JP6671685B2 - 高空隙積層ボードの製造方法 - Google Patents

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本発明は、嵩高で比較的大きな空隙を持つ積層ボードの製造方法に関し、特に、吸音材やフィルター材等として使用しうる高空隙積層ボードの製造方法に関するものである。
従来より、吸音材として、種々のタイプのものが知られているが、嵩高いものとしては、発泡体の両面に不織布を積層してなるものが知られている(特許文献1)。かかる吸音材は、不織布の構成繊維間に形成される比較的小さな空隙と、発泡体が持つ比較的大きな空隙によって、音を減衰させることによって、吸音効果を発揮するものである。
ところで、本発明者は、特殊な横断面形状を持つポリエステル不織布を開発した(特許文献2)。これは、ポリエステル長繊維を構成繊維とする不織布であって、該ポリエステル長繊維の横断面形状が、略Y字の下端で上下左右に連結した
Figure 0006671685
形状(以下、「略Y4形状」という。)であることを特徴とするポリエステル不織布というものである。かかるポリエステル不織布は、高剛性であるという特性を持っている。
特開2007−133268号公報 特開2013−76182号公報
本発明者は、上記ポリエステル不織布を用いて種々研究を行っていたところ、当該ポリエステル不織布の両面に、当該ポリエステル不織布に特定の凹凸柄模様を設けたものを積層してなる積層ボードは、厚み方向に圧縮しても凹凸柄模様が消失しにくく、比較的大きな空隙を保持し、吸音性に優れる積層ボートが得られることを見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。したがって、本発明の課題は、厚み方向に圧縮しても、比較的大きな空隙を保持しうる高空隙積層ボードを得ることにある。
本発明は、横断面形状が、略Y字の下端で上下左右に連結した
Figure 0006671685
形状(以下、「略Y4形状」という。)のポリエステル長繊維で構成されてなる平坦なポリエステル不織布(以下、「平坦ポリエステル不織布」という。)を製造する工程と、周面に半球状の凸部と凹部が交互に並んでいる一対の水玉ロールであって、各水玉ロールの凸部と凹部は噛合して回転している一対の水玉ロール間に、平坦ポリエステル不織布を導入して、凹凸柄模様を持つポリエステル不織布(以下、「凹凸ポリエステル不織布」という。)を製造する工程と、前記凹凸柄模様を持つポリエステル不織布の両面に、前記平坦なポリエステル不織布を積層し、積層間を接着剤で接着させる工程とを具備することを特徴とする高空隙積層ボードの製造方法に関するものである。
まず、本発明で用いられるポリエステル長繊維について説明する。このポリエステル長繊維は、その横断面形状に特徴を有するものである。この横断面形状は、図1に示すような略Y字を四個持つものである。そして、略Y字の下端1で上下左右に連結して、図2に示すような略Y4形状となっている。この略Y4形状は、四個の凹部2と八個の凸部3と四個の小凹部4とを有している。このように多数の凹部2、多数の小凹部4、多数の凸部3を持っているポリエステル長繊維が集積されてなる平坦ポリエステル不織布は、構成繊維相互間に大小の空隙が形成され、周波数の異なる各種の音を減衰しやすいものであり、吸音材の素材として好適である。また、四個の凹部2の箇所に塵埃が捕捉されやすく、塵埃除去性に優れているので、フィルター材の素材としても好適である。そして、中央の略+字部5と、略+字部5の各先端に連結された四個の略V字部6により、高剛性となっている。すなわち、六角形やY字等の単なる異形ではなく、剛性の高い略+字部5と略V字部6の組み合わせによって、より高剛性となるのである。かかるポリエステル長繊維を集積して、平坦ポリエステル不織布を準備する。特に、ポリエステル長繊維相互間を熱融着することにより結合して、高剛性の平坦ポリエステル不織布を準備することができる。
ポリエステル長繊維は、一種類のポリエステルからなるものでもよいが、低融点ポリエステルと高融点ポリエステルとを組み合わせるのが好ましい。すなわち、ポリエステル長繊維の横断面形状の略V字部6が低融点ポリエステルで形成され、略+字部5が高融点ポリエステルで形成された複合型にするのが好ましい。複合型ポリエステル長繊維を集積した後、低融点ポリエステルを軟化又は溶融させた後、固化させることにより、ポリエステル長繊維相互間が低融点ポリエステルによって熱融着された平坦ポリエステル不織布が得られるからである。また、平坦ポリエステル不織布を構成するポリエステル長繊維の繊度は、10デシテックス以上であるのが好ましい。繊度が10デシテックス未満になると、長繊維の剛性が低下する傾向が生じ、ひいては平坦ポリエステル不織布の剛性も低下する傾向が生じる。また、平坦ポリエステル不織布の目付は、15〜150g/m2であるのが好ましい。目付が15g/m2未満になると、平坦ポリエステル不織布の剛性が低下する傾向が生じる。目付が150g/m2を超えると、音が反射する傾向が生じ、吸音効果が低下する傾向が生じる。なお、本発明で用いる平坦ポリエステル不織布の詳細については、上記した特許文献2に詳述されている。
平坦ポリエステル不織布は、上記したポリエステル長繊維で構成されてなるものであり、一般的にスパンボンド法によって製造されるものである。本発明で用いる、もう一方の凹凸ポリエステル不織布は、この平坦ポリエステル不織布を用いて製造されるものである。すなわち、平坦ポリエステル不織布を一対の水玉ロール間に導入して製造されるものである。ここで、水玉ロールとは、周面に半球状の凸部と凹部が交互に並んでいるロールのことである。具体的には、図3及び図4に示した周面を持つものである。図3は、水玉ロールの周面の一部を示した平面図である。11は凹部で12は凸部であり、13は平坦部である。図4は、図3に示した水玉ロールを、A−A線縦断面図(A−A線から水玉ロールの軸方向に切断した際の断面図)である。凹部間及び凸部間のピッチは任意でよいが、一般的には5〜10mm程度である。また、凹部の深さ及び凸部の高さも任意でよいが、一般的には0.5〜1.5mm程度である。かかる一対の水玉ロールは、一方の凸部12が他方の凹部11に噛合し、一方の凹部11が他方の凸部12に噛合して回転しているものである。この一対の回転している水玉ロール間に、平坦ポリエステル不織布を通すと、水玉ロールの周面形状に合致した凹凸柄模様を持つ凹凸ポリエステル不織布が得られるのである。一対の水玉ロールが平坦ポリエステル不織布に負荷する線圧も任意であるが、50〜100kgf/cm程度であるのが好ましい。一対の水玉ロールは加熱されているのが好ましく、加熱温度はポリエステル長繊維の融点未満であり、100〜170℃程度が好ましい。凹凸ポリエステル不織布の目付も、前述した理由で、15〜150g/m2であるのが好ましい。
前述した方法で得られた凹凸ポリエステル不織布の両面に、前述した方法で得られた平坦ポリエステル不織布が積層される。そして、平坦ポリエステル不織布と凹凸ポリエステル不織布は、接着剤によって接着され、一体化される。接着剤としては、従来公知のものが用いられる。たとえば、くもの巣状、ネット状又は粉状のホットメルト接着剤が用いられる。フィルム状のホットメルト接着剤は、溶融してフィルム形態を失えば問題はないが、フィルム形態を維持している場合には、音が反射されやすかったり、通気性が損なわれるので、吸音材やフィルター材として使用しにくくなる。くもの巣状等のホットメルト接着剤の場合、平坦ポリエステル不織布と凹凸ポリエステル不織布との間に、ホットメルト接着剤を挿入し、加圧及び加熱を施すことにより、接着される。本発明で用いる平坦ポリエステル不織布及び凹凸ポリエステル不織布は、高剛性であるので、低荷重の加圧であれば圧縮されることなく嵩高なまま接着することができる。また、液状の感圧性接着剤、感熱性接着剤又は硬化性接着剤を用いてもよいが、この場合も、部分的接着剤を塗布して、フィルム形態とならないようにするのが好ましい。そして、必要により加圧及び加熱を施して接着すればよい。
平坦ポリエステル不織布と凹凸ポリエステル不織布の積層形態は、少なくとも三層、すなわち、凹凸ポリエステル不織布の両面に平坦ポリエステル不織布を積層した形態となっているが、三層以上の積層形態としてもよい。たとえば、平坦ポリエステル不織布/凹凸ポリエステル不織布/平坦ポリエステル不織布/凹凸ポリエステル不織布/平坦ポリエステル不織布の順に積層して五層の積層ボードとしてもよいし、さらに両ポリエステル不織布を積層して七層以上の積層ボードとしてもよい。
以上のようにして得られた積層ボードは、図5に示すように、平坦ポリエステル不織布21と凹凸ポリエステル不織布22とが積層されてなるものである。そして、平坦ポリエステル不織布21及び凹凸ポリエステル不織布22内部に存在する比較的小さな空隙と、平坦ポリエステル不織布21と凹凸ポリエステル不織布22間で形成される比較的大きな空隙23が存在し、高空隙の状態となっている。かかる積層ボードは、吸音材、フィルター材、建築又は土木資材等として好適に使用しうるものである。
本発明に係る方法で得られた高空隙積層ボードは、大小の空隙を持つため、吸音性能や濾過性能に優れるという効果を奏する。また、高空隙積層ボードを形成している平坦ポリエステル不織布及び凹凸ポリエステル不織布は、各々高剛性であるので、圧縮されにくく、大小の空隙を持った状態を保持でき、吸音性能や濾過性能が低下しにくいという効果をも奏する。
[平坦ポリエステル不織布の製造]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA)92mol%及びイソフタール酸(IPA)8mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール(EG)100mol%を用いて共重合し、低融点ポリエステル(相対粘度〔ηrel〕1.44、融点230℃)を得た。この低融点ポリエステルに、結晶核剤として4.0質量%の酸化チタンを添加して、低融点ポリエステル樹脂を準備した。一方、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA)100mol%とジオール成分としてエチレングリコール(EG)100mol%を用いて共重合し、高融点ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、相対粘度〔ηrel〕1.38、融点260℃)を準備した。そして、図6に示したノズル孔を用い、V字部に低融点ポリエステル樹脂を供給し、+字部に高融点ポリエステル樹脂を供給して、紡糸温度285℃、単孔吐出量8.33g/分で溶融紡糸した。なお、低融点ポリエステル樹脂の供給量と高融点ポリエステル樹脂の供給量の重量比は、1:2であった。
ノズル孔から排出されたフィラメント群を、2m下のエアーサッカー入口に導入し、複合型ポリエステル長繊維の繊度が17デシテックスとなるように牽引した。エアーサッカー出口から排出された複合型ポリエステル長繊維群を開繊装置にて開繊した後、移動するネット製コンベア上に集積し、繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを、表面温度が213℃のエンボスロール(各エンボス凸部先端の面積は0.7mm2で、ロール全面積に対するエンボス凸部の占める面積率は15%)とフラットロールからなる熱融着装置に導入し、両ロール間の線圧30kgf/cmの条件で熱融着して、目付120g/m2の平坦ポリエステル不織布を得た。
[凹凸ポリエステル不織布の製造]
目付を70g/m2とする他は、前述した方法と同一の方法で平坦ポリエステル不織布を得た。この平坦ポリエステル不織布を、一対の水玉ロールに通して、凹凸柄模様を持つ凹凸ポリエステル不織布を得た。ここで、水玉ロールは、図3及び図4に示した凹部及び凸部を持つものであり、凹部間及び凸部間のピッチが6.92mmであり、凹部の深さ及び凸部の高さが0.9mmのものである。また、一対の水玉ロールは140℃に加熱した状態で、一方の凹部を他方の凸部に、一方の凸部を他方の凹部に噛合させて回転させて、平坦ポリエステル不織布を通し、凹凸ポリエステル不織布を得た。なお、一対の水玉ロールの線圧は66.7kgf/cmとした。
[高空隙積層ボードの製造]
次に、表面平滑な金属板の上に、前記した方法で製造された平坦ポリエステル不織布と凹凸ポリエステル不織布を交互に重ねて七層となるように積層して、それぞれの層の間に融点115℃のポリアミド系樹脂からなるくもの巣状のホットメルト接着シート(目付25g/m2)を挟んで、積層体を得た。この積層体の上に表面平滑な金属板を載せることにより、積層体全面に5g/cm2の加重を掛けた状態で、150℃の熱処理器内に2分間放置して、ホットメルト接着シートの構成樹脂を溶融させて、七層間を接着させ、目付855g/m2、厚み5.98mmの積層ボードを得た。この積層ボードを、18cm×18cmの大きさに裁断して、高空隙積層ボードを得た。
[吸音性能の評価]
得られた高空隙積層ボードから、直径28.7mmの検体を採取し、以下の二つの方法で吸音率を測定した。
(吸音率の測定1)
検体3点について、JISA1405−2伝達関数法に準拠し、日本音響エンジニアリング株式会社の垂直入射吸音率測定システムWinZacMTXで測定周波数帯域500〜5000HZの各周波数につき吸音率を測定した。そして、検体3点の吸音率の平均値を算出し、表1に示した。
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
周波数(Hz) 吸音率(%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
500 4.55
630 5.19
800 6.09
1000 7.47
1250 9.06
1600 12.30
2000 17.39
2500 25.72
3150 35.76
4000 50.62
5000 71.00
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(吸音率の測定2)
検体2点を重ねた状態で、JISA1405−2伝達関数法に準拠して、日本音響エンジニアリング株式会社の垂直入射吸音率測定システムWinZacMTXで測定周波数帯域500〜5000HZの各周波数につき吸音率を測定した。その結果を表2に示した。
[表2]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
周波数(Hz) 吸音率(%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
500 9.49
630 12.30
800 16.67
1000 22.90
1250 31.59
1600 45.32
2000 60.77
2500 75.68
3150 85.22
4000 95.02
5000 90.12
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[圧縮性能の評価]
検体を直径60mmの丸形円板に挟んで、初荷重1.96kPaを掛けて検体の厚みを測定する。その後、荷重を0.98〜21.55kPaまで上乗せして増加させ、検体の厚みの減少率を求め、この結果を表3に示した。厚みの減少率(%)は、[(t0−t1)/t0]×100で算出されるものである。t0は初荷重を掛けたときの検体の厚みであり、t1は荷重を上乗せしたときの検体の厚みである。
[表3]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
荷重(kPa) 厚みの減少率(%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.96 0
2.94 0.7
3.92 1.3
6.86 2.2
9.80 2.9
10.78 3.0
11.76 3.2
13.72 3.6
16.66 4.1
23.51 5.4
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
表1及び表2の結果から、実施例に係る方法で得られた高空隙積層ボードは吸音性能に優れていることが分かる。また、表3の結果から、実施例に係る方法で得られた高空隙積層ボードは、荷重を負荷した場合にも、圧縮しにくいことが分かる。したがって、かかる高空隙積層ボードは、吸音材として使用したとき、圧縮されても高空隙を保持しており、良好な吸音性能を維持しうるものである。
本発明で用いるポリエステル長繊維の横断面形状である略Y4形状の一つの略Y字を示した図である。 本発明で用いるポリエステル長繊維の横断面形状である略Y4形状を示した図である。 本発明で用いる水玉ロールの周面の一部を示した平面図である。 図3に示した水玉ロールのA−A線縦断面図である。 本発明の一例に係る製造方法で得られた高空隙積層ボードの模式的側面図である。 実施例で用いた平坦ポリエステル不織布を製造するときに用いる紡糸孔の形状を示した図である。
1 ポリエステル長繊維の横断面形状である略Y4形状の一つの略Y字の下端
2 略Y4形状で形成された凹部
3 略Y4形状で形成された凸部
4 略Y4形状で形成された小凹部
5 略Y4形状中の略+字部
6 略Y4形状中の略V字部
11 水玉ロールの凹部
12 水玉ロールの凸部
13 水玉ロールの平坦部
21 平坦ポリエステル不織布
22 凹凸ポリエステル不織布
23 平坦ポリエステル不織布と凹凸ポリエステル不織布の層間に形成された空隙

Claims (4)

  1. 横断面形状が、略Y字の下端で上下左右に連結した
    Figure 0006671685
    形状(以下、「略Y4形状」という。)のポリエステル長繊維で構成されてなる平坦なポリエステル不織布を製造する工程と、
    周面に半球状の凸部と凹部が交互に並んでいる一対の水玉ロールであって、各水玉ロールの凸部と凹部は噛合して回転している一対の水玉ロール間に、平坦なポリエステル不織布を導入して、凹凸柄模様を持つポリエステル不織布を製造する工程と、
    前記凹凸柄模様を持つポリエステル不織布の両面に、前記平坦なポリエステル不織布を積層し、積層間を接着剤で接着させる工程とを具備することを特徴とする高空隙積層ボードの製造方法。
  2. ポリエステル長繊維が、略Y4形状の各々の略V字部が低融点ポリエステルよりなり、その他の略+字部が高融点ポリエステルよりなる複合型ポリエステル長繊維であって、該低融点ポリエステルの熱融着により、該複合型ポリエステル長繊維相互間が結合されてなる平坦なポリエステル不織布を用いる請求項1記載の高空隙積層ボードの製造方法。
  3. 接着剤として、くもの巣状又はネット状ホットメルト接着剤を用いる請求項1記載の高空隙積層ボードの製造方法。
  4. 加熱されている一対の水玉ロールを用いる請求項1記載の高空隙積層ボードの製造方法。
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