JP2017045768A - レーザー加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アブレーション加工を好適に行うことができるレーザー加工方法を提供すること。
【解決手段】ウエーハにレーザー光線を照射してウエーハをアブレーション加工するレーザー加工方法であって、ウエーハの表面に、シリカ粒子と界面活性剤溶液とを含む保護膜溶液を塗布して、ウエーハの表面にシリカ粒子入りの保護膜を形成する液膜形成工程(ステップS2)と、保護膜が形成されたウエーハの表面にレーザー光線を照射してアブレーション加工を施すレーザー加工工程(ステップS3)と、を備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、ウエーハなどの基板にレーザービームを照射してアブレーション加工を施すレーザー加工方法に関する。
一般に、デバイスの製造においては、ウエーハなどの基板の表面に格子状に配列された複数のストリート(分割予定ライン)によって複数のチップ領域を区画し、これらのチップ領域にIC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスを形成している。これらのデバイスの分割には、ウエーハのストリートに沿ってレーザービームを照射してウエーハ表面にレーザー加工溝を形成するアブレーション加工が利用されている。
アブレーション加工では、レーザービームが照射された際にデブリと呼ばれる微細な粉塵が発生・飛散してデバイスの表面に堆積し、デバイスの品質を低下させる。このため、ウエーハの表面に保護膜を予め塗布してからレーザービームを照射し、保護膜上に付着したデブリを保護膜とともに洗浄して除去する加工方法が知られている。この種の加工方法として、特許文献1や特許文献2には、レーザービームの波長に対して吸収性を有する光吸収剤や金属酸化物の粉末を液状樹脂に混入させて保護膜を構成する技術が記載されている。これらの技術では、液状樹脂に混入された光吸収剤や金属酸化物がレーザービームのエネルギーを吸収することにより、アブレーション加工時に、保護膜がウエーハの表面から剥がれることを抑制して加工性の向上を図っている。
特開2006−140311号公報
特開2013−081946号公報
ところで、アブレーション加工においては、加工品質や歩留まりの観点から加工性の更なる向上が要望されている。従来の保護膜は、ウエーハの表面に塗布された液状樹脂を固化させる構成であったため、アブレーション加工によりレーザー加工溝を形成した際に、保護膜が剥離してレーザー加工溝の両側においてウエーハの表面にデブリが付着するおそれがある。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、アブレーション加工を好適に行うことができるレーザー加工方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、基板にレーザービームを照射して基板をアブレーション加工するレーザー加工方法であって、少なくともアブレーション加工すべき基板上の領域に、界面活性剤中にシリカ粒子が分散された液を塗布して、領域にシリカ粒子入りの液膜を形成する液膜形成工程と、液膜が形成された領域にレーザービームを照射してアブレーション加工を施すレーザー加工工程と、を備える。
また、シリカ粒子は、平均粒径が5nm以上200nm以下である構成としても良い。また、界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤である構成としても良い。
本発明によれば、基板上の領域に界面活性剤中にシリカ粒子が分散された液を塗布して液膜を形成し、液膜が形成された領域にアブレーション加工を施すため、アブレーション加工により生成した熱は、界面活性剤中にシリカ粒子が分散された液により即座に冷却される。このため、レーザービームが照射される領域の周囲への熱の拡散が抑制され、アブレーション加工を好適に行うことができる。また、基板上の領域に液膜を形成したため、アブレーション加工によりレーザー加工溝を形成した場合であっても、レーザー加工溝に界面活性剤中にシリカ粒子が分散された液が流入して、レーザー加工溝の両側に液膜を形成する。このため、基板上を液膜で確実に覆うことができることにより、基板上へのデブリの付着を抑え、アブレーション加工を好適に行うことができる。
図1は、本実施形態に係るレーザー加工方法の加工対象であるウエーハの斜視図である。 図2は、本実施形態に係るレーザー加工方法に用いられるレーザー加工装置の構成例を示す図である。 図3は、レーザー加工装置の保護膜形成兼洗浄部の構成例を示す斜視図である。 図4は、本実施形態に係るレーザー加工方法の手順を示すフローチャートである。 図5は、ウエーハに保護膜溶液を供給する工程を説明する工程図である。 図6は、保護膜が形成されたウエーハの要部の断面図である。 図7は、アブレーション工程を説明する工程図である。 図8は、ウエーハを洗浄する洗浄工程を説明する工程図である。 図9は、シリコンウエーハに対して、異なる保護膜を通じて異なる加工条件のもと、アブレーション加工した際のウエーハ表面の状態を示す図である。 図10は、ガリウムヒ素ウエーハに対して、異なる保護膜を通じて異なる加工条件のもと、アブレーション加工した際のウエーハ表面の状態を示す図である。 図11は、銅/シリコンウエーハに対して、異なる保護膜を通じて異なる加工条件のもと、アブレーション加工した際のウエーハ表面の状態を示す図である。
本発明の実施形態に係るレーザー加工方法を説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
図1は、本実施形態に係るレーザー加工方法の加工対象であるウエーハの斜視図である。ウエーハ(被加工物)Wは、図1に示すように、円板状の基板WSを有する半導体ウエーハや光デバイスウエーハである。また、ウエーハWの基板WSは、例えば、シリコン、サファイア、ガリウムなどを用いて形成されている。ウエーハWは、図1に示すように、基板WS(ウエーハW)の表面に複数のストリート(加工予定ライン)Lが格子状に形成されているとともに、複数のストリートLによって区画された各領域にそれぞれデバイスDが形成されている。
図2は、本実施形態に係るレーザー加工方法に用いられるレーザー加工装置の構成例を示す図である。なお、レーザー加工装置1は、図2に示す構成例に限定されるものではない。レーザー加工装置1は、ウエーハWの表面を液状態で被覆する保護膜(液膜)を形成するとともに、ウエーハWのストリートLに沿ってレーザー光線(レーザービーム)を照射してレーザー加工溝を形成する(アブレーション加工)。本実施形態では、ウエーハWの表面に形成された複数のストリートLがアブレーション加工をすべき領域に相当し、これらストリートLを含むウエーハWの表面に保護膜(液膜)を形成する。保護膜は、少なくともアブレーション加工が施されるストリートLを被覆すれば良い。また、保護膜は、アブレーション加工後に、ウエーハWの表面から除去される。
レーザー加工装置1は、図2に示すように、チャックテーブル10と、レーザー光線照射部20と、を備えている。レーザー加工装置1は、更に、アブレーション加工前後のウエーハWを収容するカセット30が載置されるカセットエレベータ(図示せず)と、アブレーション加工前後のウエーハWを一時的に載置する仮置き部40と、アブレーション加工前のウエーハWに保護膜を形成し、かつ、アブレーション加工後のウエーハWから保護膜を除去する保護膜形成兼洗浄部50とを備えている。更に、レーザー加工装置1は、チャックテーブル10とレーザー光線照射部20とをX軸方向に相対移動させる図示しないX軸移動手段と、チャックテーブル10とレーザー光線照射部20とをY軸方向に相対移動させる図示しないY軸移動手段と、チャックテーブル10とレーザー光線照射部20とをZ軸方向に相対移動させる図示しないZ軸移動手段とを備えている。
チャックテーブル10は、保護膜が形成されたウエーハWに対してアブレーション加工を施す際に該ウエーハWを保持する。チャックテーブル10は、表面を構成する部分がポーラスセラミック等から形成された円板形状であり、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続され、表面に載置されたウエーハWを吸引することで該ウエーハWを保持する。チャックテーブル10は、X軸移動手段により、カセット30近傍の搬出入領域TRとレーザー光線照射部20近傍の加工領域PRとに亘ってX軸方向に移動自在に設けられ、かつY軸移動手段によりY軸方向に移動自在に設けられている。
レーザー光線照射部20は、装置本体2に設けられた加工領域PRに設けられ、かつチャックテーブル10に保持されたウエーハWの表面にレーザー光線を照射して、レーザー加工溝を形成するものである。レーザー光線は、ウエーハWに対して吸収性を有する波長のレーザー光線である。レーザー光線照射部20は、チャックテーブル10に保持されたウエーハWに対して、Z軸移動手段によりZ軸方向に移動自在に設けられている。レーザー光線照射部20は、レーザー光線を発振する発振器21と、この発振器21により発振されたレーザー光線を集光する集光器22とを備えている。発振器21は、ウエーハWの種類、加工形態などに応じて、発振するレーザー光線の周波数が適宜調整される。発振器21として、例えば、YAGレーザー発振器やYVO4レーザー発振器などを用いることができる。集光器22は、発振器21により発振されたレーザー光線の進行方向を変更する全反射ミラーやレーザー光線を集光する集光レンズなどを含んで構成される。
カセット30は、粘着テープTを介して環状フレームFに貼着されたウエーハWを複数枚収容するものである。カセットエレベータは、レーザー加工装置1の装置本体2にZ軸方向に昇降自在に設けられている。
仮置き部40は、カセット30からアブレーション加工前のウエーハWを一枚取り出すとともに、アブレーション加工後のウエーハWをカセット30内に収容する。仮置き部40は、アブレーション加工前のウエーハWをカセット30から取り出すとともにアブレーション加工後のウエーハWをカセット30内に挿入する搬出入手段41と、アブレーション加工前後のウエーハWを一時的に載置する一対のレール42とを含んで構成されている。
保護膜形成兼洗浄部50は、一対のレール42上のアブレーション加工前のウエーハWが第1の搬送手段61により搬送されてきて、このアブレーション加工前のウエーハWに保護膜を形成するものである。また、保護膜形成兼洗浄部50は、アブレーション加工後のウエーハWが第2の搬送手段62により搬送されてきて、このアブレーション加工後のウエーハWの保護膜を除去するものである。
保護膜形成兼洗浄部50は、図3に示すように、アブレーション加工前後のウエーハWを保持するスピンナテーブル51と、このスピンナテーブル51をZ軸方向(図2参照)と平行な軸心回りに回転する電動モータ52と、スピンナテーブル51の周囲に配置される水受け部53とを備える。スピンナテーブル51は、円板状に形成されて表面(上面)の中央部にポーラスセラミック等から形成された吸着チャック51aを備え、この吸着チャック51aが図示しない吸引手段に連通されている。これにより、スピンナテーブル51は、吸着チャック51aに載置されたウエーハWを吸引することで該ウエーハWを保持する。
電動モータ52は、その駆動軸52aの上端にスピンナテーブル51を連結し、このスピンナテーブル51を回転自在に支持する。水受け部53は、円筒状の外側壁53a及び内側壁53bと、これら外側壁53a及び内側壁53bを連結する底壁53cを備えて環状に形成されている。水受け部53は、ウエーハWの表面に保護膜を形成する際に該表面に供給される保護膜溶液や、表面の保護膜を洗浄、除去する際に該表面に供給される洗浄水などの余剰量を受けるものである。底壁53cには、排液口53c1が設けられ、この排液口53c1にドレンホース53dが接続されている。
また、保護膜形成兼洗浄部50は、スピンナテーブル51上に保持されたウエーハWに保護膜を構成する水溶性の保護膜溶液を供給する保護膜溶液供給ノズル55と、スピンナテーブル51上のアブレーション加工後のウエーハWに洗浄水を供給する洗浄水ノズル57とを備えている。各ノズル55,57は、それぞれ、ノズル開口がスピンナテーブル51の中央上方に位置する作動位置と、スピンナテーブル51から外れた退避位置とに移動自在に構成される。洗浄水ノズル57は、図示を省略した洗浄水(例えば純水)供給源に接続されている。また、保護膜溶液供給ノズル55は、図示を省略した保護膜溶液供給源に接続されており、水溶性の保護膜溶液をウエーハWの表面に供給する。
保護膜溶液は、界面活性剤溶液と、この界面活性剤溶液に分散されたシリカ(SiO)粒子とを備えて構成される。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、TritonX−100(ダウケミカル社製)、ポロキサマー等のノニオン(非イオン)系の界面活性剤を用いることができる。ノニオン系の界面活性剤は、水に溶けたときに、界面活性剤由来の金属イオンや塩化物イオンが生じることがない。このため、これらの金属イオンや塩化物イオンがデバイスへ供給され混入されることを抑制できる。
シリカ粒子は、界面活性剤溶液に分散されることにより、界面活性剤と協働してウエーハWの表面と保護膜溶液との密着性を向上する。また、シリカ粒子は、保護膜として一般に用いられる水溶性の高分子樹脂材(例えば、PVA(ポリビニルアルコール)やPVP(ポリビニルピロリドン))に比べて、熱膨張係数が小さく、熱拡散(熱伝導度)が大きいという特徴を有している。このため、シリカ粒子を含まない保護膜と比較して、膜剥がれ等の保護膜のダメージを効果的に低減することができる。
シリカ粒子は、平均粒径が5nm以上200nm以下のものを用いることができ、さらに5nm以上20nm以下のものがより好適である。平均粒径が5nmよりも小さいものでは、粒子サイズが小さくなるため、均一なサイズのシリカ粒子を得ることが困難であり、また、界面活性剤溶液への分散性を高く保ちつつ調製することが難しい。また、200nmより大きいものでは、アブレーション加工時にシリカ粒子によりレーザー光の散乱が生じるため望ましくない。なお、シリカ粒子の平均粒径は、動的光散乱式粒径測定装置や透過型電子顕微鏡(TEM)によって計測しても良く、またBET吸着法による比表面測定値から換算しても良い。本発明におけるシリカ粒子の平均粒径は、上述のBET吸着法による比表面測定値(JIS Z8830)から換算して求めた。
本実施形態では、SiOナノ粒子水分散液(平均粒径が10nmのシリカ粒子と純水とをSiO濃度が20%に調整した液):1.5mlを、純水:11.7mlを用いて希釈し、この液にPGME(プロピレングリコールメチルエーテル):1.8mlを加えた後、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル):3mlを加え、保護膜溶液を調製した。この保護膜溶液全体におけるSiO濃度は、0.1%以上10%以下に調整することが好ましい。また、保護膜溶液とウエーハWの表面との密着性を向上させるために、保護膜溶液にシリコーンオイルを混入させても良い。PGMEは、保護膜溶液を調整する上で必須なものではないが、PGMEを混入することにより、SiOナノ粒子水分散液及び界面活性剤は、調整時の凝集抑制や、アブレーション加工時の炭化抑制を図る効果を奏する。
上記した保護膜溶液をウエーハWの表面に供給することにより、このウエーハWの表面には、保護膜溶液からなる保護膜(液膜)が形成される。この保護膜は、樹脂材のように固化することはなく、液状態のままウエーハWの表面上に保持される。このため、アブレーション加工により、ウエーハWの表面にレーザー加工溝を形成した場合、このレーザー加工溝に保護膜溶液が流入して、再びウエーハWの表面上に液膜を形成する。従って、例えば、アブレーション加工を複数回繰り返す場合であっても、ウエーハWの表面はその都度、液膜で覆われることにより、ウエーハWの表面上へのデブリの付着を抑え、アブレーション加工を好適に行うことができる。
また、アブレーション加工により生成した熱は、保護膜溶液により即座に冷却される。このため、ウエーハWにおけるレーザー光線が照射された領域の周囲に熱が拡散することが抑制され、アブレーション加工を好適に行うことができる。特に、本実施形態では、保護膜溶液には、界面活性剤及びシリカを希釈するための水(純水)が混入されている。水は、一般に比熱が大きいため、アブレーション加工により生成した熱の冷却を好適に行うことができる。
従って、保護膜溶液は、高い冷却性能を有するため、高分子樹脂材料による保護膜に比べて膜厚を薄くする(例えば20nm〜1000nm)ことができる。このため、アブレーション加工時に、保護膜でのレーザー光の散乱を抑えることができ、アブレーション加工の加工精度を高めることができる。
次に、レーザー加工方法について説明する。図4は、本実施形態に係るレーザー加工方法の手順を示すフローチャートである。まず、加工手順としては、未加工のウエーハWの裏面をスピンナテーブル51に保持する(ステップS1)。具体的には、レーザー加工装置1のカセット30に収容されたレーザー加工前のウエーハWを、搬出入手段41を用いてカセット30から一枚取り出し、このウエーハWを一対のレール42上に載置する。この一対のレール42上に載置されたウエーハWは、第1の搬送手段61により、保護膜形成兼洗浄部50のスピンナテーブル51に搬送される。スピンナテーブル51では、吸着チャック51aに載置されたウエーハWを吸引することで該ウエーハWが保持される。
次に、ウエーハWの表面に保護膜溶液を供給する(ステップS2:液膜形成工程)。具体的には、図5に示すように、保護膜溶液供給ノズル55をウエーハWの上方に配置し、スピンナテーブル51を所定の回転数で回転させた状態で、保護膜溶液供給ノズル55から保護膜溶液(界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)溶液に平均粒径が10nmのシリカ粒子を分散させた溶液)70をウエーハWに供給する。この場合、保護膜溶液供給ノズル55の供給口は、スピンナテーブル51の回転軸上に位置することが好ましい。これによれば、供給された保護膜溶液70は、スピンナテーブル51の回転に伴う遠心力により、ウエーハWの中心から径方向外側に広がるため、図6に示すように、ウエーハWの表面には略均一な膜厚の保護膜Pが形成される。
次に、アブレーション加工を行う(ステップS3:レーザー加工工程)。この場合、保護膜溶液供給ノズル55を、ウエーハWが保持されたスピンナテーブル51の上方から退避させるとともに、第2の搬送手段62によって、ウエーハWがスピンナテーブル51の上からチャックテーブル10の上に搬送される。チャックテーブル10では、表面に載置されたウエーハWは、吸引されることで保持される。そして、レーザー光線照射部20は、集光器22からウエーハWの保護膜Pを通して所定のストリートLに向けてレーザー光線を照射する。ここで、レーザー光線を照射しつつ、チャックテーブル10を、X軸移動手段またはY軸移動手段により、X軸方向またはY軸方向に所定の送り速度(例えば、100mm/秒)で移動させる。これにより、図7に示すように、所定のストリートLに沿って、アブレーション加工によりレーザー加工溝100が形成される。この場合、アブレーション加工により生成した熱は、保護膜溶液により即座に冷却されることにより、ウエーハWにおけるレーザー光線が照射された領域の周囲に熱が拡散することが抑制され、アブレーション加工を好適に行うことができる。また、レーザー加工溝100に保護膜溶液が流入して、再びウエーハWの表面上に保護膜Pを形成する。従って、例えば、アブレーション加工を複数回繰り返す場合であっても、ウエーハWの表面はその都度、液膜からなる保護膜Pで覆われることにより、ウエーハWの表面上へのデブリの付着を抑えることができる。
次に、保護膜Pを洗浄により除去する(ステップS4:洗浄工程)。この場合、第2の搬送手段62によって、アブレーション加工後のウエーハWは、チャックテーブル10の上から再び、保護膜形成兼洗浄部50のスピンナテーブル51の上に搬送される。そして、スピンナテーブル51の吸着チャック51aに保持される。図8に示すように、洗浄水ノズル57をウエーハWの上方に配置し、スピンナテーブル51を所定の回転数で回転させた状態で、洗浄水ノズル57から洗浄水72をウエーハWに供給する。保護膜P(図7)は、保護膜溶液からなる液膜であるため、この保護膜Pに向けて洗浄水72を供給することにより、保護膜溶液(保護膜P)が洗浄水72とともにウエーハWの表面から除去される。この場合、アブレーション加工によって生じたデブリは、保護膜溶液及び洗浄水とともに、ウエーハWの表面から除去される。最後に、レーザー加工溝100に沿って、デバイスDを分割して(ステップS5)、処理を終了する。
次に、実施例を比較例とともに説明する。
[実施例1]
ウエーハWは、基板WSの材質としてシリコン(Si)を用いている。保護膜溶液としては、SiOナノ粒子水分散液(平均粒径が10nmのシリカ粒子と純水とをSiO濃度が20%に調整した液):1.5mlを、純水:11.7mlを用いて希釈し、この液にPGME(プロピレングリコールメチルエーテル):1.8mlを加えた後、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル):3mlを加えて調製したものを用いた。この保護膜溶液をウエーハWの表面に供給し、この表面に膜厚が200nmの保護膜P(液膜)を形成した。
また、アブレーション加工は、以下の加工条件で行った。
波長:532nm、出力:10.5W、繰り返し周波数:15kHz、加工送り速度:50mm/秒。
[実施例2]
実施例2では、アブレーション加工の加工条件のうち、加工送り速度:100mm/秒とした点で実施例1と異なり、その他の構成はすべて実施例1と同一である。
[実施例3]
実施例3では、アブレーション加工の加工条件を、出力:8.4W、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:100mm/秒とした点で実施例1と異なり、その他の構成はすべて実施例1と同一である。
[実施例4]
実施例4では、アブレーション加工の加工条件を、出力:8.4W、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:600mm/秒とした点で実施例1と異なり、その他の構成はすべて実施例1と同一である。
[比較例1]
実施例1と同様に、ウエーハWは、基板WSの材質としてシリコン(Si)を用いている。保護膜Pは、水溶性の高分子樹脂材であるPVA(ポリビニルアルコール)を用いて、ウエーハWの表面にPVAからなる膜厚が2000nmの保護膜P(高分子樹脂膜)を形成した。また、アブレーション加工は、実施例1と同一の加工条件で行った。
[比較例2]
比較例2では、アブレーション加工の加工条件のうち、加工送り速度:100mm/秒とした点で比較例1と異なり、その他の構成はすべて比較例1と同一である。
[比較例3]
比較例3では、アブレーション加工の加工条件を、出力:8.4W、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:100mm/秒とした点で比較例1と異なり、その他の構成はすべて比較例1と同一である。
[比較例4]
比較例4では、アブレーション加工の加工条件を、出力:8.4W、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:600mm/秒とした点で比較例1と異なり、その他の構成はすべて比較例1と同一である。
[比較例5]
実施例1と同様に、ウエーハWは、基板WSの材質としてシリコン(Si)を用いている。保護膜Pは、水溶性の高分子樹脂材であるPVP(ポリビニルピロリドン)を用いて、ウエーハWの表面にPVPからなる膜厚が1300nmの保護膜P(高分子樹脂膜)を形成した。また、アブレーション加工は、実施例1と同一の加工条件で行った。
[比較例6]
比較例6では、アブレーション加工の加工条件のうち、加工送り速度:100mm/秒とした点で比較例5と異なり、その他の構成はすべて比較例5と同一である。
[比較例7]
比較例7では、アブレーション加工の加工条件を、出力:8.4W、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:100mm/秒とした点で比較例5と異なり、その他の構成はすべて比較例5と同一である。
[比較例8]
比較例8では、アブレーション加工の加工条件を、出力:8.4W、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:600mm/秒とした点で比較例5と異なり、その他の構成はすべて比較例5と同一である。
[比較例9]
実施例1と同様に、ウエーハWは、基板WSの材質としてシリコン(Si)を用いている。保護膜Pは、水溶性の高分子樹脂材であるPVA(ポリビニルアルコール)に光吸収剤(モノアゾ染料)を所定量(PVA樹脂100重量部あたり0.01重量部以上0.1重量部以下)を加えたものを用いた。ウエーハWの表面にはPVAと光吸収剤とからなる膜厚が2000nmの保護膜P(高分子樹脂膜)を形成した。また、アブレーション加工は、実施例1と同一の加工条件で行った。
[比較例10]
比較例10では、アブレーション加工の加工条件のうち、加工送り速度:100mm/秒とした点で比較例9と異なり、その他の構成はすべて比較例9と同一である。
[比較例11]
比較例11では、アブレーション加工の加工条件を、出力:8.4W、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:100mm/秒とした点で比較例9と異なり、その他の構成はすべて比較例9と同一である。
[比較例12]
比較例12では、アブレーション加工の加工条件を、出力:8.4W、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:600mm/秒とした点で比較例9と異なり、その他の構成はすべて比較例9と同一である。
[実施例5]
ウエーハWは、基板WSの材質としてガリウムヒ素(GaAs)を用いている。保護膜溶液としては、実施例1と同様に、SiOナノ粒子水分散液(平均粒径が10nmのシリカ粒子と純水とをSiO濃度が20%に調整した液):1.5mlを、純水:11.7mlを用いて希釈し、この液にPGME(プロピレングリコールメチルエーテル):1.8mlを加えた後、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル):3mlを加えて調製したものを用いた。この保護膜溶液をウエーハWの表面に供給し、この表面に膜厚が200nmの保護膜P(液膜)を形成した。
また、アブレーション加工は、以下の加工条件で行った。
波長:532nm、出力:4.75W、繰り返し周波数:15kHz、加工送り速度:50mm/秒。
[実施例6]
実施例6では、アブレーション加工の加工条件のうち、加工送り速度:100mm/秒とした点で実施例5と異なり、その他の構成はすべて実施例5と同一である。
[実施例7]
実施例7では、アブレーション加工の加工条件のうち、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:300mm/秒とした点で実施例5と異なり、その他の構成はすべて実施例5と同一である。
[実施例8]
実施例8では、アブレーション加工の加工条件のうち、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:600mm/秒とした点で実施例5と異なり、その他の構成はすべて実施例5と同一である。
[比較例13]
実施例5と同様に、ウエーハWは、基板WSの材質としてガリウムヒ素(GaAs)を用いている。保護膜Pは、水溶性の高分子樹脂材であるPVA(ポリビニルアルコール)を用いて、ウエーハWの表面にPVAからなる膜厚が2000nmの保護膜P(高分子樹脂膜)を形成した。また、アブレーション加工は、実施例5と同一の加工条件で行った。
[比較例14]
比較例14では、アブレーション加工の加工条件のうち、加工送り速度:100mm/秒とした点で比較例13と異なり、その他の構成はすべて比較例13と同一である。
[比較例15]
比較例15では、アブレーション加工の加工条件のうち、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:300mm/秒とした点で比較例13と異なり、その他の構成はすべて比較例13と同一である。
[比較例16]
比較例16では、アブレーション加工の加工条件のうち、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:600mm/秒とした点で比較例13と異なり、その他の構成はすべて比較例13と同一である。
[比較例17]
実施例5と同様に、ウエーハWは、基板WSの材質としてガリウムヒ素(GaAs)を用いている。保護膜Pは、水溶性の高分子樹脂材であるPVP(ポリビニルピロリドン)を用いて、ウエーハWの表面にPVPからなる膜厚が1300nmの保護膜P(高分子樹脂膜)を形成した。また、アブレーション加工は、実施例5と同一の加工条件で行った。
[比較例18]
比較例18では、アブレーション加工の加工条件のうち、加工送り速度:100mm/秒とした点で比較例17と異なり、その他の構成はすべて比較例17と同一である。
[比較例19]
比較例19では、アブレーション加工の加工条件を、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:300mm/秒とした点で比較例17と異なり、その他の構成はすべて比較例17と同一である。
[比較例20]
比較例20では、アブレーション加工の加工条件を、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:600mm/秒とした点で比較例17と異なり、その他の構成はすべて比較例17と同一である。
[比較例21]
実施例5と同様に、ウエーハWは、基板WSの材質としてガリウムヒ素(GaAs)を用いている。保護膜Pは、水溶性の高分子樹脂材であるPVA(ポリビニルアルコール)に光吸収剤(モノアゾ染料)を所定量(PVA樹脂100重量部あたり0.01重量部以上0.1重量部以下)を加えたものを用いた。ウエーハWの表面にはPVAと光吸収剤とからなる膜厚が2000nmの保護膜P(高分子樹脂膜)を形成した。また、アブレーション加工は、実施例5と同一の加工条件で行った。
[比較例22]
比較例22では、アブレーション加工の加工条件のうち、加工送り速度:100mm/秒とした点で比較例21と異なり、その他の構成はすべて比較例21と同一である。
[比較例23]
比較例23では、アブレーション加工の加工条件を、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:300mm/秒とした点で比較例21と異なり、その他の構成はすべて比較例21と同一である。
[比較例24]
比較例24では、アブレーション加工の加工条件を、繰り返し周波数:5kHz、加工送り速度:600mm/秒とした点で比較例21と異なり、その他の構成はすべて比較例21と同一である。
[実施例9]
ウエーハWは、基板WSの材質としてシリコン上に銅を成膜したもの(Cu/Si)を用いている。保護膜溶液としては、実施例1と同様に、SiOナノ粒子水分散液(平均粒径が10nmのシリカ粒子と純水とをSiO濃度が20%に調整した液):1.5mlを、純水:11.7mlを用いて希釈し、この液にPGME(プロピレングリコールメチルエーテル):1.8mlを加えた後、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル):3mlを加えて調製したものを用いた。この保護膜溶液をウエーハWの表面に供給し、この表面に膜厚が200nmの保護膜P(液膜)を形成した。
また、アブレーション加工は、以下の加工条件で行った。
波長:355nm、出力:2W、繰り返し周波数:100kHz、加工送り速度:200mm/秒。
[実施例10]
実施例10では、アブレーション加工の加工条件のうち、出力:4.0W、繰り返し周波数:40kHzとした点で実施例9と異なり、その他の構成はすべて実施例9と同一である。
[実施例11]
実施例11では、アブレーション加工の加工条件のうち、出力:4.0W、繰り返し周波数:40kHz、加工送り速度:400mm/秒とした点で実施例9と異なり、その他の構成はすべて実施例9と同一である。
[実施例12]
実施例12では、アブレーション加工の加工条件のうち、出力:4.0W、繰り返し周波数:40kHz、加工送り速度:600mm/秒とした点で実施例9と異なり、その他の構成はすべて実施例9と同一である。
[比較例25]
実施例9と同様に、ウエーハWは、基板WSの材質としてシリコン上に銅を成膜したもの(Cu/Si)を用いている。保護膜Pは、水溶性の高分子樹脂材であるPVA(ポリビニルアルコール)を用いて、ウエーハWの表面にPVAからなる膜厚が2000nmの保護膜P(高分子樹脂膜)を形成した。また、アブレーション加工は、実施例9と同一の加工条件で行った。
[比較例26]
比較例26では、アブレーション加工の加工条件のうち、出力:4.0W、繰り返し周波数:40kHzとした点で比較例25と異なり、その他の構成はすべて比較例25と同一である。
[比較例27]
比較例27では、アブレーション加工の加工条件のうち、出力:4.0W、繰り返し周波数:40kHz、加工送り速度:400mm/秒とした点で比較例25と異なり、その他の構成はすべて比較例25と同一である。
[比較例28]
比較例28では、アブレーション加工の加工条件のうち、出力:4.0W、繰り返し周波数:40kHz、加工送り速度:600mm/秒とした点で比較例25と異なり、その他の構成はすべて比較例25と同一である。
[比較例29]
実施例9と同様に、ウエーハWは、基板WSの材質としてシリコン上に銅を成膜したもの(Cu/Si)を用いている。保護膜Pは、水溶性の高分子樹脂材であるPVA(ポリビニルアルコール)に光吸収剤(モノアゾ染料)を所定量(PVA樹脂100重量部あたり0.01重量部以上0.1重量部以下)を加えたものを用いた。ウエーハWの表面にはPVAと光吸収剤とからなる膜厚が2000nmの保護膜P(高分子樹脂膜)を形成した。また、アブレーション加工は、実施例9と同一の加工条件で行った。
[比較例30]
比較例30では、アブレーション加工の加工条件のうち、出力:4.0W、繰り返し周波数:40kHzとした点で比較例29と異なり、その他の構成はすべて比較例29と同一である。
[比較例31]
比較例31では、アブレーション加工の加工条件のうち、出力:4.0W、繰り返し周波数:40kHz、加工送り速度:400mm/秒とした点で比較例29と異なり、その他の構成はすべて比較例29と同一である。
[比較例32]
比較例32では、アブレーション加工の加工条件のうち、出力:4.0W、繰り返し周波数:40kHz、加工送り速度:600mm/秒とした点で比較例29と異なり、その他の構成はすべて比較例29と同一である。
[比較例33]
実施例9と同様に、ウエーハWは、基板WSの材質としてシリコン上に銅を成膜したもの(Cu/Si)を用いている。保護膜Pは、水溶性の高分子樹脂材であるPVP(ポリビニルピロリドン)に光吸収剤(モノアゾ染料)を所定量(PVP樹脂100重量部あたり0.01重量部以上0.1重量部以下)を加えたものを用いた。ウエーハWの表面にはPVPと光吸収剤とからなる膜厚が1300nmの保護膜P(高分子樹脂膜)を形成した。また、アブレーション加工は、実施例9と同一の加工条件で行った。
[比較例34]
比較例34では、アブレーション加工の加工条件のうち、出力:4.0W、繰り返し周波数:40kHzとした点で比較例33と異なり、その他の構成はすべて比較例33と同一である。
[比較例35]
比較例35では、アブレーション加工の加工条件のうち、出力:4.0W、繰り返し周波数:40kHz、加工送り速度:400mm/秒とした点で比較例33と異なり、その他の構成はすべて比較例33と同一である。
[比較例36]
比較例36では、アブレーション加工の加工条件のうち、出力:4.0W、繰り返し周波数:40kHz、加工送り速度:600mm/秒とした点で比較例33と異なり、その他の構成はすべて比較例33と同一である。
シリコン(Si)のウエーハWでは、図9の実施例1〜4、比較例1〜12に示すように、保護膜及びアブレーション加工の加工条件を変更した場合であっても、ウエーハWの表面に大きな損傷が生じることはなかった。しかしながら、ガリウムヒ素(GaAs)のウエーハWでは、図10の比較例15〜21、23に示すように、レーザー加工溝の両側のウエーハ表面に損傷(レーザー焼けによる変色)が大きな範囲で見られた。同様に、銅/シリコン(Cu/Si)のウエーハWでも、図11の比較例26〜28、35、36に示すように、レーザー加工溝の両側のウエーハ表面に損傷(レーザー焼けによる変色)が大きな範囲で見られた。このように、保護膜を従来の高分子材料膜とした構成では、ウエーハWの材質や、アブレーション加工の加工条件によって、大きな損傷が生じる場合があった。このような大きな損傷は、特に、加工送り速度が大きくなった場合に生じやすい傾向にある。
これに対して、保護膜Pを保護膜溶液による液膜で構成した場合には、図9〜図11に示すように、すべての実施例1〜12において、ウエーハWの表面に損傷のないアブレーション加工を実現した。このように本実施形態のレーザー加工方法では、ウエーハWの材質や、アブレーション加工の加工条件によらず、好適なアブレーション加工をウエーハWに行うことができる。このため、本実施形態のレーザー加工方法では、加工送り速度を大きくしてもウエーハWの表面に損傷が生じないため、加工送り速度を向上させることができ、その分、単位時間あたりの加工量を増大することができる。
以上、本実施形態によれば、ウエーハWにレーザー光線を照射してウエーハWをアブレーション加工するレーザー加工方法であって、ウエーハWの表面に、シリカ粒子と界面活性剤溶液とを含む保護膜溶液を塗布して、ウエーハWの表面にシリカ粒子入りの保護膜Pを形成する液膜形成工程(ステップS2)と、保護膜Pが形成されたウエーハWの表面にレーザー光線を照射してアブレーション加工を施すレーザー加工工程(ステップS3)とを備えるため、アブレーション加工により生成した熱は、保護膜溶液により即座に冷却される。このため、ウエーハWの表面におけるレーザー光線が照射された領域の周囲に熱が拡散することが抑制され、アブレーション加工を好適に行うことができる。アブレーション加工によりウエーハWに形成されるレーザー加工溝100に保護膜溶液が流入し、再びウエーハWの表面上に保護膜Pを形成する。従って、アブレーション加工を複数回繰り返す場合であっても、ウエーハWの表面はその都度、液膜からなる保護膜Pで覆われることにより、ウエーハWの表面上へのデブリの付着を抑えることができる。
また、本実施形態によれば、シリカ粒子は、平均粒径が5nm以上200nm以下であるため、アブレーション加工時のレーザー光の散乱を抑えつつ、界面活性剤溶液に対するシリカ粒子の分散性を高く保持できる。
また、本実施形態によれば、界面活性剤を使用することにより、シリカ粒子(SiOナノ粒子)を安定した状態で保存することができ、保護膜Pの形成を容易に行うことができる。更に、ノニオン系の界面活性剤を使用することにより、界面活性剤由来の金属イオンや塩化物イオンが発生せず、これらの金属イオンや塩化物イオンがデバイスへ供給され混入されることを抑制できる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 レーザー加工装置
10 チャックテーブル
20 レーザー光線照射部
50 保護膜形成兼洗浄部
51 スピンナテーブル
51a 吸着チャック
52 電動モータ
52a 駆動軸
55 保護膜溶液供給ノズル
57 洗浄水ノズル
70 保護膜溶液(界面活性剤中にシリカ粒子が分散された液)
72 洗浄水
100 レーザー加工溝
D デバイス
L ストリート
P 保護膜
W ウエーハ

Claims (3)

  1. 基板にレーザービームを照射して前記基板をアブレーション加工するレーザー加工方法であって、
    少なくとも前記アブレーション加工すべき前記基板上の領域に、界面活性剤中にシリカ粒子が分散された液を塗布して、前記領域に前記シリカ粒子入りの液膜を形成する液膜形成工程と、
    前記液膜が形成された前記領域に前記レーザービームを照射して前記アブレーション加工を施すレーザー加工工程と、
    を備えるレーザー加工方法。
  2. 前記シリカ粒子は、平均粒径が5nm以上200nm以下である請求項1に記載のレーザー加工方法。
  3. 前記界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤である請求項1または2に記載のレーザー加工方法。
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