JP2019167507A - 水性被覆材 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた発泡性を示し、基材の耐熱保護性能を維持することが可能な水性被覆材を提供する。【解決手段】本発明は、その被膜が温度上昇によって炭化断熱層を形成する水性被覆材であって、結合材として、合成樹脂エマルションを含み、前記合成樹脂エマルションは、酢酸ビニルモノマーを主成分とするモノマー群の乳化重合体を含み、該モノマー群において酢酸ビニルモノマーを20重量%以上の比率で含み、平均粒子径が300〜1000nmであり、前記結合材は、形成被膜のゲル分率が10〜90重量%であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な水性被覆材に関する。
鋼材や、コンクリート、木材、合成樹脂等の基材を火災から保護する目的として、火災時の温度上昇によって発泡し、炭化断熱層を形成する発泡性被覆材が種々提案されている。このような発泡性被覆材としては、合成樹脂に、発泡剤、炭化剤、難燃剤等を配合したものが知られている。従来、このような発泡性被覆材は、溶剤系のものが主流であったが、近年の環境問題を背景に水性化が進んでいる。
例えば、結合材として合成樹脂エマルションを使用し、難燃剤、発泡剤、炭化剤を配合した発泡性被覆材が開発されている(例えば、特許文献1)。
特開2005−113002号公報
しかしながら、上記特許文献1には、種々の合成樹脂エマルションを使用できることが記載されているが、合成樹脂エマルションの種類によっては、耐水性、耐久性等の被膜物性と、発泡性を両立することが難しい場合があり、所望の耐熱保護性能を得るには、まだ改善の余地があった。
このような課題を解決するために本発明者らは、特定の合成樹脂エマルションを含む被覆材が、良好な被膜物性を確保しつつ、優れた発泡性を有し、基材の耐熱保護性能を発揮することができることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.その被膜が温度上昇によって炭化断熱層を形成する水性被覆材であって、
結合材として、合成樹脂エマルションを含み、
前記合成樹脂エマルションは、酢酸ビニルモノマーを主成分とするモノマー群の乳化重合体を含み、該モノマー群において酢酸ビニルモノマーを20重量%以上の比率で含み、平均粒子径が300〜1000nmであり、
前記結合材は、形成被膜のゲル分率が10〜90重量%であることを特徴とする水性被覆材。
2.前記合成樹脂エマルションが、上記モノマー群において、アルコキシシリル基含有モノマーを含むことを特徴とする1.に記載の水性被覆材。
本発明は、その被膜が温度上昇によって炭化断熱層を形成する被覆材であって、上記被覆材は、結合材として、特定の合成樹脂エマルションを含むことにより、耐水性、耐久性等の被膜物性に優れるとともに、火災等による温度上昇に際し、優れた発泡性を示し、耐熱保護性能を発揮し、基材の耐熱保護性を高めることができる。
以下、本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明する。
本発明は、その被膜が火災等の温度上昇(加熱)により炭化断熱層を形成する水性被覆材であり、結合材(a)として特定の合成樹脂エマルションを含むことを特徴とする。本発明の合成樹脂エマルションは、酢酸ビニルモノマーを主成分とするモノマー群の重合体を含み、該モノマー群において、酢酸ビニルモノマーを20重量%以上(好ましくは30重量%以上、より好ましくは40〜98重量%、さらに好ましくは50〜95重量%)含むことを特徴とする。このような酢酸ビニルモノマーを特定重量比率で含む合成樹脂エマルション(以下、「酢酸ビニル樹脂系エマルション」ともいう。)を使用することにより、被膜の温度上昇(好ましくは被膜表面温度が200℃以上、さらに好ましくは250℃以上)によって優れた発泡性を示すとともに、炭化断熱層を安定して形成し基材の耐熱保護性能を高めることができる。なお、本発明において「α〜β」は「α以上β以下」と同義である。
具体的に、上記酢酸ビニル樹脂系エマルションは、酢酸ビニルモノマー、及び必要に応じて、該酢酸ビニルモノマーと共重合可能なその他のモノマー(以下「その他のモノマー成分」ともいう。)を共重合することによって得られるものであり、その他のモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族モノマー、水酸基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、ニトリル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、ビニルエステル系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、アミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、ハロゲン化ビニリデン系モノマー、その他、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルケトン、ビニルアミド、クロロプレン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。なお、モノマーとは、重合性不飽和二重結合を有する化合物の総称である。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、本発明では、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを合わせて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと表記する。
上記芳香族モノマーとしては、例えば、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記カルボニル基含有モノマーとしては、例えば、アクロレイン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン等が挙げられる。
上記ニトリル基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられる。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等が挙げられる。
上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのモノリン酸エステル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのモノリン酸エステル、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのモノリン酸エステル等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2-メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル等が挙げられる。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル(ネオデカン酸ビニル、ネオナノン酸ビニル)、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、もしくは各種のカルボン酸のビニルエステル類等が挙げられる。
上記ビニルエーテル系モノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。;
上記アルコキシシリル基含有モノマーとしては、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシシシラン、ビニルトリエトキシシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン等が挙げられる。
上記ハロゲン化ビニリデン系モノマーとしては、例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
その他のモノマー成分は、モノマー群(酢酸ビニルモノマーとその他のモノマー成分を合わせた全モノマー)において、好ましくは80重量%以下(より好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは2〜60重量%、特に好ましくは5〜50重量%)含まれることが好適である。本発明では、耐水性、耐久性等の被膜物性や、耐熱保護性の点から、上記その他のモノマー成分として、ビニルエステル系モノマー、カルボニル基含有モノマー、及びアルコキシシリル基含有モノマー、から選ばれる少なくとも1種以上のモノマーを含むことが好ましく、さらには、これらモノマーを2種以上使用することが好ましい。これにより、本発明の効果をいっそう高めることができる。
具体的に、ビニルエステル系モノマーの含有量は、モノマー群において、好ましくは2〜55重量%(より好ましくは5〜45重量%)である。ビニルエステル系モノマーは、酢酸ビニルモノマーとの共重合性に優れ、耐水性、耐久性等の被膜物性、及び優れた発泡性を付与し、耐熱保護性を高めることができる。
カルボニル基含有モノマーの含有量は、モノマー群において、好ましくは0.01〜10重量%(より好ましくは0.05〜3重量%)である。カルボニル基含有モノマーは、架橋剤との反応により耐水性、耐久性等の被膜物性を高めることができる。
アルコキシシリル基含有モノマーの含有量は、モノマー群において、好ましくは0.001〜5重量%(より好ましくは0.01〜2重量%)である。アルコキシシリル基含有モノマーの含有量が上記範囲であることにより、形成被膜のゲル分率を既定範囲に設定しやすくなり、その結果、耐水性、耐久性等の被膜物性を高めるとともに、耐熱保護性を高めることができる。
本発明の酢酸ビニル樹脂系エマルションは、上記重合性モノマーを適宜混合したモノマー群を乳化重合することにより製造することができる。重合方法としては公知の方法を採用すればよく、通常の乳化重合の他、ソープフリー乳化重合、フィード乳化重合、シード乳化重合、レドックス乳化重合等を採用することもできる。重合時には、乳化剤、開始剤、分散剤、重合禁止剤、重合抑制剤、緩衝剤、連鎖移動剤、酸化剤、還元剤等を使用することもできる。
上記酢酸ビニル樹脂系エマルションの平均粒子径は、300nm〜1000nm(好ましくは310〜850nm、より好ましくは320〜800nm)である。平均粒子径がこのような範囲内であれば、耐水性、耐久性等の被膜物性に優れるとともに、火災等による温度上昇に際し、優れた発泡性を示し、耐熱保護性能を発揮し、基材の耐熱保護性を発揮することができる。特に、平均粒子径が上記下限以上であることにより、優れた発泡性を発揮し、上記上限以下であることにより、十分な被膜物性を確保することができる。なお、ここに言う平均粒子径は、動的光散乱法により測定される値である。また、酢酸ビニル樹脂系エマルションの固形分は、特に限定されないが、好ましくは30〜80重量%(より好ましくは35〜75重量%)である。
本発明の結合材(a)は、上記酢酸ビニル系樹脂エマルションを含むものであるが、必要に応じて、その他の合成樹脂エマルションを混合して使用することもできる。この場合、上記酢酸ビニル系樹脂エマルションの含有量は、合成樹脂エマルションの全固形分中に、好ましくは50重量%以上(より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上)である。このような範囲であることにより、本発明の効果を十分に発揮することができる。
酢酸ビニル系樹脂エマルションと混合可能な合成樹脂エマルションとしては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されるものではなく、公知の合成樹脂エマルションが使用できる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。このような樹脂は、架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。これらは1種又は2種以上で使用することができる。
本発明の結合材(a)は、形成被膜のゲル分率が10〜90重量%(好ましくは20〜85重量%、より好ましくは30〜80重量%、さらに好ましくは40〜80重量%)であることを特徴とする。これにより、耐水性、耐久性等の被膜物性を十分に確保しつつ、優れた発泡性を示し、基材の耐熱保護性を発揮することができる。なお、ゲル分率は、以下の方法によって測定される。すなわち、離型紙に結合材(a)を塗付厚みが0.25mmとなるように塗付し、50℃で24時間乾燥させ被膜を形成する。形成被膜を剥離し、2×2cmの大きさに切り出したものを試験片とする。試験片をアセトンに24時間浸漬(気温25℃)した後、次式にて算出されるものである。
ゲル分率(%)=(浸漬後の塗膜重量/浸漬前の塗膜重量)×100
本発明の結合材(a)には、上記合成樹脂エマルション(好ましくは酢酸ビニル樹脂系エマルション)中に含まれる反応性官能基と反応可能な架橋剤を使用することが好ましい。本発明では、このような成分を用いることで、形成被膜のゲル分率を規定範囲に設定しやすくなり、その結果、被膜の耐水性、耐久性、乾燥性等がいっそう高まり、降雨、結露等による塗膜膨れ・剥れの発生やこれに伴う耐熱保護性能の低下を抑制することが可能となる。
架橋剤は、合成樹脂エマルション中に含まれる反応性官能基との組み合わせによって選定すればよい。これら官能基の組み合わせとしては、例えば、エポキシ基−アミノ基、水酸基−イソシアネート基、カルボキシル基−エポキシ基、カルボキシル基−カルボジイミド基、カルボキシル基−オキサゾリン基、カルボニル基−ヒドラジド基、加水分解性シリル基同士等が挙げられる。このうち、本発明における好適な組み合わせとしては、使用する合成樹脂エマルションがカルボニル基含有合成樹脂エマルションであり、架橋剤がカルボニル基と反応可能な化合物である組み合わせ等が挙げられる。
カルボニル基と反応可能な化合物としては、例えばヒドラジド基含有化合物等が挙げられる。具体的に、ヒドラジド基含有化合物としては、例えば、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用できる。
架橋剤の混合比率は、合成樹脂エマルション100重量部(固形分)に対し、好ましくは0.01〜10重量部(より好ましくは0.05〜5重量部)である。このような範囲内であれば、十分な発泡性を示すとともに、耐水性、耐久性等において十分な物性向上効果が得られる。
さらに本発明の水性被覆材には、例えば、発泡剤(b)、炭化剤(c)、難燃剤(d)、及び充填材(e)等を含むことができる。
発泡剤(b)としては、例えば、メラミン及びその誘導体、ジシアンジアミド及びその誘導体、アゾビステトラゾーム及びその誘導体、アゾジカーボンアミド、尿素、チオ尿素等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。発泡剤(b)の含有量は、上記結合材(a)の固形分100重量部に対して、好ましくは10〜200重量部(より好ましくは20〜150重量部)である。なお、本発明の発泡剤(b)は、火災時等の温度上昇によって被膜に発泡作用を付与するものであり、具体的には、被膜表面の温度が好ましくは200℃以上となった場合に発泡作用を付与するものである。
炭化剤(c)としては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、デンプン、カゼイン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。本発明では、特にペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが脱水冷却効果と炭化断熱層形成作用に優れている点で好ましい。炭化剤(c)の含有量は、上記結合材(a)の固形分100重量部に対して、好ましくは10〜200重量部(より好ましくは20〜150重量部)である。なお、本発明の炭化剤(c)は、火災時等の温度上昇によって、上記結合材(a)の炭化とともに脱水炭化することにより、炭化断熱層を形成する作用を付与するものである。
難燃剤(d)としては、例えば、トリクレジルホスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート等の有機リン系化合物;塩素化ポリフェニル、塩素化ポリエチレン、塩化ジフェニル、塩化トリフェニル、塩素化パラフィン、五塩化脂肪酸エステル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレン、テトラクロル無水フタル酸等の塩素化合物;三酸化アンチモン、五塩化アンチモン等のアンチモン化合物;三塩化リン、五塩化リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、リン酸ホウ素、ポリリン酸ホウ素、リン酸アルミニウム、ポリリン酸アルミニウム等のリン化合物;その他ホウ酸亜鉛、ホウ酸ソーダ等の無機質化合物等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。本発明では、難燃剤(d)として、リン化合物を含むことが好ましい。難燃剤(d)の含有量は、上記結合材(a)の固形分100重量部に対して、好ましくは100〜1000重量部(より好ましくは200〜800重量部)である。
充填剤(e)としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、粘土、クレー、シラス、マイカ、珪砂、珪石粉、石英粉、硫酸バリウム等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。充填剤(e)の含有量は、上記結合材(a)の固形分100重量部に対して、好ましくは3〜200重量部(より好ましくは5〜150重量部)である。
さらに、本発明では、上記成分に加えて金属水和物(f)を含むこともできる。金属水和物(f)は、温度上昇時に、脱水反応等による吸熱性を示すものであり、上記充填剤(e)とは異なるものである。このような金属水和物(f)としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。また、金属水和物(f)の平均粒子径は、好ましくは0.1〜20μm(より好ましくは0.2〜15μm、さらに好ましくは0.3〜8μm、最も好ましくは0.4〜3μm)である。金属水和物(f)の含有量は、上記結合材(a)の固形分100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部(より好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは25〜80重量部)である。なお、平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定される 。
その他、添加剤としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく、例えば、顔料、繊維、湿潤剤、可塑剤、造膜助剤、凍結防止剤、滑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、増粘剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、水、溶媒等が挙げられる。
本発明の水性被覆材は、建築物・土木構築物等の構造物の表面被覆に適用する発泡性耐火被覆材として好適なものである。具体的には、壁、柱、床、梁、屋根、階段、天井、戸等の各種基材に施工することができる。適用可能な基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、煉瓦、プラスチック、木材、金属、鉄骨(鋼材)、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材は、その表面に、既に被膜が形成されたもの、何らかの下地処理(防錆処理、難燃処理等)が施されたもの、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。
本発明の水性被覆材を基材に塗付する際には、例えば、スプレー、ローラー、刷毛、こて等の塗付具を使用して、1工程ないし数工程塗り重ねて塗付すれば良い。最終的に形成される被膜厚は、所望の機能性、適用部位等により適宜設定すれば良いが、好ましくは0.4〜5mm程度である。
本発明では、上記水性被覆材により形成される被膜を保護するために、必要に応じてさらに上塗材を塗付することもできる。このような上塗材は、公知の被覆材を塗付することによって形成することができる。上塗材としては、例えば、酢酸ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリルシリコン樹脂系、フッ素樹脂系等の被覆材を用いることができる。上塗材の塗付は、公知の塗付方法によれば良く、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等の塗装器具を使用することができる。
以下に実施例を示して、本発明の特徴をより明確にする。但し、本発明はこの範囲には限定されない。
(水性被覆材1〜5)
結合材として、表1に示す合成樹脂エマルションを使用し、合成樹脂エマルション(固形分)100重量部に対し、発泡剤(b)70重量部、炭化剤(c)70重量部、難燃剤(d)300重量部、充填剤70重量部、及び添加剤30重量部を常法により混合し、水性被覆材1〜5を得た。なお、原料としては以下のものを使用した。
・結合材(a)
表1に示すモノマー成分を乳化重合することにより、合成樹脂エマルション(a1)〜(a5)を調製した。なお、架橋剤(アジピン酸ジヒドラジド)は、合成樹脂エマルションを調製した後に混合した。各合成樹脂エマルションの粒子径、及び形成被膜のゲル分率は、表1に示した。
Figure 2019167507
・発泡剤(b):メラミン
・炭化剤(c):ジペンタエリスリトール
・難燃剤(d):ポリリン酸アンモニウム
・充填剤(e):酸化チタン
・添加剤:分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤等
(実施例1〜3、比較例1〜2)
予めさび止め塗装した鋼板に水性被覆材をフィルムアプリケーターにてwet膜厚1mmで塗付し、標準状態(気温23℃、相対湿度50%)で7日間養生させ、試験体とし、以下の評価を実施した。各評価の結果は表2に示す。
<耐水性評価>
試験体を23℃の水に3日間浸漬した後、その塗膜の表面状態を目視にて確認した。評価基準は以下の通りである。
A:ブリスターの発生が認められなかった
B:ブリスターの発生面積10%未満
C:ブリスターの発生面積が10%以上〜20%未満
D:ブリスターの発生面積が20%以上
<耐熱性評価1>
ISO 5660−1 コーンカロリーメーター法に基づき、電気ヒーター(CONEIII、株式会社東洋精機製)を用いて、試験体表面に50kW/mの輻射熱を15分間放射したときの発泡倍率、及び鋼板裏面温度を測定した。各評価基準は以下の通りである。
(発泡倍率)
A:発泡倍率35倍超
B:発泡倍率25倍超35倍以下
C:発泡倍率20倍超25倍以下
D:発泡倍率20倍以下
(裏面温度)
A:300℃以上450℃未満
B:450℃以上500℃未満
C:500℃以上550℃未満
D:550℃以上
Figure 2019167507

Claims (2)

  1. その被膜が温度上昇によって炭化断熱層を形成する水性被覆材であって、
    結合材として、合成樹脂エマルションを含み、
    前記合成樹脂エマルションは、酢酸ビニルモノマーを主成分とするモノマー群の乳化重合体を含み、該モノマー群において酢酸ビニルモノマーを20重量%以上の比率で含み、平均粒子径が300〜1000nmであり、
    前記結合材は、形成被膜のゲル分率が10〜90重量%であることを特徴とする水性被覆材。
  2. 前記合成樹脂エマルションが、上記モノマー群において、アルコキシシリル基含有モノマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の水性被覆材。

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