JP2017057535A - 伸長回復性に優れた長繊維不織布 - Google Patents
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不織布が用いられる。各種の用途に適用する際に求められる機能として、例えば、伸縮性、伸長回復性が挙げられる。このような伸縮性や伸長回復性を不織布に付与する手段としては、エラストマー弾性を有するエラストマー樹脂によって構成された長繊維を構成繊維として用いること、また、繊維構造として捲縮を有する並列型捲縮繊維を構成繊維として用いること、そして、このような構成繊維によって伸縮性を発現することが挙げられる(特許文献1)。このようにエラストマー樹脂により構成される長繊維や、捲縮繊維によって構成される不織布は、繊維自体が柔らかで肌当たりが良好なため、不織布自体も柔軟性に優れるものであり、一般的に伸縮性を有する不織布は、柔軟性に優れるものが多い。
形状(以下、「略Y4形状」という。)であることを特徴とするポリエステル不織布というものである。かかるポリエステル不織布は、高剛性であるという特性を持っている。
該一方向における伸長回復率が、60%以上、山の高さが500μm以上、隣り合う山と山の距離が0.5〜3mmであり、
前記ポリエステル長繊維の横断面形状は、略Y字の下端で上下左右に連結した略Y4形状であり、
ポリエステル長繊維の単繊維繊度が、10デシテックス以上であることを特徴とする伸長回復性に優れた長繊維不織布を要旨とする。
本発明の伸長回復性に優れた長繊維不織布は、伸縮性、伸長回復性、嵩高性、クッション性に優れ、ボリューム感があり、通気性に優れるとともに、付与された形状の形態安定性、形態維持性に優れる。波状の凹凸を利用して、ワイピングクロスの部材やワイピングクロス、クッション材や緩衝材、衝撃吸収材、吸音材、フィルター材等の様々な分野に適用しうるものである。
(1)ポリエステルの極限粘度[η]:フェノールを四塩化エタンとの等質量比の混合溶媒100ccに試料0.5gを溶解し、測定した。
(2)融点:パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−7型を用い、昇温速度20℃/分で測定した。
(3)不織布の厚み(μm):標準状態の資料から、縦10cm×横10cmの資料片10点を作成し、JIS L 1913 6.1A法に準拠し、ダイヤルシックネスゲージ(プレッサーフード35.7mmφ、加重9.8kPa)を用いて、それぞれの厚みを測定し、その平均値を不織布の厚みとした。
(4)不織布を構成する長繊維の単繊維繊度(dtex):温度20℃、湿度60%の環境下で1昼夜保管した長さ1.8mの資料5点の質量について、上皿天秤(Mettler AE50)を用いて測定し、その平均値より単繊維繊度を求めた。
[ポリエステル不織布の準備]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA)92mol%及びイソフタール酸(IPA)8mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール(EG)100mol%を用いて共重合し、低融点ポリエステル(相対粘度〔ηrel〕1.44、融点230℃)を得た。この低融点ポリエステルに、結晶核剤として4.0質量%の酸化チタンを添加して、低融点ポリエステル重合体を準備した。一方、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA)100mol%とジオール成分としてエチレングリコール(EG)100mol%を用いて共重合し、高融点ポリエステル重合体(ポリエチレンテレフタレート、相対粘度〔ηrel〕1.38、融点260℃)を準備した。そして、図3に示したノズル孔を用い、V字部に低融点ポリエステル樹脂を供給し、+字部に高融点ポリエステル樹脂を供給して、紡糸温度285℃、単孔吐出量8.33g/分で溶融紡糸した。なお、低融点ポリエステル樹脂の供給量と高融点ポリエステル樹脂の供給量の重量比は、1:2であった。
ノズル孔から排出されたフィラメント群を、2m下のエアーサッカー入口に導入し、複合型ポリエステル長繊維の繊度が17デシテックスとなるように牽引した。エアーサッカー出口から排出された複合型ポリエステル長繊維群を開繊装置にて開繊した後、移動するネット製コンベア上に集積し、繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを、表面温度が213℃のエンボスロール(各エンボス凸部先端の面積は0.7mm2で、ロール全面積に対するエンボス凸部の占める面積率は15%)とフラットロールからなる熱融着装置に導入し、両ロール間の線圧30kgf/cmの条件として、複合型ポリエステル長繊維相互間を低融点成分で熱融着して、目付40.9g/m2、厚み312μmのポリエステル不織布を得た。
上記したポリエステル不織布を、マイクレックス社製のマイクロクレーパー機に導入した。すなわち、ポリエステル不織布の機械方向に沿って、マイクロクレーパー機に導入して、不織布の機械方向に山部と谷部とが交互に波形状の凹凸として形成させた。なお、マイクロクレーパー機における供給ローラーの表面温度は40℃に設定した。
また、圧縮に対する形態保持性(圧縮歪)を評価するために、不織布を平板に挟んで、荷重を22.54kPaかけて厚みの変化を確認した。すなわち、上記した荷重9.8kPaでの厚みに対して、荷重22.54kPaかけた際の厚みの減少率を算出したところ、21.53%であり、大きく荷重をかけた際でも、凹凸を維持していた。
[長繊維不織布の製造]
融点260℃、極限粘度[η]0.70ポリエチレンテレフタレートを準備し、公知の溶融紡糸装置を用い、繊維の横断面が円形となる紡糸孔を30個備えた紡糸口金より、紡糸温度280℃でポリエステル長繊維を溶融紡出した。紡糸口金とエアーサッカーまでの距離は140cmに設定し、紡出長繊維をエアーサッカーに導入した。このとき、ひとつのエアーサッカーに30本の長繊維を導入した。そして、エアーサッカーにて、長繊維の繊度が3.0デシテックスとなるように紡糸速度5000m/分で牽引し、紡出長繊維は、開繊装置でばらばらになるように開繊させた後、コンベアネット上に捕集・堆積させて、長繊維ウェブを得た。得られた長繊維ウエブを、エンボスロール(エンボスロールの凸部の面積0.42mm2、面積率37%)とフラットロールとからなる熱エンボス装置に導き、両ロールの表面温度235℃、線圧490N/cmの条件下で部分的に熱圧接処理を施し、目付40g/m2、厚み240μmの長繊維不織布を得た。この長繊維不織布は、構成繊維である長繊維の横断面が円形であり、単繊維繊度が小さいため、実施例1で用いたポリエステル不織布に比べて、剛性も低いものであった。
得られた上記した比較例の長繊維不織布を、マイクレックス社製のマイクロクレーパー機に導入した。導入する際の条件は、実施例1と同様として、不織布の機械方向に山部と谷部とが交互に波形状の凹凸として形成
させた。
また、圧縮に対する形態保持性(圧縮歪)を評価するために、不織布を平板に挟んで、荷重を22.54kPaかけて厚みの変化を確認したところ、厚みの減少率は26.88%であり、実施例と比べて変形が大きかった。
2 略Y4形状で形成された凹部
3 略Y4形状で形成された凸部
4 略Y4形状で形成された小凹部
5 略Y4形状中の略+字部
6 略Y4形状中の略V字部
Claims (3)
- ポリエステル長繊維で構成されてなるポリエステル不織布において、不織布全体に亘って、不織布の一方向に山部と谷部とが交互に波形状の凹凸として形成されており、
該一方向における伸長回復率が、60%以上、
山の高さが500μm以上、隣り合う山と山の距離が0.5〜3mmであり、
前記ポリエステル長繊維の横断面形状は、略Y字の下端で上下左右に連結した
形状(以下、「略Y4形状」という。)であり、
ポリエステル長繊維の単繊維繊度が、10デシテックス以上であることを特徴とする伸長回復性に優れた長繊維不織布。 - ポリエステル長繊維が、略Y4形状の各々の略V字部が低融点ポリエステルよりなり、その他の略+字部が高融点ポリエステルよりなる複合型ポリエステル長繊維であり、
不織布は、圧着部と非圧着部とを有し、圧着部では、該低融点ポリエステルを介して、該ポリエステル長繊維相互間が接着されていることを特徴とする請求項1記載の伸長回復性に優れた長繊維不織布。 - 横断面形状が略Y4形状であり、単繊維繊度が10デシテックス以上であるポリエステル長繊維が多数本堆積してなるウェブを、熱エンボス装置に導入して、部分的に圧着してなる圧着部を形成させて、ポリエステル長繊維相互間を熱接着により一体化させ、ついで、座屈加工機に導入し座屈処理を施し、不織布全体に亘って、不織布の一方向に山部と谷部とを交互に形成させることを特徴とする伸長回復性に優れた長繊維不織布の製造方法。
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