J.Am.Chem.Soc.,2011,133,5024、Chem.Eur.J.2013,19,3721、Macromolecules,2010,43,6264−6267、又は、J.Am.Chem.Soc.,2012,134,16548−16550などが挙げられる。
なお、有機薄膜トランジスタのキャリア移動度の観点から、成分Aは、式(1)〜式(9)、式(14)又は式(15)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含むことが好ましく、式(1)〜式(9)又は式(15)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含むことがより好ましい。
以下に成分Aの好ましい具体例を示すが、これらに限定されないことは言うまでもない。
有機半導体層形成用組成物中の有機半導体材料の濃度は、特に限定されないが、有機半導体層形成用組成物全質量に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.2〜5質量%が特に好ましい。
(溶媒)
溶媒としては、有機半導体材料及び/又は光酸発生樹脂を溶解又は分散させるものであれば特に限定されない。例えば、有機溶媒、水及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、テトラリン、デカリン、若しくは、1−メチルナフタレン等の炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、若しくは、シクロヘキサノン等のケトン溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、若しくは、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、若しくは、酢酸アミル等のエステル溶媒、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、若しくは、エチレングリコール等のアルコール溶媒、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、若しくは、アニソール等のエーテル溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、若しくは、1−メチル−2−イミダゾリジノン等のアミド・イミド溶媒、ジメチルスルフォキシド等のスルホキシド溶媒、又は、アセトニトリル、若しくは、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒等が挙げられる。
有機溶媒は、単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。有機溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、又は、ベンゾニトリル等が特に好ましい。
(有機半導体層前駆体層形成方法)
これらの有機半導体層形成用組成物を塗布する方法は、特に限定されず、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷若しくはスクリーン印刷などの印刷法又はスピンコート法が好ましく、スピンコート法がより好ましい。
塗布条件は、特に限定されない。室温(25℃)付近で塗布してもよいし、有機半導体材料の塗布溶媒への溶解性を増すために加熱状態で塗布してもよい。塗布温度は、好ましくは15〜150℃であり、より好ましくは15〜100℃であり、さらに好ましくは15〜50℃であり、特に好ましくは室温付近(20〜30℃)である。
スピンコート法では、回転数を100〜3000rpmにするのが好ましい。
好ましい製造方法においては、塗布した有機半導体層形成用組成物を好ましくは乾燥する。乾燥条件は、溶媒を揮発により除去できる条件であればよく、例えば、室温放置、加熱乾燥、送風乾燥、又は、減圧乾燥等の方法が挙げられる。
(光(活性光線又は放射線)照射)
有機半導体層前駆体層に光(活性光線又は放射線)照射処理をすることにより、有機半導体層前駆体層中の光酸発生樹脂が開裂し、ドーパントである側鎖に酸アニオンを有する主鎖部分と、カチオン部位との分解が生じる。
光(活性光線又は放射線)照射処理において、光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、又は、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、又は、遠赤外線などもある。具体的な形態としては、赤外線レーザーによる走査照射、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ照射、又は、赤外線ランプ照射などが好適に挙げられる。
照射時間としては、光酸発生樹脂の反応性及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。照射エネルギーとしては、10〜8000mJ程度であればよく、好ましくは50〜3000mJの範囲である。
<第2の実施態様>
有機半導体層は、さらに、有機半導体材料を含む有機半導体材料層と光酸発生樹脂を含む光酸発生樹脂層との少なくとも2層構成として有機半導体層前駆体層を形成し、この有機半導体層前駆体層に対し活性光線又は放射線を照射することにより形成されてもよい。
有機半導体材料層と光酸発生樹脂層の形成方法は特に限定されないが、第1の態様と同様に、有機半導体材料及び光酸発生樹脂と、これらを溶解又は分散させる溶剤とを含む形成溶液により形成されることが好ましい。勿論、形成溶液には、その他に溶媒、界面活性剤、又は、バインダー樹脂等の他の添加剤等を含有させてもよい。
有機半導体材料層形成用組成物中の有機半導体材料の濃度は、特に限定されないが、有機半導体材料層形成用組成物全質量に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.2〜5質量%が特に好ましく、光酸発生樹脂層形成用組成物中の光酸発生樹脂の濃度は、特に限定されないが、光酸発生樹脂層形成用組成物全質量に対して、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が特に好ましい。
これらの形成溶液を塗布する方法は、特に限定されず、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷若しくはスクリーン印刷などの印刷法又はスピンコート法が好ましく、スピンコート法がより好ましい。
第2の態様において、上記した以外は第1の態様と同様に実施することができる。
以下、本発明のOTFTの構成ないし材料についてさらに説明する。
[基板]
基板は、OTFT及びその上に作製される表示パネル等を支持できるものであればよい。基板は、表面に絶縁性があり、シート状で、表面が平坦であれば特に限定されない。なお、基板は後述するゲート電極と一体型になっていてもよい。つまり、基板はゲート電極の機能を兼ねていてもよい。
基板の材料として、無機材料を用いてもよい。無機材料からなる基板として、例えば、ソーダライムガラス、若しくは、石英ガラス等の各種ガラス基板のほか、表面に絶縁膜が形成された各種ガラス基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成されたシリコン基板、サファイヤ基板、ステンレス鋼、アルミニウム、若しくは、ニッケル等の各種合金若しくはこれらの各種金属からなる金属基板、金属箔、又は、紙等を挙げることができる。
基板がステンレスシート、アルミ箔、銅箔又はシリコンウェハ等の導電性あるいは半導体性の材料で形成されている場合、通常は、表面に絶縁性の高分子材料あるいは金属酸化物等を塗布又は積層して用いられる。
また、基板の材料としては、有機材料及び無機材料のいずれであってもよい。
有機材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル又はPMMAともいう。)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、又は、エポキシ樹脂に例示される有機ポリマーから構成された可撓性を有するプラスチック基板(プラスチックフィルム又はプラスチックシートともいう)が挙げられる。
このような可撓性を有する基板等を使用すれば、例えば曲面形状を有するディスプレイ装置又は電子機器へのOTFTの組込みあるいは一体化が可能となる。
基板を形成する有機材料は、他の層の積層時又は加熱時に軟化し難いことから、ガラス転移点が高いことが好ましく、ガラス転移点が40℃以上であるのが好ましい。また、製造時の熱処理により寸法変化を起こし難く、トランジスタ性能の安定性に優れる点から、線膨張係数が小さいことが好ましい。例えば、線膨張係数が25×10−5cm/cm・℃以下である材料が好ましく、10×10−5cm/cm・℃以下である材料がさらに好ましい。
また、基板を構成する有機材料は、OTFT作製時に用いる溶媒に対する耐性を有する材料が好ましく、また、ゲート絶縁層及び電極との密着性に優れる材料が好ましい。
さらに、ガスバリア性の高い有機ポリマーからなるプラスチック基板を用いることも好ましい。
基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けたり、無機材料を蒸着又は積層したりすることも好ましい。
基板として、上記の他に、導電性基板(金若しくはアルミニウム等の金属からなる基板、高配向性グラファイトからなる基板、又は、ステンレス鋼製基板等)も挙げることができる。また、有機無機複合物として、ガラスエポキシ樹脂などを挙げることができる。また、無機材料としては、例えば、雲母で形成したもの等を用いることができる。
基板には、密着性又は平坦性を改善するためのバッファー層、又は、ガスバリア性を向上させるためのバリア膜等の機能性膜を形成してもよい。また、基板の表面に易接着層等の表面処理層を形成してもよいし、コロナ処理、プラズマ処理又はUV/オゾン処理等の表面処理を施してもよい。
基板の厚みは、10mm以下であるのが好ましく、2mm以下であるのがさらに好ましく、1mm以下であるのが特に好ましい。また、一方で、0.01mm以上であるのが好ましく、0.05mm以上であるのがさらに好ましい。特に、プラスチック基板の場合は、厚みが0.05〜0.1mm程度であるのが好ましい。また、無機材料からなる基板の場合は、厚みが0.1〜10mm程度であるのが好ましい。
[ゲート電極]
ゲート電極は、OTFTのゲート電極として用いられている従来公知の電極を用いることができる。ゲート電極を構成する導電性材料(電極材料ともいう)としては、特に限定されない。例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、モリブデン、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、パラジウム、鉄、若しくは、マンガン等の金属;InO、SnO、インジウム・錫酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、若しくは、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等の導電性金属酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、若しくは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等の導電性高分子;塩酸、硫酸、若しくは、スルホン酸等の酸、PF、AsF、若しくは、FeCl等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、若しくは、カリウム等の金属原子等のドーパントを添加した上記導電性高分子;又は;カーボンブラック、グラファイト粉、若しくは、金属微粒子等を分散した導電性の複合材料等が挙げられる。これらの材料は、1種のみを用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、ゲート電極は、上記導電性材料からなる1層でもよく、2層以上を積層してもよい。
ゲート電極の形成方法に制限はない。例えば、真空蒸着法等の物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD法)、スパッタ法、印刷法(塗布法)、転写法、ゾルゲル法、又は、メッキ法等により形成された膜を、必要に応じて所望の形状にパターンニングする方法が挙げられる。
塗布法では、上記材料の溶液、ペースト又は分散液を調製して組成物を構成し、得られた組成物を塗布して乾燥した後、焼成、光硬化又はエージング等の処理により膜を形成し、又は、直接電極を形成できる。
また、インクジェット印刷、スクリーン印刷、(反転)オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、熱転写印刷、又は、マイクロコンタクトプリンティング法等は、所望のパターニングが可能であり、工程の簡素化、コスト低減、又は、高速化の点で好ましい。
スピンコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート法、又は、ディップコート法を採用する場合も、下記フォトリソグラフィー法等と組み合わせてパターニングすることができる。
フォトリソグラフィー法としては、例えば、フォトレジストのパターニングと、エッチング液によるウェットエッチング、若しくは、反応性のプラズマによるドライエッチング等のエッチング、又は、リフトオフ法等とを組み合わせる方法等が挙げられる。
他のパターニング方法として、上記材料に、レーザー又は電子線等のエネルギー線を照射して、研磨し、又は材料の導電性を変化させる方法も挙げられる。
さらに、基板以外の支持体に印刷したゲート電極用組成物を基板等の下地層の上に転写させる方法も挙げられる。
ゲート電極の厚みは、任意であるが、1nm以上が好ましく、10nm以上が特に好ましい。また、500nm以下が好ましく、200nm以下が特に好ましい。
[ゲート絶縁層]
ゲート絶縁層は、絶縁性を有する層であれば特に限定されず、単層であってもよいし、多層であってもよい。
ゲート絶縁層は、絶縁性の材料で形成されるのが好ましく、絶縁性の材料として、例えば、有機高分子又は無機酸化物等が好ましく挙げられる。有機高分子及び無機酸化物は、それぞれ1種でも2種以上の併用であってもよく、あるいは有機無機ハイブリッドであってもよい。
有機高分子及び無機酸化物等は、絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、塗布可能な、有機高分子又は有機無機ハイブリッドで形成されることが好ましい。
ゲート絶縁層の厚みは、任意であるが、10nm〜10μmが好ましく、50nm〜5μmがより好ましく、100nm〜1μmが特に好ましい。
有機高分子としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレートに代表されるポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、CYTOP(登録商標、旭硝子社製)に代表される環状フルオロアルキルポリマー、ポリシクロオレフィン、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、エポキシ樹脂(ガラスエポキシ樹脂を含む)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に代表されるポリオルガノシロキサン、ポリシルセスキオキサン又はブタジエンゴム等が挙げられる。また、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、メタクリル樹脂、ポリアセタール、ジアリルフタレート、アイオノマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ユリア樹脂、メラミン樹脂、酢酸セルロース、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、又は、ポリベンゾオキサゾール等が挙げられる。上記の他にも、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、シンナメート樹脂、アクリル樹脂、又は、ポリパラキシリレン樹脂等の熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの中でも、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ポリアクリル酸、ポリビニルフェノール、又は、ポリベンゾオキサゾール等が好ましく使用できる。
また、有機高分子として、低誘電率フッ素系材料も好ましく使用できる。
有機高分子は、アルコキシシリル基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、エポキシ基、又は、メチロール基等の反応性置換基を有する化合物と併用することもできる。
有機高分子でゲート絶縁層を形成する場合、ゲート絶縁層の耐溶媒性又は絶縁耐性を増す目的等で、有機高分子を架橋し、硬化させることも好ましい。架橋は、光、熱又はこれら双方を用いて、酸又はラジカルを発生させることにより実施することが好ましい。
ラジカルにより架橋する場合、光又は熱によりラジカルを発生させるラジカル発生剤として、例えば、特開2013−214649号公報の[0182]〜[0186]に記載の熱重合開始剤(H1)及び光重合開始剤(H2)、特開2011−186069号公報の[0046]〜[0051]に記載の光ラジカル発生剤、又は、特開2010−285518号公報の[0042]〜[0056]に記載の光ラジカル重合開始剤等を好適に用いることができ、好ましくはこれらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、特開2013−214649号公報の[0167]〜[0177]に記載の「数平均分子量(Mn)が140〜5,000であり、架橋性官能基を有し、フッ素原子を有さない化合物(G)」を用いるのも好ましく、これらの内容は好ましくは本明細書に組み込まれる。
酸により架橋する場合、光により酸を発生させる光酸発生剤として、例えば、特開2010−285518号公報の[0033]〜[0034]に記載の光カチオン重合開始剤、又は、特開2012−163946号公報の[0120]〜[0136]に記載の酸発生剤を用いることができ、好ましくはこれらの内容は本明細書に組み込まれる。これらのなかでも、スルホニウム塩又はヨードニウム塩等を好ましく使用することができる。
熱により酸を発生させる熱酸発生剤(触媒)として、例えば、特開2010−285518号公報の[0035]〜[0038]に記載の熱カチオン重合開始剤(特にオニウム塩等)、又は、特開2005−354012号公報の[0034]〜[0035]に記載の触媒(特にスルホン酸類及びスルホン酸アミン塩)等を好ましく使用することができ、好ましくはこれらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、特開2005−354012号公報の[0032]〜[0033]に記載の架橋剤(特に二官能以上のエポキシ化合物又はオキセタン化合物)、特開2006−303465号公報の[0046]〜[0062]に記載の架橋剤(特に2個以上の架橋基を有し、この架橋基の少なくとも一つがメチロール基若しくはNH基であることを特徴とする化合物)、又は、特開2012−163946号公報の[0137]〜[0145]に記載の、ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を分子内に2個以上有する化合物を用いるのも好ましく、これらの内容は好ましくは本明細書に組み込まれる。
ゲート絶縁層を有機高分子で形成する方法としては、例えば、有機高分子を塗布(塗工)した後、これを硬化する方法が挙げられる。塗布方法は、特に限定されず、上記の各印刷法が挙げられる。なかでも、マイクログラビアコート法、ディップコート法、スクリーンコート印刷、ダイコート法又はスピンコート法等のウエットコーティング法が好ましい。
上記無機酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素(SiN)、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化銅、若しくは、酸化ニッケル等の酸化物、SrTiO、CaTiO、BaTiO、MgTiO、若しくは、SrNbのようなペロブスカイト化合物、又は、これらの複合酸化物若しくは混合物等が挙げられる。
ここで、酸化ケイ素としては、酸化シリコン(SiO)の他に、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)、PSG(Phosphorus Silicon Glass)、BSG(Boron Silicon Glass)、AsSG(Asがドープされたシリカガラス)酸化窒化シリコン(SiON)、SOG(スピンオングラス)が含まれる。
ゲート絶縁層を無機酸化物で形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング又はCVD法等の真空成膜法を用いることができ、また成膜中に任意のガスを用いたプラズマ又はイオン銃若しくはラジカル銃等でアシストを行ってもよい。
また、それぞれの金属酸化物に対応する前駆体、具体的には塩化物若しくは臭化物等の金属ハロゲン化物、金属アルコキシド、又は、金属水酸化物等を、アルコール又は水中で塩酸、硫酸若しくは硝酸等の酸、又は、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の塩基と反応させて加水分解することにより、形成してもよい。このような溶液系のプロセスを用いる場合、上記ウエットコーティング法を用いることができる。
ゲート絶縁層は、上記の方法以外にも、リフトオフ法、ゾル−ゲル法、電着法及びシャドウマスク法のいずれかと、必要に応じてパターニング法とを組み合わせた方法により、設けることもできる。
また、無機有機ハイブリッドとして、上記に挙げた有機高分子と、有機修飾された無機微粒子とを併用してもよい。
[ソース電極、ドレイン電極]
本発明のOTFTにおいて、ソース電極は、配線を通じて外部から電流が流入する電極である。また、ドレイン電極は、配線を通じて外部に電流を送り出す電極であり、通常、上記有機半導体層に接して設けられる。
ソース電極及びドレイン電極の材料としては、従来の有機薄膜トランジスタに用いられている導電性材料を用いることができ、例えば、上記ゲート電極で説明した導電性材料等が挙げられる。
ソース電極及びドレイン電極は、それぞれ、上記ゲート電極の形成方法と同様の方法により形成することができる。
上記フォトリソグラフィー法としては、リフトオフ法又はエッチング法を採用できる。
特に、ゲート絶縁層がエッチング液又は剥離液に対する耐性に優れていることから、ソース電極及びドレイン電極はエッチング法でも好適に形成することができる。エッチング法は、導電性材料を成膜した後に不要部分をエッチングにより除去する方法である。エッチング法によりパターニングすると、レジスト除去時に下地に残った導電性材料の剥がれ、レジスト残渣又は除去された導電性材料等の下地への再付着を防止でき、電極エッジ部の形状に優れる。この点で、リフトオフ法よりも好ましい。
リフトオフ法は、下地の一部にレジストを塗布し、この上に導電性材料を成膜し、レジスト等を溶媒により溶出又は剥離等することにより、レジスト上の導電性材料ごと除去して、レジストが塗布されていなかった部分にのみ導電性材料の膜を形成する方法である。
ソース電極及びドレイン電極の厚みは、任意であるが、それぞれ、1nm以上が好ましく、10nm以上が特に好ましい。また、500nm以下が好ましく、300nm以下が特に好ましい。
ソース電極とドレイン電極との間の間隔(チャネル長)は、任意であるが、500μm以下が好ましく、200μm以下が特に好ましい。また、チャネル幅は、5000μm以下が好ましく、1000μm以下が特に好ましい。
[オーバーコート層]
本発明のOTFTは、オーバーコート層を有していてもよい。オーバーコート層は、通常、OTFTの表面に保護層として形成される層である。単層構造でも多層構造でもよい。
オーバーコート層は、有機系のオーバーコート層でも無機系のオーバーコート層でもよい。
有機系のオーバーコート層を形成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアセナチレン、若しくは、エポキシ樹脂等の有機ポリマー、又は、これらの有機ポリマーに架橋性基若しくは撥水基等を導入した誘導体等が挙げられる。これらの有機ポリマー又はその誘導体は、架橋成分、フッ素化合物又はシリコン化合物等と併用することもできる。
無機系のオーバーコート層を形成する材料としては、特に限定されないが、酸化ケイ素若しくは酸化アルミニウム等の金属酸化物又は窒化ケイ素等の金属窒化物等が挙げられる。
これらの材料は、1種を用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
オーバーコート層の形成方法に制限はなく、公知の各種の方法により形成することができる。
例えば、有機系のオーバーコート層は、例えば、その下地となる層に、オーバーコート層となる材料を含む溶液を塗布後に乾燥させる、オーバーコート層となる材料を含む溶液を塗布して乾燥した後に、露光及び現像してパターニングする等の方法により形成することができる。なお、オーバーコート層のパターニングは、印刷法又はインクジェット法等により直接形成することもできる。また、オーバーコート層のパターニング後に、露光又は加熱することにより、オーバーコート層を架橋させてもよい。
一方、無機系のオーバーコート層は、スパッタリング法若しくは蒸着法等の乾式法、又は、ゾルゲル法のような湿式法により形成することができる。
[その他の層]
本発明のOTFTは、上記以外の層又は部材を設けてもよい。
その他の層又は部材としては、例えば、バンク等が挙げられる。バンクは、インクジェット法等により半導体層又はオーバーコート層等を形成するときに、吐出液を所定の位置に塞き止める目的等で用いられる。このため、バンクには、通常、撥液性がある。バンクの形成方法としては、フォトリソグラフィー法等によりパターニングした後にフッ素プラズマ法等の撥液処理を施す方法、フッ素化合物等の撥液成分を含む感光性組成物等を硬化させる方法等が挙げられる。
本発明の有機薄膜トランジスタの場合、ゲート絶縁層が有機層であることから、後者の撥液成分を含む感光性組成物を硬化させる方法が、ゲート絶縁層が撥液処理の影響を受ける可能性がなく、好ましい。なお、バンクを用いずに下地に撥液性のコントラストを持たせてバンクと同じ役割を持たせる技術を用いてもよい。
本発明のOTFTは、図1Aに示されるボトムゲート・ボトムコンタクト構造、図1Bは、ボトムゲート・トップコンタクト構造、図1Cはトップゲート・ボトムコンタクト構造、図1Dはトップゲート・トップコンタクト構造のいずれにも適用することができる。
〔OTFTの用途〕
本発明のOTFTは好ましくは表示パネルに搭載して使用される。表示パネルとしては、例えば、液晶パネル、有機ELパネル、電子ペーパーパネル等が挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[有機薄膜トランジスタIの製造と評価(実施例1〜20、比較例1〜3)]
<有機半導体層形成用組成物の調製>
有機半導体材料と、活性光線又は放射線の照射により酸アニオンを生じる構造を側鎖に含む繰り返し単位を有する樹脂(以下、「光酸発生樹脂」という)とを下記表1に示す配合比となるように混合、攪拌して、実施例及び比較例の各有機半導体層形成用組成物を調製した。
なお、いずれの有機半導体層形成用組成物においてもトルエンを溶剤とする固形分濃度0.5質量%溶液として調製し、有機半導体材料又は光酸発生樹脂が溶解しくにい場合には、必要に応じて50℃程度の加熱をしながら攪拌して、各成分を溶解させた。
下記に使用した化合物を示す。
(A) 有機半導体材料
(B)光酸発生樹脂
(C)光酸発生剤(比較用)
<有機薄膜トランジスタIの製造>
上記のようにして得られた実施例及び比較例の各有機半導体層形成用組成物を用いて、図1Aに示すボトムゲート・ボトムコンタクト構造の有機薄膜トランジスタを以下の手順にて作製した後、キャリア移動度及び絶縁信頼性の評価を行った。
基板6として厚さ1mmのドープシリコン基板(ゲート電極5を兼ねる)を用い、その上にゲート絶縁層2を形成した。
ゲート絶縁層2は以下のように形成した。
ポリ(4−ビニルフェノール)(日本曹達社製、商品名:VP−8000、Mn11000、分散度1.1)を6.3gと、架橋剤として2,2−ビス(3,5−ジヒドロキシメチル−4−ヒドロキシ)プロパン2.7gとを、91gの1−ブタノール/エタノール=1/1の混合溶媒に室温で溶解した。この溶解液をφ0.2μmのPTFE製メンブランフィルタでろ過した。得られたろ液に酸触媒としてジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート塩0.18gを加え、基板6上に塗布し、乾燥して成膜した。その後、100℃に加熱して架橋構造を形成させ、厚さ0.7μmのゲート絶縁層2を形成した。
次いで、図1Aに示すようにソース電極3及びドレイン電極4として、くし型に配置された銀からなる電極(厚み150nm、ゲート幅W=100μm、ゲート長L=100μm)を、マスクを用いて真空蒸着により形成した。
次いで、ゲート絶縁層2、ソース電極3及びドレイン電極4を覆うように、上記有機半導体層形成用組成物を、25℃でスピンコート(回転数1000rpm)により塗布した。その後、ホットプレート上にて150℃で30分加熱して、有機半導体層前駆体層を成膜した。次いで、得られた有機半導体層前駆体層に対し、高圧UVランプ(ウシオ電機社製)を用いて254〜365nmの波長の光(照射量30mW/cm)を10秒照射し、光酸発生樹脂を分解して系内に側鎖に酸アニオンを有する主鎖成分を生成し、有機半導体層を形成した。
こうして、厚さ150nmの有機半導体層1を成膜し、実施例1〜20及び比較例1〜3の有機薄膜トランジスタ(ボトムゲート・ボトムコンタクト型)を得た。
<評価試験>
得られた各有機薄膜トランジスタについて、キャリア移動度μとon/off比を下記方法により評価することでその性能を調べた。
(キャリア移動度の評価)
ソース電極3及びドレイン電極4間に−40Vの電圧を印加し、ゲート電圧Vgを40V〜−40Vの範囲で変化させ、ドレイン電流Idを表す下記式を用いてキャリア移動度μ(cm/Vs)を算出した。
Id=(w/2L)μCi(Vg−Vth)
式中、Lはゲート長、wはゲート幅、Ciはゲート絶縁層2の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧
(on/off比の評価)
ソース電極3及びドレイン電極4間にかかる電圧を−40Vに固定し、ゲート電圧Vgを40〜−40Vまで変化(スイープ)させたときの(|Id|の最大値)/(|Id|の最小値)をon/off比とした。結果を表1に示す。
[有機薄膜トランジスタIIの製造と評価(実施例21〜28)]
上記有機薄膜トランジスタIの作製において、有機半導体層前駆体層を、有機半導体材料を含む有機半導体材料層と光酸発生樹脂を含む光酸発生樹脂層との2層構成として形成した以外は同様の方法により、表1に示す配合で有機薄膜トランジスタIIを作製した。詳細は下記の通りである。
まず、ゲート絶縁層2、ソース電極3及びドレイン電極4を覆うように、下記表1において化合物番号N7で表される有機半導体材料をトルエン1mLに溶解した有機半導体材料層形成用組成物(有機半導体材料層形成用組成物における有機半導体材料の濃度:0.5質量%)を、25℃でスピンコート(回転数1000rpm)により塗布した。その後、ホットプレート上にて150℃で30分加熱して厚さ150nmの有機半導体材料層を成膜した。
次いで、上記で成膜した有機半導体材料層上に、下記表1に示される光酸発生樹脂(A-1〜8)をそれぞれトルエン1mLに溶解した各光酸発生樹脂層形成組成物(各光酸発生樹脂層形成組成物における光酸発生樹脂の濃度:0.1質量%)を、25℃でスピンコート(回転数1000rpm)により塗布した。その後、ホットプレート上にて150℃で30分加熱して、光酸発生樹脂層を成膜した。こうして、厚さ150nmの有機半導体層前駆体層を成膜し、OTFTを製造した。
次いで、得られた有機半導体層前駆体層に対し、高圧UVランプ(ウシオ電機社製)を用いて254〜365nmの波長の光(照射量30mW/cm)を10秒照射し、光酸発生樹脂を分解して系内に側鎖に酸アニオンを有する主鎖成分を生成し、有機半導体層1を形成した。
こうして、厚さ150nmの有機半導体層1を成膜し、実施例21〜28の有機薄膜トランジスタ(ボトムゲート・ボトムコンタクト型)を得た。
得られた各有機薄膜トランジスタについて、上述の有機薄膜トランジスタIと同様の方法によりキャリア移動度μとon/off比を評価することでその性能を調べた。結果を表1に示す。
尚、表1において、光酸発生樹脂のpKaとは、「光酸発生樹脂の酸アニオンを生じる構造部位を有するユニット(一般式(III)〜(V)で表される繰り返し単位の単量体)のpKa」を意味する。また、10^6は、「10の6乗」(10)を意図する。
表1に示す結果から、以下のことが分かる。
実施例1〜28の有機薄膜トランジスタは、いずれも、光酸発生樹脂を用いた有機半導体層形成用組成物を用いて作製しているため、光酸発生樹脂の光照射により解離した主鎖の酸成分が絶縁層へ拡散せず、これによりon/off比が優れていた。また、有機半導体層形成用組成物により形成される有機半導体層は、有機半導体材料による結晶構造が形成された後に光照射により系内で光酸発生樹脂を分解する構成をとり、また、分解によって生じた側鎖に酸アニオンを有する主鎖部分が系内で有機半導体材料の結晶構造と相分離して存在するため、すなわち、結晶性を乱さず、且つ、均一にドープされるため、キャリア移動度μにも優れていた。
特に、光酸発生樹脂の中でも、対カチオンとしてスルホニウム塩又はヨードニウム塩を有する化合物を用いた場合には、より優れたキャリア移動度μが得られることが分かった。
また、光酸発生樹脂として、側鎖の酸アニオン発生構造部位に連結するX〜Xの位置に電子吸引性基を導入してpKaを−10以下としたA−2,3,4を用いた場合には、より優れたキャリア移動度μが得られることが分かった。
また、実施例1、17〜20との比較により、有機半導体材料に対する光酸発生樹脂の添加量を適切なものとすることで(有機半導体材料100質量部に対して、0.001〜30質量部であるのが好ましく、0.01〜20質量部であるのがより好ましく、0.1〜5質量部であるのがさらに好ましい。)、キャリア移動度μをさらに高めることができた。
これに対して、光酸発生樹脂を添加しない比較例1は、キャリア移動度μが十分ではなかった。一方、引用文献1に記載されるような低分子タイプの光酸発生剤を用いた比較例2、3においては、いずれも、キャリア移動度μ及びon/off比が十分ではなかった。
1 有機半導体層、 2 ゲート絶縁層、 3 ソース電極、 4 ドレイン電極、 5 ゲート電極、 6 基板

Claims (9)

  1. ゲート電極と、有機半導体層と、前記ゲート電極及び前記有機半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、前記有機半導体層に接して設けられ、前記有機半導体層を介して連結されたソース電極及びドレイン電極と、を有する有機薄膜トランジスタであって、
    前記有機半導体層が、有機半導体材料と、活性光線又は放射線の照射により酸アニオンを生じる構造部位を側鎖に含む繰り返し単位を有する樹脂と、を含む有機半導体層前駆体層に対して活性光線又は放射線を照射することにより得られる層である、有機薄膜トランジスタ。
  2. 前記繰り返し単位が、下記式(III)〜(V)から選択される少なくとも1種類である、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
    式(III)〜(V)中、
    Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸アニオンを生じる構造部位を表す。
    04、R05及びR07〜R09は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
    06は、シアノ基、カルボキシル基、−CO−OR25又は−CO−N(R26)(R27)を表す。R26とR27が結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。
    06とXとが互いに連結して環を形成してもよい。
    〜Xは、各々独立に、単結合、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−O−、−SO−、−CO−、−N(R33)−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を表す。
    25は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
    26、R27及びR33は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
  3. 前記繰り返し単位中の酸アニオンを生じる構造部位が、スルホニウム塩構造又はヨードニウム塩構造を有する、請求項1又は2に記載の有機薄膜トランジスタ。
  4. 前記有機半導体材料が、縮合多環芳香族基を有し、前記縮合多環芳香族基中の環数が4つ以上であり、前記縮合多環芳香族基中の少なくとも2つの環が、硫黄原子、窒素原子、セレン原子及び酸素原子よりなる群から選択される少なくとも1つの原子を含み、前記縮合多環芳香族基中の部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環、及び、フェナントレン環よりなる群から選択される少なくともいずれか1つの構造を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  5. 前記有機半導体材料における前記縮合多環芳香族基中の環数が、4〜6である、請求項4に記載の有機薄膜トランジスタ。
  6. 前記有機半導体材料の前記縮合多環芳香族基中に少なくとも2つの複素環が含まれ、前記複素環がそれぞれ、ヘテロ原子を1つのみ有する複素環である、請求項4又は5に記載の有機薄膜トランジスタ。
  7. 前記有機半導体層において、前記樹脂の含有量が、有機半導体材料100質量部に対して0.001〜30質量部である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  8. 前記ゲート絶縁層が有機高分子を少なくとも含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  9. 有機半導体材料と、活性光線又は放射線の照射により酸アニオンを生じる構造を側鎖に含む繰り返し単位を有する樹脂と、を含む、有機半導体層形成用組成物。
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