JP2017037152A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
該定着ローラと該エンドレスベルトとで形成される定着ニップは、定着ニップ内の後半部における圧力の平均値が前半部の圧力の平均値よりも高くなるように構成されており、
該定着ローラは、金属製の基体と、該基体上に設けられた、シリコーンゴムを含む弾性層と、該弾性層上に設けられた、厚さが15μm以上25μm以下の離型層とを有し、
該離型層は、メルトフローレート(MFR)が1g/10min以上3g/10min以下のフッ素樹脂を含み、
該離型層は、該フッ素樹脂を含む離型層形成用塗料の塗膜を焼成することによって形成されたものであり、
該弾性層は酸化チタンと高熱伝導性フィラーとを含み、
該定着ローラの該弾性層から切り出した試験片の引張強度が0.9MPa以上2.5MPa以下であり、
該試験片の弾性率が0.3MPa以上1.0MPa以下であることを特徴とする定着装置が提供される。
(i)液状シリコーンゴムと高熱伝導性フィラーとを含む液状シリコーンゴム組成物であって、該液状シリコーンゴム組成物を通常の条件で硬化させたときの引張強度(以降、「初期強度」と称す)が1.5MPa以上である液状シリコーンゴム組成物を用いること
(ii)液状シリコーンゴム組成物に酸化チタンを添加すること
(iii)フッ素樹脂の焼成工程において、フッ素樹脂を含む離型層形成用塗料の塗膜の昇温速度を3℃/秒以上7℃/秒以下とすること。
図3は、本発明に係る定着装置に好適に搭載される定着ローラの一例の概略断面図である。定着ローラ91は、基体91aと、基体91a上に設けられた弾性層91bと、弾性層91b上に設けられた離型層91cとで構成されている。離型層91cを設けることにより、加熱溶融されたトナーが定着ローラ91aの表面へ付着するのを抑制することができる。
定着ローラ91の基体91aとしては、画像形成装置の駆動時の発熱に耐えうる耐熱性と、加圧時の圧力に耐えうる機械的強度を備えるため、金属製の基体を用いることが好ましい。基体91aとしては、特に、外形φ18mm〜34mmの、Fe、SUS、及びAlから選ばれるいずれかの金属製の円筒基体が好適に用いられる。
弾性層91bは、シリコーンゴム、高熱伝導性フィラーおよび酸化チタンを含んでいる。
定着ローラ91は、その弾性層91bから切り出した試験片の引張強度が0.9MPa以上2.5MPa以下であり、試験片の弾性率が0.3MPa以上1.0MPa以下である。
弾性層91bは、液状シリコーンゴム組成物を硬化させて得ることが可能である。液状シリコーンゴム組成物は、液状シリコーンゴム、高熱伝導性フィラーおよび酸化チタンを含んで構成されている。
シリコーンゴムの原料は、室温で流動性を持つポリマーであって加熱により硬化が進行する液状シリコーンゴムであることが好ましい。かかる液状シリコーンゴムによって形成される弾性層91b(以下、「硬化シリコーンゴム層」と称すことがある。)は、適度に低硬度であり、定着装置で用いるのに十分な耐熱性と変形回復力を有する。特に、加工性が良好で寸法精度の安定性が高く、かつ、硬化反応時に反応副生成物が発生しないことから、付加硬化型の液状シリコーンゴムを用いることが好ましい。
(a)不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン;
(b)ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン;
(c)ヒドロシリル化触媒。
・分子両末端がR12R2SiO1/2で表され、中間単位がR12SiO及びR1R2SiOで表される直鎖状オルガノポリシロキサン
・分子両末端がR12R2SiO1/2で表され、中間単位にR1SiO3/2及び/又はSiO4/2が含まれる分岐状ポリオルガノシロキサン
ここで、R1はケイ素原子に結合した、脂肪族不飽和基を含まない1価の非置換又は置換の炭化水素基を表す。具体例は、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基)、アリール基(フェニル基、ナフチル基)、置換炭化水素基(例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−シアノプロピル基、3−メトキシプロピル基)が挙げられる。
また、弾性層91bは、高い熱伝導率を有することが好ましく、かかる高熱伝導率を達成するために高熱伝導性フィラーを含んでいる。
また、弾性層91bは、焼成工程で高温に曝されたときの弾性層91bの引張強度の低下を抑制するために、酸化チタンを含んでいることが重要である。
計算式(1)
ルチル化率(質量%)=100−100/(1+1.2×Ir/Ia)
計算式(1)において、Irは、X線回折パターンにおける酸化チタンが有するルチル型構造の最強干渉線(面指数110)のピーク面積であり、Iaは、X線回折パターンにおける酸化チタン結晶が有するルチル型構造の最強干渉線(面指数101)のピーク面積である。
X線源:Cu−Kα線
管電圧/電流:30Kv/20mA
走査範囲:10゜〜80゜
スキャン速度:2.0゜/分
サンプリング速度:0.01゜
積算回数:3回
測定したX線回折プロファイルにおいて、2θ=25.3°付近に、アナターゼ型酸化チタン粒子の結晶の面指数(101)に特徴的な回折ピークが、最も強い強度で確認することが可能である。
予めプライマー処理された基体91aの上に弾性層91bを形成する。弾性層91bを形成する方法としては、リングコート法が好適に挙げられる。
離型層91cを形成するフッ素樹脂の原料としては、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂、四フッ化エチレン(PTFE)樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)樹脂が好ましく用いられる。これらのフッ素樹脂の中でも、特に、トナーの離型性に優れたPFA樹脂を主たるフッ素樹脂成分として用いることが好ましい。フッ素樹脂中におけるPFA樹脂の割合は、50質量%以上、100質量%以下であることが好ましい。
離型層91cは、弾性層91bの基体91aと対向する側とは反対側の面上に設けられた、フッ素樹脂を含む離型層形成用塗料の塗膜を焼成することによって形成される(コート法)。なお、本発明において、表面層が、弾性層上に形成した、メルトフローレートが1g/10min.以上3g/10min.以下のフッ素樹脂を含む離型層形成用塗料の塗膜を焼成することによって形成されたものである、とは、高分子量のフッ素樹脂を弾性層上にて焼成させる工程を含むことにより、弾性層が当該焼成時の高温に曝されて熱劣化し得る環境を経てきたものであることを意味する。ここで、弾性層が、上記したような高分子量のフッ素樹脂を熔融させるために必要な高温に曝されたものであることを、弾性層中のシリコーンゴムの構造または特性で規定することは困難であると考えられる。
まず、フッ素樹脂を含む離型層形成用塗料を弾性層91b上に塗布して乾燥させ、フッ素樹脂を含む塗膜(以下、単に「塗膜」とも称す)を形成する。
続いて、弾性層91b上の塗膜を加熱溶融し、フッ素樹脂膜を形成する。該塗膜を加熱すると、まずアクリル樹脂が先に分解し始め、続いてフッ素樹脂が融解し合一化してフッ素樹脂膜となる。
図1は本発明の一実施形態に係る定着装置の一例の概略断面図である。
図2は、本発明にかかる画像形成装置の一例の概略断面図である。
(定着ローラE1)
ステンレス鋼(SUS)製の、外径30mm、厚さ150μm、長さ270mmの円筒基体91aを用意した。
離型層91cの厚さを20μmに、昇温速度を7℃/秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE2を作製した。
離型層91cの厚さを20μmに、昇温速度を3℃/秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE3を作製した。
離型層91cの厚さを20μmに、昇温速度を3℃/秒に変更し、成膜剤として分解温度(T1)が260℃であるアクリル樹脂を使用したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE4を作製した。
離型層91cの厚さを20μmに変更し、フッ素樹脂粒子としてMFRが1g/10minであるPFA樹脂粒子(商品名「451HP―J」、三井・デュポンフロロケミカル社製:)を使用したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE5を作製した。
離型層91cの厚さを20μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラEを作製した。
離型層91cの厚さを15μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE7を作製した。
高熱伝導性フィラーとして、金属珪素「M−Si#600」を液状シリコーンゴム組成物に対して50体積%となるように混入したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE8を作製した。
高熱伝導性フィラーとして、金属珪素「M−Si#600」を液状シリコーンゴム組成物に対して30体積%となるように混入したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE9を作製した。
弾性層91bの厚さを200μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE10を作製した。
弾性層91bの厚さを600μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE11を作製した。
高熱伝導性フィラーとして、球状アルミナ(商品名「CB−10」、昭和電工社製)を液状シリコーンゴム組成物に対して48体積%となるように混入したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE12を作製した。
高熱伝導性フィラーとして、炭化ケイ素(商品名「緑色炭化けい素NG」、大平洋ランダム社製)を液状シリコーンゴム組成物に対して42体積%となるように混入したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE13を作製した。
基体91aの板厚を110μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE14を作製した。
基体91aの板厚を200μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラE15を作製した。
離型層91cの厚さを20μmに変更し、フッ素樹脂粒子としてMFRが8g/10minであるPFA樹脂粒子(商品名「945HP Plus」、三井・デュポンフロロケミカル社製)を使用したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラC1を作製した。
実施例1と同様にして弾性層91bまで形成した部材上に、接着剤(商品名「TSE3033」、モメンティブ・パーフォマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)を、厚さ8μmとなるように塗布した。さらに、その上から厚さ30μmの、アルカリ金属ナトリウム法で処理されたPFAチューブを被せ、200℃で10分加熱することで弾性層91bの表面にPFAチューブを接着した。なお、ここで用いたPFAチューブは、三井・デュポンフロロケミカル社製の「350−J」(商品名)を用い、押出成形で作製したものである。
離型層91cの厚さを10μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラC3を作製した。
離型層91cの昇温速度を1℃/秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラC4を作製した。
高熱伝導性フィラーとして、金属珪素「M−Si#600」を液状シリコーンゴム組成物に対して55体積%となるように混入したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラC5を作製した。
高熱伝導性フィラーとして、金属珪素「M−Si#600」を液状シリコーンゴム組成物に対して25体積%となるように混入したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラC6を作製した。
高熱伝導性フィラーの含有量を60体積%に変更したこと以外は実施例1と同様にして定着ローラC7を作製した。
作製した定着ローラE1〜E15及び定着ローラC1〜C6について、下記に示す測定を行った。測定結果はまとめて表2に示した。
先に述べた方法によって、定着ローラの弾性層の引張強度および弾性率を求めた。
先に述べた方法によって、定着ローラの弾性層の熱伝導率を求めた。
先に述べた方法によって、各定着ローラの離型層91cの表面全域において、算術平均粗さ(Sa)および最大断面高さ(St)をそれぞれ算出した。そして、得られた算術平均粗さ(Sa)のうち、最小値および最小値を求め、それぞれSa(min)およびSa(max)とした。また、得られた最大断面高さ(St)の最大値をSt(max)として求めた。
作製した定着ローラE1〜E15及び定着ローラC1〜C6について、下記に示す性能評価を行った。評価結果はまとめて表2に示した。
上記各定着ローラについて、離型層91cの耐久性を評価するために耐久試験を行った。まず、図1の構成を有する定着装置に各定着ローラを装着し、この定着装置を、60枚/分(プロセススピード350mm/sec)の高速定着が可能なレーザービームプリンタに組み込んだ。なお、この定着装置は、分離ローラの平均加圧力(分離ニップ部の平均加圧力)は、4.0kgf/cm2、加圧パッドの平均加圧力(加圧ニップ部の平均加圧力)は1.0kgf/cm2である。そして、連続通紙モードでA4サイズの紙を連続して30万枚通紙した。定着時の各定着ローラの表面温度は200℃に設定し、通紙は温度15℃、湿度20%の環境下で行った。そして、連続通紙後に定着ローラを取り外し、該定着ローラの表面を目視で観察し、定着ローラの耐久性を下記基準にて評価した。
評価ランク「A」:離型層の剥離や弾性層の破損が認められない。
評価ランク「B」:離型層に剥離が認められる、または、弾性層の破損が認められる。
上記各定着ローラの定着性を評価する試験を行った。耐久試験と同様に、図1の構成を有する定着装置に上記各定着ローラを装着し、この定着装置を、60枚/分(プロセススピード350mm/sec)の高速定着が可能なレーザービームプリンタに組み込んだ。そして、記録材Pとして、坪量75g/cm2のレターサイズのラフ紙(Fox River Paper社製:フォックスリバーボンド)を用い、5mm角の黒およびハーフトーン(灰色)パターンが1枚の紙上に、それぞれ9か所ずつ形成された画像を、連続で250枚出力した。なお、画像出力中の定着ローラの表面温度は200℃になるように設定した。また、画像の出力は、温度15℃、相対湿度/20%の環境下で行った。
計算式(2)
濃度低下率(%)=摺擦後の光学濃度/摺擦前の光学濃度×100
この擦り試験による濃度低下率が小さいほど定着性が良いということになる。この濃度低下率を、250枚目の画像上の全てのパターン上において算出し、下記基準にて定着ローラの定着性を評価した。
評価ランク「A」:全てのパターンにおいて濃度低下率が20%以下である。
評価ランク「B」:濃度低下率が20%を超えるパターンが1つ以上ある。
91 定着ローラ
92 エンドレスベルト
93 分離ローラ
94 加圧パッド(加圧部材)
Claims (10)
- 回転可能な定着ローラと、
該定着ローラに接し、回転可能なエンドレスベルトと、
該エンドレスベルトの内面に接し、該エンドレスベルトを介して該定着ローラに加圧する加圧部材と、
を有する定着装置であって、
該定着ローラと該エンドレスベルトとで形成される定着ニップは、定着ニップ内の後半部における圧力の平均値が前半部の圧力の平均値よりも高くなるように構成されており、
該定着ローラは、
金属製の基体と、
該基体上に設けられた、シリコーンゴムを含む弾性層と、
該弾性層上に設けられた、厚さが15μm以上25μm以下の離型層とを有し、
該離型層は、メルトフローレート(MFR)が1g/10min以上3g/10min以下のフッ素樹脂を含み、
該離型層は、該フッ素樹脂を含む離型層形成用塗料の塗膜を焼成することによって形成されたものであり、
該弾性層は酸化チタンと高熱伝導性フィラーとを含み、
該定着ローラの該弾性層から切り出した試験片の引張強度が0.9MPa以上2.5MPa以下であり、
該試験片の弾性率が0.3MPa以上1.0MPa以下であることを特徴とする定着装置。 - 前記離型層の表面の算術平均粗さ(Sa)が0.1μm以上0.5μm以下であり、最大断面高さ(St)が10.0μm以下である請求項1に記載の定着装置。
- 前記酸化チタンがアナターゼ型酸化チタンである請求項1または2に記載の定着装置。
- 前記高熱伝導性フィラーが、金属珪素、炭化珪素、及び、アルミナからなる群より選ばれる少なくとも一つである請求項1〜3のいずれか一項に記載の定着装置。
- 前記弾性層中の前記高熱伝導性フィラーの含有量が25体積%以上55体積%以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の定着装置。
- 前記弾性層の熱伝導率が0.6W/m・K以上1.5W/m・K以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の定着装置。
- 前記弾性層の厚さが200μm以上600μm以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の定着装置。
- 前記フッ素樹脂がPFA樹脂である請求項1〜7のいずれか一項に記載の定着装置。
- 前記離型層に含まれるフッ素樹脂の全体のMFRが1g/10min以上3g/10min以下である請求項1〜8のいずれか一項に記載の定着装置。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の定着装置を具備することを特徴とする画像形成装置。
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