JP2017101798A - チェーン及びピニオンスプロケット、並びに変速機構 - Google Patents

チェーン及びピニオンスプロケット、並びに変速機構 Download PDF

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Abstract

【課題】チェーンリンクの山部がピニオンスプロケットの歯の山部に乗り上げる現象を防止することができるように供する。【解決手段】山部611a及び谷部611bからなる歯611が形成されたチェーンリンク61が連結されてなるチェーン4と、山部311a及び谷部311bからなる歯が形成されたピニオンスプロケット30と、を備え、チェーンリンク61及びピニオンスプロケット30の各歯611,311は、当該山部の頂部からその両側に形成されて山部611a,311aの谷部311b,611bへの進入を案内する傾斜面611s,311sと、傾斜面よりも谷部側に形成された動力伝達面611d,311dとを有し、各傾斜面611s,311sは、傾斜角度θが所定角度θSよりも大きく形成されている。【選択図】図13

Description

本発明は、チェーン及びピニオンスプロケット、並びに、これを用いた変速機構に関するものである。
チェーンとピニオンスプロケット(比較的小径のスプロケット)とを用いて動力を伝達する伝動機構が種々の分野に利用されている。近年、チェーンに所謂サイレントチェーンを用いたチェーン伝動機構が、例えば自動車等のタイミングチェーンに用いられている。
また、例えば特許文献1に開示されているように、本願発明者は、複数のピニオンスプロケットとこれに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する変速機構を開発しており、このチェーンには動力伝達に適したサイレントチェーンを用いている。
この変速機構の場合、回転軸に対して等距離を維持しながら径方向に可動に且つ一体回転するように支持されて回転軸に対して公転する複数のピニオンスプロケットがそれぞれ多角形の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケット(ここでは、「複合スプロケット」と呼ぶことにする)が、入力側及び出力側のそれぞれに設けられ、これらの複合スプロケットに巻き掛けられたチェーン(サイレントチェーン)によって動力伝達する。各ピニオンスプロケットが回転軸に対して等距離を維持しながら同期して径方向に移動することで、多角形の大きさが相似的に変化することにより、変速比が変化する。
各ピニオンスプロケットが径方向に移動することにより、見かけ上の大スプロケットの歯数が変更されるが、この時の径方向移動が連続的に行なわれると、径方向移動の過程で多くの場合、歯数は整数にはならず小数となる。見かけ上の大スプロケットの歯数が小数になると、その分、ピニオンスプロケットの歯とチェーンを構成するチェーンリンクの歯との間で位相ずれが生じてしまう。
このような位相ずれが生じても、ピニオンスプロケットの歯とチェーンリンクの歯とが整合しうるように、位相合わせ、いわゆる、「歯合わせ」を行なうことが必要になる。「歯合わせ」を行なうには、ピニオンスプロケットが少なくとも歯合わせする分だけは回転位相を変更できなくてはならない。
特許文献1の技術では、ピニオンスプロケットの各歯を進角及び遅角方向に半歯分まで個別に可動にし、且つ、各歯を中立位相位置に付勢するようにした機構(フローティング機構)を設け、これによって、ピニオンスプロケットの回転位相を変更させてピニオンスプロケットとチェーンとの噛み合いを成立させて、両者間でトルク伝達ができるようにしている。
特開2015−169235号公報
本願発明者は、特許文献1に開示されている変速機構、即ち、ピニオンスプロケットの各歯にフローティング機構を装備した変速機構に関して実験を重ねた。この過程で、フローティング機構が有効に作用せずに、チェーンリンクの歯の山部がスプロケットの歯の山部に乗り上げて噛合していかない現象(以下、乗り上げ現象と言う)が発生することが判明した。
そこで、この現象を分析した。図16に示すように、チェーンリンク061の歯0611の山部0611aもスプロケット030の歯0311の山部0311aも、両山部0611a,0311aが当接後に滑らかに噛み込んでいくように先端が曲面形状に形成される。この形状により、両山部0611a,0311aが接触した後、互いの曲面形状を利用して、チェーンリンク061の歯0611の山部0611aがスプロケット030の歯0311の山部0311aを滑りながら、スプロケット030の歯0311の谷部0311bに滑り落ちるようになるものと想定されていた。しかし、実際には、両山部0611a,0311aの接触部分の摩擦力によって思惑通りには滑り落ちない場合があるものと考えられる。
図17は、チェーンリンク061の歯0611の山部0611aとスプロケット030の歯0311の山部0311aとが、相対傾斜がない状態(山部0611aの中心線CL2と山部0311aの中心線CL1とが平行な状態)で、接触点Pにおいて、接触角度〔=両山部0311a,0611aの中心線CL2,CL1の何れか(ここでは、中心線CL1とする)に対して直交する基準線SLに対する角度〕θで接触し、チェーンリンク061からスプロケット030に押付力(各山部0611aの頂点の法線方向に作用する力)Fが作用する状態を示している。
この状態で、接触点Pにおけるスライド力K及び摩擦力Qは、スプロケット030からの垂直効力をN及び両山部の動摩擦係数をμとすると次式のようになる。
K=F×sinθ
Q=μ×N=μ×F×cosθ
チェーンリンク061の歯0611の山部0611aがスプロケット030の歯0311の山部0311aから谷部0311bに向けら滑り落ちるには、スライド力Kが摩擦力Qよりも大きいこと(K>Q)が必要となり、下式が成立することが必要となる。
F×sinθ>μ×F×cosθ
∴sinθ/cosθ>μ
∴tanθ>μ
∴θ>arctanμ
また、チェーンリンク061の歯0611とスプロケット030の歯0311歯との位相ずれが生じる場合、これらの歯0611,0311の間で相対傾斜が生じる。即ち、山部0611aの中心線CL2と山部0311aの中心線CL1とが位相ずれ角度を生じる。この両山部の当接時に想定される位相ずれ角度の最大値(最大位相ずれ角度)θを考慮すると、下式(1)が成立することが必要となる。
∴θ>arctanμ+θ・・・(1)
したがって、接触角度θが動摩擦係数μ及び最大位相ずれ角度θに応じた境界角度θ(=arctanμ+θ)よりも大きいこと(θ>θ)が必要になり、そうでなければ(θ≦θ)、上記の乗り上げ現象が発生するものと考えられる。
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、チェーンリンクの歯の山部がスプロケットの歯の山部に乗り上げる現象を防止することができるようにしたチェーン及びピニオンスプロケット、並びに、これを用いた変速機構を提供することを目的としている。
(1)上記の目的を達成するため、本発明のチェーン及びピニオンスプロケットは、2つの山部及び該山部間の谷部からなる歯が形成されたチェーンリンクが連結されてなるチェーンと、前記チェーンリンクの前記谷部と噛合する複数の山部及び該山部間の谷部からなる歯が形成されたピニオンスプロケットと、を備え、前記チェーンリンク及び前記ピニオンスプロケットの各歯は、当該山部の中心線上の頂部からその両側に形成されて、対向する歯の山部の噛み合いのための進入を案内する傾斜面と、前記傾斜面よりも前記谷部側に形成された動力伝達面とを有し、前記各傾斜面は、前記中心線に直交する基準線に対する傾斜角度が所定角度θよりも大きく形成されていることを特徴としている。
(2)前記所定角度θは、前記チェーンリンクの前記山部と前記ピニオンスプロケットの前記山部との動摩擦係数をμとし、前記両山部の当接時に想定される最大位相ずれ角度をθとすると、下式(1)を満たす値に設定されていることが好ましい。
θ=arctanμ+θ ・・・(1)
(3)前記各傾斜面は、平面状に形成されていることが好ましい。
(4)前記動力伝達面の少なくとも一部はインボリュート曲線形状に形成されていることが好ましい。
(5)前記チェーンリンク及び前記ピニオンスプロケットの各歯は、インボリュート歯車の歯形状が用いられ、該歯形状から当該山部の前記頂部の両側を前記各傾斜面に対応して除去した形状であることが好ましい。
(6)前記ピニオンスプロケットを支持するピニオン軸との間に装備され、前記ピニオン軸に対する前記ピニオンスプロケットの回転遊動を一定範囲で許容する遊動許容機構と、前記ピニオンスプロケットを前記ピニオン軸に対する基準の位相位置に向けて付勢するギヤ付勢機構と、を備えていることが好ましい。
(7)本発明の変速機構は、動力が入力または出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持される複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら径方向に同期させて移動させる移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円である接円の半径を変更することによって変速比を変更する変速機構であって、前記チェーン及び前記ピニオンスプロケットに、請求項1〜6の何れか1項に記載のチェーン及びピニオンスプロケットが用いられていることを特徴としている。
(8)前記ピニオンスプロケットは、前記接円の半径が最も小さいときの前記接円の円周に沿うように配置されて前記チェーンと噛み合う歯部を有するセクターギヤ形状に形成されていることが好ましい。
本発明のチェーン及びピニオンスプロケットによれば、チェーンリンクの山部がスプロケットの歯の山部に乗り上げる現象を防止することができるようになる。
したがって、このチェーン及びピニオンスプロケットを用いた変速機構によれば、動力を確実に伝達しながら、変速することができるようになる。
本発明の一実施形態にかかる変速機構を示す径方向断面図である。この図1には、白抜きの矢印で公転方向を示す。 本発明の一実施形態にかかる変速機構を模式的に示す軸方向断面図である。 図2の一部(領域A)を拡大して示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構のピニオンスプロケットの一つを取り出して示す分解斜視図である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構の要部を示す分解斜視図である。この図5は、図3に対応する要部を分解して示す。 本発明の一実施形態にかかる変速機構のピニオンスプロケットの一つを取り出してギヤ歯および支持部に着目して示す要部側面図である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構の可動ディスクに着目して示す側面図である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構の固定ディスクに着目して示す側面図である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構において固定ディスクおよび可動ディスクによって径方向に同期して移動されるピニオンスプロケットおよびガイドロッドを説明する図である。この図9では、(a),(b),(c)の順に接円が大きくなっている。なお、図9には、(a)に接円の半径が最も小さいものを示し、(c)に接円の半径が最も大きいものを示す。 図3の矢視B−Bを示す径方向断面図である。 本発明の一実施形態にかかる変速機構の回転部およびカム溝を示す要部拡大図である。この図11は、図3の矢視C−Cを拡大して示す要部拡大図である。 本発明の一実施形態にかかるチェーン及びスプロケットを示す要部正面図である。 本発明の一実施形態にかかるチェーン及びスプロケットの歯の形状を示す正面図である。 本発明の一実施形態にかるチェーン及びスプロケットの噛み合い動作を示す要部正面図であり、図14(a),図14(b),図14(c)の順に噛み合っていく。 本発明の一実施形態にかかるチェーン及びスプロケットの歯の形状の変形例を示す正面図である。 本発明の課題を説明するチェーン及びスプロケットの要部正面図である。 本発明の課題の分析を説明するための図であり、チェーンとスプロケットとの間に作用する各力を示す要部拡大正面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
ここでは、装置構成に関し、まず、本実施形態にかかるチェーン及びスプロケットについて説明し、その後、このチェーン及びピニオンスプロケットを使用した本実施形態にかかる変速機構について説明する。
〔A.チェーン及びスプロケット〕
図12に示すように、本実施形態にかかるチェーン4は、2つの山部611a,611a及びこれらの山部611a,611a間の谷部611bからなる歯611が形成されたチェーンリンク(リンクプレート)61が、連結ピン62により多数連結されて無端状に構成される。
また、本実施形態にかかるピニオンスプロケット(単に、スプロケットとも言う)30は、詳細は後述するが、そのギヤ部310がセクターギヤ(扇形歯車)形状に形成されており、ギヤ部310には、チェーンリンク61の谷部611bと噛合する複数の山部311a及び隣接する山部311aの相互間の谷部311bからなる歯(ギヤ歯)311が形成されている。ただし、ピニオンスプロケット30のギヤ部は通常の円形歯車形状に形成されてもよい。
さらに、ピニオンスプロケット30は同軸上に複数個が横並びに配設され、無端状のチェーン4も横並びのピニオンスプロケット30に合わせて各チェーンリンク61を横並びに複数列配設するように構成してもよい。この場合、横並びの各チェーンリンク61はそれぞれ半位相だけずらせて配置する。
このような各チェーンリンク61の歯611と、ピニオンスプロケット30のギヤ部310の歯311には、図13に示すように、山部311a,611aに、歯611と歯311との噛合を案内するように傾斜した傾斜面311s,611sが形成されている。
この傾斜面311s,611sは、山部311a,611aの中心線CL上の頂部311t,611tからその両側に形成され、本実施形態の場合、傾斜面311s,611sは平面状に形成されている。なお、山部311a,611aは、図13に示すような側面視で、その頂部311t,611tを中心に左右対称に形成されており、中心線CLとは、左右対称の対称軸線に相当する。
チェーンリンク61の歯611がピニオンスプロケット30の歯311に噛合する際に、チェーンリンク61の歯611の山部611aがピニオンスプロケット30の歯311の谷部311bに向かって進入していけば、山部611aが谷部311b内に、また、ピニオンスプロケット30の山部311aがチェーンリンク61の谷部611b内に、それぞれ何ら支障なく噛合する。
しかし、チェーンリンク61の歯611とピニオンスプロケット30の歯311とが位相ずれを生じると、チェーンリンク61の山部611aがピニオンスプロケット30の山部311aに向かって進入しようとして、山部611aと山部311aとが当接する場合が発生する。
各傾斜面311s,611sは、このように、チェーンリンク61の山部611aとピニオンスプロケット30の山部311aとが当接した場合に、両山部611a,311aが摺動しながら、山部611aが谷部311b内に、山部311aが谷部611b内に、支障なく噛合していくように案内する案内面として機能する。
各傾斜面311s,611sは、このように案内面として機能しうるように、その傾斜角度θが所定角度θ以上に形成されている。なお、傾斜角度θとは、山部311aの中心線CLに直交する基準線SLに対する傾斜角度である。
また、所定角度θとは、各傾斜面311s,611sが当接した場合に、両傾斜面311s,611sが圧接した際に、停止するかスリップ(摺動)するかの境界角度である。この境界角度θは、[発明が解決しようとする課題]の欄で説明したように、スリップ力Fと最大摩擦力Qとが等しくなる角度である。
ここで、境界角度θについて、図17を流用して説明する。チェーンリンクの歯0611の山部0611aとスプロケット030の歯0311の山部0311aとが、接触点Pにおいて、接触角度〔=両山部0311a,0611aの中心線CL2,CL1の何れかに対して直交する基準線SLに対する角度〕θで接触し、チェーンリンク061からスプロケット030に押付力Fが作用する。
この状態で、接触点Pにおけるスライド力K及び摩擦力Qは、スプロケット030からの垂直抗力をN及び両山部の動摩擦係数をμとすると次式のようになる。
K=F×sinθ
Q=μ×N=μ×F×cosθ
チェーンリンク061の歯0611の山部0611aがスプロケット030の歯0311の山部0311aから谷部0311bに向けら滑り落ちるには、スライド力Kが摩擦力Qよりも大きいこと(K>Q)が必要となり、下式が成立することが必要となる。
F×sinθ>μ×F×cosθ
∴sinθ/cosθ>μ
∴tanθ>μ
∴θ>arctanμ
また、チェーンリンク061の歯0611とスプロケット030の歯031歯との位相ずれが生じる場合、これらの歯0611,0311の間で相対傾斜が生じる。即ち、山部0611aの中心線CL2と山部0311aの中心線CL1とが位相ずれ角度を生じる。この両山部の当接時に想定される位相ずれ角度の最大値(最大位相ずれ角度)θを考慮すると、下式(1)が成立することが必要となる。
∴θ>arctanμ+θ・・・(1)
したがって、接触角度θが動摩擦係数μ及び最大位相ずれ角度θに応じた境界角度θ(=arctanμ+θ)よりも大きいこと(θ>θ)が必要になり、そうでなければ(θ≦θ)、上記の乗り上げ現象が発生するものと考えられる。
そこで、各傾斜面311s,611sは、式(1)を満たすようにその傾斜角度θが設定されている。
なお、各傾斜面311s,611sよりも谷部311b,611b側には、互いに接触して動力(トルク)を伝達する動力伝達面311d,611dが形成されている。
また、本実施形態では、図13に二点鎖線で示すように、歯311,611には、インボリュート歯車の歯形状が用いられ、この歯形状からインボリュート歯車の山部の頂部の両側を各傾斜面311s,611sに対応するようにて除去した形状となっている。
したがって、動力伝達面311d,611dはインボリュート曲線形状に形成されている。
ここで、動摩擦係数μ及び最大位相ずれ角度θを具体的に与えて、境界角度θを求めると、以下のようになる。
動摩擦係数μは、各傾斜面311s,611sが何れも鋼材であれば0.5前後であるが、両傾斜面311s,611s間に潤滑油が介在する場合には0.1前後となる。
動摩擦係数μが0.5であれば、arctanμ≒26.6となり、動摩擦係数μが0.1であれば、arctanμ≒5.7となる。
また、最大位相ずれ角度θは、最大位相ずれを許容する角度であり、位相ずれを許容する歯数nと、1つの歯の位相角度(中心角度)θとで決まる。
例えば、0.5歯分まで位相ずれを許容する場合、位相ずれ許容歯数nは1/2となる。1.5歯分まで位相ずれを許容する場合、位相ずれ許容歯数nは3/2となる。
1つの歯の位相角度(中心角度)θは、スプロケット30の設定により決まる。ここでは、後述する変速機構において、スプロケット30が回転軸に対して径方向へ移動しながら見かけの大スプロケットの径を変更するので、スプロケット30の歯数を、見かけの大スプロケットが最小径となった場合の歯数に基づいて設定している。
見かけの大スプロケットが最小径となった場合の歯数を32と想定すると、1つの歯の位相角度(中心角度)θは、
θ=360度/32=11.25度
ここで、0.5歯分まで位相ずれを許容する場合、最大位相ずれ角度θは、
θ=11.25度×n=11.25度×(1/2)=5.625≒5.6
また、1.5歯分まで位相ずれを許容する場合、最大位相ずれ角度θは、
θ=11.25度×n=11.25度×(3/2)=16.875≒16.9
したがって、動摩擦係数μが0.5で、0.5歯分まで位相ずれを許容する場合の境界角度θS1,動摩擦係数μが0.5で、1.5歯分まで位相ずれを許容する場合の境界角度θS2,動摩擦係数μが0.1で、0.5歯分まで位相ずれを許容する場合の境界角度θS3,動摩擦係数μが0.1で、1.5歯分まで位相ずれを許容する場合の境界角度θS4は次のようになる。
θS1=26.6+5.6=32.2(度)
θS2=26.6+16.9=43.5(度)
θS3=5.7+5.6=11.3(度)
θS4=5.7+16.9=22.6(度)
また、各境界角度θS1〜θS4を頂点311t,611tの両側の傾斜面311s,311s又は611s,611sの成す角度αの上限値αS1〜αS4で表すと、以下のようになる。
αS1=180−2×θS1=115.6(度)
αS2=180−2×θS2=93.0(度)
αS3=180−2×θS3=157.4(度)
αS4=180−2×θS4=134.8(度)
したがって、各傾斜面311s,611sの傾斜角度θが境界角度θ(=arctanμ+θ)よりも大きく設定されていることにより、図14に示すように、チェーンリンク61の歯611の山部611aがピニオンスプロケット30の歯311の山部311aに乗り上げて噛合していかない、いわゆる乗り上げ現象の発生を回避することができる。
例えば、図14(a)に示すように、チェーンリンク61の歯611の山部611aがピニオンスプロケット30の歯311の山部311aに当接すると、山部611aの何れかの傾斜面611sが山部311aの対応する傾斜面311sと接触する。各傾斜面311s,611sの傾斜角度θが境界角度θよりも大きく設定されているので、チェーンリンク61にピニオンスプロケット30に向けて与えられた押圧力Fによるスリップ力Kが摩擦力Qに打ち勝つ。
これにより、図14(b)に示すように、チェーンリンク61山部611aの傾斜面611sが、ピニオンスプロケット30の山部311aの対応する傾斜面311sに接触して滑りながら谷部311Bに向かって進入する。
そして、山部611aの傾斜面611sが、動力伝達面311dの領域に進入すると、図14(c)に示すように、動力伝達面611dと動力伝達面311dとが接触しながら、チェーンリンク61の歯611がピニオンスプロケット30の歯311に円滑に噛合する。
なお、本実施形態では、動力伝達面311d,611dをインボリュート曲線形状に形成しているが、図15に示す歯1311,1611のように、動力伝達面1311d,1611dをインボリュート曲線形状から平面に近い形状に変更してもよい。なお、図15において、符号1311a,1611aは山部、符号1311b,1611bは谷部、符号1311s,1611sは傾斜面である。
また、本実施形態では、傾斜面311s,611sは平面で構成されているが、図15に二点鎖線で示すように、傾斜面311s,611sを外側に凸の局面で構成してもよい。当然ながら、この場合にも、傾斜面1311s,1611sは、何れの箇所においても。その傾斜角度θが境界角度θよりも大きく設定されているものとする。
なお、チェーン4とピニオンスプロケット30とからなる動力伝達機構には、ピニオンスプロケット30のギヤ部310を遊動可能とする遊動許容機構370と、ピニオンスプロケット30のギヤ部310を所定の基準位相に向けて付勢するギヤ付勢機構380とが備えられるが、これについては後述する。
〔B.変速機構〕
次に、本発明の変速機構に関する実施の形態を説明する。なお、本変速機構は例えば車両用変速機に適用されるものとする。
この変速機構は、動力の入力される回転軸(入力軸)を有する一方の複合スプロケットと、動力の出力される回転軸(出力軸)を有する他方の複合スプロケットと、これらの複合スプロケットに巻き掛けられて一方から他方の複合スプロケットに動力を伝達するチェーンとを備えている。各複合スプロケットは、チェーンと噛み合う複数のピニオンスプロケットを有する。これらのピニオンスプロケットは、回転軸の軸心から等距離を維持しながら径方向に同期して移動し、また、回転軸の軸心まわりに公転する。
以下の説明では、回転軸の軸心あるいはこの軸心に平行な方向を軸方向とし、軸方向に直交するとともにチェーンの幅方向中心を通って動力伝達方向に延びる仮想的な線として動力伝達線を定め、回転軸の軸心を基準に径方向および周方向のそれぞれを定める。
軸方向については、チェーンに対し
て近接する側を軸方向内側と呼び、チェーンに対して離隔する側を軸方向外側と呼ぶ。さらに、動力伝達線を基準として、軸方向の一方(以下、「軸方向一方」という)および他方(以下、「軸方向他方」という)を定める。すなわち、軸方向一方と軸方向他方とがチェーンを挟んで互いに反対側にある。
径方向については、回転軸の軸心に対して近接する側を径方向内側(あるいは「内周側」)と呼び、回転軸の軸心に対して離隔する側を径方向外側(あるいは「外周側」)と呼ぶ。さらに、回転軸の軸心を基準として、径方向の一方(以下、「径方向一方」という)および他方(以下、「径方向他方」という)を定める。すなわち、径方向一方と径方向他方とが回転軸の軸心を挟んで互いに反対側にある。
周方向については、変速機構において回転軸が回転する方向あるいはピニオンスプロケットが回転軸の軸心まわりに公転する方向を基準に進角側および遅角側を定める。ここでいう進角側とは、回転駆動源の回転位相が早い側であること(たとえば内燃機関における点火時期)に由来することから、公転する方向とは逆側を意味する。なお、遅角側は、進角側とは反対側(公転する方向)を意味する。
図面では、軸方向一方を「X1」と示し、軸方向他方を「X2」と示し、径方向内側を「Y1」と示し、径方向外側を「Y2」と示し、遅角側を「Z1」と示し、進角側を「Z2」と示す。
[1.構成]
まず、変速機構の構成を説明する。
図1に示すように、変速機構では、二組の複合スプロケット3,3にチェーン4が巻き掛けられている。このチェーン4としては、ここでは、図12に示す形状の歯を有するチェーンリンク61を連結されたサイレントチェーン4が用いられ、二組の複合スプロケット3,3の各ピニオンスプロケット30には、図12に示す形状の歯を有するピニオンスプロケットが用いられている。
この変速機構では、入力側の複合スプロケット3(図1では右方に示す)から出力側の複合スプロケット3(図1では左方に示す)にチェーン4を介して回転動力が伝達される。
入力側の複合スプロケット3には、動力の入力される回転軸1が設けられている。また、出力側の複合スプロケット3には、動力の出力される回転軸1が設けられている。これらの複合スプロケット3,3は、動力の伝達方向の違い(即ち、動力の伝達方向が入力側か出力側かの違い)を除いてそれぞれ同様に構成されている。そこで、主に入力側の複合スプロケット3の構成を説明する。
複合スプロケット3には、回転軸1のほか、チェーン4と噛み合って動力を伝達する複数のピニオンスプロケット30と、チェーン4を案内(ガイド)する複数のガイドロッド40とが設けられる。ピニオンスプロケット30およびガイドロッド40は、回転軸1と一体に回転するように支持され、回転軸1の軸心C1を中心に公転する。また、ピニオンスプロケット30およびガイドロッド40は、軸方向から視て多角形の頂点をなすようにして、見かけ上の大きなスプロケットを形成する。ここでは、周方向に沿って等間隔に六つのピニオンスプロケット30が配置され、周方向に隣接するピニオンスプロケット30の間のそれぞれに二本のガイドロッド40が配置されて、十八角形の仮想的なスプロケットが形成される。
さらに、複合スプロケット3には、回転軸1の軸心C1から等距離を維持させながらピニオンスプロケット30およびガイドロッド40を径方向に同期させて移動させる同期移動機構50(図2参照)が設けられている。この同期移動機構50によって、ピニオンスプロケット30およびガイドロッド40が径方向に同期して移動することで、複合スプロケット3の外径が変動し、変速機構の変速比が変更される。
複合スプロケット3の外径とは、ピニオンスプロケット30の何れにも外周から接する円(以下、「接円」という)Aの直径を意味する。そのため、複合スプロケット3の外径は、接円Aの半径に対応するのはもちろん、回転軸1の軸心C1に対する多角形の頂点の距離に対応しており、また、チェーン4の巻き掛け半径に対応している。
図1のピニオンスプロケット30およびガイドロッド40ならびにチェーン4は、入力側の接円Aが最小であって出力側の接円Aが最大、即ち、変速比が最Lowの状態のものを実線で示し、反対に、入力側の接円Aが最大であって出力側の接円Aが最小、即ち、変速比が最Highの状態のものを二点鎖線で示す。
図2および図5に示すように、同期移動機構50には、回転軸1と一体に回転する固定ディスク10と、回転軸1に対して相対回転可能な可動ディスク20と、固定ディスク10に対して可動ディスク20を相対回転駆動する相対回転駆動機構60とが設けられる。
相対回転駆動機構60には、軸心C1まわりに回転する回転系の構成として二種の回転部19,29が設けられている。回転部19,29のうち一方は、固定ディスク10と一体に回転する固定回転部19であり、他方は、可動ディスク20と一体に回転する可動回転部29である。そのほか、相対回転駆動機構60には、軸方向に力を授受する軸方向力授受系の構成が設けられている。
変速機構における回転系の構成は、回転軸1と一体に回転するように固定される固定系の構成と、回転軸1に対して相対回転可能な可動系の構成と、回転軸1の軸心C1まわりに公転する公転系の構成とに大別される。固定系の構成として、固定ディスク10および固定回転部19が設けられ、可動系の構成として、可動ディスク20および可動回転部29が設けられ、公転系の構成として、ピニオンスプロケット30およびガイドロッド40が設けられる。
固定系の各構成である固定ディスク10および固定回転部19ならびに可動系の各構成である可動ディスク20および可動回転部29は、回転軸1の軸心C1と同心であって、動力伝達線C2(図2参照)を基準として対称に軸方向一方および軸方向他方のそれぞれに対向して配置される。
また、軸方向内側から可動ディスク20,固定ディスク10の順に並設されている。すなわち、軸方向一方および軸方向他方の可動ディスク20が向かい合って設けられている。可動ディスク20の軸方向内側では、チェーン4がピニオンスプロケット30およびガイドロッド40に巻き掛けられている。
さらに、ディスク10,20の軸方向外側に二種の回転部19,29が設けられる。これらの回転部19,29は、回転軸1の軸心C1と同心に設けられ、固定回転部19の外周に可動回転部29が配置される。
以下の説明では、回転系の構成を公転系の構成,可動系の構成,固定系の構成の順に説明した後に、軸方向力授受系の構成を述べる。
〔1−1.公転系の構成〕
上述したように、回転軸1の軸心C1まわりに公転する公転系の構成として、ピニオンスプロケット30およびガイドロッド40が設けられる。なお、説明の便宜ために図2および図3では、ピニオンスプロケット30やガイドロッド40を同断面に示している。
〔1−1−1.ピニオンスプロケット〕
図1に示すように、ここでは六つのピニオンスプロケット30が設けられている。具体的には、第一ピニオンスプロケット301,第二ピニオンスプロケット302,第三ピニオンスプロケット303,第四ピニオンスプロケット304,第五ピニオンスプロケット305,第六ピニオンスプロケット306の順に、ピニオンスプロケット30が間隔をおいて配置される。なお、図1では、チェーン4と噛み合うピニオンスプロケット30のうち最も遅角側に第1ピニオンスプロケット301を示している。
これらのピニオンスプロケット301,302,303,304,305,306は、配置箇所が異なる点を除いて、同様に構成されている。そこで、第一ピニオンスプロケット301に着目して説明する。
図4に示すように第一ピニオンスプロケット301は、チェーン4と噛み合うギヤ歯311を有するギヤ部310と、ギヤ部310を支持するスプロケット支持部330との二つに大別される。これらのギヤ部310とスプロケット支持部330とは別体に設けられている。なお、図4では、軸方向一方の部材や部位に符号を付し、軸方向他方の部材や部位の符号は省略する。
〈ギヤ部〉
ギヤ部310は、セクターギヤ(扇形歯車)形状に形成されている。このギヤ部310には、チェーン4との噛み合いに必要な複数のギヤ歯311とその基部312とが設けられている。また、ギヤ部310には、これらのギヤ歯311および基部312に対して軸方向外側のそれぞれ(軸方向一方および軸方向他方)に、スプロケット支持部330と周方向に摺接する摺接部320が設けられる。ギヤ歯311および基部312は、可動ディスク20よりも軸方向内側に配置され、摺接部320は、可動ディスク20(図2参照)の位置する軸方向領域のうち軸方向内側に配置される。これらのギヤ歯311,基部312,摺接部320は一体に設けられる。
ギヤ歯311は、径方向外側に突出して設けられる。ここでは、3丁のギヤ歯311が設けられる。これらのギヤ歯311は、周方向に沿って並んで配置される。
基部312は、ギヤ歯311に対して径方向内側に設けられる。この基部312は、ギヤ歯311よりも軸方向寸法が長く形成され、軸方向端部のそれぞれがギヤ歯311から突出する。基部312の軸方向端部のそれぞれには、摺接部320が結合されている。
摺接部320は、軸方向から視て扇形をなす。ここでいう扇形とは、二本の半径とこれらの間の二つの円弧とで囲まれる形状を意味する。一方の円弧は径方向内側に配置され、他方の円弧は径方向外側に配置される。これらの円弧は、周方向に沿って設定されている。そのため、摺接部320には、周方向に延びる一対の摺接面(外表面)321が形成される。具体的には、摺接部320において、径方向外側に外側摺接面322が形成され、径方向内側に内側摺接面323が形成される。
さらに、摺接部320には、リターンスプリング(ギヤ付勢部材)390の一部を収容する収容部324が周方向に沿って設けられている。ここでは、リターンスプリング390として圧縮スプリングが用いられている。
具体的には、遅角側に設けられた遅角側収容部325と進角側に設けられた進角側収容部326との二種の収容部324が凹設されている。図4では、一つの遅角側収容部325と二つの進角側収容部326とが軸方向一方に設けられるものを例示する。ただし、軸方向他方に示すように、二つの遅角側収容部と一つの進角側収容部とが設けられてもよい。
遅角側収容部325には、ギヤ部310を進角側に付勢する進角付勢用スプリング(第一スプリング)391が収容される。また、進角側収容部326には、ギヤ部310を遅角側に付勢する遅角付勢用スプリング(第二スプリング)392が収容される。
ここでは、後述する溝穴部352の周方向中央に摺接部320が位置した状態において、進角付勢用スプリング391の付勢力と遅角付勢用スプリング392の付勢力とが等しくなるように設定される。そのため、周方向の力(外力)がギヤ部310に働いていなければ、スプリング391,392の付勢力(内力)が打ち消しあって、溝穴部352の周方向中央に摺接部320が位置する。あるいは、ギヤ部310が進角側または遅角側に変位するほど、溝穴部352の周方向中央へ向けて摺接部320を付勢する力が大きくなる。つまり、外力の解放時に、溝穴部352の周方向中央に摺接部320の位置が収束するように、リターンスプリング390が摺接部320を付勢する。
〈スプロケット支持部〉
スプロケット支持部330は、軸方向外側から順に、固定スプロケット支持部340,可動スプロケット支持部350,連結部材360の三つに大別される。固定スプロケット支持部340は、固定ディスク10と軸方向位置が重複して配置され、可動スプロケット支持部350は、可動ディスク20と軸方向位置が重複して配置され、連結部材360は、可動ディスク20よりも軸方向内側に配置される。すなわち、固定スプロケット支持部340および可動スプロケット支持部350が軸方向一方および軸方向他方のそれぞれに設けられ、一つの連結部材360が軸方向一方および軸方向他方に跨って設けられる。これらの固定スプロケット支持部340,可動スプロケット支持部350は、連結部材360によって一体に結合される。
固定スプロケット支持部340は、軸部341および軸受け342で構成され、両者が軸心C3と同心に設けられている。軸部341は、可動スプロケット支持部350から軸方向外側に突出して円柱状に設けられ、軸受け342は、軸部341の外周で円筒状に設けられる。図4では、多数のニードルベアリングが内周に配置された軸受け342を例示している。
この固定スプロケット支持部340では、ギヤ歯311の径方向位置に対して軸部341の径方向位置が重複するように設けられる。更に言えば、図6に例示するように、チェーン4に対してギヤ歯311が噛合する径方向位置と軸部341および軸受け342の軸心C3の径方向位置とが一致していることが好ましい。
図4に示すように、可動スプロケット支持部350では、本体部351の径方向内側端部から径方向内側へ向けて突出部356が設けられている。また、本体部351の幅(周方向寸法)W1よりも突出部356の幅(周方向寸法)W2のほうが狭い。この突出部356は、所定の長さ(径方向の寸法)Lに亘って幅W2が一定のまま径方向に延びている。同様に、本体部351も幅W1が一定のまま径方向に延びている。なお、突出部356における径方向外側の部位が、径方向内側に向かうにつれて幅を連続的に狭める形状としてもよい。
本体部351には、スプロケット支持部330の摺接部320を収容する溝穴部352が軸方向内側に凹設されている。
この溝穴部352は、軸方向から視て扇形をなす。溝穴部352がなす扇形は、摺接部320がなす扇形に対応する形状に形成され、一方の円弧は径方向内側に配置され、他方の円弧は径方向外側に配置されている。そのため、溝穴部352には、接円Aの周方向に延びる一対の摺接面(内表面)353が形成される。具体的には、溝穴部352において、径方向外側に外側摺接面354が形成され、径方向内側に内側摺接面355が形成される。更に言えば、外側摺接面354の径方向内側に摺接部320の外側摺接面322が摺接し、内側摺接面355の径方向外側に摺接部320の内側摺接面323が摺接することで、溝穴部352において摺接部320が摺動することができるようになっている。
このように摺接部320の摺接面322,323が摺動することから、溝穴部352がなす扇形は、摺接部320がなす扇形よりも周方向寸法(円弧長)が長い。すなわち、扇形の中心角が摺接部320よりも溝穴部352のほうが大きいので、溝穴部352に収容された摺接部320の進角側および遅角側(周方向の一方および他方)のそれぞれには空間が形成される。換言すれば、摺接部320は、進角側および遅角側に形成される空間の周方向寸法分だけしか摺動することができず、それ以上の摺動は制限される。
突出部356には、連結部材360の軸方向端部が嵌め込まれる嵌装穴357が設けられている。そのため、軸方向一方および軸方向他方の可動スプロケット支持部350の突出部356どうしが、連結部材360によって連結される。
〈各種機構〉
さらに、第一ピニオンスプロケット301には、スプロケット支持部330に対してギヤ部310が遊動することを許容する遊動許容機構370と、スプロケット支持部330に対する所定の基準位相に向けてギヤ部310を付勢するギヤ付勢機構380とが設けられる。
遊動許容機構370は、可動スプロケット支持部350の溝穴部352と、ギヤ部310の摺接部320とから構成される。この遊動許容機構370は、所定の基準位相に対してギヤ部310の遊動を所定の範囲内で許容する。
ここでいう所定の基準位相とは、溝穴部352の周方向中央に摺接部320が配置された状態におけるギヤ部310の位相である。すなわち、ギヤ部310が進角側へも遅角側へも等しく遊動することのできる位相として、所定の基準位相が設定される。
また、所定の範囲とは、所定の基準位相に対して、進角側および遅角側のそれぞれにギヤ歯311の半歯分の範囲である。そのため、最も遅角側または最も進角側にギヤ部310が位置していれば、進角側または遅角側へのギヤ部310の遊動がギヤ歯311の一歯分まで許容される。この所定の範囲は、溝穴部352に配置された摺接部320に対して進角側および遅角側に形成される空間の周方向寸法、即ち、摺接部320の摺接が許容される寸法に対応している。そのため、溝穴部352の周方向中央に配置された摺接部320を基準とすれば、この摺接部320に対して進角側の空間および遅角側の空間のそれぞれが、ギヤ歯311の半歯分に対応する周方向寸法に設定される。
ギヤ付勢機構380には、可動スプロケット支持部350の溝穴部352とギヤ部310の摺接部320とに加えて、リターンスプリング390が設けられる。このギヤ付勢機構380は、上述した所定の基準位相に向けて、リターンスプリング390の付勢力でギヤ部310を付勢する。
上述したように、リターンスプリング390は、進角付勢用スプリング391で摺接部320を進角側に付勢するとともに遅角付勢用スプリング392で摺接部320を遅角側に付勢することで、所定の基準位相に向けて進角側および遅角側の双方からギヤ部310を付勢する。
〔1−1−2.ガイドロッド〕
図1に示すように、複数のガイドロッド40は、巻き掛けられるチェーン4の軌道を円軌道に近づけて、チェーン4を案内するものである。なお、ガイドロッド40は、チェーン4と噛み合わず、動力を伝達しない。
図3および図5に示すように、ガイドロッド40のそれぞれには、ロッド支持部41の外周に円筒状のガイド部材42が設けられている。このガイドロッド40の軸方向端部40aには、ガイド部材42からロッド支持部41が突出している。この突出したロッド支持部41がディスク10,20に支持される。一方、ガイド部材42の軸方向外側にチェーン4が接触する。
図1に示すように、ガイドロッド40は、第一ガイドロッド401および第二ガイドロッド402の二つに大別される。
第一ガイドロッド401は、径方向位置によらずチェーン4を常に案内するのに対して、第二ガイドロッド402は、接円Aが最も大きいときにチェーン4を案内するものの、接円Aが最も小さいときにチェーン4を案内しない。
ガイドロッド401,402の相対的な径方向位置に着目して言えば、接円Aが最も大きいときには、回転軸1の軸心Cに対する距離が等しく、接円Aが最も小さいときには、第一ガイドロッド401よりも第二ガイドロッド402のほうが径方向内側に位置する。
なお、ガイドロッド40やピニオンスプロケット30の数は、多くするほどチェーン4の軌道を真円に近づけて巻き掛け半径の変動が抑えられるものの、製造コストや重量の増加を招くおそれがあるため、これらを考慮して設定することが好ましい。
〔1−2.可動系の構成〕
次に、回転軸1に対して相対回転可能な可動系の構成を説明する。この可動系の構成として、可動ディスク20および可動回転部29が設けられる。さらに、軸方向一方および軸方向他方の可動ディスク20および可動回転部29どうしを連結する軸状の連結シャフト27が可動系の構成として設けられる。
〔1−2−1.可動ディスク〕
図7に示すように、可動ディスク20には、径方向に延びる二種の放射状溝21,22と、これらの放射状溝よりも径方向内側の二種の穴25,26とが設けられる。これらの放射状溝21,22および穴25,26は、可動ディスク20を軸方向に貫通して形成されている。
放射状溝21,22のうち一方は、ピニオンスプロケット30のそれぞれに対応して設けられたスプロケット用可動放射状溝21(一箇所のみに符号を付す)であり、他方は、ガイドロッド40のそれぞれに対応して設けられたロッド用可動放射状溝22(一箇所のみに符号を付す)である。
これらの可動放射状溝21,22は、対応するピニオンスプロケット30,ガイドロッド40を案内するための溝である。したがって、ピニオンスプロケット30,ガイドロッド40の径方向移動経路に沿って可動放射状溝21,22のそれぞれが設けられる。
また、穴25,26のうち一方は、連結シャフト27が挿通される貫通穴25(一箇所のみに符号を付す)であり、他方は、回転軸1の挿通される軸穴26である。回転軸1の軸心C1と同心に軸穴26が設けられ、この軸穴26の径方向外側に貫通穴25が設けられる。
〈可動放射状溝〉
まず、可動放射状溝21,22について説明する。
スプロケット用可動放射状溝21には、ピニオンスプロケット30の可動スプロケット支持部350が挿入される。同様に、ロッド用固定放射状溝12には、ガイドロッド40のロッド支持部41が挿入される。
可動スプロケット支持部350の幅W1およびロッド支持部41の直径に応じて、可動放射状溝21,22の各溝幅が設定されている。詳細には、可動放射状溝21,22の溝幅は、対応する支持部350,41の外径よりもやや大きい。そのため、支持部350,41が可動放射状溝21,22に沿って円滑に移動することができる。
これらの可動放射状溝21,22は、軸方向から視て直線状に設けられている。とりわけ、直線状のスプロケット用可動放射状溝21に幅W1,Wが一定のまま径方向に延びる可動スプロケット支持部350(図4参照)が挿入されることで、ピニオンスプロケット30の回り止め(自転防止)が図られる。
スプロケット用可動放射状溝21は、径方向に沿って設けられている。このスプロケット用可動放射状溝21では、本体溝211の径方向内側端部から軸心C1へ向けてから径方向内側へ向けて突出溝212が突出して設けられている。すなわち、スプロケット用可動放射状溝21の内周端部21aに突出溝212が設けられている。突出溝212の溝幅W2′は、本体溝211の溝幅W1′よりも狭く設定されている。
本体溝211の溝幅W1′は、本体部351の幅W1とほぼ同一であり、突出溝212の溝幅W2′は、突出部の幅W2とほぼ同一である。厳密に言えば、本体溝211の溝幅W1′よりも本体部351の幅W1のほうが僅かに狭く、同様に、突出溝212の溝幅W2′よりも突出部の幅W2のほうが僅かに狭い。そのため、本体溝211の内部を本体部351が円滑に移動(摺動)することができ、突出溝212に対して突出部356が径方向に出入りすることができる。
また、突出溝212は、所定の長さ(径方向の寸法)Lに亘って溝幅W2′が一定のまま径方向に延びている。この所定の長さLは、可動スプロケット支持部350における突出部356の所定の長さL(図4参照)とほぼ同一に設定される。突出溝212の形状は、可動スプロケット支持部350の突出部356に対応した形状に形成される。
ところで、変速比が最Lowのときには、入力側の複合スプロケット3において接円Aが最も小さくなることから、そのスプロケット用可動放射状溝21の内周端部21aに可動ピニオンスプロケット支持部350が位置する。このとき、可動ピニオンスプロケット支持部350の突出部356は、突出溝212の内部に位置する。そのため、突出溝212および突出部356どうしは、径方向に沿う所定の長さLに亘って面状(軸方向から視れば線状)に接触する。したがって、突出溝212と突出部356との間で周方向の力を授受する。同様に、本体溝211と本体部351とが面状に接触して周方向の力を授受する。
さらに、ロッド用可動放射状溝22は、第一ガイドロッド401が支持される第一ロッド用可動放射状溝23と、第二ガイドロッド402が支持される第二ロッド用可動放射状溝24との二つに大別される。
第一ロッド用可動放射状溝23の内周端部23aは、第二ロッド用可動放射状溝24の内周端部24aよりも、回転軸1の軸心C1に対する距離が遠く、径方向外側に位置する。これに対して、第一ロッド用可動放射状溝23の外周端部23bから回転軸1の軸心C1に対する距離と第二ロッド用可動放射状溝24の外周端部24bから回転軸1の軸心C1に対する距離とは等しい。
〈可動ディスクの穴〉
次に、可動ディスク20の穴25,26について説明する。
貫通穴25には、連結シャフト27が挿通される。そのため、連結シャフト27の本数に合わせた数(ここでは三つ)の貫通穴25(一箇所のみに符号を付す)が設けられる。これらの貫通穴25は、周方向に沿って等間隔に配置されている。
貫通穴25の内径は、連結シャフト27の外径に見合った大きさに設定される。
軸穴26は、回転軸1が挿通される軸穴である。この軸穴26の内径は、回転軸1の外径よりもやや大きく設定される。軸穴26に挿通された状態の回転軸1は、可動ディスク20に対して結合されておらず、独立して回転することができる。逆に言えば、可動ディスク20は、回転軸1に対して相対回転可能である。
〔1−2−2.可動回転部〕
図3,図5および図10に示すように、可動回転部29は、固定回転部19の外周に配置される円筒状の部材である。この可動回転部29には、軸方向に延びる可動カム溝29aが設けられている。この可動カム溝29aは、図11に示すように、径方向から視て回転軸1の軸心Cと交差するように形成されるとともに円筒壁の内外を連通するように穿設されている。
可動カム溝29aは、周方向に沿って等間隔に複数配置されることが好ましい。たとえば、図10に例示するように三箇所に設けられてもよいし、図3に例示するように回転軸1の軸心C1を挟んで向かい合って二箇所あるいは四箇所に設けられてもよい。
〔1−2−3.連結シャフト〕
連結シャフト27は、軸方向に延びて設けられる。この連結シャフト27は、図3に示すように、軸方向外側の第一連結部27aと軸方向内側の第二連結部27bとに大別される。
第一連結部27aは、軸方向一方および軸方向他方のそれぞれにおいて、可動ディスク20と可動回転部29とを結ぶ軸方向領域に位置する。そのため、第一連結部27aによって可動ディスク20と可動回転部29とが一体に回転するように連結される。また、第二連結部27bは、軸方向一方および軸方向他方の可動ディスク20を結ぶ軸方向領域に位置する。そのため、第二連結部27bによって一対の可動ディスク20が一体に回転するように連結される。
このように連結部27a,27bが設けられることから、連結シャフト27は、第二連結部27bを軸方向一方および軸方向他方のそれぞれに延長した領域に第一連結部27aが配置され、第一連結部27aと第二連結部27bとが一体に結合されたものといえる。
ここでは、連結シャフト27の軸方向端部のそれぞれがボルト28によって可動回転部29に固定されている。
連結シャフト27は、周方向に沿って等間隔に複数配置されることが好ましい。たとえば、図1や図5,図10に例示するように三箇所に設けられてもよいし、図2や図3に例示するように回転軸1の軸心C1を挟んで向かい合って二箇所あるいは四箇所に設けられてもよい。
なお、連結シャフト27は、可動カム溝29aと干渉しない位相に配置されるが(図5および図10参照)、説明の便宜のために図2および図3では、可動カム溝29aならびに連結シャフト27およびボルト28を同断面に示す。
〔1−3.固定系の構成〕
続いて、回転軸1と一体に回転する固定系の構成を説明する。この固定系の構成として、固定ディスク10および固定回転部19が設けられる。
〔1−3−1.固定ディスク〕
図8に示すように、固定ディスク10には、径方向に延びる二種の放射状溝11,12と、これらの放射状溝11,12よりも径方向内側の二種の穴15,16とが設けられる。これらの放射状溝11,12および穴15,16は、固定ディスク10を軸方向に貫通して形成されている。
放射状溝11,12のうち一方は、ピニオンスプロケット30のそれぞれに対応して設けられたスプロケット用固定放射状溝11(一箇所のみに符号を付す)であり、他方は、ガイドロッド40のそれぞれに対応して設けられたロッド用固定放射状溝12(一箇所のみに符号を付す)である。
これらの固定放射状溝11,12は、可動放射状溝21,22と同様に、対応するピニオンスプロケット30,ガイドロッド40を案内するための溝である。したがって、ピニオンスプロケット30,ガイドロッド40の径方向移動経路に沿って固定放射状溝11,12のそれぞれが設けられる。
また、穴15,16のうち一方は、連結シャフト27が挿通される貫通穴15(一箇所のみに符号を付す)であり、他方は、回転軸1が挿入される軸穴16である。回転軸1の軸心C1と同心に軸穴16が設けられ、この軸穴16の径方向外側に貫通穴15が設けられる。
〈固定放射状溝〉
まず、固定放射状溝11,12について説明する。
図9に示すように、固定放射状溝11,12のそれぞれは、軸方向から視て可動放射状溝21,22のそれぞれと交差するように形成される。たとえば、入力側の複合スプロケット3では、変速比が最Lowのときに、固定放射状溝11,12と可動放射状溝21,22との交差箇所(以下、「ディスク交差箇所」という)CP1が最も径方向内側に位置する。なお、固定ディスク10の外径と可動ディスク20の外径とは軸方向から視て重複するが、説明の便宜のために図9には、固定ディスク10の外径よりも可動ディスク20の外径をやや小さく示す。
図8に示すように、スプロケット用固定放射状溝11には、ピニオンスプロケット30の固定スプロケット支持部340が挿入される。同様に、ロッド用固定放射状溝12には、ガイドロッド40のロッド支持部41が挿入される。
支持部340,41の直径に応じて、固定放射状溝11,12の各溝幅が設定されている。詳細には、固定放射状溝11,12の溝幅は、対応する支持部340,41の外径よりもやや大きい。そのため、支持部340,41が固定放射状溝11,12に沿って円滑に移動(摺動)することができる。
これらの固定放射状溝11,12は、固定ディスク10と可動ディスク20の相対回転に応じて交差箇所CPが径方向へ移動するように、径方向に対して傾斜しており、軸方向から視て曲線状に形成されている。
さらに、ロッド用固定放射状溝12は、ロッド用可動放射状溝23,24と同様に、第一ガイドロッド401が支持される第一ロッド用固定放射状溝13と、第二ガイドロッド402が支持される第二ロッド用固定放射状溝14との二つに大別される。
第一ロッド用固定放射状溝13の内周端部13aは、第二ロッド用固定放射状溝14の内周端部14aよりも、回転軸1の軸心C1に対する距離が遠く、径方向外側に位置する。これに対して、第一ロッド用固定放射状溝13の外周端部13bから回転軸1の軸心C1に対する距離と、第二ロッド用固定放射状溝14の内周端部14bから回転軸1の軸心C1に対する距離とは等しい。ここでは、回転軸1の軸心C1に対する距離が等しい箇所で比較したときに、第一ロッド用固定放射状溝13よりも第二ロッド用固定放射状溝14のほうが径方向に対して傾斜して設けられている。
このようにロッド用固定放射状溝13,14およびロッド用可動放射状溝23,24ならびにガイドロッド401,402が設けられるため、接円Aが最大(変速比が最High)のときに、チェーン4を案内するガイド40の本数が確保されることで、チェーン4の巻き掛け半径の変動が抑えられる。よって、安定して動力を伝達することができ、また、騒音の発生を抑制することができる。反対に、接円Aが最小(変速比が最Low)のときに、ガイドロッド40どうしの干渉が確実に回避される。延いては、特にLow側へ変速比を拡げることができ、レシカバを確保することができる。
〈固定ディスクの穴〉
次に、固定ディスク10の穴15,16について説明する。
貫通穴15には、連結シャフト27が挿通される。具体的には、連結シャフト27の第一連結部27aが貫通穴15に挿通される。そのため、連結シャフト27の本数に合わせた数の貫通穴15(一箇所のみに符号を付す)が設けられる。これらの貫通穴15は、周方向に沿って等間隔に配置されている。
貫通穴15は、固定ディスク10に対して可動ディスク20が相対回転しうる位相分だけ周方向に延びて設けられている。すなわち、貫通穴15は、周方向に沿う長穴である。
図9の(a)に示すように、接円Aが最小(変速比が最Low)のときには、貫通穴15において周方向の一端部15aに連結シャフト27が位置し、反対に、図9の(c)に示すように、接円Aが最大(変速比が最High)のときには、貫通穴15において周方向の他端部15bに連結シャフト27が位置する。このように貫通穴15の内部で連結シャフト27が移動するために、貫通穴15の溝幅(径方向寸法)は、連結シャフト27の第一連結部27aの外径よりも大きく設定される。
図8に示すように、軸穴16は、回転軸1が挿入される軸穴である。この軸穴16の内径は、回転軸1の外径に見合った大きさに設定される。軸穴16に挿入された状態の回転軸1は、固定ディスク10に対して一体に固定される。ここでは、軸方向から視て真円形の軸穴16を例示するが、軸固定穴および回転軸のそれぞれに対応する凹凸形状が周方向に設けられることで、固定ディスク10と回転軸1とが一体に回転されるように構成してもよい。
〔1−3−2.固定回転部〕
図3,図5および図10に示すように、固定回転部19は、回転軸1の一部に設けられている。言い換えれば、回転軸1のうちディスク10,20よりも軸方向外側の一部位が、固定回転部19として機能する。この固定回転部19には、軸方向に延びる固定カム溝19aが設けられている。この固定カム溝19aは、回転軸1の軸心C1と平行に凹設されている。
また、固定カム溝19aは、図11に示すように、径方向から視て可動カム溝29aのそれぞれと交差するように形成される。
具体的なカム溝19a,29aの形状は、入力側の複合スプロケット3では、固定カム溝19aと可動カム溝29aとの交差箇所(以下、「カム交差箇所」という)CP2が軸方向内側へ向かうにつれて変速比がLow側(軸方向外側へ向かうに連れて変速比がHigh側)となり、同様に、出力側の複合スプロケット3では、カム交差箇所CP2が軸方向内側へ向かうにつれて変速比がLow側となるように設定されている。
なお、固定カム溝29aの形成箇所や形成個数は、可動カム溝29aと同様に、周囲の構成や要求仕様などに応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
〔1−4.軸方向力授受系の構成〕
最後に、軸方向に力を授受する軸方向力授受系の構成を説明する。ここでは、二組の複合スプロケット3,3のそれぞれに、軸方向力授受系の構成が独立して設けられる。
図2および図5に示すように、軸方向力授受系の構成として、カム交差箇所CP2に挿入されるカムローラ70(図2参照)と、カムローラ70に対して軸方向の力を伝達する変速用フォーク(軸方向力伝達部材)80と、変速用フォーク80に対して拡縮バイアス方向(後段にて詳述)とは反対方向に初期付勢力を付与するカウンタスプリング(カウンタ付勢部材)99と、変速用フォーク80を軸方向に移動させる軸方向移動機構90とが設けられる。この軸方向移動機構90は、変速用フォーク80を軸方向に移動させることでカムローラ70を軸方向に移動させるカムローラ移動機構ともいえる。
さらに、軸方向移動機構90には、送りネジ機構91と、この送りネジ機構91に連動する連動ギヤ機構95と、連動ギヤ機構95を支持するサポート98とが設けられる。そのうえ、送りネジ機構91には、電動モータ92によって回転するネジ軸93に螺合するナット94が設けられる。
回転部19,29と軸方向位置が重複してカムローラ70,変速用フォーク80およびナット94が設けられる。これらのカムローラ70,変速用フォーク80およびナット94から軸方向外側に向けて、サポート98,連動ギヤ機構95、電動モータ92の順に設けられる。カムローラ70,変速用フォーク80,サポート98,連動ギヤ機構95は、動力伝達線C2(図2参照)を基準として対称に軸方向一方および軸方向他方のそれぞれに対向して配置される。ただし、電動モータ92は軸方向一方にだけ配置される。
ネジ軸93は、連動ギヤ機構95,サポート98および変速用フォーク80を貫通して設けられている。
また、カウンタスプリング99の軸心C4と同心のガイドシャフト993(図5参照)が付設されている。ここでは、カウンタスプリング99が径方向一方および径方向他方のそれぞれに配置される。具体的には、軸方向から視て変速用フォーク80の四隅それぞれにカウンタスプリング99およびガイドシャフト993が配置される。なお、図2および図3に示すように、ネジ軸93がカウンタスプリング99のガイドシャフトとして利用(兼用)されてもよい。
上記の軸方向力授受系の各構成に加えて回転系の各構成の配置を列挙すれば、最も軸方向内側に配置されたチェーン4から軸方向外側に向けて、「可動ディスク20」,「固定ディスク10」,「回転部19,29ならびにカムローラ70,変速用フォーク80およびナット94」,「サポート98」,「連動ギヤ機構95」が軸方向一方および軸方向他方のそれぞれに設けられ、さらに軸方向一方において連動ギヤ機構95の軸方向外側に「電動モータ92」が設けられる。
軸方向一方および軸方向他方に跨る構成を軸方向寸法の短い順に挙げれば、「ピニオンスプロケット30およびガイドロッド40」,「連結シャフト27」,「カウンタスプリング99」,「ガイドシャフト993」,「ネジ軸93」である。
具体的には、ピニオンスプロケット30およびガイドロッド40が、軸方向一方および軸方向他方の固定ディスク10を含んでこれらを結ぶ軸方向領域に配置される。また、連結シャフト27が、軸方向一方および軸方向他方の可動回転部29を含んでこれらを結ぶ軸方向領域に配置される。さらに、カウンタスプリング99が、軸方向一方および軸方向他方の変速用フォーク80どうしの軸方向内側に配置され、そのガイドシャフト993が、軸方向一方および軸方向他方の変速用フォーク80を含んでこれらを結ぶ軸方向領域に配置される。そして、ネジ軸93が、軸方向一方および軸方向他方の連動ギヤ機構95を含んでこれらを結ぶ軸方向領域に配置される。
以下の説明では、まずカムローラ70および変速用フォーク80について述べ、続いて軸方向移動機構90,カウンタスプリング99の順に述べる。
〔1−4−1.カムローラおよび変速用フォーク〕
カムローラ70および変速用フォーク80は、固定系の構成に対して可動系の構成を相対回転させるために、軸方向に変位する。具体的には、軸方向に移動させられる変速用フォーク80によってカムローラ70が押圧され、押圧されたカムローラ70が軸方向に変位する。
〈カムローラ〉
図3,図10,図11に示すように、カムローラ70(一箇所のみに符号を付す)は、径方向に延びる軸状部材で構成されている。このカムローラ70は、カム交差箇所CP2において固定カム溝19aおよび可動カム溝29aのそれぞれに挿入される。さらに、カムローラ70の一端部70aは、可動回転部29から径方向外側に突出して配置される。
回転部19,29は軸心C1まわりに回転するため、カム溝19a,29aに挿入されるカムローラ70も軸心C1まわりに回転(公転)する。ここでは、カムローラ70においてカム溝19a,29aのそれぞれと径方向領域が重複する箇所に、ベアリングが外装されている。
〈変速用フォーク〉
図3,図5,図10に示すように、変速用フォーク80は、ディスク10,20に対して平行なプレート状の部材である。図5および図10では、軸方向から視て四隅の角が落とされた形状の変速用フォーク80を例示する。
この変速用フォーク80には、カムローラ70の径方向外側部を支持するカムローラ支持部81が設けられている。このカムローラ支持部81には、径方向内側に回転部19,29を収容する回転部収容穴811と、この回転部収容穴811に対して径方向外側の全周に凹設された溝部81aとが設けられる。
回転部収容穴811の内径は、可動回転部29の外径よりもやや大きく設定されている。そのため、回転部収容穴811の径方向内側で回転部19,29が回転可能である。
溝部81aの深さ(径方向寸法)は、カムローラ70の一端部70aの突出寸法(径方向寸法)に応じて設定されている。すなわち、カムローラ70の突出寸法よりも径方向寸法がやや長い円環状の空間が溝部81aとして形成される。
この溝部81aには、図3,図10に示すように、カムローラ70と転がり接触する転動体81b(一箇所のみに符号を付す)が設けられている。ここでは、複数の転動体81bが溝部81aの全周に並んで配置されている。これらの転動体81bとしては、図3,図10に例示するニードルベアリングのほか、ボールベアリングを用いることができる。
さらに、変速用フォーク80には、送りネジ機構91のネジ軸93およびナット94が貫通して配置されるネジ機構用穴801と、ガイドシャフト993の軸方向端部が挿入されるシャフト用穴802(図10参照)とが軸方向に貫通して設けられている。
ネジ機構用穴801は、径方向一方(図5および図10では右上)および径方向他方(図5および図10では左下)のそれぞれに設けられている。また、シャフト用穴802は、カウンタスプリング99の配置に対応しており、ここでは変速用フォーク80の四隅に設けられている。
〔1−4−2.軸方向移動機構〕
図3,図5に示すように、軸方向移動機構90には、サポート98によって支持される連動ギヤ機構95を作動させる送りネジ機構91が設けられる。
〈送りネジ機構〉
送りネジ機構91は、電動モータ92によってネジ軸93を回転駆動することで、このネジ軸93に螺合するナット94を軸方向に移動させる。
ネジ軸93は、軸方向一方の部位と軸方向他方の部位とで雄ネジの向きが互いに反対向きに設定されている。このように雄ネジの向きが設定されるのに合わせて、軸方向一方のナット94と軸方向他方のナット94とで雌ネジの向きが反対向きに設定される。たとえば、ネジ軸93における軸方向一方の部位と軸方向一方のナット94とのそれぞれには右ネジが形成され、逆に、ネジ軸93における軸方向他方の部位と軸方向他方のナット94とのそれぞれには左ネジが形成される。
このように雄ネジおよび雌ネジの向きが設定されることで、ネジ軸93を回転駆動させると、軸方向一方および軸方向他方のナット94の何れもが軸方向内側または軸方向外側に移動する。
これらのナット94は、上記のネジ機構用穴801内に配置され、変速用フォーク80に結合(固定)される。すなわち、軸方向一方および軸方向他方のそれぞれに対向して配置された変速用フォーク80は、軸方向移動機構90のネジ軸93およびナット84によって連結されている。
また、ネジ軸93は、径方向一方および径方向他方のそれぞれに設けられる。具体的には、径方向一方の第一ネジ軸931と径方向他方の第二ネジ軸932とが設けられる。これらのネジ軸931,932の回転は、連動ギヤ機構95によって連動する。同様に、ナット94も径方向一方および径方向他方のそれぞれに設けられる。
〈連動ギヤ機構〉
連動ギヤ機構95には、二種のギヤ950,959が設けられている。
二種のギヤ950,959の一方は、ネジ軸93の軸心C5と同心に設けられ、ネジ軸93と一体に回転するように結合されたピニオンギヤ950である。具体的には、第一ピニオンギヤ951が、第一ネジ軸931の軸方向端部に結合され、径方向一方に配置される。また、第二ピニオンギヤ952が、第二ネジ軸932の軸方向端部に結合され、径方向他方に配置される。
二種のギヤ950,959の他方は、回転軸1の軸心C1と同心に設けられ、ピニオンギヤ951,952のそれぞれと噛み合うアイドラギヤ959である。このアイドラギヤ959は、回転軸1との間に軸受けが介装され、回転軸1とは独立して回転する。
〈サポート〉
サポート98は、図示省略する変速機ケースに固定されたプレート状の支持部材である。
このサポート98には、挿通されるネジ軸93のそれぞれを支持する二つのネジ軸用穴980と、挿通される回転軸1を支持する回転軸用穴989とが設けられる。ネジ軸用穴980に対してネジ軸93が回転可能に支持され、同様に、回転軸用穴989に対して回転軸1が回転可能に支持される。
ここでは、図5に例示すように、サポート98は、軸方向から視てZ字状に形成されている。なお、説明の便宜ために図2および図3では、二つのネジ軸用穴980,ネジ軸931,932,ピニオンギヤ951,952といった径方向一方および径方向他方の各要素を同断面に示している。
〔1−4−3.カウンタスプリング〕
カウンタスプリング99は、上述したように、変速用フォーク80に対して拡縮バイアス方向とは反対方向に初期付勢力を付与する付勢部材である。拡縮バイアス方向とは、動力伝達時に接円Aが自ずから拡縮径する方向を意味する。この拡縮バイアス方向は、入力側の複合スプロケット3では接円Aが縮径する方向であり、反対に、出力側の複合スプロケット3では接円Aが拡径する方向である。その理由は、次の通りである。
本変速機構では、最も遅角側でチェーン4に噛み合うピニオンスプロケット30が動力伝達をおもに担う。よって、動力伝達時に、入力側の複合スプロケット3に巻き掛けられたチェーン4には出力側の複合スプロケット3に巻き掛けられたチェーン4よりも広い範囲(巻き掛け領域)に張力が働く。このように張力の働く範囲が異なるため、入力側の複合スプロケット3を縮径させる力(以下、「縮径力」という)が働き、反対に、出力側の複合スプロケット3では遠心力によりこの出力側の複合スプロケット3を拡径させる力(以下、「拡径力」という)が発生する。更に言えば、出力側の複合スプロケット3では、遅角側、即ちチェーン4から外れる直前のピニオンスプロケット3に張力が作用するのみなので、張力による縮径力は微小であるが、遠心力による拡径力が強く働く。遠心力は回転数の二乗に比例するので、特に出力側が高速回転するときに大きな拡径力が働くことになる。ただし、遠心力による拡径力は、入力側の複合スプロケットに生じる縮径力よりは小さい。
したがって、入力側の複合スプロケット3では、縮径力によって接円Aが自ずから縮径しようとし、反対に、出力側の複合スプロケット3では、拡径力によって接円Aが自ずから拡径しようとする。
ここでは、入力側の複合スプロケット3において、カム交差箇所CP2が軸方向内側へ向かうにつれて変速比がLow側となるように設定されているため、カム交差箇所CP2に設けられるカムローラ70および変速用フォーク80を軸方向内側へ移動させる力として縮径力が働く。同様に、出力側の複合スプロケット3において、カム交差箇所CP2が軸方向内側へ向かうにつれて変速比がLow側となるように設定されているため、カム交差箇所CP2に設けられるカムローラ70および変速用フォーク80を軸方向内側へ移動させる力として拡径力が働く。したがって、拡縮バイアス方向は、入力側の複合スプロケット3では軸方向内側へ向かう方向であり、同様に、出力側の複合スプロケット3では軸方向内側へ向かう方向である。そのため、入力側の複合スプロケット3におけるカウンタスプリング99として、軸方向外側へ向けて付勢する圧縮スプリングが用いられ、同様に、出力側の複合スプロケット3におけるカウントスプリング99として、軸方向外側へ向けて付勢する圧縮スプリングが用いられる。
さらに、カウンタスプリング99には、ガイドシャフト993が付設されている。このガイドシャフト993に対して、変速用フォーク80が軸方向に移動可能に設けられる。なお、ガイドシャフト993の軸方向寸法は、最も軸方向外側に位置する変速用フォーク80どうしの軸方向寸法よりも長く、サポート98のそれぞれに干渉(接触)する寸法よりも短く設定される。
〔C.作用および効果〕
本実施形態のチェーン及びスプロケット,並びに変速機構は、上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
〔2−1.基本的な作用および効果〕
まず、変速機構における基本的な作用および効果について、変速比を変更する場合,ピニオンスプロケット30およびチェーン4が噛み合って動力伝達する場合の順に説明する。
〈変速比を変更する場合〉
変速機構において変速比を変更する場合には、はじめに、電動モータ92を回転駆動することで、第一ネジ軸931を回転させる。このとき、第一ネジ軸931の回転に連動して第一ピニオンギヤ951が回転し、アイドラギヤ959を介して、第二ピニオンギヤ952も回転する。この第二ピニオンギヤ952の回転に連動する第二ネジ軸932も回転する。そして、ネジ軸931,932のそれぞれに螺合する径方向一方および径方向他方のそれぞれに設けられた一対のナット94が軸方向に移動する。具体的には、軸方向一方ならびに軸方向他方のそれぞれにおいて、径方向一方および径方向他方における一対のナット94が軸方向内側または軸方向外側に移動する。
ナット94の移動に伴って、ナット94のそれぞれに結合された変速用フォーク80が、軸方向内側または軸方向外側に移動する。すなわち、軸方向一方および軸方向他方の変速用フォーク80は、径方向一方および径方向他方のそれぞれに設けられたナット94に両持ちされながら、互いに近接または離隔するように変位する。
このとき、軸方向一方で変速用フォーク80を移動させる駆動反力と軸方向他方で変速用フォーク80を移動させる駆動反力とは、ネジ軸931,932を介して互いに反対向きに作用することで相殺される。
さらに、変速用フォーク80には、カウンタスプリング99によって、拡縮バイアス方向とは反対方向に初期付勢力が付勢される。たとえば、入力側の複合スプロケット3における変速用フォーク80には、拡縮バイアス方向が軸方向内側に向かう方向の縮径力が働くのに対して、カウンタスプリング99によって軸方向外側へ向かう初期付勢力が付与される。また、出力側の複合スプロケット3における変速用フォーク80には、拡縮バイアス方向が軸方向内側に向かう方向の拡径力が働くのに対して、カウンタスプリング99によって軸方向外側へ向かう初期付勢力が付与される。よって、拡縮バイアス方向の縮径力および拡径力それぞれの少なくとも一部は、カウンタスプリング99によって相殺される。
続いて、軸方向に移動する変速用フォーク80によって押圧されるカムローラ70が軸方向内側または軸方向外側に移動する。このカムローラ70の軸方向移動に伴って、カム交差箇所CP2が軸方向内側または軸方向外側に移動する。よって、可動回転部29が固定回転部19に対して相対的に回転させられる。
可動回転部29の回転は、連結シャフト27を介して可動ディスク20に伝達され、固定回転部19の回転は、回転軸1を介して固定ディスク10に伝達される。したがって、回転部19,29が相対回転することで、固定ディスク10に対して可動ディスク20が相対的に回転する。これらのディスク10,20の相対回転により、ディスク交差箇所CP1が径方向に移動する。そして、ディスク交差箇所CP1に支持されるピニオンスプロケット30およびガイドロッド40も径方向に移動する。
たとえば、変速比を最Lowの状態から最Highの状態に移行させるときには、入力側の複合スプロケット3において、図9の(a),(b),(c)の順に示すように、ディスク交差箇所CP1に支持されるピニオンスプロケット30およびガイドロッド40が拡径方向に移動する。
このようにピニオンスプロケット30およびガイドロッド40を径方向に移動させることで、複合スプロケット3の外径、即ち、接円Aが拡縮され、変速比が変更される。
〈ピニオンスプロケットおよびチェーンが噛み合って動力伝達する場合〉
つぎに、変速機構において、ピニオンスプロケット30およびチェーン4が噛み合って動力伝達する場合に着目して作用を説明する。
上述のように変速する場合には、周方向に隣接するピニオンスプロケット30間におけるチェーン4の巻掛長が連続的に変動し、複合スプロケット3がなす見かけ上の歯数も連続的に変動する。そのため、ギヤ部310におけるギヤ歯311の位相とチェーン4の位相とが合わない状況が出現する。
ここでは、上記のように、互いの位相がズレているギヤ歯311およびチェーン4が噛み合うときの作用を説明する。
チェーン4に噛み合う前のギヤ歯311は、ギヤ付勢機構380のリターンスプリング390に付勢されることで、スプロケット支持部330に対して所定の基準位相をなしている。
続いて、ギヤ歯311は、位相のズレているチェーン4に噛み合うときに、遊動許容機構370によって位相ズレの分だけ周方向に遊動することが許容される。
具体的には、位相のズレているチェーン4によって、進角側または遅角側にギヤ歯311が押圧される。そのため、押圧されるギヤ歯311と一体に設けられる摺接部320も進角側または遅角側に押圧される。押圧された摺接部320は、リターンスプリング390を伸縮させつつ溝穴部352の内部を摺動する。たとえば、ギヤ歯311が進角側に押圧されれば、溝穴部352の内部を摺接部320が進角側に摺動する。このとき、遅角付勢用スプリング392が縮むことで、摺接部320に対する遅角側への付勢力が強まり、進角付勢用スプリング391が伸びることで、摺接部に対する進角側への付勢力が弱まる。つまり、摺接部320に対する所定の基準位相への付勢力が強まる。
このようにギヤ歯311の遊動が許容されることで、チェーン4のチェーンリンク61の歯611に対して位相ズレの吸収されたギヤ歯311が噛み合う。
このとき、ギヤ歯311及び歯611には、傾斜角度θが境界角度θよりも大きく設定された傾斜面311s,611sが形成されているので、図13,14に示すように、チェーンリンク61の歯611の山部611aがピニオンスプロケット30の歯311の山部311aに乗り上げて噛合していかない現象、いわゆる、乗り上げ現象の発生を回避することができ、チェーンリンク61の歯611がピニオンスプロケット30の歯311に円滑に噛合するようになる
このような噛合により、このギヤ歯311を有するピニオンスプロケット30が公転して、チェーン4に噛み合うピニオンスプロケット30のうち最も遅角側の公転位相となると、動力伝達をおもに担う。
このように動力伝達するときのピニオンスプロケット30では、ピニオンスプロケット30とギヤ歯311間の動力伝達によって、固定スプロケット支持部340の軸心C3まわりにピニオンスプロケット30を自転させる回転モーメントが発生する。この回転モーメントの周方向成分である第一の入力が、チェーン4に対するギヤ歯311の噛合箇所から進角側へ向けて働く。
この第一の入力は、基部312および摺接部320ならびに可動スプロケット支持部330を介して、固定スプロケット支持部340に伝達される。すなわち、第一の入力は、チェーン4およびギヤ歯311の噛合箇所から径方向内側を経たのちに径方向外側に伝達される。このように伝達された第一の入力に対しては、固定スプロケット支持部340を支持するスプロケット用固定放射状溝11の壁面から遅角側へ向かう抗力が働く。
これに対して、固定スプロケット支持部340における軸部341の径方向位置がギヤ歯311の径方向位置に対して重複するように設けられるため、第一の入力の少なくとも一部が抗力によって相殺される。
ただし、変速比が最Lowのときに、入力側の複合スプロケット3では、ピニオンスプロケット30の伝達トルクがとりわけ大きくなることから、固定スプロケット支持部340の軸心C3まわりの回転モーメントも大きくなるおそれがある。
この回転モーメントは、ピニオンスプロケット30を自転させるように働く。具体的には、可動ピニオンスプロケット支持部350の本体部351および突出部356を、径方向に対して傾斜させるように作用する。このとき、本体部351と可動ディスク20の本体溝211とが面状に接触して周方向の力を授受するだけでなく、突出部356と突出溝212とが面状に接触して周方向の力を授受することで、本体溝211の壁面からの回転モーメントに対する抗力が本体部351に作用するのに加えて、突出溝212の壁面からの回転モーメントに対する抗力が突出部356に作用する。
よって、可動ピニオンスプロケット支持部350がスプロケット用可動放射状溝21の壁面にしっかりと受け止められ、ピニオンスプロケット30の自転が確実に抑えられる。
このピニオンスプロケット30が更に公転すると、チェーン4からギヤ歯311が外れて噛み合いが解かれる。そして、ギヤ付勢機構380によって付勢されるギヤ歯311は、所定の基準位相をなす。
〔2−2.その他の作用および効果〕
続いて、第一ピニオンスプロケット301に着目して、本実施形態にかかる変速機構の作用および効果を詳細に説明する。
(1)本実施形態の変速機構によれば、第一ピニオンスプロケット301には、チェーン4に対して径方向内側で噛み合うギヤ歯311を有するギヤ部310がセクターギヤ形状に設けられている。そのため、チェーン4の径方向内側において、第一ピニオンスプロケット301の径方向寸法を、特許文献1のような全外周にギヤ歯が設けられる構造に比べて小さくすることができる。したがって、第一ピニオンスプロケット301の径方向内側への可動領域を充分に確保することができる。よって、充分なレシカバを確保することができる。
また、ギヤ歯311は、位相のズレているチェーン4に対して噛み合うときに、遊動許容機構370によって位相ズレの分だけ周方向に遊動することが許容される。さらに、ギヤ歯311は、チェーン4から外れて噛み合いが解かれると、ギヤ付勢機構380によって付勢されて所定の基準位相をなす。すなわち、ギヤ歯311は進角側へも遅角側へも等しく遊動することができる状態となる。したがって、その後にチェーン4に対して噛み合うギヤ歯311は、位相のズレに応じて確実に遊動することができる。
よって、ギヤ歯311に対するチェーン4の乗り上げや歯飛びが抑えられ、チェーン4に対する第一ピニオンスプロケット301の噛合性を向上させることができる。
(2)ギヤ付勢機構380には、リターンスプリング390として、ギヤ部310を進角側に付勢する進角付勢用スプリング391とギヤ部310を遅角側に付勢する遅角付勢用スプリング392とが設けられるため、所定の基準位相に向けてギヤ部310が確実に付勢される。そのため、チェーン4に対するギヤ歯311の噛み合いが解放されたギヤ部310を所定の基準位相に確実に位置させることができる。よって、ギヤ部310のギヤ歯311がチェーン4に対して噛み合うときの遊動代(遊動可能な余裕分)を確実に確保することができる。
(3)遊動許容機構370は、摺接部320やリターンスプリング390といった主要部が可動スプロケット支持部350の内部に収容された構造となっており、これらの主要部がギヤ歯311に対して軸方向外側に配置される。よって、ギヤ部310の径方向内側の構造が簡素化され、第一ピニオンスプロケット301の径方向内側への可動範囲が確保され、レシカバを確実に確保することができる。
(4)さらに、遊動許容機構370の溝穴部352では、摺接部320の進角側および遅角側のそれぞれに設けられた空間にリターンスプリング390が配置されることから、摺接部320が遊動する空間を利用してリターンスプリング390を配置することができる。言い換えれば、摺接部320の遊動代として設けられる空間にリターンスプリング390を収容することができる。
また、遊動許容機構370の摺接部320および溝穴部352は、可動スプロケット支持部350において突出部356よりも幅広の本体部351に設けられるため、溝穴部352における進角側および遅角側の空間を確保することができる。よって、これらの空間に配置されるリターンスプリング390の大きさや付勢力の設定自由度を向上させることができる。付勢力の大きいリターンスプリング390を用いれば、ギヤ部310を所定の基準位相に更に確実に付勢することができる。
(5)遊動許容機構370によってギヤ部310の遊動が許容される所定の範囲が所定の基準位相からギヤ歯311の半歯分であるため、ギヤ歯311とチェーン4とで位相がズレうる範囲の全て(位相ズレの全範囲)に対応することができる。よって、チェーン4に対する第一ピニオンスプロケット301の噛合性をより向上させることができる。
(6)変速用フォーク80および軸方向移動機構90をはじめとした軸方向力授受系の構成が二組の複合スプロケット3,3のそれぞれに独立して設けられている。そのため、複合スプロケット3,3のそれぞれにおいて、独立して軸方向移動力を作用させることができ、軸方向力授受系の各構成に対する負担の軽減,耐久性の向上といった上記の効果を得ることができる。
〔D.その他〕
以上、一実施形態について説明したが、本発明は上述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した一実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
たとえば、連結シャフト27のうち第二連結部27bを省略して第一連結部27aを残した連結部を用いてもよい。この場合、軸方向一方および軸方向他方の可動ディスク20の回転は、連結シャフト27の第二連結部27bによっては同期されないものの、スプロケット支持部330やロッド支持部41によって同期される。さらに、重量や材料にかかるコストを低減させることができ、軽量化を促進することができる。
なお、本変速機構は、変速比が連続的(無段階)に変更される無段変速機構として構成されてもよいし、ピニオンスプロケット30の径方向位置を段階的に変位させることにより変速比が段階的に変更される有段変速機構として構成されてもよい。
また、チェーンリンク61とピニオンスプロケット30に着目すると、これらの歯611,311の山部611a,311aに、傾斜角度θが所定角度(境界角度)θよりも大きい傾斜面311s,611sを形成して、チェーンリンク61の歯611のピニオンスプロケット30の歯311への乗り上げを回避する技術は、本実施形態のようなセクターギヤ形状のギヤ部310を有するピニオンスプロケット30に限らず、一般的な円形状のギヤ部を有するピニオンスプロケットにも適用できる。
また、遊動許容機構もピニオン軸に対するピニオンスプロケットの回転遊動を一定範囲で許容するものであればよく、例えば特許文献1に開示されたものでもよく、上記実施形態のものに限定されない。
ギヤ付勢機構もピニオンスプロケットをピニオン軸に対する基準の位相位置に向けて付勢するものであればよく、例えば特許文献1に開示されたものでもよく、上記実施形態のものに限定されない。
また、変速機構も、複数のピニオンスプロケットを径方向に移動させ、複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円である接円の半径を変更することによって変速比を変更するものであればよく、例えば特許文献1に開示されたものでもよく、上記実施形態のものに限定されない。
さらに、かかる技術は、チェーンリンクとピニオンスプロケットとが位相ずれを生じうるものであれば、変速機構だけでなく、動力を伝達する機構に広く適用できるものである。
1 回転軸(入力軸,出力軸)
3 複合スプロケット
4 チェーン
10 固定ディスク
11 スプロケット用固定放射状溝
12 ロッド用固定放射状溝
13 第一ロッド用固定放射状溝
14 第二ロッド用固定放射状溝
20 可動ディスク
30 ピニオンスプロケット
301 第一ピニオンスプロケット
302,303,304,305,306 第二〜第六ピニオンスプロケット
310 ギヤ部
311 ギヤ部311の歯(ギヤ歯)
311a,1311a 歯311,1311の山部
311b,1311b 歯311,1311の谷部
311d,1311d 歯311,1311の動力伝達面
311s,1311s 歯311,1311の傾斜面
311t,1311t 歯311,1311の山部311a,1311aの頂部
312 基部
320 摺接部
321 摺接面(周方向に延びる外表面)
324 収容部
330 スプロケット支持部
340 固定スプロケット支持部
350 可動スプロケット支持部
360 連結部材
370 遊動許容機構
380 ギヤ付勢機構
390 リターンスプリング(ギヤ付勢部材)
40 ガイドロッド
50 同期移動機構
60 相対回転駆動機構
61 チェーンリンク(リンクプレート)
611 チェーンリンク61の歯
611a,1611a 歯611,1611の山部
611b,1611b 歯611,1611の谷部
611d,1611d 歯611,1611の動力伝達面
611s,1611s 歯611,1611の傾斜面
611t,1611t 歯611,1611の山部611a,1611aの頂部
70 カムローラ
80 変速用フォーク(軸方向力伝達部材)
90 軸方向移動機構(カムローラ移動機構)
91 送りネジ機構
92 電動モータ
93 ネジ軸
94 ナット
95 連動ギヤ機構
950 ピニオンギヤ(第一のギヤ)
959 アイドラギヤ(第二のギヤ)
98 サポート
99 カウンタスプリング(カウンタ付勢部材)
A 接円
1 回転軸1の軸心
2 動力伝達軸線
3 固定スプロケット支持部340の軸心
4 カウンタスプリング99の軸心
5 ネジ軸93の軸心
CP1 ディスク交差箇所
CP2 カム交差箇所
L 所定の長さ
1 本体部351の幅
1′ 本体溝211の溝幅
2 突出部356の幅
2′ 突出溝212の溝幅
X1 軸方向一方
X2 軸方向他方
Y1 径方向内側
Y2 径方向外側
Z1 遅角側
Z2 進角側
θ 傾斜面311s,611sの傾斜角度

Claims (8)

  1. 2つの山部及び該山部間の谷部からなる歯が形成されたチェーンリンクが連結されてなるチェーンと、前記チェーンリンクの前記谷部と噛合する複数の山部及び該山部間の谷部からなる歯が形成されたピニオンスプロケットと、を備え、
    前記チェーンリンク及び前記ピニオンスプロケットの各歯は、当該山部の中心線上の頂部からその両側に形成されて、対向する歯の山部の噛み合いのための進入を案内する傾斜面と、前記傾斜面よりも前記谷部側に形成された動力伝達面とを有し、
    前記各傾斜面は、前記中心線に直交する基準線に対する傾斜角度が所定角度θよりも大きく形成されている
    ことを特徴とする、チェーン及びピニオンスプロケット。
  2. 前記所定角度θは、前記チェーンリンクの前記山部と前記ピニオンスプロケットの前記山部との動摩擦係数をμとし、前記両山部の当接時に想定される最大位相ずれ角度をθとすると、下式(1)を満たす値に設定されている
    ことを特徴とする、請求項1記載のチェーン及びピニオンスプロケット。
    θ=arctanμ+θ ・・・(1)
  3. 前記各傾斜面は、平面状に形成されている
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のチェーン及びピニオンスプロケット。
  4. 前記動力伝達面の少なくとも一部はインボリュート曲線形状に形成されている
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のチェーン及びピニオンスプロケット。
  5. 前記チェーンリンク及び前記ピニオンスプロケットの各歯は、インボリュート歯車の歯形状が用いられ、該歯形状から当該山部の前記頂部の両側を前記各傾斜面に対応して除去した形状である
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のチェーン及びピニオンスプロケット。
  6. 前記ピニオンスプロケットを支持するピニオン軸との間に装備され、前記ピニオン軸に対する前記ピニオンスプロケットの回転遊動を一定範囲で許容する遊動許容機構と、
    前記ピニオンスプロケットを前記ピニオン軸に対する基準の位相位置に向けて付勢するギヤ付勢機構と、を備えている
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のチェーン及びピニオンスプロケット。
  7. 動力が入力または出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持される複数のピニオンスプロケットと、前記複数のピニオンスプロケットを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら径方向に同期させて移動させる移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケットの何れをも囲み且つ前記複数のピニオンスプロケットの何れにも接する円である接円の半径を変更することによって変速比を変更する変速機構であって、
    前記チェーン及び前記ピニオンスプロケットに、請求項1〜6の何れか1項に記載のチェーン及びピニオンスプロケットが用いられている
    ことを特徴とする、変速機構。
  8. 前記ピニオンスプロケットは、前記接円の半径が最も小さいときの前記接円の円周に沿うように配置されて前記チェーンと噛み合う歯部を有するセクターギヤ形状に形成されている
    ことを特徴とする、請求項7記載の変速機構。
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