JP2004163715A - 加熱定着部材及びそれを有する画像形成装置 - Google Patents

加熱定着部材及びそれを有する画像形成装置 Download PDF

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Norihiko Yasuse
徳彦 安瀬
Kyoichi Ashikawa
恭一 芦川
Nozomi Takahata
望 高畑
Koji Kamiya
公二 神谷
Takuzo Kurachi
卓三 倉地
Atsushi Ishibe
篤 石部
Haruaki Kondo
玄章 近藤
Takayuki Yoshii
孝之 吉井
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Abstract

【課題】フッ素樹脂焼成時の熱による弾性層を構成する耐熱性合成ゴムの劣化を低減して、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に耐久性を向上させた加熱定着部材及びそれを有する画像形成装置を低コストで提供する。
【解決手段】基体1上に、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層2、及び、フッ素系樹脂で構成される離型層3を順次有する加熱定着部材10において、該弾性層2が、酸化錫及び酸化チタンから選ばれる少なくとも一つを含有している。前記酸化錫は、好ましくは、酸素欠損型酸化錫である。前記耐熱性合成ゴムは、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及び、フロロシリコーンゴムから選ばれる耐熱性合成ゴムである。前記フッ素系樹脂は、例えば、PFA、FEP、PTFE等のフッ素系樹脂である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写紙上に形成されたトナーで構成される未定着像を加熱、加圧して定着するために用いられる加熱定着部材、及び、それを有する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来の電子写真方式の画像形成装置の説明図である。図7に示されているように、従来の電子写真方式の画像形成装置100、例えば、複写機及びレーザプリンタは、静電潜像が形成される感光体ドラム101、感光体ドラム101に接触して帯電処理を行う帯電ローラ102、レーザビーム等の露光手段103、感光体ドラム101の静電潜像にトナーを付着させる現像ローラ104、帯電ローラ102にDC電圧を印加するためのパワーパック105、感光体ドラム101上のトナー像を記録紙107に転写処理する転写ローラ106、転写処理後の感光体ドラム101をクリーニングするためのクリーニング装置108、感光体ドラム101の表面電位を測定する表面電位計109、並びに、熱定着ローラ111及び加圧ローラ112からなる熱定着装置110によって構成されている。
【0003】
この電子写真方式を用いる画像形成装置100は、回転する感光体ドラム101の感光体層を帯電ローラ102を用いて一様に帯電させた後にレーザビーム等の露光手段103で露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーによって現像することによりトナー像とし、このトナー像を記録紙107上に転写し、そして、この記録紙107を熱定着ローラ111及び加圧ローラ112からなる熱定着装置110に通過させて記録紙107上に付着しているトナーを熱定着ローラ111の熱により軟化させつつ加圧して記録紙107上にトナー像を熱定着するように構成されている。
【0004】
このような画像形成装置100の熱定着装置においては、アルミニウム等の金属の中空円筒体からなる芯金の外周面にトナーの粘着を防止するために被覆された四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)等のフッ素系樹脂からなる離型層を設けた熱定着ローラ111が使用されているが、この熱定着ローラ111は、芯金の中空部に回転中心線に沿ってハロゲンランプ等のヒータを配置し、その輻射熱によって熱定着ローラ111を内側から加熱するようになっており、そして、熱定着ローラ111と加圧ローラ112との間に記録紙107を通過させることにより、記録紙107の上に付着しているトナーを熱定着ローラ111の熱により軟化させつつ加圧して記録紙上に定着させるようになっている。
【0005】
この熱定着ローラ111は、離型性には優れているが、柔軟性及び弾力性には劣っているので、光沢を必要とするフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンター等の画像形成装置に対応することができない。従来、光沢画像を必要とするフルカラー複写機、レーザープリンター等の画像形成装置においては、赤(マゼンタ)、青(シアン)、黄(イエロー)、黒(ブラック)の4色のカラートナーが用いられているが、これらのカラートナーで構成されるカラー画像を定着する際には、これらのカラートナーを溶融状態で混合する必要があり、そのために、カラートナーを低融点化して溶融しやすくすると共に、複数種のカラートナーを、熱定着ローラ111の表面で包み込むようにして、溶融状態で均一に混合させることが必要になる。それ故、熱定着ローラ111の表面の必要な特性の一つとして柔軟性があげられる。
【0006】
従来の光沢画像のフルカラー熱定着ローラにおいては、このような熱定着ローラの表面に柔軟性を付与するために、シリコーンゴムで構成されるローラ(基材)上に、該基材のシリコーンゴムよりも離型性及び耐久性の優れたシリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性合成ゴムで構成されるゴム層を設けた熱定着ローラがある。
【0007】
熱ローラ定着法は、熱ローラ全体が所定温度に保持されること、熱容量が大きいこと等の利点を有しているので、プリント速度の高速化に適した方法であるが、熱ローラを所定の温度まで加熱するのにかなりの時間が必要となるので、熱ローラ全体を加熱するのに、電力消費が大きくなるという欠点も有している。近年、省エネルギー化への活動が活発になっており、立ち上がり時間の短縮が検討されている。立ち上がり時間の短縮をする技術の一つとして、ヒータにより熱せられたフィルム状のエンドレスベルトを介して、記録紙上のトナーを加熱するベルト定着方法(特許文献1参照。)が提案されている。
【0008】
図8は、従来のベルト方式の熱定着装置の説明図である。図8に示されているように、従来の電子写真方式の画像形成装置においては、加熱ローラ115と熱定着ローラ114とによって回転可能に設けた定着ベルト113、及び、前記定着ベルト113を介して前記熱定着ローラ114に接するように設けた加圧ローラ116を有するベルト方式の熱定着装置117が用いられている。このようなベルト方式の熱定着装置117は、加熱ローラ115で加熱された定着ベルト113と加圧ローラ116との間に記録紙107を通過させることにより、記録紙107の上に付着しているトナーを定着ベルト113の熱により軟化させつつ加圧ローラ116で加圧して記録紙上に定着させるようになっている。
【0009】
従来のベルト方式の熱定着装置117によれば、薄いフィルム状の定着ベルト113を直接加熱するので、電源投入後短時間で所定の温度に達し、そのために、電源投入後の待ち時間を削減することができ、また、必要部分のみを加熱するので、電力消費が少ないという利点もある。
【0010】
これまでの熱定着ローラ及び定着ベルトの表面は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等で構成されているので、柔軟性に優れているが、トナー離型性が不足しており、そのために、トナーオフセット現象が発生しやすい。また、これらゴム弾性層は、耐摩耗性が低いので、表面の摩耗及び劣化が激しい。
【0011】
これらの不具合を解消するために、シリコーン系の潤滑オイルを熱定着ローラ及び定着ベルト表面に塗布する方法があった。この方法は、初期的には効果が見られるが、十分ではなく、また、この潤滑オイルにより耐熱性合成ゴムが膨潤するという新たな不具合が発生するという問題があった。さらに、この方法は、▲1▼シリコーンオイルの補充といったユーザーメンテナンスが必要となること、▲2▼シリコーンオイル補充システムを付属させなければならずコストがかかること、▲3▼シリコーンオイルが転写紙に付着し転写紙にペンで記入できなくなること、等の問題があった。それ故、シリコーンオイル不使用の熱定着ローラ及び熱定着ベルトが必要とされていた。
【0012】
シリコーンオイル不使用の熱定着ローラ及び熱定着ベルトとしては、上記の熱定着ローラ及び熱定着ベルトの弾性層の表面に離型層を形成したものがあった。離型層を構成する材料としては、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、及び、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)といったものが使用されていた。
【0013】
このような熱定着ローラ及び熱定着ベルトの形成において、シリコーンゴム等の耐熱性合成ゴムで構成される弾性層上にフッ素樹脂塗布層を塗工する手段には、スプレー、ディッピング等の湿式塗工法、電着塗工等の乾式塗工法等の手段があった。そして、このように弾性層上に塗工されたフッ素樹脂塗布層は、300℃以上の高温で溶融・焼成されて、トナー、紙紛等に対して充分な離型性を有するフッ素樹脂層に成膜されていた。
【0014】
【特許文献1】
特開平6−318001号公報
【特許文献2】
特開平11−60955号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような弾性層上に塗工されたフッ素樹脂塗布層を焼成して離型層を成膜すると、弾性層を構成するシリコーンゴム等の耐熱性合成ゴムが焼成による熱で劣化するので、次のような問題があった。
即ち、(a)シリコーンゴム等の耐熱性合成ゴムは、250℃前後から、耐熱性が低下し、引張り強さ等のゴム特性の劣化が大きくなるので、弾性層にクラック等が生じやすくなり、(b)高温時にシリコーンゴムで構成される弾性層から揮発物が発生するので、フッ素樹脂で構成される表面層に欠陥が生じやすくなり、そして、(c)シリコーンゴム等の耐熱性合成ゴムで構成される弾性層の上にフッ素樹脂塗布層を形成し、これを焼成して表面層を成膜した後冷却すると、これらの層の線膨張係数の違いによって歪が発生するので、表面層にクラックが生じやすくなり、それらの結果、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合が発生すると共に耐久性が低下するという問題があった。
【0016】
かかるクラックの発生を回避するために、弾性層を構成する耐熱性合成ゴムにカーボンブラック又は酸化鉄よりなる添加剤を配合して耐熱性を向上させるもの(特許文献2参照)が提案されていたが、充分ではなかった。また、フッ素樹脂チューブの中にゴムを注型する方法があった。この方法では、弾性層を構成する耐熱性合成ゴムを高温にさらす必要がないので、耐熱性合成ゴムの劣化を防ぐことができるが、フッ素樹脂チューブは、薄膜化に限界があるので、この方法で作製された熱定着ベルトは、厚膜の硬いフッ素樹脂層の影響により、前述した離型層の表面の重要特性である柔軟性が損なわれ、そのために、光沢度ムラ等の不具合が発生するといった問題があった。
【0017】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
即ち、本発明は、フッ素樹脂焼成時の熱による弾性層を構成する耐熱性合成ゴムの劣化を低減して、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に耐久性を向上させた加熱定着部材及びそれを有する画像形成装置を低コストで提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、基体上に、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層、及び、フッ素系樹脂で構成される離型層を順次有する加熱定着部材において、該弾性層が、酸化錫及び酸化チタンから選ばれる少なくとも一つを含有していることを特徴とする加熱定着部材である。
【0019】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記酸化錫が、酸素欠損型酸化錫であることを特徴とするものである。
【0020】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記耐熱性合成ゴムが、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及び、フロロシリコーンゴムから選ばれる耐熱性合成ゴムであることを特徴とするものである。
【0021】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された発明において、前記フッ素系樹脂が、テトラフルオロエチレン−ポリエチレンフルオロビニルエーレル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から選ばれるフッ素系樹脂、又は、それらのフッ素樹脂の混合物、或いは、それらのフッ素樹脂を耐熱性の樹脂に分散させたものであることを特徴とするものである。
【0022】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された発明において、前記基体が、アルミニウム、ステンレススチール、真鍮等の金属材料で構成されるローラであることを特徴とするものである。
【0023】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された発明において、前記基体が、(イ)ステンレススチール、ニッケル等の金属材料で構成されるシート又は無端ベルト、(ロ)ポリイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂材料で構成されるシート又は無端ベルト、又は、(ハ)前記(イ)及び(ロ)の積層シート又は無端ベルトであることを特徴とするものである。
【0024】
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の加熱定着部材を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す加熱定着部材(ローラ)の断面図であって、(a)は、横断面図であり、そして、(b)は、一部拡大断面図である。図2は、本発明の他の一実施の形態を示す加熱定着部材(無端ベルト)の断面図である。図3は、各添加剤の添加量と引張り強さ[Mpa]の関係を示すグラフである。図4は、各添加剤の添加量と切断時伸び[%]の関係を示すグラフである。図5は、各添加剤の添加量と重量変化割合[%]の関係を示すグラフである。図6は、各添加剤の添加量と線膨張係数[10−4]の関係を示すグラフである。
【0026】
図1において、10は、加熱定着部材(ローラ)である。加熱定着部材(ローラ)10は、基体1上に、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層2、及び、フッ素系樹脂で構成される離型層3を順次有している。そして、前記弾性層2は、酸化錫及び酸化チタンから選ばれる少なくとも一つを含有している。前記酸化錫は、好ましくは、酸素欠損型酸化錫である。
【0027】
図2において、20は、加熱定着部材(無端ベルト)である。加熱定着部材(無端ベルト)10は、基体11上に、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層12、及び、フッ素系樹脂で構成される離型層13を順次有している。そして、前記弾性層12は、酸化錫及び酸化チタンから選ばれる少なくとも一つを含有している。前記酸化錫は、好ましくは、酸素欠損型酸化錫である。
【0028】
このように、前記弾性層2、12が酸化錫及び酸化チタンから選ばれる少なくとも一つを含有していると、フッ素樹脂塗布層を焼成してフッ素樹脂で構成される離型層3、13を成膜する際に、弾性層2、12の熱に対する劣化を低減することができるので、シリコーンオイルを塗布しなくても、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に耐久性を向上させた加熱定着部材を低コストで提供することができる。そして、本発明によれば、前記酸化錫及び酸化チタンは、従来用いられていたカーボンブラック及び酸化鉄以上に、弾性層2、12の熱に対する劣化を低減することができる。
【0029】
前記弾性層2、12を構成する耐熱性合成ゴムは、好ましくは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及び、フロロシリコーンゴムから選ばれる耐熱性合成ゴムであるが、本発明の目的に反しない限り、それら以外の耐熱性合成ゴムであってもかまわない。このように、弾性層2,12を構成する耐熱性合成ゴムがシリコーンゴム、フッ素ゴム、及び、フロロシリコーンゴムから選ばれる耐熱性合成ゴムであると、定着時の温度(〜200℃)において耐熱性を有しているので、定着部材の表面の柔軟性が確保される。
【0030】
また、前記離型層3,13を構成するフッ素系樹脂は、例えば、テトラフルオロエチレン−ポリエチレンフルオロビニルエーレル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から選ばれるフッ素系樹脂、又は、それらのフッ素樹脂の混合物、或いは、それらのフッ素樹脂を耐熱性の樹脂に分散させたものであるが、本発明の目的に反しない限り、それら以外のフッ素系樹脂であってもかまわない。本発明における離型層3,13は、その膜厚が厚いと光沢ムラが発生するので、好ましくは、その膜厚が薄いもののほうがよい。このように、離型層3,13がフッ素系樹脂で構成されていると、シリコーンオイル等を使用しなくてもトナー離型性、紙粉固着防止が可能になる(オイルレス化)。
【0031】
前記加熱定着部材10における基体1は、好ましくは、アルミニウム、ステンレススチール、真鍮等の金属材料で構成されるローラである。
前記加熱定着部材20における前記基体11は、(イ)ステンレススチール、ニッケル等の金属材料で構成されるシート又は無端ベルト、(ロ)ポリイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂材料で構成されるシート又は無端ベルト、又は、(ハ)前記(イ)及び(ロ)の積層シート又は無端ベルトである。また、前記基体11は、金属材料で構成されている場合には、無端ベルト又はシートの撓みを考慮して、その膜厚は、100μm以下であることが好ましい。また、前記基体11は、耐熱性樹脂材料で構成されている場合には、熱容量(立ち上がり時間短縮から、薄い方が有利である)、及び、強度(厚い方が有利である)の観点から、その膜厚は、30〜200μmであることが好ましい。
【0032】
また、本発明の画像形成装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の加熱定着部材を有しているので、シリコーンオイルを塗布しなくても、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に、耐久性を向上させることができる。
【0033】
【実施例】
(実施例1)
酸化チタン(チタン工業社製、ST495M)10重量%をシリコンゴム溶液(東レダウコーニング社製、DX35−547)に添加し、これを遠心攪拌装置で攪拌して、前記酸化チタンをシリコンゴム溶液中に十分に分散させた後、この酸化チタンを分散させたシリコンゴム溶液を40μm厚のベルト状のステンレススチール(SUS)製基体上に被覆して、150μm厚のシリコンゴム弾性層を形成した。そして、このシリコンゴム弾性層の表面にテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合(FEP)をスプレー塗装して塗装膜を形成し、続いて、この塗装膜を320℃で30分間焼成して15μm厚の表面層を形成することにより熱定着ベルトを得た。
【0034】
(実施例2)
酸化錫(三井金属社製、パストラン4350)10重量%をシリコンゴム溶液(東レダウコーニング社製、DX35−547)に添加し、これを遠心攪拌装置で攪拌して、前記酸化錫をシリコンゴム溶液中に十分に分散させた後、この酸化錫を分散させたシリコンゴム溶液を40μm厚のベルト状のステンレススチール(SUS)製基体上に被覆して150μm厚のシリコンゴム弾性層を形成した以外は、実施例1と同様にして、熱定着ベルトを得た。
【0035】
(実施例3)
酸素欠損型酸化錫(三菱マテリアル社製、S−1)10重量%をシリコンゴム溶液(東レダウコーニング社製、DX35−547)に添加し、これを遠心攪拌装置で攪拌して、前記酸素欠損型酸化錫をシリコンゴム溶液中に十分に分散させた後、この酸素欠損型酸化錫を分散させたシリコンゴム溶液を40μm厚のベルト状のステンレススチール(SUS)製基体上に被覆して150μm厚のシリコンゴム弾性層を形成した以外は、実施例1と同様にして、熱定着ベルトを得た。
【0036】
以上、実施例1〜3によって得られた熱定着ベルトを評価するために、実施例1〜3で用いられた、▲1▼「酸化チタン」(チタン工業社製、ST495M)10重量%を含有する耐熱性シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製、DX35−547)、▲2▼「酸化錫」(三井金属社製、パストラン4350)10重量%を含有する耐熱性シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製、DX35−547)、及び、▲3▼「酸素欠損型酸化錫」(三菱マテリアル社製、S−1)10重量%を含有する耐熱性シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製、DX35−547)でそれぞれ弾性層の試験片を作成して、酸化分解開始温度[℃]を測定した。そして、比較するために、▲4▼「添加物なし」の耐熱性シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製、DX35−547)、▲5▼従来の「カーボンブラック」(旭カーボン社製、旭HS−500)10重量%を含有する耐熱性シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製、DX35−547)、及び、▲6▼従来の「酸化鉄」(戸田工業社製、140ED)10重量%を含有する耐熱性シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製、DX35−547)でそれぞれ弾性層の試験片を作成して、それらの酸化分解開始温度[℃]を測定した。測定結果は、次の表1に示される。
【0037】
【表1】
Figure 2004163715
【0038】
次に、前記添加剤、即ち、「酸化チタン」、「酸化錫」、「酸素欠損型酸化錫」、「カーボンブラック」、及び、「酸化鉄」の添加量をそれぞれ10重量%とした前記▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲5▼、及び、▲6▼で作成した試験片の引張り強さ[Mpa]、切断時伸び[%]、重量変化割合[%]、及び、線膨張係数[10−4]をPFA(フッ素樹脂)の焼成温度である320℃において測定した。また、前記添加剤の添加量をそれぞれ「5重量%」及び「15重量%」とした試験片を作成し、これらの試験片についても、同様にして、それらの引張り強さ[Mpa]、切断時伸び[%]、重量変化割合[%]、及び、線膨張係数[10−4]をPFA(フッ素樹脂)の焼成温度である320℃において測定した。
【0039】
測定結果は、引張り強さ[Mpa]については、図3に示され、切断時伸び[%]については、図4に示され、重量変化割合[%]については、図5に示され、そして、線膨張係数[10−4]については、図6に示される。
【0040】
図3、図4より、酸化チタン、酸化錫、及び、酸素欠損型酸化錫を添加した場合には、320℃で焼成した後の「引張り強さ」、及び、「切断時伸び」が大きいことがわかる。フッ素樹脂離型層焼成時のクラックの発生には、Siゴムの「引張り強さ」、及び、「切断時伸び」の劣化が大きく影響していると考えられるが、本発明においては、耐熱性向上添加剤として、酸化チタン、酸化錫、及び、酸素欠損型酸化錫を選んだので、クラック発生の可能性が引き下げられたものと考えられる。
【0041】
図5より、試験した全ての添加剤に重量変化を抑制する効果が有ることがわかる。シリコーンゴムの重量減少は、シリコーンポリマーの断裂及び低分子量化による揮発によるものであるが、これら添加剤によりシリコーンポリマーが保護されるので、シリコーンポリマーの低分子化が抑えられ、そのために、フッ素樹脂で構成される表面層の欠陥、及び、揮発に伴うベルトの変形による走行不安定の発生可能性が低減できる。また、若干では有るが、酸化チタン、酸化錫、及び、酸素欠損型酸化錫において、320℃の焼成温度前後の重量変化が少ないことがわかる。
【0042】
図6より、全ての添加剤において、線膨張係数が減少することがわかる。熱定着ベルトの場合、ローラと異なり薄膜構成であって焼成放置後の冷却が迅速であるので、線膨張係数の違いによるフッ素樹脂とシリコーンゴムの冷却時の歪は顕著であり、それによって表面層にクラックを生じやすい。したがって、シリコーンゴムの線膨張係数が表面層のフッ素樹脂に近いことも重要である。この課題に対して、全ての添加剤で効果が得られるが、特に、酸化チタン、酸化錫、酸素欠損型酸化錫をシリコーンゴム弾性層へ添加することにより、フッ素樹脂層の焼成後の冷却時に、フッ素樹脂層とシリコーンゴム層の間の歪みは緩和され、上層フッ素樹脂の表面のクラックをも抑制することが可能となる。
【0043】
【発明の効果】
請求項1〜7に記載された発明によれば、弾性層が酸化錫及び酸化チタンから選ばれる少なくとも一つを含有しているので、フッ素樹脂塗布層を焼成してフッ素樹脂で構成される離型層を成膜する際に、弾性層の熱に対する劣化を低減することができ、そのために、シリコーンオイルを塗布しなくても、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を防止することができると共に耐久性を向上させた加熱定着部材を低コストで提供することができる。そして、請求項1〜7に記載された本発明によれば、前記酸化錫及び酸化チタンは、従来用いられていたカーボンブラック及び酸化鉄以上に、弾性層の熱に対する劣化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す加熱定着部材(ローラ)の断面図であって、(a)は、横断面図であり、そして、(b)は、一部拡大断面図である。
【図2】本発明の他の一実施の形態を示す加熱定着部材(無端ベルト)の断面図である。
【図3】各添加剤の添加量と引張り強さ[Mpa]の関係を示すグラフである。
【図4】各添加剤の添加量と切断時伸び[%]の関係を示すグラフである。
【図5】各添加剤の添加量と重量変化割合[%]の関係を示すグラフである。
【図6】各添加剤の添加量と線膨張係数[10−4]の関係を示すグラフである。
【図7】従来の電子写真方式の画像形成装置の説明図である。
【図8】従来のベルト方式の熱定着装置の説明図である。
【符号の説明】
1,11 基体
2,12 弾性層
3,13 離型層
10 加熱定着部材(ローラ)
20 加熱定着部材(無端ベルト)

Claims (7)

  1. 基体上に、耐熱性合成ゴムで構成される弾性層、及び、フッ素系樹脂で構成される離型層を順次有する加熱定着部材において、該弾性層が、酸化錫及び酸化チタンから選ばれる少なくとも一つを含有していることを特徴とする加熱定着部材。
  2. 前記酸化錫が、酸素欠損型酸化錫であることを特徴とする請求項1に記載の定着用部材。
  3. 前記耐熱性合成ゴムが、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及び、フロロシリコーンゴムから選ばれる耐熱性合成ゴムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱定着部材。
  4. 前記フッ素系樹脂が、テトラフルオロエチレン−ポリエチレンフルオロビニルエーレル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から選ばれるフッ素系樹脂、又は、それらのフッ素樹脂の混合物、或いは、それらのフッ素樹脂を耐熱性の樹脂に分散させたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加熱定着部材。
  5. 前記基体が、アルミニウム、ステンレススチール、真鍮等の金属材料で構成されるローラであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加熱定着部材。
  6. 前記基体が、(イ)ステンレススチール、ニッケル等の金属材料で構成されるシート又は無端ベルト、(ロ)ポリイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂材料で構成されるシート又は無端ベルト、又は、(ハ)前記(イ)及び(ロ)の積層シート又は無端ベルトであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加熱定着部材。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の加熱定着部材を有することを特徴とする画像形成装置。
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