JP2014153580A - 静電荷現像用トナー及び静電荷現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の静電荷現像用トナーは、コア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷現像用トナーであって、当該トナー母体粒子が、ポリエステル樹脂を含有したコア用樹脂を、スチレン−アクリル樹脂を含有したシェル用樹脂で被覆した構造の粒子であり、かつ、少なくとも当該シェル用樹脂部分にサリチル酸誘導体と3価の金属とからなるサリチル酸金属錯体を含有し、前記スチレン−アクリル樹脂が、官能基としてカルボキシ基を有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
そこで、耐久性及び高画質化に直接的に影響するトナー表面の帯電性の安定化を目的として、ポリエステル樹脂にサリチル酸誘導体と金属とからなる金属錯体を含有しているトナーに関する技術が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載のトナーの場合、サリチル酸誘導体と金属とからなる金属錯体がトナーの表層ではなく、内部に入り込んでいるため、十分な帯電安定性、耐熱性及び耐破砕性が得られないという問題があることが、本願発明者の検討により明らかになった。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.コア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷現像用トナーであって、
当該トナー母体粒子が、ポリエステル樹脂を含有したコア用樹脂を、スチレン−アクリル樹脂を含有したシェル用樹脂で被覆した構造の粒子であり、かつ、少なくとも当該シェル用樹脂部分にサリチル酸誘導体と3価の金属とからなるサリチル酸金属錯体を含有し、
前記スチレン−アクリル樹脂が、官能基としてカルボキシ基を有することを特徴とする静電荷現像用トナー。
それぞれの溶液(1)及び溶液(2)を、高速液体クロマトグラフィーにより同条件下で測定したとき、溶液(2)で得られたサリチル酸誘導体に由来するピーク(P2)のピーク面積をS2、溶液(1)でP2と同じ保持時間を持ったサリチル酸誘導体に由来するピーク(P1)のピーク面積をS1とすると、下記式(A)を満たすことを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷現像用トナー。
式(A):0.8<S2/S1≦1
当該トナー母体粒子が、ポリエステル樹脂を含有したコア用樹脂を、スチレン−アクリル樹脂を含有したシェル用樹脂で被覆した構造の粒子であり、かつ、少なくとも当該シェル用樹脂部分にサリチル酸誘導体と3価の金属とからなるサリチル酸金属錯体を含有し、
前記スチレン−アクリル樹脂が、官能基としてカルボキシ基を有し、
少なくとも下記(1)〜(3)の工程を有することを特徴とするトナーの製造方法。
(1)水系媒体中に、前記ポリエステル樹脂を含有したコア用樹脂粒子が分散されてなるコア用樹脂粒子分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、前記スチレン−アクリル樹脂を含有したシェル用樹脂粒子と、前記サリチル酸金属錯体とが分散されてなるシェル用樹脂粒子分散液を調製する工程
(3)前記コア用樹脂粒子分散液に、前記シェル用樹脂粒子分散液を添加して、コア用樹脂粒子の表面にシェル層を形成する工程
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
サリチル酸誘導体と金属とからなる金属錯体は、トナーの帯電量を安定化させる荷電制御剤として一般的に使用されるものであり、このような金属錯体においては、使用する金属によって、相溶する樹脂が異なる場合がある。そのため、トナーのコア・シェル構造において、シェル用樹脂のみに相溶するサリチル酸誘導体と金属とからなる金属錯体を使用すれば、帯電量の安定化が可能となると考えられる。
したがって、本発明では、トナー母体粒子を、ポリエステル樹脂を含有したコア用樹脂を、スチレン−アクリル樹脂を含有したシェル用樹脂で被覆した構造の粒子とし、かつ、少なくとも当該シェル用樹脂部分にサリチル酸誘導体と3価の金属とからなるサリチル酸金属元素を含有させることによって、3価の金属が、シェル用樹脂に含有するスチレン−アクリル樹脂に相溶し、コア用樹脂に含有するポリエステル樹脂(酢酸エチル)には溶解しにくくなる。その結果、帯電量が安定化すると推定される。
また、サリチル酸金属錯体から脱離した遊離金属イオンが、トナーの構成材料であるシェル用樹脂に含有されているスチレン−アクリル樹脂のカルボキシ基との間で、金属架橋を生じることによって、シェル層の架橋が進み、耐熱性及び耐破砕性が向上すると推定される。
この特徴は、請求項1から請求項7までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
また、前記トナー母体粒子をメチルエチルケトンに溶解した溶液を溶液(1)とし、メタノールに溶解した溶液を溶液(2)とし、それぞれの溶液(1)及び溶液(2)を、高速液体クロマトグラフィーにより同条件下で測定したとき、溶液(2)で得られたサリチル酸誘導体に由来するピーク(P2)のピーク面積をS2、溶液(1)でP2と同じ保持時間を持ったサリチル酸誘導体に由来するピーク(P1)のピーク面積をS1とすると、下記式(A)を満たすことが好ましい。
式(A):0.8<S2/S1≦1
これによって、シェル層にサリチル酸金属錯体が多く含有することとなり、耐熱性、耐破砕性及び帯電安定性の向上をより一層図ることができる。
また、外添剤として、平均粒径70〜150nmの範囲内のシリカが含有されていることが、耐久性、クリーニング性、転写性の観点から好ましい。
(1)水系媒体中に、前記ポリエステル樹脂を含有したコア用樹脂粒子が分散されてなるコア用樹脂粒子分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、前記スチレン−アクリル樹脂を含有したシェル用樹脂粒子と、前記サリチル酸金属錯体とが分散されてなるシェル用樹脂粒子分散液を調製する工程
(3)前記コア用樹脂粒子分散液に、前記シェル用樹脂粒子分散液を添加して、コア用樹脂粒子の表面にシェル層を形成する工程
本発明のトナーは、コア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷現像用トナーであって、当該トナー母体粒子が、ポリエステル樹脂を含有したコア用樹脂を、スチレン−アクリル樹脂を含有したシェル用樹脂で被覆した構造の粒子であり、かつ、少なくとも当該シェル用樹脂部分にサリチル酸誘導体と3価の金属とからなる金属錯体を含有し、前記スチレン−アクリル樹脂が、官能基としてカルボキシ基を有することを特徴とする。
なお、本発明に係る金属錯体には、金属錯塩をも含むものとする。
以下、本発明のトナーの構成要素について詳細な説明をする。
本発明に用いられるスチレン−アクリル樹脂を構成する重合性単量体のうち、スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマーが挙げられる。
また、アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のアクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エステル系モノマーが挙げられる。
この中でも本発明においては、官能基としてカルボキシ基を有するアクリル酸モノマーを使用することは必須である。
これらの重合性単量体の共重合比は、得られるコア粒子を構成する樹脂のガラス転移温度が30〜60℃の範囲内、好ましくは30〜50℃の範囲内になるように選択するのがよい。
また、軟化点は、80〜110℃の範囲内、好ましくは90〜100℃の範囲内である。
重合性単量体としては、さらに多官能ビニル単量体を使用してもよい。多官能ビニル単量体としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキしレングリコール等のジアクリレート、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三級以上のアルコールのジメタクリレート及びトリメタクリレート等が挙げられる。
多官能ビニル系単量体の重合性単量体全体に対する共重合比は、通常、0.001〜5質量%であり、好ましくは0.003〜2質量%の範囲内であり、より好ましくは0.01〜1質量%の範囲内である。
多官能ビニル系単量体の使用により、テトラヒドロフランに不溶のゲル成分が生成するが、ゲル成分の重合物全体に占める割合は通常40質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
連鎖移動剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、アルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルが挙げられる。
連鎖移動剤の添加量は、所望する分子量や分子量分布によって異なるが、具体的には、重合性単量体に対して、0.1〜5質量%の範囲内で添加するのが好ましい。
重合に使用される重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
<カルボン酸モノマー>
本発明に用いられるポリエステル樹脂には、酸モノマーとして他の多価カルボン酸を構成成分として含有することができる。これらの多価カルボン酸としては、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。
このうち、2価のカルボン酸は、1分子中にカルボキシ基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等を挙げることができる。
また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
多価カルボン酸誘導体としては、多価カルボン酸のアルキルエステル、酸無水物及び酸塩化物を挙げることができ、多価アルコール誘導体としては、多価アルコールのエステル化合物及びヒドロキシカルボン酸を挙げることができる。
多価アルコールとしては、1分子中にヒドロキシ基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のポリオール(ジオール)は、1分子中にヒドロキシ基を2個含有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
また、2価のポリオール以外のポリオールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等を挙げることができる。
本発明に係るポリエステル樹脂の重合用触媒としては、一般的な公知の触媒が使用可能であり、例えば、チタンテトライソプロポキシド等が挙げられる。
ポリエステル樹脂粒子のガラス転移点Tgは、40〜70℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50〜65℃の範囲内である。
Tgが40℃以上であると、高温度領域での樹脂自体に凝集力があり、定着の際にホットオフセットを生じることがないので好ましい。また、Tgが70℃以下であると、十分溶融することができ、好適な最低定着温度を得ることができるので好ましい。軟化点は、80〜110℃の範囲内であることが好ましい。
また、用いるポリエステル樹脂の重量平均分子量は、1500〜60000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3000〜40000の範囲内である。
重量平均分子量が1500以上であると、バインダー樹脂として好適な凝集力が得られ、ホットオフセット防止性が良好であるので好ましい。また、重量平均分子量が60000以下であると、ホットオフセット防止性及び好適な最低定着温度を得ることができるので好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂に、必要に応じてスチレン−アクリル樹脂などで、グラフト変性しても良い。
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子、直鎖又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基を表す。このようなアルキル基としては、例えば、tert−ブチル、ペンチル(C5H11)又は2−エチルヘキシル等が挙げられる。
mは3を表し、nは1を表す。
式(A):0.8<S2/S1≦1
すなわち、サリチル酸金属錯体が、トナーのシェル層に多く含有していることが好ましい。
(HPLC測定条件)
カラム:Inertsil ODS-2(粒子径5μm、4.6mm I.D.×150mm L)(ジーエルサイエンス(株)製)
オーブン:40℃
流速:1.0ml/分
溶離液組成: A:0.1M酢酸アンモニウム水溶液(pH5)/B:メタノール
グラジェント:0分(B:60%)〜20分(B:100%)
注入量:10μl
検出:UV310nm
また、シェル層に含有されるサリチル酸金属錯体の比率の計算方法は、以下のとおりである。
なお、以下の手順において、トナー母体粒子をメチルエチルケトンに25℃で溶解した溶液(1)と、メタノールに25℃で溶解した溶液(2)の各測定サンプル溶液の濃度は、各溶媒に対してトナー0.1%とし、溶解後、残存物をフィルターで濾過したものを測定サンプル溶液とした。
(計算方法)
(a)標品(サリチル酸誘導体と金属とからなる金属錯体)で保持時間を確認する。
(b)前記標品の量と、そのピーク面積の関係を示した検量線を作成する。
(c)メチルエチルケトン抽出でのピーク面積S1(強度)と検量線からトナー全体のサリチル酸金属錯体の含有量を計算する。
(d)メタノール抽出でのピーク面積S2(強度)と検量線からトナーのシェル層のサリチル酸金属錯体の含有量を計算する。
(e)トナー全体のサリチル酸金属錯体の含有量と、シェル層のサリチル酸金属錯体の含有量から、シェル層に含有されるサリチル酸金属錯体の比率を計算する。
スチレン−アクリル樹脂へのサリチル酸金属錯体の分散には、ミニエマルション重合法を用いる。
ミニエマルション重合法とは、具体的には、スチレン−アクリルの単量体に、サリチル酸金属錯体を溶解し、超音波や機械式分散機などで分散する。その分散液に、重合開始剤を添加することによって、単量体を重合させ、エマルションを形成する方法である。
本発明でいう「トナー母体粒子」とは、少なくとも結着樹脂(コア用樹脂)と着色剤とを含有してなるトナーコア粒子の表面に、結着樹脂(シェル用樹脂)を含有してなるシェル層を有してなるコア・シェル構造を有する粒子のことである。トナー母体粒子は、そのままでもトナー粒子として使用することができるが、通常、外添剤を添加して使用することが好ましい。
本発明で用いられるトナー母体粒子の平均円形度は、0.850〜0.990の範囲内であることが好ましい。
ここで、トナー母体粒子の平均円形度は「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。
具体的には、トナー母体粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の範囲内の適正濃度で測定を行う。この範囲内であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は、下記式で計算される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また、平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
本発明で用いられるトナー母体粒子の粒径は、体積基準メディアン径(D50)で3〜10μmの範囲内のものであることが好ましい。
トナー母体粒子の体積基準メディアン径(D50)は、例えば、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー母体粒子0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナー粒子の分散を目的として、例えば、界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)でなじませた後、超音波分散を1分間行い、トナー粒子分散液を作製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%の範囲内になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は、100μmのものを使用する。
本発明におけるトナーの製造方法は、乳化凝集法を用いることが好ましい。
乳化凝集法とは、乳化によって製造された結着樹脂の粒子(以下、「結着樹脂粒子」ともいう。例えば、コア用樹脂粒子やシェル用樹脂粒子。)の分散液を、着色剤の粒子(以下、「着色剤粒子」ともいう。)の分散液と混合し、所望のトナー母体粒子径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー母体粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂の粒子は、任意に離型剤、その他添加剤などを含有していてもよい。
(0)水系媒体中に、着色剤粒子が分散されてなる着色剤粒子分散液を調製する工程
(1)水系媒体中に、ポリエステル樹脂を含有したコア用樹脂粒子が分散されてなるコア用樹脂粒子分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、スチレン−アクリル樹脂を含有したシェル用樹脂粒子と、サリチル酸金属錯体が分散されてなるシェル用樹脂粒子分散液を調製する工程
(3)コア用樹脂粒子分散液に、シェル用樹脂粒子分散液を添加して、コア用樹脂粒子の表面にシェル層を形成する工程(凝集・融着工程)
(3−1)着色剤粒子分散液とコア用樹脂粒子分散液とを混合して、着色剤粒子及びコア用樹脂粒子を凝集、融着させてトナーコア粒子を形成する工程
(3−2)トナーコア粒子の分散液に、シェル用樹脂粒子分散液を添加して、トナーコア粒子の表面に、シェル用樹脂粒子を凝集、融着させてトナーコア粒子表面を被覆するシェル層を形成し、コア・シェル構造を有するトナー母体粒子の分散液を調製する工程
(4)トナー母体粒子の分散液(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程(洗浄工程)
(5)トナー母体粒子を乾燥する工程(乾燥工程)
(6)トナー母体粒子に外添剤を添加しトナーとする工程(外添剤処理工程)
この工程では、水系媒体中に、着色剤粒子が分散されてなる着色剤粒子分散液を調製する。
着色剤粒子の分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理においては、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機は、公知の分散機を用いることができる。また、使用することのできる界面活性剤としては、公知のものを用いることができる。
本発明に用いられる着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができる。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが使用される。
磁性体としては、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。
顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60などを用いることができ、これらの混合物も用いることができる。
数平均一次粒子径は、種類により多様であるが、おおむね10〜200nmの範囲内が好ましい。
この工程では、水系媒体中に、ポリエステル樹脂を含有したコア用樹脂粒子が分散されてなるコア用樹脂粒子分散液を調製する。
コア用樹脂粒子を分散する手法としては、乳化重合により得られる乳化重合粒子分散液を用いることが好ましい。
また、コア用樹脂粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよい。このような構成のコア用樹脂粒子は、例えば、2層構造を有するものは、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)によって樹脂粒子の分散液を調整し、この分散液に重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する手法によって得ることができる。
この工程では、水系媒体中に、スチレン−アクリル樹脂を含有したシェル用樹脂粒子と、サリチル酸金属錯体が分散されてなるシェル用樹脂粒子分散液を調製する。
サリチル酸金属錯体のスチレン−アクリル樹脂への分散には、上述したミニエマルション重合法を使用することが好ましい。
この工程では、着色剤粒子分散液とコア用樹脂粒子分散液とを混合して、着色剤粒子及びコア用樹脂粒子を凝集、融着させてトナーコア粒子を形成する。
着色剤粒子及びコア用樹脂粒子を凝集、融着させる手法としては、コア用樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液とに、凝集剤を添加し、必要に応じてワックス粒子、その他トナー構成成分の粒子の分散液とを混合して凝集用分散液を調製し、温度調節することにより、水系媒体中で凝集・融着させ、トナーコア粒子の分散液を形成する。
また、(3−1)の工程においては、加熱により速やかに昇温させることが好ましく、昇温速度は、1℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。
さらに、凝集用分散液がガラス転移点温度以上の温度に到達した後、当該凝集用分散液の温度を一定時間保持することにより、融着を継続させることが肝要である。これにより、着色粒子の成長と、融着とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナーコア粒子の耐久性を向上することができる。
本発明に用いられる凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属の塩から選択されるものが好適に使用される。例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの1価の金属の塩、例えば、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの2価の金属の塩、鉄、アルミニウムなどの3価の金属の塩などが挙げられる。
具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で特に好ましくは2価の金属の塩である。
2価の金属の塩を使用すると、より少量で凝集を進めることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明に用いられるワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ワックスの含有割合は、樹脂粒子全質量の2〜20質量%の範囲内、好ましくは3〜18質量%の範囲内、さらに好ましくは4〜15質量%の範囲内である。
また、ワックスの融点としては、電子写真におけるトナーの低温定着性と離型性との観点から、50〜95℃の範囲内であることが好ましい。
この工程では、トナーコア粒子の分散液に、シェル用樹脂粒子分散液を添加して、トナーコア粒子の表面にシェル用樹脂粒子を凝集、融着させてトナーコア粒子の表面を被覆するシェル層を形成し、コア・シェル構造を有するトナー母体粒子の分散液を調製する。
この工程では、(3−2)の工程で調製したトナー母体粒子の分散液(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する。
この工程では、(4)の工程で得られたトナー母体粒子を乾燥する。
この工程では、トナーの流動性や帯電特性を改善する目的で、トナー母体粒子に外添剤を添加してトナーとする。
本発明に用いられる外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいはチタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。
特に、平均粒径70〜150nmの範囲内のシリカ微粒子を使用することが、耐久性、クリーニング性、転写性の観点から好ましい。
これら無機微粒子は、耐熱性及び環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。
外添剤の添加量は、トナー母体粒子100質量部に対して0.05〜5質量部の範囲内、好ましくは0.1〜3質量部の範囲内とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて用いてもよい。
外添剤の添加方法としては、乾燥済みのトナー母体粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられる。混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
本発明のトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として、また、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
二成分現像剤として使用する際に用いられる磁性粒子であるキャリアは、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を使用することが可能である。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。
また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアの体積平均粒径は、15〜100μmの範囲内のものが好ましく、25〜80μmの範囲内のものがより好ましい。
本発明のトナーが用いられる画像形成装置は、静電潜像担持体(代表的には電子写真感光体であり、以下、単に感光体と述べる)上に、帯電手段、露光手段、トナーを含む現像剤による現像手段、現像手段により形成したトナー像を中間転写体を介して転写材に転写する転写手段とを有するものである。
特に、感光体上のトナー像を中間転写体に順次転写するカラー画像形成装置、各色の複数の感光体を中間転写体上に直列配置させたタンデム型カラー画像形成装置等に用いるのが有効である。
1.トナー1の作製
コア用樹脂:ポリエステル樹脂
シェル用樹脂:サリチル酸金属錯体を含有したスチレン−アクリル樹脂
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加した。
次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子が分散された「着色剤粒子分散液」を調製した。この分散液の粒子径を、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装社製)を用いて測定したところ、平均粒径は117nmであった。
(1−1)ポリエステル樹脂の作製
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物316質量部、テレフタル酸80質量部、フマル酸34質量部及び重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2質量部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。
次いで、13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出した。これをポリエステル樹脂〔a〕とする。
ポリエステル樹脂〔a〕は、Tgは65℃、数平均分子量は4500、重量平均分子量は13500であった。
温度計及び撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン430質量部、ポリエステル樹脂〔a〕430質量部を入れ溶解し、窒素置換後、スチレン86質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル21.5質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.75質量部及びキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下重合し、さらに、この温度で30分間保持した。
次いで、脱溶剤を行い、ポリエステル樹脂〔A〕(コア用樹脂)を得た。
ポリエステル樹脂〔A〕100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に撹拌しながら添加し溶解した後、パラフィンワックス(融点:73℃)10質量部及びワックス分散助剤(日油(株)製:BP−70R ソルビタンモノベヘネート)5質量部を添加し加熱溶解させた。
次いで、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)でV−LEVEL 300μAで30分間超音波分散した。
その後、50℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプV−700(日本ビュッヒ社製)を使用し、減圧下で5時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、平均粒径(体積基準におけるメディアン径(D50))が180nm、固形分量が20質量部の「コア用樹脂粒子〔A〕の分散液」を得た。
スチレン 60.5質量部
n−ブチルアクリレート 30.3質量部
メタクリル酸 7.29質量部
n−オクチルメルカプタン 1.91質量部
に、サリチル酸金属錯体として3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム(R2=水素、R1,R3=tert−ブチル基)を15質量部添加し、60℃に加温して溶解させて「単量体溶液〔1〕」を調製した。
一方、アニオン性界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」2質量部をイオン交換水638質量部に溶解させた界面活性剤溶液を70℃に加温し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、前記「単量体溶液〔1〕」を4時間混合・分散させ、分散粒子径160nmの乳化粒子を含有する分散液を調製した。
その後、前記「単量体溶液〔1〕」を撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に入れ、重合開始剤「過硫酸カリウム:KPS」9.0質量部を添加し、内温を78℃とさせた後、78℃において1時間にわたって撹拌することで、固形分量が13.5質量%の「シェル用樹脂粒子〔A〕の分散液1」(サリチル酸金属錯体を含有したスチレン−アクリル樹脂粒子の分散液)を得た。
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、「コア用樹脂粒子〔A〕の分散液」を固形分換算で288質量部、イオン交換水2000質量部を投入後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを25℃において10に調整した。その後、「着色剤粒子分散液」を固形分換算で40質量部投入した。
次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。
その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径(D50)が6.0μmになった時点で、「シェル用樹脂粒子〔A〕の分散液1」を固形分換算で72質量部を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。
さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.945になった時点で30℃に冷却し、「トナー母体粒子1の分散液」を調製した。
前記(3)の工程にて生成した粒子(「トナー母体粒子1の分散液」)を遠心分離機で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒子1」を作製した。
上記の「トナー母体粒子1」に、疎水性シリカとして、数平均一次粒子径が12nmのものを1質量%と、数平均一次粒子径が80nmのものを0.3質量%とした混合系を使用し、この混合系の疎水性シリカ及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、「トナー1」を作製した。
上記トナー1の作製の「(2)シェル用樹脂粒子分散液の調製」において、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム(R2=水素、R1,R3=tert−ブチル基)の代わりに、表1に示すサリチル酸誘導体の金属化合物を使用した以外は、トナー1の作製と同様の方法で「トナー2〜5」を作製した。
上記トナー1の作製の「(2)シェル用樹脂粒子分散液の調製」において、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム(R2=水素、R1,R3=tert−ブチル基)を添加しない以外は、トナー1の作製と同様の方法で「トナー6」を作製した。
上記トナー1の作製の「(2)シェル用樹脂粒子分散液の調製」において、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム(R2=水素、R1,R3=tert−ブチル基)の代わりに、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛(R2=水素、R1,R3=tert−ブチル基)を使用した以外は、トナー1の作製と同様の方法で「トナー7」を作製した。
しかしながら、使用した3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛は、シェル用樹脂(スチレン−アクリル樹脂)に相溶しないため、トナー化することが困難であった。
上記トナー1の作製において、スチレン−アクリル樹脂(サリチル酸金属錯体含有)と、ポリエステル樹脂を最初から凝集させ、コア・シェル構造ではないトナー8を以下の手順により作製した。
(1)トナー母体粒子8の分散液の調製(凝集・融着工程)
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、「コア用樹脂粒子〔A〕の分散液」を固形分換算で288質量部、「シェル用樹脂粒子〔A〕の分散液1」を固形分換算で72質量部、イオン交換水2000質量部を投入後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを25℃において、10に調整した。その後、「着色剤粒子分散液」を固形分換算で40質量部投入した。
次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。
その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径(D50)が6.0μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。
さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.945になった時点で30℃に冷却し、「トナー母体粒子8の分散液」を調製した。
上記トナー1の作製の「(2)シェル用樹脂粒子分散液の調製」において、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム(R2=水素、R1,R3=tert−ブチル基)の代わりに、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム(R2=水素、R1,R3=tert−ブチル基)を使用した以外は、トナー1の作製と同様の方法で「トナー9」を作製した。
フェライトコア100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準メディアン径50μmのキャリアを得た。
キャリアの体積基準メディアン径は、湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS&RODOS(へロス・アンド・ロドス)(シンパティック社製)により測定した。
上記キャリアに、作製した各トナーをそれぞれトナー濃度が6質量%になるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社)に投入し、回転速度45rpmで30分間混合し、「現像剤1〜9」を作製した。
作製した各トナーについて、サリチル酸金属錯体の分布状態(S2/S1)を測定した。
ここで、トナー母体粒子をメチルエチルケトンに溶解した溶液を溶液(1)とし、メタノールに溶解した溶液を溶液(2)とし、それぞれの溶液(1)及び溶液(2)を、高速液体クロマトグラフィーにより同条件下で測定したとき、溶液(2)で得られたピーク(P2)のピーク面積をS2、溶液(1)でP2と同じ保持時間を持ったピーク(P1)のピーク面積をS1とした。なお、HPLCの測定条件及びS2/S1の計算方法については、上述したとおりとし、その結果を下記表1に示した。
作製した各トナー(現像剤)について、下記に示す評価を行い、その結果を下記表2に示した。
(1)かぶり
コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製の「bizhub Press C8000」で常温常湿下(20℃、50%RH)、印字率3%でA4判の転写紙2000枚を印刷した後、印字率50%でA4判の転写紙2000枚を印刷した。合計4000枚印刷終了後、かぶり測定を行った。
かぶり測定は画像支持体の白紙濃度はA4判の20か所を測定し、その平均値を白紙濃度とし、次に、評価形成画像4000枚目の白地部分について、同様に20か所の絶対画像濃度を測定して平均し、この平均濃度から白紙濃度を引いた値をかぶり濃度として評価した。かぶり濃度が0.01以下であれば、かぶりは合格とした。濃度測定は、反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用いて行った。
◎:0.003未満
○:0.003〜0.006未満
△:0.006〜0.010
×:0.010より大きい値
低印字率から高印字率へ印字率が変動しても、かぶり防止性が良いことは帯電の立ち上がりが早く安定であることを意味している。
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り、蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(セイシン企業製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で55℃、35%RHの環境下に2時間放置した。
次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた。その後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。トナー凝集率は下記式により算出される値である。
トナー凝集率(%)=篩上の残存トナー質量(g)/0.5(g)×100
下記に記載の基準によりトナーの耐熱性の評価を行った。
◎:トナー凝集率が10質量%未満(トナーの耐熱性が極めて良好)
○:トナー凝集率が10〜15質量%未満(トナーの耐熱性が良好)
△:トナー凝集率が15〜20質量%(トナーの耐熱性が良好)
×:トナー凝集率が20質量%を超える(トナーの耐熱性が悪く、使用不可)
コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製の「bizhub PRO C6500」で用いられている現像器に、上記現像剤を投入し、単体駆動機にて600rpmの速度で3.5時間駆動させた。そこで、現像器内の現像剤をサンプリングし、トナーの粒度分布をマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)にて測定した。現像器投入前のトナーと比較して、2.5μm以下のトナー増加率(質量%)を算出し、耐破砕性を評価した。増加率が高いほど現像器内での破砕が発生しやすいことを表す。評価基準は以下のとおりである。
◎:増加率が3%以下である
○:増加率が3%を超えるが7%以下である
△:増加率が7%を超えるが10%以下である
×:増加率が10%を超える
Claims (7)
- コア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷現像用トナーであって、
当該トナー母体粒子が、ポリエステル樹脂を含有したコア用樹脂を、スチレン−アクリル樹脂を含有したシェル用樹脂で被覆した構造の粒子であり、かつ、少なくとも当該シェル用樹脂部分にサリチル酸誘導体と3価の金属とからなるサリチル酸金属錯体を含有し、
前記スチレン−アクリル樹脂が、官能基としてカルボキシ基を有することを特徴とする静電荷現像用トナー。 - 前記トナー母体粒子をメチルエチルケトンに溶解した溶液を溶液(1)とし、メタノールに溶解した溶液を溶液(2)とし、
それぞれの溶液(1)及び溶液(2)を、高速液体クロマトグラフィーにより同条件下で測定したとき、溶液(2)で得られたサリチル酸誘導体に由来するピーク(P2)のピーク面積をS2、溶液(1)でP2と同じ保持時間を持ったサリチル酸誘導体に由来するピーク(P1)のピーク面積をS1とすると、下記式(A)を満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷現像用トナー。
式(A):0.8<S2/S1≦1 - 前記サリチル酸金属錯体が、前記スチレン−アクリル樹脂及び前記ポリエステル樹脂の全樹脂に対して、0.1〜10質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷現像用トナー。
- 外添剤として、平均粒径70〜150nmの範囲内のシリカが含有されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷現像用トナー。
- コア・シェル構造を有するトナー母体粒子を含有する静電荷現像用トナーの製造方法であって、
当該トナー母体粒子が、ポリエステル樹脂を含有したコア用樹脂を、スチレン−アクリル樹脂を含有したシェル用樹脂で被覆した構造の粒子であり、かつ、少なくとも当該シェル用樹脂部分にサリチル酸誘導体と3価の金属とからなるサリチル酸金属錯体を含有し、
前記スチレン−アクリル樹脂が、官能基としてカルボキシ基を有し、
少なくとも下記(1)〜(3)の工程を有することを特徴とするトナーの製造方法。
(1)水系媒体中に、前記ポリエステル樹脂を含有したコア用樹脂粒子が分散されてなるコア用樹脂粒子分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、前記スチレン−アクリル樹脂を含有したシェル用樹脂粒子と、前記サリチル酸金属錯体とが分散されてなるシェル用樹脂粒子分散液を調製する工程
(3)前記コア用樹脂粒子分散液に、前記シェル用樹脂粒子分散液を添加して、コア用樹脂粒子の表面にシェル層を形成する工程 - 前記(2)のシェル用樹脂粒子分散液を調製する工程が、前記サリチル酸金属錯体を、前記スチレン−アクリル樹脂に、ミニエマルション重合法を用いて乳化微粒子とした状態で含有させることを特徴とする請求項6に記載のトナーの製造方法。
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