JP2010242951A - ベルト式無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】無段変速機のプーリが配置されたシャフトを支持する軸受を保持する構造において、軸受外輪を変形させないようにする構造を提供する。
【解決手段】シャフトを支持する軸受104の外輪110を、トランスアクスルリアカバー(構造部材)96と、リアカバー96にボルトにより固定されるベアリングリテーナ122とにより軸方向に挟持し、軸受104を保持する。リーテナ122に凸部132を設け、この凸部の先端が外輪110の側面に、点接触または周方向に延びる線状の領域で接するようにする。これにより、外輪110に作用する力に半径方向の成分が含まれないようにして、外輪110の変形を抑制する。
【選択図】図5
【解決手段】シャフトを支持する軸受104の外輪110を、トランスアクスルリアカバー(構造部材)96と、リアカバー96にボルトにより固定されるベアリングリテーナ122とにより軸方向に挟持し、軸受104を保持する。リーテナ122に凸部132を設け、この凸部の先端が外輪110の側面に、点接触または周方向に延びる線状の領域で接するようにする。これにより、外輪110に作用する力に半径方向の成分が含まれないようにして、外輪110の変形を抑制する。
【選択図】図5
Description
本発明は、ベルト式無段変速機に関し、ベルト式無段変速機のプーリが設けられたシャフトを支持する軸受を、構造部材に対して固定する構造に関する。
近年、車両用変速機としてベルト式無段変速機が普及している。ベルト式無段変速機は、2本の平行に配置されたシャフト上にそれぞれ設けられたプーリと、これら2個のプーリに巻き掛けられたベルトとを有し、プーリに対するベルト巻き掛かり半径を変更して変速作用を得るものである。個々のプーリは、対向する円錐面を有する2個のシーブを有し、円錐面で形成されるV字形状の溝にベルトが配置され、ベルトは、2個のシーブの円錐面に挟持されている。2個のシーブはその間の距離を変更することができ、これによりV溝の幅が変更されて、ベルトの巻き掛かり半径が変更する。これにより、変速比を変更することができる。ベルト式無段変速機が下記特許文献1に記載されている。
特許文献1には、プーリが設けられたシャフトを支持する軸受を、シャフト等の可動部材を収め、またこれらの可動部材を支持するケースに固定する構造が示されている。軸受の外輪を、ケースと、ケースにボルトにより固定されるベアリングリテーナとにより挟持して、軸受をシャフト軸線方向に強固に固定している。これにより、シャフトも軸線方向に固定される。この特許文献1においては、ボルトにより固定する際のベアリングリテーナの変形を考慮し、ベアリングリーテナと軸受外輪が面接触するように、ベアリングリテーナのケースに当接する面、軸受に当接する面に傾斜を設けることが提案されている。面接触とすることにより、接触部分の面圧を下がり、接触面のへたりが防止される。
前記特許文献1においては、ベアリングリーテナと軸受外輪が面接触することを意図したものであるが、ケース、軸受、ベアリングリーテナの寸法が精度が低い場合、面接触せず、片当たりが発生する可能性がある。したがって、意図した効果を十分に得られない場合が考えられる。特に、ベアリングリテーナが軸受外輪の外側の角の部分に当たると、外輪を内側に向けて変形させる力が生じ、これによって外輪の、軸受の転動体が転動する面が変形し、軸受の寿命を短縮させる場合がある。
本発明は、ベルト式無段変速機のプーリが設けられたシャフトを支持する軸受の耐久性向上を目的とする。
本発明は、ベルト式無段変速機において、プーリが設けられたシャフトを支持する軸受を構造部材に固定するためのベアリングリテーナの、軸受外輪に接する部分に凸形状を形成し、この凸形状によりベアリングリテーナが軸受の外輪側面に点接触または周方向に延びる線領域にて接触するようにしたものである。
また、前記ベアリングリテーナは、略平板の略円環形状を有し、当該ベアリングリテーナの、構造部材と接触する接触面より凸形状の部分の先端が突出していてもよく、また後退していてもよい。
また、前記ベアリングリテーナは、軸受の外輪と全周にて接触するようにしてよい。
また、前記ベアリングリテーナは、ボルトにより構造部材に固定され、ベアリングリテーナと軸受の外輪は、周方向の一部のみで接触し、少なくとも、前記ボルトの位置と同一の半径上の位置で接触するようにしてよい。また、これに替えて、前記ボルトの位置と同一半径上の位置では接触しないようにしてもよい。
ベアリングリテーナに凸形状を形成し、凸形状の部分が軸受の外輪側面に接触するようにしたことで、外輪に作用する軸受半径方向成分の力の発生が抑制される。
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。以下の説明においては、ベルト式無段変速機の一例として、ベルト式無段変速機構に加え、トルクコンバータ、前後進切換機構、減速機構、終減速機構を一体にしたトランスアクスルを示す。本発明の要部は、ベルト式無段変速機構にあり、他の部分については、以下で示す構成以外の構成により代替した、また一部または全てを省略した変速機についても、本発明に属する。
図1は、変速機構としてベルト式無段変速機構を採用した横置き形式のトランスアクスル10の概略構成を示す骨格図である。横置き形式とは、車両の左右方向に、トランスアクスルの主な動力伝達軸を配置する形式をいい、多くの場合、出力軸が左右方向に配置されたエンジン等の原動機と組み合わせて用いられる。また、原動機およびトランスアクスルを車両前部に配置し、前輪を駆動する、いわゆるFF車に適用することができ、また車両後部に配置して後輪を駆動する車両にも適用できる。
トランスアクスル10は、ガソリンエンジン等の原動機12に結合されており、原動機と一体となって動力装置を構成している。トランスアクスル10は、原動機12の動力の伝達される順序に従って、トルクコンバータ14、前後進切換機構16、変速機構18、減速機構20、終減速機構22を含む。終減速機構22からは、左右の駆動輪24に向けて、それぞれドライブシャフト26が延び、これに結合されている。
トルクコンバータ14は、流体継手の一種であり、車両が停止しているときも、原動機12をアイドリング可能とすることを一つの目的として設けられている。トルクコンバータを採用する他の目的としてトルク増幅作用の利用がある。トルクコンバータのトルク増幅作用に、変速機構18によるトルク増幅作用が合成され、トランスアクスル全体としてより大きなトルク増幅比を得ることが可能となる。また、従来の多段自動変速機と同様の極低速時のクリープ現象を発生させることが可能となり、運転者による速度制御を容易にする。
前後進切換機構16は、車両の前進と後進を切り換える機構である。ガソリンエンジンのように原動機12自身が逆転できない場合、この機構により、以降の動力伝達軸の回転方向を逆転させ、車両の後進を可能としている。変速機構18は、入力軸の回転速度を変換して出力軸に伝える機構であり、連続的に変速比を変更できる無段変速機構である。具体的には、変速機構18は、二つのプーリ28,30に巻き渡されたベルト32を含み、それぞれのプーリにおけるベルト32の巻き掛かり半径を変更することにより変速作用を実現している。変速機構18のより詳細な構成及び作用については後述する。減速機構20は、変速機構により変速された回転速度を、更に減速する機構である。上記構成の無段変速機は、変速比を大きくとれないため、これのみでは原動機12の回転速度を車両の駆動に適した速度まで減速することができない。減速機構20は、原動機12の回転速度を後述の終減速機構と共に、十分な速度まで減速するための機構である。減速機構20は、例えば、はす歯歯車のギア対またはギア列で構成され、固定の減速比で、動力伝達を行う。また、減速機構は、チェーンとスプロケット等の巻き掛け式の動力伝達機構を採用することもできる。終減速機構22は、終減速ギア対34および差動機構36を含む。終減速ギア対34は減速機構20と同様に固定された減速比で動力伝達を行う。差動機構36は、左右の駆動輪24の回転速度差を吸収する機能を有する。
さらに、上記の各機構について詳細に説明する。原動機12の出力軸38(ガソリンエンジンにあってはクランクシャフト)の端には、ドライブプレート40が結合されている。トルクコンバータ14は、このドライブプレート40に結合される。トルクコンバータ14は、直結クラッチ付きの3要素1段2相形のトルクコンバータであり、その構造は当業者においてよく知られたものであるので、ここでの説明は省略する。トルクコンバータ14からの出力側(例えばポンプインペラ)は、前後進切換機構16から延びるインプットシャフト42に結合されている。
前後進切換機構16は、サンギア44とリングギア46の間に2段のピニオン48,50が配置されたダブルピニオン形式の遊星歯車機構である。サンギア44は、インプットシャフト42上に同軸配置され、これと一体となって回転する。リングギア46は、サンギア44の外側にインプットシャフト42と同軸に配置される。ピニオン48,50は、互いに噛み合い、また内側のピニオン48がサンギア44と、外側のピニオン50がリングギア46と噛み合っている。また、ピニオン48,50は、共に共通のキャリア52上に自転可能に支持されている。キャリア52は、インプットシャフト42の軸線回りに回転可能に支持されており、この回転によってピニオン48,50は公転運動を行う。また、インプットシャフト42上には、インプットシャフト42とキャリア52を接続・分離する前進クラッチ54が設けられ、リングギア46の周囲にはリングギア46の動きを止める、後進ブレーキ56が設けられている。キャリア52は、変速機構18のプライマリシャフト58に結合されている。
車両前進時には、前進クラッチ54を接続状態とし、後進ブレーキ56を解放する。前進クラッチ54の接続により、インプットシャフト42からの入力はキャリア52を介してプライマリシャフト58に伝達される。一方、後進時には前進クラッチ54を分離し、後進ブレーキ56によりリングギア46の回転を止める。この状態でサンギア44が回転すると、キャリア52はサンギア44と逆方向に回転する。よって、プライマリシャフト58は、インプットシャフト42と逆方向に回転し、車両を後進させることができる。
変速機構18は、平行に配置されたプライマリシャフト58およびセカンダリシャフト60と、これらのシャフト上にそれぞれ配置されたプライマリプーリ28およびセカンダリプーリ30と、さらにこれらのプーリに巻き渡されたベルト32を含む。プライマリプーリ28は、円錐面をそれぞれ有する二つのシーブ62,64を含み、これらのシーブは、円錐面を対向させるように、プライマリシャフト58と同軸に配置される。一方のシーブ62は、プライマリシャフト58に固定され、または一体に形成され、プライマリシャフトと共に回転する。このシーブ62を固定シーブ62と記す。もう一方のシーブ64は、プライマリシャフト58上を、このシャフトに沿って移動可能であり、かつ回転方向においてはシャフト58と共に回転する。このシーブ64を移動シーブ64と記す。二つのシーブ62,64の対向する円錐面によりV字形状の溝66が形成されている。移動シーブ64の背面には、この移動シーブの軸方向に駆動する油圧アクチュエータ68が設けられている。移動シーブ64の移動により、V字溝66の幅が拡縮する。セカンダリプーリ30は、プライマリプーリ28と同様、固定シーブ70と移動シーブ72を含み、二つのシーブの円錐面によりV字形状の溝74が形成されている。移動シーブ72を移動させるために、移動シーブ72の背面に油圧アクチュエータ76が配置されている。
ベルト32は、二つのプーリのそれぞれにおいてV字溝66,74に挟まれるように配置され、二つのプーリ28,30に巻き渡されている。ベルト32は、図2に示すように、周方向に配列されたエレメント78と、エレメント78を束ねる2本のリング80を含む。それぞれのリング80は、薄板のリング材を積層して構成されている。エレメント78の側面が各シーブ62,64,70,72の円錐面に接し、各プーリ28,30に挟持されている。移動シーブ64,72を移動させてV字溝66,74の幅を拡縮すると、これに応じてベルト32の巻き掛かり半径が変更される。巻き掛かり半径は、無段階に変更可能であり、これにより、連続的に変速比を変更可能な無段変速機構を得ることができる。
セカンダリシャフト60上には駆動側減速ギア82が設けられ、このギア82は中間シャフト84上の被駆動側減速ギア86に噛み合っている。これらのギア82,86により減速機構20が構成される。中間シャフト84上には、さらに終減速ピニオン88が設けられ、これは、デフケース90に結合される終減速リングギア92と噛み合っている。終減速ピニオン88と終減速リングギア92により、終減速ギア対34が構成される。差動機構の構成は、当業者には、よく知られた構成であるので、説明は省略する。
プライマリシャフト58は、前後進切換機構16および変速機構18を収めるトランスアクスルハウジング94とトランスアクスルリアカバー96に設けられた軸受98,100により支持されている。また、セカンダリシャフト60も、同様に軸受102,104に支持されている。上述のような、V字溝の幅を拡縮してベルトの巻き掛かり半径を変更する変速機構においては、二つのプーリ同士の軸方向の位置関係が適切に維持されることが重要である。二つのプーリ位置が軸方向にずれると、ベルトが斜めに掛かるなどの問題が生じる。二つのプーリの位置関係を維持するため、二つの固定シーブ62,70が一体となっているプライマリシャフト58およびセカンダリシャフト60を軸方向に固定する構造が採用されている。具体的には、シャフトを支持する軸受の一つを、シャフトと、トランスアクスルハウジング94またはリアカバー96との双方に対し、軸方向に固定する構造としている。軸方向に固定する構造については、プライマリシャフト58、セカンダリシャフト60とも共通の構造を有するものであり、以下においては、セカンダリシャフト60についてのみ説明する。
図3は、セカンダリシャフト60およびこれを支持する構造を示す断面図である。セカンダリシャフト60は、固定シーブ70と一体に形成されており、移動シーブ72はセカンダリシャフト60上を軸方向に移動可能に配置されている。移動シーブ72の背面には油圧室106が形成されており、油圧室106への作動流体の供給および油圧室106からの作動流体の排出により、その移動が制御される。セカンダリシャフト60は、図中の右端を、トランスアクスルハウジング94に配置された軸受102により支持されている。軸受102は、内輪(インナレース)のない形式のローラ軸受であり、この軸受は、シャフトの軸方向の動きを許容している。セカンダリシャフト60の左端は、トランスアクスルリアカバー96上に配置された軸受104により支持されている。軸受104は、単列深溝玉軸受である。二つの軸受102,104は、それぞれトランスアクスルハウジング94、トランスアクスルリアカバー96等の、シャフト等の可動部材を収めるケースを構成する部材上に配置されているが、トランスアクスルの、シャフト等の可動部材の相対位置を規定するようにこれらを支持する、その他の構造部材上に配置されてよい。
軸受104は、その内輪(インナレース)108がセカンダリシャフト60に対し固定され、外輪(アウタレース)110がトランスアクスルリアカバー96に対し固定されている。内輪108は、その図中右の側面が、セカンダリシャフト60に形成された肩部112に接し、この肩部と、左側に位置する端ナット114とにより挟持され、シャフト60に対して固定されている。外輪110は、トランスアクスルリアカバー96に設けられた軸受収容部116に収容されている。軸受収容部116は、外輪110の外周に対向する円筒部分118と、外輪110の図中左側の側面に対向する底部分120を有する。外輪110の右側の側面に当接するようにベアリングリテーナ122が配置されている。ベアリングリテーナ122は、トランスアクスルリアカバー96に対し、ボルト等により固定され、ボルトの締結力により、軸受の外輪110は、軸受収容部の底部分120とベアリングリテーナ122により挟持され、軸方向に固定される。本実施形態においては、ベアリングリテーナ122を固定するリテーナ固定ボルト124は、トランスアクスルリアカバー96の外側(図中左側)から、このカバーに設けられた貫通孔を通してカバー内側まで延び、ここでリテーナ122とねじ結合する。軸受の外輪110はトランスアクスルリアカバー96に軸方向に固定され、内輪108はセカンダリシャフト60に軸方向に固定される。単列深溝玉軸受である軸受104は、内輪と外輪の軸方向の相対移動を転動体である玉が規制しており、セカンダリシャフト60は、トランスアクスルリアカバー96に軸方向に固定される。
図4は、ベアリングリテーナ122の側面図、特に、図3の左方から見た側面図である。図5は、ベアリングリテーナ122の図4に示すA−A線断面、およびその周囲の部材の断面を示す図である。ベアリングリテーナ122は、円環形状の概形を有し、その周方向に等間隔で3箇所にリテーナ固定ボルト124と結合するためのねじ穴126が設けられている。ねじ穴の周囲には、トランスアクスルリアカバー96に接する平らな接触面128が形成されている。接触面128の内側には、接触面128よりトランスアクスルリアカバー96から離れた位置に、つまり軸受外輪110に対し後退した位置に凸部基底面130が設けられている。この凸部基底面130から軸受の外輪110側面に向けて、径方向断面において凸形状の部分(以下、凸部と記す。)132が突出している。凸部132は、周方向に延びて畝を形成し、全周に亘って外輪110の側面に接している。したがって、ベアリングリテーナ122は、外輪110と周方向に延びる線状の領域で接触している。各部寸法の誤差により、例えば接触面128の位置が図中左右方向にずれ(図6中符号bで示す)、ベアリングリテーナ122の凸部132を含む部分が、図6に示すように反ったとしても、線接触が維持される。ベアリングリテーナと外輪の側面とが面で接触するよう設計されている場合、接触面の位置のずれ等の寸法誤差により、外輪の角にベアリングリテーナが接し、外輪を半径方向に歪ませる力が発生する。この歪みは、ボルトに近い位置と遠い位置で異なり、外輪の真円度も低下させる。これらにより、軸受の寿命が低下する場合がある。本実施形態のベアリングリテーナ122は、凸部132を設けたことにより外輪110と周方向に延びる線領域にて線接触するようにされ、外輪角部には当接せず、ベアリングを保持する力がセカンダリシャフト60の軸方向成分のみとなるようにされている。なお、線接触とは、数学的な線、つまり幅を持たない線による接触を意味するものではなく、部材の変形により生じる接触幅を有する帯状の領域による接触を意味する。言い換えれば、荷重がかけられていない状態では、実質的に幅を持たない線で接触し、荷重をかけた場合、その荷重によって部材が変形して接触幅が拡がる接触状態を意味する。
凸部の径方向断面における形状は、想定される寸法誤差の範囲において、外輪の角部を除いた側面に、この断面おいて点接触にて接触する形状であれば、どのような凸形状であってもよい。例えば、一つの円弧で構成されてもよく、また二つ以上の円弧、円弧と線分の組み合わせ、線分同士の組み合わせでもよい。また、接触面128に対し、凸部132が外輪に接触する位置が図5等に示されるように退避していてもよく、突出してもよい。
図7は、他のベアリングリテーナ134の断面形状を示す図である。ベアリングリテーナ134は、トランスアクスルリアカバーと接触する接触面136と、凸部基底面138が同一の面で形成され、この面から凸部140が突出している。
図8〜図11は、ベアリングリテーナの形状の更に他の例を示す図である。これらの図は、図4と同様、図3の左方からの側面図である。これらのベアリングリテーナは、略円環形状を有し、リーテナ固定ボルトとねじ結合するねじ穴、軸受外輪と接する凸部を有する。また、これらのベアリングリテーナは、図7に示すベアリングリテーナ134と同様、接触面と凸部基底面が同一の平面で構成された形状を有するが、図5に示されるベアリングリテーナ122と同様、接触面と凸部基底面が段差を有するように構成することもできる。
図8に示すベアリングリテーナ142は、リテーナ固定ボルト124と結合するねじ穴144と同一半径上に凸部146が形成されている。ねじ穴144と凸部146は、周方向に等間隔で3箇所に配置されている。図中のB−B線による断面の形状は、図7と同様である。凸部146は、例えば一つの球面の一部であり、軸受の外輪110の側面とは点接触する。このリテーナにおいても、許容される寸法誤差の範囲で点接触が維持されれば、凸部の形状は球面の一部以外の形状でよい。ここでの点接触は、前記の線接触と同様、部材の変形により生じる面積を有する接触を意味する。凸部の形状が、前述のように球面の一部となっているので、接触領域は、周方向に延びず、略円形となる。
図9に示すベアリングリテーナ148は、図8と同様、リテーナ固定ボルト124と結合するねじ穴150と同一半径上に凸部152が形成されている。ねじ穴150と凸部152は、周方向に等間隔で3箇所に配置されている。図中のC−C線による断面の形状は、図7と同様である。凸部152の形状は、周方向に延びる軸線を有する円筒面の一部であり、軸受の外輪110の側面とは線接触する。しかし、図4のベアリングリテーナ122とは異なり、全周に亘る線接触ではなく、ボルトが締結される部分を含む、周の一部において、接触する。
図10に示すベアリングリーテナ154は、リテーナ固定ボルト124と結合するねじ穴156は、3箇所に等間隔で配置される点は前述の例と同様であるが、凸部158の設けられる位置が異なる。凸部158は、周方向において、ねじ穴156の間の位置に設けられている。凸部158は、周方向に所定の長さを有する畝状に形成されており、少なくともねじ穴156と同一半径上には設けられておらず、ここで途切れている。図中のD−D線による断面形状は図7と同様になる。リテーナ固定ボルト124による締結力によりベアリングリテーナ154が変形するため、凸部158の両端158a,158bにおいて、軸受の外輪110に対する当たりが強くなる。ボルトの締結位置(ねじ穴位置)と同一半径上において、凸部は切れているので、この半径を挟むように2箇所で、ベアリングリテーナ154と外輪110の当たりが強くなる。したがって、ボルト1本に対して、当たりの強い位置を2箇所とすることができる。
図11に示すベアリングリテーナ160は、前述した例に対し、リテーナ固定ボルト124と結合するねじ穴162が、2箇所と少なくなっている。二つのねじ穴162は、同一直径上に配置される。凸部164は、周方向において、ねじ穴162の間の位置に設けられている。凸部164は、周方向に所定の長さを有する畝状に形成されており、少なくともねじ穴162と同一半径上には設けられておらず、ここで途切れている。図中のE−E線による断面形状は図7と同様となる。周方向に延びる凸部164の両端164a,164bにおいて、ベアリングリテーナ160が軸受の外輪110に強く当たり、この力で、軸受104が保持される。二つの凸部164のそれぞれにおいて両端が強く当たる部分となり、1箇所のボルト締結位置(ねじ穴の位置)に対して2箇所、合計4箇所の位置で軸受を保持することができる。
10 トランスアクスル(無段変速機)、18 変速機構、28 プライマリプーリ、30 セカンダリプーリ、32 ベルト、58 プライマリシャフト、60 セカンダリシャフト、62 固定シーブ、64 移動シーブ、66 V字溝、70 固定シーブ、72 移動シーブ、74 V字溝、94 トランスアクスルハウジング(構造部材)、96 トランスアクスルリアカバー、98,100,102,104 軸受、108 内輪、110 外輪、116 軸受収容部、122 ベアリングリテーナ、124 リテーナ固定ボルト、126 ねじ穴、128 接触面、130 凸部基底面、132 凸部、134 ベアリングリテーナ、136 接触面、138 凸部基底面、140 凸部。
Claims (6)
- 2本のシャフト上にそれぞれ設けられたプーリにベルトを巻き渡し、プーリに対するベルトの巻き掛かり半径を変更して変速比を連続的に変更する変速機構を有するベルト式無段変速機において、
前記シャフトを支持する軸受を収容する収容部を有する構造部材と、
前記構造部材に固定され、前記収容部と協働して前記軸受の外輪を前記シャフトの軸線方向に挟持するベアリングリテーナと、
を有し、
前記2本のシャフトの少なくとも一方に係るベアリングリテーナは、当該ベアリングリテーナの前記外輪に接する部分に凸形状が形成され、この凸形状により当該ベアリングリテーナが、前記外輪側面に、点接触または周方向に延びる線領域にて接触する、
ベルト式無段変速機。 - 請求項1に記載のベルト式無段変速機であって、ベアリングリテーナは、略平板の略円環形状を有し、ベアリングリテーナの、前記構造部材と接触する接触面より、前記凸形状の部分の先端が突出している、ベルト式無段変速機。
- 請求項1に記載のベルト式無段変速機であって、ベアリングリテーナは、略平板の円環形状を有し、前記凸形状の部分は、ベアリングリテーナの、前記構造部材と接触する接触面より、後退した面に形成され、前記凸形状の部分の先端が、前記接触面より後退している、ベルト式無段変速機。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載のベルト式無段変速機であって、ベアリングリテーナは、前記外輪と全周にて接触する、ベルト式無段変速機。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載のベルト式無段変速機であって、ベアリングリテーナは、ボルトにより前記構造部材に固定され、前記外輪と周方向の一部でのみ接触し、少なくともボルトの位置と同一の半径上の位置にて接触する、ベルト式無段変速機。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載のベルト式無段変速機であって、ベアリングリテーナは、ボルトにより前記構造部材に固定され、前記外輪と周方向の一部でのみ接触し、少なくともボルトの位置と同一の半径上の位置では接触しない、ベルト式無段変速機。
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- 2009-04-10 JP JP2009095579A patent/JP2010242951A/ja active Pending
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