JP2017036420A - 高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物およびコイル部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】臭気が抑制され、かつ、含浸性、接着性、特に吸湿したときの接着性に優れる高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物は、(A)不飽和ポリエステル、(B)下記一般式(1)で表される1分子中に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを少なくとも1つずつ有する化合物、(C)金属石鹸、を必須成分とし、前記(A)成分100質量部に対して前記(B)成分が40〜300質量部、前記(A)成分および前記(B)成分の合計量100質量部に対して前記(C)成分が0.1〜2.0質量部であることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物は、(A)不飽和ポリエステル、(B)下記一般式(1)で表される1分子中に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを少なくとも1つずつ有する化合物、(C)金属石鹸、を必須成分とし、前記(A)成分100質量部に対して前記(B)成分が40〜300質量部、前記(A)成分および前記(B)成分の合計量100質量部に対して前記(C)成分が0.1〜2.0質量部であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物およびコイル部品に関する。
自動車部品、一般家電品、産業用電気機器等におけるコイル部品の絶縁処理に電気絶縁用樹脂組成物が使用されている。電気絶縁用樹脂組成物は、一般に不飽和ポリエステルを主成分とし、反応性単量体としてスチレンを含有している。
しかしながら、スチレンを含有する場合、臭気が問題になりやすい。例えば、電気絶縁用樹脂組成物を製造する工場の近くに住宅等がある場合、環境への配慮から臭気を抑制することが求められる。また、電気絶縁用樹脂組成物を使用した成形品においては、残留したスチレンによる臭気が問題になることがある。さらに、スチレンは化学物質管理促進法(PRTR制度)の第一種指定化学物質に指定されており、その使用が制限される傾向にある。
このような臭気を抑制する方法として、残留スチレンを低減する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルまたはこれらの誘導体等のアリル酸エステルを使用することが検討されている。これらの中でも費用の点から、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA)を使用することが検討されている。2−HEMAは、不飽和ポリエステルの二重結合を有機過酸化物または金属石鹸を介して架橋するために使用される。
上述したように、電気絶縁用樹脂組成物においては、臭気等の問題からスチレンの使用が制限される傾向にある。このため、スチレンに代えてアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルまたはこれらの誘導体等のアリル酸エステルの使用が検討されている。
しかしながら、上述した2−HEMAはフリーの水酸基を有することから、電気絶縁用樹脂組成物の硬化物が水分を吸収しやすく、また水分の吸収により硬化物が加水分解しやすい。近年、コイル部品は屋外で使用されることも多いことから、スチレンを使用した電気絶縁用樹脂組成物と同等の耐湿性が求められている。
さらに、コイル部品の小型化および高性能化を目的として、巻線として丸線の代わりに平角線を使用することが増えている。平角線を使用することにより、巻線間の密着性が向上して高い占積率が得られる。しかし、巻線間に電気絶縁用樹脂組成物が含浸しにくくなることから、巻線等に対する電気絶縁用樹脂組成物の付着量が減少して接着力が低下しやすい。
なお、従来のスチレンフリーの電気絶縁用樹脂組成物においても、反応性単量体の含有率を高めることにより粘度を低下させて含浸性を向上させることができる。しかし、反応性単量体の含有率が高くなると、吸湿したときに接着力が低下しやすくなる。
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであって、臭気が抑制され、かつ、含浸性、接着性、特に吸湿したときの接着性に優れる高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物を提供することを目的としている。
本発明によれば、臭気が抑制され、かつ、含浸性、接着性、特に吸湿したときの接着性に優れる高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物は、(A)不飽和ポリエステル、(B)下記一般式(1)で表される1分子中に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを少なくとも1つずつ有する化合物、(C)金属石鹸、を必須成分として含有することを特徴とする。また、本発明の樹脂組成物は、(A)成分100質量部に対して(B)成分が40〜300質量部であり、(A)成分および(B)成分の合計量100質量部に対して(C)成分が0.1〜2.0質量部であることを特徴とする。なお、以下では、高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物を単に樹脂組成物と記して説明する。
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数2〜20の炭化水素基または連結基を含む炭素数2〜20の炭化水素基を表す。)
本発明の高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物は、(A)不飽和ポリエステル、(B)下記一般式(1)で表される1分子中に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを少なくとも1つずつ有する化合物、(C)金属石鹸、を必須成分として含有することを特徴とする。また、本発明の樹脂組成物は、(A)成分100質量部に対して(B)成分が40〜300質量部であり、(A)成分および(B)成分の合計量100質量部に対して(C)成分が0.1〜2.0質量部であることを特徴とする。なお、以下では、高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物を単に樹脂組成物と記して説明する。
(A)不飽和ポリエステルとしては、例えば、フタル酸系、イソフタル酸系の2種が好適なものとして挙げられる。
フタル酸系の不飽和ポリエステルは、無水フタル酸とその他の酸性分とアルコール成分とを反応させて得ることができる。
酸性分としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸等の不飽和酸が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
アルコール成分としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3,−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ポリエーテル、ポリアルコール等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記以外の変性成分として、アマニ油、大豆油、トール油、米ぬか油、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
イソフタル酸系の不飽和ポリエステルは、イソフタル酸とその他の酸性分とアルコール成分とを反応させて得ることができる。
酸性分としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸等の不飽和酸が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
アルコール成分としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3,−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ポリエーテル、ポリアルコール等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記以外の変性成分として、アマニ油、大豆油、トール油、米ぬか油、ジシクロペンタジエン、マレイン化アマニ油、マレイン化大豆油等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記2種の不飽和ポリエステルは、1種のみを使用してもよいし、2種を混合して使用してもよく、用途に応じて使い分けることが好ましい。例えば、耐熱性が必要とされる分野においては、イソフタル酸系の不飽和ポリエステルを使用することが好ましい。また、柔軟性が必要とされる分野においては、フタル酸系の不飽和ポリエステルを使用することが好ましい。
(B)一般式(1)で表される1分子中に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを少なくとも1つずつ有する化合物は、1分子中に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを少なくとも1つずつ有していればよく、一方または両方の官能基を2つ以上有していてもよい。
R2としては、例えば、炭素数2〜20の直鎖状、分岐鎖状、もしくは環状のアルキレン基、エーテル結合、エステル結合等の酸素原子を有する炭素数2〜20の直鎖状、分岐鎖状、もしくは環状のアルキレン基、炭素数6〜11の2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜15の直鎖状、分岐鎖状、もしくは環状のアルキレン基、エーテル結合、エステル結合等の酸素原子を有する炭素数2〜15の直鎖状、分岐鎖状、もしくは環状のアルキレン基、または炭素数7〜10の2価の芳香族炭化水素基が好ましい。特に、炭素数2〜6のアルキレン基、エーテル結合を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好ましい。
(B)一般式(1)で表される1分子中に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを少なくとも1つずつ有する化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシへキシル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロへキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロへキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル等が例示される。
これらの中でも、適度な粘度を有する樹脂組成物が得られ、かつその硬化時の揮発性有機化合物(VOC)の発生も抑制されることから、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルまたはアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、(A)成分100質量部に対して(B)成分が40〜300質量部である。(B)成分の含有量が上記範囲内にあると、樹脂組成物の粘度が2〜20dPa・sになりやすく、樹脂組成物を滴下してコイル部品に含浸させるときにその垂れ落ちが抑制される。これにより、コイル部品における樹脂組成物の充填率が高くなるとともに、含浸から硬化までの間における樹脂組成物の垂れ落ちによる損失も抑制される。
(C)金属石鹸としては、例えば、ナフテン酸、オクチル酸等の金属塩が挙げられる。このような金属塩としては、コバルト、亜鉛、ジルコニウム、マンガン等の金属塩が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(C)成分の含有割合は、(A)成分および(B)成分の合計量100質量部に対して、0.1〜2.0質量部である。(C)成分の含有割合が0.1質量部以上になると、反応性が高くなり、かつ硬化物の特性も良好になる。また、(C)成分の含有割合が2.0質量部以下になると、可使時間であるポットライフが長くなるために好ましい。
本発明の樹脂組成物は、(A)不飽和ポリエステル、(B)一般式(1)で表される1分子中に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを少なくとも1つずつ有する化合物、(C)金属石鹸、を必須成分として含有するが、本発明の目的に反しない限度において、かつ、必要に応じて、他の成分を含有することができる。このような成分としては、硬化剤、重合禁止剤、着色剤、消泡剤、レベリング剤等が挙げられる。
硬化剤としては、有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャルブチルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、アシルパーオキサイド、クメンパーオキサイド等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
硬化剤を含有させる場合、その含有量は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分の合計100質量部に対して、0.5〜2.0質量部が好ましい。硬化剤の含有量が0.5質量部以上になると、硬化性が顕著に改善される。また、硬化剤の含有量が2.0質量部以下になると、硬化時間が過度に短くなることが抑制されて作業性が良好になる。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、パラターシャリブチルカテコール、ピロガロール等のキノン類が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分、必要に応じて、硬化剤、重合禁止剤、着色剤、消泡剤、レベリング剤等を配合し、均一に混合することにより調製することができる。
本発明の樹脂組成物は、40dPa・s以下の粘度を有することが好ましい。粘度が40dPa・s以下の場合、コイル部品に対する含浸性が良好になり、特に巻線として平角線を使用したときの含浸性が良好になる。粘度は、30dPa・s以下がより好ましく、20dPa・s以下がさらに好ましい。通常、粘度は1dPa・s以上が好ましく、2dPa・s以上がより好ましい。なお、粘度は、B型粘度計を用いて25℃で測定される。
このようにして調製された本発明の樹脂組成物は、例えば、自動車部品、一般家電部品、産業用電気機器等におけるコイル部品の絶縁処理に好適に使用される。本発明の樹脂組成物をコイル部品の絶縁処理に用いることで、高湿度の雰囲気にも十分に耐えうるものとすることができる。絶縁処理方法としては、公知の方法を使用することができ、例えば、滴下含浸方法を好適に使用することができる。
以下、滴下含浸方法について図面を参照して説明する。
図1は、滴下含浸方法を説明する図である。
図1は、滴下含浸方法を説明する図である。
図1に示すように、含浸処理の対象となるコイル部品10は、ステータ11と、このステータ11に設けられたコイル12とからなる。このようなコイル部品10は、軸方向が水平方向となるように、その内側に保持具13が挿入されて保持されている。このようなコイル部品10については、保持具13により回転されるとともに、ノズル14から樹脂組成物15が滴下される。
図2、図3は、含浸処理が行われたコイル部品10を示した断面図である。
なお、図2は、コイル12の巻線として丸線を使用したときの断面図である。また、図3は、コイル12の巻線として平角線を使用したときの断面図である。
なお、図2は、コイル12の巻線として丸線を使用したときの断面図である。また、図3は、コイル12の巻線として平角線を使用したときの断面図である。
図2、図3に示されるように、ステータ11は複数のティース11aとこれらのティース11aの間に設けられたスロット11bを有する。含浸処理により、コイル12の巻線12aどうしの間、および巻線12aとスロット壁11cとの間に樹脂組成物15が含浸される。
その後、例えば、120〜180℃で15〜60分間、好ましくは140〜160℃で20〜40分間加熱する。これにより、巻線12aどうしの間、および巻線12aとスロット壁11cとの間に含浸された樹脂組成物15が硬化されたコイル部品10が得られる。
本発明の樹脂組成物15は、適度な粘度を有することから、巻線12aどうしの間、および巻線12aとスロット壁11cとの間に樹脂組成物15が十分に含浸される。特に、図3に示すように巻線12aが平角線である場合についても、巻線12aどうしの間、および巻線12aとスロット壁11cとの間に樹脂組成物15が十分に含浸される。また、コイル部品10からの垂れ落ちが抑制されることから、含浸時および硬化時の損失も抑制される。
次に、本発明を実施例により説明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
まず、実施例および比較例の樹脂組成物の調製に先立ち、その調製に使用されるフタル酸系不飽和ポリエステル(A−1)およびイソフタル酸系不飽和ポリエステル(A−2)の調製について説明する。
(フタル酸系不飽和ポリエステル(A−1)の調製)
無水フタル酸7質量部、大豆油54質量部、ペンタエリスリトール14質量部、無水マレイン酸14質量部、プロピレングリコール11質量部、およびハイドロキノン0.02質量部を混合した。その後、180〜210℃で反応させて、酸価15の樹脂を得た。この樹脂にハイドロキノン0.01質量部を配合してフタル酸系不飽和ポリエステルを得た。
無水フタル酸7質量部、大豆油54質量部、ペンタエリスリトール14質量部、無水マレイン酸14質量部、プロピレングリコール11質量部、およびハイドロキノン0.02質量部を混合した。その後、180〜210℃で反応させて、酸価15の樹脂を得た。この樹脂にハイドロキノン0.01質量部を配合してフタル酸系不飽和ポリエステルを得た。
(イソフタル酸系不飽和ポリエステル(A−2)の調製)
イソフタル酸15質量部、無水マレイン酸13質量部、無水テトラヒドロフタル酸7質量部、プロピレングリコール25質量部、およびハイドロキノン0.01質量部を混合した。その後、200〜220℃で反応させて、酸価25の樹脂を得た。この樹脂にハイドロキノン0.01質量部を配合してイソフタル酸系不飽和ポリエステルを得た。
イソフタル酸15質量部、無水マレイン酸13質量部、無水テトラヒドロフタル酸7質量部、プロピレングリコール25質量部、およびハイドロキノン0.01質量部を混合した。その後、200〜220℃で反応させて、酸価25の樹脂を得た。この樹脂にハイドロキノン0.01質量部を配合してイソフタル酸系不飽和ポリエステルを得た。
(実施例1〜3、比較例1〜5)
下記表1に示すような組成となるように各成分を配合し、均一に混合して、評価用樹脂組成物を得た。各成分の詳細は、以下の通りである。
下記表1に示すような組成となるように各成分を配合し、均一に混合して、評価用樹脂組成物を得た。各成分の詳細は、以下の通りである。
(A)不飽和ポリエステル
・不飽和ポリエステル(A−1):上記フタル酸系不飽和ポリエステル(A−1)
・不飽和ポリエステル(A−2):上記イソフタル酸系不飽和ポリエステル(A−2)
(B)一般式(1)で表される1分子中に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを少なくとも1つずつ有する化合物
・メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(日本触媒社製)
・アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(日本触媒社製)
(C)金属石鹸
・ナフテン酸コバルト(DIC社製)
(その他)
・反応性単量体:2−HEMA(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)(三菱ガス化学社製)
・反応性単量体:プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート(ダイセル・オルネクス社製)
・硬化剤:1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)シクロヘキサン(化薬アクゾ社製)
・不飽和ポリエステル(A−1):上記フタル酸系不飽和ポリエステル(A−1)
・不飽和ポリエステル(A−2):上記イソフタル酸系不飽和ポリエステル(A−2)
(B)一般式(1)で表される1分子中に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを少なくとも1つずつ有する化合物
・メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(日本触媒社製)
・アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(日本触媒社製)
(C)金属石鹸
・ナフテン酸コバルト(DIC社製)
(その他)
・反応性単量体:2−HEMA(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)(三菱ガス化学社製)
・反応性単量体:プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート(ダイセル・オルネクス社製)
・硬化剤:1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)シクロヘキサン(化薬アクゾ社製)
次に、実施例および比較例の評価用樹脂組成物について、以下の評価を行った。
[粘度]
B型粘度計を用いて、25℃での粘度をJIS C 2105に準拠して測定した。
[ゲル化時間]
樹脂組成物10gを試験管に入れ、120℃にてゲル化するまでの時間(秒)をJIS C 2105に準拠して測定した。
[ポットライフ]
樹脂組成物10gを試験管に入れ、40℃にてゲル化するまでの時間(日)をJIS C 2105に準拠して測定した。
[VOC]
樹脂組成物100質量部に対して過酸化物を1質量部の割合で含有する混合物10gを、熱風循環乾燥機を使用して、150℃で1時間放置したときの揮発量をASTM D 6053に準拠して求めた。
[接着力]
樹脂組成物の硬化物について、吸湿処理を行う前の接着力(初期の接着力)および吸湿処理を行った後の接着力をJIS K 6850に準拠して測定した。なお、吸湿処理は、85℃、85%RH、200時間の条件とした。また、接着力の測定は25℃で行った。表中、吸湿処理後の接着力が9N/mm2以上であるものを「○」で示し、接着力が9N/mm2未満であるものを「×」で示した。
[充填率]
図1に示すように、ステータとコイルとからなるコイル部品に樹脂組成物を滴下して含浸させた。その後、このコイル部品を軸方向に対して垂直な方向に切断し、その断面を観察してスロット内における樹脂組成物の充填率を求めた。表中、充填率が55%以上であるものを「○」で示し、55%未満であるものを「×」で示した。
B型粘度計を用いて、25℃での粘度をJIS C 2105に準拠して測定した。
[ゲル化時間]
樹脂組成物10gを試験管に入れ、120℃にてゲル化するまでの時間(秒)をJIS C 2105に準拠して測定した。
[ポットライフ]
樹脂組成物10gを試験管に入れ、40℃にてゲル化するまでの時間(日)をJIS C 2105に準拠して測定した。
[VOC]
樹脂組成物100質量部に対して過酸化物を1質量部の割合で含有する混合物10gを、熱風循環乾燥機を使用して、150℃で1時間放置したときの揮発量をASTM D 6053に準拠して求めた。
[接着力]
樹脂組成物の硬化物について、吸湿処理を行う前の接着力(初期の接着力)および吸湿処理を行った後の接着力をJIS K 6850に準拠して測定した。なお、吸湿処理は、85℃、85%RH、200時間の条件とした。また、接着力の測定は25℃で行った。表中、吸湿処理後の接着力が9N/mm2以上であるものを「○」で示し、接着力が9N/mm2未満であるものを「×」で示した。
[充填率]
図1に示すように、ステータとコイルとからなるコイル部品に樹脂組成物を滴下して含浸させた。その後、このコイル部品を軸方向に対して垂直な方向に切断し、その断面を観察してスロット内における樹脂組成物の充填率を求めた。表中、充填率が55%以上であるものを「○」で示し、55%未満であるものを「×」で示した。
なお、充填率の測定は、巻線に丸線を使用したものと平角線を使用したものとの2種類について行った。丸線を使用したものについては、図2に示すようにティースの周囲に直径1mmの銅線を3回巻き付けたものを使用した。また、平角線を使用したものについては、図3に示すようにティースの周囲に幅2mm×厚さ1mmの銅線を3回巻き付けたものを使用した。
[損失率]
図1に示すように、ステータとコイルとからなるコイル部品に樹脂組成物を滴下して含浸する際、コイル部品の下部に垂れ落ちて含浸に使用されなかった樹脂組成物の量(損失量)を測定した。そして、ノズルから滴下された樹脂組成物の量(滴下量)に対する損失量の割合((損失量/滴下量)×100[%])を損失率とした。表中、損失率が10%未満であるものを「○」で示し、10%以上であるものを「×」で示した。
[損失率]
図1に示すように、ステータとコイルとからなるコイル部品に樹脂組成物を滴下して含浸する際、コイル部品の下部に垂れ落ちて含浸に使用されなかった樹脂組成物の量(損失量)を測定した。そして、ノズルから滴下された樹脂組成物の量(滴下量)に対する損失量の割合((損失量/滴下量)×100[%])を損失率とした。表中、損失率が10%未満であるものを「○」で示し、10%以上であるものを「×」で示した。
表1から明らかなように、反応性単量体として2−HEMAを用いた比較例3の樹脂組成物は、吸湿処理後に接着力が大幅に低下することが認められた。また、比較例4の樹脂組成物は、接着力は高くなるが、粘度が高いことから平角線を使用したときに充填率が低くなることが認められた。
これに対して、実施例1〜3の樹脂組成物は、反応性単量体として2−HEMAを用いた比較例3の樹脂組成物よりも接着力が高くなることが認められた。また、吸湿処理後も接着力の低下がほとんど見られず、耐湿性に優れていることが認められた。また、粘度が低いことから、平角線を使用したときにも十分な充填性が得られることが認められた。
10…コイル部品、11…ステータ、11a…ティース、11b…スロット、11c…スロット壁、12…コイル、12a…巻線、13…保持具、14…ノズル、15…樹脂組成物。
Claims (3)
- 前記(B)成分がメタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルまたはアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルであることを特徴とする請求項1記載の高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物を使用したことを特徴とするコイル部品。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015159776A JP2017036420A (ja) | 2015-08-13 | 2015-08-13 | 高耐湿性電気絶縁用樹脂組成物およびコイル部品 |
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- 2015-08-13 JP JP2015159776A patent/JP2017036420A/ja active Pending
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