JP2017039893A - 建材側面塗装用水性耐火塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた耐火性能を有し、かつ、隠ぺい性が低い耐火塗膜を設けることができる、建材側面塗装用水性耐火塗料組成物を提供すること。【解決手段】 水性樹脂分散体(A)、耐火剤(B)および炭化剤(C)を含む、建材側面塗装用水性耐火塗料組成物であって;水性樹脂分散体(A)は、アクリル樹脂エマルション、シリコーン含有アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルションおよび塩化ビニル樹脂エマルションからなる群から選択される1種またはそれ以上のアニオン性水性樹脂分散体を含み;炭化剤(C)は、多価アルコールを含み;耐火剤(B)は、膨張性黒鉛(B1)、リン酸化合物(B2)および含窒素化合物(B3)を含み;塗料組成物中に含まれる膨張性黒鉛(B1)の含有量は、水性樹脂分散体(A)の固形分質量に対して10〜100質量%であり;前記水性耐火塗料組成物の乾燥塗膜である耐火塗膜は、ガラス板上に形成された膜厚100μmの耐火塗膜において、全光線透過率5〜60%を有する;建材側面塗装用水性耐火塗料組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、建材側面塗装用水性耐火塗料組成物および建材側面に耐火塗膜を形成する方法に関する。より詳しくは、本発明は、住宅などの建造物の外壁などに用いられる建材などに対して耐火性能を付与することができる建材側面塗装用水性耐火塗料組成物、および、建材製造ラインにおいてこの塗料組成物を塗装して耐火塗膜を形成する、建材側面に耐火塗膜を形成する方法に関する。
住宅などの建造物の火災においては、火災が生じた建造物(火元)から、この建造物に隣接する建造物に対して、炎の燃え広がる延焼が生じることがある。同様に、他所で生じた火災が、その火災(火元)に隣接する建造物の内部に対しても燃え広がる類焼が生じることもある。これらはいずれも火災被害を著しく増大させるため、発生を予防する手段が切望されている。
鋼材、コンクリート、木材、合成樹脂などの建築用外壁の建材は、耐火性能を付与することを目的として、建材表面などに耐火層(耐火塗膜)を設けることが多い。このような耐火層(耐火塗膜)は、一般に、無機系のものと有機系のものとに大別することができる。
無機系の耐火層は、一般に、セメントなどの無機質バインダーにロックウールなどの無機質繊維状物質などを混合して得られるペースト状物を、建材に塗布するまたは吹き付けることによって形成することができる。しかしながら、こうして形成される無機系の耐火層は、耐火性能を確保するために1cm〜数cmの層の厚みが必要であり、また、その比重も大きい。
有機系の耐火塗膜は、耐火塗料組成物を建材に塗装することによって形成される。このような耐火塗料組成物の一例として、火災時の温度上昇によって体積が膨張する膨張成分および難燃成分などを含む発泡性耐火塗料組成物が挙げられる。発泡性耐火塗料組成物によって設けられる耐火塗膜は、難燃成分が建材の燃焼を防ぎ、そして、火災時の温度上昇によって膨張成分が発泡・膨張し、これにより建材に対する熱遮断性能が発揮される。このような耐火塗料組成物は、無機系の耐火層と比較して薄い膜厚であっても耐火性能を得ることができるなどの利点がある。
例えば、特開平9−183978号公報(特許文献1)および特開2008−144130号公報(特許文献2)には、樹脂成分、炭化剤、難燃成分、発泡剤などを含む耐火塗料組成物について記載されている。また、特開2000−226548号公報(特許文献3)および特開2001−152081号公報(特許文献4)は、樹脂成分、難燃成分、発泡剤などを含む耐火塗料組成物について記載されている。これらの特許文献に記載される耐火塗料組成物は、いずれも、酸化チタン、硫酸バリウム、金属炭酸塩、含水無機物などの無機難燃材料を多量に含んでいる。
ところで、建材製造ラインによって製造される建材を用いた建築外壁は、一般に、住宅等の建築施工現場において、建材の側面上に記載された品番(建材の識別標識)を確認しながら施工される。そのため、耐火塗膜を設けた場合であっても、耐火塗膜を通して建材側面の識別標識を目視判断することができるのであれば、建材製造ラインにおいて建材上に予め耐火塗膜を設けることができる。これにより、建築施工現場において耐火塗料組成物を塗装する工程および手間を省くことができるという利点がある。しかしながら、酸化チタン、硫酸バリウムなどの無機難燃材料は一般に、下地隠ぺい性を有している。そのため、耐火塗膜中に無機難燃材料が多量に含まれる場合は、耐火塗膜を通して建材の識別標識を目視判断することが困難となるため、建材製造ラインにおいて耐火塗膜を設けることができない。
耐火塗膜の下地隠ぺい性を低く設計する1手段として、酸化チタン、硫酸バリウム、金属炭酸塩、含水無機物などの無機難燃材料の含有量を低くする手法が挙げられる。この場合は、耐火塗膜の耐火性能を確保するため、上記無機難燃材料の含有量を低くする一方で、膨張成分の量を増やす必要がある。しかしながら、膨張成分も隠ぺい性を有するものが多い。そのため、耐火塗膜の形成において、耐火性能および被塗物表面の視認性確保を両立することは容易ではない。
特開平9−183978号公報 特開2008−144130号公報 特開2000−226548号公報 特開2001−152081号公報
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、その目的とするところは、優れた耐火性能、特に延焼防止性能および類焼防止性能を有し、かつ、隠ぺい性の低い耐火塗膜を設けることができる、建材側面塗装用水性耐火塗料組成物を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
水性樹脂分散体(A)、耐火剤(B)および炭化剤(C)を含む、建材側面塗装用水性耐火塗料組成物であって、
上記水性樹脂分散体(A)は、アクリル樹脂エマルション、シリコーン含有アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルションおよび塩化ビニル樹脂エマルションからなる群から選択される1種またはそれ以上のアニオン性水性樹脂分散体を含み、
上記炭化剤(C)は、多価アルコールを含み、
上記耐火剤(B)は、膨張性黒鉛(B1)、リン酸化合物(B2)および含窒素化合物(B3)を含み、
上記塗料組成物中に含まれる上記膨張性黒鉛(B1)の含有量は、上記水性樹脂分散体(A)の固形分質量に対して10〜100質量%であり、
上記水性耐火塗料組成物の乾燥塗膜である耐火塗膜は、ガラス板上に形成された膜厚100μmの耐火塗膜において、全光線透過率5〜60%を有する、
建材側面塗装用水性耐火塗料組成物。
[2]
上記リン酸化合物(B2)は、正リン酸、ポリリン酸、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、ポリリン酸アンモニウムおよびポリリン酸メラミンからなる群から選択される1種またはそれ以上のリン酸化合物であるのが好ましい、
[3]
上記リン酸化合物(B2)は、アルキルシラン化合物によってその表面の少なくとも一部が被覆された化合物であるのが好ましい。
[4]
上記塗料組成物は、粘性調整剤(D)をさらに含み、上記塗料組成物中に含まれる上記粘性調整剤(D)の含有量は、上記水性樹脂分散体(A)の固形分質量に対して0.05〜5.0質量%であるのが好ましい。
[5]
上記粘性調整剤(D)は、ポリアマイド系粘性調整剤、ウレタン系粘性調整剤、ポリカルボン酸系粘性調整剤、セルロース系粘性調整剤、無機層状化合物系粘性調整剤およびアミノプラスト系粘性調整剤からなる群から選択される1種またはそれ以上を含むのが好ましい。
[6]
上記粘性調整剤(D)は、非イオン性粘性調整剤(d1)およびイオン性粘性調整剤(d2)を含み、
上記塗料組成物中に含まれる非イオン性粘性調整剤(d1)およびイオン性粘性調整剤(d2)の質量比は、(d1):(d2)=9:1〜1:9の範囲内であるのが好ましい。[7]
本発明はまた、建材製造ラインにおいて、建材の側面に、上記建材側面塗装用水性耐火塗料組成物を塗装して耐火塗膜を形成する工程、を包含する、建材側面に耐火塗膜を形成する方法も提供する。
本発明の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物は、建材に良好な耐火性能を付与することができると共に、建材の側面の視認性を確保することができる。本発明の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物を用いることによって、例えば建材製造ラインにおいて、建材の側面に耐火塗膜を設けることができる。これにより、建築施工現場において耐火塗料組成物を建材側面に塗装する工程および手間を省くことができるという利点がある。
建材の表面および側面を示す概略説明図である。 建材を用いた建築施工例を示す部分概略説明図である。 建材の側面に付された識別標識を示す概略説明図である。
本発明に至った経緯
本発明に至った経緯について説明する。建造物を構成する建材の多くは、火災による倒壊を防ぐため、その表面に耐火層を設けるなどの耐火処理が施されている。耐火処理を施した建材を用いた建造物は、例えば建造物の内部で火災が発生した場合、建材自体がすぐに燃焼することはほとんどない。しかしながら、建材自体が燃焼せず残存している場合であっても、建造物の内部で発生した炎が、外部へ漏れ出てしまい、隣接する建造物に対して炎が燃え広がる延焼が生じることがある。また、建造物の建材に耐火処理が施されおり、建材自体が燃焼せず残存している場合であっても、他所で生じた火災が、その火災(火元)に隣接する建造物の内部に対しても燃え広がる類焼が生じることがある。
本発明者らは、建材自体が残存していながら延焼および/または類焼が生じる事例について分析した。図2は、建材を用いた建築施工例を示す部分概略説明図である。一般に、建材1の表面5は、無機系の耐火層または有機系の耐火塗膜を設ける耐火処理が施されている。建材1が残存していても延焼および/または類焼が生じる事例においては、隣接する建材側面3の間に設けられ、建材1と建材1とを接合するシーリング材7が、火災の熱で軟化して溶け落ちた結果、建材接合部に空隙が生じ、この空隙から炎が漏れ出すことによって、延焼および/または類焼が生じることが判明した。
本発明者らは、火災における延焼および類焼防止手段であって、特にその手段を建材製造時の塗装によって提供する方法を開発することを目的とした。その中で、延焼および類焼を防ぐためには、建材と建材とを接合するシーリング材が溶け落ちた後においても、何らかの手段によって、建材と建材との間の空隙を埋めることができればよいのでは、との仮説に至った。
建材製造ラインにおいて製造される建材は、建築時の指標となる識別標識が印刷などによって記されることが多い。この建材の識別標識は、一般に、建築施工後は隠れることとなる建材側面に記される。建材に対する識別標識の付与は、建材成型(例えば、窯業手段による製造、切削などによる成型など)の後に行われるのが一般的である。ところが、識別標識が付与された建材に対して、建材製造ラインにおいて建材側面に耐火塗料組成物を塗装すると、先に付与した識別標識が塗膜によって隠蔽されてしまい、視認できなくなる。その理由は、耐火塗料組成物は、酸化チタン、硫酸バリウム、金属炭酸塩、含水無機物などの無機難燃材料を多量に含むためであり、建材製造ラインにおいて、建材側面に耐火塗膜を設けることは、これまで行われていなかった。
本発明における建材の表面および側面について、図を用いて説明する。図1は、建材の表面および側面を示す概略説明図である。図1に示す建材側面3は、建材が窯業建材などである場合は「小口」と言われることがあり、建材が木質建材である場合は「木口」と言われることがある。ここで、建材製造ラインにおいて製造される建材1には、図3で示すように、建築時の指標となる識別標識9が、建材側面3に、印刷などによって記されることが多い。
本発明の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物は、建材1の側面3に塗装することによって、優れた耐火性能、特に延焼防止性能および類焼防止性能が付与されることとなる。より詳しくは、本発明の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物を、建材1の側面3に塗装することによって、建材の側面に耐火塗膜が形成される。建材の側面に設けられた耐火塗膜は、建築時の指標となる識別標識9が視認可能である範囲の光線透過率を有している。さらに、建材1と建材1とを接合するシーリング材7が火災の熱で軟化して溶け落ちた後も、側面3に設けられた耐火塗膜が熱によって発泡・膨張し、建材接合部に空隙の生じることを防ぎ、炎の漏れ出ることを防止する。これにより、延焼および類焼の発生を防止することができる。以下、本発明の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物について詳述する。
建材側面塗装用水性耐火塗料組成物
本発明の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物(本明細書において「水性耐火塗料組成物」と記載することもある。)は、水性樹脂分散体(A)、耐火剤(B)および炭化剤(C)を含む。
水性樹脂分散体(A)
本発明の水性耐火塗料組成物に含まれる水性樹脂分散体(A)は、塗膜形成樹脂成分である。この水性樹脂分散体(A)は、アクリル樹脂エマルション、シリコーン含有アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルションおよび塩化ビニル樹脂エマルションからなる群から選択される1種またはそれ以上のアニオン性水性樹脂分散体を含む。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。水性樹脂分散体(A)として、アクリル樹脂エマルションまたはシリコーン含有アクリル樹脂エマルションを用いるのが好ましい。
水性樹脂分散体(A)として用いられるアクリル樹脂エマルションとして、例えば、各種重合性単量体の重合によって得られるアクリル樹脂のエマルションなどが挙げられる。上記重合性単量体とは、分子中にビニル基等の不飽和結合を少なくとも1つ有するものをいい、アクリル酸およびメタクリル酸の誘導体を含む。上記重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等のシクロアルキル基含有重合性単量体;マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ブチル等のエチレン系不飽和ジカルボン酸のモノエステル単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとεカプロラクトンとの反応物等のヒドロキシル基含有エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル単量体;アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルアミド単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メトキシブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のその他のアミド基含有エチレン系不飽和カルボン酸単量体;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等の不飽和脂肪酸グリシジルエステル単量体;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体等を挙げることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。なお本明細書中で(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を指す。このようなアクリル樹脂エマルションを用いることによって、被塗物である建材との良好な密着性、および良好な耐候性を得ることができ、好ましい。
上記アクリル樹脂エマルションは、コア部とシェル部とからなる多層構造粒子が分散されてなる重合体水性分散体を形成するものであってもよい。上記多層構造粒子は、コア部を形成する樹脂がガラス転移温度−70〜35℃であるアクリル重合体であり、シェル部を形成する樹脂がガラス転移温度25〜80℃であるアクリル重合体であることが好ましい。このような多層構造粒子が分散されてなる重合体水性分散体は、特開2002−12816号公報に記載された公知の製造方法によって調製することができる。
上記アクリル重合体のガラス転移温度は、構成する単量体またはホモポリマーの既知のガラス転移温度および組成比に基づいて算出することができる。
上記アクリル樹脂エマルションは、粒子径が20〜500nmであるのが好ましく、50〜200nmであるのがより好ましい。上記粒子径が20nm未満の場合は、塗料粘度が増大し、塗装作業性確保のためにより多くの希釈剤が必要となり、塗料固形分濃度が著しく低下するおそれがあり、500nmを超える場合には、アクリル樹脂エマルションの安定性が著しく低下するおそれがある。なお、本明細書中において、粒子径とは、動的光散乱法によって決定される平均粒子径であり、具体的には、電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子社製)などを使用して測定することができる。
シリコーン含有アクリル樹脂エマルションは、例えば、上記重合性単量体に加えて、アルコキシシリル基含有重合性単量体を更に含有する単量体組成物の重合によって得られる重合体などを挙げることができる。
上記アルコキシシリル基含有重合性単量体は、炭素数1〜14のアルコキシシリル基を含有する重合性単量体であれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリブトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシジメチルシリルプロピル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルメトキシジメチルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなどを挙げることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、特に、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
さらに、シリコーン含有アクリル樹脂エマルションは、有機シリコーン単位を導入してもよい。有機シリコーン単位を導入する方法としては、有機シリコーン化合物およびアクリル重合性単量体の混合物を乳化重合し加水分解、縮合反応およびラジカル重合を行う方法、シリコーン官能基を有する単量体を共重合する方法、アクリル重合体に対して有機シリコーン化合物を反応させることにより、アクリル重合体粒子表面に有機シリコーン化合物を結合させる方法等が挙げられる。上記の2以上の方法を組み合わせるものであってもよい。
上記方法で使用する有機シリコーン化合物としては、特に限定されず、例えば、オルガノシラン、オルガノシランの加水分解物、オルガノシランの縮合物を挙げることができる。
上記オルガノシランは、一般に、下記一般式(1)
Figure 2017039893

[式中、Rは、2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜8の1価の有機基を示す。Rは、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示す。は0〜2の整数である。]
で表される。
上記オルガノシランの加水分解物は、上記一般式(1)で表されるオルガノシランの、OR基が加水分解されている化合物である。上記オルガノシランに2〜4個含まれるOR基のすべてが加水分解されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。
上記オルガノシランの縮合物は、オルガノシランの加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものである。上記有機シリコーン化合物は、シラノール基のすべてが縮合しているものの他、僅かな一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物等であってもよい。
一般式(1)において、Rの炭素数1〜8の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基等のアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基等のほか、これらの基の置換誘導体等を挙げることができる。
の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基等を挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるRの炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。一般式(1)中に、Rが2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
また、Rの炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基等を挙げることができる。一般式(1)中に複数個存在するRは、相互に同一でも異なってもよい。
上記オルガノシランとしては、特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシラン等を挙げることができる。
これらのうち、好ましく用いられるのは、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類であり、又、トリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、更に、ジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
水性樹脂分散体(A)は、上記以外にも、当業者において通常用いられる、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルションなどを含んでもよい。
水性樹脂分散体(A)は、酸価が5〜50mgKOH/gであるのが好ましく、5〜30mgKOH/gであるのがより好ましい。水性樹脂分散体(A)の酸価が5mgKOH/g未満である場合は、塗料組成物の水中での安定性が低下するおそれがある。水性樹脂分散体(A)の酸価が50mgKOH/gを超える場合は、得られた塗膜の耐水性が低下する恐れがある。なお、本明細書において、酸価は固形分酸価を表し、JIS K 0070に記載される公知の方法によって測定することができる。
耐火剤(B)
本発明の水性耐火塗料組成物に含まれる耐火剤(B)は、膨張性黒鉛(B1)、リン酸化合物(B2)および含窒素化合物(B3)を含む。本明細書において「耐火剤」とは、剤または化合物の発泡作用、難燃部形成作用(例えば無機質膜など)などによって、塗膜に耐火性能をもたらす成分を意味する。
耐火剤(B)に含まれる膨張性黒鉛(B1)は、火災などに由来する温度上昇または加熱(例えば300℃以上の加熱)によって、体積が膨張する性質を有する。膨張性黒鉛(B1)は、炭素元素による六角網状平面が層状に積み重なった結晶構造を有する。そして膨張性黒鉛(B1)は、この六角網状平面の層間に、各種物質が挿入されている。この層間に挿入された物質は、火災などに由来する温度上昇または加熱によって分解してガス化する。この分解・ガス化によって発生する圧力によって、膨張性黒鉛は、六角網状平面の層面に対して垂直方向に体積が大きく膨張する。これにより、水性耐火塗料組成物によって設けられた塗膜の膜厚が増大する。そして、膜厚の増大した塗膜が、火炎遮断性能および断熱性能を発揮することとなる。
膨張性黒鉛(B1)は、例えば、天然黒鉛または合成黒鉛などの黒鉛と、硫酸および酸化剤の混合物とを混合して撹拌し、黒鉛の層状結晶の層間に硫酸を挿入させることによって調製することができる。調製に用いる黒鉛は、粉末状であるのが好ましい。上記酸化剤としては、硝酸、過酸化水素、過塩素酸、過塩素酸塩、ペルオキソ二硫酸アンモニウムまたはペルオキソ二硫酸水素アンモニウムなどの酸化剤を用いることができる。これらの酸化剤は1種のみを用いてもよく、2種またはそれ以上を用いてもよい。
膨張性黒鉛(B1)として、市販品を用いてもよい。市販品として、例えば、Shijiazhuang ADT Carbonic Material Factory社製膨張黒鉛SYZR(501、501H、502、502H、503、801、802、803、1002、2002Nなど)、エア・ウォーター社製熱膨張性黒鉛TEG(5099、60など)、鈴裕化学社製加熱膨張性黒鉛GREP−EG、中央化成社製のエキスパンダブルグラファイト(グレードNo.8099、8099−LTE、8099−LTE−uおよび194など)、富士黒鉛工業社製膨張黒鉛EXP(35、50、80など)、伊藤黒鉛工業社製膨張黒鉛(9532400、9950200、9550250、955025Lなど)、中越黒鉛工業所社製膨張黒鉛(SMF、EMF、SFFなど)などが挙げられる。
膨張性黒鉛(B1)の粒度は、日本工業規格であるJIS Z 8901:2006に準拠した粒度が20〜300メッシュであるのが好ましく、40〜200メッシュであるのがより好ましい。膨張性黒鉛(B1)の粒度の測定は、JIS Z 8801−1:2006に準拠した試験用ふるいを用いて測定される。膨張性黒鉛(B1)の粒度が20メッシュを超える場合は、得られる塗膜の全光線透過率が低下するおそれがある。また、膨張性黒鉛(B1)の粒度が300メッシュ未満である場合は、必要とされる膨張性能を確保するための膨張性黒鉛(B1)の含有量が大きくなり、得られる塗膜の全光線透過率が低下するおそれがある。
膨張性黒鉛(B1)は、加熱膨張前のアスペクト比(層状構造の積層方向の平均長さに対する平均長軸長さの比)が、1〜10の範囲内であるのが好ましく、3〜10の範囲内であるのがより好ましい。アスペクト比が上記範囲を外れる場合は、良好な膨張性能を得ることができないおそれがある。
本発明の水性耐火塗料組成物中に含まれる膨張性黒鉛(B1)の含有量は、水性樹脂分散体(A)の固形分質量に対して10〜100質量%である。膨張性黒鉛(B1)の含有量は、10〜80質量%であるのが好ましく、10〜50質量%であるのがより好ましく、10〜40質量%であるのがさらに好ましい。膨張性黒鉛(B1)の含有量が10質量%未満である場合は、得られる塗膜において熱膨張性能が劣り、十分な耐火性能が得られない。膨張性黒鉛(B1)の含有量が100質量%を超える場合は、得られる塗膜の全光線透過率が低下し、耐火塗膜の下の被塗物表面の視認性の確保が困難となる。
耐火剤(B)に含まれるリン酸化合物(B2)は、正リン酸、ポリリン酸、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、ポリリン酸アンモニウムおよびポリリン酸メラミンからなる群から選択される1種またはそれ以上のリン酸化合物であるのが好ましい。上記リン酸化合物は、塩の形態であってもよく、水和物の形態であってもよい。リン酸化合物(B2)は、ポリリン酸アンモニウムを含むのがより好ましい。ポリリン酸アンモニウムは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、架橋構造を有していてもよく、これらの混合物であってもよい。
リン酸化合物(B2)は、火災などに由来する温度上昇または加熱(例えば300℃以上の加熱)を受けた際に、塗膜中の有機成分を脱水する脱水触媒として作用し、これにより炭化物の生成を促進して、塗膜の燃焼を抑制することができる。また、リン酸化合物(B2)自体は難燃性の無機質リン酸膜を形成し、塗膜の耐火性能および断熱性能を高めることができる。
リン酸化合物(B2)として、その表面の少なくとも一部が被覆された化合物であってもよい。例えば、リン酸化合物(B2)は、アルキルシラン化合物によってその表面の少なくとも一部が被覆されたリン酸化合物を含む態様が好ましく、アルキルシラン化合物によってその表面の少なくとも一部が被覆されたポリリン酸アンモニウムを含む態様がより好ましい。例えば、アルキルシラン化合物によってその表面の少なくとも一部が被覆されたポリリン酸アンモニウムは、アルキルシラン化合物を含む処理剤を用いて処理を行うことによって、調製することができる。
アルキルシラン化合物の具体例として、例えば、
アルキルシラン、例えば、ブチルトリクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、ブチルクロロジメチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロヘキルトリクロロシラン、クロロヘキシルトリメトキシシラン、ジメチルエチルクロロシラン、デシルトリクロロシラン、トリエトキシメチルシラン、イソブチルトリクロロシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリエトキシプロピルシランなど;
アリールシランおよびアリールアルキルシラン、例えば、ベンジルクロロジメチルシラン、ベンジルトリエトキシシラン、クロロジメチル−3−フェニルプロピルシラン、クロロジメチルフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、フェニルトリクロロシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシフェニルシランなど;
オレフィニルシラン、例えば、アリルトリエトキシシラン、アリルクロロジメチルシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、クロロジメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、ジメチルエトキシビニルシランなど;
グリシジルオキシアルキルシラン、例えば、ジエトキシ−3−グリシジロキシプロピルメチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、トリエトキシ−3−グリシジルオキシプロピルシランなど;
アクロイルオキシアルキルシランおよびメタクロイルオキシアルキルシラン、例えば、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−[トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル]プロピルメタクリレート、3−[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3−(メトキシジメチルシリル)プロピルアクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレートなど;
アミノアルキルシラン、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−2−アミノエチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−2−アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、ビス3−トリメトキシシリルプロピルアミン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−N,N−ジメトルアミノプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシ3−フェニルアミノプロピルシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなど;
フルオロアルキルシランおよびフルオロアリールシランなど;
が挙げられる。アルキルシラン化合物として、グリシジルオキシアルキルシラン、アクロイルオキシアルキルシランおよびメタクロイルオキシアルキルシランから選択される1種またはそれ以上を用いるのがより好ましい。
リン酸化合物(特にポリリン酸アンモニウム)の表面の少なくとも一部を被覆するのに用いる処理剤は、アルキルシラン化合物に加えて、他の被覆処理剤を含んでもよい。この場合は、リン酸化合物(特にポリリン酸アンモニウム)の表面の少なくとも一部を被覆する化合物は、アルキルシラン化合物および他の被覆処理剤に由来する成分の2種またはそれ以上であってよい。他の被覆処理剤として、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオールおよびそれらのエステル化物、メラミンモノマーなどのモノマー、界面活性剤、シリコーン化合物、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂およびメラミン樹脂の樹脂成分などから選択される1種またはそれ以上などが挙げられる。
リン酸化合物(特にポリリン酸アンモニウム)の表面の少なくとも一部を被覆する処理方法として、例えば、液中硬化法、相分離法、液中乾燥法、融解分散冷却法、スプレードライング法、界面重合法、in−situ重合法などの、公知の処理方法を用いることができる。
リン酸化合物に対する処理剤の被覆量は、リン酸化合物100質量部に対して例えば0.05〜20質量部であるのが好ましく、0.1〜10質量部であるのが好ましく、0.2〜5質量部であるのがより好ましい。
表面の少なくとも一部が被覆されたリン酸化合物として、市販品を用いてもよい。ポリリン酸アンモニウムの表面の少なくとも一部が被覆された市販品として、例えば、FR CROS 486、FR CROS 487、TERRJU−C30、TERRJU−C60、TERRJU−C70、TERRJU−C80(ブーデンハイム社製)、Exolit AP−462(クラリアント社製)、スミセーフ−PM(住友化学工業株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、FR CROS 486(アルキルシラン化合物によって表面の少なくとも一部が被覆されたリン酸アンモニウム)がより好ましい。
アルキルシラン化合物によってその表面の少なくとも一部が被覆されたリン酸化合物を用いることによって、水性耐火塗料組成物の貯蔵安定性が向上するなどの利点がある。
本発明の水性耐火塗料組成物中に含まれるリン酸化合物(B2)の含有量は、水性樹脂分散体(A)の固形分質量に対して4〜100質量%であるのが好ましく、4〜60質量%であるのがより好ましい。リン酸化合物(B2)の含有量が4質量%未満である場合は、十分な耐火性能が得られないおそれがある。リン酸化合物(B2)の含有量が100質量%を超える場合は、得られる塗膜の全光線透過率が低下し、耐火塗膜の下の被塗物表面の視認性の確保が困難となるおそれがある。
耐火剤(B)に含まれる含窒素化合物(B3)は、メラミンおよびその誘導体、ジシアンジアミドおよびその誘導体、アゾビステトラゾールおよびの誘導体、アゾジカーボンアミド、尿素、チオ尿素などから選択される1種またはそれ以上の含窒素化合物であるのが好ましい。含窒素化合物(B3)は、火災などに由来する温度上昇または加熱(例えば300℃以上の加熱)を受けた際に、含窒素ガス(窒素、アンモニアなど)を発生させる。含窒素ガスの発生により、消化効果および発泡による断熱性能(塗膜膨張効果)を得ることができる。
本発明の水性耐火塗料組成物中に含まれる含窒素化合物(B3)の含有量は、水性樹脂分散体(A)の固形分質量に対して4〜100質量%であるのが好ましく、4〜50質量%であるのがより好ましい。含窒素化合物(B3)の含有量が4質量%未満である場合は、十分な耐火性能が得られないおそれがある。含窒素化合物(B3)の含有量が100質量%を超える場合は、得られる塗膜の全光線透過率が低下し、耐火塗膜の下の被塗物表面の視認性の確保が困難となるおそれがある。
炭化剤(C)
本発明の水性耐火塗料組成物に含まれる炭化剤(C)は、適切な任意の多価アルコール、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ネオペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなど、から選択される1種またはそれ以上であるのが好ましい。上記炭化剤(C)は、火災などに由来する温度上昇または加熱(例えば300℃以上の加熱)を受けた際に、塗膜中に含まれるリン酸化合物(B2)により脱水反応が生じ、これにより炭化層を形成する。炭化剤(C)が含まれることによって、断熱性に優れた厚みのある炭化層の形成が可能となる。
本発明の水性耐火塗料組成物中に含まれる炭化剤(C)の含有量は、水性樹脂分散体(A)の固形分質量に対して4〜100質量%であるのが好ましく、4〜50質量%であるのがより好ましい。炭化剤(C)の含有量が4質量%未満である場合は、炭化層が十分に形成できず、十分な耐火性能が得られないおそれがある。炭化剤(C)の含有量が100質量%を超える場合は、得られる塗膜の全光線透過率が低下し、耐火塗膜の下の被塗物表面の視認性の確保が困難となるおそれがある。
粘性調整剤(D)
本発明の水性耐火塗料組成物は、上記成分に加えて、粘性調整剤(D)を含むのが好ましい。本発明の水性耐火塗料組成物が粘性調整剤(D)を含む場合、粘性調整剤(D)の含有量は、上記水性樹脂分散体(A)の固形分質量に対して0.05〜5.0質量%であるのが好ましく、0.5〜3.0質量%であるのがさらに好ましい。
粘性調整剤(D)として、例えば、ポリアマイド系粘性調整剤、ウレタン系粘性調整剤、ポリカルボン酸系粘性調整剤、セルロース系粘性調整剤、無機層状化合物系粘性調整剤およびアミノプラスト系粘性調整剤からなる群から選択される1種またはそれ以上が挙げられる。
ポリアマイド系粘性調整剤として、例えば、脂肪酸アマイド、ポリアマイド、アクリルアマイド、長鎖ポリアミノアマイド、アミノアマイドおよびこれらの塩(例えばリン酸塩)などが挙げられる。
ウレタン系粘性調整剤として、例えば、ポリエーテルポリオール系ウレタンプレポリマー、ウレタン変性ポリエーテル型粘性調整剤などが挙げられる。
ポリカルボン酸系粘性調整剤として、例えば高分子量ポリカルボン酸、高分子量不飽和酸ポリカルボン酸およびこれらの部分アミド化物などが挙げられる。
セルロース系粘性調整剤として、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系粘性調整剤などが挙げられる。
無機層状化合物系粘性調整剤として、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、クレイなどの層状化合物が挙げられる。
アミノプラスト系粘性調整剤として、例えば、疎水変性エトキシレートアミノプラスト系会合型増粘剤などが挙げられる。
上記粘性調整剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよく、2種またはそれ以上の混合物であってもよい。
粘性調整剤(D)として市販品を用いてもよい。市販される粘性調整剤(D)として、例えば、
ポリアマイド系粘性調整剤である、ディスパロンAQ−600(楠本化成社製、ポリアマイド)、Anti−Terra−U(BYK Chemie社製、ポリアミノアマイドリン酸塩)、Disperbyk−101(BYK Chemie社製、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩)、Disperbyk−130(BYK Chemie社製、ポリアマイド)など;
ポリカルボン酸系粘性調整剤である、Anti−Terra−203/204(BYK Chemie社製、高分子量ポリカルボン酸塩)、Disperbyk−107(BYK Chemie社製、水酸基含有カルボン酸エステル)、BYK−P104、BYK−P105(BYK Chemie社製、高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)、プライマルASE−60(ロームアンドハース社製、ポリカルボン酸)、ビスカレックスHV−30(クラリアントジャパン社製、ポリカルボン酸)、SNシックナー617、SNシックナー618、SNシックナー630、SNシックナー634、SNシックナー636(サンノプコ社製、ポリカルボン酸系粘性調整剤)など;
ウレタン系粘性調整剤である、アデカノールUH−814N、UH−752、UH−750、UH−462(ADEKA社製、ポリエーテルポリオール系ウレタンポリマー)、SNシックナー621N、SNシックナー623N(サンノプコ社製、ウレタン変性ポリエーテル型粘性調整剤)、レオレート244、レオレート278(エレメンティス・ジャパン社製、ウレタン変性ポリエーテル型粘性調整剤)など;
セルロース系粘性調整剤である、HECダイセルSP600N(ダイセル化学工業社製、ヒドロキシエチルセルロース)など;
層状化合物系粘性調整剤である、BENTONE HD(エレメンティスジャパン社製)など;
アミノプラスト系粘性調整剤である、Optiflo H600VF(ロックウッドアディティブズ社製、疎水変性エトキシレートアミノプラスト系粘性調整剤)など;
が挙げられる。
上記粘性調整剤(D)は、非イオン性粘性調整剤(d1)およびイオン性粘性調整剤(d2)を含むのがより好ましい。上記粘性調整剤のうち、ウレタン系粘性調整剤、セルロース系粘性調整剤、層状化合物系粘性調整剤およびアミノプラスト系粘性調整剤は、非イオン性粘性調整剤(d1)に分類される。また、ポリアマイド系粘性調整剤およびポリカルボン酸系粘性調整剤は、イオン性粘性調整剤(d2)に分類される。非イオン性粘性調整剤(d1)およびイオン性粘性調整剤(d2)の組み合わせとして、非イオン性粘性調整剤(d1)としてウレタン系粘性調整剤を、イオン性粘性調整剤(d2)としてポリカルボン酸系粘性調整剤を用いるのがより好ましい。
上記粘性調整剤(D)が、非イオン性粘性調整剤(d1)およびイオン性粘性調整剤(d2)を含む場合において、塗料組成物中に含まれる非イオン性粘性調整剤(d1)およびイオン性粘性調整剤(d2)の質量比は、(d1):(d2)=9:1〜1:9の範囲内であるのがより好ましい。上記粘性調整剤(D)が、非イオン性粘性調整剤(d1)およびイオン性粘性調整剤(d2)を含み、それらの質量比が上記範囲内であることによって、建材製造ラインにおいて、建材の側面に、水性耐火塗料組成物を良好に塗装することができ、水性耐火塗料組成物の貯蔵安定性、特に水性耐火塗料組成物の粘度増加を抑制できる。さらに、水性耐火塗料組成物中に含まれる耐火剤(B)の分散安定性も良好となるなどの利点がある。建材製造ラインにおいて、建材の側面に塗装する方法として、例えばスプレー塗装、ローラー塗装などの塗装方法が挙げられる。粘性調整剤(D)に非イオン性粘性調整剤(d1)およびイオン性粘性調整剤(d2)が上記質量比で含まれることによって、特に、ローラー塗装性が向上するなどの利点がある。
他の成分
本発明の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物は、上記成分に加えて、必要に応じた他の成分を含んでもよい。他の成分として、例えば、架橋剤、造膜助剤、表面調整剤、乾燥遅延助剤、防腐剤、防かび剤、防藻剤、消泡剤、光安定剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤などが挙げられる。
水性耐火塗料組成物の調製および塗膜形成方法
水性耐火塗料組成物の調製法としては特に限定されず、上述した各成分を、攪拌機などを用いて撹拌するなどの通常用いられる方法によって調製することができる。
被塗物
本発明の水性耐火塗料組成物を塗布する建材としては特に限定されず、例えば、無機材料建材、木質建材、金属建材、プラスチック建材などを挙げることができる。
上記無機材料建材としては、例えば、JIS A 5422、JIS A 5430などに記載された窯業建材、ガラス基材などを挙げることができ、例えば、珪カル板、パルプセメント板、スラグ石膏板、炭酸マグネシウム板、石綿パーライト板、木片セメント板、硬質木質セメント板、コンクリート板、軽量気泡コンクリート板などを挙げることができる。
木質建材としては、例えば、製材、集成材、合板、パーティクルボード、ファイバーボード、改良木材、薬剤処理木材、床板などを挙げることができる。
上記プラスチック建材としては、例えば、アクリル板、ポリ塩化ビニル板、ポリカーボネート板、ABS板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリオレフィン板などを挙げることができる。
上記金属建材としては、例えば、アルミニウム板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム亜鉛メッキ鋼板、ステンレス板、ブリキ板などを挙げることができる。
上記被塗物は、必要に応じて、下塗り塗料(シーラー)などが予め塗装されていてもよい。
本発明における被塗物として、住宅またはビルなどの建築物の内壁もしくは外壁などの壁面または屋根に用いられる建材が好ましい。また、本発明の水性耐火塗料組成物を建材製造ラインにおいて塗装する場合の一例として、例えば、セメント、ケイ酸質原料、繊維質原料、混和材料などを用いて板状に成型し、乾燥(養生・硬化)させることによって製造される、JIS A 5422に規定された窯業建材(窯業系サイディング)の建材製造ラインを挙げることができる。
塗膜形成方法
本発明の水性耐火塗料組成物を塗装する方法は特に限定されず、例えば、浸漬、刷毛、ローラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーターなどの一般に用いられている塗装方法などを挙げることができる。これらは建材の種類などに応じて適宜選択することができる。水性耐火塗料組成物は、乾燥膜厚として30μm〜1mmとなるように塗装することが好ましく、50〜500μmとなるように塗装するのがより好ましい。
本発明の水性耐火塗料組成物を塗装して得られた塗膜は、例えば室温で1〜7日間放置して乾燥させてもよいし、60〜150℃、好ましくは80℃〜130℃で、30秒〜10分間加熱することによって乾燥させてもよい。水性耐火塗料組成物を塗装後に乾燥させることによって、耐火塗膜が形成される。
建材製造ラインにおいて、建材の側面に被塗物に水性耐火塗料組成物を塗装する場合は、水性耐火塗料組成物をスプレー塗装またはローラー塗装によって塗装した後、60〜150℃、好ましくは80℃〜130℃で、30秒〜10分間加熱することによって、建材の側面に耐火塗膜を形成するのが好ましい。
本発明においては、水性耐火塗料組成物を塗装して形成される耐火塗膜は、ガラス板上に形成された膜厚100μmの耐火塗膜において、全光線透過率5〜60%を有することを特徴とする。全光線透過率が上記範囲であることによって、良好な耐火性能を発揮しつつ、被塗物表面の視認性を確保することができる。全光線透過率は、10〜60%の範囲内であるのがより好ましく、13〜60%の範囲内であるのがさらに好ましい。全光線透過率が5%未満である場合は、塗膜の隠ぺい性が高く、被塗物表面に付された識別標識を判読することができなくなる。また、全光線透過率が60%を超える場合は、耐火剤(B)の含有量が低くなり、良好な耐火性能を確保することが困難となるおそれがある。
全光線透過率の測定は、JIS K 7361−1:1997に準拠して求めることができる。本明細書においては、波長550nmにおける全光線透過率を測定する。全光線透過率の測定は、分光光度計(例えば、島津製作所社製UV−3600など)を用いて測定することができる。耐火塗膜を形成するガラス板として、JIS R 3202:2011に規定されるフロート板ガラス(厚さ2mm)を用いる。なお、本明細書における「耐火塗膜の全光線透過率」は、ガラス板上に形成された膜厚100μmの耐火塗膜の全光線透率である。
本発明の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物は、建材の側面に塗装することによって、優れた耐火性能、特に延焼防止性能および類焼防止性能を付与することができる。一方で、本発明の水性耐火塗料組成物は、建材側面以外にも、耐火性能付与を目的とした種々の被塗物に対して塗装することもできる。本発明の水性耐火塗料組成物を、火災発生時において延焼・類焼予防処理が必要とされる箇所、例えばコンロ周りなどに設置される家具または収納などに対しても塗装することができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
製造例1 アニオン性水性樹脂分散体(A)の製造
反応容器に、脱イオン水50質量部および反応性乳化剤としてアクアロンHS10(第一工業製薬社製)0.5質量部を入れ、内容物温度を85℃とした。その中にメチルメタクリレート20質量部、スチレン5質量部、ブチルアクリレート5質量部、アクリル酸0.5質量部、脱イオン水20質量部およびアクアロンHS10(第一工業製薬社製)0.3質量部からなるプレ乳化液と、水溶性重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1質量部、および脱イオン水10質量部からなる重合開始剤水溶液を2時間で滴下し、シェル部を製造した。乳化重合中、重合反応液のpHは3.0に保った。その後、シクロヘキシルメタアクリレート20質量部、ブチルアクリレート20質量部、2−エチルヘキシルアクリレート20質量部、メチルメタクリレート10質量部、アクリル酸1.0質量部、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート3質量部、脱イオン水40質量部およびアクアロンHS10(第一工業製薬社製)1.0質量部からなるプレ乳化液と、過硫酸アンモニウム0.2質量部および脱イオン水10質量部からなる重合開始剤水溶液を2時間で滴下し、更に3時間攪拌を継続して、コア部を製造した。反応温度を30℃まで冷却し、10%アンモニア水を5.5質量部添加して、pHを8.5とし、不揮発分濃度45%のアニオン性水性分散体を得た。
実施例1 水性耐火塗料組成物の製造
製造例1のアニオン性水性樹脂分散体(A)を100質量部(固形分質量)、膨張性黒鉛(B1)である膨張性黒鉛(1)(SYZR502H、Shijiazhuang ADT Carbonic Material Factory社製)を19質量部、リン酸化合物(B2)であるポリリン酸アンモニウム(ブーデンハイム社製、FR CROS486、アルキルシラン化合物被覆ポリリン酸アンモニウム)を28質量部、含窒素化合物(B3)であるメラミンを15質量部、炭化剤(C)であるジペンタエリスリトールを15質量部混合し、さらに造膜助剤としてテキサノール(イーストマン社製)5質量部、および水道水25質量部を添加して混合した。
次いで、非イオン性粘性調整剤であるSNシックナー621N(サンノプコ社製、ウレタン変性ポリエーテル型粘性調整剤)を0.9質量部およびイオン性粘性調整剤であるSNシックナー 634(サンノプコ社製、ポリカルボン酸系粘性調整剤)を0.1質量部加えて混合し、水性耐火塗料組成物を得た。
得られた水性耐火塗料組成物の粘度を、ストーマー粘度計KU−2(BROOKFIELD社製)を用いて、25℃で測定したところ、90KUであった。
実施例2〜14
塗料組成物の製造に用いた各成分種類および量を、表1に記載の通り変更したこと以外は、実施例1と同様にして、水性耐火塗料組成物を得た。
実施例15〜18
塗料組成物の製造に用いた膨張性黒鉛の種類および量を、表2に記載の通り変更したこと以外は、実施例1と同様にして、水性耐火塗料組成物を得た。
比較例1〜4
塗料組成物の製造に用いた各成分種類および量を、表3に記載の通り変更したこと以外は、実施例1と同様にして、水性耐火塗料組成物を得た。なお、無機顔料としては、TIPAQUE CR−95(石原産業社製、酸化チタン)を用いた。
実施例および比較例によって得られた水性耐火塗料組成物を用いて、以下の試験を行った。試験結果を表中に示す。
評価用耐火塗膜の作製
水性耐火塗料組成物を、硬質木質セメント板上に、15milドクターブレードにより塗装し、30秒セッティングした後、100℃で10分間乾燥し、乾燥膜厚100μmの評価用耐火塗膜を作製した。
耐火性能評価(耐引火性、発泡倍率、緻密性)
得られた耐火塗膜に対して垂直方向に10cm離れた場所から、ガスバーナーを用いて、30秒間加熱し、塗膜への耐引火性を、下記基準に基づき目視評価した。
バーナー加熱後の耐火塗膜を室温まで冷却し、発泡層の発泡倍率を測定および算出した。また、発泡層の緻密性を目視で評価した。

(1)耐引火性
◎:塗膜に全く引火しない
○:部分的に一瞬引火するがすぐに消える
△:全面的に一瞬引火するがすぐに消える
×:全面に引火する

(2)発泡倍率
発泡層の高さから膜厚(乾燥膜厚100μm)を除した値から算出した。

(3)緻密性
◎:耐火発泡層によって全面が覆われている
○:耐火発泡層によってほぼ覆われているものの、僅かな隙間が認められる
△:耐火発泡層によって覆われているものの、一部に隙間が認められる
×:耐火発泡層に大きな隙間があり、発泡層のある部分とない部分が明確に分かれている
視認性評価
基材(ブリキ板)の表面に、市販の油性マジックで文字(フォントサイズ60)を記載した。文字を記載した基材面上に、水性耐火塗料組成物を、15milドクターブレードにより塗装し、30秒セッティングした後、100℃で10分間乾燥し、乾燥膜厚100μmの耐火塗膜を作製した。耐火塗膜を通して、基材面下地に記載した文字が読めるか否かを、下記基準により目視で評価した。
◎:下地の文字がはっきりと読める
○:下地の文字が読める
△:下地の文字が何とか読める
×:下地の文字が読めない
全光線透過率の測定
水性耐火塗料組成物を、ガラス板(JIS R 3202:2011に規定されるフロート板ガラス、厚さ2mm)上に、15milドクターブレードにより塗装し、100℃で10分間乾燥し、膜厚100μmの耐火塗膜を得た。
得られた耐火塗膜を有するガラス板について、分光光度計UV−3100(島津製作所社製)を用いて、波長550nmにおける全光線透過率を、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定した。なお全光線透過率の測定においては、水性耐火塗料組成物を未塗装のガラス板をリファレンスとして用いた。
貯蔵安定性評価
水性耐火塗料組成物を、JIK K 5600−2−7に規定される加温安定性試験に従い、60日後の容器の中の状態を下記基準により評価した。
○:変化なし
△:軽微な増粘がみられる、または膨張性黒鉛がわずかに沈降している
×:著しい増粘またはゲル化がみられる、または膨張性黒鉛が沈降しハードケーキ化している
タレ試験(粘性調整剤)
サグテスターU2−12(太佑機材社製:2−12ミル)を用いて、水性耐火塗料組成物をガラス板に塗装した後、ガラス板を垂直の状態に設置し、塗料組成物のタレが生じる限界膜厚を目視観察した。
この評価においては、数値が高いほど、つまり膜厚が厚いほど、タレが生じにくく、結果が良好であることを示す。なお、本評価結果における「12」は、本試験の最大塗装膜厚である12ミルであってもタレの発生しなかったことを示す。
Figure 2017039893
Figure 2017039893
Figure 2017039893
表中、
リン酸化合物(1)は、FR CROS486(ブーデンハイム社製、アルキルシラン化合物被覆ポリリン酸アンモニウム)を、
リン酸化合物(2)は、FR CROS487(ブーデンハイム社製、メラミン被覆ポリリン酸アンモニウム)、
を示す。
また、膨張性黒鉛(1)〜(5)については、以下の表に示す(いずれもShijiazhuang ADT Carbonic Material Factory社製)。
Figure 2017039893
実施例の水性耐火塗料組成物はいずれも、視認性の高いことが確認された。また、実施例の水性耐火塗料組成物は、発泡倍率が高く、建材側面に塗装した場合において延焼防止性能および類焼防止性能を十分に発揮することができる倍率を有していることが確認された。
実施例14の、非イオン性粘性調整剤のみを用いた実験例では、貯蔵安定性試験後に膨張性黒鉛の沈降が確認された。この実験結果から、実施例14の水性耐火塗料組成物は、視認性および耐火性能は良好である一方で、膨張性黒鉛の分散安定性は他の実施例と比較して劣ることが分かる。
実施例11の、イオン性粘性調整剤のみを用いた実験例では、貯蔵安定性試験後に著しい粘度の上昇が確認された。この実験結果から、実施例11の水性耐火塗料組成物は、視認性および耐火性能は良好である一方で、塗料の安定性に劣ることが分かる。
比較例1は、膨張性黒鉛(B1)が含まれない例である。比較例1では、発泡倍率が低く、建材側面に塗装した場合において延焼防止性能および類焼防止性能を十分に発揮することができない。
比較例2は、膨張性黒鉛(B1)の量が本発明の範囲を超える例である。この場合は、視認性が劣ることとなった。
比較例3は、無機難燃材料の1種である酸化チタンを含む例である。この場合は、耐引火性などの性能は良好である一方で、塗膜の視認性が劣ることとなった。
比較例4は、リン酸化合物(B2)を含まない例である。この場合は、耐引火性能が低く、耐火性能が劣ることとなった。
本発明の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物を、建材側面に塗装することによって、延焼防止性能および類焼防止性能を付与することができる。本発明の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物は、建材の側面に塗装する場合であっても、建材の側面の視認性を確保することができる。本発明の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物を用いることによって、例えば建材製造ラインにおいて、建材の側面に耐火塗膜を設けることができる。これにより、建築施工現場において耐火塗料組成物を建材側面に塗装する工程および手間を省くことができるという利点がある。
1:建材、
3:建材側面、
5:建材表面、
7:シーリング材、
9:識別標識。
貯蔵安定性評価
水性耐火塗料組成物を、JI K 5600−2−7に規定される加温安定性試験に従い、60日後の容器の中の状態を下記基準により評価した。
○:変化なし
△:軽微な増粘がみられる、または膨張性黒鉛がわずかに沈降している
×:著しい増粘またはゲル化がみられる、または膨張性黒鉛が沈降しハードケーキ化している
Figure 2017039893
実施例の水性耐火塗料組成物はいずれも、視認性の高いことが確認された。また、実施例の水性耐火塗料組成物は、発泡倍率が高く、建材側面に塗装した場合において延焼防止性能および類焼防止性能を十分に発揮することができる倍率を有していることが確認された。
参考例14の、非イオン性粘性調整剤のみを用いた実験例では、貯蔵安定性試験後に膨張性黒鉛の沈降が確認された。この実験結果から、参考例14の水性耐火塗料組成物は、視認性および耐火性能は良好である一方で、膨張性黒鉛の分散安定性は他の実施例と比較して劣ることが分かる。
参考例11の、イオン性粘性調整剤のみを用いた実験例では、貯蔵安定性試験後に著しい粘度の上昇が確認された。この実験結果から、参考例11の水性耐火塗料組成物は、視認性および耐火性能は良好である一方で、塗料の安定性に劣ることが分かる。
比較例1は、膨張性黒鉛(B1)が含まれない例である。比較例1では、発泡倍率が低く、建材側面に塗装した場合において延焼防止性能および類焼防止性能を十分に発揮することができない。
比較例2は、膨張性黒鉛(B1)の量が本発明の範囲を超える例である。この場合は、視認性が劣ることとなった。
比較例3は、無機難燃材料の1種である酸化チタンを含む例である。この場合は、耐引火性などの性能は良好である一方で、塗膜の視認性が劣ることとなった。
比較例4は、リン酸化合物(B2)を含まない例である。この場合は、耐引火性能が低く、耐火性能が劣ることとなった。

Claims (7)

  1. 水性樹脂分散体(A)、耐火剤(B)および炭化剤(C)を含む、建材側面塗装用水性耐火塗料組成物であって、
    前記水性樹脂分散体(A)は、アクリル樹脂エマルション、シリコーン含有アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルションおよび塩化ビニル樹脂エマルションからなる群から選択される1種またはそれ以上のアニオン性水性樹脂分散体を含み、
    前記炭化剤(C)は、多価アルコールを含み、
    前記耐火剤(B)は、膨張性黒鉛(B1)、リン酸化合物(B2)および含窒素化合物(B3)を含み、
    前記塗料組成物中に含まれる前記膨張性黒鉛(B1)の含有量は、前記水性樹脂分散体(A)の固形分質量に対して10〜100質量%であり、
    前記水性耐火塗料組成物の乾燥塗膜である耐火塗膜は、ガラス板上に形成された膜厚100μmの耐火塗膜において、全光線透過率5〜60%を有する、
    建材側面塗装用水性耐火塗料組成物。
  2. 前記リン酸化合物(B2)は、正リン酸、ポリリン酸、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、ポリリン酸アンモニウムおよびポリリン酸メラミンからなる群から選択される1種またはそれ以上のリン酸化合物である、
    請求項1記載の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物。
  3. 前記リン酸化合物(B2)は、アルキルシラン化合物によってその表面の少なくとも一部が被覆された化合物である、
    請求項1または2記載の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物。
  4. 前記塗料組成物は、粘性調整剤(D)をさらに含み、
    前記塗料組成物中に含まれる前記粘性調整剤(D)の含有量は、前記水性樹脂分散体(A)の固形分質量に対して0.05〜5.0質量%である、
    請求項1〜3いずれか記載の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物。
  5. 前記粘性調整剤(D)は、ポリアマイド系粘性調整剤、ウレタン系粘性調整剤、ポリカルボン酸系粘性調整剤、セルロース系粘性調整剤、無機層状化合物系粘性調整剤およびアミノプラスト系粘性調整剤からなる群から選択される1種またはそれ以上を含む、
    請求項4記載の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物。
  6. 前記粘性調整剤(D)は、非イオン性粘性調整剤(d1)およびイオン性粘性調整剤(d2)を含み、
    前記塗料組成物中に含まれる非イオン性粘性調整剤(d1)およびイオン性粘性調整剤(d2)の質量比は、(d1):(d2)=9:1〜1:9の範囲内である、
    請求項4または5記載の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物。
  7. 建材製造ラインにおいて、建材の側面に、請求項1〜6いずれかに記載の建材側面塗装用水性耐火塗料組成物を塗装して耐火塗膜を形成する工程、を包含する、
    建材側面に耐火塗膜を形成する方法。
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