JP2017106144A - 嵩高性積層不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】 嵩高性に優れる積層不織布を得ることを課題とする。【解決手段】ポリエステル長繊維で構成されてなるポリエステル不織布において、不織布全体に亘って、不織布の一方向に山部と谷部とが交互に波形状の凹凸を有してなる波形状凹凸不織布であり、前記ポリエステル長繊維の横断面形状は、略Y4形状であり、ポリエステル長繊維の単繊維繊度が、10デシテックス以上であり、波形状凹凸不織布の上面または下面に、短繊維ウェブが積層され、短繊維ウェブを構成する短繊維同士は交絡により一体化し、短繊維ウェブと波形状凹凸不織布とは、波形状凹凸不織布の山部または谷部に接する短繊維ウェブを構成する短繊維が波形状凹凸不織布の山部または谷部に絡み、積層一体化していることを特徴とする嵩高性積層不織布。【選択図】 図1

Description

本発明は、嵩高性に優れた積層不織布に関するものである。
従来より、不織布は、土木資材、農業資材、工業資材、家庭用品等の様々な分野における各種の用途に使用されている。また、各種の用途に適用する際には、その用途における要求性能に応じた機能を有する不織布が用いられる。
ところで、本発明者は、特殊な横断面形状を持つポリエステル不織布を開発した(特許文献1)。これは、ポリエステル長繊維を構成繊維とする不織布であって、該ポリエステル長繊維の横断面形状が、略Y字の下端で上下左右に連結した
形状(以下、「略Y4形状」という。)であることを特徴とするポリエステル不織布というものである。かかるポリエステル不織布は、高剛性であるという特性を持っている。
特開2013−76182号公報
本発明者は、上記ポリエステル不織布を用いて種々研究を行っていたところ、このポリエステル不織布に座屈処理を施すと、厚み方向に圧縮しても座屈加工による山部と谷部の形状が変形しにくく、また、変形しても回復性が高い不織布が得られることを見出した。そして、この座屈加工を施してなる不織布に、短繊維ウェブを積層して高圧水流を施したところ、座屈加工を施した不織布は、凹凸を維持した状態で、積層した短繊維ウェブと絡み一体化していた。すなわち、高圧水流の圧力が加わった場合でも、歪むことなく凹凸形状を維持し、嵩高性の高い積層不織布を得られることを見出した。
本発明はかかる知見に基づくものである。したがって、本発明の課題は、嵩高性に優れる積層不織布を得ることにある。
本発明は、ポリエステル長繊維で構成されてなるポリエステル不織布において、不織布全体に亘って、不織布の一方向に山部と谷部とが交互に波形状の凹凸を有してなる波形状凹凸不織布であり、
前記ポリエステル長繊維の横断面形状は、略Y字の下端で上下左右に連結した
形状(以下、「略Y4形状」という。)であり、
ポリエステル長繊維の単繊維繊度が、10デシテックス以上であり、
波形状凹凸不織布の上面または下面に、短繊維ウェブが積層され、短繊維ウェブを構成する短繊維同士は交絡により一体化し、
短繊維ウェブと波形状凹凸不織布とは、波形状凹凸不織布の山部または谷部に接する短繊維ウェブを構成する短繊維が波形状凹凸不織布の山部の略頂点または谷部の略頂点に絡み付き、積層一体化していることを特徴とする嵩高性積層不織布を要旨とする。
また、本発明は、横断面形状が略Y4形状であり、単繊維繊度が10デシテックス以上であるポリエステル長繊維が多数本堆積してなるウェブを、熱エンボス装置に導入して、部分的に圧着してなる圧着部を形成させて、ポリエステル長繊維相互間を熱接着により一体化させ、ついで、座屈加工機に導入し座屈処理を施し、不織布全体に亘って、不織布の一方向に山部と谷部とを交互に形成させて波形状凹凸不織布を得、
次いで、得られた波形状凹凸不織布の片面に短繊維ウェブを載置して積層体を得、
積層体の短繊維ウェブ側から高圧水流を施して、短繊維ウェブの構成繊維同士を交絡させるとともに、波形状凹凸不織布の山部の頂点に接している短繊維とポリエステル長繊維とを交絡させて、波形状凹凸不織布と短繊維ウェブとを交絡により一体化させることを特徴とする嵩高性積層不織布の製造方法を要旨とする。
まず、本発明で用いられるポリエステル長繊維について説明する。このポリエステル長繊維は、その横断面形状に特徴を有するものである。この横断面形状は、図1に示すような略Y字を四個持つものである。そして、略Y字の下端1で上下左右に連結して、図2に示すような略Y4形状となっている。この略Y4形状は、四個の凹部2と八個の凸部3と四個の小凹部4とを有している。このように多数の凹部2、多数の小凹部4、多数の凸部3を持っており、嵩高性に優れている。また、四個の凹部2の箇所に塵埃が捕捉されやすく、塵埃除去性に優れている。そして、中央の略+字部5と、略+字部5の各先端に連結された四個の略V字部6により、高剛性となっている。すなわち、六角形やY字等の単なる異形ではなく、剛性の高い略+字部5と略V字部6の組み合わせによって、より高剛性となるのである。かかるポリエステル長繊維を集積して、高剛性のポリエステル不織布を準備する。特に、ポリエステル長繊維相互間を熱融着等により結合して、嵩高で且つ高剛性のポリエステル不織布を準備することができる。長繊維相互間の結合は、熱エンボス装置に導入して、部分的に熱と圧力を加えて、圧着部を形成させて、ポリエステル長繊維相互間を熱接着により一体化させることが好ましい。
ポリエステル長繊維は、一種類のポリエステルからなるものでもよいが、低融点ポリエステルと高融点ポリエステルとを組み合わせるのが好ましい。すなわち、ポリエステル長繊維の横断面形状の略V字部6が低融点ポリエステルで形成され、略+字部5が高融点ポリエステルで形成された複合型するのが好ましい。複合型ポリエステル長繊維を集積した後、低融点ポリエステルを軟化又は溶融させた後、固化させることにより、ポリエステル長繊維相互間が低融点ポリエステルによって熱融着されたポリエステル不織布が得られるからである。また、ポリエステル不織布を構成するポリエステル長繊維の繊度は、10デシテックス以上とする。繊度が10デシテックス未満になると、長繊維の剛性が低下する傾向が生じ、ひいてはポリエステル不織布の剛性も低下する傾向が生じ、形成してなる波形状を維持しにくくなる。また、ポリエステル不織布の目付は、15〜200g/m2であるのが好ましい。目付が15g/m2未満になると、ポリエステル不織布の剛性が低下する傾向が生じる。目付の上限は特に限定されないが、座屈加工によって、良好な波形状の山部と谷部を形成するためには、厚みが大きすぎないほうがよいため、200g/m2程度がよい。なお、本発明で用いるポリエステル不織布の詳細については、上記した特許文献1に詳述されている。
本発明におけるポリエステル不織布は、不織布全体に亘って、不織布の一方向に山部と谷部とが交互に波形状の凹凸として形成されている。不織布全体に亘って一方向に交互に波形状の凹凸が形成されているとは、一方向に進行する波状の凹凸(起伏)が形成されているという意味であり、一方向に波立っており、一つの波の山および谷は一方向と直交する方向に連続している。そして、不織布の一部分にこの波形状が付与されているのではなく、不織布全体に波形状が付与されている。
このような波形状の凹凸が形成されてなる波形状凹凸不織布は、以下の方法により製造することができる。すなわち、上記したポリエステル不織布を準備し、この不織布の一方向に座屈処理を施す。一般には、ポリエステル不織布の長手方向となる機械方向に座屈処理を施す。座屈処理は、ポリエステル不織布を一定の供給速度で進行させて、この供給速度よりも遅い速度で排出させることによって行うことができ、この速度差に応じて、ポリエステル不織布に曲げモーメントが働き、座屈処理が行われるのである。座屈処理を施す装置は、マイクレックス社製のマイクロクレーパー機を用いるとよい。マイクロクレーパー機によれば、ポリエステル不織布を、まず一対の供給ローラーを通し、レターダーに押し込む。この際、一対の供給ローラーの表面を若干加熱(例えば40〜100℃程度)しておいて、ポリエステル不織布を構成する長繊維が座屈しやすいようにしておいてもよい。レターダーに押し込まれることによって、ポリエステル不織布は導入された方向に座屈処理が施されて、波状起伏が生じる。従って、波形状の山の高さやピッチ(山と山との距離)は、供給速度 と排出速度の差及びレターダーの間隔等によって、任意に決定できるのである。
そして、この座屈処理による波状起伏が生じている間に(波状起伏が消失しないうちに)、熱処理装置に通して熱処理し、形状を固定することがよい。熱処理は、ポリエステル不織布を構成している長繊維の融点以下の温度で行う。融点以上の温度で熱処理を行うと、長繊維が溶融する恐れがあり、得られる不織布の風合いが低下する恐れがある。また、この熱処理は、無押圧下で行う。押圧すると、座屈処理により生じた波状起伏が消失してしまう恐れがある。この熱処理によって、座屈処理により生じた波形状が不織布に熱固定されて、その形態が保持される。
以上のような座屈処理をポリエステル不織布に施すことによって、波形状凹凸不織布を得ることができる。
本発明の積層不織布は、上記した波形状凹凸不織布の少なくとも片面に短繊維ウェブが積層されている。そして、短繊維ウェブを構成する短繊維同士は交絡により一体化し、短繊維ウェブと波形状凹凸不織布とは、波形状の凹凸不織布の山部の頂点または谷部の頂点に接する短繊維ウェブを構成する短繊維が波形状凹凸不織布の山部の略頂点または谷部の略頂点に絡み付き一体化している。
波形状凹凸不織布の両面に短繊維ウェブが積層されてなるときは、上面に位置する短繊維ウェブは、波形状凹凸不織布の山部の頂点に接し、山部の略頂点の長繊維と短繊維とが絡み、下面に位置する短繊維ウェブは、波形状凹凸不織布の谷部の頂点に接し、谷部の略頂点の長繊維と短繊維とが絡む。そして、短繊維ウェブと波形状凹凸不織布とは、山部または谷部の略頂点と絡み合うことにより、山部の頂点付近または谷部の頂点付近と接してその箇所と交絡一体化しているが、山部の頂点付近以外の箇所および谷部の頂点付近以外の箇所とは接することなく、短繊維ウェブとの間に空隙が存在する。
すなわち、本発明の積層不織布は、波形状凹凸不織布が中芯となり、片面または両面より、短繊維ウェブからなる平らなライナーを積層または挟みこんだ立体構造となり、いわゆるダンボール構造を構成し、嵩高性に優れるのである。
波形状凹凸不織布の少なくとも片面に積層される短繊維ウェブとしては、水流交絡処理における水流の作用によって、繊維が動き、交絡することができるものであればよく、その素材としては、コットン、レーヨンやリヨセル、天然パルプ等のセルロース系繊維、ポリエステルやポリオレフィン等の熱可塑性繊維等が挙げられる。また、短繊維ウェブ中に熱バインダー繊維を適宜混合してもよい。熱バインダー繊維を混合した場合、ポリエステル不織布と短繊維ウェブとを交絡一体化した後に、熱処理を施して熱バインダー繊維を溶融軟化させて、短繊維同士や短繊維と長繊維とを熱接着することにより、より一層形態安定性に優れた積層不織布が得られる。短繊維の繊維長は、交絡性を考慮して、5〜70mm程度がよい。短繊維ウェブの目付は特に限定されず、所望により適宜選択すればよいが、15〜100g/m程度がよい。
積層不織布において、波形状凹凸不織布の波を形成している山の高さは、400μm以上であることが好ましい。波を形成している山の高さとは、波の起伏の高さであり、波の山と谷との距離であり、波形状凹凸不織布の厚みである。山の高さが500μm以上とすることで、より嵩高性が向上する。山の高さの上限は、適宜設計すればよいが、形状維持性を考慮すると、1500μm程度がよい。なお、積層不織布における波形状凹凸不織布の山の高さは、無荷重下での厚みをいう。 積層不織布において、波形状を形成する山と山との間隔(あるいは谷と谷との間隔)は、0.5〜3mmである。山と山との間隔(距離)は、拡大投影機を用いて、積層不織布断面より任意の10箇所を選択して、隣り合う山と山の間の距離を測定し、その平均値を求める。山と山との間隔が0.5mmmより小さいと、山の形状がシャープであり、山底の長さに対して山の頂点部の高さの比が大きいものであり、このような形状を維持するためには、長繊維に極めて過大な曲げモーメントを付加して折り曲げることを要することになり、山谷の形状を付与する際に長繊維が損傷しやすい。また、山と山との距離が3mm以下とすることにより、山と山との間隔または谷と谷との間隔が長くなりすぎず、所望の嵩高性を積層不織布に付与できる。
本発明の積層不織布は、以下の方法により得ることができる。すなわち、前記した波形状凹凸不織布の少なくとも片面に短繊維ウェブを載置して積層体を得、この積層体をメッシュ状支持体に担持し、積層体の短繊維ウェブ側から高圧水流を施して、短繊維ウェブの構成繊維同士を交絡させるとともに、波形状凹凸不織布の山部に接している短繊維とポリエステル長繊維とを交絡させて、波形状凹凸不織布と短繊維ウェブとを交絡により一体化させる。
波形状凹凸不織布の両面に短繊維ウェブを積層する場合は、高圧水流は、積層体の両面より施す。
この高圧水流は、孔径0.05〜2.0mmの噴射孔が、噴射孔間隔0.05〜10mmで一列又は複数列配置されている噴射装置を用い、水を噴射孔から1.5〜30MPaの圧力で噴射して得られるものである。そうすると、高圧水流はウェブに衝突して、短繊維に運動エネルギーを与える。この運動エネルギーにより、短繊維ウェブ内の短繊維同士が交絡し、また、短繊維は、波形状凹凸不織布を構成する長繊維に絡む。このとき、短繊維は、波形状凹凸不織布の凹凸の頂点付近の長繊維と絡み、頂点以外の箇所とは絡まず、波形状凹凸不織布の凹凸形状は、交絡前のその形態をほぼ維持する。高圧水流を施した際にそのような現象が生じるのは、波形状凹凸不織布の構成繊維が特殊な横断面形状となっているので、構成繊維相互間に大きな空隙が形成されており、高圧水流の通過性がよく、高圧水流による圧をまともに受けずに、凹凸形状が歪みにくいこと、および、特殊な横断面形状により剛性に優れるため、不織布自体も高剛性であり、高圧水流による圧を受けたとしても、それによって歪や変形が生じにくいため、凹凸形状を維持し、凹凸の頂点部付近にて接している短繊維と絡むのである。たとえば、横断面形状が略円形である長繊維を構成繊維と不織布であって、同様に波形状凹凸の凹凸形状が形成してなる不織布を用いると、構成繊維相互間に大きな空隙が形成されず、剛性も低いために、高圧水流による加圧によって、凹凸形状を維持できず、歪んで厚みが減少し、凹凸形状付与前の平坦な不織布の形状に近くなり、その形態で短繊維と絡むこととなるため、得られる積層不織布は、空隙部が小さく、厚みが小さく、嵩高性に劣るものとなる。
本発明の積層不織布は、ポリエステル不織布が有する波形状の凹凸を維持した状態で片面または両面に積層された短繊維ウェブを良好に積層一体化しているため、段ボールのごとき形態であり、嵩高性、クッション性に優れ、ボリューム感があり、通気性に優れるとともに、形態安定性、形態維持性に優れる。嵩高性や形態安定性を利用して、クッション材や緩衝材、衝撃吸収材、吸音材、フィルター材等の様々な分野に適用しうるものである。
本発明の積層不織布は、特定の異型断面を有する長繊維によって構成される高剛性のポリエステル不織布に、不織布の一方向に山部と谷部とが交互に波形状の凹凸として形成されており、この形状を維持した状態で、ポリエステル不織布の片面または両面に、短繊維ウェブが積層されて、交絡により一体化している。ポリエステル不織布自体が、高剛性であることから、形成された波形状の凹凸は、積層不織布の厚み方向に荷重を掛けても凹凸の形状を維持し、消失しにくく、嵩高性を良好に維持する。例えば、通常、長尺の不織布はロール巻きにして保管や搬送がされ、特にロール巻の中心部に近いほど厚み方向に荷重がかかるため変形しやすいが、本発明の積層不織布は、荷重をかけても凹凸の形状が消失しにくいため、当初の波形状の凹凸を維持することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例における特性値は、以下により求めた。
(1)ポリエステルの極限粘度[η]:フェノールを四塩化エタンとの等質量比の混合溶媒100ccに試料0.5gを溶解し、測定した。
(2)融点:パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−7型を用い、昇温速度20℃/分で測定した。
(3)不織布または積層不織布の厚み(μm):標準状態の資料から、縦10cm×横10cmの資料片10点を作成し、JIS L 1913 6.1A法に準拠し、ダイヤルシックネスゲージ(プレッサーフード25mmφ、加重1.96kPa)を用いて、それぞれの厚みを測定し、その平均値を不織布の厚みとした。
(4)不織布を構成する長繊維の単繊維繊度(dtex):温度20℃、湿度60%の環境下で1昼夜保管した長さ1.8mの資料5点の質量について、上皿天秤(Mettler AE50)を用いて測定し、その平均値より単繊維繊度を求めた。
実施例1
[ポリエステル不織布の準備]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA)92mol%及びイソフタール酸(IPA)8mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール(EG)100mol%を用いて共重合し、低融点ポリエステル(相対粘度〔ηrel〕1.44、融点230℃)を得た。この低融点ポリエステルに、結晶核剤として4.0質量%の酸化チタンを添加して、低融点ポリエステル重合体を準備した。一方、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA)100mol%とジオール成分としてエチレングリコール(EG)100mol%を用いて共重合し、高融点ポリエステル重合体(ポリエチレンテレフタレート、相対粘度〔ηrel〕1.38、融点260℃)を準備した。そして、図3に示したノズル孔を用い、V字部に低融点ポリエステル樹脂を供給し、+字部に高融点ポリエステル樹脂を供給して、紡糸温度285℃、単孔吐出量8.33g/分で溶融紡糸した。なお、低融点ポリエステル樹脂の供給量と高融点ポリエステル樹脂の供給量の重量比は、1:2であった。
ノズル孔から排出されたフィラメント群を、2m下のエアーサッカー入口に導入し、複合型ポリエステル長繊維の繊度が17デシテックスとなるように牽引した。エアーサッカー出口から排出された複合型ポリエステル長繊維群を開繊装置にて開繊した後、移動するネット製コンベア上に集積し、繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを、表面温度が213℃のエンボスロール(各エンボス凸部先端の面積は0.7mm2で、ロール全面積に対するエンボス凸部の占める面積率は15%)とフラットロールからなる熱融着装置に導入し、両ロール間の線圧490N/cmの条件として、複合型ポリエステル長繊維相互間を低融点成分で熱融着して、目付40g/m2、厚み(荷重1.96kPa)341μmのポリエステル不織布を得た。
[波形状の凹凸を形成させた不織布の製造]
上記したポリエステル不織布を、マイクレックス社製のマイクロクレーパー機に導入した。すなわち、ポリエステル不織布の機械方向に沿って、マイクロクレーパー機に導入して、不織布の機械方向に山部と谷部とが交互に波形状の凹凸として形成させた。なお、マイクロクレーパー機における供給ローラーの表面温度は40℃に設定した。
得られた波形状凹凸不織布は、目付51.5g/m2、山の高さ(荷重1.96kPa)870μm、山と山との距離は1.7mmであった。
また、圧縮に対する形態保持性(圧縮歪)を評価するために、波形状凹凸不織布を平板に挟んで、22.54kPaの荷重を加えて厚みの変化を確認した。すなわち、上記した荷重1.96kPaでの厚みに対して、荷重24.5kPaかけた際の厚みの減少率を算出したところ、21.53%であり、大きく荷重をかけた際でも、凹凸を維持していた。また、かけた荷重22.54kPaを解放した後の厚み(荷重1.96kPa)を測定したところ、820μmであり、荷重をかけた後の形態回復性にも優れていた。
[積層不織布の製造]
この波形状凹凸不織布の片面に、目付30g/m2のコットン繊維100質量%からなるコットン繊維ウェブを積層し、コットン表面ウェブ/波形状凹凸不織布なる積層体を得た。コットン繊維ウェブは、精錬・漂白したコットン繊維(繊維長約25〜35mm)を用いて、大和機工株式会社製のサンプルローラーカード機にて開繊集積して得たものである。この積層体を100メッシュのステンレスネット上に載せ、ノズル径0.13mm、水圧4.17MPaの条件で、コットン表面ウェブ側から高圧水流を施して、2層が一体化し、乾燥工程を経て、積層不織布を得た。
得られた積層不織布は、厚み(荷重1.96kPa)が1010μm、積層不織布における波形状凹凸不織布の山の高さ(無荷重下)は750μm、山と山の距離が1.85mm、目付は91.8g/m2であり、嵩密度が0.091g/cmの嵩高性に優れたものであった。
また、この積層不織布の圧縮に対する形態保持性(圧縮歪)を評価するために、平板に挟んで、22.54kPaの荷重を加えて厚みの変化を確認した。すなわち、上記した荷重1.96kPaでの厚みに対して、荷重24.5kPaかけた際の厚みの減少率を算出したところ、9.7%であり、大きく荷重をかけた際でも、凹凸を維持し、嵩を維持していた。また、かけた荷重22.54kPaを解放した後の厚み(荷重1.96kPa)を測定したところ、915μmであり、荷重をかけた後の形態回復性にも優れていた。
比較例1
[長繊維不織布の製造]
融点260℃、極限粘度[η]0.70ポリエチレンテレフタレートを準備し、公知の溶融紡糸装置を用い、繊維の横断面が円形となる紡糸孔を30個備えた紡糸口金より、紡糸温度280℃でポリエステル長繊維を溶融紡出した。紡糸口金とエアーサッカーまでの距離は140cmに設定し、紡出長繊維をエアーサッカーに導入した。このとき、ひとつのエアーサッカーに30本の長繊維を導入した。そして、エアーサッカーにて、長繊維の繊度が3.0デシテックスとなるように紡糸速度5000m/分で牽引し、紡出長繊維は、開繊装置でばらばらになるように開繊させた後、コンベアネット上に捕集・堆積させて、長繊維ウェブを得た。得られた長繊維ウエブを、エンボスロール(エンボスロールの凸部の面積0.42mm2、面積率37%)とフラットロールとからなる熱エンボス装置に導き、両ロールの表面温度235℃、線圧490N/cmの条件下で部分的に熱圧接処理を施し、目付40g/m2、厚み(荷重1.96kPa)248μmの長繊維不織布を得た。この長繊維不織布は、構成繊維である長繊維の横断面が円形であり、単繊維繊度が小さいため、実施例1で用いたポリエステル不織布に比べて、剛性も低いものであった。
[波形状の凹凸を形成させた不織布の製造]
得られた上記した比較例の長繊維不織布を、マイクレックス社製のマイクロクレーパー機に導入した。導入する際の条件は、実施例1と同様として、不織布の機械方向に山部と谷部とが交互に波形状の凹凸として形成させた。
得られた不織布は、目付60.89g/m2、山の高さ(荷重1.96kPa)780μm、山と山との距離は1.39mmであった。
また、圧縮に対する形態保持性(圧縮歪)を評価するために、不織布を平板に挟んで、荷重を24.5kPaかけて厚みの変化を確認したところ、厚みの減少率は29.0%であり、実施例と比べて大きく変形していた。
[積層不織布の製造]
比較例1の波形状凹凸不織布の片面に、目付30g/m2のコットン繊維100質量%からなるコットン繊維ウェブを積層し、コットン表面ウェブ/波形状凹凸不織布なる積層体を得た。コットン繊維ウェブは、精錬・漂白したコットン繊維(繊維長約25〜35mm)を用いて、大和機工株式会社製のサンプルローラーカード機にて開繊集積して得たものである。この積層体を100メッシュのステンレスネット上に載せ、ノズル径0.13mm、水圧4.17MPaの条件で、コットン表面ウェブ側から高圧水流を施して、乾燥工程を経た。
得られた不織布は、コットンウェブ層と波形状凹凸不織布とにおいて、層間の繊維同士が交絡していなかったため、容易に2層の状態に剥離し、積層一体化したものではなく、かった。コットンウェブ層と波形状凹凸不織布とが重なりあっているものにすぎなかった。
本発明で用いるポリエステル長繊維の横断面形状である略Y4形状の一つの略Y字を示した図である。 本発明で用いるポリエステル長繊維の横断面形状である略Y4形状を示した図である。 実施例1で用いたポリエステル不織布を製造するときに用いる紡糸孔の形状を示した図である。
1 ポリエステル長繊維の横断面形状である略Y4形状の一つの略Y字の下端
2 略Y4形状で形成された凹部
3 略Y4形状で形成された凸部
4 略Y4形状で形成された小凹部
5 略Y4形状中の略+字部
6 略Y4形状中の略V字部

Claims (4)

  1. ポリエステル長繊維で構成されてなるポリエステル不織布において、不織布全体に亘って、不織布の一方向に山部と谷部とが交互に波形状の凹凸を有してなる波形状凹凸不織布であり、
    前記ポリエステル長繊維の横断面形状は、略Y字の下端で上下左右に連結した
    形状(以下、「略Y4形状」という。)であり、
    ポリエステル長繊維の単繊維繊度が、10デシテックス以上であり、
    波形状凹凸不織布の上面または下面に、短繊維ウェブが積層され、短繊維ウェブを構成する短繊維同士は交絡により一体化し、
    短繊維ウェブと波形状凹凸不織布とは、波形状凹凸不織布の山部または谷部に接する短繊維ウェブを構成する短繊維が波形状凹凸不織布の山部の略頂点または谷部の略頂点に絡み付き、積層一体化していることを特徴とする嵩高性積層不織布。
  2. 波形状凹凸不織布の山の高さが400μm以上、
    隣り合う山と山の距離が0.5〜3mmであることを特徴とする請求項1記載の嵩高性積層不織布。
  3. ポリエステル長繊維が、略Y4形状の各々の略V字部が低融点ポリエステルよりなり、その他の略+字部が高融点ポリエステルよりなる複合型ポリエステル長繊維であり、
    不織布は、圧着部と非圧着部とを有し、圧着部では、該低融点ポリエステルを介して、該ポリエステル長繊維相互間が接着されていることを特徴とする請求項1または2記載の嵩高性積層不織布。
  4. 横断面形状が略Y字の下端で上下左右に連結した
    形状(以下、「略Y4形状」という。)であり、単繊維繊度が10デシテックス以上であるポリエステル長繊維が多数本堆積してなるウェブを、熱エンボス装置に導入して、部分的に圧着してなる圧着部を形成させて、ポリエステル長繊維相互間を熱接着により一体化させ、ついで、座屈加工機に導入し座屈処理を施し、不織布全体に亘って、不織布の一方向に山部と谷部とを交互に形成させて波形状凹凸不織布を得、
    次いで、得られた波形状凹凸不織布の片面に短繊維ウェブを載置して積層体を得、
    積層体の短繊維ウェブ側から高圧水流を施して、短繊維ウェブの構成繊維同士を交絡させるとともに、波形状凹凸不織布の山部の頂点に接している短繊維とポリエステル長繊維とを交絡させて、波形状凹凸不織布と短繊維ウェブとを交絡により一体化させることを特徴とする嵩高性積層不織布の製造方法。
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