JP2017048837A - 変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で、可動プーリなどの取付位置に誤差が生じることを効果的に防止できると共に、プーリカバー及び回転軸の軸方向の位置決めを行うことができる変速機を提供すること。
【解決手段】回転軸(14B)上に固定されてピストン室(111)を形成してなるプーリカバー(118)を回転自在に支持するベアリング(105)と、プーリカバー(118)と隣接して配置されたギヤ(51B)と、ギヤ(51B)とベアリング(105)との間に配置された皿バネ(116)とを備える。ギヤ(51B)が発生するスラスト荷重は軸方向で該ギヤ(51B)をプーリカバー(118)側へ付勢する一方で、皿バネ(116)でベアリング(105)とギヤ(51B)とが軸方向で互いに離れる方向に付勢されており、ギヤ(51B)からプーリカバー(118)にかかるスラスト荷重の影響を打ち消すことが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、エンジンなど駆動源からの駆動力の回転が入力される入力要素としての入力側プーリと、変速した駆動力の回転を出力する出力要素としての出力側プーリと、これら入力側プーリと出力側プーリとの間に巻き掛けられた無端状の伝達部材とを有する変速機に関する。
エンジンなど駆動源からの駆動力の回転が入力される入力要素としての入力側プーリと、変速した駆動力の回転を出力する出力要素としての出力側プーリと、これら入力側プーリと出力側プーリとの間に巻き掛けられた無端状の伝達部材とを有する変速機がある。このような変速機では、入力側プーリと出力側プーリの少なくともいずれかは、ピストン室の油圧で回転軸の軸方向に沿って移動する可動プーリ(可動プーリ半体)を備えている。この可動プーリには、ピストン室を構成するカバー部材(プーリカバー)が設けられている。そして、このカバー部材の外周面上には、カバー部材を変速機のケーシングに対して回転自在に支持するためのベアリングが設置されている。
さらに、上記カバー部材と軸方向で隣接する位置にギヤが設置されている場合がある。そして、このギヤの歯面がハスバギヤであると、ギヤからカバー部材側にスラスト荷重がかかるおそれがある。これにより、ギヤでカバー部材が押されることで、入力側プーリと出力側プーリとの間に巻き掛けられた無端部材や可動プーリなどの取付位置に誤差(いわゆるミスアライメント)が生じるおそれがある。
また、従来構造では、上記のベアリングは、カバー部材及び回転軸を回転自在に支持しているだけであり、当該ベアリングでカバー部材及び回転軸の軸方向の規制をする(軸方向の位置決めを行う)ことができなかった。そのため、カバー部材及び回転軸の軸方向の規制は、回転軸の端部を支持している他のベアリングで行う必要があった。その場合、例えば特許文献1に示すように、プーリを設置した回転軸を支持するベアリングとしてテーパーローラーベアリングを使用している。しかしながら、テーパーローラーベアリングはボールベアリングと比較して回転摺動に伴う摩擦抵抗(フリクション)が大きいという問題がある。
特開2004−306810号公報
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で、入力側プーリと出力側プーリとの間に巻き掛けられた無端状の伝達部材や可動プーリなどの取付位置に誤差が生じることを効果的に防止できると共に、カバー部材及び回転軸の軸方向の位置決めを行うことができる変速機を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明にかかる変速機は、駆動源(E)からの駆動力の回転が入力される入力要素としての入力側プーリ(22)と、変速後の回転を出力する出力要素としての出力側プーリ(21)と、前記入力側プーリ(22)と前記出力側プーリ(21)との間に巻き掛けられた無端状の伝達部材(23)と、を有する変速機(1)であって、前記入力側プーリ(22)と前記出力側プーリ(21)の少なくともいずれかに設けられ、ピストン室(111)に供給される油圧により回転軸(14B)上を軸方向に移動することで前記伝達部材(23)の巻き掛け径を変更可能な可動プーリ(21B)と、前記回転軸(14B)上に固定されて前記ピストン室(111)を形成してなるカバー部材(118)と、前記カバー部材(118)の外周上に設けられて該カバー部材(118)を変速機(1)のケーシング(10)に対して回転自在に支持するベアリング(105)と、前記カバー部材(118)と軸方向で隣接して配置されて前記回転軸(14B)から他の要素へ回転を伝達するギヤ(51B)と、軸方向で前記ギヤ(51B)と前記ベアリング(105)との間に設置された付勢部材(116)と、を備え、前記ギヤ(51B)の歯面はハスバギヤで構成され、前記ギヤ(51B)が発生するスラスト荷重は軸方向で該ギヤ(51B)を前記カバー部材(118)側へ付勢し、前記付勢部材(116)は、その外径端(116a)が前記ベアリング(105)に接触し、その内径端(116b)が前記ギヤ(51B)に接触しており、前記付勢部材(116)で前記ベアリング(105)と前記ギヤ(51B)とが軸方向で互いに離れる方向に付勢されていることを特徴とする。
本発明によれば、付勢部材でベアリングとギヤとが軸方向で互いに離れる方向に付勢されていることで、ギヤからカバー部材にかかるスラスト荷重の影響を打ち消すことが可能となる。これにより、入力側プーリと出力側プーリとの間に巻き掛けられた無端部材や可動プーリなどの取付位置に誤差(いわゆるミスアライメント)が生じることを効果的に防止できる。
すなわち本発明では、可動プーリのピストン室を形成してなるカバー部材を変速機のケーシングに対してベアリングで直接支持するとともに、当該ベアリングと隣接するギヤとの軸方向の隙間に付勢部材を設置して、この付勢部材の付勢力でギヤのスラスト荷重を打ち消すように構成している。この構成により、ギヤのスラスト荷重によるミスアライメントが入力側プーリ又は出力側プーリに生じることを効果的に防止できる。
また、本発明によれば、付勢部材の外径端が軸方向でベアリングの内輪に接触し、内径端が軸方向でギヤに接触していることで、当該ベアリングでカバー部材及び回転軸の軸方向の位置決めがなされる。したがって、回転軸の端部を支持する他のベアリングでカバー部材及び回転軸の軸方向の位置決めをする必要がないため、当該他のベアリングなどを含めた変速機の構成の簡素化を図ることができる。
また、この変速機では、回転軸(14B)の外周面には、径寸法が変化する段差部(117)が形成されており、カバー部材(118)における軸方向の一方の端部が段差部(117)に当接しており、ギヤ(51B)の軸方向の他方の端部には、該ギヤ(51B)の軸方向への移動を規制する係止具(119)が取り付けられており、段差部(117)と係止具(119)との間にカバー部材(118)とギヤ(51B)とが挟まれていることで、それらの軸方向の固定がなされていてよい。
この構成によれば、ギヤの軸方向の移動を規制する係止具を取り付けたことで、カバー部材とギヤの軸方向(スラスト方向)の位置ずれや微動を効果的に抑制でき、それらの取付位置の精度を向上させることができる。
また、上記の変速機では、ギヤ(51B)にかかる軸方向のスラスト荷重よりも付勢部材(116)の付勢力による荷重の方が大きな荷重に設定されていてよい。
この構成によれば、ギヤにかかる軸方向のスラスト荷重よりも付勢部材の付勢力による荷重の方が大きな荷重に設定されていることで、ハスバギヤによるスラスト荷重でギヤがカバー部材側に移動したりギヤが軸方向に対して傾くこと(いわゆるギヤの倒れ)が生じても、当該ギヤの移動や傾きによる荷重がカバー部材に伝達されることを効果的に防止できる。
また、上記の変速機では、前記ベアリング(105)を保持するための保持部材(125)を備え、前記ベアリング(105)の外輪(105a)は、その外周面(L1)及び軸方向の一方の端面(L2)が前記ケーシング(10)に接触しており、軸方向の他方の端面(L3)が前記保持部材(125)に当接しており、前記ベアリング(105)の内輪(105b)は、軸方向で前記保持部材(125)と同一側の端面(L5)が前記付勢部材(116)に当接していてよい。
この構成によれば、保持部材が当接している方向(向き)と同じ方向から付勢部材の付勢力でベアリングを拘束することで、付勢部材の付勢力によるベアリングの軸方向に対する傾き(倒れ)を防止することが可能となる。
また、上記の変速機では、前記付勢部材(116)は、外径端(116a)と内径端(116b)との間が軸方向に沿って傾斜してなる円形環状の皿バネであってよい。
この構成によれば、付勢部材として内径端と外径端との間が軸方向に沿って傾斜してなる円形環状の皿バネを備えたことで、簡単な構成で、付勢部材の外径端をベアリングの内輪に接触させると共に内径端をギヤの端面に接触させて、それらを互いに離れる方へ付勢することが可能となる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
本発明にかかる変速機によれば、簡単な構成で、入力側プーリと出力側プーリとの間に巻き掛けられた無端状の部材や可動プーリなどの取付位置に誤差が生じることを効果的に防止できると共に、カバー部材及び回転軸の軸方向の位置決めを行うことができる。
本発明の一実施形態に係る変速機のスケルトン図である。 第一出力軸及びその周辺の部分拡大側断面図である。 図2のX部分の拡大図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る変速機のスケルトン図である。同図に示す変速機1は、車両に搭載されたエンジン(駆動源)Eからの駆動力の回転を変速して駆動輪側に出力する変速機であって、エンジンEのクランクシャフト16と入力軸13との間に設置されたトルクコンバータ12を備えている。本実施形態の変速機1を備えた車両では、発進時の半クラッチ制御はトルクコンバータ12によって行われる。変速機1は、駆動源Eからトルクコンバータ12を介して接続された入力軸13と、入力軸13に対して平行に配置された第一出力軸14と第二出力軸15とを備える。
入力軸13は、駆動源Eからの駆動力が入力される主入力軸13Aと、主入力軸13Aと回転中心が同じで第一クラッチ61を介して連結される中空の第一副入力軸13Bと、主入力軸13Aと回転中心が同じで第二クラッチ62を介して連結される第二副入力軸13Cとから構成される。第二副入力軸13Cは、第一副入力軸13Bの内部を貫通している。
第一出力軸14と第二出力軸15との間には、無段変速機構20が配設される。無段変速機構20は、第一出力軸14に設けられた第一プーリ(出力側プーリ又は入力側プーリ)21と、第二出力軸15に設けられた第二プーリ(入力側プーリ又は出力側プーリ)22と、第一プーリ21と第二プーリ22との間に巻き掛けられた無端ベルト23とを備える。第一プーリ21及び第二プーリ22の溝幅は油圧によって相互に逆方向に増減し、第一出力軸14及び第二出力軸15間の変速比を連続的に変化させる。第一プーリ21は、第一出力軸14の内周軸14Aに固定された第一固定プーリ21Aと、第一固定プーリ21Aに対して接近・離間可能な第一可動プーリ21Bとで構成される。また、第二プーリ22は、第二出力軸15に固定された第二固定プーリ22Aと、第二固定プーリ22Aに対して接近・離間可能な第二可動プーリ22Bとで構成される。
入力軸13と第一出力軸14との間には、入力軸13に配設される第一伝達駆動ギヤ51Aと、第一出力軸14の外周軸14Bに配設される第一伝達従動ギヤ51Bとからなる第一伝達経路51が設けられている。第一伝達駆動ギヤ51Aと第一伝達従動ギヤ51Bのギヤ比は1よりも大きい。そのため、第一伝達駆動ギヤ51Aと第一伝達従動ギヤ51Bは、入力軸13からの駆動力を減速させて伝達する減速ギヤ列として機能する。
入力軸13と第二出力軸15との間には、入力軸13に配設される第二伝達駆動ギヤ52Aと、第二出力軸15に配設される第二伝達従動ギヤ52Bとからなる第二伝達経路52が設けられている。第二伝達駆動ギヤ52Aと第二伝達従動ギヤ52Bのギヤ比は1よりも小さい。そのため、第二伝達駆動ギヤ52Aと第二伝達従動ギヤ52Bは、入力軸13からの駆動力を増速させて無段変速機構20に伝達する増速ギヤ列として機能する。
入力軸13と第一出力軸14との間には、入力軸13に配設される第三伝達駆動ギヤ53Aと、第一出力軸14に配設される第三伝達従動ギヤ53Cと、第三伝達駆動ギヤ53Aと第三伝達従動ギヤ53Cとの間に配設される第三伝達アイドルギヤ53Bとからなる第三伝達経路53が設けられている。第三伝達アイドルギヤ53Bはアイドル軸17上に支持されている。第三伝達アイドルギヤ53Bがあることによって、上記の3つのギヤ53A,53B,53Cからなるギヤ列は、駆動力の回転方向を逆転させて伝達するギヤ列として機能する。
第一出力軸14と第二出力軸15との間には、第二出力軸15に配設される中間伝達駆動ギヤ54Aと、第一出力軸14に配設される中間伝達従動ギヤ54Cと、中間伝達駆動ギヤ54Aと中間伝達従動ギヤ54Cとの間に配設される中間伝達アイドルギヤ54Bとからなる第四伝達経路54が設けられている。中間伝達アイドルギヤ54Bはアイドル軸18上に支持されている。ここで、図1において、中間伝達アイドルギヤ54Bと中間伝達従動ギヤ54Cは隣接していないが、実際には、中間伝達アイドルギヤ54Bと中間伝達従動ギヤ54Cとは互いに隣接し、これらは互いに噛合(係合)している。
入力軸13と同軸には、前後進切換機構70が配設される。前後進切換機構70は、入力軸13からの駆動力を第二伝達経路52に伝達するか第三伝達経路53に伝達するかを選択的に切り換えるように構成されている。入力軸13の第二副入力軸13Cには、第二伝達駆動ギヤ52A及び第三伝達駆動ギヤ53Aが相対回転自在に支持されており、前後進切換機構70のスリーブ71を中立位置から図中左に動かすと、第二伝達駆動ギヤ52Aと入力軸13の第二副入力軸13Cとが結合し、駆動力が入力軸13から第二伝達経路52側に伝達される。一方、前後進切換機構70のスリーブ71を中立位置から図中右に動かすと、第三伝達駆動ギヤ53Aと入力軸13の第二副入力軸13Cとが結合し、駆動力が入力軸13から第三伝達経路53側に伝達される。
第一出力軸14の下流側には、第一出力軸14へ伝達された駆動力が出力される最終出力機構25が配設される。最終出力機構25は、第一出力軸14上に配設される最終駆動ギヤ26と、この最終駆動ギヤ26に噛み合う最終従動ギヤ27が外周に形成されたディファレンシャルギヤ28と、ディファレンシャルギヤ28で配分された駆動力を図示しない左右の駆動輪に伝達するための駆動軸29とを備える。
また、本実施形態の変速機1は、動力伝達切替機構として4つのクラッチ(摩擦クラッチ)を備えている。具体的には、入力軸13から第一伝達経路51への動力伝達の有無を切り替える第一クラッチ(LOクラッチ)61と、入力軸13から第二伝達経路52への動力伝達の有無を切り替える第二クラッチ(HIクラッチ)62と、第二プーリ22から最終出力機構25への動力伝達の有無を切り替える第三クラッチ63と、第一プーリ21から最終出力機構25への動力伝達の有無を切り替える第四クラッチ64である。これら第一〜第四クラッチ61〜64は、いずれも油圧回路(図示せず)による油圧(作動油)の給排でその締結・解放の動作が制御されるようになっている。
図2は、第一出力軸14及びその周辺の部分拡大側断面図である。また、図3は、図2のX部分の拡大図である。図2に示すように、変速機1の第一出力軸14は、内周軸(第一回転軸)14Aと外周軸(第二回転軸)14Bとを備える二重管構造になっている。内周軸(第一回転軸)14Aは、軸方向の両側の端部がそれぞれベアリング(ボールベアリング101とローラベアリング102)によってケーシング10に対して回転自在に支持されている。外周軸(第二回転軸)14Bは、内周軸14Aと同心軸上の外側に配置される中空の回転軸である。
外周軸14Bは、ケーシング10に対して外周上に設置したボールベアリング(以下、単に「ベアリング」という。)105で回転自在に支持されている。詳細には、外周軸14Bの外周面には、ピストン室111に供給される油圧により外周軸14B上を軸方向に移動することで無端ベルト23の巻き掛け径を変更可能な可動プーリ(可動プーリ半体)21Bと、外周軸14B上に固定されてピストン室111を形成してなるプーリカバー(カバー部材)118とが設置されている。そして、ベアリング105は、プーリカバー118の外周面上に設けられて該プーリカバー118を変速機1のケーシング10に対して回転自在に支持している。
また、図3に示すように、内周軸14Aの外周面14e上には、内周軸14Aと外周軸14Bとを相対回転可能に支持するニードルベアリング(第一ニードルベアリング)110が設置されている。すなわち、内周軸14Aの外周面14eには凹部140が形成されており、ニードルベアリング110は凹部140内に収容されている。ニードルベアリング110とそれに対向する外周軸14Bの内周面との隙間には、所定寸法の環状のクリアランスが設けられている。これにより、内周軸14Aが予め設定した寸法以上に変形(撓み変形)した場合にのみニードルベアリング110が外周軸14Bの内周面に当接して該ニードルベアリング110に荷重がかかるようになっている。なお、ケーシング10に対して外周軸14Bを回転自在に支持するベアリング105は、ニードルベアリング110と軸方向の同位置におけるプーリカバー118の外周面上に設置されている。
また、外周軸14B上のプーリカバー118に隣接する位置には、第一伝達従動ギヤ(以下、単に「ギヤ」という。)51Bが設置されている。このギヤ51Bは、外周軸14Bの軸方向の端部14bの近傍における外周面上に設置されている。ギヤ51Bの歯面はハスバギヤで構成され、ギヤ51Bが発生するスラスト荷重は軸方向で該ギヤ51Bをプーリカバー118側へ付勢している。
図3に示すように、外周軸14Bの外周面14fには、径寸法が変化する段差部117が形成されている。プーリカバー118における軸方向の端部(図の左側の端部)が段差部117に当接している。また、ギヤ51Bの軸方向の端部(図の右側の端部)には、該ギヤ51Bの軸方向への移動を規制するナット(係止具)119がワッシャー126を介して取り付けられている。これにより、段差部117とナット119との間にプーリカバー118とギヤ51Bとが挟まれていることで、これらプーリカバー118とギヤ51Bの軸方向の固定(位置決め)がなされている。
また、ベアリング105とギヤ51Bとの軸方向の隙間には、円形環状の皿バネ(付勢部材)116が設置されている。皿バネ116は、その断面の外径端116aと内径端116bの間が軸方向に沿って傾斜してなる略円錐形状に形成されている。ベアリング105の外輪105aは、その外周面L1及び軸方向の一方の端面(図の左側の端面)L2がケーシング10に接触している。皿バネ116は、その外径端116aがベアリング105の内輪105bの端面(図の右側の端面)L5に接触し、その内径端116bがギヤ51Bの端面L7に接触している。これにより、皿バネ116でベアリング105とギヤ51Bとが軸方向で互いに離れる方向に付勢されている。なお、皿バネ116の内径端116bは、プーリカバー118の端面L8には当接していないか、たとえ当接していても、プーリカバー118の端面L8には皿バネ116からの荷重がかかっていない状態である。
また、ベアリング105の外輪105aを保持するための保持プレート125が設けられている。保持プレート125は、図2に示すように、ケーシング10にボルト127の締結で固定されている。そして、図3に示すように、ベアリング105の外輪105aは、軸方向の端面(図の右側の端面)L3が保持プレート125に当接しており、ベアリング105の内輪105bは、軸方向の端面(図の右側の端面)L5が皿バネ116に当接している。すなわち、保持プレート125と皿バネ116は、ベアリング105の外輪105aと内輪105bに対して軸方向の同じ向きから当接している。
図2に示すように、内周軸14Aと外周軸14Bとの径方向の隙間には、作動油が流通する油路112が形成されている。また、内周軸14Aの内周側(軸芯部)の油路114から油路112に連通する第一連通路113と、油路112から外周軸14Bの外周側のピストン室111に連通する第二連通路115とが設けられている。また、ニードルベアリング110に対して第一連通路113及び第二連通路115と反対側(図の右側)で隣接する位置には、油路112を密封するシールリング(第一シール部材)121が設置されている。
さらに、内周軸14Aと外周軸14Bとを相対回転自在に支持する他のニードルベアリング(第二ニードルベアリング)120が設けられている。また、軸方向におけるニードルベアリング110とニードルベアリング120との間には、油路112の他方の端部(図の左側の端部)を密封するシールリング(第二シール部材)122が設置されている。したがって、油路112は軸方向の両側の端部がそれぞれ第一シールリング121と第二シールリング122で密封されている。
内周軸14Aの内側の油路114に導入された作動油は、第一連通路113を通って油路112に導かれる。油路112に導かれた作動油は、そこから第二連通路115を通ってピストン室111に供給される。
本実施形態の変速機1は、ピストン室111に供給される油圧により出力軸14上を軸方向に移動することで無端ベルト23の巻き掛け径を変更可能な可動プーリ21Bと、外周軸14B上に固定されてピストン室111を形成してなるプーリカバー118と、プーリカバー118の外周上に設けられてプーリカバー118を変速機1のケーシング10に対して回転自在に支持するベアリング105と、プーリカバー118と軸方向で隣接して配置されたギヤ51Bと、軸方向でギヤ51Bとベアリング105との間に配置された皿バネ116とを備えている。そして、ギヤ51Bの歯面はハスバギヤで構成され、ギヤ51Bが発生するスラスト荷重は軸方向で該ギヤ51Bをプーリカバー118側へ付勢している。その一方で、皿バネ116は、その外径端116aがベアリング105の内輪105bに接触し、その内径端116bがギヤ51Bに接触していることで、当該皿バネ116でベアリング105とギヤ51Bとが軸方向で互いに離れる方向に付勢されている。またここでは、ギヤ51Bにかかる軸方向のスラスト荷重よりも皿バネ116の付勢力による荷重の方が大きな荷重に設定されている。
この構成によれば、皿バネ116でベアリング105とギヤ51Bとが軸方向で互いに離れる方向に付勢されていることで、ギヤ51Bからプーリカバー118にかかるスラスト荷重の影響を打ち消すことが可能となる。これにより、第二プーリ22と第一プーリ21との間に巻き掛けられた無端ベルト23や可動プーリ21Bなどの取付位置に誤差(いわゆるミスアライメント)が生じることを効果的に防止できる。
すなわち、本実施形態の変速機1では、可動プーリ21Bのピストン室111を形成してなるプーリカバー118を変速機1のケーシング10に対してベアリング105で直接支持するとともに、当該ベアリング105と隣接するギヤ51Bとの軸方向の隙間に皿バネ116を設置して、この皿バネ116の付勢力でギヤ51Bのスラスト荷重を打ち消すように構成している。この構成により、ギヤ51Bのスラスト荷重によるミスアライメントが第一プーリ21又は第二プーリ22などに生じることを効果的に防止できる。
また、本実施形態の変速機1によれば、ベアリング105の外輪105aは、その外周面L1及び軸方向の一方の端面L2がケーシング10に当接しており、皿バネ116の外径端116aが軸方向でベアリング105の内輪105bに当接し、内径端116bが軸方向でギヤ51Bに当接していることで、当該ベアリング105でプーリカバー118及び第一出力軸14の軸方向の位置決めがなされている。したがって、第一出力軸14(内周軸14A)の端部を支持するベアリング101,102でプーリカバー118及び第一出力軸14の軸方向の位置決めをする必要がないため、これらベアリング101,102などを含めた変速機1の構成の簡素化を図ることができる。
また、上記の変速機1では、外周軸14Bの外周面14fにその径寸法が変化する段差部117が形成されており、プーリカバー118における軸方向の一方の端部が段差部117に当接しており、ギヤ51Bの軸方向の他方の端部には、該ギヤ51Bの軸方向への移動を規制するナット119が取り付けられている。これにより、段差部117とナット119との間にプーリカバー118とギヤ51Bとが挟まれていることで、それらの軸方向の固定がなされている。
この構成によれば、ギヤ51Bの軸方向の移動を規制するナット119を取り付けたことで、プーリカバー118とギヤ51Bの軸方向(スラスト方向)の位置ずれや微動を効果的に抑制でき、それらの取付位置の精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、ギヤ51Bにかかる軸方向のスラスト荷重よりも皿バネ116の付勢力による荷重の方が大きな荷重に設定されている。この構成によれば、ハスバギヤによるスラスト荷重でギヤ51Bがプーリカバー118側に移動したり、ギヤ51Bが軸方向に対して傾くこと(いわゆるギヤの倒れ)が生じても、当該ギヤ51Bの移動や傾きによる荷重がプーリカバー118に伝達されることを効果的に防止できる。
また、本実施形態の変速機1では、ベアリング105を保持するための保持プレート125を備えている。そして、ベアリング105の外輪105aは、その外周面L1及び軸方向の一方の端面L2がケーシング10に接触しており、軸方向の他方の端面L3が保持プレート125に当接しており、ベアリング105の内輪105bは、軸方向で保持プレート125と同一側の端面L5が皿バネ116に当接している。
この構成によれば、保持プレート125が当接している方向(向き)と同じ方向から皿バネ116の付勢力でベアリング105を拘束していることで、皿バネ116の付勢力によるベアリング105の軸方向に対する傾き(倒れ)を防止することが可能となる。
また、本実施形態の変速機1では、ベアリング105とギヤ51Bとを軸方向で互いに離れる方向に付勢する付勢部材として、その外径端116aと内径端116bとの間が軸方向に沿って傾斜してなる円形環状の皿バネ116を備えている。これにより、簡単な構成で、この皿バネ116の外径端116aをベアリング105の内輪105bに接触させると共に内径端116bをギヤ51Bに接触させて、それらを互いに離れる方へ付勢することが可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
1 変速機
10 ケーシング
12 トルクコンバータ
13 入力軸
14 第一出力軸(回転軸)
14A 内周軸(回転軸)
14B 外周軸(回転軸)
14b 端部
14e 外周面
14f 外周面
15 第二出力軸
16 クランクシャフト
20 無段変速機構
21 第一プーリ(出力側プーリ又は入力側プーリ)
21A 第一固定プーリ
21B 第一可動プーリ
22 第二プーリ(入力側プーリ又は出力側プーリ)
22A 第二固定プーリ
22B 第二可動プーリ
23 無端ベルト
25 最終出力機構
51 第一伝達経路
51A 第一伝達駆動ギヤ
51B 第一伝達従動ギヤ(ギヤ)
52 第二伝達経路
53 第三伝達経路
54 第四伝達経路
70 前後進切換機構
101 ボールベアリング
102 ローラベアリング
105 ボールベアリング(ベアリング)
105a 外輪
105b 内輪
110 ニードルベアリング
111 ピストン室
112 油路
113 第一連通路
114 油路
115 第二連通路
116 皿バネ
116a 外径端
116b 内径端
117 段差部
118 プーリカバー
119 ナット
120 ニードルベアリング
121 第一シールリング
122 第二シールリング
125 保持プレート(保持部材)
126 ワッシャー
127 ボルト
140 凹部
E エンジン(駆動源)
L1 外周面
L2 端面
L3 端面
L5 端面
L7 端面
L8 端面

Claims (5)

  1. 駆動源からの駆動力の回転が入力される入力要素としての入力側プーリと、変速後の回転を出力する出力要素としての出力側プーリと、前記入力側プーリと前記出力側プーリとの間に巻き掛けられた無端状の伝達部材と、を有する変速機であって、
    前記入力側プーリと前記出力側プーリの少なくともいずれかに設けられ、ピストン室に供給される油圧により回転軸上を軸方向に移動することで前記伝達部材の巻き掛け径を変更可能な可動プーリと、
    前記回転軸上に固定されて前記ピストン室を形成してなるカバー部材と、
    前記カバー部材の外周上に設けられて該カバー部材を変速機のケーシングに対して回転自在に支持するベアリングと、
    前記カバー部材と軸方向で隣接して配置されて前記回転軸から他の要素へ回転を伝達するギヤと、
    軸方向で前記ギヤと前記ベアリングとの間に設置された付勢部材と、を備え、
    前記ギヤの歯面はハスバギヤで構成され、前記ギヤが発生するスラスト荷重は軸方向で該ギヤを前記カバー部材側へ付勢し、
    前記付勢部材は、その外径端が前記ベアリングに接触し、その内径端が前記ギヤに接触しており、
    前記付勢部材で前記ベアリングと前記ギヤとが軸方向で互いに離れる方向に付勢されている
    ことを特徴とする変速機。
  2. 前記回転軸の外周面には、径寸法が変化する段差部が形成されており、
    前記カバー部材における軸方向の一方の端部が前記段差部に当接しており、
    前記ギヤの軸方向の他方の端部には、該ギヤの軸方向への移動を規制する係止具が取り付けられており、
    前記段差部と前記係止具との間に前記カバー部材と前記ギヤとが挟まれていることで、それらの軸方向の固定がなされている
    ことを特徴とする請求項1に記載の変速機。
  3. 前記ギヤにかかる軸方向のスラスト荷重よりも前記付勢部材の付勢力による荷重の方が大きな荷重に設定されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の変速機。
  4. 前記ベアリングを保持するための保持部材を備え、
    前記ベアリングの外輪は、その外周面及び軸方向の一方の端面が前記ケーシングに接触しており、軸方向の他方の端面が前記保持部材に当接しており、
    前記ベアリングの内輪は、軸方向で前記保持部材と同一側の端面が前記付勢部材に当接している
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の変速機。
  5. 前記付勢部材は、外径端と内径端との間が軸方向に沿って傾斜してなる円形環状の皿バネである
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の変速機。
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