JP2011000497A - 鉄キレート水溶液ならびに土壌及び/又は地下水の浄化方法 - Google Patents

鉄キレート水溶液ならびに土壌及び/又は地下水の浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 化学物質で汚染された土壌及び/又は地下水を原位置において、簡便で効率良くかつ安価に浄化する方法を提供する。
【解決手段】 化学物質で汚染された土壌及び/または地下水の浄化に用いる鉄キレート水溶液であって、pHが2以上5未満、かつ鉄イオン濃度が0.05重量%〜5重量%である鉄キレート水溶液、ならびにこれを用いた浄化方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、化学物質で汚染された土壌及び/又は地下水を浄化する際に用いる鉄キレート水溶液、ならびにこれを用いた浄化方法に関する。
土壌及び/又は地下水中の汚染が生活環境に大きく影響を与えることが明らかとなり、水質汚濁防止法や土壌汚染対策法等が整備されてきた。しかし、土壌汚染対策法の施行から5年以上経った現在でも、化学物質汚染は次々に発見されており、その浄化が必要となっている。ここで、化学物質とは、主に生物による分解が困難な難分解性の有機化合物や、農薬、防腐剤、石油及びその留分に含まれる芳香族化合物、シアン化物等が該当する。
これらの化学物質汚染に対し、物理的、化学的、生物的或いはそれらを組み合わせた様々な浄化方法が試みられている。物理的な方法、例えば掘削除去では汚染場所の浄化は可能であるが、除去された汚染物質の二次的な処理が必要となる欠点がある。また、生物的な方法、例えばバイオオーグメンテーションは周辺環境への影響が少ないメリットはあるが、高濃度汚染や複合汚染への適用は難しいというデメリットがある。これらに対し、化学的な浄化方法では、汚染物質の分解が可能なため二次処理が不要であり、さらに分解対象の選択性がないため高濃度汚染や複合汚染への適用も可能である。化学的な浄化方法の中でも、中性領域で実施可能な方法は重金属類の溶出拡散の恐れが少ないとされており、種々の方法が開発されてきている。
中性領域で実施可能な化学的浄化方法としては、pH5〜8の鉄キレート水溶液と過酸化水素水溶液を用いたフェントン反応による浄化方法(特許文献1参照)や、生分解性キレート剤と過酸化水素水溶液を用いたフェントン反応による浄化方法(特許文献2参照)が知られている。
特許文献1ではpH5〜8の鉄キレート水溶液を用いる方法が開示されているが、当該pH範囲においては、鉄が水酸化物として沈殿し易く、鉄キレート水溶液の濃厚液の調製が困難であった。このため本発明に係る技術を原位置にて行なおうとする場合は、サイトにおいてキレート剤(粉体乃至水溶液)と鉄塩(粉体乃至水溶液)を混合しなければならない欠点があった。
特許文献2では浄化対象に存在する鉄イオンと系外より添加した生分解性キレート剤とにより鉄錯体を形成させ、次いで酸化剤を添加する方法が開示されている。この方法では、鉄キレート溶液を調製する手間は省けるものの、地中において鉄キレートを形成させることから、実際の効果には不確実性があった。
特許3793084号公報 WO2006/123574号公報
本発明の目的は、従来技術における上記したような課題を解決し、化学物質で汚染された土壌及び/又は地下水を特に原位置において、簡便で効率良くかつ安価に浄化する方法を提供することにある。
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のpHに調整した鉄キレート水溶液が、高い鉄イオン濃度において安定であり、この鉄キレート水溶液と、過酸化水素水溶液、pH調整剤及び/又はpH緩衝剤を用いることにより、サイトでの薬剤調製の手間を省き、かつ化学物質により汚染された土壌及び/又は地下水の中性領域での浄化が可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の<1>〜<11>に示す鉄キレート水溶液、ならびに土壌及び/又は地下水の浄化方法に関する。
<1> 化学物質で汚染された土壌及び/または地下水の浄化に用いる鉄キレート水溶液であって、pHが2以上5未満、かつ鉄イオン濃度が0.05重量%〜5重量%である鉄キレート水溶液。
<2> キレートが生分解性キレートである、上記<1>記載の鉄キレート水溶液。
<3> 生分解性キレートがメチルグリシン二酢酸またはその塩である、上記<1>または<2>に記載の鉄キレート水溶液。
<4> 鉄キレート水溶液中における鉄イオンに対するキレート剤のモル比が1〜3である、上記<1>〜<3>の何れかに記載の鉄キレート水溶液。
<5> 化学物質で汚染された土壌及び/または地下水の原位置浄化方法であって、上記<1>〜<4>の何れかに記載の鉄キレート水溶液、過酸化水素水溶液、ならびにpH調整剤及び/またはpH緩衝剤を添加することを特徴とする土壌及び/又は地下水の浄化方法。
<6> pH調整剤がアルカリ化合物であり、pH緩衝剤がクエン酸及び/またはクエン酸ナトリウムである、上記<5>記載の浄化方法。
<7> 過酸化水素水溶液がクエン酸及び/またはクエン酸ナトリウムが予め混合されたものである、上記<5>または<6>に記載の浄化方法。
<8> 浄化対象のpHを5〜9に保つように、鉄キレート水溶液及び過酸化水素水溶液を添加することを特徴とする、上記<7>記載の浄化方法。
<9> さらに、浄化対象にクエン酸及びクエン酸ナトリウムとは異なるpH緩衝剤を添加することを特徴とする、上記<8>記載の浄化方法。
<10> pH緩衝剤が、炭酸系pH緩衝剤である、上記<9>記載の浄化方法。
<11> 炭酸系pH緩衝剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムからなる群より選ばれた1種以上である、上記<10>記載の浄化方法。
本発明によれば、鉄キレート水溶液を高い鉄イオン濃度において安定に保存することができ、さらにこの鉄キレート水溶液と、過酸化水素水溶液、pH調整剤及び/又はpH緩衝剤を用いることで、化学物質に汚染された土壌及び/又は地下水を重金属の溶出を抑制し得る中性付近において、効率良く簡便に浄化することが出来る。さらにまた、原位置浄化を行なうサイトでの薬剤調製の手間を大幅に省くことも可能である。
本発明において浄化対象となる土壌及び/又は地下水は、主に生物による分解が困難な難分解性の有機化合物や、農薬、防腐剤、石油及びその留分に含まれるトルエン、ベンゼン等の芳香族化合物、トリクロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレン(PCE)等の有機塩素化合物、シアン化物等の化学物質に汚染されたものである。
本発明の鉄キレート水溶液に用いられる鉄塩には、特に制限はなく、例えば硫酸第一鉄や塩化第一鉄等が挙げられるが入手の容易さから硫酸第一鉄が好適である。本発明の鉄塩は、予めキレート剤にキレートされた鉄キレート水溶液として調製し、化学物質に汚染された土壌及び/又は地下水の原位置浄化サイトに搬入し、原液のままで又は希釈して浄化対象に供給することが望ましい。このため、本発明における鉄キレート水溶液を運搬するためには、pHを2以上5未満、より好ましくは3以上4未満に維持しておく必要がある。これ以下のpHでは皮膚刺激性の発現や金属腐食性が強くなり好ましくなく、これ以上高いpHでは水酸化鉄の沈殿が生じる恐れがあり、薬剤の性能が損なわれる恐れがあるため好ましくない。さらにまた、硫酸第一鉄を使用した場合は、鉄(II)が空気によって酸化され鉄(III)が生成すると共に、pHの上昇が起こるため、その上昇分を考慮したpH調整を行なっておくことが望ましい。
本発明の鉄キレート溶液における鉄イオン濃度は0.05〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜4重量%、特に好ましくは1〜4重量%である。鉄イオン濃度が0.05未満では輸送に掛かるコストが大きくなり、5重量%を超える場合には溶液の安定性が低下する。前記のpHに調整された本発明の鉄キレート水溶液は、鉄イオン濃度が高濃度の場合にも、水酸化鉄が析出することがなく安定性に非常に優れている。このため、高濃度の鉄キレート水溶液の長期保存が可能となることから、鉄キレート水溶液の事前配合・保管が可能となり、浄化サイトにおける薬剤調製負荷の大幅な低減が達成されるとともに、さらに輸送コストを削減できる。
本発明に用いられるキレートには、生分解性キレートが好適に用いられる。本発明に用いられる生分解性キレート剤としては、アスパラギン酸二酢酸、タウリン二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、メチルグリシン二酢酸及びグルタミン酸二酢酸、並びにそれらの塩が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもメチルグリシン二酢酸及びその塩が、汚染物質の分解における触媒としての効果の大きさ、鉄キレート溶液の安定性の面から好適である。
生分解性鉄キレート水溶液の調製は、生分解性キレートが例えばナトリウム塩型のような塩基性の場合には、鉄塩水溶液に硫酸を加え、次いで生分解性キレートを添加していく方法が好ましい。生分解性キレートに鉄塩を直接添加すると、直ちに水酸化鉄の沈殿が生成し、溶液の調製が困難となる。生分解性キレートが酸型の場合には、添加順序に制限はない。また生分解性キレートと鉄イオンのモル比は好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2、特に好ましくは1〜1.3である。生分解性キレートを多くし過ぎることは経済性に反し、モル比を小さくし過ぎると鉄塩の沈殿が生じ好ましくない。
本発明の鉄キレートの使用量は、浄化対象の汚染濃度に依存するが、薬剤が作用する場において鉄イオン換算で100mg/L程度あれば十分である。
本発明で用いられる過酸化水素には工業用過酸化水素水溶液を用いることができる。過酸化水素の濃度は特に制限はないが、60重量%より高濃度の過酸化水素水溶液は入手が困難であるため、60重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、安全性及び輸送コストの観点から25〜45重量%、特に好ましくは30〜45重量%である。
鉄キレート水溶液、過酸化水素水溶液を浄化対象に供給する場合、これらの溶液を別々に供給しても良いし、同時に混合後に供給しても良い。また、供給方法には特に制限はなく、注入、圧入、高圧噴射、高圧噴射攪拌、噴霧、揚水曝気システムへの薬剤注入等、あらゆる工法への適用が可能である。また、各材料を含む水溶液を浄化対象に添加する前に加熱すること、各材料を含む水溶液を添加した後、浄化対象を加熱することも可能である。
浄化対象に供給する過酸化水素の量は、汚染物質の分解に必要な量の1〜1000倍程度である。これより少なければ浄化が不十分となり、多過ぎる場合は経済性に劣る。好ましい鉄キレートの量並びに過酸化水素水溶液の使用量は、予めトリタビリティー試験を行なって、所望のpH範囲での浄化効果を確認した後に決定することが望ましい。トリタビリティー試験の方法としては、例えば、揮発性有機化合物汚染の場合、サイトの汚染土壌に本発明に掛かる鉄キレート及び過酸化水素水溶液を加え密栓し、所定時間経過した後に液層をヘッドスペースガスクロマトグラフで分析する手法が挙げられる。評価項目としては、処理終了時の溶液のpH並びに有機化合物の分解率が挙げられる。これらを勘案し、鉄キレート及び過酸化水素の使用量を求める。
本発明の原位置浄化方法においては、浄化対象のpHを5〜9に保つことが望ましく、市販の工業用過酸化水素水溶液、pH緩衝剤及び/またはpH調整剤を用いることにより達成される。pH緩衝剤としては、化学便覧等で紹介されているもので良いが、鉄の沈殿抑制や環境調和の観点から炭酸系緩衝剤が好ましい。炭酸系緩衝剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。このうち、コストや溶解度、pHの観点からは炭酸水素ナトリウムを単独で使用するか、もしくは炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムとを併用することが望ましい。pH緩衝剤は浄化中の土壌及び/又は地下水のpHが5〜9となるように添加すれば良いが、炭酸イオン及び炭酸水素イオンにはラジカルスカベンジャー効果があるため、極力使用を控えることが望ましい。
pH調整剤としては、無機酸やアルカリ化合物が挙げられる。好ましくは、その水溶液がアルカリ性を示すアルカリ化合物であり、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属過酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属過酸化物、アンモニアからなる群より選ばれる1種以上の化合物であることが好ましい。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが好ましい。アルカリ金属酸化物としては、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化リチウムが好ましい。アルカリ金属過酸化物としては、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化リチウムが好ましい。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムが好ましい。アルカリ土類金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウムが好ましい。アルカリ土類金属過酸化物としては、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウムが好ましい。特に好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、及びアンモニアから選択される一種以上の化合物である。
本発明の浄化に用いる過酸化水素としては、前記の工業用過酸化水素水溶液を用いることができるが、pH緩衝剤としてクエン酸及び/またはクエン酸ナトリウムを予め添加した過酸化水素水溶液を用いることがより好ましい実施形態である。クエン酸及び/またはクエン酸ナトリウムを予め添加した過酸化水素水溶液を用いることで、地中での過酸化水素の安定性が向上し薬剤の拡散性が高まると共に、クエン酸の緩衝作用によりpHが2以上5未満の鉄キレート水溶液を用いても中性付近での有機化合物の分解が可能となる。クエン酸およびクエン酸塩の合計量は、これらを添加した過酸化水素水溶液中の過酸化水素100重量部に対して、クエン酸の式量換算で5重量部〜50重量部を添加する。前記合計量の範囲より少ない場合には、土壌中での過酸化水素の安定性の低下や、pH緩衝能の不足を招き、過剰に添加しても過酸化水素の安定性は大幅に改善することはなく、経済性に劣る。
浄化対象の土壌を用いたトリタビリティー試験を行った結果、pH緩衝能が不足し浄化対象のpHが5〜9の範囲を逸脱する場合には、クエン酸及びクエン酸ナトリウムとは異なるpH緩衝剤を添加することができる。他のpH緩衝剤としては、炭酸系緩衝剤が好ましく、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、これらの1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることが望ましい。このうち、コストや溶解度、pHの観点からは炭酸水素ナトリウムを単独で使用するか、もしくは炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムとを併用することが望ましい。
本発明の過酸化水素水溶液には、メタリン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、縮合リン酸塩、ホスホン酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、フェニル尿素などの安定剤を本発明の効果を損なわない範囲であれば添加することもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら制限を受けるものではない。
実施例1〜4、比較例1〜4
(1)メチルグリシン二酢酸三ナトリウム(BASF製Trilon M Liquid)、硫酸第一鉄七水和物(和光純薬製特級試薬)、硫酸(和光純薬製特級試薬)、純水を用い、鉄/キレートのモル比を1とした鉄キレート水溶液を調製した。実施例1〜4、比較例1〜4のpHおよび鉄イオン濃度を表1に示した。
(2)調製3週間後(25℃保存)、目視にて鉄キレート水溶液の安定性を比較した。結果を表2に示した。
表2に示されるように、実施例1〜4のpH3.5、4.0の高濃度の鉄キレート水溶液では3週間保存後においても水酸化鉄の生成は認められなかった。一方、比較例1〜4のpH4.5、5.0の鉄キレート水溶液では水酸化鉄の析出が確認された。
実施例5
(1)約30mg/Lの1,2−ジクロロエタン(以下、DCEと称す)を含有する模擬汚染水を調製した。
(2)触媒として、実施例1と同様に鉄キレート溶液を調製した。
(3)クエン酸、水酸化ナトリウム、純水を45重量%過酸化水素水溶液に添加し、クエン酸3.5重量%、pH4.89、過酸化水素35重量%を含む水溶液を調製した。
(4)標準土壌として真砂土を用い、事前に60℃で18時間乾燥させ、70〜425μmに篩分けたものを用意した。
(5)反応容器である25mLネジ口瓶(DURAN瓶 内容積33mL)に乾燥させた真砂土10gと、前記(2)で調製した鉄キレート触媒及び前記(3)で調製した過酸化水素水溶液を系中で鉄イオンとして5mg/L、過酸化水素として500mg/Lとなるように添加し、前記(1)で調製した模擬汚染水を加え密栓した。
(6)反応容器を上下に10回振蕩後、素早く溶液のpHを測定し、再び密栓した。この時のpHを初期のpHとした。
(7)反応容器を室温にて23時間静置した後、溶液のpHを測定し、またヘッドスペースGC/MS法により溶液中の1,2−ジクロロエタン濃度を求めた。これらを23時間後のpHとDCE濃度とした。
(8)リファレンス(初期DCE濃度)は、前記(2)、(3)を純水に替えて操作を行い、測定した。
(9)DCE濃度、pHの測定結果を表3に示した。
実施例6
実施例5(3)のクエン酸含有過酸化水素水溶液の代わりに、35重量%の工業用過酸化水素水溶液を用いた以外は実施例5と同様に実験を行なった。結果を表3に示した。
実施例7
実施例5(5)において鉄イオンとして10mg/L、過酸化水素を1000mg/Lとした以外は実施例5と同様に実験を行なった。結果を表3に示した。
実施例8
実施例5(3)のクエン酸含有過酸化水素水溶液の代わりに、35重量%の工業用過酸化水素水溶液を用い、実施例5(5)において鉄イオンとして10mg/L、過酸化水素を1000mg/Lとした以外は実施例5と同様に実験を行なった。結果を表3に示した。
表3に示されるように、本発明の鉄キレート水溶液及び浄化方法によれば、重金属の溶出を抑制し得るpH域においてDCEの分解が可能であり、特にクエン酸を含有する過酸化水素水を用いた実施例5、7では、DCEの分解効果が高く、DCE分解に伴う浄化対象のpH低下が抑制できることが分かった。
実施例9
(1)約35mg/Lのベンゼンを含有する模擬汚染水を調製した。
(2)触媒として、実施例1と同様に鉄キレート溶液を調製した。
(3)クエン酸、水酸化ナトリウム、純水を45重量%過酸化水素水溶液に添加し、クエン酸3.5重量%、pH4.89、過酸化水素35重量%を含む水溶液を調製した。
(4)標準土壌として真砂土を用い、事前に60℃で18時間乾燥させ、70〜425μmに篩分けたものを用意した。
(5)pH緩衝剤として炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムを含む溶液を用意した。
(6)反応容器である25mLネジ口瓶(DURAN瓶 内容積33mL)に乾燥させた真砂土10gと、前記(2)で調製した鉄キレート触媒及び前記(3)で調製した過酸化水素水溶液並びに前記(5)のpH緩衝剤溶液を系中で鉄イオンとして5mg/L、pH緩衝剤として17.6mMの炭酸水素ナトリウム、0.035mMの炭酸ナトリウム、過酸化水素として200mg/Lとなるように添加し、前記(1)で調製した模擬汚染水を加え密栓した。
(7)反応容器を上下に10回振蕩後、素早く溶液のpHを測定し、再び密栓した。この時のpHを初期のpHとした。
(8)反応容器を室温にて1時間静置した後、溶液のpHを測定し、またヘッドスペースGC/MS法により溶液中のベンゼン濃度を求めた。これらを1時間後のpHとベンゼン濃度とした。
(9)リファレンス(初期ベンゼン濃度)は、前記(2)、(3)を純水に替えて操作を行い測定した。
(10)ベンゼン濃度、pHの測定結果を表4に示した。
実施例10
実施例9(3)のクエン酸含有過酸化水素水溶液の代わりに、35重量%の工業用過酸化水素水溶液を用いた以外は実施例9と同様に実験を行なった。結果を表4に示した。
実施例11
実施例9(6)において鉄イオンとして15mg/Lとした以外は実施例9と同様に実験を行なった。結果を表4に示した。
実施例12
実施例9(3)のクエン酸含有過酸化水素水溶液の代わりに、35重量%の工業用過酸化水素水溶液を用い、実施例9(6)において鉄イオンとして15mg/Lとした以外は実施例9と同様に実験を行なった。結果を表4に示した。

Claims (11)

  1. 化学物質で汚染された土壌及び/または地下水の浄化に用いる鉄キレート水溶液であって、pHが2以上5未満、かつ鉄イオン濃度が0.05重量%〜5重量%である鉄キレート水溶液。
  2. キレートが生分解性キレートである請求項1記載の鉄キレート水溶液。
  3. 生分解性キレートがメチルグリシン二酢酸またはその塩である請求項1または2に記載の鉄キレート水溶液。
  4. 鉄キレート水溶液中における鉄イオンに対するキレート剤のモル比が1〜3である、請求項1〜3の何れかに記載の鉄キレート水溶液。
  5. 化学物質で汚染された土壌及び/または地下水の原位置浄化方法であって、請求項1〜4の何れかに記載の鉄キレート水溶液、過酸化水素水溶液、ならびにpH調整剤及び/またはpH緩衝剤を添加することを特徴とする土壌及び/又は地下水の浄化方法。
  6. pH調整剤がアルカリ化合物であり、pH緩衝剤がクエン酸及び/またはクエン酸ナトリウムである請求項5記載の浄化方法。
  7. 過酸化水素水溶液がクエン酸及び/またはクエン酸ナトリウムが予め混合されたものである請求項5または6に記載の浄化方法。
  8. 浄化対象のpHを5〜9に保つように、鉄キレート水溶液及び過酸化水素水溶液を添加することを特徴とする請求項7記載の浄化方法。
  9. さらに、浄化対象にクエン酸及びクエン酸ナトリウムとは異なるpH緩衝剤を添加することを特徴とする請求項8記載の浄化方法。
  10. pH緩衝剤が、炭酸系pH緩衝剤である請求項9記載の浄化方法。
  11. 炭酸系pH緩衝剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムからなる群より選ばれた1種以上である請求項10記載の浄化方法。
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