JP7302649B2 - 車載用表示装置用カバーガラス及び車載用表示装置 - Google Patents
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前記板の全周のうち少なくとも一部において、前記印刷層の外周部分に対応する前記板の外周部分の表面粗さR2が、前記印刷層の内周部分に対応する前記板の内周部分の表面粗さR1よりも大きく、
前記表面粗さR1は、0.5nm≦R1≦20nmを満たし、
前記表面粗さR2は、100nm≦R2≦1000nmを満たし、
前記板は、化学強化ガラスであり、
前記板の厚さは、0.7mm以上、3mm以下であり、
前記板は、前記第一の主面と前記端面との間に接続部を有し、前記接続部が前記板の外周部分を含む、
ことを特徴とする。
本発明によれば、板の印刷層密着領域が、板の主面の外周部分から接続部及び端面の一部にまで拡がっており、この印刷層密着領域の表面粗れが大きい。そのため、板上に形成された印刷層のインクが表面粗れした表面構造に入り込み、印刷層が剥がれにくくなり、欠陥の少ない車載用表示装置用カバーガラスを作製できる。
表面粗さR2をこの範囲とすることで、印刷層の耐剥離性を向上し、さらに良好な美観性を備えた車載用表示装置用カバーガラスを作製できる。
また、前記板の表面粗さR2となる外周部分が接続部であるため、使用者から視認した際の視認性を損ねることなく良好な美観性を備えた車載用表示装置用カバーガラスを作製できる。
また、印刷層の外周端が接続部にあり、外周部分上の印刷層が強固に形成されるため、印刷層の外周端を起点とした剥離を低減できる。
また、前記板のガラスが高い強度を有し、良好な質感も有するため、高い強度と良好な質感を兼ね備えた車載用表示装置用カバーガラスを得られる。
また、前記ガラスは強化ガラスであるため、優れた強度と耐擦傷性を有するガラスになり、安全性や耐久性を有する車載用表示装置用カバーガラスとなる。
(2)本発明の好ましい形態では、前記板の表面全体が湾曲しているか、前記板の表面の少なくとも一部は屈曲部を備えている。
(3)本発明の好ましい形態では、前記印刷層は外周端を有し、前記外周端が、前記第一の主面と前記端面との間の接続部を越えて、前記端面にまで達している。
(4)本発明の好ましい形態では、前記印刷層は外周端を有し、前記印刷層の外周端が前記接続部にある。
(5)本発明の好ましい形態では、前記接続部が、断面円弧状である。
(6)本発明の好ましい形態では、前記接続部が、C面取りにより形成される。
(7)本発明の好ましい形態では、前記接続部が、曲率中心を前記板内に有し曲率半径0.05mm以上0.5mm以下の曲面である。
好ましい形態によれば、板の外周部分の平面視での面積が同じでも、接続部を曲面とすることで板の外周部分の実面積を大きくできるため、より剥離しにくい車載用表示装置用カバーガラスとなる。
(8)本発明の好ましい形態では、前記接続部が、厚み方向断面視で前記第一の主面に相当する辺と前記端面に相当する辺とを接続する線分となり、前記第一の主面に相当する辺と前記接続する線分との交点において前記板の内側に形成される角と、前記端面に相当する辺と前記接続する線分との交点において前記板の内側に形成される角との2つの角が鈍角となる。
好ましい形態によれば、簡単に接続部を形成でき、板の外周部分の平面視での面積が同じでも、板の外周部分の実面積を大きくできるため、より剥離しにくい車載用表示装置用カバーガラスとなる。
(9)本発明の好ましい形態では、前記2つの角の角度の合計が270°である。
好ましい形態によれば、接続部を形成する線分の両端の角が鈍角となるため取扱いが容易になる。
(10)本発明の好ましい形態では、前記接続部の幅が、前記板の平面視において端面から0.05mm以上0.5mm以下である。
好ましい形態によれば、接続部が板の外周端付近となるため、使用者から視認した際の視認性を損ねることなく良好な美観性を備えた車載用表示装置用カバーガラスとなる。
(11)好ましい形態によれば、前記印刷層は外周端を有し、前記印刷層の外周部分は、前記外周端と、前記印刷層の外周端から内周側に向かって0mm超0.5mm以下に相当する仮想線に囲まれた領域である。
好ましい形態によれば、印刷層の外周部分が印刷層の外周端付近であり、板の外周端付近となる。板の外周部分も板の外周端付近となるため、使用者から視認した際の視認性を損ねることなく良好な美観性を備えた車載用表示装置用カバーガラスとなる。
(12)好ましい形態では、前記印刷層は内周端を有し、前記印刷層の内周部分は、前記内周端と、前記印刷層の内周端から外周側に向かって0mm超0.5mm以下に相当する仮想線に囲まれた領域である。
好ましい形態によれば、板の内周部分が印刷層の内周端付近で使用者が最も視認しやすい部位であり、板の外周部分に比べ表面粗さが小さいため良好な美観性を備えた車載用表示装置用カバーガラスとなる。
(13)本発明の車載用表示装置用カバーガラスは、前記板の少なくとも前記第一の主面と前記第二の主面は、防眩処理(AG処理)、反射防止処理(AR処理)、耐指紋処理(AFP処理)のグループから選ばれる少なくとも1つの処理により形成された処理層を有する。
(14)本発明の好ましい形態では、前記板の少なくとも前記第一の主面と前記第二の主面は、防眩処理(AG処理)、反射防止処理(AR処理)により形成された処理層を有する。
(15)本発明の好ましい形態では、前記板の少なくとも前記第一の主面と前記第二の主面は、反射防止処理(AR処理)により形成された処理層を有する。
(16)本発明の好ましい形態では、前記板の少なくとも前記第一の主面と前記第二の主面は、耐指紋処理(AFP処理)により形成された処理層を有する。
(17)本発明の車載用表示装置は、以上説明した車載用表示装置用カバーガラスと、前記車載用表示装置用カバーガラスを支えるフレームと、液晶モジュールと、前記車載用表示装置用カバーガラスと前記液晶モジュールとを貼合する接着層とを有する。
本発明によれば、印刷層が剥離しにくいため、車載用表示装置用カバーガラスを備える車載用表示装置の耐久性が向上する。
[印刷層付き板の構成]
図1は本発明の第一の実施形態にかかる印刷層付き板の全体構成を示した(a)斜視図と(b)平面図である。図2は図1におけるII-II断面矢視図である。本実施形態の印刷層付き板1は、板2と、印刷層3とを備える。
印刷層3は板2の第一の主面21周縁部に設けられ、印刷層3は所望の遮光性などの機能が得られるように複数層塗り重ねて形成される。印刷層3以外の板2上の領域が表示領域4となる。印刷層3は板2と非接触の面31、板2と接触する面32、板2の表示領域4側の端面である内周端33および板2の端面23側の端面である外周端34とを有する。
なお、図1(b)の印刷層付き板1の平面図において、板2の重心Gから遠い位置にある、印刷層3の端面側を「外周」、近い位置にある印刷層3の端面側を「内周」と定義する。
[断面円弧状の接続部24を有する印刷層付き板]
第二実施形態は、第一実施形態と接続部24の形状が異なっており、それ以外は同じである。なお、第二実施形態の説明において、第一実施形態と同一の構造には同一の符号を付して説明を省略する。
[断面線分状の接続部24を有する印刷層付き板]
第三実施形態は、第一実施形態と接続部24の形状が異なっており、それ以外は同じである。なお、第三実施形態の説明において、第一実施形態と同一の構造には同一の符号を付して説明を省略する。
本発明における板2には、用途に応じて、種々の形状、材料からなるものを使用できる。形状としては、例えば、平坦面のみを有する板のみならず、全体が曲率を有する曲面板や、一部に屈曲部を有する板であってもよい。このような曲面板などは成形時における加工精度によっては多少バラつきがあり、表示装置と組み合わせる際に屈曲部に負荷がかかることが想定される。そのため、本実施形態の印刷層付き板1は負荷がかかっても印刷層が剥離・欠損しにくく非常に有効である。また、板に限らず、フィルム状であっても良い。材料としては、透明であればよく、一般的なガラス、例えば、無機ガラス、ポリカーボネートやアクリル等の有機ガラスを使用でき、またその他の合成樹脂等も使用できる。
化学強化処理が適切である。
また、有機ガラスや合成樹脂等は、同種・異種問わず重ねられた基材でも良く、その間に各種接着層が挿入されていてもよい。
砥石の回転数や砥石の移動速度なども表面粗さに影響を与えるが、100nm以上1000nm以下であれば特に限定されない。
接着層10としては、例えば、液状の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる透明樹脂からなる層が挙げられる。硬化性樹脂組成物としては、例えば、光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物などが挙げられ、なかでも、硬化性化合物および光重合開始剤を含む光硬化性樹脂組成物が好ましい。硬化性樹脂組成物を、例えば、ダイコータ、ロールコータ等の方法を用いて塗布し、硬化性樹脂組成物膜を形成する。
なお、接着層10は、OCAフィルム(OCAテープ)であってもよい。この場合、印刷層付き板1の第一の主面21側、表示領域4上にOCAフィルムを貼合する。
ガラス板に(1)防眩処理、(2)端面の研削処理、(3)化学強化処理およびアルカリ処理、(4)印刷領域の形成、の順に以下の手順で行った。
ガラス板の第一の主面に以下の手順で、フロスト処理による防眩処理を行った。
前記防眩処理を施したガラス板を150mm×250mmの大きさに切断した。その後、ガラス板の全周にわたってガラスの端面から0.2mmの寸法でC面取りを行った。面取りは600番の砥石(東京ダイア社製)を用い、砥石の回転数が6500rpm、砥石の移動速度が5000mm/minで処理した。これにより端面の表面粗さが450nmとなった。
ガラス板に貼合した保護フィルムを除去し、ガラス板を450℃に加熱して溶融させた硝酸カルシウム塩に2時間浸漬した。その後、ガラス板を溶融塩より引き上げ、1時間で室温まで徐冷することで化学強化処理を行った。これにより、表面圧縮応力(CS)が730MPa、応力層の深さ(DOL)が30μmの化学強化されたガラス板を得た。
さらに、このガラス板をアルカリ溶液(商品名:サンウォッシュTL-75、ライオン社製)に4時間浸漬してアルカリ処理を施した。
ガラス板の第一面の外周部の四辺に、2cm幅の黒枠状に印刷し印刷層を形成した。まず、スクリーン印刷機により黒色インク(商品名:GLSHF、帝国インキ社製)を5μmの厚さに塗布した後、150℃で30分間保持して乾燥させた。研削処理を行った端面上に印刷層の外周端が形成されるように、平面視でガラス板の端面から0.1mmの位置となるように印刷を行った。
例1とは異なり、(2)端面の研削処理を実施しない以外は、ガラス板に(1)防眩処理、(3)化学強化処理およびアルカリ処理、(4)印刷領域の形成、の順に同様の手順で行った。つまり、例1とは異なり、研削処理せず表面粗さの小さい平坦な部位に印刷層の外周端が形成されている。
例1および例2で得られた印刷層付きガラス板について、印刷層剥離試験を以下の方法で行った。
印刷層の耐剥離性について以下のように実施した。印刷層付きガラス板を出荷する際に使用するフィルムを第一面に貼合し、一定の速度で一定の角度を保ちながら前記フィルムを剥がし、印刷層が剥離等生じていないか確認を行った。
フィルムには、PET基材に接着剤としてアクリル系糊剤の貼合されたEC9000ASL(商品名、スミロン社製)を用いた。
フィルムを第一面に貼合する際は、第一面とフィルムの間に空隙が残らない様に注意を払い、ローラーにより0.1MPaの荷重をかけ密着させて試験と行った。
フィルムを剥がす速度は50mm/minで、印刷層付きガラス板とフィルムの成す角が90°となるように試験を行った。
例2では10枚のうち8枚について印刷層の剥離などが見られた。これらの剥離はほとんど印刷層の外周端を起点に発生していた。一方、例1では印刷層の剥離などが見られたのは10枚のうち1枚で、例2に比べ印刷層の剥離などが抑制された。
2 板
21 第一の主面
22 第二の主面
23 端面
24 接続部
25 内周領域
26 外周領域
3 印刷層
3a 内周部分
3b 外周部分
31 被接触面
32 接触面
33 内周端
34 外周端
4 表示領域
9 フレーム
10 接着層
Claims (17)
- 第一の主面と第二の主面と端面とを有する板と、前記第一の主面の周縁部に設けられて外周部分と内周部分とを有する印刷層と、を備えた車載用表示装置用カバーガラスであって、
前記板の全周のうち少なくとも一部において、前記印刷層の外周部分に対応する前記板の外周部分の表面粗さR2が、前記印刷層の内周部分に対応する前記板の内周部分の表面粗さR1よりも大きく、
前記表面粗さR1は、0.5nm≦R1≦20nmを満たし、
前記表面粗さR2は、100nm≦R2≦1000nmを満たし、
前記板は、化学強化ガラスであり、
前記板の厚さは、0.7mm以上、3mm以下であり、
前記板は、前記第一の主面と前記端面との間に接続部を有し、前記接続部が前記板の外周部分を含む、
ことを特徴とする車載用表示装置用カバーガラス。 - 前記板の表面全体が湾曲しているか、前記板の表面の少なくとも一部は屈曲部を備えている、請求項1に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記印刷層は外周端を有し、前記外周端が、前記第一の主面と前記端面との間の接続部を越えて、前記端面にまで達している、1又は2に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記印刷層は外周端を有し、前記印刷層の外周端が前記接続部にある請求項1又は2に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記接続部が、断面円弧状である、請求項1から4のいずれか1項に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記接続部が、C面取りにより形成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記接続部が、曲率中心を前記板内に有し曲率半径0.05mm以上0.5mm以下の曲面である請求項1から5のいずれか1項に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記接続部が、厚み方向断面視で前記第一の主面に相当する辺と前記端面に相当する辺とを接続する線分となり、前記第一の主面に相当する辺と前記接続する線分との交点において前記板の内側に形成される角と、前記端面に相当する辺と前記接続する線分との交点において前記板の内側に形成される角との2つの角が鈍角となる請求項1から7のいずれか1項に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記2つの角の角度の合計が270°である請求項8に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記接続部の幅が、前記板の平面視において端面から0.05mm以上0.5mm以下である請求項8または9に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記印刷層は外周端を有し、前記印刷層の外周部分は、前記外周端と、前記印刷層の外周端から内周側に向かって0mm超0.5mm以下に相当する仮想線に囲まれた領域である請求項1~10のいずれか1項に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記印刷層は内周端を有し、前記印刷層の内周部分は、前記内周端と、前記印刷層の内周端から外周側に向かって0mm超0.5mm以下に相当する仮想線に囲まれた領域である請求項1~11のいずれか1項に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記板の少なくとも前記第一の主面と前記第二の主面は、防眩処理(AG処理)、反射防止処理(AR処理)、耐指紋処理(AFP処理)のグループから選ばれる少なくとも1つの処理により形成された処理層を有する請求項1~12のいずれか1項に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記板の少なくとも前記第一の主面と前記第二の主面は、防眩処理(AG処理)、反射防止処理(AR処理)により形成された処理層を有する請求項1~12のいずれか1項に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記板の少なくとも前記第一の主面と前記第二の主面は、反射防止処理(AR処理)により形成された処理層を有する請求項1~12のいずれか1項に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 前記板の少なくとも前記第一の主面と前記第二の主面は、耐指紋処理(AFP処理)により形成された処理層を有する請求項1~12のいずれか1項に記載の車載用表示装置用カバーガラス。
- 請求項1~16のいずれか1項に記載の車載用表示装置用カバーガラスと、前記車載用表示装置用カバーガラスを支えるフレームと、液晶モジュールと、前記車載用表示装置用カバーガラスと前記液晶モジュールとを貼合する接着層とを有する、車載用表示装置。
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