JP2016109260A - 変速機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】複合スプロケットを用いた変速機構において、動力伝達ロスの増加を招くことなくチェーンの緩みを防止し歯飛びを回避する。【解決手段】ピニオンスプロケット及びガイドロッドを径方向移動させる移動機構を有する複合スプロケット5を二組と、両複合スプロケットに巻き掛けられたチェーン6とを備え、ピニオンスプロケット及びガイドロッドの各支持軸が内挿される固定放射状溝が形成され回転軸と一体回転する固定ディスク10と、固定放射状溝と交差する交差箇所に支持軸が位置する可動放射状溝が形成され固定ディスクに対して回転可能な可動ディスク19と、可動ディスクを固定ディスクに対して回転駆動して交差箇所を径方向に移動させる相対回転駆動機構30と、を備え、固定ディスクに対する可動ディスクの初期位相を変更し交差箇所を径方向に変位させる初期位相調整機構80を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、回転軸に対して等距離を維持しながら径方向に可動に支持されて且つ一体回転するように回転軸に対して公転する複数のピニオンスプロケットとこれらに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する無段変速機構に関するものである。
従来、プライマリプーリとセカンダリプーリとに駆動ベルトが巻き掛けられ、各プーリの可動シーブに加える推力により各プーリと駆動ベルトとの間に発生した摩擦力を用いて動力伝達するベルト式無段変速機が、例えば車両用変速機として実用化されている。
かかる無段変速機では、大きな動力を伝達する際に、推力を増大させて摩擦力を確保することが必要である。この際、推力発生用のオイルポンプを駆動する駆動源(エンジン又は電動モータ)の負担が増大し、これにかかる燃料消費量又は電力消費量の増加を招いてしまうおそれがあり、また、各プーリや駆動ベルトなどの耐久性を損ねるおそれがある。
そこで、上記の推力や摩擦力を用いずに、複数のピニオンスプロケットとこれらに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する無段変速機構が開発されている。
このような無段変速機構としては、回転軸に対して等距離を維持しながら径方向に可動に支持されて且つ一体回転するように回転軸に対して公転する複数のピニオンスプロケットがそれぞれ多角形の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケット(ここでは、「複合スプロケット」と呼ぶことにする)が、入力側及び出力側のそれぞれに設けられ、これらの複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンによって動力伝達するものが、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。かかる構成のもとでは、各ピニオンスプロケットが回転軸に対して等距離を維持しながら同期して径方向に移動することで、多角形の大きさが相似的に変化することにより、変速比が変化する。
特許文献1には、複数のピニオンスプロケットの一側に二つディスク(スピンドル)が並設され、それぞれのディスクに放射状溝が設けられ、回転軸と一体に回転する固定ディスクの放射状溝(以下、「第一放射状溝」という)と回転軸に対して回転可能な可動ディスクの放射状溝(以下、「第二放射状溝」という)とが互いに交差するように配置され、第一放射状溝と第二放射状溝とが交差する箇所に各スプロケットの軸が支持されたものが示されている。固定ディスクと可動ディスクとの相対角度(位相)が変更されると、第一放射状溝と第二放射状溝との交差箇所が径方向に移動するため、かかる交差箇所に軸支された各ピニオンスプロケットは、両ディスクの相対回転により径方向に移動される。
さらに、特許文献1には、固定ディスク及び可動ディスクの互いに対応するそれぞれの箇所に周方向に沿う溝が形成され、これらの溝に固定ディスク及び可動ディスクの回転位相を一致させるように付勢するスプリングが設けられ、入力の大きさと出力側にかかる負荷の大きさとに応じてスプリングが伸縮し、固定ディスクに対して可動ディスクが相対的に回転されることが示されている。
特許文献2には、各ピニオンスプロケットが取り付けられたスライドフレームに雌ネジが設けられ、この雌ネジに取り付けられる各雄ネジを回転させる動力分配装置が複数のピニオンスプロケットにより形成される多角形の中心に設けられたものが示されている。この動力分配装置により各雄ネジを同時に同数回転させることで、各スプロケットを径方向に移動させている。
米国特許第7713154号 特開2002−250420号
ところで、スプロケットとチェーンとの噛み合いによって動力を伝達する噛合スプロケットチェーンの場合、大トルクを伝達する際にチェーンに緩みが生じて歯飛びが発生し易くなる。通常の固定駆動半径の噛合スプロケットチェーンでは、セット時に、軸間の長さ調整をして初期張力を合わせることができ、スプロケット自体も単一なので剛性も十分確保できるため、飛びの発生のおそれを抑制できる。
しかし、複合スプロケットを適用した場合、ピニオンスプロケットを径方向に移動する機構等を装備するために、軸間の長さを一定にする必要があり、軸間の長さ調整が不可能である。また、この各ピニオンスプロケットを径方向に移動させる構造から、プロケット側の剛性を確保し難いため、プロケット側が弾性変形しチェーンに緩みが生じて、歯飛びが発生し易くなる。また、各ピニオンスプロケットの径方向移動に作動誤差が生じても、チェーンに緩みが生じて歯飛びが発生する原因となる。
また、複合スプロケットの場合、ピニオンスプロケットを径方向に移動させるための構造など、付帯的な機構を装備する関係から変速機構の厚み(軸方向長さ)が増加してしまう傾向があるため、チェーン幅を可能な限り小さくすることが必要になり、チェーンの剛性を確保し難い。チェーンの剛性が低下すると、チェーンの伸びが生じ易くなり、チェーンが伸びるとチェーンに緩みが生じて、やはり歯飛びが発生する原因となる。
さらに、一般に、小径のピニオンスプロケットは大径のスプロケットよりも歯飛びが生じ易く、特に、複合スプロケットのように、チェーンの旋回半径に対してピニオンスプロケットの径が小さいことも歯飛びの発生の可能性を増大させる原因となる。さらに、ピニオンスプロケットが径方向外側に移動して複合スプロケットの径が大きくなるほど、ピニオンスプロケットへのチェーンの巻き付き量が減少するため、歯飛びが生じ易くなる。
特許文献1,2の技術では、チェーンの外側にテンショナを設けて、テンショナによりチェーンを押圧することでチェーンの緩みを防止している。しかし、テンショナを装備すると、チェーンの抵抗となり、動力伝達ロスの増加を招くうえ、チェーンの跳ね返りが発生し易い。また、設置スペースの確保が難しい場合もあり、コスト増も招く。
そこで、軸間の長さ調整やテンショナに頼らずにチェーンの緩みを防止できるようにしたい。なお、チェーンの長さを短くして緩みの発生を抑制することも考えられるが、チェーンは、偶数のリンクで構成されるので、最低2つのリンク単位でしか調整することができず、チェーンの長さ調整によりチェーンの緩みを防止することも難しい。
本発明は、上記のような課題に鑑み創案されたもので、二組の複合スプロケットとこれらに巻き掛けられたチェーンとから変速機構を構成するものにおいて、動力伝達ロスの増加を招くことなく、チェーンの緩みを防止しチェーンの歯飛びの発生を回避できるようにして大トルクを確実に伝達することができるようにした、変速機構を提供することを第1の目的とする。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(1)本発明の変速機構は、動力(駆動トルク)が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケット及び複数のガイドロッドと、前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させる移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する変速機構であって、前記移動機構は、前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの各支持軸が内挿される固定放射状溝が複数形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、前記固定放射状溝のそれぞれと交差する第一交差箇所に前記支持軸が位置する可動放射状溝が複数形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転駆動して前記第一交差箇所を前記径方向に移動させる相対回転駆動機構と、を備えると共に、前記固定ディスクに対する前記可動ディスクの初期位相を変更し前記第一交差箇所を径方向に変位させる初期位相調整機構を備えていることを特徴としている。
(2)前記可動ディスクは、接続ディスク部を介して前記相対回転駆動機構に接続され、前記初期位相調整機構は、前記可動ディスクと前記接続ディスク部との前記相対回転方向の相対位置を変位させて固定する機構であることが好ましい。
(3)前記可動ディスクは、前記接続ディスク部と重合する重合プレート部を有し、前記初期位相調整機構は、前記重合プレート部と前記接続ディスク部との一方に前記相対回転方向に沿って形成された円弧状長穴と、前記重合プレート部と前記接続ディスク部との他方に形成されたネジ穴と、前記円弧状長穴に挿通され前記ネジ穴に螺合されて前記可動ディスクと前記接続ディスク部とを締結する締結部材とを有することが好ましい。
(4)前記相対回転駆動機構は、前記回転軸の軸方向に沿って設けられ、前記固定ディスクと一体回転する第一回転部に設けられた第一カム溝と、前記第一カム溝と交差するとともに前記軸方向に沿って設けられ、前記可動ディスクと一体回転する第二回転部に設けられた第二カム溝と、前記第一カム溝と前記第二カム溝とが交差する第二交差箇所に配設され、一端部が前記径方向に突出されたカムローラと、前記カムローラの前記一端部を収容する溝部が設けられ、前記カムローラに対して前記軸方向の力を伝達する軸方向力伝達部材と、前記軸方向力伝達部材を前記軸方向に移動させる軸方向移動機構と、を備え、前記軸方向力伝達部材は、前記溝部が設けられる第一部材と、前記軸方向移動機構に接続された第二部材と、に分割され、前記初期位相調整機構は、前記第一部材と前記第二部材との前記軸方向の相対位置を変位させて固定する機構であることが好ましい。
(5)前記軸方向力伝達部材は、前記可動ディスクと平行に配置されたプレート形状であって、前記第一部材及び前記第二部材には、前記プレート形状の厚み方向に分割されて互いに重合する重合部をそれぞれ有し、前記初期位相調整機構は、前記第一部材の重合部と前記第二部材の重合部とを前記厚み方向の相対位置を変位させて固定する機構であることが好ましい。
(6)前記初期位相調整機構は、厚みを選択可能なスペーサと、前記第一部材の重合部と前記第二部材の重合部との間に前記スペーサを介装して締結する締結部材とを有することが好ましい。
さらに、前記動力の伝達時に、前記ピニオンスプロケットの支持軸を介して前記固定ディスク及び前記可動ディスクに作用するトルクの分力が、前記両ディスクの位相を変更して前記第一交差箇所を径方向外側へ変位させることを許容するトルク応答位相調整機構を備えていることも好ましい。
この場合、前記トルク応答位相調整機構は、前記動力の伝達時に、前記ピニオンスプロケットの支持軸を介して前記固定ディスク及び前記可動ディスクに作用するトルクの分力が、前記両ディスクの位相を変更して前記第一交差箇所を径方向内側へ変位させることを規制することが好ましい。
また、前記ピニオンスプロケットの支持軸を介して前記固定ディスク及び前記可動ディスクに作用するトルクの分力により前記両前記両ディスクの位相を変更し前記第一交差箇所の径方向外側への変位を許容することが好ましい。
前記二組の複合スプロケットのうち、動力(駆動トルク)が入力される入力側複合スプロケットの前記固定ディスクに形成された前記固定放射状溝の前記傾斜角は、最小径の位置で最も大きくなるように形成され、前記二組の複合スプロケットのうち、動力(駆動トルク)が出力される出力側複合スプロケットの前記固定ディスクに形成された前記固定放射状溝の前記傾斜角は、最大径の位置で最も大きくなるように形成されていることが好ましい。
前記二組の複合スプロケットのうち、動力(駆動トルク)が入力される入力側複合スプロケットの前記固定ディスクに形成された前記固定放射状溝の前記傾斜角は、径方向内側に向かうに従って大きくなるように形成され、前記二組の複合スプロケットのうち、動力(駆動トルク)が出力される出力側複合スプロケットの前記固定ディスクに形成された前記固定放射状溝の前記傾斜角は、径方向外側に向かうに従って大きくなるように形成されていることが好ましい。
前記相対回転駆動機構は、前記回転軸の軸方向に沿って設けられ、前記固定ディスクと一体回転する第一回転部に設けられた第一カム溝と、前記第一カム溝と交差するとともに前記軸方向に沿って設けられ、前記可動ディスクと一体回転する第二回転部に設けられた第二カム溝と、前記第一カム溝と前記第二カム溝とが交差する第二交差箇所に配設され、一端部が前記径方向に突出されたカムローラと、前記カムローラの前記一端部を収容する溝部が設けられ、前記カムローラに対して前記軸方向の力を伝達する軸方向力伝達部材と、前記軸方向力伝達部材を前記軸方向に移動させる軸方向移動機構と、を備え、前記軸方向力伝達部材は、前記軸方向移動機構に接続された第一部材と、前記溝部が設けられる第二部材と、に分割され、前記付勢機構は、前記第一部材と前記第二部材との間に介装されていることが好ましい。
本発明の変速機構によれば、初期位相調整機構によって、固定ディスクに対する可動ディスクの初期位相を変更し、固定放射状溝と可動放射状溝とが交差する第一交差箇所を径方向外側に変位させて固定することができるので、この第一交差箇所に位置するピニオンスプロケット及びガイドロッドの各支持軸を径方向に変位させて、ピニオンスプロケット及びガイドロッドの何れにも接する円の半径である接円半径を拡縮径して、チェーンの初期張力の調整を簡単に実施することができる。
したがって、大トルクを伝達する際にもチェーンの歯飛びの発生を回避することができ、大トルクを確実に伝達することができる。
本発明の第1実施形態にかかる変速機構のピニオンスプロケット等の径方向移動用の相対回転駆動機構に着目した要部を模式的に示す軸方向断面図(縦断面図)である。 本発明の第1実施形態にかかる変速機構の複合スプロケット及びチェーンに着目した要部を模式的に示す径方向断面図(横断面図)である。 本発明の第1実施形態にかかる変速機構の固定ディスクに着目して示す側面図である。この図3は、図1の矢視A−Aに対応している。 本発明の第1実施形態にかかる変速機構の可動ディスクに着目して示す側面図である。この図4は、図1の矢視B−Bに対応している。 本発明の第1実施形態にかかる変速機構においてピニオンスプロケット等の径方向移動用の固定ディスク及び可動ディスクとこれらによって移動されるピニオンスプロケット及びガイドロッドの各支持軸とを示し、スプロケット移動機構及びロッド移動機構を説明する図であり、(a),(b),(c)の順に接円半径が大きくなっている。なお、接円半径が、最小径のものを(a)に示し、最大径のものを(c)に示す。 本発明の第1実施形態にかかる変速機構の径方向断面図である。この図6は、図1のC−C矢視断面図である。 本発明の第1実施形態にかかる変速機構の径方向断面図である。この図7は、図1のD−D矢視断面図である。 本発明の第1実施形態にかかる変速機構の第一カム溝及び第二カム溝を拡大して示す要部拡大図である。この図8は、図1のE−E矢視図である。 本発明の第1実施形態にかかる変速機構のチェーン及びこれをガイドするガイドロッドの一部を取り出して模式的に示す斜視図である。 本発明の第1実施形態にかかる変速機構の位相調整機構を説明する模式図であり、(a)は本実施形態を示し、(b)は本実施形態を示す。 本発明の第2実施形態にかかる変速機構のピニオンスプロケット等の径方向移動用の相対回転駆動機構に着目した要部を模式的に示す軸方向断面図(縦断面図)である。 本発明の第2実施形態にかかる変速機構の径方向断面図である。この図6は、図11のC−C矢視断面図である。 本発明の第3実施形態にかかる変速機構のピニオンスプロケット等の径方向移動用の相対回転駆動機構に着目した要部を模式的に示す軸方向断面図(縦断面図)である。 本発明の第3実施形態にかかる変速機構の入力側の複合スプロケットの固定ディスクに着目して示す側面図である。図13の矢視A−Aに対応している。 本発明の第3実施形態にかかる変速機構の出力側の複合スプロケットの固定ディスクに着目して示す側面図である。図13の矢視A2−A2に対応している。
以下、図面を参照して、本発明の変速機構にかかる実施の形態を説明する。本実施形態の変速機構は、車両用変速機に用いて好適である。なお、本実施形態では、変速機構における回転軸の軸心あるいはこの軸心に平行な方向を軸方向とし、回転軸の軸心を基準に径方向及び周方向のそれぞれを定める。また、変速機構における回転軸の軸心に近い側(公転軸側)を内側とし、その反対側を外側として説明する。
〔1.第1実施形態〕
以下、第1実施形態にかかる変速機構について説明する。
〔1―1.構成〕
変速機構は、図1,図2に示すように、二組の複合スプロケット5,5と、これらの複合スプロケット5,5に巻き掛けられたチェーン6とを備えている。なお、複合スプロケット5とは、詳細を後述する複数のピニオンスプロケット20及び複数のガイドロッド29が多角形(ここでは十八角形)の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットを意味する。
二組の複合スプロケット5,5のうち、一方は、入力側の回転軸1(入力軸)と同心に一体回転する一組の複合スプロケット5(図1,図2では左方に示す)であり、他方は、出力側の回転軸1(出力軸)と同心に一体回転する複合スプロケット5(図1,図2では右方に示す)である。これらの複合スプロケット5,5はそれぞれ同様に構成されているため、下記の説明では、入力側の複合スプロケット5に着目し、その構成を説明する。
複合スプロケット5は、回転軸1と、この回転軸1に対して径方向に可動に支持された複数(ここでは三個)のピニオンスプロケット20及び複数(ここでは十五本)のガイドロッド29とを有している。三個のピニオンスプロケット20は、回転軸1の軸心C1を中心にした円周上において周方向に沿って等間隔に配置され、ピニオンスプロケット20の相互間にはそれぞれ五本のガイドロッド29が配置されている。
図2には示さないが、複合スプロケット5は、複数のピニオンスプロケット20を移動させるスプロケット移動機構40Aと、スプロケット移動機構40Aに連動してピニオンスプロケット20に含まれる自転ピニオンスプロケット22,23を自転駆動する機械式自転駆動機構50と、複数のガイドロッド29を移動させるロッド移動機構40Bとを備えている(図1,図5〜図7参照)。これらについては、詳細を後述する。
この変速機構は、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29が多角形の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットの外径、即ち、複合スプロケット5の外径を変更(拡縮径)することによって変速比を変更するものである。変速比は連続的に変更することができるため、無段変速機構として構成することもできるが、段階的に変更して多段の有段変速機構として構成することもできる。
複合スプロケット5の外径とは、複数のピニオンスプロケット20の何れをも囲み、且つ、複数のピニオンスプロケット20の何れにも接する円(接円)の半径(以下、「接円半径」という)に対応するものである。また、複合スプロケット5にはチェーン6が巻き掛けられるため、複合スプロケット5の外径は、複数のピニオンスプロケット20とチェーン6との接触半径、即ち、複合スプロケット5のピッチ円の半径に対応するものともいえる。このため、変速機構は、接円半径の変更によって変速比を変更するものといえる。なお、図1,図2には、入力側の接円半径が最小径であり、出力側の接円半径が最大径のものを示している。
このように、変速機構は、接円半径の変更によって変速比を変更するものである。例えば、複合スプロケット5,5の接円半径が等しければ、変速機構は変速比が1(一方の複合スプロケット5と他方の複合スプロケット5との動力伝達比が1:1)をなす。
以下、変速機構の構成を、複合スプロケット5及びこれに巻き掛けられるチェーン6の順に説明する。
〔1−1.複合スプロケット〕
以下の複合スプロケット5にかかる構成の説明では、ピニオンスプロケット20,ガイドロッド29,スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50,初期位相調整機構80の順に説明する。
〔1−1−1.ピニオンスプロケット〕
三個のピニオンスプロケット20は、それぞれチェーン6と噛合って動力伝達する歯車として構成され、回転軸1の軸心C1周りに公転する。ここでいう「公転」とは、各ピニオンスプロケット20が、回転軸1の軸心C1を中心に回転することを意味する。回転軸1が回転すると、この回転に連動して各ピニオンスプロケット20が公転する。つまり、回転軸1の回転数とピニオンスプロケット20が公転する回転数とは等しい。なお、図2には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
これらのピニオンスプロケット20は、自転しない一つのピニオンスプロケット(以下、「固定ピニオンスプロケット」という)21と、この固定ピニオンスプロケット21を基準に公転の回転位相が進角側及び遅角側のそれぞれに配置され自転可能な二つの自転ピニオンスプロケット22,23とから構成されている。なお、以下の説明では、固定ピニオンスプロケット21を基準に進角側に設けられたピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)を第一自転ピニオンスプロケット22と呼び、遅角側に設けられたピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)を第二自転ピニオンスプロケット23と呼んで区別する。
各ピニオンスプロケット21,22,23は、何れも、その中心に設けられた支持軸(ピニオンスプロケット軸)21a,22a,23aに対して結合されている。ここでいう「自転」とは、各自転ピニオンスプロケット22,23がその支持軸22a,23aの軸心C3,C4周りに回転することを意味する。なお、各支持軸21a,22a,23aの軸心C2,C3,C4及び回転軸1の軸心C1は、何れも相互に平行である。
固定ピニオンスプロケット21は、本体部21bとこの本体部21bの外周部全周に形成された歯21cとを有する。同様に、自転ピニオンスプロケット22,23は、何れも本体部22b,23bとこの本体部22b,23bの外周部全周に突出形成された歯22c,23cとを有する。
当然ながら、各ピニオンスプロケット21,22,23に形成される歯の形状寸法及びピッチは同一規格のものとなっている。
詳細は後述するが、第一自転ピニオンスプロケット22は、接円半径の拡径時に時計回りに自転し、接円半径の縮径時に反時計回りに自転する。一方、第二自転ピニオンスプロケット23は、接円半径の拡径時に反時計回りに自転し、接円半径の縮径時に時計回りに自転する。
なお、第一自転ピニオンスプロケット22と第二ピニオンスプロケット23とは、配設箇所及び自転方向が異なるのを除いて同様に構成されるため、ここでは、第一自転ピニオンスプロケット22に着目して説明する。
本実施形態では、図1に示すように、第一自転ピニオンスプロケット22は、軸方向に三列の歯車を備え、図示省略するが、固定ピニオンスプロケット21,第二自転ピニオンスプロケット23もそれぞれ軸方向に三列の歯車を備え、これらの各列の歯車に対応してチェーン6も三本巻き掛けられている。このように、各ピニオンスプロケット21,22,23は、軸方向に三列の歯車を有する。ここでは、各ピニオンスプロケット20の三列の歯車は、スペーサを介し互いに間隔をあけて設けられている。
各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数は、変速機構の伝達トルクの大きさによるが、二列又は四列以上であってもよいし一列であってもよい。また、図1には、理解容易のため模式的に示しており、同断面に第一自転ピニオンスプロケット22及び後述する相対回転駆動機構30を示している。
なお、図示省略するが、各ピニオンスプロケット21,22,23において、各支持軸21a,22a,23aに対して微小角度の相対回転を許容して動力伝達を実現する位相ズレ許容動力伝達機構が装備されていてもよい。かかる位相ズレ許容動力伝達機構としては、ピニオンスプロケット21,22,23の内周側に一体回転するように装備されたキー部材と、ピニオンスプロケット21,22,23の支持軸21a,22a,23aの外周側に形成されてキー部材が回転方向に遊びをもって係合するキー溝と、キー部材がキー溝の回転方向の中立位置に位置するように、キー部材を回転方向の正転と逆転方向との双方から付勢する付勢部材とを備え、回転方向の中立位置に付勢し回転を弾性的に規制するものを用いることができる。この場合、ピニオンスプロケット21,22,23の本体部21b,22b,23bは、支持軸21a,22a,23aに対して微小な回転が許容されつつ動力伝達することができる。
〔1−1−2.ガイドロッド〕
図2に示すように、複数のガイドロッド29は、チェーン6と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくするように、つまり、回転軸1周りのチェーン6の軌道を可能な限り円軌道に近づけるように、チェーン6をガイドするものである。これらのガイドロッド29は、その径方向外側の周面に当接するチェーン6の軌道をガイドする。ピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29は多角形(略正多角形)の形状をなすので、チェーン6は、その径方向内側のピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29に当接しガイドされながら多角形の形状に沿って転動する。
図1及び図2に示すように、ガイドロッド29は、ロッド支持軸29a(図2では破線で示す)の外周に円筒状のガイド部材29bが外挿されたものであり、ロッド支持軸29aによって支持され、ガイド部材29bの外周面でチェーン6(図1及び図2参照)をガイドする。
なお、ガイドロッド29の本数は、十五本に限らず、これよりも多くてもよいし少なくてもよい。この場合、ガイドロッド29の本数は、ピニオンスプロケット20の相互間の数(ここでは三つ)の倍数であることが好ましい。また、ガイドロッド29を多く設けるほど複合スプロケット5を真円に近づけ、チェーン6と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくすることができるが、パーツの増加による製造コストや重量の増加を招くため、これらを考慮してガイドロッド29の本数を設定することが好ましい。
〔1−1−3.スプロケット移動機構,ロッド移動機構及び機械式自転駆動機構〕
次に、スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50をそれぞれ説明する。
スプロケット移動機構40Aは、複数のピニオンスプロケット20を移動対象とし、また、ロッド移動機構40Bは、複数のガイドロッド29を移動対象としている。
これらの移動機構40A,40Bは、各移動対象(複数のピニオンスプロケット20,複数のガイドロッド29)を回転軸1の軸心C1から等距離を維持させながら径方向に同期して移動させるものである。
機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aによる複数のピニオンスプロケット20の径方向移動に伴って、チェーン6に対する複数のピニオンスプロケット20の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して自転駆動するものである。
〔1−1−3−1.前提構成〕
まず、図1を参照して、上記の機構40A,40B,50の前提構成を説明する。ここでは、かかる前提構成として、回転軸1と一体に回転する固定ディスク10と、この固定ディスク10に対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスク19と、固定ディスク10と一体に回転する第一回転部15と、可動ディスク19と一体に回転する第二回転部16と、可動ディスク19を固定ディスク10に対して相対回転駆動する相対回転駆動機構30との順にそれぞれを説明する。
固定ディスク10,可動ディスク19,第一回転部15,第二回転部16は、回転軸1の軸心C1と同心に配設されており、ディスク10,19における径方向は回転軸1の径方向と一致する。
なお、固定ディスク10及び可動ディスク19は、複数のピニオンスプロケット20の両側(回転軸1の軸心C1に沿う方向の一側及び他側)にそれぞれ設けられているが、ここでは一側(図1の上方側)に設けられた固定ディスク10,可動ディスク19に着目し、その構成を説明する。
〔1−1−3−2.固定ディスク〕
固定ディスク10は、回転軸1と一体に形成されるか、或いは、何れも回転軸1と一体回転するように結合されている。なお、図1では、複数のピニオンスプロケット20側から軸方向外側に向けて可動ディスク19,固定ディスク10の順に配置されたもの例示する。
図3,図4に示すように、固定ディスク10には、各ピニオンスプロケット21,22,23に対応して設けられたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとロッド用固定放射状溝12(一箇所のみに符号を付す)との二種の放射状溝が形成されている。
スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、ピニオンスプロケット20のそれぞれに対応して設けられ、また、ロッド用固定放射状溝12は、ガイドロッド29のそれぞれに対応して設けられている。
スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cには、ピニオンスプロケット21,22,23の各支持軸21a,22a,23aが内挿されている。固定ピニオンスプロケット21に対応するスプロケット用固定放射状溝11aは、固定ピニオンスプロケット21の径方向移動を案内する溝(固定ピニオンスプロケット案内溝)であり、同様に、第一自転ピニオンスプロケット22に対応するスプロケット用固定放射状溝11bは、第一自転ピニオンスプロケット22の径方向移動を案内する溝であり、第二自転ピニオンスプロケット23に対応するスプロケット用固定放射状溝11cは、第二自転ピニオンスプロケット23の径方向移動を案内する溝とである。
このため、これらのスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、対応するピニオンスプロケット21,22,23の径方向移動経路に沿っている。
また、ロッド用固定放射状溝12には、各ガイドロッド29のロッド支持軸29a(一箇所のみに符号を付す)が内挿されている。
〔1−1−3−3.可動ディスク〕
可動ディスク19(破線で示す)には、スプロケット用可動放射状溝19aとロッド用可動放射状溝19b(何れも一箇所のみに符号を付して破線で示す)との二種の可動放射状溝が形成されている。なお、可動ディスク19の外形は円形であり、円形である第一固定ディスク11の外形と一致して重合するが、図5では便宜上の可動ディスク19の外形円を縮小して示している。
スプロケット用可動放射状溝19aのそれぞれは、上記のスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cのそれぞれに交差して設けられる。スプロケット用可動放射状溝19aとスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとが交差する第一交差箇所CP1(何れも一箇所にのみ符号を付す)には、ピニオンスプロケット21,22,23の各支持軸21a,22a,23aが位置する。同様に、ロッド用可動放射状溝19bは、上記のロッド用固定放射状溝12と交差して設けられ、これらの交差箇所に各ロッド支持軸29aが配設される。
図1に示すように、可動ディスク19は、ピニオンスプロケット20を挟んで一側及び他側のそれぞれに設けられる。これらの可動ディスク19は、連結シャフト19Aで互いに連結されている。ここでは、図1に示すように、各ピニオンスプロケット21,22,23の相互間にそれぞれ連結シャフト19A(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。これにより、一側の可動ディスク19と他側の可動ディスク19とが一体に回転する。
〔1−1−3−4.第一回転部〕
図1に示すように、第一回転部15は、固定ディスク10と一体回転する部分、即ち、回転軸1と一体回転する部分である。ここでは、第一回転部15が回転軸1の一部に設けられている。この第一回転部15は、固定ディスク10及び可動ディスク19よりも軸方向外側に配設されている。
図1,図7及び図8に示すように、第一回転部15には、第一カム溝15aが設けられている。この第一カム溝15aは、回転軸1の軸方向に沿って凹設して設けられている。ここでは、第一カム溝15aが回転軸1の軸心C1と平行に形成されている。図7には、第一カム溝15a(一箇所のみに符号を付す)が周方向に間隔をおいて三箇所に設けられたものを例示するが、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
〔1−1−3−9.第二回転部〕
図1,図6及び図7に示すように、第二回転部16は、可動ディスク19と接続部17を介して接続されている。なお、図6及び図7には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
まず、接続部17について説明する。
接続部17は、2つの複合スプロケット5で異なる構成になっている。
一方の複合スプロケット5(ここでは、図1,図2において右側の出力側複合スプロケット5)に装備された接続部17Bは、可動ディスク19及び第二回転部16と一体に回転し、固定ディスク10を覆うように配設されている。この接続部17Bは、固定ディスク10の外周(径方向外側)を覆う軸方向接続部17aと、固定ディスク10の軸方向外側を覆う径方向接続部(接続ディスク部)17bとを有する。
接続部17Bにおいては、可動ディスク19と第二回転部16との接続のうち、軸方向成分の離隔分を接続しているのが軸方向接続部17aであり、径方向の離隔分を接続しているのが径方向接続部17bである。
軸方向接続部17aは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに軸方向に延びる円筒形状をなしている。この軸方向接続部17aは、図1に示すように、軸方向内側が可動ディスク19の外周端部(外周部)19tに結合され、軸方向外側が次に説明する径方向接続部17bに接続されている。
図1,図6及び図7に示すように、径方向接続部17bは、径方向外側が軸方向接続部17aに接続され、径方向内側が第二回転部16に接続されている。この径方向接続部17bは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに径方向に延在する円盤から次に説明する肉抜き部17cによって肉抜きされた形状をなしている。
図6及び図7に示すように、径方向接続部17bには、肉抜き部17cが設けられている。この肉抜き部17cは、詳細を後述する機械式自転駆動機構50のラック53,54及びピニオン51,52に対応する箇所に形成されている。図6には、三箇所に設けられた扇形の肉抜き部17cが、相互間に径方向接続部17bを挟んで等間隔に設けられたものを例示している。ただし、肉抜き部17cの形状や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
他方の複合スプロケット5(ここでは、図1,図2において左側の入力側複合スプロケット5)に装備された接続部17Aも、可動ディスク19及び第二回転部16と一体に回転し、固定ディスク10を覆うように配設されている。この接続部17Aは、可動ディスク19の外周端部(外周部)19tに固設されて固定ディスク10の外周(径方向外側)の一部を覆う軸方向接続部材119に締結され固定ディスク10の軸方向外側を覆う径方向接続部17bと、複数(3つ)の径方向接続部17bの相互を外周部分で接続する環状部17a´とを有する。
接続部17Aの側では、可動ディスク19と第二回転部16との接続のうち、軸方向成分の離隔分を接続しているのが軸方向接続部材119(ここでは、識別を容易にするため斜線を付す)であり、径方向の離隔分を接続しているのが径方向接続部17bである。軸方向接続部材119は、複数(ここでは、3つ)のものが、等間隔で設けられる。なお、これらの軸方向接続部材119と径方向接続部17bとの締結は、初期位相調整機構80に関するので、その詳細は後述する。
図1,図6及び図7に示すように、接続部17Aの径方向接続部17bは、径方向外側が軸方向接続部材119に締結され、径方向内側が第二回転部16に接続されている。この径方向接続部17bは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに径方向に延在する円盤から次に説明する肉抜き部17cによって肉抜きされた形状をなしている。
図6及び図7に示すように、径方向接続部17bには、肉抜き部17cが設けられている。この肉抜き部17cは、詳細を後述する機械式自転駆動機構50のラック53,54及びピニオン51,52に対応する箇所に形成されている。図6には、三箇所に設けられた扇形の肉抜き部17cが、相互間に径方向接続部17bを挟んで等間隔に設けられたものを例示している。ただし、肉抜き部17cの形状や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
次に、第二回転部16について説明する。
図1,図6及び図7に示すように、第二回転部16は、第一回転部15の外周(径方向外側)を覆うように設けられ、回転軸1の軸心C1と同心の円筒形状に形成されている。ここでは、図1に示すように、第二回転部16が、可動ディスク19の外周端部19tから内周側にシフトされて軸方向に沿って設けられている。
図1及び図8に示すように、第二回転部16には、第二カム溝16aが設けられている。この第二カム溝16aは、第一カム溝15aの外周に隣接して設けられ、また、第一カム溝15aと交差するとともに回転軸1に沿って設けられている。
図7には、第二カム溝16a(一箇所にのみ符号を付す)が周方向に間隔をおいて三箇所に設けられたものを例示するが、第二カム溝15aの形成箇所や形成個数は、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数に応じて設定される。
〔1−1−3−10.相対回転駆動機構〕
相対回転駆動機構30は、上述した第一回転部15に設けられた第一カム溝15aと第二回転部16に設けられた第二カム溝16aとに加えて、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設されたカムローラ90と、このカムローラ90に対して軸方向の力を伝達する変速用フォーク(軸方向力伝達部材)35と、この変速用フォーク35を軸方向に移動させる軸方向移動機構31とを備えている。
以下、カムローラ90,変速用フォーク35,軸方向移動機構31の順に説明する。
図1及び図7に示すように、カムローラ90は、円柱状に形成されている。このカムローラ90は、回転軸1の軸心C1に直交する方向に沿った軸心を有し、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2(何れも一箇所にのみ符号を付す)に挿通されている。このため、カムローラ90は、回転軸1の回転に連動して回転軸1の軸心C1を中心に回転する。なお、カムローラ90の外周には、第一カム溝15aに対応する箇所にベアリング91aが外嵌され、第二カム溝16aに対応する箇所にベアリング91bが外嵌されている。
カムローラ90の一端部90aは、第二交差箇所CP2から径方向外側に突出されて設けられている。
なお、図示省略するが、カムローラ90は、カム溝15a,16aから脱落しないように、適宜の抜け止め加工が施されている。かかる抜け止め加工としては、例えばカムローラ90の他端部に頭部を設けることや抜け止めピンを追加し、カムローラ90が軸方向に移動可能であって径方向に移動しないようにすることが挙げられる。
変速用フォーク35は、二つの複合スプロケット5,5に跨って設けられている。この変速用フォーク35は、各複合スプロケット5,5に対応して設けられた円環状のカムローラ支持部35a(一側にのみ符号を付す)と、各カムローラ支持部35aを連結するブリッジ部35bとを有する。カムローラ支持部35aの内周側には、上記の第一回転部15及び第二回転部16が配設されている。
なお、変速用フォーク35は、ディスク10,19に対して平行であって、チェーン6を基準としたときのディスク10,19に対して軸方向外側にプレート状に並設されている。
カムローラ支持部35aには、内周側の全周にわたって溝部35cが凹設されている。
溝部35cは、カムローラ90の突出長さに対応する深さを有し、カムローラ90の一端部90aを収容している。すなわち、溝部35cは、径方向長さがカムローラ90の突出長さの円環状空間を有するものといえる。
この溝部35cには、カムローラ90と転がり接触しうる転動体35d(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。この転動体35dは、回転軸1の軸心C1を中心に回転するカムローラ90が溝部35cの側壁に接触したときにカムローラ90が軸心周りに回転することを抑制するために設けられている。すなわち、溝部35cの側壁を形成するカムローラ支持部35aに、転動体35dが配設されている。ここでは、複数の転動体35dが溝部35cの全周にわたって配設されている。なお、図1及び図7には、転動体35dとしてニードルベアリングを例示するが、これに替えて、ボールベアリングを用いてもよい。
軸方向移動機構31は、変速用フォーク35を軸方向に移動するために、モータ32と、モータ32の出力軸32aの回転運動を直線運動に切り替える運動変換機構33と、変速用フォーク35を支持するとともに運動変換機構33によって直線運動されるフォーク支持部34とを備えている。なお、モータ32としては、ステッピングモータを用いることができる。
以下、図1及び図7を参照して、軸方向移動機構31について、フォーク支持部34,運動変換機構33の順に説明する。
フォーク支持部34は、モータ32の出力軸32aと同心の筒軸を有する円筒状に形成されている。このフォーク支持部34には、モータ32の出力軸32aが内挿されている。
また、フォーク支持部34は、内周にモータ32の出力軸32aに形成された雄ネジ部32bに螺合する雌ネジ部34aが螺設され、外周に変速用フォーク35のブリッジ部35bと係合するフォーク溝34bが凹設されている。
フォーク溝34bは、変速用フォーク35のブリッジ部35bの厚み(軸方向長さ)に対応する幅(軸方向長さ)に形成されている。このフォーク溝34bには、ブリッジ部35bの中間部(二つの複合スプロケット5,5の間)が係合される。
運動変換機構33は、出力軸32aの雄ネジ部32bと、フォーク支持部34の雌ネジ部34aとを有する。出力軸32aが回転すると、雄ネジ部32bと雌ネジ部34aとの螺合によって、雌ネジ部34aが形成されたフォーク支持部34が軸方向に移動される。すなわち、軸方向移動機構31は、モータ31の回転運動を運動変換機構33によって直線運動に変換し、この直線運動でフォーク支持部34を軸方向に直線運動させる。
上記の変速用フォーク35,軸方向移動機構31を含む相対回転駆動機構30は、ピニオンスプロケット21,22,23から軸方向にシフトして設けられている。
以下、相対回転駆動機構30による可動ディスク19の固定ディスク10に対する相対回転駆動について説明する。
軸方向移動機構31によってフォーク支持部34が軸方向に直線運動されると、フォーク支持部34に係合する変速用フォーク35を介して軸方向の力がカムローラ90に伝達され、カムローラ90も軸方向に移動される。
第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設されるカムローラ90が軸方向に移動されると、第二交差箇所CP2も軸方向に移動する。第一カム溝15aが設けられた第一回転部15は回転軸1及び固定ディスク10と一体回転するため、第二交差箇所CP2が軸方向に移動すると、第一回転部15に対して第二カム溝16aが設けられた第二回転部16が相対的に回転させられる。
第二回転部16は可動ディスク19と一体回転し、第一回転部15は固定ディスク10と一体回転するので、第一回転部15に対して第二回転部16が相対回転されると、固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対的に回転される。
固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対回転駆動されると、移動機構40A及び40Bにかかる説明で後述するように、固定ディスク10に設けられたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cと可動ディスク19に設けられたスプロケット用可動放射状溝19aとが交差する第一交差箇所CP1が径方向に移動される。
このように、相対回転駆動機構30は、軸方向移動機構31によって可動ディスク19を固定ディスク10に対して相対回転駆動して、第一交差箇所CP1を径方向に移動させる。
〔1−1−3−11.スプロケット移動機構及びロッド移動機構〕
次に、図1及び図5を参照して、スプロケット移動機構40A及びロッド移動機構40Bを説明する。
スプロケット移動機構40Aは、ピニオンスプロケット21,22,23のそれぞれに設けられた支持軸21a,22a,23aが内挿されるスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cが形成された固定ディスク10と、スプロケット用可動放射状溝19aが形成された可動ディスク19と、相対回転駆動機構30(図1及び図7参照)とから構成されている。
また、ロッド移動機構40Bは、ロッド支持軸29aが内挿されるロッド用固定放射状溝12が形成された固定ディスク10と、ロッド用可動放射状溝19bが形成された可動ディスク19と、相対回転駆動機構30とから構成されている。
このように、それぞれの移動機構40A,40Bの構成は、各移動対象の支持軸が異なるだけで、その他の構成は同様である。
次に、図5(a)〜図5(c)を参照して、移動機構40A及び40Bによる移動を説明する。
図5(a)は、放射状溝11a,11b,11c,19aにおけるピニオンスプロケット21,22,23(図1及び図2等参照)の支持軸21a,22a,23aと放射状溝12,19bにおけるロッド支持軸29aとが回転軸1の軸心C1から最も近い位置に位置するものを示す。この場合、相対回転駆動機構30(図1参照)により可動ディスク19の回転位相を固定ディスク10に対して変更すると、図5(b),図5(c)の順に、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとスプロケット用可動放射状溝19aとが交差する第一交差箇所CP1と、ロッド用固定放射状溝12とロッド用可動放射状溝19bとの交差箇所とが、回転軸1の軸心C1から遠ざかる。すなわち、これらの交差箇所に支持軸21a,22a,23a,29aを支持されたピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は、回転軸1の軸心C1から等距離を維持しながら径方向に同期して移動される。
一方、相対回転駆動機構30によって可動ディスク19の回転位相の変更方向を上記の方向と反対にすれば、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は回転軸1の軸心C1に近づく。
なお、入力側の移動機構40A,40Bが接円半径を拡径させるときには、チェーン6の弛緩や緊張が生じないように出力側の移動機構40A,40Bが接円半径を縮径させる。
スプロケット移動機構40Aによりピニオンスプロケット20が移動されると、ピニオンスプロケット20の相互間の距離が変わることにより、チェーン6に対してピニオンスプロケット20の位相ズレが発生してしまう。そこで、かかる位相ズレを解消するために、機械式自転駆動機構50が装備されている。
〔1−1−3−12.機械式自転駆動機構〕
次に、図1及び図6を参照して、機械式自転駆動機構50を説明する。ここでは、機械式自転駆動機構50がピニオンスプロケット20を挟んで対称に構成されるため、一側(図1の上方側)の構成に着目して説明する。
機械式自転駆動機構50は、上記したように、自転ピニオンスプロケット22,23を回転させ、チェーン6に対するピニオンスプロケット20間の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して機械的に自転駆動するものである。
ただし、機械式自転駆動機構50は、径方向移動時の固定ピニオンスプロケット21を自転させない構成も有している。
まず、機械式自転駆動機構50について、固定ピニオンスプロケット21(図2参照)を自転させないための構成を説明する。
図6に示すように、固定ピニオンスプロケット21の支持軸21aは、固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11aに挿通されている。この支持軸21aには、案内部材59が一体的に結合されている。
案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aに内挿されて径方向に案内される。この案内部材59は、径方向の所定長さにわたってスプロケット用固定放射状溝11aに接触するように対応する形状に形成されている。このため、固定ピニオンスプロケット21を自転させるような回転力が作用したときには、案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aに対して回転力を伝達するとともに、この回転力の反作用(抗力)で固定ピニオンスプロケット21を固定する。すなわち、案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aにおいて径方向に摺動可能であって回り止め機能を有する形状に形成されている。なお、ここでいう所定長さとは、固定ピニオンスプロケット21を自転させるような回転力の抗力が確保可能な長さである。
図6では、スプロケット用固定放射状溝11aが径方向に長手方向を有する矩形状に形成されており、この矩形状よりも小さい矩形状に形成された案内部材59を例示している。
また、スプロケット用固定放射状溝11aの内壁に接する案内部材59の側壁、特に案内部材59の四隅に、ベアリングを装着すれば、案内部材59のよりスムーズな摺動を確保することができる。
次に、機械式自転駆動機構50について、自転ピニオンスプロケット22,23を自転駆動するための構成について説明する。
機械式自転駆動機構50は、自転ピニオンスプロケット22,23の支持軸22a,23aのそれぞれと一体回転するように固設されたピニオン51,52と、ピニオン51,52のそれぞれに対応して噛合するように設けられたラック53,54と、を有する。
ピニオン51,52は、自転ピニオンスプロケット22,23の各支持軸22a,23aにおける軸方向端部にそれぞれ設けられている。かかるピニオン51,52にそれぞれ対応するラック53,54は、スプロケット用固定放射状溝11b,11cの延在方向に沿って固設されている。
なお、以下の説明では、第一自転ピニオンスプロケット22のピニオン(進角側ピニオン)51を第一ピニオン51と呼び、この第一ピニオン51と噛合するラック(進角側ラック)53を第一ラック53と呼んで区別する。同様に、第二ピニオンスプロケット23のピニオン(遅角側ピニオン)52を第二ピニオン52と呼び、この第二ピニオン52と噛合するラック(遅角側ラック)54を第二ラック54と呼ぶ。
図6に示すように、第一ラック53は、第一ピニオン51に対して公転方向基準で遅角側に配置される。逆に、第二ラック54は、第二ピニオン52に対して公転方向基準で進角側に配置される。このため、ピニオン51,52及びラック53,54は、ピニオン51,52が拡径方向又は縮径方向に移動されると、ピニオン51,52はこれに噛合するラック53,54によって互いに逆方向に回転されるように配設されている。
すなわち、機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aにより移動されたピニオンスプロケット20の径方向位置に応じて、自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相を設定するものである。つまり、機械式自転駆動機構50によって、ピニオンスプロケット20の径方向位置と自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相は一対一の対応関係となる。
このように、機械式自転駆動機構50は、固定ピニオンスプロケット21が自転しないように案内し、自転ピニオンスプロケット22,23が自転するように案内する。
なお、ピニオン51,52に対するラック53,54の位置関係が異なる点を除いては、第一ピニオン51と第二ピニオン52とは同様に構成され、また、第一ラック53と第二ラック54とは同様に構成されている。
〔1−1−4.初期位相調整機構〕
次に、図1,図6,図7及び図10(a)を参照して、初期位相調整機構80を説明する。この初期位相調整機構80は、固定ディスク10に対する可動ディスク19の初期位相(相対位相)を変更し、第一交差箇所CP1を径方向(主に、外側)に変位させ、チェーン6の緩みを取ったりして適正な張力状態とした上で、その初期相対位相の状態に固定するものである。この初期位相調整機構80は、2つの複合スプロケット5のうちの一方、ここでは図1において左側の入力側複合スプロケット5に装備したものを説明するが、初期位相調整機構80は、出力側複合スプロケット5に装備してもよい。
本実施形態では、可動ディスク19には軸方向接続部材119が固設されており、軸方向接続部材119と、相対回転駆動機構30に接続された接続部17Bの径方向接続部(接続ディスク部)17bとが、ボルト(締結部材)121を介して締結されている。これにより、可動ディスク19は、径方向接続部(接続ディスク部)17bを通じて相対回転駆動機構30によって、固定ディスク10に対して相対回転駆動される。
可動ディスク19側の軸方向接続部材119は、環状部17a´の切欠部17dに配置され固定ディスク10の外周(径方向外側)を覆う軸方向接続部119aと、径方向接続部17bと重合する重合プレート部119bとを有する。
初期位相調整機構80は、図10(a)に示すように、重合プレート部119bに相対回転方向に沿って形成された円弧状長穴120と、径方向接続部17bに形成されたネジ穴122と、円弧状長穴120に挿通されネジ穴122に螺合されて可動ディスク19の軸方向接続部材119と接続ディスク部17bとを締結するボルト(締結部材)121とを有する。
可動ディスク19と一体の重合プレート部119bは、接続部17の径方向接続部17bに対して、相対回転可能であり、可動ディスク19を回転させることで、固定ディスク10に対する可動ディスク19の位相を変更して、第一交差箇所CP1を径方向に変位させ、両ディスクの初期位相を変更(調整)することができる。両複合スプロケット5にチェーン6を巻き掛けた状態で、可動ディスク19の位相を変更して第一交差箇所CP1を径方向に変位させることで、チェーン6の初期張力の調整(主に緩みを取ること)ができる。こうして、チェーン6の緩みを取った初期張力を調整した状態で、ボルト121を円弧状長穴120に挿通しネジ穴122に螺合すれば、理想的なチェーン6の初期張力状態(緩みのない状態)で、固定ディスク10に対する可動ディスク19の初期位相が固定される。
〔1−2.チェーン〕
次に、チェーン6について説明する。
図9に示すように、ガイドロッド29にガイドされるチェーン6は、各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数(ここでは三列)に対応する本数が設けられている。ここでは、第一チェーン6A,第二チェーン6B及び第三チェーン6Cの三本が設けられている。
これらのチェーン6A,6B,6Cは、動力伝達方向に位相をずらすように互いにピッチをずらしてピニオンオンスプロケット20に巻き掛けられている。ここでは、1/3ピッチだけ互いのピッチをずらしている。これに対応して、各チェーン6A,6B,6Cに噛合するピニオンスプロケット20の各歯21c,22c,23c(以下、これらを区別せずに示すときには「歯20c」という)の位相もずらして配置されている。
なお、チェーン6A,6B,6Cは、配設ピッチ以外は同様に構成される。
また、変速機構の伝達トルクによっては二本又は四本以上のチェーン6が用いられるが、この場合には「1/チェーンの本数」ピッチだけ各チェーンのピッチをずらして設けられるのが好ましい。
〔1−3.作用及び効果〕
本発明の第1実施形態にかかる変速機構は、上述のように構成されるため、位相調整機構80によって以下のような作用及び効果を得ることができる。
本変速機構の組み立てにあたって、両複合スプロケット5にチェーン6を巻き掛けた後、可動ディスク19を固定ディスク10に対してチェーン6の緩みを取る方向に回転させ、固定ディスク10に対する可動ディスク19の初期相対位相を、チェーン6の緩みが解消される状態等、適正な張力状態に変更する。
これにより、可動ディスク19と一体の重合プレート部119bは、接続部17の径方向接続部17bに対して相対回転する。この状態で、ボルト121を円弧状長穴120に挿通しネジ穴122に螺合して、重合プレート部119bと径方向接続部17bとを締結すると、チェーン6に緩みがない適正な張力状態で、固定ディスク10に対する可動ディスク19の初期位相が固定される。
こうして、変速機構の組み立て時に、チェーン6の初期緩みを解消することができるので、伝達トルクが大きくなるほど発生し易くなるチェーン6の緩みを抑制することができ、歯飛びの発生を抑えることができ、大トルクであっても確実に伝達しうるようになる。また、軸間の長さ調整やテンショナに頼らずに、チェーン6に緩みを抑制することができので、テンショナ使用時のような動力伝達ロスの増加を抑制できる。しかも、テンショナのように大きな設置スペースを要さず、搭載性が良い。
〔1−4.その他〕
なお、本実施形態では、初期位相調整機構80を、重合プレート部119bと径方向接続部(接続ディスク部)17bとの一方に、可動ディスク19の固定ディスク10に対する相対回転方向に沿って形成された円弧状長穴120と、重合プレート部119bと径方向接続部17bとの他方に形成されたネジ穴122と、円弧状長穴120に挿通されネジ穴122に螺合されて可動ディスク19と径方向接続部17bとを締結するボルト121とから構成しているが、可動ディスク19の固定構造はこれに限らない。
本実施形態のかかる初期位相調整機構80は、可動ディスク19と径方向接続部17bとの相対回転方向の相対位置を変位させて固定する機構であればよく、可動ディスク19の固定構造としては、図10(b)に示す構造も考えられる。この固定構造は、径方向接続部17bに、重合プレート部119bの周方向両端面119cと対向するボルトブラケット17eをそれぞれ立設し、各ボルトブラケット17eのネジ穴に螺合されるボルト(締結部材)123の先端部を周方向両端面119cに当接させると共にボルトブラケット17eに対するボルト123の突出長を調整して、重合プレート部119bと径方向接続部17bとの相対位相を変更、固定するものである。この構成も、固定ディスク10に対する可動ディスク19の初期位相を変更、固定することができる。
〔2.第2実施形態〕
以下、図11,図12を参照して、第2実施形態にかかる変速機構について説明する。
〔2−1.構成〕
本実施形態の変速機構は、初期位相調整機構180及びこれに関連する第二回転部16の接続部17が第1実施形態のものと異なるほかは、第1実施形態と同様に構成される。
〔2−1−1.接続部〕
本実施形態の接続部17は、図11,図12に示すように、2つの複合スプロケット5が同一に構成され、いずれの接続部17も、第1実施形態の出力側(図1,図2中、右側)の複合スプロケット5の接続部17Bと同様に構成されている。したがって、本実施形態の接続部17の説明は省略する。
〔2−1−2.初期位相調整機構〕
本実施形態の初期位相調整機構180は、図11に示すように、変速用フォーク(軸方向力伝達部材)35に装備されている。つまり、変速用フォーク35は、円環状のカムローラ支持部35aと、各カムローラ支持部35aを連結するブリッジ部35bとを有しているが、ブリッジ部35bの一方のカムローラ支持部35a寄りの部分が、第一部材35Aと第二部材35Bとに二分割されている。
第一部材35Aは、溝部35cが凹設されたカムローラ支持部35a寄りの部材であり、第二部材35Bは、フォーク支持部34寄りの軸方向移動機構31に接続された部材である。本実施形態では、図11における左側の入力側の複合スプロケット5のカムローラ支持部35a寄りの部分が二分割されているが、分割個所は、右側の出力側の複合スプロケット5のカムローラ支持部35a寄りの部分でもよい。
二分割される個所は、プレート状の変速用フォーク35は、破断面がプレート面に沿うように厚み方向で二分割され、分割箇所では、第一部材35A側のプレート形状の分割層(重合部)351と、第二部材35B側のプレート形状の分割層(重合部)352とが、積層状態で重合し、ボルト124により結合される。この分割層351,352の相互間には、シム(スペーサ)181が適宜介装される。シム181は厚みが異なるものが複数用意され、適宜の厚みのシム181を選択して使用する。
介装するシム181の厚みによって、分割層351,352の相互間の距離が変わり、第一部材35Aの第二部材35Bに対する軸方向の相対位置が変わる。例えばシム181を厚くすると第一部材35Aが上昇し、シム181を薄くすると第一部材35Aが下降する。第一部材35Aの昇降によってカムローラ支持部35aが昇降し、カムローラ90を軸方向に昇降させる。カムローラ90が昇降すると、第二交差箇所CPが昇降して第二カム溝16aを通じて第二回転部16が第一回転部15に対して相対的に回転する。
第二回転部16は可動ディスク19と一体回転し、第一回転部10は固定ディスク10と一体回転するので、第二回転部16が第一回転部15に対して相対回転すると、可動ディスク19は固定ディスク10に対して相対回転する。この可動ディスク19の相対回転によって、第一交差箇所CP1が径方向に移動する。
したがって、複数の厚みのシム181を用意して、シム181の厚みを選択して使用することによって、第一交差箇所CP1が径方向に移動させることができ、両ディスク10,19の初期位相を調整して、チェーン6の緩みのない状態に設定することができる。こうして、第一部材35A側の分割層351と、第二部材35A側の分割層352との間に、適宜の厚さのシム181を介装して、ボルト124により結合することによって、固定ディスク10に対する可動ディスク19の初期位相をチェーン6の緩みのない状態に調整、固定することができる。
〔2−2.作用及び効果〕
本発明の第2実施形態にかかる変速機構は、上述のように構成されるため、初期位相調整機構180によって以下のような作用及び効果を得ることができる。
本変速機構の組み立てにあたって、両複合スプロケット5にチェーン6を巻き掛けた後、可動ディスク19を固定ディスク10に対してチェーン6の緩みを取る方向に回転させ、固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対位相を、チェーン6の緩みが解消される状態等、適正な張力状態に変更する。
これにより、第一部材35A側の分割層(重合部)351と、第二部材35B側の分割層(重合部)352と隙間の大きさが決まるので、この隙間の大きさに合致した厚みシム181を選択し両分割層351,352間に介装して、ボルト124により結合することによって、固定ディスク10に対する可動ディスク19の位相をチェーン6の緩みのない状態で固定する。これで、チェーン6に緩みがなく適正な張力状態で、固定ディスク10に対する可動ディスク19の初期位相が固定される。
こうして、変速機構の組み立て時に、チェーン6の初期緩みを解消することができるので、伝達トルクが大きくなるほど発生し易くなるチェーン6に緩みを抑制することができ、歯飛びの発生を抑えることができ、大トルクであっても確実に伝達しうるようになる。また、軸間の長さ調整やテンショナに頼らずに、チェーン6に緩みを抑制することができので、テンショナ使用時のような動力伝達ロスの増加を招くこともなくコスト増も抑えられる。しかも、テンショナのように大きな設置スペースを要さず、搭載性が良い。
〔2−3.その他〕
なお、本実施形態の位相調整機構180は、変速用フォーク(軸方向力伝達部材)35を、第一部材35Aと第二部材35Bとに分割し、各部材35A,35Bのプレート形状の分割層(重合部)351,352とを積層状態に重合し、間にシム181を挟む構成になっているが、かかる構成に限定されない。
位相調整機構180は、例えば、分割層351,352の一方に、ボルト124と平行なネジを螺合させ、このネジの先端が分割層351,352の他方の対向面に当接するようにして、ネジの先端の突出量で分割層351,352の厚み方向の相対位置を変位させて、ボルト124によって固定する機構としてもよく、変速用フォーク(軸方向力伝達部材)35を第一部材と第二部材とに分割し、これらを、軸方向の相対位置を変位させて固定する機構であればよい。
〔3.第3実施形態〕
以下、図13〜図15を参照して、第3実施形態にかかる変速機構について説明する。
〔3−1.構成〕
本実施形態の変速機構は、第2実施形態のものに、トルク応答位相調整機構100が追加されている。そこで、第2実施形態と同様な構成の説明は省略し、追加されたトルク応答位相調整機構100に関連する構成のみ説明する。
〔3−1−1.固定ディスク〕
実施形態では、入力側の複合スプロケット5の固定ディスク10と出力側の複合スプロケット5の固定ディスク10´とで相違点がある。入力側の複合スプロケット5の固定ディスク10は第1,第2実施形態のものと同様であるが、出力側の複合スプロケット5の固定ディスク10´はこれと相違点がある。出力側の複合スプロケット5の要素で入力側の複合スプロケット5の要素と異なるものは、符号に「´」を付す。
ここで、図14,図15を参照して、入力側の複合スプロケット5の固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cと、出力側の複合スプロケット5の固定ディスク10´のスプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´について説明する。
図14,図15に示すように、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cも、スプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´も、何れも、径方向外側に向かうに従って当該複合スプロケットの回転方向にシフトするように、径方向に対して傾斜角を有して形成された傾斜構造を有している。
入力側複合スプロケット5のスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの傾斜角θは、最小径の位置で最も大きく(傾斜角θ)、最大径の位置で最も小さく(傾斜角θ)、径方向内側に向かうに従って大きくなるように形成されている。ここでは、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは直線状に形成される。ロッド用固定放射状溝12もスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cと同様に形成される。
逆に、出力側複合スプロケット5のスプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´の傾斜角θは、最大径の位置で最も大きく(傾斜角θ)、最小径の位置で最も小さく(傾斜角θ)、径方向外側に向かうに従って大きくなるように形成されている。ここでは、スプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´は回転方向に向かって凹状の曲線状に形成される。ロッド用固定放射状溝12´もスプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´と同様に形成される。
このようなスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c,11a´,11b´,11c´の傾斜は、後述のトルク応答位相調整機構100に利用されるので、これらの傾斜の意味については後述する。
〔3−1−2.トルク応答位相調整機構〕
次に、図13,図14及び図15を参照して、トルク応答位相調整機構100を説明する。このトルク応答位相調整機構100は、動力の伝達時に、固定ディスク10,10´及び可動ディスク19に作用するトルクが、固定ディスク10,10´に対する可動ディスク19の位相を変更し、これにより、第一交差箇所CP1を径方向外側へ変位させようとする場合には、この変位を許容する。ただし、トルク応答位相調整機構100は、固定ディスク10,10´及び可動ディスク19に作用するトルクが、固定ディスク10,10´に対する可動ディスク19の位相を変更して、これにより、第一交差箇所CP1を径方向内側へ変位させようとする場合には、この変位を規制する。
トルク応答位相調整機構100は、各複合スプロケット5,5の固定ディスク10,10´に形成されたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c,11a´,11b´,11c´の傾斜構造と、各ピニオンスプロケット21,22,23の支持軸21a,22a,23aから固定ディスク10,10´に形成されたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c,11a´,11b´,11c´の傾斜構造によって可動ディスク19に加わるトルクの分力に対向する回転方向(つまり、逆回転方向)に、可動ディスク19に対して付勢力を加える付勢機構100A,100Bとを有している。
まず、傾斜構造について説明する。スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c,11a´,11b´,11c´は、何れも、径方向外側に向かうに従って複合スプロケット5の回転方向の進角側にシフトするように、径方向に対して傾斜角θを有して形成された傾斜構造を有している。
なお、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c,11a´,11b´,11c´と交差して、支持軸21a,22a,23aが位置する第一交差箇所CP1を形成するスプロケット用可動放射状溝19aは、径方向外側に向かうに従って複合スプロケット5の回転方向の遅角側(即ち、固定放射状溝と逆方向)と反対側にシフトするように、径方向に対して傾斜した傾斜構造を有している。
本実施形態では、二組の複合スプロケット5,5のうち、図1,図2における左側の入力側複合スプロケット5の固定ディスク10に形成されたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、直線状に形成され、その傾斜角θは、図3(a)に示すように、径方向内側に向かうに従って大きくなるように形成され、径方向に最も内側の最小径の状態で最大傾斜角θとなり、径方向に最も外側の最大径の状態で最小傾斜角θとなる。
一方、図1,図2における右側の出力側複合スプロケット5の固定ディスク10´に形成されたスプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´は、複合スプロケット5の回転方向に向いて中間が凹んだ曲線状に形成され、その傾斜角θは、図4(a)に示すように、径方向外側に向かうに従って大きくなるように形成され、径方向に最も外側の最大径の状態で最大傾斜角θとなり、径方向に最も内側の最小径の状態で最小傾斜角θとなる。
入力側複合スプロケット5の付勢機構100Aは、変速用フォーク35のブリッジ部(第二部材)35bとカムローラ支持部(第一部材)35aとの間に装備される。ブリッジ部35bには、カムローラ支持部35aを上下から(軸方向両側から)挟みこむように配置された環状のホルダー部101が固設されている。ホルダー部101は、カムローラ支持部35aの上方に配置された上壁部101aと、カムローラ支持部35aの下方に配置された下壁部101bと、上壁部101aと下壁部101bとを結合する筒状壁部101cとを有する。
上壁部101aとカムローラ支持部35aの上面部との間にはバネ(例えば、皿バネ)103がプリロードを懸けた状態で介装されており、カムローラ支持部35aの下面部を下壁部101bに圧接すると共に、カムローラ支持部35aに前記プリロード以上の上方への力が加わるまで同カムローラ支持部35aの上方への動きを規制している。固定ディスク10及び可動ディスク19が支持軸20aからのトルク分力を受けると、両ディスク10,19が相対回転しようとし、それに伴って第一カム溝15aと第二カム溝16aとが相対回転しようする結果、カムローラ90がカムローラ支持部35aを軸方向に移動させようとする。この軸方向への移動方向が図1中下方であれば、下壁部101bで動きを規制されるが、この軸方向への移動方向が図1中上方で且つ前記トルク分力が前記プリロードのバネ力以上であれば、カムローラ支持部35aがバネ103を更に圧縮させながら移動することとなる。
また、出力側複合スプロケット5の付勢機構100Bも、変速用フォーク35のブリッジ部35bとカムローラ支持部35aとの間に装備される。ブリッジ部35bのカムローラ支持部35a側には、カムローラ支持部35aの周囲を囲むように形成された環状部35eを備え、カムローラ支持部35aにはブリッジ部35bの環状部35eを上下から(軸方向両側から)挟みこむように配置された環状のホルダー部102が固設されている。ホルダー部102は、カムローラ支持部35aの上方に配置された上壁部102aと、カムローラ支持部35aの下方に配置された下壁部102bとを有する。
上壁部102aとブリッジ部35bの環状部35eの上面部との間にはバネ(例えば、皿バネ)104がプリロードを懸けた状態で介装されており、カムローラ支持部35aの下面部を下壁部102bに圧接し、前記付勢機構100Aと同様の作用でカムローラ支持部35aの下方への動きを規制している。そして、固定ディスク10´及び可動ディスク19が支持軸20aからのトルク分力を受けると、前記付勢機構100Aと同様にカムローラ90がカムローラ支持部35aを軸方向に移動させようとする。この軸方向への移動方向が図1中上方であれば、下壁部102bで動きを規制されるが、この軸方向への移動方向が図1中下方で且つ前記トルク分力が前記プリロードのバネ力以上であれば、バネ104を更に圧縮させながら移動することができる。
このように、固定ディスク10,10´と可動ディスク19との相対回転は、作用する力がバネ103,104のプリロード力に打ち勝てば可能である。つまり、支持軸21a,22a,23aがトルク分力を受けて、径方向外側に移動しようとすると、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c,11a´,11b´,11c´は径方向外側に向かうに従って複合スプロケット5の回転方向進角側にシフトする傾斜構造を有しているので、支持軸21a,22a,23aは回転方向遅角側にシフトしようとする。
これに対して、可動ディスク19のスプロケット用可動放射状溝19aは、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c,11a´,11b´,11c´とは逆に、径方向外側に向かうに従って複合スプロケット5の回転方向遅角側にシフトする傾斜構造を有しているので、支持軸21a,22a,23aの径方向外側且つ回転方向進角側に移動しようとする動きに対抗する反力を発揮する。
ただし、このスプロケット用可動放射状溝19aによる反力は、バネ103,104のプリロード力に依存したものなので、支持軸21a,22a,23aに径方向外側に移動させようとする力がバネ103,104のプリロード力に打ち勝てば、固定ディスク10,10´と可動ディスク19とが相対回転し、第一交差箇所CP1を径方向外側へ変位させることが可能となり、第一交差箇所CP1の径方向外側への移動、したがって、支持軸21a,22a,23aの径方向外側への移動が、支持軸21a,22a,23aに加わる力に応じて許容される。
なお、固定ディスク10,10´において支持軸21a,22a,23aが径方向内側に力を受けて、径方向内側に移動しようとすると、可動ディスク19のスプロケット用可動放射状溝19aがこれに対抗する反力を発揮する。この反力は、入力側の複合スプロケット5においてはカムローラ支持部35aを下方へ移動させる方向に作用し、出力側の複合スプロケット5においてはカムローラ支持部35aを上方へ移動させる方向に作用するため、それぞれ下壁部101b,102bによって動きを規制され、第一交差箇所CP1の径方向内側への移動、したがって、支持軸21a,22a,23aの径方向内側への移動は阻止される。下壁部101b,102bは、第一交差箇所CP1の径方向内側への移動を規制する内側移動規制部材とも呼べる。
本変速機構において、図2に示す白矢印の向き(反時計回り)に、入力側複合スプロケット5から出力側複合スプロケット5にトルクを伝達する力行時には、出力側複合スプロケット5の固定ディスク10´に着目すると、図4に示すように、支持軸21a,22a,23aからスプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´を通じて固定ディスク10´にトルクに応じた力(駆動力)Fが伝達される。
図15に示すように、力Fは、支持軸21a,22a,23aの回転円の接線方向に働き、力Fと、スプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´の傾斜角θとに応じて支持軸21a,22a,23aを径方向外側に移動させる力Fの分力(拡径力)Fr(=Fsinθ)が発生する。この分力Frが、バネ104のプリロード力に抗して、可動ディスク19を回転させながら支持軸21a,22a,23aを径方向外側に移動させる。これにより、駆動力F及び傾斜角θに応じてチェーン6の張力を高めるようになっている。なお、スプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´の壁面に加わる力Fの分力は、スプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´の壁面からの垂直抗力Fnによって相殺される。
図15に示すように、出力側複合スプロケット5の固定ディスク10´のスプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´の傾斜角θは、径方向外側に行くほど大きくなるので、駆動力Fが同一でも支持軸21a,22a,23aが径方向外側に行くほど、分力Frは大きくなる。
例えば、力行時に最も伝達トルクが大きくなるのは、車両の発進時のように、変速比が最ローで大トルクが入力された場合であり、この時には、入力側複合スプロケット5の径は最小になり、出力側複合スプロケット5の径は最大になる。最大径になった出力側複合スプロケット5では、固定ディスク10´のスプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´の傾斜角θも最大になる(θ)ので、大きな分力Frが発生する。これにより、大きな駆動力F及び大きな傾斜角θに応じた大きな拡径力Fr(=Fsinθ)で出力側複合スプロケット5の径を拡張しチェーン6の張力を確実に高めるようになっている。
一方、本変速機構において、回転方向は力行時と同じであるがトルクが出力側複合スプロケット5から入力側複合スプロケット5に伝達されるコースト時には、図3(a)に黒矢印で示すように、エンジンブレーキのトルクが白矢印の回転方向とは逆向きに作用するが、この場合には、エンジンブレーキ力に対向する力(駆動力)Fbが力行時と逆方向に、つまり、出力側複合スプロケット5から入力側複合スプロケット5に加わるものと考えられる。このときには、入力側複合スプロケット5において、支持軸21a,22a,23aからスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cを通じて、固定ディスク10に力Fbが伝達される。
図3(a)に示すように、力Fbは、支持軸21a,22a,23aの回転円の接線方向に働き、力Fbとスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの傾斜角θとに応じて支持軸21a,22a,23aを径方向外側に移動させる力Fbの分力(拡径力)Fbr(=Fbsinθ)が発生する。この分力Fbrが、バネ104のプリロード力に抗して、可動ディスク19を回転させながら支持軸21a,22a,23aを径方向外側に移動させる。これにより、駆動力Fb及び傾斜角θに応じてチェーン6の張力を高めるようになっている。なお、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの壁面に加わる力Fbの分力は、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの壁面からの垂直抗力Fbnによって相殺される。
図14に示すように、入力側複合スプロケット5の固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの傾斜角θは、径方向内側に行くほど大きくなるので、駆動力Fが同一でも支持軸21a,22a,23aが径方向内側に行くほど、分力力Frは大きくなる。
例えば、コースト走行時に伝達トルクが大きくなるのは、変速比が最ローに近い場合であり、この時には、入力側複合スプロケット5の径は最小に近づき、出力側複合スプロケット5の径は最大に近づく。最小に近づいた入力側複合スプロケット5では、固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの傾斜角θも大(例えば、最大傾斜角θ)になるので、大きな分力Fbrが発生する。これにより、大きなエンジンブレーキ力に対向する力Fb及び大きな傾斜角θに応じた大きな分力Fbr(=Fbsinθ)で入力側複合スプロケット5の径を拡張しチェーン6の張力を確実に高めるようになっている。
〔3−2.作用及び効果〕
本発明の第3実施形態にかかる変速機構は、上述のように構成されるため、位相調整機構180による効果に加えて、トルク応答位相調整機構100によって以下のような作用及び効果を得ることができる。
本変速機構によれば、入力側複合スプロケット5から出力側複合スプロケット5にトルクを伝達する力行時には、入力側複合スプロケット5の回転軸1から入力される動力は、固定ディスク10を介して支持軸21a,22a,23aに伝達され、ピニオンスプロケット21,22,23からチェーン6に伝達される。さらに、チェーン6から出力側複合スプロケット5のピニオンスプロケット21,22,23に伝達され、支持軸21a,22a,23aから固定ディスク10を介して出力側複合スプロケット5の回転軸1に伝達される。
このときには、出力側複合スプロケット5において、図4(a)に示すように、支持軸21a,22a,23aからスプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´を通じて固定ディスク10´に力(駆動力)Fが伝達される。
この力Fと、スプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´の傾斜角θとに応じて支持軸21a,22a,23aを径方向外側に移動させる分力(拡径力)Fr(=Fsinθ)が発生する。この分力Frの大きさに応じて支持軸21a,22a,23aを径方向外側に移動させるため、駆動力F及び傾斜角θに応じてチェーン6の張力を高めることができる。
特に、出力側複合スプロケット5の固定ディスク10´のスプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´の傾斜角θは、径方向外側に行くほど大きくなるので、駆動力Fが同一でも支持軸21a,22a,23aが径方向外側に行くほど、分力Frは大きくなる。変速比が最ローで大トルクが入力された場合には、入力側複合スプロケット5の径は最小になり、出力側複合スプロケット5の径は最大になるので、固定ディスク10´のスプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´の傾斜角θも最大になり、大きな分力Frが発生する。これにより、大きな駆動力F及び大きな傾斜角θに応じた大きな分力Frで出力側複合スプロケット5の径を拡張しチェーン6の張力を確実に高めることができる。なお、スプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´の壁面に加わる力Fの分力は、スプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´の壁面からの垂直抗力Fnによって相殺される。
一方、本変速機構において、コースト時には、出力側スプロケット5から入力側複合スプロケット5にエンジンブレーキ力の対応したトルクが伝達されるものと考えることができる。つまり、出力側複合スプロケット5の回転軸1から入力される動力は、固定ディスク10´を介して支持軸21a,22a,23aに伝達され、ピニオンスプロケット21,22,23からチェーン6に伝達される。さらに、チェーン6から入力側複合スプロケット5のピニオンスプロケット21,22,23に伝達され、支持軸21a,22a,23aから固定ディスク10を介して入力側複合スプロケット5の回転軸1に伝達される。
このときには、入力側複合スプロケット5において、図3(a)に示すように、支持軸21a,22a,23aからスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cを通じて固定ディスク10に力Fbが伝達される。
この力Fbと、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの傾斜角θとに応じて支持軸21a,22a,23aを径方向外側に移動させる力(拡径力)Fbr(=Fbsinθ)が発生し、支持軸21a,22a,23aを径方向外側に移動させる。これにより、駆動力Fb及び傾斜角θに応じてチェーン6の張力を高めることができる。
例えば、コースト走行時に変速比が最ローに近い場合には、入力側複合スプロケット5に作用するトルクが大きくなり、入力側複合スプロケット5の径は最小に近づくので、入力側複合スプロケット5の固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの傾斜角θも大になり、大きな駆動力Fb及び大きな傾斜角θに応じた大きな分力Fbrで入力側複合スプロケット5の径を拡張しチェーン6の張力を確実に高めることができる。なお、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの壁面に加わる力Fbの分力は、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの壁面からの垂直抗力Fbnによって相殺される。
また、車両の後退時には、各複合スプロケット5が白矢印の回転方向とは逆方向へ回転する。
車両の後退力行時には、入力側複合スプロケット5の回転軸1から入力される後退動力は、固定ディスク10を介して支持軸21a,22a,23aに伝達され、ピニオンスプロケット21,22,23からチェーン6に伝達される。さらに、チェーン6から出力側複合スプロケット5のピニオンスプロケット21,22,23に伝達され、支持軸21a,22a,23aから固定ディスク10´を介して出力側複合スプロケット5の回転軸1に伝達される。
このときには、入力側複合スプロケット5において、図3(a)に示す抗力Fbnに相当する力が、固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cから支持軸21a,22a,23aに伝達され、これに対して、支持軸21a,22a,23aが図3(a)に示す力Fbに相当する反力で対抗する。この結果、この力Fbと、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの傾斜角θとに応じて支持軸21a,22a,23aを径方向外側に移動させる力(拡径力)Fbr(=Fbsinθ)が発生し、支持軸21a,22a,23aを径方向外側に移動させる。これにより、前進時と同様に、駆動力Fb及び傾斜角θに応じてチェーン6の張力を高めることができる。
一方、車両の後退コースト時には、上記の力行時とは逆に、出力側複合スプロケット5の回転軸1から入力される後退方向の動力が、固定ディスク10´を介して支持軸21a,22a,23aに伝達され、ピニオンスプロケット21,22,23からチェーン6に伝達される。さらに、チェーン6から入力側複合スプロケット5のピニオンスプロケット21,22,23に伝達され、支持軸21a,22a,23aから固定ディスク10を介して出力側複合スプロケット5の回転軸1に伝達される。
このときには、出力側複合スプロケット5において、図4(a)に示す抗力Fnに相当する力が、固定ディスク10´のスプロケット用固定放射状溝11a´,11b´,11c´から支持軸21a,22a,23aに伝達され、これに対して、支持軸21a,22a,23aが図4(a)に示す力Fに相当する反力で対抗する。この結果、この力Fと、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの傾斜角θとに応じて支持軸21a,22a,23aを径方向外側に移動させる力(拡径力)Fr(=Fsinθ)が発生し、支持軸21a,22a,23aを径方向外側に移動させる。これにより、前進時と同様に駆動力F及び傾斜角θに応じてチェーン6の張力を高めることができる。
〔3−3.その他〕
以上、本発明の第3実施形態について説明したが、かかる実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
例えば、上記実施形態では、変速用フォーク(軸方向力伝達部材)35をブリッジ部(第二部材)35bとカムローラ支持部(第一部材)35aとに分割して、これらの間に付勢機構100A,100Bを装備しているが、支持軸21a〜23aから可動ディスク19に加わるトルクに対向する回転方向に可動ディスク19に対して付勢力を加えるものであればよく、実施形態の構成に限定されるものではない。
また、傾斜構造に関し、入力側複合スプロケット5の固定ディスク10に形成された固定放射状溝11a〜11cの傾斜角θを、径方向内側に向かうに従って大きくなるように形成し、出力側複合スプロケット5の固定ディスク10´に形成された固定放射状溝11a´〜11c´の傾斜角θを、径方向外側に向かうに従って大きくなるように形成しているが、これに限定されない。
例えば、入力側複合スプロケット5の固定ディスク10に形成された固定放射状溝11a〜11cの傾斜角θを、入力側複合スプロケット5の最小径の位置或いはこの近辺で最も大きくなるように形成し、出力側複合スプロケット5の固定ディスク10´に形成された固定放射状溝11´〜11c´の傾斜角θを、出力側複合スプロケット5の最大径の位置或いはこの近辺で最も大きくなるように形成するだけで、必ずしも径方向内側又は外側に向かうに従って大きくなるように構成しなくても良い。
各複合スプロケット5の固定ディスク10,10´に形成された固定放射状溝11a〜11c,11a´〜11c´を、何れも、径方向外側に向かうに従って複合スプロケットの回転方向にシフトするように、径方向に対して傾斜角を有して形成されるだけで、特に、傾斜角の大きさを特定しなくても良い。
〔4.その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した一実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
特に、位相調整機構は、固定ディスク10に対する可動ディスク19の位相を変更して第一交差箇所CPを径方向に変位させてチェーン6の張力が適切な状態で固定することができればよく、上記の各実施形態の初期位相調整機構80,180に限定されない。
さらに、第3実施形態のトルク応答位相調整機構は、第1実施形態の初期位相調整機構などの他の初期位相調整機構と組み合わせてもよい。
1 回転軸
5 複合スプロケット
6 チェーン
10,10´ 固定ディスク(第一支持部材,径方向移動用固定ディスク,自転用固定ディスク)
11a,11b,11c,11a´,11b´,11c´ スプロケット用固定放射状溝(固定ピニオンスプロケット案内溝)
12,12´ ロッド用固定放射状溝
15 第一回転部
15a 第一カム溝
16 第二回転部
16a 第二カム溝
17,17A,17B 接続部
17a 軸方向接続部
17b 径方向接続部(接続ディスク部)
17e ボルトブラケット
19 可動ディスク(第一支持部材,径方向移動用可動ディスク)
19a スプロケット用可動放射状溝
20 ピニオンスプロケット
21 固定ピニオンスプロケット
22 第一自転ピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)
23 第二自転ピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)
20a,21a,22a,23a 支持軸
21c,22c,23c ピニオンスプロケット21,22,23の歯
29 ガイドロッド
30 相対回転駆動機構
31 軸方向移動機構
32 モータ
33 運動変換機構
34 フォーク支持部
35 変速用フォーク(スプロケット移動用軸方向移動部材)
35A 第一部材
35B 第二部材
40A スプロケット移動機構
40B ロッド移動機構
50 機械式自転駆動機構
51 第一ピニオン(進角側ピニオン)
52 第二ピニオン(遅角側ピニオン)
53 第一ラック(進角側ラック)
54 第二ラック(遅角側ラック)
80,180 初期位相調整機構
90 カムローラ
100 トルク応答位相調整機構
100A,100B 付勢機構
101,102 ホルダー部
103,104 バネ
119 軸方向接続部材
119a 軸方向接続部
119b 重合プレート部
119c 周方向両端面
120 円弧状長穴
121,123,124 ボルト(締結部材)
122 ネジ穴
351,352 分割層(重合部)
1,C2,C3,C4 軸心
CP1 第一交差箇所
CP2 第二交差箇所
θS,θC 径方向

Claims (6)

  1. 動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケット及び複数のガイドロッドと、前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させる移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する変速機構であって、
    前記移動機構は、
    前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの各支持軸が内挿される固定放射状溝が複数形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、
    前記固定放射状溝のそれぞれと交差する第一交差箇所に前記支持軸が位置する可動放射状溝が複数形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、
    前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転駆動して前記第一交差箇所を前記径方向に移動させる相対回転駆動機構と、を備えると共に、
    前記固定ディスクに対する前記可動ディスクの初期位相を変更し前記第一交差箇所を径方向に変位させる初期位相調整機構を備えている
    ことを特徴とする、変速機構。
  2. 前記可動ディスクは、接続ディスク部を介して前記相対回転駆動機構に接続され、
    前記初期位相調整機構は、前記可動ディスクと前記接続ディスク部との前記相対回転方向の相対位置を変位させて固定する機構である
    ことを特徴とする、請求項1記載の変速機構。
  3. 前記可動ディスクは、前記接続ディスク部と重合する重合プレート部を有し、
    前記初期位相調整機構は、前記重合プレート部と前記接続ディスク部との一方に前記相対回転方向に沿って形成された円弧状長穴と、前記重合プレート部と前記接続ディスク部との他方に形成されたネジ穴と、前記円弧状長穴に挿通され前記ネジ穴に螺合されて前記可動ディスクと前記接続ディスク部とを締結する締結部材とを有する
    ことを特徴とする、請求項2記載の変速機構。
  4. 前記相対回転駆動機構は、
    前記回転軸の軸方向に沿って設けられ、前記固定ディスクと一体回転する第一回転部に設けられた第一カム溝と、
    前記第一カム溝と交差するとともに前記軸方向に沿って設けられ、前記可動ディスクと一体回転する第二回転部に設けられた第二カム溝と、
    前記第一カム溝と前記第二カム溝とが交差する第二交差箇所に配設され、一端部が前記径方向に突出されたカムローラと、
    前記カムローラの前記一端部を収容する溝部が設けられ、前記カムローラに対して前記軸方向の力を伝達する軸方向力伝達部材と、
    前記軸方向力伝達部材を前記軸方向に移動させる軸方向移動機構と、を備え、
    前記軸方向力伝達部材は、前記溝部が設けられる第一部材と、前記軸方向移動機構に接続された第二部材と、に分割され、
    前記初期位相調整機構は、前記第一部材と前記第二部材との前記軸方向の相対位置を変位させて固定する機構である
    ことを特徴とする、請求項1記載の変速機構。
  5. 前記軸方向力伝達部材は、前記可動ディスクと平行に配置されたプレート形状であって、前記第一部材及び前記第二部材には、前記プレート形状の厚み方向に分割されて互いに重合する重合部をそれぞれ有し、
    前記初期位相調整機構は、前記第一部材の重合部と前記第二部材の重合部とを前記厚み方向の相対位置を変位させて固定する機構である
    ことを特徴とする、請求項4記載の変速機構。
  6. 前記初期位相調整機構は、厚みを選択可能なスペーサと、前記第一部材の重合部と前記第二部材の重合部との間に前記スペーサを介装して締結する締結部材とを有する
    ことを特徴とする、請求項5記載の変速機構。
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