JP2017055723A - 細胞培養容器用包装袋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、細胞培養容器2を封入するために用いる細胞培養容器用包装袋1であって、細胞培養容器を封入した細胞培養容器用包装袋を下記条件で処理した場合の、細胞培養容器に対する過酸化水素の吸着量が3ng/cm2未満である、細胞培養容器用包装袋である。上記処理では、常圧及び温度45℃に保持され、容積が170Lであり、前記細胞培養容器が封入された前記細胞培養容器用包装袋が収容された密閉空間内で、6質量%過酸化水素水溶液70mL全量を7分間の超音波振動の付与により気化して過酸化水素水蒸気とし、超音波振動の停止から90分以内に前記密閉空間内の過酸化水素濃度が1mg/L以下になるように、波長254nmの紫外線照射により過酸化水素を分解する。
【選択図】図1
Description
本開示に係る包装袋の包材は、一又は複数の実施形態において、好ましくは、基材フィルムと前記基材フィルム41の一方の面側に設けられた無機薄膜層42と前記基材フィルム41の他方の面側に設けられたシーラント層43とを含む積層フィルムA(図3参照)、基材フィルム51と前記基材フィルム51の一方の面側に設けられたシーラント層52とを含む積層フィルムB(図4参照)、及び金属層61と前記金属層61の一方の面側に設けられたシーラント層62とを含む積層フィルムC(図5参照)から選ばれる少なくとも1種であるが、より好ましくは、包装袋内部の視認性が高い、積層フィルムA又は積層フィルムBであり、過酸化水素バリア性の向上の観点から積層フィルムA又は積層フィルムCであり、更に好ましくは、積層フィルムAである。
図3に示されるように、積層フィルムAは、例えば、基材フィルム41と前記基材フィルム41の一方の面側に設けられた無機薄膜層42と前記基材フィルム41の他方の面側に設けられたシーラント層43とを含む。
図4に示されるように、積層フィルムBは、基材フィルム51と前記基材フィルムの一方の面側に設けられたシーラント層52とを含む。積層フィルムBを構成する基材フィルム51の原料、製法は、積層フィルムAを構成する基材フィルム41のそれと同じでよいが、積層フィルムBを構成する基材フィルム51の厚みは、包装袋の機械強度の観点から、好ましくは30〜150μm、より好ましくは50〜120μmである。積層フィルムBを構成する基材フィルム51には、包装袋の開封性の向上の観点から、公知の易裂加工が施されていると好ましい。
図5に示されるように、積層フィルムCは、金属層61と前記金属層61の一方の面側に設けられたシーラント層62とを含む。金属層61は、金属箔又は金属蒸着層のいずれであってもよい。金属層61の形成方法は、従来公知の真空蒸着、スパッタリングや金属箔のラミネート等が挙げられる。金属層61の厚みは、過酸化水素バリア性向上及び包装袋の機械強度の観点から、好ましくは0.01〜50μm、より好ましくは0.1〜30μmである。
本開示の包装体の一態様は、滅菌の対象とされるものであり、好ましくは放射性滅菌の対象とされ、酸化ガスの発生抑制の観点から、より好ましくは電子線滅菌の対象とされる。
本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示の包装体を除染する方法である。当該除染方法は、過酸化水素中へ本開示の包装体を浸漬する方法、過酸化水素ミストに本開示の包装体を暴露する方法のいずれであってもよいが、除汚が効果的に行え、細胞培養容器への悪影響が小さい、過酸化水素ミストへの暴露が好ましい。
[1] 細胞培養容器を封入するために用いる細胞培養容器用包装袋であって、
前記細胞培養容器を封入した前記細胞培養容器用包装袋を下記条件で処理した場合の、前記細胞培養容器に対する過酸化水素の吸着量が3ng/cm2未満である、細胞培養容器用包装袋。
上記処理では、常圧及び温度45℃に保持され、容積が170Lであり、前記細胞培養容器を封入した前記細胞培養容器用包装袋が収容された密閉空間内で、6質量%過酸化水素水溶液70mL全量を7分間の超音波振動の付与により気化して過酸化水素水蒸気とし、超音波振動の停止から90分以内に前記密閉空間内の過酸化水素濃度が1mg/L以下になるように、波長254nmの紫外線照射により過酸化水素を分解する。
[2] 包装袋を構成する包材が、基材フィルムと前記基材フィルムの一方の面側に設けられた無機薄膜層と前記基材フィルムの他方の面側に設けられたシーラント層とを含む積層フィルム、基材フィルムと前記基材フィルムの一方の面側に設けられたシーラント層とを含む積層フィルム、及び金属層と前記金属層の一方の面側に設けられたシーラント層とを含む積層フィルムから選ばれる少なくとも1種である、前記[1]に記載の細胞培養容器用包装袋。
[3] 前記基材フィルムの材料が、ポリエステル又はポリアミドである前記[2]に記載の細胞培養容器用包装袋。
[4] 前記無機薄膜層が酸化珪素を含む蒸着膜である、前記[2]又は[3]に記載の細胞培養容器用包装袋。
[5] 前記金属層がアルミニウムを含む膜である、前記[2]又は[3]に記載の細胞培養容器用包装袋。
[6] 前記細胞培養容器用包装袋は、一重包装袋又は多重包装袋である、前記[1]から[5]のいずれかに記載の細胞培養容器用包装袋。
[7] 前記包材の、JIS Z0222に基づいて、40℃、90%RH(相対湿度)の測定条件下で測定される水蒸気透過度が、0.2g/(m2・24hr)以下である、前記[1]から[6]のいずれかに記載の細胞培養容器用包装袋。
[8] 前記包材の、JIS K7126−2に基づいて、25℃、80%RH(相対湿度)の測定条件下で測定される酸素透過度が、2.0ml/(m2・24hr・MPa)以下である、前記[1]から[7]のいずれかに記載の細胞培養容器用包装袋。
[9] 袋内にガス吸収体を備える、前記[1]から[8]のいずれか一項に記載の細胞培養容器用包装袋。
[10] 前記[1]から[9]のいずれかに記載の細胞培養容器用包装袋と、前記細胞培養容器用包装袋内に封入された細胞培養容器とを含む、包装体。
[11] 前記[1]から[8]のいずれかに記載の細胞培養容器用包装袋内に細胞培養容器を封入する工程と、
前記細胞培養容器が封入された前記細胞培養容器用包装袋を放射線滅菌する滅菌工程を含む、包装体の製造方法。
[12] 前記滅菌工程で、前記細胞培養容器が封入された前記細胞培養容器用包装袋に、100kGy/hr以上100MGy/hr以下の放射線を照射する、前記[11]に記載の包装体の包装体の製造方法。
[13] 前記[9]に記載の細胞培養容器用包装袋内に細胞培養容器を封入する工程と、
前記細胞培養容器が封入された前記細胞培養容器用包装袋をγ線滅菌する滅菌工程を含む、包装体の製造方法。
[14] 前記[11]から[13]のいずれかに記載の包装体の製造方法により製造された包装体に対して、過酸化水素処理を行なう工程を含み、
前記過酸化水素処理を行なう工程において、
前記包装体を過酸化水素に曝した後、前記過酸化水素を含む雰囲気中の過酸化水素濃度を低減する、包装体の除染方法。
[15] 前記過酸化水素処理を行なう工程において、
前記包装体を過酸化水素水蒸気又は過酸化水素プラズマに曝す、前記[14]に記載の包装体の除染方法。
[16] 前記過酸化水素処理を行なう工程において、
前記過酸化水素水蒸気への紫外線照射によって過酸化水素を分解することにより、前記雰囲気中の過酸化水素濃度を低減する、前記[14]又は[15]に記載の包装体の除染方法。
[17] 前記過酸化水素処理を行なう工程において、
前記雰囲気から過酸化水素を排出することによって、前記雰囲気中の過酸化水素濃度を低減する、前記[14]又は[15]に記載の包装体の除染方法。
(1)直径90mmのポリスチレン樹脂製シャーレ(MS−13900、住友ベークライト社製)を、下記実施例1〜2、比較例1〜2の包装袋内に封入し、シャーレ内包包装袋(包装体)を得た。
(2)CO2インキュベーター(MCO−170AICUVH−PJ、容積170L、パナソニック社製)内に、H2O2発生器(MCO−HP−PJ、パナソニック社製)を接続し、(1)で得たシャーレ内包包装袋をCO2インキュベーター内に入れた後、H2O2発生器に過酸化水素水(6重量%過酸化水素水、パナソニック社製)78mLを供給した。その後、インキュベーター内の温度を45℃まで上昇させた後、超音波によって過酸化水素蒸気を発生させて、シャーレ内包包装袋に常圧45℃の雰囲気下で、過酸化水素蒸気を噴霧した。過酸化水素水への超音波の付与時間は7分とした。過酸化水素水への超音波の付与の停止後、直ちに、過酸化水素水蒸気へ波長254nmの紫外線を90分間照射することにより過酸化水素を分解して、CO2インキュベーター内の過酸化水素水蒸気濃度を1mg/L以下とした。なお、45℃温度上昇から過酸化水素分解までは、本実施例で使用した機器のプログラムにより行なった。紫外線の照射後、CO2インキュベーター内に、過酸化水素水が8mL残っていたことから、過酸化水素蒸気の噴霧に、70mlの過酸化水素水が使用されたことになる。
(3)その後、包装袋からシャーレを取り出し、水平面に置いたシャーレに3mlの超純水を入れて、当該超純水に、シャーレの底面及び当該底面に隣接するシャーレ内側面の一部(以下、「被洗浄面」と言う。)に吸着した過酸化水素を溶解させた。被洗浄面の面積は58.5cm2である。
(4)上記(3)で得た過酸化水素が溶解した超純水を、パックテスト過酸化水素(共立化学社製、WAK−H2O2、測定範囲 H2O2 0.05〜5ppm、ペルオキシダーゼを用いた4−アミノアンチピリン法)で発色させ、波長550nmの光の吸光度を測定した。得られた吸光度は、別途作成した検量線を用いて、残存過酸化水素濃度[ppm]及び過酸化水素吸着量[ng/cm2]に換算して、表1に示した。
96ウェルプレート(MS−8096F、住友ベークライト社製)を、下記実施例3〜4、実験例1の包装袋内に封入して包装体を得、当該包装体をガンマ線滅菌又は電子線滅菌の対象とした。次いで、包装体を、4週間、室温(25℃)で静置後、各ウェルにNS−1(マウス骨髄腫)細胞1個と10%ウシ胎児血清添加MEM培地0.1mlとを入れてから、37℃、5%CO2雰囲気下で7日間培養し、その後NS−1細胞が増殖してコロニーが形成されたウェル数を調べ、その結果を表1に示した。
PETフィルム(12μm)の片面にシリカ蒸着膜が形成されたテックバリアHX(厚さ:約12μm、三菱樹脂製)に、ヒートシール層としてポリエチレンシート(厚さ80μm、ポリエチレンの重量平均分子量)を積層して、包装袋用の包材を得た。この包材を使用して、145mm×220mmの袋を作製し、直径90mmのシャーレ(MS−13900、住友ベークライト社製)を1個入れ、ヒートシールをし、包装体を作製した。包材の、JIS Z0222に基づいて、40℃、90%RHの測定条件下で測定した水蒸気透過度は、0.08g/(m2・24hr)、JIS K7126−2に基づいて、25℃、80%RH(相対湿度)の測定条件下で測定した酸素透過度は1.0g/(m2・24hr・MPa)である。
下記構成の包材を用いたこと以外は実施例1と同様にして、包装体を作製した。
ヒートシール層(ポリエチレン)20μm/アルミニウム箔9μm/ポリエチレン15μm/ナイロン15μm
包装袋内に、ガス吸着体(オージーキャッチ(登録商標)、共同印刷(株)製)400cm2を細胞培養容器と同梱し、細胞培養容器として、直径90mmのシャーレ(MS−13900、住友ベークライト社製)に代えて、96ウェルプレート(MS−8096F、住友ベークライト社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして包装体を作製した。得られた包装体に対して、γ線を照射した。細胞培養容器の無菌性水準を医療用具に求められる無菌性水準とするために、γ線の、線量率は1kGy/h、照射線量は19kGyとした。
直径90mmのシャーレ(MS−13900、住友ベークライト社製)に代えて、96ウェルプレート(MS−8096F、住友ベークライト社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして包装体を作製した。得られた包装体に対して、電子線を照射した。細胞培養容器の無菌性水準を医療用具に求められる無菌性水準とするために、電子線の、線量率は1000kGy/h、照射線量は19kGyとした。
下記構成の包材を用いたこと以外は実施例1と同様にして、包装体を作製した。
ヒートシール層(ポリエチレン)60μm/ナイロン25μm/
下記構成の包材を用いたこと以外は実施例1と同様にして、包装体を作製した。
ヒートシール層(ポリエチレン)50μm/ポリエチレンテレフタレート12μm
直径90mmのシャーレ(MS−13900、住友ベークライト社製)に代えて、96ウェルプレート(MS−8096F、住友ベークライト社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして包装体を作製した。得られた包装体に対して、γ線を照射した。細胞培養容器の無菌性水準を医療用具に求められる無菌性水準とするために、γ線の、線量率は1kGy/h、照射線量は19kGyとした。
2 細胞培養容器
3 過酸化水素インジケーター
41,51 基材フィルム
42 無機薄膜層
43,52,62 シーラント層
61 金属層
Claims (13)
- 細胞培養容器を封入するために用いる細胞培養容器用包装袋であって、
前記細胞培養容器を封入した前記細胞培養容器用包装袋を下記条件で処理した場合の、前記細胞培養容器に対する過酸化水素の吸着量が3ng/cm2未満である、細胞培養容器用包装袋。
上記処理では、常圧及び温度45℃に保持され、容積が170Lであり、前記細胞培養容器が封入された前記細胞培養容器用包装袋が収容された密閉空間内で、6質量%過酸化水素水溶液70mL全量を7分間の超音波振動の付与により気化して過酸化水素水蒸気とし、超音波振動の停止から90分以内に前記密閉空間内の過酸化水素濃度が1mg/L以下になるように、波長254nmの紫外線照射により過酸化水素を分解する。 - 包装袋を構成する包材が、基材フィルムと前記基材フィルムの一方の面側に設けられた無機薄膜層と前記基材フィルムの他方の面側に設けられたシーラント層とを含む積層フィルム、基材フィルムと前記基材フィルムの一方の面側に設けられたシーラント層とを含む積層フィルム、及び金属層と前記金属層の一方の面側に設けられたシーラント層とを含む積層フィルムから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の細胞培養容器用包装袋。
- 前記基材フィルムの材料が、ポリエステル又はポリアミドである請求項2に記載の細胞培養容器用包装袋。
- 前記無機薄膜層が酸化珪素を含む蒸着膜である、請求項2又は3に記載の細胞培養容器用包装袋。
- 前記金属層がアルミニウムを含む膜である、請求項2又は3に記載の細胞培養容器用包装袋。
- 前記細胞培養容器用包装袋は、一重包装袋又は多重包装袋である、請求項1から5のいずれか一項に記載の細胞培養容器用包装袋。
- 前記包材の、JIS Z0222に基づいて、40℃、90%RH(相対湿度)の測定条件下で測定される水蒸気透過度が、0.2g/(m2・24hr)以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の細胞培養容器用包装袋。
- 前記包材の、JIS K7126−2に基づいて、25℃、80%RH(相対湿度)の測定条件下で測定される酸素透過度が、2.0ml/(m2・24hr・MPa)以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載の細胞培養容器用包装袋。
- 袋内にガス吸収体を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の細胞培養容器用包装袋。
- 請求項1から9のいずれか一項に記載の細胞培養容器用包装袋と、前記細胞培養容器用包装袋内に封入された細胞培養容器とを含む、包装体。
- 請求項1から9のいずれかの一項に記載の細胞培養容器用包装袋内に細胞培養容器を封入する工程と、
前記細胞培養容器が封入された前記細胞培養容器用包装袋を放射線滅菌する滅菌工程と、を含む、包装体の製造方法。 - 前記滅菌工程で、前記細胞培養容器が封入された前記細胞培養容器用包装袋に、電子線を照射する、請求項11に記載の包装体の製造方法。
- 請求項9に記載の胞培養容器用包装袋内に、前記ガス吸収体とともに細胞培養容器を封入する工程と、
前記細胞培養容器が封入された前記細胞培養容器用包装袋をγ線滅菌する滅菌工程と、を含む、包装体の製造方法。
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