JP2017042722A - 化学物質分解組成物及び化学物質の分解処理方法 - Google Patents
化学物質分解組成物及び化学物質の分解処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017042722A JP2017042722A JP2015167603A JP2015167603A JP2017042722A JP 2017042722 A JP2017042722 A JP 2017042722A JP 2015167603 A JP2015167603 A JP 2015167603A JP 2015167603 A JP2015167603 A JP 2015167603A JP 2017042722 A JP2017042722 A JP 2017042722A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- salt
- iron
- chemical material
- decomposition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Processing Of Solid Wastes (AREA)
- Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)
- Catalysts (AREA)
Abstract
Description
汚染土壌や汚染水から汚染物質を物理的に除去する方法や、汚染物質を生物的あるいは化学的に分解する方法が知られているが、物理的に汚染土壌を搬出する場合は二次的な処理が必要となる欠点がある。また、生物的に汚染物質を分解する方法も検討されている。生物的な方法は環境への負荷が小さいという利点はあるものの、難分解性の錯体を形成したシアン汚染物質の分解には長期間を要するため適用が難しいという課題がある。
化学的に分解する方法は、有機塩素化合物の浄化には広く適用されているが、シアン化合物については、pHが低くなりシアンガスが発生する可能性があるため適用事例は少ない。
pHを中性付近に保ちつつシアンを分解してシアンガスを発生せずに処理する方法として過硫酸塩と銀錯体を用いることが提案されている(特許文献1)。しかし、銀を使用するため、コストが高くなるという問題がある。
また、化学物質で汚染された土壌や水中の当該化学物質の除去において、過酸化水素や過硫酸塩に代表される既存の酸化分解法では、シアン化合物、特にフェロシアンといった難分解性鉄シアノ錯体の分解が難しかった。
即ち、本発明は、過酸化物(A)に加えて、遊離シアンと結合する金属イオンを生じる金属塩(B)、若しくは、シアン遊離後の鉄シアノ錯体由来の鉄イオンのマスキング剤(C)のいずれか、またはその両方を含有する、化学物質を分解するための組成物を提供する。
本発明の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕
浄化対象中の鉄シアノ錯体を含む化学物質を分解するための組成物であって、
過酸化物(A)を含み、更に、遊離シアンと結合する金属イオンを生じる金属塩(B)若しくはシアン遊離後の鉄シアノ錯体由来の鉄イオンのマスキング剤(C)のいずれか、または前記金属塩(B)と前記マスキング剤(C)の両方を含む、上記組成物。
〔2〕
前記過酸化物(A)が、過硫酸塩、過酸化水素、過炭酸塩、及び過酢酸塩からなる群より選択される少なくとも一つである前記〔1〕記載の組成物。
〔3〕
前記金属塩(B)が、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、マンガン塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群より選択される少なくとも一つある前記〔1〕または〔2〕記載の組成物。
〔4〕
前記マスキング剤(C)が、エチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、メチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸、アスパラギン酸二酢酸、クエン酸、グルコン酸、及びリンゴ酸からなる群より選択される少なくとも一つである前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の組成物。
〔5〕
前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の組成物を、鉄シアノ錯体を含む化学物質で汚染された土壌または水と接触させて、当該化学物質を分解処理することを特徴とする、汚染土壌または汚染水中の鉄シアノ錯体を含む化学物質の分解処理方法。
〔6〕
前記処理方法を実施するにあたり、汚染土壌または汚染水のpHを4〜10に保つためのpH調整剤を用いる、前記〔5〕に記載の処理方法。
分解の対象となる化学物質はフェロシアン化合物、フェリシアン化合物等の鉄シアノ錯体を含む化学物質が挙げられる。
これらの化学物質を浄化する目的で、本発明の化学物質分解組成物は使用されるが、浄化を行う対象物としては、土壌または水、さらに詳細には例えば、土壌、汚泥、工場排水、生活排水、河川、湖沼水、地下水、廃棄物等が挙げられる。
本発明の組成物に使用される過酸化物(A)とは、ペルオキシ基(-O-O-)を有する化合物である。土壌等の浄化対象物中の汚染物質、主に有機ハロゲン化合物、ベンゼン、ガソリン、軽油等を酸化し分解するための薬剤である。
具体的には、過酸化水素、過硫酸塩、過炭酸塩、及び過酢酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましく、過硫酸塩がより好ましい。過硫酸塩としては例えば過硫酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金塩が挙げられ、過炭酸塩としては過炭酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が挙げられ、過酢酸塩としては過酢酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が挙げられる。
過硫酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては過硫酸リチウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウム等が挙げられる。中でも、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムが好ましく、経済的に安価で水溶性の高い過硫酸ナトリウムが更に好ましい。上記した過硫酸塩は、単独でもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
本発明の組成物に使用される、遊離シアンと結合する金属イオンを生じる金属塩(B)は、鉄よりもシアンとの錯体形成定数が小さい金属の塩であれば種類を選ばないが、例えば土壌の改良では地盤中に注入することから、有害性がなく、地中へ拡散するように水溶性のものが好ましい。
金属塩(B)の具体例としては、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、マンガン塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、が挙げられるが、亜鉛塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が好ましく、更に亜鉛塩、マグネシウム塩がより好ましい。
上記金属塩(B)は、特に水中で遊離シアンと結合する金属イオンを生じる金属塩であることが好ましい。
亜鉛塩としては塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、硝酸亜鉛が挙げられる。
マグネシウム塩としては塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウムが挙げられる。
本発明の組成物に使用される、シアン遊離後の鉄シアノ錯体由来の鉄イオンのマスキング剤(C)としては、鉄と錯体形成しやすい物質が好ましい。例えばキレート剤、より詳細にはエチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、メチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸、アスパラギン酸二酢酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、などのキレート剤が挙げられる。アミン系のキレート剤には窒素が含まれており、これらが、分析蒸留操作時にシアンを形成する可能性が、野々村誠, 「全シアン及びシアン化物分析におけるシアン化水素の生成と全シアン分析前処理法の改良」(BUNSEKI KAGAKU Vol.58, No.2, pp.57-71(2009))で示唆されていることから、好ましくは非アミン系のキレート剤が好ましく、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸等がより好ましい。
(B)成分が0.005モルより少ないと分解が進まない場合があり、0.1モルを超えると(A)成分が必要以上に消費されて配合量に見合った効果が得られない場合がある。
また、(C)成分が0.001モルより少ないと分解が進まない場合があり、0.1モルを超えると(A)成分が必要以上に消費されて配合量に見合った効果が得られない場合がある。
(B)又は(C)成分の働きを阻害する物質が浄化対象である土壌・地下水等に存在する場合には、(B)成分については0.1モル以上、(C)成分については0.5モル以上配合することも可能である。
対象とする化学物質1モルに対して(A)成分は5000モル以上添加するのが好ましく、土壌地下水に添加しても十分な分解効果が得られない場合には、追加で更に薬剤を添加しても良い。
本発明の組成物を土壌あるいは水に使用する場合の使用量は、汚染物質の種類、量などに依り異なることは当然であるが、例えば、土壌1Lあたり、例えば5〜50g程度を、また水1Lあたり、例えば10〜100g程度を添加してもよい。
当初の全シアン濃度に対し、各薬剤で処理して30日間静置後の全シアン濃度を計算してシアン分解率(%)とした。
一方、従来の過硫酸ナトリウム(過酸化物(A))のみを使用した場合には、シアン分解率は7%と非常に低く、シアン化合物の分解除去の観点からは不十分であった(比較例1)。
Claims (6)
- 浄化対象中の鉄シアノ錯体を含む化学物質を分解するための組成物であって、
過酸化物(A)を含み、更に、遊離シアンと結合する金属イオンを生じる金属塩(B)若しくはシアン遊離後の鉄シアノ錯体由来の鉄イオンのマスキング剤(C)、または金属塩(B)とマスキング剤(C)の両方を含む、上記組成物。 - 前記過酸化物(A)が、過硫酸塩、過酸化水素、過炭酸塩、及び過酢酸塩からなる群より選択される少なくとも一つである請求項1記載の組成物。
- 前記金属塩(B)が、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、マンガン塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群より選択される少なくとも一つである請求項1または2記載の組成物。
- 前記マスキング剤(C)が、エチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、メチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸、アスパラギン酸二酢酸、クエン酸、グルコン酸、及びリンゴ酸からなる群より選択される少なくとも一つである請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物を、鉄シアノ錯体を含む化学物質で汚染された土壌または水と接触させて、当該化学物質を分解処理することを特徴とする、汚染土壌または汚染水中の鉄シアノ錯体を含む化学物質の分解処理方法。
- 前記処理方法を実施するにあたり、汚染土壌または汚染水のpHを4〜10に保つためのpH調整剤を用いる、請求項5に記載の処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015167603A JP2017042722A (ja) | 2015-08-27 | 2015-08-27 | 化学物質分解組成物及び化学物質の分解処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015167603A JP2017042722A (ja) | 2015-08-27 | 2015-08-27 | 化学物質分解組成物及び化学物質の分解処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017042722A true JP2017042722A (ja) | 2017-03-02 |
Family
ID=58209212
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015167603A Pending JP2017042722A (ja) | 2015-08-27 | 2015-08-27 | 化学物質分解組成物及び化学物質の分解処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017042722A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112777720A (zh) * | 2020-12-23 | 2021-05-11 | 柯柏友 | 一种含氰物料高效脱毒方法 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS56102993A (en) * | 1980-01-15 | 1981-08-17 | Interox Chemicals Ltd | Oxidation removing method for cyanic compound |
US4417987A (en) * | 1980-12-12 | 1983-11-29 | Interox Chemicals Limited | Process for detoxification |
JP2010046623A (ja) * | 2008-08-22 | 2010-03-04 | Showa Denko Kk | 汚染土壌の浄化方法 |
JP2013184983A (ja) * | 2012-03-05 | 2013-09-19 | Seinen:Kk | 化学処理剤 |
JP2014171955A (ja) * | 2013-03-08 | 2014-09-22 | Jfe Mineral Co Ltd | 浄化方法 |
-
2015
- 2015-08-27 JP JP2015167603A patent/JP2017042722A/ja active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS56102993A (en) * | 1980-01-15 | 1981-08-17 | Interox Chemicals Ltd | Oxidation removing method for cyanic compound |
US4417987A (en) * | 1980-12-12 | 1983-11-29 | Interox Chemicals Limited | Process for detoxification |
JP2010046623A (ja) * | 2008-08-22 | 2010-03-04 | Showa Denko Kk | 汚染土壌の浄化方法 |
JP2013184983A (ja) * | 2012-03-05 | 2013-09-19 | Seinen:Kk | 化学処理剤 |
JP2014171955A (ja) * | 2013-03-08 | 2014-09-22 | Jfe Mineral Co Ltd | 浄化方法 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112777720A (zh) * | 2020-12-23 | 2021-05-11 | 柯柏友 | 一种含氰物料高效脱毒方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5029562B2 (ja) | 土壌及び/又は地下水の浄化方法 | |
CA2776869C (fr) | Procede d'oxydation de composes organiques | |
JP5250975B2 (ja) | 土壌及び/又は地下水の浄化方法 | |
JP5817718B2 (ja) | 過硫酸塩および銀錯体を含む化学物質分解用処理剤及びそれを用いた化学物質の分解方法 | |
KR20100066540A (ko) | 유기 및/또는 무기 화합물에 의해 오염된 토양 및/또는 물의 생물적 정화 방법 | |
Li et al. | Rapid control of black and odorous substances from heavily-polluted sediment by oxidation: Efficiency and effects | |
JP4529667B2 (ja) | 汚染土壌・汚染水の浄化方法及び添加剤 | |
JP4912608B2 (ja) | 化学物質分解剤およびこれを用いた浄化方法 | |
JP2006326121A (ja) | 化学物質分解剤およびこれを用いた浄化方法 | |
JP4167052B2 (ja) | 有機化合物汚染の浄化方法 | |
JP5666832B2 (ja) | 有機物質の分解処理方法および有機物質の分解処理剤キット | |
JP4721320B2 (ja) | 有機汚染物質の分解方法 | |
JP4548782B2 (ja) | 有機汚染物質の浄化方法 | |
JP2017042722A (ja) | 化学物質分解組成物及び化学物質の分解処理方法 | |
JP5155619B2 (ja) | 土壌及び地下水の浄化促進剤及び浄化処理方法 | |
CN108779008B (zh) | 含氰化物废水的处理剂和用其处理含氰化物废水的方法 | |
Muff et al. | Identification and fate of halogenated PAHs formed during electrochemical treatment of saline aqueous solutions | |
JP4460479B2 (ja) | シアン汚染土壌の浄化方法 | |
KR20060046358A (ko) | 붕소 도핑 다이아몬드 전극을 이용한 전기화학적 폐수처리방법 | |
TWI527768B (zh) | 含氰排水的處理方法 | |
JP2018175529A (ja) | 分解促進剤及びこの分解促進剤を用いた環境浄化方法 | |
JP2011000497A (ja) | 鉄キレート水溶液ならびに土壌及び/又は地下水の浄化方法 | |
JP2005313112A (ja) | シアン含有廃水の処理方法 | |
JP5888877B2 (ja) | 化学物質分解剤組成物及びそれを用いた化学物質の分解処理方法 | |
JP2008272579A (ja) | 汚染土壌又は汚染水の浄化方法及び浄化材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180626 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190228 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190306 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190423 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20190828 |