JP2017053362A - 無段変速機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】レシオカバレッジを確保するとともに自在に変速比を変更することができるようにした、無段変速機構を提供する。
【解決手段】
無段変速機構の相対回転駆動機構は、回転軸1の軸方向に沿って設けられ、固定ディスク10と一体回転する第一回転部15に設けられた第一カム溝15aと、第一カム溝15aと交差するとともに軸方向に沿って設けられ、可動ディスク19と一体回転する第二回転部16に設けられた第二カム溝16aと、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設され、一端部90aが前記径方向に突出されたカムローラ90と、カムローラ90の一端部90aを収容する溝部35cが設けられ、カムローラ90に対して軸方向の力を伝達する軸方向力伝達部材35と、軸方向力伝達部材35を軸方向に移動させる軸方向移動機構31と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転軸に対して等距離を維持しながら径方向に可動に支持されて且つ一体回転するように回転軸に対して公転する複数のピニオンスプロケットとこれらに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する無段変速機構に関するものである。
従来、プライマリプーリとセカンダリプーリとに駆動ベルトが巻き掛けられ、各プーリの可動シーブに加える推力により各プーリと駆動ベルトとの間に発生した摩擦力を用いて動力伝達するベルト式無段変速機が、例えば車両用変速機として実用化されている。
かかる無段変速機では、大きな動力を伝達する際に、推力を増大させて摩擦力を確保することが必要である。この際、推力発生用のオイルポンプを駆動する駆動源(エンジン又は電動モータ)の負担が増大し、これにかかる燃料消費量又は電力消費量の増加を招いてしまうおそれがあり、また、各プーリや駆動ベルトなどの耐久性を損ねるおそれがある。
そこで、上記の推力や摩擦力を用いずに、複数のピニオンスプロケットとこれに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する無段変速機構が開発されている。
このような無段変速機構としては、回転軸に対して等距離を維持しながら径方向に可動に支持されて且つ一体回転するように回転軸に対して公転する複数のピニオンスプロケットがそれぞれ多角形の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケット(ここでは、「複合スプロケット」と呼ぶことにする)が、入力側及び出力側のそれぞれに設けられ、これらの複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンによって動力伝達するものが挙げられる。かかる構成のもとでは、各ピニオンスプロケットが回転軸に対して等距離を維持しながら同期して径方向に移動することで、多角形の大きさが相似的に変化することにより、変速比が変化する。
このような無段変速機構が、例えば特許文献1及び特許文献2に示されている。
特許文献1には、複数のピニオンスプロケットの一側に二つディスク(スピンドル)が並設され、それぞれのディスクに放射状溝が設けられ、回転軸と一体に回転する固定ディスクの放射状溝(以下、「第一放射状溝」という)と回転軸に対して回転可能な可動ディスクの放射状溝(以下、「第二放射状溝」という)とが互いに交差するように配置され、第一放射状溝と第二放射状溝とが交差する箇所に各スプロケットの軸が支持されたものが示されている。固定ディスクと可動ディスクとの相対角度(位相)が変更されると、第一放射状溝と第二放射状溝との交差箇所が径方向に移動するため、かかる交差箇所に軸支された各ピニオンスプロケットは、両ディスクの相対回転により径方向に移動される。
さらに、特許文献1には、固定ディスク及び可動ディスクの互いに対応するそれぞれの箇所に周方向に沿う溝が形成され、これらの溝に固定ディスク及び可動ディスクの回転位相を一致させるように付勢するスプリングが設けられ、入力の大きさと出力側にかかる負荷の大きさとに応じてスプリングが伸縮し、固定ディスクに対して可動ディスクが相対的に回転されることが示されている。
特許文献2には、各ピニオンスプロケットが取り付けられたスライドフレームに雌ネジが設けられ、この雌ネジに取り付けられる各雄ネジを回転させる動力分配装置が複数のピニオンスプロケットにより形成される多角形の中心に設けられたものが示されている。この動力分配装置により各雄ネジを同時に同数回転させることで、各スプロケットを径方向に移動させている。
米国特許第7713154号 特開2002−250420号
しかしながら、特許文献1の技術では、固定ディスクに対する可動ディスクの相対回転が、入力及び負荷の大きさに応じてなされるため、これらの入力及び負荷の大きさに独立して自在に変速比を変速することができない。
一方、特許文献2の技術では、自在に変速比を変更することができるものの、各ピニオンスプロケットを径方向に移動するための動力分配装置を最も縮径したピニオンスプロケットよりも中心側に設ける必要があるため、レシオカバレッジ(変速比の可動範囲)を確保することができないおそれがある。
本発明の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、レシオカバレッジを確保するとともに自在に変速比を変更することができるようにした、無段変速機構を提供することである。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の無段変速機構は、動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させるスプロケット移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れもを囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する無段変速機構であって、前記スプロケット移動機構は、前記複数のピニオンスプロケットの各支持軸が内挿されるスプロケット用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、前記スプロケット用固定放射状溝と交差する第一交差箇所に前記支持軸が位置するスプロケット用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転駆動して、前記第一交差箇所を前記径方向に移動させる相対回転駆動機構と、を備え、前記相対回転駆動機構は、前記回転軸の軸方向に沿って設けられ、前記固定ディスクと一体回転する第一回転部に設けられた第一カム溝と、前記第一カム溝と交差するとともに前記軸方向に沿って設けられ、前記可動ディスクと一体回転する第二回転部に設けられた第二カム溝と、前記第一カム溝と前記第二カム溝とが交差する第二交差箇所に配設され、一端部が前記径方向に突出されたカムローラと、前記カムローラの前記一端部を収容する溝部が設けられ、前記カムローラに対して前記軸方向の力を伝達する軸方向力伝達部材と、前記軸方向力伝達部材を前記軸方向に移動させる軸方向移動機構と、を備えたことを特徴としている。
(2)前記軸方向力伝達部材は、各前記複合スプロケットに対応して設けられ、内周側に前記第一回転部及び前記第二回転部が配設されるカムローラ支持部と、前記カムローラ支持部を連結するブリッジ部とを有することが好ましい。例えば、前記軸方向力伝達部材は、前記固定ディスク及び前記可動ディスクに平行なプレート状に並設されている。
(3)前記第一カム溝は、前記回転軸を前記軸方向に沿って凹設して設けられ、前記第二カム溝は、前記第一カム溝の外周に隣接して設けられたことが好ましい。
(4)前記第二回転部と前記可動ディスクの外周部とを接続する接続部を備え、前記接続部には、肉抜き部が設けられていることが好ましい。
(5)また、前記第一回転部は、前記固定ディスクの外周部から前記軸方向に延設され、前記第二回転部は、前記可動ディスクの外周部から前記軸方向に延設されたことが好ましい。
(6)前記溝部に、前記カムローラと転がり接触しうる転動体が設けられたことが好ましい。
本発明の無段変速機構によれば、軸方向移動機構が軸方向力伝達部材を軸方向に移動させると、軸方向力伝達部材の溝部に一端部が収容されたカムローラが軸方向に移動される。このカムローラは、第一カム溝と第二カム溝とが交差する第二交差箇所に配設されるため、カムローラが軸方向に移動されると、この移動に伴って第二交差箇所も軸方向に移動する。第二交差箇所が軸方向に移動されると、第一回転部に設けられた第一カム溝と第二回転部に設けられた第二カム溝とを介して、第二回転部が第一回転部に対して相対回転駆動される。第一回転部は固定ディスクと一体回転し、第二回転部は可動ディスクと一体回転するため、固定ディスクに対して可動ディスクが相対回転駆動される。固定ディスクに対して可動ディスクが相対回転駆動されると、第一交差箇所及びこの箇所に配置されるピニオンスプロケットの支持軸が径方向に移動される。
このように、カムローラの軸方向への移動によって可動ディスクを固定ディスクに対して相対回転駆動することで、ピニオンスプロケットを径方向に移動させ、自在に変速比を変更することができる。
また、第一カム溝が設けられる第一回転部と、第二カム溝が設けられる第二回転部と、これらのカム溝が交差する第二交差箇所に配設されるカムローラを軸方向に移動させるための軸方力伝達部材及び移動機構とは、複数のピニオンスプロケットの外周や複数のピニオンスプロケットに対して軸方向にシフトした箇所(複数のピニオンスプロケットにより形成される多角形の中心以外の箇所)に設けることができるため、各ピニオンスプロケットの最縮径位置を径方向内側にする(回転軸に接近させる)ことができ、レシオカバレッジを確保することができる。
本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構の複合スプロケット及びチェーンに着目した要部を模式的に示す径方向断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構のピニオンスプロケット等の径方向移動用の相対回転駆動機構に着目した要部を模式的に示す軸方向断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構においてピニオンスプロケット等の径方向移動用の固定ディスク及び可動ディスクとこれらによって移動されるピニオンスプロケット及びガイドロッドの各支持軸とを示し、スプロケット移動機構及びロッド移動機構を説明する図であり、(a),(b),(c)の順に接円半径が大きくなっている。なお、接円半径が、最小径のものを(a)に示し、最大径のものを(c)に示す。 本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構の径方向断面図である。この図4は、図2のA−A矢視断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構の径方向断面図である。この図5は、図2のB−B矢視断面図である。 本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構の第一カム溝及び第二カム溝を拡大して示す要部拡大図である。この図6は、図2のC−C矢視図である。 本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構のチェーン及びこれをガイドするガイドロッドの一部を取り出して模式的に示す斜視図である。 本発明の第二実施形態にかかる無段変速機構の要部を模式的に示す軸方向断面図である。この図8は、図2に対応する箇所を示している。 本発明の第二実施形態にかかる無段変速機構の径方向断面図である。この図9は、図8のD−D矢視断図である。 本発明の第二実施形態にかかる無段変速機構の相対回転駆動機構の要部を示す断面図である。この図10は、図9のE−E矢視図である。
以下、図面を参照して、本発明の無段変速機構にかかる実施の形態を説明する。本実施形態の無段変速機構は、車両用変速機に用いて好適である。なお、本実施形態では、無段変速機構における回転軸の軸心に近い側(公転軸側)を径方向内側とし、その反対側を径方向外側として説明する。また、複数のピニオンスプロケットから回転軸の軸心に沿って離隔する側を軸方向外側とし、その反対側を軸方向内側として説明する。
〔1.第一実施形態〕
以下、第一実施形態にかかる無段変速機構について説明する。
〔1−1.無段変速機構の構成〕
無段変速機構は、図1に示すように、二組の複合スプロケット5,5と、これらの複合スプロケット5,5に巻き掛けられたチェーン6とを備えている。なお、複合スプロケット5とは、詳細を後述する複数のピニオンスプロケット20及び複数のガイドロッド29が多角形(ここでは十八角形)の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットを意味する。
二組の複合スプロケット5,5のうち、一方は、入力側の回転軸1(入力軸)と同心に一体回転する一組の複合スプロケット5(図1では左方に示す)であり、他方は、出力側の回転軸1(出力軸)と同心に一体回転する複合スプロケット5(図1では右方に示す)である。これらの複合スプロケット5,5はそれぞれ同様に構成されているため、下記の説明では、入力側の複合スプロケット5に着目し、その構成を説明する。
複合スプロケット5は、回転軸1と、この回転軸1に対して径方向に可動に支持された複数(ここでは三個)のピニオンスプロケット20及び複数(ここでは十五本)のガイドロッド(第一ガイドロッド)29とを有している。三個のピニオンスプロケット20は、回転軸1の軸心C1を中心にした円周上において周方向に沿って等間隔に配置され、ピニオンスプロケット20の相互間にはそれぞれ五本のガイドロッド29が配置されている。
図1には示さないが、複合スプロケット5は、複数のピニオンスプロケット20を移動させるスプロケット移動機構40Aと、スプロケット移動機構40Aに連動してピニオンスプロケット20に含まれる自転ピニオンスプロケット22,23を自転駆動する機械式自転駆動機構50と、複数のガイドロッド29を移動させるロッド移動機構40Bとを備えている(図2〜図5参照)。これらについては、詳細を後述する。
この無段変速機構は、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29が多角形(ここでは十八角形)の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットの外径、即ち、複合スプロケット5の外径を変更(拡縮径)することによって変速比を変更するものである。
複合スプロケット5の外径とは、複数のピニオンスプロケット20の何れもを囲み、且つ、複数のピニオンスプロケット20の何れにも接する円(接円)の半径(以下、「接円半径」という)に対応するものである。また、複合スプロケット5にはチェーン6が巻き掛けられるため、複合スプロケット5の外径は、複数のピニオンスプロケット20とチェーン6との接触半径に対応するものともいえる。よって、接円半径或いは接触半径が最小径であるときには、複合スプロケット5の外径が最小径であり、また、接円半径或いは接触半径が最大径であるときには、複合スプロケット5の外径が最大径である。
このため、無段変速機構は、接円半径の変更によって変速比を変更するものといえる。
なお、図1には、入力側の接円半径が最小径であり、出力側の接円半径が最大径のものを示している。
以下、無段変速機構の構成を、複合スプロケット5及びこれに巻き掛けられるチェーン6の順に説明する。
〔1−1−1.複合スプロケット〕
以下の複合スプロケット5にかかる構成の説明では、ピニオンスプロケット20,ガイドロッド29,スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50の順に説明する。
〔1−1−1−1.ピニオンスプロケット〕
三個のピニオンスプロケット20は、それぞれチェーン6と噛合って動力伝達する歯車として構成され、回転軸1の軸心C1周りに公転する。ここでいう「公転」とは、各ピニオンスプロケット20が、回転軸1の軸心C1を中心に回転することを意味する。回転軸1が回転すると、この回転に連動して各ピニオンスプロケット20が公転する。つまり、回転軸1の回転数とピニオンスプロケット20が公転する回転数とは等しい。なお、図1には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
これらのピニオンスプロケット20は、自転しない一つのピニオンスプロケット(以下、「固定ピニオンスプロケット」という)21と、この固定ピニオンスプロケット21を基準に公転の回転位相が進角側及び遅角側のそれぞれに配置され自転可能な二つの自転ピニオンスプロケット22,23とから構成されている。なお、以下の説明では、固定ピニオンスプロケット21を基準に進角側に設けられたピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)を第一自転ピニオンスプロケット22と呼び、遅角側に設けられたピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)を第二自転ピニオンスプロケット23と呼んで区別する。
各ピニオンスプロケット21,22,23は、いずれも、その中心に設けられた支持軸(ピニオンスプロケット軸)21a,22a,23aに対して結合されている。ここでいう「自転」とは、各自転ピニオンスプロケット22,23がその支持軸22a,23aの軸心C3,C4周りに回転することを意味する。なお、各支持軸21a,22a,23aの軸心C2,C3,C4及び回転軸1の軸心C1は、何れも相互に平行である。
固定ピニオンスプロケット21は、本体部21bとこの本体部21bの外周部全周に形成された歯21cとを有する。同様に、自転ピニオンスプロケット22,23は、何れも本体部22b,23bとこの本体部22b,23bの外周部全周に突出形成された歯22c,23cとを有する。
当然ながら、各ピニオンスプロケット21,22,23に形成される歯の形状寸法及びピッチは同一規格のものとなっている。
詳細は後述するが、第一自転ピニオンスプロケット22は、接円半径の拡径時に時計回りに自転し、接円半径の縮径時に反時計回りに自転する。一方、第二自転ピニオンスプロケット23は、接円半径の拡径時に反時計回りに自転し、接円半径の縮径時に時計回りに自転する。
本実施形態では、図2に示すように、各自転ピニオンスプロケット22,23は、それぞれ軸方向に三列の歯車を備え、図示省略するが、固定ピニオンスプロケット21も軸方向に三列の歯車を備え、これらの各列の歯車に対応してチェーン6も三本巻き掛けられている。このように、各ピニオンスプロケット21,22,23は、軸方向に三列の歯車を有する。ここでは、各ピニオンスプロケット20の三列の歯車は、スペーサを介し互いに間隔をあけて設けられている。
なお、各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数は、無段変速機構の伝達トルクの大きさによるが、二列又は四列以上であってもよいし一列であってもよい。また、図2には、理解容易のため模式的に示しており、同断面に第一自転ピニオンスプロケット22,第二自転ピニオンスプロケット23及び後述する相対回転駆動機構30を示している。
〔1−1−1−2.ガイドロッド〕
図1に示すように、複数のガイドロッド29は、チェーン6と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくするように、つまり、回転軸1周りのチェーン6の軌道を可能な限り円軌道に近づけるように、チェーン6をガイドするものである。このガイドロッド29は、その径方向外側の周面に当接するチェーン6の軌道をガイドする。ピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29は多角形(略正多角形)の形状をなすので、チェーン6は、その径方向内側のピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29に当接しガイドされながら多角形の形状に沿って転動する。
各ガイドロッド29は、ロッド支持軸29a(図1では一箇所のみ破線で示す)の外周に円筒状のガイド部材29bが外挿されたものであり、ロッド支持軸29aによって支持され、ガイド部材29bの外周面でチェーン6をガイドする。
なお、ガイドロッド29の本数は、十五本に限らず、これよりも多くてもよいし少なくてもよい。この場合、ガイドロッド29の本数は、ピニオンスプロケット20の相互間の数(ここでは三つ)の倍数であることが好ましい。また、ガイドロッド29を多く設けるほど複合スプロケット5を真円に近づけ、チェーン6と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくすることができるが、パーツの増加による製造コストや重量の増加を招くため、これらを考慮してガイドロッド29の本数を設定することが好ましい。更に言えば、簡素な構成とするために、ガイドロッド29を省略してもよい。
〔1−1−1−3.スプロケット移動機構,ロッド移動機構及び機械式自転駆動機構〕
次に、スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B及び機械式自転駆動機構50をそれぞれ説明する。
スプロケット移動機構40Aは、複数のピニオンスプロケット20を移動対象とし、また、ロッド移動機構40Bは、複数のガイドロッド29を移動対象としている。
これらの移動機構40A,40Bは、各移動対象(複数のピニオンスプロケット20,複数のガイドロッド29)を回転軸1の軸心C1から等距離を維持させながら径方向に同期して移動させるものである。
機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aによる複数のピニオンスプロケット20の径方向移動に伴って、チェーン6に対する複数のピニオンスプロケット20の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して自転駆動するものである。
〔1−1−1−3−1.前提構成〕
まず、図2を参照して、上記の機構40A,40B,50の前提構成を説明する。ここでは、かかる前提構成として、回転軸1と一体に回転する固定ディスク10(径方向移動用固定ディスク,自転用固定ディスク)と、この固定ディスク10に対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスク19と、固定ディスク10と一体回転する第一回転部15と、可動ディスク19と一体回転する第二回転部16と、可動ディスク19を固定ディスク10に対して相対回転駆動する相対回転駆動機構30との順にそれぞれを説明する。
なお、固定ディスク10及び可動ディスク19は、複数のピニオンスプロケット20の両側(回転軸1の軸心C1に沿う方向の一側及び他側)にそれぞれ設けられているが、ここでは一側(図2の紙面上方側)に設けられた固定ディスク10,可動ディスク19に着目し、その構成を説明する。
〔1−1−1−3−1−1.固定ディスク〕
固定ディスク10は、回転軸1と一体に形成されるか、或いは、何れも回転軸1と一体回転するように結合されている。なお、図2では、複数のピニオンスプロケット20側から軸方向外側に向けて可動ディスク19,固定ディスク10の順に配置されたもの例示する。
図3に示すように、固定ディスク10には、各ピニオンスプロケット21,22,23(図1参照)に対応して設けられたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとロッド用固定放射状溝12(一箇所のみに符号を付す)との二種の放射状溝が形成されている。
スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、ピニオンスプロケット20のそれぞれに対応して設けられ、また、ロッド用固定放射状溝12は、ガイドロッド29のそれぞれに対応して設けられている。
スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cには、ピニオンスプロケット21,22,23の各支持軸21a,22a,23aが内挿されている。固定ピニオンスプロケット21に対応するスプロケット用固定放射状溝11aは、固定ピニオンスプロケット21の径方向移動を案内する溝(固定ピニオンスプロケット案内溝)といえ、同様に、第一自転ピニオンスプロケット22に対応するスプロケット用固定放射状溝11bは、第一自転ピニオンスプロケット22の径方向移動を案内する溝といえ、第二自転ピニオンスプロケット23に対応するスプロケット用固定放射状溝11cは、第二自転ピニオンスプロケット23の径方向移動を案内する溝といえる。このため、これらのスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、対応するピニオンスプロケット21,22,23の径方向移動経路に沿っている。
また、ロッド用固定放射状溝12には、各ガイドロッド29のロッド支持軸29a(一箇所のみに符号を付す)が内挿されている。
〔1−1−1−3−1−2.可動ディスク〕
可動ディスク19(破線で示す)には、スプロケット用可動放射状溝19aとロッド用可動放射状溝19b(何れも一箇所のみに符号を付して破線で示す)との二種の可動放射状溝が形成されている。なお、可動ディスク19の外形は円形であり、円形である第一固定ディスク11の外形と一致して重合するが、図3では便宜上の可動ディスク19の外形円を縮小して示している。
スプロケット用可動放射状溝19aのそれぞれは、上記のスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cのそれぞれに交差して設けられる。スプロケット用可動放射状溝19aとスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとが交差する第一交差箇所CP1(何れも一箇所にのみ符号を付す)には、ピニオンスプロケット21,22,23の各支持軸21a,22a,23aが位置する。同様に、ロッド用可動放射状溝19bは、上記のロッド用固定放射状溝12と交差して設けられ、これらの交差箇所に各ロッド支持軸29aが配設される。
図2に示すように、可動ディスク19は、ピニオンスプロケット20を挟んで一側及び他側のそれぞれに設けられる。これらの可動ディスク19は、連結シャフト19Aで互いに連結されている。ここでは、図1に示すように、各ピニオンスプロケット21,22,23の相互間にそれぞれ連結シャフト19A(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。これにより、一側の可動ディスク19と他側の可動ディスク19とが一体に回転する。
〔1−1−1−3−1−3.第一回転部〕
第一回転部15は、固定ディスク10と一体回転する部分、即ち、回転軸1と一体回転する部分である。ここでは、図2に示すように、第一回転部15が回転軸1の一部に設けられている。この第一回転部15は、固定ディスク10及び可動ディスク19よりも軸方向外側に配設されている。
図2,図5及び図6に示すように、第一回転部15には、第一カム溝15aが設けられている。この第一カム溝15aは、回転軸1の軸方向に沿って凹設して設けられている。ここでは、第一カム溝15aが回転軸1の軸心C1と平行に形成されている。図5には、第一カム溝15a(一箇所のみに符号を付す)が周方向に間隔をおいて三箇所に設けられたものを例示するが、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
〔1−1−1−3−1−4.第二回転部〕
図2,図4及び図5に示すように、第二回転部16は、可動ディスク19と接続部17を介して接続されている。なお、図4及び図5には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
まず、接続部17について説明する。
接続部17は、固定ディスク10を覆うように配設されている。この接続部17は、固定ディスク10の外周(径方向外側)を覆う軸方向接続部17aと、固定ディスク10の軸方向外側を覆う径方向接続部17bとを有する。
この接続部17においては、可動ディスク19と第二回転部16との接続のうち、軸方向成分の離隔分を接続しているのが軸方向接続部17aであり、径方向の離隔分を接続しているのが径方向接続部17bである。
軸方向接続部17aは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに軸方向に延びる円筒形状をなしている。この軸方向接続部17aは、図2に示すように、軸方向内側が可動ディスク19の外周端部(外周部)19tに結合され、軸方向外側が次に説明する径方向接続部17bに接続されている。
図2,図4及び図5に示すように、径方向接続部17bは、径方向外側が軸方向接続部17aに接続され、径方向内側が第二回転部16に接続されている。この径方向接続部17bは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに径方向に延在する円盤から次に説明する肉抜き部17cによって肉抜きされた形状をなしている。
図4及び図5に示すように、径方向接続部17bには、肉抜き部17cが設けられている。この肉抜き部17cは、詳細を後述する機械式自転駆動機構50のラック53,54及びピニオン51,52に対応する箇所に形成されている。図4には、三箇所に設けられた扇形の肉抜き部17cが、相互間に径方向接続部17bを挟んで等間隔に設けられたものを例示している。ただし、肉抜き部17cの形状や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
次に、第二回転部16について説明する。
図2,図4及び図5に示すように、第二回転部16は、第一回転部15の外周(径方向外側)を覆うように設けられ、回転軸1の軸心C1と同心の円筒形状に形成されている。ここでは、図2に示すように、第二回転部16が、可動ディスク19の外周端部19tから内周側にシフトされて軸方向に沿って設けられている。
図2及び図6に示すように、第二回転部16には、第二カム溝16aが設けられている。この第二カム溝16aは、第一カム溝15aの外周に隣接して設けられ、また、第一カム溝15aと交差するとともに回転軸1の軸方向に沿って設けられている。
なお、図5には、第二カム溝16a(一箇所にのみ符号を付す)が周方向に間隔をおいて三箇所に設けられたものを例示するが、第二カム溝15aの形成箇所や形成個数は、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数に応じて設定される。
〔1−1−1−3−1−5.相対回転駆動機構〕
相対回転駆動機構30は、上述した第一回転部15に設けられた第一カム溝15aと第二回転部16に設けられた第二カム溝16aとに加えて、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設されたカムローラ90と、このカムローラ90に対して軸方向の力を伝達するメガネフォーク(軸方向力伝達部材)35と、このメガネフォーク35を軸方向に移動させる軸方向移動機構31とを備えている。
以下、カムローラ90,メガネフォーク35,軸方向移動機構31の順に説明する。
図2及び図5に示すように、カムローラ90は、円柱状に形成されている。このカムローラ90は、回転軸1の軸心C1に直交する方向に沿った軸心を有し、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2(何れも一箇所にのみ符号を付す)に挿通されている。このため、カムローラ90は、回転軸1の回転に連動して回転軸1の軸心C1を中心に回転する。なお、カムローラ90の外周には、第一カム溝15a及び第二カム溝16aのそれぞれに対応する箇所にベアリングが外嵌されている。
カムローラ90の一端部90aは、第二交差箇所CP2から径方向外側に突出されて設けられている。
なお、図示省略するが、カムローラ90は、カム溝15a,16aから脱落しないように、適宜の抜け止め加工が施されている。かかる抜け止め加工としては、例えばカムローラ90の他端部に頭部を設けることや抜け止めピンを追加し、カムローラ90が軸方向に移動可能であって径方向に移動しないようにすることが挙げられる。
メガネフォーク35は、二つの複合スプロケット5,5に跨って設けられている。このメガネフォーク35は、各複合スプロケット5,5に対応して設けられた円環状のカムローラ支持部35a(一側にのみ符号を付す)と、各カムローラ支持部35aを連結するブリッジ部35bとを有する。カムローラ支持部35aの内周側には、上記の第一回転部15及び第二回転部16が配設されている。
なお、メガネフォーク35は、ディスク10,19に対して平行であって軸方向外側にプレート状に並設されている。
カムローラ支持部35aには、内周側の全周にわたって溝部35cが凹設されている。
溝部35cは、カムローラ90の突出長さに対応する深さを有し、カムローラ90の一端部90aを収容している。すなわち、溝部35cは、径方向長さがカムローラ90の突出長さの円環状空間をなすものといえる。
この溝部35cには、カムローラ90と転がり接触しうる転動体35d(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。この転動体35dは、回転軸1の軸心C1を中心に回転するカムローラ90が溝部35cの側壁に接触したときにカムローラ90が軸心周りに回転することを抑制するために設けられている。これは、溝部35cの側壁を形成するカムローラ支持部35aに、転動体35dが配設されたものとも捉えることができる。ここでは、複数の転動体35dが溝部35cの全周にわたって配設されている。なお、図2及び図5には、転動体35dとしてニードルベアリングを例示するが、これに替えて、ボールベアリングを用いてもよい。
軸方向移動機構31は、メガネフォーク35を軸方向に移動するために、モータ32と、モータ32の出力軸32aの回転運動を直線運動に切り替える運動変換機構33と、メガネフォーク35を支持するとともに運動変換機構33によって直線運動されるフォーク支持部34とを備えている。なお、モータ32としては、ステッピングモータを用いることができる。
以下、図2及び図5を参照して、軸方向移動機構31について、フォーク支持部34,運動変換機構33の順に説明する。
フォーク支持部34は、モータ32の出力軸32aと同心の筒軸を有する円筒状に形成されている。このフォーク支持部34には、モータ32の出力軸32aが内挿されている。
フォーク支持部34は、内周にモータ32の出力軸32aに形成された雄ネジ部32bに螺合する雌ネジ部34aが螺設され、外周にメガネフォーク35のブリッジ部35bと係合するフォーク溝34bが凹設されている。
フォーク溝34bは、メガネフォーク35のブリッジ部35bの厚み(軸方向長さ)に対応する幅(軸方向長さ)に形成されている。このフォーク溝34bには、ブリッジ部35bの中間部(二つの複合スプロケット5,5の間)が係合される。
運動変換機構33は、出力軸32aの雄ネジ部32bと、フォーク支持部34の雌ネジ部34aとを有する。出力軸32aが回転すると、雄ネジ部32bと雌ネジ部34aとの螺合によって、雌ネジ部34aが形成されたフォーク支持部34が軸方向に移動される。すなわち、軸方向移動機構31は、モータ31の回転運動を運動変換機構33によって直線運動に変換し、この直線運動でフォーク支持部34を軸方向に直線運動させる。
上記のメガネフォーク35,軸方向移動機構31を含む相対回転駆動機構30は、ピニオンスプロケット21,22,23から軸方向にシフトして設けられている。
以下、相対回転駆動機構30による可動ディスク19の固定ディスク10に対する相対回転駆動について説明する。
軸方向移動機構31によってフォーク支持部34が軸方向に直線運動されると、フォーク支持部34に係合するメガネフォーク35を介して軸方向の力がカムローラ90に伝達され、カムローラ90も軸方向に移動される。
第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2(図6参照)に配設されるカムローラ90が軸方向に移動されると、第二交差箇所CP2も軸方向に移動する。第一カム溝15aが設けられた第一回転部15は回転軸1及び固定ディスク10と一体回転するため、第二交差箇所CP2が軸方向に移動すると、第一回転部15に対して第二カム溝16aが設けられた第二回転部16が相対的に回転させられる。
第二回転部16は可動ディスク19と一体回転し、第一回転部10は固定ディスク10と一体回転するので、第一回転部15に対して第二回転部16が相対回転されると、固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対的に回転される。
固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対回転駆動されると、移動機構40A及び40Bにかかる説明で後述するように、固定ディスク10に設けられたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cと可動ディスク19に設けられたスプロケット用可動放射状溝19aとが交差する第一交差箇所CP1が径方向に移動される。
このように、相対回転駆動機構30は、軸方向移動機構31によって可動ディスク19を固定ディスク10に対して相対回転駆動して、第一交差箇所CP1を径方向に移動させる。
〔1−1−1−3−2.スプロケット移動機構及びロッド移動機構〕
次に、図2及び図3を参照して、スプロケット移動機構40A及びロッド移動機構40Bを説明する。
スプロケット移動機構40Aは、ピニオンスプロケット21,22,23のそれぞれに設けられた支持軸21a,22a,23aが内挿されるスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cが形成された固定ディスク10と、スプロケット用可動放射状溝19aが形成された可動ディスク19と、相対回転駆動機構30(図2及び図5参照)とから構成されている。
また、ロッド移動機構40Bは、ロッド支持軸29aが内挿されるロッド用固定放射状溝12が形成された固定ディスク10と、ロッド用可動放射状溝19bが形成された可動ディスク19と、相対回転駆動機構30とから構成されている。
このように、それぞれの移動機構40A,40Bの構成は、各移動対象の支持軸が異なるだけで、その他の構成は同様である。
次に、図3(a)〜(c)を参照して、移動機構40A及び40Bによる移動を説明する。
図3(a)は、放射状溝11a,11b,11c,19aにおけるピニオンスプロケット21,22,23(図2等参照)の支持軸21a,22a,23aと放射状溝12,19bにおけるロッド支持軸29aとが回転軸1の軸心C1から最も近い位置に位置するものを示す。この場合、相対回転駆動機構30(図2参照)により可動ディスク19の回転位相を固定ディスク10に対して変更すると、図3(b),(c)の順に、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとスプロケット用可動放射状溝19aとが交差する第一交差箇所CP1と、ロッド用固定放射状溝12とロッド用可動放射状溝19bとの交差箇所とが、回転軸1の軸心C1から遠ざかる。すなわち、これらの交差箇所に支持軸21a,22a,23a,29aを支持されたピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は、回転軸1の軸心C1から等距離を維持しながら径方向に同期して移動される。
一方、相対回転駆動機構30によって可動ディスク19の回転位相の変更方向を上記の方向と反対にすれば、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は回転軸1の軸心C1に近づく。
なお、入力側の移動機構40A,40Bが接円半径を拡径させるときには、チェーン6の弛緩や緊張が生じないように出力側の移動機構40A,40Bが接円半径を縮径させる。
スプロケット移動機構40Aによりピニオンスプロケット20が移動されると、ピニオンスプロケット20の相互間の距離が変わることにより、チェーン6に対してピニオンスプロケット20の位相ズレが発生してしまう。そこで、かかる位相ズレを解消するために、機械式自転駆動機構50が装備されている。
〔1−1−1−3−3.機械式自転駆動機構〕
次に、図2及び図4を参照して、機械式自転駆動機構50を説明する。ここでは、機械式自転駆動機構50がピニオンスプロケット20を挟んで対称に構成されるため、一側(図2の紙面上方側)の構成に着目して説明する。
機械式自転駆動機構50は、上記したように、自転ピニオンスプロケット22,23を回転させ、チェーン6に対するピニオンスプロケット20間の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して機械的に自転駆動するものである。
一方、機械式自転駆動機構50は、径方向移動時の固定ピニオンスプロケット21を自転させないためのものでもある。
まず、機械式自転駆動機構50について、固定ピニオンスプロケット21(図1参照)を自転させないための構成を説明する。
図4に示すように、固定ピニオンスプロケット21の支持軸21aは、固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11aに挿通されている。この支持軸21aには、案内部材59が一体的に結合されている。
案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aに内挿されて径方向に案内される。この案内部材59は、径方向の所定長さにわたってスプロケット用固定放射状溝11aに接触するように対応する形状に形成されている。このため、固定ピニオンスプロケット21を自転させるような回転力が作用したときには、案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aに対して回転力を伝達するとともに、この回転力の反作用(抗力)で固定ピニオンスプロケット21を固定するものといえる。すなわち、案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aにおいて径方向に摺動可能であって回り止め機能を有する形状に形成されている。なお、ここでいう所定長さとは、固定ピニオンスプロケット21を自転させるような回転力の抗力が確保可能な長さである。
図4では、スプロケット用固定放射状溝11aが径方向に長手方向を有する矩形状に形成されており、この矩形状よりも小さい矩形状に形成された案内部材59を例示している。
また、第一案内溝12aの内壁に接する案内部材59の側壁、特に案内部材59の四隅に、ベアリングを装着すれば、案内部材59のよりスムーズな摺動を確保することができる。
次に、機械式自転駆動機構50について、自転ピニオンスプロケット22,23を自転駆動するための構成について説明する。
機械式自転駆動機構50は、自転ピニオンスプロケット22,23の支持軸22a,23aのそれぞれと一体回転するように固設されたピニオン51,52と、ピニオン51,52のそれぞれに対応して噛合するように設けられたラック53,54と、を有する。
ピニオン51,52は、自転ピニオンスプロケット22,23の各支持軸22a,23aにおける軸方向端部にそれぞれ設けられている。かかるピニオン51,52にそれぞれ対応するラック53,54は、固定ディスク10に径方向に沿って固設されている。
なお、以下の説明では、第一自転ピニオンスプロケット22のピニオン(進角側ピニオン)51を第一ピニオン51と呼び、この第一ピニオン51と噛合するラック(進角側ラック)53を第一ラック53と呼んで区別する。同様に、第二自転ピニオンスプロケット23のピニオン(遅角側ピニオン)52を第二ピニオン52と呼び、この第二ピニオン52と噛合するラック(遅角側ラック)54を第二ラック54と呼ぶ。
図4に示すように、第一ラック53は、第一ピニオン51に対して公転方向基準で遅角側に配置される。逆に、第二ラック54は、第二ピニオン52に対して公転方向基準で進角側に配置される。このため、ピニオン51,52及びラック53,54は、ピニオン51,52が拡径方向又は縮径方向に移動されると、ピニオン51,52はこれに噛合するラック53,54によって互いに逆方向に回転されるように配設されている。
すなわち、機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aにより移動されたピニオンスプロケット20の径方向位置に応じて、自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相を設定するものである。つまり、機械式自転駆動機構50によって、ピニオンスプロケット20の径方向位置と自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相は一対一の対応関係となる。
このように、機械式自転駆動機構50は、固定ピニオンスプロケット21が自転しないように案内し、自転ピニオンスプロケット22,23が自転するように案内する。
なお、ピニオン51,52に対するラック53,54の位置関係が異なる点を除いては、第一ピニオン51と第二ピニオン52とは同様に構成され、また、第一ラック53と第二ラック54とは同様に構成されている。このため、以下の説明では、第一ピニオン51及び第一ラック53に着目して説明する。
第一ピニオン51の外径(ピッチ円直径)は、第一自転ピニオンスプロケット22の外径(ピッチ円直径)の略半分に形成されている。逆に言えば、第一自転ピニオンスプロケット22の外径は、第一ピニオン51の外径の略二倍に形成されている。その理由を以下に示す。
三個のピニオンスプロケット20が周方向に等間隔に配置されているため、第一ピニオンスプロケット22と固定ピニオンスプロケット20との間のチェーン長は、第一自転ピニオンスプロケット22が径方向に距離xだけ移動したときには「2πx/3」だけ変化する。
このため、第一自転ピニオンスプロケット22が、長さが「2πx/3」のチェーン6を第一自転ピニオンスプロケット22と固定ピニオンスプロケット21との間に送り込むか引き出すように回転(自転)すれば、チェーン長が適切に調整される。
したがって、チェーン長を適切に調整するには、第一ピニオン51が距離xだけ回転するときに、第一自転ピニオンスプロケット22は周方向長さにおいて2πx/3だけ回転することが必要になる。すなわち、第一自転ピニオンスプロケット22は第一ピニオン51に対して2π/3倍だけ回転することが必要となる。言い換えれば、第一自転ピニオンスプロケット22の外径と第一ピニオン51の外径との比が「2π/3:1」であることが必要となる。
よって、第一自転ピニオンスプロケット22の外径は、第一ピニオン51の外径の「2π/3」倍(略二倍)に形成されている。
なお、図示省略するが、第一自転ピニオンスプロケット22には、その支持軸22aと自転用ピン22b,22cとの間に皿ばねが介装されている。これは、変速比の変更中に発生しうる第一自転ピニオンスプロケット22とチェーン6との噛合時のショック(衝撃)を吸収するためである。この皿ばねは、固定ピニオンスプロケット21及び第二自転ピニオンスプロケット23にもそれぞれ備えられている。
〔1−1−2.チェーン〕
次に、チェーン6について、図7を参照して説明する。
ガイドロッド29にガイドされるチェーン6は、各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数(ここでは三列)に対応する本数が設けられている。ここでは、第一チェーン6A,第二チェーン6B及び第三チェーン6Cの三本が設けられている。
なお、図7には、チェーン6A,6B,6Cに所謂サイレントチェーンを用いたものを示すが、これに替えて、ローラチェーンやブッシュチェーンなどその他の形式のチェーンを用いてもよい。
これらのチェーン6A,6B,6Cは、互いにピッチをずらして設けられている。ここでは、1/3ピッチだけ互いのピッチをずらしている。これに対応して、各チェーン6A,6B,6Cに噛合するピニオンスプロケット20の各歯車の位相もずらして設けられている。
なお、チェーン6A,6B,6Cは、配設ピッチ以外は同様に構成される。
また、無段変速機構の伝達トルクによっては二本又は四本以上のチェーン6が用いられるが、この場合には「1/チェーンの本数」ピッチだけ各チェーンのピッチをずらして設けられるのが好ましい。
〔1−2.作用及び効果〕
本発明の第一実施形態にかかる無段変速機構は、上述のように構成されるため、以下の作用及び効果を得ることができる。
はじめに、固定ディスク10に対する可動ディスクの相対回転駆動に着目して、その作用及び効果について説明する。
軸方向移動機構31がメガネフォーク35を軸方向に移動させると、メガネフォーク35の溝部35cに一端部90aが収容されたカムローラ90が軸方向に移動される。このカムローラ90は、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設されるため、カムローラ90が軸方向に移動されると、この移動に伴って第二交差箇所CP2も軸方向に移動する。第二交差箇所CP2が軸方向に移動されると、第一回転部15に設けられた第一カム溝15aと第二回転部16に設けられた第二カム溝16aとを介して、第二回転部16が第一回転部15に対して相対回転駆動される。第一回転部15は固定ディスク10と一体回転し、第二回転部16は可動ディスク19と一体回転するため、固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対回転駆動される。固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対回転駆動されると、第一交差箇所CP1及びこの箇所に配置されるスプロケット21,22,23の支持軸21a,22a,23aが径方向に移動される。
このように、カムローラ90の軸方向への移動によって可動ディスク19を固定ディスク10に対して相対回転駆動することで、自在に変速比を変更することができる。
また、メガネフォーク35,軸方向移動機構31などを備えた相対回転駆動機構30は、ピニオンスプロケット21,22,23から軸方向にシフトして設けられているため、各ピニオンスプロケット21,22,23の最縮径位置を内側にさせる(回転軸1に接近させる)ことができ、レシオカバレッジを確保することができる。
第一カム溝15aが回転軸1の軸方向に沿って凹設して設けられているため、第一カム溝15aを設けるために他の部材を追加することを要せず、簡素な構成とすることができる。
第二カム溝16aは、回転軸1に凹設された第一カム溝15aの外周に隣接して設けられるため、これらのカム溝15a,16aが交差する第二交差箇所CP2に配設されるカムローラ90が、自身の軸心周りに回転する回転数を抑制することができる。よって、耐久性の向上に寄与しうる。さらに、溝部35cにはカムローラ90と転がり接触しうる転動体35dが設けられているため、カムローラ90が自身の軸心周りに回転することを更に抑制することができる。
第二回転部16と可動ディスク19の外周端部19tとを接続する接続部17には、肉抜き部17cが設けられているため、軽量化を図ることができる。さらに、この肉抜き部17cは、機械式自転駆動機構50のラック53,54及びピニオン51,52に対応する箇所に形成されているため、接続部17における軸方向接続部17aの軸方向長さが延びるのを抑制することができ、より軽量化を図ることができる。
次に、ピニオンスプロケット21,22,23の自転に着目して、その作用及び効果を説明する。
相対回転駆動機構30により固定ディスク10に対する可動ディスク19の回転位相を変化させると、スプロケット移動機構40A及びロッド移動機構40Bが稼働して、回転軸1の軸心C1に対するピニオンスプロケット20及びガイドロッド29の径方向位置が等距離を維持されながら同期して変更される。これにより、接円半径が変更される。この場合、ピニオンスプロケットが自転しなければ、チェーンに対するピニオンスプロケットの位相ズレが発生してしまうが、かかる位相ズレは、機械式自転駆動機構50による自転ピニオンスプロケット22,23の自転により解消される。
固定ピニオンスプロケット21と第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23にチェーン6が巻き掛けられている場合に、接円半径が拡径する際には、固定ピニオンスプロケット21と第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23との間の最適なチェーン長が長くなり、機械式自転駆動機構50が設けられていなければチェーン長不足を招いてしまう。このとき、第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23が機械式自転駆動機構50により自転されることにより、固定ピニオンスプロケット21と第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23との間にはチェーン長の不足分だけが送り込まれる。
一方、固定ピニオンスプロケット21と第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23にチェーン6が巻き掛けられている場合に、接円半径が縮径する際には、固定ピニオンスプロケット21と第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23との間の最適なチェーン長が短くなり、機械式自転駆動機構50が設けられていなければチェーンの弛みを招いてしまう。このとき、第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23が機械式自転駆動機構50により自転されることにより、固定ピニオンスプロケット21と第一自転ピニオンスプロケット22又は第二自転ピニオンスプロケット23との間からチェーン長の余り分(弛み分)だけが引き出される。
接円半径が拡縮径する際に自転する自転ピニオンスプロケット22,23は、機械式自転駆動機構50によって、ピニオンスプロケット20の径方向位置と自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相は一対一の対応関係となっている。つまり、自転ピニオンスプロケット22,23は、接円半径の拡縮径による変速比の変更時に、チェーン6の過不足分を調整しながら動力伝達することができる。
このように、機械式自転駆動機構50が、スプロケット移動機構40Aによる複数のピニオンスプロケット20の径方向移動に伴って、チェーン6に対する複数のピニオンスプロケット20の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40と連動して自転駆動するため、複数のピニオンスプロケット20の径方向移動時、即ち、変速比の変更時に、ピニオンスプロケット間のチェーン長が適切に調整されることにより、動力伝達しながら変速比を変更することができる。
チェーン6A,6B,6Cは、互いにピッチをずらして設けられているため、チェーン6A,6B,6Cとガイドロッド29との接触による騒音を分散させることにより、騒音を低減させることができる。
〔2.第二実施形態〕
次に、図8〜図10を参照して本発明の第二実施形態について説明する。
本発明の第二実施形態にかかる無段変速機構は、第一実施形態に対して相対回転駆動機構の一部が軸方向外側に設けられている点が異なる。なお、ここで説明する点を除いては第一実施形態と同様の構成になっており、これらについては、同様の符号を付し、各部の説明を省略する。
はじめに、本実施形態の相対回転駆動機構30′の前提構成として、第一回転部15′,第二回転部16′の順に説明する。
図8に示すように、第一回転部15′は、固定ディスク10の外周端部(外周部)10tから軸方向に延設され、円筒状に形成されている。すなわち、固定ディスク10及び第一回転部15′は、開口を軸方向外側に向けた桶形状に形成されている。
この第一回転部15′には、第一カム溝15a′が設けられている。この第一カム溝15a′は、回転軸1の軸方向に沿って設けられている。なお、図9には、第一カム溝15a′(一箇所にのみ符号を付す)が周方向に間隔をおいて四箇所に設けられたものを例示するが、第一カム溝15a′の形成箇所や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
第二回転部16′は、可動ディスク19の外周端部(外周部)19tから軸方向に延設され、円筒状に形成されている。この第二回転部16′は、第一回転部15′の外周(径方向外側)を覆うように設けられている。すなわち、第二回転部16′及び第一回転部15′は、径方向に二重の周壁をなしている。
かかる第二回転部16′及び可動ディスク19は、開口を軸方向外側に向けた桶形状に形成され、固定ディスク10及び第一回転部15′がなす桶形状を入れ子にしている。
この第二回転部16′には、第二カム溝16a′が設けられている。この第二カム溝16a′は、第一カム溝15a′の外周に隣接して設けられている。この第二カム溝16a′は、図10に示すように、第一カム溝15a′と交差するとともに回転軸1の軸方向に沿って設けられている。ここでは、第二カム溝16a′が回転軸1の軸心C1と平行に設けられている。なお、図9には、第二カム溝16a′(一箇所にのみ符号を付す)が周方向に間隔をおいて四箇所に設けられたものを例示するが、第二カム溝16a′の形成箇所や形成個数は、第一カム溝15a′の形成箇所や形成個数に応じて設定される。
相対回転駆動機構30′は、上述した第一回転部15′に設けられた第一カム溝15a′と第二回転部16′に設けられた第二カム溝16a′とに加えて、第一カム溝15a′と第二カム溝16a′とが交差する第二交差箇所CP2に配設されたカムローラ90(一箇所にのみ符号を付す)と、このカムローラ90に対して軸方向の力を伝達するメガネフォーク35′と、このメガネフォーク35′を軸方向に移動させる軸方向移動機構31とを備えている。
メガネフォーク35′は、二つの複合スプロケット5,5に跨って設けられている。このメガネフォーク35′は、各複合スプロケット5,5に対応して設けられた円環状のカムローラ支持部35a′と、各カムローラ支持部35a′を連結するブリッジ部35b′とを有する。カムローラ支持部35a′の内周側には、上記の第一回転部15′及び第二回転部16′が配設されている。
なお、メガネフォーク35′は、ディスク10,19の軸方向外側に設けられている。
カムローラ支持部35a′には、内周側の全周にわたって溝部35c′が凹設されている。この溝部35c′は、カムローラ90の突出長さに対応する深さを有し、カムローラ90の一端部90aを収容している。すなわち、溝部35c′は、径方向長さがカムローラ90の突出長さの円環状空間をなすものといえる。これらのカムローラ支持部35a′及び溝部35c′は、第一実施形態のカムローラ支持部35a及び溝部35cよりも大きな円環をなしている。
なお、第一実施形態の溝部35cと同様に、溝部35c′にカムローラ90と接触しうる転動体が設けられてもよい。
ブリッジ部35b′の中間部(二つの複合スプロケット5,5の間)は、軸方向移動機構31のフォーク支持部34のフォーク溝34aに係合している。なお、図9では、ブリッジ部35b′が一組のカムローラ支持部35a′の上部及び下部のそれぞれを接続するように上下二本の構造体に形成されたものを例示するが、一体の構造体として構成されていてもよい。
第二実施形態にかかる無段変速機構は、上述のように構成されるため、以下の作用及び効果を得ることができる。
第一回転部15′が固定ディスク10の外周部10tから軸方向に延設され、第二回転部16′が可動ディスク19の外周部19tから軸方向に延設されているため、回転部15′,16′に設けられた各カム溝15a′,16a′は、第一実施形態の第一回転部15及び第二回転部16の各カム溝15a,16aよりも径方向外側に設けられている。このため、カム溝15a′,16a′が交差する第二交差箇所CP2に配設されるカムローラ90を軸方向に移動させる力の大きさを、第一実施形態の構成のものと比較して、低減させることができる。
その他、第一実施形態にかかる無段変速機構による効果と同様の効果を得ることができる。
〔3.その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した第一実施形態及び第二実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
上述の第一実施形態では、溝部35cに転動体35dが設けられたものを説明したが、この転動体35dは省略してもよい。この場合、簡素な構成とすることができる。
また、上述の第一実施形態では、接続部17に肉抜き部17cが設けられたものを説明したが、肉抜き部17cは省略してもよい。この場合、機械式自転駆動機構50のラック51,52及びピニオン53,54の軸方向長さ(厚み)分よりも軸方向接続部17aを延長すれば、機械式自転駆動機構50を収容することができる。
上述の実施形態では、複数のピニオンスプロケット20側から可動ディスク19,固定ディスク10の順に配置されたもの例示したが、ディスクの配置や枚数はこれに限られず、種々の配置や枚数を採用することができる。例えば、固定ディスク10に対応するディスクとして、可動ディスク19の軸方向内側及び外側に第一固定ディスク及び第二固定ディスクを配設してもよい。この場合、第一固定ディスクにスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c及びロッド用固定放射状溝12を形成することができ、第二固定ディスクにスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cに対応する溝を形成するとともにラック53,54を固設することができる。このように、ピニオンスプロケットを径方向に移動させる第一固定ディスク(径方向移動用固定ディスク)とピニオンスプロケットを自転させる第二固定ディスク(自転用固定ディスク)とをそれぞれ備えてもよい。なお、上述の実施形態では、固定ディスク10が、前述した第一固定ディスクと第二固定ディスクとを兼用するものといえる。
また、自転しない固定ピニオンスプロケット21と自転する自転ピニオンスプロケット22,23を示したが、ピニオンスプロケット21,22,23の何れもが自転可能に構成されていてもよい。この場合、少なくとも何れか隣接するピニオンスプロケット対の自転方向が互いに逆方向に設定される。
また、三個のピニオンスプロケット20を示したが、ピニオンスプロケット20の個数はこれに限らず、四つ以上であってもよいし、常時、何れかのピニオンスプロケット20がチェーン6に噛合うのであれば、その個数は二つでもよい。何れの場合も、隣り合うピニオンスプロケット20の少なくとも何れかは自転するピニオンスプロケット20として構成され、また、ピニオンスプロケット20の個数に応じた放射状溝11a,11a,11b,11c,19aが設けられる。
1 回転軸
5 複合スプロケット
6 チェーン
10 固定ディスク(径方向移動用固定ディスク,自転用固定ディスク)
10t 外周端部(外周部)
11a,11b,11c スプロケット用固定放射状溝(固定ピニオンスプロケット案内溝)
12 ロッド用固定放射状溝
15,15′ 第一回転部
15a,15a′ 第一カム溝
16,16′ 第二回転部
16a,16a′ 第二カム溝
17 接続部
17a 軸方向接続部
17b 径方向接続部
17c 肉抜き部
19 可動ディスク(径方向移動用可動ディスク)
19a スプロケット用可動放射状溝
19b ロッド用可動放射状溝
19t 外周端部(外周部)
19A 連結シャフト
20 ピニオンスプロケット
21 固定ピニオンスプロケット
21a スプロケット支持軸
22 第一自転ピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)
22a 支持軸
23 第二自転ピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)
23a 支持軸
29 ガイドロッド
29a ロッド支持軸
29b ガイド部材
30,30′ 相対回転駆動機構
31,31′ 軸方向移動機構
32 モータ
32a 出力軸
32b 雄ネジ部
33 運動変換機構
34 フォーク支持部
34a 雌ネジ部
34b フォーク溝
35,35′ メガネフォーク(軸方向力伝達部材)
35a,35a′ カムローラ支持部
35b,35b′ ブリッジ部
35c,35c′ 溝部
35d 転動体
40A スプロケット移動機構
40B ロッド移動機構
50 機械式自転駆動機構
51 第一ピニオン(進角側ピニオン)
52 第二ピニオン(遅角側ピニオン)
53 第一ラック(進角側ラック)
54 第二ラック(遅角側ラック)
59 案内部材
90 カムローラ
90a 一端部
1,C2,C3,C4 軸心
CP1 第一交差箇所
CP2 第二交差箇所

Claims (6)

  1. 動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させるスプロケット移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れもを囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する無段変速機構であって、
    前記スプロケット移動機構は、
    前記複数のピニオンスプロケットの各支持軸が内挿されるスプロケット用固定放射状溝が形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、
    前記スプロケット用固定放射状溝と交差する第一交差箇所に前記支持軸が位置するスプロケット用可動放射状溝が形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、
    前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転駆動して、前記第一交差箇所を前記径方向に移動させる相対回転駆動機構と、を備え、
    前記相対回転駆動機構は、
    前記回転軸の軸方向に沿って設けられ、前記固定ディスクと一体回転する第一回転部に設けられた第一カム溝と、
    前記第一カム溝と交差するとともに前記軸方向に沿って設けられ、前記可動ディスクと一体回転する第二回転部に設けられた第二カム溝と、
    前記第一カム溝と前記第二カム溝とが交差する第二交差箇所に配設され、一端部が前記径方向に突出されたカムローラと、
    前記カムローラの前記一端部を収容する溝部が設けられ、前記カムローラに対して前記軸方向の力を伝達する軸方向力伝達部材と、
    前記軸方向力伝達部材を前記軸方向に移動させる軸方向移動機構と、を備えた
    ことを特徴とする、無段変速機構。
  2. 前記軸方向力伝達部材は、
    各前記複合スプロケットに対応して設けられ、内周側に前記第一回転部及び前記第二回転部が配設されるカムローラ支持部と、
    前記カムローラ支持部を連結するブリッジ部とを有する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の無段変速機構。
  3. 前記第一カム溝は、前記回転軸を前記軸方向に沿って凹設して設けられ、
    前記第二カム溝は、前記第一カム溝の外周に隣接して設けられた
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の無段変速機構。
  4. 前記第二回転部と前記可動ディスクの外周部とを接続する接続部を備え、
    前記接続部には、肉抜き部が設けられている
    ことを特徴とする、請求項3に記載の無段変速機構。
  5. 前記第一回転部は、前記固定ディスクの外周部から前記軸方向に延設され、
    前記第二回転部は、前記可動ディスクの外周部から前記軸方向に延設された
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の無段変速機構。
  6. 前記溝部に、前記カムローラと転がり接触しうる転動体が設けられた
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の無段変速機構。
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