JP7268953B2 - 樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置 - Google Patents
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Description
[1] (A)エポキシ樹脂、及び(B)硬化剤を含む樹脂組成物であって、
樹脂組成物を、100℃で30分間、さらに180℃で30分間熱硬化させて得られた硬化物からなる、厚み30μmの第一層の表面を、膨潤液に60℃で10分間、酸化剤溶液に80℃で20分間、中和液に40℃で5分間浸漬させる第一粗化試験でのエッチングレート(E1)が、0.8≦E1≦2であり、
樹脂組成物を、100℃で30分間、さらに180℃で30分間熱硬化させて得られた硬化物からなる、厚み10μmの第二層の表面を、膨潤液に60℃で10分間、酸化剤溶液に80℃で20分間、中和液に40℃で5分間浸漬させる第二粗化試験でのエッチングレート(E2)が、1≦E2≦2.5である、樹脂組成物。
[2] 配線ピッチが10μm以下の配線形成用である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] セミアディティブ工法による配線形成用である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] プリント配線板の絶縁層形成用である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] プリント配線板の層間絶縁層用である、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] (C)無機充填材を含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] (C)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上である、[6]に記載の樹脂組成物。
[8] (C)成分の平均粒径が、0.05μm~0.35μmである、[6]又は[7]に記載の樹脂組成物。
[9] フッ素化合物を含有する、[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10] フッ素化合物が、フッ素含有エポキシ樹脂である、[9]に記載の樹脂組成物。
[11] 支持体と、該支持体上に設けられた、[1]~[10]のいずれかに記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を含み、樹脂組成物層の厚みが30μm以下である、樹脂シート。
[12] 第1の導体層と、第2の導体層と、第1の導体層と第2の導体層との間に形成された絶縁層と、を含むプリント配線板の該絶縁層形成用である、[11]に記載の樹脂シート。
[13] 第1の導体層、第2の導体層、及び、第1の導体層と第2の導体層との間に形成された絶縁層を含むプリント配線板であって、
該絶縁層は、[1]~[10]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物である、プリント配線板。
[14] [13]に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
本発明の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、及び(B)硬化剤を含む樹脂組成物であって、樹脂組成物を、100℃で30分間、さらに180℃で30分間熱硬化させて得られた硬化物からなる、厚み30μmの第一層の表面を、膨潤液に60℃で10分間、酸化剤溶液に80℃で20分間、中和液に40℃で5分間浸漬させる第一粗化試験でのエッチングレート(E1)が、0.8≦E1≦2であり、樹脂組成物を、100℃で30分間、さらに180℃で30分間熱硬化させて得られた硬化物からなる、厚み10μmの第二層の表面を、膨潤液に60℃で10分間、酸化剤溶液に80℃で20分間、中和液に40℃で5分間浸漬させる第二粗化試験でのエッチングレート(E2)が、1≦E2≦2.5である。これにより、微細配線を形成する際に絶縁層の厚みの影響を受けにくく、ピール強度に優れた絶縁層を付与可能となる。
本発明の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂を含有する。(A)エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、及びパーフルオロアルキル型エポキシ樹脂等のフッ素含有エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;ビスフェノールS型エポキシ樹脂;ビキシレノール型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;トリスフェノール型エポキシ樹脂;ナフトールノボラック型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;ナフトール型エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;線状脂肪族エポキシ樹脂;ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;スピロ環含有エポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂;トリメチロール型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は(B)硬化剤を含有する。硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有するものであれば、特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤などが挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
一実施形態において、樹脂組成物は無機充填材を含有し得る。無機充填材の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。またシリカとしては球状シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一実施形態において、本発明の樹脂組成物は、(D)熱可塑性樹脂を含有し得る。
一実施形態において、本発明の樹脂組成物は、さらに(E)硬化促進剤を含有し得る。
一実施形態において、本発明の樹脂組成物は、(F)難燃剤を含有し得る。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
一実施形態において、本発明の樹脂組成物は、(G)有機充填材を含有し得る。(G)成分を含有させることで、樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物の引張破壊強度を向上させることができる。有機充填材としては、プリント配線板の絶縁層を形成するに際し使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子等が挙げられる。
一実施形態において、本発明の樹脂組成物は、さらに必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を、100℃で30分間、さらに180℃で30分間熱硬化させて得られた硬化物からなる、厚み30μmの第一層の表面を、膨潤液に60℃で10分間、酸化剤溶液に80℃で20分間、中和液に40℃で5分間浸漬させる第一粗化試験を行ったとき、エッチングレート(E1)が、0.8≦E1≦2である。
また、本発明の樹脂組成物を、100℃で30分間、さらに180℃で30分間熱硬化させて得られた硬化物からなる、厚み10μmの第二層の表面を、膨潤液に60℃で10分間、酸化剤溶液に80℃で20分間、中和液に40℃で5分間浸漬させる第二粗化試験を行ったとき、エッチングレート(E2)が、1≦E2≦2.5である。
エッチングレート(E1)及びエッチングレート(E2)が上記関係を満たすように樹脂組成物中に含有する各成分を調整することにより、微細配線を形成する際に絶縁層の厚みの影響を受けにくく、ピール強度に優れた絶縁層を付与可能となる。
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを含み、樹脂組成物層は本発明の樹脂組成物から形成され、樹脂組成物層の厚みが30μm以下である。
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層、第1の導体層、及び第2の導体層を含む。絶縁層は、第1の導体層と第2の導体層との間に設けられていて、第1の導体層と第2の導体層とを絶縁している(導体層は配線層ということがある)。本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層は薄膜絶縁性に優れることから、第1導体層と第2の導体層との間隔(第1及び第2の導体層間の絶縁層の厚み)が6μm以下であっても絶縁性に優れる。
(I)内層基板上に、樹脂シートの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程
本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を用いて製造することができる。
無機充填材100mg、分散剤(サンノプコ社製「SN9228」)0.1g、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて20分間分散した。レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製「SALD-2200」)を使用して、回分セル方式で粒度分布を測定し、メディアン径による平均粒径を算出した。
BET全自動比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して、無機充填材の比表面積を測定した。
無機充填材1:球状シリカ(新日鉄住金マテリアルズ社製、「SPH516-05」、平均粒径0.29μm、比表面積16.3m2/g)100部に対して、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM573」)1部で表面処理したもの。
無機充填材2:球状シリカ(電気化学工業社製、「UFP-30」、平均粒径0.078μm、比表面積30.7m2/g)100部に対して、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM573」)2部で表面処理したもの。
無機充填材3:球形シリカ(アドマテックス社製、「SC2500SQ」、平均粒径0.63μm、比表面積11.2m2/g)100部に対して、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM573」)1部で表面処理したもの。
<樹脂組成物1の調製>
ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)6部、ナフタレン型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約332)5部、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YL7760」、エポキシ当量約238)15部、ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、エポキシ当量約169、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)4部、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YL7500BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液、Mw=44000)2部を、ソルベントナフサ20部及びシクロヘキサノン10部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック系硬化剤(DIC社製「LA3018-50P」、水酸基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)4部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「EXB-8000L-65M」、活性基当量約220、不揮発成分65質量%のMEK溶液)7部、無機充填材1を80部、アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))0.05部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後に、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP020」)で濾過して、樹脂組成物1を調製した。
ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)6部、ナフタレン型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約332)5部、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YL7760」、エポキシ当量約238)15部、シクロヘキサン型エポキシ樹脂(三菱化学社製「ZX1658GS」、エポキシ当量約135)4部、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YL7500BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液、Mw=44000)2部を、ソルベントナフサ20部及びシクロヘキサノン10部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック系硬化剤(DIC社製「LA3018-50P」、水酸基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)4部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「EXB-8000L-65M」、活性基当量約220、不揮発成分65質量%のMEK溶液)7部、無機充填材2を50部、アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))0.05部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後に、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP020」)で濾過して、樹脂組成物2を調製した。
ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)6部、ナフタレン型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約332)15部、ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、エポキシ当量約169、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)4部、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC社製「EXA-7311-G4」、エポキシ当量約213)2部、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液)2部を、ソルベントナフサ20部及びシクロヘキサノン10部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有ノボラック系硬化剤(DIC社製「LA7054」、水酸基当量約125、固形分60%のMEK溶液)3部、ナフトール系硬化剤(DIC社製「SN-495V」、水酸基当量約231)6部、無機充填材3を70部、アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))0.05部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後に、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP020」)で濾過して、樹脂組成物3を調製した。
ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)6部、ナフタレン型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約332)10部、シクロヘキサン型エポキシ樹脂(三菱化学社製「ZX1658GS」、エポキシ当量約135)4部、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液)2部を、ソルベントナフサ20部及びシクロヘキサノン10部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック系硬化剤(DIC社製「LA3018-50P」、水酸基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)2部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「EXB-8000L-65M」、活性基当量約220、不揮発成分65質量%のMEK溶液)20部、無機充填材3を70部、アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))0.05部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後に、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP020」)で濾過して、樹脂組成物4を調製した。
YX4000HK:ビキシレノール型エポキシ樹脂、三菱化学社製、エポキシ当量約185
ESN475V:ナフタレン型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学社製、エポキシ当量約332
EXA-7311-G4:ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、DIC社製、エポキシ当量約213
YL7760:ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、三菱化学社製、エポキシ当量約238
ZX1059:ビスフェノール型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学社製、エポキシ当量約169、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品
ZX1658GS:シクロヘキサン型エポキシ樹脂、三菱化学社製、エポキシ当量約135
LA-3018-50P:トリアジン骨格含有クレゾールノボラック系硬化剤、DIC社製、水酸基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液
LA-7054:トリアジン骨格含有ノボラック系硬化剤、DIC社製、水酸基当量約125、固形分60%のMEK溶液
SN-495V:ナフトール系硬化剤、DIC社製、水酸基当量約231
EXB-8000L-65M:活性エステル系硬化剤、DIC社製、活性基当量約220、不揮発成分65質量%のMEK溶液
YX7553BH30:フェノキシ樹脂、三菱化学社製、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液
YL7500BH30:フェノキシ樹脂、三菱化学社製、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液、Mw=44000
DMAP:アミン系硬化促進剤、4-ジメチルアミノピリジン
支持体として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL-5」)で離型処理したPETフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、以下「離型PET」ということがある。)を用意した。
樹脂シートAの作製において、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが30μmとなるよう、ダイコーターにて均一に塗布した。以上の事項以外は樹脂シートAと同様に作製し、樹脂シートBを得た。
(1)銅張積層板
銅張積層板として、両面に銅箔層を積層したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ3μm、基板厚み0.15mm、三菱ガス化学社製「HL832NSF LCA」、255×340mmサイズ)を用意した。
実施例及び比較例で作製した各樹脂シートAから保護フィルムを剥がし、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター、CVP700)を用いて、樹脂組成物層が銅張積層板と接するように、銅張積層板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、130℃、圧力0.74MPaにて45秒間圧着させることにより実施した。次いで、120℃、圧力0.5MPaにて75秒間熱プレスを行った。
樹脂シートがラミネートされた銅張積層板を、100℃のオーブンに投入後30分間、次いで180℃のオーブンに移し替えた後30分間、熱硬化して絶縁層を形成し、離形PETを剥離した。これを「硬化基板A」とする。
絶縁層を形成した銅張積層板(硬化基板A)に粗化処理としてのデスミア処理を行った。なお、デスミア処理としては、下記の湿式デスミア処理を実施した。
膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で10分間、次いで酸化剤溶液(アトテックジャパン社製「コンセントレート・コンパクトCP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で20分間、最後に中和液(アトテックジャパン社製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間、浸漬した。その後、80℃で15分間乾燥した。これを「粗化基板A」とする。
(5-1)無電解めっき工程
上記粗化基板Aの表面に導体層を形成するため、下記1~6の工程を含むめっき工程(アトテックジャパン社製の薬液を使用した銅めっき工程)を行って導体層を形成した。
粗化基板Aの表面を、Cleaning Cleaner Securiganth 902(商品名)を用いて60℃で5分間洗浄した。
2.ソフトエッチング(ビアホール内の洗浄)
粗化基板Aの表面を、硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃で1分間処理した。
3.プレディップ(Pd付与のための絶縁層の表面の電荷の調整)
粗化基板Aの表面を、Pre. Dip Neoganth B(商品名)を用い、室温で1分間処理した。
4.アクティヴェーター付与(絶縁層の表面へのPdの付与)
粗化基板Aの表面を、Activator Neoganth 834(商品名)を用い、35℃で5分間処理した。
5.還元(絶縁層に付与されたPdを還元)
粗化基板Aの表面を、Reducer Neoganth WA(商品名)とReducer Acceralator 810 mod.(商品名)との混合液を用い、30℃で5分間処理した。
6.無電解銅めっき工程(Cuを絶縁層の表面(Pd表面)に析出)
Basic Solution Printganth MSK-DK(商品名)と、Copper solution Printganth MSK(商品名)と、Stabilizer Printganth MSK-DK(商品名)と、Reducer Cu(商品名)との混合液を用いて、粗化基板Aの表面を、35℃で15分間処理して、無電解銅めっき層を得た。形成された無電解銅めっき層の厚さは0.5μmであった。
無電解めっきの後、無電解銅めっき層表面を5%硫酸水溶液で30秒間処理した。次いで、パターン形成用ドライフィルム(日立化成社製「フォテックRY-3600」、厚さ19μm)を、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機製作所社製「MVLP-500」)を用いて、無電解銅めっき層の両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、70℃、圧力0.1MPaで20秒間加圧して行った。
下記i)乃至v)の櫛歯パターンを各10個有するガラスマスクを使用した。
i)L/S=1μm/1μm、すなわち配線ピッチ2μmの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)
ii)L/S=2μm/2μm、すなわち配線ピッチ4μmの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)
iii)L/S=3μm/3μm、すなわち配線ピッチ6μmの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)
iv)L/S=4μm/4μm、すなわち配線ピッチ8μmの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)
v)L/S=5μm/5μm、すなわち配線ピッチ10μmの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)
ドライフィルムの現像後、150℃にて30分間の加熱処理を行った後に、硫酸銅電解めっきを行い、厚さ5μmの電解銅めっき層(導体層)を形成した。無電解銅めっき層と電界めっき層との合計厚さは約5.5μmであった。
<硬化基板A、粗化基板A及び評価用基板Aの作製>において、絶縁層を形成するために用いた樹脂シートAを樹脂シートBに変えた。以上の事項以外は、上記<硬化基板A、粗化基板A及び評価用基板Aの作製>と同様にして硬化基板B、粗化基板B及び評価用基板Bを作製した。以下、硬化基板B、粗化基板B及び評価用基板Bをまとめて「基板B」ということがある。
<算術平均粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)の測定>
粗化基板Aの絶縁層表面を、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値によりRa値、Rq値を求めた。それぞれ6点の平均値を算出し下記表に示した。
また、粗化基板Aを粗化基板Bに変えて同様の測定を行い、結果を下記表に示した。
評価用基板Aの導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具(ティー・エス・イー社製、オートコム型試験機 AC-50C-SL)で掴み、インストロン万能試験機を用いて、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、ピール強度とした。
また、評価用基板Aを評価用基板Bに変えて同様の測定を行い、結果を下記表に示した。
硬化基板Aから5cm×5cmの試料Aを切り出し、130℃で15分乾燥し、該乾燥直後の質量を測定した。これを試料Aとし、試料Aの質量を「X1」とする。試料Aをデスミア処理(第二粗化試験)し、粗化試料Aを得た。第二粗化試験を行った粗化試料Aを水洗し、130℃で15分乾燥した直後の質量を測定した。該乾燥した直後の粗化試料Aの質量を「X2」とする。下記式により、樹脂組成物の硬化物の粗化処理によるエッチングレート(E2)(%)を求めた。
エッチングレート(%)={(X1-X2)/(X1-Y1)}×100
Y1:5cm×5cmに切り出した銅張積層板の質量
また、エッチングレート(E2)の測定において、硬化基板Aを硬化基板Bに変えた。以上の事項以外はエッチングレート(E2)の測定と同様にエッチングレート(E1)を測定した。
評価用基板Aの上記i)乃至v)の櫛歯パターンについて、回路の剥離の有無を光学顕微鏡(HIROX社製、KH―8700製品名)にて確認した。また、評価用基板Aを評価用基板Bに変えて同様の回路の剥離の有無の確認を行った。上記i)乃至v)の櫛歯パターン各10個のうち、それぞれ9個以上について回路剥離が観察されなかった場合に「無」とし、どれか一つの櫛歯パターンで8個以下となったものを「有」と評価した。
評価用基板Aの上記i)乃至v)の櫛歯パターンについて、FIB-SEM複合装置(SIIナノテクノロジー社製「SMI3050SE」)を用いて断面観察を行い、不要な無電解銅めっき層の残渣の有無を確認した。また、評価用基板Aを評価用基板Bに変えて同様の回路の無電解銅残渣の有無の確認を行った。上記i)乃至v)の櫛歯パターン各10個のうち、それぞれ9個以上について無電解銅残渣が観察されなかった場合に「無」とし、どれか一つの櫛歯パターンで8個以下となったものを「有」と評価した。
評価用基板A及び評価用基板Bにおいて、回路剥離の有無および無電解銅残渣の有無の評価において、全て「無」の場合は「○」と判定し、一つでも「有」となった場合は「×」とした。
11 第1の導体層の主面
2 第2の導体層
21 第2の導体層の主面
3 絶縁層
t1 第1導体層と第2の導体層との間隔(第1及び第2の導体層間の絶縁層の厚み)
t2 絶縁層全体の厚み
Claims (9)
- 支持体と、該支持体上に設けられた、樹脂組成物で形成された単層の樹脂組成物層を含む樹脂シートであって、
支持体が、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有していてもよい、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔及び離型紙から選択される1種であり、
前記樹脂組成物が、
(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)無機充填材を含み、
(A)成分が、フッ素含有エポキシ樹脂を含み、樹脂組成物中のフッ素含有エポキシ樹脂の質量をW A 、樹脂組成物中のフッ素含有エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂の質量をW B としたとき、W B /W A が1~10であり、
(B)成分が、活性エステル系硬化剤を含み、(C)成分を除いた樹脂成分の合計含有量をW c とし、活性エステル系硬化剤の含有量をW d としたとき、(W d /W c )×100が、5以上35以下であり、
樹脂組成物中の(B)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、2質量%以上20質量%以下であり、
当該樹脂組成物を、100℃で30分間、さらに180℃で30分間熱硬化させて得られた硬化物からなる、厚み30μmの第一層の表面を、膨潤液に60℃で10分間、酸化剤溶液に80℃で20分間、中和液に40℃で5分間浸漬させる第一粗化試験でのエッチングレート(E1)が、0.8≦E1≦2であり、
当該樹脂組成物を、100℃で30分間、さらに180℃で30分間熱硬化させて得られた硬化物からなる、厚み10μmの第二層の表面を、膨潤液に60℃で10分間、酸化剤溶液に80℃で20分間、中和液に40℃で5分間浸漬させる第二粗化試験でのエッチングレート(E2)が、1≦E2≦2.5であり、かつ、
第一及び第二粗化試験で使用する膨潤液が、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液であり、
第一及び第二粗化試験で使用する酸化剤溶液が、過マンガン酸カリウム濃度約6%及び水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液であり、
第一及び第二粗化試験で使用する中和液が、硫酸水溶液であり、
(C)成分の平均粒径が、0.05μm~0.35μmであり、
前記樹脂組成物層の厚みが30μm以下である、
樹脂シート。 - 配線ピッチが10μm以下の配線形成用である、請求項1に記載の樹脂シート。
- セミアディティブ工法による配線形成用である、請求項1又は2に記載の樹脂シート。
- プリント配線板の絶縁層形成用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂シート。
- プリント配線板の層間絶縁層用である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂シート。
- (C)成分の含有量が、前記樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂シート。
- 第1の導体層と、第2の導体層と、第1の導体層と第2の導体層との間に形成された絶縁層と、を含むプリント配線板の絶縁層形成用である、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂シート。
- 第1の導体層、第2の導体層、及び、第1の導体層と第2の導体層との間に形成された絶縁層を含むプリント配線板であって、
該絶縁層は、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物である、プリント配線板。 - 請求項8に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
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