JP2017048090A - カバーガラス及びその製造方法、並びに携帯情報端末 - Google Patents

カバーガラス及びその製造方法、並びに携帯情報端末 Download PDF

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正雄 尾関
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林 英明
Hideaki Hayashi
英明 林
諭 金杉
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諭 金杉
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Abstract

【課題】意匠性に優れ、且つ、センサー等の各種装置を容易に組み込むことが可能なカバーガラス、及びこれを有する携帯情報端末、並びにカバーガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】カバーガラス1の表面3及び裏面5には、それぞれ対向する少なくとも一つの表側凹部7及び裏側凹部10が設けられる。カバーガラス1は、表側凹部7及び裏側凹部10が設けられることにより形成された薄肉部13と、薄肉部13に接続する厚肉部17と、を一体に備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、カバーガラス及びその製造方法、並びに携帯情報端末に関する。
近年、電子機器類における高度なセキュリティ対策として、指紋を個人の認証に用いる方法が盛んに用いられている。指紋認証の方法には、光学方式、感熱方式、圧力方式、静電容量方式などがあるが、センシング感度や消費電力の観点から静電容量方式が優れているとされている。
静電容量方式センサーは、被検出物が接近、又は、接触した部位の局所的な静電容量の変化を検出する。一般的な静電容量方式センサー(以下、単にセンサーとも呼ぶ)は、該センサー内に配置された電極と被検出物との距離を静電容量の大きさによって測定する。このような静電容量方式センサーを用いた指紋認証機能は、小型軽量で消費電力が低いことから、特にスマートフォンや携帯電話、タブレット型パーソナルコンピューターなどの携帯情報端末(Personal Data Assistance:PDA)に搭載されている。
通常、静電容量方式センサーを保護するため、該センサーの上部には保護カバーが配置される。例えば、特許文献1の静電容量方式センサーパッケージングでは、センサーが対象物を検出可能となるようにカバーガラスに孔を設け、当該孔にセンサーカバーを配置することが開示されている。
特許文献2には、携帯機器用カバーガラスとして、文字又は図形を利用者に認識させるための凹部がカバーガラスの主表面に形成されている。ここで、凹部のヘイズ値を10%以上とすることにより、凹部の視認性を向上させている。また、凹部の表面粗さRaを主表面平坦部の表面粗さRaよりも大きくしている。これにより、凹部と主表面平坦部との手触りの差によって、凹部を認識させる触覚性を向上させている。
特許文献3には、携帯機器用カバーガラスの製造方法が開示されている。当該製造方法では、レジストマスクを配置した上で板状ガラスをエッチングすることにより、複数の携帯機器用カバーガラスが分離される。
国際公開第2013/173773号 特開2013−137383号 特開2013−1599号
しかしながら、特許文献1に記載された発明のように、カバーガラスに孔を設け、当該孔にセンサーカバーを配置する構成では、センサーカバーを孔に固定する治具等が必要となるため、部品点数が多くなり、組立工程も複雑化してしまう。また、カバーガラスの他にセンサーカバー等の異種材料が必要となるため、材料的な統一感を実現することが困難であり、意匠性に劣っていた。
また、例えば、特許文献2の携帯機器用カバーガラスにおいては、カバーガラス表面に凹部を形成することが開示されているが、文字又は図形を利用者に認識させるためのものであり、該凹部に静電容量方式センサーを配置するようなことは意図されていない。仮に、特許文献2の携帯機器用カバーガラスにおいて、凹部と対応する位置に静電容量方式センサーを配置した場合、凹部のヘイズ値が高く、凹部の表面粗さRaが大きいため不都合が生じる。すなわち、当該凹部の表面が荒れているため、センサー電極と被検出物との距離が不均一になり、検出される静電容量も不均一になってしまう。この場合、センサー感度が低下してしまい、所望の機能を発揮できない可能性がある。
また、特許文献3の製造方法では、複数のカバーガラスの外形形状を反映させたレジストマスクを作製する必要があり、マスク作製工程が複雑であった。また、板状ガラスから複数のカバーガラスを得るための切断工程において、エッチングを行う必要があるため、切断工程の長時間化や、エッチャントの廃棄等によるコスト増等を招いていた。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、意匠性に優れ、且つ、センサー等の各種装置を容易に組み込むことが可能なカバーガラス、及びこれを有する携帯情報端末、並びにカバーガラスの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 保護対象を保護するカバーガラスであって、
前記カバーガラスの表面及び裏面には、それぞれ対向する少なくとも一つの表側凹部及び裏側凹部が設けられ、
前記カバーガラスは、前記表側凹部及び前記裏側凹部が設けられることにより形成された薄肉部と、前記薄肉部に接続する厚肉部と、を一体に備えている、ことを特徴とするカバーガラス。
(2) 前記表側凹部及び前記裏側凹部は、エッチングされた面である、ことを特徴とする(1)に記載のカバーガラス。
(3) 前記表側凹部の深さと前記裏側凹部の深さとがほぼ等しい、ことを特徴とする(1)又は(2)に記載のカバーガラス。
(4) 前記薄肉部のヘイズ値は16%以下である、ことを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載のカバーガラス。
(5) 前記薄肉部及び前記厚肉部の表面及び裏面には、圧縮応力層が形成されている、ことを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載のカバーガラス。
(6) 前記厚肉部に形成された圧縮応力層の深さよりも、前記薄肉部に形成された圧縮応力層の深さの方が小さい、ことを特徴とする(5)に記載のカバーガラス。
(7) 前記表側凹部の面積と前記裏側凹部の面積が異なっている、ことを特徴とする(1)〜(6)の何れか1項に記載のカバーガラス。
(8) 前記カバーガラスの前記表面及び前記裏面は研磨された面である、ことを特徴とする(1)〜(7)の何れか1項に記載のカバーガラス。
(9) 化学強化後に前記研磨が実施された、ことを特徴とする(8)に記載のカバーガラス。
(10) 前記表側凹部の側面は、前記表側凹部の底面と滑らかに接続する曲面形状である、ことを特徴とする(1)〜(9)の何れか1項に記載のカバーガラス。
(11) 前記表側凹部の前記側面の曲率半径は、前記表側凹部の前記底面の深さ以上である、ことを特徴とする(10)に記載のカバーガラス。
(12) 前記表側凹部の前記側面の曲率半径は、前記表側凹部の中央部から周縁部に向かうにしたがって大きくなる、ことを特徴とする(10)又は(11)に記載のカバーガラス。
(13) 前記表側凹部の前記側面の曲率半径は、0.1mm以上2mm以下である、ことを特徴とする(10)〜(12)の何れか1項に記載のカバーガラス。
(14) 前記カバーガラスの裏面には印刷層が設けられる、ことを特徴とする(1)〜(13)の何れか1項に記載のカバーガラス。
(15) 前記保護対象は携帯情報端末である、ことを特徴とする(1)〜(14)の何れか1項に記載のカバーガラス。
(16) (1)〜(15)の何れか1項に記載のカバーガラスを有する、ことを特徴とする携帯情報端末。
(17) 前記裏側凹部に静電容量方式センサーが配置される、ことを特徴とする(16)に記載の携帯情報端末。
(18) 前記静電容量方式センサーの寸法は、該静電容量方式センサーが配置される前記裏側凹部と対向する前記表側凹部の寸法よりも大きい、ことを特徴とする(17)に記載の携帯情報端末。
(19) 前記静電容量方式センサーは、センシングを行うセンサー本体と、前記センサーを支持する筐体と、を有し、
前記表側凹部の寸法は、前記センサー本体の寸法よりも大きく、前記静電容量方式センサーの全体の寸法よりも小さい、ことを特徴とする(18)に記載の携帯情報端末。
(20) 前記静電容量方式センサーは指紋認証用センサーである、ことを特徴とする(18)又は(19)に記載の携帯情報端末。
(21) ガラス基板から保護対象を保護するカバーガラスを得る、カバーガラスの製造方法であって、
前記ガラス基板の表面及び裏面に、それぞれ対向する少なくとも一つの表側凹部及び裏側凹部を設ける凹部形成工程を含み、
前記凹部形成工程では、前記表面に、少なくとも一つの前記表側凹部を形成するための少なくとも一つの表側凹部形成用孔を有する表側マスク部材を配置し、且つ、前記裏面に、少なくとも一つの前記裏側凹部を形成するための少なくとも一つの裏側凹部形成用孔を有する裏側マスク部材を配置した上で、前記ガラス基板をエッチング処理する、ことを特徴とするカバーガラスの製造方法。
(22) ガラス基板から保護対象を保護するカバーガラスを得る、カバーガラスの製造方法であって、
前記ガラス基板を化学強化する工程と、
化学強化された前記ガラス基板の表面に、少なくとも一つの表側凹部を形成するための少なくとも一つの表側凹部形成用孔を有する表側マスク部材を配置し、且つ、前記ガラス基板の裏面に、少なくとも一つの裏側凹部を形成するための少なくとも一つの裏側凹部形成用孔を有する裏側マスク部材を配置した上で、前記ガラス基板をエッチング処理し、前記ガラス基板の表面及び裏面にそれぞれ対向する少なくとも一つの表側凹部及び裏側凹部を設ける凹部形成工程と、
前記表側凹部及び前記裏側凹部が形成されたガラス基板を再度化学強化する工程と、
を含む、ことを特徴とするカバーガラスの製造方法。
(23) 前記エッチング処理は、前記ガラス基板の表面及び裏面に対して同時に行われる、ことを特徴とする(21)又は(22)に記載のカバーガラスの製造方法。
(24) 前記エッチング処理は、前記ガラス基板とエッチャントとを、前記ガラス基板の表面又は裏面に平行な方向に相対的に移動させながら行われる、ことを特徴とする(21)〜(23)の何れか1項に記載のカバーガラスの製造方法。
(25) 前記エッチング処理は、前記ガラス基板を揺動させることにより行われる、ことを特徴とする(24)に記載のカバーガラスの製造方法。
(26) 前記エッチング処理は、前記エッチャントの流れを生じさせることにより行われる、ことを特徴とする(25)に記載のカバーガラスの製造方法。
(27) ガラス基板から保護対象を保護する複数のカバーガラスを得る、カバーガラスの製造方法であって、
前記ガラス基板を化学強化する工程と、
化学強化された前記ガラス基板の表面に、複数の表側凹部を形成するための複数の表側凹部形成用孔を有する表側マスク部材を配置し、且つ、前記ガラス基板の裏面に、複数の裏側凹部を形成するための複数の裏側凹部形成用孔を有する裏側マスク部材を配置した上で、前記ガラス基板をエッチング処理し、前記ガラス基板の表面及び裏面にそれぞれ対向する複数の表側凹部及び裏側凹部を設ける凹部形成工程と、
複数の前記表側凹部及び前記裏側凹部が形成されたガラス基板から、それぞれの表面及び裏面に前記表側凹部及び前記裏側凹部を少なくとも一つ含むように複数のカバーガラスを分離するカバーガラス分離工程と、
を含むことを特徴とするカバーガラスの製造方法。
(28) 前記凹部形成工程が実施された前記ガラス基板を再度化学強化した後、前記カバーガラス分離工程を実施する、ことを特徴とする(27)に記載のカバーガラスの製造方法。
(29) 前記カバーガラス分離工程が実施された後、それぞれの前記カバーガラスを再度化学強化する、ことを特徴とする(27)に記載のカバーガラスの製造方法。
(30) ガラス基板から保護対象を保護する複数のカバーガラスを得る、カバーガラスの製造方法であって、
前記ガラス基板の表面に、複数の表側凹部を形成するための複数の表側凹部形成用孔を有する表側マスク部材を配置し、且つ、前記ガラス基板の裏面に、複数の裏側凹部を形成するための複数の裏側凹部形成用孔を有する裏側マスク部材を配置した上で、前記ガラス基板をエッチング処理し、前記ガラス基板の表面及び裏面にそれぞれ対向する複数の前記表側凹部及び前記裏側凹部を設ける凹部形成工程と、
複数の前記表側凹部及び前記裏側凹部が形成された前記ガラス基板を化学強化する工程と、
化学強化された前記ガラス基板から、それぞれの表面及び裏面に前記表側凹部及び前記裏側凹部を少なくとも一つ含むように複数のカバーガラスを分離するカバーガラス分離工程と、
を含むことを特徴とするカバーガラスの製造方法。
(31) ガラス基板から保護対象を保護する複数のカバーガラスを得る、カバーガラスの製造方法であって、
前記ガラス基板の表面に、複数の表側凹部を形成するための複数の表側凹部形成用孔を有する表側マスク部材を配置し、且つ、前記ガラス基板の裏面に、複数の裏側凹部を形成するための複数の裏側凹部形成用孔を有する裏側マスク部材を配置した上で、前記ガラス基板をエッチング処理し、前記ガラス基板の表面及び裏面にそれぞれ対向する複数の前記表側凹部及び前記裏側凹部を設ける凹部形成工程と、
複数の前記表側凹部及び前記裏側凹部が形成された前記ガラス基板から、それぞれの表面及び裏面に前記表側凹部及び前記裏側凹部を少なくとも一つ含むように複数のカバーガラスを分離するカバーガラス分離工程と、
分離された前記カバーガラスを化学強化する工程と、
を含むことを特徴とするカバーガラスの製造方法。
(32) 前記カバーガラスの表面及び裏面が最終化学強化工程の後に研磨される、ことを特徴とする(27)〜(31)の何れか1項に記載のカバーガラスの製造方法。
(33) 前記カバーガラスの裏面には印刷がなされる、ことを特徴とする(21)〜(32)の何れか1項に記載のカバーガラスの製造方法。
(34) 前記印刷は、前記裏側凹部と、前記カバーガラスの裏面において前記裏側凹部が形成されない部分と、で個別に実施される、ことを特徴とする(33)に記載のカバーガラスの製造方法。
(35) 前記裏側凹部の側面は、該裏側凹部の底面と滑らかに接続する曲面形状であり、
前記側面はパッド印刷法によって印刷される、ことを特徴とする(34)に記載のカバーガラスの製造方法。
本発明によれば、裏側凹部にセンサー等の装置を配置した場合、薄肉部によって当該装置を保護できるので、上記特許文献1と異なりセンサーカバー等の異種材料を併用することなく、材料的に一様で統一感のある意匠性に優れたカバー部材を実現できる。また、部材点数が少なく済み、組立工程を簡略化できるので、コストを削減することが可能である。さらに、裏側凹部にセンサー等の装置を配置した場合、裏側凹部に対向する表側凹部がカバーガラスの表面に設けられているので、当該装置の位置を視覚や触覚等により容易に認識することが可能である。
また、ガラス基板の表面に、少なくとも一つの表側凹部形成用孔を有する表側マスク部材を配置し、ガラス基板の裏面に、少なくとも一つの裏側凹部形成用孔を有する裏側マスク部材を配置した上で、エッチング処理を施すことにより、少なくとも一つの表側凹部及び裏側凹部を有するカバーガラスが得られるので、非常に簡便である。
また、ガラス基板の表面に、複数の表側凹部形成用孔を有する表側マスク部材を配置し、ガラス基板の裏面に、複数の裏側凹部形成用孔を有する裏側マスク部材を配置した上で、ガラス基板をエッチング処理してもよい。この場合、複数の表側凹部及び裏側凹部が形成されたガラス基板から、それぞれ表側凹部及び裏側凹部を少なくとも一つ含むように分離すれば、複数のカバーガラスを得られるので、従来技術のようにカバーガラスの外形形状を有するマスクを用意する必要がない。
カバーガラスの断面図である。 図1におけるII−II断面矢視図である。 図1におけるIII−III断面矢視図である。 (a)は図2及び3におけるIV−IV断面図であり、(b)は表側及び裏側凹部をZ方向から見た図である。 センサーを配置したカバーガラスの断面図である。 センサーを配置したカバーガラスの断面図である。 表側凹部に突出部が設けられた場合のカバーガラスの断面図である。 ガラス基板の平面図である。 表側マスク部材の平面図である。 裏側マスク部材の平面図である。 表側凹部が設けられたガラス部材の平面図である。 裏側凹部が設けられたガラス部材の平面図である。 筐体に組み込まれたカバーガラスの断面図である。 印刷層が設けられたカバーガラスの断面図である。 印刷層が設けられたカバーガラスの断面図である。 ガラス基板の平面図である。 ガラス基板の平面図である。 図16及び17におけるXVIII部分の拡大図である。 図16及び17におけるXIX部分の拡大図である。 ガラス基板の平面図である。 ガラス基板の平面図である。 表側マスク部材の平面図である。 裏側マスク部材の平面図である。 表側凹部が設けられたガラス部材の平面図である。 裏側凹部が設けられたガラス部材の平面図である。 変形例に係る表側及び裏側マスク部材の平面図である。 変形例に係るガラス基板の平面図である。 変形例に係るガラス基板の平面図である。 (a)〜(d)は、実施例3のカバーガラスに印刷層を形成する順序を説明するための図であり、カバーガラスを裏面側から見た図である。 (a)〜(e)は、実施例4のカバーガラスに印刷層を形成する順序を説明するための図であり、カバーガラスを裏面側から見た図である。 印刷層が設けられた実施例4のカバーガラスの断面図である。 印刷層が設けられた実施例5のカバーガラスの断面図である。 印刷層が設けられた実施例5のカバーガラスを、表面側から見た図である。 実施例5の変形例に係るカバーガラスの断面図である。 実施例5の変形例に係るカバーガラスを、表面側から見た図である。 実施例5の変形例に係るカバーガラスを、表面側から見た図である。 (a)〜(f)は、実施例6のカバーガラスに印刷層を形成する順序を説明するための図であり、カバーガラスを裏面側から見た図である。 印刷層が設けられた実施例6のカバーガラスの断面図である。 異なる条件で化学強化した場合のCS−DOLプロファイルをそれぞれ示す図である。 異なる条件で二段階の化学強化を実施した場合のCS−DOLプロファイルを示す図である。 交点Qの求め方を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることはない。また、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形及び置換等を加えることができる。
(カバーガラス)
本実施形態に係るカバーガラスは、任意の保護対象を保護するために用いられる。以下、カバーガラスの保護対象はスマートフォン等の携帯情報端末であるとして説明するが、保護対象としては任意の対象が適用可能であり、例えば液晶ディスプレイ装置等の電子機器に適用することが可能である。
図1〜図3に示すように、本実施形態のカバーガラス1は、全体として平板状の略直方体であり、図1上側の表面3と、表面3に対向する図1下側の裏面5と、を有する。本明細書において、表面とは、カバーガラス1を含む組立体(アセンブリ)の外側の面、すなわち通常の使用状態において使用者が触れることができる面をいう。また、裏面とは、組立体の内側の面、すなわち通常の使用状態において使用者が触れることができない面をいう。また、以下の説明において、カバーガラス1の長手方向をX方向とし、短手方向をY方向とし、厚み方向をZ方向とする。
カバーガラス1の表面3及び裏面5には、それぞれZ方向に対向する少なくとも一つの表側及び裏側凹部7、10が設けられる。図1〜図3には、カバーガラス1の表面3に、一つの表側凹部7が設けられ、裏面5に、一つの裏側凹部10が設けられた例が示されている。表側及び裏側凹部7、10は、カバーガラス1のX方向端部近傍で且つY方向中央部近傍に形成される。なお、表側及び裏側凹部7、10が形成される位置は、両者がZ方向に対向して(XY平面において重なって)いる限り、任意の位置に設定して構わない。また、表側及び裏側凹部7、10の数や形状等も任意である。
このように表側及び裏側凹部7、10が設けられることにより、カバーガラス1には表側及び裏側凹部7、10とX方向及びY方向で重なる位置において薄肉部13が形成されると共に、当該薄肉部13の周縁部に接続し、薄肉部13よりもZ方向厚みが大きい厚肉部17が形成される。厚肉部17の表面18及び裏面19は平面形状である。一方、薄肉部13の表面14及び裏面15は後述するように、表側及び裏側凹部7、10の底面8、11及び側面9、12(図4等参照)の形状が反映される。
このようなカバーガラス1は、携帯情報端末の任意の面を保護するために筐体等に組み込まれる際、裏側凹部10にセンサー、照明、カメラ等の各種装置を配置できるので、スペース効率を向上させることが可能である。センサーとしては、指紋、虹彩、静脈などの生体認証センサーが挙げられ、センシング方式として静電容量式、光学式、赤外線式、超音波式などのセンサーが知られており、その他に照度センサー、温度センサー等が挙げられる。ここで、裏側凹部10に組み込んだ装置は、Z方向に対向する薄肉部13によって保護されるので、上述した特許文献1の発明と異なりセンサーカバー等の異種材料を併用することなく、材料的に一様で統一感のある意匠性に優れたカバーガラス1を実現できる。また、部材点数が少なく済み、組立工程を簡略化できるので、コスト削減にも多大な効果がある。さらに別部材を組み込むためのカバーガラス開口が減らせるため、防水・防滴性の付与が容易になる。さらに、厚肉部17の表面18が平面形状であるのに対し、表面側から見て薄肉部13が凹入しているため、携帯情報端末の使用者は、薄肉部13の位置、並びに当該薄肉部13の裏側の各種装置の位置を、視覚や触覚等により容易に認識することが可能である。
表側及び裏側凹部7、10は、研削加工等の機械加工によっても設けることが可能であるが、エッチングにより設けられることが好ましい。エッチングによれば、微細な傷や欠点が取り除かれ、カバーガラス1の強度が向上する。また、エッチングは等方的に進行するので、後述するように表裏面にマスク部材を配置してエッチングした場合、表裏面のエッチング深さをほとんど等しくでき、薄肉部13のZ方向厚さの制御が容易であり、しかも一工程で完了する。このようなエッチング処理によれば、図4に示すように、表側凹部7の深さdと裏側凹部10の深さd10とがほぼ等しくなる。そして、薄肉部13はカバーガラス1のZ方向中央部に位置することになるので、表側及び裏側凹部7、10の形状及び面積を同一とした(表裏対称とした)場合、化学強化による表裏の応力分布が等しくなり、理論上は薄肉部13の反りを抑制できる。実際は、表裏面の僅かなエッチング量の差や、表側及び裏側凹部7、10の形状差が存在するので、その後の化学強化によって薄肉部13に反りが発生する。しかしながら、薄肉部13に反りが生じたとしても、反りの程度は僅かであり、表側及び裏側凹部7、10の底面8、11が表面3及び裏面5から突出しない。また、表側及び裏側凹部7、10の形状が同一の場合、表裏を選ばずにカバーガラス1を使用できる。
表裏面のエッチング深さを異ならせる(表側凹部7の深さdと裏側凹部10の深さd10とを異ならせる)には、表裏面を別々にエッチングしたり、表裏面のエッチング条件を異ならせる等の工程が必要になり、作業工程が複雑になるうえ、薄肉部13の厚さコントロールが困難となる。
図4には、表側及び裏側凹部7、10の形状がより詳細に示されている。図4(b)に示すように、表側及び裏側凹部7、10は、Z方向から見たとき、X方向に延びる短辺とY方向に延びる長辺とを有する略矩形形状である。また、表側及び裏側凹部7、10はそれぞれ、略平坦な底面8、11と、底面8、11の周縁部に接続する側面9、12と、を有する。側面9、12は、底面8、11と滑らかに接続する曲面形状(R形状)とされる。この構成により、底面8、11と側面9、12との接続部における応力集中が緩和され、強度が向上する。特に、裏側凹部10に指紋認証センサー40が配置される場合(図5参照)には、認証のたびに薄肉部13に指を押し当てることになるため、上記接続部には繰り返し力がかかるので、形状的にその部分の応力集中を抑制する効果がある。側面9、12の曲率半径は、表側及び裏側凹部7、10の中央部から周縁部に向かうにしたがって大きくなる。すなわち、側面9、12は、X方向外側及びY方向外側に向かうにしたがって、なだらかになる曲面である。この構成により、表側凹部7への指入れ性が向上し、表側凹部7の底面8に自然に指先の中心部分を導くことができる。この構成により、表側凹部7への指入れ性が向上し、表側凹部7の底面8に自然に指先の中心部分を導くことができる。より具体的に、側面9、12の曲率半径は、0.1mm以上2mm以下とすることが好ましく、0.2mm以上1mm以下とすることがより好ましい。仮に、側面9、12の曲率半径が0.1mm未満の場合、前述した強度向上の効果が弱くなり、底面8、11と側面9、12との接続部にたまった塵などを爪先や布等で除去しにくくなる。また、側面9、12の曲率半径が2mmより大きい場合、後述する1回のエッチング工程では加工が困難となる。後述する1回のエッチング工程での加工性を考慮すると、表側及び裏側凹部7、10の深さd、d10に対し、側面9、12の曲率半径は3倍以内であることが好ましく、2倍以内であることがより好ましい。
なお、図5に示すように、側面9、12と表面3及び裏面5との接続部分も滑らかに連続する曲面形状とすることが好ましい。当該接続部分をエッジのない曲面形状とすることにより、落下や外部の堅い部材との接触による欠けや破損を生じにくくする効果がある。側面9、12と表面3及び裏面5との接続部分を滑らかに連続する曲面形状とするには、表側凹部7及び裏側凹部10形成後に接続部分をバフ研磨等により仕上げることもできる。しかし、表側及び裏側凹部7、10がウェットエッチングによって設けられる場合には、エッチング工程後、ガラス基板をエッチャントから分離しマスクを剥離・洗浄するまでの時間を通常より長く保持することによっても、上記接続部分を滑らかに連続する曲面形状とすることが可能である。エッチングによって形成された表側及び裏側凹部7、10の側面9、12とマスクとの境界部分にエッチャントが表面張力により残存し、残存したエッチャントに接する側面9、12と表面3及び裏面5との接続部分でわずかながらエッチングが進行するため、当該接続部分のエッジが滑らかな連続曲面となる。そのための保持時間は、使用するエッチャントとガラス基板のエッチング耐性とにより数秒から数十分の間で調整する。
なお、表側及び裏側凹部7、10のうち、指を接触させる表側凹部7は、側面9を上述したような滑らかな曲面形状とすることが好ましいが、裏側凹部10の側面12は必ずしも曲面形状としなくても構わない。例えば、裏側凹部10の側面12は、Z方向に延びる(XY平面と垂直な)平面であってもよく、その場合、側面12と底面11は互いに垂直に接続し、側面12と裏面5は互いに垂直に接続する。
本実施形態のように、裏側凹部10に静電容量方式センサー40が配置される場合、薄肉部13の表面14の算術平均粗さRaは、50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。指紋認証センサー等の静電容量方式センサー40は、図5に示すように、接着層41を介して裏側凹部10(薄肉部13の裏面15)に配置されると共に、薄肉部13の表面14に当接した被検出物(例えば指)を検出する。なお、センサー40が筐体等に固定される場合には、上記接着層41を設けなくても良い。したがって、薄肉部13の表面14の算術平均粗さRaが50nm以下であると、指の指紋の凹凸の程度と比べて十分に小さくなるため、センシング感度が高くなる点で好ましい。また、このような構成においては、携帯情報端末の使用者は、表側凹部7によって、薄肉部13の位置及び薄肉部13の裏面15に配置された静電容量方式センサー40の位置を、視覚や触覚等により容易に認識することが可能である。また、薄肉部13の表面14の算術平均粗さRaの下限は、特に限定されないが、好ましくは2nm以上であり、より好ましくは4nm以上である。なお、薄肉部13の表面14の算術平均粗さRaは、研磨砥粒や研磨方法等の選択により調整できる。
薄肉部13の裏面15(裏側凹部10の底面11及び側面12)の算術平均粗さRaは、より好適には薄肉部13の表面14と同様に、50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。薄肉部13の裏面15の算術平均粗さRaが50nm以下であると、指の指紋の凹凸の程度と比べて十分に小さくなるため、センシング感度が高くなる点で好ましい。
算術平均粗さRaは、日本工業規格 JIS B0601に基づいて測定できる。
また、表側及び裏側凹部7、10は、同一形状である必要はなく、互いに面積や形成等が異なっていても構わない。これにより、配置されるセンサー等の装置に合わせて、裏側凹部10の大きさを適宜変更できる。例えば図6に示すように、裏側凹部10の面積を、表側凹部7の面積よりも大きく設定することにより、X、Y方向のうち少なくとも一方向において、センサー40の寸法を表側凹部7の寸法よりも大きくできる。ここで、センサー40は、センシングを行うセンサー本体46と、センサー本体46のXY方向における外周を支持固定する筐体47と、を有する。したがって、センサー40全体の寸法を表側凹部7の寸法よりも大きくし、当該センサー40を薄肉部13の裏面15に配置することで、薄肉部13を補強することが可能である。また、面積が小さな表側凹部7は裏側に向かって凸変形し、面積の大きな裏側凹部10は表側に向かってに凸変形しようとするため、互いの変形モードが相殺し合って、薄肉部13の反りが抑制される。ここで、センサー本体46の寸法は、適切にセンシングを行うために、表側凹部7全体の寸法よりも小さいことが好ましい。すなわち、表側凹部7全体の寸法は、センサー本体46の寸法よりも大きく、且つセンサー40全体の寸法より小さいことが好ましい。
薄肉部13のヘイズ値(曇り度)は、16%以下であることが好ましく、15%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。薄肉部13のヘイズ値を16%以下とすることで、薄肉部13の平坦性とカバーガラス1の美観性を両立できる。すなわち、薄肉部13のヘイズ値が16%以下であり当該薄肉部13の平坦性が高いので、上述したように裏側凹部10に静電容量方式センサー40が配置された場合であっても、所望のセンシング能力を実現することが可能である。
また、薄肉部13の平坦性は、薄肉部13の裏面15に印刷した場合に印刷層の平坦性に影響を及ぼす。薄肉部13のヘイズ値を16%以下とすることで、センサー感度に影響の出ない平坦性を確保できる。一方、薄肉部13のヘイズ値が16%より大きい場合には、薄肉部13の表面にできた凹凸に、印刷に用いたインクが入りきらず、カバーガラス1を保護対象に実装した後に外観が悪くなる。
また、薄肉部13のヘイズ値を16%以下とし、当該薄肉部13の透過率を高めることで、薄肉部13と厚肉部17との間に統一感があり、全体として美観性に優れたカバーガラスが実現できる。
なお、厚肉部17のヘイズ値は1%以下、好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下である。このように、エッチング処理等により形成される薄肉部13に比べ、厚肉部17は高い平坦性及び透過率を有している。したがって、仮に薄肉部13のヘイズ値が16%より大きい場合、高い透過率を有する厚肉部17に対し、薄肉部13が曇ってしまい、カバーガラス1全体としての意匠性が悪化してしまう。
なお、薄肉部13のヘイズ値は、表側及び裏側凹部7、10を設ける際のエッチング条件等により調整できる。ヘイズ値は、日本工業規格 JIS K7136に基づいて測定できる。
表側及び裏側凹部7、10の底面8、11は、中心部に向かうにしたがってZ方向に突出する形状としても良い。図7には、表側凹部7の底面8がZ方向に突出する形状である場合が示されている。これにより、突出した部位の指触り感が良くなる。底面8、11の突出部の中心部(最も突出している部分)のZ方向厚みtは5μm以上20μm以下が好ましい。底面8、11の突出部のZ方向厚みtが20μm以上である場合、センサーが誤認識する可能性が高くなり、5μm以下である場合指触りの感覚で変化を確認できなくなる。なお、底面8、11の突出部の有無、及び突出部のZ方向厚みは、表側及び裏側凹部7、10を設ける際のエッチング条件等により調整できる。底面8、11の突出部のZ方向厚みtは、例えば株式会社キーエンス製のレーザー変位計LT−9000で測定できる。
カバーガラス1は化学強化ガラスであることが好ましい。化学強化されたカバーガラス1は、薄肉部13及び厚肉部17の表面14、18及び裏面15、19に圧縮応力層が形成されているため、高い機械的強度を得ることができる。
ここで、化学強化ガラスの内部引張応力(CT:Central Tension)は一般に、板厚Tと、圧縮応力層の表面圧縮応力CS(Compressive Stress)と、圧縮応力層の深さDOL(Depth Of Layer)と、によって、関係式CT=(CS×DOL)/(t−2×DOL)により近似的に求めることができる。したがって、同じCSで、且つ同じDOLの場合、板厚が小さいほどCTが大きくなる。薄肉部13と厚肉部17を有するカバーガラス1のように部分的に板厚の異なる部分があるガラスに対し、一般的なアルカリ金属溶融塩に浸漬する化学強化を行うと、表面及び裏面から等方的にイオン交換され、部分的な板厚差に関わらず同じCS、同じDOLとなる。このとき、通常の平坦なカバーガラスに行われるような条件で化学強化を行うと、薄肉部13のCTが過剰に大きくなり自爆破壊のおそれが高くなる。一方、薄肉部13が破壊しない程度のCS、DOLに合せた条件で全体を化学強化すると、強化としては弱い化学強化とならざるを得ず、厚肉部17の強度が、薄肉部13を持たない平坦なカバーガラスに較べて弱くなる。したがって、厚肉部17には通常の平坦なカバーガラスと同等のCS、DOLを与えつつ、薄肉部13には、当該薄肉部13が破壊しない程度のCS、DOLを与えることが望ましい。すなわち、厚肉部17に形成された圧縮応力層の深さよりも、薄肉部13に形成された圧縮応力層の深さの方が小さいことが望ましい。より具体的には、厚肉部17のCSは、好ましくは400MPa以上、さらに好ましくは500MPa以上、さらに好ましくは600MPa以上とし、DOLは、好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上、さらに好ましくは25μm以上とする。厚肉部17のCSは、好ましくは1300MPa以下、さらに好ましくは1200MPa以下、さらに好ましくは1100MPa以下とし、DOLは、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下、さらに好ましくは70μm以下とする。また、薄肉部13のCSは、好ましくは300MPa以上、さらに好ましくは400MPa以上、さらに好ましくは500MPa以上とし、DOLは、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは7μm以上、さらに好ましくは10μm以上とする。また、薄肉部13のCSは、好ましくは1300MPa以下、さらに好ましくは1200MPa以下、さらに好ましくは1100MPa以下とし、DOLは、好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下とする。これによって、厚肉部17には、凹部を持たない通常の平坦なカバーガラスと同等の強度をもたせつつ、薄肉部13には、可能な範囲で必要な強化を与えることができる。本実施形態の場合、薄肉部13は表面3及び裏面5から凹入した位置にあるため、カバーガラス1を使用した機器を落下させたような場合でも、薄肉部13が直接床面(地面)に接触する確率が低く、薄肉部13が厚肉部17よりも低いCS、DOLであっても破損しにくい。このように薄肉部13と厚肉部17のCS、DOLを異ならせる方法については後述する。
カバーガラス1は、平滑性を高めるため、表面3及び裏面5が研磨加工されることが好ましい。例えば、スエードパッドを用いて、酸化セリウムまたはコロイダルシリカ含む研磨スラリーを研磨剤として行うと、カバーガラス1の表面3及び裏面5に存在する傷(クラック)やカバーガラス1の撓みや凹みを除去することができ、カバーガラス1の強度が向上する。当該研磨は、カバーガラス1の化学強化前後どちらで行っても良いが、化学強化後に行うことが好ましい。なぜならば、イオン交換による化学強化を施した強化ガラス板は、その表面及び裏面に欠陥が発生する。また、最大で1μm程度の微細な凹凸が残留することがある。ガラス板に力が作用する場合、前述の欠陥や微細な凹凸が存在する箇所に応力が集中し、理論強度よりも小さな力でも割れることがある。そのため、化学強化後のガラス板の表面に存在する、欠陥及び微細な凹凸を有する層(欠陥層)を研磨により除去する。なお、欠陥が存在する欠陥層の厚さは、化学強化の条件にもよるが、通常、0.01〜0.5μmである。
また、上述したように、本実施形態のカバーガラス1は携帯情報端末の保護用途に限定されるものではないが、特に携帯情報端末の保護のために用いられる場合、厚肉部17のZ方向厚みは、2mm以下であり、好ましくは1.5mm以下であり、より好ましくは0.8mm以下である。なぜなら、2mmよりも厚い場合、薄肉部13との厚みの差が大きくなり、加工が困難になるほか、携帯情報端末の使用には質量増になるからである。また、厚肉部17のZ方向厚みは、その剛性を高めるため、0.1mm以上であり、好ましくは0.15mm以上であり、より好ましくは0.2mm以上である。0.1mmより薄い場合、剛性が低くなり過ぎ、携帯情報端末の保護の用をなさない恐れがある。
また、薄肉部13のZ方向厚みは、0.4mm以下であり、好ましくは0.35mm以下であり、より好ましくは0.3mm以下であり、さらに好ましくは0.25mm以下であり、特に好ましくは0.2mm以下であり、最も好ましくは0.1mm以下である。特に、薄肉部13の裏面15に静電容量式センサーが配置された場合、薄肉部13が薄いほど、検出される静電容量が大きくなり、センシング感度が向上する。例えば、指先の指紋の微細な凹凸を検出する指紋認証の場合にも、指先の指紋の微細な凹凸に応じた静電容量の差が大きくなるため、高いセンシング感度での検出を行うことができる。一方、薄肉部13のZ方向厚みの下限は、特に限定されないが、薄肉部13が過度に薄くなると、強度が低下し、センサー等の保護部としての適切な機能を発揮し難くなる傾向がある。したがって、薄肉部13のZ方向厚みは、例えば0.01mm以上であり、好ましくは0.05mm以上である。薄肉部13のZ方向厚みに対して、厚肉部17のZ方向厚みは10倍以下が好ましく、より好ましくは8倍以下である。薄肉部13のZ方向厚みに対して、厚肉部17のZ方向厚みが10倍以上であると、加工に困難が生じる恐れがある。薄肉部13のZ方向厚みに対する、厚肉部17のZ方向厚みの比率は特に下限値はなく、用途に応じて設定できる。携帯情報端末の保護用途では、典型的に1.5倍以上である。厚肉部17に対する薄肉部13の面積の比率は、1/2以下であり、好ましくは1/3以下であり、より好ましくは1/4以下である。厚肉部17に対する薄肉部13の面積の比率が1/2より大きいと強度が著しく損なわれる恐れがある。
薄肉部13のヤング率は60GPa以上であり、好ましくは65GPa以上であり、より好ましくは70GPa以上である。薄肉部13のヤング率が60GPa以上であると、外部からの衝突物との衝突に起因する薄肉部13の破損を十分に防止できる。また、静電容量方式センサーが裏側凹部10に配置される場合には、スマートフォン等の落下や衝突に起因する薄肉部13の破損を十分に防止できる。さらに、薄肉部13により保護されるセンサーの破損等を、十分に防止できる。また、薄肉部13のヤング率の上限は特に限定されないが、生産性の観点から、薄肉部13のヤング率は、例えば200GPa以下であり、好ましくは150GPa以下である。
薄肉部13のビッカース硬度Hvは、好ましくは400以上であり、より好ましくは500以上である。薄肉部13のビッカース硬度が400以上であると、外部からの衝突物との衝突に起因する薄肉部13の擦傷を十分に防止できる。また、静電容量方式センサーが裏側凹部10に配置される場合には、スマートフォン等の落下や衝突に起因する薄肉部13の擦傷を十分に防止できる。さらに、薄肉部13により保護されるセンサーの破損等を、十分に防止できる。また、薄肉部13のビッカース硬度の上限は、特に限定されないが、過度に高すぎると研磨や加工が困難となる場合がある。したがって、当該化学強化ガラスのビッカース硬度は、例えば1200以下であり、好ましくは1000以下である。なお、ビッカース硬度は、例えば日本工業規格JIS Z 2244に記載された、ビッカース硬さ試験により測定できる。
薄肉部13の周波数1MHzでの比誘電率は、好ましくは7以上であり、より好ましくは7.2以上であり、さらに好ましくは7.5以上である。静電容量方式センサーが薄肉部13の裏面15に配置される場合、薄肉部13の比誘電率を高くすることにより、検出される静電容量を大きくでき、優れたセンシング感度を実現できる。特に、薄肉部13の周波数1MHzでの比誘電率が7以上であると、指先の指紋の微細な凹凸を検出する指紋認証の場合にも、指先の指紋の微細な凹凸に応じた静電容量の差が大きくなるため、高いセンシング感度での検出できる。また、薄肉部13の比誘電率の上限については、特に限定されないが、過度に高すぎると誘電損失が大きくなり、消費電力が増加し、また、反応が遅くなる場合がある。したがって、薄肉部13の周波数1MHzでの比誘電率は、例えば好ましくは20以下であり、より好ましくは15以下である。比誘電率は、カバーガラス1の両面に電極を作製したキャパシタンスの静電容量を測定することによって得られる。
カバーガラス1の裏面5には、印刷層が設けられることが好ましい。特に、裏側凹部10(薄肉部13の裏面15)にも印刷層を設けることが好ましい。このような印刷層を設けることにより、カバーガラス1の保護対象である携帯情報端末や、薄肉部13の裏面15に配置された静電容量方式センサーが、カバーガラス1を介して視認されることを効果的に防止できる。また、所望の色を付与することができ、優れた外観性を得られる。カバーガラス1(薄肉部13)の静電容量を高く維持するためには、印刷層の厚みは薄ければ薄い程良い。印刷層の厚みは、30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましく、10μm以下が特に好ましい。但し、比誘電率が高い化合物を含むインク(例えばTiOを含むインク)を使用した白印刷では、印刷層の比誘電率が高いので、印刷層の厚みは100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、25μm以下が特に好ましい。
カバーガラス1の裏面5に印刷層が設けられる場合には、静電容量方式センサー等の装置は、当該印刷層の裏面において裏側凹部10とZ方向に対向する位置(薄肉部13の裏側)に配置される。したがって、印刷層の表面の算術平均粗さRaは、50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。さらに好適には、印刷層の裏面の算術平均粗さRaも、50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。印刷層の表面及び裏面の算術平均粗さRaが50nm以下であると、指の指紋の凹凸の程度と比べて十分に小さくなるため、センシング感度が高くなる点で好ましい。また、印刷層の表面及び裏面の算術平均粗さRaの下限は、特に限定されないが、好ましくは2nm以上であり、より好ましくは4nm以上である。
(カバーガラスの製造方法)
上述したカバーガラス1は、図8〜12に示すように、当該カバーガラス1と同一寸法のガラス基板101の表面103及び裏面105に、それぞれ対向する少なくとも一つの表側及び裏側凹部107、110を設けることによって、得ることができる。
ガラス基板101の製造方法について説明する。先ず、各成分の原料を後述する組成となるように調合し、ガラス溶融窯で加熱溶融する。バブリング、撹拌、清澄剤の添加等によりガラスを均質化し、公知の成形法により所定の厚さのガラス板に成形し、徐冷する。ガラスの成形法としては、例えば、フロート法、プレス法、フュージョン法、ダウンドロー法及びロールアウト法が挙げられる。特に、大量生産に適したフロート法が好適である。また、フロート法以外の連続成形法、すなわち、フュージョン法およびダウンドロー法も好適である。任意の成形法により平板状に成形されたガラス部材は、徐冷された後、所望のサイズ(カバーガラス1のサイズ)に切断される。なお、より正確な寸法精度が必要な場合等には、切断後のガラス部材に研磨加工を施してもよい。これにより、図8に示すような、平面状の表面103及び裏面105(図12参照)を有し、全体として平板状であるガラス基板101が得られる。
続いて、ガラス基板101の表面103及び裏面105に、それぞれ対向する少なくとも一つの表側及び裏側凹部107、110を設ける凹部形成工程に移行する。凹部形成工程では、ガラス基板101の表面103に図9に示すような表側マスク部材201を配置し、且つ、ガラス基板101の裏面105に図10に示すような裏側マスク部材301を配置した上で、ガラス基板101にエッチング処理が施される。
表側マスク部材201のX方向寸法及びY方向寸法は、ガラス基板101の表面103全体を覆うことが可能であるように設定されている。図9の例では、表側マスク部材201のX方向寸法及びY方向寸法は、ガラス基板101のX方向寸法及びY方向寸法とほぼ等しい。さらに、表側マスク部材201には、ガラス基板101の表面103に、表側凹部107を形成するための表側凹部形成用孔207が設けられている。したがって、エッチャントが表側凹部形成用孔207を介してガラス基板101の表面103に到達し、図11に示すように、表側凹部107を形成する。なお、ガラス基板101の表面103に複数の表側凹部107を形成する場合には、複数の表側凹部形成用孔207を有する表側マスク部材201を用いればよい。
裏側マスク部材301のX方向寸法及びY方向寸法は、ガラス基板101の裏面全体を覆うことが可能であるように設定されている。図10の例では、裏側マスク部材301のX方向寸法及びY方向寸法は、ガラス基板101のX方向寸法及びY方向寸法とほぼ等しい。さらに、裏側マスク部材301には、ガラス基板101の裏面105に、裏側凹部110を形成するための裏側凹部形成用孔310が設けられている。したがって、エッチャントが裏側凹部形成用孔310を介してガラス基板101の裏面105に到達し、図12に示すように、裏側凹部110を形成する。なお、ガラス基板101の裏面105に複数の裏側凹部110を形成する場合には、複数の裏側凹部形成用孔310を有する裏側マスク部材301を用いればよい。
このように、ガラス基板101は、少なくとも一つの表側及び裏側凹部107、110が設けられることにより形成された少なくとも一つの薄肉部113と、薄肉部113に接続する厚肉部117と、を備える。
ここで、ガラス基板101の表側及び裏側凹部107、110及び薄肉部113の構成(形状、寸法等)は、上述したカバーガラス1の表側及び裏側凹部7、10及び薄肉部13と同一の構成を有する。すなわち、薄肉部113の表面及び裏面の算術平均粗さRaは、50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。薄肉部113のヘイズ値は、16%以下であることが好ましく、15%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。ガラス基板101の表側及び裏側凹部107、110の底面は、カバーガラス1の表側及び裏側凹部7、10と同様(図7参照)、中心部に向かうにしたがって突出する形状としてもよい。
ガラス基板101の表側凹部107の側面は、カバーガラス1の表側凹部7の側面9と同様(図4〜図7参照)、該表側凹部107の底面8と滑らかに接続する曲面形状であることが好ましい。表側107の側面の曲率半径は、表側凹部107の中央部から周縁部に向かうにしたがって大きくなることが好ましい。表側凹部107の側面の曲率半径は、該表側凹部107の底面の深さ以上に設定されることが好ましい。表側凹部107の側面の曲率半径は、0.1mm以上2mm以下とすることが好ましい。表側凹部107の側面と表面103との接続部分は、カバーガラス1の表側凹部7の側面9と表面3又は裏面5との接続部分と同様(図5及び図6参照)、滑らかに連続する曲面形状であることが好ましい。
表側マスク部材201及び裏側マスク部材301の材料は、例えば感光性有機材料、特に感光性樹脂材料であるレジストや樹脂、金属膜、セラミックスなど耐エッチャント性材料からなる。表側及び裏側凹部形成用孔207、310は、レジストの場合には所定の露光、現像を行うことにより形成される。
エッチング方法は、ウェットエッチング及びドライエッチングのどちらでもよいが、コストの観点からウェットエッチングが好ましい。エッチャントとしては、ウェットエッチングの場合には、フッ酸を主成分とする溶液が挙げられ、ドライエッチングの場合には、フッ素系ガス等が挙げられる。
また、エッチング処理は、ガラス基板101とエッチャントとを、ガラス基板101の表面103又は裏面105に平行な方向(XY方向)に相対的に移動させながら行うことが好ましい。このようなエッチングは、ガラス基板101をXY方向に揺動させながら行ってもよく、エッチャントにXY方向の流れを生じさせることにより行ってもよく、両者を組み合わせて行ってもよい。基本的にエッチング処理はガラス基板101に対して等方的に進行するため、表側及び裏側凹部形成用孔207、310の開口辺直下では、エッチングされる深さと同等の半径で側面方向にもエッチングが進行し、ガラス基板101の表側及び裏側凹部107、110の側面を、カバーガラス1の表側及び裏側凹部7、10と同様(図4〜図7参照)、該表側及び裏側凹部107、110の底面と滑らかに接続する曲面形状とすることができる。また、ガラス基板101とエッチャントとを、ガラス基板101の表面103又は裏面105に平行な方向(XY方向)に相対的に移動させながらエッチングを行えば、エッチングの進行に伴って表側及び裏側凹部形成用孔207、310の開口辺からガラス基板101の表側及び裏側凹部107、110側に巻き込む流れが生じ、表側及び裏側凹部107、110の中央部よりも周辺部から側面への流速が早まるため、相対的に表側及び裏側凹部107、110の周縁から側面側にかけてのエッチングレートが高くなり、表側及び裏側凹部107、110の側面の曲率半径を表側及び裏側凹部107、110の中央部から周縁部に向かうにしたがって大きくできる。また、表側及び裏側凹部107、110の側面の曲率半径を該表側及び裏側凹部107、110の底面の深さ以上とすることができる。また、エッチング処理時間およびガラス基板101とエッチャントとの相対移動速度を調整することにより、表側及び裏側凹部107、110の側面の曲率半径を0.1mm以上2mm以下に調整できる。さらに、上記のようにガラス基板101とエッチャントとを、ガラス基板101の表面103又は裏面105に平行な方向(XY方向)に相対的に移動させながらエッチングを行うことにより、表側凹部107の底面を中心部に向かうにしたがって突出する形状とすることができる。
また、表側及び裏側凹部107、110の底面の算術平均粗さRa、すなわち表側及び裏側凹部107、110が設けられることにより形成された薄肉部113の表面及び裏面の算術平均粗さRaを50nm以下とするには、ガラス基板101上のエッチング液の流動性を上げるようにエッチング処理を行えばよい。また、薄肉部113のヘイズ値を16%以下とするためには、ガラス基板101上のエッチング液の流動性を上げるようにエッチング処理を行えばよい。また、表側凹部107の底面を中心部に向かうにしたがって突出する形状とするには、エッチング液が表側凹部107の角部にぶつかるような流れをつくるようにエッチング処理を行えばよい。
なお、エッチング処理は、ガラス基板101の表面103及び裏面105に対して同時に行われることが好ましい。この場合、表面103及び裏面105のエッチング深さ(表側及び裏側凹部107、110の深さ)をほぼ等しくできるので、薄肉部113の厚さ制御が容易であると共に、一工程で表裏の凹部加工が完了できる。
ガラス基板101の表面103及び裏面105に表側及び裏側凹部107、110を設ける方法は、上述したようなエッチング処理による方法に限定されず、機械加工による方法でも構わない。当該機械加工による方法では、マシニングセンターやその他数値制御工作機械を用いて、ガラス基板101の表面103及び裏面105に、砥石を接触させた上で回転変位させ、所定の寸法の表側及び裏側凹部107、110を形成する。例えば、ダイヤモンド砥粒、CBN砥粒等を電着又はメタルボンドで固定した砥石を用いて、主軸回転数100〜30,000rpm、切削速度1〜10,000mm/minで研削する。
続いて、表側及び裏側凹部107、110の底面及び側面を研磨加工してもよい。研磨加工工程では、回転研磨ツールの研磨加工部を、表側及び裏側凹部107、110の底面及び側面にそれぞれ別個に独立した一定圧力で接触させて、一定速度で相対的に移動させて行う。一定圧力、一定速度の条件で研磨を行うことにより、一定の研磨レートで研削面を均一に研磨できる。回転研磨ツールの研磨加工部の接触時の圧力としては、経済性及び制御のし易さ等の点で1〜1,000,000Paであることが好ましい。速度は、経済性及び制御のし易さなどの点で1〜10,000mm/minが好ましい。移動量はガラス基板101の形状、大きさに応じて適宜決められる。回転研磨ツールは、その研磨加工部が研磨可能な回転体であれば特に限定されないが、ツールチャッキング部を有するスピンドル、リューターに研磨ツールを装着させる方式等が挙げられる。回転研磨ツールの材質としては、少なくともその研磨加工部がセリウムパッド、ゴム砥石、フェルトバフ、ポリウレタン等、被加工物を加工除去でき、且つヤング率が好ましくは7GPa以下、更に好ましくは5GPa以下のものであれば種類は限定されない。回転研磨ツールの材質をヤング率7GPa以下の部材を用いることにより、圧力により研磨加工部を表側及び裏側凹部107、110の形状に沿うように変形させて、底面及び側面を上述した所定の表面粗さに加工することが可能となる。回転研磨ツールの研磨加工部の形状は円又はドーナツ型の平盤、円柱型、砲弾型、ディスク型、たる型等が挙げられる。
表側及び裏側凹部107、110の底面及び側面に回転研磨ツールの研磨加工部を接触させて研磨を行う場合、研磨砥粒スラリーを介在させた状態で加工を行うことが好ましい。この場合、研磨砥粒としてはシリカ、セリア、アランダム、ホワイトアランダム(WA)、エメリー、ジルコニア、SiC、ダイヤモンド、チタニア、ゲルマニア等が挙げられ、その粒度は10nm〜10μmが好ましい。回転研磨ツールの相対移動速度は、上述したように、1〜10,000mm/minの範囲で選定できる。回転研磨ツールの研磨加工部の回転数は100〜10,000rpmである。回転数が小さいと加工レートが遅くなり、所望の表面粗さにするのに時間がかかりすぎる場合があり、回転数が大きいと加工レートが速くなったり、ツールの磨耗が激しくなるため、研磨の制御が難しくなる場合がある。
上述したように表側及び裏側凹部107、110の底面及び側面をそれぞれ独立の圧力で回転研磨ツールを接触させて研磨加工する場合、圧力の調節は、空気圧ピストン、ロードセル等を用いることができる。例えば、回転研磨ツールを表側及び裏側凹部107、110の底面に向かって進退させる空気圧ピストンと、回転研磨ツールを表側及び裏側凹部107、110の側面に向かって進退させる他の空気圧ピストンと、を設ければ、表側及び裏側凹部107、110の底面及び側面に対する研磨加工部の圧力を調整できる。このように、表側及び裏側凹部107、110の底面と側面への圧力を独立させ、単独の回転研磨ツールをそれぞれの面に独立した一定圧力で回転研磨ツールを接触させながら、一定速度で相対的に移動させることにより、それぞれの面を同時に独立の研磨レートで均一に研磨できる。
なお、表側及び裏側凹部107、110の形状に沿うように回転研磨ツールとガラス基板101とを相対的に移動させて研磨加工してもよい。移動させる方式は移動量、方向、速度を一定に制御できる方式であればいかなるものでもよい。例えば、多軸ロボット等を用いる方式等が挙げられる。
以上のように、Z方向に対向する少なくとも一つの表側及び裏側凹部107、110が形成されたガラス基板101(図11及び12参照)は、その状態のまま表側及び裏側凹部7、10を有するカバーガラス1として用いてもよく、ガラス基板101に化学強化した後カバーガラス1として用いてもよい。
化学強化とは、ガラスの表層のイオン半径が小さいアルカリイオン(例えば、ナトリウムイオン)をイオン半径の大きなアルカリイオン(例えば、カリウムイオン)に置換(イオン交換)することをいう。化学強化の方法としてはガラスの表層のアルカリイオンをよりイオン半径の大きなアルカリイオンとイオン交換できるものであれば特に限定されないが、例えば、ナトリウムイオンを含有するガラスを、カリウムイオンを含む溶融塩で処理することにより行うことができる。このようなイオン交換処理が行われるため、ガラス表層の圧縮応力層の組成はイオン交換処理前の組成と若干異なるが、基板厚み中央部の組成はイオン交換処理前の組成とほぼ同じである。
化学強化ガラスには、表層に圧縮応力層が形成される。圧縮応力層の表面圧縮応力(CS)は300MPa以上であることが好ましく、400MPa以上であることがより好ましい。CSは、表面応力計(例えば、折原製作所製FSM−6000)等を用いて測定できる。
化学強化によりガラス表層のナトリウムイオンと溶融塩中のカリウムイオンとをイオン交換する場合、化学強化によって生じる表面圧縮応力層の深さ(DOL)は任意の方法により測定できるが、例えばEPMA(electron probe micro analyzer、電子線マイクロアナライザー)にてガラスの深さ方向のアルカリイオン濃度分析(この例の場合はカリウムイオン濃度分析)を行い、測定により得られたイオン拡散深さをDOLとみなすことができる。また、DOLは表面応力計(例えば、折原製作所製FSM−6000)等を用いても測定できる。また、ガラス表層のリチウムイオンと溶融塩中のナトリウムイオンとをイオン交換する場合、EPMAにてガラスの深さ方向のナトリウムイオン濃度分析を行い、測定により得られたイオン拡散深さをDOLとみなす。
カバーガラス1(ガラス基板101)の内部引張応力(CT)は、好ましくは300MPa以下であり、より好ましくは250MPa以下、さらに好ましくは200MPa以下、最も好ましくは170MPa以下である。
化学強化を施す前のガラス基板101又はカバーガラス1の歪点は530℃以上であることが好ましい。化学強化前のガラス基板101又はカバーガラス1の歪点を530℃以上とすることにより、表面圧縮応力の緩和が生じにくくなるからである。
ここで、化学強化は、凹部形成工程後のみ行ってもよいが、凹部形成工程前後に行うことが好ましい。すなわち、カバーガラス1の製造方法は、ガラス基板101を化学強化する工程(第1化学強化工程)と、ガラス基板101に表側及び裏側凹部107、110を設ける凹部形成工程と、表側及び裏側凹部107、110が設けられたガラス基板101を再度化学強化する工程(第2化学強化工程)と、を含むことが好ましい。これによれば、先ず、第1化学強化工程において、ガラス基板101の全体(薄肉部113及び厚肉部117)に通常の平坦なカバーガラスと同等のCS、DOLが与えられる。次いで、凹部形成工程において、表側及び裏側凹部107、110を設けることによって強化されていない薄肉部113を露出させる。さらに、第2化学強化工程において、再び薄肉部113が破壊しない程度の強化条件で再強化を行う。したがって、厚肉部117に十分な強度を持たせながら薄肉部113にも好適な強度を与えることができる。
このように、凹部形成工程前後に化学強化を行う場合には、第1化学強化工程においてガラス基板101を400〜500℃に加熱された30〜100%のKNO溶融塩に1〜24時間に亘って接触させ、第2化学強化工程においてガラス基板101を350〜450℃に加熱された70〜100%のKNO溶融塩に1分〜3時間に亘って接触させることが好ましい。当該条件によれば、厚肉部117の最表面のCSを400〜1300MPa、DOLを15〜100μm、変曲点におけるCS、DOLをそれぞれ10〜1000MPa、1〜24μmとし、薄肉部113のCSを300〜1300MPa、DOLを5〜25μmとすることができる。
ここで、「変曲点におけるCS、DOL」の求め方について説明する。図39には、二種類の異なる化学強化条件におけるCS−DOLプロファイルが示されている。異なる条件1、2で化学強化を行ったガラスにおいて、CSとDOLの関係を表す曲線はそれぞれ曲線a、aとなる。曲線a、aの形状は互いに異なる。また、曲線aのCS及びDOLはCS及びDOLで表され、曲線aのCS及びDOLはCS及びDOLで表され、両者の値はそれぞれ異なる。上述のように、ガラス基板101に対し二段階の化学強化を実施した場合、特に条件1で化学強化したガラス基板101に引き続いて条件2で化学強化した場合を考える。この場合、図40に示すように、当該ガラス基板101の厚肉部117のCSとDOLの関係を表す曲線Aは、上記曲線a、aを重畳したような曲線となる。図41に示すように、曲線AのCS及びDOLはCS及びDOLで表される。このようなガラス基板101の厚肉部117を表面応力計により測定すると、最表面(X軸において0の位置)とDOLとの間に、変曲点Pが観察される。当該変曲点Pは、二段階の化学強化条件に形状が変化するため、どこが変曲点Pであるか判断が難しいことがある。そこで、変曲点Pの代替として交点Qを求め、当該交点Qの値を上述した「変曲点におけるCS、DOL」とみなした。交点Qは、曲線A上の(0、CS)における接線kと、(DOL、0)における接線をkと、の交点である。そして、交点QのY座標及びX座標の値であるCS及びDOLが、「変曲点におけるCS及びDOL」とみなされる。
薄肉部113の表面114及び裏面115のうち少なくとも一方には、薄肉部113の強化時に生じることがある反りを低減するため、膜が形成されていてもよい。不図示であるが、このような膜としては、薄肉部113の表面114に形成される表面膜や、裏面115に形成される裏面膜や、表側又は裏側凹部107、110の側面に形成される側面膜等が挙げられる。
これらの膜は、それぞれ膜が形成された部分(表面114、裏面115、表側又は裏側凹部107、110の側面)が化学強化されることを抑制する。化学強化抑制効果を発揮するためには、膜は酸化物や窒化物、炭化物、ホウ化物、ケイ化物、金属等を含むことが好ましい。なぜなら、前記のような物質を含む膜は、膜中でのナトリウムイオンやカリウムイオンの拡散係数がガラス中のそれより小さくなるからである。
上記酸化物としては、例えば、無アルカリ酸化物、アルカリ元素またはアルカリ土類元素を含む複合酸化物が挙げられるが、特にSiOが好ましい。主成分としてSiOを適用することにより、膜中でナトリウムイオンやカリウムイオンの拡散が適度に抑制される。また、膜の透過率が高く、屈折率がガラスと近いため、コーティングを施したことによる外観変化を最小限に抑えることができる。また、SiOを主成分とする膜は、物理的耐久性や化学的耐久性も高い。
膜の膜厚は10nm以上であり、好ましくは12nm以上であり、より好ましくは15nm以上であり、より好ましくは20nm以上であり、さらに好ましくは25nm以上である。膜厚が10nm以上であると、イオン交換阻害の効果により、膜が形成された部分の化学強化が抑制できる。膜の膜厚が厚くなるほど、化学強化抑制効果が高くなる。
膜の膜厚は1000nm以下であり、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下であり、さらに好ましくは50nm以下である。膜厚が1000nmを超えると、薄肉部113の反りがかえって大きくなるおそれがある。また、膜がある部位とない部位の外観の差が大きくなるおそれがある。
なお、カバーガラス1は、化学強化処理が施されていないガラスであってもよい。すなわち、ガラス基板101には必ずしも化学強化処理を施す必要はない。
また、上述したように、ガラス基板101の表面103及び裏面105には、それぞれ対向する複数の表側及び裏側凹部107、110を設けても構わない。例えば、図13に示すように、カバーガラス1裏に配置すべきセンサー40やカメラモジュール42等の各種装置の数が複数である場合、当該センサー40やカメラモジュール42等の個数と同数の表側及び裏側凹部107、110を設ければよい。
図13には、センサー40、カメラモジュール42、及び液晶層44をスマートフォン等の筐体43に収納した状態が示されている。ここで、液晶層44は、接着層45を介してカバーガラス1の裏面5(厚肉部17の裏面19)に固定される。また、カメラモジュール42はレンズ側の先端部が筐体43に固定される。このような構成において、カメラモジュール42の先端部が、筐体43よりも外側に延在してしまうことがある。しかしながら、図示の例のように、カメラモジュール42と対向する位置において、カバーガラス1の裏面5に裏側凹部10を設けることで、当該裏側凹部10にカメラモジュール42の基部を収納し、当該カメラモジュール42の厚みを吸収することができ、薄肉化の進む機器のカメラ部を含むフラッシュサーフェイス化に貢献できる。また、カメラモジュール42の先端部と基部を逆にして、カメラモジュール42のレンズをカバーガラス1の裏側凹部10に固定してもよい。これにより、カバーガラス1の表側凹部7が、一眼レフカメラのレンズでよく用いられている「レンズプロテクター」のように機能し、カメラレンズの保護や埃の侵入を防ぐ効果がある。なお、この場合、裏側凹部10の底面(薄肉部13の裏面15)は光学研磨が必要になり、裏側凹部10の側面は遮光される必要がある。指紋を付着しにくくするAFP膜やMgF等の反射防止膜等を、裏側凹部10や、薄肉部13の表面14に形成してもよい。
また、表側及び裏側凹部7、10の形状は特に限定されず、任意の形状を適用して構わない。例えば、表側及び裏側凹部7、10のZ方向から見た断面形状は、矩形形状に限定されず、例えば円形状や小判形状、楕円形状、三角形形状等が適用可能である。
カバーガラス1の表面3には、AG(anti−glare:防眩)処理を行うことでAG膜を形成してもよい。AG処理としては、フッ酸等によるエッチングによる処理や、コーティングによる処理等が挙げられる。エッチング処理による場合には、化学強化を行う前にエッチングが行われる。コーティング処理による場合には、コーティング後に化学強化してもよく、化学強化後にコーティングしてもよい。AG膜の成分が無機系材料である場合には、エッチング処理又はコーティング処理のどちらでもよく、AG膜の成分が有機系材料である場合には、コーティング処理を行えばよい。なお、AG膜の上には、AFP(Anti‐Fingerprint:耐指紋コート)層を形成してもよい。
また、カバーガラス1の表面3及び裏面5は、研磨されることが好ましい。イオン交換による化学強化を施した強化ガラス板は、その表面に欠陥が発生する。また、最大で1μm程度の微細な凹凸が残留することがある。カバーガラス1に力が作用する場合、前述の欠陥や微細な凹凸が存在する箇所に応力が集中し、理論強度よりも小さな力でも割れることがある。そのため、化学強化後のカバーガラス1の表面3及び裏面5に存在する、欠陥及び微細な凹凸を有する層(欠陥層)を研磨により除去する。なお、欠陥が存在する欠陥層の厚さは、化学強化の条件にもよるが、通常、0.01〜0.5μmである。当該研磨は、例えば両面研磨装置によって行われる。両面研磨装置は、それぞれ所定の回転比率で回転駆動されるリングギヤ及びサンギヤを有するキャリア装着部と、キャリア装着部を挟んで互いに逆回転駆動される金属製の上定盤及び下定盤と、を有して構成され、キャリア装着部には、リングギヤ及びサンギヤと噛合する複数のキャリアが装着される。キャリアは自らの中心を軸に自転し、且つサンギヤを軸に公転するように遊星歯車運動し、遊星歯車運動によりキャリアに装着された複数のカバーガラス1の両面(表面3及び裏面5)が上定盤及び下定盤との摩擦で研磨される。
さらに、カバーガラス1の裏面5には印刷層が設けられてもよい。印刷層は、例えば、所定の色材を含むインク組成物により形成できる。当該インク組成物は、色材の他、必要に応じてバインダー、分散剤や溶剤などを含むものである。色材は、顔料や染料などいずれの色材(着色剤)であってもよく、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、色材は所望される色によって適宜選択できるが、例えば、遮光性が求められる場合には、黒系色材等が好ましく用いられる。また、バインダーは、特に制限されず、例えば、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノキシ樹脂、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、セルロース類、ポリアセタール等の公知の樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂など)等が挙げられる。バインダーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
印刷層を形成するための印刷法は特に限定されるものではなく、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、パッド印刷法、スプレー印刷法などの適宜な印刷法を適用できる。
裏側凹部10の底面11又は側面12に対応する場所に色彩を付すことで、視覚的に場所を解り易くすることが可能である。また、側面12に対応する場所を鏡面反射印刷(例えばシルバー印刷)にすると、側面12の曲率を持った形状がレンズ効果を示し、側面12に対応する反射がカバーガラス1の角度を変えても広い角度で反射するため、キラキラして高級感を演出できる。
印刷は、裏側凹部10と、カバーガラス1の裏面5において裏側凹部10が形成されない平坦部分と、で個別に実施されることが好ましい。なぜなら、スクリーン印刷法等の印刷方向では、形状追従性がそれ程高くないため、裏側凹部10と、裏側凹部10が形成されない平坦部分と、を一度に印刷することが難しいからである。したがって、これらの部分の印刷を個別に実施することにより高精度な印刷を実現できる。また、裏側凹部10と裏側凹部10が形成されない平坦部分とで印刷の色彩またはテクスチャを変えることにより、センサー40の位置を視覚的に分かりやすく表示することができ、デザイン上のアクセントとすることもできる。
より具体的には図14に示すように、裏面5において裏側凹部10が形成されない平坦部分には、スクリーン印刷法等によって第一印刷層31が設けられる。なお、スクリーン印刷とは、開口部を有するスクリーン上に印刷材料を載置した後、スクリーン上でスキージを押圧摺動させ、スクリーンの開口部から印刷材料を押し出して、開口部のパターンを印刷する方法をいう。また、裏側凹部10は曲面形状である側面12を有するので、当該裏側凹部10に対してはパッド印刷法によって印刷を行うことが好適である。これにより、裏側凹部10の底面11及び側面12には第二印刷層32が形成される。ここで、パッド印刷法とは、表面にインクパターンを設けたやわらかいパッド(例えば、シリコーン製パッド)を、目的基材に押付けてインクパターンを基材表面に転写することにより印刷する方法である。パッド印刷は、タコ印刷又はタンポ印刷と呼ばれることもある。このように、パッド印刷法では、比較的やわらかく形状追従性のよいパッドが用いられるので、裏側凹部10の側面12に対する印刷は、パッド印刷法によって行うのが好ましい。一方、スクリーン印刷法等の印刷方法では形状追従性がそれ程高くなく、インクが側面12に印刷できないため不適である。なお、第一及び第二印刷層31、32に対する印刷の順序は特に限定されない。
また、図15に示すように、裏面5において裏側凹部10が形成されない平坦部分と、裏側凹部10の平坦形状の底面11と、曲面形状の側面12と、で個別に印刷しても構わない。この場合、裏面5において裏側凹部10が形成されない平坦部分には、スクリーン印刷法等によって第一印刷層31が設けられる。次に、裏側凹部10の底面11には、スクリーン印刷法等によって第二印刷層32が設けられる。そして、裏側凹部10の側面12には、パッド印刷法によって第三印刷層33が設けられる。底面11にパッド印刷がされないように、パッドは底面11に対応する部分を有さない筒形状とされる。このように、裏側凹部10の底面11及び側面12を別に印刷することで、底面11に形成される第二印刷層32の膜厚や平坦性の制御が正確になる。したがって、裏側凹部10の底面11に静電容量方式センサーを配置した場合のセンサー感度を向上することが可能である。なお、第一〜第三印刷層31〜33に対する印刷の順番は特に限定されない。また、第一印刷層31と第二印刷層32と第三印刷層33とで印刷の色彩またはテクスチャを変えることにより、センサー40の位置を視覚的に分かりやすく表示することができ、デザイン上のアクセントとすることもできる。例えば、第一印刷層31と第二印刷層32を同色にし、第三印刷層33を異なる色の印刷とした場合、第三印刷層33が環状のパターンとして認識されるデザインとすることができる。
なお、裏面5において裏側凹部10が形成されない部分や、裏側凹部10の底面11等、平坦部分に対する印刷法は、スクリーン印刷法によるものに限られず、印刷層の膜厚等を正確に制御できるものであれば、ロータリースクリーン印刷法、凸版印刷法、オフセット印刷法、スプレー印刷法等によるものでも構わない。また、静電複写法や熱転写法、インクジェット法等によるプリントでも構わない。
また、裏側凹部10の底面11が中心部に向かうにしたがってZ方向に突出する形状である場合のように、裏側凹部10の底面11が曲面形状である場合には、底面11に対する印刷もパッド印刷法で行うことが好ましい。
なお、裏側凹部10の側面12や、突出形状を有する場合の底面11等、曲面形状に対する印刷法は、当該曲面形状への追従性が良好であればパッド印刷法に限定されず、例えばスプレー印刷法を採用してもよい。
上述したカバーガラス1は、図16及び17に示すような、複数の表側及び裏側凹部107、110が設けられたガラス基板101から、複数の表側及び裏側凹部107、110をそれぞれ少なくとも一つ含むように分離することによっても得られる。
図16及び17には、保護対象を保護するカバーガラス1を複数分離するためのガラス基板101が示されている。図16及び17中、分離されるカバーガラス1の外形が破線で示されており、当該破線に沿うようにガラス基板101を切断することによって、複数のカバーガラス1を得ることができる。
ガラス基板101の表面103(図16参照)又は裏面105(図17参照)には、それぞれ対向する複数の表側及び裏側凹部107、110が設けられる。なお、後述するように、複数の表側及び裏側凹部107、110は、表面103及び裏面105をエッチング処理することによって設けられる。
ガラス基板101は、複数の表側及び裏側凹部107、110が設けられることにより形成された複数の薄肉部113と、複数の薄肉部113に接続する厚肉部117と、を備える。複数の表側及び裏側凹部107、110は、X方向及びY方向において所定間隔毎に設けられる。したがって、薄肉部113もX方向及びY方向において所定間隔毎に設けられる。なお、複数の表側及び裏側凹部107、110は必ずしも所定間隔毎に設ける必要はない。しかし、複数のカバーガラス1を分離する際のスペース効率を向上させるためには、図16及び17に示すように、複数の表側及び裏側凹部107、110を所定間隔毎に設け、各カバーガラス1を隙間なく敷き詰めることが好ましい。
ここで、ガラス基板101の表側及び裏側凹部107、110及び薄肉部113の構成(形状、寸法等)は、上述したカバーガラス1の表側及び裏側凹部7、10及び薄肉部13と同一の構成を有する。すなわち、薄肉部113の表面の算術平均粗さRaは、50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。薄肉部113のヘイズ値は、16%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく10%以下であることがさらに好ましい。ガラス基板101の表側及び裏側凹部107、110の底面は、カバーガラス1の表側及び裏側凹部107、110と同様(図7参照)、中心部に向かうにしたがって突出する形状としてもよい。
ガラス基板101の表側及び裏側凹部107、110の側面は、カバーガラス1の凹部7の側面9と同様(図4〜図7参照)、該表側及び裏側凹部107、110の底面と滑らかに接続する曲面形状であることが好ましい。表側及び裏側凹部107、110の側面の曲率半径は、表側及び裏側凹部107、110の中央部から周縁部に向かうにしたがって大きくなることが好ましい。表側及び裏側凹部107、110の側面の曲率半径は、該表側及び裏側凹部107、110の底面の深さ以上に設定されることが好ましい。表側及び裏側凹部107、110の側面の曲率半径は、0.1mm以上2mm以下とすることが好ましい。表側及び裏側凹部107、110の側面と表面103又は裏面105との接続部分は、カバーガラス1の表側及び裏側凹部7、10の側面9と表面3又は裏面5との接続部分と同様(図5及び6参照)、滑らかに連続する曲面形状であることが好ましい。
図18及び図19に示すように、ガラス基板101の表面103又は裏面105の少なくとも一方には、複数のカバーガラス1を分離する際に位置合わせを行うための複数の第一マーク121及び第二マーク122が設けられている。図18及び図19には、各カバーガラス1の外形(図16〜図19の破線)のX方向の延長線がAで表され、Y方向の延長線がBで表されている。第一マーク121は、カバーガラス1の近傍において、X方向延長線Aを挟むように一対ずつ配置されると共に、Y方向延長線Bを挟むように一対ずつ配置される。それぞれの第一マーク121は、一対の第一マーク片121aからなる。第一マーク片121aは、垂直な二辺から構成される略L字形状である。互いに隣り合う第一マーク片121aの一辺は、僅かな隙間を空けて対向する。第二マーク122は、ガラス基板101の四隅にそれぞれ配置される。第二マーク122は、垂直の二辺から構成される略十字形状である。第二マーク122を構成する二辺のうち、X方向延長線Aと平行な辺は、その一部がY方向延長線Bと交わり、Y方向延長線Bと平行な辺は、その一部がX方向延長線Aと交わる。
ガラス基板101からカバーガラス1を切断して分離する際に、第二マーク122の位置を読み取り切断場所を選択し、第一マーク121の中間部(X方向延長線A又はY方向延長線B)に切断線が来ていることを確認し、正確に切断されていることが確認できる。
次に、ガラス基板101の製造方法について説明する。先ず、各成分の原料を後述する組成となるように調合し、ガラス溶融窯で加熱溶融する。バブリング、撹拌、清澄剤の添加等によりガラスを均質化し、公知の成形法により所定の厚さのガラス板に成形し、徐冷する。任意の成形法により平板状に成形されたガラス部材は、徐冷された後、所望のサイズに切断される。なお、より正確な寸法精度が必要な場合等には、切断後のガラス部材に研磨加工を施してもよい。これにより、図20及び21に示すような、平面状の表面103及び裏面105を有し、全体として平板状であるガラス基板101が得られる。
次に、ガラス基板101に対して化学強化処理を施す(第1化学強化工程)。この第1化学強化工程においては、ガラス基板101を400〜500℃に加熱された30〜100%のKNO溶融塩に1〜24時間に亘って接触させることが好ましい。これにより、ガラス基板101の全体(薄肉部113及び厚肉部117)に通常の平坦なカバーガラスと同等のCS、DOLが与えられる。第1化学強化工程によって得られるガラス基板101(厚肉部117)のCSは、400MPa以上が好ましく、500MPa以上が好ましく、600MPa以上が好ましい。また、同様にDOLは、15μm以上が好ましく、20μm以上が好ましく、25μm以上が好ましい。
続いて、ガラス基板101の表面103又は裏面105に表側及び裏側凹部107、110を設けるための凹部形成工程に移行する。以下に説明する例では、図22に示すように複数の表側凹部107がガラス基板101の表面103に設けられ、図23に示すように複数の裏側凹部110がガラス基板101の裏面105に設けられる。凹部形成工程では、ガラス基板101の表面103に図24に示すような表側マスク部材201を配置し、且つ、ガラス基板101の裏面に図25に示すような裏側マスク部材301を配置した上で、ガラス基板101にエッチング処理が施される。
表側マスク部材201のX方向寸法及びY方向寸法は、ガラス基板101の表面103全体を覆うことが可能であるように設定されている。図24の例では、表側マスク部材201のX方向寸法及びY方向寸法は、ガラス基板101のX方向寸法及びY方向寸法とほぼ等しい。さらに、表側マスク部材201には、ガラス基板101に複数の表側凹部107を形成するための表側凹部形成用孔207が、X方向及びY方向において所定間隔毎に複数設けられている。したがって、エッチャントが複数の表側凹部形成用孔207を介してガラス基板101の表面103に到達し、複数の表側凹部107を形成する(図22参照)。
裏側マスク部材301のX方向寸法及びY方向寸法は、ガラス基板101の裏面105全体を覆うことが可能であるように設定されている。図25の例では、裏側マスク部材301のX方向寸法及びY方向寸法は、ガラス基板101のX方向寸法及びY方向寸法とほぼ等しい。さらに、裏側マスク部材301には、ガラス基板101に複数の裏側凹部107を形成するための裏側凹部形成用孔310が、X方向及びY方向において所定間隔毎に複数設けられている。したがって、エッチャントが複数の裏側凹部形成用孔310を介してガラス基板101の裏面105に到達し、複数の裏側凹部110を形成する(図23参照)。
以上のように複数の表側及び裏側凹部107、110が形成されたガラス基板101(図22及び23参照)には、レーザー刻印又は印刷等の方法で第一マーク121及び第二マーク122が付され、図16及び17に示すようなガラス基板101が得られる。そして、第二マーク122の場所を読み取り切断位置を特定し、ダイヤモンドカッター等の切断工具でガラス基板101を切断することで、複数のカバーガラス1が分離される。その後、一対の第一マーク121の中間部(X方向延長線A又はY方向延長線B)に切断線が通過していることをもって、所望の形状にカバーガラス1が分離されたことが確認される。
なお、図26に示すように、表側及び裏側マスク部材201、301は、複数のカバーガラス1の外形に対応する溝部形成用孔220、320を有してもよい。例えば、このような表側マスク部材201を用いてエッチングを行った場合、図27に示すように、ガラス基板101の表面103に、複数のカバーガラス1の外形に対応する溝部120が設けられる。そして、溝部120に沿ってガラス基板101を切断することで、複数のカバーガラス1を分離できる。このように、ガラス基板101にカバーガラス1の外形に対応する溝部120を予め設けることによって、より正確にカバーガラス1を分離することが可能である。
また、図28に示すように、それぞれ複数の表側及び裏側凹部107、110を含むように、ガラス基板101から複数のカバーガラス1を分離しても構わない。例えば、図13に示すように、カバーガラス1裏に配置すべきセンサー40やカメラモジュール42等の各種装置の数が複数である場合、当該センサー40やカメラモジュール42等の個数と同数の表側及び裏側凹部107、110を設ければよい。
上述したように、ガラス基板101からそれぞれ表側及び裏側凹部107、110を少なくとも一つ含むように複数のカバーガラス1を分離することによって、図1〜図7に示したようなカバーガラス1を得ることができる。なお、カバーガラス1は、屈曲部を1つ以上有するガラスでもよい。また、表側及び裏側凹部107、110は上記屈曲部に形成されてもよく、屈曲した側面に形成されてもよい。
ここで、表側及び裏側凹部107、110が形成されたガラス基板101を再度化学強化した後、複数のカバーガラス1を分離してもよく、複数のカバーガラス1を分離した後、それぞれのカバーガラス1を化学強化してもよい。すなわち、前者は、第1化学強化工程、凹部形成工程、第2化学強化工程、(表面研磨工程、)カバーガラス分離工程の順であるのに対し、後者は、第1化学強化工程、凹部形成工程、カバーガラス分離工程、第2化学強化工程、(表面研磨工程)の順である点で相違する。両者において、表面研磨工程は任意であるが、当該工程を実施する場合には、最終化学強化工程(最後に実施された化学強化工程、すなわち第2化学強化工程)の後に実施する。
前者及び後者どちらの場合であっても、第1化学強化工程によって、厚肉部17には、凹部を持たない通常の平坦なカバーガラスと同等の強度を与えた後、表側及び裏側凹部7、10を形成することによって、強化されていない薄肉部13を露出させ、第2化学強化工程によって、薄肉部13には可能な範囲で必要な強化を与えることができる。第2化学強化工程においては、カバーガラス1又はガラス基板101を350〜450℃に加熱された70〜100%のKNO溶融塩に1分〜3時間に亘って接触させることが好ましい。第2化学強化工程によって得られる薄肉部13のCSは、300MPa以上が好ましく、400MPa以上が好ましく、500MPa以上が好ましい。また、同様にDOLは、5μm以上が好ましく、7μm以上が好ましく、10μm以上が好ましい。
前者の場合は、二回の化学強化工程、凹部形成工程、及び表面研磨工程を、全て大板のガラス基板101の状態で行えるので、工程を効率化できる。
後者の場合は、第1化学強化工程と凹部形成工程を大板のガラス基板101の状態で行えるので、ある程度工程を効率化できる。また、カバーガラス分離後に第2化学強化工程を行うので、研磨装置やイオン交換浴などの設備が小型のものでも対応でき、カバーガラス端面まで化学強化でき端面強度を向上しやすい。
なお、上述したカバーガラス1の製造方法では、第1化学強化工程を、凹部形成工程前に実施していたが、凹部形成工程後に実施しても構わない。この場合、第2化学強化工程は実施しない。具体的には、凹部形成工程、第1化学強化工程、(表面研磨工程、)カバーガラス分離工程の順で行うか、凹部形成工程、カバーガラス分離工程、第1化学強化工程、(表面研磨工程)の順で行う。表面研磨工程は任意であるが、当該工程を実施する場合には、最終化学強化工程(最後に実施された化学強化工程、すなわち第1化学強化工程)の後に実施する。
(ガラス組成)
カバーガラス1及びガラス基板101としては、例えば、以下の(i)〜(vii)の何れか一つのガラスが挙げられる。なお、以下の(i)〜(v)のガラス組成は、酸化物基準のモル%で表示した組成であり、(vi)〜(vii)のガラス組成は、酸化物基準の質量%で表示した組成である。
(i)SiOを50〜80%、Alを2〜25%、LiOを0〜10%、NaOを0〜18%、KOを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrOを0〜5%を含むガラス。
(ii)SiOを50〜74%、Alを1〜10%、NaOを6〜14%、KOを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrOを0〜5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が75%以下、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス。
(iii)SiOを68〜80%、Alを4〜10%、NaOを5〜15%、KOを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrOを0〜1%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が80%以下であるガラス。
(iv)SiOを67〜75%、Alを0〜4%、NaOを7〜15%、KOを1〜9%、MgOを6〜14%、CaOを0〜1%およびZrOを0〜1.5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が71〜75%、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜20%であるガラス。
(v)SiOを60〜75%、Alを0.5〜8%、NaOを10〜18%、KOを0〜5%、MgOを6〜15%、CaOを0〜8%含むガラス。
(vi)SiOを63〜75%、Alを3〜12%、MgOを3〜10%、CaOを0.5〜10%、SrOを0〜3%、BaOを0〜3%、NaOを10〜18%、KOを0〜8%、ZrOを0〜3%、Feを0.005〜0.25%含有し、RO/Al(式中、ROはNaO+KOである)が2.0以上4.6以下であるガラス。
(vii)SiOを66〜75%、Alを0〜3%、MgOを1〜9%、CaOを1〜12%、NaOを10〜16%、KOを0〜5%含有するガラス。
(実施例1)
図16及び17に示すガラス基板101とその製造方法の実施例を説明する。X方向長さ730mm、Y方向長さ920mm、Z方向厚さ0.5mmのガラス基板101(図20及び21参照)を用いた。
先ず、第1化学強化工程において、ガラス基板101を450℃に加熱された60%のKNO溶融塩に10.5時間に亘って接触させた。
次に、凹部形成工程において、ガラス基板101に、X方向は130mmピッチで5行、Y方向は65mmピッチで13列、合計65個の表側及び裏側凹部107、110を形成した(図22及び23参照)。表側及び裏側凹部107、110のサイズは、X方向長さ10mm、Y方向長さ13mm、Z方向深さ0.2mmとした。すなわち表側及び裏側凹部107、110が設けられることにより形成される薄肉部113のZ方向厚みは0.1mmとした。
ガラス基板101の表面103及び裏面105に表側及び裏側凹部107、110を形成する方法は、以下の通りである。先ず、ガラス基板101の表面103及び裏面105にレジスト材を塗布し、露光によりレジスト材に表側及び裏側凹部107、110の底面と同サイズの孔(表側及び裏側凹部形成用孔207、310)を開け、図24及び25に示す表側及び裏側マスク部材201、301を形成した。
次に、表側及び裏側マスク部材201、301を表面103及び裏面105に配置した状態で、ガラス基板101をフッ酸(HF)溶液に浸し、XYZ方向に揺動させながら、表側及び裏側凹部形成用孔207、310からHF溶液を浸入させ、ガラス基板101をエッチングした。表側凹部107の深さが0.2mm且つ裏側凹部110の深さが0.2mmになるまでガラス基板101をエッチングした後、ガラス基板101をHF溶液より引き上げ、レジスト材(表側及び裏側マスク部材201、301)を剥離し、洗浄・乾燥させた。以上の操作により、図16及び17に示す表側及び裏側凹部107、110を有するガラス基板101を作成することが出来た。
そして、第2化学強化工程において、ガラス基板101を400℃に加熱された100%のKNO溶融塩に7分に亘って接触させた。
また、ガラス基板101の周縁部には、複数のカバーガラス1を分離する際に位置合わせを行うための複数の第一及び第二マーク121、122を形成した。表側及び裏側凹部107、110の側面は該表側及び裏側凹部107、110の底面と滑らかに接続する曲面形状であり、表側及び裏側凹部107、110の底面から側面への曲率半径が最大約0.4mmであった。また、表側及び裏側凹部107、110の側面と、ガラス基板101の表面103及び裏面105の平坦部と、の接続部分はほぼ垂直であった。
ガラス基板101は、旭硝子株式会社のアルミノシリケートガラスである、Dragontrail(旭硝子株式会社の登録商標)を使用した。
(実施例2)
ガラス基板101とその製造方法の実施例を説明する。実施例1に対して、ガラス基板101として旭硝子株式会社のアルミノシリケートガラスであるDragontrail‐Xを使用した。第1化学強化工程においては、ガラス基板101を450℃に加熱された60%のKNO溶融塩に15時間に亘って接触させた。また表側及び裏側凹部107、110の形状を直径10mmの円形とした。また、エッチング後、フッ酸(HF)溶液からガラス基板101を取り出した後、30秒間そのまま保持してからレジスト材(表側及び裏側マスク部材201、301)を剥離、洗浄した。第2化学強化工程においては、ガラス基板101を400℃に加熱された100%のKNO溶融塩に10分に亘って接触させた。前記以外は実施例1と同様にしてガラス基板101を作成した。
表側及び裏側凹部107、110の側面は該表側及び裏側凹部107、110の底面と滑らかに接続する曲面形状であり、表側及び裏側凹部107、110の底面から側面へ曲率半径が最大約0.4mmであった。表側及び裏側凹部107、110の側面と、ガラス基板101の表面103及び裏面105の平坦部と、の接続部分は、滑らかに連続する曲面形状であり、当該接続部分の曲率半径は約0.4mmであった。表側及び裏側凹部107、110の底面から側面への曲率半径は、ガラス基板101側に凹曲する曲率半径であった。表側及び裏側凹部107、110の側面からガラス基板101の表面103及び裏面105の平坦部への形状は、ガラス基板101側から外側に凸であり、表側及び裏側凹部107、110の側面の途中に変曲点がある形状であった。
(実施例3)
カバーガラス1とその製造方法の実施例を説明する。実施例1又は2のガラス基板101を、ガラス切断用のホイール切断装置を用いて、表側及び裏側凹部107、110を1個ずつ有する130mm×65mmの長方形のサイズに切断した。これにより、表側及び裏側凹部107、110を1個ずつ有する長方形のカバーガラス1を複数得た。切断する時には、第二マーク122を読んで切断位置を決めた。また、正しく切断されているかどうかは、第一マーク121の中心に切断線が走っているかどうかを確認し、所定の形状に正しく切断されていることを確認した。第二マーク122と表側及び裏側凹部107、110は位置関係に相関があるので、130mm×65mmの所望の位置に表側及び裏側凹部107、110を配置することが出来た。
図29(a)に示すように、長方形のカバーガラス1の平面視での四隅の角部2を、CNC(砥石削り)で削り、曲率Rをつけた形状とした。同時にCNCにより面取りを実施した。面取りはR面取り(ガラスエッジを半円状態とする加工)とC面取り(斜めに削りとる処理)等色々できるが、本実施例ではC面取りとした。また、CNC工程では、所定の位置にスピーカー孔4を設けた。なお、スピーカー孔4を予め設けた上で、表側及び裏側凹部7、10を形成してもよい。また、スピーカー孔4は、別の工程でエッチングにより設けてもよい。また、スピーカー孔4は、カバーガラス1の端面を切り欠くことで設けてもよい。
次に、実施例1のガラス基板101から得られたカバーガラス1(Dragontrail)においては、厚肉部の最表面のCSが625MPa、DOLが45μm、変曲点のCSが200MPa、DOLが6μm、薄肉部の最表面のCSが625MPa、DOLが6μmであった。実施例2のガラス基板101から得られたカバーガラス1(Dragontrail‐X)においては、厚肉部の最表面のCSが800MPa、DOLが45μm、変曲点のCSが250MPa、DOLが6μm、薄肉部の最表面のCSが800MPa、DOLが6μmであった。CSやDOLの測定は有限会社折原製作所のガラス表面応力計 FSM‐6000を用いて測定した。なお、上述したように交点Qの数値を、変曲点のCS及びDOLとした(図39〜41参照)。
次に、カバーガラス1の裏面5に対し、印刷を実施した。当該印刷は、黒色の三層31〜33を形成するものであり、図15に示した第一〜第三印刷層31〜33の形成方法と略同一である。
先ず、図29(b)に示すように、カバーガラス1の裏面5において、スピーカー孔4と、裏側凹部10と、携帯情報端末の表示部に相当する部分(表示領域6)と、を除いた領域に黒印刷を実施し、第一印刷層31を形成した。次に、図29(c)に示すように、裏側凹部10の底面に黒印刷を実施し、第二印刷層32を形成した。続いて、図29(d)に示すように、裏側凹部10の側面に黒印刷を実施し、第三印刷層33を形成した。
第一印刷層31はスクリーン印刷により形成され、1回のスクリーン印刷で約4μmのZ方向厚みを印刷した。これを2回実施し、第一印刷層31のZ方向厚みを約8μmとした。第二印刷層32はパッド印刷により形成した。1回のパッド印刷で約3μmのZ方向厚みを印刷した。これを3回実施し、第二印刷層32のZ方向厚みを約9μmとした。第三印刷層33はパッド印刷により形成した。当該パッド印刷を3回実施し、第三印刷層33のZ方向厚みを約9μmとした。第三印刷層33は、第一及び第二印刷層31、32とXY方向において重なるよう(Z方向において対向するよう)にした。これにより裏側凹部10を光抜けなく、黒印刷をすることができた。カバーガラス1の表面3(裏側凹部10が形成される裏面5と反対側の面。図1等参照。)から見ると、色味によっては裏側凹部10の境界がどこにあるかほぼ解らなかった。
なお、黒印刷の方法としては、第一印刷層31の黒印刷を1回とし、第三印刷層33の印刷が終わった後に、第一印刷層31の黒印刷を1回実施する方法もある。また、プロセス条件を最適化すれば、裏側凹部10の底面と側面を同時に黒印刷し、第二及び第三印刷層31、32を同時に形成することも可能である。
最後に、カバーガラス1の表面3にAFP(Anti‐Fingerprint:耐指紋コート)を付けた。AFPの付け方は、一般的に溶液塗布法、スプレー法と蒸着法とあるが、本実施例では蒸着法で成膜した。以上により、所望のカバーガラス1を作製した。
(実施例4)
図30及び図31を参照し、カバーガラス1とその製造方法の実施例を説明する。本実施例では、実施例3と比較し、印刷方法が異なるが、その他の点については同様である。
先ず、図30(a)に示すカバーガラス1の裏面5において、スピーカー孔4と、裏側凹部10と、表示領域6と、を除いた領域に白印刷を実施し、第一印刷層31を形成した(図30(b)参照)。図面中では、白印刷はドットのハッチングで示され、黒印刷は斜線のハッチングで示される。
次に、第一印刷層31の上(裏面)に、黒印刷を実施し、第二印刷層32を形成した(図30(c)参照)。続いて、裏側凹部10の底面11及び側面12に白印刷を実施し、第三印刷層33を形成した(図30(d)参照)。さらに第三印刷層33の上(裏面)に、黒印刷を実施し、第四印刷層34を形成した(図30(e)参照)。
第一印刷層31は、スクリーン印刷の白印刷により形成し、1回の印刷で約6μmのZ方向厚みを印刷した。これを3回実施し、第一印刷層31のZ方向厚みを約18μmとした。第二印刷層32は、スクリーン印刷の黒印刷により形成し、第一印刷層31のZ方向厚みを約4μmとした。第二印刷層32の黒印刷は、第一印刷層31の白印刷の上(裏面)に印刷するが、白印刷からはみ出すと黒が見えてしまうので、白印刷より小さい面積で印刷を実施する。
第三印刷層33は、パッド印刷の白印刷により形成し、1回の印刷で約3μmのZ方向厚みを印刷した。これを6回実施し、第三印刷層33のZ方向厚みを約18μmとした。第四印刷層34は、パッド印刷の黒印刷により形成した。これを1回実施し、第四印刷層のZ方向厚みを約3μmとした。
第二印刷層32の黒印刷を実施しないと、第一印刷層31の白印刷と第三印刷層33の白印刷が重なりあい、白の反射率が高い領域ができてしまう。それを回避するために第二印刷層を形成することが重要である。本実施例のカバーガラス1を表面3側から見ると、全面に亘って一様に白印刷された状態を確認できた。ここで、白印刷の裏面に黒印刷を実施するのは、白印刷部の反射率を一定にするためである。また、これにより白印刷の裏面に明るい部品が有る場合、その部分だけに明るい場所が出来てしまうのを回避できる。また、光を発する部品が有る場合も光漏れが起きるのを防ぐことができる。
また、実施例4と異なり、本実施例では裏側凹部10が立体的に見えた。これはカバーガラス1の表面3側より見ると白印刷された凸形状が存在し、外光により影が発生することにより凸形状が視認され立体感が得られるからである。これにより、奥行き感を生じさせる効果がある。
(実施例5)
図32を参照し、カバーガラス1とその製造方法の実施例を説明する。本実施例は、実施例3(図29参照)と比較し、第二及び第三印刷層32、33の印刷方法が異なるが、その他の点については略同一である。
先ず、カバーガラス1の裏面5において、スピーカー孔4と、裏側凹部10と、表示領域6と、を除いた領域に黒印刷を実施し、第一印刷層31を形成した。次に、裏側凹部10の側面9にシルバー印刷を実施し、第二印刷層32を形成した。ここで、図面中では、シルバー印刷は網掛けのハッチングで示される。続いて、裏側凹部10の底面8に黒印刷を実施し、第三印刷層33を形成した。第一印刷層31はスクリーン印刷により形成し、第二及び第三印刷層32、33はパッド印刷により形成した。
図33に示すように、カバーガラス1を表面3側から見た場合、第二印刷層32が環状のデザインとして認識可能となり、センサー40の位置を視覚的に分かり易く表示できる。なお、第二印刷層32は、シルバー印刷の他に、白印刷やゴールド印刷等、様々な有色印刷により形成できる。
また、第二印刷層32を傾斜面に印刷する場合、印刷幅の制御が難しいので、印刷幅制御を要求される場合は、第一印刷層31の平坦部に第二印刷層32を形成してもよい。その場合は傾斜面の印刷では無いのでスクリーン印刷で良い。
また、図34に示すように、第一印刷層31の一部に環状の穴をあけ、当該孔に第二印刷層32を印刷してもよい。この場合も、第二印刷層32は環状のデザインとして認識可能である。
なお、図35及び図36には、それぞれ裏側凹部10の形状を円形状及び小判形状とし、第二印刷層32をシルバー印刷によって形成した場合に、表面3側から見たカバーガラス1が示されている。
(実施例6)
図37及び図38を参照し、カバーガラス1とその製造方法の実施例を説明する。本実施例は、実施例4(図30及び図31参照)と比較し、五つの印刷層31〜35を形成する点が異なるが、その他の点については略同一である。
先ず、裏側凹部10の側面12に、シルバー印刷を実施し、第一印刷層31を形成した(図37(b)参照)。続いて、カバーガラス1の裏面5において、スピーカー孔4と、裏側凹部10と、表示領域6と、を除いた領域に白印刷を実施し、第二印刷層32を形成した(図37(c)参照)。次に、第二印刷層32の上(裏面)に、黒印刷を実施し、第三印刷層33を形成した(図37(d)参照)。続いて、裏側凹部10の底面11に白印刷を実施し、第四印刷層34を形成した(図37(e)参照)。さらに第四印刷層34の上(裏面)に、黒印刷を実施し、第五印刷層35を形成した(図37(f)参照)。
第一印刷層31はパッド印刷により形成し、第二及び第三印刷層32、33はスクリーン印刷により形成し、第四及び第五印刷層34、35はパッド印刷により形成した。
本実施例のカバーガラス1を表面3側から見た場合、第一印刷層31が環状のデザインとして認識可能となり、センサー40の位置を視覚的に分かり易く表示できる。なお、第一印刷層31は、シルバー印刷の他に、白印刷やゴールド印刷等、様々な有色印刷により形成できる。
(実施例7)
実施例3または実施例4において、印刷前のカバーガラス1を用い、裏側凹部10が形成されていない面に印刷を施すことも可能である。この場合、実施例3または実施例4のように単一色のみであれば、凹凸のない平面に印刷することになるので、裏側凹部10の背面部分を含む所定の印刷範囲すべてをスクリーン印刷で行うことができる。
なお、実施例5または実施例6のように裏側凹部10の底面11と側面12に異なる色を印刷する場合でも、パターンを変えて凹部背面部分に他の部分とは異なった色を印刷することで所望のパターンを印刷できる。
(実施例8)
実施例3において、化学強化後で印刷前のカバーガラス1を両面研磨機にて、表面3及び裏面5を約3μm研磨した。これにより面強度を上げることができた。裏側凹部10の底面11及び側面12は研磨できていないが、裏側凹部10はエッチングで加工されているので、傷やクラックが除去されており、面強度が高く、研磨を必要としない。
(実施例9)
携帯情報端末の実施例を説明する。実施例3のカバーガラス1の裏側凹部10の底面11に、静電容量式指紋認証センサー40(図5参照)のセンサー面を当接させて固着した。接着層41のZ方向厚みは約10μmとした。カバーガラス1の裏面5の非印刷部に、液晶層44(TFTディスプレイ)を接着層45を介して積層する。接着層45のZ方向厚みは約100μmとした。カバーガラス1の裏側凹部10が形成されていない面(表面3)を外側にして、その他の部品とともに筐体43に組み込むことによってスマートフォンを作った。
スマートフォンのディスプレイ側に配置された指紋認証センサー40位置のカバーガラス外表面には表側凹部7が存在するため、指紋認証センサー40の位置を視覚や触覚等により容易に認識することができ、表側凹部7により指の当接位置がある程度固定されるため、指紋読取が容易になる。なお、実施例5または実施例6のように、裏側凹部10の側面12に、他の部位と異なる色を印刷した場合には、その印刷パターンによっても指紋認証センサー40の位置を容易に知ることができる。
(実施例10)
実施例7のカバーガラス1を用いて携帯情報端末を製造する場合には、カバーガラス1の薄肉部13の裏面15に、静電容量式指紋認証センサー40のセンサー面を当接させて固着した。裏側凹部10がカバーガラス1の裏面5に設けられ、指紋認証センサー40が薄肉部13の裏面15に配置される場合は、指紋認証センサー40の機能上問題が無いのであれば、指紋認証センサー40のサイズが表側凹部7より大きくてもよい。指紋認証センサー40のサイズが表側凹部7より大きいことで、薄肉部13が薄いカバーガラス1の強度を増すことができる。より好適には、図6で示したように、表側凹部7の寸法を、センサー本体46の寸法よりも大きく、且つ指紋認証センサー40全体の寸法より小さくしてもよい。
またカバーガラス1の裏面5の非印刷部に、液晶層44(TFTディスプレイ)を接着層45を介して積層する。カバーガラス1の裏側凹部10が形成されていない面(表面1)を外側にして、その他の部品とともに筐体43に組み込むことによってスマートフォンなどの携帯情報端末とする。この場合、携帯情報端末の外表面に表側凹部7が存在するため、印刷によるマーキングがなくてもセンサー位置は容易に認識される。
1 カバーガラス
2 角部
3 表面
4 スピーカー孔
5 裏面
6 表示領域
7 表側凹部
8 底面
9 側面
10 裏側凹部
11 底面
12 側面
13 薄肉部
14 表面
15 裏面
17 厚肉部
18 表面
19 裏面
30〜35 印刷層
40 静電容量方式センサー
41 接着層
42 カメラモジュール
43 筐体
44 液晶層
45 接着層
46 センサー本体
47 筺体
101 ガラス基板
103 表面
105 裏面
107 表側凹部
110 裏側凹部
113 薄肉部
117 厚肉部
120 溝部
121 第一マーク
122 第二マーク
201 表側マスク部材
207 表側凹部形成用孔
220 溝部形成用孔
301 裏側マスク部材
310 裏側凹部形成用孔
320 溝部形成用孔

Claims (35)

  1. 保護対象を保護するカバーガラスであって、
    前記カバーガラスの表面及び裏面には、それぞれ対向する少なくとも一つの表側凹部及び裏側凹部が設けられ、
    前記カバーガラスは、前記表側凹部及び前記裏側凹部が設けられることにより形成された薄肉部と、前記薄肉部に接続する厚肉部と、を一体に備えている、ことを特徴とするカバーガラス。
  2. 前記表側凹部及び前記裏側凹部は、エッチングされた面である、ことを特徴とする請求項1に記載のカバーガラス。
  3. 前記表側凹部の深さと前記裏側凹部の深さとがほぼ等しい、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカバーガラス。
  4. 前記薄肉部のヘイズ値は16%以下である、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のカバーガラス。
  5. 前記薄肉部及び前記厚肉部の表面及び裏面には、圧縮応力層が形成されている、ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のカバーガラス。
  6. 前記厚肉部に形成された圧縮応力層の深さよりも、前記薄肉部に形成された圧縮応力層の深さの方が小さい、ことを特徴とする請求項5に記載のカバーガラス。
  7. 前記表側凹部の面積と前記裏側凹部の面積が異なっている、ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のカバーガラス。
  8. 前記カバーガラスの前記表面及び前記裏面は研磨された面である、ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のカバーガラス。
  9. 化学強化後に前記研磨が実施された、ことを特徴とする請求項8に記載のカバーガラス。
  10. 前記表側凹部の側面は、前記表側凹部の底面と滑らかに接続する曲面形状である、ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のカバーガラス。
  11. 前記表側凹部の前記側面の曲率半径は、前記表側凹部の前記底面の深さ以上である、ことを特徴とする請求項10に記載のカバーガラス。
  12. 前記表側凹部の前記側面の曲率半径は、前記表側凹部の中央部から周縁部に向かうにしたがって大きくなる、ことを特徴とする請求項10又は11に記載のカバーガラス。
  13. 前記表側凹部の前記側面の曲率半径は、0.1mm以上2mm以下である、ことを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載のカバーガラス。
  14. 前記カバーガラスの裏面には印刷層が設けられる、ことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載のカバーガラス。
  15. 前記保護対象は携帯情報端末である、ことを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載のカバーガラス。
  16. 請求項1〜15の何れか1項に記載のカバーガラスを有する、ことを特徴とする携帯情報端末。
  17. 前記裏側凹部に静電容量方式センサーが配置される、ことを特徴とする請求項16に記載の携帯情報端末。
  18. 前記静電容量方式センサーの寸法は、該静電容量方式センサーが配置される前記裏側凹部と対向する前記表側凹部の寸法よりも大きい、ことを特徴とする請求項17に記載の携帯情報端末。
  19. 前記静電容量方式センサーは、センシングを行うセンサー本体と、前記センサーを支持する筐体と、を有し、
    前記表側凹部の寸法は、前記センサー本体の寸法よりも大きく、前記静電容量方式センサーの全体の寸法よりも小さい、ことを特徴とする請求項18に記載の携帯情報端末。
  20. 前記静電容量方式センサーは指紋認証用センサーである、ことを特徴とする請求項18又は19に記載の携帯情報端末。
  21. ガラス基板から保護対象を保護するカバーガラスを得る、カバーガラスの製造方法であって、
    前記ガラス基板の表面及び裏面に、それぞれ対向する少なくとも一つの表側凹部及び裏側凹部を設ける凹部形成工程を含み、
    前記凹部形成工程では、前記表面に、少なくとも一つの前記表側凹部を形成するための少なくとも一つの表側凹部形成用孔を有する表側マスク部材を配置し、且つ、前記裏面に、少なくとも一つの前記裏側凹部を形成するための少なくとも一つの裏側凹部形成用孔を有する裏側マスク部材を配置した上で、前記ガラス基板をエッチング処理する、ことを特徴とするカバーガラスの製造方法。
  22. ガラス基板から保護対象を保護するカバーガラスを得る、カバーガラスの製造方法であって、
    前記ガラス基板を化学強化する工程と、
    化学強化された前記ガラス基板の表面に、少なくとも一つの表側凹部を形成するための少なくとも一つの表側凹部形成用孔を有する表側マスク部材を配置し、且つ、前記ガラス基板の裏面に、少なくとも一つの裏側凹部を形成するための少なくとも一つの裏側凹部形成用孔を有する裏側マスク部材を配置した上で、前記ガラス基板をエッチング処理し、前記ガラス基板の表面及び裏面にそれぞれ対向する少なくとも一つの表側凹部及び裏側凹部を設ける凹部形成工程と、
    前記表側凹部及び前記裏側凹部が形成されたガラス基板を再度化学強化する工程と、
    を含む、ことを特徴とするカバーガラスの製造方法。
  23. 前記エッチング処理は、前記ガラス基板の表面及び裏面に対して同時に行われる、ことを特徴とする請求項21又は22に記載のカバーガラスの製造方法。
  24. 前記エッチング処理は、前記ガラス基板とエッチャントとを、前記ガラス基板の表面又は裏面に平行な方向に相対的に移動させながら行われる、ことを特徴とする請求項21〜23の何れか1項に記載のカバーガラスの製造方法。
  25. 前記エッチング処理は、前記ガラス基板を揺動させることにより行われる、ことを特徴とする請求項24に記載のカバーガラスの製造方法。
  26. 前記エッチング処理は、前記エッチャントの流れを生じさせることにより行われる、ことを特徴とする請求項25に記載のカバーガラスの製造方法。
  27. ガラス基板から保護対象を保護する複数のカバーガラスを得る、カバーガラスの製造方法であって、
    前記ガラス基板を化学強化する工程と、
    化学強化された前記ガラス基板の表面に、複数の表側凹部を形成するための複数の表側凹部形成用孔を有する表側マスク部材を配置し、且つ、前記ガラス基板の裏面に、複数の裏側凹部を形成するための複数の裏側凹部形成用孔を有する裏側マスク部材を配置した上で、前記ガラス基板をエッチング処理し、前記ガラス基板の表面及び裏面にそれぞれ対向する複数の表側凹部及び裏側凹部を設ける凹部形成工程と、
    複数の前記表側凹部及び前記裏側凹部が形成されたガラス基板から、それぞれの表面及び裏面に前記表側凹部及び前記裏側凹部を少なくとも一つ含むように複数のカバーガラスを分離するカバーガラス分離工程と、
    を含むことを特徴とするカバーガラスの製造方法。
  28. 前記凹部形成工程が実施された前記ガラス基板を再度化学強化した後、前記カバーガラス分離工程を実施する、ことを特徴とする請求項27に記載のカバーガラスの製造方法。
  29. 前記カバーガラス分離工程が実施された後、それぞれの前記カバーガラスを再度化学強化する、ことを特徴とする請求項27に記載のカバーガラスの製造方法。
  30. ガラス基板から保護対象を保護する複数のカバーガラスを得る、カバーガラスの製造方法であって、
    前記ガラス基板の表面に、複数の表側凹部を形成するための複数の表側凹部形成用孔を有する表側マスク部材を配置し、且つ、前記ガラス基板の裏面に、複数の裏側凹部を形成するための複数の裏側凹部形成用孔を有する裏側マスク部材を配置した上で、前記ガラス基板をエッチング処理し、前記ガラス基板の表面及び裏面にそれぞれ対向する複数の前記表側凹部及び前記裏側凹部を設ける凹部形成工程と、
    複数の前記表側凹部及び前記裏側凹部が形成された前記ガラス基板を化学強化する工程と、
    化学強化された前記ガラス基板から、それぞれの表面及び裏面に前記表側凹部及び前記裏側凹部を少なくとも一つ含むように複数のカバーガラスを分離するカバーガラス分離工程と、
    を含むことを特徴とするカバーガラスの製造方法。
  31. ガラス基板から保護対象を保護する複数のカバーガラスを得る、カバーガラスの製造方法であって、
    前記ガラス基板の表面に、複数の表側凹部を形成するための複数の表側凹部形成用孔を有する表側マスク部材を配置し、且つ、前記ガラス基板の裏面に、複数の裏側凹部を形成するための複数の裏側凹部形成用孔を有する裏側マスク部材を配置した上で、前記ガラス基板をエッチング処理し、前記ガラス基板の表面及び裏面にそれぞれ対向する複数の前記表側凹部及び前記裏側凹部を設ける凹部形成工程と、
    複数の前記表側凹部及び前記裏側凹部が形成された前記ガラス基板から、それぞれの表面及び裏面に前記表側凹部及び前記裏側凹部を少なくとも一つ含むように複数のカバーガラスを分離するカバーガラス分離工程と、
    分離された前記カバーガラスを化学強化する工程と、
    を含むことを特徴とするカバーガラスの製造方法。
  32. 前記カバーガラスの表面及び裏面が最終化学強化工程の後に研磨される、ことを特徴とする請求項27〜31の何れか1項に記載のカバーガラスの製造方法。
  33. 前記カバーガラスの裏面には印刷がなされる、ことを特徴とする請求項21〜32の何れか1項に記載のカバーガラスの製造方法。
  34. 前記印刷は、前記裏側凹部と、前記カバーガラスの裏面において前記裏側凹部が形成されない部分と、で個別に実施される、ことを特徴とする請求項33に記載のカバーガラスの製造方法。
  35. 前記裏側凹部の側面は、該裏側凹部の底面と滑らかに接続する曲面形状であり、
    前記側面はパッド印刷法によって印刷される、ことを特徴とする請求項34に記載のカバーガラスの製造方法。
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