JP2020033220A - 誘電体組成物および電子部品 - Google Patents

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【課題】高い直流電界強度における比誘電率が高い誘電体組成物、および、当該誘電体組成物を用いた電子部品を提供すること。【解決手段】化学式a(BadSr1−d)TiO3−bBi(M0.5Ti0.5)O3−cBi0.5(RbwCsxNayKz)0.5TiO3で表されるペロブスカイト型酸化物を含み、Mは、Zn、Mg、Ca、Mn、Co、Ni、CuおよびSnからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、a、b、c、d、w、xおよびyが、a+b+c=1.00、0.05≦a≦0.90、0.05≦b≦0.60、0.05≦c≦0.90、0.50≦d≦0.90、0.00≦w≦1.00、0.00≦x≦1.00、0.00≦y≦0.95、0.05≦w+x、w+x+y+z=1.00、である関係を満足する誘電体組成物である。【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体組成物および電子部品に関する。
電子機器内に許容される電子部品の実装スペースは、電子機器の小型化と共に縮小の傾向にある。コンデンサは、多くの電子機器に搭載される電子部品であるところ、やはり小型化や薄型化が必須であるとともに、静電容量の維持・向上も求められている。
静電容量の向上の方法の一つとして、誘電体層の厚みを薄くする方法がある。しかし、誘電体層の厚みを薄くすると、電子機器の使用時にコンデンサに印加される直流電圧が変わらなくても、単位厚みあたりに印加される直流電圧を示す直流電界強度は大きくなる。誘電体層を構成する誘電体材料としてBaTiOなどのドメイン構造を有する強誘電体を用いる場合、直流電圧(DCバイアス)を印加すると、比誘電率が大きく低下してしまう、すなわち、実効的な静電容量が大きく低下するという問題があった。
この問題に対して、特許文献1は、K、Sr、MgおよびNbを含むタングステンブロンズ型複合酸化物からなる誘電体薄膜を開示している。また、この誘電体薄膜は、DCバイアス印加に対する比誘電率の減少が少ないことが記載されている。
特開2000−49045号公報
特許文献1では、誘電体層の単位厚みあたりに印加される直流電圧を示す直流電界強度が3〜5V/μmである場合の比誘電率が評価されているが、さらに高い直流電界強度における比誘電率は評価されていない。直流電界強度がさらに大きくなると、比誘電率はさらに低下することが知られており、特に、直流電界強度が10V/μmまでは比誘電率の低下が大きいことが知られている。
したがって、特許文献1に記載の誘電体薄膜では、誘電体層をより薄くする場合、あるいは、より高い直流電圧には対応できないという問題があった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、高い直流電界強度における比誘電率が高い誘電体組成物、および、当該誘電体組成物を用いた電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の態様は、
[1]化学式a(BaSr1−d)TiO−bBi(M0.5Ti0.5)O−cBi0.5(RbCsNa0.5TiOで表されるペロブスカイト型酸化物を含み、
Mは、Zn、Mg、Ca、Mn、Co、Ni、CuおよびSnからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
a、b、c、d、w、xおよびyが、
a+b+c=1.00、
0.05≦a≦0.90、
0.05≦b≦0.60、
0.05≦c≦0.90、
0.50≦d≦0.90、
0.00≦w≦1.00、
0.00≦x≦1.00、
0.00≦y≦0.95、
0.05≦w+x、
w+x+y+z=1.00、
である関係を満足する誘電体組成物である。
[2][1]に記載の誘電体組成物を用いた電子部品である。
本発明によれば、高い直流電界強度(高いDCバイアス印加時)における比誘電率が高い誘電体組成物、および、当該誘電体組成物を用いた電子部品を提供することができる。
図1は、本実施形態に係る電子部品としての薄膜コンデンサの模式的な断面図である。 図2は、本発明の別の実施形態に係る単層セラミックコンデンサの斜視図である。 図3は、本発明の別の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
以下、本発明を、具体的な実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.コンデンサ
1.1.誘電体層
1.2.薄膜コンデンサの全体構成
1.3.誘電体膜
1.3.1.誘電体組成物
1.4.基板
1.5.下部電極
1.6.上部電極
2.薄膜コンデンサの製造方法
3.本実施形態における効果
4.変形例
(1.コンデンサ)
本実施形態に係る電子部品の一例として、コンデンサについて説明する。コンデンサは、誘電体組成物から構成される誘電体層と、当該誘電体層を挟み込む一対の電極と、から構成される。
(1.1.誘電体層)
誘電体層は、後述する本実施形態に係る誘電体組成物から構成されている。その結果、本実施形態に係るコンデンサは、高いDCバイアス印加時においても高い比誘電率を示す。
誘電体層の1層当たりの厚みは特に限定されず、所望の特性や用途等に応じて任意に設定することができる。通常は、たとえば0.01μm(10nm)〜100μmの厚みとすることができる。
誘電体層は、誘電体組成物の原料粉末を成形した成形体を焼成して得られる焼成体から構成されていてもよいし、公知の成膜法により形成された薄膜状の誘電体堆積膜から構成されていてもよい。本実施形態では、誘電体層が薄膜状の誘電体膜から構成される薄膜コンデンサについて説明する。
(1.2.薄膜コンデンサの全体構成)
図1は、薄膜コンデンサ10の模式的な断面図を示す。薄膜コンデンサ10は、基板1と、下部電極3と、誘電体膜5と、上部電極4とがこの順序で積層された構成を有している。
下部電極3と誘電体膜5と上部電極4とはコンデンサ部を形成しており、下部電極3および上部電極4が外部回路に接続されて交流電圧が印加されると、誘電体膜5が所定の静電容量を示し、コンデンサとしての機能を発揮することができる。各構成要素についての詳細な説明は後述する。
また、本実施形態では、基板1と下部電極3との間に、基板1と下部電極3との密着性を向上させるために下地層2が形成されている。下地層2を構成する材料は、基板1と下部電極3との密着性が十分に確保できる材料であれば特に制限されない。たとえば、下部電極3がCuで構成される場合には、下地層2はCrで構成され、下部電極3がPtで構成される場合には、下地層2はTiで構成することができる。
また、図1に示す薄膜コンデンサ10において、誘電体膜5を外部雰囲気から遮断するための保護膜が形成されていてもよい。
なお、薄膜コンデンサの形状に特に制限はないが、通常、直方体形状とされる。またその寸法にも特に制限はなく、厚みや長さは用途に応じて適当な寸法とすればよい。
(1.3.誘電体膜)
誘電体膜5は、後述する本実施形態に係る誘電体組成物から構成されている。なお、誘電体膜5が誘電体堆積膜である場合、誘電体膜5の厚みは、好ましくは10nm〜2000nm、より好ましくは50nm〜1000nmである。また、誘電体膜5の厚みは、誘電体膜5を含む薄膜コンデンサを、FIB(集束イオンビーム)加工装置で掘削し、得られた断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察して測定することができる。
(1.3.1.誘電体組成物)
本実施形態に係る誘電体組成物は、ペロブスカイト型酸化物を主成分として含有している。本実施形態では、主成分とは、誘電体組成物100モル%に対して、70モル%以上100モル%未満である成分である。
当該ペロブスカイト型酸化物は、化学式a(BaSr1−d)TiO−bBi(M0.5Ti0.5)O−cBi0.5(RbCsNa0.5TiOで表される。(BaSr1−d)TiOで表される酸化物およびBi(M0.5Ti0.5)Oで表される酸化物の固溶体は、自発分極は有するものの、ドメイン構造を有さないリラクサーであり、Bi0.5(RbCsNa0.5TiOで表される酸化物は、自発分極の向きが同じである比較的大きな領域(ドメイン構造)を有する強誘電体である。
本実施形態に係るペロブスカイト型酸化物は、ドメイン構造を有する強誘電体とリラクサーとが部分的あるいは全体的に固溶した酸化物であると考えられる。このような酸化物では、ドメイン構造を有する強誘電体とリラクサーのどちらとも異なり、これらの中間的な構造が形成されていると考えられる。そして、当該酸化物の誘電特性は、このような構造を起源としていると考えられる。
上記の中間的な構造の詳細については不明であるが、たとえば、数nm程度の非常に小さいドメインサイズを有するナノドメインと、ナノドメイン間に存在し、自発分極を有するドメイン壁と、からなるナノドメイン構造による説明がなされている。
また、このような中間的な構造は、上記の化学式で表される酸化物の特定の組成範囲において形成される。上記の化学式において、「a」、「b」および「c」は、ペロブスカイト型酸化物における3つの酸化物の構成比を示しており、a+b+c=1.00である関係を満足する。
本実施形態では、「a」は、0.05≦a≦0.90である関係を満足する。「a」は0.10以上であることが好ましい。また、「a」は0.75以下であることが好ましい。
また、本実施形態では、「b」は、0.05≦a≦0.60である関係を満足する。「b」は0.10以上であることが好ましい。また、「b」は0.50以下であることが好ましい。
また、本実施形態では、「c」は、0.05≦a≦0.90である関係を満足する。「c」は0.10以上であることが好ましい。また、「c」は0.80以下であることが好ましい。
上記の化学式において、「d」は、(BaSr1−d)TiOのAサイトにおいてBaが占める構成比を示している。本実施形態では、「d」は、0.50≦d≦0.90である関係を満足する。
本実施形態に係るペロブスカイト型酸化物が上記の組成範囲内である場合に、ペロブスカイト型酸化物において、上記の中間的な構造が好適に形成されると考えられる。このような中間的な構造により、DCバイアス印加時に高い比誘電率が得られる理由としては、上記のナノドメイン構造による説明に従えば、たとえば、以下のような説明が可能である。
ナノドメイン構造では、ドメインがナノサイズであるので、ドメイン壁は高密度に存在している。その結果、自発分極に起因する比誘電率が高くなる。また、ナノドメイン構造を有するペロブスカイト型酸化物にDCバイアス(直流電圧)が印加されても、ナノドメインの自発分極は向きを変えないが、ナノドメイン間に存在するドメイン壁内の自発分極はDCバイアスに対する応答性が非常に速く、かつDCバイアスに対して線形に応答する。そのため、DCバイアスが印加されても、比誘電率の低下は小さい。したがって、DCバイアス印加時に高い比誘電率が得られる。
さらに、本実施形態では、Bi0.5(RbCsNa0.5TiOのAサイトにおいて、Bi以外のAサイト元素がRb、Cs、NaおよびKであり、少なくとも、Rbおよび/またはCsを含む。
RbおよびCsは、NaおよびKよりもイオン半径が大きい。したがって、Rbおよび/またはCsがAサイトを占める場合、ペロブスカイト型構造の格子定数が大きくなり、格子内の隙間が大きくなる傾向にある。このとき、Aサイトに位置するBiイオンのオフセンター位置のシフト量が大きくなる。その結果、自発分極が大きくなり、それに伴い比誘電率も大きくなる。すなわち、上記のBi0.5(RbCsNa0.5TiOにおいてBi以外のAサイト元素がイオン半径の小さな元素のみから構成されている場合に比べて、Rbおよび/またはCsを有するBi0.5(RbCsNa0.5TiOは、より高い比誘電率を示す。
したがって、Bi0.5(RbCsNa0.5TiOのAサイトがRbおよび/またはCsを含むことにより、Rbおよび/またはCsを含まない場合に比べて、上記のペロブスカイト型酸化物が示す比誘電率が高くなる。その結果、DCバイアス印加時においても、高い比誘電率が得られる。
上記の化学式において、Bi0.5(RbCsNa0.5TiOのAサイトは、Biと、Rb、Cs、NaおよびKの合計と、が1:1で占められている。本実施形態では、「w」は、Rb、Cs、NaおよびKの合計に対するRbの構成比を示しており、「w」は、0.00≦a≦1.00である関係を満足する。
また、本実施形態では、「x」は、Rb、Cs、NaおよびKの合計に対するCsの構成比を示しており、「x」は、0.00≦a≦1.00である関係を満足する。
なお、「w」および「x」は、0.05≦w+x≦1.00である関係を満足する。したがって、RbおよびCsのうち、一方のみが含まれていてもよいし、両方が含まれていてもよいが、RbおよびCsの合計が上記の範囲内である必要がある。なお、w+xは0.25以上であることが好ましい。
本実施形態では、「y」は、Rb、Cs、NaおよびKの合計に対するNaの構成比を示しており、「y」は、0.00≦a≦0.95である関係を満足する。
また、本実施形態では、「z」は、Rb、Cs、NaおよびKの合計に対するKの構成比を示しており、「z」は、0.00≦a≦0.95である関係を満足する。
さらに、リラクサーであるBi(M0.5Ti0.5)Oにおいて、「M」は、Bi(M0.5Ti0.5)OのBサイトを占める元素である。本実施形態では、「M」は、Zn、Mg、Ca、Mn、Co、Ni、CuおよびSnからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、「M」は、MgおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の元素であることが好ましく、「M」はMgであることが特に好ましい。
また、本実施形態に係る誘電体組成物は、本発明の効果を奏する範囲内において、微量な不純物、副成分等を含んでいてもよい。このような成分としては、たとえば、Cr、Mo等が例示される。
(1.4.基板)
図1に示す基板1は、その上に形成される下地層2、下部電極3、誘電体膜5および上部電極4を支持できる程度の機械的強度を有する材料で構成されていれば特に限定されない。たとえば、Si単結晶、SiGe単結晶、GaAs単結晶、InP単結晶、SrTiO単結晶、MgO単結晶、LaAlO単結晶、ZrO単結晶、MgAl単結晶、NdGaO単結晶等から構成される単結晶基板、Al多結晶、ZnO多結晶、SiO多結晶等から構成されるセラミック多結晶基板、Ni、Cu、Ti、W、Mo、Al、Pt等の金属、それらの合金等から構成される金属基板等が例示される。本実施形態では、低コスト、加工性等の観点から、Si単結晶を基板として用いる。
基板1の厚みは、たとえば、10μm〜5000μmに設定される。厚みが小さすぎると、機械的強度が確保できない場合が生じることがあり、厚みが大きすぎると、電子部品の小型化に寄与できないといった問題が生じる場合がある。
上記の基板1は、基板の材質によってその抵抗率が異なる。抵抗率が低い材料で基板を構成する場合、薄膜コンデンサの作動時に基板側への電流のリークが生じ、薄膜コンデンサの電気特性に影響を及ぼすことがある。そのため、基板1の抵抗率が低い場合には、その表面に絶縁処理を施し、コンデンサ作動時時の電流が基板1へ流れないようにすることが好ましい。
たとえば、Si単結晶を基板1として使用する場合においては、基板1の表面に絶縁層が形成されていることが好ましい。基板1とコンデンサ部との絶縁が十分に確保されていれば、絶縁層を構成する材料およびその厚みは特に限定されない。本実施形態では、絶縁層を構成する材料として、SiO、Al、Si等が例示される。また、絶縁層の厚みは、0.01μm以上であることが好ましい。
(1.5.下部電極)
図1に示すように、基板1の上には、下地層2を介して、下部電極3が薄膜状に形成されている。下部電極3は、後述する上部電極4とともに誘電体膜5を挟み、コンデンサとして機能させるための電極である。下部電極3を構成する材料は、導電性を有する材料であれば特に制限されない。たとえば、Pt、Ru、Rh、Pd、Ir、Au、Ag、Cu等の金属、それらの合金、又は、導電性酸化物等が例示される。
下部電極3の厚みは、電極として機能する程度の厚みであれば特に制限されない。本実施形態では、厚みは0.01μm以上であることが好ましい。
(1.6.上部電極)
図1に示すように、誘電体膜5の表面には、上部電極4が薄膜状に形成されている。上部電極4は、上述した下部電極3とともに、誘電体膜5を挟み、コンデンサとして機能させるための電極である。したがって、上部電極4は、下部電極3とは異なる極性を有している。
上部電極4を構成する材料は、下部電極3と同様に、導電性を有する材料であれば特に制限されない。たとえば、Pt、Ru、Rh、Pd、Ir、Au、Ag、Cu等の金属、それらの合金、又は、導電性酸化物等が例示される。
(2.薄膜コンデンサの製造方法)
次に、図1に示す薄膜コンデンサ10の製造方法の一例について以下に説明する。
まず、基板1を準備する。基板1として、たとえば、Si単結晶基板を用いる場合、当該基板の一方の主面に絶縁層を形成する。絶縁層を形成する方法としては、熱酸化法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の公知の成膜法を用いればよい。
続いて、形成された絶縁層上に、公知の成膜法を用いて下地層を構成する材料の薄膜を形成して下地層2を形成する。
下地層2を形成した後、当該下地層2上に、公知の成膜法を用いて下部電極を構成する材料の薄膜を形成して下部電極3を形成する。
下部電極3の形成後に、下地層2と下部電極3との密着性向上、および、下部電極3の安定性向上を図る目的で、熱処理を行ってもよい。熱処理条件としては、たとえば、昇温速度は好ましくは10℃/分〜2000℃/分、より好ましくは100℃/分〜1000℃/分である。熱処理時の保持温度は、好ましくは400℃〜800℃、その保持時間は、好ましくは0.1時間〜4.0時間である。熱処理条件が上記の範囲外である場合には、下地層2と下部電極3との密着不良、下部電極3の表面に凹凸が発生しやすくなる。その結果、誘電体膜5の誘電特性の低下が生じやすくなる。
続いて、下部電極3上に誘電体膜5を形成する。本実施形態では、公知の成膜法により、誘電体膜5を構成する材料を下部電極3上に薄膜状に堆積させた堆積膜としての誘電体膜5を形成する。
公知の成膜法としては、たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法(Pulsed Laser Deposition:PLD)、有機金属化学気相成長法(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)、有機金属分解法(Metal Organic Decomposition:MOD)、ゾル・ゲル法、CSD(化学溶液堆積法)等が例示される。なお、成膜時に使用する原料(蒸着材料、各種ターゲット材料、有機金属材料等)には微量の不純物、副成分等が含まれている場合があるが、所望の誘電特性が得られれば、特に問題はない。
たとえば、スパッタリング法を用いる場合、所望の組成のターゲットを用いて、下部電極3上に誘電体膜5を形成する。スパッタリング条件は、高周波電力が好ましくは100W〜300Wであり、雰囲気のアルゴン(Ar)/酸素(O)比が、好ましくは1/1〜5/1であり、基板温度が、好ましくは室温〜200℃である。
本実施形態では、誘電体膜を形成した後、当該誘電体膜に対し、急速加熱アニール処理(Rapid Thermal Anneal:RTA)を施す。RTAを施す条件として、雰囲気は大気雰囲気であることが好ましく、昇温速度を100℃/分以上とすることが好ましく、アニール時間は0.5〜120分とすることが好ましく、アニール温度を700℃以上1000℃以下とすることが好ましい。
次に、形成した誘電体膜5上に、公知の成膜法を用いて上部電極を構成する材料の薄膜を形成して上部電極4を形成する。
以上の工程を経て、図1に示すように、基板1上に、コンデンサ部(下部電極3、誘電体膜5および上部電極4)が形成された薄膜コンデンサ10が得られる。なお、誘電体膜5を保護する保護膜は、少なくとも誘電体膜5が外部に露出している部分を覆うように公知の成膜法により形成すればよい。
(3.本実施形態における効果)
本実施形態では、ドメイン構造を有する強誘電体とリラクサーとを所定の組成範囲で含むことにより、これらの中間的な構造を有する酸化物を誘電体組成物の主成分として採用している。このような中間的な構造を有することにより、この酸化物の誘電特性は、チタン酸バリウムのようなドメイン構造に起因する誘電特性とは異なる誘電特性を示すと考えられる。
したがって、ドメイン構造を有する強誘電体では比誘電率が顕著に低下する高いDCバイアス印加時においても、本実施形態に係る誘電体組成物は、比誘電率の低下が抑制され、高い比誘電率を示すことができる。
しかも、当該酸化物において、強誘電体のAサイトをBiと等分する元素として、イオン半径が大きい元素を上記の範囲内で含有させることにより、結晶格子の隙間が大きくなると考えられる。その結果、Biのオフセンター位置におけるシフト量が大きくなるので、イオン半径が大きい元素を含まない場合に比べて、より大きな比誘電率を得ることができる。したがって、Biのシフト量に応じて、DCバイアス印加時の比誘電率もさらに大きくなる。
(4.変形例)
上述した実施形態では、誘電体膜は通常、本発明の誘電体組成物のみで構成される場合を説明したが、別の誘電体組成物の膜と組み合わせた積層構造であっても構わない。例えば、既存のSi、SiO、Al、ZrO、Ta等のアモルファス誘電体膜や結晶膜との積層構造とすることで、誘電体膜5のインピーダンスや比誘電率の温度変化を調整することが可能となる。
上述した実施形態では、基板と下部電極との密着性を向上させるために、下地層を形成しているが、基板と下部電極との密着性が十分確保できる場合には、下地層は省略することができる。また、基板を構成する材料として、電極として使用可能なCu、Pt等の金属、それらの合金、酸化物導電性材料等を用いる場合には、下地層および下部電極は省略することができる。
上述した実施形態では、誘電体層が薄膜状の誘電体堆積膜から構成される薄膜コンデンサについて説明したが、誘電体層が、原料粉末を成形して得られる成形体を焼成して得られるバルク状の焼成体から構成される電子部品であってもよい。たとえば、当該電子部品は、図2に示す単層型のセラミックコンデンサであってもよい。単層型セラミックコンデンサ100は、円板状の誘電体13と一対の電極15A、15Bとを有する。誘電体13は、バルク状の焼成体から構成される。また、当該電子部品は、図3に示す積層セラミックコンデンサであってもよい。このような積層セラミックコンデンサ200は、バルク状の焼成体から構成される複数の誘電体層21と内部電極層22A、22Bとが交互に積層された構成の積層体24を有する。この積層体24の両端部には、内部電極層22A、22Bと各々導通する一対の外部電極23A、23Bが形成してある。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
まず、誘電体膜の形成に必要なスパッタリング用ターゲットを固相法により以下のようにして作製した。
ターゲット作製用の原料粉末として、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化ビスマス、酸化ルビジウム、酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウムの粉末を準備した。これらの粉末を、表1に示す組成となるように秤量した。
ボールミル中で水を溶媒として、秤量したターゲット作製用の原料粉末の湿式混合を20時間行った。得られた混合粉末スラリーを100℃で乾燥させ、混合粉末を得た。得られた混合粉末を、プレス機によるプレス成形して成形体を得た。成形条件は、圧力を100Pa、温度を25℃、プレス時間を3分とした。
その後、得られた成形体を焼成して焼成体を得た。焼成条件は、保持温度を1100℃、温度保持時間を5時間、雰囲気を空気中とした。
得られた焼成体を、平面研削盤と円筒研磨機により直径80mm、厚さ5mmに加工して、誘電体層を形成するためのスパッタリング用ターゲットを得た。
続いて、厚みが500μmのSiウエハを、酸化性ガスの乾燥した雰囲気下で熱処理することにより、ウエハ表面に厚みが500nmのSiO膜を形成して、基板とした。この基板の表面に、まず、下地電極としてのCr薄膜を20nmの厚さとなるようにスパッタリング法で形成した。さらに、上記で形成したCr薄膜上に、Pt薄膜を100nmの厚さとなるようにスパッタリング法で形成し、下部電極とした。
次に、下部電極上に、上記で作製したスパッタリング用ターゲットを用いて、スパッタリング法により、誘電体膜を厚さ300nmで形成した。スパッタリング条件は、雰囲気:Ar/O=3/1、圧力:1.0Pa、高周波電力:200W、基板温度:100℃とした。誘電体膜を形成した後、当該誘電体膜に対し、大気雰囲気下900℃1分の条件で、急速加熱アニール処理(Rapid Thermal Anneal:RTA)を施した。
次いで、得られた誘電体膜上に、スパッタリング法にてPt薄膜を、マスクを使って、直径200μm、厚さ100nmとなるように形成し、上部電極とした。以上の工程を経て、図1に示す構成を有するコンデンサ試料を得た。
誘電体膜の結晶構造を、XRD測定装置(Rigaku社、Smartlab)を用いて、X線回折法により測定、解析した。その結果、誘電体膜は、ペロブスカイト型の結晶構造を有することが確認された。
また、誘電体膜の組成は、XRF(X-ray Fluorescence Analysis)を使用して分析を行い 、表1に記載の組成と一致していることを確認した。
得られたすべてのコンデンサ試料について、下記に示す方法によりDCバイアス印加時の比誘電率を測定した。
DCバイアス印加時の比誘電率は、デジタルLCRメータ(Hewlett−Packard社,4284A)で、コンデンサ試料に10V/μmのDCバイアスを印加しながら、室温25℃、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1.0Vrmsの条件で測定された静電容量、有効電極面積、電極間距離および真空の誘電率から算出した(単位なし)。本実施例では、DCバイアス印加時の比誘電率は高い方が好ましく、DCバイアス印加時の比誘電率が600以上である試料を良好であると判断した。結果を表1に示す。
なお、参考のため、DCバイアスを印加せずに比誘電率を測定した。DCバイアスを印加しない以外は同じ測定条件であった。結果を表1に示す。
Figure 2020033220
表1より、本発明の範囲内にあるコンデンサ試料は、DCバイアス印加時の比誘電率が高いことが確認できた。
(実験例2)
焼成後の誘電体組成物が表2に示す組成を有するように、準備した出発原料を秤量し、スパッタリング用ターゲットを作製した以外は、実験例1と同じ方法により、コンデンサ試料を作製した。また、作製したコンデンサ試料に対して、実験例1と同じ方法により、DCバイアス印加時の比誘電率を評価した。結果を表2に示す。なお、「M」の原料としては、炭酸マグネシウム以外は、酸化物を用いた。
Figure 2020033220
表2より、構成比を変化させた場合および「M」がMg以外の元素であっても、実験例1と同等の効果が得られることが確認できた。
本発明によれば、DCバイアス印加時の比誘電率が高い誘電体組成物が得られる。このような誘電体組成物は、電子機器に使用されるコンデンサなどの電子部品に好適である。
10… 薄膜コンデンサ
1… 基板
2… 下地層
3… 下部電極
4… 上部電極
5… 誘電体膜

Claims (2)

  1. 化学式a(BaSr1−d)TiO−bBi(M0.5Ti0.5)O−cBi0.5(RbCsNa0.5TiOで表されるペロブスカイト型酸化物を含み、
    前記Mは、Zn、Mg、Ca、Mn、Co、Ni、CuおよびSnからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
    前記a、b、c、d、w、xおよびyが、
    a+b+c=1.00、
    0.05≦a≦0.90、
    0.05≦b≦0.60、
    0.05≦c≦0.90、
    0.50≦d≦0.90、
    0.00≦w≦1.00、
    0.00≦x≦1.00、
    0.00≦y≦0.95、
    0.05≦w+x、
    w+x+y+z=1.00、
    である関係を満足する誘電体組成物。
  2. 請求項1に記載の誘電体組成物を含む誘電体層を備える電子部品。
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