JP2017039851A - 導電性組成物、導電体及び前記導電体が形成された積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性ポリマー(A)、水系エマルション(B)及び水溶性ポリマー(C)を含む導電性組成物であって、導電性ポリマー(A)100質量部に対し、水系エマルション(B)50〜200質量部及び水溶性ポリマー(C)250〜850質量部を含む導電性組成物、前記導電性組成物を用いた導電体、及び少なくとも基材の一面に、前記導電体が形成された積層体。
【選択図】 なし
Description
フィルムには帯電防止性を付与する方法として、カーボンやITO(インジウム・スズ酸化物)等の各種導電性フィラーや界面活性剤をフィルム表面に塗布する方法がよく知られている。
また、特許文献2では、ポリカチオン状のポリチオフェンとポリアニオンとからなる導電性高分子とポリエチレングリコールとを含む水系の帯電防止コーディング組成物が提案されている。
これらの方法で形成した帯電防止層は、高い帯電防止性能と導電膜が透明性を有しているが、フィルム上に形成された導電膜の基材への密着性とメチルエチルケトン(以下、MEK)で拭取ることで塗膜が脱離して、導電性が劣化しまう問題があった。
[1] 導電性ポリマー(A)、水系エマルション(B)及び水溶性ポリマー(C)を含む導電性組成物であって、導電性ポリマー(A)100質量部に対し、水系エマルション(B)50〜200質量部及び水溶性ポリマー(C)250〜850質量部を含む導電性組成物。
[2] イソシアネート化合物(D)をさらに含む、[1]記載の導電性組成物。
[3] 前記導電性ポリマー(A)が、チオフェン誘導体及び/またはアニリン誘導体を構成単位として有する、[1]または[2]記載の導電性組成物。
[4] 前記アニリン誘導体が酸性基を有する、[3]記載の導電性組成物。
[5] 前記酸性基が、スルホン酸基及び/またはカルボキシ基である、[4]記載の導電性組成物。
[6] 前記導電性ポリマー(A)が、下記一般式(1)で表される単位を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の導電性組成物。
式(1)中、R1〜R4は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、酸性基、水酸基、ニトロ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれ、R1〜R4のうちの少なくとも1つは酸性基である。
[7] 前記水溶性ポリマー(C)が水酸基を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の導電性組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の導電性組成物を用いた導電体。
[9] 少なくとも基材の一面に、[8]記載の導電体が形成された積層体。
[導電性組成物]
本発明の導電性組成物は、導電性ポリマー(A)、水系エマルション(B)及び水溶性ポリマー(C)を含有する。
なお、本発明において「可溶性」又は「水溶性」とは、水、塩基及び塩基性塩を含む水、酸を含む水、有機溶媒(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等)、又はそれらの混合物10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。
また、「導電性」とは、導電率10−9S/cm以上または表面抵抗率1015Ω/□以下の電気伝導率を有することである。
本発明における導電性ポリマー(A)は、酸性基を有する。
ここで、水溶性及び導電性向上の観点から、酸性基は、スルホン酸基及び/又はカルボキシ基が好ましい。(以下、スルホン酸基、カルボキシ基を総称して「酸性基」という場合がある。)
前記導電性ポリマー(A)としては特に限定されず、公知の導電性ポリマーを用いることができる。
具体的には、無置換又は置換基を有するポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリイソチアナフテン、ポリフラン、ポリカルバゾール、ポリジアミノアントラキノン、ポリインドールからなる群より選ばれた少なくとも1種のπ共役系導電性ポリマー中の骨格に、酸性基、好ましくは、スルホン酸基及び/又はカルボキシ基、又はこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩若しくは置換アンモニウム塩、あるいはスルホン酸基及び/又はカルボキシ基、又はこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩若しくは置換アンモニウム塩で置換されたアルキル基又はエーテル結合を含むアルキル基を有している導電性ポリマーが挙げられる。
また、該π共役系導電性ポリマー中の窒素原子上に、酸性基、好ましくは、スルホン酸基及び/又はカルボキシ基、又はこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩若しくは置換アンモニウム塩、あるいはスルホン酸基及び/又はカルボキシ基、又はこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩若しくは置換アンモニウム塩で置換されたアルキル基又はエーテル結合を含むアルキル基を有している導電性ポリマーが挙げられる。
なお、スルホン酸基には、スルホン酸基を有する置換基(−R35SO3H)や、スルホン酸基のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、又は置換アンモニウム塩なども含まれる。
一方、カルボキシ基には、カルボキシ基を有する置換基(−R35COOH)や、カルボキシ基のアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は置換アンモニウム塩なども含まれる。
また、より高い導電性を発現できる観点から、酸性基としてはスルホン酸基又はカルボキシ基が好ましい。
但し、R8〜R25のうちの少なくとも1つは酸性基である。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘプトキシ基、ヘクソオキシ基、オクトキシ基、ドデコキシ基、テトラコソキシ基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
すなわち、下記一般式(6)で表される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩より選ばれる1つの化合物を、塩基性化合物を含む溶液中、酸化剤の存在下で重合させることにより前記導電性ポリマー(A)を得ることができる。
但し、R28〜R31のうちの少なくとも1つは、酸性基である。
また、導電性ポリマー(A)の質量平均分子量は、溶解性、導電性、製膜性及び膜強度の観点から、2000〜300万であることが好ましく、3000〜100万であることがより好ましく、5000〜50万であることがさらに好ましく、3万〜10万であることが特に好ましい。
ここで、導電性ポリマー(A)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算した質量平均分子量である。
本発明の導電性組成物は、水系エマルション(B)を含有する。水系エマルションとしては、水系媒体中に微細、例えば平均粒径が0.001〜2.0μm程度の樹脂粒子がエマルション状態で分散されている熱可塑性、熱硬化性の高分子化合物である。導電性組成物に水系エマルション(B)が含まれていれば、得られる導電性のプラスチック基材への密着性と導電膜の導電性がより向上する。
本発明の導電性組成物は、水溶性ポリマー(C)を含有する。但し、前記導電性ポリマー(A)は含まれない。水溶性ポリマー(C)としては、熱可塑性、熱硬化性の水溶性ポリマーを形成するものが用いられる。導電性組成物に水溶性ポリマー(C)が含まれていれば、導電性ポリマー同士や水系エマルション同士を覆うことで得られる導電体の耐溶剤性を向上する。
また、ポリビニルアルコールを用いた場合、PET密着性の観点より、鹸化度は好ましくは70mol%以上100mol%以下が好ましく、さらに好ましくは80mol%以上99mol%以下である。
本発明の導電性組成物には、基材への密着性向上することからイソシアネート化合物(D)を含むことが好ましい。イソシアネート化合物(D)としては、後述する溶媒(E)に溶解するものであれば特に限定されない。
本発明の導電性組成物には、溶媒(E)を含むことが好ましい。溶媒(E)は、導電性ポリマー(A)を溶解又は分散するものであれば特に限定されない。
例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類、乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類などが好ましく用いられる。特に、溶解性の観点から、水、水と有機溶媒との混合溶媒が好ましく用いられる。
ここで、溶媒(E)の含有量が200質量部以上であれば、十分な溶解性が得られ、表面が平坦な導電体が得られやすくなる。
本発明の導電性組成物には、上述した導電性ポリマー(A)、水系エマルション(B)、水溶性ポリマー(C)、イソシアネート化合物(D)、溶媒(E)の他にも、任意に公知の添加剤を含有させることができる。
添加剤としては、塩基性化合物、架橋剤、可塑剤、分散剤、流動性調整剤、界面活性剤、滑剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、保存安定剤、接着助剤、増粘剤、レベリング剤、帯電防止剤、無機フィラー、スリップ剤、有機フィラーなどが挙げられる。
本発明の導電体は、本発明の導電性組成物を基材に塗布して、乾燥させることで形成される。
本発明の積層体は、少なくとも基材の一面に、前記導電体が形成されたものである。
以下、本発明の積層体の製造方法の一例について説明する。
プラスチック及びそのフィルムに用いられる高分子化合物としては、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルニトリル、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン等が挙げられる。
プラスチック基材やそのフィルムには、導電体との密着性を向上させるために、導電体が形成される面に、予めコロナ表面処理又はプラズマ処理を施しておいてもよい。
また、コンデンサの電極等に用いられるアルミニウム、タンタル、ニオブ等の酸化皮膜表面に、導電性組成物を塗布して導電体を形成してもよい。
導電体を加熱処理すれば、前述の水溶性ポリマー(C)の結晶化が促進され、耐溶剤性が向上し、水系エマルション(B)の基材への密着性も向上する。加えて、溶媒(E)の揮発も促進されるので、導電体の導電性がより向上する。
ここで、加熱処理温度は300℃以下が好ましく、より好ましくは250℃以下であり、特に好ましくは200℃以下である。
加熱処理温度が300℃以下であれば、導電性ポリマー(A)自体が分解するのを抑制できるので、導電性を良好に維持できる。
透明性に関しては、全光線透過率は85%以上が好ましく、90%以上が更に好ましい
本発明の導電体は、本発明の導電性組成物より形成される導電体を備えるので、高い導電性、透明性と密着性を有し、耐溶剤性等の耐MEK性を有する。よって、導電性と耐溶剤性等の耐MEK性を有し帯電防止性を必要とする用途に好適である。
<導電性ポリマー(A);ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸)>
2−メトキシアニリン−5−スルホン酸100mmolを、25℃で4mol/Lのトリエチルアミン水溶液に攪拌溶解し、これにペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。
滴下終了後、25℃で12時間さらに攪拌した後に、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、ポリマー粉末(ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸))15gを得た。
得られた粉末10質量部を100質量部の水に溶解し、陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、「アンバーライトIR−120B」)にて陽イオン交換し、ポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸)水溶液(a−1)を得た。
表1に示す導電性組成物を、PETフィルム基材上の塗布し、120℃1分乾燥後に積層体を得た。
得られた積層体について、以下に示す方法により、導電性、全光線透過率、耐溶剤性として耐MEK性、密着性を評価した。
尚、用いたPETフィルムはルミラーT60(東レ製)を用いた。
結果を表2に示す。
表1に示す導電性組成物を、ワイヤーバーNo5(想定膜厚100nm)を用いて、PETフィルム基材上に塗布して、塗膜を形成した後、乾燥機にて120℃1分加熱後、導電体を得た。
得られた導電体の表面抵抗値を2端子法(電極間距離:20mm)により測定した。用いた装置はハイレスターMP−450(三菱アナリテック社製)にて測定した。
○:1×1011Ω/□未満
△:1011Ω/□台
×:1×1012Ω/□以上
JIS K 7105に従い、ヘイズメーターHM-65W(村上色彩技術研究所製)にて測定を実施した。
○:全光線透過率90%以上
×:全光線透過率90%未満
PET基材上に形成された導電体を、MEKをウェスにしみこませ拭き取り試験を実施した。
○:導電膜が剥れない(拭き取り前後で導電性が劣化しない)
×:導電膜が剥れる(拭き取り前後で導電性が劣化する)
JIS K5600 5−6に従い、碁盤目剥離試験を実施した。
◎:PET基材上への残膜率 ≧91/100
○:PET基材上への残膜率 =50〜90/100
△:PET基材上への残膜率 =30〜49/100
×:PET基材上への残膜率 <29/100
a−1:[製造例]記載のポリ(2−メトキシアニリン−5−スルホン酸)水溶液
a−2:ポリチオフェン水溶液(Heraeus製:pH500)
<水系エマルション(B)>
b−1:水系ウレタンエマルション(第一工業製薬製:エラストロンH−3)
b−2:水系ポリエステル樹脂(東洋紡製:バイロナールM1985)
b−3:水系ポリエステル樹脂(日本合成化学製:ポリエスターWR905)
<水溶性ポリマー(C)>
c−1:ポリビニルアルコール(クラレ製:PVA−103、鹸化度:98−99mol%)
c−2:ポリビニルアルコール(クラレ製:PVA−417、鹸化度:78−80mol%)
<イソシアネート化合物(D)>
d−1:ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成ケミカルズ製:デュラネートWT30−100)
Claims (9)
- 導電性ポリマー(A)、水系エマルション(B)及び水溶性ポリマー(C)を含む導電性組成物であって、導電性ポリマー(A)100質量部に対し、水系エマルション(B)50〜200質量部及び水溶性ポリマー(C)250〜850質量部を含む導電性組成物。
- イソシアネート化合物(D)をさらに含む、請求項1記載の導電性組成物。
- 前記導電性ポリマー(A)が、チオフェン誘導体及び/またはアニリン誘導体を構成単体として有する、請求項1または2記載の導電性組成物。
- 前記アニリン誘導体が酸性基を有する、請求項3記載の導電性組成物。
- 前記酸性基が、スルホン酸基及び/またはカルボキシ基である、請求項4記載の導電性組成物。
- 前記導電性ポリマー(A)が、下記一般式(1)で表される単位を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性組成物。
(式(1)中、R1〜R4は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、酸性基、水酸基、ニトロ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれ、R1〜R4のうちの少なくとも1つは酸性基である。) - 前記水溶性ポリマー(C)が水酸基を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電性組成物を用いた導電体。
- 少なくとも基材の一面に、請求項8記載の導電体が形成された積層体。
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