JP2017051354A - 経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスの製造方法 - Google Patents

経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水溶性高分子材料を含む基体に対しそれの品質上の評価値の基準値からの乖離を抑えることのできる経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスの製造方法を提供する。【解決手段】経皮投与デバイス10は、基体11と突起部12とを備える。基体11は、難水溶性の基材13であって、当該基材13の内部には、基材13を構成する構造体によって区画され、かつ、基材13の内部に分散する多数の隙間16が含まれ、隙間16は、隙間16が基材13の外部に対し解放されている状態において、基体11の第2面11Tから第1面11Sへ向かって、水溶性高分子を含む水溶性の液状体を通すことを可能とする大きさを有する基材13と、水溶性高分子を含む材料から構成されて多数の隙間16の少なくとも一部を埋めている充填部14とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、水溶性高分子材料を基体に含む経皮投与デバイス、および、その製造方法に関する。
経皮投与デバイスは、薬剤の投与対象に対して薬剤を皮膚から投与するための投与部を備える。投与部の一例であるマイクロニードルは、微細な針形状を有する複数の突起部と、板状の基体とを備え、複数の突起部は、基体の表面に並んでいる。マイクロニードルを用いた薬剤の投与方法では、まず、投与対象の皮膚に基体が押し付けられることによって突起部が皮膚を穿孔し、次いで、突起部によって形成された孔から、投与対象の体内に薬剤が送り込まれる。
マイクロニードルを構成する突起部や基体は、例えば、水溶性高分子を含む水溶性材料から形成される。こうしたマイクロニードルの製造工程では、まず、マイクロニードルの形状の凹凸が反転された凹部を有する凹版に、マイクロニードルの形成材料を含む液状体が充填される。続いて、凹版に充填された液状体が乾燥され、乾燥後の成形物が凹版から離型される。離型された成形物がマイクロニードルである(例えば、特許文献1参照)。
特許第5267910号明細書
ところで、基体が有する厚さ、長さ、幅、表面粗さ、表面における異物の量などの値は、基体の品質を評価するための評価値であって、上述の製造方法では、これらの評価値と、基体の品質として望まれる基準値との乖離が大きくなる虞がある。
例えば、液状体が乾燥される乾燥工程では、乾燥による充填物の収縮に起因して、基体自体に反りが生じたり、基体の表面に皺が形成されたりすることがある。また、液状体が凹部に充填される充填工程では、凹版の内側面に対する液状体のぬれ性が不足すると、液状体が凹版の内側面上で撥かれ、これに起因して、基体に本来求められる厚みや幅や形状が得られなることがある。反対に、凹版の内側面に対する液状体のぬれ性が過剰であると、液状体が凹版の内側面に馴染みすぎることによって、基体の表面が凹版の内側面に密着し、これに起因して、凹版からの基体の剥離時に、基体の形状が崩れたり、基体の表面に凹版の一部が付着したりすることもある。これら基体における品質上の評価値と基準値との乖離が大きくなることは、マイクロニードルの寸法精度を低下させる大きな要因ともなっている。
なお、上述した品質上の評価値とそれの基準値との乖離が大きくなる課題は、水溶性高分子を基体の構成材料に含む経皮投与デバイスにおいて共通することである。
本発明は、水溶性高分子材料を含む基体に対しそれの品質上の評価値の基準値からの乖離を抑えることのできる経皮投与デバイス、および、経皮投与デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する経皮投与デバイスは、第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを有する基体と、前記第1面から突き出た突起部と、を備え、前記基体は、難水溶性の基材であって、前記基材の内部には、前記基材を構成する構造体によって区画され、かつ、前記基材の内部に分散する多数の隙間が含まれ、前記隙間は、前記隙間が前記基材の外部に対し解放されている状態において、前記第2面から前記第1面へ向かって、水溶性高分子を含む水溶性の液状体を通すことを可能とする大きさを有する、前記基材と、前記水溶性高分子を含む材料から構成されて前記多数の隙間の少なくとも一部を埋めている充填部と、を有する。
上記構成の経皮投与デバイスの基体であれば、難水溶性を有した基材が、水溶性高分子を含む材料の芯として機能する。そのため、水溶性高分子の取扱いに起因して、基体の品質上の評価値がばらつくことが抑えられる。したがって、基体における品質上の評価値が基準値から乖離することを抑えることができる。
上記構成において、前記基体は、複合部を含み、前記複合部において前記基材の有する前記隙間は前記充填部によって埋められ、前記基体は、前記第1面と直交する方向の全体が前記複合部である領域を有してもよい。
上記構成によれば、上記領域では、基体の第1面と直交する方向である厚さ方向の全体に基材が配置されているため、基体の厚さ方向の全体で、基材の芯としての機能が発揮される。したがって、基体の品質上の評価値がばらつくことが的確に抑えられる。
上記構成において、前記基体は、複合部と難溶部とを含み、前記複合部において前記基材の有する前記隙間は前記充填部によって埋められ、前記難溶部において前記基材の有する前記隙間は解放され、前記難溶部は、前記複合部に対して前記突起部とは反対側に位置してもよい。
上記構成によれば、基体の厚さ方向の全体が複合部である構成と比較して、水溶性高分子等の充填部の形成材料の削減、すなわち、経皮投与デバイスの形成に要する材料の削減が可能である。
上記構成において、前記基体は、複合部を含み、前記複合部において前記基材の有する前記隙間は前記充填部によって埋められ、前記第1面と対向する方向から見て、前記基体の全体が前記複合部であってもよい。
上記構成によれば、基体の第1面に沿った方向である面方向の全体に基材が配置されているため、基体の面方向の全体で、基材の芯としての機能が発揮される。したがって、基体の品質上の評価値がばらつくことが的確に抑えられる。
また、上記構成の経皮投与デバイスは、例えば、1つの凹版から得られた成形物を打ち抜いて複数の経皮投与デバイスを形成する製法によって形成され得る。この場合、1つの凹版から1つの経皮投与デバイスが形成される場合と比較して、凹部の深さ方向と直交する方向である面方向の大きさが大きくなることに起因して、従来の製造方法によって形成される経皮投与デバイスでは基体における品質上の評価値のばらつきが顕著になりやすい。したがって、上記構成の適用による有益性が高い。
上記構成において、前記基材は、親水性を有する表面を有していてもよい。
上記構成によれば、基材に含まれる隙間の全体に水溶性の液状体が充填されやすいため、均一性の高い基体が実現できる。
上記構成において、前記基材は、多孔質材料および繊維材料の少なくとも一方から構成されていてもよい。
上記構成によれば、基材中に分散して位置する多数の隙間を有する基材が的確に実現できる。
上記課題を解決する経皮投与デバイスの製造方法は、基体と前記基体から突き出た突起部とを備える経皮投与デバイスの製造方法であって、前記基体の形状に応じた第1凹部と前記突起部の形状に応じた第2凹部とを有する凹版であって、前記第2凹部は前記第1凹部よりも前記凹版の底部に近い位置に位置して前記第1凹部と連通する前記凹版に、難水溶性の基材と水溶性高分子を含む水溶性の液状体とを、前記基材が前記第1凹部に配置されるように充填する充填工程と、前記凹版に充填された前記液状体を乾燥して成形物を成形する乾燥工程と、前記成形物を前記凹版から離して前記経皮投与デバイスを得る離型工程と、を含み、前記基材の内部には、前記基材を構成する構造体によって区画され、かつ、前記基材の内部に分散する多数の隙間が含まれ、前記隙間は、前記凹版の前記第1凹部から前記第2凹部に向かって前記液状体を通すことを可能とする大きさを有し、前記充填工程では、前記隙間の少なくとも一部が前記液状体によって埋められる。
上記方法によれば、基材が芯として機能し、液状体は基材に沿って固まるため、凹版の内側面に対する液状体の親和性が低い場合であっても、乾燥中の液状体が不均一に収縮して基体に反りや皺が生じることが抑えられる。また、こうした製造方法では、第1凹部の底面には基材が接しやすく、基材の隙間に液状体が充填されるため、第1凹部に充填される液状体が凹版の内側面上で撥かれて基体の形状が歪になることも抑えられる。また反対に、凹版の内側面に対する液状体の親和性が高い場合であっても、液状体の固化物が第1凹部の底面の全面に接する場合と比較して、第1凹部の底面に対する基体の密着性が高くなりすぎることが抑えられるため、凹版からの基体の剥離時に基体の形状が崩れたり、基体の表面に凹版の一部が付着したりすることが抑えられる。したがって、基体における品質上の評価値が基準値から乖離することを抑えることができる。
上記方法において、前記充填工程では、前記第1凹部に前記基材が配置された後に、前記凹版に前記液状体が供給されてもよい。
上記方法によれば、第1凹部に基材を配置することや、基材の隙間に液状体を充填することが容易である。
上記方法において、前記充填工程では、親水化処理によって親水化された表面を有する前記基材が用いられてもよい。
上記方法によれば、基材に含まれる隙間の全体に水溶性の液状体が充填されやすく、すなわち、液状体が基材に沿って第1凹部に均一に充填されやすい。したがって、基体の均一性が高められる。
本発明によれば、経皮投与デバイスにおいて水溶性高分子を含む基体に対しそれの品質上の評価値と基準値との乖離を抑えることができる。
一実施形態の経皮投与デバイスの斜視構造を示す斜視図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの断面構造を示す断面図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの断面構造の他の例を示す断面図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの断面構造の他の例を示す断面図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの平面構造を示す平面図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの製造方法を模式的に示す図であって、原版作製工程において作製された原版を示す図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの製造方法を模式的に示す図であって、凹版作製工程において作製された凹版を示す図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの製造方法を模式的に示す図であって、充填工程において基材が配置される様子を示す図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの製造方法を模式的に示す図であって、充填工程において液状体が供給される様子を示す図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの製造方法を模式的に示す図であって、充填工程において液状体が充填される様子を示す図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの製造方法を模式的に示す図であって、乾燥工程において乾燥された成形物を示す図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの製造方法を模式的に示す図であって、離型工程において離型された成形物を示す図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの製造方法を模式的に示す図であって、加圧ローラーを用いた気泡抑制処理の例を示す図である。 一実施形態の経皮投与デバイスの製造方法を模式的に示す図であって、遠心機を用いた気泡抑制処理の例を示す図であり、(a)は遠心機による回転前の様子を示す図であり、(b)は遠心機による回転中の様子を示す図である。
図1〜図14を参照して、経皮投与デバイスおよび経皮投与デバイスの製造方法の一実施形態について説明する。
[経皮投与デバイスの構成]
図1〜図5を参照して、経皮投与デバイスを構成する投与部の一例であるマイクロニードルの構成について説明する。
図1が示すように、マイクロニードル10は、板状を有する基体11と、基体11から突き出た突起部12とを備えている。基体11は、突起部12の配置された面である第1面11Sと、第1面11Sとは反対側の面である第2面11Tとを有し、第1面11Sは突起部12の基端を支持している。
第1面11Sと対向する方向から見た基体11の外形は特に限定されず、基体11の外形は、円形や楕円形であってもよいし、矩形であってもよい。
突起部12の形状は、特に限定されないが、錐体形状であることが好ましい。錐体とは、平面上の閉じた領域と、この平面外の一つの点である規定点とを規定して、当該領域を、平面から規定点に向けて、相似形状を保ったまま拡大せずに規定点に一致する形状になるまで変形させたときに、当該領域が通過する部分から構成される立体である。錐体は、円錐や四角錐等の、いわゆる数学的な意味での錐体を含む。この場合、平面上の閉じた領域が底面であり、規定点が頂点である。ここでの頂点とは、数学的な意味での点ではなく、一定の広がりをもった範囲を指す。錐体の底面は、円形や正方形に限定されず、楕円形、半円形、扇形、多角形等の形状であってもよい。
なお、突起部12は錐体形状に限らず、皮膚を刺すことが可能な形状であればよく、例えば、円柱形状や角柱形状のように、先端が尖っていない形状であってもよいし、円柱に円錐が積層された形状のように、2以上の立体が結合した形状であってもよい。また、突起部12の側壁には、括れや段差が形成されていてもよい。
突起部12の数は1以上であれば特に限定されない。マイクロニードル10が複数の突起部12を有する場合、基体11の第1面11Sと対向する方向から見て、複数の突起部12の各々は、規則的に並んでいてもよいし、不規則に並んでいてもよい。例えば、複数の突起部12は、格子状や同心円状に配列される。
図2が示すように、突起部12の長さHは、基体11の厚さ方向、すなわち基体11の第1面11Sと直交する方向における、第1面11Sから突起部12の先端までの長さである。突起部12の長さHは、突起部12による穿孔の目的や投与される薬剤の種類等に応じて、突起部12の穿孔によって形成する必要のある孔の深さに基づいて決定される。突起部12の長さHは、20μm以上1000μm以下であることが好ましい。
突起部12の幅Dは、基体11の第1面11Sの広がる方向と平行な方向における突起部12の最大の長さである。例えば、突起部12が円錐形状を有するとき、基体11の第1面11S内に区画された突起部12の底面である円の直径が、突起部12の幅Dである。突起部12の幅Dは、必要とされる突起部12のアスペクト比や突起部12の穿孔によって形成する必要のある孔の容積等に応じて決定される。突起部12の幅Dは、1μm以上300μm以下であることが好ましい。
突起部12の先端が尖った形状に形成される場合、突起部12の先端角θは5°以上45°以下であることが好ましい。突起部12の先端角θは、基体11の厚さ方向の断面において、突起部12の先端が形成する角度の最大値である。例えば、突起部12が円錐形状を有するとき、突起部12の先端角θは、突起部12の底面の円の直径を底辺とし、円錐の頂点を頂点とする三角形の頂角である。
なお、マイクロニードル10が複数の突起部12を有する場合、複数の突起部12には、互いに異なる形状の突起部12が含まれてもよい。
突起部12は、水溶性材料から形成され、水に溶解する。突起部12の形成材料には、水溶性高分子が含まれる。水溶性高分子としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キトサン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド(PAM)、および、ポリエチレンオキシド(PEO)からなる群から選択される1種類以上の化合物が用いられる。これらの水溶性高分子の中でも、突起部12の形成材料として、カルボキシメチルセルロースおよびキトサンの少なくとも一方が用いられることが好ましい。カルボキシメチルセルロースやキトサンは、生物学的安全性が高いためである。
突起部12の形成材料には、二糖やたんぱく質が含まれてもよい。
二糖としては、例えば、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、イソトレハロース、ネオトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ネオラクトース、ガラクトスクロース、シラビオース、ルチノース、ルチヌロース、ビシアノース、キシロビオース、プリメベロース、トレハロサミン、マルチトール、セロビオン酸、ラクトサミン、ラクトースジアミン、ラクトビオン酸、ラクチトール、ヒアロビウロン酸、および、スクラロースからなる群から選択される1種類以上の化合物が用いられる。これらの二糖の中でも、トレハロースが用いられることが好ましい。トレハロースは二糖の中でも結晶構造が水に特に近いため、突起部12の形成材料にたんぱく質が含まれる場合に、たんぱく質を保護して安定化する機能を発揮するためである。
突起部12の形成材料には、薬剤が含まれてもよい。薬剤は、皮内に投与されることにより機能する物質であれば、その種類は特に限定されず、薬剤としては、例えば、生理活性物質や美容効果を有する化粧品組成物等が挙げられる。また、薬剤として芳香を有する物質が用いられた場合、マイクロニードル10の使用時に匂いが生じるため、美容品としての使用に適したマイクロニードル10が実現できる。また、上述のたんぱく質が薬剤として機能するたんぱく質であってもよい。なお、水溶性高分子が薬剤として機能する態様や、薬剤がマイクロニードル10の外部から供給される態様であれば、マイクロニードル10は水溶性高分子とは別に薬剤を含まなくともよい。
以上のように、突起部12は、少なくとも水溶性高分子を含み、さらに、二糖およびたんぱく質や薬剤を含むことがあり得る。
基体11は、難水溶性の基材13と水溶性の充填部14とを有している。基体11は、基材13の少なくとも一部と、充填部14とから構成される複合部15を含んでいる。図2は、基体11のすべてが複合部15である例を示している。すなわち、基体11の第1面11Sと第2面11Tとの各々は、複合部15の有する面である。
基材13は、シート状であって、基材13の内部には、基材13を構成する構造体によって区画され、かつ、基材13の内部に分散する多数の隙間16が含まれている。充填部14は、基材13の隙間16を埋めている。隙間16が基材13の外部に対し解放されている状態、すなわち、隙間16が充填部14によって埋められていない状態において、基材13の内部に含まれる隙間16は、第2面11Tから第1面11Sへ向かって隙間16を通じて水溶性の液体を通すことを可能とした大きさを有している。なお、図2においては、隙間16を強調して示している。
本実施形態において、水溶性とは、標準状態において水に対する溶解度が1g/100g−HO以上である性質を示す。また、難水溶性とは、標準状態において水に対する溶解度が0.001g/100g−HO以下である性質を示す。
基材13の材料としては、マイクロポーラス材料等の多孔質材料および不織布やろ紙等の繊維材料の少なくとも一方が用いられることが好ましい。基材13を構成する構造体が難水溶性樹脂から構成され、基材13が多孔質材料からなるとき、多孔質材料中の微細な空孔が隙間16に相当する。基材13を構成する構造体が難水溶性繊維であり、基材13が繊維材料からなるとき、繊維間の隙間が隙間16に相当する。
こうした基材13の主材料としては、例えば、ポリエステルやアクリロニトリルコポリマー等の樹脂、ガラス、紙、セルロース混合物やニトロセルロースや等のセルロース系繊維、レーヨン等が挙げられる。また、基体11は皮膚に接するため、基材13の主材料としては、生分解性を有する材料が用いられることが好ましい。生分解性を有する樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、乳酸とグリコール酸との共重合体、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンサクシネート・カーボネート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート、および、これらの混合物が挙げられる。特に、ポリ乳酸や乳酸とグリコール酸との共重合体が用いられることが好ましい。また、基材13の主材料に繊維材料が用いられる場合、基体11を形成するための液状体の乾燥に伴う収縮を抑えるためには、繊維として非弾性繊維が用いられることが好ましい。
基材13は単層から構成されてもよいし、複数の多孔質材料の積層体や、複数の繊維材料の積層体や、多孔質材料と繊維材料との積層体であってもよい。
基材13は、親水性を有する表面を有していることが好ましい。換言すれば、基材13は、その表面に、ヒドロキシ基等の親水基を有していることが好ましい。
また、基材13は、柔軟性を有していることが好ましい。具体的には、基材13は、自己支持性を有し、かつ、基材13を角部が90度になるように折り曲げても基材13が割れない程度の柔軟性を有することが好ましい。基材13が柔軟性を有していることによって、マイクロニードル10の使用時に基体11を皮膚に沿って湾曲させやすくなる。
充填部14は、水溶性材料から形成される。充填部14の形成材料としては、突起部12の形成材料として例示した材料が用いられればよく、充填部14は、少なくとも水溶性高分子を含む。突起部12と充填部14とは、同一の組成を有していてもよいし、互いに異なる組成を有していてもよい。
基体11の厚さ方向において、図2が示すように基体11の全部が複合部15であってもよいし、基体11の一部が複合部15であってもよい。
例えば、図3が示すように、基体11は、複合部15と難溶部17とから構成されてもよい。複合部15において基材13の隙間16は充填部14によって埋められ、難溶部17において基材13の隙間16は解放されている。すなわち、難溶部17は、基材13の一部のみから構成され、充填部14を有しておらず、難溶部17における基材13の隙間16は埋まっていない。複合部15と難溶部17とは互いに隣接し、難溶部17は、複合部15に対して突起部12とは反対側に位置する。この場合、基体11の第1面11Sは複合部15の有する面であり、第2面11Tは難溶部17の有する面である。複合部15を構成する基材13と難溶部17を構成する基材13とは、単層または複層の一体化された1つの基材13であることが好ましい。
またあるいは、図4が示すように、基体11は、複合部15と、水溶性材料から形成された可溶部18とから構成されてもよい。可溶部18には基材13は含まれず、可溶部18は、充填部14と同一の組成を有していることが好ましい。複合部15と可溶部18とは互いに隣接し、可溶部18は、複合部15に対して突起部12とは反対側に位置する。この場合、基体11の第1面11Sは複合部15の有する面であり、第2面11Tは可溶部18の有する面である。
基体11の厚みTaは特に限定されないが、基体11の厚みTaは100μm以上2000μm以下であることが好ましく、こうした基体11に含まれる基材13の厚みTkは、100μm以上2000μm以下であることが好ましい。また、複合部15の厚みTfは、基体11の厚みTaの1/3以上であることが好ましい。
図5は、基体11の第1面11Sと対向する方向からマイクロニードル10を見た図であって、基体11にて複合部15の位置する部分にドットを付して示す図である。図5が示すように、基体11の第1面11Sと対向する方向から見て、基体11の全体が複合部15であることが好ましい。換言すれば、基体11の第1面11Sと対向する方向から見て、基材13の外縁は基体11の外縁と一致していることが好ましい。なお、この場合において、基体11の第2面11Tと対向する方向から見て、基体11の全体は複合部15でなくともよく、難溶部17や可溶部18であってもよい。
ただし、基体11の第1面11Sと対向する方向から見て、基体11の一部が複合部15であってもよく、この場合、複合部15以外の部分は、可溶部18であればよい。
このようなマイクロニードル10の使用に際しては、マイクロニードル10が投与対象の皮膚に押し付けられることによって、突起部12が皮膚に刺さる。すなわち、突起部12の先端が皮膚に向けられて、基体11の第1面11Sが皮膚に接触するまで、基体11が皮膚に押し付けられる。皮膚に刺さった突起部12が皮膚の水分によって溶解することによって、突起部12の含む成分が投与対象の体内に拡散される。突起部12が溶解する程度の時間が経過した後に、基体11は皮膚の表面から取り除かれればよい。
[経皮投与デバイスの製造方法]
図6〜図14を参照して、経皮投与デバイスの一例として、上述したマイクロニードル10の製造方法について説明する。なお、本実施形態において、液状体には、乾燥が開始される前の液体の状態から、乾燥が完了する直前の流動性が低下した状態や部分的に硬化が生じた状態までが含まれる。
<原版作製工程>
図6が示すように、まず、原版作製工程では、マイクロニードル10の原版20が作製される。原版20は、原版基体21と、原版基体21から突き出た原版突起部22とを備え、製造対象のマイクロニードル10の形状とほぼ同じ形状を有する。
原版20の形成材料は特に限定されず、公知の微細加工技術によって加工可能な材料が用いられればよい。原版20の形成材料としては、例えば、ステンレス鋼やアルミニウムやチタン等の金属材料、アルミナ、窒化アルミニウム、マシナブルセラミックス等のセラミックス、シリコンやガラス等の硬脆性材料、アクリルやポリアセタール等の有機材料等が挙げられる。原版20の形成材料は、加工適性や、材料の入手容易性等を考慮して選択されることが好ましい。
原版20の形成には、機械加工技術や半導体装置の製造に用いられる加工技術等、公知の微細加工技術が用いられる。微細加工技術としては、例えば、サンドブラスト法、レーザー加工法、リソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法等が挙げられる。
原版20に対しては、原版20の形状を転写した凹版を作製するにあたり、原版20から凹版を離型しやすくするための加工や改質が行われてもよい。具体的には、原版20の表面に対して、機械加工による研磨、穴あけ、溝加工や、エッチング法を用いた表面加工、表面改質や、離型剤の塗布等が行われればよい。
<凹版作製工程>
図7が示すように、続いて、凹版作製工程では、原版20の凹凸を反転させた形状の凹部31を有する凹版30が作製される。すなわち、凹部31は、原版基体21の形状に窪む第1凹部32と原版突起部22の形状に窪む第2凹部33とから構成される。第1凹部32と第2凹部33とは連通し、第2凹部33は第1凹部32よりも凹版30の底部に近い位置に位置する。第2凹部33は、原版突起部22の先端に対応する部分が凹版30の底部に向けられ、原版突起部22の基端に対応する部分が第1凹部32に向けられる向きに配置されている。
凹版30の形成材料は特に限定されず、原版20の形状を良好に転写し得る形状追従性、転写成形における転写性、耐久性、および、成形物の凹版30からの離型性を考慮して選択されることが好ましい。こうした材料としては、離型性の高い樹脂が用いられることが好ましく、こうした樹脂を含む液体で原版20の凹凸を埋めて液体を硬化させ、硬化物を原版20から剥離することによって凹版30が形成されればよい。
具体的には、凹版30の形成材料としては、例えば、ニッケル、ケイ素、炭化ケイ素、タンタル、グラッシーカーボン、石英、シリカ等の無機物や、シリコーン系ポリマー(シリコーンゴム)、ウレタンゴム、ノルボルネン樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、アクリル等の熱可塑性樹脂や、ポリメタクリル酸メチル、液晶ポリマー等の樹脂組成物等が挙げられる。これらの形成材料の中でも、成形性、成形物における微細形状の追従性、および、成形物の離型性が高いという観点から、ニッケル、ケイ素、炭化ケイ素、タンタル、グラッシーカーボン、石英、シリカ、シリコーン系ポリマーが用いられることが好ましく、上述のような離型性の高い樹脂としてシリコーン系ポリマーが用いられることがより好ましい。さらに、シリコーン系ポリマーは、ポリジメチルシロキサンを含有するシリコーン系ポリマーであることが特に好ましい。こうしたシリコーン系ポリマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)(東レ・ダウコーニング社製、SYLGARD184等)に硬化剤を添加したシリコーン樹脂を用いることができる。凹版30の形成材料として、離型性に優れたシリコーン樹脂が用いられることによって、液状体の固化物である成形物の凹版30からの離型性が向上するため、凹版30の損傷を抑えることができる。
凹版30の形成には、公知の形状転写法が用いられればよい。形状転写法としては、例えば、ニッケル等を用いた電鋳法や、溶融した樹脂を用いて転写成形を行う方法等が挙げられる。
<充填工程>
続いて、充填工程では、凹版30の凹部31に、マイクロニードル10の形成材料が充填される。
図8が示すように、まず、基材13が、凹部31内に配置される。このとき、基材13は、第2凹部33の開口を塞ぎ、第1凹部32内に広がるように配置される。
基材13は、充填工程に先立って、親水化工程を経ていることが好ましい。親水化工程では、基材13の形成材料からなるシートに、プラズマ処理等による親水化処理が行われる。その結果、表面が親水化された基材13が形成される。
図9が示すように、基材13の配置後に、基材13の上から、少なくとも水溶性高分子を含む液状体Lが凹部31に供給される。例えば、形成予定のマイクロニードル10の突起部12と充填部14とが同一の組成を有するとき、液状体Lには、これらの各部の形成材料が含まれる。液状体Lは、これらの形成材料が溶媒に溶解されることにより作製される。溶媒は、形成材料を溶解することのできる溶媒であればその種類は限定されないが、水や非極性溶媒等のように、基材13を溶かさない溶媒であることが好ましい。なお、液状体Lは、分散系の液体であってもよい。また、液状体は、凹部31への注入が可能な程度に流動性を有していればよい。
液状体Lの凹部31への供給方法は、凹部31の形状や大きさ等を考慮して公知の方法から適宜選択されればよい。例えば、液状体Lの供給方法としては、スピンコート法、ディスペンサーを用いる方法、キャスティング法、インクジェット法等を用いることができる。
図10が示すように、基材13の隙間16は液状体を通すため、基材13の上から供給された液状体Lは、基材13の隙間16を通って、第2凹部33に充填される。さらに、液状体Lは隙間16を満たす。液状体Lは、第1凹部32内にて、基材13を超える位置まで充填されてもよいし、基材13を超えない位置、すなわち、基材13における凹版30の開口に向けられた面と同程度、あるいは当該面よりも凹版30の底部に近い位置まで充填されてもよい。
マイクロニードル10の基体11の厚さ方向において基体11の全部を複合部15にしようとするときには、乾燥による体積の減少を考慮して、液状体Lは、第1凹部32内にて基材13を超える位置まで充填される。すなわち、液状体Lの乾燥による体積の減少が、基材13を超えた分の液状体Lの体積と同等になるように、液状体Lは、第1凹部32に充填される。この場合よりも、液状体Lの供給量を少なくすることによって、複合部15と難溶部17とを備える基体11が形成可能であり、液状体Lの供給量を多くすることによって、複合部15と可溶部18とを備える基体11が形成可能である。
また、凹版30の第1凹部32における深さ方向と直交する方向である面方向について、第1凹部32と同程度の大きさの基材13を用いることによって、基体11の第1面11Sと対向する方向から見て、基体11の全体が複合部15であるマイクロニードル10が形成できる。また、面方向について、第1凹部32よりも小さい基材13を用いることによって、基体11の第1面11Sと対向する方向から見て、基体11の一部が複合部15であるマイクロニードル10が形成できる。なお、基体11における品質上の評価値のばらつきを的確に抑えるためには、基材13は、第1凹部32の面方向について、第1凹部32内にて均等に配置されていることが好ましい。
液状体Lの充填に際しては、成形物の内部に気泡が混入することを抑えるための気泡抑制処理が行われることが好ましい。例えば、凹版30に液状体Lを供給するときには、凹版30を減圧下または真空下の環境に配置し、液状体Lの充填後に凹版30の置かれた環境を大気開放することによって、凹部31に充填された液状体Lへの気泡の混入が抑えられる。なお、凹部31から成形物への形状の転写の精度を高めるためには、液状体Lの供給は減圧下で行われることが好ましい。
<乾燥工程>
図11が示すように、続いて、乾燥工程では、凹部31に充填された液状体Lが乾燥固化されて、マイクロニードル10となる成形物が形成される。基材13が隙間16を有しているため、液状体Lの乾燥の効率性が高められる。液状体Lの乾燥は、常温で行われてもよいが、乾燥時間の短縮のためには、液状体Lは加熱乾燥されることが好ましい。液状体Lに二糖およびタンパク質が含まれる場合、液状体Lが加熱されたとしても、二糖の作用によってタンパク質の劣化が抑えられる。
液状体Lの加熱温度は、マイクロニードル10の内部に気泡が形成されることを抑えるために、液状体Lが沸騰しない程度の温度であることが好ましい。具体的には、液状体Lが水溶液である場合には、加熱温度は50℃以上90℃以下であることが好ましい。加熱の方法としては、公知の加熱方法を用いることができる。例えば、液状体Lが充填された凹版30がホットプレートの上に配置されることによって、液状体Lが加熱される。
<離型工程>
図12が示すように、離型工程では、成形物が凹版30から離される。凹版30から離型された成形物が、マイクロニードル10である。成形物を離型する方法としては、例えば、物理的な力で成形物を凹版30から剥離する方法や、化学的な性質を利用して選択的に凹版30を溶解する方法等を用いることができる。
なお、離型後の成形物が機械加工により打ち抜かれて、マイクロニードル10が形成されてもよい。すなわち、成形物の打ち抜きによって、マイクロニードル10の基体11の外形が整えられてもよいし、1つの成形物から複数のマイクロニードル10が形成されてもよい。基材13の配置されている部分を打ち抜くことによって、基体11の第1面11Sと対向する方向から見て、基体11の全体が複合部15であるマイクロニードル10が形成できる。
以上の工程によって、マイクロニードル10が製造される。こうした製造方法によれば、小数の凹版30から多数のマイクロニードル10を製造することができるため、マイクロニードル10の製造にかかるコストが低減され、マイクロニードル10の生産性が高められる。
なお、マイクロニードル10の突起部12と充填部14とが異なる組成を有する場合には、充填工程においては、突起部12の形成材料を含む液状体が第2凹部33に充填された後に、充填部14の形成材料を含む液状体が第1凹部32に充填されればよい。このとき、基材13は、突起部12の形成材料を含む液状体の供給前に第1凹部32に配置されてもよいし、当該液状体の供給後に第1凹部32に配置されてもよい。
また、上述の製造方法では、気泡抑制処理として、凹版30への液状体Lの供給を減圧下または真空下にて行う例を挙げたが、これに限らず、気泡抑制処理として下記の処理を行ってもよい。
図13が示すように、凹部31に基材13が配置され液状体Lが供給された後に、第1凹部32内にて加圧ローラー40が基材13に押し当てられ、基材13が加圧されてもよい。凹版30が弾性変形する構成であれば、加圧されている状態においては、基材13は第2凹部33に押し付けられて第2凹部33が潰れ、第2凹部33内の気泡が押し出される。このように、凹部31に溜まっていた気泡が加圧によって押し出されるため、成形物の内部に気泡が混入することが抑えられる。
図14が示すように、遠心機50が利用されてもよい。すなわち、図14(a)が示すように凹部31に基材13が配置され液状体Lが供給された後に凹版30は遠心機50に組み込まれ、図14(b)が示すように遠心機50によって凹版30が回転されてもよい。これによれば、液状体Lが遠心力の作用を受ける結果、凹部31に溜まっていた気泡が抜けるため、成形物の内部に気泡が混入することが抑えられる。また、遠心力によって、基材13が第1凹部32の底面に押し付けられて、当該底面に物理的に吸着する。
なお、上述の気泡抑制処理として挙げた処理のうちの複数の処理が実施されてもよい。
[作用]
本実施形態の作用について説明する。上述のように、凹版30の形成材料としては、成形物の凹版30からの離型性が高い材料が用いられる。すなわち、一般に、凹版30の内側面に対する液状体Lの親和性は高くない。こうした凹版30が用いられる場合、従来の製造方法では、液状体Lが凹版30の内側面から離れやすいため、乾燥工程において収縮が生じて基体11に反りや皺が生じることがある。また、凹版30の内側面に対する液状体Lのぬれ性が低いため、液状体Lが凹版30の内側面上で撥かれることによって液状体Lの広がりに偏りが生じ、乾燥ムラが発生して基体11の形状が歪になることもある。
これに対し、本実施形態の製造方法によれば、凹版30の第1凹部32に難水溶性の固体状の基材13と液状体Lとが充填されている状態で、液状体Lの乾燥が行われる。そのため、基材13が芯として機能し、液状体Lは基材13に沿って固まる。したがって、乾燥中の液状体Lが不均一に収縮して基体11が偏った形状に成形されることが抑えられるため、基体11に反りや皺が生じることが抑えられる。また、第1凹部32の底面の少なくとも一部には、基材13が接し、液状体Lは基材13の隙間16に充填されるため、第1凹部32に充填される液状体Lが凹版30の内側面上で撥かれることによる液状体Lの偏りも抑えられる。
特に、基材13の表面が親水性を有しているため、凹版30の内側面に対する液状体Lの親和性が低くとも、液状体Lは、基材13に沿って多数の隙間16の全体に充填されやすく、すなわち、第1凹部32に均一に充填されやすい。また、第1凹部32の底面、すなわち、凹版30が有する疎水性の内側面と基材13の表面とが接するため、凹版30からの基体11の剥離が容易である。
一方で、仮に凹版30の内側面に対する液状体Lの親和性が高いとすると、下記の問題が生じる。すなわち、従来の製造方法では、凹版30の内側面に対する液状体Lのぬれ性が高いため、液状体Lが凹版30の内側面に馴染みすぎて基体11が凹版30にはりつき、凹版30からの基体11の剥離時に、基体11の形状が崩れたり、凹版30の一部が破壊されて基体11に付着したりすることがある。
これに対し、本実施形態の製造方法によれば、第1凹部32の底面の少なくとも一部には、充填時から固体状であって隙間16を有する基材13が接しているため、液状体Lの固化物が第1凹部32の底面の全面に接する場合と比較して、第1凹部32の底面に対する基体11の密着性は低く抑えられる。したがって、凹版30からの基体11の剥離が容易であり、剥離時に基体11の外観が崩れることは抑えられる。
したがって、本実施形態の製造方法によれば、凹版30の内側面に対する液状体Lの親和性が高い場合であれ低い場合であれ、基体11における品質上の評価値が基準値から乖離することが抑えられる。すなわち、例えば、予め設定された基準値である厚みに相当する厚みが得られ、予め設定された基準値である厚みの均一性に相当する均一性が得られ、平滑な表面を有する基体11を形成することができる。
ここで、液状体Lの乾燥による収縮が起こる要因の1つは、液状体Lにおける溶媒の揮発に伴って液状体Lに含まれるポリマー分子間の距離が縮まることである。液状体Lの分量や濃度が高く比較的大きな乾燥収縮が生じるとき、基体11の部位による乾燥収縮の程度にも大きなばらつきが生じる。一般に、粉末成形体における乾燥収縮率やそのばらつきが大きいと、成形物の寸法精度が低下したり、成形物の有する平面に凹凸や皺ができて、成形物の外観が悪くなったりする。
すなわち、凹版30における第1凹部32の容積が大きいほど、乾燥収縮率やそのばらつきが大きくなりやすく、従来の製造方法においては、基体11における品質上の評価値の基準値から乖離が顕著になりやすい。具体的には、同程度の大きさのマイクロニードル10を製造する場合において、1つの凹版30から得られた成形物を打ち抜いて複数のマイクロニードル10を形成する製法は、1つの凹版30から1つのマイクロニードル10を形成する製法と比較して、凹版30の第1凹部32における面方向の大きさが大きくなる。したがって、基体11における品質上の評価値の基準値からの乖離が顕著になりやすい。また、第1凹部32における面方向の大きさが大きいほど、液状体Lの偏りによる乾燥ムラも発生しやすい。したがってこうした場合に、本実施形態の製造方法が採用されることによって、基体11における品質上の評価値の基準値からの乖離を抑える効果が高く得られる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)難水溶性で隙間16を有する基材13と水溶性高分子を含む水溶性の液状体Lとが、基材13が第1凹部32に配置されるように凹版30に充填され、充填された液状体Lが乾燥されてマイクロニードル10となる成形物が形成される。こうした製造方法によれば、基材13が芯として機能し、液状体Lは基材13に沿って固まるため、凹版30の内側面に対する液状体Lの親和性が低い場合であっても、乾燥中の液状体Lが不均一に収縮して基体11に反りや皺が生じることが抑えられる。また、第1凹部32の底面の少なくとも一部には基材13が接し、液状体Lは基材13の隙間16に充填されるため、第1凹部32に充填される液状体Lが凹版30の内側面上で撥かれて基体11の形状が歪になることも抑えられる。また反対に、凹版30の内側面に対する液状体の親和性が高い場合であっても、液状体Lの固化物が第1凹部32の底面の全面に接する場合と比較して、第1凹部32の底面に対する基体11の密着性が高くなりすぎることが抑えられるため、凹版30からの基体11の剥離時に基体11の外観が崩れることが抑えられる。したがって、基体11における品質上の評価値が基準値から乖離することが抑えられる。
(2)充填工程において、第1凹部32に基材13が配置された後に、液状体Lが供給される。こうした製造方法によれば、第1凹部32に基材13を配置することや、基材13の隙間16に液状体Lを充填することが容易である。
(3)充填工程では、親水化処理によって親水化された表面を有する基材13が用いられる。こうした製造方法によれば、基材13に含まれる隙間16の全体に液状体Lが充填されやすく、液状体Lが基材13に沿って第1凹部32に均一に充填されやすい。したがって、基体11の均一性が高められる。
(4)マイクロニードル10の基体11は、難水溶性で隙間16を有する基材13と、水溶性高分子を含む材料から構成されて隙間16を埋めている充填部14とから構成される複合部15を含む。こうしたマイクロニードル10においては、基材13が、水溶性高分子を含む材料の芯として機能する。そのため、水溶性高分子の取扱いに起因して、基体11の品質上の評価値がばらつくことが抑えられる。したがって、基体11における品質上の評価値が基準値から乖離することを抑えることができる。
(5)基体11が、厚さ方向の全体が複合部15である領域を有する構成では、この領域においては、基体11の厚さ方向の全体に基材13が配置されているため、基体11の厚さ方向の全体で、基材13の芯としての機能が発揮される。したがって、基体11に反りや皺が生じることが的確に抑えられるため、基体11の品質上の評価値がばらつくことが的確に抑えられる。
(6)基体11が、複合部15と難溶部17とから構成される構成では、上記(5)の効果と同様に、基体11の厚さ方向の全体に基材13が配置されているため、基体11の厚さ方向の全体で、基材13の芯としての機能が発揮される。したがって、基体11の品質上の評価値がばらつくことが的確に抑えられる。さらに、基体11の厚さ方向の全体が複合部15である構成と比較して、基体11の形成に要する液状体Lの量の削減、すなわち、マイクロニードル10の形成に要する材料の削減が可能である。
(7)基体11の第1面11Sと対向する方向から見て、基体11の全体が複合部15である構成では、第1面11Sに沿った方向である面方向の全体に基材13が配置されているため、基体11の面方向の全体で、基材13の芯としての機能が発揮される。したがって、基体11の品質上の評価値がばらつくことが的確に抑えられる。
また、こうしたマイクロニードル10は、1つの凹版30から得られた成形物を打ち抜いて複数のマイクロニードル10を形成する製法によって形成され得る。この場合、従来の製造方法では、第1凹部32の面方向の大きさが大きくなることに起因して、基体11における品質上の評価値の基準値からの乖離が顕著になりやすい。したがって、本実施形態の適用による有益性が高い。
(8)基材13が親水性を有する表面を有する構成では、基材13に含まれる隙間16の全体に液状体Lが充填されやすいため、均一性の高い基体11が実現できる。
(9)基材13が多孔質材料および繊維材料の少なくとも一方から構成されている構成では、基材13中に分散して位置する多数の隙間16を有する基材13が的確に実現できる。
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・上記実施形態の製造方法では、充填工程において、第1凹部32に基材13が配置された後に、液状体Lが供給されたが、液状体Lの供給後に、基材13が配置されてもよい。こうした方法によっても、加圧ローラー40や遠心機50等の利用によって、基材13を第1凹部32の底面に接するように液状体L内に沈め、隙間16に液状体Lを充填することは可能である。要は、充填工程においては、基材13と液状体Lとが、基材13が第1凹部32に配置されるように、凹版30に充填されればよい。
・基体11が複合部15を含んでいれば、複合部15と難溶部17や可溶部18との位置関係は上記実施形態に限られない。また、基体11は、複合部15と難溶部17と可溶部18とを含んでいてもよい。基体11が複合部15を含む構成であれば、液状体Lの乾燥に際して基材13が芯として機能し、基体11に反りや皺が生じることは抑えられるため、基体11における品質上の評価値の基準値からの乖離を抑えられる。
・基材13は、難水溶性であって、基材中に分散した、液状体を通す多数の隙間16を有する構成であれば、多孔質材料や繊維材料から構成されていなくてもよい。例えば、基材13は、隙間16として、厚さ方向に基材13を貫通する多数の貫通孔を有する樹脂シートであってもよい。ただし、基体11が有する剛性や溶解性等の特性の部位によるばらつきを抑える観点では、隙間16は、流体を通す範囲で大きすぎないことが好ましく、隙間16の径は10μm以下であることが好ましい。
・投与部が有する突起部12の形状は、針状、すなわち、基体11の厚さ方向に沿って延びる形状に限られない。突起部12の形状は、ブレード状、すなわち、突起部12が基体11の面方向に沿った方向である1つの延在方向に沿って延び、突起部12の先端が、基体11の厚さ方向とは異なる方向、例えば延在方向に沿った方向に延びる線状に形成された形状であってもよい。例えば、突起部12は、延在方向に沿って延びる三角柱形状であって、三角柱が有する3つの矩形の側面のなかの1つが基体11に接し、かつ、2つの側面を区画する辺が突起部12の先端として機能する形状を有していてもよい。
[実施例]
上述した経皮投与デバイスについて、具体的な実施例および比較例を用いて説明する。
<実施例1>
原版作製工程として、シリコンウェハーに塗布したレジストをパターニングし、ドライエッチングによってシリコン製の原版を作製した。続いて、凹版作製工程として、シリコーン樹脂を含む溶液を原版上に流して熱硬化させ、硬化物を原版から剥離することによって、原版の凹凸が反転されたシリコーン樹脂製の凹版を作製した。
親水化工程として、ニトロセルロースメンブレン(ミリポア社製:CFSP 203000)に対し、Oプラズマを用いたプラズマ処理を行い、ヒドロキシ基の導入により親水化された表面を有する基材を得た。
充填工程として、10wt%のカルボキシメチルセルロースと5wt%のトレハロースとを含む液状体を調液し、基材を凹版の第1凹部に配置した後、減圧下において凹版に液状体を滴下した。液状体は、第1凹部内にて基材を超える位置まで充填した。その後、凹版の設置された環境を大気開放した。
乾燥工程として、加熱乾燥機を用いて25℃に調整した環境下に凹版を3日間静置した。液状体の乾燥後、離型工程として、ピンセットを用いて成形物を凹版から剥離し、実施例1のマイクロニードルを投与部とする経皮投与デバイスを得た。実施例1においては、基体は第1凹部に沿った平坦な板状に成形され、凹版から基体を容易に剥離することができた。
<実施例2>
充填工程における気泡抑制処理以外は、実施例1と同様にして、実施例2のマイクロニードルを投与部とする経皮投与デバイスを得た。
充填工程では、10wt%のカルボキシメチルセルロースと5wt%のトレハロースとを含む液状体を調液し、基材を凹版の第1凹部に配置した後、凹版に液状体を滴下した。液状体は、第1凹部内にて基材を超える位置まで充填した。その後、凹版内の液状体に加圧ローラーを突っ込んで、基材の上から加圧し、凹版内に溜まっていた気泡を押し出した。実施例2においては、基体は第1凹部に沿った平坦な板状に成形され、凹版から基体を容易に剥離することができた。
<実施例3>
充填工程における気泡抑制処理以外は、実施例1と同様にして、実施例3のマイクロニードルを投与部とする経皮投与デバイスを得た。
充填工程では、10wt%のカルボキシメチルセルロースと5wt%のトレハロースとを含む液状体を調液し、基材を凹版の第1凹部に配置した後、凹版に液状体を滴下した。液状体は、第1凹部内にて基材を超える位置まで充填した。その後、遠心機を用いて凹版を回転させ、凹版内に溜まっていた気泡を取り除いた。実施例3においては、基体は第1凹部に沿った平坦な板状に成形され、凹版から基体を容易に剥離することができた。
<比較例1>
実施例1と同様の原版作製工程および凹版作製工程によって、原版の凹凸が反転されたシリコーン樹脂製の凹版を作製した。
充填工程として、10wt%のカルボキシメチルセルロースと5wt%のトレハロースとを含む液状体を調液し、基材は配置せず、減圧下において凹版に液状体を滴下した。その後、凹版の設置された環境を大気開放した。
乾燥工程として、加熱乾燥機を用いて25℃に調整した環境下に凹版を3日間静置した。液状体の乾燥後、離型工程として、ピンセットを用いて成形物を凹版から剥離し、比較例1のマイクロニードルを投与部とする経皮投与デバイスを得た。
比較例1として複数のサンプルを作製して観察したところ、凹版の内側面の疎水性が強く、凹版の内側面に対する液状体のぬれ性が低いため、第1凹部の一部の領域に液状体の固化物が付着しないサンプルや、基体に皺がよって基体の表面が平滑でないサンプルが確認された。すなわち、基体の厚みや表面粗さなどの基体における品質上の評価値とそれに求められる基準値との乖離が各実施例と比べて大きいことが認められた。凹版からの基体の剥離は容易であった。
<比較例2>
実施例1と同様の原版作製工程および凹版作製工程によって、原版の凹凸が反転されたシリコーン樹脂製の凹版を作製した。その後、凹版の内側面に対してOプラズマを用いたプラズマ処理を行い、凹版の内側面にヒドロキシ基を導入して凹版の内側面を親水化した。
充填工程として、10wt%のカルボキシメチルセルロースと5wt%のトレハロースとを含む液状体を調液し、基材は配置せず、凹版に液状体を滴下した。
乾燥工程として、加熱乾燥機を用いて25℃に調整した環境下に凹版を3日間静置した。液状体の乾燥後、離型工程として、ピンセットを用いて成形物を凹版から剥離し、比較例2のマイクロニードルを投与部とする経皮投与デバイスを得た。
比較例2においては、凹版の内側面が親水性であり、凹版の内側面に対する液状体のぬれ性が高いため、凹版と成形物との密着性が高く、凹版からの成形物の剥離が困難であった。強い力を加えて凹版から成形物を剥離したところ、凹版が破壊され、凹版の一部が基体に付着して凹版の他の部分から引き離された。
なお、プラズマ処理の時間を短くしたり、プラズマの強度を小さくしたりして、凹版の内側面の親水性の程度を調節し、凹版と成形物との密着性が高くなりすぎないようにすることを試みた。しかしながら、基体が第1凹部に沿って平坦な板状に成形され、かつ、凹版からの基体の剥離が容易であるように、密着性を最適な状態に制御することは困難であり、基体の表面が平滑なサンプルは得られなかった。
<結果>
表1は、各実施例および各比較例の評価結果のまとめを示す。剥離性評価は、上述のように、ピンセットを用いて凹版から成形物を剥離することによって行った。「良好」は、基体の変形や凹版の破壊が生じることなく、凹版からの基体の剥離ができたことを示す。「不良」は、凹版からの基体の剥離時に、凹版が破壊されて、破壊された凹版の一部が基体の表面に付着した状態となったことを示す。
表面外観評価は、凹版からの剥離後の基体を目視により観察することによって行った。「良好」は、基体に反りや皺が生じておらず、基体の表面が平滑であることを示す。「不良」は、基体に反りや皺が生じており、基体の表面が平滑でないことを示す。「評価不可」は、基体の表面に凹版の一部が付着し、表面全体が観察できないことを示す。
柔軟性評価は、第1凹部に配置する前の基材を、角部が90℃になるように手で折り曲げて、目視により観察することによって行った。「良好」は、基材に割れが生じていないことを示す。「評価不可」は、基材が用いられていないことを示す。
表1に示されるように、基材が用いられない比較例1,2では、凹版の内側面に対する液状体の親和性が高い場合も低い場合も、基体における品質上の評価値とその基準値との乖離が大きいことが認められた。これに対し、基材を用いた実施例1〜3では、基体における品質上の評価値とその基準値との乖離が各比較例と比べて抑えられることが示された。
10…マイクロニードル、11…基体、11S…第1面、11T…第2面、12…突起部、13…基材、14…充填部、15…複合部、16…隙間、17…難溶部、18…可溶部、20…原版、21…原版基体、22…原版突起部、30…凹版、31…凹部、32…第1凹部、33…第2凹部。

Claims (9)

  1. 第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを有する基体と、
    前記第1面から突き出た突起部と、を備え、
    前記基体は、
    難水溶性の基材であって、前記基材の内部には、前記基材を構成する構造体によって区画され、かつ、前記基材の内部に分散する多数の隙間が含まれ、前記隙間は、前記隙間が前記基材の外部に対し解放されている状態において、前記第2面から前記第1面へ向かって、水溶性高分子を含む水溶性の液状体を通すことを可能とする大きさを有する、前記基材と、
    前記水溶性高分子を含む材料から構成されて前記多数の隙間の少なくとも一部を埋めている充填部と、
    を有する経皮投与デバイス。
  2. 前記基体は、複合部を含み、
    前記複合部において前記基材の有する前記隙間は前記充填部によって埋められ、
    前記基体は、前記第1面と直交する方向の全体が前記複合部である領域を有する
    請求項1に記載の経皮投与デバイス。
  3. 前記基体は、複合部と難溶部とを含み、
    前記複合部において前記基材の有する前記隙間は前記充填部によって埋められ、
    前記難溶部において前記基材の有する前記隙間は解放され、
    前記難溶部は、前記複合部に対して前記突起部とは反対側に位置する
    請求項1に記載の経皮投与デバイス。
  4. 前記基体は、複合部を含み、
    前記複合部において前記基材の有する前記隙間は前記充填部によって埋められ、
    前記第1面と対向する方向から見て、前記基体の全体が前記複合部である
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の経皮投与デバイス。
  5. 前記基材は、親水性を有する表面を有する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の経皮投与デバイス。
  6. 前記基材は、多孔質材料および繊維材料の少なくとも一方から構成されている
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の経皮投与デバイス。
  7. 基体と前記基体から突き出た突起部とを備える経皮投与デバイスの製造方法であって、
    前記基体の形状に応じた第1凹部と前記突起部の形状に応じた第2凹部とを有する凹版であって、前記第2凹部は前記第1凹部よりも前記凹版の底部に近い位置に位置して前記第1凹部と連通する前記凹版に、難水溶性の基材と水溶性高分子を含む水溶性の液状体とを、前記基材が前記第1凹部に配置されるように充填する充填工程と、
    前記凹版に充填された前記液状体を乾燥して成形物を成形する乾燥工程と、
    前記成形物を前記凹版から離して前記経皮投与デバイスを得る離型工程と、
    を含み、
    前記基材の内部には、前記基材を構成する構造体によって区画され、かつ、前記基材の内部に分散する多数の隙間が含まれ、前記隙間は、前記凹版の前記第1凹部から前記第2凹部に向かって前記液状体を通すことを可能とする大きさを有し、
    前記充填工程では、前記隙間の少なくとも一部が前記液状体によって埋められる
    経皮投与デバイスの製造方法。
  8. 前記充填工程では、前記第1凹部に前記基材が配置された後に、前記凹版に前記液状体が供給される
    請求項7に記載の経皮投与デバイスの製造方法。
  9. 前記充填工程では、親水化処理によって親水化された表面を有する前記基材が用いられる
    請求項7または8に記載の経皮投与デバイスの製造方法。
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