JP2017057631A - 板状建材 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、下記特許文献1には、樹脂含浸紙層の表面に位置する樹脂含浸チタン紙の表面に、木質単板を積層した建材が開示されている。
図1は、本実施形態に係る板状建材の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る板状建材1は、図1(b)に示すように、厚さ方向に見て一方向に長尺状の略矩形平板状とされている。
本実施形態では、この板状建材1を、床材として用いられるものとしている。この板状建材1の長さ寸法や幅寸法、厚さ寸法等は、一般的な床材の各寸法と概ね同寸法としてもよい。例えば、板状建材1を、長さ寸法が1500mm〜2000mm程度、幅寸法が250mm〜500mm程度、厚さ寸法が3mm〜30mm程度とされた長尺板状体としてもよい。
また、本実施形態では、板状建材1を、木質系基材10の表面及び裏面に、防湿シート11,11を積層し、樹脂含浸紙12を、表面側の防湿シート11の表面に積層した構成としている。また、樹脂含浸紙12の表面に、表面化粧材13を積層した構成としている。
また、この木質系基材10の厚さ寸法は、板状建材1の用途等に応じて適宜の寸法としてもよく、2.5mm〜30mm程度としてもよい。
この防湿シート11としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂系シート(フィルム)を採用するようにしてもよく、また、アルミ箔等の金属薄膜シートを採用するようにしてもよい。また、防湿シート11としては、このようなシートの表裏に、紙材が積層されたものとしてもよい。
この防湿シート11の透湿度(水蒸気透過度)は、木質系基材10の吸湿を抑制する観点等から適宜の透湿度としてもよい。例えば、防湿シート11の透湿度を、15g/m2・24h以下としてもよく、好ましくは、10g/m2・24h以下としてもよい。このような構成とすれば、木質系基材10の表裏に積層された防湿シート11,11によって木質系基材10の吸湿を抑制することができ、木質系基材10の反りを抑制することができる。また、この防湿シート11の透湿度を、より好ましくは、7g/m2・24h以下としてもよい。
また、木質系基材10の表裏のそれぞれに積層される防湿シート11,11は、反りを効果的に抑制する観点等から、互いに同様の構成とされたものとしてもよい。
また、これら表裏の防湿シート11,11は、変性酢酸ビニル系接着剤や水性ビニル系接着剤、反応性ホットメルト接着剤等の適宜の接着剤を用いて木質系基材10の表裏に貼着するようにしてもよい。
この樹脂含浸紙12は、パルプ等の紙原料に酸化チタンを添加した原紙(紙基材)に、メラミン樹脂やエポキシ樹脂、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた構成とされている。
この酸化チタンの樹脂含浸紙12全体に対する含有率を小さくし過ぎれば、隠蔽性が低下する傾向があり、大きくし過ぎれば、紙間強度(層間強度)が低下する傾向がある。このような観点から、樹脂含浸紙12全体に対する酸化チタンの含有率を、4%以上、10%以下としている。
また、この樹脂含浸紙12は、上記同様、変性酢酸ビニル系接着剤や水性ビニル系接着剤、反応性ホットメルト接着剤等の適宜の接着剤等を用いて木質系基材10の表面側(本実施形態では、表側の防湿シート11の表面)に貼着するようにしてもよい。
この表面化粧材13は、天然木材(銘木)を適宜、加工して形成された突板等の単板や、木目柄や大理石状の石目柄等の種々の柄(模様)が印刷された化粧印刷紙、オレフィン系等の合成樹脂系フィルム等としてもよい。また、表面化粧材13の色柄は、比較的に薄い、例えば、白色を基調とする淡色系のものとしてもよい。
また、この表面化粧材13の厚さ寸法は、例えば、0.01mm〜0.3mm程度としてもよく、0.1mm以下としてもよい。本実施形態では、この表面化粧材13の厚さ寸法を、防湿シート11及び樹脂含浸紙12よりも小としている。また、この表面化粧材13を、厚さ寸法が0.1mm以下の化粧印刷紙としている。このような構成とすれば、オレフィン系等の合成樹脂系フィルムに比べて環境負荷を小さくすることができる。
この表面化粧材13は、上記同様、変性酢酸ビニル系接着剤や水性ビニル系接着剤、反応性ホットメルト接着剤等の適宜の接着剤等を用いて樹脂含浸紙12の表面に貼着するようにしてもよい。
なお、このような表面化粧材13を設けた態様に代えて、適宜の色柄等の模様が付された樹脂含浸紙12を木質系基材10の表面側(本実施形態では、表側の防湿シート11の表面)に積層した構成としてもよい。
また、この溝部14の溝深さ寸法(建材厚さ方向に沿う寸法)や溝幅寸法(溝開口側部位の幅寸法)は、当該板状建材1の用途に応じて、また、見栄え上の観点や加工性の観点等から適宜の寸法としてもよい。例えば、この溝部14の溝深さ寸法を、0.5mm〜1.0mm程度とし、溝幅寸法を、0.5mm〜1.5mm程度としてもよい。図例では、この溝部14を、木質系基材10に達するように設けた例を示している。
なお、溝部14を、溝幅方向両内側面において露出する木質系基材10の面積が溝内面の全面積に対して1/2未満となるように設けた構成としてもよい。また、溝部14の溝深さ寸法を、木質系基材10の表面側に積層された部材(本実施形態では、防湿シート11、樹脂含浸紙12及び表面化粧材13)の厚さ寸法を足し合わせた寸法の2倍未満としてもよい。また、この板状建材1の四周端部に実部等を設けた構成としてもよく、表面側の四周縁部に、溝部14に応じた形状の面取り部を設けた構成としてもよい。
また、板状建材1の表面に、適宜の仕上塗装が施されたものとしてもよい。例えば、この板状建材1の表面に、透明または半透明のトップコート層(保護層)を形成するように、紫外線硬化型のクリアー塗料等が塗装されたものとしてもよい。また、この紫外線硬化型のクリアー塗料を、溝部14の内面を含んで板状建材1の表面に塗装されたものとしてもよい。
また、板状建材1の裏面側に、緩衝材(クッション材)や吸音材等を更に積層した構成としてもよい。
各実施例及び各比較例では、いずれも、長さ寸法が1840mm、幅寸法が313mmの木質系基材の表裏両面に、厚さ寸法が0.1mmの防湿シートを変性酢酸ビニル系接着剤で積層した構成とした。また、表面側の防湿シートの表面に、酸化チタンを含有するメラミン樹脂含浸紙を変性酢酸ビニル系接着剤で積層し、このメラミン樹脂含浸紙の表面に、厚さ寸法が0.05mmで白色を基調とする石目柄の化粧印刷紙を変性酢酸ビニル系接着剤で積層した構成とした。また、表面に溝部を設け、この溝部内面を含む表面に紫外線硬化型のクリアー塗料を塗装した構成とした。
以下、各実施例及び各比較例における異なる構成について説明する。
実施例2では、比重が0.75で厚さが11.4mmのパーティクルボードを木質系基材とし、透湿度が7g/m2・24hの防湿シートとし、厚さが0.3mmで酸化チタンの含有率が10%の樹脂含浸紙とした。
実施例3では、比重が0.75で厚さが11.2mmのパーティクルボードを木質系基材とし、透湿度が10g/m2・24hの防湿シートとし、厚さが0.5mmで酸化チタンの含有率が4%の樹脂含浸紙とした。
実施例5では、比重が0.75で厚さが11.2mmのパーティクルボードを木質系基材とし、透湿度が15g/m2・24hの防湿シートとし、厚さが0.5mmで酸化チタンの含有率が4%の樹脂含浸紙とした。
実施例6では、比重が0.70で厚さが11.2mmのパーティクルボードを木質系基材とし、透湿度が10g/m2・24hの防湿シートとし、厚さが0.5mmで酸化チタンの含有率が4%の樹脂含浸紙とした。
比較例2では、比重が0.75で厚さが11.4mmのパーティクルボードを木質系基材とし、透湿度が7g/m2・24hの防湿シートとし、厚さが0.3mmで酸化チタンの含有率が2%の樹脂含浸紙とした。
比較例3では、比重が0.75で厚さが11.4mmのパーティクルボードを木質系基材とし、透湿度が7g/m2・24hの防湿シートとし、厚さが0.3mmで酸化チタンの含有率が15%の樹脂含浸紙とした。
<基材隠蔽性評価試験>
実施例1〜6及び比較例1〜3の板状建材の表面を目視観察し、木質系基材の隠蔽性についての評価を行った。
結果は、図2に示すように、実施例1〜6及び比較例2、3では、板状建材の表面において木質系基材の濃淡等が確認できず、良好な結果であった。一方、比較例1では、樹脂含浸紙が薄いため板状建材の表面において木質系基材の濃淡等が目立つ結果となった。
実施例1〜6及び比較例1〜3の板状建材の溝部が形成された部位と溝部以外の部位の表面とを、分光側色計(コニカミノルタ株式会社製CM−2500d)で測定した。なお、溝部が形成された部位については、溝幅中心に測定径の中心を合わせて測定し、溝部以外の部位の表面については、測定径内に溝部が存在しない位置で、かつ各実施例1〜6及び比較例1〜3において差異が生じないように同様な模様部分を測定した。また、色差ΔE(L*a*b*表色系)が3.0未満を合格基準として判断した。
結果は、図2に示すように、実施例1〜6及び比較例3では、色差が3.0未満で良好な結果であった。一方、比較例1では、樹脂含浸紙が薄く、比較例2では、樹脂含浸紙の酸化チタンの含有率が小さいため、色差が3.0以上となった。
実施例1〜6及び比較例1〜3の板状建材(試験片)に対して、木質系基材の種類に応じてJIS A5908またはJIS A5905に規定された方法に準拠して剥離強さ試験を行い、剥離強さが0.3N/mm2以上を合格基準として判断した。
結果は、図2に示すように、実施例1〜6及び比較例1、2では、剥離強さが0.3N/mm2以上で良好な結果であった。一方、比較例3では、樹脂含浸紙の酸化チタンの含有率が大きいため、剥離強さが0.3N/mm2未満であった。
<膨れ評価試験>
実施例1〜6及び比較例1〜3の板状建材(試験片)に対して、フローリングの日本農林規格の吸水厚さ膨張率試験に準拠して膨れ評価試験を行い、吸水厚さ膨張率が8%未満を合格基準として判断した。
結果は、図2に示すように、実施例1〜5及び比較例1〜3では、吸水厚さ膨張率が8%未満で良好な結果であった。一方、実施例6では、木質系基材の比重が他よりも小であるため、吸水厚さ膨張率が8%以上となり、耐水性についてはやや劣る結果となった。
実施例1〜6及び比較例1〜3の板状建材に対して、床暖房システム試験(仕上げ材・下地材編「2.耐久性能 熱耐久性試験」ガス会社統一基準方式)に準拠し、温水床暖房マット上に配置して熱耐久性試験を行った。この評価試験では、温水床暖房マットに、80℃の温水を1100時間連続循環させた後、幅方向の反りを測定した。幅方向の反りは、各板状建材の幅方向両端の二点を基点とし、幅方向中央部位を測定点として、反り測定器具を用いて建材厚さ方向の反り量を計測した。また、反り量がプラスマイナス0.5mm以内を合格基準として判断した。
結果は、図2に示すように、実施例1〜4及び比較例1〜3では、反り量がプラスマイナス0.5mm以内で良好な結果であった。一方、実施例5では、防湿シートの透湿度が他よりも大で、実施例6では、木質系基材の比重が他よりも小であるため、反り量が大となり、やや劣る結果となった。
また、実施例1〜4の各板状建材は、実施例5、6と比較して反りが抑制され、実施例6と比較して膨れが抑制されることが示され、特に良好な結果となった。
また、上記した実施形態では、木質系基材10の表面及び裏面に、防湿シート11,11を積層した例を示しているが、このような態様に限られない。木質系基材10の表面及び裏面のうちの一方のみに防湿シート11を積層した構成としてもよく、また、木質系基材10の少なくとも裏面に防湿シート11を積層した構成としてもよく、さらには、このような防湿シート11を設けないようにしてもよい。
また、上記した例では、板状建材1を、床材として用いられるものとした例を示しているが、このような態様に限られず、天井材や壁材、建具材、家具材等として用いられるものとしてもよい。
10 木質系基材
11 防湿シート
12 樹脂含浸紙
Claims (3)
- 木質系基材の表面側に、酸化チタンの含有率が4%以上、10%以下で、厚さが0.2mm以上の樹脂含浸紙が積層されていることを特徴とする板状建材。
- 請求項1において、
前記木質系基材の表面及び裏面には、透湿度が10g/m2・24h以下の防湿シートが積層されており、
前記樹脂含浸紙は、表面側の防湿シートの表面に積層されていることを特徴とする板状建材。 - 請求項1または2において、
前記木質系基材は、比重が0.73以上であることを特徴とする板状建材。
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