JP6218134B2 - 汚染土壌又は地下水の浄化方法 - Google Patents

汚染土壌又は地下水の浄化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6218134B2
JP6218134B2 JP2013104782A JP2013104782A JP6218134B2 JP 6218134 B2 JP6218134 B2 JP 6218134B2 JP 2013104782 A JP2013104782 A JP 2013104782A JP 2013104782 A JP2013104782 A JP 2013104782A JP 6218134 B2 JP6218134 B2 JP 6218134B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
groundwater
contaminated soil
compound
aromatic
purification
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013104782A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014223595A (ja
Inventor
美穂 吉川
美穂 吉川
銘 張
銘 張
竹内 美緒
美緒 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chemical Grouting Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Chemical Grouting Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chemical Grouting Co Ltd, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical Chemical Grouting Co Ltd
Priority to JP2013104782A priority Critical patent/JP6218134B2/ja
Publication of JP2014223595A publication Critical patent/JP2014223595A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6218134B2 publication Critical patent/JP6218134B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Activated Sludge Processes (AREA)

Description

本発明は、有機塩素化合物や芳香族化合物で汚染された土壌や地下水を浄化する方法に関し、特に、有機塩素化合物及び芳香族化合物で複合汚染された土壌や地下水の浄化方法に関する。
かつて工業用の溶剤や原材料等として広く利用されていた揮発性有機化合物(VOC又はVOCsと略記することがある)による土壌及び地下水汚染が日本各地に存在し、深刻な問題となっている。そこで近年、「土壌汚染対策法」の制定及び施行により、すでに汚染された土壌及び地下水の対策が求められるようになってきているが、低コストで、しかも環境に優しい浄化技術がまだ確立されていないのが現状である。
従来、揮発性有機化合物の1種である有機塩素化合物や芳香族化合物(塩素原子を有する化合物を除く)等で汚染された土壌及び地下水の処理対策方法として、地下水揚水法、土壌ガス吸引法、加熱土壌ガス吸引法及び掘削除去法等が主に行われている。また、近年では、化学資材の注入、撹拌による化学的処理法及び微生物を利活用したバイオレメディエーション法に関する研究が盛んに行われ、注目されるようになってきている。
しかし、有機塩素化合物等は揮発性有機化合物であっても比重が大きく動粘性が低いため、汚染は地下深部の難透水性地層の上部に及ぶ特徴がある。
前述した地下水揚水法、土壌ガス吸引法及び加熱土壌ガス吸引法は、透水性の高い地盤にしか適用できず、また土壌の吸着性等により、浄化には長時間を要し、完全浄化も極めて困難である。
また、掘削除去法は、その場にある汚染土壌を迅速に除去できるものの、コストが高く、掘削土壌の処理や掘削深度の制限等の問題がある。
化学資材の注入、撹拌による化学的処理法は、二次汚染の恐れがあり、また、一般的に広範囲にわたる有機化合物汚染の浄化には適用範囲が限られてしまう。
これに対し、上述のバイオレメディエーション法は、コスト的に安価で、環境にも優しく、しかも適用深度及び範囲に特に制限もないことから、近年、一部実用化され、実績も上げている。
例えば、非特許文献1には、デハロコッコイデス(Dehalococcoides)属細菌による有機塩素化合物であるテトラクロロエチレンの還元的完全脱塩素分解が記載されており、テトラクロロエチレンは最終的には無害なエチレン(Ethylene)に分解される。この分解工程は、テトラクロロエチレンから順次脱塩素化して、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、塩化ビニルを経て、エチレンに到達する。
このようなバイオレメディエーション法において、微生物の活性を高め、また有機塩素化合物の還元的脱塩素分解を促進するために、微生物の栄養源となる物質の添加(例えば、特許文献1及び特許文献2)、又は、栄養剤と還元剤を同時に添加する工法(例えば、特許文献3)も考案され、実用化されている。
しかし、還元分解による有機塩素化合物の完全浄化に寄与できる微生物種が非常に少なく、多くのケースでは還元的分解がシス−ジクロロエチレン(cis−DCEと略記することがある)で止まってしまうことがあり、又は、シス−ジクロロエチレン等の低塩素化合物の還元的分解反応が非常に遅く、浄化に数年に亘る長期間を要することがある(例えば、特許文献2の[0008]及び特許文献4の[0013])。このため、近年では、有機塩素化合物の汚染浄化を嫌気条件の造成による還元的分解を実施した後、好気条件の造成による酸化的分解へ切換え、浄化効率を向上させる工法が考案され、実用化されている(例えば、特許文献4)。
一方、揮発性有機化合物の1種である芳香族化合物、例えばベンゼンを含む汚染土壌等の浄化に関しては、強い酸化剤の添加による化学的処理が考案されている(例えば、特許文献5)。
また、微生物による、ベンゼンのような芳香族化合物の酸化分解が可能であることも以前から知られている(非特許文献2)。
特開2002−1304号公報 特開2003−53321号公報 特開2010−221184号公報 国際公開第11/148509号パンフレット 特開2012−232248号公報
Figure 0006218134
微生物を利活用したこれまでの、還元分解を主とするバイオレメディエーション法は、上述したように、シス−ジクロロエチレン等の低塩素化合物の分解効率が悪い(特許文献4の[0013]等)。また、汚染土壌等がベンゼンのような芳香族化合物を含んでいると、芳香族化合物の還元的分解による汚染土壌等の浄化は困難である。
そこで、本発明は、還元分解よりも有機塩素化合物の分解速度が高く、しかも芳香族化合物をも分解可能な、特定の酸化分解を行う汚染土壌又は地下水の浄化方法を提供することを、課題とする。
本発明者らは、テトラクロロエチレンやトリクロロエチレン等の有機塩素化合物の分解反応における分解中間生成物である低塩素化合物(例えば、シス−ジクロロエチレン及び塩化ビニル)やベンゼン等の芳香族化合物で汚染された汚染土壌又は地下水、特にこれらで複合汚染された汚染土壌又は地下水の分解反応、浄化方法について鋭意研究を重ねた。その結果、汚染物質として存在する芳香族化合物の酸化分解時にその場に共存する微生物を利用し、それが放出又は発生する酸素添加酵素を低塩素化合物の酸化分解促進剤として利用することにより、芳香族化合物の分解に加えて低塩素化合物をも速やかに酸化分解できることを見出した。しかも、この酸化分解は複合汚染物質として土壌又は地下水に含まれている芳香族化合物を分解する際にその場に共存する微生物を利用し、それが放出又は発生する酸素添加酵素を低塩素化合物の酸化分解促進剤として利用するという知見に基づくものである。それ故、化学資材の添加利用を最低限に抑えられる環境に優しい浄化方法としうることも見出した。
これらの知見に基づき本発明者らはさらに研究を重ね、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
(1)芳香族化合物及び有機塩素化合物を含む複合汚染の汚染土壌又は地下水を、酸素の存在下で、芳香族化合物の酸化分解に際して酸素添加酵素を放出する微生物の働きにより原位置又は現場で浄化する汚染土壌又は地下水の浄化方法であって、
前記複合汚染の汚染土壌又は地下水に含有する芳香族化合物が、ベンゼンを含み、前記有機塩素化合物が、塩素化エチレン類であり、
浄化対象物である前記汚染土壌の前記芳香族化合物の溶出量又は地下水中の前記芳香族化合物の汚染濃度が0.01〜250mg/Lであって、前記汚染土壌の前記有機塩素化合物の溶出量又は地下水中の前記有機塩素化合物の汚染濃度が0.002〜200mg/Lであり、前記汚染土壌又は地下水に含有する前記芳香族化合物と前記有機塩素化合物との含有量のモル比(該芳香族化合物のモル:該有機塩素化合物のモル)が、1:1〜5:1であり、
前記浄化対象物である前記汚染土壌又は地下水中の溶存酸素の濃度を4〜15mg/Lに調整し、
前記複合汚染の汚染土壌又は地下水に含有する前記芳香族化合物と前記有機塩素化合物を使用してこれらをともに浄化する、
汚染土壌又は地下水の浄化方法。
(2)前記汚染土壌又は地下水に含有する前記芳香族化合物と前記有機塩素化合物を使用して該モル比1:1〜5:1に調整する(1)に記載の浄化方法。
)芳香族化合物及び有機塩素化合物を含む複合汚染の汚染土壌又は地下水を微生物の働きにより原位置又は現場で浄化する方法であって、かつ、
前記微生物の働きにより、前記芳香族化合物を酸化分解すると共に、このとき前記微生物から放出又は発生される酸素添加酵素を酸化分解促進剤として利用して前記有機塩素化合物を酸化分解する汚染土壌又は地下水の浄化方法であり、
前記芳香族化合物が、ベンゼンを含み、前記有機塩素化合物が、塩素化エチレン類であり、
前記複合汚染の汚染土壌又は地下水に含有する前記芳香族化合物と前記有機塩素化合物を使用してこれらをともに浄化する
汚染土壌又は地下水の浄化方法。
(4)前記有機塩素化合物が、分子内に存在する塩素原子数が2個以下の低塩素有機化合物を含む(1)〜(3)のいずれか1項に記載の浄化方法。
(5)前記低塩素有機化合物が、シス−ジクロロエチレン及び塩化ビニルの少なくとも一方である(4)に記載の浄化方法。
)前記微生物が、前記汚染土壌又は地下水中に生息又は自生している微生物である(1)〜()のいずれか1項に記載の浄化方法。
)前記微生物の働きを高める栄養塩を前記汚染土壌又は地下水に添加する(1)〜()のいずれか1項に記載の浄化方法。
(8)前記栄養塩の少なくとも1種が、ナトリウムもしくはカリウムの硫酸塩である(7)に記載の浄化方法。
本発明において、「芳香族化合物及び有機塩素化合物を含む汚染土壌又は地下水」とは、芳香族化合物及び有機塩素化合物を含む単一の汚染土壌又は地下水、すなわち通常複合汚染土壌又は地下水と称されるものと、芳香族化合物を含む汚染土壌又は地下水及び有機塩素化合物を含む汚染土壌又は地下水の混合汚染土壌又は地下水との両者を含む意味である。また「汚染土壌又は地下水」とは、環境基準値を超える芳香族化合物及び/又は有機塩素化合物を含む汚染土壌、汚染地下水及びこれらの混合物を意味する。
本発明において、「低塩素化合物」とは、有機塩素化合物の分解反応における分解中間生成物であって、分子内に存在する塩素原子数が2個以下の有機塩素化合物をいう。例えば、テトラクロロエチレン等の分解においてはジクロロエチレン及び塩化ビニルをいう。
本発明において、「芳香族化合物」は、単環芳香族化合物を意味し、ダイオキシン類等の多環芳香族化合物を包含しない。
本発明において、「浄化」とは、ベンゼン等の芳香族化合物を微生物によって分解し、初期濃度より低下していくことであり、最終的には芳香族化合物の汚染濃度を環境基準値以下に低減させること、また、芳香族化合物の酸化分解時に微生物が放出又は発生する酸素添加酵素を有機塩素化合物の酸化分解促進剤として利用し、浄化対象の有機塩素化合物を分解し、その初期濃度より低下していくことであり、最終的には有機塩素化合物の汚染濃度を環境基準値以下に低減させることを目的とすることを意味する。
本発明において、「原位置で浄化」とは汚染土壌又は地下水をその存在位置で浄化することをいい、「現場で浄化」とは汚染土壌を掘削又は地下水を揚水するものの、その存在する場所以外の場所、例えば浄化管理敷地外等に搬送することなく、浄化管理敷地内で浄化することをいう。
本発明によれば、これまでバイオレメディエーション法で浄化が困難となっていた汚染物質である、シス−ジクロロエチレン等の低塩素化合物や、ベンゼン等の芳香族化合物等を含む汚染土壌又は地下水を原位置又は現場で安価かつ低環境負荷で浄化することが可能となる。
図1は、実施例1(図1a))及び比較例1(図1b))における、酸化分解実験期間中のシス−ジクロロエチレン濃度及びベンゼン濃度の変化を示すグラフである。 図2は、実施例2(図2a))における酸化分解実験期間中、並びに、比較例2(図2b)及び図2c))における還元分解実験期間中のシス−ジクロロエチレン濃度及びベンゼン濃度の変化を示すグラフである。
本発明の汚染土壌又は地下水の浄化方法(以下、本発明の方法ということがある)は、芳香族化合物及び/又は有機塩素化合物を含む汚染土壌又は地下水を、酸素の存在下で、芳香族化合物の酸化分解に際して酸素添加酵素を放出する微生物の働きにより、原位置又は現場で浄化する方法である。
このように、酸素の存在下で微生物の働きにより汚染土壌又は地下水を浄化する本発明の方法により、これまで浄化が困難であった低塩素化合物、例えばシス−ジクロロエチレン及び塩化ビニル等を、ベンゼン等の芳香族化合物と共に、浄化できる。
本発明の方法の詳細はまだ定かではないが、下記に示す芳香族化合物の分解反応と有機塩素化合物の分解反応とが、同時に、又は、連続的若しくは間欠的に、起こることによるものと、考えられる。
なお、以下の芳香族化合物及び有機塩素化合物の分解反応を、ベンゼン、シス−ジクロロエチレン及びオキシゲナーゼを例に挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
すなわち、本発明の方法においては、下記に示すようにベンゼンの二酸化炭素への分解反応が生じると考えられる。
Figure 0006218134
微生物は、ベンゼンを分解するに当って、酸素添加酵素であるオキシゲナーゼ酵素を放出又は発生する。微生物は、自身が放出又は発生させたオキシゲナーゼによって、酸素の存在下でベンゼンに酸素を付加させてベンゼンを酸化し、カテコール化合物を生成させる。次いで、このカテコール化合物をオキシゲナーゼによって更に酸化して、α−ヒドロキシカルボン酸化合物1又はダイカルボン酸化合物2まで、分解する。これらの化合物1及び2は更に分解されて、汚染土壌又は地下水に生存している酸素呼吸する生物、例えば微生物のクエン酸回路(Tricarboxylic acid cycle)に供されて、無害な二酸化炭素に分解される。
このようにベンゼンは上述の複数段の酸化反応によって酸化分解され、複数段の酸化反応は酸素の存在下で速やかに進行する。
一方、下記に示すように、シス−ジクロロエチレンは二酸化炭素に分解されると考えられる。
Figure 0006218134
シス−ジクロロエチレンの酸化分解には、上述のベンゼンの酸化分解に当って微生物が放出又は発生したオキシゲナーゼが酸化分解促進剤として利用される。すなわち、微生物がオキシゲナーゼによって酸素をシス−ジクロロエチレンに付加してシス−ジクロロエチレンを酸化させ、エポキシド化合物3を生成させる。次いで、微生物はエポキシ化合物3をオキシゲナーゼによって更に酸化して、無害な二酸化炭素まで速やかに分解する。
このようにシス−ジクロロエチレンは上述の複数段の反応によって分解され、複数段の反応は下記条件で速やかに進行する。
このように、ベンゼンは微生物及びオキシゲナーゼによって化合物1及び2又はその誘導体まで分解され、次いでクエン酸回路によって無害な二酸化炭素まで分解され、一方、シス−ジクロロエチレンは微生物及びオキシゲナーゼによってエポキシ化合物3を経て無害な二酸化炭素まで速やかに酸化分解される。
したがって、本発明の方法は、微生物に酸素添加酵素を放出又は発生させて、この酸素添加酵素の存在下で微生物の働きによって芳香族化合物及び有機塩素化合物を酸化分解する方法である。
本発明の方法は、酸素の存在下で、微生物の働きにより汚染土壌又は地下水を浄化する方法であるから、汚染土壌又は地下水を浄化するに当たり、汚染土壌又は地下水を浄化管理敷地外に搬出することなく、少なくとも浄化する汚染土壌又は地下水が存在する浄化管理敷地内、例えば浄化管理敷地の地表又は地表に設置された処理場で、特に汚染土壌又は地下水が存在する位置から採取も移動もすることなくその位置で、処理できる。
本発明の方法において、浄化対象物とされる汚染土壌又は地下水は、芳香族化合物及び有機塩素化合物を含有している土壌又は地下水であればよく、上述の複合汚染土壌又は地下水、上述の混合汚染土壌又は地下水が挙げられる。複合汚染土壌又は地下水であると、芳香族化合物及び有機塩素化合物を一挙に酸化分解できるうえ、原位置浄化又は現場浄化等が求められる土壌浄化にもよく適合する。
浄化対象物の形態は、特に限定されず、汚染土壌のみからなる固体状であってもよく、汚染地下水からなる液体状であってもよく、これらの混合物であってもよい。浄化対象物が汚染土壌のみである場合には、浄化前処理として土塊を細かくしておいてもよい。
汚染物質としての芳香族化合物は、有害物質のうち芳香族性を有し、後述する微生物で酸化分解されるもの(多環芳香族化合物を除く)であればよく、例えば、土壌汚染対策法で指定されているベンゼンのような特定有害物質や、トルエン及びキシレン等の有害化学物質等が挙げられる。これらの中でも、土壌及び地下水中の汚染物質として多く存在し、本発明の方法において効率よく分解されるのは土壌汚染対策法で特定有害物質として指定されているベンゼンである。浄化対象物は、1種の芳香族化合物を含有していてもよく、複数の芳香族化合物を含有していてもよい。
浄化対象物中の芳香族化合物の汚染濃度は、微生物の生息密度等に応じて適宜に決定されるが、例えば、0.01〜250mg/Lである。
汚染物質としての有機塩素化合物は、塩素原子を有し、酸化分解可能な有機化合物であれば特に限定されず、例えば、酸化分解可能な塩素化エチレン類が挙げられる。酸化分解可能な塩素化エチレン類としては、例えば、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン及び塩化ビニル等が挙げられる。
本発明においては、従来、分解しにくいとされる低塩素化合物であっても酸化分解することができる。したがって、汚染物質として、このような低塩素化合物を分解中間生成物として生成する有機塩素化合物はもちもん、低塩素化合物そのもの、例えば、ジクロロエチレン(シス体及びトランス体を含む)及び塩化ビニルを含有することもできる。
浄化対象物は、1種の有機塩素化合物を含有していてもよく、複数の有機塩素化合物を含有していてもよい。
浄化対象物中の有機塩素化合物の汚染濃度は、微生物の生息密度等に応じて適宜に決定されるが、例えば、0.002〜200mg/Lである。
本発明においては、上述のように、芳香族化合物の酸化分解時に微生物から放出される酸素添加酵素によって芳香族化合物に加えて有機塩素化合物をも酸化分解できる。有機塩素化合物を環境基準値以下まで酸化分解するには、芳香族化合物の含有量が有機塩素化合物の含有量よりも高いのが好ましい。例えば、芳香族化合物と有機塩素化合物との含有量のモル比は1:1〜5:1であるのがよい。
汚染対象物の含有量のモル比は、汚染濃度の異なる複数の汚染土壌又は地下水を混合して調整することができる。なお、環境上好ましいものではないが、環境基準値以下まで酸化分解される量であれば最終的な手段として芳香族化合物を処理対象物に添加することも考えられる。
処理対象物は、芳香族化合物及び有機塩素化合物を含有していればよいが、これらに加えて他の汚染物質を含有していてもよい。他の汚染物質としては、酸化分解されるものであるのが好ましく、例えば、ジクロロメタンや、油類等が挙げられる。
本発明の方法で用いられる微生物は、酸素添加酵素を放出又は発生して上述の芳香族化合物を酸化分解できるものであれば特に限定されず、汚染対象物中又はその近傍に生息又は自生している微生物(このような微生物を用いる方法をバイオスティミュレーションという)であってもよく、他の地域に生息している微生物、培養された微生物(このような微生物を利用微生物といい、利用微生物を用いる方法をバイオオーグメンテーションという)であってもよい。用いる微生物は、浄化場所の生態系への影響等を考慮すると、汚染対象物中又はその近傍に生息又は自生している微生物であるのが好ましい。なお、浄化対象物に微生物が生息又は自生していない場合は必要に応じて利用微生物を用いることもできる。
芳香族化合物を酸化分解できる微生物としては、例えば、Hydrogenophage属、Pseudomonas属、Rhodococcus属及びMycobacterium属等が挙げられる。
微生物は、1種を用いても、複数種を用いても(複合微生物系ともいう)よい。
ここで、これらの微生物が芳香族化合物及び/又は有機塩素化合物で汚染された汚染土壌又は地下水中に生存していることは公知であり、例えば、非特許文献2に記載されている。
これらの微生物は、上述のように、芳香族化合物を酸素の存在下で分解する際に、後述する酸素添加酵素を放出又は発生して、芳香族化合物を酸化分解する。本発明の方法は、このとき放出又は発生する酸素添加酵素を酸化分解促進剤として有機塩素化合物の酸化分解にも用いる。したがって、本発明の方法は、微生物の働きにより、酸素添加酵素を利用して、芳香族化合物及び有機塩素化合物のいずれも酸化分解する方法である。
微生物の生息密度(単位質量又は単位体積当りに存在する微生物の数)は、芳香族化合物及び有機塩素化合物を酸化分解可能な密度であればよく、例えば、土壌の場合では10〜10株/g、また地下水の場合では10〜10株/mLが挙げられる。
微生物が放出又は発生する酸素添加酵素は、芳香族化合物又は有機塩素化合物の酸化分解を促進する酵素であれば特に限定されず、例えば、モノオキシゲナーゼやジオキシゲナーゼ等のオキシゲナーゼ等が挙げられる。
この酸素添加酵素は、微生物による芳香族化合物の分解において放出又は発生され、持続的に存在するため、濃度としては特に制限を受けない。
本発明の方法には、微生物の働きを高める栄養塩を用いるのが好ましい。このような栄養塩は、特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩、リン酸塩及び硫酸塩等が挙げられる。これらの他にもコバルト塩、2価鉄塩、亜鉛塩及びマンガン塩等を添加することが特に好ましい。
栄養塩は、1種又は複数種を用いることができる。
本発明の方法には、所望により、酸素濃度を調整するために、酸素又は酸素放出物質等を用いることができる。酸素放出物質は、酸素を放出又は発生させる物質であれば特に限定されず、例えば、過酸化マグネシウム(MgO)、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))及び過酸化カルシウム(CaO)等が挙げられる。酸素放出物質は、1種又は複数種を用いることができ、また酸素と併用されてもよい。
本発明の方法には、浄化対象物をそのまま浄化処理できるから原位置浄化及び現場浄化にも適用できる。原位置浄化において、間隙水として存在する汚染地下水を浄化中又は浄化後に同汚染サイトの土壌から芳香族化合物又は有機塩素化合物が地下水中に溶出し、その後、地下水中で浄化される。この溶出及び浄化を繰り返すことにより、汚染地下水及び汚染サイトの汚染土壌が共に浄化される。なお、浄化対象物が固形状である場合にもそのまま浄化処理することができるが、浄化効率を考慮すると汚染対象物を懸濁した状態で浄化処理するのが好ましい。このときに用いられる懸濁媒体は、特に限定されないが、純水、弱アルカリ水、地下水及び栄養塩を含有する溶液等が挙げられる。
本発明において、「原位置浄化する方法」は、次の工程又は手順で、実施される。
すなわち、汚染地盤にボーリング孔を掘削し、酸素や栄養塩を含有する溶液等を注入、場合によっては地下水を循環させ、又は揚水と注水を繰り返すことによって浄化を促進させ、浄化後の水に含有する対象汚染物質の濃度が環境基準値以下に低減したことを確認できた時点で、浄化が完了とする。
一方、「現場浄化する方法」は、次の工程又は手順で、実施される。
すなわち、汚染土壌を掘削、又は汚染地下水を揚水し、汚染浄化管理敷地内で浄化場を設置し、酸素や栄養塩等を混入し、浄化後の水に含有する対象汚染物質の濃度が環境基準値以下に低減したことを確認し、土壌又は地下水を元の地盤へ戻して、浄化が完了とする。
本発明の方法は、「原位置浄化する方法」であっても「現場浄化する方法」であっても、酸素の存在下、すなわち好気条件下で、行う。すなわち、汚染対象物を酸素雰囲気下において本発明の方法を実施する。汚染対象物を酸素雰囲気下におくには、例えば、汚染対象物を酸素雰囲気に曝す方法、汚染対象物に酸素又は酸素放出物質を注入又は混入する方法等が挙げられる。特に原位置浄化の場合には汚染対象物又はその近傍に酸素又は酸素放出物質を注入又は混入する方法が好適である。
このときの浄化対象物中の溶存酸素の濃度は、汚染物質を効率よく酸化分解できるレベル以上であればよく、例えば、酸化分解反応が速やかに進行する点で、1〜15mg/Lであるのが好ましい。より好ましい溶存酸素濃度は4〜15mg/Lであり、さらに好ましい溶存酸素濃度は7〜15mg/Lである。
なお、溶存酸素濃度は、所望により、酸素又は酸素放出物質を注入又は混入する量で、調整できる。
本発明の方法における酸化分解条件は、用いる微生物等に応じて適宜に設定され、例えば、温度、pH、電気伝導度(EC)等が以下のとおり設定される。
温度は、酵素反応速度を高め、極端な温度による酵素タンパク質の変性を防ぐことができる点で、好ましくは10〜40℃、より好ましくは15〜40℃、さらに好ましくは20〜30℃である。
pHは、酵素反応速度を高め、極端な温度による酵素タンパク質の変性を防ぐことができる点で、好ましくは5〜10、より好ましくは6〜9、さらに好ましくは7〜8である。
電気伝導度は、低い塩濃度に起因する浸透圧の低減による微生物細胞の破裂、又は、高い塩濃度に伴う浸透圧の上昇による微生物細胞の脱水を防ぐことができる点で、好ましくは0.5〜20mS/cm、より好ましくは1〜15mS/cm、さらに好ましくは2〜10mS/cmである。
本発明の方法は、前記の諸項目をモニタリングし、好ましい条件を維持させながら、汚染物質の酸化分解を行う。汚染物質の浄化完了は、処理中の汚染対象物等をサンプリングして汚染濃度が環境基準値以下に低減したことを以て、決定される。
本発明の方法は、汚染対象物を酸素の存在下で微生物の働きにより原位置又は現場で浄化する方法である。すなわち、汚染対象物に所望により栄養塩を添加して酸素雰囲気下で上述の条件に設定して微生物の働きを活性化させて行う。
具体的には、原位置での浄化方法は、例えば、汚染土壌又は地下水中に酸素又は酸素放出物質、場合によっては栄養塩を含有する溶液を注入して好気雰囲気にした後に上述の条件を地下水の水質をモニタリングすることによって調整し、浄化完了まで管理する。
現場での浄化方法は、例えば、掘削した汚染土壌又は揚水した汚染地下水を浄化管理敷地内に設置した浄化場に移送し、所望により酸素又は酸素放出物質、場合によっては栄養塩等を混入し、上述の条件をモニタリングすることによって調整し、浄化完了まで管理する。
このようにして、所望により活性化させた微生物に上述の酸素添加酵素を放出又は発生させて、この酸素添加酵素の存在下で、微生物の働きによって芳香族化合物及び有機塩素化合物を酸化分解して、汚染土壌又は地下水を浄化できる。
本発明の方法において、芳香族化合物及び有機塩素化合物を酸化分解した後に後処理として、所望により、ボーリング孔や浄化した土壌の埋め戻し等を行うのが好ましい。
このようにして浄化された汚染対象物における、芳香族化合物及び有機塩素化合物の濃度は、いずれも環境基準以下とすることができ、例えば、ベンゼンの土壌溶出量及び地下水中の含有量が0.01mg/L以下であり、シス−ジクロロエチレンの土壌溶出量及び地下水中の含有量が0.04mg/L以下である。
本発明の方法は、上述のように、汚染土壌又は地下水に酸素又は酸素放出物質、場合によっては栄養塩を含有する溶液を注入するだけで、芳香族化合物及び有機塩素化合物を一挙に酸化分解することができるから、汚染土壌の掘削や地下水を揚水する必要はなく原位置で浄化できる。仮に汚染土壌を掘削し、又は地下水を揚水したとしても、浄化管理敷地内で浄化処理することができ、浄化管理敷地外に搬出をしなくてもよい。
このように、本発明の方法は、処理対象物を取り巻く環境を酸素雰囲気にして、処理対象物に存在する微生物の働きを利用して芳香族化合物及び有機塩素化合物を一挙に酸化分解できるから、安価かつ容易で、しかも環境負荷を最小限に抑えた条件下で、汚染土壌又は地下水を速やかに浄化することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
(実施例1及び比較例1)
青森県のクロロエチレン類及びベンゼン汚染サイトから採取した汚染地下水を用いて実施した。採取した地下水中のシス−ジクロロエチレン及びベンゼンの濃度はともに0.028mg/Lであったが、地下水中に生息していた微生物の浄化能力並びに浄化できる汚染物質の濃度を確認するために、汚染物質をさらに添加し、添加したベンゼン及び従来浄化が困難なシス−ジクロロエチレンの分解に特に着目して、分解実験を実施した。採取した汚染地下水10mLと、塩類等を成分とする下記栄養塩を含有する溶液20mLを100mLバイアル瓶中で混合した。用いた栄養塩を含有する溶液と汚染地下水との混合物のpHは7.9であり、電気伝導度(EC)は3.1mS/cmであった。
<栄養塩を含有する溶液>
含有物1:NaCl(和光純薬工業株式会社製) 20.0mg/20mL
含有物2:NHCl(和光純薬工業株式会社製) 10.7mg/20mL
含有物3:MgCl・6HO(和光純薬工業株式会社製) 4.1mg/20mL
含有物4:KHPO(和光純薬工業株式会社製) 2.7mg/20mL
含有物5:NaSO(和光純薬工業株式会社製) 2.1mg/20mL
次いで、このバイアル瓶をブチルゴム栓及びアルミキャップにより密栓し、下記濃度となるように汚染物質を追加して添加した。すなわち、汚染物質は、実施例1においてシス−ジクロロエチレン及びベンゼンを下記濃度でそれぞれ添加し、比較例1においてシス−ジクロロエチレンのみを下記濃度で添加した。シス−ジクロロエチレン及びベンゼンは気液分配後の培養液中濃度が各々約16mg/L、18mg/Lとなるように添加した。
次いで、バイアル瓶のヘッドスペースに大気すなわち酸素が存在する条件下で(初期溶存酸素濃度は約9mg/L)、30℃の恒温器内で分解実験を実施し、バイアル瓶ヘッドスペースのシス−ジクロロエチレン濃度及びベンゼン濃度をガスクロマトグラフにより経時分析した。なお、再現性を確認するため全ての実験を2連で行った。
実施例1及び比較例1における、酸化分解実験期間中のシス−ジクロロエチレン濃度及びベンゼン濃度の変化を図1に示す。
図1a)に示されるように、シス−ジクロロエチレン及びベンゼンを添加した酸化分解系(実施例1)では、シス−ジクロロエチレン及びベンゼンの分解が認められた。具体的には、汚染地下水に追加添加したシス−ジクロロエチレンは酸化分解実験開始から21日目には完全に分解、浄化された。一方、汚染地下水に追加添加したベンゼンは酸化分解実験開始から4日目には完全に分解されており、酸化分解実験12日目にベンゼンを再度添加しても完全に分解された。このように、ベンゼンとシス−ジクロロエチレンは、いずれも、環境基準値以下に分解したことが確認された。
実施例1において、地下水に追加混合したベンゼンが完全に分解された4日目から再度添加する12日目まではシス−ジクロロエチレンの分解はほとんど進行せず、シス−ジクロロエチレンの分解にはベンゼンが共存していることが重要であることがわかった。
一方、図1b)に示されるように、シス−ジクロロエチレンのみを添加した酸化分解系(参考比較例1)では、添加したシス−ジクロロエチレンの顕著な分解は認められなかった。
なお、汚染地下水中のシス−ジクロロエチレン及びベンゼンが酸化分解されて残存量が低減すると、シス−ジクロロエチレン及びベンゼンの気相及び液相間での再分配が生じ、気液平衡により、バイアル瓶のヘッドスペース中のシス−ジクロロエチレン濃度及びベンゼン濃度が低下することが分かっている。
(実施例2及び比較例2)
実施例1と同じ汚染サイトから採取した汚染土壌を用いて実施した。採取した汚染土壌におけるシス−ジクロロエチレン及びベンゼンの溶出量はそれぞれ0.005mg/L以下及び0.027mg/Lであったが、土壌中に生息していた微生物の浄化能力並びに浄化できる汚染物質の濃度を確認するために、汚染物質をさらに添加して、実施例1と同様にして、分解実験を実施した。汚染土壌と栄養塩類等を成分とする実施例1と同じ栄養塩を含有する溶液を1:2の比率(質量)で混合し、この懸濁液90mLを用いて200mLバイアル瓶中で分解実験を実施した。バイアル瓶は実施例1と同様にブチルゴム栓及びアルミキャップにより密栓し、酸素存在下で培養を行った。
次いで、このバイアル瓶をブチルゴム栓及びアルミキャップにより密栓(初期溶存酸素濃度は約9mg/L)し、下記濃度となるようにシス−ジクロロエチレンとベンゼンを添加した。気液分配後の酸化分解液中の、シス−ジクロロエチレン及びベンゼンそれぞれの初期濃度は、約22mg/L及び24mg/Lであった。次いで、酸化分解を30℃の恒温器内で行い、バイアル瓶ヘッドスペースのシス−ジクロロエチレン濃度及びベンゼン濃度をガスクロマトグラフにより経時分析した。なお、再現性を確認するため全ての実験を2連で行った。
実施例2における、酸化分解実験期間中のシス−ジクロロエチレン濃度及びベンゼン濃度の変化を図2a)に示す。図2a)に示されるように、汚染土壌中のシス−ジクロロエチレン及びベンゼンが同時に酸化分解され、14日後には両物質の濃度が1mg/L以下にまで減少し、33日後には完全分解が認められた。
なお、汚染土壌中の汚染物質の濃度とヘッドスペースの汚染物質の濃度とが関連することは上述の通りである。
また、この結果と後述する比較例2とを対比することによって、実施例2における有機塩素化合物の酸化分解速度が比較例2における還元分解よりも高いことが分かる。
比較例2では、実施例2と同じ条件を利用し、還元条件を造成するためにヘッドスペースのガスを混合率80:20のN/CO混合ガスで置換した。また、還元分解によるpHの変化を抑制するために、NaHCOを185mg添加した。さらに電子供与体として、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム(70質量%)、イースト及びメタノールをそれぞれ48mg、98mL、6mg及び13μg添加した。これら試薬はいずれも和光純薬工業株式会社製であった。
比較例2における、還元分解実験期間中のシス−ジクロロエチレン濃度及びベンゼン濃度の変化をそれぞれ図2b)及び図2c)に示す。図2b)に示されるように、還元条件による汚染土壌中のシス−ジクロロエチレンを完全分解するためには84日も要した。また、図2c)に示されるように、還元条件による汚染土壌中のベンゼンの顕著な分解は認められなかった。
実施例1及び実施例2のように、本発明の方法は汚染地下水及び汚染土壌を微生物により浄化することができる。これらの実施例では、実汚染サイトから採取してきた地下水、土壌並びにこれら地下水及び土壌に自生した微生物を利用し、原位置又は現場浄化環境を模擬した条件下で完全分解(検出限界未満までの分解)が実証できており、原位置浄化法及び現場浄化法にもそのまま適用できることは明らかである。

Claims (8)

  1. 芳香族化合物及び有機塩素化合物を含む複合汚染の汚染土壌又は地下水を、酸素の存在下で、芳香族化合物の酸化分解に際して酸素添加酵素を放出する微生物の働きにより原位置又は現場で浄化する汚染土壌又は地下水の浄化方法であって、
    前記複合汚染の汚染土壌又は地下水に含有する芳香族化合物が、ベンゼンを含み、前記有機塩素化合物が、塩素化エチレン類であり、
    浄化対象物である前記汚染土壌の前記芳香族化合物の溶出量又は地下水中の前記芳香族化合物の汚染濃度が0.01〜250mg/Lであって、前記汚染土壌の前記有機塩素化合物の溶出量又は地下水中の前記有機塩素化合物の汚染濃度が0.002〜200mg/Lであり、前記汚染土壌又は地下水に含有する前記芳香族化合物と前記有機塩素化合物との含有量のモル比(該芳香族化合物のモル:該有機塩素化合物のモル)が、1:1〜5:1であり、
    前記浄化対象物である前記汚染土壌又は地下水中の溶存酸素の濃度を4〜15mg/Lに調整し、
    前記複合汚染の汚染土壌又は地下水に含有する前記芳香族化合物と前記有機塩素化合物を使用してこれらをともに浄化する、
    汚染土壌又は地下水の浄化方法。
  2. 前記汚染土壌又は地下水に含有する前記芳香族化合物と前記有機塩素化合物を使用して該モル比1:1〜5:1に調整する請求項1に記載の浄化方法。
  3. 芳香族化合物及び有機塩素化合物を含む複合汚染の汚染土壌又は地下水を微生物の働きにより原位置又は現場で浄化する方法であって、かつ、
    前記微生物の働きにより、前記芳香族化合物を酸化分解すると共に、このとき前記微生物から放出又は発生される酸素添加酵素を酸化分解促進剤として利用して前記有機塩素化合物を酸化分解する汚染土壌又は地下水の浄化方法であり、
    前記芳香族化合物が、ベンゼンを含み、前記有機塩素化合物が、塩素化エチレン類であり、
    前記複合汚染の汚染土壌又は地下水に含有する前記芳香族化合物と前記有機塩素化合物を使用してこれらをともに浄化する
    汚染土壌又は地下水の浄化方法。
  4. 前記有機塩素化合物が、分子内に存在する塩素原子数が2個以下の低塩素有機化合物を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の浄化方法。
  5. 前記低塩素有機化合物が、シス−ジクロロエチレン及び塩化ビニルの少なくとも一方である請求項4に記載の浄化方法。
  6. 前記微生物が、前記汚染土壌又は地下水中に生息又は自生している微生物である請求項1〜のいずれか1項に記載の浄化方法。
  7. 前記微生物の働きを高める栄養塩を前記汚染土壌又は地下水に添加する請求項1〜のいずれか1項に記載の浄化方法。
  8. 前記栄養塩の少なくとも1種が、ナトリウムもしくはカリウムの硫酸塩である請求項7に記載の浄化方法。
JP2013104782A 2013-05-17 2013-05-17 汚染土壌又は地下水の浄化方法 Active JP6218134B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013104782A JP6218134B2 (ja) 2013-05-17 2013-05-17 汚染土壌又は地下水の浄化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013104782A JP6218134B2 (ja) 2013-05-17 2013-05-17 汚染土壌又は地下水の浄化方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014223595A JP2014223595A (ja) 2014-12-04
JP6218134B2 true JP6218134B2 (ja) 2017-10-25

Family

ID=52122738

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013104782A Active JP6218134B2 (ja) 2013-05-17 2013-05-17 汚染土壌又は地下水の浄化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6218134B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09271749A (ja) * 1996-04-09 1997-10-21 Canon Inc 適合溶質を用いた微生物による汚染土壌の生物的修復方法
JPH10296220A (ja) * 1997-04-28 1998-11-10 Canon Inc 微生物による分解方法および環境修復方法
JP2000069959A (ja) * 1998-08-31 2000-03-07 Canon Inc 揮発性有機塩素化合物及び芳香族化合物の生物分解方法及び環境修復方法
JP2000287679A (ja) * 1999-04-09 2000-10-17 Canon Inc バイオリアクターによる気体状有機塩素化合物の分解方法ならびに装置
GB9914373D0 (en) * 1999-06-18 1999-08-18 Isis Innovation Process for oxidising aromatic compounds
JP2001179234A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Asahi Glass Co Ltd 環境浄化方法およびそれに用いる微生物群を得る方法
EP1918255A4 (en) * 2005-06-15 2009-07-29 Central Res Inst Elect METHOD OF INTRODUCING MICROBIAL ACTIVITY CONTROL SUBSTANCE, APPARATUS THEREFOR, AND USE THEREOF, ENVIRONMENTAL CLEANING PROCESS AND BIOREACTOR

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014223595A (ja) 2014-12-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9878301B1 (en) Method and composition for the remediation of contaminants
Kumar Mishra Microbes in heavy metal remediation: a review on current trends and patents
Harekrushna et al. A review on: bioremediation
Zawierucha et al. Bioremediation of contaminated soils: effects of bioaugmentation and biostimulation on enhancing biodegradation of oil hydrocarbons
WO1998034740A1 (fr) Procede de purification de substances polluees par des composes organohalogenes
Maheshwari et al. To decontaminate wastewater employing bioremediation technologies
WO2020028149A1 (en) Compositions and methods for removing chlorinated hydrocarbons
RU2133632C1 (ru) Способ обработки загрязненного материала
JP2007222823A (ja) 塩素系有機化合物に汚染された土壌の浄化方法
JP5186169B2 (ja) 帯水層中の土壌、地下水の浄化方法
Beolchini et al. Bioremediation of sediments contaminated with polycyclic aromatic hydrocarbons: the technological innovation patented review
JP4288198B2 (ja) 汚染土壌の浄化方法
JP2001347280A (ja) ハロゲン化有機化合物を含む汚染物質で汚染された地下水の浄化方法
KR100228993B1 (ko) 오염 토양의 정화방법
JP6218134B2 (ja) 汚染土壌又は地下水の浄化方法
JP2006272118A (ja) 有機塩素化合物による汚染物の浄化方法
JP2020131136A (ja) 嫌気性通水システム、通水嫌気バイオシステム
JP2005205299A (ja) 汚染土壌および汚染水の浄化方法
JP2004130166A (ja) 汚染土壌等の修復方法
JP5377069B2 (ja) 有機塩素化合物によって汚染された媒体を浄化するための添加剤及び浄化方法
Kakkar et al. Remediation Technologies for Petroleum Hydrocarbons from the Environment
Prasad et al. Decontamination of polluted water employing bioremediation processes: A Review
JP2006007182A (ja) 前培養を伴う原位置バイオレメディエーション工法、及びそのシステム
JP3695348B2 (ja) 土壌および/または地下水の汚染物質処理剤および処理方法
JPH1034128A (ja) 有機塩素化合物汚染土壌の微生物処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160225

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160223

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170228

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170428

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170428

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20170428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170822

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170919

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6218134

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250