ところで、車両の内装の意匠性を向上させるためには、例えば、ドアのベルトラインとクォータウィンドウの下縁とを結ぶ直線と略同じ高さ位置において、アッパートリムの意匠面部の下端面とロアトリムの意匠面部の上端面とが、互いに当接することが望ましいとされている。
しかし、特許文献1に記載の構造のように、アッパートリムの下部を全周に亘って、車室内側から覆うようにロアトリムを組み付ける場合、アッパートリムとロアトリムとが当接する部分である合わせ部の全周に亘って膨出部や段差が生じてしまう。
そこで、アッパートリム及びロアトリムにおける分割位置に形成される面である分割面が、互いに上下方向又は車両前後方向で当接するように構成することで、アッパートリムの意匠面とロアトリムの意匠面とを面一にすることが考えられる。
しかし、アッパートリムの分割面とロアトリムの分割面とが上下方向のみで当接するように構成すると、クォータウィンドウの下縁は車両前後方向に延びているため、該下縁上には上記合わせ部を形成することができず、上記下縁から上方にずれた位置に合わせ部を設けざるを得ない。また、アッパートリムの分割面とロアトリムの分割面とが車両前後方向のみで当接するように構成すると、ドアと対向する面部に段差を形成して、アッパートリムの意匠面及びロアトリムの意匠面が前後方向に延びるようにする必要がある。
一方、上記合わせ部における、アッパートリムとロアトリムとの合わせ方向を、例えば、車両前側は上下方向とし、車両後側は車両前後方向とすると、合わせ部を上下方向にずらしたり、段差を形成したりする必要がなくなる。しかし、上下方向と車両前後方向とは、互いに捻れの関係にあるため、それらの合わせ方向が干渉する位置において、上記合わせ部を捻る又は上記合わせ部を捻りながら上記合わせ方向を徐変させる必要がある。そのため、アッパートリム及びロアトリムを型成型等により量産を行う場合は、型成型等の製造公差により上記捻れの位置において、アッパートリムとロアトリムとの間の隙間や段差を均一に形成することが困難である。 本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成で、ピラートリムの意匠性の向上と量産性の確保とを両立させることにある。
上記課題を解決するために、本発明では、ピラーパネルの車室内側の面を覆うアッパートリムと、該アッパートリムにおける意匠面部の下端面に、意匠面部の上端面が当接されたロアトリムと、を備えた、車両の内装構造を対象として、上記アッパートリムと上記ロアトリムとが当接する位置に形成された開口部であって、シートベルト装置のウェビングが挿通する開口部よりも車両前側に形成され、上記アッパートリムにおける車両前側の意匠面部の下端面と上記ロアトリムにおける車両前側の意匠面部の上端面とが互いに当接する第1の合わせ部と、上記開口部よりも車両後側に形成され、上記アッパートリムにおける車両後側の意匠面部の下端面と上記ロアトリムにおける車両後側の意匠面部の上端面とが互いに当接する第2の合わせ部と、を更に備え、上記アッパートリムにおける車両前側の意匠面部の下端面と上記ロアトリムにおける車両前側の意匠面部の上端面とは、上記第1の合わせ部において、上下方向で互いに当接するよう構成される一方、上記アッパートリムにおける車両後側の意匠面部の下端面と上記ロアトリムにおける車両後側の意匠面部の上端面とは、上記第2の合わせ部において、全てが車両前後方向で当接するか、又は一部が車幅方向で当接しかつ残部が車両前後方向で当接するよう構成されており、上記アッパートリムと上記ロアトリムとの合わせ方向は、上記開口部を介して、上記第1の合わせ部の合わせ方向から、上記第2の合わせ部の合わせ方向へ切り替えられる、構成とした。
この構成によると、アッパートリムにおける車両前側の意匠面部の下端面とロアトリムにおける車両前側の意匠面部の上端面とは、第1の合わせ部によって互いに上下方向で当接する一方、アッパートリムにおける車両後側の意匠面部の下端面とロアトリムにおける車両後側の意匠面部の上端面とは、第2の合わせ部によって全てが車両前後方向で当接するか、又は一部が車幅方向で当接しかつ残部が車両前後方向で当接する。これにより、車両前側と車両後側との両側において、アッパートリムとロアトリムとの合わせ部をドアのベルトラインから上下方向にずらしたり、該合わせ部に段差を設けたりすることなく、上記合わせ部をドアのベルトラインとクォータウィンドウの下縁とを結ぶ直線上に形成することができる。
また、アッパートリムとロアトリムとが当接する位置に上記開口部が形成され、アッパートリムとロアトリムとの合わせ方向が、上記開口部を介して、第1の合わせ部の合わせ方向から、第2の合わせ部の合わせ方向へ切り替えられるように構成されている。すなわち、アッパートリムとロアトリムとが当接する部分おいて、アッパートリムの意匠面部の下端面及びロアトリムの意匠面部の上端面にそれぞれ形成される分割面を、アッパートリム及びロアトリムにおける車両前側から車両後側まで連続的に形成するのではなく、例えば、アッパートリムの分割面を、アッパートリムの下端部における車両前側端部から開口部の車両前側端部まで延ばす一方、ロアトリムの分割面を、ロアトリムの上端部における車両前側端部から開口部の車両前側端部まで延ばし、アッパートリムの下端部及びロアトリムの上端部における開口部に対応する領域には分割面を形成せず、開口部の車両後側端部から、合わせ方向が切り替えられた、アッパートリム及びロアトリムの車両後側における分割面を形成する。これによって、第1の合わせ部の合わせ方向である上下方向から、第2の合わせ部の合わせ方向である車両前後方向又は車幅方向へと、アッパートリムとロアトリムとの合わせ方向が切り替えられる位置において捻れが形成されることなく、該合わせ方向が切り替えられる。そのため、上記捻れによってアッパートリムとロアトリムとの間に過剰な隙間や段差が形成されて、車両の内装の見栄えが悪化するのを防止し、車両の内装の意匠性を向上させることができる。また、捻れが生じないことから、型成型等の、製造公差が生じる製造方法であっても、アッパートリムとロアトリムとの間に隙間や段差を均一に形成することができるため、上記製造公差によって車両の内装の意匠性が悪化するのを防止しつつ、量産性を確保することができる。
上記車両の内装構造の一実施形態において、上記アッパートリムの車両前側の意匠面と上記ロアトリムの車両前側の意匠面とは、上記第1の合わせ部において、上下方向に連続した面を形成する一方、上記アッパートリムの車両後側の意匠面と上記ロアトリムの車両後側の意匠面とは、上記第2の合わせ部において、車両前後方向に連続した面を形成する、ように構成されている。
この構成によると、一般に、ドアと対向する、ピラーパネルの車室内側前面を覆う、アッパートリムの車両前側の意匠面とロアトリムの車両前側の意匠面とが、第1の合わせ部において、上下方向に連続した面を形成するため、アッパートリムの車両前側の意匠面とロアトリムの車両前側の意匠面とを上下方向で面一にすることができる。また、一般に、クォータウィンドウが設けられるピラーパネルの車室内側後面を覆う、アッパートリムの車両後側の意匠面とロアトリムの車両後側の意匠面とが、第2の合わせ部において、車両前後方向に連続した面を形成するため、アッパートリムの車両後側の意匠面とロアトリムの車両後側の意匠面とを車両前後方向で面一にすることができる。その結果、第1及び第2の合わせ部において段差が生じないため、車両の内装の意匠性をさらに向上させることができる。
上記車両の内装構造において、上記アッパートリム及び上記ロアトリムの車両前側には、ドアが配置され、上記第1及び第2の合わせ部は、上記ドアのベルトラインが形成される高さ位置と略同じ高さ位置に形成される、ことが望ましい。
すなわち、第1及び第2の合わせ部では、アッパートリムの分割面とロアトリムの分割面とが当接することで分割ラインが形成されるが、第1及び第2の合わせ部がドアのベルトラインと略同じ高さに形成されていれば、車両前側の分割ラインと車両後側の分割ラインとが、ドアのベルトラインと略同じ高さ位置に形成される。これにより、車両側面視で、車両前側の分割ライン、車両後側の分割ライン、ドアのベルトライン、及びクォータウィンドウの下縁が、略一直線上に整列するため、車両の内装の意匠性をさらに向上させることができる。
上記車両の内装構造において、上記アッパートリムは、該アッパートリムにおける、車両前側の意匠面部と、車両後側の意匠面部と、上記車両前側の意匠面部の車室内側の端部と上記車両後側の意匠面部の車室内側の端部とに結合された車幅方向内側の意匠面部と、で上記ピラーパネルの車室内側の面を覆うように、車室内側に膨らんだ横断面略C字状をなしており、上記開口部は、上記アッパートリムにおける、上記車幅方向内側の意匠面部の車両前側端部の位置又は上記車幅方向内側の意匠面部の車両前後方向中間位置から、上記車幅方向内側の意匠面部の車両後側端部の位置まで延びている、ことが望ましい。
すなわち、開口部が、横断面略C字状に形成されたアッパートリムにおける、車幅方向内側の意匠面部の車両前側端部又は上記車幅方向内側の意匠面部の車両前後方向中間位置から、上記車幅方向内側の意匠面部の車両後側端部の位置まで延びていれば、アッパートリム及びロアトリムの車幅方向内側の意匠面部には、開口部又は第1の合わせ部が形成される一方、第2の合わせ部における車幅方向の合わせが形成されない。つまり、車幅方向での合わせを考慮する必要がなくなるため、アッパートリム及びロアトリムの第2の合わせ部周辺における構造が簡単になり、製造の簡単化を図ることができる。
上記開口部が、上記アッパートリムの車幅方向内側の意匠面部の車両後側端部の位置まで延びている構成において、上記ロアトリムの上部において、上記アッパートリムにおける車幅方向内側の意匠面部に対応する領域は、上下方向中間部が、上記領域における上記ロアトリムの上端部及び上記領域における上記ロアトリムの下端部よりも車室内側に膨出した膨出領域であり、上記開口部は、上記膨出領域における、上記ロアトリムの上端部が切り欠かれることで、上記アッパートリムと上記ロアトリムとが当接したときに形成される隙間で形成される、ことが望ましい。
すなわち、アッパートリムにおける車幅方向内側の意匠面部の下端部を切り欠いて形成された隙間、又はアッパートリムにおける車幅方向内側の意匠面部の下部の一部を車幅方向外側に凹陥させて形成された隙間によって上記開口部が形成されるとすると、開口部がアッパートリムの車幅方向内側の意匠面部における車両後側端部の位置まで延びていることから、アッパートリムの車幅方向内側の意匠面部とアッパートリムの車両後側の意匠面部との間に形成される稜線が、開口部によって途切れることになる。一方、ロアトリムの上部における、上記アッパートリムの車幅方向内側の意匠面部に対応する領域において、該領域における上下方向中間部を、上記領域における上記ロアトリムの上端部及び上記領域における上記ロアトリムの下端部よりも車室内側に膨出させて、上記領域における上端部が切り欠かれることで形成された隙間で上記開口部が形成されるとすると、開口部がアッパートリムにおける車幅方向内側の意匠面部の車両後側端部まで延びていたとしても、該開口部によって、上記稜線が途切れることがなくなるため、車両の内装の意匠性をさらに向上させることができる。また、開口部の車両後側端部のラインとロアトリムにおける車両後側の意匠面の上端のラインとを連続的にすることができるため、開口部を介した、第1の合わせ部の合わせ方向である上下方向から第2の合わせ部の合わせ方向である車両前後方向、又は車両前後方向及び車幅方向への切り替えが円滑になり、車両の内装の意匠性を向上させることができる。
上記車両の内装構造において、上記ロアトリムは、該ロアトリムを上記アッパートリムに車幅方向で固定するための固定部を備え、上記第2の合わせ部は、車両後側に向かって車幅方向外側に傾斜している、ことが望ましい。
すなわち、ロアトリムをアッパートリムに上下方向で組み付ける構成では、アッパートリムに対するロアトリムの車両前後方向の位置が合わせにくいため、組み付けの際に、アッパートリムにおける車両後側の意匠面部とロアトリムにおける車両後側の意匠面部とが衝突して、第2の合わせ部周辺が損傷する可能性がある。一方、ロアトリムをアッパートリムに、車両前後方向で組み付ける構成では、アッパートリムに対するロアトリムの上下方向の位置が合わせにくいため、組み付けの際に、アッパートリムにおける車両前側の意匠面部とロアトリムにおける車両前側の意匠面部とが衝突して、第1の合わせ部周辺が損傷する可能性がある。そこで、ロアトリムを、車室内側から車幅方向でアッパートリムに組み付けられるようにすることで、ロアトリムの上下方向の位置及び車両前後方向の位置が合わせ易くなる。その結果、ロアトリムをアッパートリムに組み付ける際に、第1及び第2の合わせ部の周辺において、アッパートリムの意匠面部とロアトリムの意匠面部とが衝突して、第1及び第2の合わせ部の周辺が損傷するのを防止することができる。
また、第2の合わせ部が車両後側に向かって車幅方向外側に傾斜していることから、ロアトリムをアッパートリムに車室内側から組み付ける際に、アッパートリムの車両後側の分割面に対して、ロアトリムの車両後側の分割面を当接させ易くなるため、上記分割面の周辺が損傷するのを防止することができる。
以上説明したように、本発明に係る車両の内装構造は、アッパートリムとロアトリムとが当接する位置に形成された開口部であって、シートベルト装置のウェビングが挿通する開口部よりも車両前側に形成され、アッパートリムにおける車両前側の意匠面部の下端面と上記ロアトリムにおける車両前側の意匠面部の上端面とが互いに当接する第1の合わせ部と、開口部よりも車両後側に形成され、アッパートリムにおける車両後側の意匠面部の下端面とロアトリムにおける車両後側の意匠面部の上端面とが互いに当接する第2の合わせ部と、を更に備え、アッパートリムにおける車両前側の意匠面部の下端面とロアトリムにおける車両前側の意匠面部の上端面とは、第1の合わせ部において、上下方向で互いに当接するよう構成される一方、アッパートリムにおける車両後側の意匠面部の下端面とロアトリムにおける車両後側の意匠面部の上端面とは、第2の合わせ部において、全てが車両前後方向で当接するか、又は一部が車幅方向で当接しかつ残部が車両前後方向で当接するよう構成されており、アッパートリムとロアトリムとの合わせ方向は、開口部を介して、第1の合わせ部の合わせ方向から、第2の合わせ部の合わせ方向へ切り替えられるため、第1の合わせ部の合わせ方向と第2の合わせ部の合わせ方向とが切り替えられる位置における捻れが解消されるとともに、第1の合わせ部、第2の合わせ部、ドアのベルトライン、及びクォータウィンドウの下縁を略一直線上に配置することができる。その結果、意匠性の向上と量産性の確保とを両立することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両1の内装構造を備えた車両の2列目シート(図示せず)及び3列目シート(図示せず)が配置される位置における右側側部の車室側の部分を示す側面図である。尚、図1において、紙面左側は車両前側、紙面右方は車両後側に相当する。また、以下の説明において、「上」は鉛直上方向、「下」は鉛直下方向を意味する。
図1に示すように、車両1の2列目シート及び3列目シートの右側(図1では紙面奥側)の車幅方向外側には、Cピラー部におけるピラーパネル5が上方に向かって車両前側に傾斜して設けられ、該ピラーパネル5の下方にはトランクサイドパネル6が設けられている。ピラーパネル5の車幅方向内側には、該ピラーパネル5の車室内側の面を覆う、Cピラー部のピラートリムとしてのアッパートリム10が取り付けられ、該アッパートリム10の下方には、上記アッパートリム10における車室内側の面の下端よりも下部を含めてトランクサイドパネル6を覆うロアトリム20が配設されている。該ロアトリム20の車幅方向外側において、上記ピラーパネル5の延伸方向の下方の延長線上には、車体の剛性を向上させるためのガセット7が設けられていて、該ガセット7の車両後側には、シートベルト装置40のウェビング45を巻き取るためのリトラクタ46が配置されている。つまり、リトラクタ46はピラーパネル5の下側延伸方向に対して、車両後側にオフセットして配置されている。リトラクタ46からは、上記ウェビング45が上方に向かって車両前側に傾斜して延びている。ウェビング45は、後述する開口部50を通って車室内側へ露出して、アッパートリム10おける上方寄りの位置に設けられたアンカー孔10g(図2参照)を介してピラーパネル5に取付固定されたショルダーアンカー41のベルト挿通孔41aを挿通するとともに、該ベルト挿通孔41aの下端に支持されて、下方に向かって車両前側に傾斜するように折り返されて、2列目シートの右側下部又は車両1のフロアパネルに設けられた固定具(図示せず)に固定される。ウェビング45における、ベルト挿通孔41aから固定具までの範囲には、2列目シートの左側(図1の紙面手前側)に設けられたバックル(図示せず)に差し込まれるタングプレート48が、2列目シートに着座した乗員を拘束可能なように、ウェビング45における位置を調整可能に設けられている。
また、ピラーパネル5の車両前側には、ドア2が配置される一方、ピラーパネル5の車両後側には、クォータウィンドウ8が設けられる。本実施形態では、ドア2の窓3の下縁は所謂ベルトライン4を形成している。詳しくは後述するが、ロアトリム20をアッパートリム10に組み付けた際に、アッパートリム10とロアトリム20との当接位置に形成される分割ラインと、上記ベルトライン4と、上記クォータウィンドウ8とは、略一直線上に位置するように形成される。
次に、アッパートリム10及びロアトリム20の構成について説明する。 アッパートリム10は、ポリプロピレン等の樹脂を型成型することによって製造される。アッパートリム10は、図2及び図3に示すように、車両前側端部及び車両後側端部よりも車両前後方向中間部が、車室内側に膨らむように横断面略C字状に湾曲形成されており、アッパートリム10における車両前側の意匠面部としてのアッパー前面部10aと、車両後側の意匠面部としてのアッパー後面部10cと、アッパー前面部10aの車室内側端部とアッパー後面部10cの車室内側端部とに結合された車幅方向内側の意匠面部としてのアッパー側面部10bと、によって、ピラーパネル5の車室内側の面を覆っている。アッパートリム10は、ピラーパネル5の延伸方向に沿うように、上方に向かって車両前側に傾斜している。また、アッパー前面部10aの下端部からアッパー側面部10bの下端部の車両前側の部分までには、後述する第1の合わせ部30を構成する第1アッパー分割面10d(図6参照)が下方を向いて形成されている。一方、アッパー後面部10cの下端部には、後述する第2の合わせ部31を構成する第2アッパー分割面10eが車両後側を向いて形成されている。このとき、第1アッパー分割面10d及び第2アッパー分割面10eは、アッパートリム10をピラーパネル5に取り付けたときに、上記ベルトライン4(図1参照)と略同じ高さになるように構成されている。また、図4に示すように、アッパー後面部10cの下端部は、車両後側に向かって車幅方向外側に傾斜している。さらに、図2及び図3に示すように、アッパートリム10における、アッパー前面部10a、アッパー側面部10b、及びアッパー後面部10cのそれぞれの下端よりも下方には、後述する第1係合部12等が形成される取付面18が設けられている。また、図2に示すように、アッパートリム10の車室外側の面には、車両前後方向やアッパートリム10の延伸方向へ延びる複数の補強リブ10fが突設されている。
図2及び図3に示すように、上記取付面18における、アッパー前面部10aの下端部付近の位置には、アッパー前面部10aから車両後側に向かって凹設された凹陥部11が形成されている。該凹陥部11は、後述するロアトリム20の爪部21が車室内側から挿入される部分である。取付面18における、アッパー側面部10bの下端部付近の位置には、上記凹陥部11と略同じ高さ位置に第1係合部12が形成され、該第1係合部12には、後述のロアトリム20における第1係合爪22が係合する第1係合孔12aが形成されている。上記取付面18における、該第1係合部12の下方には、車幅方向外側から車幅方向内側に向かって膨出した四角柱状の第1アッパー膨出部13が形成されている。第1アッパー膨出部13は、図3に示すように、該第1アッパー膨出部13の車両前側端部から車両後側ほど車幅方向内側に位置するように膨出しかつ第1係合部12の下端部から下方ほど車幅方向内側に位置するように膨出して形成されている。これにより、第1アッパー膨出部13の車室内側側面は、上方に向かって第1係合部12に近づくように傾斜するガイド面13aを形成する。詳しくは後述するが、ガイド面13aは、ロアトリム20をアッパートリム10に組み付ける際に、ロアトリム20に設けられた第1係合爪22を上記第1係合部12に案内するものである。また、第1アッパー膨出部13における車両後側の面は、下方に向かって車両後側に傾斜する傾斜面13bを形成している。該傾斜面13bの傾斜角度は、ウェビング45の、リトラクタ46からショルダーアンカー41に向かう傾斜角度と略同じであり、該ウェビング45がリトラクタ46から引き出される際には、ウェビング45が該傾斜面13bによってショルダーアンカー41に向かう方向へ案内される。さらに、該傾斜部13bは、図4に示すように、ロアトリム20がアッパートリム10に組み付けられたときに、車両平面視で、後述する開口部50の車両前側部分と重複するようになっており、2列目シートに着座した乗員が、開口部50を介して、ロアトリム20の車室外側が見えないようにしている。上記取付面18における膨出部13よりも下方には、図2に示すように、車幅方向内側から車幅方向外側に向かって突出した固定部14が形成されている。該固定部14の車室外側の面には、上方から下方に向かってスリット14aが形成され、該スリット14aには、アッパートリム10をピラーパネル5に取り付けるためのファスナークリップ(図示せず)が上方から取り付けられる。そして、該ファスナークリップがピラーパネル5に設けられた嵌合孔に車室内側から挿し込まれることによって、アッパートリム10の下部がピラーパネル5に取付固定される。
アッパートリム10の取付面18における車両後側の面には、車両後側に膨出した第2アッパー膨出部15が形成され、該第2アッパー膨出部15の車両後側の面における車幅方向外側寄りの位置には、ロアトリム20をアッパートリム10に組み付ける際に、後述のロア後面部20cを車幅方向へ案内するガイド孔16aを有するガイド部16が形成されている。さらに、上記第2アッパー膨出部15の車両後側の面における下方寄りの位置かつ上記第1ガイド部16よりも下方の位置には第2係合部17が設けられ、該第2係合部17には、後述のロアトリム20における第2係合爪27が係合する第2係合孔17aが形成されている。該第2係合孔17aは、第2係合部17において第1ガイド孔16aよりも車幅方向内側かつ車両後側の位置に形成されている。
一方、ロアトリム20は、アッパートリム10と同様にポリプロピレン等の樹脂を型成型することによって製造される。ロアトリム20は、図2及び図3に示すように、上記取付面18の車両前側の面を含めてトランクサイドパネル6の車両前側の面を覆うように上下方向に延びる、ロアトリム20における車両前側の意匠面部としてのロア前面部20aと、トランクサイドパネル6の上面を覆うように車両前後方向に延びる、車両後側の意匠面部としてのロア後面部20cと、ロア前面部20aの車室内側端部とロア後面部20cの車室内側端部とに結合され、上記取付面18の車幅方向内側の面を含めてトランクサイドパネル6の車幅方向内側の面を覆う、車幅方向内側の意匠面部としてのロア側面部20bと、によって、構成されている。また、ロア前面部20aの上端部からロア側面部20bの上端部の車両前側の部分までには、後述する第1の合わせ部30を構成する第1ロア分割面20dが上方を向いて形成されている。一方、ロア後面部20cの上端部には、後述する第2の合わせ部31を構成する第2ロア分割面20eが車両前側を向いて形成されている。このとき、第1ロア分割面20d及び第2ロア分割面20eは、ロアトリム20がトランクサイドパネル6に取り付けられた状態で、上記ベルトライン4(図1参照)と略同じ高さになるように形成されている。また、図4に示すように、ロア後面部20cの上端部は、アッパー後面部10cの下端部の形状に合わせて、車両後側に向かって車幅方向外側に傾斜している。
図2に示すように、ロア前面部20aの上端部には、該ロア前面部20aから車両後側に向かって凸設された爪部21が形成されている。該爪部21は、後述の第1係合爪22が上記第1係合孔12aに車室内側から挿入される際に、該第1係合爪22を車幅方向で案内するとともにアッパー前面部10aとロア前面部20aとの車両前後方向の位置合わせを行うものである。ロア側面部20bの車室外側の面において、車両前側寄りの位置かつ上方寄りの位置には、上記ロア側面部20bの車室外側の面から車幅方向外側に延びる第1係合爪22が設けられている。該第1係合爪22は、アッパートリム10の第1係合孔12aに車室内側から挿入されることによって、該第1係合部12と係合して、ロアトリム20の車両前側をアッパートリム10に取付固定させるものである。ロア側面部20bの上部におけるアッパー側面部10bに対応する部分は、ロア側面部10bの上端部及びロア側面部20cの下端部よりも車幅方向内側に膨らむように膨出した膨出領域となっている。特に、ロアトリム20をアッパートリム10に組み付けた状態で、第1アッパー膨出部13と対向する位置(つまり、係合爪22の近傍)には、第1アッパー膨出部13に対応するように車幅方向内側に膨出したロア膨出部23が形成されている。
ロアトリム20のロア側面部20bの上記膨出領域において、ロア側面部20bの上端部は、アッパー側面部10bの車両前後方向中間位置に対応する位置からアッパー側面部10bの車両後側端部に対応する位置までが切り欠かれている。この切欠部分によって、アッパートリム10の分割面10d、10eとロアトリム20の分割面20d,20eとが当接したときには、隙間が形成され、該隙間が上記開口部50となる。尚、本実施形態では、開口部50の車両後側端部は、ロア側面部20bの上端部における、アッパー側面部10bの車両後側端部に対応する位置に形成されているが、ロア側面部20bの上端部における、アッパー側面部10bの車両後側端部に対応する位置よりも車両前側の、アッパー側面部10bの車両前後方向中間位置に対応する位置に形成されていてもよい。この場合、ロア分割面20eは、ロア後面部20cの上端部からロア側面部20bの上端部における車両後側の一部までに形成される。
図2に示すように、ロアトリム20の開口部50よりも車両後側において、ロア側面部20bの車室外側の面におけるロア後面部20cの車両前側端部の近傍には、ロア後面部20cを車幅方向へ案内するガイドリブ26が車幅方向外側に向かって延びており、該ガイドリブ26の車幅方向外側端部には、アッパートリム10のガイド部16のガイド孔16aに挿通する突出部26aが設けられている。また、ロア側面部20bの車室外側の面における上記ガイドリブ26よりも車両後側寄りの位置には、上記ロア側面部20bの車室外側の面から車幅方向外側に向かって延びる第2係合爪27が設けられている。該第2係合爪27は、アッパートリム10の第2係合部17の第2係合孔17aに車室内側から挿入されることによって、該第2係合部17と係合して、ロアトリム20の車両後側をアッパートリム10に取付固定させるものである。
次に、アッパートリム10とロアトリム20との位置合わせについて説明する。
図5は、ロアトリム20をアッパートリム10に組み付けた状態の、アッパートリム10とロアトリム20との分割位置を車室内側から見た斜視図である。図5に示すように、アッパートリム10とロアトリム20の分割位置では、ロアトリム20がアッパートリム10に組み付けられた状態で、開口部50よりも車両前側に、第1アッパー分割面10dと第1ロア分割面20dとがそれぞれ上下方向で当接する第1の合わせ部30が形成される一方、開口部50よりも車両後側に、第2アッパー分割面10eと第2ロア分割面20eとがそれぞれ車両前後方向で当接する第2の合わせ部31が形成される。尚、ロア分割面20eが、ロア後面部20cの上端部からロア側面部20bの上端部の車両後側の一部までに形成されている場合は、第2の合わせ部31において、第2アッパー分割面10eと第2ロア分割面20eとは、アッパー側面部10b及びロア側面部20bに形成されている部分は車幅方向で当接し、アッパー後面部10c及びロア後面部20cに形成されている部分は車両前後方向で当接する。
ロアトリム20がアッパートリム10に車室内側から組み付けられる際には、上記第1の合わせ部30では、アッパー前面部10aの表面とロア前面部20aの表面とが上下方向に連続した面となるように、車両前後方向の位置が合わせられる一方、上記第2の合わせ部31では、アッパー後面部10cの表面とロア後面部20cの表面とが車両前後方向で連続した面となるように、上下方向の位置が合わせられる。
第1の合わせ部30では、アッパートリム10の凹陥部11、第1係合部12及び膨出部13と、ロアトリム20の爪部21及び第1係合爪22とによって、車両前後方向の位置が合わせられる。具体的には、ロアトリム20がアッパートリム10に車室内側から組み付けられる際には、第1係合爪21が、第1アッパー膨出部13のガイド面13aに沿って第1係合部12に向かう方向へスライドされて、第1係合部12の位置まで案内される。上記第1係合爪21が第1係合部12の位置まで案内された後、ロアトリム20が車幅方向外側にスライドされると、爪部21が凹陥部11に車室内側から挿入される。該挿入後、爪部21の車両後側端部と凹陥部11の車両後側の面とが当接すると、アッパー前面部10aとロア前面部20aとの車両前後方向の位置が合わせられるとともに、第1係合爪22の車両前後方向の位置が合わせられる。そして、爪部22の車両後側端部と凹陥部11の車両後側の面とが当接したまま、ロアトリム20が車幅方向外側にスライドされると、第1係合爪22は第1係合部12の第1係合孔12aに挿入されて、第1係合部12と係合する。これにより、開口部50よりも車両前側において、アッパートリム10とロアトリム20とが組み付けられるとともに、アッパートリム10とロアトリム20との車両前後方向の位置が合わせられる。
一方、第2の合わせ部31では、アッパートリム10のガイド部16及び第2係合部17と、ロアトリム20のガイドリブ26及び第2係合爪27によって、上下方向の位置が合わせられる。具体的には、先ず、ガイドリブ26の突出部26aがガイド孔16aに車室内側から挿入される。次に、第2係合爪27が第2係合孔17aに挿入されるように、上下方向の位置が調整されると、ロア後面部20cの上端部がアッパートリム10の第2アッパー膨出部15の上面に載置して上下方向の位置に合わせられる。これにより、アッパー後面部10cとロア後面部20cとの上下方向の位置が合わせられる。そして、ロアトリム20が車幅方向外側にスライドされると、第2係合爪27は、上記ガイドリブ26によって車幅方向外側に案内されながら第2係合孔17aに挿入されて,係合部17と係合する。これにより、開口部50よりも車両後側において、アッパートリム10とロアトリム20とが組み付けられるとともに、アッパートリム10とロアトリム20との上下方向の位置が合わせられる。
図6に、図4のVI−VI線相当の断面図を示す。図6において、紙面左側は車両前側、紙面右側は車両後側に相当する。
図6に示すように、上述のようにして、アッパートリム10とロアトリム20との位置が合わせられると、第1の合わせ部30の位置においては、爪部21の車両後側端部と凹陥部11の車両後側の面とが当接して、アッパー前面部10aとロア前面部20aとの車両前後方向の位置が合わせられ、アッパー前面部10aの表面とロア前面部20aの表面とが上下方向に連続的な面となる一方、第2の合わせ部31の位置においては、ロア後面部20cの車両前側端部が第2アッパー膨出部15の上面に載置して、アッパー後面部10cとロア後面部20cとの上下方向の位置が合わせられ、アッパー後面部10cの表面とロア後面部20c表面とが車両前後方向に連続的な面となる。これにより、ドア2と対向した、ピラーパネル5の車両前側の面が、上下方向に連続的な意匠面で覆われ、かつクォータウィンドウ8が設けられた、ピラーパネル5の車両後側の面が前後方向に連続的な意匠面で覆われるため、見栄えの良い構造になる。
ここで、上述したように、第1の合わせ部30では、アッパートリム10とロアトリム20とが上下方向で当接する一方、第2の合わせ部31では、アッパートリム10とロアトリム20とが車両前後方向で当接する。つまり、第1の合わせ部30と第2の合わせ部31とは、合わせ方向が交差する関係にある。そのため、アッパートリム10とロアトリム20との合わせ方向が、第1の合わせ部30の合わせ方向である上下方向から、第2の合わせ部31の合わせ方向である車両前後方向へ合わせ方向が切り替わる部分において、捻れが生じる。アッパートリム10又はロアトリム20の分割面が、車両前側から車両後側まで連続的に形成されている場合、この捻れ部分で、それぞれの分割面を捻る又は分割面を捻りながら該分割面の向きを徐変させる必要がある。このとき、本実施形態のように型成型等の、製造公差のある製造方法では、該製造公差によって、捻れの部分におけるアッパートリム10とロアトリム20との間の隙間や、アッパートリム10とロアトリム20との間の段差が均一にならず、捻れの部分において車両1の内装の見栄えが悪化するおそれがある。
そこで、本実施形態では、上記合わせ方向を、開口部50を介して、上下方向から車両前後方向に切り替えるようにして、捻れを解消するようにしている。
具体的には、図3に示すように、ロアトリム20については、上方を向いた第1ロア分割面20dが、ロア側面部20bの上端部における、アッパー側面部10bに対応する領域の車両前後方向中間位置で途切れるように、開口部50が形成される。そして、ロアトリム20における開口部50が設けられた領域には、分割面が形成されず、開口部50の車両後側端部から連続して車両前側を向いた第2ロア分割面20eが形成される。これにより、ロアトリム20は捻れを形成することなく、上方を向いた第1ロア分割面20dから車両前側を向いた第2ロア分割面20eへと分割面の方向が切り替えられる。
一方、アッパートリム10については、アッパートリム10における、開口部50に対応する領域には分割面を形成しないようにして、第1アッパー分割面10dの方向と第2アッパー分割面10eの方向とを切り替えている。詳しくは、下方を向いた第1アッパー分割面10dは、ロアトリム20がアッパートリム10に車室内側から組み付けられた状態で、アッパートリム10における、開口部50の車両前側端部に対応する位置で途切れるように形成され、アッパートリム10における、開口部50に対応する領域には分割面が形成されずに、アッパートリム10における、開口部50の車両後側端部に対応する位置から、面の向きが車両後側に切り替えられた状態の第2アッパー分割面10eが形成される。これにより、アッパートリム10においても捻れが形成されることなく、下方を向いた第1アッパー分割面10dから車両後側を向いた第2アッパー分割面10eへと分割面の方向が切り替えられる。
そして、ロアトリム20がアッパートリム10に組み付けられた際には、アッパートリム10とロアトリム20との間の隙間や段差がばらつくことなく、アッパートリム10とロアトリム20との合わせ方向が、第1の合わせ部30の合わせ方向である上下方向から、第2の合わせ部31の合わせ方向である車両前後方向へ切り替えられる。これにより、見栄えを損なわない車両1の内装とすることができる。
したがって、本実施形態における車両の内装構造では、開口部50よりも車両前側に設けられ、アッパー前面部10aの下端面とロア前面部20aの上端面とが当接する第1の合わせ部30と、開口部50よりも車両後側に設けられ、アッパー後面部10cの下端面とロア後面部20cの上端面とが当接する第2の合わせ部31とを、備え、アッパー前面部10aの下端面とロア前面部20aの上端面とは、第1の合わせ部30において、上下方向で互いに当接するよう構成される一方、アッパー後面部10cの下端面とロア後面部20cの上端面とは、第2の合わせ部31において、車両前後方向で当接するよう構成されており、アッパートリム10とロアトリム20との合わせ方向が、開口部50を介して、第1の合わせ部30の合わせ方向である上下方向から第2の合わせ部31の合わせ方向である車両前後方向に切り替えられるように構成した。これにより、第1の合わせ部31の合わせ方向と第2の合わせ部の合わせ方向との切替位置での捻れが解消されるため、型成型等の、製造公差が生じるような製法であっても、アッパートリム10とロアトリム20との間の隙間や段差をばらつかせることなく、アッパートリム10及びロアトリム20を製造することができる。また、ロアトリム20がアッパートリム10に組み付けられた際には、第1の合わせ部30、第2の合わせ部31、ドア2のベルトライン4、及びクォータウィンドウ8の下縁が、略一直線上に形成される。その結果、意匠性を向上させることができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態では、開口部50は、ロア側面部20bの上端部における、アッパー側面部10bに対応する領域の一部を、切り欠くことにより形成したが、アッパー側面部10bの下端部を切り欠く、又はアッパー側面部10bの下端部をロア側面部20bに対して凹陥することによって形成してもよい。
また、上記実施形態では、Cピラー部のピラートリムを対象としているが、Bピラー部のピラートリムを対象としてもよい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。