JP2017037111A - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、定着性の低下を抑制できる静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記トナー粒子は、結晶性樹脂及び非晶性樹脂を含有し、前記非晶性樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有する単量体の重合体である非晶性ビニル樹脂を含有し、かつ、前記トナー粒子中の前記単量体に由来の構造単位の含有量が、2.4〜13.5質量%の範囲内にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
一般式(1)
C=CR−COOR
〔一般式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数8以上の分岐アルキル基を表す。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置においては、画像形成の高速化及び省エネルギー化のため、より低温で定着できる静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーともいう。)の開発が進められている。
例えば、低温定着性の向上のため、結着樹脂として非晶性樹脂と結晶性樹脂を含有するトナーが知られている(例えば、特許文献1参照。)。結晶性樹脂は、非晶性樹脂に比べて熱応答性に優れており、特定の温度に至るまでは十分な強度を保持し、特定の温度に至って溶融し始めると急激に粘度が低下する。このような熱特性を有する結晶性樹脂は、トナーの流動性や強度を低下させることなく、低温定着性の向上を可能とする。
結晶性樹脂と非晶性樹脂との相溶性が高すぎると結着樹脂の結晶化が進行しやすく、相溶性が低すぎると十分な低温定着性が得られず、結晶性樹脂が遊離してトナー粒子の表面に露出し、画像の濃度低下やカブリと呼ばれる画像不良を生じることがある。
このような結着樹脂の結晶化及び遊離を抑えるため、非晶性樹脂中に結晶性樹脂と親和性の高い構造を導入することによって、トナー粒子中の結晶性樹脂の分散状態を良化したトナーも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
上述のように低温定着性の向上を可能にする結晶性樹脂は、その性質上、融点以下の温度で長期間保管した場合や高温環境下で保管した場合には結晶化が進行しやすいことが知られている。結晶化が進行すると、定着時のトナー粒子の溶融が不十分となってトナーの定着性が低下し、用紙からトナーが剥離するアンダーオフセットが生じることがある。そのため、長期保管時や高温環境下での保管時にも結晶化をより効果的に抑えて、トナーの定着性を低下させない研究開発が日々行われている。
特開2001−222138号公報 特開2014−35506号公報
本発明は上記問題及び状況に鑑みてなされ、その解決課題は、定着性の低下を抑制できる静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、結晶性樹脂と親和性の高い構造単位を有する非晶性ビニル樹脂を含有し、この構造単位の含有量を特定の範囲内とするトナーは、高温下での保管時においても結晶性樹脂の結晶化を効果的に抑え、定着性の低下を抑制できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段によって解決される。
1.トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー粒子は、結晶性樹脂及び非晶性樹脂を含有し、
前記非晶性樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有する単量体の重合体である非晶性ビニル樹脂を含有し、かつ、
前記トナー粒子中の前記単量体に由来の構造単位の含有量が、2.4〜13.5質量%の範囲内にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
一般式(1)
C=CR−COOR
〔一般式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数8以上の分岐アルキル基を表す。〕
2.前記トナー粒子中の前記単量体に由来の構造単位の含有量が、4.0〜13.5質量%の範囲内にあることを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナー。
3.前記トナー粒子中の前記単量体に由来の構造単位の含有量が、4.9〜13.5質量%の範囲内にあることを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用トナー。
4.前記一般式(1)中のRが表す分岐アルキル基の炭素数が、22以下であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
5.前記一般式(1)中のRが表す分岐アルキル基の炭素数が、8であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
6.前記トナー粒子中の前記結晶性樹脂の含有量が、1〜20質量%の範囲内にあることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
7.前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
8.前記非晶性樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂をさらに含有することを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
9.前記非晶性ポリエステル樹脂が、スチレン−アクリル樹脂により変性されたハイブリッド樹脂であることを特徴とする第8項に記載の静電荷像現像用トナー。
10.前記ハイブリッド樹脂中の前記スチレン−アクリル樹脂のセグメントの含有量が、1〜30質量%の範囲内にあることを特徴とする第9項に記載の静電荷像現像用トナー。
11.前記トナー粒子が、シリカ粒子を含有し、
前記シリカ粒子の個数平均一次粒子径が、70〜200nmの範囲内にあることを特徴とする第1項から第10項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
12.第1項から第11項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記結晶性樹脂及び前記非晶性樹脂をそれぞれ水系媒体中に分散させた分散液と、着色剤を水系媒体中に分散させた分散液とを混合し、混合した水系媒体中において結晶性樹脂粒子、非晶性樹脂粒子及び着色剤粒子を凝集及び融着させて、前記トナー粒子を得ることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明の上記手段により、定着性の低下を抑制できる静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供できる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構は明確になっていないが、以下のように推察される。
上記一般式(1)で表される構造を有する単量体を重合して得られる非晶性ビニル樹脂は、繰り返し構造単位中に一般式(1)中のRで表されるアルキル基を有する。Rで表されるアルキル基は、炭素数が8以上の長鎖であり、長鎖かつ直鎖構造の結晶性樹脂との親和性が高い。このような結晶性樹脂との親和性の高いアルキル基を有する非晶性ビニル樹脂の鎖部分が、定着前のトナー粒子中において、結晶性樹脂の分子鎖と分子鎖の間に混入することにより、結晶性樹脂のドメインを均一に分散させて結晶化を抑えることができると推察される。Rで表されるアルキル基を有する構造単位のトナー粒子中の含有量は特定範囲内にあり、結晶性樹脂との親和性が高い鎖部分が限定的であるため、この鎖部分を起点として結晶化が進行することも防ぐことができると推察される。
また、Rで表されるアルキル基は分岐構造を有することから、結晶性樹脂の分子鎖の規則的な配列を阻害し、結晶化をより効果的に抑えることができると推察される。
このように結晶性樹脂を均一に分散させ、かつ規則的な配列を阻害する非晶性ビニル樹脂を含有するトナーは、長期保管時や高温下の保管時においても結晶性樹脂の結晶化を効果的に抑えていることから、定着時にもトナー粒子が十分に溶融することができ、定着性の低下を抑制できると推察される。
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子を含有し、前記トナー粒子は、結晶性樹脂及び非晶性樹脂を含有し、前記非晶性樹脂は、上記一般式(1)で表される構造を有する単量体の重合体である非晶性ビニル樹脂を含有し、かつ、前記トナー粒子中の前記単量体に由来の構造単位の含有量が、2.4〜13.5質量%の範囲内にあることを特徴とする。
この特徴は請求項1から請求項12までの各請求項に係る発明に共通の技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、結晶性樹脂の結晶化をより効果的に抑える観点から、前記トナー粒子中の前記単量体に由来の構造単位の含有量が、4.0〜13.5質量%の範囲内にあることが好ましく、4.9〜13.5質量%の範囲内にあることがより好ましい。
同様の観点から、前記一般式(1)中のRが表す分岐アルキル基の炭素数が、22以下であることが好ましく、8であることがより好ましい。
トナーの低温定着性を高める観点から、前記トナー粒子中の前記結晶性樹脂の含有量が、1〜20質量%の範囲内にあることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、本発明の静電荷像現像用トナーの製造が容易である観点から、前記結晶性樹脂及び前記非晶性樹脂をそれぞれ水系媒体中に分散させた分散液と、着色剤を水系媒体中に分散させた分散液とを混合し、混合した水系媒体中において結晶性樹脂粒子、非晶性樹脂粒子及び着色剤粒子を凝集及び融着させて、前記トナー粒子を得ることを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態について詳細な説明をする。
なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
〔静電荷像現像用トナー〕
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子を含有する。トナー粒子は、結晶性樹脂、非晶性樹脂及び着色剤を含有している。結晶性樹脂及び非晶性樹脂は、一般に結着樹脂と呼ばれている。
(非晶性樹脂)
非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により得られる吸熱曲線において、ガラス転移点(Tg)を有するが、融点すなわち昇温時の明確な吸熱ピークがない非晶性を示す樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、10℃/minの昇温速度で昇温したときの吸熱曲線において半値幅が15℃以内の吸熱ピークをいう。
本発明に係る非晶性樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有する単量体の重合体である非晶性ビニル樹脂を含有し、かつ、トナー粒子中の当該単量体に由来の構造単位の含有量が、2.4〜13.5質量%の範囲内にある。
一般式(1)
C=CR−COOR
〔一般式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数8以上の分岐アルキル基を表す。〕
上記一般式(1)で表される構造を有する単量体を重合して得られる非晶性ビニル樹脂は、繰り返し構造単位中に一般式(1)中のRで表されるアルキル基を有する。Rで表されるアルキル基は、炭素数が8以上の長鎖であり、長鎖かつ直鎖構造の結晶性樹脂との親和性が高い。このような結晶性樹脂との親和性の高いアルキル基を有する非晶性ビニル樹脂の鎖部分が、定着前のトナー粒子中において、結晶性樹脂の分子鎖と分子鎖の間に混入することにより、結晶性樹脂のドメインを均一に分散させて結晶化を抑えることができると推察される。溶融時には混入した非晶性ビニル樹脂の鎖部分を起点にして結着樹脂の可塑化が促進されるため、均一にかつ迅速に可塑化することにより、優れた低温定着性が得られる。
結晶性樹脂との親和性が高い非晶性ビニル樹脂の鎖部分は、結晶性樹脂の分子鎖と同様に規則的に配列するかもしれないが、Rで表されるアルキル基のトナー粒子中の含有量は2.4〜13.5質量%の特定範囲内にあり、結晶性樹脂との親和性が高い鎖部分が限定的であるため、この鎖部分を起点として結晶化が進行することを防ぐことができる。
また、非晶性ビニル樹脂が繰り返し構造単位中に有するアルキル基は分岐構造を有することから、結晶性樹脂の分子鎖の規則的な配列を適度に阻害し、結晶化をより効果的に抑えることができると推察される。
このように結晶性樹脂を均一に分散させ、かつ規則的な配列を阻害する非晶性ビニル樹脂を含有するトナーは、長期保管時や高温下の保管時においても結晶性樹脂の結晶化を効果的に抑え、定着時にもトナー粒子が十分に溶融するため、定着性の低下を抑制することができる。
結晶性樹脂の結晶化をより抑える観点からは、トナー粒子中の上記一般式(1)で表される構造を有する単量体に由来の構造単位の含有量が、4.0〜13.5質量%の範囲内にあることが好ましく、4.9〜13.5質量%の範囲内にあることがより好ましい。
トナー粒子中の上記一般式(1)で表される構造を有する単量体に由来の構造単位の含有量は、例えば熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS:Gas Chromatography/Mass Spectrometry)法により測定することができる。
具体的には、上記一般式(1)で表される構造を有する単量体を検出できることを確認したカラム及び検出器を用いて、標準添加法により定量することができる。詳細な熱分解条件及びGC/MSの測定条件の一例を以下に示す。
(熱分解条件)
測定装置:PY−2020iD(フロンティア・ラボ社製)
測定の質量:0.1mg
加熱温度:550℃
加熱時間:0.5分
(GC/MSの測定条件)
測定装置:QP2010島津製作所製
カラム:UltraALLOY−5(内径:0.25mm、長さ:30m、厚さ:0.25μm、フロンティア・ラボ社製)
昇温範囲:40℃〜320℃(320℃で保持)
昇温速度:20℃/分
結晶性樹脂との親和性が高い非晶性ビニル樹脂の鎖部分を起点とする結晶化をより効果的に防ぐ観点からは、上記一般式(1)中のRが表す分岐アルキル基の炭素数が22以下であることが好ましい。
また、結晶性樹脂の均一な分散化と、結晶性樹脂との親和性が高い非晶性ビニル樹脂の鎖部分を起点とする結晶化の防止と、をバランスよく両立させる観点からは、上記一般式(1)中のRが表す分岐アルキル基の炭素数が8であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される構造を有する単量体としては、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、1−メチルヘプチルアクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレート、6−、メチルヘプチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、イソステアリルアクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
上記非晶性ビニル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20000〜150000の範囲内にあり、数平均分子量(Mn)は、5000〜20000の範囲内にあることが、定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましい。
上記重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、以下のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)によって測定した分子量分布から求めることができる。
試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC−8120GPC(東ソー社製)及びカラムTSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ-m3連(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/minで流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
上記非晶性ビニル樹脂のガラス転移点(Tg)は、定着性と耐熱保管性の両立の観点から、20〜70℃の範囲内にあることが好ましい。
ガラス転移点(Tg)は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)にしたがって測定することができる。測定には、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)等を用いることができる。
上記非晶性ビニル樹脂は、上記一般式(1)で表される構造を有する単量体を重合して得られるのであれば、当該単量体のみの重合体であってもよいし、当該単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。他の単量体としては、スチレン、スチレンの誘導体等のスチレン系単量体等を使用できる。
(非晶性ポリエステル樹脂)
本発明に係る非晶性樹脂は、定着性の観点から、非晶性ポリエステル樹脂をさらに含有することができる。
上記非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、非晶性を示すポリエステル樹脂である。
コア・シェル構造のトナー粒子を形成する場合、シェル層の材料として非晶性ポリエステル樹脂を使用することもできる。
多価カルボン酸とは、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。
具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;これらカルボン酸化合物の無水物;炭素数1〜3のアルキルエステル等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多価アルコールとは、1分子中にヒドロキシ基を2個以上含有する化合物である。
具体的には、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の3価以上のアルコール等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多価カルボン酸と多価アルコールの比率は、多価アルコールのヒドロキシ基(OH)と多価カルボン酸のカルボキシ基(COOH)との当量比(OH)/(COOH)が、1.5/1〜1/1.5の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは1.2/1〜1/1.2の範囲内である。
上記非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000〜10000の範囲内にあることが好ましい。
上記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は、20〜70℃の範囲内にあることが好ましい。ガラス転移点(Tg)は、非晶性ビニル樹脂の場合と同様にして測定することができる。
上記非晶性ポリエステル樹脂は、スチレン−アクリル樹脂により変性されたハイブリッド樹脂であることができる。
ハイブリッド樹脂である非晶性ポリエステル樹脂は、スチレン−アクリル樹脂部分が非晶性ビニル樹脂との相溶性が高く、トナー粒子中に非晶性ポリエステル樹脂を均一に分散させることができる。トナー粒子がコア・シェル構造を有し、シェル層が非晶性ポリエステル樹脂を含有する場合は、非晶性ビニル樹脂を含有するコア粒子の表面に凝集しやすく、表面全体を被覆しやすくなる。
非晶性ポリエステル樹脂がスチレン−アクリル樹脂により変性されたとは、非晶性ポリエステル樹脂のセグメントとスチレン−アクリル樹脂のセグメントが化学結合していることをいう。非晶性ポリエステル樹脂のセグメントとは、ハイブリッド樹脂のうち、非晶性ポエリステル樹脂に由来する樹脂部分、すなわち非晶性ポリエステル樹脂と化学構造が同じ分子鎖をいう。スチレン−アクリル樹脂のセグメントとは、ハイブリッド樹脂のうち、スチレン−アクリル樹脂に由来する樹脂部分、すなわちスチレン−アクリル樹脂と化学構造が同じ分子鎖をいう。
スチレン−アクリル樹脂は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体の重合体である。
スチレン系単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、これらの誘導体等が挙げられる。これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(メタ)アクリル酸系単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、6−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体に加えて、他の単量体を使用することもできる。使用できる他の単量体としては、例えばマレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
スチレン−アクリル樹脂は、上述した単量体の重合に過酸化物、過硫化物、アゾ化合物等の通常用いられる任意の重合開始剤を添加し、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、懸濁重合法、分散重合法等の公知の重合手法により重合することにより得ることができる。重合時、分子量を調整することを目的として、アルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステル等の通常用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
上記ハイブリッド樹脂中のスチレン−アクリル樹脂のセグメントの含有量は、トナー粒子の可塑性を制御しやすいことから、1〜30質量%の範囲内にあることが好ましい。
上記ハイブリッド樹脂は、それぞれ個別に用意した非晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル樹脂とを反応させて化学結合させることにより、得ることができる。
結合を容易にする観点からは、非晶性ポリエステル樹脂かスチレン−アクリル樹脂に、非晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル樹脂の両方と反応可能な置換基を組み込むことが好ましい。例えば、スチレン−アクリル樹脂の生成時、原料であるスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体とともに、非晶性ポリエステル樹脂が有するカルボキシ基(COOH)又はヒドロキシ基(OH)と反応可能な置換基と、スチレン-アクリル樹脂と反応可能な置換基とを有する化合物を添加する。これにより、非晶性ポリエステル樹脂中のカルボキシ基(COOH)又はヒドロキシ基(OH)と反応可能な置換基を有するスチレン−アクリル樹脂を得ることができる。
また、ハイブリッド樹脂は、あらかじめ用意した非晶性ポリエステル樹脂の存在下でスチレン−アクリル樹脂を生成する重合反応を行うか、あらかじめ用意したスチレン−アクリル樹脂の存在下で非晶性ポリエステル樹脂を生成する重合反応を行うことによっても得ることができる。いずれの場合も重合反応時に、上述したような非晶性ポリエステル樹脂及びスチレン−アクリル樹脂の両方と反応可能な置換基を有する化合物を添加すればよい。
上記ハイブリッド樹脂の数平均分子量(Mn)は2000〜10000の範囲内にあることが、定着性の観点からより好ましい。
トナー粒子中の非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、定着性と帯電の環境安定性の観点から、1〜50質量%の範囲内にあることが好ましい。
(結晶性樹脂)
本発明において、結晶性樹脂とは、DSCにより得られる吸熱曲線において、融点すなわち昇温時に明確な吸熱ピークを有する結晶性を示す樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、10℃/minの昇温速度で昇温したときの吸熱曲線において半値幅が15℃以内のピークをいう。
本発明の静電荷像現像用トナーに使用できる結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリアセタール樹脂、結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂、結晶性ポリブチレンテレフタレート樹脂、結晶性ポリフェニレンサルファイド樹脂、結晶性ポリエーテルエーテルケトン樹脂、結晶性ポリテトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。
なかでも、トナーの低温定着性及び耐熱保管性を両立させる観点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、結晶性を示すポリエステル樹脂をいう。多価カルボン酸と多価アルコールとしては、上述した非晶性ポリエステル樹脂と同様の材料を使用することができる。
トナー粒子中の結晶性樹脂の含有量は、十分な低温定着性及び耐熱保管性を得る観点から、1〜20質量%の範囲内にあることが好ましく、5〜15質量%の範囲内にあることがより好ましい。上述した非晶性ビニル樹脂により、含有量がこの範囲内にある結晶性樹脂をトナー粒子中で均一に分散させ、結晶化を十分に抑えることができる。
本発明に係る結晶性樹脂の融点(Tm)は、十分な低温定着性と耐熱保管性を得る観点から、50〜90℃の範囲内にあることが好ましく、60〜80℃の範囲内にあることが好ましい。
融点(Tm)は、DSCにより測定することができる。具体的には、結晶性樹脂の試料をアルミニウム製パンKITNO.B0143013に封入し、熱分析装置 Diamond DSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目と2回目の加熱時には、10℃/minの昇温速度で室温(25℃)から150℃まで昇温して150℃を5分間保持し、冷却時には、10℃/minの降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持する。2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を融点(Tm)として測定する。
本発明に係る結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000〜50000の範囲内にあり、数平均分子量(Mn)は2000〜10000の範囲内にあることが、低温定着性及び光沢度安定性の観点から好ましい。
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料、顔料等を用いることができる。
染料としては、例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等が挙げられる。
顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同150、同166、同177、同178、同222、同238、同269、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等が挙げられる。
また、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、マグネタイト、ヘマタイト、三酸化チタン鉄等の黒色酸化鉄等も使用できる。
目的の色のトナーを得るため、上記のような複数種の材料のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
トナー粒子における着色剤の含有量は、色再現性が十分なトナーを得る観点から、1〜10質量%の範囲内にあることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、必要に応じて外添剤、離型剤、荷電制御剤等の他の成分を含有することができる。
(外添剤)
トナー粒子をそのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性等を向上させる観点から、トナー粒子は外添剤を含有することができる。
外添剤としては、無機粒子、有機粒子等の微粒子、滑材等を使用することができ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
無機粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム等の粒子を使用することができ、有機粒子としては、スチレン、メチルメタクリレート等の有機粒子を使用することができる。無機粒子は、疎水化処理が施されていてもよい。
滑材は、クリーニング性又は転写性の向上のために添加することができる。滑材としては、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸等の金属塩が挙げられ、金属塩の金属としては亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等が挙げられる。
なかでも、個数平均一次粒子径が70〜200nmの範囲内にある球形のシリカ粒子が、高い流動性及び帯電性をトナー粒子に付与することができ、好ましい。
個数平均一次粒径は、次のようにして測定することができる。
走査型電子顕微鏡JSM−7401F(日本電子社製)によりシリカ粒子を3万倍の倍率で撮影し、得られた画像をスキャナーにより取り込む。画像処理解析装置LUZEX(登録商標)AP(ニレコ社製)により画像を2値化処理し、画像中のトナー表面に存在する100個のシリカ粒子の水平方向フェレ径を算出し、その平均値を個数平均一次粒径とする。水平方向フェレ径とは、シリカ粒子に外接する長方形のx軸に平行な辺の長さをいう。
トナー粒子中の外添剤の含有量は、0.1〜10.0質量%の範囲内とすることができる。
(離型剤)
離型剤としては、公知のワックス、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス;マイクロクリスタリンワックス等の分枝鎖状炭化水素ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス;ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス;カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス;エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックス等を使用することができる。
なかでも、低温定着時の離型性を向上させる観点から、融点の低い、具体的には融点が40〜90℃の範囲内のワックスが好ましい。
トナー粒子中の離型剤の含有量は、0.5〜10質量%の範囲内とすることができ、好ましくは3〜7質量%の範囲内である。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩等の公知の化合物を用いることができる。
トナー粒子中の荷電制御剤の含有量は、0〜5質量%の範囲内とすることができ、好ましくは0〜0.5質量%の範囲内である。
〔静電荷像現像用トナーの構造〕
本発明の静電荷像現像用トナーのトナー粒子の構造は、上述したトナー粒子のみの単層構造であってもよいし、上述したトナー粒子をコア粒子として当該コア粒子とその表面を被覆するシェル層とを備えるコア・シェル構造のような多層構造であってもよい。シェル層は、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)等の公知の観察手段によって、確認することができる。
コア・シェル構造の場合は、コア粒子とシェル層でガラス転移点、融点、硬度等の特性を異ならせることができ、目的に応じたトナー粒子の設計が可能である。例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤等を含有し、ガラス転移点(Tg)が比較的低いコア粒子の表面に、ガラス転移点(Tg)が比較的高い樹脂を凝集、融着させて、シェル層を形成することができる。シェル層としては、上述したように非結晶性ポリエステル樹脂を使用することができ、なかでもスチレン−アクリル樹脂により変性された非結晶性ポリエステル樹脂を好ましく使用することができる。
〔静電荷像現像用トナーの特性〕
(ガラス転移点)
本発明の静電荷像現像用トナーは、ガラス転移点(Tg)が50〜70℃の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは55〜65℃の範囲内である。
ガラス転移点が上記範囲内にあれば、十分な低温定着性及び耐熱保管性を両立させることができる。また、トナーの耐熱性(熱的強度)を維持することができ、十分な耐熱保管性及び耐ホットオフセット性を得ることができる。
ガラス転移点(Tg)は、上記非晶性ビニル樹脂と同様にして測定することができる。
(融点)
本発明の静電荷像現像用トナーは、融点(Tm)が60〜90℃の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは65〜80℃の範囲内である。
融点が上記範囲内にあれば、十分な低温定着性及び耐熱保管性を両立させることができる。また、トナーの良好な耐熱性(熱的強度)も維持することができ、十分な耐熱保管性を得ることができる。
融点(Tm)は、上記結晶性ポリエステル樹脂と同様にして測定することができる。
(トナー粒子の粒径)
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子の体積基準のメジアン径が3〜8μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは5〜8μmの範囲内である。
体積基準のメジアン径が上記範囲内にあれば、1200dpiレベルの高解像度のドットを正確に再現することができる。
なお、体積基準のメジアン径は、製造時において使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成等によって制御することができる。
体積基準のメジアン径は、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフトSoftware V3.51を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定することができる。
具体的には、試料(トナー)0.02gを、20mLの界面活性剤溶液(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、1分間の超音波分散処理を行い、トナーの分散液を調製する。このトナーの分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。この濃度にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。
そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径として求める。
(トナー粒子の平均円形度)
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子の平均円形度が、0.930〜1.000の範囲内であることが好ましく、0.950〜0.995の範囲内であることがより好ましい。
平均円形度が上記範囲内にあれば、トナー粒子の破砕を抑えることができ、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができる。また、トナーにより形成される画像が高画質となる。
トナーの平均円形度は、次のようにして測定することができる。
メジアン径を測定する場合と同様にして、トナーの分散液を調製する。FPIA−2100、FPIA−3000(いずれもSysmex社製)等によって、HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度範囲でトナーの分散液の撮影を行い、個々のトナー粒子の円形度を下記式(y)によって算出する。各トナー粒子の円形度を加算し、円形度の和を各トナー粒子の数で除することにより、平均円形度を算出する。HPF検出数が上記適正濃度範囲であれば、十分な再現性が得られる。
式(y)
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
〔現像剤〕
本発明の静電荷像現像用トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。
また、キャリアとしては、磁性粒子の表面をシリコーン樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリア等用いてもよい。
キャリアの平均粒径は、体積基準のメジアン径で20〜100μmの範囲内にあることが好ましく、さらに好ましくは25〜80μmの範囲内である。
キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置HELOS(SYMPATEC社製)により測定することができる。
〔静電荷像現像用トナーの製造方法〕
本発明の静電荷像現像用トナーは、乳化凝集法、転相乳化法等により製造することができるが、製造の容易性の観点からは乳化凝集法が好ましい。具体的には、上記結晶性樹脂及び上記非晶性樹脂をそれぞれ水系媒体中に分散させた分散液と、着色剤を水系媒体中に分散させた分散液とを混合し、混合した水系媒体中において結晶性樹脂粒子、非晶性樹脂粒子及び着色剤粒子を凝集及び融着させて、上記トナー粒子を得ることができる。
(樹脂粒子分散液の調製工程)
非晶性樹脂及び結晶性樹脂をそれぞれ水系媒体中に分散させて、非晶性樹脂粒子分散液及び結晶性樹脂粒子分散液を調製する。
水系媒体とは、水の含有量が50質量%以上の媒体をいう。水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒が挙げられ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
非晶性樹脂及び結晶性樹脂の製造方法は特に限定されないが、樹脂の単量体を重合開始剤とともに水系媒体中に添加し、単量体を重合反応させて、樹脂粒子の分散液を得る乳化重合法を使用できる。
乳化重合法では、重合反応を多段階で行うこともできる。例えば、3段階で重合反応させる場合、第1段重合により樹脂粒子の分散液を調製し、この分散液中にさらに樹脂の単量体と重合開始剤を添加して、第2段重合させる。第2段重合により調製した分散液中にさらに樹脂の単量体と重合開始剤を添加して第3段重合させる。第2段及び第3段の重合時には、先の重合により生成された分散液中の樹脂粒子をシード(種)として、この樹脂粒子に新たに添加した単量体をさらに重合させることができ、樹脂粒子の粒径等の均一化を図ることができる。また、各段階の重合反応の際、異なる単量体を用いることにより、樹脂粒子の構造も多層構造とすることができ、目的の特性を有する樹脂粒子を得やすい。
非晶性ビニル樹脂を上述した多段階の重合反応により製造する場合は、上記一般式(1)で表される構造を有する単量体を各段階で添加することができる。添加する段階を選択することもできるし、すべての段階で添加することもできる。最初の段階のみ単量体を添加した場合でも、トナーの製造段階で各材料の粒子は融着して混ざり合うため、非晶性ビニル樹脂中の分岐アルキル基は結晶性樹脂と十分に作用する。
分散液の調製方法としては、乳化重合法に限らず、樹脂を有機溶媒中に溶解又は分散させて油相液を調製し、この油相液を転相乳化することにより水系媒体中に目的の粒径の油滴を分散させる転相乳化法を使用することもできる。
(重合開始剤)
重合反応に使用できる重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、2,2′−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、2,2′−アゾビス−(2−アミノジプロパン)硝酸塩、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2′−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物、過酸化水素等の過酸化物等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、目的の分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には重合性単量体の添加量に対して、0.1〜5.0質量%の範囲内とすることができる。
(連鎖移動剤)
重合反応時には、樹脂粒子の分子量を制御する観点から、連鎖移動剤を添加することができる。
使用できる連鎖移動剤としては、例えばオクチルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等のメルカプトプロピオン酸等が挙げられる。
連鎖移動剤の添加量は、目的の分子量や分子量分布によって異なるが、重合性単量体の添加量に対して、0.1〜5.0質量%の範囲内とすることができる。
(界面活性剤)
重合反応時には、分散液中の樹脂粒子の凝集等を防ぎ、良好な分散状態を維持する観点から、界面活性剤を添加することができる。
界面活性剤としては、例えばドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等のカチオン性界面活性剤、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル等のノニオン性界面活性剤等の公知の界面活性剤を用いることができる。これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
分散処理は、ホモジナイザー、せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、高圧衝撃式分散機等の機械的エネルギーを利用して行うことができる。
(着色剤粒子分散液の調製工程)
着色剤を水系媒体中に分散させて、着色剤粒子分散液を調製する。
着色剤粒子分散液の調製時にも、着色剤粒子の分散安定性を向上させるため、上述した界面活性剤を添加することができる。また、上述した機械的エネルギーを分散処理に利用することができる。
分散液中の着色剤粒子は、体積基準のメジアン径が10〜300nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは100〜200nmの範囲内であり、さらに好ましくは100〜150nmの範囲内である。
着色剤粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子社製)を用いて測定することができる。
(離型剤粒子分散液の調製工程)
離型剤を使用する場合は、上記樹脂粒子分散液の調製工程と同様にして、離型剤を水系媒体中に分散させ、離型剤粒子分散液を調製する。
(トナー粒子の形成工程)
調製した非晶性樹脂粒子分散液、結晶性樹脂粒子分散液及び着色剤粒子分散液を混合し、水系媒体中において非晶性樹脂粒子、結晶性樹脂粒子及び着色剤粒子の各粒子を凝集させる。さらに、混合液を加熱することによって各粒子を融着させて、トナー粒子を形成する。離型剤を使用する場合は、離型剤粒子分散液も混合して、離型剤粒子もともに凝集及び融着させる。凝集及び融着時、臨界凝集濃度以上の凝集剤を添加し、非晶性樹脂のガラス転移点(Tg)以上に混合液を加熱することにより、凝集及び融着を促進すればよい。
(凝集剤)
使用できる凝集剤としては、特に限定されないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の金属塩等が挙げられる。
金属塩としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム等の1価の金属塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸銅、硫酸マグネシウム等の2価の金属塩、鉄、アルミニウム等の3価の金属塩等が挙げられる。なかでも、より少量で凝集させることができることから、2価の金属塩が好ましい。
(熟成工程)
必要に応じて、トナー粒子の熟成工程を経ることもできる。熟成工程では、トナー粒子の形成工程により得られたトナー粒子の分散液を加熱し、目的の円形度のトナー粒子が得られるまで熟成させる。
(シェル化工程)
コア・シェル構造のトナー粒子を形成する場合、トナー粒子の形成工程又は熟成工程により得られたトナー粒子をコア粒子として、コア粒子の表面にシェル層を形成する。
具体的には、シェル層を構成する樹脂を水系媒体中に分散させた樹脂粒子分散液を調製し、トナー粒子の形成工程又は熟成工程により得られたトナー粒子の分散液に添加して、トナー粒子の表面にシェル層の樹脂粒子を凝集、融着させる。これにより、コア・シェル構造を有するトナー粒子の分散液を得ることができる。
コア粒子にシェル層の樹脂粒子をより強固に凝集、融着させるため、シェル化工程に続いて加熱処理を行うことができる。加熱処理は、目的の円形度のトナー粒子が得られるまで行えばよい。
(冷却工程)
トナー粒子の形成工程、熟成工程又はシェル化工程により得られたトナー粒子の分散液を冷却する。
冷却速度は1〜20℃/分の範囲内とすることができる。冷却方法は特に限定されず、反応容器の外部から冷媒を導入して冷却することもできるし、冷水を直接反応系に投入して冷却することもできる。
(ろ過洗浄工程)
冷却後のトナー粒子の分散液をろ過してトナー粒子を固液分離し、得られたウェット状のトナーケーキ(ケーキ形状のトナー粒子の集合体をいう。)を洗浄して、界面活性剤、凝集剤等を除去する。
固液分離の方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用する減圧ろ過法、フィルタープレスを使用するろ過法等を使用することができる。
洗浄時には、例えばろ液の電気伝導度が10μS/cmになるまで水で洗浄することができる。
(乾燥工程)
ろ過洗浄後のトナーケーキを乾燥する。
乾燥には、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等を使用することができる。
乾燥後のトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下がより好ましい。
乾燥後のトナー粒子同士が弱い粒子間引力で凝集している場合には、その凝集体を解砕処理してもよい。解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等を使用することができる。
(外添剤の添加工程)
トナー粒子に外添剤を添加する場合、乾燥後のトナー粒子に外添剤を添加して混合する。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等を使用することができる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示が用いられるが、特に断りが無い限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔トナー1〕
(結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製)
撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、1,10−デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)315質量部、1,9−ノナンジオール252質量部を入れた。この反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、チタンテトラブトキサイド0.1質量部を添加し、窒素ガス気流下において180℃で撹拌しながら8時間重合反応を行った。さらに、チタンテトラブトキサイド0.2質量部を添加し、温度を220℃に上げて撹拌しながら6時間重合反応を行った。その後、反応容器内を10mmHgまで減圧し、減圧下で反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、14000であった。この重量平均分子量(Mw)は、次のようにしてGPCにより測定した分子量分布から求めた。
試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製した。GPC装置HLC−8120GPC(東ソー社製)及びカラムTSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ-m3連(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/minで流した。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出して、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて試料の分子量分布を算出した。算出した分子量分布から重量平均分子量(Mw)を算出した。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いた。
また、結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、72℃であった。この融点は示差走査熱量測定(DSC)により次のようにして測定した。
試料1.5mgをアルミニウム製パンに封入し、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させた。1回目と2回目の加熱時には、10℃/minの昇温速度で室温(25℃)から150℃まで昇温して150℃を5分間保持した。冷却時には、10℃/minの降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持した。2回目の加熱時に得られた測定曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を融点とした。リファレンスとして、空のアルミニウム製パンを用いた。
(非晶性ビニル樹脂粒子分散液の調製)
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃として、下記単量体の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 480.0質量部
n−ブチルアクリレート 250.0質量部
メタクリル酸 68.0質量部
滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、非晶性ビニル樹脂粒子分散液を調製した。
(第2段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱した。加熱後、上記第1段重合により調製した非晶性ビニル樹脂粒子分散液を固形分換算で80質量部と、下記単量体、連鎖移動剤及び離型剤を90℃にて溶解させた混合液と、を添加した。
スチレン(St) 285.0質量部
n−ブチルアクリレート(BA) 95.0質量部
メタクリル酸(MAA) 20.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤) 1.5質量部
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 190.0質量部
循環経路を有する機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック社製)により、1時間の混合分散処理を行い、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤の溶液を添加し、この系を84℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行って、非晶性ビニル樹脂粒子分散液を調製した。
(第3段重合)
上記第2段重合により得られた非晶性ビニル樹脂粒子分散液にさらにイオン交換水400質量部を添加し、よく混合した後、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加した。さらに、82℃の温度条件下で、下記単量体及び連鎖移動剤の混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン(St) 454.8質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 143.2質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、非晶性ビニル樹脂分散液を調製した。
分散液中の非晶性ビニル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が220nmであり、重量平均分子量(Mw)が32000であった。重量平均分子量(Mw)は、上記結晶性ポリエステル樹脂と同様にして測定した。
また、分散液中の非晶性ビニル樹脂粒子は、ガラス転移点(Tg)が55℃であった。
ガラス転移点(Tg)は、ダイヤモンドDSC(パーキンエルマー社製)を用いて測定した。具体的には、試料1.5mgをアルミニウム製パンに封入し、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させた。1回目と2回目の加熱時には、10℃/minの昇温速度で室温(25℃)から150℃まで昇温して、150℃を5分間保持した。冷却時には、10℃/minの降温速度で150℃から0℃まで降温して、0℃の温度を5分間保持した。2回目の加熱時に得られた測定曲線においてベースラインのシフトを観察し、シフトする前のベースラインの延長線と、シフトするベースラインの最大傾斜を示す接線との交点をガラス転移点(Tg)とした。リファレンスとして、空のアルミニウム製パンを用いた。
(シェル層の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製)
下記スチレン−アクリル樹脂の単量体、非晶性ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル樹脂のいずれとも反応する置換基を有する単量体及び重合開始剤の混合液を滴下ロートに入れた。
スチレン 80.0質量部
n−ブチルアクリレート 20.0質量部
アクリル酸 10.0質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 16.0質量部
また、下記非晶性ポリエステル樹脂の単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
撹拌下で、滴下ロートに入れた混合液を四つ口フラスコへ90分かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて未反応の単量体を除去した。その後、エステル化触媒としてTi(OBu)を0.4質量部投入し、235℃まで昇温して、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間、反応を行った。
次いで200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、脱溶剤を行い、スチレン−アクリル樹脂により変性された非晶性ポリエステル樹脂を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は25000であり、ガラス転移点(Tg)は60℃であった。重量平均分子量(Mw)は上述した結晶性ポリエステル樹脂と同様にして測定し、ガラス転移点(Tg)は非晶性ビニル樹脂と同様にして測定した。
得られた非晶性ポリエステル樹脂100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(日本精機製作所製)によりV−LEVEL 300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を調製した。分散液中の非晶性ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が160nmであった。
(着色剤粒子分散液の調製)
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した溶液を撹拌しながら、銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)420質量部を徐々に添加した。撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液を調製した。
分散液中の着色剤粒子は、体積基準のメジアン径が110nmであった。
(トナー1の製造)
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、非晶性ビニル樹脂粒子分散液285質量部(固形分換算)、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液40質量部(固形分換算)、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩を樹脂比で1質量%(固形分換算)及びイオン交換水2000質量部を投入した。室温下(25℃)下で、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
さらに、着色剤粒子分散液30質量部(固形分換算)を投入し、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後、60分かけて80℃まで昇温し、80℃に到達後、粒子径の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整して、コールターマルチサイザー3(コールター・ベックマン社製)により測定した体積基準のメジアン径が6.0μmになるまで成長させた。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液37質量部(固形分換算)を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解させた水溶液を添加して、粒子径の成長を停止させた。次いで、昇温して80℃の状態で撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナー粒子の平均円形度が0.970になった時点で、2.5℃/minの冷却速度で30℃まで冷却した。平均円形度は、測定装置FPIA−3000(Sysmex社製)を用いて、HPF検出数を4000個として測定した。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄した。洗浄後、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ粒子(個数平均一次粒径:12nm、疎水化度:68)0.6質量部、疎水性酸化チタン粒子(個数平均一次粒径:20nm、疎水化度:63)1.0質量部及びゾルゲルシリカ(数平均一次粒子径=110nm、)1.0質量部とを添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)により回転翼周速35mm/sec、32℃で20分間混合した。混合後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去し、トナー1を得た。
〔トナー2〕
上記トナー1の製造において、第3段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー2を製造した。
スチレン(St) 435.6質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 64.4質量部
n−ブチルアクリレート 98.0質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
〔トナー3〕
上記トナー1の製造において、第3段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー3を製造した。
スチレン(St) 439.2質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 78.8質量部
n−ブチルアクリレート 80.0質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
〔トナー4〕
上記トナー1の製造において、第2段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー4を製造した。
スチレン(St) 302.4質量部
n−ブチルアクリレート(BA) 6.0質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 71.6質量部
メタクリル酸(MAA) 20.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.5質量部
ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 190.0質量部
〔トナー5〕
上記トナー1の製造において、第3段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー5を製造した。
スチレン(St) 361.8質量部
2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)143.2質量部
n−ブチルアクリレート 93.0質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
〔トナー6〕
上記トナー1の製造において、第3段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー6を製造した。
スチレン(St) 425.8質量部
イソノニルアクリレート(INAA) 143.2質量部
n−ブチルアクリレート 29.0質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
〔トナー7〕
上記トナー1の製造において、第3段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー7を製造した。
スチレン(St) 425.8質量部
イソステアリルアクリレート(ISAA) 143.2質量部
n−ブチルアクリレート 29.0質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
〔トナー8〕
上記トナー1の製造において、第3段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更し、シェル層の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を添加せずにトナー粒子を形成したこと以外は、トナー1と同様にしてトナー8を製造した。
スチレン(St) 467.1質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)126.9質量部
n−ブチルアクリレート 4.0質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
〔トナー9〕
上記トナー1の製造において、第3段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー9を製造した。
スチレン(St) 428.9質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 40.1質量部
n−ブチルアクリレート 129.0質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
〔トナー21〕
上記トナー1の製造において、第3段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー21を製造した。
スチレン(St) 420.0質量部
n−ブチルアクリレート 178.0質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
〔トナー22〕
上記トナー1の製造において、第3段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー22を製造した。
スチレン(St) 427.5質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 31.5質量部
n−ブチルアクリレート 139.0質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
〔トナー23〕
上記トナー1の製造において、第3段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー23を製造した。
スチレン(St) 303.6質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)286.4質量部
n−ブチルアクリレート 8.0質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
〔トナー24〕
上記トナー1の製造において、第3段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー24を製造した。
スチレン(St) 437.8質量部
n−オクチルアクリレート(NOAA) 143.2質量部
n−ブチルアクリレート 17.0質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
〔トナー25〕
上記トナー1の製造において、第3段重合に用いた単量体の混合液を、下記組成の単量体の混合液に変更すること以外は、トナー1と同様にしてトナー25を製造した。
スチレン(St) 379.8質量部
イソブチルアクリレート(IBAA) 143.2質量部
n−ブチルアクリレート 75.0質量部
メタクリル酸(MAA) 52.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
〔評価〕
製造した各トナー1〜9及び21〜25の定着性を次のようにして評価した。
まず、各トナー1〜9及び21〜25の保管条件の異なるサンプルを用意した。具体的には、各トナー1〜9及び21〜25の二つのサンプルを用意し、一つを温度20℃、相対湿度50%RHの常温常湿環境下で24時間保管する保管条件Aにより保管し、もう一つを温度50℃、相対湿度40%RHの高温環境下で24時間保管する保管条件Bにより保管した。
トナー1〜9及び21〜25の保管条件A及びBのサンプルを用いて現像剤をそれぞれ作製し、作製した現像剤を装填した画像形成装置により、常温常湿(温度20℃、相対湿度50%RH)の環境下で、用紙NPI(坪量128g/m、日本製紙製)上にベタ画像を形成した。ベタ画像は、トナーの付着量が11.3g/mとなるように塗りつぶした画像である。画像形成装置としては、複合機bizhub PRESS C1070(コニカミノルタ社製)を使用した。また、現像剤は、各トナー1〜9及び21〜25のサンプルに、シリコーン樹脂で被覆した、体積基準のメジアン径(d50)が60μmのフェライトキャリアを添加して混合することにより作製した。
定着装置の一対のローラーの一方の表面温度を100℃に設定し、他方のローラーの表面温度を2℃単位で140〜180℃の範囲内で変更して、ベタ画像が形成された用紙を定着処理した。変更したローラーの温度のなかでアンダーオフセットが発生しなかった温度のうち、最も低い温度を定着下限温度として測定した。アンダーオフセットとは、定着装置から与えられた熱によるトナーの溶融が不十分であるために、用紙等の転写材上のトナーが転写材から剥離する画像欠陥をいう。
各トナー1〜9及び21〜25の保管条件Aのサンプルの定着下限温度と、保管条件Bのサンプルの定着下限温度との温度差Δ(℃)によって、定着性を次のようにしてランク評価した。ランクが2以上のトナーを合格とした。
3:定着下限温度の差がなく、定着性の変化がみられない
2:定着下限温度の差が4℃以下であり、定着性がやや変化している
1:定着下限温度の差が4℃を超え、定着性の変化が大きい
下記表1は、評価結果を示している。
下記表1において、結晶ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、それぞれの添加量から計算したトナー粒子中の含有量[質量%]である。
また、下記表1中の上記一般式(1)で表される構造を有する単量体の含有量(計算値)は、当該単量体の添加量から計算したトナー粒子中の当該単量体の含有量[質量%]であり、含有量(測定値)は、GC/MSにより測定したトナー粒子中の当該単量体の含有量[質量%]である。測定時の熱分解条件及びGC/MSの測定条件は、次のとおりである。
(熱分解条件)
測定装置:PY−2020iD(フロンティア・ラボ社製)
測定の質量:0.1mg
加熱温度:550℃
加熱時間:0.5分
(GC/MSの測定条件)
測定装置:QP2010島津製作所製
カラム:UltraALLOY−5(内径:0.25mm、長さ:30m、厚さ:0.25μm、フロンティア・ラボ社製)
昇温範囲:100℃〜320℃(320℃で保持)
昇温速度:20℃/分
Figure 2017037111
表1に示すように、一般式(1)で表される構造を有する単量体に由来の炭素数が8以上の分岐アルキル基を繰り返し構造単位中に有し、かつ結着樹脂中の分岐アルキル基の含有量が2.4〜13.5質量%の範囲内にある非晶性ビニル樹脂を含有するトナー1〜9は、保管条件によらず本来の定着性を維持できている。一方、このような非晶性ビニル樹脂を含有しないか、含有していても多すぎるか少なすぎるトナー21〜25は、本来の定着性を維持できず、保管条件によって大きく変化してしまっている。

Claims (12)

  1. トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
    前記トナー粒子は、結晶性樹脂及び非晶性樹脂を含有し、
    前記非晶性樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有する単量体の重合体である非晶性ビニル樹脂を含有し、かつ、
    前記トナー粒子中の前記単量体に由来の構造単位の含有量が、2.4〜13.5質量%の範囲内にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    一般式(1)
    C=CR−COOR
    〔一般式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数8以上の分岐アルキル基を表す。〕
  2. 前記トナー粒子中の前記単量体に由来の構造単位の含有量が、4.0〜13.5質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記トナー粒子中の前記単量体に由来の構造単位の含有量が、4.9〜13.5質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記一般式(1)中のRが表す分岐アルキル基の炭素数が、22以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記一般式(1)中のRが表す分岐アルキル基の炭素数が、8であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記トナー粒子中の前記結晶性樹脂の含有量が、1〜20質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 前記非晶性樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂をさらに含有することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 前記非晶性ポリエステル樹脂が、スチレン−アクリル樹脂により変性されたハイブリッド樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の静電荷像現像用トナー。
  10. 前記ハイブリッド樹脂中の前記スチレン−アクリル樹脂のセグメントの含有量が、1〜30質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項9に記載の静電荷像現像用トナー。
  11. 前記トナー粒子が、シリカ粒子を含有し、
    前記シリカ粒子の個数平均一次粒子径が、70〜200nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  12. 請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    前記結晶性樹脂及び前記非晶性樹脂をそれぞれ水系媒体中に分散させた分散液と、着色剤を水系媒体中に分散させた分散液とを混合し、混合した水系媒体中において結晶性樹脂粒子、非晶性樹脂粒子及び着色剤粒子を凝集及び融着させて、前記トナー粒子を得ることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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