JP2017039888A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固着回復性を低下させることなく、特に普通紙に対して発色性に優れたカラー画像を記録することが可能なインクジェット用の水性インクを提供する。【解決手段】有機顔料及び樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクである。樹脂粒子の平均粒子径が、有機顔料の平均粒子径に対する比率で、1.5倍以上5.0倍以下である。インク中の樹脂粒子の含有量(体積%)が、インク中の前記有機顔料の含有量(体積%)に対する体積比率で、1.5倍以上9.0倍以下である。樹脂粒子がアルキレンオキサイド基を含有し、アルキレンオキサイド基の付加モル数が20以上40以下である。【選択図】なし
Description
本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方法に用いられるカラーインクとして、画像の耐ガス性や耐光性などの堅牢性をより向上させることを目的として、色材として有機顔料を含有する顔料インクが広く使用されるようになっている。顔料インクでは、有機顔料を、分散剤としての水溶性の樹脂や、樹脂によるカプセル化、又は樹脂による顔料粒子の表面の改質などによって、水性媒体中に分散させている。しかし、一般的に、顔料インクによって記録された画像の発色性は、染料インクの場合と比べて不十分であるという課題がある。
上記課題に対して、これまでにも様々な検討がなされてきた。例えば、画像の発色性に関しては、顔料インクに樹脂粒子を添加し、顔料と樹脂粒子の粒子径の比率が特定の範囲内にあることで、普通紙における画像の発色性を高める顔料インクが提案されている(特許文献1、2参照)。また、顔料と被膜形成能をもつ樹脂粒子の粒子径の比率が特定の範囲内にあることで、発色性と耐摩擦性を両立させるインクが提案されている(特許文献3参照)。
しかし、本発明者らの検討の結果、上記に挙げた従来技術では、特に、カラー画像において、発色性を高いレベルで達成できていないことが分かった。上記特許文献1及び2で提案された画像の発色性を高める顔料インクは、自己分散カーボンブラックと乳化重合法で得られた樹脂粒子とで構成したインクである。有機顔料を用いて同様の手法で検討したところ、普通紙におけるモノクロ画像の発色性を高めることはできても、普通紙におけるカラー画像の発色性は不十分であった。
さらに、上記特許文献3で提案された画像の発色性を高める顔料インクにおいては、光沢紙上においてはカラー画像の発色性、光沢性を高めることはできても、普通紙におけるカラー画像の発色性は不十分であった。
したがって、本発明の目的は、固着回復性を低下させることなく、特に普通紙に対して発色性に優れたカラー画像を記録することが可能な水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、有機顔料及び樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記樹脂粒子の平均粒子径が、前記有機顔料の平均粒子径に対する比率で、1.5倍以上5.0倍以下であり、前記インク中の前記樹脂粒子の含有量(体積%)が、前記インク中の前記有機顔料の含有量(体積%)に対する体積比率で、1.5倍以上9.0倍以下であり、前記樹脂粒子がアルキレンオキサイド基を含有し、前記アルキレンオキサイド基の付加モル数が20以上40以下であることを特徴とする水性インクが提供される。
本発明によれば、固着回復性を低下させることなく、特に普通紙に対して発色性に優れたカラー画像を記録することが可能な水性インクを提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値とする。
先ず、画像の発色性を向上させるにあたり、本発明者らは、顔料インクにより記録媒体に形成される顔料層について注目した。顔料インクでは、記録媒体に100nm程度の平均粒子径を有する顔料粒子が定着することで、画像が記録される。その際、画像を形成している顔料層の内部には、顔料の他に空気が内包される空隙が散在しており、この空隙により内部散乱が起こる。ここで、モノクロ画像の場合は、顔料層に入射した光を吸収させることが、画像の発色性を向上させる上で重要である。これに対して、カラー画像の場合は、モノクロ画像とは異なり、顔料粒子で構成される顔料層による画像において、その発色波長の光のみを反射させるようにすることが、画像の発色性を向上させる上で重要である。本発明者らは、前記顔料層中に形成される空隙に起因する散乱を効果的に抑制し、散乱による反射光量の低下や、本来発色すべき色とは異なる補色の反射光を抑えることで、画像の発色性を高めることができると考えた。
上記のことに鑑み、本発明者らは、顔料インク中に樹脂粒子を含有させ、有機顔料と樹脂粒子の充填率を向上させることで顔料層の内部に形成される空隙を低減させ、当該空隙に起因して生じる内部散乱を抑制できると考えた。そこで、本発明者らは、有機顔料と樹脂粒子の平均粒子径の関係、及び有機顔料と樹脂粒子のインク中での含有量(体積%)の関係に注目し、検討を行った。その結果、普通紙では、有機顔料の平均粒子径よりも大きい平均粒子径を有する樹脂粒子を用いたインクにおいて、発色性の向上が見られた。特に、インクに含有させる樹脂粒子の平均粒子径が、色材として含有させる顔料粒子の平均粒子径に対する比率で、1.5倍以上5.0倍以下である場合に、画像の発色性が僅かに向上することを見出した。また、この場合には、有機顔料のインク中での含有量(体積%)よりも、樹脂粒子のインク中での含有量(体積%)が大きいインクにおいて、発色性の向上が見られた。特に、インク中の樹脂粒子の含有量(体積%)が、インク中の有機顔料の含有量(体積%)に対する体積比率で、1.5倍以上9.0倍以下である場合に、画像の発色性が僅かに向上することを見出した。さらに、樹脂粒子がアルキレンオキサイド基を有する場合にも、普通紙での発色性の向上が見られた。特に、前記アルキレンオキサイド基の付加モル数が、20以上40以下である場合に、画像の発色性が僅かに向上することを見出した。
上記のように構成することで、画像の発色性が向上した理由を本発明者らは次のように考えている。
空間中に剛体球を配置する場合、理論的には六方最密充填又は面心立方のときに最も充填率が高く、約74%となる。実際に剛体球を空間内に配置する場合には、ランダムな充填となるため、前記の充填率よりも低くなり、ランダム最密充填では約64%、ランダム粗充填では約60%となる(川口春馬監修、「ナノ粒子・マイクロ粒子の調製と応用技術」、シーエムシー出版、p.135)。また、顔料の分散方法としては湿式のビーズミルを使用した分散が一般的であるが、このような手法を用いて分散した顔料粒子の形状は不定形となる。不定形粒子を充填した場合には、さらに充填率は10%程度低下するとの報告がある(例えば、J. Ceram. Soc. Japan, 120, 417−419(2012))。すなわち、顔料層内部の空隙は少なくとも50%にもなり、さらに大きな内部散乱を生じて発色性を低下させていると考えられる。
これに対して、本発明のインクでは、インク中に、有機顔料の平均粒子径に対して1.5倍以上5.0倍以下の平均粒子径をもつ樹脂粒子を、インク中の有機顔料の含有量(体積%)に対して1.5倍以上9.0倍以下となるように含有させている。この構成により、本発明のインク及びそのインクによる画像において、粒子径の大きな樹脂粒子間の隙間に粒子径の小さな有機顔料が入り込み、全体として充填率が向上し、前述した顔料層内部の空隙を減少させることができる。これらの結果、画像の光散乱が抑制され、画像の発色性を高めることができると考えられる。
さらに上記の構成により、樹脂粒子がアルキレンオキサイド基を含有し、前記アルキレンオキサイド基の付加モル数が、20以上40以下である場合には、樹脂粒子の分散が主に立体反発によるものとなる。一般に、微粒子の分散安定化手法には、電荷による反発(静電反発)及び立体障害による反発を用いるものがある。水性インク中では、一般的に上記静電反発による分散安定化を主に用いることで、効率的な分散安定化が可能である。
しかしながら、インクが記録媒体に付与されて顔料層が形成されていく局面においては、水が蒸発、又は記録媒体中への浸透によって、インク中の水溶性有機溶剤の比率が高まるにつれ、インク中の液体成分の比誘電率が低下して静電反発力が低下する。そして、ついには分散破壊が生じて凝集が発生することとなる。このとき、分散が主に立体反発によるものであれば、上記の顔料層が形成される局面において、インク中の液体成分の比誘電率が低下しても分散安定性を保持でき、結果として粒子径の大きな樹脂粒子間の隙間に粒子径の小さな顔料粒子がより多く入り込む。それにより、全体として充填率が向上し、前述した顔料層内部の空隙が減少するため、これらの結果として光散乱が抑制され、発色性が高められると考えられる。
また、普通紙では、表面抵抗制御のために付与されている金属塩により、電気二重層の圧縮効果(塩析)が発生するため、静電反発による分散系においては、さらに分散破壊が起こりやすい環境である。上記の構成によれば、分散が主に立体反発によるものであるため、金属塩による電気二重層の圧縮効果の影響を受けずに分散安定性を保持でき、結果として粒子径の大きな樹脂粒子間の隙間に粒子径の小さな顔料粒子がより多く入り込む。それにより、全体として充填率が向上し、前述した顔料層内部の空隙が減少するため、これらの結果として光散乱が抑制され、発色性が高められると考えられる。
本明細書において、「平均粒子径」は、体積基準の粒度分布における累積50%となる粒子径(D50)を意味する。この平均粒子径の測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用いることができる。有機顔料の平均粒子径は、顔料を、ローディングインデックス値が1〜2の範囲になるように純水で希釈し、前記装置を用いて、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、屈折率:1.5の測定条件で測定することができる。また、樹脂粒子の平均粒子径は、樹脂粒子を体積基準で50倍になるように純水で希釈し、前記装置を用いて、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、屈折率:1.5の測定条件で測定することができる。平均粒子径を測定する装置や条件などは上記に限られるものではなく、例えば、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて、前記平均粒子径(D50)を測定することもできる。
また、本明細書において、「樹脂粒子のアルキレンオキサイド基の付加モル数」とは、樹脂粒子を構成する共重合体についての、アルキレンオキサイドの付加モル数の平均値を意味する。この付加モル数の測定には、NMRを用いることができる。樹脂粒子を溶剤に溶解させたものを試料として、1H−NMRにより、溶剤及びアルキレンオキサイド基に対応するピークの積分値の比率を利用して、平均値として付加モル数を算出することができる。
<インク>
本発明のインクジェット用の水性インクは、有機顔料及び樹脂粒子を含有する。以下、本発明のインクを構成する各成分やインクの物性について詳細に説明する。
本発明のインクジェット用の水性インクは、有機顔料及び樹脂粒子を含有する。以下、本発明のインクを構成する各成分やインクの物性について詳細に説明する。
(有機顔料)
有機顔料の種類としては、インクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イミダゾロン系顔料、ピランスロン系顔料、(チオ)インジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン顔料などを用いることができる。また、調色などの目的のために、顔料に加えてさらに染料などを併用してもよい。
有機顔料の種類としては、インクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イミダゾロン系顔料、ピランスロン系顔料、(チオ)インジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン顔料などを用いることができる。また、調色などの目的のために、顔料に加えてさらに染料などを併用してもよい。
有機顔料の比重は、1.30以上2.20以下が好ましく、1.35以上2.00以下がより好ましく、1.40以上1.70以下がさらに好ましい。有機顔料の平均粒子径は、40nm以上200nm以下が好ましく、50nm以上180nm以下がより好ましく、60nm以上150nm以下がさらに好ましい。
インク中の有機顔料の含有量は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下が好ましく、1.5質量%以上8.0質量%以下がより好ましく、2.0質量%以上6.0質量%以下がさらに好ましい。また、インク中の有機顔料の含有量(体積%)は、インク全体積を基準として、0.5体積%以上7.0体積%以下が好ましく、0.9体積%以上6.0体積%以下がより好ましく、1.2体積%以上4.0体積%以下がさらに好ましい。
有機顔料の分散方法としては、樹脂分散剤を用いる樹脂分散タイプの有機顔料や、顔料粒子の表面に親水性基を結合した自己分散タイプの有機顔料(自己分散顔料)を用いる方法が挙げられる。樹脂分散タイプの有機顔料としては、樹脂分散剤を使用した樹脂分散顔料、顔料粒子を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料、及び顔料粒子の表面に樹脂が化学的に結合した樹脂結合型顔料などを用いることができる。分散方法の異なる有機顔料を併用することも可能である。有機顔料のなかでも、樹脂分散顔料や樹脂結合型顔料が好ましい。
前記樹脂分散剤は、親水性モノマーや疎水性モノマーなどを用いて合成することができる。樹脂分散剤は、酸価が100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下のものが好ましい。また、樹脂分散剤は、GPCにより得られるポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上20,000以下のものが好ましい。
(樹脂粒子)
本発明のインクに使用できる樹脂粒子は、アルキレンオキサイド基の付加モル数が20以上40以下の共重合体で形成される樹脂粒子である。この樹脂粒子が有するアルキレンオキサイド基におけるアルキレン部分としては、エチレン、プロピレンなどが好ましく、エチレンが特に好ましい。
本発明のインクに使用できる樹脂粒子は、アルキレンオキサイド基の付加モル数が20以上40以下の共重合体で形成される樹脂粒子である。この樹脂粒子が有するアルキレンオキサイド基におけるアルキレン部分としては、エチレン、プロピレンなどが好ましく、エチレンが特に好ましい。
樹脂粒子としては、2種以上のモノマーを共重合して得られる共重合体で形成される粒子を使用することができる。例えば、アクリル系、酢酸ビニル系、エステル系、スチレン系、ウレタン系、合成ゴム系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン系、及びオレフィン系などの樹脂粒子を挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂粒子、及びスチレン系樹脂粒子が好ましく、アクリル系樹脂粒子がより好ましい。
また、樹脂粒子としては、次に述べる、構成単位(a)及び構成単位(c)を有する共重合体が好ましく、構成単位(a)、構成単位(b)、及び構成単位(c)を有する共重合体がより好ましい。前記構成単位(a)は、アルキレンオキサイド基を有するα,β−不飽和化合物(A)に由来する構成単位である。前記構成単位(b)は、前記アルキレンオキサイド基を有するα,β−不飽和化合物(A)以外のα,β−不飽和カルボン酸化合物(B)に由来する構成単位である。前記構成単位(c)は、前記アルキレンオキサイド基を有するα,β−不飽和化合物(A)及び前記α,β−不飽和カルボン酸化合物(B)以外のα,β−不飽和化合物(C)に由来する構成単位である。
なお、本明細書において、前記アルキレンオキサイド基を有するα,β−不飽和化合物(A)、前記α,β−不飽和カルボン酸化合物(B)、及び前記α,β−不飽和化合物(C)をまとめてエチレン性不飽和単量体と称することがある。また、以下のエチレン性不飽和単量体の説明における「(メタ)アクリル酸」及び「(メタ)アクリレート」は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」及び「アクリレート、メタクリレート」を意味する。
前記構成単位(a)を構成する、アルキレンオキサイド基を有するα,β−不飽和化合物(A)としては、例えば、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。α,β−不飽和化合物(A)は、樹脂粒子の合成において、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記アルキレンオキサイド基を有するα,β−不飽和化合物(A)として、反応性界面活性剤(反応性乳化剤)を用いることもできる。その反応性界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテル系、アルキルフェニルエーテル系、又はアルキルフェニルエステル系の反応性界面活性剤を挙げることができる。反応性界面活性剤は、樹脂粒子の合成において、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルキルエーテル系反応性界面活性剤の具体例としては、α−ヒドロ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)(市販品としては、例えば、ADEKA製の商品名:アデカリアソープ ER−10、ER−20、ER−30、ER−40など)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(市販品としては、例えば、花王製の商品名:ラテムル PD−420、PD−430、PD−450など)、及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(市販品としては、例えば、花王製の商品名:ラテムル PD−105など)などを挙げることができる。
アルキルフェニルエーテル系反応性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル(市販品としては、例えば、第一工業製薬製の商品名:アクアロン RN−20、RN−30、RN−50など)などを挙げることができる。
アルキルフェニルエステル系反応性界面活性剤の具体例としては、α−[1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(市販品としては、ADEKA製の商品名:アデカリアソープ NE−10、NE−20、NE−30、NE−40など)などを挙げることができる。
前記構成単位(b)を構成するα,β−不飽和カルボン酸化合物(B)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、エタクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、及びフマル酸などのカルボン酸基を有するモノマー及びその誘導体を挙げることができる。また、それらモノマーの塩も同様に使用することができる。塩としては、前記カルボン酸基を有するモノマーのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及び有機アンモニウム塩などを挙げることができる。
α,β−不飽和カルボン酸化合物(B)は、樹脂粒子の合成において、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。α,β−不飽和カルボン酸化合物(B)のなかでも、その他のモノマーとの共重合性に優れ、樹脂粒子を含有するインクの吐出安定性にも優れるため、(メタ)アクリル酸又はその塩がより好ましい。
前記構成単位(c)を構成するα,β−不飽和化合物(C)は、前記α,β−不飽和化合物(A)及び前記α,β−不飽和カルボン酸化合物(B)以外のものである。すなわち、α,β−不飽和化合物(C)は、アルキレンオキサイド基を有さず、かつ、カルボン酸基を有さないものである。
α,β−不飽和化合物(C)としては、アリール基を有するα,β−不飽和化合物(C−1)、α,β−不飽和カルボン酸のエステル化合物(C−2)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及び酢酸ビニルなどを挙げることができる。α,β−不飽和カルボン酸化合物(C)は、樹脂粒子の合成において、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アリール基を有するα,β−不飽和化合物(C−1)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、(メタ)アクリル酸フェニル、及び(メタ)アクリル酸ベンジルなどを挙げることができる。これらのうち、スチレンがより好ましい。
α,β−不飽和カルボン酸のエステル化合物(C−2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、及び(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸エステル;イタコン酸ベンジルなどのイタコン酸エステル;マレイン酸ジメチルなどのマレイン酸エステル;並びにフマル酸ジメチルなどのフマル酸エステルなどを挙げることができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
樹脂粒子は、例えば、従来既知の乳化重合方法により合成することができる。乳化重合法とは、水及び乳化剤を仕込んだ反応釜を加熱し、合成前に予め、前述のエチレン性不飽和単量体、水、及び乳化剤を乳化させた乳化液(プレエマルジョン)を滴下しながらラジカル重合反応を行う方法である。反応釜には必要に応じてプレエマルジョンを一部仕込む場合もある。また、プレエマルジョンを作製する際には、回転式撹拌装置の回転速度200〜1000rpm/20〜40分の乳化条件にて作製するのが一般的である。しかし、必要に応じて高速撹拌装置を用いて、回転速度5000〜12000rpm/10〜30分の強制乳化条件にてプレエマルジョンを作製する方法を用いてもよい。
乳化重合時に使用する乳化剤、すなわち、前記アルキレンオキサイド基を有するα,β−不飽和化合物(A)の使用量は、エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、0.5〜2.0質量部であることが好ましい。乳化剤の使用量が0.5質量部未満であると、乳化重合時に凝集物が多くなり、樹脂粒子の安定化が不十分となってしまう場合がある。一方で、乳化剤の量が2.0質量部を超えると、低分子量の溶出成分が多くなり、画像の耐溶剤性が低下する場合がある。
樹脂粒子の水分散液を得る際に(樹脂粒子を合成する際に)用いられる重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、公知の水溶性重合開始剤や油溶性重合開始剤を使用することができる。
重合開始剤として、水溶性重合開始剤を使用することが好ましく、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドなどを好適に使用することができる。また、油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリルなどのアゾビス化合物を挙げることができる。重合開始剤は、1種単独で又は2種類以上を混合して使用することができる。重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0.1〜10.0質量部が好ましい。
樹脂粒子の比重は、0.95以上1.50以下が好ましく、1.00以上1.40以下がより好ましく、1.10以上1.30以下がさらに好ましい。さらには、樹脂粒子は、前記構成単位(a)と、前記構成単位(b)と、前記構成単位(c)とを有するとともに、比重が1.10以上1.30以下である共重合体が好ましい。
樹脂粒子の平均粒子径は、90nm以上550nm以下が好ましく、90nm以上500nm以下がより好ましく、150nm以上500nm以下がさらに好ましい。画像の発色性を向上させる観点から、樹脂粒子の平均粒子径は、有機顔料の平均粒子径に対する比率で、1.5倍以上5.0倍以下であることが必要である。この平均粒子径に関する比率は、より好ましくは1.6倍以上4.0倍以下である。
インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.5質量%以上20.0質量%以下が好ましく、1.8質量%以上20.0質量%以下がより好ましく、2.0質量%以上18.0質量%以下がさらに好ましい。また、インク中の樹脂粒子の含有量(体積%)は、インク全体積を基準として、1.2体積%以上18.0体積%以下が好ましく、1.4体積%以上16.0体積%以下がより好ましく、1.8体積%以上14.0体積%以下がさらに好ましい。画像の発色性を向上させる観点から、インク中の樹脂粒子の含有量(体積%)は、インク中の有機顔料の含有量(体積%)に対する体積比率で、1.5倍以上9.0倍以下であることが必要である。この体積比率は、1.9倍以上9.0倍以下であることがより好ましい。
(水性媒体)
本発明のインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクである。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクである。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下、さらには15.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲を外れると、高いレベルのインクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素やその誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素やその誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準(それぞれ「質量部」及び「質量%」)である。
<平均粒子径の測定条件>
以下、有機顔料及び樹脂粒子の平均粒子径は、次のように測定した。平均粒子径の測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置(商品名:ナノトラックUPA−EX150;日機装製)を用いた。有機顔料の平均粒子径は、顔料分散液を、ローディングインデックス値が1〜2の範囲になるように純水で希釈し、上記装置を用いて、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、屈折率:1.5の測定条件で測定した。また、樹脂粒子の平均粒子径は、調製した樹脂粒子を体積基準で50倍になるように純水で希釈し、上記装置を用いて、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、屈折率:1.5の測定条件で測定した。なお、本発明者らは、顔料分散液、及び樹脂粒子の水分散液について上記のようにして測定したそれぞれの平均粒子径の値と、インク中での有機顔料及び樹脂粒子の平均粒子径の値が同等であることを確認した。
以下、有機顔料及び樹脂粒子の平均粒子径は、次のように測定した。平均粒子径の測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置(商品名:ナノトラックUPA−EX150;日機装製)を用いた。有機顔料の平均粒子径は、顔料分散液を、ローディングインデックス値が1〜2の範囲になるように純水で希釈し、上記装置を用いて、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、屈折率:1.5の測定条件で測定した。また、樹脂粒子の平均粒子径は、調製した樹脂粒子を体積基準で50倍になるように純水で希釈し、上記装置を用いて、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、屈折率:1.5の測定条件で測定した。なお、本発明者らは、顔料分散液、及び樹脂粒子の水分散液について上記のようにして測定したそれぞれの平均粒子径の値と、インク中での有機顔料及び樹脂粒子の平均粒子径の値が同等であることを確認した。
<顔料分散液の調製>
表1の上段(単位:%)に示す各成分の混合物をバッチ式縦型サンドミルに入れて、表1の中段に示す時間分散した。樹脂分散剤の水溶液としては、酸価100mgKOH/g、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を10%水酸化ナトリウム水溶液で中和した、樹脂(固形分)の含有量が16.7%であるものを用いた。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去し、さらにポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行うことで、表1に示す顔料分散液1〜7を得た。表1の下段には、各顔料分散液中の有機顔料の含有量、顔料分散液中の樹脂の含有量、有機顔料の平均粒子径(D50)、及び有機顔料の比重を示した。
表1の上段(単位:%)に示す各成分の混合物をバッチ式縦型サンドミルに入れて、表1の中段に示す時間分散した。樹脂分散剤の水溶液としては、酸価100mgKOH/g、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を10%水酸化ナトリウム水溶液で中和した、樹脂(固形分)の含有量が16.7%であるものを用いた。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去し、さらにポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行うことで、表1に示す顔料分散液1〜7を得た。表1の下段には、各顔料分散液中の有機顔料の含有量、顔料分散液中の樹脂の含有量、有機顔料の平均粒子径(D50)、及び有機顔料の比重を示した。
<樹脂粒子の合成>
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えたフラスコを十分に窒素ガスで置換した。その後、表2の上段(単位:部)に示す成分を前記フラスコに入れ、25℃で撹拌して、プレエマルションを調製した。
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えたフラスコを十分に窒素ガスで置換した。その後、表2の上段(単位:部)に示す成分を前記フラスコに入れ、25℃で撹拌して、プレエマルションを調製した。
これとは別に、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えたフラスコを十分に窒素ガスで置換した。その後、表2の中段(単位:部)に示す成分を前記フラスコに入れ、70℃で撹拌し、ここに、先に得られたプレエマルションを3時間かけて滴下した。70℃でさらに3時間加熱熟成した後、冷却し、水酸化カリウム水溶液でpHを8となるよう調整し、#200メッシュのステンレス金網にてろ過し、樹脂粒子を含む水分散液500g(樹脂(固形分)40.0%)を得た。表2の下段には、各水分散液中の樹脂粒子の含有量、樹脂粒子の平均粒子径(D50)、樹脂粒子の比重、及び樹脂粒子のアルキレンオキサイド基の付加モル数を示した。なお、表2中の「アデカリアソープER−10、ER−20、ER−40」はアデカ製、「ラテムルPD−450」は花王製のアルキルエーテル系反応性界面活性剤の商品名である。
<付加モル数の算出方法>
上記で得られた、樹脂粒子を含む水分散液から樹脂粒子を分取し、乾固させた。乾固させた樹脂粒子30mgを4mLの重クロロホルムに溶解させ、1H−NMR(商品名「FT NMR SYSTEM JNM−LA300」、日本電子製)を用い、300MHzで分析を行った。重クロロホルムのケミカルシフトを7.30ppm基準として、以下のケミカルシフトの各ピークの積分値の比率から、平均値として付加モル数を算出した。
・0.87ppm(脂肪酸の末端メチル)
・1.13ppm〜1.15ppm(プロピレンオキサイドの側鎖のメチル)
・3.32ppm〜3.66ppm(プロピレンオキサイドのメチンとメチレン)
・3.52ppm〜3.71ppm(エチレンオキサイドのメチレン)
上記で得られた、樹脂粒子を含む水分散液から樹脂粒子を分取し、乾固させた。乾固させた樹脂粒子30mgを4mLの重クロロホルムに溶解させ、1H−NMR(商品名「FT NMR SYSTEM JNM−LA300」、日本電子製)を用い、300MHzで分析を行った。重クロロホルムのケミカルシフトを7.30ppm基準として、以下のケミカルシフトの各ピークの積分値の比率から、平均値として付加モル数を算出した。
・0.87ppm(脂肪酸の末端メチル)
・1.13ppm〜1.15ppm(プロピレンオキサイドの側鎖のメチル)
・3.32ppm〜3.66ppm(プロピレンオキサイドのメチンとメチレン)
・3.52ppm〜3.71ppm(エチレンオキサイドのメチレン)
<インクの調製>
表3の上段に示す顔料分散液及び樹脂粒子の水分散液を用い、表3の中段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表3の下段には、各インク中の有機顔料の含有量(%)及び樹脂粒子の含有量(%)を示した。また、有機顔料の平均粒子径(D50)に対する樹脂粒子の平均粒子径(D50)の比率、有機顔料の含有量(体積%)に対する樹脂粒子の含有量(体積%)の比率、及び樹脂粒子のアルキレンオキサイド基の付加モル数を示した。なお、表3中の「アセチレノールE100」は川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤の商品名である。
表3の上段に示す顔料分散液及び樹脂粒子の水分散液を用い、表3の中段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表3の下段には、各インク中の有機顔料の含有量(%)及び樹脂粒子の含有量(%)を示した。また、有機顔料の平均粒子径(D50)に対する樹脂粒子の平均粒子径(D50)の比率、有機顔料の含有量(体積%)に対する樹脂粒子の含有量(体積%)の比率、及び樹脂粒子のアルキレンオキサイド基の付加モル数を示した。なお、表3中の「アセチレノールE100」は川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤の商品名である。
<評価>
上記で得られた各インクをそれぞれ充填したインクカートリッジを、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名:PIXUS MX7600;キヤノン製)のイエローのポジションに搭載した。この記録装置は、1/600dpi×1/600dpiの単位領域に、1滴当たりの質量が5.0ngのインク滴を4ドット付与する場合を、記録デューティ100%とするものである。本発明においては、下記の評価基準で、B以上を許容できるレベル、AAを優れているレベルとし、Cを許容できないレベルとした。
上記で得られた各インクをそれぞれ充填したインクカートリッジを、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名:PIXUS MX7600;キヤノン製)のイエローのポジションに搭載した。この記録装置は、1/600dpi×1/600dpiの単位領域に、1滴当たりの質量が5.0ngのインク滴を4ドット付与する場合を、記録デューティ100%とするものである。本発明においては、下記の評価基準で、B以上を許容できるレベル、AAを優れているレベルとし、Cを許容できないレベルとした。
(発色性の評価)
上記のインクジェット記録装置により、記録媒体(普通紙、商品名:PB PAPER;キヤノン製)に、記録デューティを10%から100%まで2%刻みとしたベタ画像を含むパターンを記録した。上記で得られた記録物における画像について、Spectrolino(Gretag Macbeth製)を用いてCIEL*a*b*表示系に基づくa*及びb*を測定した。顔料の含有量による差を補正するため、各インクについて、顔料の付与量がほぼ等量となるデューティ部分のパターンにおいて測定を行った。そして、彩度c*={(a*)2+(b*)2}1/2の値を算出し、c*の値から、以下に示す評価基準にしたがって発色性を評価した。
AA:c*が65以上であった。
A:c*が63以上65未満であった。
B:c*が60以上63未満であった。
C:c*が60未満であった。
上記のインクジェット記録装置により、記録媒体(普通紙、商品名:PB PAPER;キヤノン製)に、記録デューティを10%から100%まで2%刻みとしたベタ画像を含むパターンを記録した。上記で得られた記録物における画像について、Spectrolino(Gretag Macbeth製)を用いてCIEL*a*b*表示系に基づくa*及びb*を測定した。顔料の含有量による差を補正するため、各インクについて、顔料の付与量がほぼ等量となるデューティ部分のパターンにおいて測定を行った。そして、彩度c*={(a*)2+(b*)2}1/2の値を算出し、c*の値から、以下に示す評価基準にしたがって発色性を評価した。
AA:c*が65以上であった。
A:c*が63以上65未満であった。
B:c*が60以上63未満であった。
C:c*が60未満であった。
(固着回復性の評価)
上記で得られた各インクをそれぞれ開放系の容器に入れ、20質量%蒸発させた液体(濃縮インク)をそれぞれ調製した。得られた濃縮インクを収容したインクカートリッジを、上記のインクジェット記録装置の記録ヘッドに搭載して、温度30℃、湿度10%RHの環境に5日間放置した。その後、記録ヘッドを上記と同じインクジェット記録装置に装着し、ノズルチェックパターンを記録した。得られたノズルチェックパターンを目視で確認して、正常に記録が行われていなかったインクについては、正常な記録が行われるまでクリーニング操作を行い、以下の評価基準にしたがって固着回復性を評価した。なお、濃縮インクを用いて評価を行ったのは、固着回復性をより厳しい条件で評価することで、本発明のインクが固着回復性の点で十分に優れる性能を有することを確認するためである。
AA:クリーニング操作を行うことなく、正常に記録を行うことができた。
A:1回のクリーニング操作で正常に記録を行うことができた。
B:2回のクリーニング操作で正常に記録を行うことができた。
C:正常に記録を行うことができるようになるまでに、3回以上のクリーニング操作を要した。
上記で得られた各インクをそれぞれ開放系の容器に入れ、20質量%蒸発させた液体(濃縮インク)をそれぞれ調製した。得られた濃縮インクを収容したインクカートリッジを、上記のインクジェット記録装置の記録ヘッドに搭載して、温度30℃、湿度10%RHの環境に5日間放置した。その後、記録ヘッドを上記と同じインクジェット記録装置に装着し、ノズルチェックパターンを記録した。得られたノズルチェックパターンを目視で確認して、正常に記録が行われていなかったインクについては、正常な記録が行われるまでクリーニング操作を行い、以下の評価基準にしたがって固着回復性を評価した。なお、濃縮インクを用いて評価を行ったのは、固着回復性をより厳しい条件で評価することで、本発明のインクが固着回復性の点で十分に優れる性能を有することを確認するためである。
AA:クリーニング操作を行うことなく、正常に記録を行うことができた。
A:1回のクリーニング操作で正常に記録を行うことができた。
B:2回のクリーニング操作で正常に記録を行うことができた。
C:正常に記録を行うことができるようになるまでに、3回以上のクリーニング操作を要した。
Claims (7)
- 有機顔料及び樹脂粒子を含有するインクジェット用の水性インクであって、
前記樹脂粒子の平均粒子径が、前記有機顔料の平均粒子径に対する比率で、1.5倍以上5.0倍以下であり、
前記インク中の前記樹脂粒子の含有量(体積%)が、前記インク中の前記有機顔料の含有量(体積%)に対する体積比率で、1.5倍以上9.0倍以下であり、
前記樹脂粒子がアルキレンオキサイド基を含有し、前記アルキレンオキサイド基の付加モル数が20以上40以下であることを特徴とする水性インク。 - 前記有機顔料の比重が、1.40以上1.70以下である請求項1に記載の水性インク。
- 前記樹脂粒子が、前記アルキレンオキサイド基を有するα,β−不飽和化合物(A)に由来する構成単位(a)と、α,β−不飽和カルボン酸化合物(B)に由来する構成単位(b)と、前記(A)及び前記(B)以外のα,β−不飽和化合物(C)に由来する構成単位(c)と、を有する共重合体であり、
前記樹脂粒子の比重が、1.10以上1.30以下である請求項1又は2に記載の水性インク。 - 前記有機顔料の含有量が、インク全質量を基準として、2.0質量%以上6.0質量%以下であり、
前記樹脂粒子の含有量が、インク全質量を基準として、1.8質量%以上20.0質量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。 - 前記有機顔料の平均粒子径が、60nm以上150nm以下であり、
前記樹脂粒子の平均粒子径が、90nm以上500nm以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。 - インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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JP2015163752A JP2017039888A (ja) | 2015-08-21 | 2015-08-21 | 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 |
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JP2019218435A (ja) * | 2018-06-15 | 2019-12-26 | セーレン株式会社 | インクジェットインク、インクジェットプリント物およびインクジェットプリント物の製造方法 |
-
2015
- 2015-08-21 JP JP2015163752A patent/JP2017039888A/ja active Pending
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