JP2017050409A - 薄膜キャパシタ - Google Patents

薄膜キャパシタ Download PDF

Info

Publication number
JP2017050409A
JP2017050409A JP2015172921A JP2015172921A JP2017050409A JP 2017050409 A JP2017050409 A JP 2017050409A JP 2015172921 A JP2015172921 A JP 2015172921A JP 2015172921 A JP2015172921 A JP 2015172921A JP 2017050409 A JP2017050409 A JP 2017050409A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
thin film
electrode layer
film capacitor
additive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015172921A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6690154B2 (ja
Inventor
祐基 油川
Sukeki Yukawa
祐基 油川
寛史 ▲高▼▲崎▼
寛史 ▲高▼▲崎▼
Hiroshi Takasaki
仁 齊田
Hitoshi Saida
仁 齊田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2015172921A priority Critical patent/JP6690154B2/ja
Publication of JP2017050409A publication Critical patent/JP2017050409A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6690154B2 publication Critical patent/JP6690154B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ceramic Capacitors (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Abstract

【課題】電圧印加時の変位量を低減させ得る薄膜キャパシタを提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、第1電極層11と、上記第1電極層11上に設けられた誘電体層12と、上記誘電体層12上に設けられた第2電極層13とを備え、第2電極層13は、Ni、Cu及びAlからなる群より選択されるいずれか1つの金属を主成分とする導電層を少なくとも1つ含み、上記導電層は、さらに周期表の第2周期〜第4周期に属する原子(Ne、Ar及びKrを除く)から選択される少なくとも1種の添加原子を含有し、各上記添加原子の含有量は1〜1000質量ppmである、薄膜キャパシタを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は薄膜キャパシタに関する。
誘電体素子は複数の導電体の間に誘電体を設けた構造を有する。薄膜キャパシタは誘電体素子の代表的な例である。特許文献1は、金属箔を導電体に用いたコンデンサの構造を開示している。特許文献2は、薄膜コンデンサの製造方法として、金属ホイル層上に誘電体層を設け、その誘電体層上に金属層を形成することを開示している。特許文献3は、第1の導電体と、第1の導電体上の誘電体と、誘電体上の第2の導電体を備え、第1の導電体が添加物を含むことを開示している。
特開2001−203455号公報 特開2000−164460号公報 特開2007−194592号公報
薄膜キャパシタに電圧を印加すると、誘電体層に電歪効果による機械的歪が発生し、薄膜キャパシタが変位する場合がある。その結果、薄膜キャパシタに交流電圧を印加すると、薄膜キャパシタに振動が発生する場合がある。この振動が長期にわたり継続すると、薄膜キャパシタの誘電体層と電極層とが剥離して信頼性が低下してしまうおそれがある。この振動はいわゆる「音鳴き」の原因でもあり、テレビやオーディオ機器に薄膜キャパシタを用いた場合の雑音を生じ得る。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、電圧印加時の変位量を低減させ得る薄膜キャパシタを提供することを目的とする。
本発明は、第1電極層と、上記第1電極層上に設けられた誘電体層と、上記誘電体層上に設けられた第2電極層とを備え、上記第2電極層がNi、Cu及びAlからなる群より選択されるいずれか1つの金属を主成分とする導電層を少なくとも1つ含み、上記導電層は、さらに周期表の第2周期〜第4周期に属する原子(Ne、Ar及びKrを除く)から選択される少なくとも1種の添加原子を含有し、各上記添加原子の含有量は1〜1000質量ppmである、薄膜キャパシタを提供する。
上記薄膜キャパシタによれば、電圧印加時の変位量及び振動を低減することができる。
上記薄膜キャパシタにおいて、上記導電層がNiを主成分として含有し、上記添加原子がTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Al、C、Si、F、N、及びClからなる群より選択される少なくとも1種の添加原子であることができる。薄膜キャパシタが上記構成を備えることにより、電圧印加時の変位を一層抑制することができる。
上記薄膜キャパシタにおいて、上記導電層がCuを主成分として含有し、上記添加原子がCr、Mn、Fe、Co、Ni、Al、C、Si、N、P、O、S、F、及びClからなる群より選択される少なくとも1種の添加原子であることができる。薄膜キャパシタが上記構成を備えることにより、電圧印加時の変位を一層抑制することができる。
上記薄膜キャパシタにおいて、上記第2電極層は上記導電層を2つ以上含有することができる。薄膜キャパシタが上記構成を備えることにより、電圧印加時の変位を一層抑制することができる。
本発明によれば、電圧印加時の変位量を低減させた薄膜キャパシタを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る薄膜キャパシタの概略断面図である。 本発明の別の実施形態に係る薄膜キャパシタの概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は本発明の一実施形態に係る薄膜キャパシタの概略断面図である。図2は本発明の別の実施形態に係る薄膜キャパシタの概略断面図である。図1及び図2において、薄膜キャパシタ10は、下部電極層11(第1電極層)と、下部電極層11上に設けられた誘電体層12と、誘電体層12上に設けられた上部電極層13(第2電極層)とを備える。
(上部電極層)
上部電極層(第2電極層)13は少なくとも1つの導電層を含む。例えば、図1では、上部電極層(第2電極層)13は1つの導電層を有する、また、図2では、上部電極層13は、第1導電層13A、第2導電層13B、第3導電層13Cを有する。
上部電極層13の内の少なくとも1つの導電層は、Ni、Cu及びAlからなる群より選択されるいずれか1つの金属を主成分として含有し、且つ、周期表の第2周期〜第4周期に属する原子(Ne、Ar及びKrを除く)から選択される少なくとも1種の添加原子を含有し、各添加原子の含有量は1〜1000質量ppmである。以下、この層を添加導電層と呼ぶ。
本明細書において、主成分とは、当該層全体の50質量%以上を占める成分を言う。主成分となる金属は、当該層において、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上を占めることができる。
第2周期に属する原子(Neを除く)とは、Li、Be,B,C,N,O,Fであり、第3周期に属する原子(Ar除く)とは、Na、Mg,Al,Si,P,S,Clである。第4周期に属する原子(Kr除く)とは、K,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,As,Se,Brである。
添加導電層中の各添加原子の含有量(質量)は、(添加導電層の全質量を基準として)1ppm〜1000ppmである。各添加原子の含有量が上記範囲内にあることにより、薄膜キャパシタの変位量を300nm以下に低減することができ、音鳴きを軽減することができる。含有量の下限は、3ppm、5ppm、10ppmとすることができ、上限は、600ppm、300ppm、100ppm、10ppmとすることができる。また、添加導電層中の上記添加原子の含有量(質量)の合計は、(添加導電層の全質量を基準として)1ppm〜1500ppmであることができる。合計含有量の上限は、1200ppm、800ppm、500ppm、100ppmとすることができる。
添加導電層がNiを主成分とする場合には添加原子からはNiが除かれ、Cuを主成分とする場合には添加原子からはCuが除かれ、Alを主成分とする場合には添加原子からはAlが除かれる。また、上記添加原子からはNe、Ar及びKrが除かれる。これは、Ne、Ar及びKrが不活性原子であって導電層の主成分金属と化合物を形成することもなく、マイグレーションにより添加導電層の脆化に十分寄与することもないためである。
第2周期に属する添加原子、特に、B、C、N、O、及びFは、添加導電層中において、Ni、Cu、又はAlが構成する結晶格子間に挿入されていることができる。これにより、添加導電層の脆化が可能となる。
第3周期〜第4周期に属する添加原子、特に、Mg、Al、Si、P、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、及びGaは、添加導電層中において、Ni、Cu、及びAlが構成する結晶格子中の金属原子と置換されて、格子の一部を構成することができる。これにより、添加導電層の脆化が可能となる。
高い電気陰性度を有する添加原子、特に、Al、C、Si、N、P、O、S、Cl、及びFは、主成分であるNi、Cu、Al等の金属と化学反応を起こしやすい傾向を有するので、添加導電層における金属の結晶成長が抑制される傾向がある。金属は一般に高純度であるほど結晶成長しやすい傾向にあるが、添加導電層の主成分である金属の結晶成長が抑制されることにより、微細結晶構造が制御され、添加導電層における粒界領域を増やすことが可能となる。
添加導電層の主成分が第4周期の遷移元素に属するNi又はCuである場合に、添加原子が第4周期の遷移元素に属する、例えば、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、又はCuであると、主成分と添加原子のイオン化ポテンシャルが互いに近く、これらが互いに固溶、合金化する等、化合物を形成しやすい傾向にある。また、添加導電層の主成分が第3周期に属するAlである場合に、添加原子が第3周期に属する、例えば、Si、P、S、又はClであると、これらが互いに化合物を形成しやすい傾向にある。これらの場合、添加原子が主成分である金属と化合物を形成することにより、添加導電層の結晶成長が抑制され、添加導電層における粒界領域を増やすことが可能となる。
添加導電層がNiを主成分とする場合、添加原子はTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Al、C、Si、F、N、及びClからなる群より選択される少なくとも1種の添加原子であることが好ましい。添加導電層がNi及び上記添加原子を含有することにより、薄膜キャパシタの変位量がより低減する傾向がある。
添加導電層がCuを主成分とする場合、添加原子はCr、Mn、Fe、Co、Ni、Al、C、Si、N、P、O、S、F、及びClからなる群より選択される少なくとも1種の添加原子であることが好ましい。添加導電層がCu及び上記添加原子を含有することにより、薄膜キャパシタの変位量がより低減する傾向がある。
添加導電層がAlを主成分とする場合、添加原子はMg、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Al、C、Si、F、N、及びClからなる群より選択される少なくとも1種の添加原子であることが好ましい。添加導電層がAl及び上記添加原子を有することにより、薄膜キャパシタの変位量がより低減する傾向がある。
添加導電層は、主成分、及び、上記添加原子以外に他の原子を含むことができる。例えば、Pt、Pd、Ir、Ru、Rh等の貴金属原子を単独又は組み合わせて含有することができる。貴金属原子の含有量は、添加導電層の全量を基準として、50質量%未満である。
上部電極層13が1つの添加導電層のみから構成される場合には、添加導電層の厚さは、適宜選択することができ、例えば0.1μm〜120μmであることができる。添加導電層以外の導電層の厚みも、添加導電層と同程度とすることができる。
なお、上部電極層13が組成の異なる2つ以上の導電層を有する場合、添加導電層はどの位置にあってもよい。また、上部電極層13は、添加導電層を複数有してもよく、全部の導電層が添加導電層であってもよい。例えば、図2のように上部電極層13が3つの導電層13A、13B、13Cを有する場合、導電層13A〜13Cの内、少なくとも1つの層が添加導電層であればよく、上部電極層13の内の任意の2つの層が添加導電層であってもよく、3つの導電層全てが添加導電層であってもよい。もちろん、上部電極層13における導電層の数は、3でなく、2でもよく、4以上でもよい。
また、添加導電層が複数ある場合、添加導電層間で組成が互いに異なることができる。例えば、主成分となる金属の種類が互いに異なってもよく、添加原子の種類や組み合わせが互いに異なってもよく、添加原子の濃度が互いに異なってもよく、これらの組み合わせでもよい。
上部電極層13が導電層を複数含む場合の各層の厚みは、例えば、0.1μm〜20μmとすることができる。上部電極層13の全体の厚みは、例えば、0.1μm〜120μmとすることができる。添加導電層の厚みは、0.1μm〜100μmとすることができる。Niを主成分とする添加導電層は、0.1〜20μmの厚みであることができる。
上部電極層13において、添加導電層でない導電層は、Ni、Cu及びAlからなる群より選択されるいずれか1つの金属を主成分として含有することができ、Pt、Pd、Ir、Ru、Rh等の貴金属原子を単独又は組み合わせて50%以下含有する合金であってもよい。もちろん、Ni、Cu、又はAlを主成分としない導電層でもよい。
上部電極層13が、Niを主成分とする導電層を含む場合、この導電層は誘電体層12に接触していることが好ましい。Niは誘電体層12との熱膨張係数の差が小さい場合が多く、薄膜キャパシタ10の熱歪を比較的低減させることができる傾向がある。これは薄膜キャパシタ10の振動による破壊の起点が減少することを意味する。そのため、Niを主成分とする導電層が誘電体層12と接触していることにより、薄膜キャパシタ10の信頼性低下を抑制することができる。導電層が誘電体層12と接触し且つNiを主成分とする場合、当該導電層の上には、さらにCuを主成分とする導電層を有することが好ましく、当該Cuを主成分とする導電層の上にさらに互いに組成の異なるCuを主成分とする導電層を有することもできる。
Niを主成分とする導電層の上にCuを主成分とする導電層がある場合、Niを主成分とする層に添加原子が添加されていてもよく、Cuを主成分とする層(Cuを主成分とする層が複数ある場合にはそのいずれか又は両方のどちらでもよい)に添加原子が添加されていてもよく、Niを主成分とする導電層及びCuを主成分とする導電層(Cuを主成分とする層が複数ある場合にはそのいずれか又は両方のどちらでもよい)の両方に添加原子が添加されていてもよい。また、添加導電層は、誘電体層に接触しない位置にあることもできる。
(下部電極層)
下部電極層11の材料は、例えば、金属、金属酸化物、導電性有機材料等の導電性材料から選択される。下部電極層11としては、金属を含む導電性の箔、金属を含む焼結体、及び、任意の基板上に形成された導電性薄膜等が挙げられる。すなわち、下部電極層11は、導電性を有する限り、金属系材料である必要はないが、金属系材料であることが好ましい。
下部電極層11の材料としては、具体的には、Ni、Cu、Al等の金属、又は、これらのいずれかを主成分とする合金であることが好ましい。下部電極層11の材料は、低い電気抵抗及び高い機械的強度を有する点から、Ni、Cu、又は、これらのいずれかを主成分とする合金であることが好ましい。また、下部電極層11は、高温負荷信頼性及び耐湿負荷信頼性の観点から、Ni又はNiを主成分とする合金であることが好ましい。特に、Ni又はNiを主成分とする合金が誘電体層12と接触していることが好ましい。
下部電極層11は、上部電極層13と同様に、周期表の第2周期〜第4周期に属する原子(Ne、Ar及びKrを除く)から選択される少なくとも1種の添加原子を合計1〜1000質量ppm含有する材料からなる添加導電層を有することができる。この場合、下部電極層11においても、上部電極層13と同様の効果が得られる。好適な例も、上部電極層13と同様である。
下部電極層11は外部に露出した箔であってもよく、Si又はセラミック等の基板の上に支持され、スパッタリング又は蒸着等によって形成される得る層であってもよい。上部電極層13で述べたように、Niを主成分とする導電層は、誘電体層12との熱膨張率差が低くなることから好ましく、また、基板の材料を誘電体層12との熱膨張係数差が小さな材料から選択するとより好ましい。
また、下部電極層11は上部電極層13のように多層構造を有していてもよい。下部電極層11の厚みも、上部電極層13と同様にすることができる。
(誘電体層)
誘電体層12の材料は、誘電材料であればよいが、誘電率の大きいペロブスカイト型の酸化物誘電体であることが好ましく、環境保全の観点から、鉛を含まないチタン酸バリウム系の誘電体であることが好ましい。チタン酸バリウム系の誘電体は、Baサイトの一部をCa、Sr等のアルカリ土類金属原子で置換したものであってもよく、Tiサイトの一部をZr、Sn、Hf等の原子で置換したものであってもよい。さらに、これらの誘電体に希土類原子、Mn、V、Nb、Ta等の原子が添加されていてもよい。
誘電体層12の厚さは1000nm以下であることが好ましい。誘電体層12の厚さが1000nm以下であると、単位面積当たりの容量値が高くなる傾向がある。誘電体層12の厚さの下限値に特に制限はないが、絶縁抵抗値が小さくなり過ぎない観点から、50nm以上であることが好ましい。誘電体層12の厚さは、絶縁抵抗値と容量とのバランスを考慮して、250〜1000nmであることがより好ましい。なお、誘電体層12には、確率論的に回避困難な欠陥が内包されていることがある。
(作用効果)
本実施形態に係る薄膜キャパシタによれば、電圧印加時の変位量を低減させ得る薄膜キャパシタが提供される。
上記効果が得られる理由は必ずしも明確ではないが、本発明者らは以下の2つが要因の1つであると考えている。すなわち、第1の理由は、添加原子が、Ni、Cu又はAlと化合物を形成して金属の結晶成長が抑制されて、添加導電層中に結晶粒界を多く有する微細結晶構造が形成される点である。第2の理由は、添加原子の存在により添加導電層に脆性が付与される点である。
金属は本来、優れた展性及び延性を有するため、薄膜キャパシタにおける金属系電極層は誘電体層の変位によく追従し、誘電体層で生じた変位がそのまま薄膜キャパシタの変位につながりやすくなる。しかし、上記第1の理由で説明した多数の結晶粒界は、電圧印加により誘電体層に生じた振動を周囲に伝搬せずに吸収することができるものと考えられ、その結果、薄膜キャパシタ全体としての変位が抑制されることが考えられる。第2の理由における脆性の付与によっても、添加導電層が誘電体層の変位に追従することを抑制することができ、その結果、薄膜キャパシタ全体としての変位を抑制することができると考えられる。
なお、下部電極層が上記添加原子を含有する場合、例えば、FeはNiと合金を形成する場合があるが、合金形成の有無に関わらず、振動の伝搬を低減することができる。
本発明に係る薄膜キャパシタは、特に交流回路基板に搭載される誘電体素子として有用である。
(製造方法)
このような薄膜キャパシタは以下のようにして製造できる。まず、金属箔等の下部電極層11を用意する。次に、下部電極層11上に公知の方法で誘電体層12を形成する。その後、誘電体層12上に上部電極層13を形成する。
下部電極層11は公知の方法により得ることができる。添加原子を含有する場合には、後述する上部電極層13と同様に含有させることができる。
誘電体層12は、例えば、溶液の塗布、スパッタリング、蒸着、PLD(PulseLaser Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)等によって、下部電極層11の上面上に形成される。
上部電極層13を構成する各導電層は、例えば、溶液の塗布、スパッタリング、蒸着、PLD(Pulse Laser Deposition)、CVD(Chemical VaporDeposition)、及び、めっき等により形成することができる。
上部電極層13における添加導電層をスパッタリングにより形成する場合、主成分の金属と添加原子とを有するスパッタリングターゲットを使用してスパッタリングしてもよく、主成分の金属のスパッタリングターゲットと添加原子のスパッタリングターゲットとを併用して、同時にスパッタリングしてもよい。添加導電層を蒸着法により形成する場合、例えば、主成分の金属と添加原子とをそれぞれ異なる蒸着源から蒸着することができる。
また、添加導電層は、添加原子を有しない導電層を形成後、当該導電層に添加原子を導入することにより形成することもできる。添加原子を導入する方法としては、例えば、イオン注入法及び固相拡散法等が挙げられる。これらの方法により添加原子を導入する場合、導電層の中で添加原子を核とする結晶成長が起こり、導電層を効果的に微細化できる傾向がある。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例及び比較例において、ppmは特に断りのない限り質量基準であるものとする。
[薄膜キャパシタの作製]
(実施例1)
大きさ110mm×110mm及び厚さ30μmを有するNi金属箔上に誘電体層(BaTiO系誘電体)をスパッタリング法により800nmの厚さで形成した。その後、アニールし、Ni金属箔上の誘電体層を結晶化させた。スパッタリングターゲットにそれぞれTiを25ppm添加したNiと、Feを20ppm添加したCuを用い、誘電体層上に、厚さ0.5μmのNi層及び厚さ5μmの第1Cu層をこの順でスパッタリング法により形成した。次に、第1Cu層上に電解めっきにより、厚さ13μmの第2Cu層を形成した。第2Cu層にはCrが添加されており、電解めっき液には第2Cu層中のCr含有量が10ppmになるようにCr量を調整したものを用いた。以上のようにして、誘電体層上にNi層、第1Cu層及び第2Cu層からなる上部電極層を形成した。上部電極層形成後、上部電極層のパターニングを行い、その後レーザー加工機で裁断し20×20mmの大きさを有する実施例1の100個の薄膜キャパシタを得た。上部電極層中の主成分金属、添加原子及び添加原子の含有量をまとめて表1に示す。
(実施例2〜19及び比較例1〜7)
上部電極層の製造において、Ni層の添加原子の種類及び含有量、第1Cu層の添加原子の種類及び含有量、及び第2Cu層の添加原子の種類及び含流量を、表1〜3に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜19及び比較例1〜7の薄膜キャパシタを得た。
(実施例20)
スパッタリングターゲットにMgを100ppm添加したAlを用い、誘電体層上に厚さ18.5μmのAl層をスパッタリング法により形成した。上記Al層を上部電極層とした。上部電極層形成後、上部電極層のパターニングを行い、実施例20の薄膜キャパシタを得た。上部電極層中の主成分金属、添加原子及び添加原子の含有量をまとめて表2に示す。
(比較例8〜10)
上部電極層の製造において、Al層の添加原子の種類及び含有量を表3に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例20と同様にして、比較例8〜10の薄膜キャパシタを得た。
[評価方法]
(容量値)
実施例及び比較例で得られた薄膜キャパシタ100個の容量値(F)を、LCRメーター(商品名:4284A、アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して、1kHz、1Vrms、室温(25℃)の条件で測定した。測定した容量値の平均値を表1〜3に示す。
(絶縁抵抗値歩留り)
実施例及び比較例で得られた薄膜キャパシタ100個の絶縁抵抗値(Ω)を、高抵抗計(商品名:4339B、アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して、DC4V、室温(25℃)の条件で測定した。100個のうち、測定した絶縁抵抗値が5×10Ωより高かった個数の割合を計算し、上記割合を絶縁抵抗歩留りとして評価した。絶縁抵抗歩留りの評価結果を表1〜3に示す。
(変位量)
実施例及び比較例で得られた薄膜キャパシタ100個の深さ方向の変位量(nm)を測定した。変位量の測定には、レーザー干渉変位計(商品名:LV−2100A、株式会社小野測器製)を使用した。また、室温(25℃)、AC1kHz、VO−P5Vの条件で、薄膜キャパシタのうちの主面の一辺の中点から、薄膜キャパシタの主面の中央部側(内側)へ0.1mmの距離にある点における変位量(振動における平均振幅)を測定した。測定した変位量の平均値を表1〜3に示す。
Figure 2017050409
Figure 2017050409
Figure 2017050409
実施例1〜19の薄膜キャパシタは、比較例1〜7と比べて、容量値が比較例1と同程度であるが、変位量が十分低く、且つ、絶縁抵抗歩留りが低いこと、及び、音鳴きが低減されていることが確認できた。実施例20と、比較例8〜10との比較でも同様の傾向が確認された。比較例1では、上部電極層が上述の添加原子を含有しないため、上部電極層の微細構造が制御されず、大きな金属結晶を有して変位量が大きくなったと考えられる。また、比較例2〜5及び比較例9では、添加原子の含有量が大き過ぎる、又は、上述とは別の添加原子を含むため、当該添加原子が誘電体層に移動して悪影響を及ぼしたことが考えられる。比較例6、7及び10では、添加原子の濃度が低すぎたために、十分な効果が発揮されなかったことが考えられる。
以上、本発明者らは、実施例と比較例とを通じ、本発明の実施により得られる薄膜キャパシタが、良好な振動低減効果を有していることを確認した。
10…薄膜キャパシタ、11…下部電極層(第1電極層)、12…誘電体層、13…上部電極層(第2電極層)。

Claims (4)

  1. 第1電極層と、前記第1電極層上に設けられた誘電体層と、前記誘電体層上に設けられた第2電極層とを備え、
    前記第2電極層は、Ni、Cu及びAlからなる群より選択されるいずれか1つの金属を主成分とする導電層を少なくとも1つ含み、
    前記導電層は、さらに周期表の第2周期〜第4周期に属する原子(Ne、Ar及びKrを除く)から選択される少なくとも1種の添加原子を含有し、
    各前記添加原子の含有量は1〜1000質量ppmである、薄膜キャパシタ。
  2. 前記導電層がNiを主成分として含有し、前記添加原子がTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Al、C、Si、F、N、及びClからなる群より選択される少なくとも1種の添加原子である、請求項1に記載の薄膜キャパシタ。
  3. 前記導電層がCuを主成分として含有し、前記添加原子がCr、Mn、Fe、Co、Ni、Al、C、Si、N、P、O、S、F、及びClからなる群より選択される少なくとも1種の添加原子である、請求項1に記載の薄膜キャパシタ。
  4. 前記第2電極層は、前記導電層を2つ以上含む、請求項1又は2に記載の薄膜キャパシタ。
JP2015172921A 2015-09-02 2015-09-02 薄膜キャパシタ Active JP6690154B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015172921A JP6690154B2 (ja) 2015-09-02 2015-09-02 薄膜キャパシタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015172921A JP6690154B2 (ja) 2015-09-02 2015-09-02 薄膜キャパシタ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017050409A true JP2017050409A (ja) 2017-03-09
JP6690154B2 JP6690154B2 (ja) 2020-04-28

Family

ID=58279570

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015172921A Active JP6690154B2 (ja) 2015-09-02 2015-09-02 薄膜キャパシタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6690154B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5788716A (en) * 1980-11-22 1982-06-02 Taiyo Yuden Kk Electrode for semiconductor porcelain condenser
JP2001342560A (ja) * 2000-05-31 2001-12-14 Toshiba Corp スパッタリングターゲット
JP2003213407A (ja) * 2002-01-24 2003-07-30 Nikko Materials Co Ltd 高純度ニッケル又はニッケル合金スパッタリングターゲット及びその製造方法
JP2007194592A (ja) * 2005-12-20 2007-08-02 Tdk Corp 誘電体素子とその製造方法
JP2012525716A (ja) * 2009-04-28 2012-10-22 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 薄膜キャパシタおよびその製造方法
JP2013062531A (ja) * 2005-12-12 2013-04-04 Tdk Corp キャパシタおよびその製造方法
JP2014007239A (ja) * 2012-06-22 2014-01-16 Tdk Corp 薄膜コンデンサ
JP2015045084A (ja) * 2013-07-31 2015-03-12 三菱マテリアル株式会社 銅合金スパッタリングターゲット及び銅合金スパッタリングターゲットの製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5788716A (en) * 1980-11-22 1982-06-02 Taiyo Yuden Kk Electrode for semiconductor porcelain condenser
JP2001342560A (ja) * 2000-05-31 2001-12-14 Toshiba Corp スパッタリングターゲット
JP2003213407A (ja) * 2002-01-24 2003-07-30 Nikko Materials Co Ltd 高純度ニッケル又はニッケル合金スパッタリングターゲット及びその製造方法
JP2013062531A (ja) * 2005-12-12 2013-04-04 Tdk Corp キャパシタおよびその製造方法
JP2007194592A (ja) * 2005-12-20 2007-08-02 Tdk Corp 誘電体素子とその製造方法
JP2012525716A (ja) * 2009-04-28 2012-10-22 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 薄膜キャパシタおよびその製造方法
JP2014007239A (ja) * 2012-06-22 2014-01-16 Tdk Corp 薄膜コンデンサ
JP2015045084A (ja) * 2013-07-31 2015-03-12 三菱マテリアル株式会社 銅合金スパッタリングターゲット及び銅合金スパッタリングターゲットの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6690154B2 (ja) 2020-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108063051B (zh) 介电组合物和包含介电组合物的多层陶瓷电容器
JP6015159B2 (ja) 薄膜コンデンサ
TWI552178B (zh) 電容器及其製造方法
US8709612B2 (en) Electronic component
US9520237B2 (en) Monolithic ceramic electronic component
US9382163B2 (en) Amorphous dielectric film and electronic component
JP2015195342A (ja) 誘電体組成物および電子部品
US8344438B2 (en) Electrode of an integrated circuit
JP2008258555A (ja) 薄膜複合材料、薄膜複合材料の製造法及びこの薄膜複合材料を用いた電子部品用材料、電子部品用材料の製造法、電子部品、電子部品の製造法
JP6690154B2 (ja) 薄膜キャパシタ
JPH03274607A (ja) 誘電体組成物
TW202035333A (zh) 介電質膜及電子部件
JP4604939B2 (ja) 誘電体薄膜、薄膜誘電体素子およびその製造方法
JP6451481B2 (ja) 誘電体膜および誘電体素子
WO2018159492A1 (ja) 誘電体組成物および電子部品
JP2021153089A (ja) 積層セラミック電子部品
JP6375783B2 (ja) 誘電体組成物、誘電体膜および電子部品
US11078123B2 (en) Metal oxynitride thin film, process for producing metal oxynitride thin film, and capacitor element
JP7192383B2 (ja) 金属酸窒化物薄膜および金属酸窒化物薄膜の製造方法、並びに、容量素子
JP5445704B2 (ja) 薄膜コンデンサの製造方法
JP7363535B2 (ja) 誘電体組成物および電子部品
JP6907876B2 (ja) 成膜方法
JP2020033220A (ja) 誘電体組成物および電子部品
JP2007250833A (ja) 直流金属化フィルムコンデンサ
JP2020125508A (ja) スパッタリングターゲットおよび電極膜

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180525

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190402

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190531

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20191001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191227

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20200117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200310

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200323

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6690154

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150