JP2017061620A - ポリエステル樹脂およびそれを含む缶被覆用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビスフェノールA由来の原料を使用することなく、耐内容物性(耐酸性、耐硫化黒変)、耐レトルト性及び加工性に優れた塗膜を形成できる缶の被覆用樹脂組成物に適したポリエステル樹脂及び缶被覆用樹脂組成物の提供。
【解決手段】ポリカルボン酸(A)とポリオール(B)との反応生成物であるポリエステル樹脂であって、前記ポリカルボン酸(A)の合計100モル%中、テレフタル酸類を15〜50モル%、イソフタル酸類を50〜85モル%含み、前記ポリオール(B)の合計100モル%中、炭素数4〜6であり、1級の水酸基を両末端に夫々有し、側鎖を有しない直鎖状ジオール(a)を5〜30モル%、主鎖の両末端に水酸基を有し、側鎖として炭素数1〜4のアルキル基が、主鎖の同一炭素原子上に2個結合した分岐型ジオール(b)を50〜90モル%及び炭素数2〜3のジオール(c)を3〜25モル%含むポリエステル樹脂。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル樹脂およびその製造方法、該樹脂を含む缶被覆用樹脂組成物、食用缶に関する。
従来、ビスフェノールA(以下「BPA」とも表記する)とエピクロルヒドリンとを原料として合成されるBPA型エポキシ樹脂は、耐蒸気殺菌性(耐レトルト性)、加工性、密着性に優れた塗膜を形成できるため缶の内面および外面を被覆する塗料として広く使用されていた。
しかし、BPAは生物の内分泌を撹乱する作用があるとの研究結果が報告され、環境省が公表した「内分泌撹乱作用を有すると疑われる化学物質」のリスト67物質の中に挙げられた。これを受けて、缶内面を被覆する塗膜から内容物にBPAが溶出することが問題になった。そこでBPA由来の原料を全く用いない缶用塗料が求められていた。
ここで、缶の内面を被覆する樹脂組成物には、内容物の風味を損なわない耐フレーバー性、耐内容物性、耐レトルト性などの他、缶部材成型時の加工を可能とする、加工性に優れる塗膜を形成できることが求められていた。
中でも、食料を収容する、いわゆる食缶の内面塗膜においては、耐内容物性(耐酸性および耐硫化黒変性)が特に重要である。
例えば、酸性食品などは、加水分解により塗膜を損傷させ、塗膜の透過を容易とし、酸成分が缶の基材表面に至って錆を発生させることがある。この現象に対する耐性が、塗膜の「耐酸性」である。
さらに、魚肉などを収容している場合、アミノ酸の分解により発生する微量の硫化水素が塗膜を透過して、缶の金属基材(特に鉄分)と反応して基材を黒く変色させることがある。この現象に対する耐性が、塗膜の「耐硫化黒変性」である。
塗膜の耐内容物性が十分でない場合、上記のような不具合を引き起こしてしまう。
特許文献1には、ポリオール成分として、主として2−メチル−1,3−プロパンジオールを含有するポリエステル樹脂が開示されている。しかし、特許文献1のポリエステル樹脂では、形成される硬化塗膜の透過性が大きく、十分な耐酸性および耐硫化黒変性が得られないという問題があった。
特開2004−256725号公報
本発明は、BPA由来の原料を使用することなく、耐内容物性(耐酸性、耐硫化黒変性)、耐レトルト性および加工性に優れた塗膜を形成することができる、缶の被覆用樹脂組成物に適したポリエステル樹脂および缶被覆用樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、本発明に至った。
すなわち、本発明の実施態様は、ポリカルボン酸(A)とポリオール(B)との反応生成物であるポリエステル樹脂であって、前記ポリカルボン酸(A)の合計100モル%中、テレフタル酸類を15〜50モル%、イソフタル酸類を50〜85モル%含み、前記ポリオール(B)の合計100モル%中、炭素数4〜6であり、1級の水酸基を両末端にそれぞれ有し、側鎖を有しない直鎖状ジオール(a)を5〜30モル%、主鎖の両末端に水酸基を有し、側鎖として炭素数1〜4のアルキル基が、主鎖の同一炭素原子上に2個結合した分岐型ジオール(b)を50〜90モル%、および炭素数2〜3のジオール(c)を3〜25モル%含むポリエステル樹脂に関する。
また、本発明の実施態様は、分岐型ジオール(b)が、2種類以上のジオールを含む上記ポリエステル樹脂に関する。
また、本発明の実施態様は、分岐型ジオール(b)が、炭素数が異なる2つの側鎖を有する分岐型ジオール(b−1)を含む上記ポリエステル樹脂に関する。
また、本発明の実施態様は、分岐型ジオール(b)が、炭素数が同一である2つの側鎖を有する分岐型ジオール(b−2)を含む上記ポリエステル樹脂に関する。
また、本発明の実施態様は、ポリカルボン酸(A)とポリオール(B)とを反応させるポリエステル樹脂の製造方法であって、前記ポリカルボン酸(A)の合計100モル%中、テレフタル酸類を15〜50モル%、イソフタル酸類を50〜85モル%含み、前記ポリオール(B)の合計100モル%中、炭素数4〜6であり、1級の水酸基を両末端にそれぞれ有し、側鎖を有しない直鎖状ジオール(a)を5〜30モル%、主鎖の両末端に水酸基を有し、側鎖として炭素数1〜4のアルキル基が、主鎖の同一炭素原子上に2個結合した分岐型ジオール(b)を50〜90モル%、および炭素数2〜3のジオール(c)を3〜25モル%含むポリエステル樹脂の製造方法に関する。
また、本発明の実施態様は、上記ポリエステル樹脂とフェノール樹脂とを含んでなる缶被覆用樹脂組成物に関する。
また、本発明の実施態様は、上記缶被覆用樹脂組成物から形成される硬化塗膜が、内面に設けられた食用缶に関する。
本発明によりBPA由来の原料を使用することなく、耐内容物性(耐酸性、耐硫化黒変性)、耐レトルト性および加工性に優れた塗膜を形成することができる、缶の被覆用樹脂組成物に適したポリエステル樹脂および缶被覆用樹脂組成物を提供することができるようになった。
図1は、加工性試験の方法を説明した模式図である。(a)は折り曲げ前のテストパネルの状態、(b)は折り曲げ後のテストパネルの状態、(c)は折り曲げ後のテストパネルを、おもりを使い完全に折り曲げる状態を表す図である。
本発明について説明する前に、用語を定義する。ポリカルボン酸(A)には、ポリカルボン酸中のカルボキシル基が、メタノールやエタノール等のモノアルコールによってエステル化された化合物、およびポリカルボン酸の酸無水物も包含される。
また、本明細書において「テレフタル酸類」とは、アルキル基で置換されていても良いテレフタル酸を意味し、「イソフタル酸類」とは、アルキル基で置換されていても良いイソフタル酸を意味する。
ポリカルボン酸(A)として、上記のエステル化された化合物を使用する場合、「ポリカルボン酸(A)のカルボキシル基の数」は、「−COOH」と「−COOR」(Rは、アルキルアルコールをエステル化に使用した場合であれば、当該エステル化に使用したアルキルアルコールのアルキル基である。)との合算となる。
また、酸無水物基は、2つのカルボキシル基から脱水によって生成するものであるため、本発明においては、酸無水物基1個はカルボキシル基2個に相当するものとする。例えば、無水トリメリット酸は、カルボキシル基3個を有する化合物とみなす。
本発明のポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂を構成する単量体単位であるポリカルボン酸(A)とポリオール(B)との反応生成物であり、ポリカルボン酸(A)およびポリオール(B)を反応させて合成する。前記ポリカルボン酸(A)の合計100モル%中、テレフタル酸類が15〜50モル%、イソフタル酸類が50〜85モル%含み、かつ、前記ポリオール(B)の合計100モル%中、炭素数4〜6であり、1級の水酸基を両末端にそれぞれ有し、側鎖を有しない直鎖状ジオール(a)〔以下、単に「直鎖状ジオール(a)」とも表記する。〕が5〜30モル%、主鎖の両末端に水酸基を有し、側鎖として炭素数1〜4のアルキル基が、主鎖の同一炭素原子上に2個結合した分岐型ジオール(b)〔以下、単に「分岐型ジオール(b)」とも表記する。〕が50〜90モル%、および炭素数2〜3のジオール(c)〔以下、単に「ジオール(c)」とも表記する。〕が3〜25モル%含むことが重要である。
ポリカルボン酸(A)およびポリオール(B)の割合が上記の範囲内にあれば、BPA由来の構成成分を全く含有せず、缶被覆用樹脂組成物として使用したときに耐内容物性、耐レトルト性および加工性に優れた塗膜を形成することができるポリエステル樹脂を得ることができる。
また、本発明のポリエステル樹脂の好ましい態様は、ポリカルボン酸(A)の合計100モル%中、テレフタル酸類が15〜40モル%、イソフタル酸類が50〜80モル%含み、ポリオール(B)の合計100モル%中、炭素数4〜6であり、1級の水酸基を両末端にそれぞれ有し、側鎖を有しない直鎖状ジオール(a)が10〜25モル%、主鎖の両末端に水酸基を有し、側鎖として炭素数1〜4のアルキル基が、主鎖の同一炭素原子上に2個結合した分岐型ジオール(b)が60〜85モル%、および炭素数2〜3のジオール(c)が5〜15モル%含む。
ポリカルボン酸(A)は、テレフタル酸類、イソフタル酸類以外に、以下の化合物が挙げられる。
芳香族二塩基酸としては、例えば、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、およびビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族二塩基酸としては、例えばセバシン酸、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、およびダイマー酸等が挙げられる。
脂環式二塩基酸としては、例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、および1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
また、その他、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのα、β−不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。
なお、これらの化合物のアルキルエステルおよび酸無水物も、ポリカルボン酸(A)として使用することができる。
ポリエステル樹脂中に分岐構造を導入するために、二塩基酸に加えて、3官能以上の酸を使用してもよい。その例としては、例えば、(無水)トリメリット酸〔トリメリット酸と無水トリメリット酸とをあわせて「(無水)トリメリット酸」と表記する。以下同様。〕、(無水)ピロメリット酸、およびエチレングリコールビストリメリテート二無水物等が挙げられる。さらに、必要に応じて、1官能の酸を使用してもよい。
ポリオール(B)は、ポリオール(B)の合計100モル%のうち少なくとも、炭素数4〜6であり、1級の水酸基を両末端にそれぞれ有し、側鎖を有しない直鎖状ジオール(a)を5〜30モル%含むことが重要であり、10〜25モル%含むことが好ましい。このポリオールにより加工性、塗膜の密着性が向上する。直鎖状ジオール(a)としては、直鎖アルキレン基に2つの水酸基が結合したアルカンジオールが好ましく、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリオール(B)は、ポリオール(B)の合計100モル%のうち少なくとも、主鎖の両末端に水酸基を有し、側鎖として炭素数1〜4のアルキル基が、主鎖の同一炭素原子上に2個結合した分岐型ジオール(b)を50〜90モル%含むことが重要であり、60〜85モル%含むことが好ましい。
このポリオールにより耐内容物性、耐レトルト性およびポリエステル樹脂の溶剤への溶解性が向上する。分岐型ジオール(b)としては、同一炭素原子上に炭素数1〜4のアルキル基を有する分岐アルキレン基に2つの水酸基が結合したアルカンジオールが好ましく、例えば、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールおよび1,1,4,4−テトラメチル−1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
ポリオール(B)は、ポリオール(B)の合計100モル%のうち少なくとも、炭素数2〜3のジオール(c)を3〜25モル%含むことが重要であり、5〜15モル%含むことが好ましい。このポリオールにより、ポリエステル樹脂の生産安定性、溶剤への溶解性が向上する。ジオール(c)としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
本発明においては、分岐型ジオール(b)として、2種類以上のジオールを使用することが好ましい。2種類以上のジオールを使用することにより、缶被覆用樹脂組成物として要求される種々の特性を満たすポリエステル樹脂を得ることが容易となる。
また、分岐型ジオール(b)は、炭素数が異なる2つの側鎖を有する分岐型ジオール(b−1)を含むことが好ましい。分岐型ジオール(b−1)を含むことにより、耐内容物性およびポリエステル樹脂の溶剤への溶解性が向上するという利点がある。
分岐型ジオール(b−1)としては、具体的には、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。
さらに、分岐型ジオール(b)が、炭素数が同一である2つの側鎖を有する分岐型ジオール(b−2)を含むことが好ましい。分岐型ジオール(b−2)を含むことにより、耐内容物性および加工性が向上するという利点がある。
分岐型ジオール(b−2)としては、具体的には、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールおよび1,1,4,4−テトラメチル−1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂を構成する単量体であるポリオールの構造に特徴を有するものであり、とりわけ、主鎖の両末端に水酸基を有し、側鎖として炭素数1〜4のアルキル基が、主鎖の同一炭素原子上に2個結合した分岐型ジオール(b)が、ポリエステル樹脂中に50〜90モル%含まれることに特徴を有する。これにより、当該ポリエステル樹脂を缶被覆用樹脂組成物に使用した場合に、耐酸性および耐硫化黒変性に優れる塗膜を形成することができる。その機構は明確ではないが、ポリエステル樹脂の原料であるポリオール成分において、その主鎖の同一炭素原子上に複数の側鎖が存在することにより、ポリカルボン酸成分と共重合して形成される分子鎖が立体障害の大きい構造となり、形成される硬化塗膜の透過性を特に低下させる効果を発現しているものと推察される。
しかしながら、ポリオール成分として、単に分岐型ジオール(b)のみを使用したのでは、缶被覆用樹脂組成物として要求される特性をすべて満足できるポリエステル樹脂を得ることは困難である。本発明者らは、鋭意検討の結果、分岐型ジオール(b)と併せて、さらに特定の構造を有するジオール、すなわち直鎖状ジオール(a)およびジオール(c)を併用し、さらにポリカルボン酸として特定構造の二塩基酸類を用いた樹脂とすることにより、缶被覆用樹脂組成物に好適に使用できるポリエステル樹脂が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
ポリオール(B)は、直鎖状ジオール(a)、分岐型ジオール(b)およびジオール(c)以外に、以下の化合物を使用できる。
炭素数2〜10の脂肪族ジオールとしては、例えば、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール等が挙げられる。
炭素数6〜12の脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
また、エーテル結合を含有するジオールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリエステル樹脂中に分岐構造を導入するために、ジオールに加えて、3官能以上のアルコール(水酸基を3つ以上有するポリオール)を使用してもよい。具体的には、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリメチロールエタン、マンニトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコシド等が挙げられる。さらに、必要に応じて、1官能のアルコール(モノオール、モノアルコール)を使用してもよい。
本発明におけるポリエステル樹脂は、ポリカルボン酸(A)、ポリオール(B)を、高温下、縮合反応等またはエステル交換反応させることにより得ることができる。ポリカルボン酸(A)として酸無水物を用いる場合、一部、付加反応も生じる。反応の終点は、通常、酸価によって判定する。
ポリカルボン酸(A)とポリオール(B)の配合比は、ポリカルボン酸(A)がエステル化物を含まない場合は、ポリオール(B)中の水酸基の数(NB)とポリカルボン酸(A)中のカルボキシル基の数(NA)との比(NB/NA)が、1.10〜1.40であることが好ましく、1.15〜1.35であることがより好ましい。
また、ポリカルボン酸(A)がエステル化物を含む場合は、NB/NA=1.10〜2.40であることが好ましく、1.20〜2.10であることがより好ましい。
BとNAとの比が上記範囲内であれば、缶被覆用樹脂組成物に使用したときに耐レトルト性および加工性がより優れるポリエステル樹脂を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂の数平均分子量は、5,000〜30,000であることが好ましく、8,000〜25,000がより好ましい。数平均分子量がこの範囲内であれば、溶剤への溶解性をより向上することができ、かつ、加工性及び耐レトルト性がより優れた塗膜を形成することができる。なお、本明細書における数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)による標準ポリスチレン換算の値である。
本発明のポリエステル樹脂のガラス転移温度は、−20〜70℃であることが好ましく、−10〜60℃がより好ましい。ガラス転移温度がこの範囲内であれば、缶被覆用樹脂組成物に使用したときに耐内容物性、耐レトルト性および加工性がより優れたポリエステル樹脂を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、金属およびプラスチックスに対する密着性や、硬化剤との反応性を向上させるために、重合反応の終了後あるいは途中において、ポリカルボン酸無水物を付加させる方法等により酸価を付与してもよい。酸価の付与に用いられるポリカルボン酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、エチレングリコールビストリメリテート二無水物等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂の酸価は、30mgKOH/g以下であることが好ましく、20mgKOH/g以下がより好ましい。なお酸価の下限値は、0mgKOH/gである。酸価が、この範囲内であれば、耐レトルト性がより向上する。
本発明の缶被覆用樹脂組成物は、本発明のポリエステル樹脂とフェノール樹脂を含む。前記フェノール樹脂は、塗膜を焼付硬化する時にポリエステル樹脂を架橋させるための硬化剤として作用する。尚、フェノール樹脂は、フェノールモノマーと、ホルムアルデヒド等のアルデヒドとの付加縮合反応により合成した樹脂である。
フェノールモノマーは、例えば、フェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ノニルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールS、カテコール、およびハイドロキノン等が挙げられる。これらの中でも硬化性および反応性が優れるフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等が好ましく、m−クレゾールがより好ましい。フェノールモノマーは、単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
フェノールモノマーは、フェノール性の水酸基に対して、オルト位とパラ位とが反応部位となる。従って、o−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ノニルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール等は、1分子中に反応部位が2箇所あるため、当量数が2のフェノールモノマーであり、官能基が2となる。又、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール等は1分子中に反応部位が3箇所あるため、当量数が3のフェノールモノマーであり官能基が3となる。又、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールS等のビスフェノールや、カテコール、ハイドロキノン等は1分子中に反応部位が4箇所あるため、当量数が4のフェノールモノマーであり、官能基が4となる。当量数が4未満のフェノールモノマーを用いると、分子量が適切なフェノール樹脂を得やすい。そのため、このようなフェノール樹脂を使用した場合、溶剤に対する溶解性が向上し、塗膜表面にフェノール樹脂由来のブツが生じ難い。
本発明においてフェノール樹脂は、m−クレゾールとアルデヒドを反応させた樹脂が好ましい。このフェノール樹脂は、ポリエステル樹脂との反応性が高く、硬化性が優れているため耐レトルト性が優れる塗膜が得られる。また、好ましく使用できる市販品としては、例えば、住友ベークライト社製スミライトレジンPR−55317(メタクレゾール系フェノール樹脂、不揮発分濃度50重量%)、昭和電工社製ショウノールCKS−3898(メタクレゾール系フェノール樹脂、不揮発分濃度50重量%)等が挙げられる。なお、メタクレゾール系とは、フェノール樹脂の原料にm−クレゾールを使用していることを示す。
ポリエステル樹脂とフェノール樹脂との重量比は、ポリエステル樹脂/フェノール樹脂=95/5〜60/40であることが好ましく、90/10〜70/30がより好ましい。両者の重量比がこの範囲内にあれば、加工性、耐レトルト性等がより向上する。
本発明の缶被覆用樹脂組成物においては、フェノール樹脂とともに、例えば、アミノ樹脂等の他の硬化剤を併用してもよい。
本発明の缶被覆用樹脂組成物は、必要に応じて、製缶工程における塗膜の傷付きを防止する目的で、ワックス等の滑剤、硬化触媒およびレベリング剤等の添加剤、ならびに有機溶剤を配合できる。ワックスは、カルナバワックス、ラノリンワックス、パーム油、キャンデリラワックス、ライスワックス等の動植物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス;ポリオレフィンワックス、テフロン(登録商標)ワックス等の合成ワックス等が挙げられる。
硬化触媒は、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸、およびリン酸化合物ならびにこれらの中和物等が挙げられる。
本発明の缶被覆用樹脂組成物は、缶の内面および外面を問わずに使用できるが、その硬化塗膜の特徴を活かして、缶の内面塗料として使用することが好ましく、特に食用缶の内面塗料として使用することが好ましい。本発明の食用缶は、その内面の少なくとも一部に、本発明の缶被覆用樹脂組成物から形成される硬化塗膜が設けられている。 適用される部位としては、缶胴部、缶蓋部および缶底部が挙げられる。
あらかじめ円筒状に成型された缶胴部材に、本発明の缶被覆用樹脂組成物からなる塗料を塗工し、硬化することができる。 また、金属板に、上記塗料を塗工・硬化したのち、打ち抜き工程を経て、缶胴部、缶蓋部材、缶底部材を得ることもできる。 なお、本発明の食用缶の態様としては、缶胴部、缶蓋部および缶底部からなる、いわゆる3ピース缶でもよく、缶胴部と缶底部との一体成型物に缶蓋が取り付けられた、いわゆる2ピース缶であってもよい。
塗料として使用するにあたり、塗装方法は、エアースプレー、エアレススプレー、および静電スプレー等のスプレー塗装、ロールコーター塗装、浸漬塗装、ならびに電着塗装等の公知の方法を使用できる。金属に塗装する場合、100〜300℃の温度で、10秒〜20分間焼き付けることが好ましく、10秒〜15分間がより好ましい。
本発明の食用缶は、肉、畜肉、野菜、果実、油、およびソース等の食料品ないしは調味料等の収納に好適である。
本発明の缶被覆用樹脂組成物から形成される硬化塗膜は、一層のみでも十分に実用的な物性を得ることができるが、二層構成とすることにより、さらに優れた塗膜物性、特に耐内容物性を得ることができる。二層構成とする場合、それぞれの塗膜層の形成に使用するポリエステル樹脂の組成が異なるようにすることが好ましい。例えば、上層(表面層)の形成に使用するポリエステル樹脂のガラス転移温度が、下層(底面層)の形成に使用するポリエステル樹脂のガラス転移温度よりも高い場合の方が、良好な結果が得られやすい。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を表すものとする。また、「Mn」は、数平均分子量を、「Mw」は、重量平均分子量をそれぞれ表す。
(数平均分子量および重量平均分子量の測定条件)
東ソー(株)製 高速GPC装置8020シリーズ(テトラヒドロフラン溶媒、カラム温度40℃、ポリスチレン標準)を用いて測定した。カラムとして東ソー(株)製G1000HXL、G2000HXL、G3000HXL、G4000HXLの4本を直列に連結し、流量1.0ml/min、40℃にて測定して得られた測定値である。
(ガラス転移温度の測定条件)
示差走査熱量計(DSC)(「DSC6220」 SII社製)を用いて10℃/分の昇温速度で測定した。
(酸価の測定条件)
ポリエステル樹脂0.2gを20mlのTHF(テトラヒドロフラン)に溶解し、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定し、ポリエステル樹脂の酸価(mgKOH/g)を求めた。
ポリエステル樹脂の製造
[製造例A(エステル交換法)]
ポリカルボン酸(A)としてジメチルテレフタル酸181.5部、直鎖状ジオール(a)として1,4−ブタンジオール70.2部、分岐型ジオール(b−1)として2−エチル−2−メチル−1,4−ブタンジオール205.8部、分岐型ジオール(b−2)として2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール152.3部、ジオール(c)としてプロピレングリコール23.7部、その他のポリオールとしてトリメチロールプロパン4.2部、酢酸亜鉛0.1部、チタンブトキサイド0.1部を仕込み、220℃まで徐々に昇温しエステル交換反応を行った。理論量のメタノールを留出させた後、ポリカルボン酸(A)としてイソフタル酸362.4部を添加し、3時間かけて250℃まで徐々に昇温しエステル化反応を行った。次に、30分かけて圧力を5mmHg以下まで下げ、その状態で3時間重合反応を行い、本発明のポリエステル樹脂を得た。得られた樹脂は、Flexisolv DBE esters(インビスタ社製)/キシレン=1/1(重量比)の混合溶剤で希釈して不揮発分濃度40%の樹脂ワニスとした。尚、表1に、製造に使用した上記各単量体(原料)の割合をモル比として表記する。
[製造例B(直接重合法)]
テレフタル酸130.3部、イソフタル酸375.2部、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸16.2部、1,6−ヘキサンジオール81.5部、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール 201.3部、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール156.7部、プロピレングリコール28.6部、トリメチロールプロパン4.2部、チタンブトキサイド0.01部を重合反応器に仕込み、窒素雰囲気下で250℃まで徐々に昇温し、4時間かけてエステル化反応を行った。次に、30分かけて圧力を5mmHg以下まで下げ、その状態で3時間重合反応を行った。この後、樹脂を窒素気流下で200℃まで冷却し、これに無水トリメリット酸6.0部を添加し、2時間反応し、本発明のポリエステル樹脂を得た。得られた樹脂は、Flexisolv DBE esters(インビスタ社製)/キシレン=1/1(重量比)の混合溶剤で希釈して不揮発分濃度40%の樹脂ワニスとした。
[製造例C(直接重合法)]
テレフタル酸160.6部、イソフタル酸376.5部、アジピン酸14.6部、1,4−ブタンジオール60.0部、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール216.4部、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール140.9部、エチレングリコール31.0部、チタンブトキサイド0.01部を重合反応器に仕込み、窒素雰囲気下で250℃まで徐々に昇温し、4時間かけてエステル化反応を行った。次に、30分かけて圧力を5mmHg以下まで下げ、その状態で3時間重合反応を行い、本発明のポリエステル樹脂を得た。得られた樹脂は、Flexisolv DBE esters(インビスタ社製)/キシレン=1/1(重量比)の混合溶剤で希釈して不揮発分濃度40%の樹脂ワニスとした。
[製造例D、E、F]
表1に示す原料に変更した以外は、製造例Cと同様な方法で、それぞれ製造例D、E、Fのポリエステル樹脂を合成し、それぞれ不揮発分濃度40%の樹脂ワニスを得た。
[製造例G]
表1に示す原料に変更した以外は、製造例Bと同様な方法で、製造例Gのポリエステル樹脂を合成し、それぞれ不揮発分濃度40%の樹脂ワニスを得た。
[比較製造例H、I、K、M、N]
表2に示す原料に変更した以外は、製造例Cと同様な方法で、それぞれ比較製造例H、I、K、M、Nのポリエステル樹脂を合成し、それぞれ不揮発分濃度40%の樹脂ワニスを得た。
[比較製造例J、L]
表2に示す原料に変更した以外は、製造例Bと同様な方法で、それぞれ比較製造例J、Lのポリエステル樹脂を合成し、それぞれ不揮発分濃度40%の樹脂ワニスを得た。
上記ポリエステル樹脂の製造に使用した各単量体(原料)の割合を、表1にモル比として表記する。
[実施例1]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニス600部、フェノール樹脂として住友ベークライト社製メタクレゾール系フェノール樹脂スミライトレジンPR−55317(不揮発分濃度50%のn−ブタノール溶液)120部、溶剤として、Flexisolv DBE esters(インビスタ社製)150部、キシレン79.8部、n−ブタノール50部を混合し、硬化触媒としてドデシルベンゼンスルホン酸0.2部添加し、不揮発分濃度30.0%の缶被覆用樹脂組成物である塗料を得た。
[実施例2]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを、製造例Bで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[実施例3]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを製造例Cで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[実施例4]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを製造例Dで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[実施例5]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを製造例Eで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[実施例6]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを製造例Fで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[実施例7]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを製造例Gで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[実施例8]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニス600部を製造例Bで得られたポリエステル樹脂ワニス472.5部に、住友ベークライト社製メタクレゾール系フェノール樹脂スミライトレジンPR−55317(不揮発分濃度50%のn−ブタノール溶液)120部を222部に、キシレン79.8部を105.3部に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[実施例9]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニス600部を製造例Bで得られたポリエステル樹脂ワニス690部に、住友ベークライト社製メタクレゾール系フェノール樹脂スミライトレジンPR−55317(不揮発分濃度50%のn−ブタノール溶液)120部を48部に、キシレン79.8部を61.8部に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[比較例10]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを比較製造例Hで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[比較例11]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを比較製造例Iで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[比較例12]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを比較製造例Jで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[比較例13]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを比較製造例Kで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[比較例14]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを比較製造例Lで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[比較例15]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを比較製造例Mで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[比較例16]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニスを比較製造例Nで得られたポリエステル樹脂ワニス600部に変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[比較例17]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニス600部を比較製造例Mで得られたポリエステル樹脂ワニス375部に、住友ベークライト社製メタクレゾール系フェノール樹脂スミライトレジンPR−55317(不揮発分濃度50%のn−ブタノール溶液)120部を300部に、キシレン79.8部を124.8部に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[比較例18]
製造例Aで得られたポリエステル樹脂ワニス600部を比較製造例Mで得られたポリエステル樹脂ワニス727.5部に、住友ベークライト社製メタクレゾール系フェノール樹脂スミライトレジンPR−55317(不揮発分濃度50%のn−ブタノール溶液)120部を18部に、キシレン79.8部を54.3部に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様に行い塗料を得た。
[塗装板の作製]
実施例1〜9、および比較例1〜18で得られた塗料を、ブリキ板(0.23mm厚、♯2.8/2.8)上に、乾燥塗膜量が50mg/100cm2となるように塗布した。この後、200℃で10分間焼き付け、評価用塗装板を作製した。以下のような方法で塗膜の性能を評価した。
<加工性>
塗装板を幅30mm×縦50mmに切断した。次いで図1の(a)のようにテストパネル1の塗膜を外側にして、縦長さ30mmの位置に直径3mmの丸棒2を添える。そして、図1の(b)のように丸棒2に沿って塗装板を2つ折りにして幅30mm×縦約30mmの試験片3を作製した。この2つ折りにした試験片3の間に厚さ0.23mmのブリキ板を2枚はさみ、図1の(c)のように幅150mm×高さ50mm×奥行き50mmの直方体状の1kgのおもり4を高さ400mmから試験片3の折り曲げ部に落下させて完全に折り曲げた。
次いで、試験片3の折り曲げ部を濃度1%の食塩水中に浸漬させ、試験片3の食塩水中に浸漬されていない平面部の金属部分と、食塩水との間を6.0V×6秒通電した時の電流値を測定した。塗膜の加工性が乏しい場合、折り曲げ加工部の塗膜がひび割れて、下地の金属板が露出して導電性が高まるため、電流値が高くなる。評価基準を以下に示す。
◎:20mA未満(良好)
○:20mA以上30mA未満(使用可)
△:30mA以上40mA未満(使用不可)
×:40mA以上(不良)
<耐レトルト性>
塗装板を水に浸漬したまま、レトルト釜で125℃−30分間レトルト処理を行い、塗膜の外観について目視で下記評価基準にて評価した。
◎:未処理の塗膜と変化なし(良好)
○:ごく薄く白化(使用可)
△:やや白化(使用不可)
×:著しく白化(不良)
<耐酸性>
ブリキ板の両面を前記の塗装条件で塗装、焼付けして、表面に金属露出部が一切なくなった塗装板に、デュポン衝撃(1/2インチ、300g、20cm)を加えて加工した。この後、クエン酸を2重量%含むpH2程度の水溶液に浸漬して、120℃−30分レトルト処理をし、37℃で1週間保存後の下地金属の錆の程度を目視で確認した。評価基準を以下に示す。
◎:錆が認められない(良好)
○:加工部にわずかな錆が認められる(使用可)
△:加工部にはっきりした錆が認められる(使用不可)
×:塗膜全面に錆が認められる(不良)
<耐硫化黒変性>
ブリキ板の両面を前記の塗装条件で塗装、焼付けして、表面に金属露出部が一切なくなった塗装板に、デュポン衝撃(1/2インチ、300g、20cm)を加えて加工した。この後、市販の鯖水煮を細かく粉砕した中に浸漬して、120℃−30分レトルト処理をし、37℃で1週間保存後の下地金属の黒く変色する程度を目視で確認した。評価基準を以下に示す。
◎:黒変が認められない(良好)
○:加工部にわずかな黒変が認められる(使用可)
△:加工部にはっきりした黒変が認められる(使用不可)
×:塗膜全面に黒変が認められる(不良)
Figure 2017061620
Figure 2017061620
Figure 2017061620
1 テストパネル
2 丸棒
3 試験片
4 おもり

Claims (7)

  1. ポリカルボン酸(A)とポリオール(B)との反応生成物であるポリエステル樹脂であって、前記ポリカルボン酸(A)の合計100モル%中、テレフタル酸類を15〜50モル%、イソフタル酸類を50〜85モル%含み、前記ポリオール(B)の合計100モル%中、炭素数4〜6であり、1級の水酸基を両末端にそれぞれ有し、側鎖を有しない直鎖状ジオール(a)を5〜30モル%、主鎖の両末端に水酸基を有し、側鎖として炭素数1〜4のアルキル基が、主鎖の同一炭素原子上に2個結合した分岐型ジオール(b)を50〜90モル%、および炭素数2〜3のジオール(c)を3〜25モル%含むポリエステル樹脂。
  2. 分岐型ジオール(b)が、2種類以上のジオールを含む請求項1記載のポリエステル樹脂。
  3. 分岐型ジオール(b)が、炭素数が異なる2つの側鎖を有する分岐型ジオール(b−1)を含む、請求項1または2記載のポリエステル樹脂。
  4. 分岐型ジオール(b)が、炭素数が同一である2つの側鎖を有する分岐型ジオール(b−2)を含む、請求項1〜3いずれか記載のポリエステル樹脂。
  5. ポリカルボン酸(A)とポリオール(B)とを反応させるポリエステル樹脂の製造方法であって、前記ポリカルボン酸(A)の合計100モル%中、テレフタル酸類を15〜50モル%、イソフタル酸類を50〜85モル%含み、前記ポリオール(B)の合計100モル%中、炭素数4〜6であり、1級の水酸基を両末端にそれぞれ有し、側鎖を有しない直鎖状ジオール(a)を5〜30モル%、主鎖の両末端に水酸基を有し、側鎖として炭素数1〜4のアルキル基が、主鎖の同一炭素原子上に2個結合した分岐型ジオール(b)を50〜90モル%、および炭素数2〜3のジオール(c)を3〜25モル%含むポリエステル樹脂の製造方法。
  6. 請求項1〜4いずれか記載のポリエステル樹脂とフェノール樹脂とを含んでなる缶被覆用樹脂組成物。
  7. 請求項6記載の缶被覆用樹脂組成物から形成される硬化塗膜が、内面に設けられた食用缶。
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