JP2017061720A - 金属箔、離型層付き金属箔、積層体、プリント配線板、半導体パッケージ、電子機器及びプリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも一方の表面に最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)が0.5〜3.0の表面凹凸を有する金属箔。
【選択図】図1
Description
に示すアルミネート化合物、チタネート化合物、ジルコネート化合物、これらの加水分解生成物、該加水分解生成物の縮合体を単独で又は複数組み合わせて用いてなる。
に示すシラン化合物、その加水分解生成物、該加水分解生成物の縮合体を単独で又は複数組み合わせて用いてなる。
本発明の金属箔は、少なくとも一方の表面、すなわち、一方の表面または両方の表面に最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)が0.5〜3.0の表面凹凸を有する金属箔である。
また、本発明の離型層付き金属箔は、前記金属箔と、前記金属箔の表面凹凸を有する面側に設けられた離型層であって、且つ、前記離型層側から前記金属箔へ樹脂基材を貼り合わせたときの前記樹脂基材を剥離可能にする離型層とを備えた離型層付き金属箔である。
このように、金属箔に離型層を設けて、当該金属箔を樹脂基材に貼り合わせたときの樹脂基材の物理的な剥離を可能にすることで、金属箔を樹脂基材から除去する工程において、樹脂基材の表面に転写した金属箔表面のプロファイルを損なうこと無く、良好なコストで金属箔を除去することができる。
なお、本明細書において「表面」および「金属箔の表面」とは、金属箔表面に粗化処理層、耐熱層、防錆層、クロメート処理層、シランカップリング処理層、離型層等の表面処理層が設けられている場合には、当該表面処理層を設けた後の表面(最外層の表面)のことをいう。
金属箔(生箔)の厚みは特に限定されず、例えば、5〜105μmとすることができる。また、樹脂基材からの引き剥がしが容易となることから、金属箔の厚みは9〜70μmであるのが好ましく、12〜35μmであるのがより好ましく、18〜35μmであるのが更により好ましい。
電解生箔の電解条件:
電解液組成:
Cu:30〜190g/L
H2SO4:100〜400g/L
塩化物イオン(Cl-):60〜200質量ppm
にかわ:1〜10ppm
(必要に応じてビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(SPS):10〜100ppm)
電解液温度:25〜80℃
電解時間:10〜300秒(析出させる銅厚、電流密度により調整)
電流密度:50〜150A/dm2
電解液線速:1.5〜5m/sec
なお、本明細書において電解液、めっき液、シランカップリング処理液、離型層を形成する処理に用いられる液等の液や表面処理のための処理液の残部は特記しない限り水である。
(1)シラン化合物
次式に示す構造を有するシラン化合物、またはその加水分解生成物、または該加水分解生成物の縮合体(以下、単にシラン化合物と記述する)を単独でまたは複数混合して使用して離型層を形成することで、金属箔と樹脂基材とを貼り合わせた際に、適度に密着性が低下し、剥離強度を上述の範囲に調節できる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
離型層は、分子内に2つ以上のメルカプト基を有する化合物を用いて構成し、当該離型層を介して樹脂基材と金属箔とを貼り合わせることによっても、適度に密着性が低下し、剥離強度を調節できる。
但し、分子内に3つ以上のメルカプト基を有する化合物またはその塩を樹脂基材と金属箔との間に介在させて貼り合わせた場合、剥離強度低減の目的には適さない。これは、分子内にメルカプト基が過剰に存在するとメルカプト基同士、またはメルカプト基と板状キャリア、またはメルカプト基と金属箔との化学反応によってスルフィド結合、ジスルフィド結合またはポリスルフィド結合が過剰に生成し、樹脂基材と金属箔の間に強固な3次元架橋構造が形成されることで剥離強度が上昇することがあると考えられるからである。このような事例は特開2000−196207号公報に開示されている。
離型層を、次式に示す構造を有するアルミネート化合物、チタネート化合物、ジルコネート化合物、またはその加水分解生成物、または該加水分解生成物の縮合体(以下、単に金属アルコキシドと記述する)を単独でまたは複数混合して構成してもよい。当該離型層を介して樹脂基材と金属箔を貼り合わせることで、適度に密着性が低下し、剥離強度を調節できる。
(4)その他
シリコン系の離型剤、離型性を有する樹脂被膜等、公知の離型性を有する物質を離型層に用いることができる。
〔球状粗化〕
Cu、H2SO4、Asから成る、以下に記す銅粗化めっき浴を用いて球状粗化粒子を形成する。
・液組成1
CuSO4・5H2O 78〜196g/L
Cu 20〜50g/L
H2SO4 50〜200g/L
砒素 0.7〜3.0g/L
(電気メッキ温度1) 30〜76℃
(電流条件1) 電流密度 35〜105A/dm2 (浴の限界電流密度以上)
(メッキ時間1)1〜240秒
続いて、粗化粒子の脱落防止とピール強度向上のため、硫酸・硫酸銅からなる銅電解浴で被せメッキを行う。被せメッキ条件を以下に記す。
・液組成2
CuSO4・5H2O 88〜352g/L
Cu 22〜90g/L
H2SO4 50〜200g/L
(電気メッキ温度2) 25〜80℃
(電流条件2) 電流密度:15〜32A/dm2 (浴の限界電流密度未満)
(メッキ時間1)1〜240秒
本発明に係る金属箔に樹脂基材を設けて積層体を作製することができる。当該積層体は、樹脂基材を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂等で形成してもよい。樹脂基材は、プリプレグであってもよく、熱硬化性樹脂を含んでもよい。また、当該積層体の金属箔に回路を形成することでプリント配線板を作製することができる。更に、プリント配線板に電子部品類を搭載することで、プリント回路板を作製することができる。本発明において、「プリント配線板」にはこのように電子部品類が搭載されたプリント配線板及びプリント回路板及びプリント基板も含まれることとする。また、当該プリント配線板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント回路板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント基板を用いて電子機器を作製してもよい。また、上記「プリント回路板」には、半導体パッケージ用回路形成基板も含まれることとする。さらに半導体パッケージ用回路形成基板に電子部品類を搭載して半導体パッケージを作製することができる。さらに当該半導体パッケージを用いて電子機器を作製してもよい。
本発明のプリント配線板の製造方法は一側面において、本発明に係る金属箔の表面プロファイルを有する面側、又は、本発明に係る離型層付き金属箔の離型層側から樹脂基材を貼り合わせる工程と、前記樹脂基材から、前記金属箔又は前記離型層付き金属箔をエッチングすることなく引き剥がすことで、剥離面に前記金属箔又は前記離型層付き金属箔の表面プロファイルが転写された樹脂基材を得る工程と、前記表面プロファイルが転写された樹脂基材の前記剥離面側に回路を形成する工程とを備える。このような構成により、金属箔に離型層を設けずにまたは設けて、当該金属箔を樹脂基材に貼り合わせたときの樹脂基材の物理的な剥離が可能となり、金属箔を樹脂基材から除去する工程において、樹脂基材の表面に金属箔表面から転写した表面プロファイルを損なうこと無く、良好なコストで金属箔を除去することが可能となる。当該製造方法では、回路をメッキパターンで形成してもよい。この場合、メッキパターンを形成した後、当該メッキパターンを利用して所望の回路を形成してプリント配線板を作製することができる。また、回路を印刷パターンで形成してもよい。この場合、例えばインクの中に導電ペースト等を含んだインクジェットを用いて印刷パターンを形成した後、当該印刷パターンを利用して所望の印刷回路を形成してプリント配線板を作製することができる。
本明細書において「表面プロファイル」とは表面の凹凸形状のことをいう。
ビルドアップ層は、剥離面に前記金属箔の表面プロファイルが転写された樹脂基材の剥離面側に導電層、配線パターンまたは回路と樹脂等の絶縁体とを設けることで作製することができる。導電層、配線パターンまたは回路の形成方法としては、セミアディティブ法、フルアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法等公知の方法を用いることができる。
ビルドアップ層は、複数の層を有してもよく、複数の導電層、配線パターンまたは回路と樹脂(層)有してもよい。
複数の導電層、配線パターンまたは回路は樹脂等の絶縁体により電気的に絶縁されていてもよい。電気的に絶縁されている複数の導電層、配線パターンまたは回路を、樹脂等の絶縁体にレーザーおよび/またはドリルによりスルーホール及び/またはブラインドビアを形成した後、当該スルーホール及び/またはブラインドビアに銅めっき等の導通めっきを形成することで、電気的に接続してもよい。
なお、樹脂基材の両面に、表面の最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)を制御した金属箔または表面に離型層が設けられた金属箔を、前記表面の最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)が制御された側または前記離型層側から貼り合わせ、その後、金属箔又は離型層付き金属箔を除去して、樹脂基材の両面に金属箔の表面プロファイルを転写し、当該樹脂基材の両面に回路、配線パターンまたはビルドアップ層を設けることで、プリント配線板を製造しても良い。
また、セミアディティブ法の別の一実施形態は以下の通りである。
前記金属箔又は前記離型層付き金属箔に、表面の最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)を制御した側又は離型層側から樹脂基材を積層する工程、
前記金属箔と樹脂基材とを積層した後に、前記金属箔をエッチングで除去、または、引き剥がす工程、
前記金属箔を除去又は引き剥がして生じた樹脂基材の露出面又は剥離面にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記樹脂基材および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について希硫酸等で樹脂基材表面を洗浄し、無電解メッキ層(例えば無電解銅メッキ層)を設ける工程、
前記無電解メッキ層の上にメッキレジストを設ける工程、
前記メッキレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のメッキレジストを除去する工程、
前記メッキレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解メッキ層(例えば電解銅メッキ層)を設ける工程、
前記メッキレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解メッキ層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
前記金属箔又は前記離型層付き金属箔に、表面の最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)を制御した側又は離型層側から樹脂基材を積層する工程、
前記金属箔と樹脂基材とを積層した後に、前記金属箔をエッチングで除去、または、引き剥がす工程、
前記金属箔を除去又は引き剥がして生じた樹脂基材の露出面又は剥離面について、希硫酸等で樹脂基材表面を洗浄し、無電解メッキ層(例えば無電解銅メッキ層)を設ける工程、
前記無電解メッキ層の上にメッキレジストを設ける工程、
前記メッキレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のメッキレジストを除去する工程、
前記メッキレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解メッキ層(例えば電解銅メッキ層)を設ける工程、
前記メッキレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解メッキ層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
前記金属箔又は前記離型層付き金属箔に、表面プロファイルが制御された側または離型層側から樹脂基材を積層する工程、
前記金属箔と樹脂基材とを積層した後に、前記金属箔をエッチングで除去、または、引き剥がす工程、
前記金属箔を除去または引き剥がして生じた樹脂基材の露出面または剥離面について、希硫酸等で樹脂基材表面を洗浄する工程、
前記洗浄した樹脂基材表面にメッキレジストを設ける工程、
前記メッキレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のメッキレジストを除去する工程、
前記メッキレジストが除去された前記回路が形成される領域に、無電解メッキ層(例えば無電解銅メッキ層、厚付けの無電解メッキ層でもよい)を設ける工程、
前記メッキレジストを除去する工程、
を含む。
なお、セミアディティブ法およびフルアディティブ法において、前記樹脂基材表面を洗浄することにより、無電解メッキ層を設けやすくなるという効果がある場合がある。特に、離型層が樹脂基材表面に残存している場合には、当該洗浄により離型層が樹脂基材表面から一部または全部が除去されるため、前記樹脂基材表面の洗浄により、より無電解メッキ層を設けやすくなるという効果がある場合がある。当該洗浄には公知の洗浄方法(使用する液の種類、温度、液の塗布方法等)による洗浄を用いることができる。また、本発明の離型層の一部または全部を除去することができる洗浄方法を用いることが好ましい。
実施例1〜11、比較例2については以下の電解条件にて、表1に記載の厚みの電解生箔を作製した。
(電解液組成)
Cu 120g/L
H2SO4 100g/L
塩化物イオン(Cl-) 70ppm
魚にかわ 6ppm
電解液温度 60℃
電流密度と電解液線速は表1に記載した。
比較例1では上記電解液に追加して添加剤ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(SPS)を80ppm添加した。
次に、表面処理として、生箔のM面(マット面)に、以下に示す各条件にて、粗化処理、バリヤー処理(耐熱処理)、防錆処理、シランカップリング処理、樹脂層形成処理のいずれかを、或いは、各処理を組み合わせて行った。続いて、以下に示す条件にて銅箔の当該処理側表面に離型層を形成した。なお、特に言及が無い場合は、各処理はこの記載順にて行った。また、表1において、各処理の欄に「無し」と記載されているものは、これらの処理を実施しなかったことを示す。
〔球状粗化〕
Cu、H2SO4、Asから成る、以下に記す銅粗化めっき浴を用いて球状粗化粒子を形成した。
・液組成1
CuSO4・5H2O 78〜118g/L
Cu 20〜30g/L
H2SO4 12g/L
砒素 1.0〜3.0g/L
(電気メッキ温度1) 25〜33℃
(電流条件1) 電流密度 78A/dm2 (浴の限界電流密度以上)
(メッキ時間1)1〜45秒
続いて、粗化粒子の脱落防止とピール強度向上のため、硫酸・硫酸銅からなる銅電解浴で被せメッキを行った。被せメッキ条件を以下に記す。
・液組成2
CuSO4・5H2O 156g/L
Cu 40g/L
H2SO4 120g/L
(電気メッキ温度2) 40℃
(電流条件2) 電流密度:20A/dm2 (浴の限界電流密度未満)
(メッキ時間2)1〜60秒
(液組成)
Ni 13g/L
Zn 5g/L
pH 2
(電気メッキ条件)
温度 40℃
電流密度 8A/dm2
(液組成)
CrO3 2.5g/L
Zn 0.7g/L
Na2SO4 10g/L
pH 4.8
(亜鉛クロメート条件)
温度 54℃
電流密度 0.7As/dm2
(液組成)
テトラエトキシシラン含有量 0.4%
pH 7.5
塗布方法 溶液の噴霧
〔離型層A〕
銅箔の処理表面に、シラン化合物(n−プロピルトリメトキシシラン:4wt%)の水溶液を、スプレーコーターを用いて塗布してから、100℃の空気中で5分間銅箔表面を乾燥させて離型層Aを形成した。シラン化合物を水中に溶解させてから塗布する前までの撹拌時間は30時間、水溶液中のアルコール濃度は10vol%、水溶液のpHは3.8〜4.2とした。
分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物として1−ドデカンチオールスルホン酸ナトリウムを用い、1−ドデカンチオールスルホン酸ナトリウムの水溶液(1−ドデカンチオールスルホン酸ナトリウム濃度:3wt%)を、スプレーコーターを用いて銅箔の処理面に塗布してから、100℃の空気中で5分間乾燥させて離型層Bを作製した。水溶液のpHは5〜9とした。
金属アルコキシドとしてアルミネート化合物であるトリイソプロポキシアルミニウムを用い、トリイソプロポキシアルミニウムの水溶液(トリイソプロポキシアルミニウム濃度:0.04mol/L)を、スプレーコーターを用いて銅箔の処理面に塗布してから、100℃の空気中で5分間乾燥させて離型層Cを作製した。アルミネート化合物を水中に溶解させてから塗布する前までの撹拌時間は2時間、水溶液中のアルコール濃度は0vol%、水溶液のpHは5〜9とした。
金属アルコキシドとしてチタネート化合物であるn−デシル-トリイソプロポキシチタンを用い、n−デシル-トリイソプロポキシチタンの水溶液(n−デシル−トリイソプロポキシチタン濃度:0.01mol/L)を、スプレーコーターを用いて銅箔の処理面に塗布してから、100℃の空気中で5分間乾燥させて離型層Dを作製した。チタネート化合物を水中に溶解させてから塗布する前までの撹拌時間は24時間、水溶液中のアルコール濃度はメタノールを20vol%とし、水溶液のpHは5〜9とした。
金属アルコキシドとしてジルコネート化合物であるn−プロピル−トリn−ブトキシジルコニウムを用い、n−プロピル−トリn−ブトキシジルコニウムの水溶液(n−プロピル−トリn−ブトキシジルコニウム濃度:0.04mol/L)を、スプレーコーターを用いて銅箔の処理面に塗布してから、100℃の空気中で5分間乾燥させて離型層Eを作製した。チタネート化合物を水中に溶解させてから塗布する前までの撹拌時間は12時間、水溶液中のアルコール濃度は0vol%とし、水溶液のpHは5〜9とした。
実施例1については、離型層形成の後、更に下記の条件で樹脂層の形成を行った。
(樹脂合成例)
ステンレス製の碇型攪拌棒、窒素導入管とストップコックのついたトラップ上に、玉付冷却管を取り付けた還流冷却器を取り付けた2リットルの三つ口フラスコに、3,4、3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物117.68g(400mmol)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン87.7g(300mmol)、γ−バレロラクトン4.0g(40mmol)、ピリジン4.8g(60mmol)、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと記す)300g、トルエン20gを加え、180℃で1時間加熱した後室温付近まで冷却した後、3,4、3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(100mmol)、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン82.12g(200mmol)、NMP200g、トルエン40gを加え、室温で1時間混合後、180℃で3時間加熱して、固形分38%のブロック共重合ポリイミドを得た。このブロック共重合ポリイミドは、下記に示す一般式(1):一般式(2)=3:2であり、数平均分子量:70000、重量平均分子量:150000であった。
・金属箔表面の最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)の評価
各金属箔の表面(粗化処理等の表面処理を行った場合には表面処理後の表面処理をされている側の表面、離型層が形成されている場合には離型層が設けられている側の表面)について最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)は、オリンパス株式会社製のレーザー顕微鏡LEXT OLS4100を用いて測定した。なお、RsmはJIS B 0601 2001準拠モードによって、ならびにSzはISO25178準拠モードによって測定した。なお、Rsm、Sz共に任意の10か所で測定したRsm、Szの値の平均値をRsmおよびSzの値とした。Rsmの測定長は258μm、Szの測定面積は縦258μm×横258μmとした。そして、得られた値に基づいて最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)を算出した。なお、測定時の温度は23〜25℃とした。
各金属箔の離型層側表面に以下の樹脂基材1〜3それぞれを貼り合わせた。
基材1:三菱ガス化学(株)製 GHPL-830 MBT
基材2:日立化成工業(株)製 679-FG
基材3:住友ベークライト(株)製 EI-6785TS-F
積層プレスの温度、圧力、時間は、各基材メーカーの推奨条件を用いた。
積層体に対し、IPC−TM−650に準拠し、引張り試験機オートグラフ100で銅箔から樹脂基材を剥離する際の常態ピール強度を測定し、以下の基準で金属箔の剥離性を評価した。
○:2〜200gf/cmの範囲であった。
×:2gf/cm未満または200gf/cm超であった。
上記剥離後の樹脂基材の剥離面を電子顕微鏡で観察し、樹脂の破壊モード(凝集、界面、凝集と界面との混在)について観察した。樹脂の破壊モードについて、「界面」は、樹銅箔と樹脂との界面で剥離したことを示し、「凝集」は、剥離強度が強すぎて樹脂が破壊していることを示し、「混在」は、上記「界面」と「凝集」とが混在していることを示す。
上記剥離後の樹脂基材1〜3の剥離面に、メッキ液[液組成、Cu:50g/L、H2SO4:50g/L、Cl:60ppm)を用いて銅メッキパターン(ライン/スペース=50μm/50μm)を形成した(例1)。また、上記剥離後の樹脂基材の剥離面に、導電ペーストを含有するインクを用いてインクジェットにより印刷パターン(ライン/スペース=50μm/50μm)を形成した(例2)。また、上記剥離後の樹脂基材の剥離面に、液晶ポリマーで構成された樹脂層(ビルドアップ層を構成する樹脂を想定した)をラミネートした(例3)。
次に、それぞれ信頼性試験(250℃±10℃×1時間の加熱試験)によって、回路剥離または基板フクレが発生するか否かを確認した。なお、評価サンプルの大きさは250mm×250mmとし、サンプル番号ごとに3サンプルについて測定した。
回路剥離および基板フクレが発生しなかったものを「◎」と評価した。回路剥離または基板フクレがわずかに発生したが(1サンプル中3か所以下)、使用する箇所を選別すれば製品として使用することができるものを「〇」と評価した。また、回路剥離または基板フクレが多数発生(1サンプル中3か所超)し、製品として使用することができないものを「×」と評価した。
各試験条件及び評価結果を表1に示す。
実施例1〜11は、いずれも、最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)が0.5〜3.0の表面凹凸を有する金属箔の当該凹凸面に離型層が設けられている例であり、金属箔を樹脂基材から物理的に剥離する際の剥離性が良好であり、回路剥離、基板フクレの発生を良好に抑制することができた。
比較例1は、金属箔の表面凹凸の最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)が0.5未満であったため、回路剥離を良好に抑制することができなかった。
比較例2は、金属箔の表面凹凸の最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)が3.0超であったため、金属箔を樹脂基材から物理的に剥離する際の剥離性が不良であり、回路剥離、基板フクレの発生を良好に抑制することができなかった。
Claims (21)
- 少なくとも一方の表面に最大高さSzと凹凸の平均間隔Rsmの比(Sz/Rsm)が0.5〜3.0の表面凹凸を有する金属箔。
- 厚みが5〜105μmである請求項1に記載の金属箔。
- 前記金属箔が銅箔である請求項1又は2に記載の金属箔。
- 前記金属箔の表面に、粗化処理層、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された一種以上の層を設けた請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属箔。
- 前記粗化処理層、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された一種以上の層の表面に、樹脂層を設けた請求項4に記載の金属箔。
- 前記樹脂層が、接着用樹脂、プライマー又は半硬化状態の樹脂である請求項5に記載の金属箔。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属箔と、
前記金属箔の表面凹凸を有する面側に設けられた離型層であって、且つ、前記離型層側から前記金属箔へ樹脂基材を貼り合わせたときの前記樹脂基材を剥離可能にする離型層と、
を備えた離型層付き金属箔。 - 前記離型層が、次式:
に示すアルミネート化合物、チタネート化合物、ジルコネート化合物、これらの加水分解生成物、該加水分解生成物の縮合体を単独で又は複数組み合わせて用いてなる請求項7に記載の離型層付き金属箔。 - 前記離型層が、次式:
に示すシラン化合物、その加水分解生成物、該加水分解生成物の縮合体を単独で又は複数組み合わせて用いてなる請求項7に記載の離型層付き金属箔。 - 前記離型層が、分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物を用いてなる請求項7に記載の離型層付き金属箔。
- 前記離型層表面に、樹脂層を設けた請求項7〜10のいずれか一項に記載の離型層付き金属箔。
- 前記樹脂層が、接着用樹脂、プライマー又は半硬化状態の樹脂である請求項11に記載の離型層付き金属箔。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属箔、又は、請求項7〜12のいずれか一項に記載の離型層付き金属箔と、前記金属箔又は前記離型層付き金属箔に設けられた樹脂基材とを備えた積層体。
- 前記樹脂基材が、プリプレグである、又は、熱硬化性樹脂を含む請求項13に記載の積層体。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属箔、又は、請求項7〜12のいずれか一項に記載の離型層付き金属箔を備えたプリント配線板。
- 請求項15に記載のプリント配線板を備えた半導体パッケージ。
- 請求項15に記載のプリント配線板又は請求項16に記載の半導体パッケージを備えた電子機器。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属箔、又は、請求項7〜12のいずれか一項に記載の離型層付き金属箔に、樹脂基材を貼り合わせる工程と、
前記樹脂基材から、前記金属箔又は前記離型層付き金属箔をエッチングすることなく引き剥がすことで、剥離面に前記金属箔又は前記離型層付き金属箔の表面プロファイルが転写された樹脂基材を得る工程と、
前記表面プロファイルが転写された樹脂基材の前記剥離面側に回路を形成する工程と、
を備えたプリント配線板の製造方法。 - 前記表面プロファイルが転写された樹脂基材の前記剥離面側に形成する回路が、メッキパターン又は印刷パターンである請求項18に記載のプリント配線板の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属箔、又は、請求項7〜12のいずれか一項に記載の離型層付き金属箔に、樹脂基材を貼り合わせる工程と、
前記樹脂基材から、前記金属箔又は前記離型層付き金属箔をエッチングすることなく引き剥がすことで、剥離面に前記金属箔又は前記離型層付き金属箔の表面プロファイルが転写された樹脂基材を得る工程と、
前記表面プロファイルが転写された樹脂基材の前記剥離面側にビルドアップ層を設ける工程と、
を備えたプリント配線板の製造方法。 - 前記ビルドアップ層を構成する樹脂が、液晶ポリマーまたはポリテトラフルオロエチレンを含む請求項20に記載のプリント配線板の製造方法。
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