JP2017060927A - 樹脂シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂層を形成する際に、樹脂層の耳高及びハジキの発生を抑制し、膜厚および塗工幅の制御が良好な樹脂シートの製造方法を提供する。【解決手段】(A)樹脂組成物及び溶剤を含む樹脂ワニスを支持体上に塗布する工程と、(B)樹脂ワニスを乾燥して樹脂層を形成する工程とを含み、工程(A)において、支持体に対する樹脂ワニスの液滴法での接触角が0.1°〜20°であり、かつ、工程(B)において、樹脂層の厚みが5μm以下である、樹脂シートの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂シートの製造方法に関する。
プリント配線板の製造技術としては、回路形成された導体層と絶縁層とを交互に積み上げていくビルドアップ方式が広く用いられている。ビルドアップ方式において、絶縁層は、一般に、樹脂層を含む樹脂シートを内層基板にラミネートし、樹脂層を硬化させることにより形成される。
一方、近年の電子機器の小型化、薄型化により、樹脂層の薄膜化が進んでいる。たとえば、特許文献1においては、支持体上に厚みが2〜18μmの第1層(樹脂層)が形成された絶縁樹脂シートが記載されている。
特開2014−17301号公報
支持体上に薄い樹脂層を形成する際には、一般に、樹脂組成物を多量の溶剤で希釈した不揮発成分の濃度の低い樹脂ワニスを使用し、塗膜の厚みを大きくすることで塗工安定性を確保する。近年、絶縁層の表面平滑性や硬化時の異物付着リスクの低減という観点から、支持体を付けたまま樹脂層を熱硬化する場合があり、このような場合に離型層付き支持体や密着力の低い材質を使用した支持体が使用されることが多い。このような状況において、支持体の表面に樹脂ワニスを塗工する際、支持体表面と樹脂ワニスとの極性の違いや、溶剤の揮発による極性変化により、樹脂層の厚みが中央よりも端部寄りの領域において大きくなる「耳高」やハジキが発生することがあった。
このような問題を解決するには、レベリング剤などの塗工性改善剤を用いることが考えられるが、メッキ特性の変化や保存時のブリードアウトなどのリスクがあった。また、支持体表面と塗液との極性の違いが小さい場合(濡れ性が高い場合)においては、設定塗工幅よりも濡れ広がり、塗工幅や膜厚の制御が困難となることもあった。
本発明は、樹脂層を形成する際に、樹脂層の耳高及びハジキの発生を抑制し、膜厚および塗工幅の制御が良好な樹脂シートの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題につき鋭意検討した結果、支持体に対する樹脂ワニスの液滴法での接触角が0.1°〜20°となるように樹脂ワニスを支持体上に塗布する工程を含むことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)樹脂組成物及び溶剤を含む樹脂ワニスを支持体上に塗布する工程と、(B)樹脂ワニスを乾燥して樹脂層を形成する工程と、を含み、工程(A)において、支持体に対する樹脂ワニスの液滴法での接触角が0.1°〜20°であり、かつ、工程(B)において、樹脂層の厚みが5μm以下である、樹脂シートの製造方法。
[2] 樹脂ワニス中の不揮発成分の含有量が40質量%以下である[1]に記載の樹脂シートの製造方法。
[3] 支持体が離型層を備える、[1]または[2]に記載の樹脂シートの製造方法。
[4] 溶剤が極性溶剤を含む[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
[5] 溶剤が、比誘電率12以上の極性溶剤と比誘電率9以下の非極性溶剤とを含む[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
[6] 工程(A)において、グラビアコーティング法により樹脂ワニスを塗布する[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
[7] 樹脂シートがプリント配線板の絶縁層用である、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
本発明によれば、樹脂層を形成する際に、樹脂層の耳高及びハジキの発生を抑制し、膜厚および塗工幅の制御が良好な樹脂シートの製造方法を提供することができる。
[樹脂シートの製造方法]
以下、本発明の樹脂シートの製造方法について説明する。
本発明の樹脂シートの製造方法は、(A)樹脂組成物及び溶剤を含む樹脂ワニスを支持体上に塗布する工程と、(B)樹脂ワニスを乾燥して樹脂層を形成する工程と、を含み、工程(A)において、支持体に対する樹脂ワニスの液滴法での接触角が0.1°〜20°であり、かつ、工程(B)において、樹脂層の厚みが5μm以下であることを特徴とする。
<工程(A)>
工程(A)において、樹脂組成物及び溶剤を含む樹脂ワニスを支持体上に塗布する。樹脂ワニスは、樹脂組成物を溶剤に溶解または分散させることにより調製される。以下、樹脂ワニスに含まれる樹脂組成物及び溶剤について説明する。
(樹脂組成物)
樹脂組成物としては、例えば、硬化性樹脂とその硬化剤を含む組成物が挙げられる。硬化性樹脂としては、プリント配線板の絶縁層を形成する際に使用される従来公知の硬化性樹脂を用いることができ、中でもエポキシ樹脂が好ましい。したがって一実施形態において、樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む。樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、無機充填材、熱可塑性樹脂、硬化促進剤、難燃剤及びゴム粒子等の添加剤を含んでいてもよい。
−エポキシ樹脂−
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フッ素系エポキシ樹脂(例えばビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂及びこれらのエポキシ樹脂の混合物からなる群から選択される一種または二種以上のエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」という。)と、を含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物の硬化物の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス(株)製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、(株)ダイセル製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「HP−7200HH」、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「EXA7311−G4」、「EXA7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル(株)製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学(株)製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂が、固形エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂を含んでいる場合、液状エポキシ樹脂の質量Mに対する固形エポキシ樹脂の質量Mの比(M/M)は、1〜10の範囲が好ましい。M/Mを、斯かる範囲とすることにより、i)樹脂シートの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)樹脂シートの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる等の効果が得られる。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜5000、より好ましくは50〜3000、さらに好ましくは80〜2000、さらにより好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
−硬化剤−
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されないが、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤及びカルボジイミド系硬化剤が挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層(回路配線)との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤又は含窒素ナフトール系硬化剤が好ましく、トリアジン構造含有フェノール系硬化剤又はトリアジン構造含有ナフトール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び導体層との密着性(剥離強度)を高度に満足させる観点から、トリアジン構造含有フェノールノボラック系硬化剤を用いることが好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金化学(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「LA7052」、「LA7054」、「LA3018」等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
具体的には、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート))、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル(株)製の「V−03」、「V−07」等が挙げられる。
本発明において、硬化剤は、フェノール系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤及び活性エステル系硬化剤から選択される1種以上を含んでいるのが好ましく、トリアジン構造含有フェノール系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤及び活性エステル系硬化剤から選択される1種以上を含んでいることがより好ましい。
樹脂組成物中の硬化剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。硬化剤の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.2〜1:2の範囲が好ましく、1:0.3〜1:1.5がより好ましく、1:0.4〜1:1がさらに好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化物の耐熱性がより向上する。
樹脂組成物は上記エポキシ樹脂、硬化剤以外に、無機充填材、熱可塑性樹脂、硬化促進剤、難燃剤及びゴム粒子等の添加剤を含んでいてもよい。
−無機充填材−
無機充填材の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。またシリカとしては球状シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。無機充填材の市販品としては、例えば(株)アドマテックス製「SO−C2」、「SO−C1」、「SO−C4」等が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は特に限定されないが、表面粗さの小さい絶縁層を得る観点や微細配線形成性向上の観点から、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましく、1μm以下、0.7μm以下、0.5μm以下、又は0.3μm以下がさらにより好ましい。一方、樹脂組成物を使用して樹脂ワニスを形成する際に適度な粘度を有し取り扱い性の良好な樹脂ワニスを得る観点、樹脂シートの溶融粘度の上昇を防止する観点から、無機充填材の平均粒径は、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上、0.07μm以上、又は0.1μm以上がさらに好ましい。
無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA−500」等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等の1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業(株)製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM−4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、(株)堀場製作所製「EMIA−320V」等を使用することができる。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、その上に微細な配線を形成し得る絶縁層を得る観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下である。樹脂組成物中の無機充填材の含有量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよいが、通常、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上などとし得る。
−熱可塑性樹脂−
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は5,000〜100,000の範囲が好ましく、10,000〜60,000の範囲がより好ましく、20,000〜60,000の範囲がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、新日鉄住金化学(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL6954BH30」、「YX7553」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、例えば、電気化学工業(株)製の「電化ブチラール4000−2」、「電化ブチラール5000−A」、「電化ブチラール6000−C」、「電化ブチラール6000−EP」、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
中でも、他の成分との組み合わせにおいて、表面粗度がさらに低く導体層との密着性により優れる絶縁層を得る観点から、熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。したがって好適な一実施形態において、熱可塑性樹脂成分は、フェノキシ樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される1種以上を含む。
樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂シートの溶融粘度を適度に調整する観点から、好ましくは0質量%〜20質量%、より好ましくは0.5質量%〜10質量%、さらに好ましくは1質量%〜8質量%である。
−硬化促進剤−
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱化学(株)製の「P200−H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は特に限定されないが、0.05質量%〜3質量%の範囲で使用することが好ましい。
−難燃剤−
樹脂組成物は、難燃剤を含んでもよい。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三光(株)製の「HCA−HQ」等が挙げられる。
樹脂組成物中の難燃剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは0.5質量%〜20質量%、より好ましくは1質量%〜15質量%、さらに好ましくは1.5質量%〜10質量%がさらに好ましい。
−有機充填材−
樹脂組成物は、さらに有機充填材を含んでもよい。有機充填材としては、プリント配線板の絶縁層を形成するに際し使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子等が挙げられ、ゴム粒子が好ましい。
ゴム粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、アイカ工業(株)製の「AC3816N」等が挙げられる。
樹脂組成物中の有機充填材の含有量は、好ましくは1質量%〜20質量%、より好ましくは2質量%〜10質量%である。
樹脂組成物は、さらに必要に応じて、難燃剤、及び有機充填材以外の他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
(溶剤)
樹脂ワニスに含まれる溶剤としては、支持体に対し所期の接触角を示す樹脂ワニスが得られる限り特に限定されず、公知の溶剤を使用してよい。溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよく、ソルベントナフサのような二種以上の溶剤が含まれるものを用いてもよい。
ハジキ及び耳高を抑制する観点から、溶剤は極性溶剤を含むことが好ましい。本発明において、極性溶剤の比誘電率(20〜25℃)は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、14以上、16以上、18以上又は20以上である。好ましくは50以下である。このような極性溶剤としては、例えば、エタノール(25.3)、メチルエチルケトン(18.6)、シクロヘキサノン(16.1)、DMAc(38.85)等が挙げられる(括弧内の値は比誘電率を示す)。
広範な種類の支持体に対しハジキ及び耳高を抑制する観点から、溶剤は、極性溶剤と非極性溶剤とを含むことが好ましい。極性溶剤については先述のとおりである。本発明において、非極性溶剤の比誘電率(20〜25℃)は、好ましくは10未満、より好ましくは9以下、8以下、7以下、6以下又は5以下である。好ましくは1以上又は1.5以上である。このような非極性溶剤としては、例えば、トルエン(2.38)、キシレン(メチル基の結合位置、すなわち、オルト位、メタ位、パラ位に応じて2.27〜2.56)、エチルベンゼン(2.45)、ソルベントナフサ(トルエン、キシレン、エチルベンゼンを主成分とする芳香族炭化水素の混合溶剤)が挙げられる。中でも、溶剤は、比誘電率12以上の極性溶剤と比誘電率9以下の非極性溶剤とを含むことが好ましく、比誘電率14以上の極性溶剤と比誘電率8以下の非極性溶剤とを含むことがより好ましく、比誘電率16以上の極性溶剤と比誘電率6以下の非極性溶剤とを含むことがさらに好ましく、エタノール及びメチルエチルケトンから選ばれる一種または二種以上の極性溶剤と、トルエン及びソルベントナフサから選ばれる一種または二種以上の非極性溶剤とを共に含むものがより好ましい。溶剤中の極性溶剤と非極性溶剤の質量比[極性溶剤/非極性溶剤]は、これら溶剤の比誘電率や支持体の種類にもよるが、好ましくは2/8〜8/2、より好ましくは3/7〜7/3である。
支持体に対するハジキ及び耳高を抑制する観点から、溶剤は、沸点100℃以上(好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上、115℃以上、又は120℃以上)の溶剤と、沸点100℃未満(好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下、85℃以下、又は80℃以下)の溶剤と、を含むことが好適である。沸点100℃以上の溶剤と沸点100℃未満の溶剤の質量比[(沸点100℃以上の溶剤)/(沸点100℃未満の溶剤)]は、好ましくは2/8〜8/2、より好ましくは3/7〜7/3である。
工程(A)で使用する樹脂ワニス中の不揮発成分の含有量は、塗工幅制御が容易な観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、15質量%以上又は20質量%以上である。樹脂ワニス中の不揮発成分の含有量の上限値は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
支持体に対し所期の接触角を示す限りにおいて、樹脂ワニスの粘度は特に限定されない。塗工幅制御が容易な観点から、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは2.5mPa・s以上又は3mPa・s以上である。樹脂ワニスの粘度の上限は、支持体への塗布が可能な限りにおいて特に限定されない。薄い樹脂層を形成するに際して良好な膜厚の制御をもたらすという本発明の効果をより享受し得る観点から、好ましくは15mPa・s以下、より好ましくは14mPa・s以下、13mPa・s以下、12mPa・s以下、11mPa・s以下又は10mPa・s以下である。
樹脂ワニスの粘度は、例えば、回転振動式粘度計((株)テックジャム製ビスコメイトVM−10A)を用いて、25℃の温度条件下で測定することができる。
工程(A)で使用する支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
先述のとおり、プリント配線板の製造に際して、近年は絶縁層の表面平滑性や硬化時の異物付着リスク低減のため、支持体を付けたまま樹脂層を熱硬化する場合がある。このような場合には離型層付き支持体や密着力の低い材質を使用した支持体が使用されることが多いが、斯かる支持体に薄い樹脂層を形成するにあたっては膜厚の制御が困難となる場合がある。この点、本発明においては、離型層付き支持体や密着力の低い材質を使用した支持体上に薄い樹脂層を形成する場合であっても、良好な膜厚の制御を実現することができる。
したがって、本発明の効果をより享受し得る一実施形態において、支持体は離型層を備える、すなわち、支持体は離型層付き支持体である。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック(株)製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
工程(A)において、樹脂ワニスの塗布は、厚さが均一な塗膜を形成し得る限りにおいて従来公知の任意の方法により実施してよい。例えば、ダイコーティング法、コンマコーティング法、グラビアコーティング法、バーコーティング法等の方法を用いて樹脂ワニスを支持体上に塗布することができる。これらの方法のうち、膜厚の小さい樹脂層を形成するのに適しているという観点から、グラビアコーティング法が好ましい。
工程(A)において、支持体に対する樹脂ワニスの液滴法での接触角は0.1°〜20°である。このような構成とすることにより、ハジキ及び耳高を抑制することができる。該接触角は好ましくは0.2°以上、より好ましくは0.4°以上である。また、該接触角の上限は好ましくは18°以下、より好ましくは16°以下、14°以下、12°以下、11°以下又は10°以下である。
支持体に対する樹脂ワニスの液滴法での接触角は、自動接触角計(協和界面科学(株)製DropMaster DMs−401)を用いて測定することができる。具体的には、後述する(液滴法による接触角の測定方法)に記載の方法に従って測定することができる。
<工程(B)>
工程(B)において、樹脂ワニスを乾燥して樹脂層を形成する。これにより、支持体上に樹脂層が形成される。
本発明においては、耳高やハジキの問題なしに所期の塗工幅にて厚み5μm以下の薄い樹脂層を形成することができる。樹脂層の厚みは、4μm以下、3μm以下であってもよい。樹脂層の厚みの下限は特に限定されないが、通常、1μm以上である。
樹脂ワニスの乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の乾燥方法により実施してよい。乾燥条件は、樹脂ワニスに含まれる溶剤の沸点等に応じて決定してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。
乾燥処理は、1回のみ実施してもよく、複数回実施してもよい。乾燥処理を複数回実施する場合には、それぞれの乾燥条件は同一であってもよく、相異なっていてもよい。
乾燥処理を1回のみ実施する場合、例えば、50℃〜200℃(好ましくは80℃〜200℃、より好ましくは90℃〜200℃)で1分間〜30分間(好ましくは1分間〜20分間、より好ましくは1分間〜15分間)、樹脂ワニスを乾燥させることにより、樹脂層を形成してよい。
乾燥処理を複数回実施する場合、例えば、2回目以降の乾燥処理を初回の乾燥処理よりも高温で実施してよい。例えば、50℃以上150℃未満(好ましくは70℃以上140℃以下、より好ましくは80℃以上130℃以下、又は90℃以上120℃以下)の温度にて初回の乾燥処理を行い、150℃以上200℃以下(好ましくは160℃以上200℃以下、170℃以上200℃以下、又は180℃以上200℃以下)の温度で2回目以降の乾燥処理を行ってよい。乾燥処理を複数回実施する場合、それぞれの乾燥処理の時間は、例えば、1分間〜30分間(好ましくは1分間〜20分間、より好ましくは1分間〜15分間、又は1分間〜10分間)としてよい。
樹脂シートにおいて、樹脂層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに設けることができる。したがって、一実施形態において、本発明の樹脂シートの製造方法は、工程(B)の後、さらに樹脂層と接合するように保護フィルムを設ける工程(以下、「工程(C)」ともいう)を含む。
工程(C)において、保護フィルムは、ロールやプレス圧着等で樹脂層にラミネート処理することが好ましい。ラミネート処理は、市販されている真空ラミネーターを用いて実施することができる。市販されている真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン(株)製のバキュームアップリケーター等が挙げられる。
保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
本発明の方法で製造される樹脂シートは、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂シート(プリント配線板の絶縁層用樹脂シート)として使用することができる。中でも、ビルドアップ方式によるプリント配線板の製造において、絶縁層を形成するための樹脂シート(プリント配線板のビルドアップ絶縁層用樹脂シート)として好適に使用することができ、その上にめっきプロセスにより回路が形成される絶縁層を形成するための樹脂シート(めっきプロセスにより回路を形成するプリント配線板のビルドアップ絶縁層用樹脂シート)としてさらに好適に使用することができる。
[積層シート及びその製造方法]
一実施形態において、本発明により得られる樹脂シートの樹脂層には絶縁樹脂層をはじめとする種々のフィルムを接合させて積層シートを形成することが可能である。
絶縁樹脂層としては、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して従来公知の絶縁樹脂層を使用できる。絶縁樹脂層の厚さは、絶縁層の薄型化の観点から、好ましくは70μm以下、より好ましくは60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、又は20μm以下である。絶縁樹脂層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上、10μm以上などとし得る。
機械強度に優れる薄型の絶縁層を得る観点から、絶縁樹脂層としては、プリプレグが好ましいが、シート状繊維基材を含有しない熱硬化性樹脂組成物層(以下、単に「熱硬化性樹脂組成物層」という。)を使用してもよい。熱硬化性樹脂組成物層は、硬化後に十分な硬度と絶縁性を示す限り特に限定されないが、一般に、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む。エポキシ樹脂及び硬化剤の種類や含有量は、上記(樹脂組成物)におけるエポキシ樹脂及び硬化剤についてそれぞれ説明したとおりである。
得られる絶縁層の熱膨張率を低下させて、絶縁層と導体層との熱膨張の差によるクラックや回路歪みの発生を防止する観点から、熱硬化性樹脂組成物層は、無機充填材をさらに含むことが好ましい。無機充填材としては、上記(樹脂組成物)における無機充填材を用いてよい。熱硬化性樹脂組成物層中の無機充填材の含有量は、得られる絶縁層の熱膨張率を低下させる観点から、熱硬化性樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、又は75質量%以上である。無機充填材の含有量の上限は、得られる絶縁層の機械強度の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下又は85質量%以下である。熱硬化性樹脂組成物層に含有させ得る他の成分としては、例えば、上記(樹脂組成物)において説明した、熱可塑性樹脂、硬化促進剤、及び難燃剤及びゴム粒子等の添加剤が挙げられる。
好適な一実施形態において、本発明の製造方法により得られた樹脂シートの樹脂層とプリプレグを接合することにより積層シートを作製することができる。
プリプレグは、シート状繊維基材中に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなるものである。
プリプレグに用いる熱硬化性樹脂組成物は、その硬化物が十分な硬度と絶縁性を有する限りにおいて特に限定されず、プリント配線板の絶縁層の形成に用いられる従来公知の熱硬化性樹脂組成物を用いてよい。例えば、上記の熱硬化性樹脂組成物層の形成に使用する樹脂組成物を用いてよい。あるいはまた、プリプレグに用いる熱硬化性樹脂組成物は、本発明の樹脂シートにおける樹脂層の形成に使用する樹脂組成物と同じであってよい。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。絶縁層の薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、25μm以下又は20μm以下である。シート状繊維基材の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上、10μm以上などとし得る。
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
プリプレグの厚さは、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、又は30μm以下であってもよい。プリプレグの厚さの下限は、特に限定されないが、通常、10μm以上、12μm以上などとし得る。なお、プリプレグの厚さは、熱硬化性樹脂組成物の含浸量を調整することにより、容易に変更することができる。
積層シートは、樹脂シートの樹脂層と絶縁樹脂層(好ましくはプリプレグ)とが接合するように、積層することにより作製することができる。例えば、本発明により得られる樹脂シートを、該樹脂シートの樹脂層が絶縁樹脂層と接合するように、絶縁樹脂層にラミネート処理することにより、積層シートを製造することができる。
ラミネート処理は、市販の真空ラミネーターを用いて実施することができる。市販の真空ラミネーターは、先述のとおりである。
積層シートの製造において、絶縁樹脂層は、支持体と、該支持体と接合する絶縁樹脂層とを含む接着シートの形態で使用してよい。支持体としては、上記樹脂シートについて説明した支持体と同じものを使用してよい。
他の一実施形態において、本発明により得られる樹脂シートの樹脂層には、絶縁樹脂組成物を塗布して塗布膜を乾燥させることにより絶縁樹脂層を形成し積層シートを製造することも可能である。
この方法において、絶縁樹脂層は、有機溶剤に絶縁樹脂組成物を溶解して絶縁樹脂ワニスを調製し、この絶縁樹脂ワニスを、ダイコーターやグラビアコーターなどを用いて支持体上に塗布し、絶縁樹脂ワニスを乾燥させることによって作製することができる。
絶縁樹脂組成物としては、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む組成物が好ましい。エポキシ樹脂及び硬化剤の種類や含有量は、上記(樹脂組成物)におけるエポキシ樹脂及び硬化剤についてそれぞれ説明したとおりである。有機溶剤としては、上記の樹脂ワニスに含まれる溶剤と同様のものを用いることができる。
絶縁樹脂ワニスの乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の乾燥方法により実施してよい。
積層シートは、プリント配線板の絶縁層を形成するための積層シート(プリント配線板の絶縁層用積層シート)として使用することができる。中でも、ビルドアップ方式によるプリント配線板の製造において、絶縁層を形成するための積層シート(プリント配線板のビルドアップ絶縁層用積層シート)として好適に使用することができ、その上にめっきプロセスにより回路が形成される絶縁層を形成するための積層シート(めっきプロセスにより回路を形成するプリント配線板のビルドアップ絶縁層用積層シート)としてさらに好適に使用することができる。
なお、積層シートの製造に際して絶縁樹脂層を上記接着シートの形態にて使用する場合、得られる積層シートは、絶縁樹脂層の本発明の樹脂シートと接合していない面(すなわち、本発明の樹脂シートとは反対側の面)に、接着シート由来の支持体を有する。積層板や、プリント配線板を製造する際には、斯かる接着シート由来の支持体を剥がすことによって使用可能となる。
[積層板及びその製造方法]
本発明の製造方法により得られた樹脂シートは、プリント配線板等の積層板の製造において使用することができる。一実施形態において、積層板は、本発明の製造方法により得られた樹脂シートと絶縁樹脂層とを用いて、下記工程(I−1)を含む方法により製造することができる(以下、「第1実施形態」ともいう。)。
(I−1)樹脂層同士が互いに対向するように配置された2枚の樹脂シートの間に1枚以上の絶縁樹脂層を配置し、減圧下、200℃以上で加熱及び加圧して一体成型する工程
第1実施形態において使用する樹脂シート及び絶縁樹脂層は先述のとおりである。第1実施形態において、絶縁樹脂層は、プリプレグであることが好ましい。
工程(I−1)は、例えば、真空熱プレス装置を用いて以下の手順で実施することができる。
まず真空熱プレス装置に、樹脂層同士が互いに対向するように配置された2枚の樹脂シートの間に1枚以上の絶縁樹脂層を配置するように積層した積層構造をセットする。
次いで、減圧条件下で積層構造を加熱圧着する真空熱プレス処理を行う。真空熱プレス処理は、加熱されたSUS板等の金属板によって積層構造をその両面側から押圧する従来公知の真空熱プレス装置を用いて実施することができる。市販されている真空熱プレス装置としては、例えば、(株)名機製作所製の「MNPC−V−750−5−200」、北川精機(株)製の「VH1−1603」等が挙げられる。
真空熱プレス処理の条件は特に限定されず、積層板を製造する際に使用される公知の条件を使用してよい。
工程(I−1)は、2枚以上の絶縁樹脂層を用い、絶縁樹脂層同士の間にさらに内層基板を配置して実施してもよい。2枚以上の絶縁樹脂層は、同一でも相異なっていてもよい。
本発明において、「内層基板」とは、主として、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板、又は該基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された回路基板をいう。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物の内層回路基板も本発明でいう「内層基板」に含まれる。
工程(I−1)により、樹脂シートの樹脂層と、絶縁樹脂層とを一体化して絶縁層を形成する。
他の実施形態において、積層板は、上述の積層シートを用いて、下記工程(II−1)及び(II−2)を含む方法により製造することができる(以下、「第2実施形態」ともいう。)。
(II−1)積層シートを、絶縁樹脂層が内層基板に接するように、内層基板に積層する工程
(II−2)積層シートを熱硬化して絶縁層を形成する工程
第2実施形態において使用する積層シート及び内層基板は、先述のとおりである。
工程(II−1)において、積層シートを、絶縁樹脂層が内層基板に接するように、内層基板に積層する。
工程(II−1)における積層シートと内層基板との積層は、例えば、支持体側から積層シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。積層シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を積層シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に積層シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
積層シートと内層基板の積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃の範囲であり、圧着圧力は、好ましくは1kgf/cm〜18kgf/cm(0.098MPa〜1.77MPa)、より好ましくは3kgf/cm〜15kgf/cm(0.29MPa〜1.47MPa)の範囲であり、圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
工程(II−1)において、積層シートは、内層基板の片面に積層してもよく、内層基板の両面に積層してもよい。
積層シートと内層基板の積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターは、先述のとおりである。
工程(II−2)において、積層シートを熱硬化して絶縁層を形成する。熱硬化の条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
工程(II−2)により、積層シート中の樹脂層と絶縁樹脂層の双方が熱硬化され、一体化した絶縁層が形成される。
第1実施形態及び第2実施形態の別を問わず、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)絶縁層の表面に回路を形成する工程をさらに実施してもよい。したがって一実施形態において、積層板は、絶縁層の表面に形成された回路を含む。
なお、支持体は、第1実施形態及び第2実施形態の別を問わず、絶縁層の表面に回路を形成する以前に除去すればよいが、得られる絶縁層の表面平滑性や硬化時の異物付着リスクの低減の観点から、樹脂層の熱硬化後に除去することが好ましい。詳細には、第1実施形態において、支持体は、工程(I−1)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)との間、又は工程(IV)と工程(V)との間に除去すればよい。第2実施形態において、支持体は、工程(II−2)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)との間、又は工程(IV)と工程(V)との間に除去すればよい。
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂層及び絶縁樹脂層の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30〜90℃の膨潤液に絶縁層を1分間〜20分間浸漬することにより行うことができる。酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間〜30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30〜80℃の中和液に5分間〜30分間浸漬させることにより行うことができる。
工程(V)は、絶縁層の表面に回路(導体層)を形成する工程である。
導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、通常3μm〜50μm、好ましくは5μm〜30μmである。
導体層は、めっきプロセスにより形成することができる。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
積層板は、その製造方法や構造(例えば、第1実施形態における内層基板の使用の有無、第1及び第2実施形態における回路の有無など)に応じて、種々の用途に使用し得る。例えば、プリント配線板の製造に用いられる絶縁性コア基板、内層回路基板等の内層基板として用いてもよく、プリント配線板として用いてもよい。
[半導体装置]
上記積層板からなるプリント配線板を用いて、あるいは上記積層板を用いて製造されたプリント配線板を用いて、半導体装置を製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
[樹脂ワニスの調製]
(標準樹脂ワニスの調製)
ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC(株)製「EXA−7311−G4S」、エポキシ当量186)10部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、エポキシ当量288)20部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液)25部を、ソルベントナフサ15部及びシクロヘキサノン5部の混合溶媒に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有フェノールノボラック系硬化剤(水酸基当量125、DIC(株)製「LA−7054」、固形分60%のMEK溶液)10部、ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学(株)製「SN485」、水酸基当量215、固形分60%のMEK溶液)19部、ポリビニルブチラール樹脂(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS−1」)の固形分15%のエタノールとトルエンの1:1の混合溶液10部、アミン系硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)1部、イミダゾール系硬化促進剤(三菱化学(株)製「P200−H50」、固形分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m)50部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後に、カートリッジフィルター(ROKITECHNO製「SHP050」)で濾過して、標準樹脂ワニスを調製した。
(樹脂ワニス1の調製)
標準樹脂ワニスにメチルエチルケトン(MEK)とソルベントナフサとを50:50(質量比)で混合した溶剤を混合し、不揮発成分の含有量が25%となるように調整して、樹脂ワニス1を調製した。
(樹脂ワニス2の調製)
標準樹脂ワニスにエタノールとトルエンとを50:50(質量比)で混合した溶剤を混合し、不揮発成分の含有量が25%となるように調整して、樹脂ワニス2を調製した。
(樹脂ワニス3の調製)
標準樹脂ワニスにMEKとシクロヘキサノンとを50:50(質量比)で混合した溶剤を混合し、不揮発成分の含有量が25%となるように調整して、樹脂ワニス3を調製した。
(樹脂ワニス4の調製)
標準樹脂ワニスにシクロヘキサノンを混合し、不揮発成分の含有量が25%となるように調整して、樹脂ワニス4を調製した。
(樹脂ワニス5の調製)
標準樹脂ワニスにMEKとソルベントナフサとを50:50(質量比)で混合した溶剤を混合し、不揮発成分の含有量が35%となるように調整して、樹脂ワニス5を調製した。
(樹脂ワニス6の調製)
標準樹脂ワニスにエタノールとトルエンとを50:50(質量比)で混合した溶剤を混合し、不揮発成分の含有量が35%となるように調整して、樹脂ワニス6を調製した。
(樹脂ワニス7の調製)
標準樹脂ワニスにMEKとシクロヘキサノンとを50:50(質量比)で混合した溶剤を混合し、不揮発成分の含有量が35%となるように調整して、樹脂ワニス7を調製した。
(樹脂ワニス8の調製)
標準樹脂ワニスにシクロヘキサノンを混合し、不揮発成分の含有量が35%となるように調整して、樹脂ワニス8を調製した。
(樹脂ワニス9の調製)
標準樹脂ワニスにMEKとソルベントナフサとを50:50(質量比)で混合した溶剤を混合し、不揮発成分の含有量が15%となるように調整して、樹脂ワニス9を調製した。
(樹脂ワニス10の調製)
標準樹脂ワニスにジメチルアセトアミド(DMAc)を混合し、不揮発成分の含有量が25%となるように調整して、樹脂ワニス10を調製した。
(樹脂ワニス11の調製)
標準樹脂ワニスにDMAcを混合し、不揮発成分の含有量が35%となるように調整して、樹脂ワニス11を調製した。
(樹脂ワニスの粘度の測定)
樹脂ワニス1〜11の粘度を、回転振動式粘度計((株)テックジャム製ビスコメイトVM−10A)を用いて25℃の温度条件下で測定した。測定開始から2分後の値を、各樹脂ワニスの粘度とし、結果を表1に示した。
[実施例1〜25および比較例1〜8]
樹脂ワニス1〜11を、支持体1〜3にそれぞれ塗布し、後述の方法により接触角を測定した後、支持体に塗布した樹脂ワニスを下記方法により乾燥させて樹脂層を形成し、ハジキ、耳高、塗工幅について評価試験を行った。
用いた支持体1〜3は以下の通りである。
支持体1:PETフィルム(東レ(株)製「ルミラーT60」)にアルキッド系離型剤からなる離型層を設けて調製した支持体(表面粗度は22nm、液滴法により測定した水接触角は90°)
支持体2:PETフィルム(東レ(株)製「ルミラーT60」)にオレフィン系離型剤からなる離型層を設けて調製した支持体(表面粗度は22nm、液滴法により測定した水接触角は110°)
支持体3:PETフィルム(東レ(株)製「ルミラーT60」)をそのまま使用(表面粗度は22nm、液滴法により測定した水接触角は75°)
(実施例1)
樹脂ワニス1を支持体1上に、乾燥後の樹脂層の厚さが2μmになるよう、グラビアコーターにて均一に塗布し、100℃から120℃で3分間乾燥することにより、支持体1上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例2)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、支持体1上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例3)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、支持体1上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例4)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、支持体1上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例5)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、支持体1上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例6)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス6を用いたこと以外は実施例1と同様にして、支持体1上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例7)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス7を用いたこと以外は実施例1と同様にして、支持体1上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例8)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス8を用いたこと以外は実施例1と同様にして、支持体1上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例9)
支持体1に代えて支持体2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、支持体2上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例10)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス2を用いたこと以外は実施例9と同様にして、支持体2上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例11)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス3を用いたこと以外は実施例9と同様にして、支持体2上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例12)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス5を用いたこと以外は実施例9と同様にして、支持体2上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例13)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス6を用いたこと以外は実施例9と同様にして、支持体2上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例14)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス7を用いたこと以外は実施例9と同様にして、支持体2上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例15)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス9を用いたこと以外は実施例9と同様にして、支持体2上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例16)
支持体1に代えて支持体3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、支持体3上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例17)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス2を用いたこと以外は実施例16と同様にして、支持体3上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例18)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス3を用いたこと以外は実施例16と同様にして、支持体3上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例19)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス4を用いたこと以外は実施例16と同様にして、支持体3上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例20)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス5を用いたこと以外は実施例16と同様にして、支持体3上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例21)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス6を用いたこと以外は実施例16と同様にして、支持体3上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例22)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス7を用いたこと以外は実施例16と同様にして、支持体3上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例23)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス8を用いたこと以外は実施例16と同様にして、支持体3上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例24)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス10を用いたこと以外は実施例16と同様にして、支持体3上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(実施例25)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス11を用いたこと以外は実施例16と同様にして、支持体3上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(比較例1)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス9を用いたこと以外は実施例1と同様にして、支持体1上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(比較例2)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス10を用いたこと以外は実施例1と同様にして、支持体1上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(比較例3)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス11を用いたこと以外は実施例1と同様にして、支持体1上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(比較例4)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス4を用いたこと以外は実施例9と同様にして、支持体2上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(比較例5)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス8を用いたこと以外は実施例9と同様にして、支持体2上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(比較例6)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス10を用いたこと以外は実施例9と同様にして、支持体2上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(比較例7)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス11を用いたこと以外は実施例9と同様にして、支持体2上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(比較例8)
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス9を用いたこと以外は実施例16と同様にして、支持体3上に樹脂層を形成し、樹脂シートを作製した。
(液滴法による接触角の測定方法)
支持体に対する各樹脂ワニスの液滴法による接触角を、自動接触角計(協和界面科学(株)製DropMaster DMs−401)を用いて測定した。詳細には、樹脂ワニスをシリンジに充填し、0.8μLの液滴を作製し、支持体に付着させる液滴法にて、付着から2000ms後の値を、支持体に対する各樹脂ワニスによる液滴法での接触角とし、結果を表1に示した。
(ハジキの評価)
実施例1〜25および比較例1〜8で形成した樹脂層10m中のハジキ欠点個数をカウントした。樹脂層10m中に直径0.1mm以上のハジキが10個以上認められたものを「×」、ハジキの個数が2〜9個のものを「△」、ハジキの個数が0〜1個のものを「○」とし、結果を表1に示した。
(耳高の評価)
実施例1〜25および比較例1〜8で形成した樹脂層の、中央部と、最も厚みが大きい部分(最大厚み部分)の厚みをマイクロメーターを用いて測定した。中央部と最大厚み部分との厚みの差が10μm以上のものを「×」、2μm〜10μmのものを「△」、0〜2μmのものを「○」とし、結果を表1に示した。
(塗工幅制御についての評価)
実施例1〜25および比較例1〜8で形成した樹脂層の塗工幅を、ステンレス製定規で測定した。狙い塗工幅1000mmに対する実塗工幅の差が、5mm以上のものを「×」、2mm〜5mmのものを「△」、0〜2mmのものを「○」とし、結果を表1に示した。
表1には、樹脂ワニスの粘度、支持体に対する樹脂ワニスによる液滴法での接触角、ハジキの評価結果、耳高の評価結果、塗工幅制御についての評価結果とともに、各樹脂ワニスの調製に用いた溶剤の種類と量、不揮発成分の含有量等を示した。
Figure 2017060927

Claims (7)

  1. (A)樹脂組成物及び溶剤を含む樹脂ワニスを支持体上に塗布する工程と、
    (B)樹脂ワニスを乾燥して樹脂層を形成する工程と、
    を含み、
    工程(A)において、支持体に対する樹脂ワニスの液滴法での接触角が0.1°〜20°であり、かつ、
    工程(B)において、樹脂層の厚みが5μm以下である、樹脂シートの製造方法。
  2. 樹脂ワニス中の不揮発成分の含有量が40質量%以下である請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。
  3. 支持体が離型層を備える、請求項1または請求項2に記載の樹脂シートの製造方法。
  4. 溶剤が極性溶剤を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
  5. 溶剤が、比誘電率12以上の極性溶剤と比誘電率9以下の非極性溶剤とを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
  6. 工程(A)において、グラビアコーティング法により樹脂ワニスを塗布する請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
  7. 樹脂シートがプリント配線板の絶縁層用である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
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