JP2018175529A - 分解促進剤及びこの分解促進剤を用いた環境浄化方法 - Google Patents

分解促進剤及びこの分解促進剤を用いた環境浄化方法 Download PDF

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Shinya Mushiaki
晋哉 虫明
伊藤 浩
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浩 伊藤
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Yuki Tsuruoka
佑樹 鶴岡
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功 篠田
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優 高橋
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Mitsuo Kotaki
光生 小瀧
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Abstract

【課題】微生物による揮発性有機塩素化合物の分解を促進して、浄化対象環境の浄化をより迅速かつ効果的に行うことができる分解促進剤及び環境浄化方法を提供する。【解決手段】浄化対象環境中の揮発性有機塩素化合物を微生物によって分解し、浄化対象環境を浄化するために、水素供与体とともに用いられる分解促進剤であって、硫酸イオン除去剤として、バリウム塩を少なくとも含有する。浄化対象環境中の揮発性有機塩素化合物を微生物によって分解し、浄化対象環境を浄化する環境浄化方法であって、浄化対象環境中に、分解促進剤を添加する工程と、浄化対象環境中に、水素供与体を添加する工程と、を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、分解促進剤及びこの分解促進剤を用いた環境浄化方法に関する。
近年、工場跡地等において、土壌や地下水が化学物質に汚染されている場合が多数見られており、対策が急務となっている。揮発性有機塩素化合物の汚染の浄化対策として、微生物の汚染物質分解能力を利用して浄化を進めるバイオレメディエーションが広く利用されている(例えば、非特許文献1参照)。この浄化方法は経済的に有利であり、環境に与える負荷が少ない等の利点を持っている。
バイオレメディエーションの具体的な浄化方法として、例えば、特許文献1、2には、乳酸等を有効成分とする水素供与体を汚染土壌や地下水に添加し、還元微生物の活性を増進、維持することで、汚染物質を還元的に分解するバイオスティミュレーションを利用した技術が開示されている。また、特許文献3に開示のように、土壌や地下水に水素供与体とともに分解菌を添加するバイオオーグメンテーションを利用した技術も提案されている。
特表2000−511969号公報 特開2010−104962号公報 特開2012−086191号公報
矢木修身他「原位置バイオレメディエーション技術を用いた揮発性有機塩素化合物汚染土壌・地下水の浄化」環境バイオテクノロジー学会誌」Vol.1(2001)
しかしながら、従来技術のバイオスティミュレーションでは、土壌や地下水の汚染状況や、pH(水素イオン濃度)、ORP(酸化還元電位)、EC(電気伝導度)、硫酸イオン等の土壌や地下水の環境が嫌気性還元微生物の生育環境条件に適していない場合、単に水素供与体だけを土壌地下水中に注入し分解処理に供すると、発生した水素が嫌気性の環境醸成に使われ、揮発性有機塩素化合物の分解にまで利用されず、結果的に土壌地下水汚染の分解処理が遅くなってしまうという問題があった。
なかでも、硫酸イオンに関しては、非特許文献1に微生物分解を阻害するとの記載があり、硫酸イオンの有無やその濃度はバイオレメディエーションを実施するにあたって重要な環境条件となる。硫酸イオンは硫酸塩の形態で火山灰、農業肥料、海水等を由来として土壌地下水に大量に溶解していることが多く、卑近な酸化性の物質である。よって、土壌や地下水等の微生物の生育環境を調整して、微生物による揮発性有機塩素化合物の分解性能を向上させることのできる技術の開発が望まれている。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、微生物による揮発性有機塩素化合物の分解を促進して、土壌や地下水等の浄化対象環境の浄化をより迅速かつ効果的に行うことを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の分解促進剤は、浄化対象環境中の揮発性有機塩素化合物を微生物によって分解し、前記浄化対象環境を浄化するために、水素供与体とともに用いられる分解促進剤であって、硫酸イオン除去剤として、バリウム塩を少なくとも含有することを特徴とする。
ここで、前記硫酸イオン除去剤が、水と、前記バリウム塩とを少なくとも含有する水溶液であり、前記バリウム塩のうち、前記水溶液中のバリウムとしての含有量が、0.01〜1.5質量%である構成とすることができる。
また、pH調整剤をさらに含有する構成とすることができる。そして、前記pH調整剤として、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、リン酸塩のいずれか1種以上を含有する構成とすることができる。
また、ミネラル剤をさらに含有する構成とすることができる。そして、前記ミネラル剤として、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、リン酸二水素カリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化鉄(二価)のいずれか1種以上を含有する構成とすることができる。
また、本発明の環境浄化方法は、浄化対象環境中の揮発性有機塩素化合物を微生物によって分解し、前記浄化対象環境を浄化する環境浄化方法であって、前記浄化対象環境中に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分解促進剤を添加する工程と、前記浄化対象環境中に、水素供与体を添加する工程と、を有することを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、水素供与体とともに浄化対象の環境に添加することで、硫酸イオン除去剤によって硫酸イオンを化学的に速やかに除去して微生物の生育環境が調整され、水素供与体によって微生物が活性化される。したがって、水素供与体からの水素を、微生物による揮発性有機塩素化合物の分解に効率的に利用することができる。その結果、微生物による揮発性有機塩素化合物の分解を促進して、土壌や地下水等の浄化対象環境の浄化をより迅速かつ効果的に行うことができる。
本願の実施形態に係る環境浄化方法の処理の流れの一例を示すフローチャートである。 微生物による分解の促進効果の確認試験結果を示すグラフであり、実施例1、実施例2及び比較例1のそれぞれの試験結果を示す。
本発明の実施形態に係る分解促進剤は、揮発性有機塩素化合物(VOC)で汚染された土壌及び/又は地下水等の浄化対象環境を、微生物によって浄化するために、水素供与体とともに用いられる分解促進剤であり、硫酸イオン除去剤として、少なくともバリウム塩を含有する。
また、本実施形態の浄化方法は、浄化対象環境中の揮発性有機塩素化合物を微生物によって分解する環境浄化方法であって、浄化対象環境中に、上述のような分解促進剤を添加する工程と、浄化対象環境中に、水素供与体を添加する工程と、を有する。なお、分解促進剤や水素供与体を浄化対象環境に添加する手法としては、特に限定されることはなく、公知の手法を用いることができる。例えば、地中に設けた注入井戸から、土壌や地下水中に分解促進剤、水素供与体を注入する。
本実施形態に係る分解促進剤及び環境浄化方法は、バイオレメディエーションに好適に用いることができ、特に浄化対象環境中に生息する微生物(いわゆる土着菌)を活性化して化学物質を分解し、浄化対象環境を浄化するバイオスティミュレーションに、特に好適に用いることができる。
本実施形態では、分解促進剤を、水素供与体とともに浄化対象環境に添加することで、硫酸イオン除去剤によって硫酸イオンを化学的に速やかに除去することができる。また、嫌気性還元微生物等の微生物が活性化され、水素供与体から提供される水素を利用して、揮発性有機塩素化合物が分解される。
以上のように、分解促進剤によって浄化対象環境中の硫酸イオンを除去して、微生物の生育環境を調整することができるため、微生物による揮発性有機塩素化合物の分解が、硫酸イオンによって影響されるのを抑制することができる。そのため、水素供与体から提供される水素を微生物による揮発性有機塩素化合物の分解に効率的に利用することができる。したがって、浄化対象環境中の揮発性有機塩素化合物の微生物による分解を促進して、浄化対象環境の浄化をより迅速かつ効果的に行うことができる。また、水素供与体を多量に用いる必要がなく、分解促進剤の生産コストや環境浄化の実施コストを低減することも可能となる。
水素供与体は、水素、炭素を含有する有機物であり、揮発性有機塩素化合物の嫌気性還元微生物による分解に寄与するものであれば特に限定されない。水素供与体としては、例えば、ポリ乳酸、乳酸、酢酸等のカルボン酸、グルコース等の糖類、メタノール等のアルコール類、酵母、ヒマシ油などから精製される水に親和性のある脂肪酸等が挙げられる。又は、水素供与体として、バイオスティミュレーション用浄化剤として市販されている商品を用いることもできる。
上記で挙げた水素供与体の、浄化対象環境への添加量は、揮発性有機塩素化合物の全量を嫌気性還元微生物分解するのに必要な水素を供給できる量とし、水素の供給効率等を考慮し決定することが好ましい。
揮発性有機塩素化合物としては、例えば、テトラクロロエチレン(PCE)、シス−ジクロロエチレン(cisDCE)、塩化ビニル(VC)(「クロロエチレン(CE)」ともいう)等が挙げられる。テトラクロロエチレン(PCE)は、微生物によってトリクロロエチレン(TCE)、シス−ジクロロエチレン(cisDCE)、塩化ビニル(VC)、エチレンに順次分解される(下記化学式参照)。
また、揮発性有機塩素化合物としては、上記以外にも、例えば、1.2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、四塩化炭素等が挙げられる。これらを微生物によって分解する際にも、水素供与体とともに本実施形態の分解促進剤を添加することで、微生物の生息環境を醸成し、揮発性有機塩素化合物の分解を促進することができる。
本実施形態の分解促進剤によって、揮発性有機塩素化合物の分解が促進される微生物としては、特に限定されることはないが、嫌気性微生物が好ましく、例えば、Clostridium属、Dehalobacter属、Dehalococcoides属、Dehalospirilum属、Desulfobacterium属、Desulfomonas属、Desulfomonile属等の微生物が挙げられる。
硫酸イオン除去剤は、硫酸イオンと反応して硫酸塩を生成し、不溶化することで浄化対象環境中の硫酸イオンを除去する機能を有する。硫酸イオン除去剤としては、硫酸イオンを低濃度まで除去できるバリウム塩を少なくとも含有している。
バリウム塩としては、水酸化バリウム、塩化バリウム、酸化バリウム、炭酸バリウム等が挙げられる。溶解度や取扱い性の観点から、水酸化バリウムが好ましい。バリウム塩を浄化対象環境に添加することで、バリウムが硫酸イオンと結合し、難溶性の硫酸バリウムを生成して不溶化するため、浄化対象環境中の硫酸イオンを除去することができる。
なお、硫酸イオン除去剤として、バリウム塩以外の成分を含有していてもよく、例えば、水酸化ストロンチウム、硝酸銀等のアルカリ土類金属塩、貴金属の塩が挙げられる。
また、製品化や浄化対象環境への添加の際の取扱い性の観点から、硫酸イオン除去剤が、水と、バリウム塩とを少なくとも含有する水溶液であることが好ましい。この場合、水溶液中のバリウムとしての含有量が、0.01〜1.5質量%が好ましく、0.08〜0.8質量%がより好ましい。このような含有量とすることで、材料コストを低減して、浄化対象環境中の硫酸イオンの除去効果に優れる分解促進剤を、より廉価に提供することができる。
また、浄化対象環境に添加するバリウムの量としては、浄化対象環境中に含まれる硫酸イオン量を測定し、浄化対象環境とする土壌の量及び/又は地下水の水量に基づいて、必要なバリウム量を推定する。多くの場合、必要バリウム量は対象土壌及び/又は地下水中の硫酸イオン量のモル比で1〜10倍が好ましく、硫酸イオンをより迅速に不溶化して除去することができる。
また、本実施形態の分解促進剤は、硫酸イオン除去剤に加えて、pH調整剤や、ミネラル剤を含有することが好ましく、微生物の生育環境をより良好に調整し、分解促進効果をより高めることができる。
pH調節剤は、浄化対象環境のpHを中性域に維持するために添加する。水素供与体を土壌及び/又は地下水等の浄化対象環境へ添加すると、水素の放出によりpHが低下する傾向があり、それを防ぐために添加することが好ましい。
pH調節剤としては、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、リン酸塩等が好適に挙げられ、これらの中のいずれか1種以上を含有することが好ましい。これらの中でも、取扱い性、経済性の観点から、pH調整剤として、ナトリウム塩、カリウム塩を選定することがより好ましい。上記塩類の選定は、浄化対象環境の条件等に応じて、適宜実施することが好ましい。
また、pH調整剤の添加量としては、分解促進剤を水溶液とした場合、水溶液中の含有量を3〜8質量%とすることが好ましい。実際には、水素供与体と分解促進剤の添加後の浄化対象環境のpHを5〜9に調整できる量を適宜添加することが好ましく、微生物の生育環境を調整して、微生物をより活性化し、微生物による揮発性有機塩素化合物の分解を、より促進することができる。
ミネラル剤は、微生物の生育に必要な微量元素を供給するために添加する。ミネラル剤としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、リン酸二水素カリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化鉄(二価)等が好適に挙げられ、これらの中のいずれか1種以上を含有することが好ましく、これらの中から任意に組み合わせてもよい。
ミネラル剤としての各物質の分解促進剤中の含有量は、塩化ナトリウムが1〜5質量%、塩化マグネシウムが0.7〜2.5質量%、リン酸二水素カリウムが0.3〜1.3質量%、塩化アンモニウムが0.5〜2質量%、塩化カリウム質量が0.5〜2質量%、塩化鉄(二価)が1〜5.5質量%とすることが好ましい。実際には、浄化対象環境に添加する水素供与体の量、性質、含有成分や浄化対象環境の質を考慮してミネラル剤の添加量を決定する。
硫酸イオン除去剤とともに、pH調整剤、ミネラル剤を浄化対象環境に添加することで、微生物にとって良好な生育環境を速やかに醸成、維持することができる。そのため、微生物をより速やかに活性化させ、嫌気性還元による揮発性有機塩素化合物の分解を、より促進することができる。
本実施形態の分解促進剤は、粉末状のまま浄化対象環境に添加してもよいが、予め水に溶解させた水溶液として添加してもよい。また水素供与体と別個に添加してもよいし、水素供与体と混合して添加してもよい。
また、本実施形態の環境浄化方法において、浄化対象環境に分解促進剤を添加する工程と、浄化対象環境に水素供与体を添加する工程とは、同時に(並行して)行ってもよいし、別々に(1工程ずつ順番に)行ってもよい。なお、別々に行う場合は、浄化対象環境に分解促進剤を添加する工程を、浄化対象環境に水素供与体を添加する工程よりも前に行うことがより好ましい。
本実施形態の環境浄化方法の処理の流れの一例を、図1のフローチャートを用いて説明するが、本願の環境浄化方法が、この例に限定されるものではない。図1に示すように、まず、少なくとも硫酸イオン除去剤を含有し、必要に応じてpH調整剤及びミネラル剤を含有する分解促進剤を、土壌、地下水等の浄化対象環境に添加する(ステップS1)。なお、硫酸イオン除去剤、pH調整剤及び/又はミネラル剤を、混合して添加してもよいし、それぞれを別個に添加してもよい。この分解促進剤の添加により、浄化対象環境中の硫酸イオンが不溶化されて除去される。そして、このステップS1の工程の後、又はステップS1の工程と並行して、浄化対象環境に水素供与体を添加する(ステップS2)。これにより、揮発性有機塩素化合物(VOC)の微生物による分解が進行し(ステップS3)、浄化が完了する(ステップS4)。本実施形態の環境浄化方法では、ステップS1の分解促進剤の添加工程により、微生物の生息環境(浄化対象環境)の醸成期間を短縮することができ、その結果、微生物による揮発性有機塩素化合物の分解が促進されて、環境浄化作業に係る全体的な工期を短縮することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本実施例により本発明が限定されるものではない。
[微生物による分解の促進効果の確認試験1]
バイオスティミュレーションにおける、各実施例の分解促進剤及び環境浄化方法の分解促進効果を確認するために、以下のようにして確認試験1を行った。
試験に使用する組成物を、下記のようにして調整し、準備した。
水酸化バリウムを0.185質量%の水溶液とした硫酸イオン除去剤を組成物(A)とし、炭酸水素ナトリウムを3質量%の水溶液としたpH調整剤を組成物(B)とし、塩化ナトリウム1質量%、塩化マグネシウム6水和物5質量%、リン酸二水素カリウム0.2質量%、塩化アンモニウム3質量%、塩化カリウム0.3質量%、塩化鉄(2価)1.5質量%を各濃度で混合、水溶液としたミネラル剤を組成物(C)とした。
ADEKA総合設備社製のアデカジオメイトBIO−213を、水素供与体(HD)とした。アデカジオメイトBIO−213は、乳酸、グリセリンを主成分とした高分子型徐放性の水素供与体である。
<試験方法>
揮発性有機塩素化合物により汚染された地下水を汚染地域から採取し、促進効果を評価し易くするために、テトラクロロエチレンを添加し濃度調整を行ったものを試験試料とした。この試験試料中のPCE濃度を測定したところ、約11mg/Lであった。試験試料100mLをガラス瓶に満注し、恒温槽内で25℃に保持した。所定時間毎にガラス瓶を回収し、分析試料とした。
各分析試料中の揮発性有機塩素化合物の濃度を、ガスクロマトグラフ(DELCD検出器)を用いてヘッドスペース法により測定した。n=2とし、その平均値を求めた。なお、試験開始時の試験試料(分析試料)の水質は、pH(水素イオン濃度)7.85、ORP(酸化還元電位)+222mv、Dehalococcoides属(デハロコッコイデス属)菌数は5.5×10 copies/100ml、硫酸イオン濃度50.1mg/Lであった。
このような試験試料に、上記の(A)〜(C)及び(HD)を、以下に示す各実施例1、2、参考例1、2、及び比較例1、2の通り添加した。
(実施例1)
実施例1として、試験試料に(HD)を900mg/L、(A)を10,000mg/L添加した。
(実施例2)
実施例2として、試験試料に次の分解促進剤を添加した。(HD)を900mg/L、(A)を10,000mg/L 、(B)を10,000mg/L、(C)を10,000mg/Lを添加した。
(参考例1)
参考例1として、試験試料に(HD)を900mg/L、(B)を10,000mg/L添加した。
(参考例2)
参考例2として、試験試料に(HD)を900mg/L、(C)を10,000mg/L添加した。
(比較例1)
比較例1として、試験試料に(HD)を900mg/Lのみ加えた。
(比較例2)
試験試料に何も添加しないものを比較例2とした。
上記各実施例1、2、参考例1、2、比較例1、2において、試験試料中の揮発性有機塩素化合物の分解に要した日数、及び条件を下記表1に示した。20日毎にN=2(1条件測定1回毎に2つの試料)で測定を実施し、全ての揮発性有機塩素化合物が未検出となった日数を、「分解に要した日数」とした。下記表1中、pH、ORP、デハロコッコイデス属細菌数、硫酸イオン濃度は、試験終了時の測定値とした。また、実施例1、実施例2、比較例1の試験結果のグラフを、図2に示した。
上記表1及び図2の確認試験1の結果から解るように、水素供与体のみの比較例1では揮発性有機塩素化合物は完全分解しなかった。水素供与体も添加しなかった比較例2では、分解は進行しなかった。これに対して、水素供与体とともに硫酸イオン除去剤を添加した実施例1、2では分解が進行し、分解促進剤の効果が得られた。特に、硫酸イオン除去剤、pH調整剤、ミネラル剤を加えた実施例2は顕著な分解促進効果が確認できた。なお、硫酸イオン除去剤を添加せずにpH調整剤又はミネラル剤のみを添加した参考例1、2でも分解が進行したが、実施例1、2よりも分解速度が遅く、硫酸イオン濃度は高いままであった。
[微生物による分解の促進効果の確認試験2]
バイオスティミュレーションにおける、各実施例の分解促進剤及び環境浄化方法の分解促進効果を確認するために、以下のようにして確認試験2を行った。
試験に使用する組成物を、下記のようにして調整し、準備した。
水酸化バリウムを0.185質量%の濃度の水溶液とした硫酸イオン除去剤を組成物(A)とし、炭酸水素ナトリウムを3質量%の水溶液としたpH調整剤を組成物(B)とし、酢酸ナトリウムを3質量%の水溶液としたpH調整剤を組成物(D)とし、リン酸水素2カリウムを3質量%の水溶液としたpH調整剤を組成物(E)とし、塩化ナトリウム1質量%、塩化マグネシウム6水和物5質量%、リン酸二水素カリウム0.2質量%、塩化アンモニウム3質量%、塩化カリウム0.3質量%、塩化鉄(2価)1.5質量%を各濃度で混合、水溶液としたミネラル剤を組成物(C)とした。
ADEKA総合設備社製のアデカジオメイトBIO−213を、水素供与体(HD)とした。
<試験方法>
揮発性有機塩素化合物により汚染された地下水を汚染地域から採取し、促進効果を評価し易くするために、テトラクロロエチレンを添加し濃度調整を行ったものを試験試料とした。この試験試料中のPCE濃度を測定したところ、約38mg/Lであった。試験試料100mLをガラス瓶に満注し、恒温槽内で25℃に保持した。所定時間毎にガラス瓶を回収し、分析試料とした。
各分析試料中の揮発性有機塩素化合物の濃度を、ガスクロマトグラフ(DELCD検出器)を用いてヘッドスペース法により測定した。n=2とし、その平均値を求めた。試験開始時の試験試料の水質は、pH7.52、ORP+113mv、デハロコッコイデス属菌数は4.1×10 copies/100ml、硫酸イオンは45.1mg/Lであった。
このような試験試料に、上記の(A)〜(E)及び(HD)を、以下に示す各実施例3、4、5及び参考例3、4、5の通り添加した。
(実施例3)
実施例3として、試験試料に(HD)を900mg/L、(A)を10,000mg/L、(B)を10,000mg/L、(C)を5,000mg/L添加した。
(実施例4)
実施例4として、試験試料に(HD)を900mg/L、(A)を10,000mg/L、(D)を10,000mg/L、(C)を5,000mg/L添加した。
(実施例5)
実施例5として、試験試料に(HD)を900mg/L、(A)を10,000mg/L、(E)を10,000mg/L、(C)を5,000mg/L添加した。
(参考例3)
参考例3として、試験試料に(HD)を900mg/L、(B)を10,000mg/L添加した。なお、参考例3の分解促進剤の組成物及びその含有量は、前述の参考例1と同じであるが、添加先の試験試料が異なるため、参考例1とは別の参考例3とした。
(参考例4)
参考例4として、試験試料に(HD)を900mg/L、(D)を10,000mg/L添加した。
(参考例5)
参考例5として、試験試料に(HD)を900mg/L、(E)を10,000mg/L添加した。
上記実施例3、4、5及び参考例3、4、5において、試験試料中の揮発性有機塩素化合物の分解に要した日数、及び条件を下記表2に示した。下記表2中、pH、ORP、デハロコッコイデス属細菌数、硫酸イオン濃度は、試験終了時の測定値とした。
上記表2の確認試験2の結果から明らかなように、水素供与体とともに硫酸イオン除去剤と、pH調整剤及び/又はミネラル剤とを添加した実施例3〜5のほうが、pH調整剤又はミネラル剤のみを添加した参考例3〜5に比べて、優れた分解促進効果が得られた。
以上、本願の分解促進剤及び環境浄化方法を実施形態及び実施例に基づいて説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、上記実施例では、分解促進剤及び環境浄化方法をバイオスティミュレーションに適用した例を示しているが、これに限定されるものではない。水素供与体とともに微生物を浄化対象環境に添加するバイオオーグメンテーションに適用することもでき、バイオレメディエーション全般での応用が可能となる。

Claims (7)

  1. 浄化対象環境中の揮発性有機塩素化合物を微生物によって分解し、前記浄化対象環境を浄化するために、水素供与体とともに用いられる分解促進剤であって、
    硫酸イオン除去剤として、バリウム塩を少なくとも含有することを特徴とする分解促進剤。
  2. 前記硫酸イオン除去剤が、水と、前記バリウム塩とを少なくとも含有する水溶液であり、前記バリウム塩のうち、前記水溶液中のバリウムとしての含有量が、0.01〜1.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の分解促進剤。
  3. pH調整剤をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の分解促進剤。
  4. 前記pH調整剤として、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、リン酸塩のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載の分解促進剤。
  5. ミネラル剤をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の分解促進剤。
  6. 前記ミネラル剤として、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、リン酸二水素カリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化鉄(二価)のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項5に記載の分解促進剤。
  7. 浄化対象環境中の揮発性有機塩素化合物を微生物によって分解し、前記浄化対象環境を浄化する環境浄化方法であって、
    前記浄化対象環境中に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分解促進剤を添加する工程と、
    前記浄化対象環境中に、水素供与体を添加する工程と、を有することを特徴とする環境浄化方法。
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